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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032349
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】表示装置および光源装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20240305BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1334
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135956
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 幹
(72)【発明者】
【氏名】麻野 直之
(72)【発明者】
【氏名】市原 一輝
【テーマコード(参考)】
2H189
2H391
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189AA64
2H189AA75
2H189HA16
2H189JA04
2H189LA07
2H189LA20
2H189LA22
2H189MA15
2H391AA15
2H391AA23
2H391AA25
2H391AB05
2H391AC05
2H391FA01
(57)【要約】
【課題】装置の性能を向上させる。
【解決手段】表示装置が備えるレンズ部80は、出光面81bに配列された複数のプリズム81pを備え、導光板30と発光素子部50との間に配置されたレンズ81と、入光面81aと対向する位置に配置された出光面82bに配列された複数のプリズム82p、を備え、レンズ81と発光素子部との間に配置されたレンズ82と、を有している。レンズ81は、入光面81aに配列され、レンズ82から出射された光を拡散させてレンズ81内に導入することが可能な複数の拡散用プリズム81dpを備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1前面、および前記第1前面の反対側にある第1背面を備えている第1基板と、
前記第1基板の前記第1前面上に配置される液晶層と、
前記第1前面と対向する第1面、前記第1面の反対側にある第2面、および前記第1面および前記第2面と交差する第1側面を備えている導光板と、
前記導光板の前記第1側面と対向する位置に、第1方向に沿って配置された複数の発光ダイオード素子を備える発光素子部と、
前記導光板と前記発光素子部との間に配置されたレンズ部と、
を有し、
前記発光素子部、前記レンズ部、および前記導光板は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列され、
前記レンズ部は、
第1入光面、前記第1入光面の反対側の第1出光面、および前記第1出光面に配列された複数の第1プリズム、を備え、前記導光板と前記発光素子部との間に配置された第1レンズと、
前記第1入光面と対向する位置に配置された第2出光面、前記第2出光面の反対側の第2入光面、および前記第2出光面に配列された複数の第2プリズム、を備え、前記第1レンズと前記発光素子部との間に配置された第2レンズと、
を有し、
前記第1レンズは、前記第1入光面に配列され、前記第2レンズから出射された光を拡散させて前記第1レンズ内に導入することが可能な複数の第1拡散用プリズムを備えている、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記発光素子部と前記レンズ部とは、前記第1方向に交差する第2方向において互いに対向するように配置され、
前記第1方向および前記第2方向を含む第1平面に対する法線方向を第3方向とすると、
前記複数の第1プリズムは、前記第1出光面において前記第1方向に沿って配列され、かつ、前記第3方向に沿って延びており、
前記複数の第2プリズムは、前記第2出光面において前記第1方向に沿って配列され、かつ、前記第3方向に沿って延びており、
前記複数の第1拡散用プリズムは、前記第1入光面において前記第1方向に沿って配列され、かつ、前記第3方向に沿って延びている、表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2レンズは、前記第2入光面に配列され、前記複数の発光ダイオード素子のいずれかから出射された光を拡散させて前記第2レンズ内に導入することが可能な複数の第2拡散用プリズムを備えている、表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記複数の第1プリズムと前記複数の第2プリズムとは構造が異なる、表示装置。
【請求項5】
第1方向に沿って互いに離間するように配置された複数の発光ダイオード素子を備える発光素子部と、
前記発光素子部と対向する位置に配置されたレンズ部と、
を有し、
前記レンズ部は、
第1入光面、前記第1入光面の反対側の第1出光面、および前記第1出光面に配列された複数の第1プリズム、を備えた第1レンズと、
前記第1入光面と対向する位置に配置された第2出光面、前記第2出光面の反対側の第2入光面、および前記第2出光面に配列された複数の第2プリズム、を備え、前記第1レンズと前記発光素子部との間に配置された第2レンズと、
を有し、
