(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032379
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04664 20160101AFI20240305BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240305BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20240305BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20240305BHJP
F24D 18/00 20220101ALI20240305BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240305BHJP
F24D 101/30 20220101ALN20240305BHJP
F24D 103/17 20220101ALN20240305BHJP
【FI】
H01M8/04664
H01M8/04313
H01M8/04225
H01M8/04302
F24D18/00
F24H1/00 631Z
F24D101:30
F24D103:17
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135996
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山宮 弘毅
【テーマコード(参考)】
3L122
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA28
3L122BB06
3L122DA32
3L122EA50
3L122FA11
3L122FA35
3L122GA06
5H127AB23
5H127AC03
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127BB37
5H127DA01
5H127DB91
5H127DC93
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
5H127GG04
5H127GG10
(57)【要約】
【課題】蓄熱タンクの水位を検知する水位センサを減らしたとしても、水位センサの故障を検出することのできる燃料電池装置を提供すること。
【解決手段】蓄熱タンク3内の水が所定量以上ある場合に水有り、所定量未満の場合に水無しを検出する水位検知手段7と、蓄熱タンク3の水張りが実施されてる場合にONとなり、実施されていない場合にOFFとなる水張りフラグを有する制御装置30を備え、制御装置30は水位検知手段7が水有りを検出し、かつ水張フラグがOFFの場合は、水位検知手段7が故障していると判断する。これにより、蓄熱タンク3に水が無いにもかかわらず、水位検知手段7が水有りを検出してしまう状況を故障として検出することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池からの排熱を回収する水を貯える蓄熱タンクと、
前記蓄熱タンク内の水が所定量以上ある場合に水有り、所定量未満の場合に水無しを検出する水位検知手段と、
制御装置と、を備え
前記制御装置は、前記蓄熱タンクの水張りが実施されている場合にONとなり、実施されていない場合にOFFとなる水張りフラグを有しており、
前記水位検知手段が水有りを検出し、かつ前記水張フラグがOFFの場合は、前記水位検知手段が故障していると判断する燃料電池装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記燃料電池の発電開始指示を待つ待機工程において前記水位検知手段が水無しを検出した状態から、発電開始指示を受けて起動工程に遷移した後、前記水位検知手段が水有りを検出した場合は前記水張りフラグをONにする請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記蓄熱タンク内の水を抜く水抜きが実施され、かつ前記水位検知手段が水無しを検出した場合は前記水張りフラグをOFFにする請求項1または2記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素を含有する燃料ガスと酸素含有ガス(空気)とを用いて発電を行ない、電気を外部に供給する燃料電池装置が知られている。このような燃料電池装置は、熱媒体を蓄える蓄熱タンクを備えており、燃料電池の発電によって発生した排熱を熱媒体に回収して蓄熱タンクに蓄え、熱媒体を給湯や暖房等に使用している。また、熱媒体としては一般に水が用いられる。
【0003】
