(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032357
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】情報提供装置、及び、情報提供方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240305BHJP
B60R 1/25 20220101ALI20240305BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240305BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/25
G08B21/00 E
G08B21/00 U
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135966
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】服部 有樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 義之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 岳
(72)【発明者】
【氏名】小野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菅又 慎吾
【テーマコード(参考)】
5C054
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C054CE00
5C054FA00
5C054FC12
5C054FE07
5C054FE12
5C054FE28
5C054FF06
5C054HA30
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA21
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB21
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA09
5C087AA12
5C087AA16
5C087AA19
5C087AA37
5C087DD03
5C087DD14
5C087EE14
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG02
5C087GG14
5C087GG51
5C087GG57
5C087GG66
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乗務員の確認作業が集中するタイミングでの安全性を向上可能な情報提供装置及び情報提供方法を提供する。
【解決手段】情報提供装置1は、車両Bの一方の側方に設けられたカメラ10と、車両Bの他方の側方に設けられ、カメラ10により取得された映像に応じた情報を表示する表示端末20と、カメラ10及び表示端末20を制御する制御部30と、を備える。表示端末20は、車両Bの乗務員DからサイドミラーB3と同時に視認可能な位置に設けられている。制御部30は、第1トリガを検知すると、カメラ10により取得された映像の表示端末20での表示を開始させる第1表示部31と、第2トリガを検知すると、映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを乗務員Dに注意喚起するための喚起情報を表示端末20に表示させる第2表示部32と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
客室を備える車両の乗務員に対して情報を提供するための情報提供装置であって、
前記車両の左右のうちの一方の側方に設けられたカメラと、
前記車両の左右のうちの他方の側方に設けられ、前記カメラにより取得された映像に応じた情報を表示する表示装置と、
前記カメラ及び前記表示装置を制御する制御部と、
を備え、
前記車両の前記一方の側方には、前記客室に通じるドアが設けられており、
前記車両の前記他方の側方には、サイドミラーが設けられており、
前記カメラは、前記車両の外部における前記ドアを含む領域の映像を取得し、
前記表示装置は、前記車両の前記乗務員から前記サイドミラーと同時に視認可能な位置に設けられており、
前記制御部は、
前記車両が停止した後に第1トリガを検知すると、前記カメラにより取得された前記映像の前記表示装置での表示を開始する第1表示部と、
