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  • 特開-消化槽及び消化槽の保温方法 図1
  • 特開-消化槽及び消化槽の保温方法 図2
  • 特開-消化槽及び消化槽の保温方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032239
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】消化槽及び消化槽の保温方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/04 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
C02F11/04 Z ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135796
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山中 遼平
(72)【発明者】
【氏名】福ケ迫 久仁衛
(72)【発明者】
【氏名】田中 克
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BA11
4D059BA56
4D059BJ03
4D059BJ06
4D059CB11
(57)【要約】
【課題】本発明は、保温性に優れる消化槽及び消化槽の保温方法を提供することを課題とする。
【解決手段】コンクリートで形成された基礎部と、前記基礎部に設置された消化槽本体とを備え、前記基礎部は、前記消化槽本体が設置された設置面と、前記設置面以外の面である外面とを有し、前記外面の少なくとも一部が、保温部材で覆われている、消化槽。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートで形成された基礎部と、前記基礎部に設置された消化槽本体とを備え、
前記基礎部は、前記消化槽本体が設置された設置面と、前記設置面以外の面である外面とを有し、
前記外面の少なくとも一部が、保温部材で覆われている、消化槽。
【請求項2】
前記外面は、下面と側面とを有し、
前記下面と前記側面の少なくとも一部が、前記保温部材で覆われている、請求項1に記載の消化槽。
【請求項3】
前記外面は、上面を有し、
前記上面の少なくとも一部が、前記保温部材で覆われている、請求項1又は2に記載の消化槽。
【請求項4】
前記上面を覆う前記保温部材が、保護層で覆われている、請求項3に記載の消化槽。
【請求項5】
消化槽の保温方法であって、
前記消化槽は、コンクリートで形成された基礎部と、前記基礎部に設置された消化槽本体とを備え、
前記基礎部は、前記消化槽本体が設置された設置面と、前記設置面以外の面である外面とを有し、
前記外面の少なくとも一部を保温部材で覆う、消化槽の保温方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消化槽及び消化槽の保温方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消化槽は、下水汚泥などの有機性廃棄物を処理するために用いられている。通常、消化槽は、コンクリートで形成された基礎部と、該基礎部に設置され嫌気性細菌によって有機性廃棄物を処理する消化槽本体とを備えている。消化槽本体の内部の温度(内温)は、例えば35~60℃であり、より具体的には中温消化で35~40℃、高温消化で50~60℃である。これによって、嫌気性細菌により汚泥中の有機物が分解され、メタンと二酸化炭素とからなるバイオガスが発生する。バイオガスはメタンを含むため、燃料として活用することができる。
【0003】
また、消化槽本体の内温を安定した状態で維持するために、消化槽本体の保温性を高めることが試みられている。例えば、特許文献1に記載の消化槽は、消化槽本体の底部に保温部材(ポリスチレンフォーム)が設けられている。具体的には、特許文献1の消化槽は、消化槽本体の内部空間が仕切り板で上下方向に分割されており、上側の空間に汚泥が投入されるように構成され、且つ、下側の空間に断熱構造体が配されている。該断熱構造体は、消化槽本体の底部と仕切り板との間に延びる複数の短管と、各短管の間に配された前記保温部材とを有する。また、仕切り板及び短管は、鋼材から作製されている。かかる断熱構造体では、短管によって保温部材が汚泥の荷重でつぶれないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5806747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の消化槽では、断熱構造体における短管が鋼材から作製されているため、短管及び基礎部を介した消化槽本体からの放熱が生じるおそれがある。すなわち、特許文献1の消化槽は、消化槽本体の保温性に改善の余地がある。