蓄熱タンクには、水位を検知するためのセンサが複数箇所に設けられている。例えば、特許文献1では、低水位を検知する低水位センサLと、高水位を検知する高水位センサHの2つ水位センサが設けられている。運転開始前に、空の状態の蓄熱タンクに水を張る場合は、給水を開始して高水位センサHの位置まで水が到達すると給水が停止される。また、発電運転中に、蓄熱タンクの水位が低下して低水位センサL以下となった場合は、給水が行われて高水位センサHの位置まで水が到達すると給水が停止される。このように、2つのセンサを用いることで、蓄熱タンクの水位が低水位と高水位との間を維持するように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に製品のコストダウンを検討する場合、部品点数の削減が方策の一つとして挙げられる。燃料電池装置においては、水位センサの数を減らして1か所に配置することでコストダウンを図ることができる。上述の高水位センサは、給水の停止の判断に用いられているため、センサを用いずに給水停止を判断するように制御プログラムを書き換えれば、高水位センサを廃止することができると考えられる。
【0006】
例えば、給水を開始して低水位から高水位に水が到達するまでの所要時間を求め、低水位センサLが水を検知してから所要時間経過した際に給水を停止すればよい。
【0007】
しかしながら、高水位センサHを廃止すると、もし低水位センサLが故障してしまった場合には、その故障を検出することができなくなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、蓄熱タンクの水位を検知する水位センサを減らして1か所に設けたとしても、水位センサの故障を検出することのできる燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、燃料ガスと酸素含有ガスとを用いて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池からの排熱を回収する水を貯える蓄熱タンクと、
前記蓄熱タンク内の水が所定量以上ある場合に水有り、所定量未満の場合に水無しを検出する水位検知手段と、
制御装置と、を備え
前記制御装置は、前記蓄熱タンクの水張りが実施されている場合にONとなり、実施されていない場合にOFFとなる水張りフラグを有しており、
前記水位検知手段が水有りを検出し、かつ前記水張フラグがOFFの場合は、前記水位検知手段が故障していると判断する燃料電池装置である。
【発明の効果】
【0010】
上述のように構成することにより、水位検知手段の故障を検出することができるため、水位検知手段の数を減らしてコストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。
【
図2】水張りフラグの状態変化を示すフローチャートの一例である。
【
図3】水張りフラグの状態変化を示すフローチャートの他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0013】
本発明は、蓄熱タンク内の水が所定量以上ある場合に水有り、所定量未満の場合に水無しを検出する水位検知手段と、蓄熱タンクの水張りが実施されてる場合にONとなり、実施されていない場合にOFFとなる水張りフラグを有する制御装置を備えており、制御装置は水位検知手段が水有りを検出し、かつ水張フラグがOFFの場合は、水位検知手段が故障していると判断する。これにより、蓄熱タンクに水が無いにもかかわらず、水位検知手段が水有りを検出してしまう状況を故障として検出することができる。よって、水位検知手段の数を減らしてコストダウンが可能となる。
【0014】
また、制御装置は、燃料電池の発電開始指示を待つ待機工程において水位検知手段が水無しを検出した状態から、発電開始指示を受けて起動工程に遷移した後、水位検知手段が水有りを検出した場合は水張りフラグをONにするので、水張りが実施されたときにフラグを確実にONすることができる。
【0015】
また、制御装置は、蓄熱タンク内の水を抜く水抜きが実施され、かつ水位検知手段が水無しを検出した場合は水張りフラグをOFFにするので、水抜きが実施されたときにフラグを確実にOFFにすることができる。
【実施例0016】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0017】
図1は本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。燃料電池装置100は、燃料電池モジュール1を含み、燃料電池モジュール1を作動させるための、第1熱交換器2、蓄熱タンク3、凝縮水タンク4、放熱器5、空気供給装置14、燃料供給装置15、改質水供給装置16等の複数の補機が筐体50内に納められている。筐体50内には上述の装置全てが収められる必要はなく、例えば、第1熱交換器2や蓄熱タンク3を筐体50の外部に設けてもよい。また、上述の装置の一部を省略した燃料電池装置も可能である。
【0018】
燃料電池モジュール1は、箱状の収納容器10の内部に、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池11と、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する改質器12と、を収容して構成される。
【0019】
燃料電池11の構成については特に限定はしないが、例えば、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造を有していてもよい。セルスタック構造の燃料電池11は、例えば、各燃料電池セルの下端を、ガラスシール材等の絶縁性接合材を用いて、マニホールドに固定することによって構成される。
