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特開2024-32492情報処理システム、情報処理装置、端末装置、制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032492
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、端末装置、制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240305BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136169
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白須 潤一
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
(57)【要約】
【課題】 より正確に信号情報を生成する。
【解決手段】 移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成する少なくとも1個の制御部を備え、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されて前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示する第1標識と、を含み、前記少なくとも1個の制御部は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、を取得し、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記交通信号機を特定する情報である特定情報を取得し、前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報に基づいて、前記信号情報を生成する、情報処理システム。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成する制御部を備え、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、
前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、
前記制御部は、
前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、を取得し、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記交通信号機を特定する情報である特定情報を取得し、
前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報に基づいて、前記信号情報を生成する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記特定情報は、前記交通信号機と前記設置場所とを紐付ける情報であり、
前記制御部は、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報を取得し、
前記地名又は前記識別番号と前記設置場所とを紐付けた状態で記憶しているデータベースから、前記信号識別情報に含まれる前記地名又は前記識別番号に対応する前記設置場所を検出することで、前記特定情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記移動体に搭載されている端末装置と、
前記端末装置とネットワークを介して通信する情報処理装置と、
を備え、
前記制御部は、前記端末装置に含まれる第1制御部と、前記情報処理装置に含まれる第2制御部と、を有し、
前記第1制御部は、前記信号識別情報を取得し、
前記第2制御部は、前記ネットワークを介して前記情報処理装置に送信された前記信号識別情報及び前記データベースに基づいて、前記特定情報を取得する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1標識は、前記地名を表示し、
前記制御部は、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記地名を含む前記信号識別情報を取得し、
前記移動体において計測された前記灯色切り替わり時刻における前記移動体の方位を示す方位情報を取得し、
前記信号識別情報、前記方位情報及び前記データベースに基づいて、前記設置場所と、前記灯色切り替わり時刻において前記移動体が前記設置場所に流入する流入路と、を含む前記特定情報を取得する、
請求項2又は請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1標識は、前記地名を表示し、
前記制御部は、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記地名を含む前記信号識別情報を取得し、
前記移動体において計測された前記灯色切り替わり時刻における前記移動体の位置を示す位置情報を取得し、
前記データベースにおいて複数の前記設置場所が前記地名と紐付けられている場合に、複数の前記設置場所のうち前記位置情報が示す位置に最も近い前記設置場所を、前記信号識別情報に含まれる前記地名に対応する前記設置場所として検出することで、前記特定情報を取得する、
請求項2又は請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第1標識は、前記識別番号に関する情報として、前記識別番号を示す文字、又は、前記識別番号を示す文字がエンコードされたコードを表示し、
前記制御部は、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記識別番号を含む前記信号識別情報を取得し、
前記識別番号及び前記データベースに基づいて、前記設置場所と、前記灯色切り替わり時刻において前記移動体が前記設置場所に流入する流入路と、を含む前記特定情報を取得する、
請求項2又は請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記画像データは、前記交通信号機の付近に設置されて前記交通信号機の種類に関する情報を表示する第2標識をさらに含み、
前記制御部は、
予め記憶部に登録されている前記交通信号機の種類に関する情報に基づいて、前記画像データのうち前記第2標識が含まれている第2標識位置を特定し、
前記画像データのうち前記第1標識が含まれている第1標識位置を特定する際に、特定対象から前記第2標識位置を除外して、前記第1標識位置を特定し、
前記第1標識位置に示されている情報に基づいて、前記信号識別情報を取得する、
請求項2又は請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記画像データは、前記交通信号機の付近に設置されて前記交通信号機の種類に関する情報を表示する第2標識をさらに含み、
前記制御部は、
前記画像データに含まれる前記第2標識に基づいて、前記交通信号機の種類を特定する種類情報を取得し、
