(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032398
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】光学装置、画像読取装置および組立方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/031 20060101AFI20240305BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20240305BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240305BHJP
G03B 27/54 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H04N1/031
G02B5/00 B
G02B3/00 A
G03B27/54 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136028
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
(72)【発明者】
【氏名】沢田 寛
【テーマコード(参考)】
2H042
5C051
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA13
2H042AA15
2H042AA29
5C051AA01
5C051BA04
5C051DB22
5C051DB28
5C051DC07
5C051DE22
(57)【要約】
【課題】光制限部を設けない場合と比較して、反射光による画像を良好にする。
【解決手段】予め定められている位置に光を照射する照射部72と、予め定められている位置で反射した反射光が入射する複数のレンズを配列するレンズ体74と、レンズ体74に対する反射光の入射側にて配列の方向に延びて反射光による画像に影響を与える光の少なくとも一部の入射を制限する光制限部76を有し、照射部72を支持する第1支持体77と、レンズ体74を支持し、第1支持体77に対して反射光の光軸方向Jに移動可能な第2支持体78と、を備える光学装置である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められている位置に光を照射する照射部と、
前記予め定められている位置で反射した反射光が入射する複数のレンズを配列するレンズ体と、
前記レンズ体に対する反射光の入射側にて前記配列の方向に延びて反射光による画像に影響を与える光の少なくとも一部の入射を制限する光制限部を有し、前記照射部を支持する第1支持体と、
前記レンズ体を支持し、前記第1支持体に対して反射光の光軸方向に移動可能な第2支持体と、
を備える光学装置。
【請求項2】
前記予め定められている位置に対する前記照射部の位置決めは、当該予め定められている位置を規定する透光部材に対して前記第1支持体が押圧されることで行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記透光部材に対する前記第1支持体の押圧は、前記光軸方向に関し当該透光部材から遠い前記第2支持体の端部よりも当該透光部材側で行われる、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第1支持体と前記第2支持体のいずれか一方は、他方に覆われる部分を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
前記覆われる部分は前記第2支持体が有する、ことを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記第2支持体の前記光軸方向への移動は、
前記第1支持体と前記第2支持体のいずれか一方において前記配列の方向に延びて互いに対向する対向面と当該対向面に接する他方の一部との相対的な位置変更により行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項7】
前記対向面は、前記配列の方向に関する位置が異なると当該対向面の間隔が異なる、ことを特徴とする請求項6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記対向面の前記間隔は、前記他方の一部と接する前記配列の方向における中央部が、当該配列の方向における端部よりも狭い、ことを特徴とする請求項7に記載の光学装置。