前記第1レンズは、前記第1入光面に配列され、前記第2レンズから出射された光を拡散させて前記第1レンズ内に導入することが可能な複数の第1拡散用プリズムを備えている、光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-60682号公報(特許文献1)には、透明基板と発光素子との間に導光板が配置された表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-60682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、例えば、カラー表示用の表示装置の光源として利用可能な光源装置の開発を行っている。光源装置が有する発光素子として、例えば赤色、緑色、および青色の光を出射する発光ダイオード素子を用いる場合、赤色、緑色、および青色の光をレンズ部で混色させて、白色光等、発光素子から出射される光とは異なる色の光を出射させることができる。レンズ部内では、光は入光面から出光面に向かって放射状に広がる。混色した光をレンズ部の正面方向に出射させるためには、レンズ部の出射面に複数のプリズムを形成する方法が考えられる。
【0005】
ところが、プリズムは、特定の方向の光を選択的にレンズ部の正面方向に屈折させるので、複数の発光素子の間の距離が大きい場合、正面方向に向かう光の量が不足する領域が発生する場合がある。この場合、明るい領域の間に暗い領域が分布するように視認される。暗い領域では、レンズ部の正面方向に向かう光の量が不足している。この現象を防止するためには、発光素子を密に配置する方法があるが、この場合、光源光として寄与しない光が多く発生するので、発光素子の効率という点では改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である表示装置は、第1前面、および前記第1前面の反対側にある第1背面を備えている第1基板と、前記第1基板の前記第1前面上に配置される液晶層と、前記第1前面と対向する第1面、前記第1面の反対側にある第2面、および前記第1面および前記第2面と交差する第1側面を備えている導光板と、前記導光板の前記第1側面と対向する位置に、第1方向に沿って配置された複数の発光ダイオード素子を備える発光素子部と、前記導光板と前記発光素子部との間に配置されたレンズ部と、を有している。前記発光素子部、前記レンズ部、および前記導光板は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列されている。前記レンズ部は、第1入光面、前記第1入光面の反対側の第1出光面、および前記第1出光面に配列された複数の第1プリズム、を備え、前記導光板と前記発光素子部との間に配置された第1レンズと、前記第1入光面と対向する位置に配置された第2出光面、前記第2出光面の反対側の第2入光面、および前記第2出光面に配列された複数の第2プリズム、を備え、前記第1レンズと前記発光素子部との間に配置された第2レンズと、を有している。前記第1レンズは、前記第1入光面に配列され、前記第2レンズから出射された光を拡散させて前記第1レンズ内に導入することが可能な複数の第1拡散用プリズムを備えている。
【0007】
本発明の他の実施態様である光源装置は、第1方向に沿って互いに離間するように配置された複数の発光ダイオード素子を備える発光素子部と、前記発光素子部と対向する位置に配置されたレンズ部と、を有している。前記レンズ部は、第1入光面、前記第1入光面の反対側の第1出光面、および前記第1出光面に配列された複数の第1プリズム、を備えた第1レンズと、前記第1入光面と対向する位置に配置された第2出光面、前記第2出光面の反対側の第2入光面、および前記第2出光面に配列された複数の第2プリズム、を備え、前記第1レンズと前記発光素子部との間に配置された第2レンズと、を有している。前記第1レンズは、前記第1入光面に配列され、前記第2レンズから出射された光を拡散させて前記第1レンズ内に導入することが可能な複数の第1拡散用プリズムを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】透明表示パネル装置の一方の面側にいる視認者が、反対面側にある背景を、透明表示パネル装置を介して視認する場合の位置関係を示す説明図である。
図2】透明表示パネル装置を介して視認される背景の一例を示す説明図である。
図3図1に示す透明表示パネルの一例を示す斜視図である。
図4図3の表示パネルが備える回路の一例を示す回路ブロック図である。
図5図3のA-A線に沿った断面図である。
図6】検討例である透明表示装置の発光素子部から出射された光の経路を模式的に示す説明図である。
図7図3に示す発光素子部、レンズ部、および導光板の構造例を示す断面図である。
図8図3に示す発光素子部、レンズ部、および導光板を上方から視た拡大平面図である。
図9図8に対する検討例を示す拡大平面図である。
図10図8に示すレンズ部に対する他の変形例を示す拡大断面図である。
図11図8に示すレンズ部に対する他の変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
以下で説明する技術は、複数種類の発光素子から出射される光を混色させる光源装置として、広く適用可能である。以下の実施の形態では、光源装置の利用例として、透明表示パネルの光源装置として利用した実施態様を取り上げて説明する。
【0011】
<透明表示パネル>
まず、所謂、透明表示パネルの特徴について説明する。図1は、透明表示パネルの一方の面側にいる視認者が、反対面側にある背景を、透明表示パネルを介して視認する場合の位置関係を示す説明図である。図2は、透明表示パネルを介して視認される背景の一例を示す説明図である。
【0012】
