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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032305
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】フェンス体
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
E04H17/14 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135889
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142DD02
2E142DD13
2E142DD22
2E142HH01
2E142HH12
2E142HH26
2E142JJ06
2E142LL01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フェンスの施工性を向上させる。
【解決手段】フェンス体、支柱1と横材3とストッパーピン5を備え、支柱1は、軸方向に中空部10を有し、中空部10の長手方向にピン挿入溝15が形成されており、支柱1の側壁に横材端部が挿入される横材挿入孔14が設けられており、横材3は、横材挿入孔14に挿入された横材端部にストッパーピン5が通る孔部が設けられており、ストッパーピン5は、長手方向の少なくとも一部領域に、軸の径の一の方向がピン挿入溝15の幅より大きい膨出部52と、軸の径の他の方向がピン挿入溝15の幅以下の幅狭部53とを有するものであり、幅狭部53がピン挿入溝15に挿入されることで横材3の孔部を貫き挿入されるものであり、回動されることによって、膨出部52がピン挿入溝15と当接することを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と横材とストッパーピンを備え、支柱は、軸方向に中空部を有し、中空部の長手方向にピン挿入溝が形成されており、支柱の側壁に横材端部が挿入される横材挿入孔が設けられており、横材は、横材挿入孔に挿入された横材端部にストッパーピンが通る孔部が設けられており、ストッパーピンは、長手方向の少なくとも一部領域に、軸の径の一の方向がピン挿入溝の幅より大きい膨出部と、軸の径の他の方向がピン挿入溝の幅以下の幅狭部とを有するものであり、幅狭部がピン挿入溝に挿入されることで横材の孔部を貫き挿入されるものであり、回動されることによって、膨出部がピン挿入溝と当接することを特徴とするフェンス体。






【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンス体に関する。
【背景技術】
【0002】
フェンス体は、支柱の間に架設された上横桟(横材)と下横桟(横材)の間に竪桟を取り付けた構造のものが知られている。
また、支柱の中空部内でストッパーピンを軸方向で上横桟と下横桟に貫通させることで、上横桟と下横桟が支柱に対して抜けないようにすることも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ストッパーピンは、支柱の中空部に設けられたピン挿入溝に挿入される。
ピン挿入溝は、ストッパーピンの挿入を行いやすいように、ストッパーピンの外周面とピン挿入溝との間に隙間が生じるように形成されている。
しかしながら、フェンス体が風等で揺れた際に、ストッパーピンとピン挿入溝とが衝突することで、衝突音が生じており、このような衝突音が生じないフェンス体が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載によるフェンス体は、支柱と横材とストッパーピンを備え、支柱は、軸方向に中空部を有し、中空部の長手方向にピン挿入溝が形成されており、支柱の側壁に横材端部が挿入される横材挿入孔が設けられており、横材は、横材挿入孔に挿入された横材端部にストッパーピンが通る孔部が設けられており、ストッパーピンは、長手方向の少なくとも一部領域に、軸の径の一の方向がピン挿入溝の幅より大きい膨出部と、軸の径の他の方向がピン挿入溝の幅以下の幅狭部とを有するものであり、幅狭部がピン挿入溝に挿入されることで横材の孔部を貫き挿入されるものであり、回動されることによって、膨出部がピン挿入溝と当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上の構成により、フェンス体が風等で揺れた際の衝突音を防ぐことができるフェンス体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る実施形態のフェンスの正面図である。
