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  • 特開-吐出容器及びプリフォーム組立体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032243
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】吐出容器及びプリフォーム組立体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240305BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20240305BHJP
   B29B 11/14 20060101ALI20240305BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20240305BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D1/02 111
B29B11/14
B29C49/06
B29C49/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135802
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】田端 真一
【テーマコード(参考)】
3E014
3E033
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PC07
3E014PD11
3E014PE30
3E014PF01
3E033AA02
3E033BA13
3E033BA14
3E033BA16
3E033BA17
3E033BA18
3E033BA26
3E033BB08
3E033DA03
3E033DB01
3E033DE05
3E033FA03
3E033GA02
4F201AG03
4F201AG07
4F201AG23
4F201AG28
4F201AH55
4F201BA03
4F201BC02
4F201BM02
4F201BM05
4F201BM13
4F208AG03
4F208AG07
4F208AG23
4F208AG28
4F208AH55
4F208LA08
4F208LB01
4F208LB22
4F208LG03
4F208LG06
4F208LG13
4F208LG16
4F208LG28
(57)【要約】
【課題】肩部における外層体のつぶれを効果的に抑制することができ、部品点数や作業工数の増加を抑えることができる吐出容器及びプリフォーム組立体を提案する。
【解決手段】吐出容器100は、筒状の口部2a、口部2aの下端から拡径する肩部2b、及び肩部2bの下方に連なる胴部2cを有する外層体2と、外層体2の内面に剥離可能に積層された内層体3とを有する二重構造の容器本体1と、内容物を吐出させる吐出口7dを有し、口部2aに装着される吐出器4とを備え、外層体2は、肩部2bにおいて外層体2を貫通する肩部貫通孔2fを有し、吐出器4は、口部2aに装着された際に肩部貫通孔2fに挿入され、先端部が肩部2bの内面から突出する突起8dを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口部、該口部の下端から拡径する肩部、及び該肩部の下方に連なる胴部を有する外層体と、該外層体の内面に剥離可能に積層された内層体とを有する二重構造の容器本体と、
内容物を吐出させる吐出口を有し、前記口部に装着される吐出器と、を備える吐出容器であって、
前記外層体は、前記肩部において該外層体を貫通する肩部貫通孔を有し、
前記吐出器は、前記口部に装着された際に前記肩部貫通孔に挿入され、先端部が前記肩部の内面から突出する突起を有する、吐出容器。
【請求項2】
前記突起を前記肩部貫通孔に挿通させた状態において、該肩部貫通孔と該突起との間に隙間が設けられる、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
外プリフォーム、及び該外プリフォームの内側に配置される内プリフォームを有し、延伸ブロー成形によって、筒状の口部、該口部の下端から拡径する肩部、及び該肩部の下方に連なる胴部を有する外層体と、該外層体の内面に剥離可能に積層された内層体とを有する二重構造の容器本体として成形され、該口部に、内容物を吐出させる吐出口を有する吐出器が装着されるプリフォーム組立体であって、
