(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032322
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】駐車支援装置及び駐車支援方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240305BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135917
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳哉
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA60
3D241BB03
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241DC25Z
3D241DC33Z
3D241DC41Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
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5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】乗員の利便性を高め、自動駐車機能による自動駐車の成功確率を高めた駐車支援装置及び駐車支援方法を提供する。
【解決手段】駐車支援装置170は、乗員の操作に基づき、自車両1Aを駐車する駐車スペースを検出する範囲である駐車範囲を設定し、駐車範囲を示す駐車範囲情報を生成する駐車範囲情報生成部192と、自車両1Aに搭載されたセンサが検出する障害物の検出結果と、駐車範囲情報と、に基づき、自車両1Aを駐車する駐車位置を決定する駐車位置決定部194と、自車両1Aが駐車位置まで移動して駐車位置に駐車する制御情報を生成する制御情報生成部195と、車両の走行を制御する駆動制御装置150に、制御情報を送信するI/O175と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の操作に基づき、車両を駐車することが可能な駐車スペースを検出する範囲である駐車範囲を設定し、前記駐車範囲を示す駐車範囲情報を生成する駐車範囲情報生成部と、
前記車両に搭載されたセンサが検出する障害物の検出結果と、前記駐車範囲情報と、に基づき、前記駐車範囲の中で前記駐車スペースを検出し、検出した前記駐車スペースを前記車両が駐車する駐車位置として決定する駐車位置決定部と、
前記車両が前記駐車位置まで移動して前記駐車位置に駐車する制御情報を生成する制御情報生成部と、
前記車両の走行を制御する制御装置に、前記制御情報を送信する送信部と、
を備える駐車支援装置。
【請求項2】
表示部に地図画像を表示するナビゲーション制御部を備え、
前記駐車範囲情報生成部は、
前記乗員が操作により指定する前記地図画像上の地点に基づいて前記駐車範囲情報を生成する、請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記車両に搭載され、前記車両の車室内を撮像するカメラの撮像画像に基づいて前記乗員のジェスチャーを検出する検出部を備え、
前記駐車範囲情報生成部は、前記検出部が検出した前記乗員のジェスチャーに基づいて前記駐車範囲情報を生成する、請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記乗員が前記車両の前方を前記乗員の指で指し示す前記ジェスチャーを前記撮像画像から検出した場合に、前記乗員の手の高さと、前記乗員の指の路面に対するピッチ角と、を前記撮像画像から検出し、
前記駐車範囲情報生成部は、前記乗員の手の高さと、前記ピッチ角と、に基づいて前記駐車範囲情報を生成する、請求項3記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記駐車範囲情報生成部は、前記乗員の手の高さと、前記ピッチ角と、に基づき、前記乗員の指が指し示す路面の位置を特定し、
前記路面の位置を基準として前記駐車範囲を設定して前記駐車範囲情報を生成する、請求項4記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記駐車範囲情報生成部は、前記車両が走行予定の道路の傾斜を示す傾斜情報を取得し、
前記傾斜情報に基づいて前記駐車範囲情報を補正する、請求項5記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記駐車位置として選択する駐車スペースを選択する選択条件を記憶する記憶部を備え、
前記駐車位置決定部は、前記駐車範囲情報が示す前記駐車範囲内から複数の駐車スペースを検出した場合に、前記選択条件に従って前記複数の駐車スペースから1の駐車スペースを選択し、選択した前記駐車スペースを前記駐車位置に決定する、請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項8】
乗員の操作に基づき、車両を駐車することが可能な駐車スペースを検出する範囲である駐車範囲を設定し、前記駐車範囲を示す駐車範囲情報を生成するステップと、
前記車両に搭載されたセンサが検出する障害物の検出結果と、前記駐車範囲情報と、に基づき、前記駐車範囲の中で前記駐車スペースを検出し、検出した前記駐車スペースを前記車両が駐車する駐車位置として決定するステップと、
前記車両が前記駐車位置まで移動して前記駐車位置に駐車する制御情報を生成するステップと、
前記車両の走行を制御する制御装置に、前記制御情報を送信するステップと、
