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特開2024-32366削孔管理システム、削孔管理プログラム、及び測定機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032366
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】削孔管理システム、削孔管理プログラム、及び測定機
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/18 20060101AFI20240305BHJP
   G01B 21/14 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G01B21/18
G01B21/14
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135977
(22)【出願日】2022-08-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1. 令和3年9月6日に、下記アドレスの蜂谷工業株式会社のウェブサイトにて、削孔管理システム、削孔管理プログラム、及び測定機を公開した。 http://www.hachiyakogyo.co.jp/news/%E5%9B%BD%E5%9C%9F%E4%BA%A4%E9%80%9A%E7%9C%81%E3%80%8C%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%94%A3%E6%80%A7%E3%82%92%E9%A3%9B%E8%BA%8D%E7%9A%84%E3%81%AB%E5%90%91%E4%B8%8A%E3%81%99/ 2. 令和3年10月7日に、下記アドレスの国土交通省のウェブサイトにて、削孔管理システム、削孔管理プログラム、及び測定機を公開した。 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001447205.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】516370718
【氏名又は名称】蜂谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津内 崇充
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA40
2F069AA43
2F069BB38
2F069DD16
2F069DD25
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG09
2F069GG63
2F069GG65
2F069GG71
2F069HH09
2F069NN26
2F069QQ05
(57)【要約】
【課題】孔の深さと孔の径とを容易に測定できるものを提供する。
【解決手段】本発明に係る削孔管理システムは、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、壁面と測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得手段と、測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得手段と、を備えるため、孔の深さと孔の径とを容易に測定することができる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、前記壁面と前記測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得手段と、
前記測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得手段と、
を備える削孔管理システム。
【請求項2】
前記壁面に設けられた孔の最深部と前記測定機との距離を測定した時間、前記壁面と前記測定機との距離を測定した時間、及び前記孔を撮影した時間、のいずれか1以上を示す時間データを取得する時間データ取得手段を備えることを特徴とする請求項1記載の削孔管理システム。
【請求項3】
前記壁面に設けられた孔の最深部と前記測定機との距離を測定した位置、前記壁面と前記測定機との距離を測定した位置、及び前記孔を撮影した位置、のいずれか1以上を示す位置データを取得する位置データ取得手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の削孔管理システム。
【請求項4】
前記削孔長データと、前記削孔径データと、に基づいて、削孔管理表を作成する削孔管理表作成手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の削孔管理システム。
【請求項5】
前記削孔長データと、前記削孔径データと、に基づいて、削孔管理表を作成する削孔管理表作成手段を備えることを特徴とする請求項3記載の削孔管理システム。
【請求項6】
壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、前記壁面と前記測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得ステップと、
前記測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得ステップと、
をコンピュータに実行させるための削孔管理プログラム。
【請求項7】
前記第一の距離データを取得する第一の距離センサと、
前記第二の距離データを取得する第二の距離センサと、
