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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003243
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20231228BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65D30/16 G
B65D33/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195738
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2020505014の分割
【原出願日】2019-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2018038827
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 徹
(72)【発明者】
【氏名】長田 兼治
(57)【要約】
【課題】耐水性及び耐油性に優れ、過度に厚みを厚くしなくても充分な剛性とデッドホールド性を確保でき、外観に優れ、使用後に袋本体から容易に剥がせるスリーブを用いた包装袋の提供を目的とする。
【解決手段】袋本体と、前記袋本体に四角筒状の立体形状を付与し、自立且つ積み重ね可能とするスリーブと、前記スリーブを前記袋本体の内面に接着する接着部とを備え、前記袋本体は前面部と背面部と対向する側面部とで形成され、前記スリーブはポリオレフィンと20質量%以上75質量%以下のフィラーとが含有され、前記スリーブの表面には、前記スリーブを四角筒状に折るのを補助するための4本の第1の折り罫と、前記スリーブを扁平状に折り畳むのを補助するための2本の第2の折り罫とが、包装袋が自立したときの高さ方向に沿って延びるようにそれぞれ直線状に形成されている、包装袋。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体と、
前記袋本体内に、筒状にした状態で前記袋本体の内面と接するように設けられて、前記袋本体に四角筒状の立体形状を付与し、自立且つ積み重ね可能とするスリーブと、
前記スリーブを前記袋本体の内面に接着する接着部と、
を備える包装袋であって、
前記スリーブにより立体形状が付与された前記袋本体は、
前面部と、
前記前面部に対向する背面部と、
前記前面部及び前記背面部の両サイドにて互いに対向する側面部とで形成され、
前記スリーブは、ポリオレフィンとフィラーとが含有され、
前記スリーブ中の前記フィラーの含有量は、前記スリーブの総質量に対して、20質量%以上75質量%以下であり、
前記スリーブの表面には、前記スリーブを四角筒状に折るのを補助するための4本の第1の折り罫と、前記スリーブを扁平状に折り畳むのを補助するための2本の第2の折り罫とが、包装袋が自立したときの高さ方向に沿って延びるようにそれぞれ直線状に形成されている、包装袋。
【請求項2】
前記フィラーの含有量が、前記スリーブの総質量に対して、51質量%以上75質量%以下である、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記ポリオレフィンがポリエチレンとポリプロピレンとを含有し、前記ポリプロピレンに対する前記ポリエチレンの質量比が0.05以上19以下である、請求項1または2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
本願は、2018年03月05日に日本に出願された2018-038827号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ティーバッグ等を収容する包装袋として、フィルム材により形成された袋本体の内側に四角筒状のスリーブを設けて立体形状を付与した包装体が知られている。この包装袋の使用前のスリーブは、扁平な状態で袋本体の内面に接着されている。使用時にはスリーブが筒状に折り込まれ、該スリーブの形状に合わせて袋本体の余分な部分が折り畳まれる。これにより、包装袋は、ボックス状の立体形状となり、自立性及び積み重ね可能なスタック性が付与される。
【0003】
スリーブとしては、折り畳み自在の紙や合成樹脂からなるスリーブが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、合成樹脂としてポリエチレンフィルムを用いたプラスチックスリーブも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2001-322187号公報
【特許文献2】日本国特開2004-175408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
紙スリーブを用いたスリーブ入り包装袋は、保管状態によってはそのフィルム材に皺が発生し、外観が悪くなるとの問題がある。この問題は、紙スリーブが吸湿すると膨張し、乾燥すると収縮する性質に関係しており、紙スリーブを用いたスリーブ入り包装袋では、季節の違い等に伴う紙スリーブの含水率の変動による寸法変化量とフィルム材の寸法変化量とに差があるために発生する。したがって、包装袋の皺を低減するためには、紙スリーブや包装袋は保管時の湿度管理が必要である。紙スリーブを用いたスリーブ入り包装袋は、包装される内容物の水分量によっても皺が発生する場合がある。特にスリーブにより直方体状に立体形状が付与された包装袋の特徴でもある平面部は、皺が発生すると目立ちやすく外観が悪くなるとの問題があった。さらに、平面部は包装袋の正面デザインとなることが多く、商品陳列時の商品価値を損なうことがある。
