(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032432
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】状態判定装置、状態判定方法及び状態判定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240305BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20240305BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20240305BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240305BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61B5/11 100
A61B5/113
A61B5/08
A61B5/0245 100A
A61B5/16 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136083
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 勝也
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AB10
4C017AC03
4C017EE01
4C017FF05
4C038PP05
4C038SS08
4C038SV01
4C038VA04
4C038VB31
4C038VB33
(57)【要約】
【課題】利用者から得られたデータを基に、当該利用者の状態を良好に判定し得るようにする。
【解決手段】介護システム1では、離床センササーバ6により、圧電センサ値におけるばらつきの大きさを表す安静指標値を算出し、これを安静閾値と比較して利用者の動静状態を判定し、その判定結果を表示端末8の表示部64に表示させる。このため介護システム1では、介護職員等に対し、利用者の動静状態として安静状態又は覚醒状態の何れであるかを容易に認識させることができ、訪室を行うべきか否かを適切に判断させることができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の状態に応じた値を表す第1データを、時間の経過に応じて順次取得する取得部と、
過去の前記第1データを記憶する記憶部と、
複数の前記第1データから得られる統計値を基に、前記利用者の状態として安静状態又は非安静状態の何れであるかを判定する状態判定部と、
前記状態判定部による判定結果を出力する出力部と
を具えることを特徴とする状態判定装置。
【請求項2】
前記第1データは、圧電センサにより前記利用者から得られた圧電センサ値である
ことを特徴とする請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項3】
前記圧電センサは、前記利用者が使用する寝具又は当該寝具の近傍に設けられ、前記利用者から受ける圧力に応じて前記圧電センサ値を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の状態判定装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記第1データに加えて、前記利用者の状態に応じた値であって当該第1データと種類が異なる第2データを取得し、
前記記憶部は、前記第1データに加えて前記第2データを記憶し、
前記状態判定部は、前記第2データが所定の条件を満たした場合の前記第1データから前記統計値を得る
ことを特徴とする請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項5】
前記第2データは、前記利用者の生体情報を表す値であり、
前記状態判定部は、前記第2データの値が前記生体情報として正当であると判定された場合の前記第1データから前記統計値を得る
ことを特徴とする請求項4に記載の状態判定装置。
【請求項6】
前記第1データは、前記利用者が利用する寝具に取り付けられたセンサから取得され、
前記第2データは、前記利用者が前記寝具に横たわっているか否かを表す値であり、
前記状態判定部は、前記第2データの値が、前記利用者が前記寝具に横たわっていることを表す値であった場合の前記第1データから前記統計値を得る
ことを特徴とする請求項4に記載の状態判定装置。
【請求項7】
前記統計値は、複数の前記第1データにおけるばらつきの大きさを表す値であり、
前記状態判定部は、前記統計値と所定の閾値とを比較した結果を基に、前記利用者が前記安静状態又は前記非安静状態の何れであるかを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項8】
前記出力部は、所定の表示部に対し、前記安静状態又は前記非安静状態を表す通知画面を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記状態判定部による前記判定結果と共に、前記第1データを基に得られる、前記利用者に関する1種類以上の生体情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の状態判定装置。
【請求項10】
利用者の状態に応じた値を表す第1データを、時間の経過に応じて順次取得する取得ステップと、
過去の前記第1データを記憶部に記憶させる記憶ステップと、
複数の前記第1データから得られる統計値を基に、前記利用者が安静状態又は非安静状態の何れであるかを判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップによる判定結果を出力部により出力する出力ステップと
を有することを特徴とする状態判定方法。
【請求項11】
利用者が使用する寝具又は当該寝具の近傍に設けられたセンサと、