図1に示すように、観察者100が、表示パネルP1の一方から他方をみる場合、背景101が表示パネルP1を透過して視認される。図2に示すように、表示領域DAおよび表示領域DAの外側の周辺領域PFAが共に光を透過させる場合、背景101の全体を違和感なく視認することができる。一方、周辺領域PFAが光を透過させない遮光性を有している場合、表示パネルP1を介して視認される背景101の一部分が周辺領域PFAにより遮られるため、観察者100(図1参照)に違和感を与える場合がある。このように、透明表示パネルである表示パネルP1の場合、表示領域DAおよび周辺領域PFAのそれぞれが可視光透過性を備えていることが好ましい。また、背景101を違和感なく視認する観点からは、表示領域DAおよび周辺領域PFAのそれぞれの可視光透過特性が同程度であることが特に好ましい。
【0013】
図3は、図1に示す透明表示パネルの一例を示す斜視図である。図3では、表示領域DAと周辺領域PFAの境界を二点鎖線で示している。また、図3では、表示パネルP1が備える回路のうち、液晶を駆動するための信号を伝送する信号配線の一部(詳しくは、ゲート線GLおよびソース線SL)を一点鎖線で模式的に示している。図3を含む以下の図面において、表示パネルP1の厚さ方向に沿った方向をZ方向、Z方向に直交するX-Y平面において、表示パネルP1の一辺の延在方向をX方向、X方向に交差する方向をY方向として説明する。図5は、図3のA-A線に沿った断面図である。図6は、検討例である透明表示装置の発光素子部から出射された光の経路を模式的に示す説明図である。
【0014】
図3に示すように、本実施の形態の表示パネルP1は、基板(アレイ基板)10、基板(対向基板)20、導光板(第1導光板または第1カバーガラスともいう)30、発光素子部50、駆動回路70、およびレンズ部80を有している。
【0015】
表示装置として利用する場合、図3に示す表示パネルP1が備える各部分の他、例えば制御回路、あるいは表示パネルP1に接続されるフレキシブル基板、あるいは筐体などが含まれる場合がある。図3では、表示パネルP1以外の部分は図示を省略している。
【0016】
表示パネルP1は、外部から供給される入力信号に応じて画像が形成される表示領域DAと、表示領域DAの周囲にある周辺領域(額縁領域)PFAを有する。なお、図3に示す表示パネルP1の表示領域DAは四角形であるが、表示領域が多角形や円形など、四角形以外の形状であってもよい。表示領域DAは、表示面を視た平面視において、表示パネルP1が画像を表示する有効領域である。基板10、基板20、および導光板30のそれぞれは、平面視において表示領域DAと重なる位置にある。図1に示す例では、発光素子部50、駆動回路70、およびレンズ部80のそれぞれは、基板10上に搭載されているが、変形例として、基板10とは別に図示しない光源用基板が表示パネルP1とは独立した部材として設けられ、発光素子部50およびレンズ部80が、図示しない光源用基板に搭載されている場合もある。この変形例の場合であっても、発光素子50及びレンズ部80は後述するように表示パネルP1の側方より光を表示パネルP1に入光させるものである。
【0017】
まず、図3に示す表示パネルP1が備える回路の構成例について説明する。図4は、図3の表示パネルが備える回路の一例を示す回路ブロック図である。図4に示すコモン電極CEに接続される配線経路は、例えば後述する図5に示す基板20に形成されている。図4では、基板20に形成された配線を点線で図示している。図4に示す例では、光源制御部52が、駆動回路70に含まれる。変形例としては、駆動回路70とは別に発光素子部50および光源制御部52が設けられている場合がある。上記したように、基板10とは別に図示しない光源用基板が表示パネルP1とは独立した部材として設けられ、発光素子部50が、図示しない光源用基板に搭載されている場合がある。この場合、光源制御部52は、例えば図示しない光源用基板に形成されている。あるいは、光源制御部52は、図示しない光源用基板に搭載された電子部品に形成されている。
【0018】
図4に示す例では、駆動回路70は、信号処理回路71、画素制御回路72、ゲート駆動回路73、ソース駆動回路74、およびコモン電位駆動回路75を備える。また、発光素子部50は、例えば、発光ダイオード素子51r、発光ダイオード素子51g、および発光ダイオード素子51bを備える。なお、発光ダイオード素子51r、発光ダイオード素子51g、および発光ダイオード素子51bの組み合わせについては、後で詳細に説明する。図3に示すように、基板10は、基板20よりも面積が大きいので、駆動回路70は、基板10上に設けられている。
【0019】
信号処理回路71は、入力信号解析部(入力信号解析回路)711、記憶部(記憶回路)712、および信号調整部713を備える。表示パネルP1は、画像の表示を制御する制御回路を備える制御部90を有し、信号処理回路71の入力信号解析部711には、制御部90から図示しないフレキシブル配線板などの配線経路を介して入力信号VSが入力される。入力信号解析部711は、外部から入力された入力信号VSに基づいて解析処理を行い、入力信号VCSを生成する。入力信号VCSは、例えば、入力信号VSに基づいて、表示パネルP1(図3参照)の各画素PIX(図3参照)にどのような階調値を与えるかを定める信号である。
【0020】
信号調整部713は、入力信号解析部711から入力された入力信号VCSから入力信号VCSAを生成する。信号調整部713は、入力信号VCSAを画素制御回路72へ送出し、光源制御信号LCSAを光源制御部52へ送出する。光源制御信号LCSAは、例えば、画素PIXへの入力階調値に応じて設定される発光素子部50の光量の情報を含む信号である。
【0021】