また、紙スリーブはプラスチックスリーブに比べて耐水性及び耐油性が低いため、内容物に含まれる水分や油分が紙スリーブに吸収されて内容物が変質する可能性がある。内容物に含まれる水分や油分が吸収され、紙スリーブに部分的な変色が発生すると、この変色がフィルム材を透して見えるため、外観が悪くなり商品価値が低下する可能性もある。このような理由から、紙スリーブは包装袋の用途が制限される。
さらに、紙スリーブは廃棄の際に袋本体側に紙繊維が残りやすく、分別廃棄に支障を来すとの問題もある。
【0006】
プラスチックスリーブは、使用時の皺の問題を発生させることは無く、耐水性及び耐油性も優れ、材質はフィルム材と同一であるため分別廃棄の問題も無い。しかし、プラスチックスリーブは、紙スリーブに比べて剛性及びデッドホールド性に劣るため、紙スリーブと同じ厚みでは、袋本体にしっかりとした立体形状を付与して自立性及びスタック性を確保することが難しい。したがって、プラスチックスリーブは、紙スリーブよりも厚みを厚くする必要がある。しかし厚みを厚くしてプラスチックスリーブで充分な剛性を確保しようとすると、デッドホールド性が悪化し、四角筒状の立体形状が丸筒状に近づくようになるため隣り合う包装袋同士を密着して整然と積み重ねることが困難となりスタック性に劣る。
また、プラスチックスリーブを、フィルム材の内面にプラスチックスリーブと同種の樹脂を用いた袋本体の内面にヒートシールした場合、フィルム材とプラスチックスリーブとは強固に接着してしまう。これにより、フィルム材とプラスチックスリーブとを別々に廃棄することが要求される場合に容易に剥がすことができずに、分別廃棄に支障を来す場合がある。
【0007】
本発明は、耐水性及び耐油性に優れ、過度に厚みを厚くしなくても充分な剛性とデッドホールド性を確保でき、外観に優れ、使用後に袋本体から容易に剥がせるスリーブ、及び該スリーブを用いた包装袋の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を有する。
本発明の第一態様によるスリーブは、袋本体内に、筒状にした状態で前記袋本体の内面と接するように設けられて、前記袋本体に立体形状を付与し、ポリオレフィンとフィラーとを含有する。
本発明の第二態様に係るスリーブによれば、前記フィラーの含有量が、スリーブの総質量に対して、20質量%以上であってもよい。
本発明の第三態様に係るスリーブによれば、スリーブ表面に、前記スリーブを四角筒状に折るのを補助する第1の折り罫が形成されていてもよい。
本発明の第四態様に係るスリーブによれば、前記フィラーが炭酸カルシウム、または、タルクであってもよい。
本発明の第五態様に係る包装袋は、袋本体と、前記袋本体内に設けられた上記第一態様から上記第四態様のいずれかに記載のスリーブとを備える。
本発明の第六態様に係る包装袋において、前記スリーブが筒状とされて前記袋本体に立体形状が付与され、自立かつ積み重ね可能であってもよい。
本発明の第七態様に係る包装袋において、前記スリーブを四角筒状に折るのを補助する第1の折り罫に沿った部分以外に前記スリーブを前記袋本体の内面に接着する接着部が設けられ、前記接着部により、前記スリーブと前記袋本体とが接着されていてもよい。
本発明の第八態様に係る包装袋において、前記接着部が、前記スリーブを扁平状に折り畳むのを補助する第2の折り罫に沿って、前記第2の折り罫を挟む位置にそれぞれ設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスリーブは、包装袋に用いられ、耐水性及び耐油性に優れ、過度に厚みを厚くしなくても充分な剛性とデッドホールド性を確保でき、包装袋の外観悪化を抑制でき、使用後に袋本体から容易に剥がすことができる。
本発明の包装袋は、充分な自立性及びスタック性を有しており、外観に優れ、使用後に袋本体からスリーブを容易に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のスリーブの筒状にした状態の一例を示した斜視図である。
図2図1のスリーブを扁平な状態にした様子を示した斜視図である。
図3】本発明の包装袋の扁平な状態の一例を示した正面図である。
図4図3の包装袋のスリーブを折り曲げて四角筒状にした様子を示した斜視図である。
図5図4の包装袋の下部を平坦にして底面部を形成した様子を示した斜視図である。
図6】底面部が形成された包装袋の外観を示した斜視図である。
図7図6の包装袋の上部を背面側に折り込んだ様子を示した斜視図である。
図8】ボックス状に形成された包装袋を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[スリーブ]
本発明のスリーブは、袋本体内に、筒状にした状態で袋本体の内面と接するように設けられることによって、袋本体に立体形状を付与するものであり、ポリオレフィンとフィラーとを含有する。本発明のスリーブを用いることで、包装袋に立体形状を付与して自立可能且つ積み重ね可能とすることができる。
【0012】
以下、本発明のスリーブの一例について、図1及び図2に基づいて説明する。
なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
本実施形態のスリーブ10は、長尺な矩形状の板状シート10Aからなり、スリーブ10の厚みは袋本体を構成するフィルム材よりも厚い。スリーブ10では、板状シート10Aの長さ方向の両方の端部10a,10bが互いに接着されることで筒状とされている。板状シート10Aの長さ方向の端部10aと端部10bは、端部10aの内側に端部10bが位置するように重ねられて接着されている。
