IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電子株式会社の特許一覧

特開2024-32465測定方法、調整方法、試料加工装置、および傾斜角度測定器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032465
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】測定方法、調整方法、試料加工装置、および傾斜角度測定器
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/305 20060101AFI20240305BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20240305BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20240305BHJP
   G01N 1/32 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01J37/305 Z
H01J37/20 A
G01N1/28 G
G01N1/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136136
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100161540
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 良伸
(72)【発明者】
【氏名】小塚 心尋
(72)【発明者】
【氏名】根岸 勉
【テーマコード(参考)】
2G052
5C101
【Fターム(参考)】
2G052AA13
2G052AA14
2G052AD32
2G052AD52
2G052BA15
2G052EC14
2G052EC18
2G052EC22
2G052GA34
2G052JA08
5C101AA34
5C101BB06
5C101DD28
5C101EE45
5C101FF34
5C101FF52
5C101FF58
5C101GG10
5C101GG15
(57)【要約】
【課題】イオンビームの傾斜角度を測定できる測定方法を提供する。
【解決手段】イオンビームを試料に照射して試料を加工する試料加工装置におけるイオンビームの傾斜角度の測定方法であって、スリットが設けられた傾斜角度測定器を試料加工装置の試料台に装着する工程と、イオンビームの傾斜角度を変化させながら、傾斜角度測定器にイオンビームを照射し、スリットを通過したイオンビームの電流量を測定する工程と、スリットを通過したイオンビームの電流量のピークを検出する工程と、を含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを試料に照射して前記試料を加工する試料加工装置におけるイオンビームの傾斜角度の測定方法であって、
スリットが設けられた傾斜角度測定器を前記試料加工装置の試料台に装着する工程と、
イオンビームの傾斜角度を変化させながら、前記傾斜角度測定器にイオンビームを照射し、前記スリットを通過したイオンビームの電流量を測定する工程と、
前記スリットを通過したイオンビームの電流量のピークを検出する工程と、
を含む、測定方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記ピークを検出する工程では、イオンビームの傾斜角度に対する前記スリットを通過したイオンビームの電流量をグラフにプロットし、前記ピークを検出する、測定方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記スリットの深さ方向が鉛直方向となるように、前記傾斜角度測定器を前記試料台に装着する、測定方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記試料加工装置は、
イオンビームを放出するイオン源と、
前記イオン源を傾斜させるイオン源傾斜機構と、
を含み、
前記イオン源傾斜機構を用いて前記イオン源を傾斜させることによって、イオンビームの傾斜角度を変化させる、測定方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記試料加工装置は、
試料ホルダーと、
前記試料ホルダーを傾斜させる試料ホルダー傾斜機構と、
を含み、
前記試料ホルダー傾斜機構を用いて前記傾斜角度測定器を傾斜させることによって、イオンビームの傾斜角度を変化させる、測定方法。
【請求項6】
請求項1に記載の測定方法によって、前記ピークを検出する工程と、
前記ピークに基づいて、イオンビームを傾斜させる傾斜機構を調整する工程と、
を含む、調整方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記傾斜機構は、イオンビームを放出するイオン源を傾斜させることによって、イオンビームを傾斜させる、調整方法。
【請求項8】
請求項6において、
前記傾斜機構は、前記傾斜角度測定器を傾斜させることによって、イオンビームを傾斜させる、調整方法。
【請求項9】
イオンビームを試料に照射して前記試料を加工する試料加工装置であって、
イオンビームを前記試料に照射するイオン源と、
前記試料を保持する試料ホルダーと、
イオンビームを通過させるスリットを含む傾斜角度測定器と、
前記試料に対してイオンビームを傾斜させる傾斜機構と、
前記スリットを通過したイオンビームの電流量を測定する電流測定器と、
イオンビームの傾斜角度を変化させながら前記傾斜角度測定器にイオンビームを照射したときの前記スリットを通過したイオンビームの電流量のピークを検出する測定部と、
を含む、試料加工装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記測定部は、前記ピークに基づいて前記傾斜機構を制御する、試料加工装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記傾斜機構は、前記イオン源を傾斜させることによって、イオンビームを傾斜させる、試料加工装置。
【請求項12】
請求項9において、
前記傾斜機構は、前記試料ホルダーを傾斜させることによって、イオンビームを傾斜させる、試料加工装置。
【請求項13】
請求項9ないし12のいずれか1項において、
前記測定部は、イオンビームの傾斜角度に対する前記スリットを通過したイオンビームの電流量をグラフにプロットし、前記ピークを検出する、試料加工装置。
【請求項14】
イオンビームを試料に照射して前記試料を加工する試料加工装置におけるイオンビームの傾斜角度を測定するための傾斜角度測定器であって、
イオンビームを通過させるスリットを含む、傾斜角度測定器。
【請求項15】
請求項14において、
前記試料加工装置の試料台に設置される設置面を有し、
前記設置面を前記試料台に設置した場合に、前記スリットの深さ方向が鉛直方向となる、傾斜角度測定器。
【請求項16】
請求項14において、
第1面と、
前記第1面とは反対方向を向く第2面と、
を有し、
前記第1面を前記試料加工装置の試料台に設置する場合に、前記スリットの一方の開口が前記試料加工装置のイオン源の方向を向き、
前記第2面を前記試料台に設置する場合に、前記スリットの他方の開口が前記イオン源の方向を向く、傾斜角度測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定方法、調整方法、試料加工装置、および傾斜角度測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡用の試料作製において、広い領域を薄膜化するためには、ブロードなイオンビームを用いて試料をイオンミリングする試料加工装置が適している。
