(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032410
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】釣用ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20240305BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136049
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】519211661
【氏名又は名称】株式会社Grow Design
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】小泉 実
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA44
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ルアー本体が、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂等の可撓性を有し弾性変形するものであっても、リップ部を強固、かつ着脱自在に取り付けることが可能な釣用ルアーを提供する。
【解決手段】ルアー本体部10と、ルアー本体部10の内部に埋設された線材部20と、ルアー本体部10の前方下部13に着脱自在に設けられ、ルアー本体部10から離れる方向に突出した水受け部30とを備え、線材部20における任意の一部の区間は、ルアー本体部10の前部において環状となるように表出して釣糸の取り付けを可能にする釣糸取付部21を形成し、線材部20における任意の他の一部の区間は、ルアー本体部10の前方下部13において環状となるように表出して釣鉤の取り付けを可能にする釣鉤取付部22を形成しており、水受け部30は、釣糸取付部21及び釣鉤取付部22をそれぞれ貫通させた状態でルアー本体部10に接触する取付部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー本体部と、
前記ルアー本体部の内部に埋設された線材部と、
前記ルアー本体部の前方下部に着脱自在に設けられ、前記ルアー本体部から離れる方向に突出した水受け部と、
を備え、
前記線材部における任意の一部の区間は、前記ルアー本体部の前部において環状となるように表出して釣糸の取り付けを可能にする釣糸取付部を形成し、
前記線材部における任意の他の一部の区間は、前記ルアー本体部の前方下部において環状となるように表出して釣鉤の取り付けを可能にする釣鉤取付部を形成しており、
前記水受け部は、前記釣糸取付部及び前記釣鉤取付部をそれぞれ貫通させた状態で前記ルアー本体部に接触する取付部を備える釣用ルアー。
【請求項2】
前記線材部の一方端部と他方端部とを接触した状態で保持する固定部をさらに備える請求項1に記載の釣用ルアー。
【請求項3】
前記固定部がバネであり、
前記線材部の一方端部と他方端部とは、相互に接触した状態で、前記バネの内部に挿通している請求項2に記載の釣用ルアー。
【請求項4】
前記線材部の一方端部及び他方端部のうち、何れか一方が他方に巻回している請求項1に記載の釣用ルアー。
【請求項5】
前記取付部における前記釣糸取付部が貫通する箇所と、前記釣鉤取付部が貫通する箇所との間の任意の位置には、前記ルアー本体部に当接する凸状部が少なくとも1つ設けられている請求項1~4の何れか1項に記載の釣用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水受け部を着脱自在に備えた釣用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の釣用ルアー(以下、「ルアー」という。)としては、例えばポリ塩化ビニル等の高分子材料からなるルアー本体部にリップ部を設けたものがある。リップ部は、例えば板状からなり、ルアー本体部の前方下部において、当該ルアー本体部から離れる方向に突出して設けられている。
【0003】
リップ部は、釣糸(ライン)の巻取り(リトリーブ)の際に水流を直接受ける。巻取りの際、釣糸の巻取り速度が一定値以上になると、リップ部は水流を左右に受け流す。これにより、ルアー本体部が左右に揺動する結果、ルアーは生き餌が泳動するように水中で動作する。また、リップ部は、ルアー本体部に取り付けられた釣鉤(フック)よりも前方に設けられる。そのため、リップ部は、釣鉤が水中で木や岩等に引っ掛かるのを低減又は防止する機能も果たしている。
【0004】
ここで、従来のルアーでは、リップ部はルアー本体部に予め固定されていた。そのため、使用者は、使用状況に応じて他の形状のリップ部に変更することなどが困難であった。そのため、リップ部が着脱自在にルアー本体部に設けられた種々のルアーが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、釣糸の挿通が可能な挿通環部から正面視にて左右各斜め下方又は鉛直下方へ伸長する複数の線材部を備え、さらにこの線材部と伸長先の一部で接触して線材部の伸長方向を保持手段(リップ部に相当)により保持したルアー用緩衝器が開示されている。しかし、このような構造のルアー用緩衝器をルアーに用いると、水中で線材部に水草やゴミ等が絡みつくという問題がある。
