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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032294
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20240305BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B23P19/00 301D
B23P19/00 304A
B23P21/00 303C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135875
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】千田 敏之
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030AA15
3C030BC26
3C030CC09
(57)【要約】
【課題】ワークに設けられた挿入部と、挿入装置の保持部との位置関係を精度良く調整可能な位置検出装置を実現すること。
【解決手段】位置検出装置10は、ワークが備える挿入部が到来すると想定される位置の指標として設置される指標部20と、挿入装置210の保持部220に装着される装着部30とを有する。装着部30は、保持部220に組み付けられる第一組付部40と、第一組付部40に挿入される第二組付部50と、支軸部60と、ホルダ部90と、テスタ部100とを有する。第一内周面40aは、第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。第二組付部50の外周面は、第一組付部40への挿入方向先頭側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークにおいて第一方向に延びるように形成される被挿入部に挿入される挿入物を挿入可能な挿入装置と、前記挿入部との位置関係を調整するために用いられる位置検出装置であって、
前記被挿入部に前記挿入物が挿入される挿入位置、あるいは前記挿入装置に設けられ前記挿入物を前記被挿入部に挿入して保持可能な保持部の位置の指標として設置される指標部と、
前記挿入装置、あるいは前記被挿入部に装着される装着部と、
を有し、
前記指標部が、前記挿入位置に設置される前記挿入物、あるいは前記挿入装置に設けられ前記挿入物を前記被挿入部に挿入して保持可能な保持部と軸心位置が一致し、前記第一方向に延びるように設けられる軸部とを有し、
前記装着部は、
前記保持部の内周面、あるいは前記被挿入部の内周面に沿って、組付けられる第一組付部と、
前記第一組付部の内周をなす第一内周面に囲まれた内側空間に、前記第一方向に向けて挿入される第二組付部と、
前記第二組付部と軸心位置及び第一方向が一致するように形成される支軸部と、
前記支軸部に対して、前記支軸部の軸心位置を中心として回動可能に設けられるホルダ部と、
前記ホルダ部に保持されたテスタ部と、
を有するものであり、
前記保持部あるいは前記被挿入部に対して前記第一組付部及び前記第二組付部が組付けられた状態において、前記支軸部に対して前記ホルダ部を回動させ、前記テスタ部を前記軸部の周囲において移動させることにより、前記ワークに形成された前記挿入物と、前記挿入装置との位置関係を検出可能であり、
前記第一組付部の前記第一内周面と前記第二組付部の外周面とが合わさるように、挿入方向奥側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されていること、を特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記装着部が、
前記第一組付部に前記第二組付部を挿入した状態において、前記第一組付部及び前記第二組付部の少なくとも一方を前記挿入方向奥側から手前側に向けて押圧する押圧力作用機構と、
前記第二組付部において第一方向に延びるように貫通した貫通孔と、
を有し、
前記押圧力作用機構が、
前記挿入方向奥側において前記第一組付部に当接する第一押圧部と、
前記貫通孔を介して前記挿入方向奥側から手前側に向けて延びる操作軸と、
前記操作軸に対して連結され、前記第一押圧部を前記挿入方向奥側から当接する第二押圧部と、
を有し、
前記第二組付部の挿入方向手前側から前記操作軸を操作することにより、前記操作軸の軸線方向に前記第二押圧部を移動させることにより、前記第二押圧部から前記第一押圧部に押圧力を作用させるとともに、前記第一押圧部から前記第一組付部に対して第二組付部の挿入方向奥側から手前側に向かう方向への押圧力を作用させることが可能であること、を特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記第一組付部が、前記第一方向に押圧力を作用させることにより、前記第一方向に対して交差する第二方向に拡大可能とされていること、を特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記ワークが、エンジンのシリンダヘッドであり、
前記挿入物が、バルブガイドであり、
前記被挿入部が、前記バルブガイドを挿入する挿入穴であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているバルブガイド圧入装置のように、ワークに形成された被挿入部に対して挿入される挿入物を挿入するために用いられる挿入装置がある。特許文献1のバルブガイド圧入装置は、エンジンのシリンダヘッドに形成されたバルブガイド用の挿入部に対し、挿入物としてバルブガイドを挿入するために用いられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-070513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したバルブガイド圧入装置のような装置においては、シリンダヘッド等のワークに設けられた被挿入部と、バルブガイド等の挿入物を保持するための保持部との位置関係を正確に調整し、位置合わせ(芯出し)をしておかねばならない。
