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特開2024-32253映像表示装置、映像表示方法、および映像表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032253
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】映像表示装置、映像表示方法、および映像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20240305BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240305BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240305BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20240305BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240305BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240305BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G06F3/04815
G06T19/00 300B
G06F3/01 510
G06F3/0346 424
G09B29/10 A
G01C21/26 P
G08G1/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135814
(22)【出願日】2022-08-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトのアドレス:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000085174.html ウェブサイトの掲載日:令和3年9月1日 〔刊行物等〕 ウェブサイトのアドレス:https://www.nohmi.co.jp/information/k/2021/rqim340000000wv0-att/kasairinjotaiken.pdf ウェブサイトの掲載日:令和3年9月1日 〔刊行物等〕 ウェブサイトのアドレス:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000085174.html ウェブサイトの掲載日:令和4年4月1日 〔刊行物等〕 令和4年1月27日 能美防災株式会社が能美防災株式会社市ヶ谷本社1階にて配布したパンフレットに掲載 〔刊行物等〕 令和3年9月2日 日刊工業新聞社が日刊工業新聞の令和3年9月2日付第7面にて公開 〔刊行物等〕 令和3年8月31日 日本経済新聞社が日本経済新聞の令和3年8月31日付電子版にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511087729
【氏名又は名称】株式会社グランゼーラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聰文
(72)【発明者】
【氏名】西村 麻由美
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5B050
5B087
5E555
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC23
2C032HC27
2C032HD16
2C032HD21
2C032HD23
2F129AA02
2F129EE02
2F129EE26
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129HH15
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA12
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA01
5B050EA04
5B050EA19
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B087AA07
5B087AB02
5B087BC05
5B087DD03
5B087DE07
5E555AA06
5E555AA22
5E555AA26
5E555AA27
5E555AA64
5E555BA38
5E555BA83
5E555BA87
5E555BB38
5E555BC08
5E555BE16
5E555BE17
5E555CA10
5E555CA21
5E555CA29
5E555CA44
5E555CB02
5E555CB10
5E555CB21
5E555CB45
5E555CB47
5E555CB53
5E555CB55
5E555CB66
5E555CC05
5E555CC26
5E555DA08
5E555DB32
5E555DB51
5E555DB53
5E555DB57
5E555DC05
5E555DC09
5E555DC13
5E555DC19
5E555DC43
5E555DC45
5E555DC63
5E555DC72
5E555DD08
5E555EA05
5E555EA08
5E555EA11
5E555EA14
5E555FA00
5H181AA21
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF33
5H181FF35
(57)【要約】
【課題】移動可能な地点に瞬時に移動して異なる視点から映像を視認することができる映像表示装置を得る。