前記孔の画像データを取得する撮影部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の測定機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔管理システム、削孔管理プログラム、及び測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、孔の深さを計測する方法が広く考案されている。例えば、特許文献1には、シャフトと、超音波センサと、を備える削孔の深さ計測器が開示されている。
【0003】
特許文献1が開示する削孔の深さ計測器は、予め入力されたシャフトの長さと、超音波センサにより計測された数値と、に基づいて、削孔の基本表面下の深さを算出することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-122087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
橋梁の耐震補強工事等において、壁面に設けられた孔の形状を確認する際には、孔の深さと孔の径とを測定することが一般的である。しかしながら、特許文献1が開示する削孔の深さ計測器は、孔の深さのみを測定するものであるため、作業者は、当該削孔の深さ計測器を用いて孔の深さを測定した後、さらに別の方法により孔の径を測定する必要があった。
【0006】
このように、特許文献1が開示する削孔の深さ計測器は、孔の深さと孔の径とを測定する作業に手間を要するものであった。
【0007】
本発明に係る削孔管理システム、削孔管理プログラム、及び測定機は、上記課題を解決するためになされたものであり、孔の深さと孔の径とを容易に測定できるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る削孔管理システムは、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、壁面と測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得手段と、測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る削孔管理システムは、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を測定した時間、壁面と測定機との距離を測定した時間、及び孔を撮影した時間、のいずれか1以上を示す時間データを取得する時間データ取得手段を備えることが好ましい。
【0010】
本発明に係る削孔管理システムは、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を測定した位置、壁面と測定機との距離を測定した位置、及び孔を撮影した位置、のいずれか1以上を示す位置データを取得する位置データ取得手段を備えることが好ましい。
【0011】
本発明に係る削孔管理システムは、削孔長データと、削孔径データと、に基づいて、削孔管理表を作成する削孔管理表作成手段を備えることが好ましい。
【0012】
本発明に係る削孔管理プログラムは、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、壁面と測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得ステップと、測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る測定機は、第一の距離データを取得する第一の距離センサと、第二の距離データを取得する第二の距離センサと、孔の画像データを取得する撮影部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る削孔管理システム、削孔管理プログラム、及び測定機は、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、壁面と測定機との距離を示す第二の距離データと、測定機により撮影された孔の画像データを用いることで、孔の深さと孔の径とを容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る削孔管理システムの一例を示す構成図である。
図2】本例の削孔管理システムの処理を示すフロー図である。
図3】本発明に係る測定機の一例を示す斜視図である。
図4】本例の測定機を示す正面図である。
図5】本例の測定機を示す背面図である。
図6】本例の測定機を示す右側面図である。
図7】本例の測定機を示す平面図である。
図8】本例の測定機の使用状態を示す概略断面図である。
図9】本例の測定機の使用状態を示す背面図である。
図10】本例の測定機の使用状態を示す背面図である。
図11】本例の削孔管理システムにより作成された削孔管理表を示す図である。
図12】本例の測定機の使用状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。
【0017】
図1に示すように、本例の削孔管理システム100は、削孔長データ取得手段110と、削孔径データ取得手段120と、画像データ取得手段130と、時間データ取得手段140と、位置データ取得手段150と、削孔管理表作成手段160と、を備える。
【0018】
削孔管理システム100は、コンピュータにより構成される。削孔管理システム100を構成するコンピュータは、各種プログラムによる命令を実行するプロセッサ等からなる演算装置及び制御装置と、各種データ及び各種プログラムを記録するメインメモリ等からなる主記憶装置、及びハードディスク等からなる補助記憶装置と、各種データを入力するセンサ、カメラ、受信装置等からなる入力装置と、各種データを出力するディスプレイ、プリンタ、送信装置等からなる出力装置と、を備える。
