(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003234
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】虹彩拡張器
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61F9/007 200A
A61F9/007 200
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195384
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2022076047の分割
【原出願日】2014-03-17
(31)【優先権主張番号】61/788,350
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510260341
【氏名又は名称】ビーバー-ビジテック インターナショナル (ユーエス) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダナ エム.コート
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジェイ.ヒューズ
(57)【要約】
【課題】虹彩拡張器を、低プロファイルで患者の眼に導入し内部で拡張することができ、虹彩の組織に対する直接接触の回避を提供する。
【解決手段】第1の状態から第1の状態よりも大きな占有面積を画定する第2の状態へと拡張可能な、非金属性単体のマルチセグメント化され、リビングヒンジによって接続された複数のセグメントによって画定された閉じたループ状であり、内側へ向いている内面および外側へ向いている外面を有する本体を備え、リビングヒンジは、本体の隣接する部分よりも内面及び外面の間でより薄いセグメントの間で本体のセクションによって形成されており、セグメントの末端を画定し、セグメントのそれぞれが、外面から外向きに突出する少なくとも一つのローブ及びそこからそれぞれのセグメントの一部へと延びるチャネルを備える少なくとも一つの開口を含み、チャネルは、内面および外面の両方の内側に間隔を空けられている虹彩拡張器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
虹彩拡張器であって、
第1の状態から該第1の状態よりも大きな占有面積を画定する第2の状態へと拡張可能な、非金属性単体のマルチセグメント化された本体であって、リビングヒンジによって接続された複数のセグメントによって画定された閉じたループ状であり、内側へ向いている内面および外側へ向いている外面を有している、本体を備え、前記リビングヒンジは、前記本体の隣接する部分よりも前記内面及び前記外面の間でより薄くなっている前記セグメントの間で前記本体のセクションによって形成されており、前記リビングヒンジは、前記セグメントの末端を画定し、各前記セグメントが、前記外面から外向きに突出する少なくとも一つのローブ及びそこから前記各セグメントの一部へと延びるチャネルを備える少なくとも一つの開口を含み、前記チャネルは、前記内面および前記外面の両方の内側に間隔を空けられていることを特徴とする虹彩拡張器。
【請求項2】
前記セグメントの少なくとも一つについて、一対の前記ローブが前記外面から突出し、その間にU字形のポケットを画定する、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【請求項3】
前記本体がエラストマー材料を含む、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【請求項4】
前記本体が熱可塑性材料を含む、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【請求項5】
前記本体が熱可塑性のコポリマーおよびエラストマーのコポリマーを含む、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【請求項6】
前記セグメントの少なくとも一つについて、前記チャネルは、第2の開口において終点となる、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【請求項7】
前記少なくとも一つの開口は、前記本体の周りで均等に間隔を空けられるように前記セグメント上に配置されている、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【請求項8】
前記第1の状態から前記第2の状態への前記本体の拡張は概して拡張平面において発生する、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【請求項9】
前記セグメントのそれぞれについて、前記チャネルは、前記拡張平面を横断するよう配置された長手方向軸に沿って延びている、請求項8に記載の虹彩拡張器。
【請求項10】
前記セグメントの少なくとも一つについて、前記少なくとも一つの開口は、前記各セグメントの前記ローブと半径方向に位置合わせされている、請求項1に記載の虹彩拡張器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