【解決手段】ユーザの手動操作に基づく各種指令を生成する操作部10と、移動地点特定指令を受信した場合に映像上の移動したい地点をポインタ表示するポインタ表示部21と、ポインタ表示された地点が移動可能な地点であるかを判断する判断部22とを備える。画面において、移動可能な地点である場合には、青色の放物線からなる第1の軌跡を映像上に表示し、移動不可能な地点である場合には、第1の軌跡と識別可能な赤色の放物線からなる第2の軌跡を、識別表示部23が、映像上に表示する。第1の軌跡(青色の放物線)が表示されている状態では、移動可能な地点にユーザの視点を移動させ、第2の軌跡が(赤色の放物線)が表示されている状態では、ユーザの視点を移動させることができない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示された映像上において、ユーザの視点を移動させる映像表示装置であって、
ユーザの手動操作に基づいて、前記映像上の移動したい地点を特定する移動地点特定指令、および前記映像上のユーザの視点を移動させる視点移動指令を生成する操作部と、
前記操作部から前記移動地点特定指令を受信した場合には、前記映像上の前記移動したい地点をポインタ表示するポインタ表示部と、
ポインタ表示された前記移動したい地点が、ユーザが移動可能な地点であるか移動不可能な地点であるかを判断する判断部と、
前記移動したい地点が前記移動可能な地点であると前記判断部により判断された場合には、前記ユーザの視点から前記移動可能な地点に向かって第1の軌跡を前記映像上に表示し、前記移動したい地点が前記移動不可能な地点であると前記判断部により判断された場合には、前記ユーザの視点から前記移動不可能な地点に向かって前記第1の軌跡と識別可能な第2の軌跡を前記映像上に表示する識別表示部と、
前記第1の軌跡が表示されている状態において、前記視点移動指令を受信した場合には、前記移動可能な地点にユーザの視点を移動させ、前記第2の軌跡が表示されている状態において、前記視点移動指令を受信した場合には、ユーザの視点を移動させることなしに現状のユーザの視点を維持する視点移動制御部と
を備える映像表示装置。
【請求項2】
表示される前記映像上には、移動が禁止される移動禁止区域または移動が可能な移動可能な区域が設定され、移動禁止区域および移動可能な区域は、三次元で表される立体空間となる任意の大きさの直方体状のボックスを映像に積み重ねて配置され、
前記判断部は、ユーザが前記操作部によって指定したポインタの地点が、移動が禁止される移動禁止区域または移動が可能な移動可能な区域のいずれかであるかを判定する
請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記操作部は、ユーザの手動操作に基づいて、開閉可能な扉を閉状態から開状態に遷移させる開指令を生成し、
前記判断部は、ポインタ表示された前記移動したい地点が、開閉可能な扉の地点であるかを判断し、
前記識別表示部は、前記移動したい地点が前記開閉可能な扉の地点であると前記判断部により判断された場合には、前記ユーザの視点から前記開閉可能な扉の地点に向かって前記第1の軌跡および前記第2の軌跡と識別可能な第3の軌跡を前記映像上に表示し、
前記視点移動制御部は、前記第3の軌跡が表示されている状態において、前記開指令を受信した場合には、前記開閉可能な扉を開状態とし、前記開状態となったことで移動可能となる地点にユーザの視点を移動させる
請求項1または2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
表示された映像上において、ユーザの視点を移動させる際に、コンピュータにより実行される映像表示方法であって、
前記コンピュータが、
ユーザの手動操作により前記映像上の移動したい地点を特定する移動地点特定指令を受信した場合には、前記映像上の移動したい地点をポインタ表示する工程と、
ポインタ表示された前記移動したい地点が、ユーザが移動可能な地点であるか移動不可能な地点であるかを判断する工程と、
前記移動したい地点が前記移動可能な地点であると判断した場合には、前記ユーザの視点から前記移動可能な地点に向かって、第1の軌跡を前記映像上に表示する工程と、
前記移動したい地点が前記移動不可能な地点であると判断した場合には、前記ユーザの視点から前記移動不可能な地点に向かって、前記第1の軌跡と識別可能な第2の軌跡を前記映像上に表示する工程と、
前記第1の軌跡が表示されている状態において、ユーザの手動操作により視点移動指令を受信した場合には、前記移動可能な地点にユーザの視点を移動させる工程と、
前記第2の軌跡が表示されている状態において、ユーザの手動操作により視点移動指令が選択された場合には、ユーザの視点を移動させることなしに現状のユーザの視点を維持する工程と
を実行する映像表示方法。
【請求項5】
表示された映像上において、ユーザの視点を移動させる映像表示プログラムであって、
コンピュータを、
ユーザの手動操作に基づいて、前記映像上の移動したい地点を特定する移動地点特定指令、および前記映像上のユーザの視点を移動させる視点移動指令を生成する操作部と、
前記操作部から前記移動地点特定指令を受信した場合には、前記映像上の前記移動したい地点をポインタ表示するポインタ表示部と、
ポインタ表示された前記移動したい地点が、ユーザが移動可能な地点であるか移動不可能な地点であるかを判断する判断部と、
前記移動したい地点が前記移動可能な地点であると前記判断部により判断された場合には、前記ユーザの視点から前記移動可能な地点に向かって第1の軌跡を前記映像上に表示し、前記移動したい地点が前記移動不可能な地点であると前記判断部により判断された場合には、前記ユーザの視点から前記移動不可能な地点に向かって前記第1の軌跡と識別可能な第2の軌跡を前記映像上に表示する識別表示部と、
前記第1の軌跡が表示されている状態において、前記視点移動指令を受信した場合には、前記移動可能な地点にユーザの視点を移動させ、前記第2の軌跡が表示されている状態において、前記視点移動指令を受信した場合には、ユーザの視点を移動させることなしに現状のユーザの視点を維持する視点移動制御部と
して機能させるための映像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示された映像上において、ユーザの視点を移動させるための映像表示装置、映像表示方法、および映像表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
専用の「ヘッドマウントディスプレイ(HMD:頭部装着型表示装置)」、あるいはゴーグル型の「VRゴーグル」を顔に装着し、映像や音響で視覚と聴覚を刺激することで作り出された「仮想空間」であるにも関わらず、「現実と同等な体感」を得ることができる技術として、Virtual Rearitli(バーチャルリアリティ:仮想現実)が普及している。例えば、ゲーム、疑似体験を行うシミュレーションシステム等にVR技術が活用されている。