【0006】
また、特許文献1では、基礎部における保温性には着目されていないが、基礎部における保温性が不十分であると、基礎部における温度が外部環境によって変化し易くなり、基礎部に熱応力を生じさせることとなる。そして、熱応力の影響を抑えるためには、基礎部における配筋の増設が必要となるため、施工の手間とコストが増大する。
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、保温性に優れる消化槽及び消化槽の保温方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る消化槽は、
コンクリートで形成された基礎部と、前記基礎部に設置された消化槽本体とを備え、
前記基礎部は、前記消化槽本体が設置された設置面と、前記設置面以外の面である外面とを有し、
前記外面の少なくとも一部が、保温部材で覆われている。
【0009】
斯かる構成によれば、基礎部における外面の少なくとも一部が保温部材で覆われていることによって、基礎部を介した放熱が抑制されるため、消化槽本体だけでなく基礎部における保温性に優れるものとなる。そして、延いては、熱応力の影響を抑えるための基礎部における配筋量を低減することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る消化槽は、
前記外面は、下面と側面とを有し、
前記下面と前記側面の少なくとも一部が、前記保温部材で覆われていてもよい。
【0011】
斯かる構成によれば、基礎部における下面と側面の少なくとも一部が保温部材で覆われていることによって、基礎部を介した放熱がさらに抑制される。
【0012】
また、本発明に係る消化槽は、
前記外面は、上面を有し、
前記上面の少なくとも一部が、前記保温部材で覆われていてもよい。
【0013】
斯かる構成によれば、基礎部における上面の少なくとも一部が保温部材で覆われていることによって、基礎部を介した放熱がより一層抑制される。
【0014】
また、本発明に係る消化槽は、
前記上面を覆う前記保温部材が、保護層で覆われていてもよい。
【0015】
斯かる構成によれば、上面を覆う保温部材が保護層で覆われているため、該保温部材の劣化が抑制され、延いては、保温性を長期にわたって維持することができる。
【0016】
本発明に係る消化槽の保温方法では、前記外面の少なくとも一部を保温部材で覆う。
【0017】
斯かる構成によれば、基礎部における外面の少なくとも一部を保温部材で覆うため、消化槽本体だけでなく基礎部における保温性に優れる消化槽を構築することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の通り、本発明によれば、保温性に優れる消化槽及び消化槽の保温方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態に係る消化槽の概略図である。
図2図1の消化槽を上方から見た図である。
図3】水路の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る消化槽について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る消化槽1は、下水汚泥などの有機性廃棄物を処理する消化槽本体10と、消化槽本体10内の汚泥を加温する加温部20と、消化槽本体10内の汚泥を撹拌する撹拌部30と、消化汚泥を消化槽本体10から排出する排出部たる引抜装置40とを備えている。また、本実施形態の消化槽1は、消化槽本体10を設置するための基礎部50と、基礎部50を覆う保温部材60とを備えている。
【0022】
本実施形態の消化槽1は、地山に形成された凹部Gに設けられている。凹部Gは、基礎部50を下方から支持するように形成された平面部G1と、基礎部50を囲繞するように形成された周壁部G2とを備えている。なお、凹部は、周壁部G2を備えていなくてもよい。
【0023】
本実施形態の消化槽本体10は、鋼板製である。消化槽本体10は、円筒状に形成されており、基礎部50に接地された底部11と、底部11から立ち上がる側壁部12と、底部11に対向し且つ側壁部12の上端を閉塞する上壁部13とを有する。消化槽本体10の内部には、底部11と側壁部12と上壁部13とで画定される円柱状の汚泥収容空間Vが形成されている。なお、消化槽本体は、円筒状の他、例えば角筒状に形成されていてもよい。また、消化槽本体は、コンクリートで形成されていてもよい。また、底部11の外表面と基礎部50との間に、底部11の腐食を防止するためのアスファルトサンドが敷設されていてもよい。
