(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032265
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】タグシート
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20240305BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G06K19/077 136
G06K19/077 144
G06K19/077 280
G09F3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135835
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 仁
(72)【発明者】
【氏名】嶋岡 徹
(57)【要約】
【課題】接着層が表出しない個片のRFIDタグを連続状として印字や検査等の処理を行い、その後、容易に個片状とする。
【解決手段】インレット20が複数並んだ長尺状のインレットシート20aと、インレットシート20aの一方の面に接着層31によって接着された長尺状の表面シート10aと、擬似接着層32によってインレットシート20aの他方の面に接着された長尺状の裏面シート50とを有し、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び擬似接着層32は、インレット20の外形に合わせて表裏貫通した切り込み3が形成され、擬似接着層32は、裏面シート50から剥離された場合に裏面シート50との積層面に接着性を有さない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にアンテナ及びICチップの組が配置されてなるインレットを有するRFIDタグを作製するためのタグシートであって、
長尺状の前記基材上に前記アンテナ及びICチップの組が複数配置されたインレットシートと、
前記インレットシートの一方の面に第1の接着層によって接着された長尺状の表面シートと、
前記インレットシートの他方の面に第2の接着層によって接着された長尺状の裏面シートとを有し、
前記インレットシート、表面シート、並びに第1及び第2の接着層は、前記インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成され、
前記第2の接着層は、前記裏面シートと剥離可能に接着され、前記裏面シートから剥離された場合に、前記裏面シートとの接着面に接着性を有さない、タグシート。
【請求項2】
請求項1に記載のタグシートにおいて、
前記第2の接着層は、前記裏面シートに積層された剥離層を介して前記裏面シートと剥離可能に接着されている、タグシート。
【請求項3】
請求項2に記載のタグシートにおいて、
前記裏面シートは、前記第2の接着層が積層される面のうち前記インレットに対向しない領域に、前記剥離層が積層されていない非積層領域を有する、タグシート。
【請求項4】
請求項3に記載のタグシートにおいて、
前記非積層領域は、前記裏面シートの前記長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って設けられている、タグシート。
【請求項5】
基材上にアンテナ及びICチップの組が配置されてなるインレットを有するRFIDタグを作製するためのタグシートであって、
長尺状の前記基材上に前記アンテナ及びICチップの組が複数配置されたインレットシートと、
前記インレットシートの一方の面に第3の接着層によって接着された長尺状の表面シートと、
前記インレットシートの他方の面に第4の接着層によって接着された長尺状の裏面シートとを有し、
前記第4の接着層は、前記インレットシートと剥離可能に接着され、
前記インレットシート、表面シート及び第3の接着層は、前記インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成されている、タグシート。
【請求項6】
請求項5に記載のタグシートにおいて、
前記第4の接着層は、前記インレットシートに積層された剥離層を介して前記インレットシートと剥離可能に接着されている、タグシート。
【請求項7】
請求項6に記載のタグシートにおいて、
前記インレットシートは、前記裏面シートとの積層面のうち前記切り込みの外側の領域に、前記剥離層が積層されていない非積層領域を有する、タグシート。
【請求項8】
請求項7に記載のタグシートにおいて、
前記非積層領域は、前記インレットシートの前記長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って設けられている、タグシート。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のタグシートにおいて、
前記切り込みは、タイ部を有する、タグシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インレットを有するRFIDタグを作製するための長尺状のタグシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触状態にて情報の書き込みや読み取りが可能なRFIDタグが様々な用途に利用されている。例えば、商品等の物品にRFIDタグを添付し、このRFIDタグに対して情報を書き込んだり読み取ったりすることで、物品を管理する仕組みが考えられている。このようにRFIDタグを用いて物品を管理する場合、複数のRFIDタグに対して一括で情報を書き込んだり読み取ったりすることができることで、物品の管理等にかかる業務の効率化を図ることができる。
【0003】
このようなRFIDタグは、複数のRFIDタグが並んだ連続状としておくことで、連続状で印字を行ったり、ロール状に巻き取っておき、ロール状から引き出して検査を行い、その後、再度ロール状に巻き取るといった、いわゆるロールtoロールでの処理を行ったりすることができる。連続状での処理やロールtoロールでの処理は、RFIDタグを1つずつ個片で処理を行う場合と比べて、処理の効率化を図ることができるとともに、ハンドリングが容易なものとなる。
【0004】
ここで、アンテナ及びICチップを有するインレットを長尺状の剥離紙に剥離可能に接着しておき、その後、個片のラベルとして剥離紙から剥離して使用する技術が、特許文献1,2に開示されている。また、特許文献1には、アンテナ及びICチップを有するインレットを長尺状の台紙に接着しておき、その後、個片のタグとしてカッターによって切断して使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-187223号公報
【特許文献2】特開2022-9209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に開示されているように、アンテナ及びICチップを有するインレットを長尺状の剥離紙に剥離可能に接着してことで複数のRFIDタグが並んだ連続状とするものにおいては、個片のRFIDタグとして使用するために剥離紙から剥離すると、剥離紙に剥離可能に接着していた接着層がRFIDタグの裏面にて表出するため、個片のラベルとしては使用できるものの、その表面に接着層を有さないタグとしては使用することができない。