【0003】
具体例として、ユーザが仮想空間内で被操作体を移動させることで危機の疑似体験を行ったときの、被操作体の移動経路を視認することができる従来装置がある(例えば、特許文献1参照)。この従来装置によれは、ユーザは、危機の疑似体験を終了した後、被操作体の移動経路を視認して、被操作体を適切に操作できたか否かを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-124624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バーチャルリアリティを活用した技術において被操作体を移動させる場合には、ユーザの操作に基づいて、移動可能な経路に従って被操作体を順次移動させながら、移動位置に応じた映像を表示するのが一般的である。すなわち、仮想空間内に存在している被操作体を移動させることで、自らが仮想空間内をあたかも実際に移動したかの状態を模擬している。
【0006】
しかしながら、例えば、火災臨場体験を行うためにバーチャルリアリティを活用するようなシミュレーションシステムの場合には、体験者に実際の避難経路を疑似体験してもらうだけではなく、異なる視点における火災発生状況の模擬体験も行いたい場合がある。具体的には、オフィス内で火災が発生した場合を考えると、ある決まった位置からの避難経路を疑似体験するだけではなく、種々の場所にいち早く移動して、異なるそれぞれの視点での火災臨場体験を行うことも重要となる。
【0007】
換言すると、現実の移動速度で仮想空間内を移動する疑似体験を行うだけでなく、移動可能な地点に瞬時に移動して仮想空間内での異なる視点で疑似体験を行うことができる技術が望まれる。また、仮想空間に限られず、実際に撮像された映像空間においても、移動可能な地点に瞬時に移動して異なる視点から映像を視認することができる技術が望まれる。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、移動可能な地点に瞬時に移動して異なる視点から映像を視認することができる映像表示装置、映像表示方法、および映像表示プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る映像表示装置は、表示された映像上において、ユーザの視点を移動させる映像表示装置であって、ユーザの手動操作に基づいて、映像上の移動したい地点を特定する移動地点特定指令、および映像上のユーザの視点を移動させる視点移動指令を生成する操作部と、操作部から移動地点特定指令を受信した場合には、映像上の移動したい地点をポインタ表示するポインタ表示部と、ポインタ表示された移動したい地点が、ユーザが移動可能な地点であるか移動不可能な地点であるかを判断する判断部と、移動したい地点が移動可能な地点であると判断部により判断された場合には、ユーザの視点から移動可能な地点に向かって第1の軌跡を映像上に表示し、移動したい地点が移動不可能な地点であると判断部により判断された場合には、ユーザの視点から移動不可能な地点に向かって第1の軌跡と識別可能な第2の軌跡を映像上に表示する識別表示部と、第1の軌跡が表示されている状態において、視点移動指令を受信した場合には、移動可能な地点にユーザの視点を移動させ、第2の軌跡が表示されている状態において、視点移動指令を受信した場合には、ユーザの視点を移動させることなしに現状のユーザの視点を維持する視点移動制御部とを備えるものである。
【0010】
また、本開示に係る映像表示方法は、表示された映像上において、ユーザの視点を移動させる際に、コンピュータにより実行される映像表示方法であって、コンピュータが、ユーザの手動操作により映像上の移動したい地点を特定する移動地点特定指令を受信した場合には、映像上の移動したい地点をポインタ表示する工程と、ポインタ表示された移動したい地点が、ユーザが移動可能な地点であるか移動不可能な地点であるかを判断する工程と、移動したい地点が移動可能な地点であると判断した場合には、ユーザの視点から移動可能な地点に向かって、第1の軌跡を映像上に表示する工程と、移動したい地点が移動不可能な地点であると判断した場合には、ユーザの視点から移動不可能な地点に向かって、第1の軌跡と識別可能な第2の軌跡を映像上に表示する工程と、第1の軌跡が表示されている状態において、ユーザの手動操作により視点移動指令を受信した場合には、移動可能な地点にユーザの視点を移動させる工程と、第2の軌跡が表示されている状態において、ユーザの手動操作により視点移動指令が選択された場合には、ユーザの視点を移動させることなしに現状のユーザの視点を維持する工程とを実行するものである。
【0011】
また、本開示に係る映像表示プログラムは、表示された映像上において、ユーザの視点を移動させる映像表示プログラムであって、コンピュータを、ユーザの手動操作に基づいて、映像上の移動したい地点を特定する移動地点特定指令、および映像上のユーザの視点を移動させる視点移動指令を生成する操作部と、操作部から移動地点特定指令を受信した場合には、映像上の移動したい地点をポインタ表示するポインタ表示部と、ポインタ表示された移動したい地点が、ユーザが移動可能な地点であるか移動不可能な地点であるかを判断する判断部と、移動したい地点が移動可能な地点であると判断部により判断された場合には、ユーザの視点から移動可能な地点に向かって第1の軌跡を映像上に表示し、移動したい地点が移動不可能な地点であると判断部により判断された場合には、ユーザの視点から移動不可能な地点に向かって第1の軌跡と識別可能な第2の軌跡を映像上に表示する識別表示部と、第1の軌跡が表示されている状態において、視点移動指令を受信した場合には、移動可能な地点にユーザの視点を移動させ、第2の軌跡が表示されている状態において、視点移動指令を受信した場合には、ユーザの視点を移動させることなしに現状のユーザの視点を維持する視点移動制御部として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、移動可能な地点に瞬時に移動して異なる視点から映像を視認することができる映像表示装置、映像表示方法、および映像表示プログラムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態1における映像表示装置の全体構成を示した図である。