【0006】
また、特許文献2では、ABS樹脂(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)からなるルアー本体の被着部に、ポリカーボネート又はアクリル系樹脂からなる合成樹脂製リップが脱着自在に設けられたルアーが開示されている。しかし、特許文献2に開示の合成樹脂製リップはルアー本体部に、ナット部を介してビスにより1箇所で固定され装着されている。そのため、合成樹脂製リップが水中で水流を受ける際には、水流による負荷が被着部にのみ加わることになる。従って、例えばルアー本体が、ABS樹脂よりも機械的強度が小さいポリ塩化ビニル樹脂など、可撓性を有し弾性変形する樹脂からなるものであるときには、被着部に加わる水流負荷に起因して当該被着部に損傷が生じ、合成樹脂製リップが脱落するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-174878号公報
【特許文献2】特開2001-292662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ルアー本体が、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂等の可撓性を有し弾性変形するものであっても、リップ部を強固、かつ着脱自在に取り付けることが可能な釣用ルアーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の釣用ルアーは、前記の課題を解決するために、ルアー本体部と、前記ルアー本体部の内部に埋設された線材部と、前記ルアー本体部の前方下部に着脱自在に設けられ、前記ルアー本体部から離れる方向に突出した水受け部と、前記線材部における任意の一部の区間は、前記ルアー本体部の前部において環状となるように表出して釣糸の取り付けを可能にする釣糸取付部を形成し、前記線材部における任意の他の一部の区間は、前記ルアー本体部の前方下部において環状となるように表出して釣鉤の取り付けを可能にする釣鉤取付部を形成しており、前記水受け部は、前記釣糸取付部及び前記釣鉤取付部をそれぞれ貫通させた状態で前記ルアー本体部に接触する取付部を備えることを特徴とする。
【0010】
前記の構成によれば、ルアー本体部に線材部を埋設し、この線材部の一部区間をルアー本体部の前部で表出させることにより、釣糸の取り付けが可能な釣糸取付部を形成している。また、線材部の他の一部区間を前方下部の何れかで表出させることにより、釣鉤の取付けが可能な釣鉤取付部を形成している。ここで、水受け部の取付部においては、線材部により形成される釣糸取付部及び釣鉤取付部がそれぞれ貫通している。これにより前記構成では、釣糸取付部と釣鉤取付部との少なくとも2箇所で、取付部を備える水受け部がルアー本体部に取り付けられる。そして、取付部を貫通した釣糸取付部では釣糸が挿通等により取り付けられ、また取付部を貫通した釣鉤取付部では釣鉤が係止されるので、水受け部のルアー本体部からの脱離が防止可能になっている。このような構成であると、ルアー本体部が、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂などのように、機械的強度が小さく、可撓性を有し、弾性変形する高分子樹脂からなる場合にも、水受け部に加えられる水流負荷に起因してルアー本体部に損傷が生じるのを防止することができる。その結果、水受け部がルアー本体部から脱離するのを低減又は抑制することができる。また、水受け部は、取付部に釣糸取付部及び釣鉤取付部を貫通させるだけで取り付けられるため、ルアー本体部に対し着脱自在となっている。
【0011】
前記の構成においては、前記線材部の一方端部と他方端部とを接触した状態で保持する固定部をさらに備えることが好ましい。これにより、水受け部に水流による負荷が加わり、ルアー本体部が揺動する際に、ルアー本体部の内部に埋設された線材部の一方端部と他方端部とで位置ずれ等が発生するのを低減又は防止することができる。その結果、線材部の一方端部及び/又は他方端部がルアー本体部の内部を傷つけたり、外部に突出したりするのを防止することができる。
【0012】
また前記の構成においては、前記固定部がバネであり、前記線材部の一方端部と他方端部とは、相互に接触した状態で、前記バネの内部に挿通していることが好ましい。これにより、水受け部に過度な水流負荷が加わり、ルアー本体部が激しく揺動する場合にも、当該線材部の一方端部と他方端部とが相互に接触した状態を維持させることができる。また、例えば、釣糸の巻取りなどにより、釣糸が取り付けられた釣糸取付部に引張応力が加えられバネが伸びても、当該バネが有する復元力により縮もうとすることにより、線材部がルアー本体部の内部で位置ずれ等が発生するのを低減又は防止することができる。その結果、線材部の一方端部及び/又は他方端部がルアー本体部の内部を傷つけたり、外部に突出したりするのを防止することができる。
【0013】
