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特開2024-3242グリチルレチン酸誘導体を構成成分とするαゲル、αゲルを含む組成物、αゲルの製造方法、αゲルを含む化粧料
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  • 特開-グリチルレチン酸誘導体を構成成分とするαゲル、αゲルを含む組成物、αゲルの製造方法、αゲルを含む化粧料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003242
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】グリチルレチン酸誘導体を構成成分とするαゲル、αゲルを含む組成物、αゲルの製造方法、αゲルを含む化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/63 20060101AFI20231228BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K8/63
A61K8/02
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/86
A61Q19/00
A61K8/46
A61K8/44
A61K8/41
A61K8/37
A61K8/60
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195681
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2020550525の分割
【原出願日】2019-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2018188862
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 良
(57)【要約】
【課題】グリチルレチン酸誘導体を構成成分として有するαゲルとすることで、水が高配合される剤型へのグリチルレチン酸誘導体の配合を可能とし、さらにグリチルレチン酸誘導体の経皮吸収を促進させる技術を提供する。
【解決手段】(A)グリチルレチン酸誘導体、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上、
(D)ジプロピレングリコール、及び
(E)水
を構成成分として有するαゲル。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グリチルレチン酸誘導体、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上、
(D)ジプロピレングリコール、及び
(E)水
を構成成分として有するαゲル。
【請求項2】
(A)グリチルレチン酸誘導体:0.05~1質量%、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上:(B)成分及び(C)成分の合計量0.5~20質量%、
(D)ジプロピレングリコール2.5~40質量%、及び
(E)水
を配合してなり、αゲルを含む組成物。
【請求項3】
(A)グリチルレチン酸誘導体:0.05~1質量%、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上:(B)成分及び(C)成分の合計量0.5~20質量%、
(D)ジプロピレングリコール2.5~40質量%、及び
(E)水
を加熱下で溶解した後に均一に混合し、室温まで冷却する工程を含む、αゲル又はαゲルを含む組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載のαゲルを有効成分として含有する、(A)グリチルレチン酸誘導体の経皮吸収促進剤。
【請求項5】
請求項1記載のαゲルを含む化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリチルレチン酸誘導体を構成成分として有するαゲル、αゲルを含む組成物、αゲルの製造方法、グリチルレチン酸誘導体の経皮吸収促進剤、及びαゲルを含む化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グリチルレチン酸誘導体は、抗炎症作用の薬理活性を有する有効成分として知られている。その優れた薬理活性を発揮するためには、皮膚、頭皮等に経皮吸収されることが重要である。
【0003】
有効成分の経皮吸収を促進させる技術としては、温度20℃における表面張力が29.5mN/m以下である炭化水素油との組み合わせ(特許第5997546号公報)が提案されているが、さらに優れた効果が望まれていた。
【0004】
また、グリチルレチン酸誘導体は油溶性成分であるため、化粧料等の外用剤へ配合する場合は、剤型がクリーム等の油分が高配合できる処方に限定されており、その他の剤型へ配合できる技術が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5997546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、グリチルレチン酸誘導体を構成成分として有するαゲルとすることで、水が高配合される剤型へのグリチルレチン酸誘導体の配合を可能とし、さらにグリチルレチン酸誘導体の経皮吸収を促進させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の構成とすることにより、グリチルレチン酸誘導体を含むαゲルが得られ、上記課題を解決できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は下記発明を提供する。
1.(A)グリチルレチン酸誘導体、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上、
(D)ジプロピレングリコール、及び
(E)水
を構成成分として有するαゲル。
2.(A)グリチルレチン酸誘導体:0.05~1質量%、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上:(B)成分及び(C)成分の合計量0.5~20質量%、
(D)ジプロピレングリコール2.5~40質量%、及び
(E)水
を配合してなり、αゲルを含む組成物。