【0005】
そこで本発明者らは、ワークに設けられた被挿入部と、挿入装置に設けられた保持部との位置関係を正確に調整するための位置検出装置を準備し、位置検出装置により得られる被挿入部と保持部との位置関係に基づいて、両者の位置合わせ(芯出し)を行うことを検討した。具体的には、図6に示すように、挿入装置210の保持部220に装着可能な装着部230と、ワークを所定位置に設置した状態において被挿入部が到来すると想定される位置に設けられる軸部240とを備えた位置検出装置200について検討した。この位置検出装置200において、装着部230は、保持部220に嵌め込み可能なホルダ軸250と、ホルダ軸250に対して回動可能に設けたホルダ部260とを備えたものとされ、ホルダ部260にピックテスタからなるテスタ部270を設けたものとした。
【0006】
本発明者らが、上述した位置検出装置200について検討したところ、保持部220とホルダ軸250との間に形成されるガタや、ホルダ軸とホルダ部260との間に形成されるガタ等の存在により、被挿入部に見立てて設けられた軸部240と保持部220との位置関係の調整精度に影響が生じるとの知見が得られた。
【0007】
そこで本発明は、ワークに設けられた被挿入部と、挿入装置の保持部との位置関係を精度良く調整可能な位置検出装置の実現を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の位置検出装置は、ワークにおいて第一方向に延びるように形成される被挿入部に挿入される挿入物を挿入可能な挿入装置と、前記挿入部との位置関係を調整するために用いられる位置検出装置であって、前記被挿入部に前記挿入物が挿入される挿入位置、あるいは前記挿入装置に設けられ前記挿入物を前記被挿入部に挿入して保持可能な保持部の位置の指標として設置される指標部と、前記挿入装置、あるいは前記被挿入部に装着される装着部と、を有し、前記指標部が、前記挿入位置に設置される前記挿入物、あるいは前記挿入装置に設けられ前記挿入物を前記被挿入部に挿入して保持可能な保持部と軸心位置が一致し、前記第一方向に延びるように設けられる軸部とを有し、前記装着部は、前記保持部の内周面、あるいは前記被挿入部の内周面に沿って、組付けられる第一組付部と、前記第一組付部の内周をなす第一内周面に囲まれた内側空間に、前記第一方向に向けて挿入される第二組付部と、前記第二組付部と軸心位置及び第一方向が一致するように形成される支軸部と、前記支軸部に対して、前記支軸部の軸心位置を中心として回動可能に設けられるホルダ部と、前記ホルダ部に保持されたテスタ部と、を有するものであり、前記保持部あるいは前記被挿入部に対して前記第一組付部及び前記第二組付部が組付けられた状態において、前記支軸部に対して前記ホルダ部を回動させ、前記テスタ部を前記軸部の周囲において移動させることにより、前記ワークに形成された前記挿入物と、前記挿入装置との位置関係を検出可能であり、前記第一組付部の前記第一内周面と前記第二組付部の外周面とが合わさるように、挿入方向奥側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されていること、を特徴とするものである。
【0009】
本発明の位置検出装置は、保持部の内周面、あるいは被挿入部の内周面に沿って組み付けられる第一組付部の内側に形成される組付空間に対して第二組付部を挿入することにより、保持部あるいは被挿入部に対して装着部を装着可能とされている。また、第一組付部の内周をなす第一内周面は、組付空間に対して第二組付部を挿入する際の挿入方向奥側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。また、第二組付部の外周面は、第一組付部への挿入方向先頭側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。そのため、本発明の位置検出装置は、第一組付部に対して第二組付部を組み付けることにより、装着部を保持部に対してガタの原因となるような隙間が生じるのを抑制しつつ、保持部あるいは被挿入部に対して装着部を装着できる。従って、本発明の位置検出装置は、第一組付部と第二組付部との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、ワークに設けられた被挿入部と、挿入装置の保持部との位置関係を精度良く調整できる。
【0010】
(2)本発明の位置検出装置は、前記装着部が、前記第一組付部に前記第二組付部を挿入した状態において、前記第一組付部及び前記第二組付部の少なくとも一方を前記挿入方向奥側から手前側に向けて押圧する押圧力作用機構と、前記第二組付部において第一方向に延びるように貫通した貫通孔と、を有し、前記押圧力作用機構が、前記挿入方向奥側において前記第一組付部に当接する第一押圧部と、前記貫通孔を介して前記挿入方向奥側から手前側に向けて延びる操作軸と、前記操作軸に対して連結され、前記第一押圧部を前記挿入方向奥側から当接する第二押圧部と、を有し、前記第二組付部の挿入方向手前側から前記操作軸を操作することにより、前記操作軸の軸線方向に前記第二押圧部を移動させることにより、前記第二押圧部から前記第一押圧部に押圧力を作用させるとともに、前記第一押圧部から前記第一組付部に対して第二組付部の挿入方向奥側から手前側に向かう方向への押圧力を作用させることが可能であること、を特徴とするものであると良い。