【0003】
特許文献1には、試料の上面に遮蔽ベルトを配置し、遮蔽ベルトを介して試料にイオンビームを照射し、遮蔽ベルトで遮蔽されなかった部分をイオンミリングすることによって、透過電子顕微鏡用の薄膜試料を作製する試料作製装置が開示されている。特許文献1に記載された試料作製装置では、イオン銃を左右に傾斜させて試料の表面と裏面を交互にミリングする。
【0004】
例えば、バルク試料の薄膜を作製する場合には、イオンビームの傾斜角度を2°~3°程度にする。すなわち、バルク試料の薄膜を作製する場合には、試料の表面に対するイオンビームの入射角度、および試料の裏面に対するイオンビームの入射角度を、2°~3°程度にする。
【0005】
また、このような試料加工装置では、二段ミリング法を用いて、基板上に形成された薄膜や、基板上に形成された、配線やトランジスタなどが形成された積層膜など、を断面方向から観察するための試料を作製できる。二段ミリング法では、試料を全体的に薄くする一次ミリングと、観察対象物である薄膜や積層膜を透過電子顕微鏡で観察可能な厚さまで薄くする二次ミリングと、を行う。一次ミリングでは、イオンビームの傾斜角度を0°~0.5°程度にする。二次ミリングでは、イオンビームの傾斜角度を3°~4°程度にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-193962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような試料加工装置では、試料の表面に対するイオンビームの入射角度と試料の裏面に対するイオンビームの入射角度にずれがあると、試料の表面のミリングレートと試料の裏面のミリングレートに大きな差が生じてしまう。この入射角度のずれを補正するためにはイオン銃を傾斜させる傾斜機構の調整が必要となる。
【0008】
例えば、イオン銃の傾斜角度を0°に固定した状態で試料をミリングし、試料の表面と裏面の加工深さの差を見て、試料の表面と裏面の加工深さの差が小さくなるようにイオン銃の傾斜角度を調整する。この試料のミリングとイオン銃の傾斜角度の調整を繰り返して、試料の表面と裏面の加工深さの差をなくす。試料の表面と裏面の加工深さの差がなくなったときのイオン源の位置(傾斜角度)が、イオン源を左右に傾斜させるときの傾斜角度範囲の中心となるように傾斜機構を調整する。これにより、試料の表面に対するイオンビームの入射角度と試料の裏面に対するイオンビームの入射角度のずれを低減できる。
【0009】
しかしながら、この調整方法では、試料のミリングとイオン銃の傾斜角度の調整を、試料の表面と裏面の加工深さの差がなくなるまで繰り返さなければならない。したがって、
調整に時間がかかってしまう。イオンビームの傾斜角度を測定できれば、傾斜機構の調整を容易に行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る測定方法の一態様は、
イオンビームを試料に照射して前記試料を加工する試料加工装置におけるイオンビームの傾斜角度の測定方法であって、
スリットが設けられた傾斜角度測定器を前記試料加工装置の試料台に装着する工程と、
イオンビームの傾斜角度を変化させながら、前記傾斜角度測定器にイオンビームを照射し、前記スリットを通過したイオンビームの電流量を測定する工程と、
前記スリットを通過したイオンビームの電流量のピークを検出する工程と、
を含む。
【0011】
このような測定方法では、イオンビームの傾斜角度を測定できる。
【0012】
本発明に係る調整方法の一態様は、
前記測定方法によって、前記ピークを検出する工程と、
前記ピークに基づいて、イオンビームを傾斜させる傾斜機構を調整する工程と、
を含む。
【0013】
このような調整方法では、イオンビームの傾斜角度の測定結果に基づいて傾斜機構を調整できる。したがって、容易に傾斜機構を調整できる。
【0014】
本発明に係る試料加工装置の一態様は、
イオンビームを試料に照射して前記試料を加工する試料加工装置であって、
イオンビームを前記試料に照射するイオン源と、
前記試料を保持する試料ホルダーと、
イオンビームを通過させるスリットを含む傾斜角度測定器と、
前記試料に対してイオンビームを傾斜させる傾斜機構と、
前記スリットを通過したイオンビームの電流量を測定する電流測定器と、
イオンビームの傾斜角度を変化させながら前記傾斜角度測定器にイオンビームを照射したときの前記スリットを通過したイオンビームの電流量のピークを検出する測定部と、
を含む。
【0015】
このような試料加工装置では、イオンビームの傾斜角度を測定できる。
【0016】
本発明に係る傾斜角度測定器の一態様は、
イオンビームを試料に照射して前記試料を加工する試料加工装置におけるイオンビームの傾斜角度を測定するための傾斜角度測定器であって、
イオンビームを通過させるスリットを含む。
【0017】
このような傾斜角度測定器では、イオンビームの傾斜角度とスリットの深さ方向が一致した場合に、スリットを通過するイオンビームの電流量が最大となるため、イオンビームの傾斜角度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
図2】第1実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
図3】イオン源の動作を説明するための図。
図4】試料の揺動動作を説明するための図。
図5】第1実施形態に係る試料加工装置で試料を加工する様子を模式的に示す図。
図6】イオン源の傾斜角度範囲の中心において、イオンビームの傾斜角度が0°でない場合のイオン源の動作を説明するための図。
図7】加工面Sbに対するイオンビームの入射角度と、加工面Scに対するイオンビームの入射角度が異なる状態で加工された試料を模式的に示す図。
図8】イオン源の傾斜角度範囲の中心において、イオンビームの傾斜角度が0°となるように、イオン源傾斜機構を調整した状態を示す図。
図9】傾斜角度測定器を模式的に示す斜視図。
図10】傾斜角度測定器を模式的に示す断面図。
図11】イオンビームの傾斜角度の測定方法の一例を示すフローチャート。
図12】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図13】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図14】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図15】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図16】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図17】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図18】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図19】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図20】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図21】イオン源傾斜機構の調整方法の一例を示すフローチャート。
図22】測定部の処理の一例を示すフローチャート。
図23】イオン源傾斜機構を調整した後に試料加工装置で加工された試料の断面SEM像。