前記第1トリガよりも後に第2トリガを検知すると、前記映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを前記乗務員に注意喚起するための喚起情報を前記表示装置に表示させる第2表示部と、
を含む、
情報提供装置。
【請求項2】
前記第1トリガは、前記ドアの開スイッチの操作であり、
前記第2トリガは、前記ドアの閉スイッチの操作である、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記カメラにより撮影される領域に対して、前記ドアを含む第1ゾーンと、前記第1ゾーンを含み前記第1ゾーンよりも広い第2ゾーンと、を設定するゾーン設定部を含み、
前記第2表示部は、前記第1ゾーンの内部に人が検出された場合と、前記第1ゾーンの外部であって前記第2ゾーンの内部に人が検出された場合とで、異なる前記喚起情報を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記第1表示部は、左右を反転させて前記映像を前記表示装置に表示させる、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1トリガ、前記第2トリガ、前記映像の表示態様、及び前記喚起情報の表示態様の少なくとも1つを変更するための入力を受け付ける第1受付部を含む、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1ゾーン及び前記第2ゾーンの少なくとも一方を変更するための入力を受け付ける第2受付部を含む、
請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項7】
客室を備える車両の乗務員に対して情報を提供するための情報提供方法であって、
前記車両の左右のうちの一方の側方に設けられに設けられたカメラにより映像を取得すると共に、前記車両の左右のうちの他方の側方に設けられた表示装置に前記映像に応じた情報を表示させる表示工程を備え、
前記車両の前記一方の側方には、前記客室に通じるドアが設けられており、
前記車両の前記他方の側方には、サイドミラーが設けられており、
前記カメラは、前記車両の外部における前記ドアを含む領域の映像を取得し、
前記表示装置は、前記車両の前記乗務員から前記サイドミラーと同時に視認可能な位置に設けられており、
前記表示工程は、
前記車両が停止した後に第1トリガを検知すると、前記カメラにより取得された前記映像の前記表示装置での表示を開始する第1表示工程と、
前記第1トリガよりも後に第2トリガを検知すると、前記映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを前記乗務員に注意喚起するための喚起情報を前記表示装置に表示させる第2表示工程と、
を含む、
情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報提供装置、及び、情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、報知装置が記載されている。この報知装置は、車両の周囲が撮影されている映像の入力を受け付ける映像受付部と、車両のドアの状態に応じて、当該映像におけるドアの近傍に検出エリアを設定する検出エリア設定部と、当該設定された検出エリアにおいて移動体の検出を行う移動体検出部と、当該検出エリアにおいて移動体が検出された場合、所定の報知を行う報知部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バス等の乗降客が存在する車両の運行の際には、例えば、客室に通じるドアの閉スイッチが操作されてから発車するまでの間といったタイミングでは、当該車両のドライバーの確認作業が集中する。すなわち、このタイミングのうち、ドアの閉スイッチが操作されてからドアが閉まるまでの間には、ドライバーは、乗客の乗せ損じの有無の確認のため、車両の左右のうちのドアが設けられた側の側方(例えば左側方)の確認を行ったり、後方からの乗客の駆け込みの有無の確認のため、車両の中央のミラーの確認を行ったり、当該駆け込みの乗客が実際に乗車するか否かの確認のために、再度、左側方の確認を行ったりする必要がある。
【0005】
また、ドアが閉じてから発車するまでの間には、ドライバーは、客室内の乗客の動静を確認するために中央のミラーの確認を行ったり、合流車線の状況を確認するために、車両の右側方の確認を行ったり、乗客の乗せ損じの有無の確認のために、再度、左側方の確認を行ったりする必要がある。さらには、発車直後についても、ドライバーは、右側方を確認しつつハンドルを切りながら微速走行を開始させた後に、再度の乗せ損じの有無の確認のために左側方の確認を行う必要も生じる。