板状シート10Aの一方の端部10aと他方の端部10bとを接着する方法は、特に限定されず、例えば、ヒートシールにより溶着する方法、接着剤により接着する方法等が挙げられる。
【0014】
スリーブの形態は、板状シートの長さ方向の両方の端部が互いに接着した形態には限定されない。例えば、板状シートの長さ方向の両方の端部を突き合わせ、それら端部同士を接着していない形態であってもよい。このように突き合わせた端部同士を接着していないスリーブでも、スリーブを袋本体の内面に接着すれば袋本体に立体形状を付与することができる。その際、スリーブと袋本体と接着される接着予定部14a,14bを図1に示す。本実施形態では、折り罫12aに沿って、折り罫12aを挟んだ位置に接着予定部14a,14bが設けられている。同様に、折り罫12bに沿って、折り罫12bを挟んだ位置に接着予定部14a,14bが設けられている。後述するように、接着予定部14a,14bは、袋本体と接着後、接着部14a,14bとなる。
【0015】
スリーブ10の外側の表面10cには、スリーブ10を四角筒状に折るのを補助するための4本の折り罫(第1の折り罫)11a~11dが形成されている。4本の折り罫11a~11dは、それぞれ板状シート10Aの長さ方向、すなわちスリーブ10の周方向に間隔を開けて形成されている。また、4本の折り罫11a~11dは、板状シート10Aの幅方向、すなわち包装袋が自立したときのスリーブ10の高さ方向に沿って延びるように直線状に形成されている。
なお、折り罫とは、スリーブを筒状に折り曲げるための折り目であって、クリーズとも呼ばれる。
【0016】
また、スリーブ10の表面10cには、2本の折り罫(第2の折り罫)12a,12bが形成されている。折り罫12a,12bは、スリーブ10を扁平状に折り畳むのを補助する。折り罫12aは、スリーブ10の外側の表面10cにおける2本の隣り合う折り罫11a,11bの間に、板状シート10Aの幅方向、すなわちスリーブ10の高さ方向に沿って延びるように直線状に形成されている。折り罫12bは、スリーブ10の表面10cにおける別の2本の隣り合う折り罫11c,11dの間に、板状シート10Aの幅方向、すなわちスリーブ10の高さ方向に沿って延びるように直線状に形成されている。折り罫12aと折り罫12bとは、スリーブ10を四角筒状としたときに対向する位置に形成されている。
【0017】
スリーブ10は、図1に示すように4本のそれぞれの折り罫11a~11dを境に直角に折り込むことで四角筒状にすることができる。また、スリーブ10は、図2に示すように2本の折り罫12a,12bを利用して折り畳むことで、扁平状にすることができる。このように、スリーブ10は折り畳み自在に構成されている。
スリーブ10では、板状シート10Aの長さ方向の両方の端部10a,10bが重ねられて接着されている部分において、端部10bよりも外側に位置する端部10aの縁10dが折り罫11aに沿うように形成されている。そのため、スリーブ10を四角筒状にした状態では、板状シート10Aにおいて端部10bの外側に重なっている端部10aの縁10dが四角筒の角と一致する。これにより、スリーブ10を袋本体の内面に接着して四角筒状とした際には、板状シート10Aの端部10bの外側に重なっている端部10aの縁10dが位置する部分の段差が、袋本体の角と一致するため目立つことがなく、製品の美観性がより高くなる。
なお、本発明のスリーブでは、スリーブを筒状にする際の形状は、四角筒状には限定されず、例えば、六角筒状等の四角筒状以外の多角筒状であってもよく、円筒状等であってもよい。
【0018】
各折り罫は、凹条からなる。各折り罫の長さ方向に垂直な断面形状は、特に限定されず、例えば、矩形状、三角形状、半円状等が挙げられる。
折り罫を形成する方法は、特に限定されず、例えば、刃先を押し付ける方法等が挙げられる。
【0019】
スリーブ10は、ポリオレフィンと、フィラーとを含有する。すなわち、スリーブ10は、ポリオレフィンと、フィラーとを含有する板状シート10Aで構成されている。
【0020】
スリーブ10は、ポリオレフィンを含むプラスチック製であることで、紙スリーブに比べて耐水性及び耐油性に優れる。これにより、スリーブ10は内容物に含まれる水分や油分を吸収しにくく、内容物の変質を抑制でき、変色することもないため、幅広い用途に使用することができる。また、紙スリーブは湿度の影響を受けて寸法が変化するが、本発明のスリーブ10は保管中の湿度の影響を受けることがなく寸法変化が無い。そのため、袋本体内で筒状にした際、設計通りにスリーブ10の外側に位置する袋本体のフィルム材を引っ張らせて緊張させることができることから、平坦な表面を有する外観に優れた包装袋が得られる。
また、スリーブ10は、ポリオレフィンを含む軽量なプラスチック製であることで、紙スリーブに比べて包装袋が製造されてから、使用され、最後に廃棄されるまでのライフサイクルにおける消費エネルギー量及び温室効果ガス排出量も低減される。
【0021】
ポリオレフィンとしては、特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン(PE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、α-オレフィン-プロピレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0022】
スリーブ10に含まれるポリオレフィンは、後述する袋本体の熱融着層に含まれるポリオレフィンと同種であることが好ましい。