【0024】
本実施形態の加温部20は、消化槽本体10内の汚泥の温度を消化に適した温度、例えば35~60℃であり、より具体的には中温消化で35~40℃、高温消化で50~60℃に維持するために設けられている。本実施形態の加温部20は、消化槽本体10の外部に設けられた熱交換部23を有し、消化槽本体10から一部の汚泥を取り出して熱交換部23で加温し且つ加温した一部の汚泥を消化槽本体10に戻すように構成されている。より具体的には、加温部20は、消化槽本体10から一部の汚泥を排出させ且つ熱交換部23へ移送するための第1配管部21と、加温処理した一部の汚泥を熱交換部23から消化槽本体10に移送するための第2配管部22とを有する。また、加温部20は、第1配管部21から第2配管部22にわたって汚泥を移動させるための循環ポンプ24を有する。
【0025】
本実施形態の撹拌部30は、汚泥内の嫌気性微生物及び有機性廃棄物が均一になるように混合し、汚泥における熱の伝導を促すように機能する。撹拌部30は、上下方向に沿って延びる回転軸を有する軸部31と、軸部31を前記回転軸周りに回転させる駆動部32と、軸部31に固定され軸部31の回転に伴って回転する羽部33とを有する。
【0026】
本実施形態の撹拌部30では、軸部31は、底部11の中央部上方に配されている。羽部33は、上下方向に間隔を空けて配された第1羽部33aと第2羽部33bとで構成されている。すなわち、羽部33は、第1羽部33a及び第2羽部33bが2段配置されることによって構成されている。羽部33は、回転した場合に、その回転面において汚泥を上方から下方に移動させるように構成されている。すなわち、撹拌部30は、汚泥収容空間Vの径方向中央部において消化槽本体10の底部11に向かう汚泥の流れを生じさせることが可能である。そして、底部11に到達した汚泥は、底部11の延在方向に沿って流れて側壁部12に到達し、さらに、側壁部12に沿って上方へ流れることとなる。これによって、汚泥収容空間V内の汚泥が循環する。なお、羽部は、2段配置に限られず、例えば、1段のみであってもよく、複数段であってもよい。
【0027】
本実施形態の引抜装置40は、消化汚泥を消化槽本体10の底部11から槽外に排出するために設けられている。本実施形態の引抜装置40は、消化汚泥を排出させるための引抜ポンプ42と、引抜ポンプ42に接続された第3配管部41とで構成されている。
【0028】
本実施形態の基礎部50は、凹部Gへのコンクリートの打設によって形成されている。基礎部50は、鉄筋コンクリートで形成されており、すなわち、コンクリートと、該コンクリートに埋設された複数の鉄筋とを有する。凹部Gの下方には、基礎部50を下方から支持する複数の杭Pが埋め込まれている。各杭Pの先端部は、平面部G1から上方に突出し且つ基礎部50に埋設されている。これによって、基礎部50は、杭Pに支持される複数の支持面521を有するものとなる。
【0029】
基礎部50は、消化槽本体10が設置された設置面51aと、設置面51aよりも外側の外面52とを有する。
【0030】
設置面51aは、消化槽本体10を設置するために水平に形成された基礎面51に含まれている。
【0031】
外面52は、上記の杭Pに支持された支持面521と、凹部Gの平面部G1に支持された下面522と、凹部Gの周壁部G2に支持された側面523と、基礎面51において設置面51aよりも外側に位置する上面524とを有する。側面523は、周壁部G2に直接に支持されることで露出していない非露出面523aと、露出した露出面523bとを有する。外面52の支持面521を除く少なくとも一部は、保温部材60で覆われている。なお、杭Pは基礎部50と一体化されることによって基礎部50を補強するように機能するため、基礎部50における杭Pとの境界面たる支持面521は、通常、保温部材60で覆われない。
【0032】
本実施形態の消化槽1は、保温部材60として、基礎部50の下面522を覆う底部保温部材61と、側面523を覆う側部保温部材62と、上面524を覆う上部保温部材63とを備えている。
【0033】
底部保温部材61は、凹部Gの平面部G1と基礎部50の下面522との間に保温層を形成するように備えられている。また、底部保温部材61は、下面522を全体的に覆うように備えられている。このように、底部保温部材61は、下面522の70%以上を覆うことが好ましく、80%以上を覆うことがより好ましく、90%以上を覆うことがさらに好ましい。
【0034】
