(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032240
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 4/64 20060101AFI20240305BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240305BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240305BHJP
H01R 4/18 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
H01R4/64 A
H01B7/00 301
H02G3/04 062
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135797
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆太
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 克俊
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝祐
【テーマコード(参考)】
5E085
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5E085BB01
5E085BB12
5E085CC03
5E085DD14
5E085FF01
5E085JJ02
5E085JJ03
5G309AA11
5G357DA05
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DD12
5G357DE02
(57)【要約】
【課題】シールド性能の安定化を可能としたワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス11は、電線12と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材13と、アース端子15とを備える。編組部材13は、電線12の外周を覆う筒状部13aと、筒状部13aの端部からまとめられつつ電線12と分離可能に延びてアース端子15に接続されるアース線13bとを有する。ワイヤハーネス11は、電線12に取り付けられるホルダ16を備える。ホルダ16は、アース端子15を保持する弾性保持部16cを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、アース端子と、を備え、
前記編組部材は、前記電線の外周を覆う筒状部と、前記筒状部の端部からまとめられつつ前記電線と分離可能に延びて前記アース端子に接続されるアース線と、を有する、ワイヤハーネスであって、
前記電線に取り付けられるホルダを備え、
前記ホルダは、前記アース端子を保持する保持部を有する、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記ホルダは、前記電線の外側から前記電線に取り付け可能に構成されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記ホルダは、前記電線の延在方向の一部における外周を覆う筒状のホルダ筒部を有し、前記ホルダ筒部は周方向の一部にスリットを有するとともに前記スリットが広がるように撓ませることが可能とされており、広がった状態の前記スリットから内部に前記電線を挿入することによって、前記電線に取り付け可能とされている、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記ホルダは、開口部を有しかつU字状の横断面を有すると共に前記開口部から前記電線における延在方向の一部を挿入可能なホルダ本体と、前記ホルダ本体にヒンジ部を介して連結され、前記開口部に対して開閉可能に設けられた蓋と、を有し、
前記蓋は、爪を有し、
前記ホルダ本体は、前記蓋の閉状態において前記爪が係止される爪係止部を有する、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記保持部は、前記アース端子を弾性によって保持する弾性保持部である、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記保持部は、端子用開口部を有しかつU字状の横断面を有すると共に前記端子用開口部から前記アース端子の一部を挿入可能な保持部本体と、前記保持部本体にヒンジ部を介して連結され、前記端子用開口部に対して開閉可能に設けられるとともに閉状態で前記保持部本体とで前記アース端子を挟持する挟持蓋と、を有し、
前記挟持蓋は、保持爪を有し、
前記保持部本体は、前記挟持蓋の前記閉状態において前記保持爪が係止される保持爪係止部を有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記ホルダは、前記アース線における延在方向の一部を保持するアース線保持部を有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記アース線保持部は、前記アース線における延在方向の一部を弾性によって保持するアース線弾性保持部である、