スリーブ10に含まれるポリオレフィンは、1種のみであってもよく、用途に応じて2種以上が混合されていてもよい。
スリーブ10に用いられるポリオレフィンとしては、袋本体への易ヒートシール性の点から、PP、PEが好ましい。
【0023】
スリーブ10は、フィラーが含有されていることで、プラスチック製であるにもかかわらず、充分な剛性を有し、デッドホールド性にも優れている。また、フィラーはヒートシール性を有しておらずヒートシール阻害剤として作用するため、スリーブ10の袋本体へのヒートシール性が過度に高くなることが抑制される。そのため、包装袋の使用後にスリーブ10を袋本体と分別して廃棄する際等には、袋本体からスリーブ10を容易に剥がすことができ、剥がした跡も美麗である。したがって、袋本体とプラスチックスリーブをまとめて廃棄できる自治体と、まとめて廃棄できずに分別が要求される自治体、いずれにおいても対応できるため、自治体毎に異なる廃棄に関する規則への対応が取りやすい。
【0024】
スリーブ10に含まれるフィラーとしては、特に限定されず、タルク、炭酸カルシウム炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の無機フィラーが挙げられる。これらの中でも、タルクと炭酸カルシウムが好ましい。
スリーブ10に含まれるフィラーは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0025】
スリーブ10には、ポリオレフィン及びフィラーに加えて、ポリオレフィン及びフィラー以外の他の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば、ポリオレフィン以外の他の樹脂、各種添加剤等が挙げられる。
添加剤としては、例えば、顔料、スリップ剤、酸化防止剤等が挙げられる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。スリーブに顔料を添加することで、スリーブを任意の色に着色することができる。
【0026】
スリップ剤としては、包装用ポリオレフィンに通常使用されるスリップ剤を使用することができる。例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等が挙げられる。それぞれ単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。
【0027】
スリーブ10を構成する板状シート10Aは、単層及び多層の構造を有する。多層の場合には、スリーブ10の少なくともフィルム材と接着される面を有する層をポリオレフィンとフィラーとを含有する層となる板状シート10Aとする。具体的な多層構造の例としては、例えば、フィラーを含有するポリオレフィン層と、フィラーを含有しないポリオレフィン層との二層構造、中間層を有する三層構造が挙げられる。三層構造の場合、酸素吸収性物質を含む樹脂で中間層を形成することで、袋内に内容物を充填した後の保存期間中に内容物の酸化を防止する機能を付与することができる。また、三層構造の場合、中間層を黒色や灰色等の濃い色で着色し、中間層の両側の層を白色に着色することにより、中間層の濃い色調で遮光し、光線による内容物の退色等の劣化を抑制することができる。
【0028】
スリーブ10中のポリオレフィンの含有量は、スリーブ10の総質量に対して、25質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましい。ポリオレフィンの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、耐水性及び耐油性に優れ、また寸法変化が小さく、袋本体のフィルム材を緊張させやすくなり、外観が良好な包装袋が得られやすい。ポリオレフィンの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、フィラーの含有量を相対的に増やすことができ、フィラーを添加することによる種々の効果が得られやすくなる。
【0029】
ポリオレフィンがPEとPPとを含有する場合、PPに対するPEの質量比は、0.05以上19以下が好ましく、0.1以上9以下がより好ましい。前記質量比がこの範囲にあれば、デッドホールド性が良好になる。
【0030】
スリーブ10中のフィラーの含有量は、スリーブ10の総質量に対して、20質量%以上が好ましく、20質量%以上75質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。フィラーの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、剛性及びデッドホールド性により優れたスリーブが得られやすく、また袋本体からスリーブを剥がすことがより容易になる。フィラーの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、ポリオレフィンの含有量を相対的に増やすことができ、ポリオレフィンによる効果が得られやすくなる。
【0031】
スリーブ10の厚さは、150μm以上1000μm以下が好ましく、200μm以上500μm以下がより好ましい。スリーブ10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、充分な剛性及びデッドホールド性が得られやすい。スリーブ10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、包装袋が嵩高くなりにくく、段ボール箱等の外装容器に収容できる包装袋の数が増え、また所定数の包装袋を梱包する外装容器を小さくできるため、輸送効率が向上する。