【請求項9】
前記第2支持体は、前記レンズ体を囲むように内周面が形成され当該レンズ体を支持する凹部を有し、
前記凹部は、前記配列の方向における端部と中央部とで前記内周面の間隔が異なり、前記レンズ体と接する当該中央部の間隔が当該端部よりも狭い、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項10】
画像読取り位置に光を照射する照射部と、
前記画像読取り位置で反射した反射光が入射する複数のレンズを配列するレンズ体と、
前記レンズ体により結像する光を受け付ける検出部と、
前記レンズ体に対する反射光の入射側にて前記配列の方向に延びて反射光による画像に影響を与える光の少なくとも一部の入射を制限する光制限部を有し、前記照射部を支持する第1支持体と、
前記レンズ体及び前記検出部を支持し、前記第1支持体に対して反射光の光軸方向に移動可能な第2支持体と、
を備える画像読取装置。
【請求項11】
予め定められている位置で反射した反射光が入射する複数のレンズを配列するレンズ体をレンズ体支持体に支持し、
前記予め定められている位置に光を照射する照射部を、前記レンズ体に対する反射光の入射側にて前記配列の方向に延びて反射光による画像に影響を与える光の少なくとも一部の入射を制限する光制限部を有する照射部支持体に支持し、
前記レンズ体支持体を前記照射部支持体に対して反射光の光軸方向に移動して前記レンズ体と前記照射部との位置調整を行う、
組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、画像読取装置および組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数のレンズが列状に並び、かつ光入射用の複数の第1のレンズ面および光出射用の複数の第2のレンズ面を有する少なくとも1つのレンズアレイと、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第1のレンズ面の正面に位置するようにしてレンズアレイの正面を覆う第1の遮光マスクと、を備えているレンズアレイユニットであって、各レンズの軸長方向に貫通した複数の貫通孔を有しており、かつこれら複数の貫通孔が各第2のレンズ面の背後に位置するようにレンズアレイの背後に配された第2の遮光マスクをさらに備えるレンズアレイユニットを具備する光学装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、予め定められている位置で反射した反射光が入射する複数の配列されたレンズとレンズに入射する光を制限する光制限部とを、予め定められている位置に対し位置決めすることで、反射光による画像を良好にすることが可能になる。
本発明の目的は、光制限部を設けない場合と比較して、反射光による画像を良好にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、予め定められている位置に光を照射する照射部と、前記予め定められている位置で反射した反射光が入射する複数のレンズを配列するレンズ体と、前記レンズ体に対する反射光の入射側にて前記配列の方向に延びて反射光による画像に影響を与える光の少なくとも一部の入射を制限する光制限部を有し、前記照射部を支持する第1支持体と、前記レンズ体を支持し、前記第1支持体に対して反射光の光軸方向に移動可能な第2支持体と、を備える光学装置である。
請求項2に記載の発明は、前記予め定められている位置に対する前記照射部の位置決めは、当該予め定められている位置を規定する透光部材に対して前記第1支持体が押圧されることで行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項3に記載の発明は、前記透光部材に対する前記第1支持体の押圧は、前記光軸方向に関し当該透光部材から遠い前記第2支持体の端部よりも当該透光部材側で行われる、ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第1支持体と前記第2支持体のいずれか一方は、他方に覆われる部分を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項5に記載の発明は、前記覆われる部分は前記第2支持体が有する、ことを特徴とする請求項4に記載の光学装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第2支持体の前記光軸方向への移動は、前記第1支持体と前記第2支持体のいずれか一方において前記配列の方向に延びて互いに対向する対向面と当該対向面に接する他方の一部との相対的な位置変更により行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項7に記載の発明は、前記対向面は、前記配列の方向に関する位置が異なると当該対向面の間隔が異なる、ことを特徴とする請求項6に記載の光学装置である。