図2図1の支柱側部分の切欠拡大図である。
図3図2の(3)-(3)線断面図である。
図4図2の(4)-(4)線断面図である。
図5図2の(5)-(5)線断面図である。
図6】(a)は、ストッパーピンを幅狭部の形状が視覚される方向から見た図、(b)は、ストッパーピンを膨出部の形状が視覚される方向から見た図、(c)(d)は、ストッパーピンの取り付け手順を説明する図である。
図7】クッション材の構成図であり、(a)は、クッション材の平面図、(b)は、クッション材の側面図、(c)は、(a)の(c)-(c)線断面図である。
図8】クッション材の変形例であり、(a)は、クッション材の平面図、(b)は、クッション材の側面図、(c)は、クッション材の正面図である。
図9図2に対応する支柱側部分の切欠拡大図であり、変形例のクッション材を実施した構造を示す。
図10図9の(10)-(10)線断面図である。
図11図9の(11)-(11)線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態のフェンス(フェンス体)Aを説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
[フェンスの基本構成]
フェンスAは、図1に示すように、複数の支柱1の間に上横桟(横材)2および下横桟(横材)3を架設し、上横桟2と下横桟3の間に複数の竪桟4を取り付けたものである。
支柱1は、図2に示すように、中空管であり、上横桟2および下横桟3の端部を中空部10内に呑み込んでいる。
上横桟2および下横桟3は、支柱1の中空部10内においてストッパーピン5によって固定されている。
竪桟4は、上横桟2の内部に挿入された上付子(付子)6と下横桟3の内部に挿入された下付子(付子)7にわたり取り付けられている。
上付子6と下付子7の端部600、700には、ストッパーピン5のがたつきを防止するクッション材8が取り付けられていると共に、閉塞材9が取り付けられている。
【0009】
[支柱の構成]
支柱1は、図2および図3に示すように、上端の開口部11を塞ぐキャップ12が固定され、側面に上横桟2を挿入して呑み込む上取付孔(横材挿入孔)13と、下横桟3を挿入して呑み込む下取付孔(横材挿入孔)14が設けられている。
上取付孔13は、下側を水平の直線とする水平縁部(縁部)130とし、水平縁部130を除く全周を真円に沿う円弧形に形成したものである。
下取付孔14は、上取付孔13と同じ形状を有して上下逆転させたものであり、上側を水平の直線とする水平縁部(縁部)140とし、水平縁部140を除く全周を真円に沿う円弧形に形成したものである。
支柱1の中空部10の壁面には、ストッパーピン5を支持するピン挿入溝15が設けられており、このピン挿入溝15でストッパーピン5の両側を狭持することで垂直状態に支持することができる。
上取付孔13と下取付孔14に対応する部位は、ピン挿入溝15が切欠かれており、上取付孔13と下取付孔14に対する上横桟2と下横桟3の挿入を妨げないようにしている。
【0010】
[上横桟の構成]
上横桟2は、図3に示すように、外周形状を上取付孔13の形状に対して一回り小さい相似形とし、下側に上横桟2の長手方向に沿う開口20を有し、内周に開口20と連続する保持凹部21が設けられた下向きの断面略コ字状の部材である。
このような上横桟2は、図2および図3に示すように、上取付孔13に挿し込んだ状態で、上横桟2の外周と上取付孔13の縁との間にクリアランスcが確保され、このクリアランスcを利用することで、上横桟2の角度を微調整できるようにされている。
【0011】
また、図2および図4(a)に示すように、上横桟2の支柱1内に挿し込まれる部位には、ストッパーピン5が貫通する貫通孔22が設けられている。