【0007】
また、特許文献1に開示されているように、アンテナ及びICチップを有するインレットを長尺状の台紙に接着しておき、その後、個片のタグとしてカッターによって切断して使用するものにおいては、個片のタグとして使用する場合にカッターによって切断しなければならず、そのための手間がかかるとともに、場合によっては専用の道具が必要となってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、接着層が表出しない個片のRFIDタグを連続状として印字や検査等の処理を行い、その後、容易に個片状とすることができるタグシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
基材上にアンテナ及びICチップの組が配置されてなるインレットを有するRFIDタグを作製するためのタグシートであって、
長尺状の前記基材上に前記アンテナ及びICチップの組が複数配置されたインレットシートと、
前記インレットシートの一方の面に第1の接着層によって接着された長尺状の表面シートと、
前記インレットシートの他方の面に第2の接着層によって接着された長尺状の裏面シートとを有し、
前記インレットシート、表面シート、並びに第1及び第2の接着層は、前記インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成され、
前記第2の接着層は、前記裏面シートと剥離可能に接着され、前記裏面シートから剥離された場合に、前記裏面シートとの接着面に接着性を有さないタグシートである。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、基材上にアンテナ及びICチップの組が配置されてなるインレットを有するRFIDタグを作製するためのタグシートであって、長尺状の基材上にアンテナ及びICチップの組が複数配置されたインレットシートが、一方の面に第1の接着層によって長尺状の表面シートが接着され、他方の面に第2の接着層によって長尺状の裏面シートが接着された状態で、連続状となって印字や検査等の処理が行われる。インレットシート、表面シート、並びに第1及び第2の接着層には、インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成されており、また、裏面シートは第2の接着層と剥離可能に接着されているため、その後、インレットシート、表面シート、並びに第1及び第2の接着層をインレットの外形に合わせて分離して裏面シートから剥離し、個片のRFIDタグとして使用することができる。その際、第2の接着層が、裏面シートから剥離された場合に裏面シートとの接着面に接着性を有さないので、その表面に接着層を有さないRFIDタグとして使用することができる。
【0011】
また、第2の接着層が、裏面シートに積層された剥離層を介して裏面シートと剥離可能に接着されている構成とすれば、裏面シートとして、第2の接着層とのアンカー効果や化学的相互作用や物理的相互作用を有するものや、紙等の表面エネルギーが大きなものを用いた場合でも、第2の接着層を裏面シートに剥離可能に接着することができる。
【0012】
また、裏面シートが、第2の接着層が積層される面のうちインレットに対向しない領域に、剥離層が積層されていない非積層領域を有する構成とすれば、インレットシートと裏面シートとが非積層領域にて容易に剥離できない状態で接着されることで、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとが不用意に剥離してしまうことが回避される。
【0013】
また、非積層領域が、裏面シートの長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って設けられていれば、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとがさらに不用意に剥離しにくくなる。
【0014】
また、基材上にアンテナ及びICチップの組が配置されてなるインレットを有するRFIDタグを作製するためのタグシートであって、
長尺状の前記基材上に前記アンテナ及びICチップの組が複数配置されたインレットシートと、
前記インレットシートの一方の面に第3の接着層によって接着された長尺状の表面シートと、
前記インレットシートの他方の面に第4の接着層によって接着された長尺状の裏面シートとを有し、
前記第4の接着層は、前記インレットシートと剥離可能に接着され、
前記インレットシート、表面シート及び第3の接着層は、前記インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成されているタグシートである。
【0015】
上記のように構成された本発明においては、基材上にアンテナ及びICチップの組が配置されてなるインレットを有するRFIDタグを作製するためのタグシートであって、長尺状の基材上にアンテナ及びICチップの組が複数配置されたインレットシートが、一方の面に第3の接着層によって長尺状の表面シートが接着され、他方の面に第4の接着層によって長尺状の裏面シートが接着された状態で、連続状となって印字や検査等の処理が行われる。第4の接着層は、インレットシートと剥離可能に接着されており、また、インレットシート、表面シート及び第3の接着層には、インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成されているため、その後、インレットシート、表面シート及び第3の接着層をインレットの外形に合わせて分離して第4の接着層及び裏面シートから剥離し、個片のRFIDタグとして使用することができる。その際、インレットシートは、インレットシートと剥離可能に接着されていた第4の接着層から剥離されることになるので、その表面に接着層を有さないRFIDタグとして使用することができる。
【0016】
また、第4の接着層が、インレットシートに積層された剥離層を介してインレットシートと剥離可能に接着されている構成とすれば、インレットシートの基材として、第4の接着層とのアンカー効果や化学的相互作用や物理的相互作用を有するものや、紙等の表面エネルギーが大きなものを用いた場合でも、第4の接着層をインレットシートに剥離可能に接着することができる。
【0017】
また、インレットシートが、裏面シートとの積層面のうち切り込みの外側の領域に、剥離層が積層されていない非積層領域を有する構成とすれば、インレットシートと裏面シートとが非積層領域にて容易に剥離できない状態で接着されることで、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとが不用意に剥離してしまうことが回避される。
【0018】