図2】本開示の実施の形態1における映像表示装置によって実施される映像処理方法の一連処理を示したフローチャートである。
図3】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第1表示画面および第2表示画面を示した図である。
図4】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第3表示画面および第4表示画面を示した図である。
図5】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第5表示画面および第6表示画面を示した図である。
図6】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第7表示画面および第8表示画面を示した図である。
図7】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第9表示画面および第10表示画面を示した図である。
図8】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第11表示画面および第12表示画面を示した図である。
図9】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第13表示画面~第15表示画面を示した図である。
図10】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第16表示画面~第18表示画面を示した図である。
図11】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第19表示画面~第21表示画面を示した図である。
図12】本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部に表示される表示画面例として第22表示画面~第24表示画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の映像表示装置、映像表示方法、および映像表示プログラムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る映像表示装置、映像表示方法、および映像表示プログラムは、ユーザの手動操作に基づいて選択された移動地点について、移動可能な地点への移動軌跡と、移動不可能な地点への移動軌跡とを識別表示し、移動可能な地点に瞬時に移動して異なる視点から映像を視認することができる構成を備えることを技術的特徴とするものである。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1における映像表示装置の全体構成を示した図である。本実施の形態1に係る映像表示装置は、操作部10、表示制御処理部20、および表示部30を備えて構成されている。
【0016】
操作部10は、ユーザによって所持され、ユーザによる手動操作に従って生成した各種指令を表示制御処理部20に与えるコントローラーに相当する。
【0017】
表示制御処理部20は、操作部10から受信した各種指令に基づいて表示部30に表示される映像の表示制御を実行することで、ユーザに対して、各種指令に応じた適切な映像(画像)を提供する。
【0018】
表示制御処理部20は、ポインタ表示部21、判断部22、識別表示部23、および視点移動制御部24を備えて構成されている。各構成要素の具体的な機能については、図2図12を用いて後述する。なお、画像に設定(配置)される後述する「不動地形」、「移動禁止区域」、「アクション」という3つの画像の特性は、この表示制御処理部20が、その設定の処理を行う。また、判断部22が、後述する、画像において設定された「移動禁止区域」、「移動可能な区域」の設定状況に基づいて、ユーザが操作部10によってポインタで指定した地点が、移動が可能な地点であるか否かを判断する。
【0019】
表示部30は、ユーザに対して、各種指令に応じた適切な映像を提供するものであり、一例として、ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイによって実現される。
【0020】
以下では、表示部30としてヘッドマウントディスプレイを用い、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザが、操作部10を用いた手動操作に基づいて火災臨場体験を行う場合を具体例として、図2図12を参照しがら、本開示の映像表示装置の機能を説明する。
【0021】
図2は、本開示の実施の形態1における映像表示装置によって実施される映像処理方法の一連処理を示したフローチャートである。また、図3図12は、本開示の実施の形態1における映像表示装置を利用した際に表示部30に表示される表示画面例を示した図である。
【0022】
図2のフローチャートを説明する前に、表示部30としてヘッドマウントディスプレイを装着したユーザが、操作部10であるコントローラーを手で保持しながら行うことができるアクションについて、まず初めに説明する。
【0023】
ユーザは、ヘッドマウントディスプレイを装着した状態で、頭を移動させることで、ヘッドマウントディスプレイに表示された仮想空間の映像を、所望の視線方向の映像に移動させて視認することができる。すなわち、ユーザは、頭を移動させて視線方向をずらすことで、現在位置から見た任意の視線方向の映像を視認することができる。
【0024】
さらに、ユーザは、コントローラーに設けられたトリガーボタンを押し続けることで、表示部30に表示されている映像内にレーザーポインタを照射させることができる。ユーザは、手で保持しているコントローラーの方向を移動させることで、レーザーポインタを移動させることができ、映像上の移動したい地点を選択することができる。
【0025】
そして、ユーザは、映像上の移動したい地点を選択できた状態で、トリガーボタンを離すことで、選択した地点が移動可能な地点であれば、瞬時にその地点に移動することができる。