【0006】
したがって、このようなドライバー等の車両の乗務員の確認作業が集中するタイミングにおいて、安全性を向上させることが要求される。
【0007】
そこで、本開示は、乗務員の確認作業が集中するタイミングでの安全性を向上可能な情報提供装置、及び、情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る情報提供装置は、[1]「客室を備える車両の乗務員に対して情報を提供するための情報提供装置であって、前記車両の左右のうちの一方の側方に設けられたカメラと、前記車両の左右のうちの他方の側方に設けられ、前記カメラにより取得された映像に応じた情報を表示する表示装置と、前記カメラ及び前記表示装置を制御する制御部と、を備え、前記車両の前記一方の側方には、前記客室に通じるドアが設けられており、前記車両の前記他方の側方には、サイドミラーが設けられており、前記カメラは、前記車両の外部における前記ドアを含む領域の映像を取得し、前記表示装置は、前記車両の前記乗務員から前記サイドミラーと同時に視認可能な位置に設けられており、前記制御部は、前記車両が停止した後に第1トリガを検知すると、前記カメラにより取得された前記映像の前記表示装置での表示を開始する第1表示部と、前記第1トリガよりも後に第2トリガを検知すると、前記映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを前記乗務員に注意喚起するための喚起情報を前記表示装置に表示させる第2表示部と、を含む、情報提供装置」である。
【0009】
上記[1]の情報提供装置では、車両の左右のうちの一方の側方であって、客室に通じるドア及びカメラが設けられた側方(以下、一例として左側方とする)とは反対側の側方(以下、一例として右側方とする)において、車両の乗務員(例えばドライバー)からサイドミラーと同時に視認可能な位置に表示装置が設けられている。そして、車両が停止した後に第1トリガが検知されると、カメラにより取得された映像の表示装置での表示が開始される。また、第1トリガよりも後に第2トリガが検知されると、映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを乗務員に注意喚起するための喚起情報が表示装置に表示される。
【0010】
このため、上記[1]の情報提供装置によれば、例えばドアの閉スイッチが操作されてからドアが閉まるまでの間には、乗務員は、乗客の乗せ損じの有無の確認の補助となる情報を、右側方に設けられた表示装置に表示された映像を確認することにより取得できる。また、車両の後方からの乗客の駆け込みの有無の確認のために車両の中央のミラーの確認を行った後にも、乗務員は、当該駆け込みの乗客が実際に乗車するか否かの確認の補助となる情報を、右側方の表示装置を確認することにより取得できる。
【0011】
また、例えばドアが閉じてから発車するまでの間には、乗務員は、合流車線の状況を確認するために右側方のサイドミラーを確認するのと同時に、表示装置を確認することによって、乗客の乗せ損じの有無の確認の補助となる情報の取得が可能である。さらには、発車直後についても、乗務員は、右側方を確認しつつハンドルを切りながら微速走行を開始させるのと同時に、表示装置を確認することにより、乗せ損じの有無の確認の補助を受けることが可能である。
【0012】
このように、上記[1]の情報提供装置によれば、乗務員の確認作業が集中するタイミングにおいて、乗務員の目線の移動量を削減し、安全性を向上可能である。さらに、上記[1]の情報提供装置によれば、車両の停止後の特定のトリガが検知された場合に、カメラの映像及び注意喚起のための喚起情報が表示装置に表示される。このため、車両の乗務員が、常時、表示装置に表示された情報のみで確認作業を行うといったことが避けられ、確認作業が集中するタイミングにおいて適切な安全確認補助を得ることが可能となる。
【0013】
本開示に係る情報提供装置は、[2]「前記第1トリガは、前記ドアの開スイッチの操作であり、前記第2トリガは、前記ドアの閉スイッチの操作である、上記[1]に記載の情報提供装置」であってもよい。この場合、確認作業が集中するより適切なタイミングにおいて、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0014】