【0011】
本発明の位置検出装置は、上記(2)のような構成とすることにより、第一組付部に対して第二組付部を挿入した状態において、押圧力作用機構によって第一組付部を第二組付部に対して押し付けた状態とすることができる。これにより、本発明の位置検出装置は、第一組付部と第二組付部との間に形成される隙間を最小限に抑制した状態で、保持部に対して装着部を装着できる。従って、本発明の位置検出装置は、第一組付部と第二組付部との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、被挿入部と保持部との位置関係を精度良く調整できる。
【0012】
本発明の位置検出装置は、上記(2)のような構成とすることにより、貫通孔に挿通された操作軸を第二組付部の挿入方向手前側から操作し、押圧部を第二組付部の挿入方向奥側から手前側に移動させることにより、第一組付部に対して押圧力を作用させ、第一組付部を第二組付部に対して押し付けた状態とすることができる。これにより、本発明の位置検出装置は、第一組付部と第二組付部との間に形成される隙間を最小限に抑制した状態で、保持部に対して装着部を装着できる。従って、本発明の位置検出装置は、第一組付部と第二組付部との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、被挿入部と保持部との位置関係を精度良く調整できる。
【0013】
(3)本発明の位置検出装置は、前記操作軸の一部又は全部が、ネジ軸によって構成されており、前記貫通孔の一部又は全部が、ネジ孔とされており、前記操作軸をなす前記ネジ軸と、前記貫通孔をなすネジ孔とが螺合しており、前記操作軸を回動させることにより、前記当接部を前記第二組付部の挿入方向奥側から手前側に向かう方向に移動させることができるものであると良い。
【0014】
本発明の位置検出装置は、かかる構成とすることにより、貫通孔に挿通された操作軸を第二組付部の挿入方向手前側から回動させる操作を行うことにより、押圧部を第二組付部の挿入方向奥側から手前側に移動させ、第一組付部に対して押圧力を作用させることが可能となる。
【0015】
(4)本発明の位置検出装置は、前記第一組付部が、前記第一方向に押圧力を作用させることにより、前記第一方向に対して交差する第二方向に拡大可能とされているものであると良い。
【0016】
本発明の位置検出装置は、かかる構成とすることにより、第一組付部に対して押圧力を作用させ、第二組付部の挿入方向奥側から手前側に移動させることにより、第二組付部の外周面に沿って第一組付部が第二方向に拡大しつつ密接させることができる。これにより、本発明の位置検出装置は、第一組付部と第二組付部との間に殆ど隙間が形成されない状態として、保持部に対して装着部を装着できる。従って、本発明の位置検出装置は、第一組付部と第二組付部との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、被挿入部と保持部との位置関係を精度良く調整できる。
【0017】
(5)本発明の位置検出装置は、前記ホルダ部が、軸受を介して前記支軸部に対して回動可能に支持されているものであると良い。
【0018】
本発明の位置検出装置は、かかる構成とすることにより、ホルダ部が支軸部に対してがたつくことなくスムーズに回動可能とされる。これにより、本発明の位置検出装置は、ホルダ部と支軸部との間に隙間が形成されることによる位置精度の低下を抑制できる。これにより、本発明の位置検出装置は、被挿入部と保持部との位置関係を精度良く調整できる。
【0019】
(6)本発明の位置検出装置は、前記テスタ部が、ピックテスタによって構成されており、前記軸部の外周面に当接しながら回動することにより、前記軸部の軸心位置を調整可能なものであると良い。
【0020】
本発明の位置検出装置は、かかる構成とすることにより、被挿入部に見立てて設けられた軸部と保持部との位置関係を精度良く調整できる。これにより、ワークを所定位置に設置した状態における被挿入部と保持部との位置関係を精度良く調整できる。
【0021】
(7)本発明の位置検出装置は、前記ワークが、エンジンのシリンダヘッドであり、前記挿入物が、バルブガイドであり、前記被挿入部が、前記バルブガイドを挿入する挿入穴であること、を特徴とするものであると良い。
【0022】
本発明の位置検出装置は、かかる構成とすることにより、エンジンのシリンダヘッドに対するバルブガイドの組み付けに備えて、挿入装置の位置調整をスムーズかつ精度良く行えるようにすることができる。これにより、本発明の位置検出装置は、挿入装置の信頼性の向上、挿入装置を用いて組み立てられるエンジンの製品品質の向上、挿入装置の芯出し作業に要する時間の大幅な短縮等の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記課題を解決した位置検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る位置検出装置を挿入装置に装着した状態示す側方断面図である。
図2図1の位置検出装置を構成する装着部を挿入装置に装着した状態示す側方断面図である。
図3】(a)は第一組付部の断面図、(b)は第一組付部の底面図である。
図4】(a)は第二組付部、中間部、及び支軸部を一体化したものを示す平面図、(b)はその側面図である。
図5】(a)はホルダ部を構成する構成体の断面図、(b)はその底面図である。