【0019】
本例の削孔管理システム100において、削孔長データ取得手段110、削孔径データ取得手段120、画像データ取得手段130、時間データ取得手段140、位置データ取得手段150、及び削孔管理表作成手段160は、分離した複数のコンピュータにより構成されるものであってもよく、単一のコンピュータにより一体として構成されるものであってもよい。
【0020】
本例の削孔管理システム100において、削孔長データ取得手段110、削孔径データ取得手段120、画像データ取得手段130、時間データ取得手段140、位置データ取得手段150、及び削孔管理表作成手段160は、後述するタブレット型コンピュータ340により構成される。
【0021】
図2に示すように、本例の削孔管理プログラムは、削孔長データ取得ステップ210と、削孔径データ取得ステップ220と、画像データ取得ステップ230と、時間データ取得ステップ240と、位置データ取得ステップ250と、削孔管理表作成ステップ260と、をコンピュータに実行させる。
【0022】
本例の削孔管理システム100において、削孔長データ取得手段110は、削孔長データ取得ステップ210を実行し、削孔径データ取得手段120は、削孔径データ取得ステップ220を実行し、画像データ取得手段130は、画像データ取得ステップ230を実行し、時間データ取得手段140は、時間データ取得ステップ240を実行し、位置データ取得手段150は、位置データ取得ステップ250を実行し、削孔管理表作成手段160は、削孔管理表作成ステップ260を実行する。
【0023】
本例の削孔管理プログラムは、後述するタブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に記録される。ただし、本発明の削孔管理プログラムは、タブレット型コンピュータ等にネットワークを介して接続されたコンピュータに記録されるものであってもよく、本例に限定されない。
【0024】
図3~8に示すように、本例の測定機300は、距離センサデバイス310と、筒状部320と、ガイド部330と、タブレット型コンピュータ340と、を備える。
【0025】
図3~8に示すように、距離センサデバイス310は、単数の第一の距離センサ311と、複数の第二の距離センサ312と、を備える。ただし、本発明において、第一の距離センサと第二の距離センサの数は、本例に限定されない。
【0026】
図3~8に示すように、第一の距離センサ311と第二の距離センサ312は、距離センサデバイス310の正面側に設けられる。第二の距離センサ312は、第一の距離センサ311の両側に、正面視で左右一対として設けられる。
【0027】
本例の測定機300において、第一の距離センサ311と第二の距離センサ312は、レーザセンサからなる。ただし、本発明の測定機において、第一の距離センサと第二の距離センサは、超音波センサやその他の距離センサからなるものであってもよく、本例に限定されない。
【0028】
図3~8に示すように、筒状部320は、中空構造である。筒状部320は、第一の距離センサ311を内壁で囲むように、距離センサデバイス310の正面側に設けられる。筒状部320の軸線と第一の距離センサ311は、平面視で同一直線上に位置する。
【0029】
図3~8に示すように、筒状部320は、距離センサデバイス310に対して固定された外筒321と、外筒に内包された内筒322と、により構成される。作業者は、外筒321に対して内筒322を相対的に移動させることにより、筒状部320を伸縮させることができる。
【0030】
筒状部320は、基端に開口部を有し、先端にカバー部材323を有する。本例の測定機300において、カバー部材323は、筒状部320の先端に貼付された粘着テープからなる。ただし、本発明の測定機において、カバー部材は、厚みの小さい部材であれば、本例に限定されない。
【0031】
本例の測定機300において、筒状部320は、外筒321と内筒322とからなる二層構造となっている。ただし、本発明の測定機において、筒状部を構成する層の数は、本例に限定されない。
【0032】
図3~8に示すように、ガイド部330は、複数の板状部材により構成される。ガイド部330は、距離センサデバイス310に対して固定される基端部331と、筒状部320が延びた方向と平行に延びた連結部332と、筒状部320を支持する支持部333と、連結部332と直交する方向へ延びた先端部334と、を有する。
【0033】
図3~8に示すように、タブレット型コンピュータ340は、撮影部341と、表示部342と、操作部343と、を備える。なお、本発明の測定機が備えるコンピュータは、本例のタブレット型コンピュータに限定されない。
【0034】
図3~8に示すように、撮影部341は、タブレット型コンピュータ340に搭載されたカメラであり、表示部342と操作部343は、タブレット型コンピュータ340に搭載されたタッチパネルである。ただし、本発明の測定機は、撮影部、表示部、及び操作部として、それぞれ別に設けられたカメラ、ディスプレイ、及び押しボタン等を用いてもよく、本例に限定されない。
【0035】
図3~8に示すように、タブレット型コンピュータ340は、距離センサデバイス310の背面に対して固定される。タブレット型コンピュータ340と距離センサデバイス310は、ケーブル(図示しない)により接続されており、各種データの送受信が可能となっている。ただし、本発明において、タブレット型コンピュータ等と距離センサデバイスとの接続方法は、無線通信によるものであってもよく、本例に限定されない。
【0036】
図3~8に示すように、撮影部341は、測定機300の正面側に設けられる。筒状部320の軸線と撮影部341は、平面視で同一直線上に位置する。