貫通孔22は、上横桟2の軸に沿う方向を長手側とする長孔として形成されており、ストッパーピン5を軸として貫通孔22が摺動することで、上横桟2の角度や呑み込み量を微調整することができる。
また、長孔とする貫通孔22によって、ストッパーピン5を貫通させる範囲が拡がるため、ストッパーピン5の貫通作業を容易、かつ迅速に行うことができる。
このような貫通孔22により、ストッパーピン5が貫通した状態で上横桟2の角度や呑み込み量の微調整ができると共に、支柱1の内部での貫通孔22に対するストッパーピン5の貫通作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0012】
保持凹部21は、図3に示すように、上付子6を保持するものであり、当接部210と、係合部211と、保持部212が設けられている。
当接部210は、保持凹部21の上方に設けられており、上横桟2に内蔵される上付子6の上面が当接するものである。
係合部211は、保持凹部21の下方に設けられており、上横桟2に内蔵される上付子6に設けられた被係合部60が挿入されて係合するものである。
保持部212は、クッション材8の後述する突出部82を上下で挟むように保持するものであり、突出部82の保持状態においてクッション材8の上下方向の動きを防ぐものである。
このような保持凹部21は、挿入された上付子6の上面を当接部210に当接させると共に、上付子6の被係合部60を係合部211に係合させることで、上付子6を上横桟2の内部で保持することができる。
また、保持部212により、クッション材8の上下方向の動きを防ぐことができるので、後述するストッパーピン5の貫通作業時にクッション材8を定位置に保持することができる。
【0013】
[下横桟の構成]
下横桟3は、図2および図3に示すように、上横桟2と同じ構成を有して上下逆転させたものであり、外周形状を下取付孔14の形状に対して一回り小さい相似形とし、上側に下横桟3の長手方向の全域に沿う開口30を有し、内周に開口30と連続する保持凹部31が設けられた下向きの断面略コ字状の型材である。
このような下横桟3は、図3に示すように、下取付孔14に挿し込んだ状態で、下横桟3の外周と下取付孔14の縁との間にクリアランスcが確保され、このクリアランスcを利用することで、下横桟3の角度を微調整できるようにされている。
【0014】
また、図2および図4(b)に示すように、下横桟3の支柱1内に挿し込まれる部位には、ストッパーピン5が貫通する貫通孔32が設けられている。
貫通孔32は、下横桟3の軸に沿う方向を長手側とする長孔として形成されており、ストッパーピン5を軸として貫通孔32が摺動することで、下横桟3の角度や呑み込み量を微調整することができる。
また、長孔とする貫通孔32によって、ストッパーピン5を貫通させる範囲が拡がるため、ストッパーピン5の貫通作業を容易、かつ迅速に行うことができる。
このような貫通孔32により、ストッパーピン5が貫通した状態で上横桟2の角度や呑み込み量の微調整ができると共に、支柱1の内部での貫通孔32に対するストッパーピン5の貫通作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0015】
保持凹部31は、図3に示すように、下付子7を保持するものであり、当接部310と、係合部311と、保持部312が設けられている。
当接部310は、保持凹部31の下方に設けられており、下横桟3に内蔵される下付子7の下面が当接するものであり、係合部311は、保持凹部31の上方に設けられており、下横桟3に内蔵される下付子7に設けられた被係合部70が係合するものである。
保持部312は、クッション材8の後述する突出部82を上下で挟むように保持するものであり、突出部82の保持状態においてクッション材8の上下方向の動きを防ぐものである。
このような保持凹部31は、挿入された下付子7の下面を当接部310に当接させると共に、下付子7の被係合部70を係合部311に係合させることで、下付子7を下横桟3の内部で保持することができる。
また、保持部312により、クッション材8の上下方向の動きを防ぐことができるので、後述するストッパーピン5の貫通作業時にクッション材8を定位置に保持することができる。
【0016】
[竪桟の構成]