図6】本発明者らが試作した位置検出装置を挿入装置に装着した状態を示す側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る位置検出装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、通常の使用状態を基準として上下左右等の位置関係について説明する。また、位置検出装置10の説明に先だって、挿入装置210等について説明する。
【0026】
挿入装置210は、エンジンのシリンダヘッドをワークとし、これに設けられたバルブガイド挿入穴(被挿入部)に対してバルブガイド(挿入物)を挿入するために用いられる装置である。図1に示すように、挿入装置210は、挿入物であるバルブガイドを保持するための保持部220を有する。具体的には、挿入装置210は、バルブガイドを保持する部品(パンチ)を装着するための穴を保持部220として備えている。保持部220は、下方に向けて開口した凹状の部分である。挿入装置210は、保持部220にセットしたバルブガイドに対して軸線方向(第一方向/本実施形態では上下方向)への推進力を作用させるための駆動機構(図示せず)を備えている。シリンダヘッドに設けられた被挿入部に対してバルブガイドを組み付ける場合には、挿入装置210における保持部220の軸心位置と、所定位置に設置された状態におけるシリンダヘッドに設けられた被挿入部の軸心位置とを事前に合致させる芯出し作業を行っておく必要がある。位置検出装置200は、芯出し作業において、挿入装置210の保持部220とシリンダヘッドの被挿入部との位置関係を調整するために用いられる。
【0027】
図1に示すように、位置検出装置10は、指標部20、及び装着部30を有する。指標部20は、ワークを設置するための台座300側に設置される部材である。また、装着部30は、挿入装置210側に設置される部材である。以下、指標部20、及び装着部30についてさらに詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、指標部20は、台座300の所定の設置位置にワーク(本実施形態ではシリンダヘッド)が設置された状態において、ワークに設けられた被挿入部が到来すると想定される挿入位置の指標として設置されるものである。指標部20は、ワークを設置する台座300に設置される。指標部20は、固定部22と、軸部24とを有する。固定部22は、台座300に対して固定される部分である。軸部24は、固定部22に対して設けられた軸状の部分である。固定部22を台座300に対して取り付けると、ワークを台座300に設置した場合にバルブガイド挿入穴(被挿入部)が到来する想定される位置と軸心位置が合致するように軸部24が設けられた状態になる。
【0029】
図1図2に示すように、装着部30は、挿入装置210の保持部220に装着されるものである。装着部30は、第一組付部40、第二組付部50、支軸部60、中間部70、ホルダ部90、及びテスタ部100を有する。
【0030】
図2図3に示すように、第一組付部40は、挿入装置210に設けられた保持部220の内周面に沿って組み付けられる部材(拡張ブロック)である。第一組付部40は、第一ブロック42、第二ブロック44、及びリング部材46(図3においては不図示)を組み合わせることにより、全体として略円筒形の外観形状を構成する部材である。また、第一組付部40の軸線方向への長さは、保持部220をなす凹部の深さ(軸線方向の長さ)よりも小さい。具体的には、第一組付部40の軸線方向への長さは、後に詳述する押圧力作用機構80を構成する押圧部84や当接部86を収容可能な空間を保持部220をなす凹部内に形成できる程度の長さとされている。
【0031】
第一ブロック42は、第一組付部40の軸心位置を境として径方向一方側の部分をなす半円筒状の部材である。第二ブロック44は、第一ブロック42と対をなす部材である。第二ブロック44は、第一組付部40の軸心位置を境として径方向他方側の部分をなす半円筒状の部材である。第一ブロック42及び第二ブロック44を組み合わせることにより、第一組付部40の内周をなす第一内周面40aと、第一内周面40aによって囲まれた内側空間40bとが形成される。第一内周面40aは、第一組付部40の軸線方向一方側から他方側に向けて拡がる、テーパー状の形状とされている。また、第一ブロック42及び第二ブロック44の外周面には、第一組付部40の径方向内側に向けて窪んだ凹部40cが設けられている。
【0032】
リング部材46は、例えば、ゴムやシリコーン等の素材によって形成された弾性を有する環状の部材である。第一組付部40は、第一内周面40aや内側空間40bが形成されるように第一ブロック42及び第二ブロック44を組み合わせつつ、第一ブロック42及び第二ブロック44の外周に設けられた凹部40cにリング部材46を嵌め込んだ状態とされ、挿入装置210の保持部220に嵌め込まれる。このような状態で第一組付部40を保持部220に嵌め込むと、リング部材46が保持部220の内周面に接触して位置決めされた状態になる。また、第一組付部40は、保持部220の奥側から手前側(保持部220の開口側)に向けて第一内周面40a(内側空間40bの開口断面)が拡大する状態となる姿勢とされ、保持部220に嵌め込まれる。これにより、第一内周面40aが、保持部220の内側において、後に詳述する第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向けて広がるように形成された状態になる。
【0033】
図2図4に示すように、第二組付部50は、第一組付部40の内側空間40bに対して第一方向(本実施形態では上下方向)に向けて挿入される部分である。第二組付部50は、軸状の形状とされており、その外周面がテーパー状に形成されている。第二組付部50は、一端側(第一組付部40への挿入方向先頭側)から軸線方向他端側(第一組付部40への挿入方向手前側)に向かうに連れて断面積が拡張するように形成されている。第二組付部50のテーパー形状は、上述した第一組付部40の第一内周面40aがなすテーパー形状に対応する形状とされている。