前記センサから、前記利用者の状態に応じた値を表す第1データを、時間の経過に応じて順次取得する取得部と、
過去の前記第1データを記憶する記憶部と、
複数の前記第1データから得られる統計値を基に、前記利用者が安静状態又は非安静状態の何れであるかを判定する状態判定部と、
前記状態判定部による判定結果を出力する出力部と
を具えることを特徴とする状態判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は状態判定装置、状態判定方法及び状態判定システムに関し、例えば介護施設において利用者の状態を判定する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、介護施設においては、介護の対象である利用者にできるだけ快適な生活をしてもらいながらも、当該利用者の健康状態等を把握し、必要な介護を適切なタイミングで提供することが求められている。
【0003】
このような介護施設では、職員の負担を軽減する目的で、種々の介護システムが利用されている。一例として、利用者が使用するベッド等の寝具に種々のセンサを取り付けることにより、利用者の呼吸数や心拍数等のバイタルデータを取得する介護システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-113169号公報(
図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、多くの介護施設では、例えば2時間等の訪室間隔ごとに、職員が利用者の居室を訪問して当該利用者の状態を確認する「訪室」と呼ばれる業務が行われる。この訪室は、利用者の状態を確認し得るもの、当該利用者の睡眠を妨げる可能性がある。このため介護施設では、当該利用者が熟睡していることが分かっていれば訪室を控える、といった運用を行うことが考えられる。
【0006】
しかし、上述した介護システムでは、利用者のバイタルデータを取得し得るものの、当該利用者の睡眠に関する状態までは把握することができない、という問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、利用者から得られたデータを基に、当該利用者の状態を良好に判定し得る状態判定装置、状態判定方法及び状態判定プログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の状態判定装置においては、利用者の状態に応じた値を表す第1データを、時間の経過に応じて順次取得する取得部と、過去の第1データを記憶する記憶部と、複数の第1データから得られる統計値を基に、利用者の状態として安静状態又は非安静状態の何れであるかを判定する状態判定部と、状態判定部による判定結果を出力する出力部とを設けるようにした。
【0009】
また本発明の状態判定方法においては、利用者の状態に応じた値を表す第1データを、時間の経過に応じて順次取得する取得ステップと、過去の第1データを記憶部に記憶させる記憶ステップと、複数の第1データから得られる統計値を基に、利用者が安静状態又は非安静状態の何れであるかを判定する状態判定ステップと、判定部による判定結果を出力部により出力する出力ステップとを有するようにした。
【0010】
さらに本発明の状態判定システムにおいては、利用者が使用する寝具又は当該寝具の近傍に設けられたセンサと、センサから、利用者の状態に応じた値を表す第1データを、時間の経過に応じて順次取得する取得部と、過去の第1データを記憶する記憶部と、複数の第1データから得られる統計値を基に、利用者が安静状態又は非安静状態の何れであるかを判定する状態判定部と、判定部による判定結果を出力する出力部とを設けるようにした。
【0011】
本発明は、複数の第1データから得られる統計値を利用することにより、利用者の状態を数値により定量的に評価でき、当該利用者が安静状態又は非安静状態の何れであるかを良好に判定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者から得られたデータを基に、当該利用者の状態を良好に判定し得る状態判定装置、状態判定方法及び状態判定プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施の形態による介護システムの全体構成を示す略線的ブロック図である。
【
図2】センサ群及び離床センサ端末の構成を示す略線的ブロック図である。
【
図4】離床センササーバの構成を示す略線的ブロック図である。
【
図6】表示端末の構成を示す略線的ブロック図である。
【
図7】離床データ取得処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】動静状態判定処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.介護システムの全体形態]
図1に模式的なブロック図を示すように、本実施の形態による介護システム1は、所定の介護施設に設置されている。この介護施設には、利用者が生活する利用者居室RU、各種サーバやネットワーク機器等が設置されるサーバ室RV、及び介護職員が常駐する介護職員室RS等が設けられている。
【0016】
介護システム1は、利用者居室RUに設けられたベッド2及び離床センサ端末4、サーバ室RVに設けられた離床センササーバ6、及び介護職員室RSに設けられた表示端末8等により構成されている。ベッド2は、利用者が睡眠時等に使用するための設備であり、複数のセンサでなるセンサ群3が設置されている。このセンサ群3は、離床センサ端末4と接続されている。また離床センサ端末4、離床センササーバ6及び表示端末8は、ネットワーク9を介して相互に接続されている。
【0017】
なお実際の介護施設には、複数の利用者居室RUが設けられており、各利用者居室RUに1台又は複数台のベッド2及び離床センサ端末4がそれぞれ設けられている。しかし
図1では、説明の都合により、利用者居室RU、ベッド2及び離床センサ端末4をそれぞれ1個ずつ示している。
【0018】