【0032】
スリーブ10の製造方法は、特に限定されない。スリーブを構成する板状シートを形成する方法としては、例えば、ポリオレフィン及びフィラーと、必要に応じて使用する他の成分とを混合した樹脂組成物を用いて押出成形を行う方法が挙げられる。
以上の説明においてスリーブは通常の板状シートからなることを説明したが、スリーブの平面部には、必要に応じて窓部を形成してもよい。窓部は、スリーブの平面部における包装袋の表裏面に対応する部分に形成されてもよく、側面に対応する部分に形成されてもよい。スリーブの平面部に窓部を形成することで、外側から袋本体における該窓部の部分を通じて内容物を視認することが可能となる。
スリーブの平面部に窓部を形成する態様において、袋本体の基材層に印刷を施す場合には、基材層における該窓部に対応する部分には内容物が視認できるように印刷がされないデザインとすることが好ましい。該窓部に対応する部分に印刷を行う場合においては、内容物が視認できるようにデザインに配慮することが好ましい。
窓部を設ける場合は、光線によって内容物が退色する等の問題が発生する可能性がある。このような場合は、次の2点のうち少なくともいずれか一方を採用することにより、光線による内容物の退色等の問題の発生を防ぐことができる。
1)積層体を構成する層の一つ(基材層または必要に応じて積層する中間層)として紫外線を遮断するフィルムを用いる。
2)基材層または必要に応じて積層する中間層に紫外線を遮断するコート層を設ける。
【0033】
以上説明したように、本発明のスリーブは、ポリオレフィンとフィラーとを含有している。したがって、紙スリーブに比べて耐水性及び耐油性が向上し、内容物に含まれる水分や油分を吸収しにくくなるため、幅広い用途の包装袋に使用できる。
また、紙スリーブに比べて水分等の外的要因による寸法変化が小さい。そのため、スリーブを筒状とした際に、設計通りに袋本体のフィルム材を引っ張って緊張させることができることから、表面が平坦でシワのない外観に優れた包装袋を得ることができる。より具体的には、袋本体のフィルム材と比較して紙スリーブは高湿度環境で膨張しやすく、低湿度環境で収縮しやすい。したがって袋本体のフィルム材に皺を発生させ美観を損なわせ外観を悪くさせてしまうことがあるが、本発明のスリーブは湿度変化による膨張や収縮が無くフィルム材に皺を発生させることがない。
また、スリーブがフィラーを含むことで、スリーブを過度に厚くしなくても充分な剛性(コシ)とデッドホールド性が確保される。そのため、輸送効率を損なわずに包装袋の立体形状を安定して維持することができる。また、スリーブに含まれるフィラーがヒートシール阻害剤として作用することで、使用後には袋本体からスリーブを容易に剥がすことができる。
このように、本発明のスリーブは、ポリオレフィンとフィラーとが組み合わせられることで、耐水性、耐油性、美粧性、剛性、デッドホールド性、袋本体からの剥離性を兼ね備えている。
【0034】
[包装袋]
本発明の包装袋は、袋本体と、袋本体内に設けられた本発明のスリーブとを備える。本発明の包装袋は、本発明のスリーブによって立体形状を付与でき、自立可能且つ積み重ね可能とすることができる。本発明の包装袋は、スリーブとして本発明のスリーブを備える以外は、スリーブを利用した公知の包装袋と同じ態様を採用できる。
以下、本発明の包装袋の一例について、図3~8に基づいて説明する。
【0035】
本実施形態の包装袋1は、図3に示すように、平袋として構成された袋本体20と、袋本体20内に設けられたスリーブ10とを備えている。図3の状態では、スリーブ10が扁平な状態で袋本体20内に設けられており、包装袋1は全体として扁平で立体形状を有していない状態である。
【0036】
袋本体20は、一枚のフィルム材が二つ折りにされて形成された対向する一対の平面部21a,21bを有し、折りたたまれて形成された折り線21cが袋本体20の下端となるように構成されている。袋本体20の両方の側端には、各平面部21a,21bの側端同士が該側端に沿ってヒートシールされて貼り合わされたヒートシール部22a,22bが形成されている。袋本体20の上部は開放されており、袋本体20の上部には、各平面部21a,21bの内面に上方の開口部を自在に開閉させる咬合部材であるジッパ23が取り付けられている。
【0037】
ジッパ23は、互いに係合し合う帯状の雄部材23aと帯状の雌部材23bとから構成されている。雄部材23aは、一方の平面部21aの内面に袋本体20の左右方向に延びるように設けられ、雌部材23bは、他方の平面部3の内面に袋本体20の左右方向に延びるように設けられている。なお、ジッパ23においては、雄部材23a及び雌部材23b共に、スリーブ10の折り罫11a~11dを延長した線がジッパ23と交差する部分に対応する位置にジッパ23が存在しないか、雄部材23a及び雌部材23bのうち少なくとも一方の一部の厚みが薄くなっているなどの非連続部分が形成されていることが好ましい。
ジッパ23の材質は、平面部21a,21bに溶着可能な材質であればよく、例えば、PE、PP等が挙げられる。
【0038】
扁平な状態の袋本体20においては、スリーブ10の上縁13aが袋本体20の上縁から所定の距離だけ下方に離れ、スリーブ10の下縁13bが袋本体20の下縁から所定の距離だけ離れるようにスリーブ10が設けられている。扁平な状態のスリーブ10の両方の側端、すなわち折り罫12a,12bが形成された部分が、扁平な状態の袋本体20の各ヒートシール部22a,22bの縁に位置するように構成されている。
【0039】