請求項7に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記ホルダは、ハーネス取付対象に対して取り付け可能な取付部を有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
前記ホルダは、樹脂製である、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、アース端子とを備えたものがある(例えば、特許文献1(
図7)参照)。編組部材は、電線の外周を覆う筒状部と、筒状部の端部からまとめられつつ電線と分離可能に延びてアース端子に接続されるアース線とを有する。そして、アース端子は、例えば、車両ボディや金属筐体等の接地部材に接続されることになる。このようなワイヤハーネスでは、例えば、電線からのノイズの放射が編組部材によって抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなワイヤハーネスでは、電線に対するアース線の位置が定まっていないことから、編組部材の筒状部から接地部材までの間のインピーダンスが不安定になってしまう。これにより、編組部材によるワイヤハーネスのシールド性能が不安定になるという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、シールド性能の安定化を可能としたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、アース端子と、を備え、前記編組部材は、前記電線の外周を覆う筒状部と、前記筒状部の端部からまとめられつつ前記電線と分離可能に延びて前記アース端子に接続されるアース線と、を有する、ワイヤハーネスであって、前記電線に取り付けられるホルダを備え、前記ホルダは、前記アース端子を保持する保持部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、シールド性能が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるホルダの斜視図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]電線と、導電性の素線が編み込まれてなる編組部材と、アース端子と、を備え、前記編組部材は、前記電線の外周を覆う筒状部と、前記筒状部の端部からまとめられつつ前記電線と分離可能に延びて前記アース端子に接続されるアース線と、を有する、ワイヤハーネスであって、前記電線に取り付けられるホルダを備え、前記ホルダは、前記アース端子を保持する保持部を有する。
【0010】
同構成によれば、電線に取り付けられるホルダを備え、ホルダはアース端子を保持する保持部を有するため、電線に対するアース端子の位置が安定する。これにより、電線に対するアース線の位置を安定化させることができる。このため、編組部材の筒状部から接地部材に接続されるアース端子までの間のインピーダンスが安定する。よって、シールド性能が安定する。
【0011】
[2]上記[1]において、前記ホルダは、前記電線の外側から前記電線に取り付け可能に構成されていてもよい。
同構成によれば、ホルダは、電線の外側から電線に取り付け可能に構成されることで、例えば、環状のホルダに予め電線を通しておくといった必要がないため、組み付け性が良好となる。
【0012】
[3]上記[2]において、前記ホルダは、前記電線の延在方向の一部における外周を覆う筒状のホルダ筒部を有し、前記ホルダ筒部は周方向の一部にスリットを有するとともに前記スリットが広がるように撓ませることが可能とされており、広がった状態の前記スリットから内部に前記電線を挿入することによって、前記電線に取り付け可能とされていてもよい。
【0013】
同構成によれば、スリットが広がるようにホルダ筒部を撓ませた状態で、スリットからホルダ筒部の内部に電線を挿入することで、電線の外側から電線にホルダを容易に取り付けることができる。
【0014】
[4]上記[2]において、前記ホルダは、開口部を有しかつU字状の横断面を有すると共に前記開口部から前記電線における延在方向の一部を挿入可能なホルダ本体と、前記ホルダ本体にヒンジ部を介して連結され、前記開口部に対して開閉可能に設けられた蓋と、を有し、前記蓋は、爪を有し、前記ホルダ本体は、前記蓋の閉状態において前記爪が係止される爪係止部を有していてもよい。
【0015】
同構成によれば、ホルダ本体の開口部から電線における延在方向の一部を挿入して、蓋を閉状態とすることで、電線の外側から電線にホルダを容易に取り付けることができる。
[5]上記[1]から上記[4]のいずれか1つにおいて、前記保持部は、前記アース端子を弾性によって保持する弾性保持部であってもよい。
【0016】
同構成によれば、弾性によって弾性保持部にアース端子を容易に保持させることができる。
[6]上記[1]から上記[4]のいずれか1つにおいて、前記保持部は、端子用開口部を有しかつU字状の横断面を有すると共に前記端子用開口部から前記アース端子の一部を挿入可能な保持部本体と、前記保持部本体にヒンジ部を介して連結され、前記端子用開口部に対して開閉可能に設けられるとともに閉状態で前記保持部本体とで前記アース端子を挟持する挟持蓋と、を有し、前記挟持蓋は、保持爪を有し、前記保持部本体は、前記挟持蓋の前記閉状態において前記保持爪が係止される保持爪係止部を有していてもよい。