請求項8に記載の発明は、前記対向面の前記間隔は、前記他方の一部と接する前記配列の方向における中央部が、当該配列の方向における端部よりも狭い、ことを特徴とする請求項7に記載の光学装置である。
請求項9に記載の発明は、前記第2支持体は、前記レンズ体を囲むように内周面が形成され当該レンズ体を支持する凹部を有し、前記凹部は、前記配列の方向における端部と中央部とで前記内周面の間隔が異なり、前記レンズ体と接する当該中央部の間隔が当該端部よりも狭い、ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置である。
請求項10に記載の発明は、画像読取り位置に光を照射する照射部と、前記画像読取り位置で反射した反射光が入射する複数のレンズを配列するレンズ体と、前記レンズ体により結像する光を受け付ける検出部と、前記レンズ体に対する反射光の入射側にて前記配列の方向に延びて反射光による画像に影響を与える光の少なくとも一部の入射を制限する光制限部を有し、前記照射部を支持する第1支持体と、前記レンズ体及び前記検出部を支持し、前記第1支持体に対して反射光の光軸方向に移動可能な第2支持体と、を備える画像読取装置である。
請求項11に記載の発明は、予め定められている位置で反射した反射光が入射する複数のレンズを配列するレンズ体をレンズ体支持体に支持し、前記予め定められている位置に光を照射する照射部を、前記レンズ体に対する反射光の入射側にて前記配列の方向に延びて反射光による画像に影響を与える光の少なくとも一部の入射を制限する光制限部を有する照射部支持体に支持し、前記レンズ体支持体を前記照射部支持体に対して反射光の光軸方向に移動して前記レンズ体と前記照射部との位置調整を行う、組立方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1によれば、光制限部を設けない場合と比較して、反射光による画像を良好にすることができる。
請求項2によれば、透光部材に対して第1支持体が押圧される構成を採用しない場合と比較して、予め定められている位置に対する照射部の位置決め精度を高めることができる。
請求項3によれば、透光部材に対する第1支持体の押圧を、光軸方向に関し透光部材から遠い第2支持体の端部よりも透光部材側で行われる構成を採用しない場合と比較して、安定した第1支持体の押圧を行うことができる。
請求項4によれば、第1支持体と第2支持体のいずれか一方が他方に覆われる部分を有する構成を採用しない場合と比較して、内部への異物侵入を抑制することができる。
請求項5によれば、第2支持体が覆われる部分を有する構成を採用しない場合と比較して、透光部材よりも下側に配置する場合に内部への異物侵入を抑制することができる。
請求項6によれば、第2支持体の光軸方向への移動が第1支持体と第2支持体のいずれか一方において配列の方向に延びて互いに対向する対向面と対向面に接する他方の一部との相対的な位置変更により行われる構成を採用しない場合と比較して、組立時の位置変更の調整作業を容易に行うことができる。
請求項7によれば、対向面が配列の方向に関する位置が異なると対向面の間隔が異なる構成を採用しない場合と比較して、第1支持体と第2支持体との相対的な位置変更の調整作業を容易に行うことができる。
請求項8によれば、他方の一部と接する配列の方向における中央部の対向面の間隔が配列の方向における端部よりも狭い構成を採用しない場合と比較して、第1支持体と第2支持体との相対的な位置変更の調整作業を容易に行うことができる。
請求項9によれば、第2支持体が有する凹部が配列の方向における端部と中央部とで内周面の間隔が異なりレンズ体と接する中央部の間隔が端部よりも狭い構成を採用しない場合と比較して、レンズ体の位置調整作業を容易に行うことができる。
請求項10によれば、光制限部を設けない場合と比較して、反射光による画像を良好にすることができる。