画素制御回路72は、入力信号VCSAに基づいて水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとを生成する。例えば、本実施形態では、フィールドシーケンシャル方式で駆動されるので、水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとが発光素子部50が発光可能な色毎に生成される。ゲート駆動回路73は水平駆動信号HDSに基づいて1垂直走査期間内に表示パネルP1(図3参照)のゲート線GLを順次選択する。ゲート線GLの選択の順番は任意である。図3に示すように複数のゲート線(信号配線)GLは、X方向に延び、かつ、Y方向に沿って配列されている。
【0022】
ソース駆動回路74は垂直駆動信号VDSに基づいて1水平走査期間内に表示パネルP1(図3参照)の各ソース線SLに各画素PIX(図3参照)の出力階調値に応じた階調信号を供給する。図3に示すように複数のソース線(信号配線)SLは、Y方向に延び、かつ、X方向に沿って配列されている。ゲート線GLとソース線SLとの交差毎に、一つの画素PIXが形成される。ゲート線GLとソース線SLとが交差する部分のそれぞれには、スイッチング素子Tr(図4参照)が形成されている。図3および図4に示す複数のゲート線GLおよび複数のソース線SLは、後述する図5(および図6)に示す液晶LQを駆動する駆動信号を伝送する複数の信号配線に相当する。
【0023】
図4に示すスイッチング素子Trとして例えば、薄膜トランジスタが用いられる。薄膜トランジスタの種類は特に限定されず、例えば、以下のようなものを例示できる。ゲートの位置で分類すると、ボトムゲート型トランジスタ又はトップゲート型トランジスタを挙げることができる。また、ゲートの数で分類すると、シングルゲート薄膜トランジスタと、ダブルゲート薄膜トランジスタとを挙げられる。スイッチング素子Trのソース電極及びドレイン電極のうち一方はソース線SLに接続され、ゲート電極はゲート線GLに接続され、ソース電極及びドレイン電極のうち他方は、高分子分散型液晶LC(図5および図6に示す液晶LQ)の容量の一端に接続されている。高分子分散型液晶LCの容量は、一端がスイッチング素子Trに画素電極PEを介して接続され、他端がコモン電極CEを介してコモン電位配線CMLに接続されている。また、画素電極PEと、コモン電位配線CMLに電気的に接続されている保持容量電極との間には、保持容量HCが生じる。なお、コモン電位配線CMLは、コモン電位駆動回路75より供給される。
【0024】
次に、図3に示す表示パネルP1において、発光素子部50から出射された光の光路について説明する。判り易さのため、図6に示すように単純化された構造の表示パネルP2を用いて説明する。なお、図6に示す表示パネルP2は、導光板30を有していない点を除き、図5に示す表示パネルP1と同様である。表示パネルP2の場合、基板20を導光板として用いている。したがって、表示パネルP2についての以下の説明は、図5に示す表示パネルP1にも適用できる。
【0025】
図6に示すように、表示パネルP2は、液晶層LQLを介して対向するように貼り合せられた基板10および基板20を有している。基板10と基板20とは、表示パネルP2の厚さ方向であるZ方向に配列される。言い換えれば、基板10と基板20とは、表示パネルP2の厚さ方向(Z方向)において互いに対向する。基板10は、液晶層LQL(および基板20)と対向する前面(主面、面)10fを有する。また基板20は、基板10の前面10f(および液晶層LQL)と対向する背面(主面、面)20bを有する。基板10は、スイッチング素子(能動素子)Tr(図4参照)としての複数のトランジスタ(トランジスタ素子)がアレイ状に配置されたアレイ基板である。また、基板20は、表示面側に設けられた基板である。基板20は、アレイ基板に対向配置された基板という意味で、対向基板と言い換えることができる。
【0026】
液晶LQを含む液晶層LQLは、基板10の前面10fと基板20の背面20bとの間にある。液晶層LQLは、光学変調素子である。表示パネルP2は、上記したスイッチング素子を介して液晶層LQLの周辺に形成される電界の状態を制御することにより、そこを通過する光を変調する機能を備えている。基板10および基板20にある表示領域DAは、図6に示すように液晶層LQLと重畳する。
【0027】
また、基板10と基板20とは、シール部(シール材)SLMを介して接着される。図3および図6に示すように、シール部SLM(図6参照)は、表示領域DAの周囲を囲むように、周辺領域PFAに配置される。シール部SLMの内側には、図6に示すように液晶層LQLがある。シール部SLMは、基板10と基板20との間に液晶を封入するシールとしての役割を果たす。また、シール部SLMは、基板10と基板20とを接着する、接着材としての役割を果たす。
【0028】
発光素子部50は、基板20の側面20s1と対向する位置に配置される。図6に二点鎖線で模式的に示すように、発光素子部50から出射された光源光L1は、基板10の背面10bおよび基板20の前面20fで反射しながら、側面20s1から遠ざかる方向に伝搬する。光源光L1の伝搬経路において、基板10の背面10bおよび基板20の前面20fは、屈折率の大きな媒質と、屈折率の小さな媒質との界面である。このため、光源光L1が前面20fおよび背面10bに入射する入射角が臨界角よりも大きい場合、光源光L1は、前面20fおよび背面10bにおいて全反射する。
【0029】