【0017】
同構成によれば、保持部本体の端子用開口部からアース端子の一部を挿入して、挟持蓋を閉状態とすることで、保持部にアース端子を容易に保持させることができる。
[7]上記[1]から上記[6]のいずれか1つにおいて、前記ホルダは、前記アース線における延在方向の一部を保持するアース線保持部を有していてもよい。
【0018】
同構成によれば、ホルダは、アース線における延在方向の一部を保持するアース線保持部を有するため、アース線の経路が規制される。これにより、電線に対するアース線の位置をより一層安定化させることができる。このため、編組部材の筒状部から接地部材に接続されるアース端子までのインピーダンスがより一層安定する。よって、シールド性能がより安定する。
【0019】
[8]上記[7]において、前記アース線保持部は、前記アース線における延在方向の一部を弾性によって保持するアース線弾性保持部であってもよい。
同構成によれば、弾性によってアース線弾性保持部にアース線における延在方向の一部を容易に保持させることができる。
【0020】
[9]上記[1]から上記[8]のいずれか1つにおいて、前記ホルダは、ハーネス取付対象に対して取り付け可能な取付部を有していてもよい。
同構成によれば、ホルダは、ハーネス取付対象に対して取り付け可能な取付部を有するため、別部材を用いることなく、ワイヤハーネスの経路を規制することができる。すなわち、ホルダと、ワイヤハーネスの経路を規制するための経路規制部材とを別々に設けた場合に比べて、構成を簡素化することができる。
【0021】
[10]上記[1]から上記[9]のいずれか1つにおいて、前記ホルダは、樹脂製であってもよい。
同構成によれば、ホルダは、樹脂製であるため、例えば、溶接された金属製のホルダに比べて、製造が容易となる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
(第1実施形態)
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
(ワイヤハーネス11の構成)
図1に示すように、ワイヤハーネス11は、電線12と、編組部材13と、コルゲートチューブ14と、アース端子15と、ホルダ16とを備える。ワイヤハーネス11は、例えば、車両に設けられる車載機器同士を電気的に接続するために、車両に配策されるものである。
【0024】
(電線12の構成)
本実施形態のワイヤハーネス11は、2本の電線12を有する。電線12は、芯線12aと、該芯線12aの外周を覆う絶縁被覆12bとを有する。
【0025】
芯線12aは、例えば、複数の導電性の素線をより合わせてなる撚線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、内部が中空構造をなす筒状導体などである。芯線12aは、例えば、撚線、柱状導体、筒状導体等の複数種類の導体を組み合わせたものでもよい。柱状導体としては、例えば、単芯線やバスバーなどが挙げられる。芯線12aの材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。
【0026】
絶縁被覆12bは、例えば、芯線12aの外周面を全周にわたって被覆している。絶縁被覆12bは、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。絶縁被覆12bの材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂が用いられる。絶縁被覆12bの材料としては、1種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0027】
(編組部材13の構成)
編組部材13は、導電性の素線が編み込まれてなる。編組部材13の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。編組部材13は、電線12の外周を覆う筒状部13aと、筒状部13aの端部からまとめられつつ電線12と分離可能に延びるアース線13bとを有する。本実施形態の筒状部13aは、2本の電線12をまとめて覆っている。すなわち、本実施形態の編組部材13は多芯一括シールド部材である。アース線13bは、筒状部13aの端部からまとめられつつ捻られることなどによって1本の導線とされ、電線12の延在方向とは別の方向に折り曲げることが可能とされている。なお、各図では、編組部材13の素線が編み込まれている様子を模式的に図示している。
【0028】
(コルゲートチューブ14の構成)
コルゲートチューブ14は、円筒状に形成されている。コルゲートチューブ14は、コルゲートチューブ14の長さ方向に沿って大径部14aと大径部14aよりも径の小さい小径部14bとが交互に連なって設けられた蛇腹構造を有している。コルゲートチューブ14は、蛇腹構造によって容易に屈曲可能とされている。コルゲートチューブ14の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂が使用可能である。コルゲートチューブ14は、電線12を覆う筒状部13aの外周を覆っている。コルゲートチューブ14は、電線12及び筒状部13aを保護する。