請求項11によれば、光制限部を設けない場合と比較して、反射光による画像を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本実施の形態が適用される画像読取装置の概略構成図である。
【
図3】第1遮光壁の構成例を説明する図であり、(a)は一例の斜視図であり、(b)は他の例の斜視図である。
【
図4】マイクロレンズアレイを説明する図であり、(a)は、透明板上にある原稿で反射した反射光が受光基板の受光素子で受光される態様を説明する図であり、(b)は、マイクロレンズアレイの光学的性質を説明する図である。
【
図5】マイクロレンズアレイの調整を説明する図であり、(a)~(c)に時系列に示す。
【
図6】第1の実施の形態に係るハウジング体を説明する図であり、(a)は、ハウジング体のハウジングを説明する図であり、(b)は一方のハウジングに対する他方のハウジングの位置調整を説明する図である。
【
図7】第2の実施の形態に係るハウジング体を説明する図であり、(a)はハウジング体と透明板との位置関係を説明する側面図であり、(b)はその正面図である。
【
図8】第3の実施の形態に係るハウジング体を説明する図であり、(a)は、ハウジング体の概略構成図であり、(b)は、ハウジング体の一方のハウジングと他方のハウジングとの組み立てを説明する図である。
【
図9】第4の実施の形態に係るハウジング体を説明する図であり、(a)は、ハウジング体の概略構成図であり、(b)は、ハウジング体のハウジングにおいてマイクロレンズアレイの組み立てを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿Gの情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読取画像)に基づいて画像を記録紙Rに形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙Rを送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3とを本体101の内部に収容する一方で、本体101の上方に原稿読取装置1を配置している。本体101は、その上面部に、画像が形成された記録紙Rを排出して収容する排出収容部102を有する。
【0009】
原稿読取装置1は、筐体103を有する。また、原稿読取装置1は、筐体103の上面部に、原稿Gを置く光透過性の原稿台105と、その原稿台105を覆うとともに筐体103に対して開閉操作できる原稿カバー106とを有する。原稿カバー106には、原稿Gを読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿Gを排出する自動原稿搬送部107と、自動原稿搬送部107により送られる原稿Gを搭載する原稿トレイ108と、自動原稿搬送部107から排出される原稿Gを収容する収容部109とが設けられている。
【0010】
画像形成部2は、例えば電子写真方式にて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20と、その像形成ユニット20で形成されたトナー像を記録紙Rに転写するまで搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙Rに転写したトナー像を定着させる定着ユニット27とを備えている。なお、画像形成部2は、電子写真方式以外に、例えばインクジェット方式にて画像を形成するものを採用してもよい。
【0011】
給紙部3は、予め定めたサイズ、種類などからなる複数枚の記録紙Rを搭載可能な引き出し式の収容体31と、収容体31に収容される記録紙Rを1枚ずつ搬送路に送り出す送出装置32とを有する。給紙部3と画像形成部2との間には、給紙部3から送り出された記録紙Rを二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。
【0012】
次に、画像形成装置100の基本的な動作について説明をする。
まず、原稿読取装置1では、ユーザによって原稿台105と原稿トレイ108のいずれか一方に原稿Gが置かれる。そして、ユーザが操作ボタン(不図示)などを操作することで、原稿読み取りの指示を受け付けると、原稿Gの読み取り動作が開始される。すなわち、原稿読取装置1が原稿Gの読み取り情報を取得する。そして、画像形成部2が、原稿読取装置1から受信した原稿Gの読み取り情報に基づいて、画像形成動作を実行する。この際、画像形成部2の動作にあわせて、給紙部3から記録紙Rが送り出される。そして、記録紙Rは、画像形成部2にてトナー像が定着された後、排出収容部102へと排出される。以上の画像形成の動作は、原稿Gの枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