白内障摘出からの術中および術後合併症を最小限にするために、外科医は、眼内組織の可能な限り最高のビューを持つ必要がある。偽落屑、後部癒着、縮瞳薬の使用、または、ブドウ膜炎などで、小さな瞳孔が検出される機会があり得る。
【0002】
白内障摘出のために瞳孔が適切に拡張できない場合は、虹彩損傷、レンズフラグメントおよび皮質材料の不完全な吸引、後嚢への損傷、異形嚢、硝子体の損失、および、硝子体腔内に核が落ちている危険性がある。
【0003】
術中虹彩緊張低下症候群すなわちIFISの発症率の上昇が注目されている。過去のおよび期待された研究からの引用の結果は、およそ2%の時間でIFISに遭遇していることを示している。(Chang, D.F., Campbell J.R., "Intraoperative Floppy Iris Syndrome Associated With Tamsulosin", J. Cataract Refract. Surg. 2005; 31: 664-673)。罹患した患者の大部分は、良性の前立腺肥大症に対処するために、タムスロシン(「Flomax」)などのα1ブロッカーをとることが見出された。α1ブロッカーは虹彩拡張筋を弛緩させ、瞳孔の拡張を困難にする可能性がある。白内障摘出より前の治療は、薬理学的アプローチ(NSAIDの、保存剤を含まないエピネフリン、粘弾性物質)、機械的操作(虹彩フック/退避器、虹彩リング/拡張器)、および、虹彩の手術を含む場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様では、非金属性の単体の本体であって、第1の状態から第2の状態へ拡張可能なマルチセグメント化された本体を含む虹彩拡張器が提供される。前記第1の状態よりも大きな占有面積を前記第2の状態が画定し、リビングヒンジで接続された複数のセグメントによって前記本体が画定される。有利なことに、本発明によれば、虹彩拡張器を、低プロファイルで、患者の眼に導入することができ、および、その内部で拡張することができる。
【0005】
本発明の別の態様では、第1の状態から第2の状態へ拡張可能なマルチセグメント化された本体を含む虹彩拡張器が提供される。前記第1の状態よりも大きな占有面積を前記第2の状態が画定する。前記本体内に少なくとも1つの開口が、そこから前記本体の部分にチャネルが延びている状態で、前記本体内に前記チャネルが埋め込まれた状態で形成され、そのために、そのどの部分も前記本体の外部に露出しない。前記チャネルは、前記本体の調整を引き起こすために器具の一部を収容するように形成されている。有利なことに、本発明によれば、器具によって調整することができる虹彩拡張器は、虹彩の組織に対する該器具の直接接触の回避を提供することができる。
【0006】
本発明のこれらおよび他の特徴は、以下の詳細な説明および添付の図面の検討を通して理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に従って形成された虹彩拡張器を示す図である。
【
図2】折り畳まれた状態にある
図1の虹彩拡張器を示す図である。
【
図4】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張の異なる図である。
【
図4A】本発明に使用可能な異なるチャネル構成を示す図である。
【
図4B】本発明に使用可能な異なるチャネル構成を示す図である。
【
図5】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張の異なる図である。
【
図6】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張の異なる図である。
【
図7】折り畳まれた状態にある
図4~6の虹彩拡張器の異なる図である。
【
図8】折り畳まれた状態にある
図4~6の虹彩拡張器の異なる図である。
【
図9】折り畳まれた状態にある
図4~6の虹彩拡張器の異なる図である。
【
図10】折り畳まれた状態にある
図4~6の虹彩拡張器の異なる図である。
【
図11】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張器の異なる図である。
【
図12】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張器の異なる図である。
【
図13】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張器の異なる図である。
【
図14】
図11~13の虹彩拡張器と類似し、枠形状のローブを持った、折り畳まれた状態にある虹彩拡張器の異なる図である。
【
図15】
図11~13の虹彩拡張器と類似し、枠形状のローブを持った、折り畳まれた状態にある虹彩拡張器の異なる図である。
【
図16】
図11~13の虹彩拡張器と類似し、枠形状のローブを持った、折り畳まれた状態にある虹彩拡張器の異なる図である。
【
図17】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張器の異なる図である。
【
図18】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張器の異なる図である。
【
図19】本発明に従って形成されたさらなる虹彩拡張器の異なる図である。
【
図20】折り畳まれた状態にある
図17~19の虹彩拡張器を示す図である。
【
