(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032440
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G09B 19/00 20060101AFI20240305BHJP
G09B 19/16 20060101ALI20240305BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240305BHJP
【FI】
G09B19/00 G
G09B19/16
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136096
(22)【出願日】2022-08-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム『人がつながる”移動”イノベーション拠点』委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 逸作
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏文
(72)【発明者】
【氏名】井上 愛子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】運転適性に基づいた最適な車両をユーザに勧めることができる情報処理装置を得る。
【解決手段】情報処理装置30は、ユーザの身体能力測定結果及び知的能力測定結果に基づいて、ユーザの運転適性を診断する運転適性診断部310と、運転適性診断部310により診断された診断結果に基づいて、ユーザに勧める車両を導出する車両導出部320と、診断結果及びユーザに勧める車両を報知する報知部330と、を備える。これにより、運転適性診断部310の学習アルゴリズムにより診断された診断結果と、車両導出部320の学習アルゴリズムにより導出されたユーザに勧める車両とを、報知部330によりユーザに報知することができるので、自動車ディーラは運転適性に基づいた最適な車両をユーザに勧めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体能力測定結果及び知的能力測定結果に基づいて、前記ユーザの運転適性を診断する運転適性診断部と、
該運転適性診断部により診断された診断結果に基づいて、前記ユーザに勧める車両を導出する車両導出部と、
前記診断結果及び前記ユーザに勧める車両を報知する報知部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の運転適性を計測評価する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化に伴い高齢ドライバが増加し、高齢ドライバによる交通事故が社会問題となっている。人は年齢を重ねるにつれて、知覚、認知、判断、及び操作等の衰えが徐々に進行するが、本人がそのことを客観的に自覚することは困難である。特許文献1には、例えば事業用自動車を操縦する運転者等に対して運転適性診断を行う際に、受診者及び実施者の双方に負担を掛けることなく、効率的な適性検査を実施する自動運転適性診断装置が開示されている。特許文献1に記載された自動運転適性診断装置においては、問診装置と実技診断装置を連携動作させ、ディスプレイ等に診断結果を出力させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された自動運転適性診断装置では、運転適性の診断結果を出力させているものの、運転適性の診断結果の活用方法について具体的に記載されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、運転適性に基づいた最適な車両をユーザに勧めることができる情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置は、ユーザの身体能力測定結果及び知的能力測定結果に基づいて、前記ユーザの運転適性を診断する運転適性診断部と、該運転適性診断部により診断された診断結果に基づいて、前記ユーザに勧める車両を導出する車両導出部と、前記診断結果及び前記ユーザに勧める車両を報知する報知部と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置では、運転適性診断部がユーザの身体能力測定結果及び知的能力測定結果に基づいて、ユーザの運転適性を診断し、車両導出部が運転適性診断部により診断された診断結果に基づいてユーザに勧める車両を導出している。また、報知部は、運転適性診断部により診断された診断結果及び車両導出部により導出されたユーザに勧める車両を報知する。そのため、運転適性診断部の学習アルゴリズムにより診断された診断結果と、車両導出部の学習アルゴリズムにより導出されたユーザに勧める車両とを、報知部によりユーザに報知することができるので、自動車ディーラ等の運転適性診断の実施者は運転適性に基づいた最適な車両をユーザに勧めることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明に係る情報処理装置は、運転適性に基づいた最適な車両をユーザに勧めることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の報知手段としてのモニタ画面の表示の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るクラウドサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システム10の概略構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施形態に係る情報処理システム10は、計測システム20と、情報処理装置としてのクラウドサーバ30と、報知手段40が通信ネットワーク50を介して接続されている。本実施形態に係る情報処理システム10では、計測システム20により取得された計測結果をクラウドサーバ30に送信して、クラウドサーバ30が各種診断処理を行う。