【0026】
トリガーボタンを用いたこのようなユーザによるアクションによって、コントローラーである操作部10からは、表示制御処理部20に対して次のような2種類の指令が出力されることとなる。
・ユーザがトリガーボタンを押し続けている状態では、移動したい地点にレーザーポインタを照射させるために、移動地点特定指令が出力される。
・ユーザがトリガーボタンを押すことをやめるように切り替えた状態では、選択している移動したい地点に視点を移動することを試みるために、視点移動指令が出力される。
【0027】
ユーザによるこのようなアクションが行われることを前提とした上で、表示制御処理部20により実行される一連処理について、図2を用いて詳細に説明する。なお、図2の説明では、ユーザが頭を移動させることで、ヘッドマウントディスプレイに表示された仮想空間の映像を、所望の視線方向の映像に移動させる制御に関しては省略しており、「移動地点特定指令」および「視点移動指令」に対する制御動作を中心に説明する。
【0028】
ステップS201において、ポインタ表示部21は、映像上の移動したい地点を特定する移動地点特定指令を操作部10から受信したか否かを判断する。ポインタ表示部21は、操作部10から移動地点特定指令を受信した場合には、ステップS202に進み、映像上の移動したい地点を映像上にポインタ表示する。すなわち、ポインタ表示部21は、ユーザの手動操作に応じて、移動したい地点として設定された位置にポインタを表示させることができる。
【0029】
次に、ステップS203において、判断部22は、ポインタ表示された移動したい地点が、ユーザが移動可能な地点であるか移動不可能な地点であるかを判断する。例えば、ユーザにより移動したい地点として選択された場所が、映像上で歩行可能な床面、廊下、道路などである場合には、判断部22は、ポインタ表示された地点を移動可能な地点と判断する。
【0030】
一方、ユーザにより移動したい地点として選択された場所が、映像上で机、壁、建物などである場合には、判断部22は、ポインタ表示された地点を移動不可能な地点と判断する。
【0031】
すなわち、判断部22は、表示部30に表示される仮想空間の映像データから、移動可能な地点か、移動不可能な地点かを判断することができる。ステップS203においてYESと判断された場合には、ステップS204以降の処理に進む。一方、ステップS203においてNOと判断された場合には、ステップS207以降の処理に進む。
【0032】
ステップS203において移動したい地点が移動可能な地点であると判断部22により判断されたことでステップS204に進んだ場合には、識別表示部23は、ユーザの視点から移動可能な地点に向かって第1の色(例えば青色)により移動経路の軌跡を映像上に表示させる。
【0033】
次に、ステップS205において、視点移動制御部24は、第1の色による軌跡が表示されている状態において、視点移動指令を操作部10から受信したか否かを判断する。そして、視点移動制御部24は、ステップS205でYESと判断した場合には、ステップS206に進み、移動可能地点にユーザの視点を移動させた後の映像を表示部30に表示させた後、ステップS201に戻る。
【0034】
一方、視点移動制御部24は、ステップS205でNOと判断した場合には、ステップS201に戻る。従って、ステップS201に戻ることで、ユーザは、映像上の移動したい地点を特定する操作を継続して行うことができる。
【0035】
ステップS203において移動したい地点が移動不可能な地点であると判断部22により判断されたことでステップS207に進んだ場合には、判断部22は、さらに、ポインタ表示された移動したい地点が、開閉可能な扉部分であるか否かを判断する。ステップS207においてNOと判断された場合には、ステップS208以降の処理に進む。一方、ステップS207においてYESと判断された場合には、ステップS211以降の処理に進む。
【0036】
ステップS207において移動したい地点が開閉可能な扉部分ではないと判断部22により判断されたことでステップS208に進んだ場合には、識別表示部23は、ユーザの視点から移動不可能な地点に向かって第2の色(例えば赤色)により移動経路の軌跡を映像上に表示させる。
【0037】
次に、ステップS209において、視点移動制御部24は、第2の色による軌跡が表示されている状態において、視点移動指令を操作部10から受信したか否かを判断する。そして、視点移動制御部24は、ステップS209でYESと判断した場合には、ステップS210に進み、ユーザの視点を移動させることなしに現状のユーザの視点を維持した映像を表示部30に表示させた後、ステップS201に戻る。
【0038】
一方、視点移動制御部24は、ステップS209でNOと判断した場合には、ステップS201に戻る。従って、ステップS201に戻ることで、ユーザは、映像上の移動したい地点を特定する操作を継続して行うことができる。
【0039】
ステップS207において移動したい地点が開閉可能な扉部分であると判断部22により判断されたことでステップS211に進んだ場合には、識別表示部23は、ユーザの視点から開閉可能な扉部分に向かって第3の色(例えば緑色)により移動経路の軌跡を映像上に表示させる。
【0040】
次に、ステップS212において、視点移動制御部24は、第3の色による軌跡が表示されている状態において、視点移動指令を操作部10から受信したか否かを判断する。そして、視点移動制御部24は、ステップS212でYESと判断した場合には、ステップS213に進み、扉部分を開状態に遷移させ、扉の外側の移動可能地点にユーザの視点を移動させた後の映像を表示部30に表示させた後、ステップS201に戻る(図9参照)。
【0041】
一方、視点移動制御部24は、ステップS212でNOと判断した場合には、ステップS201に戻る。従って、ステップS201に戻ることで、ユーザは、映像上の移動したい地点を特定する操作を継続して行うことができる。
【0042】
なお、ステップS212における判断処理に当たっては、視点移動指令の代わりに、扉開指令を操作部10から出力するような構成を採用することも可能である。
【0043】