図21】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図22】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図23】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図24】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図25】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図26】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図27】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図28】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【
図29】本発明に従って形成された虹彩拡張器を使用する様々な態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照すると、折り畳まれた第1の状態から拡張された第2の状態へと拡張可能な本体12を含む虹彩拡張器10が提供される。本体12は、第1の状態においてよりも第2の状態において、より大きな占有面積を画定する。本体12の拡張は、低プロファイル状態における虹彩拡張器10の導入、および、白内障摘出などの眼科処置およびその拡張した状態の維持のためにその処置の持続時間の間、虹彩を拡張するための本来の位置での拡張を可能にする。処置後に、虹彩拡張器10を折り畳み、除去することができる。
【0009】
第1の実施形態において、本体12は、リビングヒンジ16によって接続された複数のセグメント14によってマルチセグメント化され、および、画定される。この構成では、本体12は、熱可塑性樹脂、エラストマー、および、それらの組み合わせ(例えば、熱可塑性/エラストマーのコポリマー)を限定ではなく含むポリマー材料などの非金属材料から一体に形成することができる。本体12は、生体適合性であり且つ滅菌できる必要がある。セグメント14は、本体12が最初に第1の状態で準備され、次いで第2の状態に拡張されるように、リビングヒンジ16によって互いに対して旋回可能である。リビングヒンジ16は、第1の状態にあるときにセグメント14の弾性のある変形を容易にするために、旋回点および/または解放点を提供する。
【0010】
セグメント14の隣接する対の間に峡部を画定するように、リビングヒンジ16を本体12の薄くなった部分によって形成することができる。薄いフレキシブルなプロファイルを持つように、本体12の初期の形成(例えば、成形)でリビングヒンジ16を形成することができ、および/または、材料の除去(例えば、切断)によって薄くなった部分を画定することを可能にする第2の製造方法によってリビングヒンジ16を準備することができる。リビングヒンジ16は、それらの間の可逆屈曲を、2つの隣接するセグメント14間の接合しているリビングヒンジ16周りの角回転を可能にする過程で可能にするのに十分にフレキシブルである。
【0011】
本体12の材料の選択および/または製造技術に基づいて、本体12は、手作業で拡張可能である(例えば、本体12は、熱可塑性材料(例えば、ポリプロピレン)から形成される)ように、または自己拡張型である(例えば、本体12は、エラストマーまたは熱可塑性/エラストマー材料(例えば、エラストマーポリウレタン)から形成される)ように適合され得る。手作業で拡張可能であるように本体12が適合されている場合には、リビングヒンジ16は、本体12の拡張のための任意の固有の復元性または他のバイアスを備えている必要がない。むしろ、以下に説明するように、手動力を本体12に加えて拡張を達成することができる。一旦、このような位置に促した状態のまま(例えば、本体12が第2の拡張状態にある特定の状態のまま)となるような十分な剛性に、リビングヒンジ16を形成することができる。これによって、第2の状態などの固定された状態に本体12を維持することが可能になる。これとは別に、自己拡張するように本体12が適合されている場合には、リビングヒンジ16は、拡張した第2の状態に向けた内部バイアスを有するような固有の復元性を含むことができる。このような復元性は、リビングヒンジ16を拡張状態に向けて駆り立てる力を生成することができる。この力はまた、セグメント14に作用する。本体12の拡張を引き起こすためだけでなく、その拡張を引き起こす過程での虹彩のどのような抵抗力も克服するために、十分な力が生成されなければならない。また、固有の復元性は、リビングヒンジ16を拡張状態に維持するように、リビングヒンジ16に力を付与する。好ましくは、本体12は、自己拡張が望まれる第2の拡張状態に、初めは形成されている。
【0012】
本体12は、虹彩の縁と、その外周の少なくとも幾つかの部分で、好ましくは全体で、拡張状態にあるときに係合するように意図された閉じたループとして形成されている。本体12は、楕円形(例えば、円形)または多角形(例えば、正方形)であることを含む、様々な形状とすることができる。セグメント14およびリビングヒンジ16は、虹彩の任意の一部が本体12を通って延びることを防ぐように、本体12の長さについてどのような中断もなしに連続的に延在していることが好ましい。さらに、本体12は、第1の状態から第2の状態への拡張に伴う、単一の拡張平面において発生する、概して平面であることが好ましい。