図24】イオン源傾斜機構を調整する前に試料加工装置で加工された試料の断面SEM像。
図25】第2実施形態に係る試料加工装置の構成を示す図。
図26】試料ホルダーの動作を説明するための図。
図27】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図28】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図29】イオンビームの傾斜角度の測定方法を説明するための図。
図30】第2実施形態に係る試料加工装置における試料ホルダー傾斜機構の調整方法の一例を示すフローチャート。
図31】試料ホルダーの傾斜角度範囲の中心において、イオンビームの傾斜角度が0°となるように、試料ホルダー傾斜機構を調整した状態を示す図。
図32】測定部の処理の一例を示すフローチャート。
図33】傾斜角度測定器の変形例を模式的に示す断面図。
図34】傾斜角度測定器の変形例を模式的に示す断面図。
図35】変形例に係る傾斜角度測定器を用いてイオンビームの傾斜角度を測定した結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0020】
1. 第1実施形態
1.1. 試料加工装置
まず、第1実施形態に係る試料加工装置について図面を参照しながら説明する。図1および図2は、第1実施形態に係る試料加工装置100の構成を示す図である。図1および図2には、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0021】
試料加工装置100は、試料SにイオンビームIBを照射して試料Sを加工し、観察や分析用の試料を作製するための装置である。試料加工装置100では、透過電子顕微鏡で観察可能な薄膜試料を作製できる。
【0022】
試料加工装置100は、図1および図2に示すように、イオン源10と、イオン源傾斜機構20と、試料ホルダー30と、遮蔽部材40と、照明装置50と、カメラ60と、光学系62と、電流測定器70と、測定部80と、を含む。
【0023】
イオン源10は、試料SにイオンビームIBを照射する。イオン源10は、不図示のチャンバーの上部に取り付けられており、チャンバー内に収容された試料SにイオンビームIBを照射する。チャンバー内は、真空状態である。イオン源10は、例えば、所定の加速電圧でイオンを加速させてイオンビームIBを放出するイオン銃である。
【0024】
イオン源傾斜機構20は、イオン源10を傾斜させる。イオン源傾斜機構20は、イオン源10をX軸に平行な軸を傾斜軸として揺動させる。揺動とは、所定の角度範囲で往復運動することをいう。イオン源傾斜機構20は、例えば、モーター駆動によってイオン源10を傾斜させる。
【0025】
試料ホルダー30は、図2に示すように、試料Sを保持する。試料ホルダー30には、例えば、試料Sの長手方向の両端(図示の例では、+X方向の端部と-X方向の端部)が固定されている。図示はしないが、試料加工装置100は、試料台を含み、試料ホルダー30は、試料台に装着される。試料Sは、板状の形状を有している。試料Sは、例えば、直方体である。
【0026】
遮蔽部材40(遮蔽ベルト)は、イオンビームIBを遮蔽する。イオン源10から放出されたイオンビームIBは、遮蔽部材40を介して試料Sに照射される。遮蔽部材40は、例えば、帯状である。遮蔽部材40は、イオンビームIBでミリングされ難い材料からなる。
【0027】
遮蔽部材40は、試料Sの上面Sa上に配置されている。遮蔽部材40の厚さ(図2におけるY方向の大きさ)は、例えば、10μm程度である。試料Sの厚さ(図2におけるY方向の大きさ)は、例えば、100μm程度である。遮蔽部材40は、試料Sの厚さ方向の中心に配置される。
【0028】
試料加工装置100は、試料ホルダー30および遮蔽部材40を揺動させるスイング機構を備えている。試料ホルダー30を揺動させることによって、試料Sを揺動させることができる。スイング機構は、試料ホルダー30および遮蔽部材40をY軸に平行な軸を傾斜軸として揺動させる。スイング機構は、例えば、一定の周期で、試料ホルダー30および遮蔽部材40を揺動させる。
【0029】
照明装置50は、試料Sを照明するための照明光を発する。照明装置50、試料S、光学系62、およびカメラ60は、この順に、Y軸に沿って並んでいる。
【0030】
カメラ60は、光学系62を介して、照明装置50が発する照明光で透過照明された試料Sを撮影する。カメラ60は、例えば、CCDカメラ、CMOSカメラなどのデジタルカメラである。光学系62は、カメラ60で試料Sを撮影するための光学系である。
【0031】
電流測定器70は、イオンビームIBの電流量を測定する。電流測定器70は、試料ホルダー30で保持された試料Sの下(-Z方向)に配置されている。
【0032】
測定部80は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)等であり、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などの記憶装置(メモリ)と、を含む。記憶装置には、各種演算処理や各種制御処理を行うためのプログラム、およびデータが記憶されている。測定部80は、プロセッサでプログラムを実行することにより各種演算処理や各種制御処理を行う。
【0033】
測定部80は、制御回路82を介して、イオン源傾斜機構20を制御する。測定部80の処理の詳細については、後述する。
【0034】
試料加工装置100は、さらに、後述する傾斜角度測定器を含む。
【0035】
1.2. 試料加工装置の動作
図3は、イオン源10の動作を説明するための図である。
【0036】
試料加工装置100において、イオン源10からイオンビームIBを照射すると、イオンビームIBは、遮蔽部材40を介して、試料Sに照射される。図3に示すように、イオン源傾斜機構20は、イオン源10を軸Oを傾斜軸として所定の傾斜角度範囲で揺動させる。軸Oは、試料Sの上面Sa上に位置している。軸Oは、X軸に平行である。イオン源10は、YZ平面内において軸Oを中心とする円に沿って揺動する。
【0037】
例えば、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cを0°、イオン源10の傾斜角度θ0をA°(Aは正の数)に設定する。ここで、図示はしないが、イオン源傾斜機構20は、傾斜角度範囲の中心Cの位置を決める第1センサーと、傾斜角度範囲の上限の位置を決める第2センサーと、傾斜角度範囲の下限の位置を決める第3センサーと、を備えている。第1センサーの位置を調整することによって中心Cを設定でき、第2センサーおよび第3センサーの位置を調整することによってイオン源10の傾斜角度θ0を設定できる。
【0038】
イオン源傾斜機構20は、まず、イオン源10を傾斜角度θ=0°の位置にある中心Cから時計回りに回転させて、イオン源10の傾斜角度θ0を+A°とする。これにより、イオンビームIBの傾斜角度θ1が+A°となる。この結果、加工面Scに対するイオンビームIBの入射角度がA°となる。加工面Scは、試料Sの上面Saに接続する試料Sの側面である。
【0039】
次に、イオン源傾斜機構20は、イオン源10を反時計回りに回転させて、イオン源10の傾斜角度θ0を-A°とする。これにより、イオンビームIBの傾斜角度θ1が-A°となる。この結果、加工面Scに対するイオンビームIBの入射角度がA°となる。加工面Sbは、試料Sの上面Saに接続する試料Sの側面であり、加工面Scとは反対側の面である。
【0040】