センサ群3は、ベッド2を使用する利用者に関する種々の信号を生成して離床センサ端末4へ供給する部分である。このセンサ群3は、
図2に示すように、圧電センサ3A、静電センサ3B、及び静電・圧電バイタルセンサ3C等が含まれている。
【0019】
圧電センサ3Aは、ベッド2に敷設されたマットレスの上面等に加えられた圧力を検出し、この圧力の大きさに応じた電圧の検出信号を生成して離床センサ端末4へ供給する。静電センサ3Bは、ベッド2に敷設されたマットレスの上面等における静電気の容量を検出し、この静電気の大きさに応じた電圧の検出信号を生成して離床センサ端末4へ供給する。静電・圧電バイタルセンサ3Cは、利用者の身体から静電気や圧力を検出し、得られた静電容量や圧力を表す検出信号を生成し、離床センサ端末4へ供給する。
【0020】
離床センサ端末4(
図1)は、センサ群3から得られる各検出信号に対して所定の解析処理等を行うことにより離床データ(詳しくは後述する)を生成し、ネットワーク9を介して離床センササーバ6へ送信する部分である。この離床センサ端末4は、
図2に示したように、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び操作部15がバス10を介して相互に接続された構成となっている。
【0021】
制御部11は、離床センサ端末4を統括的に制御する部分であり、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。この制御部11は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部12等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。また制御部11は、図示しない計時回路を有しており、現在の日時を取得することや、時間を計測することができる。
【0022】
また制御部11は、所定のプログラムを実行することにより、解析部21及びデータ生成部22といった複数の機能ブロックを内部に形成する。解析部21は、センサ群3の各センサから取得した各検出信号に対し所定の解析処理を行い定量評価することにより、
【0023】
具体的に解析部21は、主に圧電センサ3A及び静電センサ3Bから得られた各検出信号を解析することにより、利用者の姿勢状態として、ベッドに横たわっている「在床」、ベッドから離れた「離床」、又はベッドの端部に座している「端座位」の何れであるかを判定する。また解析部21は、静電・圧電バイタルセンサ3Cから得られた各検出信号を解析することにより、利用者に関する1種類以上のバイタルデータ(生体情報)として、1分間あたりの心拍数及び呼吸数をそれぞれ計測する。
【0024】
データ生成部22は、圧電センサ3A及び静電センサ3Bから得られる各検出信号や解析部21により生成された姿勢状態およびバイタルデータ等を基に、利用者の状態に関する複数種類の情報を含む離床データD1を生成する。
【0025】
図3に示すように、離床データD1には、日時、端末ID(IDentifier)、姿勢状態、圧電センサ値、静電センサ値、心拍数及び呼吸数といった項目が設けられている。日時は、制御部11の計時回路(図示せず)から得られる値であり、「年(西暦の下2桁)/月/日/時:分:秒:ミリ秒」といった形式の文字列により表される。端末IDは、予め各離床センサ端末4に対し個別に割り当てられた一意の文字列であり、記憶部12に記憶されている。
【0026】
姿勢フラグは、解析部21により解析された利用者の姿勢状態を数値により表した情報であり、「在床」であれば「1」、「離床」であれば「2」、「端座位」であれば「3」が格納される。圧電センサ値は、圧電センサ3Aから供給された検出信号の電圧値[mV]を表す数値である。静電センサ値は、静電センサ3Bから供給された検出信号の電圧値[mV]を表す数値である。心拍数及び呼吸数は、何れも解析部21により解析された利用者のバイタルデータに含まれており、1分間あたりの回数を表す値が格納される。
【0027】
なお
図3では、説明の都合上、離床データD1を、各項目の項目名、データの形式等及びデータの例を互いに対応付けた表形式として表した。しかし、実際の離床データD1は、所定のフォーマットに従って各項目の値のみが格納されている。また以下では、圧電センサ値を第1データとも呼び、静電センサ値及びバイタルデータを第2データとも呼ぶ。
【0028】
記憶部12は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報、及び端末ID等を記憶する。通信部13は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)のインタフェース等を有している。この通信部13は、ネットワーク9(
図1)を介して離床センササーバ6や表示端末8との間で種々の情報を送受信する。
【0029】
表示部14は、例えば液晶パネルのような表示デバイスであり、制御部11の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部15は、例えば表示部14を構成する液晶パネルの表面に設けられたタッチセンサや押下可能な操作ボタン等であり、介護職員等からの操作指示を受け付ける。
【0030】
離床センササーバ6(
図1)は、離床センサ端末4から送信される離床データD1を蓄積すると共に、当該離床データD1に基づいた演算処理や判定処理等を行う部分である。この離床センササーバ6は、
図4に示すように、制御部31、記憶部32、通信部33、表示部34及び操作部35がバス30を介して相互に接続された構成となっている。
【0031】
制御部31は、離床センササーバ6を統括的に制御する部分であり、離床センサ端末4の制御部11と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部31は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部32等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0032】