【0013】
眼への適切な視覚的アクセスを眼科処置中に可能にするために、5.0mmまたはそれ未満の虹彩は拡張を必要とする場合があることが想定される。本体12の外側面29(
図4、
図4A、4B)によって画定されるとおりの、第2の状態における本体12の占有面積は、少なくとも7mm、より好ましくは少なくとも6mmの直径を画定することが好ましい。
【0014】
図面を参照すると、本体12の所望の第1および第2の状態を提供するように、様々な長さおよび形状で、セグメント14を提供することができる。第2の状態における本体12は、ほぼ円形の形状を有することができる。一変形では、
図1および
図2に示すように、セグメント14が同じ長さではない8つのセグメント14に本体12を分離する、8つのリビングヒンジ16を設けてもよい。
図2に示すように、一次セグメント14Aは、第1の状態にある本体12に対して一次セグメント14Aが互いに外向きに弓なりになるように配置された状態で、それぞれ円弧形状を備えている。残りのセグメント14は、本体12が第1の状態にある状態で一次セグメント14A内に配置されるように構成されている。非限定的な例として、4つの二次セグメント14Bは、一次セグメント14Aの各端部から延びる、二次セグメント14Bのいずれか一つとほぼ同じ長さを、それぞれ備えていてよい。それぞれ一対の二次セグメント14Bと接続する2つの三次セグメント14Cが備えられる。この配置により、
図2に示すように、二次セグメント14Bおよび三次セグメント14Cは折り畳まれ、図示のように一次セグメント14Aの内側に維持され得る。本体12上に形成されたローブ18は、完全に禁止することを回避しないならば、本体12の完全な折り畳みを、特に、本体12が第1の状態にある状態で、セグメント14のうちの少なくともいくつかの内部にローブ18が配置されている場合に、最低限禁止するように構成する必要がある。したがって、三次セグメント14C上に形成されるローブ18は、一次セグメント14Aの内側での二次セグメント14Bの完全な折り畳みを禁止しないような形状にする必要がある。
【0015】
図4~19を参照すると、本体12を、等しい長さのセグメント14で形成することができる。
図4~10は、本体12を8つのセグメント14に分離する8つのリビングヒンジ16を有する本体12を示している。これとは別に、
図11~19に示すように、本体12を、該本体を4つのセグメント14に分離する4つのリビングヒンジ16で形成することができる。
【0016】
リビングヒンジ16の場所およびセグメント14の長さは、第1の状態における本体12の構成に影響を与える。上述した
図2は、(
図2に「X」および「Y」矢印で示されている)2つのデカルト軸に沿って外側へ拡張可能である第1の状態を提供する。
図7~10、11~13および14~16はそれぞれ、(
図7に「X」矢印で示される)1つのデカルト軸に沿って外側へ拡張可能である、第1の状態における本体12を示す。ここでは、本体12は、向き合うことができる2つのリビングヒンジ16の周りで折りたたまれ、第1の端部32および第2の端部34を画定する。すべてのセグメント14の外側に、ローブ18が位置している。本体12は、この構成では拡張中に、(
図7に「Y」矢印で示されている)垂直なデカルト軸に沿って縮小することがある。リビングヒンジ16を、第1の端部32および第2の端部34の間の、対応するセグメント14の長さに応じた様々な中間点に配置することができる。セグメント14が同じ長さである場合、リビングヒンジ16は、第1の端部32および第2の端部34のほぼ中央に配置される。端部32,34に配置されていないリビングヒンジ16は、第1の状態にあるセグメント14の弾性変形を容易にするための解放点として作用し得る。これにより、セグメント14が、第2の状態で自然の静止した円弧状形状を有し、さらに、本体12が第1の状態にある状態では、概して直線形状に変形されることを可能にする。その変形された直線状態からそれらの自然の静止状態へのセグメント14の解放は、その自己拡張が要求される場所での拡張の力を本体12に対して付与することができる。
【0017】
1つまたはもっと多いローブ18を、虹彩の一部の上方に虹彩拡張器10の埋め込みおよび/または拡張の間に延びるように、本体12上に備えてもよい。複数のローブ18は、本体12の第1の端部24などの本体12の第1の端部に沿って等間隔で、本体12に対し間隔が空いていてよい。ローブ18は、それに隣接して虹彩の一部を受けるように配置されている。これは、虹彩拡張器10のための虹彩に対する配置機能、および、本体12を拡張させおよび本体12を拡張状態で保持している間のさらなる安定性を提供する。
【0018】
図3を参照すると、ローブ18を、本体12の第1の端部24と第2の端部26の両方に沿って備えることができる。第1および第2の端部24上のローブ18、26は、上および下に位置する一対のローブ18の間に直接、U字型のポケット28を形成するように、本体12の周囲に位置合わせすることができる。ポケット28は、虹彩の部分を受けることができる。これとは別に、
図4~6を参照すると、本体12に関して向き合った端部24,26からローブ18が交互に突出するように、ローブ18は、第1の端部24と第2の端部26の間で、第1および第2の端部24,26のそれぞれに対して等間隔で間隔が空いていてよく、しかし、位相はずれていてよい。この配置は、ポケット28を画定することなく、上側および下側の安定化を提供する。