イオン源傾斜機構20は、上述したイオン源10を時計回りに回転させてイオン源10の傾斜角度θ0を+A°とする動作、イオン源10を反時計回りに回転させてイオン源10の傾斜角度θ0を-A°とする動作を繰り返す。
【0041】
なお、イオンビームIBの傾斜角度θ1は、試料Sに対するイオンビームIBの傾斜角度である。イオンビームIBの傾斜角度θ1は、試料Sの加工面に対するイオンビームIBの傾斜角度である。図3に示す例では、試料Sの加工面Sbおよび加工面ScはZ軸に平行であり、イオンビームIBがZ軸に平行な場合をθ1=0°とし、Z軸とイオンビームIBがなす時計回りの角度を「+」、Z軸とイオンビームIBがなす反時計回りの角度
を「-」で表す。イオン源10の傾斜角度θ0も、イオンビームIBの傾斜角度θ1と同様に表す。
【0042】
上記では、3つのセンサーを用いて、中心Cおよび傾斜角度θ0を設定したが、測定部80が中心Cおよび傾斜角度θ0の設定を受け付けてイオン源傾斜機構20を制御してもよい。
【0043】
図4は、試料Sの揺動動作を説明するための図である。スイング機構は、図4に示すように、試料Sおよび遮蔽部材40を軸Bを傾斜軸として揺動させる。軸Bは、Y軸に平行な軸である。軸Bは、例えば、試料Sの上面Saに位置している。
【0044】
図5は、試料加工装置100で試料Sを加工する様子を模式的に示す図である。
【0045】
上述したように、イオン源10および試料Sを揺動させながら、遮蔽部材40を介して、試料SにイオンビームIBを照射することによって、図5に示すように、加工面Sbおよび加工面Scがミリングされる。試料Sが薄くなって試料Sに小さな孔が開いたら加工を終了する。この孔の周辺が透過電子顕微鏡で観察可能な薄膜となる。
【0046】
1.3. 傾斜角度範囲の中心におけるイオンビームの傾斜角度
図6は、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1が0°でない場合のイオン源10の動作を説明するための図である。
【0047】
図6に示すように、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1が0°でない場合、試料Sの加工面Sbに対するイオンビームIBの入射角度と試料Sの加工面Scに対するイオンビームIBの入射角度にずれが生じてしまう。
【0048】
例えば、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1がa°(a≠0)の場合、イオン源10の傾斜角度θ0を+A°にしたときのイオンビームIBの傾斜角度θ1はA+a°になる。また、イオン源10の傾斜角度θ0を-A°にしたときのイオンビームIBの傾斜角度θ1は-A+a°になる。したがって、加工面Scに対するイオンビームIBの入射角度が|A+a|°になり、加工面Sbに対するイオンビームIBの入射角度が|-A+a|°になってしまう。
【0049】
図7は、加工面Sbに対するイオンビームIBの入射角度と、加工面Scに対するイオンビームIBの入射角度が異なる状態で加工された試料Sを模式的に示す図である。
【0050】
加工面Sbに対するイオンビームIBの入射角度と、加工面Scに対するイオンビームIBの入射角度が異なる場合、加工面Scと加工面Sbのミリングレートに差が生じてしまう。特に、加工面に対するイオンビームIBの入射角度を低角度に設定した場合、わずかな入射角度の差でも、ミリングレートに大きな差が生じてしまう。
【0051】
加工面Scのミリングレートと加工面Sbのミリングレートに差があると、加工面Scの加工深さと加工面Sbの加工深さに差ができてしまい、意図しない箇所に孔が開いたり、加工に時間がかかってしまったりする。
【0052】
そのため、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1が0°となるように、イオン源傾斜機構20を調整しなければならない。
【0053】
図8は、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1が0°となるように、イオン源傾斜機構20を調整した状態を示す図である。
【0054】
図8に示すように、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、傾斜角度θ1が0°となるようにイオン源傾斜機構20を調整することによって、試料Sの加工面Sbに対するイオンビームIBの入射角度と試料Sの加工面Scに対するイオンビームIBの入射角度のずれを低減できる。イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できれば、イオン源傾斜機構20を容易に調整できる。
【0055】
1.4. 傾斜角度測定器
図9は、傾斜角度測定器1を模式的に示す斜視図である。図10は、傾斜角度測定器1を模式的に示す断面図である。
【0056】
傾斜角度測定器1は、図9および図10に示すように、基体2を含む。基体2は、スリット4と、マーカー6と、を含む。
【0057】
基体2は、導電性の材料からなる。また、基体2は、イオンビームIBでスパッタされ難い材料からなる。基体2は、例えば、ステンレス鋼(Steel Special Use Stainless、SUS)などの金属からなる。基体2は、例えば、金属からなるブロックである。
【0058】
基体2は、試料加工装置100の試料台に装着される第1部分2aと、イオンビームIBが照射される第2部分2bと、を有している。
【0059】
第1部分2aは、第1面8aと、第1面8aとは反対方向を向く第2面8bと、を有している。第1面8aは、スリット4の深さDの方向に対して垂直である。同様に、第2面8bは、スリット4の深さDの方向に対して垂直である。第2面8bは、試料台に装着するときの設置面となる。第2面8bを試料台に設置した場合に、スリット4の深さ方向が鉛直方向となる。
【0060】
第2部分2bは、第1部分2aから延在している。第2部分2bには、スリット4が設けられている。スリット4は、第2部分2bを貫通している。スリット4の第1開口4aは、第2部分2bの第3面9aに設けられ、スリット4の第2開口4bは、第2部分2bの第4面9bに設けられている。第4面9bは、第3面9aとは反対方向を向く面である。イオンビームIBは、第1開口4aが設けられた第3面9aに照射される。すなわち、傾斜角度測定器1は、第1開口4aがイオン源10の方向を向くように試料台に装着される。
【0061】
イオンビームIBの直径は、1mm程度である。スリット4の幅Wは、例えば、0.1mmである。スリット4の長さLは、例えば、6mmであり、スリット4の深さDは、例えば、6mmである。
【0062】
第2部分2bは、例えば、第1部分2aに接続された基部2b-1と、先端部2b-2と、を有している。スリット4は、先端部2b-2をスリット4の幅Wの分だけ離して基部2b-1にねじ止めすることによって形成されている。なお、スリット4の形成方法は特に限定されない。
【0063】
マーカー6は、イオンビームIBの照射位置を示すための目印である。マーカー6は、第2部分2bの第3面9aに設けられている。マーカー6は、スリット4の長さ方向の中心に設けられている。
【0064】
なお、上記では、第2面8bを設置面とする場合について説明したが、さらに第1面8aも設置面としてもよい。第1面8aを設置面とした場合も、第2面8bを設置面とした
場合と同様にイオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できる。第1面8aを設置面とした場合には、イオンビームIBは、第2開口4bが設けられた第4面9bに照射される。すなわち、傾斜角度測定器1は、第2開口4bがイオン源10の方向を向くように試料台に装着される。また、マーカー6は、第2部分2bの第3面9aおよび第2部分2bの第4面9bの両方に設けられてもよい。このように傾斜角度測定器1において、第1面8aおよび第2面8bを設置面にすることによって、第2面8bのみを設置面とする場合と比べて、傾斜角度測定器1の使用可能な時間を2倍にできる。