液晶LQは高分子分散型液晶LC(図4参照)であり、液晶性ポリマーと液晶分子を含んでいる。液晶性ポリマーは、筋状に形成され、液晶分子は、液晶性ポリマーの隙間に分散される。液晶性ポリマー及び液晶分子の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。液晶性ポリマーの電界に対する応答性は、液晶分子の電界に対する応答性より低い。液晶性ポリマーの配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子の配向方向は、液晶LQにしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶LQに電圧が印加されていない状態では、液晶性ポリマー及び液晶分子のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LQLに入射した光源光L1は、液晶層LQL内でほとんど散乱されることなく透過する(透明状態)。液晶LQに電圧が印加された状態では、液晶性ポリマー及び液晶分子のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶LQに入射した光源光L1は、液晶層LQL内で散乱される(散乱状態)。表示パネルP2は、光源光L1の伝搬経路における液晶LQの配向を制御することにより、透明状態と散乱状態とを制御する。散乱状態において光源光L1は液晶LQにより放出光L2として前面20f側から表示パネルP2の外部に出射される。また、背面10b側から入射した背景光L3は、基板10、液晶層LQL、および基板20を透過して、前面20fから外部に出射される。放出光L2および背景光L3は、前面20f側にいる観察者に視認される。観察者は、放出光L2と、背景光L3とを組み合わせて認識することができる。このように観察者が、表示画像と背景とを重ね合わせて認識することが可能な表示パネルを透明表示パネルと呼ぶ。
【0030】
図5に示す表示パネルP1の場合、基板20上に導光板30が配置されている点と、導光板30と発光素子部50との間にレンズ部80が配置されている点と、発光素子部50から出射された光源光L50が、レンズ部80および導光板30を介して液晶層LQLに入射する点と、で図6に示す表示パネルP2と相違する。表示パネル(表示装置)P1は、前面10f、および前面10fの反対側にある背面10bを備えている基板10と、前面10fと対向する背面20b、および背面20bの反対側にある前面20fを備えている基板20と、基板10の前面10fと基板20の背面20bとの間に配置される液晶層LQLと、を有している。この点は、図6に示す表示パネルP2と同様である。表示パネルP1は、上記に加え、基板20の前面20f上に接着層31を介して接着固定された導光板30と、複数の発光ダイオード素子51(図4参照)を備え、基板10の前面10f上に配置され、導光板30の側面30s1と対向する位置に配置された発光素子部50と、導光板30と前記発光素子部50との間に配置されたレンズ部80と、を有している。
【0031】
導光板30は、基板20の前面20fと対向する背面30bおよび背面30bの反対側の前面30fを備えている。また、導光板30は、レンズ部80を介して発光素子部50と対向する側面30s1、および側面30s1の反対側に位置する側面30s2を備えている。導光板30は、接着層31を介して基板20に接着固定されている。少なくとも表示領域DAでは、導光板30と基板20との間の隙間は、接着層31により埋められている。図5に示す例では、導光板30の背面30bの全体に接着層31が接着している。発光素子部50から出射される光源光L50は、レンズ部80で拡散されて、側面30s1から導光板30に入射し、反射しながら側面30s2に向かって進む。
【0032】
接着層31は、可視光を透過させることのできる透明な樹脂材料からなる。可視光透過性の接着層31の例として、シート状に形成されたOCA(Optical Clear Adhesive)と呼ばれる透明接着シートや、液体状の透明接着剤を硬化させて用いるOCR(Optical Clear Resin)などを例示できる。基板10、基板20、および導光板30の屈折率には種々の変形例があるが、これらの屈折率は、例えば1.5程度である。接着層31の屈折率は、導光板30の屈折率に近く、例えば1.37~1.5程度である。
【0033】
上記の条件下では、光源光L50の一部は接着層31との界面で反射せず、基板20内に侵入する。基板20に侵入した光は、図6に示す光源光L1と同様に、液晶層LQLに向かって進み、液晶層LQLに侵入する。液晶層LQLで散乱された光は、放出光L2として前面20f側から表示パネルP1の外部に出射される。一方、液晶層LQLで散乱されなかった光は、基板10の背面10bおよび基板20の前面20f(または導光板30の前面30f)で反射して、発光素子部50から遠ざかる方向に伝搬する。
【0034】
<発光素子部およびレンズの構造>
次に、発光素子部およびレンズの構造について説明する。図7は、図3に示す発光素子部、レンズ部、および導光板の構造例を示す断面図である。図7に示す断面は、図3のA-A線に沿った断面、すなわち、図5と同じ断面である。図8は、図3に示す発光素子部、レンズ部、および導光板を上方から視た拡大平面図である。図9は、図8に対する検討例を示す拡大平面図である。以下では、図5に示す表示パネルP1のように基板20とは別に基板20の前面側に導光板30が配置された例を取り上げて説明する。ただし、以下で説明する技術は、図6に示す表示パネルP2のように、導光板30が設けられず、基板20を導光板と見做して使用する場合にも適用することができる。この場合、図6に示す基板20と発光素子部50との間に図5に示すレンズ部80が配置される。また、この場合、以下で説明する導光板30という記載を基板20と読み替えて適用することができる。
【0035】
図7に示すように、発光素子部50、レンズ部80、および導光板30は、X方向と交差するY方向に沿って配列されている。レンズ部80は、出光面81bに配列されたプリズム81pを備え、導光板30と発光素子部50との間に配置されたレンズ81と、出光面82bに配列されたプリズム82pを備え、レンズ81と発光素子部50との間に配置されたレンズ82と、を備えている。また、レンズ81は、入光面81aに配列され、レンズ82から出射された光を拡散させてレンズ81内に導入することが可能な拡散用プリズム81dpを備えている。