本開示に係る情報提供装置は、[3]「前記制御部は、前記カメラにより撮影される領域に対して、前記ドアを含む第1ゾーンと、前記第1ゾーンを含み前記第1ゾーンよりも広い第2ゾーンと、を設定するゾーン設定部を含み、前記第2表示部は、前記第1ゾーンの内部に人が検出された場合と、前記第1ゾーンの外部であって前記第2ゾーンの内部に人が検出された場合とで、異なる前記喚起情報を前記表示装置に表示させる、上記[1]又は[2]に記載の情報提供装置」であってもよい。この場合、乗務員にとって、より安全への配慮が必要となる第1ゾーンで人が検出された場合と、相対的に安全と考えられる第2ゾーンで人が検出された場合とを、喚起情報に基づいて容易に判断することが可能となる。
【0015】
本開示に係る情報提供装置は、[4]「前記第1表示部は、左右を反転させて前記映像を前記表示装置に表示させる、上記[1]~[3]のいずれかに記載の情報提供装置」であってもよい。この場合、乗務員による左右見間違いや混乱が抑制される。
【0016】
本開示に係る情報提供装置は、[5]「前記制御部は、前記第1トリガ、前記第2トリガ、前記映像の表示態様、及び前記喚起情報の表示態様の少なくとも1つを変更するための入力を受け付ける第1受付部を含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の情報提供装置」であってもよい。この場合、当該車両の運行事業者や乗務員のニーズに応じた安全確認補助を得ることが可能となる。
【0017】
本開示に係る情報提供装置は、[6]「前記制御部は、前記第1ゾーン及び前記第2ゾーンの少なくとも一方を変更するための入力を受け付ける第2受付部を含む、上記[3]に記載の情報提供装置」であってもよい。この場合、当該車両の運行事業者や乗務員のニーズに応じた安全確認補助を得ることが可能となる。
【0018】
本開示に係る情報提供方法は、[7]「客室を備える車両の乗務員に対して情報を提供するための情報提供方法であって、前記車両の左右のうちの一方の側方に設けられに設けられたカメラにより映像を取得すると共に、前記車両の左右のうちの他方の側方に設けられた表示装置に前記映像に応じた情報を表示させる表示工程を備え、前記車両の前記一方の側方には、前記客室に通じるドアが設けられており、前記車両の前記他方の側方には、サイドミラーが設けられており、前記カメラは、前記車両の外部における前記ドアを含む領域の映像を取得し、前記表示装置は、前記車両の前記乗務員から前記サイドミラーと同時に視認可能な位置に設けられており、前記表示工程は、前記車両が停止した後に第1トリガを検知すると、前記カメラにより取得された前記映像の前記表示装置での表示を開始する第1表示工程と、前記第1トリガよりも後に第2トリガを検知すると、前記映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを前記乗務員に注意喚起するための喚起情報を前記表示装置に表示させる第2表示工程と、を含む、情報提供方法」である。
【0019】
上記[7]の情報提供方法によれば、上記[1]の情報提供装置と同様に、乗務員の確認作業が集中するタイミングにおいて、安全性を向上可能である。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、乗務員の確認作業が集中するタイミングでの安全性を向上可能な情報提供装置、及び、情報提供方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る情報提供装置及び車両を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された車両の内部の一部を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された情報提供装置を示す機能的なブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る情報提供方法の一工程を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、表示端末に表示された映像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、表示端末の表示の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、表示端末の表示の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る情報提供装置及び車両を示す模式的な平面図である。
図2は、
図1に示された車両の内部の一部を示す図である。
図3は、
図1に示された情報提供装置を示す機能的なブロック図である。