【0013】
<原稿読取装置1>
次に、
図2を参照しながら、本実施の形態が適用される原稿読取装置1について説明をする。原稿読取装置1は、光学装置の一例である。
図2には、副走査方向Sが図示されている。
図2は、本実施の形態が適用される原稿読取装置1の概略構成図であり、同図の主走査方向は、紙面と直交する方向である。
図2に示すように、原稿読取装置1は、読取対象である不図示の原稿を上面で支持する透明板71と、光源の光を原稿に導く導光体72と、原稿で反射した反射光を受ける受光素子73aを有する受光基板73と、を備えている。
導光体72は、原稿に対し一方向から光を発すると共に他方向からも原稿に対して光を発するように、配置されている。
受光基板73は、透明板71に対し導光体72よりも遠くに位置する。受光基板73において、受光素子73aは、主走査方向に間隔を隔てて列状に並べられ、反射光を受け付ける。
【0014】
原稿読取装置1は、微細なマイクロレンズを複数備えるマイクロレンズアレイ74と、マイクロレンズに入るべきでない反射光を遮るための第1遮光壁75及び第2遮光壁76と、をさらに備えている。
マイクロレンズアレイ74は、主走査方向に長くなるように配置される。
第1遮光壁75及び第2遮光壁76は、主走査方向に長い部材であり、マイクロレンズアレイ74に対する光の進入側に位置し、光の遮りによりマイクロレンズアレイ74のマイクロレンズの各々に進入する光を制限する。第2遮光壁76は、紙面垂直方向(副走査方向Sと交差する主走査方向L(例えば
図3参照))に沿って延びるスリット部76aが形成される。
【0015】
スリット部76aは、透明板71に近い端部が互いに狭くなるように形成されている。本実施の形態では、スリット部76aは、後述のハウジング77と一体に形成されているが、これに限られず、別体で構成してもよい。なお、スリット部76aを省略する変形例も考えられる。
【0016】
原稿読取装置1は、導光体72、受光基板73、マイクロレンズアレイ74、第1遮光壁75及び第2遮光壁76を有するハウジング体79をさらに備えている。
さらに説明すると、ハウジング体79は、分割構造であり、透明板71に近い側のハウジング77と、透明板71から遠い側のハウジング78と、を備えている。ハウジング77は、導光体72を保持する。また、ハウジング77には、第2遮光壁76が一体に形成されている。ハウジング78は、受光基板73、マイクロレンズアレイ74及び第1遮光壁75を保持する。
かかるハウジング体79は、透明板71に対し、受光基板73、マイクロレンズアレイ74、第1遮光壁75及び第2遮光壁76を位置決めする。
透明板71は透光部材の一例である。導光体72は照射部の一例であり、マイクロレンズアレイ74はレンズ体の一例である。ハウジング77は第1支持体の一例であり、第2遮光壁76は光制限部の一例である。ハウジング78は第2支持体の一例である。
【0017】
図3は、第1遮光壁75の構成例を説明する図であり、(a)は一例の斜視図であり、(b)は他の例の斜視図である。
図3(a)に一例として示す第1遮光壁75は、遮光性を有するたとえば黒色の合成樹脂製であり、一方向に延びた略プレート状あるいは略ブロック状である。そして、第1遮光壁75は、マイクロレンズアレイ74の複数のマイクロレンズ74a、74b(
図4参照)の配列に対応した複数の貫通孔75aを有する。これらの貫通孔75aの内壁面も黒色である。
第1遮光壁75は、金型を用いた樹脂成形により製造することが可能であり、その樹脂成形時に貫通孔75aを形成することもできるが、機械加工などによって形成してもよい。
【0018】
また、
図3(b)に他の例として示す第1遮光壁75は、光が透過する透過部75bと光を遮る遮光部75cが交互に連続するように形成されている。透過部75bは、例えばガラスないし透明樹脂等の材質で形成され、遮光部75cは、例えば遮光フィルムないし黒い接着剤で形成されている。
第1遮光壁75は、2枚の透過部75bの間に遮光部75cが積層されるように一体化したものを予め定められている寸法に切断する方法で製造するものであり、金型を用いる樹脂成形で製造しない。
【0019】