また、非積層領域が、インレットシートの長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って設けられていれば、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとがさらに不用意に剥離しにくくなる。
【0019】
また、切り込みがタイ部を有する構成とすれば、連続状となって印字や検査等の処理が行われる際、個片のRFIDタグとなる切り込みの内側の領域が捲れあがって分離してしまうことが回避される。特に、印字のためにプリンタ内を搬送される際に湾曲した場合に、切り込みの内側の領域が捲れ上がりやすくなるが、切り込みがタイ部を有することで、切り込みの内側の領域が捲れあがって分離してしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、インレットシートと、表面シートと、インレットシートと表面シートとを接着する第1の接着層と、インレットシートと裏面シートとを接着する第2の接着層のそれぞれには、インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成されており、また、裏面シートが第2の接着層と剥離可能に接着されており、第2の接着層が、裏面シートから剥離された場合に裏面シートとの接着面に接着性を有さないことにより、連続状となって印字や検査等の処理が行われた後、インレットシート、表面シート、並びに第1及び第2の接着層をインレットの外形に合わせて分離して裏面シートから剥離するだけで、接着層が表出しない個片のRFIDタグを連続状として印字や検査等の処理を行った後、容易に個片状とすることができる。
【0021】
また、第2の接着層が、裏面シートに積層された剥離層を介して裏面シートと剥離可能に接着されているものにおいては、裏面シートとして、第2の接着層とのアンカー効果や化学的相互作用や物理的相互作用を有するものや、紙等の表面エネルギーが大きなものを用いた場合でも、第2の接着層を裏面シートに剥離可能に接着することができる。
【0022】
また、裏面シートが、第2の接着層が積層される面のうちインレットに対向しない領域に、剥離層が積層されていない非積層領域を有するものにおいては、インレットシートと裏面シートとが非積層領域にて容易に剥離できない状態で接着されることで、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとが不用意に剥離してしまうことを回避できる。
【0023】
また、非積層領域が、裏面シートの長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って設けられているものにおいては、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとをさらに不用意に剥離させにくくすることができる。
【0024】
また、本発明によれば、インレットシートと第4の接着層とが剥離可能に接着されており、また、インレットシートと、表面シートと、インレットシートと表面シートとを接着する第3の接着層とのそれぞれには、インレットの外形に合わせて表裏貫通した切り込みが形成されていることにより、連続状となって印字や検査等の処理が行われた後、インレットシート、表面シート及び第3の接着層をインレットの外形に合わせて分離して第4の接着層及び裏面シートから剥離するだけで、接着層が表出しない個片のRFIDタグを連続状として印字や検査等の処理を行った後、容易に個片状とすることができる。
【0025】
また、第4の接着層が、インレットシートに積層された剥離層を介してインレットシートと剥離可能に接着されているものにおいては、インレットシートの基材として、第4の接着層とのアンカー効果や化学的相互作用や物理的相互作用を有するものや、紙等の表面エネルギーが大きなものを用いた場合でも、第4の接着層をインレットシートに剥離可能に接着することができる。
【0026】
また、インレットシートが、裏面シートとの積層面のうち切り込みの外側の領域に、剥離層が積層されていない非積層領域を有するものにおいては、インレットシートと裏面シートとが非積層領域にて容易に剥離できない状態で接着されることで、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとが不用意に剥離してしまうことを回避できる。
【0027】
また、非積層領域が、インレットシートの長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って設けられているものにおいては、連続状での処理においてインレットシートと裏面シートとをさらに不用意に剥離させにくくすることができる。
【0028】
また、切り込みがタイ部を有するものにおいては、連続状となって印字や検査等の処理が行われる際、個片のタグとなる切り込みの内側の領域が捲れ上がって分離してしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグの一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットの表面の構成を示す図である。
【
図2】本発明のタグシートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシートの構成を示す図である。
【
図3】
図2に示したタグシートの積層構成を示す図である。
【
図4】
図2及び
図3に示したタグシートの製造方法を説明するための図である。
【
図5】
図2及び
図3に示したタグシートを用いて
図1に示したRFIDタグを作製する場合の作製方法を説明するための図である。
【
図6】
図2及び
図3に示したタグシートにおいて裏面シートの一方の面の全面に剥離層を積層して非積層領域を設けなかった場合におけるカス上げ処理を示す図である。
【
図7】本発明のタグシートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシートの構成を示す図である。
【
図8】
図7に示したタグシートの積層構成を示す図である。
【
図9】本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグの他の例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットの表面の構成を示す図である。
【
図10】本発明のタグシートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシートの構成を示す図である。
【
図11】
図10に示したタグシートの積層構成を示す図である。
【
図13】
図10及び
図11に示したタグシートを用いて
図9に示したRFIDタグを作製する場合の作製方法を説明するための図である。
【
図15】本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグの他の例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットの表面の構成を示す図である。
【
図16】本発明のタグシートの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシートの構成を示す図である。