図1~3に示されるように、情報提供装置1は、車両Bに搭載されている。車両Bは、乗客を収容する客室B1と、客室B1に通じるドアB1aと、車両Bの運行に関わる乗務員D1の執務エリアB2と、サイドミラーB3と、ミラーB4と、を備える。一例として、車両Bはバスであり、乗務員D1は当該バスのドライバーであり、執務エリアB2は運転席である。
【0024】
ドアB1aは、車両Bの左右のうちの一方の側方(ここでは左側方)に設けられている。ドアB1aは、例えば中扉であり、車両Bの前後方向の中央付近に設けられている。執務エリアB2及びサイドミラーB3は、車両Bの左右のうちの他方の側方(ここでは右側方)に設けられている。執務エリアB2及びサイドミラーB3は、車両Bの前側部分に設けられている。ミラーB4は、車両Bの左右方向における中央付近であって車両Bの前側部分に設けられている。
【0025】
なお、車両Bの左右とは、車両Bの進行方向Tを前方とした場合を基準とし、左側方及び右側方とは、進行方向T(前後方向)に沿った車両Bの中心線CLよりも左側及び右側を意味しており、車両Bの内外を問わない。例えば、サイドミラーB3は車両Bの外部に設けられ、ミラーB4は車両Bの内部に設けられている。
【0026】
情報提供装置1は、車両Bの乗務員Dに対して情報を提供するためのものである。情報提供装置1は、カメラ10と、表示端末(表示装置)20と、制御部30と、を備えている。カメラ10は、車両Bの左右のうちのドアB1aが設けられた一方の側方(ここでは左側方)に設けられている。カメラ10は、一例として車両Bの外部に設けられている。カメラ10は、車両Bの外部におけるドアB1a(車両Bの左側面部)を含む領域ARの映像を取得する。
【0027】
表示端末20は、車両Bの左右のうちのサイドミラーB3が設けられた他方の側方(ここでは右側)に設けられている。表示端末20は、一例として車両Bの内部に設けられている。特に、表示端末20は、執務エリアB2に乗車している乗務員Dからみて、サイドミラーB3と同時に視認可能な位置に設けられている(
図2参照)。
図2の例では、表示端末20及びサイドミラーB3は、共に、鉛直方向の略同位置において、車両BのフロントウィンドウB11とサイドウィンドウB12との間のピラーB13に設けられている。図示の例では、表示端末20は、少なくとも執務エリアB2に乗車している乗務員Dからみて、ピラーB13の幅内に収められている。これにより、乗務員Dの視野が狭められることが避けられる。
【0028】
表示端末20は、例えば、タブレット又はスマートフォンである。或いは、表示端末20は、電子ミラーであってもよい。表示端末20が電子ミラーである場合、サイドミラーB3の画角を表示することも可能である。また、表示端末20がタブレット又はスマートフォンである場合、表示端末20は、別途に筐体等で覆われていてもよい。これは、乗務員Dが操作可能なタブレット又はスマートフォンを執務エリアB2の周辺に設置することにより、乗客に違和感を与えないようにするためである。
【0029】
表示端末20は、カメラ10が取得した映像に応じた情報を表示する。カメラ10が取得した映像に応じた情報とは、カメラ10が取得した映像そのものや、後述するように、当該映像の左右を反転して得られる映像や、当該映像に基づいて生成される注意喚起のための喚起情報等である。
【0030】
制御部30は、カメラ10及び表示端末20を制御するためのものである。制御部30は、第1表示部31、第2表示部32、第1受付部33、第2受付部34、及び、ゾーン設定部35を含む。制御部30は、例えば、RAM、ROM等のメモリ、CPU等のプロセッサ(演算回路)、通信インターフェイス、ハードディスク等の格納部を備えたコンピュータにより構成され得る。制御部30は、表示端末20がタブレット又はスマートフォンである場合には表示端末20において構成されてもよいし、車両Bに搭載された別の端末において構成されてもよい。表示端末20がタブレット又はスマートフォンであり、制御部30が表示端末20において構成される場合、取付が簡便で導入が容易となる。
【0031】
引き続いて、本実施形態に係る情報提供方法を説明することにより、制御部30の各部の動作について説明を行う。
図4は、本実施形態に係る情報提供方法の一工程を示すフローチャートである。
図4に示されるように、この方法では、まず、制御部30が、車両Bが(例えばバス停に)停止した後に第1トリガを検知したか否かの判定を行う(工程S101)。
【0032】
一例として、車両Bがバス停に停止したか否かについては、制御部30がGPS情報や車速情報に基づいて行われてもよいし、制御部30が、カメラ10の映像に基づいた画像検出により、ガードレールやバス停や電柱・停中を検出することで行われてもよい。また、第1トリガは、一例として、ドアB1aの開スイッチの操作である。この場合、車両Bの乗務員DがドアB1aの閉スイッチを操作することで、制御部30によって第1トリガが検知される。