前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報、前記特定情報及び前記種類情報に基づいて、前記信号情報を生成する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
移動体に搭載されている端末装置とネットワークを介して通信する情報処理装置であって、
灯色切り替わり時刻、灯色情報及び特定情報に基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成する制御部を備え、
前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報は、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて取得され、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、
前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、
前記灯色切り替わり時刻は、前記交通信号機の灯色が切り替わる時刻であり、
前記灯色情報は、前記前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す情報であり、
前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて取得され、
前記特定情報は、前記交通信号機を特定する情報であり、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、
情報処理装置。
【請求項10】
移動体に搭載されている端末装置であって、
前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する制御部と、
前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する通信部と、
を備え、
前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、
前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、
前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、
前記制御部は、
前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得し、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得する、
端末装置。
【請求項11】
移動体に搭載されている端末装置であって、
前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を要求する要求信号を生成する制御部と、
ネットワークを介して、前記要求信号を情報処理装置に送信する通信部と、
を備え、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、
前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、
前記要求信号は、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報を含み、
前記情報処理装置は、前記要求信号に基づいて、前記地名又は前記識別番号に対応する前記信号情報を前記端末装置へ送信する、
端末装置。
【請求項12】
移動体に搭載されている端末装置を制御する制御方法であって、
前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する第1ステップと、
前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する第2ステップと、
を備え、
前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、
前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、
前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、
前記第1ステップは、
前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得するステップと、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得するステップと、
を含む、制御方法。
【請求項13】
移動体に搭載されている端末装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータプログラムは、コンピュータに、
前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する第1ステップと、
前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する第2ステップと、
を実行させ、
前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、
前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、
前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、
前記第1ステップは、
前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得するステップと、
前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得するステップと、
を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理装置、端末装置、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、交通信号機のサイクル長などを含む信号情報を車両の制御等に活用する技術が知られている。例えば、特許文献1には、信号情報に基づいて、交通信号機における車両の停車時間を予測し、当該停車時間の間に制御プログラムを更新できるか否かを判定する技術が開示されている。
【0003】
信号情報は、例えば、ビーコンとも称される道路側の通信装置(路側機)から車両に提供される。また、信号情報は、例えば、車載カメラで撮影された交通信号機を含む画像データに基づいて生成される(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6519708号
【特許文献2】特開2020-24715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば直線道路において車載カメラにより画像データを取得すると、直近の交通信号機以外に、ひとつ先の交差点に設置された交通信号機が画像データに含まれる場合がある。このように、画像データに基づいて信号情報を取得する場合には、画像データに複数の交通信号機が含まれる場合がある。この場合、交差点と交通信号機とを誤って対応付けしてしまい、正確な信号情報が得られないおそれがある。
【0006】