【
図17】
図16に示したタグシートの積層構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
〈RFIDタグの構成〉
まず、本願発明のタグシート用いて作製されるRFIDタグの構成について説明する。
【0032】
図1は、本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグの一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレット20の表面の構成を示す図である。なお、
図1に示すインレット20の構成はあくまでも一例であり、外部に設けられたRFIDリーダーにて情報の書き込みや読み取りが可能なものであれば、その他の構成でもよい。
【0033】
本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグとしては、例えば
図1に示すように、矩形状のインレット20の一方の面に接着層31が積層されてこの接着層31によって表面基材10がインレット20に接着され、インレット20の他方の面に擬似接着層32が積層されてなるRFIDタグ1が挙げられる。
【0034】
インレット20は、ベース基材23と、2つのアンテナ22と、ICチップ21とを有している。
【0035】
ベース基材23は、例えばPET(polyethyleneterephthalate:ポリエチレンテレフタレート)や、ポリイミド、紙、あるいは合成紙等のフィルム基材から構成されている。
【0036】
2つのアンテナ22は、ベース基材23の一方の面上に、アルミニウム箔や銅箔が積層されたり、印刷によって導電ペーストが塗工されたりすることで形成されている。2つのアンテナ22は、ベース基材23の一方の面に、2つの二等辺三角形の導体が空隙を介して並ぶようにして形成されている。なお、アンテナ22の形状としてはこれに限らず、2つの帯状の導体が空隙を介して直線上に並んだものや、1つの導体から構成されたもの等、様々なものが考えられる。
【0037】
ICチップ21は、2つのアンテナ端子(不図示)が設けられており、アンテナ端子が設けられた面が搭載面となって、ベース基材23のアンテナ22が形成された面に搭載され、異方性導電ペースト(不図示)によって固定されている。ICチップ21の2つのアンテナ端子は2つのアンテナ22にそれぞれ接続されており、異方性導電ペーストによって、アンテナ端子とアンテナ22とが導通している。ICチップ21は、アンテナ22を介した非接触通信によって得た電力によって動作し、ICチップ21内に予めエンコードされた情報を、アンテナ22を介して非接触送信する。
【0038】
このようにして、インレット20は、ベース基材23の一方の面にアンテナ22及びICチップ21が配置されて構成されている。なお、RFIDタグ1としては、UHF帯の周波数の通信方式で非接触通信を行うものや、HF帯の周波数の通信方式で非接触通信を行うもの等が挙げられ、ICチップ21は、その通信方式に応じたものが用いられ、アンテナ22は、その通信方式に応じた形状を有する。
【0039】
接着層31は、本願発明にて第1の接着層となるものである。接着層31は、インレット20のアンテナ22及びICチップ21を有する面に積層されている。接着層31は例えば、ホットメルトや、アクリル系エマルジョン、合成ゴム系の接着剤が、ベース基材23上に塗工されることでインレット20上に積層されている。
【0040】
表面基材10は、インレット20のアンテナ22及びICチップ21を有する面に接着層31によって接着されている。表面基材10としては例えば、プラスチックフィルムや紙、合成紙等が挙げられる。
【0041】
擬似接着層32は、本願発明にて第2の接着層となるものである。擬似接着層32は、インレット20のアンテナ22及びICチップ21を有する面とは反対側の面に積層されている。擬似接着層32としては例えば、湿気硬化型やUV硬化型のポリマーからなる擬似接着剤が挙げられるが、経時的に液体から固体に状態変化し、この変化が不可逆的なものであることが好ましい。擬似接着層32は、積層される層が、アンカー効果や化学的相互作用や物理的相互作用を有するものや、紙等の表面エネルギーが大きなものでなければ、硬化することで接着性を有さない状態となってもその層と剥離可能に密着した状態となる。
【0042】
〈タグシートの構成〉
次に、本願発明のタグシートの構成について説明する。
【0043】
図2は、本発明のタグシートの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシート20aの構成を示す図である。なお、
図2は、
図1に示したRFIDタグ1を作製するための長尺状のタグシートの一例を示す図であるが、以下においては、
図1に示したインレット20の詳細な構成の図示及び説明は省略する。
図3は、
図2に示したタグシート1aの積層構成を示す図である。
【0044】
本形態は
図2に示すように、
図1に示したRFIDタグ1が切り込み3によって分離可能に区画形成され、
図1に示したRFIDタグ1を作製するための長尺状のタグシート1aである。
【0045】
本形態におけるタグシート1aは、
図2及び
図3に示すように、インレットシート20aの一方の面に
図1に示した接着層31を介して表面シート10aが積層され、インレットシート20aの他方の面に
図1に示した擬似接着層32を介して裏面シート50が積層されて構成されている。
【0046】
インレットシート20aは、
図2(c)に示すように、
図1に示したインレット20が一列に複数並び、切り込み3によって分離可能に構成された長尺状のものである。これにより、インレットシート20aは、
図1に示したベース基材23が長尺状となってアンテナ22及びICチップ21の組が複数配置されたものとなる。
【0047】
表面シート10aは、
図1に示した表面基材10が連続した長尺状のものであって、インレットシート20aの全面に積層された接着層31によってインレットシート20aに接着されている。表面シート10aは、インレットシート20aの短尺方向についてその幅がインレットシート20aと同一となっている。
【0048】
裏面シート50は、インレットシート20aとの接着面に剥離層40が積層されている。裏面シート50は、インレットシート20aと同様に長尺状のものであり、インレットシート20aの短尺方向についてその幅がインレットシート20aと同一となっている。剥離層40は、インレットシート20aとの接着面に剥離剤が塗工されることで積層されており、剥離層40を構成する剥離剤としては例えば、シリコーンやテフロン(登録商標)等といった、擬似接着層32と接着された後に擬似接着層32による擬似接着剤が硬化した際に擬似接着層32から剥離しやすい表面エネルギーが低い材料が好ましい。剥離層40は、裏面シート50の短尺方向についてその幅が裏面シート50よりも狭くなっている。裏面シート50としては例えば、プラスチックフィルムや紙、合成紙等が挙げられる。
【0049】