また前記の構成においては、前記線材部の一方端部及び他方端部のうち、何れか一方が他方に巻回しているものであってもよい。このような構成であっても、ルアー本体部の内部に埋設された線材部の一方端部と他方端部とで位置ずれ等が発生するのを低減又は防止することができる。その結果、線材部の一方端部及び/又は他方端部がルアー本体部の内部を傷つけたり、外部に突出したりするのを防止することができる。
【0014】
さらに前記の構成において、前記取付部における前記釣糸取付部が貫通する箇所と、前記釣鉤取付部が貫通する箇所との間の任意の位置には、前記ルアー本体部に当接する凸状部が少なくとも1つ設けられていることが好ましい。これにより、水受け部に過度な水流負荷が加わり、ルアー本体部が激しく揺動する場合にも、凸状部がルアー本体部に当接することで、水受け部が備える取付部がルアー本体部に対し位置ずれするのを一層低減し又は防止する。その結果、ルアーをより一層水中で安定して泳動させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水受け部を着脱自在にルアー本体部に設けることができる。また、本発明によれば、例えばルアー本体部が、ポリ塩化ビニル樹脂など、機械的強度が小さく、可撓性を有し弾性変形する高分子樹脂からなる場合にも、水受け部に加えられる水流負荷に起因してルアー本体部に損傷が生じるのを防止することができる。その結果、水受け部がルアー本体部から脱離するのを低減又は抑制した釣用ルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る釣用ルアーを模式的に表す側面図である。
【
図2】本発明の実施の一形態に係る釣用ルアーのルアー本体部を模式的に表す側面図である。
【
図3】本発明の実施の一形態に係る釣用ルアーにおいて、線材部がルアー本体部の内部に埋設されている様子を表す部分断面図である。
【
図4】本発明の実施の一形態に係る釣用ルアーの水受け部を模式的に表す斜視図である。
【
図5】本発明の釣用ルアーにおける水受け部の変形例を模式的に表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、
図1~
図4を参照しながら以下に説明する。但し、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。
【0018】
本実施の形態の釣用ルアー(以下、「ルアー」という。)1は、
図1に示すように、ルアー本体部10と、水受け部30と、釣鉤部40とを少なくとも備える。またルアー1は、
図3に示すように、線材部20も備える。
図1は、本実施の形態に係る釣用ルアー1を模式的に表す側面図である。また
図3は、ルアー本体部10の前部において、線材部20が内部に埋設されている様子を表す部分断面図である。
【0019】
ルアー本体部10は、
図1及び
図2に示すように、餌となる魚を模した全体形状を有している。
図2は、本実施の形態に係る釣用ルアー1のルアー本体部を模式的に表す側面図である。ルアー本体部10は、その鉛直縦断面に対して左右対称に形成されている。また、ルアー本体部10は、その長さ方向(長尺方向)における中央部において、ルアー本体部10の両側面に一対の対称な切り欠き部11を備えている。切り欠き部11は、ルアー本体部10の平面視(又は上面視)において、略V字状となるように設けられている。切り欠き部11を設けることにより、ルアー本体部10は前方本体部10Aと後方本体部10Bとに区画されている。また、切り欠き部11を設けることにより、ルアー1を水中で生きた魚のように泳動(揺動運動)させることができる。
【0020】
ルアー本体部10は、軟質ゴム又は軟質樹脂等の軟質材料(軟質素材)により構成されており、可撓性を有し、弾性変形が可能である。軟質材料は特に限定されず、例えば、従来公知のソフトルアーに用いられるものを用いることができる。軟質材料は、より具体的には、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。軟質材料中には、ルアー本体部10の可撓性を向上させるために、公知の可塑剤が添加されていてもよい。尚、本実施の形態では、ルアー本体部10が軟質材料により構成される場合を例にして説明するが、本発明はこの態様に限定されるものではない。ルアー本体部10は、例えば、硬質の高分子材料からなるものであってもよい。
【0021】
ルアー本体部10は、例えば射出成形等の公知の方法により作製することができる。具体的には、先ず、一対の金型内に予め作製した線材部20を載置する。この一対の金型は、型閉じした際に、ルアー本体部10の成形を可能にするキャビティが形成される構造となっている。次に、型閉じした一対の金型内に、溶融したルアー本体部10の構成材料を射出する。このときの射出圧力としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。続いて、射出された溶融樹脂を一対の金型内で所定時間冷却する。冷却時間は特に限定されず、構成材料の種類等に応じて適宜設定することができる。所定時間の冷却後、一対の金型の型開きを行って、成形されたルアー本体部10を取り出す。これにより、線材部20を内部に埋設したルアー本体部10を得ることができる。