また、従来は、例えばGPS(Global Positioning Satellite)信号に基づいて画像データを取得した車両の位置を特定することで、交差点と画像データに写っている交通信号機とを対応付けしていた。誤差によりGPS信号に基づいて特定される車両の位置にズレが生じた場合、交差点と交通信号機とを誤って対応付けするおそれがある。
【0007】
本開示は、かかる従来の問題点に鑑み、より正確に信号情報を生成することができる情報処理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の情報処理システムは、移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成する制御部を備え、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、を取得し、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記交通信号機を特定する情報である特定情報を取得し、前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報に基づいて、前記信号情報を生成する、情報処理システムである。
【0009】
本開示の情報処理装置は、移動体に搭載されている端末装置とネットワークを介して通信する情報処理装置であって、灯色切り替わり時刻、灯色情報及び特定情報に基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成する制御部を備え、前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報は、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて取得され、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記灯色切り替わり時刻は、前記交通信号機の灯色が切り替わる時刻であり、前記灯色情報は、前記前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す情報であり、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて取得され、前記特定情報は、前記交通信号機を特定する情報であり、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、情報処理装置である。
【0010】
本開示の端末装置は、移動体に搭載されている端末装置であって、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する制御部と、前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する通信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得し、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得する、端末装置である。
【0011】
本開示の端末装置は、移動体に搭載されている端末装置であって、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を要求する要求信号を生成する制御部と、ネットワークを介して、前記要求信号を情報処理装置に送信する通信部と、を備え、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記要求信号は、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報を含み、前記情報処理装置は、前記要求信号に基づいて、前記地名又は前記識別番号に対応する前記信号情報を前記端末装置へ送信する、端末装置である。
【0012】
本開示の制御方法は、移動体に搭載されている端末装置を制御する制御方法であって、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する第1ステップと、前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する第2ステップと、を備え、前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、前記第1ステップは、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得するステップと、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得するステップと、を含む、制御方法である。
【0013】
本開示のコンピュータプログラムは、移動体に搭載されている端末装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する第1ステップと、前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する第2ステップと、を実行させ、前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、前記第1ステップは、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得するステップと、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得するステップと、を含む、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、より正確に信号情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す道路平面図である。
図2図2は、実施形態に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る画像データの一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る灯色データベースの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る情報処理方法の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、図6の検出処理のサブルーチンを示す図である。
図8図8は、実施形態に係る第1標識及び第2標識の位置の特定を説明する図である。
図9図9は、図6の情報取得処理のサブルーチンを示す図である。
図10図10は、実施形態に係る第1標識のバリエーションを示す図である。
図11図11は、図6の信号情報生成処理のサブルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0017】
(1)本開示の情報処理システムは、移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成する制御部を備え、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、を取得し、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記交通信号機を特定する情報である特定情報を取得し、前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報に基づいて、前記信号情報を生成する、情報処理システムである。