擬似接着層32は、裏面シート50の剥離層40が積層された面の全面に剥離層40を覆って積層されている。これにより、裏面シート50は、擬似接着層32によってインレットシート20aに接着されている。
【0050】
切り込み3は、上述したように、RFIDタグ1を分離可能とするためのものであって、インレット20の外形に合わせて、表面シート10a、接着層31、インレットシート20a及び擬似接着層32の表裏を貫通して形成されている。この際、上述したように、剥離層40は、裏面シート50の短尺方向についてその幅が裏面シート50よりも狭くなっているが、切り込み3で囲まれた領域、すなわちインレット20に対向する領域には、剥離層40がその全面に積層されている。
【0051】
上記のように構成されたタグシート1aは
図2(a)に示すように、タグシート1aの長尺方向に巻き芯2を中心としてロール状に巻き取られている。
【0052】
〈タグシートの製造方法〉
次に、
図2及び
図3に示したタグシート1aの製造方法について説明する。
【0053】
図4は、
図2及び
図3に示したタグシート1aの製造方法を説明するための図である。
【0054】
図2及び
図3に示したタグシート1aを製造するにはまず、
図4(a)に示すように、
図1に示したインレット20が一列に複数並んだ長尺状のインレットシート20aの一方の面の全面に、上述したような接着剤を塗工することで接着層31を積層する。これは例えば、長尺状のインレットシート20aをロール状に巻き取っておき、ロール状から引き出してその一方の面に接着剤を塗工していくことが考えられる。なお、インレットシート20aの接着層31を積層する面は、インレット20のアンテナ22及びICチップ21を有する面でもよいし、その反対側の面でもよい。
【0055】
また、
図4(b)に示すように、裏面シート50の一方の面に、上述したような剥離剤を塗工することで剥離層40を積層する。その際、剥離層40は、裏面シート50の短尺方向についてその幅が裏面シート50よりも狭くなるように積層される。それにより、裏面シート50の剥離層40の積層面には、裏面シート50の長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って剥離層40が積層されていない非積層領域41が存在することになる。裏面シート50への剥離層40の積層も例えば、長尺状の裏面シート50をロール状に巻き取っておき、ロール状から引き出してその一方の面に剥離剤を塗工していくことが考えられる。
【0056】
次に、
図4(c)に示すように、剥離層40が積層された裏面シート50の剥離層40が積層された面の全面に、上述したような擬似接着剤を剥離層40を覆って塗工することで擬似接着層32を積層する。
【0057】
次に、
図4(d)に示すように、長尺状の表面シート10aと、上述したようにして接着層31が積層されたインレットシート20aと、上述したようにして剥離層40及び擬似接着層32が積層された裏面シート50とを重ね合わせ、例えばニップローラーで加圧丁合する。その際、インレットシート20aに積層された接着層31は例えば、乾燥工程を有さずに自然乾燥で硬化させることができる。また、裏面シート50に積層された擬似接着層32においても、湿気硬化型の接着剤を用いれば、乾燥工程を有さずに自然乾燥で硬化させることができる。裏面シート50に積層された擬似接着層32としてUV硬化型の接着剤を用いた場合は、紫外線を照射して硬化させることになる。
【0058】
そして、接着層31が硬化して表面シート10aとインレットシート20aとが接着され、擬似接着層32が硬化してインレットシート20aと裏面シート50とが接着されることになる。
【0059】
その後、
図4(e)に示すように、互いに接着された表面シート10a及びインレットシート20a、さらにこれらを接着している接着層31及び擬似接着層32に対して、インレット20の形状に合わせて表裏貫通した切り込み3を形成し、
図2及び
図3に示した連続状のタグシート1aを完成させる。
【0060】
そして、完成した連続状のタグシート1aとして、表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行うことができる。また、完成したタグシート1aは、ロール状に巻き取っておくことで、搬送や保管がしやすくなる。
【0061】
〈非積層領域41による効果〉
次に、
図2及び
図3に示したタグシート1aにおいて裏面シート50に剥離層40が積層されない非積層領域41が存在することによる効果について説明する。
【0062】
上述したように、裏面シート50の一方の面に剥離層40が積層される際、裏面シート50の短尺方向についてその幅が裏面シート50よりも狭くなるように剥離層40が積層されることにより、裏面シート50の剥離層40の積層面には、剥離層40が積層されていない非積層領域41が存在している。
【0063】
そのため、この非積層領域41においては、インレットシート20aと裏面シート50とが容易に剥離できない状態で接着されていることになり、それにより、連続状のタグシート1aとして、表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行う際等において、インレットシート20aと裏面シート50とが不用意に剥離してしまうことを回避できる。また、そのような構成としながらも、非積層領域41が、裏面シート50の長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って存在することで、インレット20に対向しない領域に存在しているため、表面シート10a、インレットシート20a、接着層31及び擬似接着層32の切り込み3で囲まれた領域を裏面シート50から剥離してRFIDタグ1として分離することができる。また、非積層領域41が、裏面シート50の長尺状における長尺方向に延びる2辺に沿って存在することで、連続状のタグシート1aとして、表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行う際等において、インレットシート20aと裏面シート50とがさらに不用意に剥離しにくくなる。
【0064】
〈タグシートを用いたRFIDタグの作製方法〉
次に、
図2及び
図3に示したタグシート1aを用いて
図1に示したRFIDタグ1を作製する場合の作製方法について説明する。
【0065】
図5は、
図2及び
図3に示したタグシート1aを用いて
図1に示したRFIDタグ1を作製する場合の作製方法を説明するための図であり、タグシート1aの断面図である。
【0066】
図2及び
図3に示したタグシート1aにおいては、
図5(a)に示すように、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び擬似接着層32には、インレット20の外形に合わせて表裏貫通した切り込み3が形成されており、また、裏面シート50の擬似接着層32の積層面にはインレット20に対向する領域に剥離層40が積層されている。
【0067】
そのため、連続状のタグシート1aとして、表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行った後、