【0036】
レンズとは、可視光を透過させる導光部材のうち、屈折率の違いを利用して光を発散または収束させる機能を備えた光学部材である。レンズ部80は導光板の一種であるが、本実施の形態では、表示領域DA(図3参照)に配置された導光板30と、レンズ部80とを区別して説明する。また、プリズムとは、光を分散、屈折、あるいは反射させる光学素子である。本実施の形態の場合、レンズ81の出光面81bに配置されるプリズム81pは、レンズ81内に伝搬された光のうち、一部の方向を向いた光の向きを出光面81bに対する法線方向(図7および図8に示す例ではY方向)に変える機能を備えている。また、レンズ82の出光面82bに配置されるプリズム82pは、レンズ82内に伝搬された光のうち、一部の方向を向いた光の向きを出光面82bに対する法線方向(図7および図8に示す例ではY方向)に変える機能を備えている。また、レンズ81の入光面81aに配置される拡散用プリズム81dpは、レンズ82の出光面82bから出射された光を拡散させてレンズ81内に導入する機能を備えている。
【0037】
カラー表示可能な表示装置の場合、例えば図7に例示するように、赤色用光源素子としての発光ダイオード素子51r、緑色用光源素子としての発光ダイオード素子51g、および青色用光源素子としての発光ダイオード素子51bを利用する。図7に示すような表示装置の場合、色の異なる光源から出射された光を混ぜることにより、白色光等の光を再現し、再現された色の光を導光板30に向かって照射する。ただし、各光源素子から出射された光は、光源素子の出射面から放射状に広がる。このため、混色された光を導光板30に導入するためには、レンズ部80の出光面(図7に示す例の場合、レンズ81の出光面81b)にプリズム81pを設ける方法がある。
【0038】
以下、図9に示す検討例を用いてレンズ83の出光面83bにプリズム83pが形成されている例を用いて説明する。図9において、導光板30と発光素子部50との間にはレンズ83が配置されている。レンズ83は、入光面83a、入光面83aの反対側の出光面83b、および出光面83bに配列された複数のプリズム83p、を備えている。プリズム83pは、図8に示すプリズム81pと同様の機能を有している。すなわち、プリズム83pは、レンズ83内に伝搬された光のうち、一部の方向を向いた光の向きを出光面83bに対する法線方向(図9に示す例ではY方向)に変える機能を備えている。
【0039】
複数の発光ダイオード素子51から出射された光は、レンズ83の入光面83aから入光し、レンズ83内を進行する。レンズ83内では、入光面83aから出光面83bに向かって光は放射状に進むので、複数種類の色の光を混合させるためには、レンズ83の厚さ(Y方向における入光面83aから出光面83bまでの距離)は、ある程度の厚さを必要とする。プリズム83pの近傍において、赤色の光、緑色の光、および青色の光が混合されていれば、混合された光の向きはプリズム83pの光学的機能によりY方向に変更され、白色光LWが導光板30に侵入する。
【0040】
ところが、本願発明者の検討によれば、図9に示すように、導光板30と発光素子部50との間に単に1個のレンズ83を配置した場合、複数の発光ダイオード素子51の配列間隔によっては、導光板30内において、白色光LWの輝度にムラが出ることが判った。詳しくは、図9に示すように、Y方向において、発光ダイオード素子51の中心(発光点)と重なる領域R1では、白色光LWの輝度が高く、Y方向において、発光ダイオード素子51の中心(発光点)と重なる領域R1から離れた領域R2では、輝度が低い。このため、平面視において、明るい領域と暗い領域とのストライプが形成される。
【0041】
図9に示す状態で表示装置用の光源装置として用いた場合、観察者には、白色光LWの輝度ムラが視認される。隣り合う領域R1の間では、導光板30に光が全く入らない訳ではない。図9に模式的に示すように、Y方向に対して傾斜した方向の光が拡散されて導光板30に侵入する。ただし、これらの光は、領域R1の白色項LWと比較して輝度が低いため、観察者側から視ると、暗い領域として視認される。
【0042】
一方、レンズ83の厚さや、プリズム83pの角度や発光ダイオード素子51の配列ピッチを調整することで明るい領域と暗い領域とのストライプが形成されることを抑制することも可能であるが、製品仕様ごとに都度最適な調整を行う必要があり、工程の複雑化を招く恐れがある。また、他の手段として多数の発光ダイオード素子51を高密度で配置すれば、この輝度ムラを改善することができるが、この場合、発光ダイオード素子51の数が増加することに伴いコスト高、さらには消費電力の増大が考えられ、さらには表示装置の高温化を抑制するための放熱対策も施す必要がある。
【0043】
上記の検討結果を踏まえ、本願発明者は、図8に示す本実施の形態の光源装置の構成を見出した。図8に示すように、発光素子部50、レンズ部80、および導光板30は、X方向と交差するY方向に沿って配列されている。レンズ部80は、入光面81a、入光面81aの反対側の出光面81b、および出光面81bに配列された複数のプリズム81p、を備え、導光板30と発光素子部50との間に配置されたレンズ81を有している。またレンズ部80は、出光面81bと対向する位置に配置された入光面82a、入光面82aの反対側の出光面82b、および出光面82bに配列された複数のプリズム82p、を備え、レンズ81と発光素子部50との間に配置されたレンズ82と、を備えている。また、レンズ81は、入光面81aに配列され、レンズ82から出射された光を拡散させてレンズ81内に導入することが可能な複数の拡散用プリズム81dpを備えている。