【0034】
図2図4に示すように、支軸部60は、上述した第二組付部50と軸心位置及び軸線方向が一致するように形成された軸状の部分である。支軸部60は、後に詳述するホルダ部90の回動支軸となる。
【0035】
図2図4に示すように、中間部70は、第二組付部50及び支軸部60の中間に位置する部分である。中間部70は、保持部220の開口領域よりも大きい。また、上述したように、第一組付部40の軸線方向への長さは、保持部220をなす凹部の深さ(軸線方向の長さ)よりも小さい。そのため、第二組付部50を保持部220の内側にセットされた第一組付部40の内側空間40bに差し込み、中間部70を保持部220における開口側の端面に突き当てた状態において保持部220に対して固定することにより、第二組付部50を軸線方向(第一方向)の所定位置に位置決めされた状態とすることができる。
【0036】
押圧力作用機構80は、第一組付部40に対して第二組付部50を挿入した状態において、第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向(図示例では上方から下方に向かう方向)に、第一組付部40に対して押圧力を作用させるための機構である。図2に示すように、押圧力作用機構80は、貫通孔82、押圧部84、当接部86、及び操作軸88を備えている。
【0037】
貫通孔82は、装着部30において、第二組付部50の軸線方向(第一方向)に延びるように貫通した貫通孔である。貫通孔82は、第二組付部50から中間部70を経て支軸部60まで到達し、軸線方向に貫通するように形成されている。貫通孔82は、その一部又は全部が内周面に雌ネジを有するネジ孔とされている。本実施形態では、第二組付部50から中間部70に至る部分が内周面に雌ネジを有するネジ孔とされている。
【0038】
押圧部84は、第一組付部40に対して第二組付部50を挿入した状態において、第二組付部50の挿入方向奥側において第一組付部40に対して当接する部分である。押圧部84は、軸心位置に貫通孔84aを有するカラー状のものとされている。
【0039】
当接部86は、後述する操作軸88の一端側に連結され、操作軸88の軸線方向に対して交差する方向に拡がる形状を有する部分である。当接部86は、押圧部84に対して第二組付部の挿入方向奥側から当接可能なように配置される部分である。
【0040】
操作軸88は、一端側が上述した当接部86の中心に連結され、他端側が自由端とされた軸体である。操作軸88は、第一組付部40に対する第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向けて伸びるように配されている。具体的には、操作軸88は、押圧部84の中心に設けられた貫通孔84aに挿通されると共に、貫通孔82に対して第二組付部50から挿入されている。操作軸88は、貫通孔82の長さ(装着部30における第二組付部50から中間部70を経て支軸部60までの長さ)よりも短い。そのため、操作軸88の端部は、貫通孔82の内部に存在している。本実施形態では、操作軸88が、第二組付部50から中間部70まで到達するように挿通されている。
【0041】
操作軸88は、その一部又は全部が、外周部に雄ネジを形成したネジ軸によって構成されている。本実施形態では、操作軸88の略全体がネジ軸によって構成されている。操作軸88は、貫通孔82の内周面に設けられた雌ネジと螺合している。また、操作軸88は、自由端(図示状態において下端)に、貫通孔82を介して差し込まれた工具等の操作部材と係合可能な係合部88aを有する。係合部88aは、六角穴によって構成されている。そのため、支軸部60の端部(図示状態において下端部)において開口している貫通孔82の開口部から六角レンチを挿入し、操作軸88の六角穴からなる係合部88aに係合させることにより、操作軸88を回動させることができる。
【0042】
上述した当接部86及び操作軸88は、別々の部材として準備し、両者を一体化したものとすることができるが、例えばストッパボルトの頭部を当接部86とし、軸部を操作軸88とすると良い。
【0043】
押圧力作用機構80は、第一組付部40に対する第二組付部50の挿入方向手前側から操作軸88を操作することにより、操作軸88の軸線方向に当接部86を移動させ、押圧部84から第一組付部40に対して第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向への押圧力を作用させることができる。本実施形態では、操作軸88を構成するネジ軸が、貫通孔82の内周面に設けられた雌ネジに螺合している。そのため、操作軸88の六角穴に六角レンチを係合させる等して操作軸88を軸心周り方向に回動させることにより、当接部86を第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向に移動させ、押圧部84によって第一組付部40に対して押圧力を作用させることができる。これにより、第二組付部50と保持部220の内周面との間において、第二組付部50の周部において均等に第一組付部40を進入させ、第二組付部50の軸心位置を保持部220の軸心位置と一致させることができる。
【0044】
ホルダ部90は、後述するテスタ部100を支軸部60の軸心位置を中心として可能に回動可能なように保持するものである。図2図5に示すように、ホルダ部90は、回動部92と、保持部94とを有する。
【0045】