【0029】
(アース端子15の構成)
アース端子15は、圧着部15aと、接続部15bとを有する。圧着部15aは、アース線13bの端部に圧着される。接続部15bは、円環状に形成されている。アース端子15の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料が使用可能である。接続部15bは、例えば、接続部15bを貫通して接地部材21に螺合されるねじ22によって接地部材21に固定される。これにより、アース端子15は、接地部材21に電気的に接続される。なお、接地部材21は、例えば、車両ボディや金属筐体等である。
【0030】
(ホルダ16の構成)
ホルダ16は樹脂製である。ホルダ16の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂が使用可能である。本実施形態のホルダ16は、電線12の外側から電線12に取り付け可能に構成されている。
【0031】
詳しくは、ホルダ16は、電線12の延在方向の一部における外周を覆う筒状のホルダ筒部16aを有する。ホルダ筒部16aは、周方向の一部にスリット16bを有するとともに、スリット16bが広がるように撓ませることが可能とされている。ホルダ16は、広がった状態のスリット16bから内部に電線12を挿入することによって、電線12に取り付け可能とされている。なお、本実施形態のホルダ筒部16aは、2本の電線12の外周をまとめて覆うことが可能な四角筒状に形成されている。
【0032】
ホルダ16は、アース端子15を保持する保持部としての弾性保持部16cを有する。また、ホルダ16は、アース線13bにおける延在方向の一部を保持するアース線保持部としてのアース線弾性保持部16dを有する。
【0033】
詳しくは、
図2に示すように、ホルダ16は、ホルダ筒部16aの側面から延びる板状の延設部17を有する。そして、弾性保持部16cは、延設部17の先端部に設けられている。弾性保持部16cは、延設部17の主面から突出する第1突出部16eと、第1突出部16eの先端から延設部17の主面と平行に延びる第1抑え部16fとを有する。弾性保持部16cは、延設部17と第1抑え部16fとの間にアース端子15の圧着部15aが圧入されることで、アース端子15を弾性によって保持する。
【0034】
また、アース線弾性保持部16dは、延設部17の中間部に設けられている。アース線弾性保持部16dは、延設部17の主面から突出する第2突出部16gと、第2突出部16gの先端から延設部17の主面と平行に延びる第2抑え部16hとを有する。アース線弾性保持部16dは、延設部17と第2抑え部16hとの間にアース線13bが圧入されることで、アース線13bにおける延在方向の一部を弾性によって保持する。
【0035】
次に、上記のように構成されたワイヤハーネス11の作用について説明する。
電線12は、編組部材13の筒状部13aに覆われる。編組部材13のアース線13bが設けられる位置には、ホルダ16が設けられる。ホルダ16は、電線12に対して取り付けられる。アース線13bに接続されるアース端子15は、ホルダ16の弾性保持部16cに保持される。そして、アース端子15は接地部材21に接続される。これにより、電線12からのノイズの放射は、編組部材13によって良好に抑制される。
【0036】
次に、上記第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)電線12に取り付けられるホルダ16を備え、ホルダ16はアース端子15を保持する弾性保持部16cを有するため、電線12に対するアース端子15の位置が安定する。これにより、電線12に対するアース線13bの位置を安定化させることができる。このため、編組部材13の筒状部13aから接地部材21に接続されるアース端子15までの間のインピーダンスが安定する。よって、ワイヤハーネス11のシールド性能が安定する。
【0037】
(2)ホルダ16は、電線12の外側から電線12に取り付け可能に構成されることで、例えば、環状のホルダに予め電線12を通しておくといった必要がないため、組み付け性が良好となる。
【0038】
(3)スリット16bが広がるようにホルダ筒部16aを撓ませた状態で、スリット16bからホルダ筒部16aの内部に電線12を挿入することで、電線12の外側から電線12にホルダ16を容易に取り付けることができる。
【0039】
(4)アース端子15を保持する保持部は、アース端子15を弾性によって保持する弾性保持部16cである。よって、弾性によって弾性保持部16cにアース端子15を容易に保持させることができる。
【0040】
(5)ホルダ16は、アース線13bにおける延在方向の一部を保持するアース線保持部としてのアース線弾性保持部16dを有するため、アース線13bの経路が規制される。これにより、電線12に対するアース線13bの位置をより一層安定化させることができる。このため、編組部材13の筒状部13aから接地部材21に接続されるアース端子15までのインピーダンスがより一層安定する。よって、ワイヤハーネス11のシールド性能がより安定する。
【0041】
(6)アース線13bを保持するアース線保持部は、アース線13bにおける延在方向の一部を弾性によって保持するアース線弾性保持部16dである。よって、弾性によってアース線弾性保持部16dにアース線13bにおける延在方向の一部を容易に保持させることができる。