竪桟4は、図1に示すように、上付子6と下付子7にわたり取り付けられており、上端部40が上横桟2に内蔵された上付子6の溝610に挿入されて上付子6に軸支され、下端部41が下横桟3に内蔵された下付子7の溝710に挿入されて下付子7に軸支されている。
竪桟4は、上付子6と下付子7に対して回転自在に軸支されている。
すなわち、上横桟2と下横桟3の角度を水平状態から傾斜状態に微調整するときに、竪桟4が上横桟2と下横桟3の長手方向へのずれに対応して回転することで、竪桟4を垂直状態にすることができる。
【0017】
[ストッパーピンの構成]
ストッパーピン5は、図2図3図6(a)(b)に示すように、下端を尖らせて略L字状に形成された金属棒であり、支柱1の上部の開口部11から長手側の垂直部50を支柱1の内部に挿入してピン挿入溝15、貫通孔22、32に貫通することで、上横桟2と下横桟3が支柱1と連結されて抜け止めされる。
ストッパーピン5の上端短手側の水平部51は、ストッパーピン5を軸回動させるものであると共に、ストッパーピン5を貫通孔22、32に貫通させるときにハンマーで叩くものである(図6(c)(d)参照)。
ストッパーピン5は、図2および図3に示すように、上取付孔13と下取付孔14の間に位置する垂直部50の長手方向の領域(一部領域)に、軸の径の一の方向がピン挿入溝の幅より大きい膨出部52と、軸の径の他の方向がピン挿入溝の幅以下の幅狭部53とを有している。
膨出部52と幅狭部53は、図4および図6(c)(d)に示すように、垂直部50の両面に互いに径方向で直交する角度(90度)で配置されている。
膨出部52は、水平部51の径方向側に形成され、幅狭部53は、水平部51の軸側に形成されており、後述するピン挿入溝15に対するストッパーピン5の挿入時に、水平部51の向きを確認することによって、膨出部52および幅狭部53の方向が分かるようになっている。
本実施形態の幅狭部53は、ストッパーピン5の外周を径方向の正対する両面を潰すことで形成され、膨出部52は、幅狭部53を形成する際に生じる潰し力によって、幅狭部53と径方向で直交する両面が膨出することで形成される。
本発明では、膨出部52を形成する手段として、ストッパーピン5の垂直部50の外面に膨出部52に相当する形状とする金属片を溶接等の固定手段で取り付けてもよい(図示せず)。
この場合の幅狭部53は、膨出部52を除くストッパーピン5の垂直部50の周面である(図示せず)。
【0018】
このようなストッパーピン5をピン挿入溝15に挿入する際には、最初に図6(c)に示すように、膨出部52をピン挿入溝15の開口に臨ませて、幅狭部53をピン挿入溝15の壁面151と正対するように挿入する。
このとき、幅狭部53がピン挿入溝15の溝幅よりも小さいため、幅狭部53と壁面151との間に隙間sが生じている。
次に、図6(d)に示すように、水平部51を持ってストッパーピン5を90度軸回転させると、膨出部52がピン挿入溝15の壁面151に圧接状に当接する。
すなわち、ピン挿入溝15に挿入されたストッパーピン5は、膨出部52がピン挿入溝15の壁面151に圧接状に当接することで、膨出部52と対向する部分に隙間sがなくなり、ピン挿入溝15にしっかりと保持される。
したがって、フェンスAが風等により揺れても、ストッパーピン5とピン挿入溝15との衝突がなくるため、衝突音の発生を防ぐことができる。
【0019】
[上付子の構成]
上付子6は、図3に示すように、上横桟2の保持凹部21の内部に挿入される断面略コ字状の部材である。
上付子6は、下向きの開口61を有する溝610が形成され、開口61の下端縁に被係合部60が設けられていると共に、溝610の上面に貫通孔62が形成されている。
被係合部60は、上付子6の全長にわたって略L字状に形成されており、上付子6の挿入状態において保持凹部21に凹設された係合部211に挿入状に係合される。
溝610は、竪桟4が挿入される部位であり、上付子6の全長にわたって形成されている。
貫通孔62は、図2および図4(a)に示すように、ストッパーピン5が貫通する長孔であり、上横桟2の貫通孔22と略同じ形状に形成されていると共に、上付子6が上横桟2に内蔵された状態で、上下方向で対向するようにされている。
また、図2に示すように、溝610の上面の閉塞材9の近傍には、水抜き孔620が設けられている。