回動部92は、支軸部60に対して回動可能に支持される部分である。回動部92は、第一方向(上下方向)に貫通した貫通部92aを有し、その内周側に軸受96を設けたものとされている。回動部92は、軸受96に対して支軸部60を挿通することにより、支軸部60の軸心位置を中心として回動可能とされている。軸受96は、回動部92の下端側に取り付けられた軸受用ナット96aによってスラスト方向に固定されている。その結果、軸受96は、回動部92に対して第一方向下方側に落下しないように装着されている。
【0046】
保持部94は、回動部92から径方向外側に向けて突出したアーム状の部分である。保持部94は、テスタ部100の端部を差し込むことにより、テスタ部100を保持可能なものとされている。
【0047】
テスタ部100は、先端に設けられた測定子102を指標部20の軸部24の外周面に当接しながら回動することにより、軸部24の軸心位置を調整するための計測が可能な装置によって構成されている。テスタ部100は、例えばピックテスタによって構成すると良い。テスタ部100は、測定子102とは反対側(図示例では上端側)においてホルダ部90の保持部94に保持されている。
【0048】
≪位置検出装置10による効果について≫
上述した位置検出装置10は、以下の(a)~(h)のような特徴的構成を備えている。そのため、位置検出装置10は、以下のような従来技術では達し得ない特有の効果を奏することができる。
【0049】
(a)本実施形態の位置検出装置10は、ワークにおいて第一方向に軸線が延びるように形成された被挿入部に対して挿入される挿入物を挿入するために用いられ、挿入物を挿入して保持可能な保持部220を有し、保持部220に保持された挿入物に対して第一方向に沿う方向への推進力を作用させることにより、挿入物を被挿入部に挿入可能な挿入装置210について、被挿入部に対する保持部220の位置関係を調整するために用いられる位置検出装置10であって、所定の設置位置に設置された状態においてワークが備える被挿入部が到来すると想定される挿入位置の指標として設置される指標部20と、挿入装置210の保持部220に装着される装着部30と、を有し、指標部20が、挿入位置に到来すると想定される被挿入部と軸心位置が一致し、第一方向に軸線が延びるように設けられる軸部24を備えており、装着部30が、挿入装置210の保持部220の内周面に沿って組み付けられる第一組付部40と、第一組付部40の内周をなす第一内周面40aによって囲まれた内側空間40bに対して第一方向に向けて挿入される第二組付部50と、第二組付部50と軸心位置及び軸線方向が一致するように形成された支軸部60と、支軸部60に対して、支軸部60の軸心位置を中心として回動可能に設けられたホルダ部90と、ホルダ部90に保持されたテスタ部100と、を有し、保持部220に組み付けられた第一組付部40に対して第二組付部50を挿入した状態において、支軸部60に対してホルダ部90を回動させ、テスタ部100を軸部24の周囲において移動させることにより、ワークに設けられた被挿入部と、挿入装置210に設けられた保持部220との位置関係を調整可能であり、第一内周面40aが、第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されており、第二組付部50の外周面が、第一組付部40への挿入方向先頭側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されていること、を特徴とするものである。
【0050】
位置検出装置10は、挿入装置210に設けられた保持部220の内周面に沿って組み付けられる第一組付部40の内側に形成される内側空間40bに対して第二組付部50を挿入することにより、保持部220に対して装着部30を装着可能とされている。また、第一組付部40の内周をなす第一内周面40aは、内側空間40bに対して第二組付部50を挿入する際の挿入方向奥側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。また、第二組付部50の外周面は、第一組付部40への挿入方向先頭側から手前側に向けて広がるようにテーパー状に形成されている。そのため、位置検出装置10は、第一組付部40に対して第二組付部50を組み付けることにより、装着部30を保持部220に対してガタの原因となるような隙間が生じるのを抑制しつつ、保持部220に対して装着部30を装着できる。従って、位置検出装置10は、第一組付部40と第二組付部50との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、ワークに設けられた被挿入部と、挿入装置210の保持部220との位置関係を精度良く調整できる。
【0051】
(b)上述した位置検出装置10は、装着部30が、第一組付部40に対して第二組付部50を挿入した状態において、第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向に第一組付部40に対して押圧力を作用させる押圧力作用機構80を有するものとされている。
【0052】
位置検出装置10は、上記(b)のような構成とされているため、第一組付部40に対して第二組付部50を挿入した状態において、押圧力作用機構80によって第一組付部40を第二組付部50に対して押し付けた状態とすることができる。これにより、位置検出装置10は、第一組付部40と第二組付部50との間に形成される隙間を最小限に抑制した状態で、保持部220に対して装着部30を装着できる。従って、位置検出装置10は、第一組付部40と第二組付部50との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、被挿入部と保持部220との位置関係を精度良く調整できる。