【0042】
(7)ホルダ16は、樹脂製であるため、例えば、溶接された金属製のホルダに比べて、製造が容易となる。
(第2実施形態)
第2実施形態のワイヤハーネス31は、第1実施形態のワイヤハーネス11の構成の一部が異なる構成であるため、同様の構成については、同様の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0043】
(ワイヤハーネス31の構成)
図3及び
図4に示すように、ワイヤハーネス31は、電線12と、編組部材13と、アース端子15と、ホルダ32とを備える。
【0044】
(ホルダ32の構成)
ホルダ32は樹脂製である。ホルダ32の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂が使用可能である。本実施形態のホルダ32は、電線12の外側から電線12に取り付け可能に構成されている。
【0045】
詳しくは、ホルダ32は、ホルダ本体32aと、蓋32bとを有する。ホルダ本体32aは、横断面形状が開口部32cを有したU字状に形成されている。言い換えると、ホルダ本体32aは、開口部32cを有し、かつU字状の横断面を有する。ホルダ本体32aは、開口部32cから電線12における延在方向の一部を挿入可能に構成されている。蓋32bは、ホルダ本体32aに薄肉のヒンジ部32dを介して連結されている。蓋32bは、ヒンジ部32dによって、開口部32cに対して開閉可能に設けられている。また、蓋32bは、ヒンジ部32dとは反対側の端部に爪32eを有する。また、ホルダ本体32aは、蓋32bの閉状態において爪32eが係止される爪係止部32fを有する。ホルダ32は、ホルダ本体32aの開口部32cから電線12における延在方向の一部を挿入して、その後、蓋32bを閉状態とすることによって、電線12に取り付け可能とされている。
【0046】
ホルダ32は、アース端子15を保持する保持部33を有する。詳しくは、ホルダ32は、ホルダ本体32aの側面から延びる延設部34を有する。そして、保持部33は、延設部34の先端部に設けられている。保持部33は、保持部本体33aと、挟持蓋33bとを有する。保持部本体33aは、横断面形状が端子用開口部33cを有したU字状に形成されている。言い換えると、保持部本体33aは、端子用開口部33cを有し、かつU字状の横断面を有する。保持部本体33aは、端子用開口部33cからアース端子15の一部である圧着部15aを挿入可能に構成されている。挟持蓋33bは、保持部本体33aに薄肉のヒンジ部33dを介して連結されている。挟持蓋33bは、ヒンジ部33dによって、端子用開口部33cに対して開閉可能に設けられている。挟持蓋33bは、閉状態で保持部本体33aとでアース端子15を挟持するように構成されている。また、挟持蓋33bは、ヒンジ部33dとは反対側の端部に保持爪33eを有する。また、保持部本体33aは、挟持蓋33bの閉状態において保持爪33eが係止される保持爪係止部33fを有する。保持部33は、保持部本体33aの端子用開口部33cからアース端子15の圧着部15aを挿入して、その後、挟持蓋33bを閉状態とすることによって、アース端子15を保持可能とされている。
【0047】
また、ホルダ32は、ハーネス取付対象35(
図3参照)に対して取り付け可能な取付部36(
図4参照)を有する。なお、ハーネス取付対象35は、例えば、車両ボディや他の部品の筐体等である。ハーネス取付対象35は、取付孔35aを有する。取付部36は、ホルダ本体32aから突出する基部36aと、基部36aの先端両側から基端側に延びて幅方向に可撓性を有する可撓片36bとを有している。取付部36は、可撓片36bが幅方向内側に撓むことで取付孔35aを貫通していくことが可能とされる。また、取付部36は、取付孔35aを貫通すると可撓片36bが幅方向外側に広がることで、取付孔35aからの抜けが防止され、ハーネス取付対象35に嵌着される。
【0048】
次に、上記のように構成されたワイヤハーネス31の作用について説明する。
電線12は、編組部材13の筒状部13aに覆われる。編組部材13のアース線13bが設けられる位置には、ホルダ32が設けられる。ホルダ32は、電線12に対して取り付けられる。アース線13bに接続されるアース端子15は、ホルダ32の保持部33に保持される。そして、アース端子15は図示しない接地部材に接続される。これにより、電線12からのノイズの放射は、編組部材13によって良好に抑制される。
【0049】
次に、上記第2実施形態の効果を以下に記載する。
(1)電線12に取り付けられるホルダ32を備え、ホルダ32はアース端子15を保持する保持部33を有するため、電線12に対するアース端子15の位置が安定する。これにより、電線12に対するアース線13bの位置を安定化させることができる。このため、編組部材13の筒状部13aから接地部材21に接続されるアース端子15までの間のインピーダンスが安定する。よって、ワイヤハーネス31のシールド性能が安定する。
【0050】
(2)ホルダ32は、電線12の外側から電線12に取り付け可能に構成されることで、例えば、環状のホルダに予め電線12を通しておくといった必要がないため、組み付け性が良好となる。
【0051】