【0018】
このように、情報処理システムでは画像データに含まれる第1標識に基づいて、交通信号機を特定する。このため、灯色切り替わり時刻等の交通信号機の動作状態を示す情報と、交通信号機の設置場所とを正確に紐付けることができ、より正確な信号情報を生成することができる。
【0019】
(2)前記(1)の情報処理システムにおいて、前記特定情報は、前記交通信号機と前記設置場所とを紐付ける情報であり、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報を取得してもよく、前記地名又は前記識別番号と前記設置場所とを紐付けた状態で記憶しているデータベースから、前記信号識別情報に含まれる前記地名又は前記識別番号に対応する前記設置場所を検出することで、前記特定情報を取得してもよい。
【0020】
このように構成することで、第1標識に表示される地名又は識別番号に対応する設置場所により、交通信号機を特定することができる。
【0021】
(3)前記(2)の情報処理システムは、前記移動体に搭載されている端末装置と、前記端末装置とネットワークを介して通信する情報処理装置と、を備えてもよく、前記制御部は、前記端末装置に含まれる第1制御部と、前記情報処理装置に含まれる第2制御部と、を有してもよい。この場合、前記第1制御部は、前記信号識別情報を取得してもよく、前記第2制御部は、前記ネットワークを介して前記情報処理装置に送信された前記信号識別情報及び前記データベースに基づいて、前記特定情報を取得してもよい。
【0022】
一般に、前記データベースのデータ量は、前記信号識別情報よりも多い。このため、ネットワークを介して信号識別情報を送信し、送信先である第2制御部において、前記信号識別情報及び前記データベースに基づいて、前記特定情報を取得することで、通信に掛かるデータ量を低減することができる。
【0023】
(4)前記(2)又は前記(3)の情報処理システムにおいて、前記第1標識は、前記地名を表示してもよい。この場合、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記地名を含む前記信号識別情報を取得し、前記移動体において計測された前記灯色切り替わり時刻における前記移動体の方位を示す方位情報を取得し、前記信号識別情報、前記方位情報及び前記データベースに基づいて、前記設置場所と、前記灯色切り替わり時刻において前記移動体が前記設置場所に流入する流入路と、を含む前記特定情報を取得してもよい。
【0024】
このように構成することで、地名及び移動体の方位に基づいて特定情報を取得することができる。
【0025】
(5)前記(2)から前記(4)のいずれかの情報処理システムにおいて、前記第1標識は、前記地名を表示してもよい。この場合、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記地名を含む前記信号識別情報を取得し、前記移動体において計測された前記灯色切り替わり時刻における前記移動体の位置を示す位置情報を取得し、前記データベースにおいて複数の前記設置場所が前記地名と紐付けられている場合に、複数の前記設置場所のうち前記位置情報が示す位置に最も近い前記設置場所を、前記信号識別情報に含まれる前記地名に対応する前記設置場所として検出することで、前記特定情報を取得してもよい。
【0026】
このように構成することで、同じ地名の設置場所が複数存在する場合であっても、より正確な特定情報を取得することができる。
【0027】
(6)前記(2)又は前記(3)の情報処理システムにおいて、前記第1標識は、前記識別番号に関する情報として、前記識別番号を示す文字、又は、前記識別番号を示す文字がエンコードされたコードを表示してもよい。この場合、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記識別番号を含む前記信号識別情報を取得し、前記識別番号及び前記データベースに基づいて、前記設置場所と、前記灯色切り替わり時刻において前記移動体が前記設置場所に流入する流入路と、を含む前記特定情報を取得してもよい。
【0028】
このように構成することで、識別番号に基づいて特定情報を取得することができる。
【0029】
(7)前記(2)から前記(6)のいずれかの情報処理システムにおいて、前記画像データは、前記交通信号機の付近に設置されて前記交通信号機の種類に関する情報を表示する第2標識をさらに含んでもよい。この場合、前記制御部は、予め記憶部に登録されている前記交通信号機の種類に関する情報に基づいて、前記画像データのうち前記第2標識が含まれている第2標識位置を特定し、前記画像データのうち前記第1標識が含まれている第1標識位置を特定する際に、特定対象から前記第2標識位置を除外して、前記第1標識位置を特定し、前記第1標識位置に示されている情報に基づいて、前記信号識別情報を取得してもよい。
【0030】
このように構成することで、第2標識を第1標識と間違えて検出することを抑制することができ、第1標識位置と第2標識位置をより正確に特定することができる。
【0031】
(8)前記(1)から前記(7)のいずれかの情報処理システムにおいて、前記画像データは、前記交通信号機の付近に設置されて前記交通信号機の種類に関する情報を表示する第2標識をさらに含んでもよい。この場合、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記第2標識に基づいて、前記交通信号機の種類を特定する種類情報を取得し、前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報、前記特定情報及び前記種類情報に基づいて、前記信号情報を生成してもよい。
【0032】
このように構成することで、交通信号機の種類に基づいたより正確な信号情報を生成することができる。
【0033】
(9)本開示の情報処理装置は、移動体に搭載されている端末装置とネットワークを介して通信する情報処理装置であって、灯色切り替わり時刻、灯色情報及び特定情報に基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成する制御部を備え、前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報は、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて取得され、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記灯色切り替わり時刻は、前記交通信号機の灯色が切り替わる時刻であり、前記灯色情報は、前記前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す情報であり、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて取得され、前記特定情報は、前記交通信号機を特定する情報であり、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、情報処理装置である。
【0034】
