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  • 特開-座席 図1
  • 特開-座席 図2
  • 特開-座席 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032394
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】座席
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240305BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240305BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
B60N2/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136021
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】花田 裕史
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JD07
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】 振動子によって座り心地を損なうことなく、振動子の振動を着座者に良好に伝えることができる座席を提供する。
【解決手段】 振動子4A~4Dを内蔵した座席1であって、支持体6と、支持体6に支持された第1緩衝部71と、第1緩衝部71に支持された振動子4A~4Dと、支持体6、第1緩衝部71及び振動子4A~4Dを覆うカバー8と、を備え、支持体6は、振動子4A~4Dに対応する位置に形成された穴61と、穴61を跨ぐ橋部62と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子を内蔵した座席であって、
支持体と、
前記支持体に支持された第1緩衝部と、
前記第1緩衝部に支持された前記振動子と、
前記支持体、前記第1緩衝部及び前記振動子を覆うカバーと、を備え、
前記支持体は、
前記振動子に対応する位置に形成された穴と、
前記穴を跨ぐ橋部と、を備える、座席。
【請求項2】
前記第1緩衝部は、前記振動子の直下に空隙部が形成されている、請求項1に記載の座席。
【請求項3】
前記第1緩衝部と前記支持体の間に、第2緩衝部を備え、
前記第2緩衝部の弾性率は、前記第1緩衝部よりも小さい、請求項2に記載の座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、座席に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、振動子を内蔵した座席が開示されている。このような座席は、車両の警告を振動子の振動によって運転者に報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-214007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の座席は、座り心地や振動の伝わりやすさにおいて改善の余地があった。
【0005】
そこで、本開示は、振動子によって座り心地を損なうことなく、振動子の振動を着座者に良好に伝えることができる座席の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、以下のような解決手段を提供する。
【0007】
振動子(4A~4D)を内蔵した座席(1)であって、
支持体(6)と、
前記支持体(6)に支持された第1緩衝部(71)と、
前記第1緩衝部(71)に支持された前記振動子(4A~4D)と、
前記支持体(6)、前記第1緩衝部(71)及び前記振動子(4A~4D)を覆うカバー(8)と、を備え、
前記支持体(6)は、
前記振動子(4A~4D)に対応する位置に形成された穴(61)と、
前記穴(61)を跨ぐ橋部(62)と、を備える、ことを特徴とする座席(1)が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、振動子によって座り心地を損なうことなく、振動子の振動を着座者に良好に伝えることができる座席の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の座席を示す斜視図である。
図2図1のA-A断面図であり、(a)は非着座状態の座席の要部を示すA-A断面図、(b)は着座状態の座席の要部を示すA-A断面図である。
図3】本実施例の座席の支持体要部を示す平面図であり、(a)は本実施形態の支持体要部を示す平面図、(b)は第1変形例の支持体要部を示す平面図、(c)は第2変形例の支持体要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。なお、図面では、見やすさのために、複数存在する同一属性の部位には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
【0011】
[座席]
図1は、本実施例の座席1を示す斜視図である。なお、図1には、直交する3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)が定義されている。ここでは、X軸は、座席1が搭載される車両の前後方向に対応し、Y軸は、車両の左右方向(幅方向)に対応し、Z軸は、車両の上下方向に対応する。
【0012】
座席1は、着座部2と、背もたれ部3と、振動子4A~4Dと、制御装置5と、を備え、車両の運転席を構成する。
【0013】
着座部2は、運転者の臀部及び大腿部を支持する。背もたれ部3は、着座部2の後端部から上方に後傾状に延在し、運転者の背部及び頭部を支持する。
【0014】