図4は、マイクロレンズアレイ74を説明する図であり、(a)は、透明板71上にある原稿で反射した反射光が受光基板73の受光素子73aで受光される態様を説明する図であり、(b)は、マイクロレンズアレイ74の光学的性質を説明する図である。(a)は、
図2の紙面垂直方向の断面を示したものであり、第1遮光壁75及び第2遮光壁76をそれぞれ一点鎖線で示している。また、(a)には、主走査方向Lが図示されている。
図4(a)に示すマイクロレンズアレイ74は、位置ずれの倍率変動が少ない正立等倍結像の2枚レンズアレイである。また、マイクロレンズアレイ74は、マイクロレンズ74a、74bの各々の光軸が互いに沿うように主走査方向Lに並べられている。
【0020】
第1遮光壁75は、長焦点深度のために、透明板71とマイクロレンズアレイ74との間に配置される。かかる第1遮光壁75により、開口角が小さくなる狭開口化が実現されるとともに、斜め入射する光を制限し隣接のマイクロレンズに迷光(破線で図示)が入らないようにする迷光入射防止が実現され、レンズの光学性能が向上する。
【0021】
第2遮光壁76は、導光体72(
図2参照)からの光のうち結像に不要な光を原稿に届く前に遮るものであり、透明板71と第1遮光壁75との間に配置される。かかる第2遮光壁76により、第1遮光壁75の内面反射が防止され文字の薄さやパッチのにじみの発生が抑制される。
【0022】
透明板71に対して設定される原稿読取り位置Pで反射した反射光のうち第1遮光壁75及び第2遮光壁76により遮光されなかった反射光がマイクロレンズアレイ74により受光素子73aに受光される。
原稿読取り位置Pは、予め定められている位置の一例である。マイクロレンズアレイ74のマイクロレンズ74a、74bは、複数のレンズの一例であり、主走査方向Lは、配列の方向の一例である。
【0023】
図4(b)に示すように、マイクロレンズアレイ74には、像点での解像が最も良くなる共役長TC(以下、「最良の共役長TC」と呼称する)が存在する。マイクロレンズ74a、74bの曲率半径Rが小さくなると、最良の共役長TCは短くなり、また、レンズ間が近くなると最良の共役長TCは長くなる。
また、マイクロレンズアレイ74のマイクロレンズ74aと物点との距離L1と、マイクロレンズ74bと像点との距離L2とは略同一である。マイクロレンズ74aが物点に近くなろうがマイクロレンズ74a、74bの曲率半径Rが小さくなろうが、同じ位置にピントは結ぶ。
このため、物点と像点のいずれか一方の位置が定まると、他方の位置も定まる。
【0024】
図5は、マイクロレンズアレイ74の調整を説明する図であり、(a)~(c)に時系列に示す。
図5(a)に示すように、まず、マイクロレンズアレイ74の共役長TCを基に、像点側の距離L2を調整する。その後、同図(b)に示すように、最良な共役長TCの状態のマイクロレンズアレイ74が透明板71に対して取り付けられるものの、透明板71に対して設定される原稿読取り位置Pとマイクロレンズアレイ74との位置関係はまだ定まっていない。すなわち、マイクロレンズアレイ74の物点が原稿読取り位置Pとずれている。
そこで、同図(c)に示すように、マイクロレンズアレイ74の物点が原稿読取り位置Pになるように、マイクロレンズアレイ74を光軸方向Jに沿って移動して透明板71に対する位置決めを行う。
【0025】
<第1の実施の形態>
図6は、第1の実施の形態に係るハウジング体79を説明する図であり、(a)は、ハウジング体79のハウジング78を説明する図であり、(b)はハウジング77に対するハウジング78の位置調整を説明する図である。
図6では、マイクロレンズアレイ74の位置決めを行うための構造を示しており、
図6(a)は
図5(a)に対応し、
図6(b)は
図5(b)に対応する。
【0026】
第1の実施の形態に係るハウジング体79のハウジング78は、
図6(a)に示すように、受光基板73を受け入れる受入れ部78aと、マイクロレンズアレイ74を受け入れる受入れ部78bと、第1遮光壁75が取り付けられる取付け部78cと、を備える。受光基板73、マイクロレンズアレイ74及び第1遮光壁75が光軸方向Jに順に配置される。
【0027】
図6(a)に示すように、受入れ部78bでは、共役長TC(
図5(a)参照)を基に、ハウジング78とマイクロレンズアレイ74との高さ調整を行う。
【0028】
第1の実施の形態に係るハウジング体79のハウジング77は、
図6(b)に示すように、導光体72を受け入れる受入れ部77aと、ハウジング78を受け入れる受入れ部77bと、を備える。
【0029】