【0037】
図3~8に示すように、表示部342と操作部343は、測定機300の背面側に設けられる。表示部342は、映像表示領域351と、測定開始ボタン352と、測定終了ボタン353と、モード切替ボタン354と、を表示する。
【0038】
作業者は、指やペン等で表示部342を触れることにより、測定機300を操作することができる。このため、表示部342に表示された映像表示領域351、測定開始ボタン352、測定終了ボタン353、及びモード切替ボタン354は、操作部343として機能する。
【0039】
図8に示すように、作業者は、壁面400に設けられた孔500に対して筒状部320を挿入することができる。作業者は、孔500に対して筒状部320を挿入する際に、孔の最深部510と筒状部320の内筒322とを接触させ、筒状部320を伸縮させることができる。
【0040】
図8に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、筒状部320の先端は、孔の最深部510と接触する。また、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、ガイド部330の先端部334は、壁面400と密着する。
【0041】
図8に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、ガイド部330の先端部334は、壁面400と密着するため、本例の測定機300は、作業者による手の振れを低減させることができる。
【0042】
図8に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、第一の距離センサ311と壁面400との距離は、第二の距離センサ312と壁面400との距離と同一である。
【0043】
図8及び9に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、表示部342は、撮影部341により撮影されている壁面400と孔500の映像を、映像表示領域351に表示する。
【0044】
図9に示す例において、映像表示領域351の上部には、壁面400が表示されている。図9に示す例において、映像表示領域351の中央部には、孔500の一部が表示されている。図9に示す例において、映像表示領域351の下部には、距離センサデバイス310の平面部分が表示されている。なお、図9において、孔500に挿入された筒状部320の図示は省略している。
【0045】
図8及び9に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定開始ボタン352を押下すると、第一の距離センサ311と第二の距離センサ312は、それぞれレーザ光による距離の測定を開始し、削孔長データ取得手段110は、削孔長データ取得ステップ210を実行する。
【0046】
図8に示すように、第一の距離センサ311は、孔の最深部510の位置する方向へレーザ光を投光し、筒状部320の先端に設けられたカバー部材323によって反射された光を受光し、孔の最深部510と測定機300との距離D1を示す第一の距離データを取得する。
【0047】
図8に示すように、第二の距離センサ312は、壁面400へレーザ光を投光し、壁面400によって反射された光を受光し、壁面400と測定機300との距離D2を示す第二の距離データを取得する。
【0048】
削孔長データ取得ステップ210において、削孔長データ取得手段110は、第一の距離センサ311により取得された第一の距離データから、複数の第二の距離センサ312により取得された第二の距離データの平均値を減算することにより、壁面400に設けられた孔500の深さを示す削孔長データを取得する。
【0049】
削孔長データ取得ステップ210において、削孔長データ取得手段110は、複数の第二の距離センサ312により取得された第二の距離データの平均値を用いて演算を行うため、作業者による手の振れが生じた場合においても、精度の高い削孔長データを取得することができる。
【0050】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定開始ボタン352を押下すると、削孔径データ取得手段120は、削孔径データ取得ステップ220を実行し、撮影部341により撮影された孔の画像データから円の抽出を開始する。
【0051】
削孔径データ取得ステップ220において、削孔径データ取得手段120は、公知の手法によって、撮影部341により撮影された孔の画像から円を抽出することができる。例えば、削孔径データ取得手段120は、メディアンフィルタ等の手法を用いて、撮影部341により撮影された孔の画像データに含まれるノイズを除去し、グレースケール変換等の手法を用いて、ノイズが除去された孔の画像データをグレースケールに変換し、ハフ変換等の手法を用いて、グレースケールに変換された孔の画像データから円を抽出してもよい。
【0052】
図10に示すように、表示部342は、削孔径データ取得手段120により抽出された円の図形を、破線によって映像表示領域351に表示する。ただし、本発明において、削孔径データ取得手段により抽出された図形の表示方法は、本例に限定されない。
【0053】
図9に示す例において、表示部342は、削孔径データ取得手段120により抽出された一つの円の図形を、映像表示領域351に表示している。ただし、表示部342は、削孔径データ取得手段120により抽出された複数の円の図形を、映像表示領域351に表示することができる。
【0054】
図10に示す状態において、作業者が映像表示領域351に表示された円を押下すると、削孔径データ取得手段120は、削孔径データ取得ステップ220を実行し、押下された円の削孔径データを取得する。