【0033】
制御部30は、工程S101の判定の結果、車両Bが停車した後に第1トリガを検知していない場合(工程S101:NO)、所定の間隔で工程S101の判定を繰り返す。このとき、制御部30は、車両Bが停車した後に第1トリガを検知するまで、表示端末20のモニタ21(
図6参照)をブラックアウトさせておくといったように、表示端末20にカメラ10の映像に基づいた情報を表示させない状態を維持することができる。これにより、車両Bの乗務員Dが、常時、表示端末20に表示された情報のみで確認作業を行うといったことが生じることが避けられる。
【0034】
一方、工程S101の判定の結果、車両Bが停車した後に第1トリガを検知した場合(工程S101:YES)、制御部30がシステムを開始し(工程S102)、制御部30の第1表示部31が、カメラ10により取得された映像の表示端末20での表示を開始する(工程S103:第1表示工程)。このとき、第1表示部31は、カメラ10により取得された映像の左右を反転させて表示端末20に表示させることができる。
【0035】
ここで、
図1に示されるように、制御部30のゾーン設定部35は、カメラ10により撮影される領域ARに対して、ドアB1aを含む第1ゾーンZ1と、第1ゾーンZ1を含み第1ゾーンZ1よりも広い第2ゾーンZ2と、を設定することができる。一例として、第1ゾーンZ1は、車両Bの後端部に至らない車両Bの左側方のゾーンであり、第2ゾーンZ2は、第1ゾーンZ1よりも広く車両Bの後端部を越えて延在する車両Bの左側方及び左後方のゾーンである。第1ゾーンZ1及び第2ゾーンZ2は、任意の大きさ・形状で設定可能とされている。
【0036】
制御部30は、工程S103での映像の表示端末20での表示開始と共に、当該映像において人の検出を開始する(工程S104)。
図5は、表示端末に表示された映像の一例を示す図である。
図5に示されるように、工程S104では、映像P10において人H1、人H2、及び、人H3が検出されている。人H1,H2,H3のそれぞれには、バウンンディングボックスK1,K2,K3が示されている。
【0037】
続く工程では、制御部30が、第2トリガが検知されたか否かの判定を行う(工程S105)。第2トリガは、一例として、ドアB1aの閉スイッチの操作である。この場合、車両Bの乗務員DがドアB1aの閉スイッチを操作することで、制御部30によって第2トリガが検知される。
【0038】
制御部30は、工程S105の判定の結果、第2トリガが検知されていない場合(工程S105:NO)、所定の間隔で行程S105の判定を繰り返す。
【0039】
一方、工程S105の判定の結果、第2トリガが検知すると(工程S105:YES)、制御部30の第2表示部32が、当該映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを乗務員Dに注意喚起するための喚起情報を表示端末20に表示させる(工程S106:第2表示工程)。一例として、喚起情報は、
図6に示されるように、表示端末20のモニタ21の中心エリア21aを囲う外枠エリア21bを明滅させることで表示される。このとき、制御部30は、喚起情報の表示に加えて、表示端末20から注意喚起のための音声を発生させてもよい。
【0040】
さらに、第2表示部32は、第1ゾーンZ1の内部に人が検出された場合(第1の場合)と、第1ゾーンZ1の外部であって第2ゾーンZ2の内部に人が検出された場合(第2の場合)とで、異なる喚起情報を表示端末20に表示させることができる。
【0041】
より具体的には、第2表示部32は、ドアB1aの近傍の第1ゾーンZ1で人が検出された第1の場合に、ドアB1aから比較的離れた第2ゾーンZ2で人が検出された第2の場合よりも、より強く注意喚起を促すように、喚起情報を異ならせることができる。喚起情報を異ならせる具体的な一例としては、第2表示部32は、第1の場合における外枠エリア21bの明滅の周期を第2の場合の外枠エリア21bの明滅の周期よりも短くしたり、第2の場合に外枠エリア21bを白色で明滅させる一方で第1の場合に外枠エリア21bを黄色や赤色で明滅させたり、第2ゾーンZ2でのバウンディングボックスを白色とする一方で第1ゾーンZ1でのバウンディングボックスを黄色や赤色としたりすることができる。別の例としては、第1の場合には外枠エリア21bに枠状の画像を表示する(外枠エリア21bを明示する)と共に、第2の場合には外枠エリア21bに当該画像を表示させないような態様も挙げられる。