本実施の形態1の映像表示装置の具体的な例は、火災や地震などの災害時における避難の仕方を学習するためのシミュレーション装置である。シミュレーション装置においては、建物または都市のマップが与えられ、火災などの災害が発生した際に、マップ上において安全な地点まで移動する避難経路を確認する体験を仮想空間で体験できるものとなっている。
【0044】
次に、図2のフローチャートで説明した内容について、少し具体的に説明する。ここでは、画像において、移動可能な地点か、移動不可能な地点かを判断する手法について言及する。
【0045】
表示部30によって表示される画像においては、以下に示す3つの区域が設定されている。なお、これら3つの区域は、画像上では目に見えないもので、表示制御処理部20によって、マイコン等によって制御処理されるものである。1つ目は、「不動地形」と呼ばれる区域である。これは、配置されてから、プレイ中に移動しない地形を示す。例えば、「地面」や「ビル群」、「ビル内の床、壁、天井」のように、ものとして見た目はありますが、その場所から動かないものが「不動地形」となる。
【0046】
2つ目は、「移動禁止区域」と呼ばれる区域である。これは、シミュレーションをプレイするユーザが、ビル群、天井、壁面など移動してほしくない場所に配置される区域であり、移動が禁止される区域を示す。なお、ある画像において、「不動地形」や「移動禁止区域」といった区域を二次元平面的に設定することも可能であるが、本実施例では、三次元で表される立体空間となる任意の大きさの直方体状のボックスを画像に設定することで、その画像に「不動地形」や「移動禁止区域」といった画像の特性を設定するようにしてある。
【0047】
複数の直方体状のボックスを積み重ねて配置することで、複雑な形の移動禁止区域等を設定することも可能である。「移動禁止区域」は、見た目上は透明であり、視認することはできない。
【0048】
3つ目は「アクション」と呼ばれる区域で、移動以外の特殊行動(例えば、扉を開放する)を発生させるために、配置した区域となる。なお、全ての画像の領域には、これら「不動地形」、「移動禁止区域」、「アクション」という特性が少なくとも1つは割り当てられており、画像のある地点(場所)によっては、複数の特性、例えば、「不動地形」、「移動禁止区域」の2つが割り当てられることもある。
【0049】
一例として、図6で示される画像のビル群の箇所には、少し小さめ目のブロックからなる不動地形が設定され、その不動地形のブロック全体を覆うブロックからなる移動禁止区域が設定されることもある。このような区域が重複する場合であっても、ユーザのポインタが先にあたったところの区域を判定するため、同時に複数の区域が判定されることはない。
【0050】
移動できるようにしたい「不動地形」の場合は、「移動可能な区域」を「移動禁止区域」のように直方体状のブロックで重ねて配置する必要がある。「移動可能な区域」が設定されてなく、「不動地形」のみが配置されている場合は、表示制御処理部20の判断部22によって、移動可能な場所として認識しないため、その場所には移動することはできない。
【0051】
それでは、移動時における判定処理について説明する。「不動地形」、「移動禁止区域」、「アクション」の各区域に、操作部10であるコントローラーによって指定されたポインタが当たった場合における判定処理は、以下の手順(1)~(3)のとおりとなる。
【0052】
(1)操作部10からのポインタが「不動地形」に当たった場合
操作部10からでる放物線の先端部分が不動地形に当たった場合、その不動地形が、移動禁止区域とアクションではないことを確認して、両方に該当しない場合は、次の手順に進む。不動地形に当たった場所から、XYZ軸方向で各々一定距離の範囲で、移動可能な場所があるかを判定して、移動可能な場所がある場合、その地点は、移動可能な場所と認識する。つまり、移動判定処理の最後で、移動可能な場所と認識され、画面上のポインタを青色に変える。
【0053】
この移動可能な場合の判定について少し補足する。XYZ軸方向で各々一定距離の範囲で移動可能な場所があるかを判定、つまり、画面において、ユーザのポインタが当たった場所から、上下、左右、前後それぞれに方向において、例えば1mの範囲で移動可能として判定される座標を探し、移動可能な座標の中で、一番近い場所が移動する場所として指定される。なお、移動が可能かの判定では、前述の「移動可能な区域」として設定されている必要がある。
【0054】
なお、移動禁止区域またはアクションのどちらかであると認識された場合、または、XYZ軸方向で各々一定距離の範囲で、移動可能な場所がないと認識された場合には、そのポイントされた地点は、移動不可能の場所として認識されて、画面のポインタを赤色に変える。
【0055】
(2)操作部10からのポインタが「移動禁止区域」に当たった場合
操作部10からでる放物線の先端部分が移動禁止区域に当たった場合、移動できない場所と認識する。このため、移動処理の最後で、移動できない場所と認識するため、ポインタを赤色に変える。
【0056】
(3)操作部10からのポインタが「アクション」に当たった場合
操作部10からでる放物線の先端部分がアクションに当たった場合、移動できない場所と認識するとともに、アクションを起こすオブジェクトがあると認識する。そして、移動判定処理の最後で、移動できない場所より、アクションを起こすオブジェクトが利用可能なものかを優先して認識して、ポインタを緑色に変える。もし、アクションを起こすオブジェクトが利用不可能な場合には、移動できる場所であるかで色が決まるため、ポインタを赤色に変える。
【0057】
表示部30に表示される種々の表示画面例について、図3図12にまとめた第1表示画面~第24表示画面を用いて補足説明する。
【0058】
なお、これらの表示画面例では、第1の色を青色、第2の色を赤色、第3の色を緑色とした場合を前提として説明する。図3図12に示したような濃淡画像として見た場合には識別が困難であるが、実際の画面上では、図中における第1の軌跡C1は青色、第2の軌跡C2は赤色、第3の軌跡C3は緑色として識別表示され、ユーザは、移動したい地点として指定した場所がどの区域であるかを、表示色から容易に識別することができる。
【0059】
図3では、オフィス内に机、椅子、人が配置されている状態の映像が表示部30に表示された場合を例示している。第1表示画面においては、ユーザの操作部10により選択された地点が移動可能な床面であるため、第1の色である青色による第1の軌跡C1が表示されている。