【0020】
改質器12は、天然ガス、LPガス等の原燃料ガスを水蒸気改質し、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する。改質器12には、原燃料ガスを供給する燃料供給装置15と、改質水を供給する改質水供装置16が接続されており、原燃料ガスと改質水は加熱された改質器12で改質反応し、水素を含む燃料ガスが生成される。
【0021】
燃料電池11には、改質器12で生成された燃料ガスと、空気供給装置14によって導入された空気(酸素含有ガス)が供給される。燃料ガスは、燃料電池セル内を通過するときに酸素含有ガスと反応して発電が行われる。燃料電池11と改質器12の間の空間は燃焼部13であり、発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスは燃焼部13で合流して燃焼する。この燃料ガスの燃焼によって高温の排ガスが生成され、改質器12はこの熱によって加熱される。このようにして燃料電池モジュール1内で生じた排ガスは、第1熱交換器2に供給される。
【0022】
第1熱交換器2には配管を介して、蓄熱タンク3、熱媒ポンプP1および放熱器5が接続され、第1熱媒循環ラインHC1が形成されている。この第1熱媒循環ラインHC1には熱媒体が導入されており、第1熱交換器2ではこの熱媒体と前述の排ガスとで熱交換が行われて熱媒体が加熱される。熱媒体としては水などを用いることができ、蓄熱タンク3は熱交換により温度が上昇した熱媒体を蓄える。蓄熱タンク3に蓄えられた熱媒体は、放熱器5に送られて冷却され、再び第1熱交換器2で排ガスと熱交換を行った後、蓄熱タンク3に還流する。これにより、蓄熱タンク3には上部から温度の高い熱媒体が蓄えられ温度成層が形成される。
【0023】
第1熱媒循環ラインHC1には、排水流路25が接続されている。長期間にわたって燃料電池装置100を運転しない場合などには、装置内部の水が凍結してしまうことを防止するため、排水流路25を介して第1熱媒循環ラインHC1内の熱媒体を筐体50の外部に排出することができるようになっている。排水流路25には手動で開閉する水抜栓25aが設けられており、水抜栓25aを開状態にすることで第1熱媒循環ラインHC1から熱媒の排出が行われる。
【0024】
蓄熱タンク3には、水を補給するための補給流路26が接続されている。補給流路26は、外部の水供給源に接続された供給流路27から分岐して設けられ、途中に流路を開閉する給水弁26aを備えている。燃料電池装置100の設置時や、運転中に蓄熱タンク3内の水位が所定以下となったときには給水弁26aを開くことで補給流路26を通じて蓄熱タンク3に水道水が供給される。
【0025】
また、蓄熱タンク3には、蓄熱タンク3内の水量を監視するための水位検知手段7と、熱媒体を加熱するための加熱ヒータ8が設けられている。水位検知手段7としては、フロートセンサや静電容量センサなど公知の水位センサを用いることができ、蓄熱タンク3内の水量が所定量以上であるときに水有を検出し、所定量を下回ったときに水無しを検出する。水位検知手段7は、蓄熱タンク3の下限水位(低水位WL)を検出する位置に1箇所設けられていて、発電運転中に下限水位以下となると水位検知手段7が水無しを検出し、蓄熱タンク3に水道水が供給される。
【0026】
加熱ヒータ8は、蓄熱タンク3内に配設されて蓄熱タンク3内の水を加熱する。例えば、外気温が低く、燃料電池装置100内で水が凍結するおそれのあるときは、加熱ヒータ8に通電することで水温を上昇させて凍結を防止することができる。さらには、燃料電池11での発電量が需要家での消費電力量を超える場合には、余った電力(余剰電力)を消費させるために加熱ヒータ8に通電するようにしてもよい。
【0027】
また、第1熱交換器2には、凝縮水回収路20を介して凝縮水タンク4が接続されている。燃料電池モジュール1で発生した排ガスが熱交換によって冷却されると、排ガス中に含まれる水蒸気が水と気体に分離され、分離された水は、凝縮水回収流路20を通って凝縮水タンク4に回収される。凝縮水タンク4では、イオン交換器(図示せず)などを経て、回収した水から不純物を取り除いて純水化する。純水化した水は水供給装置16により改質器12に供給され、改質水として使用される。一方で、水分が取り除かれた気体は、排気流路21を通ってから筐体50の外に排出される。
【0028】
改質器12に原燃料を供給する燃料供給装置15は、燃料の供給源から繋がる原燃料流路22上に、第1電磁弁150、圧力センサ151、脱硫器152、ガス流量計153、燃料ポンプ154、第2電磁弁155等の補機が設けられている。改質器12に改質水を供給する改質水供給装置16は、凝縮水タンク4から繋がる改質水流路23上に改質水ポンプ160等の補機が設けられている。燃料電池モジュール1に酸素含有ガスを供給する空気供給装置14は、酸素含有ガス流路24上に、エアフィルタ140、空気流量計141、エアブロワ142等の補機が設けられている。なお、ここに挙げた補機は一例であって、この他の補機を備える構成としてもよい。
【0029】