また制御部31は、所定のプログラムを実行することにより、データ管理部41、正当性判定部42、算出処理部43、状態判定部44及び出力処理部45といった複数の機能ブロックを内部に形成する。データ管理部41は、離床センサ端末4から受信した離床データD1の記憶や読出等、当該離床データD1の管理に関する種々の処理を行う。
【0033】
正当性判定部42は、離床データD1に含まれる種々の値を基に、当該離床データD1に含まれるバイタルデータが正しい値を表しているか否か等(以下これを正当性と呼ぶ)を判定する。算出処理部43は、離床データD1に含まれる圧電センサ値等に対する演算処理(詳しくは後述する)を行う。
【0034】
状態判定部44は、算出処理部43による演算結果を基に、利用者の動静状態(詳しくは後述する)を判定する。出力処理部45は、状態判定部44による判定結果を基に、表示端末8(
図1)の表示部に表示すべき内容を決定し、その内容を表す表示データを生成して出力する。
【0035】
記憶部32は、離床センサ端末4の記憶部12と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報を記憶する。この記憶部32には、離床データD1等を記憶するデータ記憶部51と、算出処理部43による算出結果等を記憶する算出値記憶部52とが設けられている。
【0036】
データ記憶部51には、
図3と対応する
図5に示すような保存データD2が保存される。この保存データD2には、離床データD1(
図3)の各項目に加えて、正当性フラグの項目が設けられている。この正当性フラグは、正当性判定部42により判定された結果を表しており、「正当」であれば「1」、「無効」であれば「2」、「不明」であれば「3」が格納される。
【0037】
通信部33は、例えばIEEE802.3(IEEE802.3u/ab/an/ae)等の規格に準拠した有線LANやIEEE802.11等の規格に準拠した無線LANのインタフェース等を有している。この通信部33は、ネットワーク9(
図1)を介して離床センサ端末4や表示端末8との間で種々の情報を送受信する。
【0038】
表示部34は、離床センサ端末4の表示部14と同様、例えば液晶パネルのような表示デバイスであり、制御部31の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部35は、例えば表示部34を構成する液晶パネルの表面に設けられたタッチセンサや、キーボード、マウス又はタッチパッド等であり、介護職員等からの操作指示を受け付ける。
【0039】
表示端末8(
図1)は、離床センササーバ6から供給される表示データを基に、主に介護職員に通知すべき情報を表示する部分である。表示端末8は、
図6に示すように、制御部61、記憶部62、通信部63、表示部64及び操作部65がバス60を介して相互に接続された構成となっている。
【0040】
制御部61は、表示端末8を統括的に制御する部分であり、離床センサ端末4の制御部11等と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部61は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部32等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0041】
記憶部62は、離床センサ端末4の記憶部12と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。通信部63は、離床センサ端末4の通信部13等と同様、例えばIEEE802.11等の規格に準拠した無線LANのインタフェース等を有している。この通信部63は、ネットワーク9(
図1)を介して離床センサ端末4や離床センササーバ6との間で種々の情報を送受信する。
【0042】
表示部64は、離床センサ端末4の表示部14等と同様、例えば液晶パネルのような表示デバイスであり、制御部61の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部65は、例えば表示部64を構成する液晶パネルの表面に設けられたタッチセンサや押下可能な操作ボタン等であり、介護職員等からの操作指示を受け付ける。
【0043】
ネットワーク9は、図示しないルータやハブ、或いは無線基地局等によって構成されており、IEEE802.3やIEEE802.11等に準拠した有線LAN及び無線LANとして構成されている。
【0044】
[2.離床データ取得処理]
次に、離床センササーバ6が離床センサ端末4から離床データD1を取得する際に行う離床データ取得処理について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
離床センササーバ6の制御部31(
図4)は、電源が投入されると、所定の初期化処理等を行った後、離床データ取得処理手順RT1(
図7)を開始し、最初のステップSP1に移る。ステップSP1において制御部31は、通信部33(
図4)により、離床センサ端末4から離床データD1(
図3)を取得すると、次のステップSP2に移る。
【0046】
ステップSP2において制御部31は、正当性判定部42(
図4)により、離床データD1に含まれる姿勢状態、圧電センサ値や静電センサ値等を基に所定の解析処理を行い、バイタルデータの正当性を判定して、次のステップSP3に移る。
【0047】
ステップSP3において制御部31は、データ管理部41(
図4)により、離床データD1に含まれていた各データ及び正当性の判定結果を表す正当性フラグをまとめて保存データD2(
図5)とし、これを記憶部32のデータ記憶部51(
図4)に記憶させる。その後、制御部31は、次のステップSP4に移って離床データ取得処理手順RT1を終了する。
【0048】
因みに制御部31は、この離床データ取得処理手順RT1を繰り返し実行することにより、離床センサ端末4から供給される離床データD1を順次取得し、保存データD2を生成してデータ記憶部51に順次記憶させるようになっている。