図5(b)に示すように、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び擬似接着層32をインレット20の外形に合わせて分離して裏面シート50から剥離し、インレット20の一方の面に接着層31によって表面基材10が接着されるとともに、インレット20の他方の面に擬似接着層32が積層された個片のRFIDタグ1を作製することができる。その際、擬似接着層32がインレット20の裏面にて表出しているものの、擬似接着層32は上述したように、インレット20との積層面とは反対側の面が、硬化することで接着性を有さない状態となっているため、剥離層40によって裏面シート50から剥離された場合に剥離層40との積層面には接着性を有していない。そのため、その表面に接着層を有さないRFIDタグ1として使用することができる。
【0068】
このように、本形態におけるタグシート1aにおいては、連続状の状態で表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行った後、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び擬似接着層32を切り込み3によってインレット20の外形に合わせて分離して裏面シート50から剥離するだけで、容易に個片状のRFIDタグ1を作製することができる。
【0069】
〈カス上げ処理〉
次に、
図2及び
図3に示したタグシート1aにおけるカス上げ処理について説明する。
【0070】
本形態においては、裏面シート50の一方の面に剥離層40が積層される際、裏面シート50の短尺方向についてその幅が裏面シート50よりも狭くなるように剥離層40が積層されることにより、裏面シート50の剥離層40の積層面には、剥離層40が積層されていない非積層領域41が存在しているが、裏面シート50の一方の面の全面に剥離層40を積層して非積層領域41を設けないことで、RFIDタグ1として不要な部分となる、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び擬似接着層32の切り込み3の外側の領域を、裏面シート50から剥離して回収する、いわゆるカス上げ処理も可能となる。
【0071】
図6は、
図2及び
図3に示したタグシート1aにおいて裏面シート50の一方の面の全面に剥離層40を積層して非積層領域41を設けなかった場合におけるカス上げ処理を示す図であり、タグシート1aの断面図である。
【0072】
図2及び
図3に示したタグシート1aにおいて、
図6(a)に示すように、裏面シート50の一方の面の全面に剥離層40を積層して非積層領域41を設けない構成とした場合、インレットシート20aが、その全面において擬似接着層32及び剥離層40によって裏面シート50と剥離可能に接着された状態となる。
【0073】
そのため、
図6(b)に示すように、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び擬似接着層32の切り込み3の外側の領域を、裏面シート50から剥離することができる。その際、裏面シート50の、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び擬似接着層32が剥離された切り込み3の外側の領域においては、その全面において剥離層40が表出することになるため、その後、上述したようにロール状に巻き取ることができ、いわゆるカス上げ処理も可能となる。
【0074】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明のタグシートの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシート20aの構成を示す図である。なお、
図7に示したものは、
図1に示したインレット20を有する他の構成例であるが、
図1に示したインレット20の詳細な構成の図示及び説明は省略する。
図8は、
図7に示したタグシート201aの積層構成を示す図である。
【0075】
本形態は
図7及び
図8に示すように、
図2及び
図3に示したものに対して剥離層40を有さない点が異なるものである。裏面シート50として、PET等のフィルムのような表面エネルギーが小さなものを用いれば、
図2に示したものに対して剥離層40を用いなくても、裏面シート50を擬似接着層32に剥離可能に接着することができる。すなわち、
図2に示したもののように、裏面シート50の擬似接着層32との接着面に剥離層40を有する構成とすれば、裏面シート50として、擬似接着層32とのアンカー効果や化学的相互作用や物理的相互作用を有するものや、紙等の表面エネルギーが大きなものを用いた場合でも、擬似接着層32を裏面シート50に剥離可能に接着することができるようになる。
【0076】
なお、
図7及び
図8に示したタグシート201aにおいては、
図4に示したように、裏面シート50上に擬似接着層32が積層されて製造されることになるが、インレットシート20aの接着層31とは反対側の面に擬似接着層32を積層して製造してもよい。
【0077】
(第3の実施の形態)
〈RFIDタグの構成〉
図9は、本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグの他の例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレット20の表面の構成を示す図である。なお、
図9に示すインレット20の構成もあくまでも一例であり、外部に設けられたRFIDリーダーにて情報の書き込みや読み取りが可能なものであれば、その他の構成でもよい。
【0078】
本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグとしては、例えば
図9に示すRFIDタグ101が挙げられる。本例におけるRFIDタグ101は
図9に示すように、
図1に示したRFIDタグ1に対して、インレット20のアンテナ22及びICチップ21を有する面とは反対側の面に、擬似接着層32の代わりに剥離層40が積層されている点が異なるものである。
【0079】
剥離層40は、インレット20のアンテナ22及びICチップ21を有する面とは反対側の面に剥離剤が塗工されることで積層されており、剥離層40を構成する剥離剤としては、第1の実施の形態にて示したものと同様のものを用いることが考えられる。
【0080】
インレット20、表面基材10及び接着層31は、第1の実施の形態にて示したものと同様の材料からなり、同様の構成を有している。なお、本形態においては、接着層31が、本願発明における第3の接着層となる。
【0081】
〈タグシートの構成〉
図10は、本発明のタグシートの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシート20aの構成を示す図である。なお、以下においては、
図9に示したインレット20の詳細な構成の図示及び説明は省略する。
図11は、
図10に示したタグシート101aの積層構成を示す図である。
【0082】
本形態は
図10に示すように、