袋本体20内のスリーブ10は、袋本体20の各平面部21a,21bの内面にそれぞれ接するように設けられ、スリーブ10と各平面部21a,21bの内面とが接着予定部14a,14bで接着され、接着予定部14a,14bは接着部14a,14bとなる。スリーブ10を袋本体20の内面に接着する態様としては、ヒートシールにより溶着する態様、接着剤により接着する態様等が挙げられ、ヒートシールにより溶着する態様が好ましい。
【0040】
袋本体20を構成するフィルム材は、少なくとも内面が熱融着可能なポリオレフィンで構成されていればよく、ポリオレフィンフィルム単体であってもよく、基材層と熱融着層とを有する積層体であってもよい。積層体は、基材層と熱融着層との間に中間層を有していてもよい。
【0041】
ポリオレフィンフィルムまたは熱融着層を構成するポリオレフィンとしては、例えば、LDPE、MDPE、HDPE、LLDPE、PP等が挙げられる。該ポリオレフィンとしては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
基材層を構成する樹脂材料としては、例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン)、PP等が挙げられる。基材層としては、1種の樹脂材料からなるフィルムを単独で使用してもよく、2種以上の樹脂材料を共押出ししたフィルムを使用してもよい。
基材層の厚さは、6~50μmが好ましい。
基材層の表面には、グラビア印刷、フレキソ印刷等の印刷が通常施されている。印刷は、基材層の外面側、内面側、又は両面に施すことができる。
【0043】
積層体は、袋本体20の外面側に接着層を有していてもよい。接着層を設けることで、後述の三角形状の三角部24b1,24b2は、ヒートシールにより接着可能となる。
接着層を形成する態様としては、例えば、片面にヒートシール層を有する市販のフィルムを用いる態様、予め接着すべき箇所にシール剤を印刷(パートコート)する態様等が挙げられる。
【0044】
熱融着層を構成するポリオレフィンとしては、ポリオレフィンフィルムを構成するポリオレフィンとして挙げたものと同じものが挙げられる。
熱融着層の厚さは、6~50μmが好ましい。
【0045】
中間層としては、例えば、ガスバリア性の向上を目的とする層が挙げられ、具体的には金属箔、蒸着フィルム等が挙げられる。
中間層の厚さは、6~50μmが好ましい。
【0046】
包装袋1は、図3に示す平袋の状態から、図4図8に示すようにしてボックス状にすることができる。
具体的には、図4に示すように、包装袋1の両サイドを包装袋1の内方に押し込むようにしてスリーブ10の折り罫11a~11dを境に折り曲げ、スリーブ10を四角筒状にする。これにより、包装袋1には、前面部2aと、前面部2aに対向する背面部2bと、前面部2a及び背面部2bの両サイドにて互いに対向する側面部3a,3bとが形成される。このとき、袋本体20におけるスリーブ10の上縁13aより上方では、前面部2a側から見た正面視形状が上方に向かうにつれて左右方向に広がった形状の上部24aが張り出した状態である。また、スリーブ10の下縁13bより下方では、各側面部3a側において、側面部3a側から見た正面視形状が三角形状の三角部24b1が張り出した状態である。スリーブ10の下縁13bより下方では、各側面部3b側において、側面部3b側から見た正面視形状が三角形状の三角部24b2が張り出した状態である。
【0047】
次いで、図5に示すように、スリーブ10の下縁13bから下方に張り出した各三角部24b1,24b2を、スリーブ10の下縁13bに沿って包装袋1の中心側へ折り曲げて接着し、矩形状の平坦な底面部4を形成する。平坦な底面部4が形成されることで、図6に示すように、包装袋1が自立可能となる。
三角形状の三角部24b1,24b2の接着方法は、特に限定されず、例えば、該部分にホットメルト剤などの接着剤(粘着剤)を塗布する方法、両面粘着テープを貼り付けて圧着する方法、該部分に予め塗布しておいたシール剤を利用してヒートシールするパートコート方式、片面にヒートシール性を有するフィルムを用いてヒートシールするヒートシール方式等が挙げられる。
【0048】
次いで、図7に示すように、スリーブ10の上縁13aから上方に張り出した上部24aを、前面部2aと背面部2bとの上部同士が重なるようにした状態でスリーブ10の上縁13aに沿って包装袋1の背面部2b側に折り曲げる。このとき、袋本体20における各ヒートシール部22a,22bは、背面部2b側に折り曲げられる。この状態の袋本体20の上部側には、スリーブ10の上縁13aに沿った平坦面が形成されると共に、各側面部3a,3b側に張り出した略三角形状の突出部分25a1,25a2が形成される。
【0049】
次いで、図8に示すように、突出部分25a1をスリーブ10の上縁13aの位置で下方に向けて折り曲げ、側面部3aに接着し、突出部分25a2をスリーブ10の上縁13aの位置で下方に向けて折り曲げ、側面部3bに接着する。これにより、包装袋1がボックス状となる。なお、ジッパ23に前述の非連続部が形成されていれば、各突出部分25a1,25a2をスリーブ10の上縁13aの位置で下方に向けて折り曲げることが容易となる。
突出部分25a1,25a2の接着方法は、特に限定されず、例えば、該部分にホットメルト剤などの接着剤(粘着剤)を塗布する方法、両面粘着テープを貼り付けて圧着する方法、該部分に予め塗布しておいたシール剤を利用してヒートシールするパートコート方式、片面にヒートシール性を有するフィルムを用いてヒートシールするヒートシール方式等が挙げられる。
【0050】