【0012】
計測システム20は、ユーザの身体能力を測定する身体能力測定装置22と、ユーザの知的能力を測定する知的能力測定装置24とを備えている。身体能力測定装置22は、一例として、ユーザの握力を計測する握力計測器やユーザの体組成を測定する体組成測定器、血圧測定器、歩行速度測定器等のうちの1以上により構成される。ここで、体組成測定器とは、体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量、内臓脂肪レベル、推定骨量、及び体水分率等のうちの少なくとも1以上の測定ができる機器をいう。
【0013】
知的能力測定装置24は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含むタッチパネル式のPC(パーソナルコンピュータ)端末、又はタブレット端末等により構成されており、一例としてユーザとの問診を行うためのアプリケーションがインストールされている。ユーザは、この問診を行うためのアプリケーションにより画面に表示された(又は音声により発せられた)質問に対する回答を、ディスプレイに表示されるボタン等の画像を触れることにより入力可能とされている。なお、PC端末やタブレット端末が、音声による入力が可能な構成とされている場合には、ユーザは音声により回答を入力することができる。
【0014】
知的能力測定装置24は、具体的には一例として、ユーザの年齢に関する質問、認知能力(記憶力等)を測定するための質問、判断能力を計測するための質問、運転能力(一例として標識や信号等の道路交通法の理解度)を測定するための質問、視野欠損の有無を測定するための質問等を提示する。なお、質問内容については、公知の運転適性診断テストにおいて使用されている質問を使用することができる。
【0015】
身体能力測定装置22及び知的能力測定装置24による測定結果は、各々に搭載されたデータの送受信を行う通信部(図示省略)によって通信ネットワーク50を介してクラウドサーバ30に出力される。
【0016】
クラウドサーバ30は、中央処理部32、中央通信部34、及びDB(データベース)36を備えている。
【0017】
中央処理部32は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含む一般的なマイクロコンピュータで構成されている。中央処理部32は、運転適性診断部310、車両導出部320、及び報知部330の機能を備えている。なお、中央処理部32の各機能は、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0018】
運転適性診断部310は、身体能力測定装置22により測定されたユーザの身体能力測定結果と、知的能力測定装置24により測定されたユーザの知的能力測定結果に基づいて、ユーザの運転適性を診断する。具体的には予め設定されたアルゴリズムに基づいてユーザの運転適性が導出される。さらに具体的には、一例として、予め身体能力測定結果及び知的能力測定結果と、運転適性結果との組のデータセットを複数含む学習情報を用いて機械学習された判別器(図示省略)を使用することができる。判別器は、身体能力測定結果及び知的能力測定結果が入力された場合に、運転適性の診断結果が出力されるように学習されている。なお、本実施形態においては、運転適性の診断項目としては、一例としてユーザの身体的能力及び知的能力の衰え度、安全運転意識の低下度、周囲への注意力の低下度、及び運転免許証返納の必要性等があげられる。また、運転に際しての注意点等が含まれていてもよい。
【0019】
車両導出部320は、運転適性診断部310により診断された診断結果に基づいてユーザに勧める車両を導出する。具体的には予め設定されたアルゴリズムに基づいてユーザに勧める車両が導出される。さらに具体的には、一例として、予め運転適性の診断結果と、ユーザに勧める車両との組のデータセットを複数含む学習情報を用いて機械学習された判別器(図示省略)を使用することができる。判別器は、運転適性の診断結果が入力された場合に、ユーザに勧める車両が出力されるように学習されている。なお、本実施形態においては、ユーザに勧める車両の項目としては、一例として、車体の大きさや、様々な安全装備の個別の有無等があげられる。
【0020】
報知部330は、運転適性診断部310の学習アルゴリズムにより診断された診断結果と、車両導出部320の学習アルゴリズムにより導出されたユーザに勧める車両とを、ユーザに報知する。具体的には、運転適性診断部310により診断された診断結果と、車両導出部320により導出されたユーザに勧める車両とに基づいて、画像処理や音声処理を行うことにより画像データや音声データを出力し、後述する報知手段40によって報知させる。
【0021】
中央通信部34は、通信ネットワーク50を介して計測システム20及び報知手段40と通信を確立して、測定結果や診断結果等の情報の送受信を行う。
【0022】
DB36は、計測システム20から測定結果を受信し、受信した測定結果のそれぞれをユーザに対応付けて蓄積する。また、運転適性診断部310により診断された診断結果、及び車両導出部320により導出された車両の情報についても、ユーザに対応付けて蓄積する。これらのDB36に蓄積されたデータは、上述した運転適性診断部310及び車両導出部320の判別器において機械学習を行う際の学習情報として使用される。