3.(A)グリチルレチン酸誘導体:0.05~1質量%、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上:(B)成分及び(C)成分の合計量0.5~20質量%、
(D)ジプロピレングリコール2.5~40質量%、及び
(E)水
を加熱下で溶解した後に均一に混合し、室温まで冷却する工程を含む、αゲル又はαゲルを含む組成物の製造方法。
4.1記載のαゲルを有効成分として含有する、(A)グリチルレチン酸誘導体の経皮吸収促進剤。
5.1記載のαゲルを含む化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水が高配合される剤型へのグリチルレチン酸誘導体の配合を可能とし、さらにグリチルレチン酸誘導体の経皮吸収を促進させるαゲルを提供することができる。また、αゲルを含む組成物、αゲルの製造方法、グリチルレチン酸誘導体の経皮吸収促進剤、及びαゲルを含む化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1-1、比較例1-1の外観写真を示す。
図2】実施例1-1のDSCの結果を示す。
図3】実施例1-1のX線散乱解析結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。以下、化合物名を化粧品表示名称で記載する場合がある。
[αゲル]
本発明におけるαゲルとは、(A)グリチルレチン酸誘導体と、(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上と、(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上とが、(D)ジプロピレングリコール、(E)水との共存下で形成するラメラ状の2分子膜からなる会合体をいう。具体的には、上記(B)脂肪族アルコール又は脂肪酸のアルキル鎖と、(A)グリチルレチン酸誘導体及び(C)界面活性剤のアルキル鎖が六方晶を形成している。また、この六方晶構造は二分子膜の積層構造を有しており、α型水和結晶を構造している。α型水和結晶は、その2分子積層構造の層間に大量の水や(D)ジプロピレングリコールを保持し、2分子膜のネットワーク構造により水分が保持されることでゲル状態の性状を示す。
【0012】
[(A)成分]
グリチルレチン酸誘導体としては、グリチルレチン酸ステアリル、ステアリン酸グリチルレチニル等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらはいずれも、親水基と疎水基を有するものである。
【0013】
[(B)成分]
本発明の(B)成分は、炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの脂肪族基は直鎖であることが好ましい。このような特定の成分を選択することで、αゲル構造を構成することができる。
炭素数14~18の脂肪族アルコールとしては、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール(オクタデシルアルコール)、オレイルアルコール等が挙げられる。中でも、セチルアルコールが好ましい。
炭素数14~18の脂肪酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0014】
[(C)成分]
本発明の(C)成分は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0015】
アニオン性界面活性剤は親水基のアルキル鎖がtrans型のものが好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アシル化アミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N-ステアロイル-N-メチルタウリン塩等のN-アシル-N-メチルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ステアリン酸Na等の脂肪酸石けん、アルキルリン酸エステル塩、N-ステアロイルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-パルミトイルグルタミン酸塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-パルミトイルグルタミン酸塩等のアシルグルタミン酸塩、ステアロイル乳酸Na等のステアロイル乳酸塩、ラウロイル乳酸ナトリウム、N-ラウロイル-N-エチルグリシン塩、N-ラウロイルザルコシン塩、N-ミリストイル-β-アラニン塩等が挙げられる。塩はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸等が挙げられる。中でも、N-アシル-N-メチルタウリン塩、N-ステアロイルグルタミン酸塩、ステアリン酸塩、ステアロイル乳酸塩等が好ましい。
【0016】
カチオン性界面活性剤は親水基のアルキル鎖がtrans型のものが好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ピリジニウム塩、アミドアミン化合物等が挙げられる。カチオン性界面活性剤の対イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲンイオン、硫酸メチルイオン(CH3OSO3 -)、硫酸エチルイオン(CH3CH2OSO3 -)等が挙げられる。中でも、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
【0017】
ノニオン性界面活性剤としては親水基のアルキル鎖がtrans型のものが好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレングルセリル、脂肪酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。具体的には、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が挙げられる。中でも、ステアリン酸PEG-40グリセリル、αオクタデシルωヒドロキシポリ(オキシエチレン)、ステアリン酸PEG-32、セテス-30(いずれも化粧品表示名称)が好ましい。
【0018】