を有する駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置及び駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両周辺の対象物の位置を特定する対象物特定装置であって、車両の現在位置及び車両の方位を検出する測位部と、車両の周囲を撮像する撮像部と、車両内の乗員が自身の手を用いて指し示した指示方向を検知する指差し方向検知部と、指差し方向検知部が検知した指示方向に存在する対象物を撮像部が撮像した画像内から抽出する対象物抽出部と、車両に対して、対象物抽出部が抽出した対象物の位置を特定する対象物位置特定部とを備える対象物特定装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動駐車機能を利用して車両を駐車する場合、乗員は、まず、車両が駐車する駐車できそうな場所の近くに車両を一旦、停止させ、その後、車両に搭載されたカメラの撮像画像から駐車スペ-スを選択する操作が必要であった。このため、自動駐車機能を実行するための操作が煩雑であった。また、乗員が駐車できそうな場所を見つける必要があるため、乗員が駐車できそうな場所を見逃してしまうことによって駐車したいエリアを通り過ぎてしまうことがあり、駐車ができないことがあった。このため、自動駐車機能を使って駐車しようとしても駐車できないことがあり、乗員にとって不便であった。
【0005】
本開示は、自動駐車機能により車両を駐車する場合の乗員の利便性を高め、乗員が駐車したい範囲内で自動駐車機能により駐車する確実性が向上する駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、乗員の操作に基づき、車両を駐車することが可能な駐車スペースを検出する範囲である駐車範囲を設定し、前記駐車範囲を示す駐車範囲情報を生成する駐車範囲情報生成部と、前記車両に搭載されたセンサが検出する障害物の検出結果と、前記駐車範囲情報と、に基づき、前記駐車範囲の中で前記駐車スペースを検知し、検知した前記駐車スペースを前記車両が駐車する駐車位置として決定する駐車位置決定部と、前記車両が前記駐車位置まで移動して前記駐車位置に駐車する制御情報を生成する制御情報生成部と、前記車両の走行を制御する制御装置に、前記制御情報を送信する送信部と、を備える駐車支援装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、自動駐車機能により車両を駐車する場合の乗員の利便性を高め、乗員が駐車したい範囲内で自動駐車機能により駐車する確実性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】人差し指の延長線と、路面との交点を示す図である。
【
図7】駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】変形の駐車範囲の設定方法について説明する説明図である。
【
図9】車両が走行予定の道路が登り坂である場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.車載装置の構成]
以下、添付図面を参照しながら実施形態を説明する。
図1は、車両に搭載された車載装置100の構成を示すブロック図である。
車載装置100は、センサ部110、位置検出ユニット120、表示部130、スピーカ141、音声処理部143、駆動制御装置150、駆動装置155及び駐車支援装置170を備える。以下、
図1に示す車載装置100を搭載した車両を自車両1Aと表記し、自車両1A以外の車両を他車両1Bと表記する。
【0010】
センサ部110、位置検出ユニット120、表示部130、音声処理部143、駆動制御装置150及び駐車支援装置170は、通信バス5を介して相互にデータ通信可能に接続される。通信バス5には、イーサネット(登録商標)や、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等の規格に従ったバスが用いられる。
【0011】
センサ部110は、車内カメラ111、車外カメラ113及びLiDAR(Light Detection and Ranging)115を備える。
本実施形態では、センサ部110が、車内カメラ111や、車外カメラ113等のカメラと、LiDAR115と、を備える場合について説明するが、センサ部110が、ミリ波レーダ、超音波センサ等の反射波を利用したセンサを備える構成であってもよい。
【0012】
車内カメラ111は、例えば、バックミラーの上方又は下方や、自車両1Aのダッシュボードの車幅方向の略中央等の車室内に配置され、運転席に着座した乗員である運転者を撮像する。車内カメラ111は、撮像レンズと、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等のイメージセンサと、イメージセンサの受光状態から画像を生成する処理回路とを備える。撮像レンズ、イメージセンサ及び処理回路の図示は省略する。
車内カメラ111の設置数は1台であってもよいし、複数台であってもよい。また、車内カメラ111は、単眼カメラであってもよいし、ステレオカメラであってもよい。車内カメラ111は、所定のフレームレートで撮像画像を生成し、生成した撮像画像を駐車支援装置170に出力する。駐車支援装置170は、入力した撮像画像を記憶部180に一時的に記憶する。
【0013】
車外カメラ113は、自車両1Aの前方を撮影するフロントカメラ、自車両1Aの後方を撮影するリアカメラ、自車両1Aの左側方を撮影する左サイドカメラ、及び自車両1Aの右側方を撮影する右サイドカメラを備える。これらの車外カメラ113も、撮像レンズ、イメージセンサ及び処理回路をそれぞれ備える。