ボックス状に形成された包装袋1の高さは、スリーブ10の高さと略等しい。
ボックス状に形成された包装袋1においては、いずれも平坦な前面部2a、背面部2b及び各側面部3a,3bが形成されている。また、袋本体20内でスリーブ10が四角筒状にされることで、前面部2a、背面部2b及び各側面部3a,3bのそれぞれにおいて袋本体20を形成するフィルム材がスリーブ10によって引っ張られて緊張した状態となり、シワの形成が抑制される。特にボックス状に形成された包装袋1の互いに対向する各側面部3a,3bにスリーブ10を袋本体20の内面に接着する接着部を設け、側面部と各側面部3a,3bと前面部2aとを区切る4本の折り罫11a~11dに沿った部分にスリーブ10を袋本体20の内面に接着する接着部を設けないことが好ましい。折り罫11a~11dに沿った部分以外に、接着部を設けることにより、袋本体20内でスリーブ10が四角筒状にされる際に、側面部3a,3bに設けられた接着部で固定された袋本体が、4本の折り罫11a~11dと袋本体とが接する部分を自由に動けるようになる。これにより、ボックス状に形成された包装袋の前面部2a、背面部2bから各側面部3a,3bに向けて引っ張られて容易に緊張し、ボックス状に形成される前にシワがあったとしても、シワが解消されるためボックス形状においてシワが形成されることが抑制される。スリーブ10と袋本体20との接着手段としては、ヒートシール方式等が挙げられる。接着予定部(接着部)14a,14bの位置は、特に限定されないが、一例として、各側面部3a,3bにおけるヒートシール部22a,22bの近傍に設けることが好ましい。具体的な好ましい例として図1に示す例では、スリーブ10を扁平状に折り畳むのを補助するための2本の折り罫12a,12bに沿って平行に5mm以内の距離、離れた位置から始まる帯状の接着予定部14a,14bが折り罫12a,12bの長さより若干短く設けられている。
特に窓部を有するスリーブにおいては、窓部にシワが形成されないことは、内容物の視認性が一段と向上するため好ましい。
【0051】
ボックス状に形成した包装袋1においては、スリーブ10によって立体形状が安定して維持されるため、ティーバッグ等の内容物をその形状を崩すことなく収容することができる。
【0052】
以上説明した本発明の包装袋においては、充分な剛性とデッドホールド性を有する本発明のスリーブによって内容物が収容された使用時には立体形状が付与されているため、優れた自立性及びスタック性が確保されている。また、本発明のスリーブはフィラーが添加されていないプラスチックスリーブ及び紙スリーブに比べて薄くできるため、本発明の包装袋は内容物を収容して使用する前の扁平な状態が嵩高くなりにくく、段ボール箱等の外装容器に収容できる包装袋を多くでき、また所定数の包装袋を梱包する外装容器を小さくできることから、輸送効率が優れている。
【0053】
紙スリーブは、フィラーが添加された本発明のスリーブ及びフィラーが添加されていないプラスチックスリーブに比べて空気中の水分の影響で寸法が変化しやすいため、高湿度環境では紙スリーブが膨張して包装袋が胴膨れし、低湿度環境では紙スリーブが収縮して包装袋にシワが入ることで美観性が損なわれやすい。
包装袋に紙スリーブの寸法変化に起因するシワが入ると、包装袋の他の部分が平滑であるためにシワが余計に目立つ。特に、包装袋の正面デザインは食品メーカー等のユーザーにとって非常に重要であるため、そこにシワがあると不良品として扱われる可能性が高まる。このように、紙スリーブは本来、包装袋に平滑な面を形成して美観性を高める目的で使用されるが、水分による寸法変化によって逆に美観性を損ないやすい問題がある。
これに対して、フィラーが添加された本発明のスリーブは保管環境の湿度の影響を受けて寸法変化することがなく、設計通りに容易に袋本体を緊張させてシワのない平坦な表面が形成できるため、本発明の包装袋は外観に優れ、商品としてより綺麗に見せることができる。
【0054】
また、本発明の包装袋においては、使用後に袋本体からスリーブを容易に剥がすことができる。
また、本発明の包装袋は、スリーブの耐水性及び耐油性が優れているため、水分や油分を含む内容物を収容する用途にも適用することができる。
また、自治体によっては、プラスチック製のスリーブとプラスチック製の包装袋との組合せであったとしても、廃棄の際には分離しなければならない場合がある。そのような場合であっても、本発明の包装袋は、スリーブ10にフィラーが添加されているため、スリーブ10と包装袋との分離が容易なので廃棄が容易である。しかも、本発明の包装袋は、スリーブにフィラーが添加されているので、袋本体からスリーブ10を綺麗に剥がすことができる。
【0055】
スリーブ10は、紙スリーブやフィラーを添加していないプラスチックスリーブと比較して気体透過性が低い(言い換えると、ガスバリア性が高い)ため、内容物の保存性に優れている。本発明のスリーブ10には、一定の割合でフィラーが添加されている。フィラーが添加されていることによって、若干気体透過性が低くなる。例えば、本発明のスリーブ10を備える包装袋1、紙スリーブを備える包装袋、フィラーを添加していないプラスチックスリーブを備える包装袋に、固体または粉体の内容物を充填した場合、本発明のスリーブ10を備える包装袋1が最も内容物の保存性が高く、次に、フィラーを添加していないプラスチックスリーブを備える包装袋の保存性が高く、紙スリーブを備える包装袋は、最も保存性が低い。
内容物が固体または粉体の場合は、保存期間中に内容物が袋内で移動することはないので、特に、紙スリーブを備える包装袋については、スリーブ10に接している部分から内容物の劣化(酸化や吸湿)が進み、次第に袋体の中心部に向かって劣化が進む。