【0042】
続く工程では、制御部30が、ドアB1aが完全に閉じられたか否かの判定を行う(工程S107)。工程S107の判定の結果、ドアが完全に閉じられていない場合(工程S107:NO)、制御部30は、所定の間隔で行程S107の判定を繰り返す。
【0043】
一方、工程S107の判定の結果、ドアB1aが完全に閉じられた場合(工程S107:YES)、制御部30は、さらに車両Bが発車したか否かの判定を行う(工程S108)。工程S108の判定の結果、車両Bが発車していない場合(工程S108:NO)、制御部30は、所定の間隔で工程S108の判定を繰り返す。なお、車両Bが発車したか否かの判定については、GPS情報や車速情報に基づいて行われてもよいし、カメラ10の映像に基づいた画像検出に基づいて行われてもよい。
【0044】
工程S108の判定の結果、車両Bが発車していた場合(工程S108:YES)、制御部30は、システムを終了し(工程S109)、表示端末20のモニタ21をブラックアウトさせておくといったように、表示端末20にカメラ10の映像に基づいた情報を表示させない状態とする(工程S110)。これにより、処理が終了する。
【0045】
なお、制御部30の第1受付部33は、第1トリガ、第2トリガ、映像の表示態様、及び喚起情報の表示態様の少なくとも1つを変更するための入力を受け付けることができる。例えば、第1受付部33は、
図6に示されるように、表示端末20のモニタ21に対して、画面の表示倍率の入力を促す情報22,23を表示させることにより、カメラ10により取得された映像の表示態様の1つとして、当該映像の表示倍率(例えば広角や拡大表示等)を変更するための入力を受け付けることができる。
【0046】
また、別の例として、第1受付部33は、
図7に示されるように、表示端末20のモニタ21に対して、第1ゾーンZ1や第2ゾーンZ2の色等の設定の入力を促す情報25,26を表示させたり、バウンディングボックスの色の設定の入力を促す情報27~29を表示させたりすることにより、喚起情報の表示態様の1つとして、それらを変更するための入力を受け付けることができる。
【0047】
さらに、制御部30の第2受付部34は、上述したように、第1ゾーンZ1及び第2ゾーンZ2の少なくとも一方の位置や大きさ、或いは形状等の設定態様を変更するための入力を受け付けることができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る情報提供装置1及び情報提供方法では、車両Bの左右のうちの一方の側方であって、客室B1に通じるドアB1a及びカメラ10が設けられた左側方とは反対側の右側方において、車両Bの乗務員DからサイドミラーB3と同時に視認可能な位置に表示端末20が設けられている。そして、車両Bが停止した後に第1トリガが検知されると、カメラ10により取得された映像の表示端末20での表示が開始される。また、第1トリガよりも後に第2トリガが検知されると、当該映像において人が検出された場合に、当該人が検出されたことを乗務員Dに注意喚起するための喚起情報が表示端末20に表示される。
【0049】
このため、情報提供装置1及び情報提供方法によれば、例えばドアB1aの閉スイッチが操作されてからドアB1aが閉まるまでの間には、乗務員Dは、乗客の乗せ損じの有無の確認の補助となる情報を、右側方に設けられた表示端末20に表示された映像を確認することにより取得できる。また、車両Bの後方からの乗客の駆け込みの有無の確認のために車両Bの中央のミラーB4の確認を行った後にも、乗務員Dは、当該駆け込みの乗客が実際に乗車するか否かの確認の補助となる情報を、右側方の表示端末20を確認することにより取得できる。
【0050】
また、例えばドアB1aが閉じてから発車するまでの間には、乗務員Dは、合流車線の状況を確認するために右側方のサイドミラーB3を確認するのと同時に、表示端末20を確認することによって、乗客の乗せ損じの有無の確認の補助となる情報の取得が可能である。さらには、発車直後についても、乗務員Dは、右側方を確認しつつハンドルを切りながら微速走行を開始させるのと同時に、表示端末20を確認することにより、乗せ損じの有無の確認の補助を受けることが可能である。そして、駆け込み客が近づいてきた場合に気付くことができ、車外にいる待ち客へのアナウンスやドアの再オープンなどの行動変容を促すことが可能となる。
【0051】