ハウジング77の受け入れ部77bは、副走査方向Sに交差する主走査方向(
図6(b)の紙面垂直方向)に延びてハウジング78に対向する対向面77cを有する。ハウジング78は、ハウジング78の一部で対向面77cに接する。
図6(b)では、説明の便宜上、ハウジング77の対向面77cがハウジング78と離れているように図示されているにすぎない。
かかる構成により、ハウジング78をハウジング77との相対的に位置変更することができる。かかる位置変更は、光軸方向Jに関するものである。
【0030】
ハウジング77は、透明板71と接触する部材を備え、かかる部材により、透明板71に対する位置決めが行われる。このようにして、ハウジング77と透明板71との位置決めがなされる。
そして、ハウジング78をハウジング77の受入れ部77bに挿入し、ハウジング77に対する光軸方向Jの位置決めを行う。かかる位置決めは、高さ調整ないしピント調整ということができる。
【0031】
かかるピント調整は、事前に定められた寸法に基づいて行ってもよく、また、導光体72からの光を受光基板73の受光素子73aが検出する結果に基づいて行ってもよい。
かかる高さ調整が行われると、ハウジング78をハウジング77にUV接着材Aで固定する。なお、UV接着以外の固定方法でもよい。
なお、第1の実施の形態では、ハウジング77がハウジング78を受け入れる受入れ部77bを備える構成を採用するが、これに限られず、ハウジング78がハウジング77を受け入れる受入れ部(不図示)を備え、ハウジング77をハウジング78との位置変更を行えるようにしてもよい。
【0032】
さらに説明すると、ハウジング78はハウジング77により覆われている。より詳細には、
図6の光軸方向Jにおいて紙面上側が上側とすると、ハウジング78の上側部分は、ハウジング77に覆われる部分である。
このように、第1の実施の形態では、ハウジング78はハウジング77に覆われる部分を有するが、ハウジング77がハウジング78に覆われる構成を採用してもよい。
【0033】
<第2の実施の形態>
図7は、第2の実施の形態に係るハウジング体79を説明する図であり、(a)はハウジング体79と透明板71との位置関係を説明する側面図であり、(b)はその正面図である。なお、第2の実施の形態に係るハウジング体79は、上述した第1の実施の形態と共通する構成を有することから、共通する構成についてはその図示や説明を省略することがある。
【0034】
図7(b)に示すように、ハウジング体79は、装置本体に対して取り付けられる保持部材81に保持されている。そして、ハウジング体79のハウジング77と保持部材81との間に、圧縮コイルばね82が設けられている。また、同図(b)に示すように、ハウジング77の両端部には、透明板71に対向する突き当て部材77dが設けられている。ハウジング77の突き当て部材77dは、圧縮コイルばね82の付勢力により、透明板71に押圧される。ハウジング77は、導光体72を有し、スリット部76a(
図2参照)と一体に形成されている。このため、導光体72及びスリット部76a(
図2参照)と、透明板71ないし読取対象との位置関係が保持される。
【0035】
また、
図7(a)に示すように、圧縮コイルばね82は、保持部材81の平面部81aに接触するように設けられている。圧縮コイルばね82が接する平面部81aは、光軸方向Jに関し透明板71から遠いハウジング78の端部78gよりも透明板71側に位置する。
このように、平面部81aは、透明板71に近い位置であることから、圧縮コイルばね82のバネ長を短くすることで、圧縮コイルばね82の状態がより安定し、振動や外力に対する挙動が抑制される。
【0036】
さらに説明すると、ハウジング体79において、ハウジング77がハウジング78を覆うように構成されている。言い換えると、マイクロレンズアレイ74を保持するハウジング78は、ハウジング77により覆われる部分を有する。これにより、原稿読取装置1が透明板71に対して下側に配置される場合、上側に位置するハウジング77が下側に位置するハウジング78を覆うことから、原稿読取装置1内部にゴミが侵入し難くなる。
【0037】
図7では、ハウジング77がハウジング78を覆うように構成されているが、これに限られず、ハウジング78がハウジング77を覆うように構成されてもよく、原稿読取装置1が透明板71に対して上側に配置される場合に、ゴミ侵入防止の観点で有用である。
【0038】