振動子4A~4Dは、例えば、ボイスコイル型の振動発生デバイスを用いて構成され、座席1に4つ内蔵される。4つの振動子4A~4Dのうち、振動子4A、4Bは、着座部2に内蔵される。振動子4Aは、着座部2のY方向中央位置に対して一側方にオフセットして配置され、振動子4Bは、着座部2のY方向中央位置に対して他側方にオフセットして配置される。また、4つの振動子4A~4Dのうち、振動子4C、4Dは、背もたれ部3に内蔵される。振動子4Cは、背もたれ部3のY方向中央位置に対して一側方にオフセットして配置され、振動子4Dは、背もたれ部3のY方向中央位置に対して他側方にオフセットして配置される。なお、本実施例では、座席1に内蔵される振動子4A~4Dの数を4つとしたが、振動子4A~4Dの数は、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。
【0015】
制御装置5は、車両の警告が発生したとき、振動子4A~4Dを動作させ、振動子4A~4Dから報知振動を出力させる。例えば、制御装置5は、車両ECUから車両左前方の障害物検知信号を受信した場合、振動子4A(着座部左側)から報知振動を出力させて運転者に左前方への注意を促す。また、制御装置5は、車両ECUから右走行車線逸脱検知信号を受信した場合、振動子4B(着座部右側)及び振動子4D(背もたれ部右側)から報知振動を出力させて運転者に右方向への注意を促す。
【0016】
[座席の断面構造]
図2は、図1のA-A断面図であり、(a)は非着座状態の座席1の要部を示すA-A断面図、(b)は着座状態の座席1の要部を示すA-A断面図である。
【0017】
なお、図2は、振動子4Aが内蔵される位置の断面構造を示しているが、他の振動子4B~4Dが内蔵される位置の断面構造も略同様である。
【0018】
図2に示すように、座席1は、支持体6、緩衝部7及びカバー8を備える。支持体6は、金属製や木製の剛性を有する板材であり、座席位置調整機構を介して車体に支持される。緩衝部7は、支持体6の上面側(座面側)に沿う第3緩衝部73と、第3緩衝部73の上面側に沿う第4緩衝部74と、を積層して構成される。例えば、第3緩衝部73は、軽量半硬質ウレタン製のマット材であり、第4緩衝部74は、第3緩衝部73よりも弾性率が低い低反発ウレタン製のマット材である。カバー8は、第4緩衝部74の上面側に沿う表面カバー81と、支持体6の下面側に沿う裏面カバー82と、を含む。表面カバー81及び裏面カバー82は、例えば、合成皮革製のシート材である。このような座席1の断面構造によれば、第3緩衝部73及び第4緩衝部74の適度な圧縮弾性変形によって良好な座り心地が確保される。
【0019】
[振動子の支持構造]
図2に示すように、座席1は、第3緩衝部73及び第4緩衝部74を切り抜いて形成された振動子収容部75を備える。振動子4Aは、第1緩衝部71に支持された状態で振動子収容部75に収容され、第1緩衝部71及び第2緩衝部72を介して支持体6で支持される。
【0020】
第1緩衝部71は、本体部71a、振動子支持部71b、底部71c、空隙部71d及び凹部71eを備える。本体部71aは、中心線が上下方向に沿う円筒形状を有する。振動子支持部71bは、本体部71aの上端部から内周側に延在し、振動子4Aの外周部を支持する。底部71cは、本体部71aの下部開口を塞ぎ、振動子4Aの下面と対向する。空隙部71dは、振動子4Aの直下に形成される。空隙部71dの高さ寸法(振動子4Aの下面と底部71cの間隔)は、図2の(a)に示す非着座時には大きく、図2の(b)に示す着座時には第1緩衝部71の圧縮弾性変形に応じて小さくなる。つまり、空隙部71dは、着座過程において振動子4Aの自由な下動を許容するので、振動子4Aの反発力が座面に伝わることを抑制し、振動子4Aによる異物感を低減できる。
【0021】
凹部71eは、下方に開口しており、内部にマット状の第2緩衝部72が収容される。これにより、振動子4Aは、第1緩衝部71及び第2緩衝部72を介して支持体6で支持される。例えば、第1緩衝部71は、軽量半硬質ウレタンよりも弾性率が低いチップウレタンであり、第2緩衝部72は、チップウレタンよりも弾性率が低い低反発ウレタンである。したがって、図2の(b)に示す着座時には、振動子4Aが第1緩衝部71の底部71cに当接したとしても、第1緩衝部71よりも柔らかい第2緩衝部72が振動子4Aの反発力を吸収することで、振動子4Aの反発力が座面に伝わることを抑制し、振動子4Aによる異物感を低減できる。
【0022】
図2及び図3に示すように、支持体6は、振動子4Aに対応する位置(第1緩衝部71、第2緩衝部72の当接部)に形成された穴61と、穴61を跨ぐ橋部62と、を備える。橋部62は、着座時において、第1緩衝部71及び第2緩衝部72の下面部を支持しつつ、第1緩衝部71及び第2緩衝部72の下面部が穴61に入り込むことを許容することで、第1緩衝部71及び第2緩衝部72の圧縮変形を促す。このような支持体6の穴61及び橋部62によれば、着座時において、第1緩衝部71及び第2緩衝部72の圧縮変形を促し、振動子4Aの反発力が座面に伝わることをさらに抑制するので、振動子4Aによる異物感をさらに低減することが可能になる。また、振動子4Aは、着座時において、第1緩衝部71の底部71c、第2緩衝部72及び橋部62を介して、当接状態で支持体6に支持されるので、空隙部71dが介在する非着座時に比べ、振動子4Aを確実に支持し、振動子4Aの振動を着座者に良好に伝達することができる。
【0023】
橋部62の断面形状は、頂部を有する円(半円)や三角形が望ましい。このようにすると、第1緩衝部71及び第2緩衝部72の圧縮変形をさらに促すことができる。また、橋部62は、図2の(a)、(b)及び図3の(a)に示すように、支持体6と別体として構成し、支持体6に固定してもよいが、図3の(b)、(c)に示すように、支持体6と一体に構成してもよい。また、橋部62は、図3の(a)、(b)に示すように、複数本を平行に配置してもよいが、図3の(c)に示すように、複数本を交差状に配置してもよい。
【0024】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 座席
2 着座部
3 背もたれ部
4A~4D 振動子
5 制御装置
6 支持体
61 穴
62 橋部
7 緩衝部
71 第1緩衝部
71a 本体部
71b 振動子支持部
71c 底部
71d 空隙部
71e 凹部
72 第2緩衝部
73 第3緩衝部
74 第4緩衝部
75 振動子収容部
8 カバー
81 表面カバー
82 裏面カバー
図1
図2
図3