このように、情報処理装置では画像データに含まれる第1標識に基づいて、交通信号機を特定する。このため、灯色切り替わり時刻等の交通信号機の動作状態を示す情報と、交通信号機の設置場所とを正確に紐付けることができ、より正確な信号情報を生成することができる。
【0035】
(10)本開示の端末装置は、移動体に搭載されている端末装置であって、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する制御部と、前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する通信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、前記制御部は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得し、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得する、端末装置である。
【0036】
このように、端末装置では画像データに含まれる第1標識に基づいて、交通信号機を特定するための信号識別情報を取得する。そして、情報処理装置は、当該信号識別情報に基づいて、信号情報を生成する。このため、灯色切り替わり時刻等の交通信号機の動作状態を示す情報と、交通信号機の設置場所とを正確に紐付けることができ、より正確な信号情報を生成することができる。
【0037】
(11)本開示の端末装置は、移動体に搭載されている端末装置であって、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を要求する要求信号を生成する制御部と、ネットワークを介して、前記要求信号を情報処理装置に送信する通信部と、を備え、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記要求信号は、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報を含み、前記情報処理装置は、前記要求信号に基づいて、前記地名又は前記識別番号に対応する前記信号情報を前記端末装置へ送信する、端末装置である。
【0038】
第1標識に基づいて取得される信号識別情報が要求信号に含まれるため、端末装置は、信号情報をより正確に要求することができる。
【0039】
(12)本開示の制御方法は、移動体に搭載されている端末装置を制御する制御方法であって、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する第1ステップと、前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する第2ステップと、を備え、前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、前記第1ステップは、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得するステップと、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得するステップと、を含む、制御方法である。
【0040】
このように制御することで、端末装置は、画像データに含まれる第1標識に基づいて、交通信号機を特定するための信号識別情報を取得する。そして、情報処理装置は、当該信号識別情報に基づいて、信号情報を生成する。このため、灯色切り替わり時刻等の交通信号機の動作状態を示す情報と、交通信号機の設置場所とを正確に紐付けることができ、より正確な信号情報を生成することができる。
【0041】
(13)本開示のコンピュータプログラムは、移動体に搭載されている端末装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて、各種の情報を取得する第1ステップと、前記各種の情報をネットワークを介して情報処理装置に送信する第2ステップと、を実行させ、前記情報処理装置は、前記各種の情報に基づいて、前記交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成し、前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されている第1標識と、を含み、前記第1標識は、前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示し、前記各種の情報は、前記交通信号機の灯色切り替わり時刻と、前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す灯色情報と、前記地名又は前記識別番号を含む信号識別情報と、を含み、前記第1ステップは、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて、前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報を取得するステップと、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて、前記信号識別情報を取得するステップと、を含む、コンピュータプログラムである。
【0042】
このように制御することで、端末装置は、画像データに含まれる第1標識に基づいて、交通信号機を特定するための信号識別情報を取得する。そして、情報処理装置は、当該信号識別情報に基づいて、信号情報を生成する。このため、灯色切り替わり時刻等の交通信号機の動作状態を示す情報と、交通信号機の設置場所とを正確に紐付けることができ、より正確な信号情報を生成することができる。
【0043】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照して、本開示の実施形態の詳細を説明する。
【0044】
[1.情報処理システム]
[1.1 情報処理システムの全体構成]
図1は、本実施形態の情報処理システム1の構成例を示す道路平面図である。
【0045】
情報処理システム1は、移動体V1に搭載されている端末装置10と、情報処理システム1のサービス提供者の管理センター等に設置されている情報処理装置20と、を備える。端末装置10と情報処理装置20は、ネットワークを介して互いに通信する。ここで、ネットワークとは、インターネット等の公衆通信網N1と、基地局N2と、を含む情報通信網のことを意味する。
【0046】
移動体V1は、道路を通行する物体であり、例えば車両(自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバス等)である。移動体V1は、路面電車等、道路を通行する物体であれば特に限定されない。移動体V1は、交通信号機5が設置されている交差点Jxに流入路Axから流入する。
【0047】
図1では、南北方向の道路と東西方向の道路とが交差する2個の隣接する交差点J1,J2と、これらの交差点J1,J2へ流入する道路(流入路)を通行する複数の移動体V1と、これらの交差点J1,J2に設置されている複数の交通信号機5と、を例示している。西側の交差点J1には、西からの流入路A1と、東からの流入路A2と、北からの流入路A3と、南からの流入路A4とがそれぞれ接続している。
【0048】