車外カメラ113は、4台のカメラにより自車両1Aを中心に360°の範囲を撮影可能となるように画角が調整されている。車外カメラ113は、各々の撮像範囲を所定のフレームレートで撮像して撮像画像を生成する。4台の車外カメラ113は、生成した撮像画像を駐車支援装置170にそれぞれ出力する。駐車支援装置170は、入力した撮像画像を記憶部180に一時的に記憶する。
【0014】
LiDAR115は、自車両1Aの周囲に存在する障害物の大きさや、障害物が存在する方位や距離等を検出する。LiDAR115は、レーザー光等の検出光を照射し、検出光を照射してから、検出光が障害物で反射した反射光を受光するまでの経過時間に基づき障害物の大きさや、障害物が存在する方位や距離等を検出する。LiDAR115は、検出した障害物の大きさや、障害物が存在する方位や距離を示す情報を測定データとして駐車支援装置170に出力する。駐車支援装置170は、入力した測定データを記憶部180に一時的に記憶する。
【0015】
位置検出ユニット120は、自車両1Aの位置を検出する。位置検出ユニット120は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器と、プロセッサとを備える。GNSS受信器及びプロセッサの図示は省略する。GNSS受信器は、衛星から送信される衛星信号を受信する。プロセッサは、GNSS受信器が受信した衛星信号に基づいて自車両1Aの位置を示す緯度及び経度を求める。また、プロセッサは、複数求めた緯度や経度の差分に基づき、自車両1Aの進行方向を示す方位を求める。位置検出ユニット120は、求めた自車両1Aの緯度や経度、方位の情報を駐車支援装置170に出力する。
【0016】
表示部130は、表示パネル及びタッチセンサを含むタッチパネル131を備える。表示パネル及びタッチセンサの図示は省略する。
表示パネルは、例えば、液晶パネルや、有機EL(Electro Luminescence)パネルが用いられる。
タッチセンサは、表示パネルに対するタッチ操作を検出する。タッチセンサは、乗員の指が触れたタッチパネル131の位置を検出する。タッチセンサは、乗員の指が触れたタッチパネル131の位置を示す座標情報を含む操作信号を駐車支援装置170に出力する。
【0017】
音声処理部143は、例えば音声処理用のプロセッサにより構成される。音声処理部143には、スピーカ141が接続される。音声処理部143は、駐車支援装置170から入力した音声データをD/A変換してアナログの音声信号に変換する。音声処理部143は、変換した音声信号を増幅し、増幅した音声信号をスピーカ141により音声として出力する。
【0018】
駆動制御装置150は、記憶部及びプロセッサを備えるECU(Electronic Control Unit)等のコンピュータ装置である。
駆動制御装置150は、駐車支援装置170から入力する制御情報に基づいて駆動装置155を制御する。駆動装置155は、操舵装置155A、動力装置155B、制動装置155C及び変速装置155Dを備える。
【0019】
操舵装置155Aは、自車両1Aの操舵輪を操舵するアクチュエータを含む装置である。駆動制御装置150は、制御情報に従って操舵装置155Aのアクチュエータを駆動して、自車両1Aの操舵輪を操舵する。
【0020】
動力装置155Bは、自車両1Aの駆動輪の駆動力を調整するアクチュエータを含む装置である。このアクチュエータには、自車両1Aの動力源がエンジンである場合はスロットルアクチュエータが該当し、動力源がモータである場合には当該モータが該当する。駆動制御装置150は、制御情報に従って動力装置155Bのアクチュエータを駆動し自車両1Aを走行させる。
【0021】
制動装置155Cは、制御情報に従って自車両1Aに設けられたブレーキシステムを制御し、自車両1Aの車輪に付与する制動力を制御するアクチュエータを含む装置である。駆動制御装置150は、制御情報に従って制動装置155Cのアクチュエータを制御し、自車両1Aの車輪に制動力を付与する。
【0022】
変速装置155Dは、変速機及びアクチュエータを含む装置である。変速装置155Dは、アクチュエータを駆動して変速機のシフト位置を制御し、変速機の変速比や、自車両1Aの前進及び後進を切り替える。駆動制御装置150は、変速装置155Dのアクチュエータを制御し、変速装置155Dのシフト位置を変更する。
【0023】
[2.駐車支援装置の構成]
駐車支援装置170は、例えば、ECU等のコンピュータ装置であり、入出力インターフェイス(以下、I/Oと略記する)175、記憶部180及びプロセッサ190を備える。
【0024】
I/O175は、通信バス5に接続され、通信バス5に接続した外部装置との間で相互にデータ通信を行う。I/O175は送信部に相当する。
【0025】
記憶部180は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。ROMは、制御プログラム181や地図データ183、各種の設定情報185等を記憶する。RAMは、プロセッサ190が演算領域として使用する。
【0026】
設定情報185には、例えば、車両諸元の情報や、選択条件等が含まれる。
車両諸元の情報は、自車両1Aの車高や、車長、車幅等の情報を含む。
選択条件は、駐車支援装置170が複数の駐車スペースを検出した場合に、複数の駐車スペースから1つを選択するときの条件を示す情報である。選択条件は、乗員が事前に設定する情報である。選択条件には、例えば、目的地からの距離が最も近い駐車スペースを駐車位置に選択する、道路の右側よりも左側の駐車スペースを駐車位置に選択する、等の条件が含まれる。
【0027】