両性界面活性剤としては親水基のアルキル鎖がtrans型のものが好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン系活性剤、アルキルアミドプロピルベタイン等のアミドベタイン系活性剤、スルホベタイン系活性剤、ヒドロキシスルホベタイン系活性剤、アミドスルホベタイン系活性剤、ホスホベタイン系活性剤、イミダゾリニウムベタイン系活性剤、アミノプロピオン酸系活性剤、アミノ酸系活性剤、アミンオキシド等が挙げられる。中でも、ジメチルオクタデシルアミンN-オキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド等が好ましい。
【0019】
中でも、アニオン性界面活性剤が好ましく、N-アシル-N-メチルタウリン塩、N-ステアロイルグルタミン酸塩がより好ましい。
【0020】
[(D)成分]
本発明の(D)成分はジプロピレングリコールである。ジプロピレングリコールを用いることで、グリチルレチン酸誘導体を含むαゲルを形成させることができる。
【0021】
[(E)成分]
本発明の(E)成分は水であり、精製水等、水であれば特に限定されない。
【0022】
αゲルが形成されているかどうかは、αゲルの特徴である、均一の1相状態、好ましくは増粘した均一の1相状態の外観を有し、かつ示差走査熱量分析(DSC)から単一の相転移温度を示すことで、αゲルが形成されていることが確認される。さらに、X線散乱解析によっても確認することができる。
【0023】
[αゲルを含む組成物]
本発明は、(A)グリチルレチン酸誘導体:0.05~1質量%、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上:(B)成分及び(C)成分の合計量0.5~20質量%、
(D)ジプロピレングリコール2.5~40質量%、及び
(E)水
を配合してなり、αゲルを含む組成物を提供する。
この組成物には、上記αゲルが含まれており、αゲル形成の観点から、各成分の含有量は下記の通りとなる。なお、下記含有量には、αゲルを構成するものも含まれる。
【0024】
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%であり、0.05~0.5質量%が好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%であり、0.5~12質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は界面活性剤の種類によって異なるが、0.5:1~5:1が好ましく、1:1~4:1がより好ましく、1.3:1~3:1が最も好ましい。(B)成分の含有量は、組成物中0.3~16.0質量%が好ましく、(C)成分の含有量は、組成物中0.2~8.0質量%が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%であり、2.5~20質量%が好ましい。
【0025】
なお、(A)成分:(B)成分及び(C)成分の合計:(D)成分の配合質量比は、0.05~1:0.5~20:2.5~40が好ましい。
【0026】
以下、(C)成分ごとの、好適な範囲を下記に示す。
(C)成分が、N-アシル-N-メチルタウリンナトリウムの場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましく、0.5~12質量%がより好ましい。(B):(C)の質量比は、1:1~5:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~20質量%がより好ましく、2.5~10質量%がさらに好ましい。
【0027】
(C)成分が、ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。(B):(C)の質量比は、1:1~3:1が好ましい。
(D)成分の含有量は、組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0028】
(C)成分がステアリン酸Naの場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は、1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0029】
(C)成分がステアロイル乳酸Naの場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は、1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0030】
(C)成分がトリメチルステアリルアンモニウムクロリドの場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は、1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0031】
(C)成分がヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(塩化セチルトリメチルアンモニウム)の場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0032】
(C)成分が、ステアリン酸PEG-40グリセリル(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル)の場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0033】
(C)成分が、αオクタデシルωヒドロキシポリ(オキシエチレン)(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)の場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0034】
(C)成分が、ステアリン酸PEG-32(モノステアリン酸ポリエチレングリコール)の場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0035】
(C)成分が、セテス-30(ポリオキシエチレンセチルエーテル)の場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%であり、2.5~30質量%がより好ましい。
【0036】
(C)成分が、ジメチルオクタデシルアミンN-オキシド(ステアリルジメチルアミンオキシド)の場合は、