側部保温部材62は、凹部Gの周壁部G2と基礎部50の側面523との間に保温層を形成するように備えられている。本実施形態では、側部保温部材62は、側面523を覆うように備えられており、側面523の70%以上を覆うことが好ましく、80%以上を覆うことがより好ましく、90%以上を覆うことがさらに好ましい。
【0035】
上部保温部材63は、上面524に保温層を形成するように備えられている。消化槽1を上方からみたときに、上部保温部材63は、消化槽本体10を囲繞するように備えられている。上部保温部材63は、上面524の70%以上を覆うことが好ましく、80%以上を覆うことがより好ましく、90%以上を覆うことがさらに好ましい。
【0036】
各保温層の層厚は、特に限定されるものではないが、20mm以上とするのが好ましい。土の熱伝導率の方が空気の熱伝導率よりも大きいため、底部保温部材61や側部保温部材62が形成する保温層は、上部保温部材63が形成する保温層よりも層厚が大きいことが好ましい。このように、各保温層の層厚は、外部環境に応じて変更されてもよい。例えば、側部保温部材62が露出する場合には、側部保温部材62の保温層の層厚は、底部保温部材61の層厚よりも小さくてもよい。なお、各保温層の層厚は、全て同じであってもよい。
【0037】
保温部材60を構成する材料としては、コンクリートよりも熱伝導率が小さい材料が好ましい。コンクリートの熱伝導率は、通常1.2~1.6W/m・Kであるため、保温部材60の材料は、熱伝導率が1.2W/m・Kよりも小さいことが好ましく、0.5W/m・Kよりも小さいことがより好ましい。保温部材60の材料としては、熱伝導率が0.02~0.03W/m・Kのポリスチレンフォーム又はポリウレタンフォームが好ましい。この他、保温部材60の材料は、ガラスウール、パーライト、パーライトモルタル、骨材(砂利)などであってもよい。
【0038】
保温部材60は、単一の材料で構成されていてもよい。また、保温部材60は、複数の材料の組み合わせで構成されていてもよい。例えば、保温部材60は、骨材と、パーライト又はパーライトモルタルとの組み合わせで構成されていることが好ましい。
【0039】
本実施形態の消化槽1は、さらに、保温部材60を保護する保護層70を備えている。具体的には、消化槽1は、上部保温部材63を保護する保護層70はコンクリート層であり、コンクリート層は、上部保温部材63を上方から覆うように形成されている。コンクリート層を形成するコンクリートは、無筋コンクリートである。コンクリート層の層厚は、特に限定されるものではないが、80mm以上とするのが好ましい。これによって、外部環境の影響による上部保温部材63の劣化が抑制され、延いては、消化槽1の保温性が維持され得る。また、保護層70は、上部保温部材63の位置ずれを抑制する固定部材(重し)としても機能する。すなわち、本実施形態の消化槽1は、上部保温部材63を上面524に固定するための保護層70を備えている。なお、保護層70はコンクリートに限定されるものではなく、他には例えばモルタルなどが挙げられる。
【0040】
本実施形態の消化槽1によれば、基礎部50が保温部材60で覆われているため、基礎部50を介した消化槽本体10からの放熱が抑制される。これによって、加温部20の消費エネルギーを抑制することができる。加えて、基礎部50からの放熱が少ない分、汚泥の温度を全体にわたって安定した状態に維持し易くなるため、加温のための汚泥循環量が低減でき、循環ポンプ24の動力を低減できる。
【0041】
また、基礎部50が保温部材60で保温されるため、基礎部50における温度が安定した状態で維持され得る。これによって、基礎部50における熱応力の発生が軽減され、基礎部50における鉄筋量(配筋量)の低減が可能となり、施工の手間やコスト、部材の削減につながる。
【0042】
ここで、図1に示すように、本実施形態の基礎部50は、基礎面51をなす基礎部本体501と、基礎部本体501の外周縁から立ち上がる基礎部周壁部502とを有する。基礎部周壁部502は、消化槽本体10を囲繞するように設けられており、上下方向に延びる一対の壁面を有する。より具体的には、図2に示すように、基礎部周壁部502は、凹部Gの周壁部G2に対向する外壁面502a(側面523の一部をなす面)と、消化槽本体10の側壁部12に対向する内壁面502bとを有する。そして、本実施形態の消化槽1では、上部保温部材63が、基礎部周壁部502の内壁面502bに接するように備えられている。これによって、上部保温部材63の位置ずれが抑制されるため、位置ずれに起因する保温もれが抑制される。なお、前記基礎部は、前記基礎部周壁部を有さなくてもよい。
【0043】