プロセッサ190は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processor Unit)等の演算処理装置である。プロセッサ190は、単一のプロセッサにより構成してもよいし、複数のプロセッサにより構成することも可能である。また、プロセッサ190は、記憶部180の一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoC(System on a chip)により構成してもよい。また、プロセッサ190は、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。さらに、プロセッサ190の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0028】
駐車支援装置170は、機能的構成として、ナビゲーション制御部191、駐車範囲情報生成部192、検出部193、駐車位置決定部194及び制御情報生成部195を備える。これらの機能的構成は、プロセッサ190が、制御プログラム181を実行して演算を行うことで実現される機能である。
【0029】
[3.駐車支援装置の動作]
ナビゲーション制御部191は、地図データ183に基づく地図画像をタッチパネル131に表示する。ナビゲーション制御部191は、乗員により目的地が設定されると、位置検出ユニット120が求めた自車両1Aの緯度や経度、方位と、地図データ183とに基づき、所定の経路探索アルゴリズムにより誘導経路を複数探索する。
乗員が1の誘導経路を選択すると、ナビゲーション制御部191は、地図データ183に基づく地図画像に、誘導経路と、自車両1Aの現在位置とを重畳して表示し、目的地までの誘導経路を案内する。
【0030】
また、ナビゲーション制御部191は、自車両1Aが駐車する駐車範囲10の設定をタッチパネル131により受け付ける。駐車範囲10とは、自車両1Aが駐車する駐車位置を検出する範囲を示し、例えば、数メートル~数十メートルの範囲で設定される。駐車支援装置170は、設定された駐車範囲10から自車両1Aが駐車可能な駐車スペースを検出し、検出した駐車スペースのなかから自車両1Aが実際に駐車する駐車位置を決定する。
【0031】
図2は、ナビゲーション制御部191がタッチパネル131に表示する表示画面133の一例を示す図である。
ナビゲーション制御部191がタッチパネル131に表示する表示画面133の操作メニュー135には、駐車範囲10の設定が含まれる。ナビゲーション制御部191は、操作メニュー135の1つである駐車範囲10の設定が選択されると、基準地点Fの設定を案内する案内表示137を表示画面133に表示する。
【0032】
乗員は、駐車範囲10に設定したい範囲を表示した地図画像をタッチパネル131に表示させ、地図画像上の1点にタッチする。乗員がタッチした地図画像上の地点を基準地点Fという。乗員は、例えば、道路沿いに設けられた駐車可能な場所に自車両1Aを駐車させる場合、道路上の1点を基準地点Fとして選択する。また、乗員は、駐車場を選択する場合には、駐車場内の任意の1点を基準地点Fとして選択する。ナビゲーション制御部191は、入力された基準地点Fの緯度及び経度を駐車範囲情報生成部192に出力する。
【0033】
図3は、駐車範囲情報生成部192が生成する駐車範囲10を示す図である。
駐車範囲情報生成部192は、ナビゲーション制御部191から入力される基準地点Fの緯度及び経度に基づいて駐車範囲10を設定する。駐車範囲情報生成部192は、入力された基準地点Fを中心とする所定範囲を駐車範囲10に設定する。
図3は、一方通行の道路であって、道路の左右両側が駐車可能な場所であり、駐車できそうな空間がある場合を示す。例えば、基準地点Fとして、
図3に示す道路上の1点が選択された場合、基準地点Fを中心にして、道路の第1延伸方向R1と、この第1延伸方向R1と逆方向の第2延伸方向R2との所定範囲と、道路の幅方向R3の所定範囲とを含む範囲を駐車範囲10に設定する。第1延伸方向R1及び第2延伸方向R2の範囲は、例えば、10m以上、100m以下の範囲内で設定可能である。また、道路の幅方向R3の所定範囲は、例えば、10m以上、40m以下の範囲内で設定可能である。道路の幅方向R3の所定範囲は、例えば、基準地点Fが設定された道路幅に基づいて設定してもよい。つまり、道路の幅方向R3の所定範囲は、道路の道路幅と同一が、又はそれよりも多少大きい範囲に設定することができる。
【0034】
図4は、乗員が行うジェスチャーを示す図である。
検出部193は、乗員のジェスチャーを検出する。
基準地点Fの設定方法には、地図画像上の地点を乗員がタッチして設定する方法と、乗員のジェスチャーにより基準地点Fを設定する方法と、の2通りの方法がある。
検出部193は、基準地点Fを設定する乗員のジェスチャーを検出する。乗員は、自車両1Aの運転席に着座し、基準地点Fとして設定したい地点を運転席から指さすジェスチャーを行う。本実施形態では、ジェスチャーが、基準地点Fに設定したい位置に向けて人差し指を指さす場合について説明するが、ジェスチャーに使用する指は、中指であっても親指であってもよい。また、ジェスチャーに使用する指の本数は、1本に限定されず、複数本を使用してもよい。
【0035】
まず、検出部193は、記憶部180から車内カメラ111の撮像画像を取得する。
検出部193は、取得した撮像画像から乗員の手を検出する。検出部193は、乗員の手を検出すると、検出した手の形状が、自車両1Aの前方を人差し指により指さすジェスチャーに対応した形状となっているか否かを判定する。検出部193は、手の形状がジェスチャーに対応した形状になっていると判定した場合、手の高さや、ピッチ角θ1を検出する。
【0036】
図5は、基準位置P及びピッチ角θ1を示す図である。図示を簡略化するために、
図5には、乗員の右手を、乗員の左側方から撮像した画像を示すが、車内カメラ111は、乗員を正面、又は乗員の左前方から撮像して撮像画像を生成する。
検出部193は、撮像画像に撮像された人差し指のうち、例えば、人差し指の付け根付近であって、高さが最も高い位置を基準位置Pに設定する。撮像画像には、座標系が設定される。この座標系を撮像座標系という。