【0053】
(c)上述した位置検出装置10は、装着部30が、第二組付部50の軸線方向に延びるように貫通した貫通孔82を有し、押圧力作用機構80が、第一組付部40に対して第二組付部50を挿入した状態において、第二組付部50の挿入方向奥側において第一組付部40に対して当接する押圧部84と、第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向けて伸びる操作軸88と、操作軸88に対して連結され、押圧部84に対して第二組付部50の挿入方向奥側から当接する当接部86と、を有し、操作軸88が、貫通孔82に挿入されており、第二組付部50の挿入方向手前側から操作軸88を操作することにより、操作軸88の軸線方向に当接部86を移動させ、押圧部84から第一組付部40に対して第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向への押圧力を作用させることが可能なものとされている。
【0054】
上述した位置検出装置10は、上記(c)のような構成とされているため、貫通孔82に挿通された操作軸88を第二組付部50の挿入方向手前側から操作し、押圧部84を第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に移動させることにより、第一組付部40に対して押圧力を作用させ、第一組付部40を第二組付部50に対して押し付けた状態とすることができる。これにより、位置検出装置10は、第一組付部40と第二組付部50との間に形成される隙間を最小限に抑制した状態で、保持部220に対して装着部30を装着できる。従って、位置検出装置10は、第一組付部40と第二組付部50との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、被挿入部と保持部220との位置関係を精度良く調整できる。
【0055】
(d)上述した位置検出装置10は、操作軸88の一部又は全部が、ネジ軸によって構成されており、貫通孔82の一部又は全部が、ネジ孔とされており、操作軸88をなすネジ軸と、貫通孔82をなすネジ孔とが螺合しており、操作軸88を回動させることにより、当接部86を第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向に移動させることができるものとされている。
【0056】
位置検出装置10は、上記(d)のような構成とされているため、貫通孔82に挿通された操作軸88を第二組付部50の挿入方向手前側から回動させる操作を行うことにより、押圧部84を第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に移動させ、第一組付部40に対して押圧力を作用させることができる。
【0057】
(e)上述した位置検出装置10は、第一組付部40が、第一方向に押圧力を作用させることにより、第一方向(軸線方向)に対して交差する第二方向(径方向)に拡大可能とされている。
【0058】
位置検出装置10は、上記(e)のような構成とされているため、第一組付部40に対して押圧力を作用させ、第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に移動させることにより、第二組付部50の外周面に沿って第一組付部40が第二方向に拡大しつつ密接させることができる。これにより、位置検出装置10は、第一組付部40と第二組付部50との間に殆ど隙間が形成されない状態として、保持部220に対して装着部30を装着できる。従って、位置検出装置10は、第一組付部40と第二組付部50との間に形成される隙間を原因とするガタの発生を抑制し、被挿入部と保持部220との位置関係を精度良く調整できる。
【0059】
(f)上述した位置検出装置10は、ホルダ部90が、軸受96を介して支軸部60に対して回動可能に支持されているものである。
【0060】
位置検出装置10は、上記(f)のような構成とすることにより、ホルダ部90が支軸部60に対してがたつくことなくスムーズに回動可能とされる。これにより、位置検出装置10は、ホルダ部90と支軸部60との間に隙間が形成されることによる位置精度の低下を抑制できる。これにより、位置検出装置10は、被挿入部と保持部220との位置関係を精度良く調整できる。
【0061】
(g)上述した位置検出装置10は、テスタ部100が、ピックテスタによって構成されており、軸部24の外周面に当接しながら回動することにより、軸部24の軸心位置を調整可能なものとされている。
【0062】
位置検出装置10は、上記(g)のような構成とされているため、被挿入部に見立てて設けられた軸部24と保持部220との位置関係を精度良く調整できる。これにより、ワークを所定位置に設置した状態における被挿入部と保持部220との位置関係を精度良く調整できる。
【0063】
(h)上述した位置検出装置10は、ワークがエンジンのシリンダヘッドであり、挿入物がバルブガイドであり、被挿入部がバルブガイドを挿入する挿入穴である場合に好適に使用されるものである。
【0064】
位置検出装置10は、上記(h)のような構成とすることにより、エンジンのシリンダヘッドに対するバルブガイドの組み付けに備えて、挿入装置210の位置調整をスムーズかつ精度良く行えるようにすることができる。これにより、位置検出装置10は、挿入装置210の信頼性の向上、挿入装置210を用いて組み立てられるエンジンの製品品質の向上、挿入装置210の芯出し作業に要する時間の大幅な短縮等の効果を奏することができる。
【0065】