【0044】
図8に示す発光素子部50とレンズ部80とを組み合わせて、光源装置と考えた場合、光源装置の構造は、以下のように表現することができる。レンズ部80は、入光面81a、入光面81aの反対側の出光面81b、および出光面81bに配列された複数のプリズム81p、を備え、導光板30と発光素子部50との間に配置されたレンズ81を有している。またレンズ部80は、入光面81aと対向する位置に配置された出光面82b、出光面82bの反対側の入光面82a、および出光面82bに配列された複数のプリズム82p、を備え、レンズ81と発光素子部50との間に配置されたレンズ82と、を有している。また、レンズ81は、入光面81aに配列され、レンズ82から出射された光を拡散させてレンズ81内に導入することが可能な複数の拡散用プリズム81dpを備えている。
【0045】
本実施の形態の場合、レンズ82の出光面82bまでの光の経路は、図9を用いて説明した光の経路と同様である。レンズ82は、Y方向の厚さ(入光面82aから出光面82bまでの距離)がレンズ83と比較して短いので、レンズ83の厚さよりも薄く、出光面82bに到達する段階では、3色の光が十分に混合されていない場合もある。ただし、本実施の形態の場合、レンズ82は、レンズ81において、3色の光を十分に混合するための前処理機構として設けられている。このため、レンズ82の出光面82bにおいて光が十分に混合されていなくても特に問題はない。一方、光源装置の小型化の観点からは、レンズ82の厚さは薄い方が好ましい。
【0046】
上記したように、レンズ82の出光面82bに配置されるプリズム82pは、レンズ82内に伝搬された光のうち、一部の方向を向いた光の向きを出光面82bに対する法線方向(図7および図8に示す例ではY方向)に変える機能を備えている。このため、図9を用いて説明したレンズ83の場合と同様に、プリズム82pの近傍に到達した光の一部は、光の向きがプリズム82pの光学的機能によりY方向に変更され、レンズ81の入光面81aに向かって照射される。また、光の向きがY方向に変更されなかった光は拡散光としてレンズ81の入光面81aに向かって照射される。
【0047】
レンズ81の複数の拡散用プリズム81dpは、入光面81aに配列され、レンズ82から出射された光を拡散させてレンズ81内に導入する機能を備えている。また、入光面81aに照射される光は、予めレンズ82により拡散された光である。このため、拡散用プリズム81dpを経由した光は更に拡散され、レンズ81内を入光面81aから出光面81bに向かって進行する。入光面81aで拡散された光の一部は、レンズ81の側面で反射され、出光面81bに向かって進行する。
【0048】
このように本実施の形態の場合、レンズ81に光が導入される前に、予めレンズ82により光が拡散される。また、レンズ81に光が導入される際には拡散用プリズム81dpにより更に拡散される。このため、レンズ81の出光面81bに設けられたプリズム81pに光が到達する時には、出光面81bの各領域において3つの色の光がほぼ均等に混合されている。したがって、図8に示すように、プリズム81pから出射される光は、輝度ムラの少ない白色光LWとなる。もちろん、プリズム81pに到達する光には、光の向きがY方向に変更されない拡散光も含まれる。しかし、本実施の形態の場合には、出光面81bの各領域において、Y方向に進む白色光とY方向に対して傾斜した方向に進む拡散光との割合が、ほぼ同程度になっているので、導光板30に照射される光全体としては輝度ムラの少ない光が得られる。
【0049】
また、本実施の形態の場合、互いに隣り合う発光ダイオード素子51gと発光ダイオード素子51bとの離間距離51P1は、発光ダイオード素子51gと発光ダイオード素子51bとの中心間距離51P2に対して30%以上である。発光素子部50が有する発光ダイオード素子は等間隔で配列されているので、複数の発光ダイオード素子51のそれぞれに対して上記関係が成り立つ。このように、離間距離51P1を大きくすることにより発光ダイオード素子51の利用効率を向上させることができる。例えば、発光ダイオード素子51の数が低減できることは、消費電力の低減、あるいは部品数の低減に寄与する。
【0050】
ところで、本実施の形態の場合、Y方向に沿って白色光LWを照射する方法について説明しているが、これは図8に示すX-Y平面における白色光LWの進行方向に関する説明である。図7に示すように、Y-Z平面において、白色光LWは、Y方向に対して傾斜した方向に進むことが好ましい。図5および図6を用いて説明したように透明表示装置の場合、導光板30の前面30f(または基板20の前面20f)で光を反射させることにより、液晶層LQLに光が到達するからである。
【0051】
したがって図8に示す複数のプリズム81pは、出光面81bにおいてX方向に沿って配列され、かつ、Z方向に沿って延びている。複数のプリズム82pは、出光面82bにおいてX方向に沿って配列され、かつ、Z方向に沿って延びている。また、複数の拡散用プリズム81dpは、入光面81aにおいてX方向に沿って配列され、かつ、Z方向に沿って延びている。これにより、プリズム81p、プリズム82p、および拡散用プリズム81dpのそれぞれの光学的な機能は、図7に示すZ方向に対しては作用し難い。このため、図7に示すように、白色光LWを導光板30の前面30fで反射させることができる。
【0052】
<変形例>
次に、図7および図8に示すレンズ部に対する変形例について説明する。図10は、図8に示すレンズ部に対する変形例を示す拡大断面図である。図10に示すレンズ部80Aは、レンズ82の構造が図8に示すレンズ部80と相違する。