端末装置10は、複数の移動体V1にそれぞれ搭載されている。以下の説明では、特に区別する場合、流入路A1を通行する移動体V1に搭載されている端末装置10を「端末装置10a」と称し、流入路A2を通行する移動体V1に搭載されている端末装置10を「端末装置10b」と称する。
【0049】
交通信号機5は、例えば車両用の交通信号機である。なお、交通信号機5は、例えば路面電車用の交通信号機であってもよい。交通信号機5は、青灯器、黄灯器及び赤灯器の3色の灯器を含む。なお、交通信号機5に含まれる灯器は、青灯器及び赤灯器の2色のみであってもよい。
【0050】
複数の交通信号機5を特に区別する場合、交差点J1の東側の交通信号機5、すなわち流入路A1を通行する移動体V1の交差点J1への進入可否を表示する交通信号機5を「交通信号機511」と称する。また、交差点J1の西側、南側、北側の交通信号機5を「交通信号機512」、「交通信号機513」、「交通信号機514」とそれぞれ称する。同様に、交差点J2の東側、西側、南側、北側の交通信号機5を「交通信号機521」、「交通信号機522」、「交通信号機523」、「交通信号機524」とそれぞれ称する。このように、図1の例では、2個の交差点J1,J2に、合計8個の交通信号機5が設けられている。
【0051】
情報処理システム1において、端末装置10(例えば、端末装置10a)は、撮像部14により取得した画像データIM1に基づいて求められる各種の情報をネットワークを介して情報処理装置20に送信する。なお、端末装置10は、画像データIM1そのものをネットワークを介して情報処理装置20に送信してもよい。情報処理装置20は、端末装置10から送信された画像データIM1又は各種の情報に基づいて、信号情報D1を生成する。
【0052】
さらに、情報処理装置20は、端末装置10(例えば、端末装置10b)の要求に応じて、信号情報D1を端末装置10へ送信する。このように、情報処理システム1は、信号情報D1を生成する機能と、生成した信号情報D1を情報処理システム1に含まれる端末装置10に送信する機能とを有する。
【0053】
ここで、信号情報D1は、交通信号機5の将来の動作状態を表す情報である。より詳しくは、信号情報D1は、現時点から近未来までの所定期間(例えば2サイクル)における交通信号機5の動作状態を表す情報である。信号情報D1は、例えば交通信号機5の灯色サイクル(各灯色の周期的な点灯パターン)における各灯色の予定点灯時間が登録された時限表を含む。信号情報D1には、例えば以下の情報が含まれる。
【0054】
情報1:情報提供の対象となる交差点の位置及び名称
情報2:情報提供の対象となる流入路の位置及び名称
情報3:流入路に通行権を与える灯器の点灯順序と点灯時に通行可能な方向
情報4:流入路の現在の灯色内容(どの灯器が点灯しているか)
情報5:各灯器を点灯又は消灯させるタイミング(例えば、絶対時刻からの残り秒数、又は基準時刻からの残り秒数)
【0055】
[1.2 端末装置の構成]
図2は、実施形態に係る端末装置10の構成例を示すブロック図である。端末装置10は、移動体V1に搭載されているエッジコンピュータである。端末装置10は、移動体V1から取り外してユーザが携帯可能なタブレット端末、ラップトップコンピュータ又はスマートフォン等の端末装置であってもよいし、移動体V1に固定されている据え置き型の端末装置であってもよい。
【0056】
端末装置10は、制御部11と、記憶部12と、GPSセンサ13と、撮像部14と、通信部15と、読取部16と、を備える。図2では、これらの各部11~16が一体となった端末装置10を例示しているが、これらの各部11~16のうち一部の構成は端末装置10に対して外付けされていてもよい。例えば、GPSセンサ13及び撮像部14が端末装置10と別体として設けられていてもよい。
【0057】
端末装置10には、ボタン等の入力部18とディスプレイ等の表示部19とが接続されている。入力部18及び表示部19は端末装置10と別体として設けられていてもよいし、端末装置10に一体化された状態で設けられていてもよい。
【0058】
制御部11(本開示の「第1制御部」の一例)は、例えばプロセッサ等の回路構成(Circuitry)を含む。制御部11は、具体的には、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)を含む。制御部11に含まれるプロセッサは、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。制御部11は、記憶部12に記憶されているコンピュータプログラムP1を読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0059】
記憶部12は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有する。揮発性メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD、SSD(Solid State Drive)又はROM(Read Only Memory)等を含む。記憶部12は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラムP1及び各種のパラメータを記憶している。
【0060】
GPSセンサ13は、GPS(Global Positioning Satellite)からのGPS信号を定期的に受信する。GPSセンサ13は、受信したGPS信号を記憶部12に出力し、記憶部12はGPS信号を記憶する。
【0061】
制御部11は、記憶部12から読み出されるGPS信号に基づいて、GPS信号を受信した時点における移動体V1の位置を計測する。移動体V1の位置は、例えば緯度及び経度を示す座標情報として取得される。制御部11は、計測した移動体V1の位置の時系列情報に基づいて、移動体V1が進行する方位をさらに計測する。制御部11は、計測した移動体V1の位置及び方位を記憶部12に出力し、記憶部12は移動体V1の位置及び方位を記憶する。
【0062】
撮像部14は、例えば動画撮影が可能なイメージセンサを含むデジタルカメラである。撮像部14は、例えば移動体V1の前方を撮像することで、少なくとも1つの交通信号機5を含む風景を画像データIM1として取得する。撮像部14は、画像データIM1を記憶部12に出力し、記憶部12は画像データIM1を記憶する。
【0063】
ここで、画像データIM1は、撮像部14が取得する動画データに含まれる1コマの画像データである。なお、撮像部14は、定期的に(例えば1秒毎に)静止画を撮像することで、画像データIM1を取得してもよい。この場合、撮像部14は定期的に1個ずつ画像データIM1を取得する。
【0064】
通信部15は、ネットワークを介して、情報処理装置20と通信する通信インターフェースである。通信部15は、例えばアンテナを有し、移動用通信方式によって付近の基地局N2と無線通信する。移動用通信方式は、例えば3G(第3世代移動通信システム)、4G/LTE(第4世代移動通信システム/Long Term Evolution、LTEは登録商標)又は5G(第5世代移動通信システム)等の移動通信に関する通信方式である。
【0065】