このように、情報提供装置1及び情報提供方法によれば、乗務員Dの確認作業が集中するタイミングにおいて、乗務員Dの目線の移動量を削減し、安全性を向上可能である。さらに、情報提供装置1及び情報提供方法によれば、車両Bの停止後の特定のトリガが検知された場合に、カメラ10の映像及び注意喚起のための喚起情報が表示端末20に表示される。このため、車両Bの乗務員Dが、常時、表示端末20に表示された情報のみで確認作業を行うといったことが避けられ、確認作業が集中するタイミングにおいて適切な安全確認補助を得ることが可能となる。
【0052】
また、情報提供装置1では、第1表示部31が表示端末20での映像の表示を開始する第1トリガは、ドアB1aの開スイッチの操作であってもよい。また、情報提供装置1では、第2表示部32が表示端末20での喚起情報の表示を開始する第2トリガは、ドアB1aの閉スイッチの操作であってもよい。この場合、確認作業が集中するより適切なタイミングにおいて、安全性の向上を図ることが可能となる。なお、情報提供装置1では、カメラ10による領域ARの撮影自体は、第1トリガの検知の有無に関わらず常時行われてもよいし、第1トリガを検知してから開始してもよい。
【0053】
また、情報提供装置1では、制御部30は、カメラ10により撮影される領域ARに対して、ドアB1aを含む第1ゾーンZ1と、第1ゾーンZ1を含み第1ゾーンZ1よりも広い第2ゾーンZ2と、を設定するゾーン設定部35を含んでもよい。このとき、第2表示部32は、第1ゾーンZ1の内部に人が検出された場合と、第1ゾーンZ1の外部であって第2ゾーンZ2の内部に人が検出された場合とで、異なる喚起情報を表示端末20に表示させてもよい。この場合、乗務員Dにとって、より安全への配慮が必要となる第1ゾーンZ1で人が検出された場合と、相対的に安全と考えられる第2ゾーンZ2で人が検出された場合とを、喚起情報に基づいて容易に判断することが可能となる。
【0054】
また、情報提供装置1では、第1表示部31は、カメラ10が取得した映像の左右を反転させて表示端末20に表示させてもよい。この場合、乗務員Dによる左右見間違いや混乱が抑制される。
【0055】
また、情報提供装置1では、制御部30は、第1トリガ、第2トリガ、映像の表示態様、及び喚起情報の表示態様の少なくとも1つを変更するための入力を受け付ける第1受付部33を含んでもよい。この場合、車両Bの運行事業者や乗務員のニーズに応じた安全確認補助を得ることが可能となる。
【0056】
さらに、情報提供装置1では、制御部30は、第1ゾーンZ1及び第2ゾーンZ2の少なくとも一方を変更するための入力を受け付ける第2受付部34を含んでもよい。この場合、車両Bの運行事業者や乗務員Dのニーズに応じた安全確認補助を得ることが可能となる。
【0057】
以上の実施形態は、本発明の一態様について説明したものである。したがって、本発明は、上記の情報提供装置1及び情報提供方法に限定されず、任意に変形され得る。
【0058】
例えば、上記の情報提供装置1及び情報提供方法は、車両Bが少なくとも部分的な自動運転が可能な車両である場合にも適用され得る。この場合、乗務員Dはドライバーでない場合も有り得るし、車両Bの少なくとも一部の運転操作を行わない場合も有り得る。
【0059】
また、上記の情報提供装置1及び情報提供方法では、上述したように、第1受付部33が、第1トリガ及び第2トリガの変更を受け付けることが可能である。したがって、第1トリガは、ドアB1aの開スイッチの操作に限定されないし、第2トリガは、ドアB1aの閉スイッチの操作に限定されない。さらには、第1トリガ及び第2トリガの少なくとも一方は2つ以上であってもよい。第1トリガ(又は第2トリガ)が2つ以上である場合、それらの全てを受け付けることが必須の要件とされてもよいし、それらのうちの少なくとも1つを受け付けることが要件とされてもよい。
【0060】
また、第2表示部32が表示端末20に表示させる喚起情報は、表示端末20のモニタ21の外枠エリア21bの明滅に限定されず、任意のものとすることができる。
【0061】
また、上記の情報提供装置1及び情報提供方法では、制御部30が、カメラ10が取得した映像において、当該人の姿勢検知や行動予測等の技術を利用して車両Bに乗ろうとしている乗客を検知し、検知信号を乗務員Dに通知してもよい。
【0062】
さらに、上記の情報提供装置1及び情報提供方法では、制御部30が、カメラ10が取得した映像において、AIエンジンによる当該人の検知精度の向上を図ることが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…情報提供装置、10…カメラ、20…表示端末(表示装置)、30…制御部、31…第1表示部、32…第2表示部、33…第1受付部、34…第2受付部、35…ゾーン設定部、B…車両、B1…客室、B1a…ドア、B3…サイドミラー、D…乗務員、Z1…第1ゾーン、Z2…第2ゾーン。