【0022】
線材部20は、
図3に示すように、ルアー本体部10の内部に埋設されている。線材部20は、その一部の区間が、ルアー本体部10の前部12において、ルアー本体部10の長さ方向に対し平行となるように表出している。また、線材部20の一部の区間は、前部12において環状となるように表出しており、これにより釣糸の挿通や、釣糸を取り付けるためのスナップの接続を可能にする釣糸取付部(ラインアイ)21を形成している。また、線材部20は、他の一部の区間が、ルアー本体部10の前方下部13においてルアー本体部10の長さ方向に対し垂直となるように表出している。また、線材部20の他の一部の区間は、前方下部13において環状となるように表出しており、これにより釣鉤部40の取り付けを可能にする釣鉤取付部(フックアイ)22を形成している。尚、本実施の形態において、釣糸取付部21は、ルアー本体部10の鉛直縦断面に対して垂直となる方向に環状が開口した、いわゆる縦アイの場合を例にして説明する。但し、本発明の釣糸取付部は縦アイである場合に限定されるものではなく、ルアー本体部10の鉛直縦断面に対して平行となる方向に環状が開口した、いわゆる横アイであってもよい。
【0023】
ここで、釣糸取付部21及び釣鉤取付部22は、水受け部30をルアー本体部10に取り付けるための取付部としても機能する。その詳細については、後述する。
【0024】
また、線材部20の一方端部23と他方端部24とは、ルアー本体部10の長さ方向に平行となるように延在している。本実施の形態において、一方端部23の長さは他方端部24よりも短くなっている。但し、本発明はこの態様に限定されるものではなく、一方端部23と他方端部24とは同じ長さであってもよく、あるいは、他方端部24の方が一方端部23よりも短くてもよい。また、一方端部23と他方端部24とは相互に接触した状態で、バネ(固定部)25の内部に挿通している。線材部20の一方端部23と他方端部24とをバネ25で固定することにより、水受け部30に過度な水流負荷が加わり、ルアー本体部10が激しく揺動する場合にも、線材部20の一方端部23と他方端部24とが相互に接触した状態を維持させることができる。また、例えば、釣糸の巻取りなどにより、釣糸が挿通等された釣糸取付部21に引張応力が加えられバネ25が伸びても、当該バネ25が有する復元力によりバネ25が縮もうとする結果、線材部20がルアー本体部10の内部で位置ずれ等が発生するのを低減又は防止することができる。その結果、線材部20の一方端部23及び/又は他方端部24がルアー本体部10の内部を傷つけたり、外部に突出したりするのを防止することができる。
【0025】
さらに、線材部20の一方端部23には、ルアー本体部10の上方に向かって略直角に屈曲した第1屈曲部26が設けられている。また、線材部20の他方端部24にも、ルアー本体部10の下方に向かって略直角に屈曲した第2屈曲部27が設けられている。第1屈曲部26及び第2屈曲部27を設けることにより、バネ25が一方端部23及び他方端部24から脱離するのを防止することができる。尚、第1屈曲部26が一方端部23に対し屈曲する角度は、直角である場合に限定されるものではなく、任意に設定することができる。また、第2屈曲部27が他方端部24に対し屈曲する角度も、第1屈曲部26の場合と同様である。
【0026】
線材部20は、弾性変形及び塑性変形が可能な線材であれば特に限定されない。線材部20は、例えば、金属製ワイヤー等により構成される。
【0027】
水受け部30は、水中で水流を直接受けた際に、水受け部30の左右に水流を受け流すことにより、ルアー1を生き餌のように泳動させる機能を有する。また、水受け部30は、釣鉤が水中で木や岩等に引っ掛かるのを低減又は防止する機能も有している。水受け部30は、ルアー本体部10から離れる方向に突出するように当該ルアー本体部10に設けられている。水受け部30の突出方向、すなわち水受け部30とルアー本体部10の長さ方向とがなす角度は特に限定されず、適宜設定することができる。
【0028】
また水受け部30は、水中で水流を受けることが可能な形状であれば特に限定されない。通常は、ルアー本体部10の大きさやルアー1を水中でどのように挙動(泳動)させるのかに応じて適宜設定することができる。本実施の形態では、水受け部30は、
図4に示すように、板状となっている。また、水受け部30は、平面視における形状が略台形状となっている。さらに、水受け部30の角部はR加工されており、角部での水流から受ける抵抗を低減可能にしている。水受け部30の厚さは、ルアー本体部10から離れるに従い肉薄になるように形成されている。また、水受け部30の幅方向においても中央付近が最も肉厚になるように形成される。これにより、水受け部30の中央におけるルアー本体部10側の機械的強度を大きくしている。尚、本発明において、水受け部30の平面視における形状は略台形状である場合に限定されない。例えば、略円形状、略楕円形状又は四角形状であってもよい。
【0029】
水受け部30の平面視における大きさ(面積)は特に限定されず、ルアー本体部10の大きさや、ルアー1を水中でどのように挙動(泳動)させるのかに応じて適宜設定することができる。