図9に示したRFIDタグ101が切り込み103によって分離可能に区画形成され、
図9に示したRFIDタグ101を作製するための長尺状のタグシート101aである。
【0083】
本形態におけるタグシート101aは、
図10及び
図11に示すように、インレットシート20aの一方の面に
図9に示した接着層31を介して表面シート10aが積層され、インレットシート20aの他方の面に
図9に示した剥離層40を介して、擬似接着層32が積層された裏面シート50が積層されて構成されている。
【0084】
インレットシート20aは、
図10(c)に示すように、
図9に示したインレット20が一列に複数並び、切り込み103によって分離可能に構成された長尺状のものである。本形態における切り込み103は、第1の実施の形態にて示したものと異なり、カットされていないタイ部103aを有している。
【0085】
表面シート10aは、
図9に示した表面基材10が連続した長尺状のものであって、インレットシート20aの全面に積層された接着層31によってインレットシート20aに接着されている。
【0086】
裏面シート50は、インレットシート20aとの接着面に擬似接着層32が積層されている。擬似接着層32を構成する擬似接着剤としては、第1の実施の形態にて示したものと同様のものを用いることが考えられる。これにより、裏面シート50は、擬似接着層32及び剥離層40によってインレットシート20aに剥離可能に接着されている。なお、本形態においては、擬似接着層32が、本願発明における第4の接着層となる。
【0087】
切り込み103は、上述したように、RFIDタグ101を分離可能とするためのものであって、インレット20の外形に合わせて、表面シート10a、接着層31、インレットシート20a及び剥離層40の表裏を貫通して形成されている。切り込み103は、表面シート10a、接着層31及び剥離層40においても、インレットシート20aと同様に、カットされていないタイ部103aを有している。
【0088】
上記のように構成されたタグシート101aは
図10(a)に示すように、タグシート101aの長尺方向に巻き芯2を中心としてロール状に巻き取られている。
【0089】
〈タグシートの製造方法〉
図12は、
図10及び
図11に示したタグシート101aの製造方法を説明するための図である。
【0090】
図10及び
図11に示したタグシート101aを製造するにはまず、
図12(a)に示すように、
図9に示したインレット20が一列に複数並んだ長尺状のインレットシート20aの一方の面の全面に、上述したような接着剤を塗工することで接着層31を積層する。これは例えば、長尺状のインレットシート20aをロール状に巻き取っておき、ロール状から引き出してその一方の面に接着剤を塗工していくことが考えられる。なお、インレットシート20aの接着層31を積層する面は、インレット20のアンテナ22及びICチップ21を有する面でもよいし、その反対側の面でもよい。
【0091】
また、
図12(b)に示すように、インレットシート20aの接着層31が積層された面とは反対側の面の全面に、上述したような剥離剤を塗工することで剥離層40を積層する。これらインレットシート20aに接着層31を積層する工程と剥離層40を積層する工程とは同時に行ってもよいし、いずれかを先に行ってもよい。
【0092】
また、
図12(c)に示すように、裏面シート50の一方の面の全面に、上述したような擬似接着剤を塗工することで擬似接着層32を積層する。裏面シート50への擬似接着層32の積層も例えば、長尺状の裏面シート50をロール状に巻き取っておき、ロール状から引き出してその一方の面に擬似接着剤を塗工していくことが考えられる。
【0093】
次に、
図12(d)に示すように、長尺状の表面シート10aと、上述したようにして接着層31及び剥離層40が積層されたインレットシート20aと、上述したようにして擬似接着層32が積層された裏面シート50とを重ね合わせ、例えばニップローラーで加圧丁合する。その際、インレットシート20aに積層された接着層31は例えば、乾燥工程を有さずに自然乾燥で硬化させることができる。また、裏面シート50に積層された擬似接着層32においても、湿気硬化型の接着剤を用いれば、乾燥工程を有さずに自然乾燥で硬化させることができる。裏面シート50に積層された擬似接着層32としてUV硬化型の接着剤を用いた場合は、紫外線を照射して硬化させることになる。
【0094】
そして、接着層31が硬化して表面シート10aとインレットシート20aとが接着され、擬似接着層32が硬化してインレットシート20aと裏面シート50とが剥離可能に接着されることになる。
【0095】
その後、
図12(e)に示すように、互いに接着された表面シート10a及びインレットシート20a、インレットシート20aの表裏に積層された接着層31及び剥離層40に対して、インレット20の形状に合わせて、表裏貫通し、タイ部103aを有する切り込み103を形成し、
図10及び
図11に示した連続状のタグシート101aを完成させる。
【0096】
そして、完成した連続状のタグシート101aとして、表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行うことができる。その際、表面シート10a、接着層31、インレットシート20a及び剥離層40に形成された切り込み103が、カットされていないタイ部103aを有していることで、連続状のタグシート101aとなって印字や検査等の処理が行われる際、個片のRFIDタグ101となる切り込み103の内側の領域が捲れ上がって分離してしまうことを回避できる。特に、印字のためにプリンタ内を搬送される際に湾曲した場合に、切り込み103の内側の領域が捲れ上がりやすくなるが、切り込み103がタイ部103aを有することで、切り込み103の内側の領域が捲れあがって分離してしまうことが回避される。また、完成したタグシート101aは、ロール状に巻き取っておくことで、搬送や保管がしやすくなる。
【0097】
なお、本形態のタグシート101aにおいては、インレットシート20aの接着層31が積層された面とは反対側の面の全面に剥離層40を積層しているが、第1の実施の形態に示した裏面シート50と同様に、インレットシート20aに剥離層40を積層する際、インレットシート20aの短尺方向についてその幅がインレットシート20aよりも狭くなるように剥離層40を積層することにより、インレットシート20aの剥離層40の積層面に、切り込み103の外側の領域にて剥離層40が積層されていない非積層領域が存在するように構成することもできる。そのような構成とすることで、連続状のタグシート101aとして、表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行う際等において、インレットシート20aと裏面シート50とが不用意に剥離してしまうことを回避できる。
【0098】
〈タグシートを用いたRFIDタグの作製方法〉
図13は、
図10及び
図11に示したタグシート101aを用いて
図9に示したRFIDタグ101を作製する場合の作製方法を説明するための図であり、タグシート101aの断面図である。