【0055】
図8に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、ガイド部330の先端部334は、壁面400と密着する。これにより、壁面400に設けられたいずれの孔に対して筒状部320が挿入された場合においても、撮影部341と壁面400との距離は一定となる。撮影部341と壁面400との距離は、ガイド部330の基端から先端までの距離と同一である。撮影部341と壁面400との距離を示す距離データは、タブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に予め記録されている。
【0056】
削孔径データ取得ステップ220において、削孔径データ取得手段120は、押下された円の図形と、タブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に予め記録された撮影部341と壁面400との距離を示す距離データと、に基づいて、孔500の直径を示す削孔径データを取得する。
【0057】
削孔径データ取得ステップ220において、削孔径データ取得手段120は、公知の手法によって、押下された円の削孔径データを取得することができる。例えば、削孔径データ取得手段120は、撮影部341と壁面400との距離を示す距離データに基づいて、孔の画像データに含まれる1ピクセルが示す長さを算出し、当該1ピクセルが示す長さに基づいて、押下された円の図形の直径を算出し、削孔径データを取得してもよい。また、例えば、削孔径データ取得手段120は、円の図形を含む教師用画像データと、当該教師用画像データに対応する教師用削孔径データを教師データとして、機械学習の手法により作成された学習済みモデルに対して、押下された円の図形を含む画像データを入力することにより、削孔径データを取得してもよい。
【0058】
本例の削孔管理システム100において、削孔径データ取得手段120は、作業者が映像表示領域351に表示された円を押下する手順を省略させることができる。例えば、削孔径データ取得手段120は、撮影部341により撮影された孔の画像データから一つの円を抽出し、当該抽出された円の直径を自動的に算出し、削孔径データを取得してもよい。
【0059】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定開始ボタン352を押下すると、測定終了ボタン353が押下可能となる。
【0060】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定終了ボタン353を押下すると、削孔長データ取得手段110は、作業者が測定終了ボタン353を押下した時点で取得された削孔長データを、タブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に記録する。
【0061】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定終了ボタン353を押下すると、削孔径データ取得手段120は、作業者が測定終了ボタン353を押下した時点で取得された削孔径データを、タブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に記録する。
【0062】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定終了ボタン353を押下すると、画像データ取得手段130は、画像データ取得ステップ230を実行する。
【0063】
画像データ取得ステップ230において、画像データ取得手段130は、作業者が測定終了ボタン353を押下した時点で撮影部341により撮影された孔の画像データを取得し、タブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に記録する。
【0064】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定終了ボタン353を押下すると、時間データ取得手段140は、時間データ取得ステップ240を実行する。
【0065】
時間データ取得ステップ240において、時間データ取得手段140は、作業者が測定終了ボタン353を押下した時間を示す時間データを取得し、タブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に記録する。
【0066】
時間データ取得手段140は、時間データとして、タブレット型コンピュータ340の有するシステム時刻を取得する。時間データ取得手段140は、時間データとして、画像データ取得手段140により取得された孔の画像データに関連付けられた撮影時刻を取得してもよい。
【0067】
本例の時間データ取得手段140は、作業者が測定終了ボタン353を押下した時間を示す時間データを取得する。ただし、本発明の時間データ取得手段は、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を測定した時間、壁面と測定機との距離を測定した時間、及び孔を撮影した時間、のいずれか1以上を示す時間データを取得するものであれば、本例に限定されない。
【0068】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定終了ボタン353を押下すると、位置データ取得手段150は、位置データ取得ステップ250を実行する。
【0069】
位置データ取得ステップ250において、位置データ取得手段150は、作業者が測定終了ボタン353を押下した位置を示す位置データを取得し、タブレット型コンピュータ340の備える補助記憶装置に記録する。