【0020】
このような上付子6は、図3に示すように、上横桟2の一端側から保持凹部21に挿入することで、上横桟2に内蔵され、内蔵された状態で、上付子6の上面が当接部210に当接すると共に、被係合部60が係合部211に係合することで、図2に示すように、上横桟2に確実に保持され、且つ上横桟2の貫通孔22と貫通孔62が連通する。
また、長孔とする貫通孔62によって、ストッパーピン5を貫通させる範囲が拡がるため、ストッパーピン5の貫通作業を容易、かつ迅速に行うことができる。
このような貫通孔62により、ストッパーピン5が貫通した状態で上横桟2の角度や呑み込み量の微調整ができると共に、支柱1の内部での貫通孔22に対するストッパーピン5の貫通作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0021】
[下付子の構成]
下付子7は、図2および図3に示すように、上付子6と同じ構成を有して上下逆転させたものであり、下横桟3の保持凹部31の内部に挿入される断面略コ字状の部材である。
下付子7は、上向きの開口71を有する溝710が形成され、開口71の上端縁に被係合部70が設けられていると共に、溝710の下面に貫通孔72が形成されている。
被係合部70は、下付子7の全長にわたって略L字状に形成されており、下付子7の挿入状態において保持凹部31に凹設された係合部311に挿入状に係合される。
溝710は、竪桟4が挿入される部位であり、下付子7の全長にわたって上付子6の開口61と対向するように形成されている。
貫通孔72は、図2および図4(b)に示すように、ストッパーピン5が貫通する長孔であり、下横桟3の貫通孔32と略同じ形状に形成されていると共に、下付子7が下横桟3に内蔵された状態で、上下方向で対向するようにされている。
また、図2に示すように、溝710の下面の閉塞材9の近傍には、水抜き孔720が設けられており、溝710内を流れる雨水を排水するようにしている。
【0022】
このような下付子7は、図3に示すように、下横桟3の一端側から保持凹部31に挿入することで、下横桟3に内蔵され、内蔵された状態で、下付子7の下面が当接部310に当接すると共に、被係合部70が係合部311に係合することで、図2に示すように、下横桟3に確実に保持され、且つ下横桟3の貫通孔32と貫通孔72が連通する。
また、長孔とする貫通孔72によって、ストッパーピン5を貫通させる範囲が拡がるため、ストッパーピン5の貫通作業を容易、かつ迅速に行うことができる。
このような貫通孔72により、ストッパーピン5が貫通した状態で下横桟3の角度や呑み込み量の微調整ができると共に、支柱1の内部での貫通孔72に対するストッパーピン5の貫通作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0023】
[クッション材の構成]
クッション材8は、ゴム材や合成樹脂材等の弾性を有する素材から形成されたものであり、図2図4に示すように、上付子6と下付子7の端部600、700にそれぞれ挿入されている。
クッション材8は、図5に示すように、上付子6および下付子7の端面63、73から端部600、700内に挿入される挿入部80と、上付子6および下付子7の端面63、73の縁に当接する当接部81と、上付子6および下付子7の外面64、74と上横桟2および下横桟3の内面23、33の間に入り込み、クッション材8を保持部212、312で上下方向に動かないように保持する突出部82と、挿入部80に設けられた貫通孔83を有している。
【0024】
ここで、上付子6および下付子7の端部600、700とは、上付子6および下付子7の端面63、73から上付子6および下付子7の長手方向反対側の端面に向かう中途までの領域であり、且つ閉塞材9が取り付けられる領域である。
この領域は、クッション材8および閉塞材9の大きさや閉塞材9の取付位置によって変動する。
【0025】
挿入部80は、図4に示すように、上付子6および下付子7の端部600、700内で一部が密着した状態で挿入され、密着した部分の弾性によって挿入状態が保持されている。
当接部81は、図5に示すように、挿入部80に一体形成されており、図4に示すように、上付子6および下付子7の端面63、73の縁に当接し、当接することによって、挿入部80の挿入位置を正常に保持している。