図5に示す撮像座標系は、図面視で撮像画像の右下を原点とし、撮像画像の縦方向に平行な方向をX軸、横方向に平行な方向をY軸とする座標系である。検出部193は、人差し指の付け根付近であって、Y座標の座標値が最も大きい位置を基準位置Pに設定する。検出部193は、基準位置PのY座標値を、手の高さとして検出する。
また、検出部193は、この基準位置Pから人差し指の延伸方向に平行なベクトルaを生成し、生成したベクトルaと、撮像画像のX軸に平行な方向との角度をピッチ角θ1として算出する。検出部193は、検出した基準位置Pの高さ示すY座標値と、ピッチ角θ1とを駐車範囲情報生成部192に出力する。
【0037】
駐車範囲情報生成部192は、検出部193が検出したY座標値を、自車両1Aの車体を基準とする座標系の座標値に変換する。この座標系をジャイロ座標系という。ジャイロ座標系は、自車両1Aの車幅方向をS方向、自車両1Aの車長方向をT軸、自車両1Aの高さ方向をU軸とする座標系であり、自車両1Aのタイヤが接する路面をU軸の原点とする座標系である。
駐車範囲情報生成部192は、設定情報185に含まれる変換データを使用して、撮像座標での基準位置PのY座標値を、ジャイロ座標系のU座標の座標値に変換する。なお、撮像座標系のX軸は、ジャイロ座標系のS軸に平行に設定され、撮像座標系のY軸は、ジャイロ座標系のU軸に平行に設定される。このため、撮像画像から検出したピッチ角θ1は、ジャイロ座標系の値に変換する必要はない。つまり、撮像画像から検出した撮像座標系のピッチ角θ1が、そのまま路面に対するピッチ角となる。
【0038】
図6は、人差し指の延長線Lと、路面との交点Qを示す図である。
次に、駐車範囲情報生成部192は、ジャイロ座標系での基準位置Pの高さ、及び、ピッチ角θ1に基づき、乗員の人差し指が指し示す方向を延長した延長線Lと、U平面と、の交点Qを求める。U平面は、U軸の値が「0」のS軸及びT軸を含む平面、つまり路面である。
駐車範囲情報生成部192は、延長線LがU平面と交差する交点Qの座標を求めると、この交点Qを基準地点Fとして駐車範囲10を設定する。
【0039】
また、駐車範囲情報生成部192は、乗員の人差し指の方向を延長した延長線Lの方向に障害物が存在する場合には、交点Qの座標を補正する。駐車範囲情報生成部192は、例えば、LiDAR115の測定データに基づき、延長線Lが、他車両1Bや看板、電信柱等の障害物に接触するか否かを判定する。駐車範囲情報生成部192は、延長線Lが障害物に接触する場合、延長線LとU平面との交点Qの位置を補正する。
【0040】
駐車範囲情報生成部192は、延長線Lが障害物に接する位置を、U平面との交点Qの位置に補正する。例えば、駐車範囲情報生成部192は、延長線Lが、道路に駐車した他車両1Bに接する場合、延長線Lが接する他車両1Bの後端の位置を、延長線LとU平面との交点Qの位置に補正する。
さらに、駐車範囲情報生成部192は、交点Qの位置を基準にして基準地点Fを設定する。例えば、駐車範囲情報生成部192は、基準地点FのT軸の座標値として、交点QのT軸の座標値をそのまま使用し、基準地点FのS軸の座標値として、交点QのS軸の座標値を補正した座標値を使用する。例えば、駐車範囲情報生成部192は、道路の延伸方向の位置は交点Qの座標のまま変更せず、道路の幅方向の位置を、道路の略中央の位置に補正する。
【0041】
駐車範囲情報生成部192は、交点Qの座標、又は交点Qの座標を補正して基準地点Fを設定すると、設定した基準地点Fの緯度及び経度に基づいて駐車範囲10を設定する。駐車範囲10の設定方法は、地図画像上の地点を乗員がタッチして基準地点Fを設定する場合と同様である。
【0042】
駐車位置決定部194は、位置検出ユニット120が生成した緯度及び経度の情報と、車外カメラ113の撮像画像と、LiDAR115の測定データとを記憶部180から取得する。また、自車両1Aが駆動制御装置150の制御により走行する自動走行の状態である場合、駐車位置決定部194には、駆動制御装置150から自車両1Aの走行状態が自動走行であることを通知する情報が入力される。
【0043】
駐車位置決定部194は、自車両1Aが自動走行の状態であって、自車両1Aが駐車範囲10内を走行している場合、自車両1Aが駐車可能な駐車スペースを検出し、検出した駐車スペースを自車両1Aが駐車する駐車位置として決定する。
まず、駐車位置決定部194は、自車両1Aを駐車することが可能な駐車スペースを検出する。駐車位置決定部194は、設定情報185に含まれる車両諸元の情報、記憶部180から取得した車外カメラ113の撮像画像、及び、LiDAR115の測定データに基づき、他車両1B等の障害物が存在せず、自車両1Aを駐車可能な広さを有する駐車スペースを駐車範囲10内から検出する。
【0044】
駐車位置決定部194は、駐車範囲10から1つの駐車スペースを検出した場合、検出した駐車スペースを、自車両1Aを駐車する駐車位置に決定する。
また、駐車位置決定部194は、駐車範囲10から複数の駐車スペースを検出した場合、設定情報185に含まれる選択条件に基づいて1の駐車スペースを選択し、選択した駐車スペースを駐車位置に決定する。例えば、目的地からの距離が最も近い位置との選択条件が設定されている場合、駐車位置決定部194は、複数検出した駐車スペースのうち、目的地からの距離が最も近い駐車スペースを選択し、選択した駐車スペースを駐車位置に決定する。
【0045】
制御情報生成部195は、自車両1Aが、現在位置から駐車位置決定部194が決定した駐車位置まで移動して駐車位置に駐車する制御情報を生成する。制御情報は、駆動制御装置150が、操舵装置155A、動力装置155B、制動装置155C及び変速装置155Dを制御する情報である。
【0046】
図7は、駐車支援装置170の動作を示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートを参照しながら駐車支援装置170の動作について説明する。