【0049】
[3.動静状態判定処理]
ところで離床センササーバ6は、離床データD1に含まれていたデータを基に、利用者の動静状態、すなわち安静状態又は覚醒状態の何れであるかを判定するようになっている。ここでは、動静状態のうち安静状態について説明する。一般に、利用者がベッド2に横たわっている場合、当該利用者の睡眠に関する状態としては、覚醒した状態や、睡眠を開始して間もない状態、或いは安定的に睡眠を継続している状態等が想定される。
【0050】
一方、離床データD1に含まれる圧電センサ値と利用者の睡眠との関係を調査したところ、利用者が覚醒している場合には、時間の経過に応じてばらつきが比較的大きい値を取り、また当該利用者が睡眠を継続している場合には、時間の経過に応じてばらつきが比較的小さい値を取る、という関係があることが判明した。
【0051】
そこで離床センササーバ6では、圧電センサの値に基づき、利用者が継続的に睡眠している安静状態、又は当該利用者が覚醒している覚醒状態(以下これを非安静状態とも呼ぶ)の何れであるか、すなわち動静状態を判定し、得られた判定結果を表示端末8(
図1及び
図6)により介護職員等に通知するようにした。
【0052】
具体的に、離床センササーバ6の制御部31(
図4)は、電源が投入されると、所定の初期化処理等を行った後、上述した離床データ取得処理手順RT1(
図7)の実行により離床データD1を順次取得していく。この離床データ取得処理手順RT1の実行により、記憶部32のデータ記憶部51は、過去及び最新の離床データD1が記憶された状態となっている。
【0053】
そのうえで制御部31は、
図8に示す動静状態判定処理手順RT2を開始すると、最初のステップSP11に移る。ステップSP11において制御部31は、データ管理部41(
図4)により、記憶部32のデータ記憶部51から最新の保存データを読み出し、次のステップSP12に移る。ここでは、保存データのうち圧電センサ値が「600」であったものとする。
【0054】
ステップSP12において制御部31は、利用者の姿勢状態に関し、姿勢フラグが「1」の在床であり、且つ正当性フラグが「1」の正当であるか否かを判定する。ここで肯定結果がられると、このことは、利用者がベッド2に横たわっている可能性が高いため、当該保存データの圧電センサ値が当該利用者の動静状態(覚醒状態又は安静状態)に応じた値である可能性が高いことを表している。このとき制御部31は、次のステップSP13に移る。
【0055】
ステップSP13において制御部31は、使用データ数及び安静閾値を記憶部32から読み出し、次のステップSP14に移る。ここで使用データ数とは、後述する算出処理において使用するデータ、すなわち圧電センサ値の数に相当する数値であり、記憶部32に予め記憶されている。また安静閾値は、後述する比較処理において使用する値であり、やはり記憶部32に予め記憶されている。ここでは、使用データ数が「10」であり、安静閾値が「100」であったものとする。
【0056】
ステップSP14において制御部31は、記憶部32から圧電センサ値の擬似的な平均値(以下、疑似平均値と呼ぶ)及び安静指標値をそれぞれ読み出し、次のステップSP15に移る。この疑似平均値及び安静指標値は、過去に動静状態判定処理手順RT2を実行した際に、記憶部32にそれぞれ記憶された値、若しくは事前に準備された初期値が使用される。
【0057】
便宜上、以下では、このとき読み出した疑似平均値及び安静指標値を、それぞれ過去の疑似平均値及び過去の安静指標値と呼ぶ。ここでは、過去の疑似平均値が「800」であり、過去の安静指標値が「50」であったものとする。
【0058】
ステップSP15において制御部31は、算出処理部43(
図4)により、過去の疑似平均値及び新たな圧電センサ値を基に新たな疑似平均値を算出し、次のステップSP16に移る。具体的に算出処理部43は、次の(1)式に示すように、過去の疑似平均値APに使用データ数Nから1を減じた値を乗算し、これに最新の保存データに含まれている最新の圧電センサ値Sを加算した後、使用データ数Nによって減算することにより、新たな疑似平均値ANを算出する。
【0059】
この新たな疑似平均値ANは、過去の圧電センサ値を用いて平均した場合に得られる厳密な平均値とは算出方法が異なるものの、比較的容易な演算処理でありながら、この厳密な平均値に十分近い値となっている。
【0060】
【0061】
ステップSP16において制御部31は、算出処理部43により、過去の疑似平均値及び過去の安静指標値を基に新たな安静指標値を算出し、次のステップSP17に移る。具体的に算出処理部43は、まず、次の(2)式に示すように、新たな疑似平均値ANと最新の圧電センサ値Sとの差分を2乗してその平方根を算出することにより、差分絶対値ADを算出する。この差分絶対値ADは、新たな疑似平均値AN及び最新の圧電センサ値Sの差分の絶対値となる。
【0062】
【0063】
続いて算出処理部43は、過去の安静指標値XPに使用データ数Nから1を減じた値を乗算し、これに差分絶対値ADを加算した後、使用データ数Nによって減算することにより、新たな安静指標値XNを算出する。
【0064】
【0065】
この新たな安静指標値XNは、圧電センサ値とその平均値を用いて算出される統計値である標準偏差や分散と似た性質を有している。すなわち新たな安静指標値XNは、直近の圧電センサ値が比較的まとまっている場合には比較的小さい値となり、直近の圧電センサ値が比較的ばらついている場合には比較的大きい値となる。
【0066】
ステップSP17において制御部31は、データ管理部41により、新たな疑似平均値AN及び新たな安静指標値XNを記憶部32の算出値記憶部52に記憶させ、次のステップSP18に移る。この新たな疑似平均値AN及び新たな安静指標値XNは、次に動静状態判定処理手順RT2が実行される際に使用されることになる。
【0067】
ステップSP18において制御部31は、状態判定部44(