また、燃料電池装置100は、第2熱交換器6、蓄熱タンク3から熱媒を循環させる与熱ポンプP2およびこれらを繋ぐ配管を含む第2熱媒循環ラインHC2を備えていてもよい。第2熱媒循環ラインHC2では、外部から供給流路27を介して供給された水道水を、蓄熱タンク3に貯留された高温の熱媒体を用いて第2熱交換器6で加温する。加温された水を外部の給湯器等の再加熱装置に向けて送給流路28を介して送給することができる。燃料電池装置100は、外部への温水供給を行わない、いわゆるモノジェネレーションシステムであってもよい。
【0030】
さらに燃料電池装置100は、筐体50内外の各部の温度を計測するための、温度センサやサーミスタ等の温度検知手段を複数備える。
【0031】
第1熱媒循環ラインHC1や第2熱媒循環ラインHC2のように熱媒体が流れる流路には、熱媒体の温度を計測するため温度検知手段TH1~TH6が設けられている。
【0032】
例えば、蓄熱タンク3内の熱媒体の温度を検知する手段として、タンク低サーミスタTH1、タンク高サーミスタTH2を有している。タンク低サーミスタTH1は、蓄熱タンク3内の比較的低温の熱媒体の温度を検知するものであり、蓄熱タンク3の下部に設けられている。タンク高サーミスタTH2は、蓄熱タンク3内の比較的高温の熱媒体の温度を検知するものであり、蓄熱タンク3近傍の第2熱媒循環ラインHC2上に設けられている。また、第1熱媒循環ラインHC1を流れる熱媒体の温度を検知する手段として、熱媒低サーミスタTH3、熱媒高サーミスタTH4を有している。熱媒低サーミスタTH3は熱媒ポンプP1と第1熱交換器2の間に設けられ、放熱器5で冷却されて第1熱交換器2に流入する熱媒体の温度を検知する。熱媒高サーミスタTH4は第1熱交換器2と蓄熱タンク3との間に設けられ、第1熱交換器2を通過した後の熱媒体の温度を検知する。さらに、供給流路26には外部から供給される水の温度を検知する入水サーミスタTH5、送給流路27には第2熱交換器6により加温された水の温度を検知する出湯サーミスタTH6が設けられる。
【0033】
燃料電池モジュール1内には、燃料電池11の中心部の温度を検知する中心部温度センサTC1と、発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスが燃焼する燃焼部13の温度を検知する燃焼部温度センサTC2が配設されている。
【0034】
また、燃料電池装置100の周囲の気温を検知するために、外気温サーミスタTH7が配設されている。この外気温サーミスタTH7は、直接外気温を測定してもよいし、筐体50内において外気温と相関を有する部分の温度を測定してもよい。
【0035】
なお、上述のサーミスタや温度センサは温度検知手段の一例であって、検知する温度や配置場所は本実施形態に限らない。また、これ以外の温度検知手段を備えていてもよい。
【0036】
さらに、燃料電池装置100には、各種機器の動作を制御する制御装置30が設けられているほか、燃料電池モジュール1にて発電された直流電力を交流電力に変換し、変換された電気の外部負荷への供給量を調整するための供給電力調整部(パワーコンディショナ)40を備えている。
【0037】
制御装置30は、燃料電池装置100を構成する補機や各種センサに接続されており、各種センサが検知する値や図示しないリモコンからの指示に基づいて燃料電池装置100の動作を制御する。
【0038】
上述のように構成される燃料電池装置100において、制御装置30は運転開始の指示を受けた場合、蓄熱タンク3に水が貯められているかを水位検知手段7の検出結果から判定し、蓄熱タンク3に水がないと判定した場合には水張りを行う。運転開始の指示は、例えばユーザ宅に設けられたリモコンや、メンテナンス作業者が操作する操作基板から行うことができる。
【0039】
具体的には、水位検知手段7が水無しを検出している場合、制御装置30は蓄熱タンク3には水が張られていないと判断し、給水弁26aを開いて水張りを開始する。これにより補給流路26を通って蓄熱タンク3に水が供給される。
【0040】
蓄熱タンク3に水が供給されて蓄熱タンク3の水位が上昇し、水位検知手段7が設けられている位置(低水位WL)に水位が到達すると、水位検知手段7は水有を検出する。制御装置30は、水位検知手段7が水有を検出してから所定時間T1経過すると、水位が上限水位(高水位WH)に到達したと判断して給水弁26aを閉じ、水張りを終了する。所定時間T1は、低水位WLから高水位WHに到達するまでに必要な時間であって、水位検知手段7の位置、蓄熱タンク3の容量、補給流路26の流路径などに基づいて予め定められる。
【0041】
発電運転中に蓄熱タンク3の水位が低下して低水位WL以下となると、水位検知手段7は水無しを検出する。制御装置30は水位検知手段7が水無しを検出すると、補水が必要であると判断して給水弁26aを開き、蓄熱タンク3に水が補水される。そして、給水弁26aを開いてから所定時間T1経過すると、蓄熱タンク3の水位が高水位WHに達したと判断して給水弁26aを閉じ、補水を終了する。
【0042】
このように、蓄熱タンク3に下限水位を検知する水位検知手段7を配設することで、蓄熱タンク3の水位が低水位WLと高水位WHとの間を維持するように制御されている。