【0065】
1.5. イオンビームの傾斜角度の測定方法
図11は、試料加工装置100におけるイオンビームIBの傾斜角度θ1の測定方法の一例を示すフローチャートである。図12図20は、イオンビームIBの傾斜角度θ1の測定方法を説明するための図である。
【0066】
まず、傾斜角度測定器1を試料加工装置100の試料台110に装着する(S100)。
【0067】
図12に示すように、シリコン酸化膜が形成されたシリコン基板(ウエハ)102を軸合わせ用のホルダー104に搭載する。次に、軸合わせ用のホルダー104を試料加工装置100の試料台110に装着する。
【0068】
次に、図13に示すように、イオン源10の傾斜角度θ0を0°にして、シリコン基板102にイオンビームIBを照射する。これにより、シリコン基板102には、イオンビーム痕が形成される。
【0069】
次に、図14に示すように、試料加工装置100の位置合わせ用カメラ90の位置を調整する。具体的には、位置合わせ用カメラ90の視野の中心にイオンビーム痕が位置するように、位置合わせ用カメラ90の位置を調整する。位置合わせ用カメラ90の位置を調整した後、軸合わせ用のホルダー104を試料台110から取り外す。
【0070】
次に、図15に示すように、傾斜角度測定器1を試料台110に装着し、傾斜角度測定器1の位置合わせを行う。具体的には、傾斜角度測定器1のスリット4をイオンビームIBの照射位置に合わせる。
【0071】
具体的には、まず、傾斜角度測定器1の第2面8bを試料台110に設置する。これにより、スリット4の深さ方向が鉛直方向(Z方向)となる。また、スリット4の長さ方向がX方向となる。次に、スリット4が位置合わせ用カメラ90の視野の中心に位置するように傾斜角度測定器1の位置を調整する。マーカー6とスリット4が交わる点が位置合わせ用カメラ90の視野の中心に位置するように傾斜角度測定器1の位置を調整する。これにより、スリット4をイオンビームIBの照射位置に合わせることができる。
【0072】
傾斜角度測定器1の位置合わせの後、イオン源10の下に、傾斜角度測定器1を配置する。このとき、軸Oは、スリット4の深さ方向の中心に位置する。このようにして、傾斜角度測定器1を試料台110に装着できる。なお、イオン源10の傾斜軸となる軸Oの位置は、スリット4の深さ方向の中心からずれていてもよい。
【0073】
次に、図16に示すように、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させながら、傾斜角度測定器1にイオンビームIBを照射し、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量を測定する(S102)。
【0074】
イオンビームIBの傾斜角度θ1は、イオン源傾斜機構20を用いてイオン源10を傾
斜させることによって変化させる。すなわち、傾斜角度θ0を変化させることによって、傾斜角度θ1を変化させる。
【0075】
本工程S102では、イオン源10を、あらかじめ設定された傾斜角度範囲で傾斜させる。本工程S102におけるイオン源10の傾斜角度範囲は、イオンビームIBの光軸方向とスリット4の深さ方向が同じになる角度が含まれていれば特に限定されない。イオンビームIBの光軸方向とは、イオンビームIBの光軸が延びる方向であり、イオンビームIBの進行方向と同じ方向である。図示の例では、傾斜角度範囲の中心Cは、傾斜角度θ0=0°に設定されている。なお、傾斜角度範囲の中心Cの位置は特に限定されない。
【0076】
次に、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量のピークを検出する(S104)。
【0077】
図17図19に示すように、イオンビームIBの傾斜角度θ1が変化することによって、スリット4を通過するイオンビームIBの電流量も変化する。イオンビームIBの光軸方向とスリット4の深さ方向が一致したときに、スリット4を通過するイオンビームIBの電流量が最大となる。スリット4の深さ方向は、鉛直方向(Z方向)であるため、スリット4を通過するイオンビームIBの電流量が最大のときに、イオンビームIBの傾斜角度θ1が0°となる。したがって、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量のピークを検出することによって、イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できる。
【0078】
図20は、イオンビームIBの傾斜角度θ1とイオンビームIBの電流量Iの関係を示すグラフである。
【0079】
傾斜角度θ1に対する電流量Iをプロットすることによって、図20に示すグラフを作成できる。例えば、上述した測定を繰り返し行うことによって、各傾斜角度θ1において電流量Iの平均を求めてもよい。これにより、測定精度を高めることができる。
【0080】
次に、図20に示す、傾斜角度θ1と電流量Iの関係を示すグラフを用いて、電流量Iのピークを検出する。
【0081】
例えば、図20に示すグラフから、ピークの半値幅を求め、半値幅の中心をピークの位置とする。また、例えば、図20に示すグラフから、ピークの立ち上がりの位置および立下りの位置を検出し、これらからピークの位置を求めてもよい。また、図20に示すグラフを所定の関数でフィッティングし、このフィッティングの結果からピークの位置を求めてもよい。このように、半値幅や、立ち上がり、フィッティングによってピークを検出することによって、電流量Iが最大となる位置をピークの位置とする場合と比べて、ノイズや誤差によるピーク位置の誤検出を低減できる。
【0082】
ここで、スリット4の深さ方向は、鉛直方向(Z方向)であるため、ピークの位置、すなわち、電流量Iがピークとなる傾斜角度θ1は、イオンビームIBの傾斜角度θ1が0°になる位置を表している。すなわち、ピーク位置は、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cの位置を表している。
【0083】
図20に示すグラフでは、電流量がピークとなる傾斜角度θ1の値は、-0.7°である。したがって、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cが-0.7°ずれていることがわかる。
【0084】
1.6. イオン源傾斜機構の調整方法
図21は、イオン源傾斜機構20の調整方法の一例を示すフローチャートである。図2
1に示すように、イオン源傾斜機構20の調整方法は、上述したイオンビームIBの傾斜角度の測定方法によって、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iのピークを検出する工程S200と、当該ピークに基づいて、イオン源傾斜機構20を調整する工程S202と、を含む。
【0085】
上述した図11に示すイオンビームIBの傾斜角度の測定方法によって、スリット4を通過するイオンビームIBの電流量Iのピークを検出する(S200)。
【0086】
次に、ピーク位置がイオン源10の傾斜角度範囲の中心Cとなるようにイオン源傾斜機構20を調整する(S202)。
【0087】