駐車支援装置170は、タッチパネル131に表示した操作メニュー135の1つである「駐車範囲の設定」が選択され、地図画面において、基準地点Fを設定する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS1)。駐車支援装置170は、基準地点Fを設定する操作を受け付けていない場合(ステップS1/NO)、ジェスチャーを検出したか否かを判定する(ステップS2)。駐車支援装置170は、乗員が自車両1Aの前方を指さすジェスチャーを検出したか否かを判定する。
【0047】
駐車支援装置170は、ジェスチャーを検出していない場合(ステップS2/NO)、ステップS1の判定に戻る。
駐車支援装置170は、基準地点Fを設定する操作を受け付けた場合(ステップS1/YES)、又は、ジェスチャーを検出した場合(ステップS2/YES)、これらの操作により設定された基準地点Fに基づき駐車範囲10を設定する。駐車支援装置170は、設定した駐車範囲10を示す緯度及び経路の情報を含む駐車範囲情報を生成する(ステップS3)。ステップS3は、駐車範囲情報を生成するステップに相当する。
【0048】
次に、駐車支援装置170は、自車両1Aと駐車範囲10との距離が所定距離以内となったか否かを判定する(ステップS4)。
駐車支援装置170は、自車両1Aと駐車範囲10との距離が所定距離以内となっていない場合(ステップS4/NO)、自車両1Aと駐車範囲10との距離が所定距離以内となるまで待機する。
【0049】
駐車支援装置170は、自車両1Aと駐車範囲10との距離が所定距離以内に近づくと(ステップS4/YES)、自車両1Aの走行を、乗員による手動操作から、駐車支援装置170による自動走行に変更する(ステップS5)。自車両1Aの走行を、駐車支援装置170による自動走行に変更する場合、駐車支援装置170は、自動走行に切り替える旨の案内をタッチパネル131に表示してもよい。また、乗員は自車両1Aを安全な場所に一旦、停止させてもよい。
駐車支援装置170は、自動走行に切り替える(自車両1Aが停止した場合は自車両1Aが走行を停止したことを検出する)と、車外カメラ113やLiDAR115の測定データに基づいて制御情報を生成し、生成した制御情報を駆動制御装置150に出力する。駆動制御装置150は、入力される制御情報に従って駆動装置155を駆動する。これにより、自車両1Aが自動走行を開始する。
【0050】
次に、駐車支援装置170は、自車両1Aが駐車範囲10内を走行しているか否かを判定する(ステップS6)。駐車支援装置170は、自車両1Aが駐車範囲10内を走行していない場合(ステップS6/NO)、自車両1Aが駐車範囲10内を走行するまで待機する。
【0051】
駐車支援装置170は、自車両1Aが駐車範囲10内を走行している場合(ステップS6/YES)、駐車スペースの検出処理を開始する。駐車支援装置170は、車外カメラ113の撮像画像を解析して駐車スペースを検出する。
【0052】
駐車支援装置170は、駐車スペースを検出したか否かを判定する(ステップS8)。駐車支援装置170は、駐車スペースを検出していない場合(ステップS8/NO)、自車両1Aが駐車範囲10内を走行しているか否かを判定する(ステップS9)。駐車支援装置170は、自車両1Aが駐車範囲10内を走行している場合(ステップS9/YES)、ステップS8の判定に戻る。
【0053】
また、駐車支援装置170は、自車両1Aが駐車範囲10内を走行していない場合(ステップS9/NO)、自車両1Aが駐車範囲10の外側を走行している旨をタッチパネル131に表示する(ステップS10)。そして、駐車支援装置170は、自車両1Aを安全な場所に停車させ、乗員の手動運転による走行に切り替える(ステップS11)。その後、駐車支援装置170は、ステップS2の判定に戻り、乗員によるジェスチャーを検出する。
【0054】
また、駐車支援装置170は、駐車スペースを検出した場合(ステップS8/YES)、検出した駐車スペースが複数であるか否かを判定する(ステップS12)。駐車支援装置170は、駐車スペースを複数検出していない場合(ステップS12/NO)、検出した駐車スペースを駐車位置に決定する(ステップS13)。ステップS13は、駐車位置を決定するステップに相当する。
【0055】
また、駐車支援装置170は、駐車スペースを複数検出した場合(ステップS12/YES)、選択条件が設定されているか否かを判定する(ステップS14)。
駐車支援装置170は、選択条件が設定されている場合(ステップS14/YES)、この選択条件に従って複数の駐車スペースのなかから1つを選択し、選択した駐車スペースを駐車位置に決定する(ステップS15)。
また、駐車支援装置170は、選択条件が設定されていない場合(ステップS14/NO)、最初に検出した駐車スペースを駐車位置に決定する(ステップS15)。
【0056】
次に、駐車支援装置170は、制御情報を生成する(ステップS16)。この制御情報は、自車両1Aが、現在位置から決定した駐車位置まで移動し、駐車位置に駐車する制御情報である。ステップS16は、制御情報を生成するステップに相当する。駐車支援装置170は、制御情報を生成すると、生成した制御情報を駆動制御装置150に送信する(ステップS17)。ステップS17は、送信するステップに相当する。これにより、自車両1Aは、駆動制御装置150の制御によって駐車位置に駐車する。
【0057】
[4.変形例1]
上述した実施形態では、駐車支援装置170は、乗員の手の高さと、乗員の指のピッチ角θ1とに基づき、人差し指の延長線Lと路面との交点Qを決定し、決定した交点Qを基準地点Fとして駐車範囲10を設定した。