なお、上述した位置検出装置10は、本発明の一実施形態を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜構成を変更することが可能である。例えば、位置検出装置10は、上述した(a)~(h)に係る全ての構成を備えたものに限らず、これらの構成のいずれかを省略したり、他の構成に置換したりしたものとすることも可能である。
【0066】
具体的には、位置検出装置10は、上記(a)のように、装着部30を挿入装置210の保持部220に装着し、指標部20をワークが備える被挿入部に取り付けるのに代えて、装着部30をワークが備える被挿入部に取り付け、指標部20を挿入装置210の保持部220に装着することとしても良い。このように、上記実施形態において例示したのと比較して指標部20及び装着部30の取付対象を入れ替えても同様の作用効果が得られる。
【0067】
本実施形態の位置検出装置10は、上記(b)のように、押圧力作用機構80を設け、第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向に第一組付部40に対して押圧力を作用させことが可能なものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、位置検出装置10は、押圧力作用機構80を備えていないものとすることも可能である。
【0068】
本実施形態では、上記(c)のように、第二組付部50の挿入方向手前側から操作軸88を操作することにより、操作軸88の軸線方向に当接部86を移動させ、押圧部84から第一組付部40に対して第二組付部50の挿入方向奥側から手前側に向かう方向への押圧力を作用させることが可能なものとした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、挿入装置210が、保持部220において第二組付部50の挿入方向奥側から押圧部84を操作可能な構成である場合等においては、上記(c)のような構成としなくても良い。
【0069】
本実施形態では、上記(d)のような構成とすることにより、操作軸88の回動操作により、操作軸88の軸線方向に当接部86を移動させることができる構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、操作軸88及び貫通孔82にネジを設けず、貫通孔82に挿通された操作軸88を軸線方向に牽引することにより、操作軸88の軸線方向に当接部86を移動させることができるようにすることも可能である。
【0070】
本実施形態では、上記(e)のように第一組付部40として、第一方向に押圧力を作用させることにより、第一方向(軸線方向)に対して交差する第二方向(径方向)に方向に拡大可能なものを用いた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第一組付部40として第二方向(径方向)に拡大しないものを用いても良い。
【0071】
本実施形態では、上記(f)のように、ホルダ部90と支軸部60との間に軸受96を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、位置検出装置10は、ホルダ部90と支軸部60との間におけるガタの存在が問題とならない場合や、当該ガタの存在が許容できる場合等において、軸受96を省略した構成とすることができる。また、軸受96を設けるのとは異なる構成により、ホルダ部90と支軸部60との間のガタを解消できる場合には、そのような構成に置換しても良い。
【0072】
本実施形態では、上記(g)のように、テスタ部100をピックテスタによって構成した例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ピックテスタに代えて、他の構成のダイヤルゲージや、センサ類等を用いることも可能である。
【0073】
本実施形態では、位置検出装置10を、上記(h)のように、ワークがエンジンのシリンダヘッドに設けられた挿入穴に対してバルブガイドを挿入する際に使用されるものとして例示したが、本発明はこれに限定されない。位置検出装置10は、エンジンのシリンダヘッドとは異なるものをワークとし、これに設けられた挿入孔に対して軸状あるいは筒状の挿入物を挿入するための挿入装置の位置調整に用いるものとすることができる。
【0074】
上記実施形態では、バルブガイドを挿入物とし、エンジンのシリンダヘッドをワークとし、これに設けられたバルブガイド穴に対してバルブガイドを挿入するための挿入装置210の芯出しに位置検出装置10を活用した例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、バルブシートを挿入物とし、エンジンのシリンダヘッドをワークとし、これに設けられたバルブシート挿入用の穴に対してバルブシートを挿入するための装置を挿入装置210に代わるものとし、この装置の芯出しに位置検出装置10を活用するようにしても良い。
【0075】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ワークに設けられた挿入孔に対して軸状あるいは筒状の挿入物を挿入するための挿入装置の位置調整全般において好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 :位置検出装置
20 :指標部
24 :軸部
30 :装着部
40 :第一組付部
40a :第一内周面
40b :内側空間
50 :第二組付部
60 :支軸部
80 :押圧力作用機構
82 :貫通孔
84 :押圧部
86 :当接部
88 :操作軸
90 :ホルダ部
96 :軸受
100 :テスタ部
210 :挿入装置
220 :保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6