例えば、イオン源傾斜機構20において中心Cの位置を決める第1センサーの位置を、ピーク位置に合わせることによって、イオン源傾斜機構20を調整する。図20に示す例では、傾斜角度範囲の中心Cを-0.7°ずらす。これにより、図8に示すように、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1を0°にできる。
【0088】
以上の工程により、イオン源傾斜機構20を調整できる。
【0089】
1.7. 測定部の処理
試料加工装置100では、測定部80が、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させながら傾斜角度測定器1にイオンビームIBを照射したときのスリット4を通過した電流量Iのピークを検出し、当該ピークに基づいてイオン源傾斜機構20を制御する。図22は、測定部80の処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
測定部80は、イオン源傾斜機構20にイオン源10の傾斜角度θ0を変化させながら、電流測定器70で測定されたスリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iの情報を取得する(S300)。
【0091】
次に、測定部80は、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iのピークを検出する(S302)。ピークを検出する処理では、上述したように、傾斜角度θ1に対する電流量Iをグラフにプロットすることによって、ピークを検出する。これにより、イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できる。
【0092】
次に、測定部80は、電流量Iがピークに基づいて、イオン源傾斜機構20を制御する(S304)。
【0093】
測定部80は、イオン源10の傾斜角度が設定された場合に、ピーク位置が傾斜角度範囲の中心Cとなるように傾斜角度にオフセットをかける。例えば、図6に示す例では、測定部80は、イオン源10の傾斜角度範囲が-A°~+A°に設定された場合に、設定された傾斜角度範囲を-A+a°~+A+a°として、イオン源傾斜機構20を制御する。これにより、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1を0°にできる。
【0094】
このように、測定部80は、設定された傾斜角度にオフセットをかけることによってイオン源傾斜機構20を制御する。なお、測定部80は、電流量Iのピークに基づいて、傾斜角度範囲の中心Cを決める第1センサーの位置を移動させてもよい。
【0095】
1.8. 効果
試料加工装置100におけるイオンビームIBの傾斜角度の測定方法は、スリット4が
設けられた傾斜角度測定器1を試料加工装置100の試料台110に装着する工程と、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させながら、傾斜角度測定器1にイオンビームIBを照射し、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iを測定する工程と、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iのピークを検出する工程と、を含む。そのため、このような測定方法では、イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できる。したがって、イオン源傾斜機構20を容易に調整できる。
【0096】
試料加工装置100におけるイオンビームIBの傾斜角度の測定方法において、イオンビームIBの傾斜角度θ1を求める工程では、イオンビームIBの傾斜角度θ1に対するスリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iをグラフにプロットし、当該ピークを検出する。これにより、傾斜角度θ1と電流量Iの関係を正確に把握できるため、正確にピークを検出できる。
【0097】
試料加工装置100におけるイオンビームIBの傾斜角度の測定方法において、スリット4の深さ方向が鉛直方向となるように、傾斜角度測定器1を試料台110に装着する。これにより、イオン源10の傾斜角度範囲の中心Cの位置を知ることができる。
【0098】
試料加工装置100におけるイオンビームIBの傾斜角度の測定方法では、イオン源傾斜機構20を用いてイオン源10を傾斜させることによって、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させる。したがって、イオン源傾斜機構20を調整できる。
【0099】
試料加工装置100におけるイオン源傾斜機構20の調整方法は、上記の傾斜角度θ1の測定方法によって、イオンビームIBの電流量Iのピークを検出する工程と、当該ピークに基づいてイオン源傾斜機構20を調整する工程と、を含む。このような調整方法では、イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できるため、イオン源傾斜機構20を容易に調整できる。
【0100】
試料加工装置100は、イオンビームIBを試料Sに照射するイオン源10と、試料Sを保持する試料ホルダー30と、イオンビームIBを通過させるスリット4を含む傾斜角度測定器1と、イオンビームIBを傾斜させるイオン源傾斜機構20と、傾斜角度測定器1のスリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iを測定する電流測定器70と、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させながら傾斜角度測定器1にイオンビームIBを照射したときのスリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iのピークを検出する測定部80と、を含む。
【0101】
そのため、試料加工装置100では、イオンビームIBの傾斜角度を測定できる。さらに、測定部80がスリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iのピークに基づいて、イオン源傾斜機構20を制御する。このように試料加工装置100では、測定部80がイオンビームIBの傾斜角度の測定結果に基づいてイオン源傾斜機構20を制御する。そのため、試料加工装置100では容易に、良好な透過電子顕微鏡用の試料を作製できる。
【0102】
試料加工装置100では、測定部80は、イオンビームIBの傾斜角度θ1に対するスリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iをグラフにプロットし、イオンビームIBの電流量Iのピークを検出する。そのため、試料加工装置100では、正確にピークを検出できる。
【0103】
傾斜角度測定器1は、イオンビームIBを試料Sに照射して試料Sを加工する試料加工装置におけるイオンビームIBの傾斜角度θ1を測定するための傾斜角度測定器1であって、イオンビームIBを通過させるスリット4を含む。このような傾斜角度測定器1では、イオンビームIBの光軸方向とスリット4の深さ方向が一致した場合に、スリット4を
通過するイオンビームIBの電流量が最大となるため、イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できる。
【0104】
傾斜角度測定器1は、試料加工装置100の試料台110に設置される設置面となる第2面8bを有し、第2面8bを試料台110に設置した場合に、スリット4の深さ方向が鉛直方向となる。そのため、傾斜角度測定器1では、容易に、スリット4の深さ方向を鉛直方向にできる。
【0105】