【0060】
なお、この後に説明する図3図8に示す画像は、いずれも2枚の画像をセットにした図面であって、基本、同じ場所の画像、つまりユーザの視点から見て同じ画像を示してある。そして操作部10の操作によって、一方の画像には、移動可能なことを示す青色の放物線(場合によっては直線になる場合もある)が表示される。そして、他方の画像には、操作部10によって操作されたポインタが移動禁止区域にあたるため、移動が不可能なことを示す赤色の放物線(場合によっては直線になる場合もある)が表示されている。
【0061】
一方、第1表示画面と同じ場所の画像である第2表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動不可能な机部分であるため、第2の色である赤色による第2の軌跡C2が表示されている。軌跡C1、C2は、基本的には放物線により表示される。放物線の基端側は、画面下方の任意の場所から出るが、操作部10の操作によっては、第1表示画面に示すように、操作者の手が画面上に表示され、そこから放物線の表示が行われる。
【0062】
図4では、オフィス内においてパーティションで仕切られた手前の区画と奥の区画とが存在する状態の映像が表示部30に表示された場合を例示している。第3表示画面においては、ユーザにより選択された地点が手前の第1区画であるため、移動可能として第1の色による第1の軌跡C1が表示されている。
【0063】
一方、第4表示画面においては、ユーザにより選択された地点が奥の第2区画であるため、より正確には、選択された地点が「移動禁止区域」であるため、移動不可能として第2の色による第2の軌跡C2が表示されている。表示画面において、青色の軌跡C1が表示された場合には、その放物線の先端が示す地点へと移動(ジャンプまたはワープともいう)できる。
【0064】
ここで、表示画面において、かなり遠方の地点をポインタで選択しても、移動できないような設定にしてある。これは、災害時の避難経路を体験するにあたり、一瞬で遠方まで移動できる仕様であると、現実感がなく、シミュレーションの学習効果が低下するのを防止するためである。
【0065】
図5では、建物内における非常階段に続く廊下の映像が表示部30に表示された場合を例示している。第5表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動可能な廊下面であるため、第1の色による第1の軌跡C1が表示されている。一方、第6表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動不可能な壁部分であるため、第2の色による第2の軌跡C2が表示されている。
【0066】
なお、識別表示部23は、第5表示画面および第6表示画面中に示したように、「非常階段を目指してください」といったガイダンスメッセージを適宜表示することも可能である。
【0067】
図6では、手前側が歩道、奥側が車線の先にビル群がある状態の映像が表示部30に表示された場合を例示している。第7表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動可能な歩道部分であるため、第1の色による第1の軌跡C1が表示されている。一方、第8表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動不可能なビルであるため、第2の色による第2の軌跡C2が表示されている。
【0068】
これも前述したとおり、この画面には、見た目上にはわからないが、表示制御処理部20によって、「移動禁止区域」が、ビル群が表示された部分に設定されているためである。一方、第7表示画面における移動が可能なことを示す青色表示は、ポイントされた地点が「不動地形」であって、そのポイントされた場所から、XYZ軸方向で各々一定距離の範囲で、移動可能な場所があると判定されるため、ポインタが第1の色(青色)となる。
【0069】
図7では、歩道上を進む状態の映像が表示部30に表示された場合を例示している。第9表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動可能な歩道部分であるため、第1の色による第1の軌跡C1が表示されている。一方、第10表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動不可能なビルであるため、第2の色による第2の軌跡C2が表示されている。
【0070】
図8では、横断歩道を進む状態の映像が表示部30に表示された場合を例示している。第11表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動可能な横断歩道部分であるため、第1の色による第1の軌跡C1が表示されている。一方、第12表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動不可能な人と干渉する部分であるため、第2の色による第2の軌跡C2が表示されている。
【0071】
図9では、扉部分を閉状態から開状態に遷移させて扉の外側に移動する際の映像が表示部30に表示された場合を例示している。第13表示画面においては、ユーザにより選択された地点が移動不可能な扉部分であるため、第3の色である緑色による第3の軌跡C3が表示されている。
【0072】
このように、操作部10からでる放物線の先端部分が「アクション」である扉というオブジェクトに当たった場合には、移動できない場所と認識するとともに、アクションを起こすオブジェクトがあると認識する。そして、移動判定処理の最後で、移動できない場所より、アクションを起こすオブジェクトが利用可能なものであると優先して認識して、ポインタを緑色に変える。
【0073】
一方、第14表示画面においては、第3の色による第3の軌跡C3が表示されている状態で、ユーザが扉を開く指令を出力したことにより扉部分が開状態となった状態が示されている。さらに、第14表示画面においては、扉が開状態となることで、扉の外側における移動可能な地点が選択可能となり、第1の色による第1の軌跡C1が表示されている。
【0074】