(A)成分の含有量は、組成物中0.05~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、組成物中0.5~20質量%が好ましい。また、(B):(C)の質量比は1:1~6:1が好ましい。
(D)成分の含有量は組成物中2.5~40質量%が好ましく、2.5~30質量%がより好ましい。
【0037】
(E)成分の含有量は、組成物中58.5~96.95質量%が好ましく、78.5~96.0質量%がより好ましい。本発明の構成とすることで、このような高含水量の組成物を得ることができる。
【0038】
[任意成分]
任意成分としては、化粧料、育毛剤、医薬品、医薬部外品等に配合し得る様々な成分を本発明の効果を損なわない範囲で適量配合することができる。このような成分としては、例えば、シリコーン油、エステル油、植物油等の油剤、シリコーン粉体、高分子化合物、エタノール等の溶剤、低級アルコール(炭素数2~5)、高級アルコール(炭素数6~22)等のアルコール、増粘剤、粉体、美白剤、抗老化剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、酵素、植物抽出物等の機能性成分の他、香料、色素、pH調整剤等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0039】
[αゲルを含む組成物の物性]
αゲルを含む組成物の25℃における粘度は1,000~10,000mPa・sが好ましい。なお、粘度の測定はB型粘度計、例えばBROOKFILD社製で測定する。
【0040】
[αゲル又はαゲルを含む組成物の製造方法]
αゲル又はαゲルを含む組成物は、
(A)グリチルレチン酸誘導体:0.05~1質量%、
(B)炭素数14~18の脂肪族アルコール及び脂肪酸から選ばれる1種以上、
(C)アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上:(B)成分及び(C)成分の合計量0.5質量%以上、
(D)ジプロピレングリコール2.5~40質量%、及び
(E)水
を加熱溶解後に均一混合し、室温まで冷却する工程を含むことで、製造することができる。
加熱温度は特に限定されないが、70~90℃が好ましい。混合は特に限定されず、公知の混合装置を用いて混合することができる。混合速度、混合装置、混合時間は特に限定されず、1相増粘物が形成されればよいが、混合速度は150rpm以上が好ましく、200rpm以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、混合装置等により、10,000rpm以下の範囲で適宜選定することができる。混合時間は1分以上が好ましく、2~10分がより好ましい。その後、室温(約20℃)まで冷却する。
【0041】
[経皮吸収促進剤]
本発明のゲル構造体は(A)グリチルレチン酸誘導体の経皮吸収を促進させる優れた効果を有する。このため、このαゲルを有効成分として含有する、(A)グリチルレチン酸誘導体の経皮吸収促進剤を提供する。好適な成分、含有量等は上記の通りである。
【0042】
[化粧料]
上記αゲルは化粧料に配合することができ、上記αゲルを含む化粧料を提供することができる。この化粧料は上記αゲルを含む組成物を化粧料としてもよい。さらに、育毛剤、医薬品、医薬部外品等にも配合することができる。αゲルの化粧料中の配合量は、特に限定されず、5~100質量%の範囲で適宜選択される。
【0043】
化粧料としては特に限定されないが、皮膚化粧料、毛髪化粧料が挙げられる。皮膚化粧料としては、ファンデーション(固形、液状全てを含む)、化粧下地、シャドー、口紅、リップクリーム、チーク、アイブロウ、マスカラ、アイライン、日焼け止め等のメークアップ化粧料、化粧水、乳液、クリーム、美容液、アイクリーム、パック等のスキンケア用化粧料が挙げられる。その他、制汗剤等も挙げられる。毛髪化粧料としては、シャンプー、リンス、トリートメント等が挙げられる。
【実施例0044】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【0045】
[実施例、比較例]
下記組成を90℃で加熱した後、混合し、振盪機を用いて10分混合した後、室温(20℃)まで冷却して組成物を得た。得られた組成物について、下記基準で、組成物の外観及びDSC測定結果からαゲルの形成を確認した。粘度はB型粘度計(BROOKFILD社製)で測定した。
[αゲルの形成]
○:組成物が増粘した均一の1相状態の外観を有し、DSCで単一の相転移温度を確認できた。
△:組成物が均一の1相状態の外観を有し、DSCで単一の相転移温度を確認できた。
×:組成物が2相又は結晶物が確認できた。
△及び○をゲルが形成したとする。
【0046】
【表1】
実施例1-1、比較例1-1の外観写真を図1に示す。
実施例1-1のDSCの結果を図2に示す。
実施例1-1のX線散乱解析結果を図3に示す。
構造解析からも、αゲルが形成されていることが確認された。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】
【表9】
【0055】
【表10】
【0056】
【表11】
【0057】
【表12】
【0058】
【表13】
【0059】
[試験例1]
(試料)
(1)ブランク(表14のジェル組成):下記組成を混合して調製した。
(2)サンプル(表15のαゲル組成):上記実施例と同様の方法で調製した。
○条件(N=4)
皮膚モデル:3次元培養表皮モデル(EqiSkin TM-large Model)
レシーバー液:20%PEG400/PBS(-):6時間、24時間後に回収した。
◆透過量(皮膚モデル中への移行量、N=4の平均)
グリチルレチン酸ステアリルの量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。
○HPLC測定条件
カラム:YMC-Pack Pro C18 (150×4.6mmI.D.)
移動相:メタノール/エタノール 混液(4:1)
カラム温度:40℃
注入量:10μL
測定波長:248nm
(1)ブランク(ジェル組成):0.93025μg/mL
(2)サンプル(αゲル組成):8.00075μg/mL
【0060】
【表14】
【0061】
【表15】
【0062】
グリチルレチン酸ステアリルを構成成分として有するαゲルとすることで、グリチルレチン酸ステアリルの経皮吸収が促進された。
図1
図2
図3