【0070】
本例のタブレット型コンピュータ340は、GPS(Global Positioning System)を利用して、現在位置を示す緯度情報と経度情報を取得することができる。位置データ取得手段150は、位置データとして、タブレット型コンピュータ340の有する緯度情報と経度情報を取得する。位置データ取得手段150は、位置データとして、画像データ取得手段130により取得された画像データに関連付けられた緯度情報と経度情報を取得してもよい。
【0071】
本例の位置データ取得手段150は、作業者が測定終了ボタン353を押下した位置を示す位置データを取得する。ただし、本発明の位置データ取得手段は、壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を測定した位置、壁面と測定機との距離を測定した位置、及び孔を撮影した位置、のいずれか1以上を示す位置データを取得するものであれば、本例に限定されない。
【0072】
図8~10に示すように、孔500に対して筒状部320が挿入された状態において、作業者が測定終了ボタン353を押下すると、削孔管理表作成手段160は、削孔管理表作成ステップ260を実行する。
【0073】
削孔管理表作成ステップ260において、削孔管理表作成手段160は、削孔長データ取得手段110により取得された削孔長データ、削孔径データ取得手段120により取得された削孔径データ、画像データ取得手段130により取得された孔の画像データ、時間データ取得手段140により取得された時間データ、及び位置データ取得手段150により取得された位置データ、のいずれか1以上に基づいて、削孔管理表を作成する。
【0074】
図11に示す例において、削孔管理表作成手段160は、削孔長データ取得手段110により取得された削孔長データ、削孔径データ取得手段120により取得された削孔径データ、及び位置データ取得手段150により取得された位置データに基づいて、削孔管理表を作成している。
【0075】
図11に示す例において、削孔管理表作成手段160は、測点G1-1に設けられた孔、測点G1-2に設けられた孔、及び測点G1-3に設けられた孔を対象として取得された各種データに基づいて、削孔管理表を作成している。
【0076】
図11に示す例において、測点G1-1に設けられた孔は、削孔長が「787」、削孔径が「160.1999」、緯度が「34.653801」、経度が「133.918832」として記録されている。また、測点G1-2に設けられた孔は、削孔長が「789」、削孔径が「160.1999」、緯度が「34.653802」、経度が「133.918833」として記録されている。また、測点G1-3に設けられた孔は、削孔長が「788」、削孔径が「160.1999」、緯度が「34.653803」、経度が「133.918834」として記録されている。
【0077】
同一の機械により削孔された各孔の削孔径は大きく異ならない場合があるため、図11に示す例のように、削孔管理表作成手段160は、最初に測定された孔の削孔径データである「160.1999」を全ての孔の削孔径データとして記録した削孔管理表を作成することができる。ただし、本発明において、削孔管理表作成手段は、測定された各孔の削孔径データが記録された削孔管理表を作成してもよく、本例に限定されない。
【0078】
図11に示す例において、削孔管理表作成手段160は、各孔の削孔長データを表示する列と、全ての孔の削孔径データを表示するセルと、各孔の緯度情報を表示する列と、各孔の経度情報を表示する列と、を有する削孔管理表を作成している。ただし、本発明において、削孔管理表作成手段は、削孔長データ、削孔径データ、孔の画像データ、時間データ、及び位置データ、のいずれか1以上に基づいて、削孔管理表を作成するものであれば、本例に限定されない。例えば、本発明の削孔管理表作成手段は、各孔の画像データを表示する列と、時間データを表示する列と、を有する削孔管理表を作成してもよい。
【0079】
本例の削孔管理システム100は、測定終了ボタン353の一度の押下により取得された削孔長データ、削孔径データ、孔の画像データ、時間データ、及び位置データを、一つの孔が有するデータとして、関連付けて記録する。これにより、削孔管理表作成手段160は、各孔に関連付けられた各種データを表形式で表すことができる。
【0080】
図12に示すように、表示部342は、削孔管理表作成手段160により作成された削孔管理表、又は各種データが記録されていない削孔管理表を表示することができる。
【0081】
図9又は10に示す状態において、モード切替ボタン354が押下されると、表示部342及び操作部343は、図12に示す状態に切り替えられ、削孔管理表が表示される。
【0082】
図10に示す状態において、測定終了ボタン353が押下されると、表示部342及び操作部343は、図12に示す状態に切り替えられ、測定終了ボタン353の押下により取得された各種データが記録された削孔管理表が表示される。
【0083】
図12に示す状態において、モード切替ボタン354が押下されると、表示部342及び操作部343は、図9に示す状態に切り替えられる。
【0084】
本例の削孔管理システム100は、次回の測定対象を自動的に設定することができる。例えば、図12に示す状態において、測点G1-1~G1-3に設けられた孔を対象とした測定は既に行われているため、次に取得された削孔長データ、削孔径データ、孔の画像データ、時間データ、及び位置データは、測点G1-4に設けられた孔のデータとして記録される。
【0085】
本例の削孔管理システム100において、作業者は、次回の測定対象を選択することができる。例えば、図12に示す状態において、測点G2-1に設けられた孔を示す行又はセルが押下されると、次に取得された削孔長データ、削孔径データ、孔の画像データ、時間データ、及び位置データは、測点G2-1に設けられた孔のデータとして記録される。