第15表示画面においては、第14表示画面で選択された移動可能な地点に移動した状態が表示されている。このような一連の操作により、ユーザは、開閉可能な扉部分を通過して、扉の外側に移動することができる。このようにして、ユーザは、火災が発生した部屋(図11参照)から脱出することができる。
【0075】
なお、識別表示部23は、第14表示画面および第15表示画面中に示したように、「非常階段を目指してください」といったガイダンスメッセージを適宜表示することも可能である。非常階段まで移動ができたら、避難を完了したものとして、シミュレーションは終了となる。
【0076】
図10では、ユーザによる手動操作に基づいて、移動可能な地点に順次移動した状態を時系列的に例示している。第16表示画面において選択した地点に移動した状態が第17表示画面であり、さらに、第17表示画面において選択した地点に移動した状態が第18表示画面である。
【0077】
言い換えると、第16表示画面において選択した地点に移動した状態におけるユーザの視点で見える画面が、第17表示画面であり、さらに、第17表示画面において選択した地点(青色の軌跡C1の先端部分)に移動した状態におけるユーザの視点で見える画面が、第18表示画面である。このようにして、ユーザは、仮想空間内で移動可能な所望の位置に瞬時に移動して、それぞれの地点で疑似体験を行うことができ、さらに、次に移動したい地点を即座に選択することができる。
【0078】
火災や地震などの災害時におけるシミュレーション装置では、ある一定の大きさの建物または都市のマップが与えられ、広大なマップ上において操作部を操作して、安全な地点まで移動することになる。このため、ヘッドマウントディスプレイをつけた状態で、火災が発生した部屋から非常階段の箇所までの移動完了に時間を要すると、長い時間操作をすることになり、いわゆるVR酔いを起こしやすい。
【0079】
その点、本実施の形態では、マップ上の移動においては、表示された画面において、順次、移動したい地点を指定し、ジャンプ(ワープ)しながら移動を行えるので、速やかに与えられたマップ上を移動でき、操作時間が必要以上に長くなることを防止できるため、VR酔いを起こしにくいという効果を得ることができる。
【0080】
図11では、室内で火災が発生している状態を、異なる3つの地点から見た状態を例示している。ユーザは、種々の地点に移動した後に、第19表示画面~第21表示画面に示すように、同一の火災を異なる視点から視認することができ、種々の視点位置から火災発生状態を擬似体験することができる。
【0081】
なお、識別表示部23は、第19表示画面および第20表示画面中に示したように、「廊下を目指してください」といったガイダンスメッセージを適宜表示することも可能である。
【0082】
図12では、火災が発生している状態を、異なる3つの高さの視点から見た状態を例示している。特に、室内で煙が発生した場合には、同じ地点であっても、高さにより視界が全く異なる。そこで、表示制御処理部20は、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザの視線高さに関する情報を取得することで、表示部30に表示させる映像を、視線高さに応じてずらす処理を行う。この結果、第22表示画面~第24表示画面に示すように、ユーザは、同一地点における種々の視点高さから火災発生状態を擬似体験することができる。
【0083】
なお、識別表示部23は、第14表示画面および第15表示画面中に示したように、「非常階段を目指してください」といったガイダンスメッセージを適宜表示することも可能である。
【0084】
上述した図3図12に示した表示画面例では、異なる色を用いて移動可能地点であるか移動不可能地点であるかを識別可能に表示しているが、異なる色の代わりに異なる線種、異なる形状、異なる太さ等によって識別可能に表示することも可能である。
【0085】
さらに、軌跡の移動先である地点を示す先端部分の形状を、移動可能地点と移動不可能地点とで異ならせることも考えられる。例えば、移動可能地点であれば、図9の第14表示画面で示したように、先端部分に矢印表示を付加することで、移動可能であることをより強調することができる。
【0086】
この点、移動不可の場合には、ポインタの先端部分は単なる潰れた円形だけの表示となっており、軌跡C1、C2は色だけでなく形状も異ならせることで、ユーザに、移動が可能か不可能であるかが一目でわかるようにしてある。
【0087】
また、移動不可能地点であっても、開閉可能な扉部分である第3の軌跡を表示する際には、図9の第13表示画面に示したように、先端部分に楕円などによる表示を付加することで、開閉可能であることをより強調することができる。
【0088】
以上のように、実施の形態1によれば、ユーザの手動操作に基づいて選択された移動地点について、移動可能な地点への移動軌跡と、移動不可能な地点への移動軌跡とを識別表示するとともに、移動可能な地点に瞬時に移動して異なる視点から映像を視認することができる構成を備えている。
【0089】
この結果、現実の移動速度で仮想空間内を移動する疑似体験を行うだけでなく、移動可能な地点に瞬時に移動して仮想空間内での異なる視点で疑似体験を行うことができる映像表示を実現することができる。
【0090】
なお、上述した実施の形態1では、ヘッドマウントディスプレイを用いたシミュレーションシステムにおいて、火災の臨場体験を行う場合を例示したが、本開示に係る映像表示技術は、この適用例には限定されない。ユーザによる操作入力に基づいて移動可能な地点に瞬時に移動し、異なる視点からの映像表示を提供する種々の用途に適用可能である。また、表示部としてヘッドマウントディスプレイ以外のディスプレイ装置を用いることも可能である。
【0091】
また、上述した実施の形態1では、図1に示した構成を備える映像表示装置、および図2に示した一連処理の工程を実行する映像処理方法について説明したが、これに限定されない。本開示は、コンピュータを図1に示した構成として機能させるための映像表示プログラムとすることも含むものである。
【符号の説明】
【0092】
10 操作部、20 表示制御処理部、21 ポインタ表示部、22 判断部、23 識別表示部、23 判断部、24 視点移動制御部、30 表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12