図4)により、利用者の動静状態、すなわち安静状態又は覚醒状態の何れであるかを判定し、次のステップSP19に移る。具体的に状態判定部44は、新たな安静指標値XNと、ステップSP11において読み出した安静閾値とを比較して大小関係を判定する。
【0068】
ステップSP19において制御部31は、安静状態であるか否か、具体的には新たな安静指標値XNが安静閾値未満であるか否かを判定する。例えば新たな安静指標値XNが「200」であった場合のように、ここで否定結果が得られると、このことは利用者が覚醒している可能性が高いことを表している。このとき制御部31は、次のステップSP20に移る。
【0069】
ステップSP20において制御部31は、出力処理部45(
図4)により、利用者が覚醒状態であることを通知するための表示データを生成し、次のステップSP22に移る。このとき生成される表示データは、表示端末8の表示部64(
図6)に対し、例えば
図9(A)に示す覚醒通知画面C1を表示させるものとなる。
【0070】
覚醒通知画面C1には、基本情報表示欄F1、バイタル表示欄B1及び動静状態表示欄S1等が設けられている。基本情報表示欄F1には、利用者の氏名や最新の離床データD1が生成された日時等が表示される。バイタル表示欄B1には、離床データD1に含まれていた心拍数及び呼吸数が、所定の画像と共にそれぞれ表示される。動静状態表示欄S1には、覚醒状態であることを示す画像や文字等が表示される。
【0071】
一方、ステップSP19において肯定結果が得られると、このことは利用者が安定的に睡眠している可能性が高いことを表している。このとき制御部31は、次のステップSP21に移る。
【0072】
ステップSP21において制御部31は、出力処理部45(
図4)により、利用者が安静状態であることを通知するための表示データを生成し、これを通信部33から表示端末8(
図1及び
図6)へ送信させ、次のステップSP22に移る。このとき生成される表示データは、表示端末8の表示部64(
図6)に対し、例えば
図9(B)に示す安静通知画面C2を表示させるものとなる。
【0073】
安静通知画面C2は、覚醒通知画面C1の基本情報表示欄F1、バイタル表示欄B1及び動静状態表示欄S1とそれぞれ対応する基本情報表示欄F2、バイタル表示欄B2及び動静状態表示欄S2等が設けられている。このうち基本情報表示欄F2及びバイタル表示欄B2には、基本情報表示欄F1及びバイタル表示欄B1とそれぞれ同様の情報が表示される。動静状態表示欄S2には、安静状態であることを示す画像や文字等が表示される。
【0074】
ステップSP22において制御部31は、生成された表示データを通信部33から表示端末8(
図1及び
図6)へ送信させた後、次のステップSP23に移る。これに応じて表示端末8は、送信された表示データに基づき、覚醒通知画面C1又は安静通知画面C2(以下、両者をまとめて動静状態通知画面とも呼ぶ)を表示部64に表示させる。
【0075】
一方、ステップSP12において否定結果が得られると、このことは最新の保存データに含まれる圧電センサ値が、利用者の動静状態に応じた値でない可能性が高いことを表している。このとき制御部31は、疑似平均値や安静指標値の算出処理を行わずに、次のステップSP23に移る。
【0076】
ステップSP23において制御部31は、動静状態判定処理手順RT2を終了する。なお制御部31は、所定時間(例えば3秒間)ごとに動静状態判定処理手順RT2を繰り返すようになっている。これにより離床センササーバ6は、最新の離床データD1に基づいた利用者の最新の状態を定期的に判定し、表示端末8に表示させる動静状態通知画面(覚醒通知画面C1又は安静通知画面C2)を逐次更新することができる。
【0077】
[4.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による介護システム1では、利用者が使用するベッド2に設置された圧電センサ3Aから得られる圧電センサ値を基に、離床センササーバ6により、該圧電センサ値におけるばらつきの大きさを表す安静指標値を算出する。その上で離床センササーバ6は、安静指標値を安静閾値と比較することにより、当該利用者の動静状態を判定し、その判定結果に基づいた動静状態通知画面(覚醒通知画面C1又は安静通知画面C2)を表示端末8の表示部64に表示させる。
【0078】
このため介護システム1では、介護職員等に対し、利用者の動静状態として安静状態又は覚醒状態の何れであるかを容易に認識させることができる。これにより、介護システム1が設置された介護施設では、利用者の動静状態を有力な判断材料として活用させながら、介護職員等が定期的な訪室を行うべきか否かについて適切に判断させることができる。
【0079】
また介護システム1では、利用者の動静状態を基に、介護職員等が訪室を控えることにより、利用者の睡眠を妨げずに安眠させることができると共に、当該介護職員の作業負担を軽減させることもできる。例えば、発明者らによる介護システム1を使用した実証実験を行ったところ、5人の利用者それぞれについて2時間に1回の割合で5分程度をかけて訪室を行う場合と比較して、各利用者が安静状態であれば訪室を控えるようにした場合、訪室に要する時間が約6割削減された、という結果が得られた。
【0080】
さらに離床センササーバ6は、ベッド2に設置された圧電センサ3A(
図2)から得られる圧電センサ値のうち、最新の値及び直近の複数の値の近似値を基に、これらのばらつきを表す安静指標値を算出し、その値に応じて動静状態を判定するようにした。このため介護システム1では、ベッド2に横たわっている利用者の動きの大きさ及びその推移を数値として表すことができる。すなわち介護システム1では、利用者の動静状態のような事象に関し、安静指標値を数値として算出することにより、具体的な数値どうしの比較に基づいた定量的な判定処理を行うことができる。
【0081】
また離床センササーバ6は、在床かつ正当である場合のみ、圧電センサ値を用いた算出処理を行うようにした(