【0023】
報知手段40は、ユーザとの間で情報をやりとりするためのユーザインタフェースであり、一例として表示装置のモニタ画面により構成されている。
【0024】
図2は報知手段40としてのモニタ画面40Aの表示の一例を示す図である。
図2に示されるように、報知部330は、ユーザに報知する情報をモニタ画面40Aに表示させる。具体的には、報知部330は、一例として、モニタ画面40Aの画面左側に運転適性診断部310により診断された運転適性の診断結果42を、画面右側に車両導出部320により導出された車両の情報44を表示させる。
【0025】
運転適性の診断結果42の表示は、一例として、画面上方に、診断項目毎に診断結果を数値で表し、正多角形上に表現したレーダチャートを表示させ、画面下方に各診断項目の解説を表示させる。例えば(a)から(e)までの5つの診断項目が存在する場合には、画面下方にその5つの診断項目の具体的な内容を表示させる。
【0026】
車両の情報44の表示は、一例として画面上方にお勧め車両を表示させ、画面下方に様々な安全装備の個別の有無等を表示させる。例えば、車両導出部320によりユーザに勧める車両としてコンパクトカーが導出された場合には、画面上方に「コンパクトカー」を表示させる。この際に、具体的な車種を1以上表示させてもよい。また、画面下方には、導出されたコンパクトカーにおいて搭載されている安全装備に対して、個々に必要なら「〇」、不必要なら「×」を表示させる。搭載してもしなくてもどちらでもよい場合には「△」や「-」を表示させてもよい。
【0027】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係るクラウドサーバ30で行われる具体的な処理について説明する。
図3は本実施形態に係るクラウドサーバで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図3の処理は、例えば、ユーザが身体能力測定装置22及び知的能力測定装置24による測定を終了した際に開始する。具体的には、身体能力測定装置22及び知的能力測定装置24により測定結果が、通信ネットワーク50を介してクラウドサーバ30に入力された際に開始する。
【0028】
図3に示されるように、ステップS10にて運転適性診断部310が、身体能力測定装置22による測定結果を取得し、ステップS12にて運転適性診断部310が、知的能力測定装置24による測定結果を取得する。次に、ステップS14にて運転適性診断部310が、ユーザの身体能力測定結果及び知的能力測定結果に基づいて、ユーザの運転適性を診断する。
【0029】
次に、ステップS16にて車両導出部320が、運転適性診断部310により診断された診断結果に基づいてユーザに勧める車両を導出する。そして、報知部330が運転適性診断部310により診断された診断結果及び車両導出部320により導出されたユーザに勧める車両を、
図2に示されるように報知手段40としてのモニタ画面40Aにより報知させる。
【0030】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0031】
本実施形態に係るクラウドサーバ30では、運転適性診断部310がユーザの身体能力測定結果及び知的能力測定結果に基づいて、ユーザの運転適性を診断し、車両導出部320が運転適性診断部310により診断された診断結果に基づいてユーザに勧める車両を導出している。また、報知部330は、運転適性診断部310により診断された診断結果及び車両導出部320により導出されたユーザに勧める車両を報知する。そのため、運転適性診断部310の学習アルゴリズムにより診断された診断結果と、車両導出部320の学習アルゴリズムにより導出されたユーザに勧める車両とを、報知部330によりユーザに報知することができるので、自動車ディーラ等の運転適性診断の実施者は運転適性に基づいた最適な車両をユーザに勧めることができる。
【0032】
なお、上記実施形態においては、報知手段40としてモニタ画面40Aを使用したが、本発明はこれに限られない。例えば、報知手段40としてスピーカ等の音声発生装置を使用して音声により報知してもよいし、動画等により報知してもよい。
【0033】
また、上記実施形態においては、
図3に示されるように、ステップ10にて身体能力測定結果を取得しているが、例えばステップS10において、先に知的能力測定結果を取得し、ステップS12において身体能力測定結果を取得してもよい。
【0034】
また、上記実施形態においては、上述したように運転適性診断部310により診断された診断結果や、車両導出部320により導出されたユーザに勧める車両を設定しているが、本発明は上記内容に限られず、適宜仕様を変更することができる。
【0035】
また、上記実施形態における情報処理システム10の各部で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、これに限るものではない。例えば、ハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ソフトウエアの処理とした場合には、プログラムを各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0036】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
30 クラウドサーバ(情報処理装置)
310 運転適性診断部
320 車両導出部
330 報知部