前記外プリフォームは、前記肩部として成形される肩部予定部に、該外プリフォームを貫通する貫通孔を有する、プリフォーム組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層体と内層体とを有する二重構造の容器本体と容器本体の口部に装着される吐出器とを備えた吐出容器、及び延伸ブロー成形によって容器本体として成形されるプリフォーム組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧水などの化粧料、シャンプー、リンス、液体石鹸、食品調味料、薬品等を内容物として収容する容器として、外層体と外層体の内面に剥離可能に積層された内層体とを有する二重構造の容器本体と、容器本体の口部に装着される吐出器とを備え、吐出器に設けられた吐出口から内容物を吐出させる吐出容器が既知である。例えば特許文献1、2には、口部に装着される吐出キャップに逆止弁を設けた吐出器を備える吐出容器が示されている。また特許文献3には、ノズルヘッドへの押圧によってポンプが駆動する吐出器を備える吐出容器が示されている。
【0003】
このような吐出容器は、内層体に収容した内容物を吐出口から吐出させると外層体と内層体の間に外気が導入されるように構成されていて、外層体の形状を保持したまま内層体のみを減容変形させることが可能である。すなわち、内層体に収容した内容物を外気と置換させることなく吐出させることが可能であって、内層体の内部に残った内容物が空気と接触しにくくなるため、その劣化や変質を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-31932号公報
【特許文献2】特開2016-69039号公報
【特許文献3】特開2006-8247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこのような二重構造の容器本体は、例えば外プリフォームと内プリフォームを有するプリフォーム組立体を延伸ブロー成形することによって形作られる。ここで外層体を、筒状の口部、口部の下端から拡径する肩部、及び肩部の下方に連なる胴部を有するようにボトル状に形作る場合、胴部に対して肩部の延伸量は一般的に小さくなり、肩部は胴部よりも厚肉になる。すなわち、厚肉の肩部は胴部ほどの柔軟性を持っていないため、内容物を吐出させた際、肩部では内層体とともに外層体も一緒に変形し、外層体につぶれが生じることがあった。
【0006】
このようなつぶれの問題に対し、特許文献3には、容器本体の口部に設けた吸気孔に対して吸気ピンを挿入し、吸気ピンの突出し部によって内層体を外層体の内面から押し離すようにした技術が示されている。しかし、吸気ピンを要することから部品点数が増えることになる。また、吐出器を装着する前に吸気ピンを容器本体に取り付けておく必要があるために作業工数も増加することになる。
【0007】
このような点に鑑み、本発明は、肩部における外層体のつぶれを効果的に抑制することができ、また従来に比して部品点数や作業工数の増加を抑えることができる吐出容器、及びこのような吐出容器として成形できるプリフォーム組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筒状の口部、該口部の下端から拡径する肩部、及び該肩部の下方に連なる胴部を有する外層体と、該外層体の内面に剥離可能に積層された内層体とを有する二重構造の容器本体と、
内容物を吐出させる吐出口を有し、前記口部に装着される吐出器と、を備える吐出容器であって、
前記外層体は、前記肩部において該外層体を貫通する肩部貫通孔を有し、
前記吐出器は、前記口部に装着された際に前記肩部貫通孔に挿入され、先端部が前記肩部の内面から突出する突起を有する、吐出容器である。
【0009】
前記突起を前記肩部貫通孔に挿通させた状態において、該肩部貫通孔と該突起との間に隙間が設けられることが好ましい。
【0010】
また本発明は、外プリフォーム、及び該外プリフォームの内側に配置される内プリフォームを有し、延伸ブロー成形によって、筒状の口部、該口部の下端から拡径する肩部、及び該肩部の下方に連なる胴部を有する外層体と、該外層体の内面に剥離可能に積層された内層体とを有する二重構造の容器本体として成形され、該口部に、内容物を吐出させる吐出口を有する吐出器が装着されるプリフォーム組立体であって、
前記外プリフォームは、前記肩部として成形される肩部予定部に、該外プリフォームを貫通する貫通孔を有する、プリフォーム組立体でもある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吐出容器によれば、吐出器を容器本体に装着することによって吐出器に設けた突起が肩部貫通孔に挿入され、この突起の先端部が肩部の内面から突出する。すなわち突起によって、肩部において内層体を外層体から離隔させることができるため、内容物を吐出させた際に外層体が肩部でつぶれてしまう不具合を効果的に抑制することができる。またこの突起は、内容物を吐出させるための吐出器に設けられていて、上述した吸気ピンの如き新たな部材を用いる必要がないため、部品点数や作業工数の増加につながることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る吐出容器の一実施形態に関し、容器本体に吐出器を装着する直前の状態を示した部分拡大半断面図である。