図23は、上述した調整方法によってイオン源傾斜機構20を調整した後に試料加工装置100で加工された試料の断面SEM像である。図24は、上述した調整方法によってイオン源傾斜機構20を調整する前に試料加工装置100で加工された試料の断面SEM像である。ここでは、試料加工装置100において、イオンビームIBの傾斜角度θ1を、傾斜角度範囲の中心Cで固定した状態で、試料Sを加工した。
【0106】
図24に示すように、イオン源傾斜機構20の調整前には、試料の表面のミリングレートと試料の裏面のミリングレートに大きな差が生じていた。
【0107】
図23に示すように、イオン源傾斜機構20の調整後には、試料の表面のミリングレートと試料の裏面のミリングレートの差を低減できた。このように、イオン源傾斜機構20の調整によって、試料の表面のミリングレートと試料の裏面のミリングレートの差を低減できた。すなわち、イオン源傾斜機構20の調整によって、イオンビームIBの傾斜角度θ1を正確に制御できた。
【0108】
例えば、図9および図10に示すスリット4の幅Wを0.1mm、スリット4の長さLを6mm、スリット4の深さDを6mmにすることによって、イオンビームの傾斜角度θ1を0.1°以下の精度で補正できた。
【0109】
このように、上述した調整方法では、イオンビームIBの傾斜角度θ1を高い精度で補正できるため、図23に示すように、イオンビームIBの傾斜角度θ1を傾斜角度範囲の中心Cに固定した状態、すなわち、傾斜角度θ1=0°の状態でも、試料の表面と裏面を均一にミリングできる。
【0110】
2. 第2実施形態
2.1. 試料加工装置
次に、第2実施形態に係る試料加工装置について、図面を参照しながら説明する。図25は、第2実施形態に係る試料加工装置200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る試料加工装置200において、第1実施形態に係る試料加工装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0111】
試料加工装置200は、図25に示すように、試料ホルダー30を傾斜させる試料ホルダー傾斜機構22を含む。試料加工装置200は、図1に示すイオン源傾斜機構20を備えていない。すなわち、試料加工装置200では、イオン源10は固定されている。
【0112】
試料ホルダー傾斜機構22は、試料ホルダー30を傾斜させる。試料ホルダー傾斜機構22が試料ホルダー30を傾斜させることによって試料Sを傾斜させることができる。試料ホルダー傾斜機構22は、例えば、モーター駆動によって試料ホルダー30を傾斜させる。
【0113】
2.2. 試料加工装置の動作
図26は、試料ホルダー30の動作を説明するための図である。なお、図26では、試
料ホルダー30に固定された試料Sの動作を示すことで、試料ホルダー30の動作を示している。
【0114】
上述した試料加工装置100では、図3に示すように、イオン源10を傾斜させることによってイオンビームIBの傾斜角度θ1を変更した。これに対して、試料加工装置200では、試料Sを傾斜させることによってイオンビームIBの傾斜角度θ1を変更する。この点を除いて試料加工装置200の動作は、試料加工装置100の動作と同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0115】
試料ホルダー傾斜機構22は、試料Sを軸Oを傾斜軸として所定の傾斜角度範囲で揺動させる。軸Oは、試料Sの上面Sa上に位置している。
【0116】
2.3. イオンビームの傾斜角度の測定方法
試料加工装置200におけるイオンビームIBの傾斜角度θ1の測定方法は、傾斜角度測定器1を傾斜させることによってイオンビームIBの傾斜角度θ1を変更する点を除いて上述した図11に示す試料加工装置100におけるイオンビームIBの傾斜角度θ1の測定方法と同様である。以下では、上述した試料加工装置100における測定方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。図27図29は、イオンビームIBの傾斜角度θ1の測定方法を説明するための図である。
【0117】
まず、図27に示すように、傾斜角度測定器1を試料加工装置200の試料台110に装着する(S100)。
【0118】
試料加工装置200では、傾斜角度測定器1を傾斜させるため、傾斜角度測定器1のスリット4をイオンビームIBの照射位置に合わせることによって、試料Sの傾斜軸となる軸OをイオンビームIBの照射位置に合わせることができる。
【0119】
次に、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させながら、傾斜角度測定器1にイオンビームIBを照射し、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iを測定する(S102)。
【0120】
試料加工装置200では、イオンビームIBの傾斜角度θ1は、試料ホルダー傾斜機構22を用いて傾斜角度測定器1を傾斜させることによって変化させる。ここでは、イオンビームIBの傾斜角度θ1は、傾斜角度測定器1(スリット4)に対するイオンビームIBの傾きである。
【0121】
次に、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量のピークを検出する(S104)。
【0122】
図28および図29に示すように、イオンビームIBの傾斜角度θ1が変化することによって、スリット4を通過するイオンビームIBの電流量Iも変化する。イオンビームIBの光軸方向とスリット4の深さ方向が一致したときに、スリット4を通過するイオンビームIBの電流量Iが最大となる。そのため、上述した試料加工装置100の例と同様に、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iのピークを検出することによって、イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できる。ピーク位置は、試料Sの傾斜角度範囲の中心Cの位置を表している。
【0123】
2.4. 試料ホルダー傾斜機構の調整方法
図30は、試料加工装置200における試料ホルダー傾斜機構22の調整方法の一例を示すフローチャートである。図31は、試料Sの傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオン
ビームIBの傾斜角度θ1が0°となるように、試料ホルダー傾斜機構22を調整した状態を示す図である。
【0124】
試料加工装置200における試料ホルダー傾斜機構22の調整方法は、イオンビームIBの電流量Iのピークに基づいて試料ホルダー傾斜機構22を調整する点を除いて、上述した図21に示す試料加工装置100におけるイオン源傾斜機構20の調整方法と同様である。以下では、上述した試料加工装置100における調整方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
【0125】
上述したイオンビームIBの傾斜角度θ1の測定方法によって、スリット4を通過するイオンビームIBの電流量Iのピークを検出する(S400)。
【0126】
次に、ピーク位置が、試料Sの傾斜角度範囲の中心Cとなるように試料ホルダー傾斜機構22を調整する(S402)。
【0127】
イオン源傾斜機構20の調整方法と同様に、試料ホルダー傾斜機構22において傾斜角度範囲の中心Cを決めるセンサーの位置をピーク位置に合わせることによって、試料ホルダー傾斜機構22を調整する。これにより、図31に示すように、試料Sの傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1を0°にできる。