(3)ホルダ本体32aの開口部32cから電線12における延在方向の一部を挿入して、蓋32bを閉状態とすることで、電線12の外側から電線12にホルダ32を容易に取り付けることができる。
【0052】
(4)保持部本体33aの端子用開口部33cからアース端子15の一部である圧着部15aを挿入して、挟持蓋33bを閉状態とすることで、保持部33にアース端子15を容易に保持させることができる。
【0053】
(5)ホルダ32は、ハーネス取付対象35に対して取り付け可能な取付部36を有するため、別部材を用いることなく、ワイヤハーネス31の経路を規制することができる。すなわち、ホルダ32と、ワイヤハーネス31の経路を規制するための経路規制部材とを別々に設けた場合に比べて、構成を簡素化することができる。
【0054】
(6)ホルダ32は、樹脂製であるため、例えば、溶接された金属製のホルダに比べて、製造が容易となる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・上記実施形態では、ホルダ16,32は、電線12の外側から電線12に取り付け可能に構成されるとしたが、これに限定されず、電線12の外側から取り付け不能なホルダに具体化してもよい。例えば、スリット16bが形成されていない環状のホルダとしてもよい。
【0056】
・上記実施形態のホルダ16,32は、他の構成によって、電線12の外側から電線12に取り付け可能に構成されていてもよい。
・上記第1実施形態のホルダ16における保持部は、アース端子15を弾性によって保持する弾性保持部16cであるとしたが、これに限定されない。例えば、弾性保持部16cは、第2実施形態のホルダ32における保持部33に変更してもよい。また、第2実施形態のホルダ32における保持部33は、弾性保持部16cに変更してもよい。また、弾性保持部16c及び保持部33は、それぞれ他の構成によってアース端子15を保持する保持部としてもよい。
【0057】
・上記第1実施形態のホルダ16は、アース線13bを保持するアース線保持部としてのアース線弾性保持部16dを有するとしたが、これに限定されず、アース線弾性保持部16dを有していない構成としてもよい。また、アース線保持部は、アース線13bにおける延在方向の一部を弾性によって保持するアース線弾性保持部16dであるとしたが、これに限定されず、他の構成によってアース線13bを保持するアース線保持部としてもよい。また、第2実施形態のホルダ32にアース線13bにおける延在方向の一部を保持するアース線保持部を設けてもよい。
【0058】
・上記第2実施形態では、ホルダ32は、ハーネス取付対象35に対して取り付け可能な取付部36を有するとしたが、これに限定されず、取付部36を有していない構成としてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、ホルダ16,32は、樹脂製であるとしたが、これに限定されず、例えば、金属製としてもよい。なお、金属製のホルダとする場合、例えば、金属板材を折り曲げてなるホルダとすることが好ましい。このようにしても、例えば、溶接された金属製のホルダに比べて、製造が容易となる。
【0060】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス11,31は、2本の電線12を有するとしたが、これに限定されず、1本の電線12のみを有する構成としてもよいし、3本以上の電線12を有する構成としてもよい。
【0061】
・上記第1実施形態では、ワイヤハーネス11は、コルゲートチューブ14を備えるとしたが、これに限定されない。例えば、ワイヤハーネス11は、コルゲートチューブ14を備えていなくてもよいし、コルゲートチューブ14以外の外装部材を備えていてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、アース端子15は、圧着部15aを有し、圧着部15aがアース線13bの端部に圧着されるとしたが、これに限定されない。例えば、アース端子15は、溶接や、ねじ止め等の他の構成によって、アース線13bの端部に接続されていてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、特に言及していないが、アース線13bは、例えば、外周に絶縁テープが巻かれている等、絶縁処理されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
11 ワイヤハーネス
12 電線
12a 芯線
12b 絶縁被覆
13 編組部材
13a 筒状部
13b アース線
14 コルゲートチューブ
14a 大径部
14b 小径部
15 アース端子
15a 圧着部
15b 接続部
16 ホルダ
16a ホルダ筒部
16b スリット
16c 弾性保持部(保持部)
16d アース線弾性保持部(アース線保持部)
16e 第1突出部
16f 第1抑え部
16g 第2突出部
16h 第2抑え部
17 延設部
21 接地部材
22 ねじ
31 ワイヤハーネス
32 ホルダ
32a ホルダ本体
32b 蓋
32c 開口部
32d ヒンジ部
32e 爪
32f 爪係止部
33 保持部
33a 保持部本体
33b 挟持蓋
33c 端子用開口部
33d ヒンジ部
33e 保持爪
33f 保持爪係止部
34 延設部
35 ハーネス取付対象
35a 取付孔
36 取付部
36a 基部
36b 可撓片