この変形例1では、ピッチ角θ1の範囲として、第1範囲、第2範囲及び第3範囲を事前に設定する。駐車支援装置170は、乗員の人差し指のピッチ角θ1を検出し、検出したピッチ角θ1が第1範囲、第2範囲及び第3範囲のいずれに属するのかを判定する。
第1範囲は、例えば、-30°以上、0°未満に設定される。第2範囲は、例えば、0°以上、30°未満に設定される。第3範囲は、例えば、30°以上、60°以下に設定される。
【0058】
図8は、駐車範囲10の設定方法について説明する説明図である。
駐車支援装置170は、乗員の指のピッチ角θ1が第1範囲に属すると判定した場合、自車両1Aからの距離がK1の位置に交点Q1を設定し、設定した交点Q1を基準地点Fとして駐車範囲10を設定する。
また、駐車支援装置170は、乗員の指のピッチ角θ1が第2範囲に属すると判定した場合、自車両1Aからの距離がK2の位置に交点Q2を設定し、設定した交点Q2を基準地点Fとして駐車範囲10を設定する。
また、駐車支援装置170は、乗員の指のピッチ角θ1が第3範囲に属すると判定した場合、自車両1Aからの距離がK3の位置に交点Q3を設定し、設定した交点Q3を基準地点Fとして駐車範囲10を設定する。
K1、K2及びK3は、K1<K2<K3の関係を満たす。
【0059】
[5.変形例2]
この変形例2では、自車両1Aが走行する道路の勾配に基づき、交点Qの位置を補正する。
駐車支援装置170は、地図データ183に基づき、自車両1Aが走行予定の道路の勾配を取得する。また、駐車支援装置170は、自車両1Aの前方を撮像する車外カメラ113の撮像画像を解析して自車両1Aが走行予定の道路の勾配を検出してもよい。
【0060】
駐車支援装置170は、自車両1Aの前方を撮像する車外カメラ113の撮像画像から車道外側線31を検出する。駐車支援装置170は、車外カメラ113の撮像画像にエッジ検出を実行して車道外側線31を検出する。
次に、駐車支援装置170は、検出した車道外側線31が直線であるか否かを判定する。駐車支援装置170は、車道外側線31が直線である場合、自車両1Aが走行予定の道路は、平坦な道路であると判定する。
【0061】
図9は、自車両1Aが走行予定の道路が登り坂である場合を示す図である。
駐車支援装置170は、
図9に示すように、車道外側線31が直線ではないと判定した場合、車道外側線31の傾きが変化する変化点33を検出する。駐車支援装置170は、検出した変化点33を基点とし、変化点33よりも自車両1Aに近い側の車道外側線31に平行なベクトルbと、変化点33よりも自車両1Aから離れた側の車道外側線31に平行なベクトルcとを設定する。駐車支援装置170は、ベクトルbと、ベクトルcとのなす角度θ2を算出する。駐車支援装置170は、算出した角度θ2が180°未満である場合、自車両1Aが走行予定の道路は、登り坂であると判定する。また、駐車支援装置170は、算出した角度θ2が180°よりも大きい場合、自車両1Aが走行予定の道路は、下り坂であると判定する。角度θ2は、路面の傾斜情報に相当する。
【0062】
駐車支援装置170は、ベクトルbと、ベクトルcとのなす角度θ2に基づいて、交点Qの位置を補正する。駐車支援装置170は、設定情報185を参照して交点Qの位置を補正する。
駐車支援装置170は、自車両1Aが走行予定の道路が登り坂である場合、交点Qの位置を、自車両1Aに近づける方向に移動する。設定情報185には、ベクトルbと、ベクトルcとのなす角度θ2と、交点Qの位置を移動する移動量とが含まれる。駐車支援装置170は、算出した角度θ2に基づいて設定情報185を参照し、交点Qの位置を、自車両1Aに近づく方向に移動する移動量を取得し、交点Qの位置を補正する。
【0063】
また、駐車支援装置170は、自車両1Aが走行予定の道路が下り坂である場合、交点Qの位置を、自車両1Aから離れる方向に移動する。駐車支援装置170は、算出した角度θ2に基づいて設定情報185を参照し、交点Qの位置を、自車両1Aから離れる方向に移動する移動量を取得し、交点Qの位置を補正する。
【0064】
[6.効果]
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(構成1)
乗員の操作に基づき、車両を駐車することが可能な駐車スペースを検出する範囲である駐車範囲を設定し、前記駐車範囲を示す駐車範囲情報を生成する駐車範囲情報生成部と、
前記車両に搭載されたセンサが検出する障害物の検出結果と、前記駐車範囲情報と、に基づき、前記駐車範囲の中で前記駐車スペースを検出し、検出した前記駐車スペースを前記車両が駐車する駐車位置として決定する駐車位置決定部と、
前記車両が前記駐車位置まで移動して前記駐車位置に駐車する制御情報を生成する制御情報生成部と、
前記車両の走行を制御する制御装置に、前記制御情報を送信する送信部と、
を備える駐車支援装置。
【0065】
この構成によれば、乗員の操作に基づいて駐車範囲を設定し、設定した駐車範囲を用いて車両が駐車する駐車位置を決定する。このため、駐車スペースの近くに車両が一旦、停止し、その後、車両に搭載されたカメラの撮像画像から駐車スペ-スを選択する等の操作を行う必要がなく、乗員の操作の手間を軽減することができる。また、駐車したい範囲を予め設定しておくことによって、駐車スペースを通り過ぎることなく自動駐車機能による自動駐車を行うことができるので利便性を高めることができる。
【0066】
(構成2)
表示部に地図画像を表示するナビゲーション制御部を備え、
前記駐車範囲情報生成部は、
前記乗員が操作により指定する前記地図画像上の地点に基づいて前記駐車範囲情報を生成する、構成1記載の駐車支援装置。
【0067】
この構成によれば、地図画像上の地点を選択することで、駐車範囲が設定される。このため、乗員の操作の手間を軽減することができる。
【0068】
(構成3)
前記車両に搭載され、前記車両の車室内を撮像するカメラの撮像画像に基づいて前記乗員のジェスチャーを検出する検出部を備え、