突出部82は、当接部81の両端に挿入部80と平行、且つ挿入部80の先端(上付子6および下付子7)側に向かって突設されており、挿入部80の挿入時において、上付子6および下付子7の端面63、73から上付子6および下付子7の外面64、74と上横桟2および下横桟3の内面23、33の間に入り込むように形成されている。
また突出部82は、前述したように、挿入部80の挿入時において、保持部212、312で上下方向に動かないように保持されている。
貫通孔83は、ストッパーピン5が貫通する長孔であり、長手方向が上横桟2の貫通孔22および下横桟3の貫通孔32と略同じ長さであり、挿入部80が上付子6および下付子7の端部内に挿入された状態で、上下方向で対向するようにされている。
また、貫通孔83は、幅がストッパーピン5の径よりも狭いものであって、ストッパーピン5の貫通時に幅方向に押し拡げられて元に戻る弾性力でストッパーピン5を狭持することにより、ストッパーピン5のがたつきを抑えるようになっている。
【0026】
このようなクッション材8は、上付子6および下付子7の端部600、700内に挿入された挿入部80が弾性によって密着することで、上付子6および下付子7にしっかりと取り付けることができる。
クッション材8は、挿入部80の挿入状態において、突出部82が保持部212、312で上下方向に動かないように保持されているので、上付子6側および下付子7側のクッション材8にあっては、ストッパーピン5が貫通孔83を押し拡げながら貫通するときの摩擦力に抗して定位置を保持することができる。
すなわち、クッション材8は、ストッパーピン5の貫通時に定位置を保持することができると共に、上付子6および下付子7からの抜けを防止することができ、これによって、ストッパーピン5の貫通作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
また、上付子6側と下付子7側の双方のクッション材8の貫通孔83でストッパーピン5の上下を狭持しているので、ストッパーピン5のがたつきを確実に抑えることができる。
【0027】
[閉塞材の構成]
閉塞材9は、図2図4に示すように、支柱1の外側で上取付孔13および下取付孔14と対向するように、上付子6および下付子7の端部600、700にそれぞれ取り付けられている。
閉塞材9は、図2図3に示すように、閉塞材9が取り付けられる領域である上付子6および下付子7の端部600、700に、上取付孔13と下取付孔14の近傍となる位置で端部600、700の内側周囲の全域を塞ぐように、開口61、71から溝610、710に挿入されており、図2に示すように、支柱1側の端面が上取付孔13および下取付孔14に対面して近接またはわずかに挿入された状態にされている。
上付子6側の閉塞材9は、下端90を上取付孔13の下側の水平縁部130に対して近接させると共に、上横桟2の開口20の縁部と同面で、上取付孔13の下側の水平縁部130に近接させることで、上取付孔13の近傍に取り付けられる。
下付子7側の閉塞材9は、上端91を下取付孔14にわずかに挿入させると共に、端部91を下横桟3の開口30の縁部と同面で、下取付孔14の上側の水平縁部140に近接させることで、下取付孔14の近傍に取り付けられる。
ここで、近接とは、閉塞材9の下端90と上取付孔13の下側の水平縁部130との間が、少なくとも、上取付孔13側の上付子6の開口61に指が入らない程度の間隔となるように、閉塞材9の下端90を水平縁部130に近づけるという意味である。
また、閉塞材9の上端91と下取付孔14の上側の水平縁部140との間が、少なくも、下取付孔14側の下付子7の開口71に指が入らない程度の間隔となるように、、閉塞材9の上端91を水平縁部140に近づけるという意味である。
なお、閉塞材9は、支柱1の内側で上付子6および下付子7の端部600、700に取り付けてもよい。
【0028】
このような閉塞材9は、上付子6側の閉塞材9が、上取付孔13の近傍で、上付子6の端部600の内側周囲の全域を塞いでいるので、上付子6の開口61から支柱1内への水の浸入を防止することができると共に、開口61から支柱1内への指の侵入を阻止すると共に、上取付孔13の水平縁部130に指を接触させないようにすることができる。