【0086】
削孔管理システム100は、削孔長データ取得手段110により取得された削孔長データと、削孔径データ取得手段120により取得された削孔径データと、画像データ取得手段130により取得された孔の画像データと、時間データ取得手段140により取得された時間データと、位置データ取得手段150により取得された位置データと、削孔管理表作成手段により作成された削孔管理表とを、ネットワークを介して接続されたコンピュータに送信する。これにより、各種データ及び削孔管理表を複数人で共有することができる。
【0087】
本例の削孔管理システム100は、削孔長データ取得手段110と、削孔径データ取得手段120と、を備えるため、孔の深さと孔の径とを順に測定する従来の手法と比較して、測定に要する時間や労力を低減することができる。
【0088】
本例の削孔管理システム100は、画像データ取得手段130と、時間データ取得手段140と、位置データ取得手段150と、を備えるため、孔の深さと孔の径のみを記録する従来の手法と比較して、孔を測定した状況、測定された孔の状態、測定された孔を特定可能な情報等といった詳細な情報を容易に記録することができる。
【0089】
本例の削孔管理システム100は、削孔管理表作成手段160を備えるため、測定された各種データを作業者が記入する従来の手法と比較して、各種データの記録や確認に要する時間や労力を低減することができる。
【0090】
本例の削孔管理システム100は、削孔長データ、削孔径データ、孔の画像データ、時間データ、及び位置データを関連付けて記録し、削孔管理表を作成するため、データの改ざん等を防止し、測定結果の信憑性を高めることができる。
【符号の説明】
【0091】
100 削孔管理システム
110 削孔長データ取得手段
120 削孔径データ取得手段
130 画像データ取得手段
140 時間データ取得手段
150 位置データ取得手段
160 削孔管理表作成手段
210 削孔長データ取得ステップ
220 削孔径データ取得ステップ
230 画像データ取得ステップ
240 時間データ取得ステップ
250 位置データ取得ステップ
260 削孔管理表作成ステップ
300 測定機
310 距離センサデバイス
311 第一の距離センサ
312 第二の距離センサ
320 筒状部
321 外筒
322 内筒
323 カバー部材
330 ガイド部
331 基端部
332 連結部
333 支持部
334 先端部
340 タブレット型コンピュータ
341 撮影部
342 表示部
343 操作部
351 映像表示領域
352 測定開始ボタン
353 測定終了ボタン
354 モード切替ボタン
400 壁面
500 孔
510 孔の最深部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、前記壁面と前記測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得手段と、
前記測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得手段と、
前記壁面に設けられた孔の最深部と前記測定機との距離を測定した位置、前記壁面と前記測定機との距離を測定した位置、及び前記孔を撮影した位置、のいずれか1以上を示す位置データを取得する位置データ取得手段と、
を備える削孔管理システム。
【請求項2】
壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、前記壁面と前記測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得手段と、
前記測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得手段と、
を備え、
測定機が、前記第一の距離データを取得する第一の距離センサと、
前記第二の距離データを取得する第二の距離センサと、
前記孔の画像データを取得する撮影部と、
を備える削孔管理システム。
【請求項3】
前記壁面に設けられた孔の最深部と前記測定機との距離を測定した時間、前記壁面と前記測定機との距離を測定した時間、及び前記孔を撮影した時間、のいずれか1以上を示す時間データを取得する時間データ取得手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の削孔管理システム。
【請求項4】
前記削孔長データと、前記削孔径データと、に基づいて、削孔管理表を作成する削孔管理表作成手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の削孔管理システム。
【請求項5】
壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データと、前記壁面と前記測定機との距離を示す第二の距離データと、に基づいて、削孔長データを取得する削孔長データ取得ステップと、
前記測定機により撮影された孔の画像データに基づいて、削孔径データを取得する削孔径データ取得ステップと、
前記壁面に設けられた孔の最深部と前記測定機との距離を測定した位置、前記壁面と前記測定機との距離を測定した位置、及び前記孔を撮影した位置、のいずれか1以上を示す位置データを取得する位置データ取得ステップと、
をコンピュータに実行させるための削孔管理プログラム。
【請求項6】
壁面に設けられた孔の最深部と測定機との距離を示す第一の距離データを取得する第一の距離センサと、
前記壁面と前記測定機との距離を示す第二の距離データを取得する第二の距離センサと、
前記孔の画像データを取得する撮影部と、
を備えることを特徴とする測定機。