図2図1に示した容器本体を成形する際に使用されるプリフォーム組立体の半断面図である。
図3図1に示した吐出容器に関し、容器本体に吐出器を装着した状態を示した部分拡大半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明に係る吐出容器及びプリフォーム組立体について説明する。なお本明細書等においては、容器本体を水平面に載置する正立姿勢での位置関係で説明を行う。また本明細書等における上下方向とは、図示した軸線O(後述する容器本体1の軸線)に沿う方向である。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
【0014】
本実施形態の吐出容器100は、内容物を収容する容器本体1と、容器本体1に収容した内容物を吐出させるポンプ式の吐出器4を備えている。
【0015】
まず容器本体1について説明する。容器本体1は、容器本体1の外殻をなす外層体2と、外層体2の内側に設けられる内層体3とで構成されている。
【0016】
外層体2は、ボトル状に形作られていて、軸線Oに沿って延在するとともに上方を開口させた筒状(本実施形態では円筒状)の口部2aと、口部2aの下端から拡径する(本実施形態では径方向外側に向かうにつれて下向きに傾く)肩部2bと、肩部2bの下方に連なる筒状の胴部2cを備えている。胴部2cの下端には、胴部2cを閉鎖する不図示の底部が設けられている。そして肩部2bは、胴部2cの厚みよりも厚くなっている。なお、本実施形態の吐出容器100は、ポンプ式の吐出器4によって容器本体1に収容した内容物を吐出させるものであり、内容物を吐出させるにあたって胴部2cをスクイズ(圧搾)する必要はないため、胴部2cの厚みは比較的厚くなっている。
【0017】
また外層体2は、口部2aの外周面から径方向外側に向けて突出して円環状をなす口部側係合部2dと、口部側係合部2dの下方に位置する円環状のネックリング2eを備えている。そして肩部2bには、外層体2を貫通する肩部貫通孔2fが設けられている。肩部貫通孔2fの形状に限定はなく、肩部2bに対して正対する状態で円形状や楕円状になるものでもよいし多角形状になるものでもよい。
【0018】
内層体3は、外層体2よりも厚みが薄く袋状になるものであり、外層体2の内面に剥離可能に積層されている。内層体3の内側には、内容物が収容される収容空間Sが区画形成されている。収容空間Sに収容される内容物としては、例えば化粧水などの化粧料、シャンプー、リンス、液体石鹸等のトイレタリー、醤油等の食品調味料、薬品等が挙げられる。
【0019】
外層体2と内層体3は、ともに合成樹脂製であって、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC樹脂)、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP樹脂)等により形成される。外層体2と内層体3は、同材質の合成樹脂で形成してもよいし(例えば外層体2と内層体3は、ともにポリエチレンテレフタレート樹脂製)、異材質の合成樹脂で形成してもよい(例えば外層体2はポリエチレンテレフタレート樹脂製であって、内層体3はポリプロピレン樹脂製)。また外層体2と内層体3は、単一の合成樹脂によってそれぞれが単層構造となるように形成されるものでもよいし、複数の合成樹脂を重ね合わせてそれぞれが積層構造となるように形成されるものでもよいし、一方が単層構造で他方が積層構造になるものでもよい。
【0020】
このような外層体2と内層体3を備える容器本体1を形成するにあたり、本実施形態では図2に示したプリフォーム組立体200を使用し、プリフォーム組立体200を延伸ブロー成形(詳細には、プリフォーム組立体200の内側に延伸ロッドを挿入してプリフォーム組立体200を縦方向に延伸させつつ、プリフォーム組立体200の内側に高圧媒体(気体でも液体でもよい)を導入させて横方向にも延伸させる二軸延伸ブロー成形)することによって容器本体1を成形している。
【0021】
プリフォーム組立体200は、外層体2を形成するための外プリフォーム202と内層体3を形成するための内プリフォーム203を備えている。
【0022】
外プリフォーム202は、例えば外層体2を構成する合成樹脂を射出成形して得ることができる。本実施形態の外プリフォーム202は、全体的に試験管状に形作られていて、口部2aとして形成される筒状(本実施形態では円筒状)の口部202aを備えている。口部202aの外周面には、口部側係合部2dとネックリング2eとして形成される、口部側係合部202dとネックリング202eが設けられている。また口部202aの下方には、円筒状をなしていて下部が半球状に閉鎖され、上部がネックリング202eに連結する本体部202cが設けられている。本体部202cは、プリフォーム組立体200を延伸ブロー成形することによって外層体2における肩部2b、胴部2c、及び不図示の底部になるものである。ここで、本体部202cにおける肩部2bとして成形される部分(本体部202cにおけるネックリング202eに近い部分)を肩部予定部202bと称する。