【0128】
以上の工程により、試料ホルダー傾斜機構22を調整できる。
【0129】
2.5. 測定部の処理
試料加工装置200では、測定部80が、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させながら傾斜角度測定器1にイオンビームIBを照射したときのスリット4を通過した電流量Iのピークを検出し、当該ピークに基づいて試料ホルダー傾斜機構22を制御する。図32は、測定部80の処理の一例を示すフローチャートである。
【0130】
測定部80は、試料ホルダー傾斜機構22に傾斜角度測定器1の傾斜角度を変化させながら、電流測定器70で測定されたスリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iの情報を取得する(S500)。次に、測定部80は、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iのピークを検出する(S502)。これにより、イオンビームIBの傾斜角度θ1を測定できる。
【0131】
次に、測定部80は、電流量Iがピークとなる傾斜角度測定器1の傾斜角度に基づいて、試料ホルダー傾斜機構22を制御する(S504)。
【0132】
測定部80は、試料Sの傾斜角度が設定された場合に、ピーク位置が傾斜角度範囲の中心Cとなるように傾斜角度にオフセットをかける。これにより、試料Sの傾斜角度範囲の中心Cにおいて、イオンビームIBの傾斜角度θ1を0°にできる。
【0133】
2.6. 効果
試料加工装置200におけるイオンビームIBの傾斜角度の測定方法では、試料ホルダー傾斜機構22を用いて傾斜角度測定器1を傾斜させることによって、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させる。これにより、イオン源10を傾斜させることによって、イオンビームIBの傾斜角度θ1を変化させるときと同様に、傾斜角度測定器1に対するイオンビームIBの入射角度を変化させることができる。そのため、上述した試料加工装置100における測定方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0134】
試料加工装置200における試料ホルダー傾斜機構22の調整方法では、スリット4を
通過した電流量Iのピークに基づいて、試料ホルダー傾斜機構22を調整する。そのため、上述した試料加工装置100における調整方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0135】
試料加工装置200では、測定部80が電流量Iのピークを検出し、電流量Iのピークに基づいて、試料ホルダー傾斜機構22を制御する。試料加工装置200は、試料加工装置100と同様の作用効果を奏することができる。
【0136】
3. 変形例
3.1. 第1変形例
上述した第1実施形態では、傾斜角度測定器1を試料台110に設定する際に、軸Oを試料Sの上面Saの位置とし、この軸Oの位置でイオンビームIBを照射してシリコン基板102にイオンビーム痕を形成したが、軸Oの位置は特に限定されない。
【0137】
例えば、軸Oの位置が、イオンビーム痕を形成する位置から上下方向(+Z方向または-Z方向)にずれている場合、例えば、イオン源10を+A°傾けてイオンビーム痕を形成した後、イオン源10を-A°傾けてイオンビーム痕を形成することで、シリコン基板102に楕円状またはダンベル状のイオンビーム痕を形成できる。このイオンビーム痕の長手方向の中心を、イオンビームIBの照射位置とすればよい。これにより、より精度よく傾斜角度を測定できる。第2実施形態についても同様である。
【0138】
3.2. 第2変形例
図33および図34は、傾斜角度測定器1の変形例を模式的に示す断面図である。図10に示すように、傾斜角度測定器1の設置面となる第2面8bに対してスリット4の深さ方向が垂直であった。
【0139】
これに対して、図33および図34に示すように、第2面8bに対してスリット4の深さ方向が垂直でなくてもよい。このような傾斜角度測定器1では、測定された傾斜角度を、較正値を用いて較正することによって、図10に示す第2面8bに対してスリット4の深さ方向が垂直な場合と同様に、傾斜角度を測定できる。
【0140】
図35は、変形例に係る傾斜角度測定器1を用いてイオンビームIBの傾斜角度を測定した結果を示すグラフである。図35には、第2面8bを設置面としたときの電流量Iの測定結果と、第1面8aを設置面としたときの電流量Iの測定結果を示している。なお、図10に示す第2面8bに対してスリット4の深さ方向が垂直な傾斜角度測定器1を用いたときの電流量Iの測定結果を破線で示している。
【0141】
図33に示す第2面8bを設置面として上述したイオンビームIBの傾斜角度の測定方法で求めた値と、図34に示す第1面8aを設置面として上述したイオンビームIBの傾斜角度の測定方法で求めた値の中間が真の傾斜角度となる。したがって、第2面8bを設置面として測定したときの測定結果、および第1面8aを設置面として測定したときの測定結果に基づいて、第1面8aを設置面として測定するときの較正値および第2面8bを設置面として測定するときの較正値を求めることができる。
【0142】
このように、第2面8bを設置面としたときの較正値、および第1面8aを設置面としたときの較正値を求めることができるため、第2面8bに対してスリット4の深さ方向が垂直でない場合でも、第2面8bを設置面としてもよいし、第1面8aを設置面としてもよい。
【0143】
3.3. 第3変形例
上述した第1実施形態では、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iを、直接、電流測定器70で測定したが、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iを測定する手法はこれに限定されない。例えば、傾斜角度測定器1に照射されたイオンビームIBの電流量を測定することによって、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量Iを測定してもよい。イオン源10から放出されるイオンビームIBの電流量は、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量と傾斜角度測定器1に照射されたイオンビームIBの電流量の和である。そのため、傾斜角度測定器1に照射されたイオンビームIBの電流量を測定することによって、スリット4を通過したイオンビームIBの電流量を測定できる。
【0144】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
【0145】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0146】
1…傾斜角度測定器、2…基体、2a…第1部分、2b…第2部分、2b-1…基部、2b-2…先端部、4…スリット、4a…第1開口、4b…第2開口、6…マーカー、8a…第1面、8b…第2面、9a…第3面、9b…第4面、10…イオン源、20…イオン源傾斜機構、22…試料ホルダー傾斜機構、30…試料ホルダー、40…遮蔽部材、50…照明装置、60…カメラ、62…光学系、70…電流測定器、80…測定部、82…制御回路、90…位置合わせ用カメラ、100…試料加工装置、102…シリコン基板、104…ホルダー、110…試料台、200…試料加工装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35