図8、ステップSP12)。すなわち離床センササーバ6は、利用者が離床している場合やバイタルデータが正当で無い場合のように、圧電センサ値が利用者の動静状態を表す適正な値では無い可能性が高い場合に、安静指標値の算出を行わず、動静状態の判定も行わない。
【0082】
これにより介護システム1では、不適切な圧電センサ値を用いた信頼性の低い安静指標値の算出を回避でき、動静状態の判定精度を低下させずに済む。因みに介護システム1では、仮にある離床データD1(
図3)に関して在床でなく、若しくは正当で無かったとしても、その後に得られる何れかの離床データD1において在床且つ正当となることが期待できるため、その際に安静指標値を算出することができる。
【0083】
さらに離床センササーバ6は、安静指標値を算出する際に、(2)式及び(3)式に従い、前回までに得られた過去の安静指標値と、擬似的平均値と圧電センサ値との差分とを基に、新たな安静指標値を算出するようにした。これにより介護システム1では、標準偏差や分散のような複雑な演算処理を行うこと無く、比較的容易な演算を行うだけで、直近の複数の圧電センサ値におけるばらつきの大きさを良好に表す安静指標値を算出することができる。
【0084】
すなわち、実際の介護システム1では、介護施設を利用する多数の利用者に対応する必要があるため、離床センササーバ6において、多数の利用者に関するそれぞれの安静指標値を、比較的高い頻度で算出することが必要となる。この点において、本実施の形態による介護システム1では、安静指標値の算出処理において、標準偏差や分散のような煩雑な演算処理を行う場合よりも演算処理を簡素化できるため、離床センササーバ6の処理負荷を大幅に軽減できる。
【0085】
以上の構成によれば、本実施の形態による介護システム1では、離床センササーバ6により、圧電センサ値におけるばらつきの大きさを表す安静指標値を算出し、これを安静閾値と比較して利用者の動静状態を判定し、その判定結果を表示端末8の表示部64に表示させる。このため介護システム1では、介護職員等に対し、利用者の動静状態として覚醒状態又は安静状態の何れであるかを容易に認識させ、訪室を行うべきか否かを適切に判断させることができる。
【0086】
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、圧電センサ値を基に安静指標値を算出し、当該安静指標値を安静閾値と比較することにより利用者の動静状態を判定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば静電センサ値等、他の種々のセンサを利用し、ベッド2に横たわっている利用者から得られる種々の値を基に、安静指標値を算出するようにしても良い。またセンサの取付位置については、必ずしもベッド2等の寝具に直接取り付けられたものに限らず、例えばベッド2の近傍に設置され、赤外線や超音波等のような光や電磁波等を利用して種々の計測値を取得するものでも良い。
【0087】
また上述した実施の形態においては、(1)式に従って新たな疑似平均値ANを算出し、これを用いて(2)式により差分絶対値ADを算出した上で、(3)式により新たな安静指標値XNを算出する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば(1)式に代えて、直近の所定数の圧電センサ値の平均値を算出しても良く、また(3)式に代えて、標準偏差や分散を算出しても良い。また、(2)式に代えて、新たな疑似平均値ANと最新の圧電センサ値Sとの差分の絶対値を得るようにしても良い。要は、種々の演算手法により、静電センサ値のばらつきの大きさを表す安静指標値を算出できれば良い。
【0088】
さらに上述した実施の形態においては、動静状態判定処理手順RT2(
図8、ステップSP13)において、離床センササーバ6の記憶部32に予め記憶された値を読み出して安静閾値として使用する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば複数の圧電センサ値を基に統計的な演算処理を行うことにより、安静閾値を算出しても良い。
【0089】
さらに上述した実施の形態においては、所定時間(例えば3秒間)ごとに動静状態判定処理手順RT2(
図8)を繰り返す場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば離床センサ端末4から離床データD1を取得する度に動静状態判定処理手順RT2を実行しても良い。或いは、たとえば表示端末8の操作部65を介して介護職員等から所定の操作を受け付けることを契機として、動静状態判定処理手順RT2を実行しても良い。
【0090】
さらに上述した実施の形態においては、離床データD1に関して利用者の姿勢状態が在床であり、且つバイタルデータが正当であると判定された場合のみ、当該離床データD1の圧電センサ値を用いた安静指標値の算出処理を行うようにした(
図8、ステップSP12)。しかし本発明はこれに限らず、例えばバイタルデータが正当で無いと判定された場合であっても、圧電センサ値を用いた安静指標値の算出処理を行うようにしても良い。
【0091】
さらに上述した実施の形態においては、離床データD1の静電センサ値及び圧電センサ値を基に、利用者の姿勢状態を判定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば静電センサ値のみを用い、或いは他の種々のセンサにより取得された値を用いて、利用者の姿勢状態を判定しても良い。
【0092】
さらに上述した実施の形態においては、利用者の動静状態を通知する覚醒通知画面C1又は安静通知画面C2(
図9)を、表示端末8の表示部64に表示させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば介護職員室RS(
図1)に離床センササーバ6が設置されている場合等に、該離床センササーバ6の表示部34(
図4)に覚醒通知画面C1又は安静通知画面C2(
図9)を表示しても良い。
【0093】
さらに上述した実施の形態においては、表示端末8の表示部64に表示させる動静状態通知画面(