一方、本発明のスリーブは、ポリオレフィンにフィラーを一定の割合で混合することにより形成され、ポリオレフィンの中に島状にフィラーを分散させたシート(被膜)である。ポリオレフィンの分子鎖が絡まり合って被膜状になっているフィラー不添加のプラスチックスリーブと、同様の被膜の中に島状にフィラーを分散させた本発明のスリーブとの気体透過性を比較すると、本発明のスリーブの方が気体透過性は低い。すなわち、気体が被膜を通過するとき、島状にフィラーを分散させた本発明のスリーブでは、気体が透過する際フィラーを迂回することから、気体が透過するための経路が長く、単位時間当たりの気体透過量が少なくなるため、本発明のスリーブ10を備える包装袋1の気体透過性は、フィラーを添加していないプラスチックスリーブを備える包装袋の気体透過性及び紙スリーブを備える包装袋の気体透過性に比べて低い。これにより、本発明では、内容物の劣化(酸化や吸湿)を抑えることができるため、内容物の保存性が高くなる。
【0056】
なお、本発明の包装袋は、前記した包装袋1には限定されない。例えば、本発明の包装袋は、スリーブ10以外の本発明のスリーブを備えるものであってもよい。
また、本発明の包装袋の袋本体は、チューブ状であってもよく、三方シール袋であってもよく、四方シール袋であってもよい。
また、本発明の包装袋は、袋本体にジッパが設けられていない構成であってもよい。
【実施例0057】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[材料]
本実施例で使用した材料を以下に示す。
フィルムA:一方の面がヒートシール面で、他方の面が非ヒートシール面(コロナ処理面)である厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
フィルムB:厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム。
インキC:グラビア印刷用印刷インキ。
接着剤D:ドライラミネート用ウレタン系接着剤。
【0058】
[実施例1]
フィルムAの非ヒートシール面(コロナ処理面)に、インキCを用いたグラビア印刷法により印刷を行った。次に、フィルムAの印刷面に接着剤Dを塗工し、ドライラミネート法によりフィルムBを貼り合わせ、フィルムA(基材層)/印刷層/接着剤層/フィルムB(熱融着層)で構成される積層体を得た。
次に、得られた積層体を熱融着層が内面になるように半折し、両方の側縁部をヒートシールして高さ170mm×巾215mmの三方袋を作製した。次に、表1に示すスリーブを開口部から三方袋内に挿入し、該スリーブの図1に示す接着部と、図示しない前面部及び背面部の上下の周縁部の一部を袋の内面にヒートシールして包装袋を得た。
【0059】
[実施例2,実施例3、比較例1~2]
用いるスリーブを表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして包装袋を作製した。
【0060】
【表1】
【0061】
なお、表1における長さL1は、スリーブを四角筒状に折るのを補助する折り罫同士の巾であり、長さL2は、スリーブを四角筒状に折るのを補助する折り罫とスリーブを扁平状に折り畳むのを補助するための折り罫との巾であり、L4はスリーブを四角筒状にしたときの高さ方向の長さである(図1)。また、長さL3は、スリーブを扁平状にしたときの巾(L3=L1+2×L2)である。
【0062】
[評価方法]
(1)箱詰め試験
外寸が長さ470mm×巾230mm×高さ190mmであり、内寸が長さ460mm×巾220mm×高さ175mmの段ボール箱に、扁平状にした包装袋が何枚入るか試験し、入り数を記録した。
【0063】
(2)剛性試験
各例で使用したスリーブを四角筒状にし、その四角筒状の一方の開口端を下にしてスリーブを立てた状態で高さ方向に荷重を掛け、座屈するまでの強度を測定した。
評価結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2に示すように、PP及びタルクを含有するスリーブを用いた実施例1、2及び炭酸カルシウムを含有するスリーブを用いた実施例3は、段ボール箱に入る包装袋の数が多く輸送効率に優れるうえ、自立性及びスタック性を確保するために充分な剛性を有していた。
一方、紙スリーブを用いた比較例1では、実施例1~3のスリーブと同等の剛性を得るにはスリーブを肉厚にする必要があるため、段ボール箱に入る包装袋の数が少なく輸送効率が劣っていた。また、フィラーを含有しないプラスチックスリーブを用いた比較例2でも、実施例1~3のスリーブと同等の剛性を得るにはスリーブを肉厚にする必要があるため、段ボール箱に入る包装袋の数が少なく輸送効率が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のスリーブは、包装袋に用いられ、耐水性及び耐油性に優れ、過度に厚くしなくても充分な剛性とデッドホールド性を確保でき、包装袋の外観悪化を抑制でき、使用後に袋本体から容易に剥がすことができる。
本発明の包装袋は、充分な自立性及びスタック性を有しており、外観に優れ、使用後に袋本体からスリーブを容易に剥がすことができる。
【符号の説明】
【0067】
1…包装袋
2a…前面部
2b…背面部
3a,3b…側面部
4…底面部
10…スリーブ
11a~11d…第1の折り罫
12a,12b…第2の折り罫
13a…上縁
13b…下縁
20…袋本体
21a,21b…平面部
22a,22b…ヒートシール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8