前記駐車範囲情報生成部は、前記検出部が検出した前記乗員のジェスチャーに基づいて前記駐車範囲情報を生成する、構成1又は2記載の駐車支援装置。
【0069】
この構成によれば、乗員がジェスチャーを行うことで、駐車範囲が設定される。このため、乗員の操作の手間を軽減することができる。
【0070】
(構成4)
前記検出部は、前記乗員が前記車両の前方を前記乗員の指で指し示す前記ジェスチャーを前記撮像画像から検出した場合に、前記乗員の手の高さと、前記乗員の指の路面に対するピッチ角と、を前記撮像画像から検出し、
前記駐車範囲情報生成部は、前記乗員の手の高さと、前記ピッチ角と、に基づいて前記駐車範囲情報を生成する、構成3記載の駐車支援装置。
【0071】
この構成によれば、車両の前方を乗員の指により指し示すジェスチャーを行うことで、駐車範囲が設定される。このため、乗員の操作の手間を軽減することができる。
【0072】
(構成5)
前記駐車範囲情報生成部は、前記乗員の手の高さと、前記ピッチ角と、に基づき、前記乗員の指が指し示す路面の位置を特定し、
前記路面の位置を基準として前記駐車範囲を設定して前記駐車範囲情報を生成する、構成4記載の駐車支援装置。
【0073】
この構成によれば、ジェスチャーにより指し示された路面の位置に基づいて駐車範囲が設定される。このため、乗員の操作の手間を軽減することができる。
【0074】
(構成6)
前記駐車範囲情報生成部は、前記車両が走行予定の道路の傾斜を示す傾斜情報を取得し、
前記傾斜情報に基づいて前記駐車範囲情報を補正する、構成4又は5記載の駐車支援装置。
【0075】
この構成によれば、車両が走行予定の道路の傾斜に基づいて駐車範囲情報が補正される。車両が走行予定の道路が傾斜している場合であっても、ジェスチャーにより乗員が指し示す路面の位置を正確に特定することができる。
【0076】
(構成7)
前記駐車位置として選択する駐車スペースを選択する選択条件を記憶する記憶部を備え、
前記駐車位置決定部は、前記駐車範囲情報が示す前記駐車範囲内から複数の駐車スペースを検出した場合に、前記選択条件に従って前記複数の駐車スペースから1の駐車スペースを選択し、選択した前記駐車スペースを前記駐車位置に決定する、構成1から6のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【0077】
この構成によれば、駐車範囲から複数の駐車スペースを検出した場合に、事前に設定された選択条件に従って1の駐車スペースを選択し、選択した駐車スペースを駐車位置に決定することができる。このため、乗員が希望する条件に近い駐車スペースを選択することができる。
【0078】
(構成8)
乗員の操作に基づき、車両を駐車することが可能な駐車スペースを検出する範囲である駐車範囲を設定し、前記駐車範囲を示す駐車範囲情報を生成するステップと、
前記車両に搭載されたセンサが検出する障害物の検出結果と、前記駐車範囲情報と、に基づき、前記駐車範囲の中で前記駐車スペースを検出し、検出した前記駐車スペースを前記車両が駐車する駐車位置として決定するステップと、
前記車両が前記駐車位置まで移動して前記駐車位置に駐車する制御情報を生成するステップと、
前記車両の走行を制御する制御装置に、前記制御情報を送信するステップと、
を有する駐車支援方法。
【0079】
この構成によれば、乗員の操作に基づいて駐車範囲を設定し、駐車範囲から車両を駐車させる駐車位置を決定する。このため、駐車スペースの近くに車両を一旦、停止させ、その後、車両に搭載されたカメラの撮像画像から駐車スペ-スを選択する等の操作を行う必要がなく、乗員の操作の手間を軽減することができる。また、駐車範囲を広く設定することで、自動駐車機能による自動駐車の成功確率を高めることができる。
【0080】
[7.他の形態]
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、人差し指の付け根付近であって、高さが最も高い位置を、乗員の手の高さとして説明したが、乗員の手の高さは、例えば、撮像画像を画像解析して得た乗員の手の中心位置等の任意の位置に設定可能である。
【0081】
また、
図1に示す車載装置100の構成を示すブロック図は、本願発明を理解容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、構成要素は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0082】
また、
図7に示すフローチャートの処理単位は、駐車支援装置170の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。駐車支援装置170の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割してもよい。また、駐車支援装置170の処理は、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【0083】
また、検出部193が検出する乗員のジェスチャーの検出は、記載されている方法以外の方法であってもよい。例えば、3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサを備えるモーションセンサや、3軸の地磁気センサをモジュール化したIMU(Inertial Measurement Unit)を、乗員が手首に装着してもよい。駐車支援装置170は、IMUから受信するセンサデータに含まれる3軸の加速度や、3軸の角速度、3軸の地磁気に基づき、乗員の手の高さと、乗員の指の路面に対するピッチ角を検出する。
【符号の説明】
【0084】
170 駐車支援装置
175 I/O
192 駐車範囲情報生成部
194 駐車位置決定部
195 制御情報生成部