【0019】
ローブ18を堅固に形成して(
図3)、その部分が開いた状態の連続形状または枠形状となるようにしてもよい。加えて、ローブ18を、セグメント14上で中央に(
図4)、または中央から外れて(
図17)配置してもよい。
図14~16および
図20の比較において表されるように、これは、第1の状態において本体12に対するローブ18の種々の位置を可能にする。
【0020】
図3に示すように、1つまたはもっと多いローブ18は開口20を含むことができ、そこからチャネル22から延びている。チャネル22は、本体12を位置決めするおよび/または本体12の拡張を引き起こすための器具の一部を収容するように形成されている。チャネル22はブラインドであってもよいし、または、隣接するセグメント14の外に露出するように、それぞれのローブ18を通って第2の開口30へ延びていてもよい。ローブ18が枠形状である場合、その開いた部分に器具を挿入することができる。
【0021】
本発明の第2の実施形態において、および、
図4~19を参照すると、チャネル22は、対応するセグメント14に沿って本体12の第1の端部24上に露出している開口20を有するセグメント14の1つを通って延びるように配置されている。このように、チャネル22は、
図4Aおよび
図4Bに概略的に示されるように、その部分が本体12の外部に露出せずに、セグメント14内に埋め込まれている。チャネル22は、本体12の内側面27と外側面29の両方から内側に完全に間隔が空いている。この配置により、チャンネル22内に受けた、虹彩組織に対し軸方向に位置合わせずれがある器具の位置を突き止める。チャネル22はブラインド(
図4A)であってもよいし、または、第2の端部26上で外部に露出している第2の開口30(
図4B)へ延びていてもよい。この配置では、チャネル22内に係合した器具は、虹彩の縁の内側に位置する。したがって、第2の開口30を通って延びる器具を用いてさえも、器具は虹彩に直接接触することがない。好ましくは、拡張平面を横断する長手方向軸に沿ってチャネル22が延びている。さらに、対応する開口20をそれぞれ有する複数のチャネル22を、本体12内に備えることができる。チャンネル22は、本体12に対し均等に間隔が空いていてよい。加えて、1つのローブ18を、チャンネル22の各々に隣接して配置してもよい。これにより、拡張のために力が加えられる可能性がある場所において、さらなる組織の安定化を可能にする。
【0022】
第2の実施形態に関しては、全体的に本体12内のチャネル22の配置を、第1の実施形態に関して上述したように、本体12の様々な構成で利用することができる。本体12は、複数のセグメント14でマルチセグメント化することができる。しかし、リビングヒンジ16は本発明の第2の実施形態には必要でなく、様々なヒンジ、および他の接続を、セグメント14の間に利用することができる。その他の全ての点については、第1の実施形態と同様に第2の実施形態を実施することができる。
【0023】
図21~29を参照すると、虹彩拡張器10を導入および使用する様々な態様が示されている。本体12の特定の形状が示されているが、第1および第2実施形態の両方を含む、本明細書中で論述したどのような構成によっても、本体12を形成できることを理解すべきである。
図21を参照すると、角膜の切開部36は、治療すべき患者の眼内に最初に形成される。白内障摘出のための典型的な角膜切開を利用することができる。虹彩拡張器10は、第1の状態にある折り畳まれた本体12と一緒に、眼内に導入される。虹彩拡張器10が手作業で拡張可能であると、鉗子Fまたは他の器具を用いて、角膜切開部36を通じて拡張器10を挿入し、および、虹彩拡張器10を虹彩I内に配置することができる。その後、虹彩内虹彩拡張器10は、虹彩の縁がローブ18の少なくとも一部と位置合わせされるように位置決めされる(
図23)。フックH(例えば、Sinskeyフック)などの1つまたはもっと多い器具を、虹彩拡張器10(
図24)を適切に位置決めするために使用することができる。角膜における二次切開部38を、必要に応じて利用することができる。好ましくは、
図25に示すように、虹彩拡張器10は、概して逆方向に手作業で力を加えることによって拡張される。ここに示されているように、一次セグメント14Aなどの特定のセグメント14は、最初に外側へ拡張することができる。虹彩拡張器10のこの部分的な拡張は、虹彩Iの部分的な拡張を可能にする。その後、本体12の残りの部分は、
図26に示すように拡張することができる。これは、虹彩拡張器10の完全な拡張が達成されるまで継続する。完全に拡張されると(
図28)、眼科処置を行うことができる。処置後は、逆の手順を使用して虹彩拡張器10を折り畳んで取り除く。
【0024】
自己拡張により、虹彩拡張器10を、角膜切開部36(
図29)を通して挿入された導入器Cによって第1の状態に維持することができる。導入器C(例えば、プッシャープランジャ器具)は、虹彩拡張器10を、そこから虹彩I内に位置するように促す。解放と同時に、虹彩拡張器10は、第2の状態へ拡張する。1つまたはもっと多いフック(例えば、Sinskeyフック)などの器具を、必要に応じて虹彩拡張器10の位置を調整するために使用することができる。完全に拡張されると(
図28)、眼科処置を行うことができる。処置後、虹彩拡張器10は、例えば導入器C内への退避により、折り畳まれる。