【0043】
また、制御装置30は、水張りを実行してから水位検知手段7が水無しを検出した回数を記憶する。そして所定期間内にその回数が上限値となった場合には、補水頻度異常と判断して異常報知する。つまり、短期間に補水が複数回行われるということは、第1熱媒循環ラインHC1内で水が漏れている可能性があるので、例えば、水張り実行後30日間以内に5回水無しを検出した場合には、補水頻度異常と判断する。
【0044】
また、制御装置30は、水張りを開始してから所定時間T2経過しても水位検知手段7が水有を検出しない(水無しを検出している)場合にも異常と判断する。通常であれば、所定時間T2経過すると低水位WLに到達するはずであるが、給水弁26aが開かなかった場合には水が供給されず水位が上昇しない。または、給水弁26aは正常に動作したが、蓄熱タンク3から水が漏れているために水位が上昇しない可能性もある。よって、これを異常と判断して報知する。
【0045】
さらには、水位検知手段7が水無しを検出した状態が所定時間T3継続した際にも異常と判断して報知する。蓄熱タンク3の水位が低水位WL以下になると、水位検知手段7が水無しを検知して補水が行われるので、水位が上昇して水位検知手段7はほどなく水有を検出するはずである。しかしながら、所定時間T3経過しても水有を検出しない場合は補水が正常に行われていない、もしくは蓄熱タンク3から水が漏れている可能性があるので、これを異常と判断する。
【0046】
また、制御装置30は、水位検知手段7の故障も判断する。蓄熱タンク3には水が入っていないにもかかわらず、水位検知手段7が水有を検出していた場合には、水位検知手段7が故障していると判断して異常を報知する。蓄熱タンク3に水が入っていない状態とは、水張りが行われていないことを指す。つまり、制御装置30は、水張りを実行していないにもかかわらず、水位検知手段7が水有を検出していた場合には、水位検知手段7が故障していると判断することができる。
【0047】
制御装置30は、水張りに関するフラグを有しており、このフラグは水張りが実施されていて蓄熱タンク3が水で満たされている場合にはONとなり、水張りが実施されておらず蓄熱タンク3が空の状態である場合にはOFFとなる。したがって、水張りフラグがOFFであって、かつ水位検知手段7が水有を検出していた場合には、水位検知手段7が故障していると判断することができる。
【0048】
制御装置30は、発電開始の指示を待つ待機状態において、水位検知手段7が水無しの状態から、起動工程に遷移した後に水有を検出したとき、水張りが実施されたと判断して水張りフラグをONにする。また、蓄熱タンク3の水抜きの指示を受けて水抜きを実施し、その後、水位検知手段7が水無しを検出したときに、水張りが解除されたと判断して水張りフラグをOFFにする。
【0049】
図2および
図3は、水張りフラグの状態変化を示すフローチャートであって、
図2は水張りフラグをONにする判定フロー、
図3は水張りフラグをOFFにする判定フローである。
【0050】
図2において、制御装置30は、ステップ1で燃料電池装置100が待機状態であるかを判定する。待機状態の場合には、次にステップ2で水位検知手段7が水無しを検出しているかを判定する。待機状態でかつ水無しの場合には、ステップ3で水位検知手段7が水有を検出したかを判定する。水有を検出した場合には、ステップ4に進み水張りフラグをONにする。ステップ3で水有が検出されない場合は、水有を検出するまで判定を繰り返す。
【0051】
また、
図3においては、制御装置30は、ステップ11で水抜きの指示を受けたかを判定する。水抜き指示を受けた場合には、次にステップ12で水位検知手段7が水無しを検出したかを判定する。水抜きが開始されると蓄熱タンク3の水位が徐々に低下するので、水抜きが確実に行われたことを水位検知手段7で判断している。そして、ステップ12で水無しを検出した場合には、ステップ13に進み水張りフラグをOFFにする。
【0052】
ステップ12で水無が検出されない場合は、水無を検出するまで判定を繰り返す。このとき、ステップ14で所定時間T4が経過したかを判定する。所定時間T4は、通常であれば水抜きによって蓄熱タンク3の水位が低水位WL以下となる時間である。所定時間T4が経過していた場合には、水抜きが正常に行われていないと判断して、ステップ15で異常報知する。
【0053】
以上で説明したように、本実施形態の燃料電池装置100は、水位検知手段7が水有りを検出し、かつ水張フラグがOFFの場合は、水位検知手段7が故障していると判断する。これにより、蓄熱タンク3に水が無いにもかかわらず、水位検知手段7が水有りを検出してしまう状況を故障として検出することができるため、水位検知手段7の数を減らしてコストダウンが可能となる。
【0054】
また、発電開始指示を待つ待機工程において水位検知手段7が水無しを検出した状態から、発電開始指示を受けて起動工程に遷移した後、水位検知手段7が水有りを検出した場合は水張りフラグをONにする。一方、蓄熱タンク3の水抜きが実施され、かつ水位検知手段7が水無しを検出した場合は水張りフラグをOFFにする。これにより、確実にフラグをON/OFFすることができるため、水位検知手段7の故障判定を正確に実施することができる。