読取部16は、コンピュータが読取り可能な記録媒体17から情報を読み取る。記録媒体17は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部16は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体17にはコンピュータプログラムP1及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体17を読取部16に読み取らせることで、コンピュータプログラムP1及び各種のパラメータが記憶部12の不揮発性メモリに記憶される。
【0066】
[1.3 画像データの一例]
図3は、実施形態に係る画像データIM1の一例を示す図である。図3の画像データIM1は、交差点J1を西側から写した画像データであり、図1の端末装置10aによって取得される。画像データIM1は、交通信号機5と、交通信号機5の付近に設置されている第1標識53及び第2標識54とを含む。図3の例では、画像データIM1は2個の交通信号機511,521を含む。すなわち、画像データIM1には、交差点J1に設置されている交通信号機511と、そのひとつ先の交差点J2に設置されている交通信号機521とが写っている。
【0067】
画像データIM1に基づいて信号情報D1を生成する場合、例えば画像データIM1に含まれている交通信号機5の状態(例えば、灯色)と、画像データIM1を取得した時刻と、画像データIM1を取得した時刻における移動体V1の位置及び方位に基づいて、信号情報D1を生成することが考えられる。
【0068】
しかしながら、図3のように画像データIM1に複数の交通信号機5が含まれる場合、例えば交通信号機511に関する信号情報D1を生成するつもりで、誤って交通信号機521の灯色から情報を取得してしまい、交差点J1と交通信号機521とを誤って紐づけた信号情報D1が生成されるおそれがある。
【0069】
また、例えば悪天候の日等にはGPS信号に誤差が生じやすく、実際には移動体V1が交差点J1に流入する流入路A1に位置しているのに、制御部11が移動体V1の位置を交差点J2に西側から流入する流入路に位置していると誤って測定する場合がある。この場合、信号情報D1を生成する際に、交通信号機511の設置場所Zx(実際は交差点J1)を交差点J2に誤って設定することで、交差点J2と交通信号機511とを誤って紐づけた信号情報D1が生成されるおそれがある。
【0070】
このように、画像データIM1に含まれている交通信号機5から情報を取得するだけでは、正確な信号情報D1が得られないおそれがある。このため、本実施形態では、画像データIM1のうち、交通信号機5の他に、第1標識53及び第2標識54からも情報を取得することで、生成される信号情報D1の正確性を向上させる。
【0071】
第1標識53は、交通信号機5の設置場所Zxに関する情報を表示する標識であり、例えば設置場所Zxの地名を表示する標識である。第1標識53は、例えば長方形状の白地の板であり、縁付近が青枠線により囲まれている。青枠線の内部には、「A町1」等、設置場所Zxの地名が記載されている。
【0072】
第1標識53は、例えば交通信号機5の上側、下側、又は道路脇側(日本の場合は、図3に示すように交通信号機5に向かって左側)に近接して設置されている。第1標識53は、例えば交通信号機5を支持する柱55に設置されている。
【0073】
第2標識54は、交通信号機5の種類(信号種別)に関する情報を表示する標識である。第2標識54は、例えば長方形状の白地の板であり、「時差式信号」、「車両感応式信号」、「押ボタン式信号」又は「歩車分離式信号」等、交通信号機5の種類に関する文字が記載されている。第2標識54は、第1標識53と同様に、交通信号機5の上側、下側、又は道路脇側に近接して設置されている。
【0074】
[1.4 情報処理装置の構成]
図4は、実施形態に係る情報処理装置20の構成例を示すブロック図である。情報処理装置20は、管理センター等、端末装置10とは離れて位置する施設に設置されている装置である。情報処理装置20は、サーバコンピュータ21と、データベース群22と、入力部23と、表示部24と、を備える。
【0075】
サーバコンピュータ21は、例えばワークステーションである。サーバコンピュータ21は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、読取部34と、を備える。
【0076】
制御部31(本開示の「第2制御部」の一例)は、制御部11と同様に、例えばプロセッサ等の回路構成(Circuitry)を含む。制御部31は、記憶部32に記憶されているコンピュータプログラムP2を読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0077】
記憶部32は、記憶部12と同様に、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有する。記憶部32は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラムP2及び各種のパラメータを記憶している。
【0078】
通信部33は、ネットワークを介して、端末装置10と通信する通信インターフェースである。通信部33は、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルにより施設内のルーターに接続され、当該ルーターと有線通信を行う。ルーターは、例えば有線又は無線により公衆通信網N1に接続されている。なお、通信部33は、通信部15と同様にアンテナを有し、移動用通信方式によって付近の基地局N2と無線通信してもよい。
【0079】
読取部34は、コンピュータが読取り可能な記録媒体35から情報を読み取る。記録媒体35は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部34は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体35にはコンピュータプログラムP2及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体35を読取部34に読み取らせることで、コンピュータプログラムP2及び各種のパラメータが記憶部32の不揮発性メモリに記憶される。
【0080】
データベース群22は、例えば記憶部32とは別領域のメモリ(外部記憶装置等)であり、所定のデータ配列により構築される電子データを含む。データベース群22は、地図データベース41と、灯色データベース42と、信号情報データベース43とを含む。
【0081】
地図データベース41は、道路地図データベース44と、地名データベース45とを含む。道路地図データベース44は、所定の地域(例えば、国内)を網羅する「交差点データ」と「リンクデータ」とを含む。「交差点データ」は、国内の交差点Jxに付与された交差点IDと、交差点Jxの位置情報とを対応付けたデータである。「リンクデータ」は、国内の道路に対応して付与された特定リンクのリンクIDに対して、次の情報を対応付けたデータである。
【0082】
情報A:特定リンクの始点・終点・補間点の位置情報
情報B:特定リンクの始点・終点・補間点の方位情報
情報C:特定リンクの始点に接続するリンクID
情報D:特定リンクの終点に接続するリンクID
【0083】
道路地図データベース44は、実際の道路線形と道路の走行方向に対応した道路ネットワークを構成する。具体的には、道路地図データベース44は、交差点Jx等を表すノードND1を、道路を表す有向リンクLN1で繋いだ道路ネットワークを含む。