【0023】
肩部予定部202bには、外プリフォーム202を貫通する貫通孔202fが設けられている。なお貫通孔202fは、プリフォーム組立体200を延伸ブロー成形することによって上述した肩部貫通孔2fになるものである。
【0024】
内プリフォーム203は、例えば内層体3を構成する合成樹脂を射出成形して得ることができる。本実施形態の内プリフォーム203は、全体的に試験管状であって、外プリフォーム202の内側に挿入される大きさで形作られている。
【0025】
このような外プリフォーム202と内プリフォーム203を準備した後は、外プリフォーム202の内側に内プリフォーム203を挿入してプリフォーム組立体200として組み立てる。なお、外プリフォーム202と内プリフォーム203との間に剥離剤を介在させてもよい。剥離剤は、一例としてシリコーンオイルである。また剥離剤を介在させるにあたっては、外プリフォーム202の内周面に剥離剤を塗布してもよいし、内プリフォーム203の外周面に剥離剤を塗布してもよい。またプリフォーム組立体200は、図示したように外プリフォーム202と内プリフォーム203が完全に密着しているものでもよいし、外プリフォーム202と内プリフォーム203との間に隙間があいているものでもよい。
【0026】
このようにしてプリフォーム組立体200を準備した後は、内側に容器本体1を形取ったキャビティを備えるブロー成形用金型に対し、この金型の基準面にネックリング202eを突き当てるようにしてプリフォーム組立体200を固定させる。なお、ブロー成形用金型に固定させる前にプリフォーム組立体200を予め加熱炉で加熱することが好ましい。そしてプリフォーム組立体200の内側に延伸ロッドを挿入してプリフォーム組立体200を縦方向に延伸させつつ、プリフォーム組立体200の内側に高圧媒体を導入させて横方向にも延伸させることにより、図1に示す如き容器本体1を得ることができる。なお、延伸ロッドを用いずにプリフォーム組立体200を延伸させてもよい。
【0027】
なお、二軸延伸ブロー成形により得られた容器本体1において、ネックリング202eよりも上方に位置する口部202aは実質的に延伸されることはなく、容器本体1における口部2aの厚みは、プリフォーム組立体200における口部202aの厚みと実質的に変わることはない。一方、本体部202cは二軸延伸ブロー成形によって厚みが薄くなるが、容器本体1において、肩部2bは胴部2cの厚みよりも厚くなる。すなわち容器本体1は、厚みが薄い胴部2cでは柔軟性があるため、内層体3は外層体2の内面から剥離しやすい状態にあるものの、肩部2bでは柔軟性が低くなるため、内層体3は外層体2の内面から剥離しにくい状態にある。
【0028】
次に、吐出器4について説明する。本実施形態の吐出器4は、図示したシリンダー5、ステム6、ノズルヘッド7、装着キャップ8、補助キャップ9、パッキン10の他、下記に記載する部材等によって構成されていて、所謂ポンプ式の吐出器として機能するものである。
【0029】
シリンダー5は、筒状をなすシリンダー本体5aと、シリンダー本体5aの上部から径方向外側に向けて延在するフランジ5bと、フランジ5bの上方に設けられた係止爪5cとを備えている。シリンダー5の内部には、不図示の吸込み弁が設けられていて、シリンダー5の下端には、容器本体1に収容された内容物をシリンダー5の内部に吸い上げるための不図示の吸い上げパイプが取り付けられている。
【0030】
ステム6は、中空状であってシリンダー5の内側に挿通されている。ステム6の下端には、シリンダー5の内周面に対して摺動可能に接触する不図示のピストンが設けられている。またステム6は、不図示のスプリングによって上方に向けて付勢されている。
【0031】
ノズルヘッド7は、ステム6の上端に連結し、ステム6からの内容物を送給する内部通路を備えるヘッド本体7aを備えている。ヘッド本体7aには、ノズルヘッド7が押下げられた状態で補助キャップ9に螺合する雄ねじ部7bが設けられている。またノズルヘッド7は、ヘッド本体7aから径方向外側に向けて突出し、上述した内部通路につながる中空状のノズル7cを備えている。ノズル7cの先端には、内容物を吐出する吐出口7dが設けられている。
【0032】
装着キャップ8は、フランジ5bに被さる円環状の天壁8aと、天壁8aから下方に向けて延在する周壁8bを備えている。周壁8bの内周面には、吐出器4を容器本体1に装着した際に口部側係合部2dに係合するキャップ側係合部8cが設けられている。
【0033】