【0030】
また水受け部30は、
図4に示すように、ルアー本体部に取り付けるための取付部31を備える。本実施の形態において、取付部31は水受け部30と一体成形されている。取付部31は、ルアー本体部10の前方下部13に面接触することが可能な板状の接触面を有している。また、取付部31は、釣糸取付部21を貫通させることが可能な第1開口部32と、釣鉤取付部22を貫通させることが可能な第2開口部33とを備えている。そして、第1開口部32を貫通した釣糸取付部21に釣糸を挿通等させ、かつ、第2開口部32を貫通した釣鉤取付部22に釣鉤部40を取り付けることにより、取付部31(水受け部30)がルアー本体部10から脱落するのを防止可能にしている。また、このような取付構造とすることにより、水受け部30を、特殊な工具を用いることなくルアー本体部10に着脱自在に取り付けることができる。
【0031】
水受け部30(取付部31を含む。)の構成材料としては特に限定されず、例えば、PP(ポリプロピレン)樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)樹脂等が挙げられる。これらの構成材料のうち、本実施の形態においてはPP樹脂が好ましい。PP樹脂は、比重が0.9であり、他の構成材料と比較して軽いことから、ルアー1全体に占める重さの影響を低減することができる。また、PP樹脂は、他の構成材料と比較して耐薬品性にも優れている。そのため、例えば、PVC樹脂からなるルアー本体部10中に可塑剤が使用されていても、当該可塑剤との化学反応を防止し変性するのを抑制することができる。さらに、PP樹脂は、他の構成材料と比較して柔軟性も有しているため、衝撃が加えられても弾性変形によりこれを吸収する。その結果、他の構成材料と比較して損傷の発生も抑制することができる。
【0032】
水受け部30(取付部31を含む。)は、例えば射出成形等の公知の方法により作製することができる。射出成形により作製する場合、成形条件(射出圧力、冷却時間等)としては特に限定されず、用いる構成材料の種類等に応じて適宜設定することができる。尚、本実施の形態では、水受け部30と取付部31とが一体成形された場合を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。水受け部30と取付部31とは相互に分離可能な別体であってもよい。
【0033】
釣鉤部40は、
図1に示すように、釣鉤取付部22に連結部41を介して設けられている。本実施の形態において釣鉤部40としてはトレブルフック(三本鉤)を用いた例を挙げているが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば、シングルフック(一本鉤)やダブルフック(二本鉤)等のその他の公知の釣鉤を用いることもできる。また、鉤の種類についても特に限定されず、例えば、スレ鉤、半スレ鉤又は返し鉤等を用いることができる。
【0034】
以上の説明においては、本発明の最も好適な実施の形態について説明した。しかし、本発明は当該実施の形態に限定されるものではない。
【0035】
例えば、水受け部としては、ルアー本体部を当接することが可能な凸状部を少なくとも1つ備えるものであってもよい。凸状部としては、例えば、
図5に示すように、取付部34の第1開口部32と第2開口部33との間の任意の位置に設けられた突起部35が挙げられる。
図5は、水受け部34の変形例を模式的に表す斜視図である。突起部35は、取付部34をルアー本体部10の前方下部に取り付けた際に、ルアー本体部10を押圧する。これにより、水受け部30を位置ずれさせることなくルアー本体部10に取り付けることが可能になる。尚、凸状部としては、
図5に示す突起部35の他に、任意の方向に突条に延在する突条部であってもよい。また、凸状部は複数設けられていてもよい。
【0036】
また、線材部の一方端部と他方端部とを固定するための固定部として、本実施の形態ではバネを用いた場合を例にして説明した。しかし本発明はこの態様に限定されるものではなく、例えば固定部としては、炭素鋼等で作られたピアノ線等の金属線を用いてもよい。この場合、線材部の一方端部と他方端部とが接触した状態で、一方端部及び他方端部に金属線を巻回して両者を固定する。また、線材部の一方端部と他方端部とを溶接により両者を接続させてもよい。さらに、線材部の一方端部を他方端部に巻回させ、あるいは他方端部を一方端部に巻回させて両者を固定させてもよい。これらの構成であっても、ルアー本体部の内部で一方端部と他方端部とが位置ずれして傷つけたり、外部に突出したりするのを良好に防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 釣用ルアー(ルアー)
10 ルアー本体部
10A 前方本体部
10B 後方本体部
11 切り欠き部
12 前部
13 前方下部
20 線材部
21 釣糸取付部
22 釣鉤取付部
23 一方端部
24 他方端部
25 バネ
26 第1屈曲部
27 第2屈曲部
30 水受け部
31、34 取付部
32 第1開口部
33 第2開口部
35 突起部(凸状部)
40 釣鉤部
41 連結部