また、本実施形態の消化槽1では、消化槽本体10の側壁部12と上部保温部材63との間に隙間80が設けられている。かかる隙間80があると、上部保温部材63の交換や消化槽本体10の側壁部12付近の保温部材交換の際などのメンテナンスの際のスペースが確保され、作業性が向上する。なお、隙間80は、消化槽1を上方から見たときに、側壁部12の一部を囲むように形成されていればよい。言い換えれば、上部保温部材63の一部が、側壁部12に接するように設けられていてもよい。
【0044】
さらに、図2に示すように、隙間80が設けられる場合は、降雨時などによって隙間80にたまった水を消化槽1から排出する水路90が設けられていてもよい。本実施形態の消化槽1では、水路90を形成するために基礎部周壁部502が周方向において途切れた開放部91が設けられており、開放部91と隙間80とが連通するように上部保温部材63及び保護層70が敷設されている。すなわち、基礎部周壁部502と同様に上部保温部材63及び保護層70にも周方向において途切れた開放部92が設けられている。水路90が設けられる場合、隙間80における上面524は、水路90に向かって下方傾斜するように形成されることが好ましい。この他、図3に示すように、水路90は、隙間80における上面524で開口し且つ側部保温部材62における上面524よりも低い位置で開口する貫通孔(基礎部50を貫通する貫通孔)で構成されていてもよい。なお、かかる隙間や水路は設けられなくてもよい。
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係る消化槽の保温方法について説明する。
【0046】
本実施形態の消化槽の保温方法は、凹部Gに基礎部50を形成しつつ基礎部50を保温部材で覆う第1保温工程と、基礎部50に消化槽本体10を設置する設置工程と、上面524を保温部材で覆う第2保温工程と、上面524を覆う保温部材を覆うように保護層70を形成する保護層形成工程とを備える。
【0047】
前記第1保温工程では、基礎部50を形成するための鉄筋と、コンクリートを打設するための型枠とを凹部Gに設置する。次いで、前記第1保温工程では、平面部G1の表面を覆うように保温部材60による保温層を形成し、且つ、前記型枠の内周面を覆うように保温部材60による保温層を形成する。そして、前記第1保温工程では、型枠内にコンクリートを打設し、保温部材60(保温層)で覆われた下面522及び側面523を有する基礎部50を形成する。
【0048】
前記第2保温工程において、基礎部50の上面524に保温部材による保温層を形成し、次いで、前記保護層形成工程において、該保温層を覆うように例えばコンクリートを打設して保護層70を形成する。
【0049】
本実施形態の消化槽の保温方法によれば、基礎部50を介した放熱が抑制され、保温性に優れる消化槽を構築することができる。
【0050】
なお、本発明に係る消化槽及び消化槽の保温方法は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る消化槽及び消化槽の保温方法は、上記の作用効果によって限定されるものではない。本発明に係る消化槽及び消化槽の保温方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態の消化槽1は、上部保温部材63を備えているが、上部保温部材を備えていなくとも所望の効果を発揮し得る。一方で、10℃以下のような低温になり得る外部環境(例えば寒冷期の大気)との間に保温部材が備えられることが好ましい。かかる観点からは、前記上部保温部材を備えていることが好ましい。
【0052】
また、本発明の消化槽は、前記底部保温部材を保護するための保護層を備えていてもよく、さらに、前記側部保温部材を保護するための保護層を備えていてもよい。前記底部保温部材及び前記側部保温部材を保護する保護層は、鋼板で構成されることが好ましい。前記鋼板としては、ガルバリウム鋼板(登録商標)が好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1:消化槽、10:消化槽本体、11:底部、12:側壁部、13:上壁部、V:汚泥収容空間、20:加温部、21:第1配管部、22:第2配管部、23:熱交換部、24:循環ポンプ、30:撹拌部、31:軸部、32:駆動部、33:羽部、33a:第1羽部、33b:第2羽部、40:引抜装置、41:第3配管部、42:引抜ポンプ、50:基礎部、501:基礎部本体、502:基礎部周壁部、502a:外壁面、502b:内壁面、51:基礎面、51a:設置面、52:外面、521:支持面、522:下面、523:側面、523a:非露出面、523b:露出面、524:上面、60:保温部材、61:底部保温部材、62:側部保温部材、63:上部保温部材、70:保護層、80:隙間、90:水路、91:開放部、92:開放部、G:凹部、G1:平面部、G2:周壁部、P:杭
図1
図2
図3