また装着キャップ8は、周壁8bの下端から下方に向けて突出する突起8dを備えている。突起8dは、図3に示すように吐出器4を容器本体1に装着した際、肩部貫通孔2fに挿入されて先端部が肩部2bの内面から突出するように形作られている。図示した突起8dは、円柱状であって先端が半球状になっているが、突起8dは上記のように肩部貫通孔2fに挿入されて先端部が肩部2bの内面から突出するものであればよく、その形状に特段の制限はない。また突起8dは、後述するように、肩部貫通孔2fに挿入された状態において肩部貫通孔2fと突起8dとの間に隙間が設けられるように構成することが好ましいが、肩部貫通孔2fに挿入された状態において肩部貫通孔2fと密着するものでもよい。
【0034】
補助キャップ9は、装着キャップ8の上方に位置し、係止爪5cによって抜け止め保持されることにより、フランジ5bとの間で装着キャップ8を回転可能且つ抜け止め保持するものである。補助キャップ9は、雄ねじ部7bに螺合する雌ねじ部9aを備えている。
【0035】
パッキン10は、弾性を有する素材で円環状に形作られていて、フランジ5bの下方に設けられる。吐出器4を容器本体1に装着した際、パッキン10は容器本体1とフランジ5bに挟持されるため、容器本体1に収容した内容物の漏れ出しを防止することができる。
【0036】
このような構成になる容器本体1と吐出器4は、図3に示すように容器本体1に吐出器4を装着することにより吐出容器100として組み立てられる。なお組み立てにあたり、容器本体1の収容空間Sには、内容物を収容しておく。ここで、装着キャップ8を口部2aに取り付ける際、図3に示すように突起8dは、肩部貫通孔2fに挿入される。このとき突起8dの先端は、上述したように肩部2bの内面から突出する。従って、図1に示したように肩部2bにおいて内層体3が外層体2の内面から剥離できていない状態にあっても、図3に示すように突起8dによって内層体3を外層体2の内面から剥離させることができる。また本実施形態においては、肩部貫通孔2fに突起8dを挿通させた状態において、肩部貫通孔2fと突起8dとの間には隙間が設けられている。すなわち、この隙間から外層体2と内層体3の間に空気を導入することが可能であって、この隙間を外気導入口として利用することができる。なお、外層体2を貫通する外気導入口を別途設け、肩部貫通孔2fに挿入された状態において肩部貫通孔2fと突起8dが密着する(肩部貫通孔2fを気密に塞ぐ)ように構成してもよい。
【0037】
このように本実施形態の吐出容器100によれば、吐出器4を利用することによって、肩部2bにおいて内層体3を外層体2の内面から剥離させることができるため、肩部2bにおける外層体2のつぶれを効果的に抑制することができ、また従来に比して部品点数や作業工数の増加を抑えることができる。
【0038】
また使用後の容器本体1は、これを廃棄するにあたって外層体2と内層体3を分別することができるため、外層体2と内層体3が異材質であっても材料の種類毎に分けることが可能であり、リサイクル性に優れる。また外層体2には内容物が付着していないため、リサイクルするにあたって洗浄する必要がない点でも優れている。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0040】
例えば吐出器4は、図示したものに限られず、他のポンプ式吐出器でもよい。また吐出器4はポンプ式に限られず、胴部2cをスクイズ(圧搾)できるようにしつつ、逆止弁等を備えるスクイズ式の吐出器を採用してもよい。また本実施形態の突起8dは装着キャップ8に一体的に設けられていたが、装着キャップ8に取り付けられる別異の部材に突起8dを設けてもよい。また突起8dは吐出器4における装着キャップ8以外の部材に設けてもよい。
【0041】
また容器本体1に吐出器4を装着するための構成として、本実施形態では、口部側係合部2dとキャップ側係合部8cを係合させる所謂打栓による構成(アンダーカット嵌合)を採用したが、これに限られず、例えば口部2aの外周面に雄ねじ部を設けるとともに装着キャップ8の内周面に雌ねじ部を設け、雄ねじ部と雌ねじ部を螺合させる構成を採用してもよい。なお、このような螺合による構成を採用する場合、装着キャップ8に設けた突起8dは、螺合させる際に装着キャップ8とともに回転しながら肩部貫通孔2fに近づいていくが、肩部貫通孔2fに挿入される前に突起8dが肩部2bに接触しても、肩部2bは外層体2の内側に弾性変形するため、突起8dの肩部貫通孔2fへの挿入が阻害されることはない。
【符号の説明】
【0042】
1:容器本体
2:外層体
2a:口部
2b:肩部
2c:胴部
2d:口部側係合部
2e:ネックリング
2f:肩部貫通孔
3:内層体
4:吐出器
5:シリンダー
5a:シリンダー本体
5b:フランジ
5c:係止爪
6:ステム
7:ノズルヘッド
7a:ヘッド本体
7b:雄ねじ部
7c:ノズル
7d:吐出口
8:装着キャップ
8a:天壁
8b:周壁
8c:キャップ側係合部
8d:突起
9:補助キャップ
9a:雌ねじ部
10:パッキン
100:吐出容器
200:プリフォーム組立体
202:外プリフォーム
202a:口部
202b:肩部予定部
202c:本体部
202d:口部側係合部
202e:ネックリング
202f:貫通孔
203:内プリフォーム
O:軸線
S:収容空間
図1
図2
図3