また、下付子7側の閉塞材9が、下取付孔14の近傍で、下付子7の端部700の内側周囲の全域を塞いでいるので、下付子7の開口71から内側に浸入した水の支柱1内への浸入を防止することができると共に、開口71から支柱内への指の侵入を阻止すると共に、下取付孔14の水平縁部140に指を接触させないようにすることができる。
閉塞材9による指の支柱1内への侵入防止は、上横桟2および下横桟3の支柱1への取り付け作業時の指の支柱1内への侵入を防止することで、作業の安全性を確保し、作業の安全性を確保したことで、指の支柱1内への侵入の心配をすることなく作業することができるので、フェンスAの施工の効率化を図れる。
【0029】
ここで、前述した上横桟2、下横桟3、竪桟4、上付子6、下付子7、クッション材8、閉塞材9は、あらかじめ工場において組み立てて一つのユニットとすることが好ましい。
このようなユニットとすることで、現場でのフェンスAの施工を効率的に行うことができる。
【0030】
[クッション材の変形例]
図8は、閉塞材9に相当する閉塞部84を一体形成したクッション材8aを示し、図9図11は、クッション材8aを実施したフェンスAの拡大断面図を示している。
なお、以下では、上横桟2側のみを図示して説明する。
下横桟3側については、クッション材8aが上下逆向きとして挿入される。
【0031】
クッション材8aは、図8に示すように、挿入部80の先端側に閉塞部84が一体形成されているものであり、図9および図11に示すように、支柱1の中空部10側からクッション材8aを上付子6の端部600に挿入することができ、挿入したときに閉塞部84が支柱1の外側で上取付孔13と対向するように配置される。
閉塞部84は、図9図11に示すように、閉塞材9が取り付けられる領域である上付子6の端部600に、上付子6の内側周囲の全域を塞ぐ挿入状態であり、支柱1側の端面が上取付孔13に対して近接またはわずかに挿入された状態にされている。
また、閉塞部84は、図9および図10に示すように、下端840が上横桟2の開口20の縁部と同面で、上取付孔13の下側の水平縁部130に近接させることで、上取付孔13の近傍に取り付けられる。
【0032】
このようなクッション材8aは、閉塞材9に相当する閉塞部84を一体に備えているので、クッション材8aを取り付けることで、ストッパーピン5の支持機能と、上付子6の開口61から支柱1内への水の浸入防止機能と、上取付孔13の水平縁部130への指の接触防止機能を発揮することができる。
よって、作業迅速性が向上し、フェンスAの施工のより高い効率化を図れる。
【0033】
以上の構成とするフェンスAは、前述したように、施工の高い効率性を有し、その上で、ストッパーピン5のがたつきを抑えることができると共に、雨水の浸入の防止、作業の安全性を確保することができる。
【0034】
以上、本発明に係る実施形態のフェンスAを、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0035】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
A:フェンス
1:支柱
2:上横桟
3:下横桟
4:竪桟
5:ストッパーピン
6:上付子
7:下付子
8:クッション材
8a:クッション材
9:閉塞材
10:中空部
11:開口部
12:キャップ
13:上取付孔
14:下取付孔
15:ピン挿入溝
20:開口
21:保持凹部
22:貫通孔
23:内面
30:開口
31:保持凹部
32:貫通孔
33:内面
40:上端部
41:下端部
50:垂直部
51:水平部
52:膨出部
53:幅狭部
60:被係合部
61:開口
62:貫通孔
63:端面
64:外面
70:被係合部
71:開口
72:貫通孔
73:端面
74:外面
80:挿入部
81:当接部
82:突出部
83:貫通孔
90:下端
91:上端
130:水平縁部
140:水平縁部
210:当接部
211:係合部
212:保持部
310:当接部
311:係合部
312:保持部
600:端部
610:溝
620:水抜き孔
700:端部
710:溝
720:水抜き孔
840:下端
c:クリアランス
s:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11