【0099】
図10及び
図11に示したタグシート101aにおいては、
図13(a)に示すように、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び剥離層40には、インレット20の外形に合わせて表裏貫通した切り込み103が形成されており、また、インレットシート20aは裏面シート50に積層された擬似接着層32によって裏面シート50に接着されているものの、インレットシート20aの裏面シート50との接着面に積層された剥離層40によって、擬似接着層32から剥離可能となっている。
【0100】
そのため、連続状のタグシート101aとして、表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行った後、
図13(b)に示すように、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び剥離層40をインレット20の外形に合わせて分離して裏面シート50から剥離し、インレット20の一方の面に接着層31によって表面基材10が接着されるとともに、インレット20の他方の面に剥離層40が積層された個片のRFIDタグ101を作製することができる。それにより、その表面に接着層を有さないRFIDタグ101として使用することができる。
【0101】
このように、本形態におけるタグシート101aにおいては、連続状の状態で表面シート10aへの印字やインレット20の通信検査等の処理を行った後、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び剥離層40を切り込み103によってインレット20の外形に合わせて分離して裏面シート50から剥離するだけで、容易に個片状のRFIDタグ101を作製することができる。
【0102】
〈カス上げ処理〉
図14は、
図10及び
図11に示したタグシート101aにおけるカス上げ処理を示す図であり、タグシート101aの断面図である。
【0103】
図10及び
図11に示したタグシート101aにおいては、
図14(a)に示すように、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び剥離層40には、インレット20の外形に合わせて表裏貫通した切り込み103が形成されており、また、インレットシート20aは、裏面シート50に積層された擬似接着層32によって裏面シート50に接着されているものの、インレットシート20aの裏面シート50との接着面に積層された剥離層40によって、擬似接着層32から剥離可能となっている。
【0104】
そのため、
図14(b)に示すように、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び剥離層40の切り込み103の外側の領域を、裏面シート50から剥離することができる。その際、裏面シート50の、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び剥離層40が剥離された切り込み103の外側の領域においては、その全面において擬似接着層32が表出することになるものの、擬似接着層32は、第1の実施の形態にて示したものと同様に、剥離層40と接着した後に硬化することで、剥離層40から剥離された状態においては接着性を有さない状態となっているため、剥離層40から剥離された場合に剥離層40との積層面には接着性を有していない。そのため、その後、上述したようにロール状に巻き取ることができ、いわゆるカス上げ処理も可能となる。
【0105】
なお、本形態においては、裏面シート50のインレットシート20aとの接着面に擬似接着層32を積層し、この擬似接着層32と、インレットシート20aの裏面シート50との接着面に積層された剥離層40とによって、インレットシート20aと裏面シート50とを剥離可能に接着しているが、擬似接着層32の代わりに、接着層31を構成する粘着剤や接着剤を用いた接着層を積層してもよい。ただしそのような構成においては、上述したカス上げ処理を行った場合、裏面シート50の、インレットシート20a、表面シート10a、接着層31及び剥離層40が剥離された切り込み103の外側の領域において接着層が表出するため、その後、ロール状に巻き取ることが困難となる。
【0106】
また、本形態のタグシート101aにおいては、
図12に示したように、裏面シート50上に擬似接着層32が積層されて製造されることになるが、インレットシート20aの剥離層40が積層された面に剥離層40を覆って擬似接着層32を積層して製造してもよい。
【0107】
(第4の実施の形態)
図15は、本発明のタグシートを用いて作製されるRFIDタグの他の例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレット20の表面の構成を示す図である。
【0108】
本例は
図15に示すように、
図9に示したものに対して剥離層40を有さない点が異なるRFIDタグ301である。
【0109】
図16は、本発明のタグシートの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示したA-A断面図、(c)はインレットシート20aの構成を示す図である。なお、
図16に示したものは、
図15に示したインレット20を有する構成例であるが、
図15に示したインレット20の詳細な構成の図示及び説明は省略する。
図17は、
図16に示したタグシート301aの積層構成を示す図である。
【0110】
本形態は
図16及び
図17に示すように、
図10及び
図11に示したものに対して剥離層40を有さない点が異なるものである。インレットシート20aとして、PET等のフィルムのような表面エネルギーが小さなものを用いれば、
図10に示したものに対して剥離層40を用いなくても、インレットシート20aを擬似接着層32に剥離可能に接着することができる。すなわち、
図10に示したもののように、インレットシート20aの擬似接着層32との接着面に剥離層40を有する構成とすれば、インレットシート20として、擬似接着層32とのアンカー効果や化学的相互作用や物理的相互作用を有するものや、紙等の表面エネルギーが大きなものを用いた場合でも、擬似接着層32をインレットシート20aに剥離可能に接着することができるようになる。
【0111】
なお、上述した実施の形態においては、インレットシート20aの表面シート10aとの接着面に接着層31を積層し、この接着層31を用いてインレットシート20aと表面シート10aとを接着しているが、表面シート10aとして、裏面に接着層を有するタック紙等を用いれば、インレットシート20aに接着層31を積層する必要はない。
【符号の説明】
【0112】
1,101,301 RFIDタグ
1a,101a,201a,301a タグシート
2 巻き芯
3,103 切り込み
103a タイ部
10 表面基材
10a 表面シート
20 インレット
20a インレットシート
21 ICチップ
22 アンテナ
23 ベース基材
31 接着層
32 擬似接着層
40 剥離層
41 非積層領域
50 裏面シート