【0053】
図10に示す例では、レンズ82は、入光面82aに配列され、複数の発光ダイオード素子51のいずれかから出射された光を拡散させてレンズ82内に導入することが可能な複数の拡散用プリズム82dpを備えている。拡散用プリズム82dpは、図8を用いて説明した拡散用プリズム81dpと同じ構造を備えている。レンズ82の入光面82aには、発光ダイオード素子51からの光が照射されるので、発光ダイオード素子51の配置ピッチが大きい場合には、拡散用プリズム82dpの光学的な拡散機能に起因する光の拡散の程度はレンズ81の拡散用プリズム81dpの拡散機能により得られる拡散の程度と比較すると低い。ただし、レンズ82は、レンズ81に導入される光を予め拡散させる前処理のために設けられている。レンズ82の入光面82aに複数の拡散用プリズム82dpが設けられていることにより、レンズ81の入光面81aに照射される光は、図8に示す例と比較して、より拡散された状態になっている。したがって、レンズ81に供給される光を拡散させるという観点からは、本変形例が好ましい。発光ダイオード素子51のからの光の拡散性を向上させることができれば、要求される輝度レベルを満たす範囲内において複数の発光ダイオード素子の配列ピッチを広げることができる。
【0054】
図11は、図8に示すレンズ部に対する他の変形例を示す拡大断面図である。図11に示すレンズ部80Bは、レンズ82のプリズム82pの構造が図8に示すレンズ部80と相違する。
【0055】
図11に示すレンズ部80Bの場合、レンズ81の複数のプリズム81pとレンズ82の複数のプリズムと82pとは構造が異なる。詳しくは、複数のプリズム81pのそれぞれは、図8に示すレンズ部80の場合と同様に、レンズ81内に伝搬された光のうち、一部の方向を向いた光の向きを出光面81bに対する法線方向(図7および図8に示す例ではY方向)に変える機能を備えている。一方、図11に示すレンズ部80Bが有するレンズ82の複数のプリズム82pは、レンズ82の出光面81bから出射される光を拡散させる機能を備えている。言い換えれば、本変形例の複数のプリズム82pは、レンズ82の出光面81bから出射される光を拡散させることが可能な拡散用プリズムである。このように、本変形例の場合には、プリズム81pとプリズム82pとで機能が異なるので、構造もこれに対応して異なっている。本変形例のようにプリズム82pを拡散用プリズムとすることで、レンズ81の入光面81aに照射される光は、図8に示す例と比較して、より拡散された状態になっている。したがって、レンズ81に供給される光を拡散させるという観点からは、本変形例が好ましい。
【0056】
なお、図示は省略するが、本変形例と図10を用いて説明した変形例とを組み合わせて、図11に示すレンズ82の入光面82aに図10に示す複数の拡散用プリズム82dpが更に形成されている場合もある。
【0057】
図8図10および図11では、導光板30と発光素子部50との間にレンズ81およびレンズ82がY方向に沿って配列された例を用いて説明した。ただし、導光板30と発光素子部50との間にY方向に配列されるレンズの数は2個には限定されず、3個以上の場合もある。例えば、図8図10および図11と発光素子部50との間にさらに別のレンズが配置されている場合がある。このようにY方向に配列されるレンズの数を増やすことにより、発光ダイオード素子51のからの光の拡散性を向上させることができるので、要求される輝度レベルを満たす範囲内において複数の発光ダイオード素子の配列ピッチを広げることができる。一方、レンズの数が増えると、製造工程の煩雑化の原因となる。したがって、部品数の削減、あるいは製造効率を向上させる観点からは、図8図10および図11に示すように、レンズ部がレンズ81およびレンズ82により構成されていることが好ましい。言い換えれば、レンズ82と発光素子部50との間に他のレンズが介在していないことが好ましい。
【0058】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0059】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
10,20 基板
10b,20b,30b 背面(主面、面)
10f,20f,30f 前面(主面、面)
10s1,10s2,20s1,20s2,30s1,30s2 側面
30 導光板
31 接着層
50 発光素子部
51,51b,51g,51r 発光ダイオード素子
52 光源制御部
53 レンズ
70 駆動回路
71 信号処理回路
72 画素制御回路
73 ゲート駆動回路
74 ソース駆動回路
75 コモン電位駆動回路
80,80A,80B レンズ部
81,82,83 レンズ
81a,82a,83a 入光面
81b,82b,83b 出光面
81dp,82dp 拡散用プリズム
81p,82p,83p プリズム
90 制御部
100 観察者
101 背景
711 入力信号解析部(入力信号解析回路)
712 記憶部(記憶回路)
713 信号調整部
CE コモン電極
CMF1,CMF2 給電部
CML コモン電位配線
DA 表示領域
P1,P2 表示パネル(表示装置)
GL ゲート線(信号配線)
HC 保持容量
HDS 水平駆動信号
L1,L50 光源光
L2 放出光
L3 背景光
LCSA 光源制御信号
LQ 液晶
LQL 液晶層
LW 白色光
PE 画素電極
PFA 周辺領域(額縁領域)
PIX 画素
R1,R2 領域
SL ソース線(信号配線)
SLM シール部
Tr スイッチング素子
VCS,VCSA,VS 入力信号
VDS 垂直駆動信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11