また、ハウジング77の大きさを小さくすることは難しいが、ハウジング78を小さくすることは可能であり、ハウジング77をより軽量にすることで、駆動側の負荷が小さくなり駆動装置を安価なものとすることができる。
【0039】
<第3の実施の形態>
図8は、第3の実施の形態に係るハウジング体79を説明する図であり、(a)は、ハウジング体79の概略構成図であり、(b)は、ハウジング体79のハウジング77とハウジング78との組み立てを説明する図である。なお、(a)は、
図6(b)に対応する図である。
第3の実施の形態では、
図8(a)に示すように、ハウジング体79の実線で示すハウジング77の構成を説明するものである。
【0040】
そして、
図8(b)に示すように、ハウジング77において、ハウジング78を受け入れる受入れ部77bの対向面77cは、主走査方向Lに関する位置が異なると副走査方向Sの間隔Kが異なり、内側に凸の曲面形状で構成されている。すなわち、対向面77cにおける副走査方向Sの間隔Kは、主走査方向Lにおける中央部77eが端部77fよりも狭く、受入れ部77bはいわゆる内反りに形成されている。その一方で、ハウジング78は、直線形状である。このため、ハウジング78は、ハウジング77の対向面77cの中央部77eと接し、端部77fとは接しない。
【0041】
したがって、ハウジング77とハウジング78とを組み立てる場合(
図6(b)参照)、ハウジング77の受入れ部77bの中央部77eを広げながらハウジング78を仮固定することができる。この際、ハウジング78は、副走査方向Sから押圧力がかかることで安定するため、曲面形状で構成されていない場合と比べ、調整バラツキが小さくなり、また、調整作業を行うことが容易になる。
なお、調整作業後には、第1の実施の形態の場合と同じく、UV接着材A(
図6(b)参照)で固定する。なお、UV接着以外の固定方法でもよい。
【0042】
第3の実施の形態では、受入れ部77bを内反りに形成しているが、内反りかどうかにかかわらず、間隔が狭い部位を中央付近に複数箇所設けてもよい。
【0043】
<第4の実施の形態>
図9は、第4の実施の形態に係るハウジング体79を説明する図であり、(a)は、ハウジング体79の概略構成図であり、(b)は、ハウジング体79のハウジング78においてマイクロレンズアレイ74の組み立てを説明する図である。
第4の実施の形態では、
図9(a)に示すように、ハウジング体79の実線で示すハウジング78の構成を説明するものである。
【0044】
そして、
図9(b)に示すように、ハウジング78において、マイクロレンズアレイ74を受け入れる受入れ部78bは、第3の実施の形態の受入れ部77bの場合と同じく、主走査方向Lに関する位置が異なると、副走査方向Sの間隔Kが異なるように内周面が曲面形状で構成されている。すなわち、受入れ部78bの内周面である対向面78dにおいて、副走査方向Sの間隔Kは、主走査方向Lにおける中央部78eが端部78fよりも狭く、受入れ部78bはいわゆる内反りに形成されている。その一方で、マイクロレンズアレイ74は、直線形状である。このため、マイクロレンズアレイ74は、ハウジング78の対向面78dの中央部78eと接し、端部78fとは接しない。
【0045】
したがって、ハウジング78とマイクロレンズアレイ74とを組み立てる場合(
図6(a)参照)、ハウジング78の受入れ部78bの中央部78eを広げながらマイクロレンズアレイ74を仮固定することができる。この際、マイクロレンズアレイ74は、副走査方向Sからの押圧力により安定するため、曲面形状で構成されていない場合と比べ、調整バラツキが小さくなり、また、マイクロレンズアレイ74の調整作業を行うことが容易になる。受入れ部78bは、レンズ体を支持する凹部の一例であり、対向面78dは内周面の一例である。
なお、調整作業後には、第1の実施の形態の場合と同じく、UV接着材A(
図6(a)参照)で固定する。なお、UV接着以外の固定方法でもよい。
【0046】
第4の実施の形態では、第3の実施の形態の場合と同じく、受入れ部78bを内反りに形成しているが、内反りかどうかにかかわらず、中央部に間隔Kが狭い部位を複数箇所設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…原稿読取装置、71…透明板、72…導光体、74…マイクロレンズアレイ、74a、74b…マイクロレンズ、76…第2遮光壁、77、78…ハウジング、77c、78d…対向面、77e、78e…中央部、77f、78f…端部、78b…受入れ部、J…光軸方向、K…間隔、P…原稿読取り位置