図9)に、動静状態を表す画像及び文字を表示し、これに加えて利用者に関する情報や離床データD1の取得日時に関する情報、並びにバイタルデータ等を表示する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば動静状態を画像又は文字の何れかのみによって表示しても良く、また利用者に関する情報等を一部省略し、或いは他の情報を表示しても良い。
【0094】
さらに上述した実施の形態においては、表示端末8の表示部64に動静状態通知画面(
図9)を表示することにより、介護職員等に対して利用者の状態を通知する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば表示端末8にスピーカを設け、音声により利用者の状態を通知しても良い。また、例えばネットワーク9に無線LAN等によって接続された携帯情報端末を介護職員等が使用する場合に、当該携帯情報端末に対し電子メール等によって利用者の状態を記載したメールを送信しても良く、或いは当該携帯情報端末の表示画面に動静状態通知画面(
図9)を表示させても良い。すなわち、種々の通知手法により介護職員等に対し利用者の動静状態を通知しても良い。
【0095】
さらに上述した実施の形態においては、離床センサ端末4から離床センササーバ6へ送信される離床データD1(
図3)の項目として、日時、端末ID、姿勢状態、圧電センサ値、静電センサ値、心拍数及び呼吸数を設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば姿勢状態等の一部の項目を省略しても良く、また他の項目を追加しても良い。要は、少なくとも圧電センサ値が含まれていれば良い。
【0096】
さらに上述した実施の形態においては、離床センササーバ6に表示部34及び操作部35を設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば表示部34及び操作部35の少なくとも一方を省略しても良い。離床センサ端末4の表示部14及び操作部15、並びに表示端末8の操作部65についても同様である。
【0097】
さらに上述した実施の形態においては、センサ群3に圧電センサ3A、静電センサ3B及び静電・圧電バイタルセンサ3Cといった3種類のセンサを設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、静電センサ3B及び静電・圧電バイタルセンサ3Cのうち少なくとも一方を省略しても良い。また、他の種々のセンサを追加しても良い。
【0098】
さらに上述した実施の形態においては、介護システム1に複数のセンサ群3及び離床センサ端末4を設ける一方、離床センササーバ6を1台のみ設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば離床センササーバ6を複数台設け、対応するセンサ群3及び離床センサ端末4を各離床センササーバ6に分担させても良い。
【0099】
さらに上述した実施の形態においては、離床センサ端末4において、各センサから得られた値を基に利用者の姿勢状態を判定すると共にバイタルデータを生成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、利用者の姿勢状態の判定及びバイタルデータの生成のうち少なくとも一方を、離床センササーバ6において実行しても良い。或いは、離床センササーバ6において行う処理の一部を、離床センサ端末4や表示端末8において実行するようにしても良い。
【0100】
さらに上述した実施の形態においては、離床センササーバ6の制御部31(
図4)において各種プログラムを実行することにより、データ管理部41等の各ブロックをソフトウェアによる機能ブロックとして構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、データ管理部41等をハードウェアにより構成しても良く、或いはハードウェア及びソフトウェアの協働により実現しても良い。離床センサ端末4についても同様である。
【0101】
さらに上述した実施の形態においては、離床センササーバ6(
図4)の制御部31が記憶部32に予め記憶されている各種プログラムを読み出して実行する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばネットワーク9に接続された所定のサーバ装置(図示せず)から取得し、或いはUSB(Universal Serial Bus)メモリのような着脱可能な記憶媒体から読み出すことにより、離床センササーバ6が各種プログラムを取得して実行しても良い。離床センサ端末4及び表示端末8についても同様である。
【0102】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0103】
さらに上述した実施の形態においては、取得部としてのデータ管理部41と、記憶部としてのデータ記憶部51と、状態判定部としての状態判定部44と、出力部としての出力処理部45とによって状態判定装置を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる取得部と、記憶部と、状態判定部と、出力部とによって状態判定装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、例えば介護施設に設置される介護システムで利用できる。
【符号の説明】
【0105】
1……介護システム、2……ベッド、3……センサ群、3A……圧電センサ、3B……静電センサ、3C……圧電バイタルセンサ、4……離床センサ端末、6……離床センササーバ、8……表示端末、31……制御部、32……記憶部、33……通信部、41……データ管理部、42……正当性判定部、43……算出処理部、44……状態判定部、45……出力処理部、51……データ記憶部、52……算出値記憶部、64……表示部、AD……差分絶対値、AN、AP……疑似平均値、XN、XP……安静指標値、C1……覚醒通知画面、C2……安静通知画面、D1……離床データ、D2……保存データ。