【0084】
道路ネットワークは、例えば交差点Jxごとに設定されたノードND1と、隣接するノードND1の間を繋ぐ往路及び復路の一対の有向リンクLN1と、を含む有向グラフである。なお、道路が一方通行である場合には、隣接するノードND1の間は往路のみの有向リンクLN1によって接続される。
【0085】
地名データベース45は、例えば所定のテーブル形式のデータベースであり、交差点Jxごとの地名と、当該交差点Jxの位置と、当該交差点Jxに設置されている交通信号機5に個別に割り振られた識別番号SN1と、がそれぞれ紐付けられた状態で記憶されている。
【0086】
例えば、地名データベース45は、交差点J1の地名「A町1」と、交差点J1の位置(すなわち、交通信号機511から交通信号機514までのそれぞれの設置場所Z1)と、交差点J1に設置されている交通信号機511から交通信号機514までの4個の交通信号機5の識別番号「SIG041-1234-A1」、「SIG041-1234-A2」、「SIG041-1234-A3」、「SIG041-1234-A4」と、を紐付けた状態で記憶している。
【0087】
ここで、識別番号SN1は、所定の地域(例えば、国内又は県内)において交通信号機5に個別に割り振られた番号であり、当該所定の地域内において同じ識別番号SN1は2個以上の交通信号機5には割り振られない。すなわち、識別番号SN1を特定すれば、当該所定の地域内における1個の交通信号機5を特定することができる。図4に例示する識別番号SN1は、アルファベットと数字とを含むが、識別番号SN1は数字のみを含んでもよい。
【0088】
識別番号SN1は、例えば、交通信号機5が設置されている地域(都道府県等)を示す地名コード(「041」等)と、当該地域内の個々の交差点Jxに割り振られた交差点コード(「1234」等)と、交差点Jxに接続する流入路Axの別を示す流入路コード(「A1」等)とを含む。なお、識別番号SN1は、流入路コードを含まなくてもよい。この場合、同じ交差点Jxに設置されている複数の交通信号機5に、同じ識別番号SN1がそれぞれ割り振られてもよい。
【0089】
図5は、灯色データベース42の一例を示す図である。
灯色データベース42は、灯色切り替わり情報D2と特定情報D3とを所定のテーブル形式のデータとして記憶している。灯色切り替わり情報D2は、交通信号機5の灯色が切り替わる時刻である「灯色切り替わり時刻TM1」(以下、単に「時刻TM1」とも称する。)と、時刻TM1の前後における交通信号機5の灯色を示す灯色情報D4と、を含む。
【0090】
時刻TM1は、交通信号機5の灯色の切り替わりが発生した時刻値(例えば、t1,t2又はt3)を含む。
【0091】
灯色情報D4は、交通信号機5の灯色が変化する直前の灯色を示す「前色情報」と、交通信号機5の灯色が変化した直後の灯色を示す「後色情報」とを含む。前色情報及び後色情報は、例えばG(青灯色),Y(黄灯色)又はR(赤灯色)により示される。
【0092】
特定情報D3は、交通信号機5を特定するための情報である。特定情報D3は、具体的には、交通信号機5とその設置場所Zxを紐付ける情報であり、例えば交通信号機5の設置場所Zx(例えば、交差点Jxの位置であり、道路地図データ44の交差点ID)と、当該交通信号機5が進入可否を制御する流入路Axを識別する情報(例えば、道路地図データ44のリンクID)とを含む。なお、特定情報D3は、流入路Axを識別する情報を含まなくてもよい。例えば一方通行の道路で設置場所Zxへの流入路Axが1個しかなく、設置場所Zxに交通信号機5が1個しか設置されていない場合、設置場所Zxを特定すれば1個の交通信号機5を特定することができる。
【0093】
信号情報データベース43は、信号情報D1を格納する。制御部31は、交通信号機5ごとに信号情報D1を生成し、生成した信号情報D1を信号情報データベース43に格納する。
【0094】
入力部23及び表示部24は、サーバコンピュータ21に接続されている。入力部23は、マウス及びキーボード等の入力機器を含み、ユーザからの操作を信号に変換してサーバコンピュータ21に入力する。表示部24は、ディスプレイ及びスピーカ等の表示機器を含み、ユーザに各種の情報を表示する。
【0095】
[1.5 情報処理方法]
図6は、実施形態に係る情報処理方法の一例を示すシーケンス図である。情報処理システム1は、主に、端末装置10の制御部11と、情報処理装置20の制御部31とが各種の処理を実行することで、以下の情報処理方法を実現する。すなわち、情報処理方法は、情報処理システム1に含まれている少なくとも1個の制御部11,31によって実行される。
【0096】
以下の情報処理方法は、大きく分けて「信号情報D1を生成する」第1フェーズと、「信号情報D1を提供する」第2フェーズとを含む。第1フェーズでは、情報処理装置20が端末装置10aから送信される情報に基づいて信号情報D1を生成する。第2フェーズでは、端末装置10bの要求に応じて、情報処理装置20が端末装置10bに信号情報D1を提供する。
【0097】
[1.5.1 第1フェーズ:信号情報の生成]
はじめに、端末装置10aはセンシング処理を実行する(ステップS11)。センシング処理において、端末装置10aのGPSセンサ13はGPS信号を取得し、GPS信号とGPS信号を取得した時刻とを対応付けた状態で記憶部12に出力する。また、端末装置10aの撮像部14は画像データIM1を取得し、画像データIM1と画像データIM1を取得した時刻とを対応付けた状態で記憶部12に出力する。記憶部12は、これらの情報をそれぞれ記憶する。センシング処理は、定期的(例えば、1秒毎)に実行される。
【0098】
次に、端末装置10aは検出処理を実行する(ステップS12)。検出処理は、センシング処理において取得した画像データIM1に基づいて、画像データIM1に含まれる交通信号機5、第1標識53及び第2標識54のそれぞれの位置を特定する処理である。
【0099】
図7は、検出処理のサブルーチンを示す図である。検出処理において、まず、端末装置10aの制御部11は、画像データIM1に含まれる交通信号機5の位置を特定する(ステップS41)。
【0100】
例えば、制御部11は、記憶部12から、記憶部12に予め記憶されている交通信号機5のモデル画像(平均的な交通信号機5の画像)と、画像データIM1とを読み出す。そして、制御部11は、画像データIM1に対してモデル画像のパターンマッチングを行い、画像データIM1のうちマッチングスコアが高い画素領域AR1(すなわち、交通信号機5が写っている可能性が高い領域)に含まれる位置PS1(例えば、中心位置)を交通信号機5の位置として特定する。制御部11は、例えば画像データIM1の画素の座標値(画像上の座標値)として、交通信号機5の位置を特定し、当該座標値を記憶部12に記憶させる。
【0101】
画像データIM1に複数の交通信号機5が写っている場合、画像データIM1のうちマッチングスコアが高い領域が複数箇所検出されることがある。この場合、制御部11は、マッチングスコアが高い複数の領域のうち、最も面積の広い領域(すなわち、交通信号機5がより大きく写っている領域)に含まれる位置を、交通信号機5の位置として特定する。
【0102】
なお、画像データIM1のうち交通信号機5が写っている位置を特定する際、パターンマッチング以外の公知の手法を用いてもよい。例えば、青灯器、黄灯器及び赤灯器の少なくとも1色に対応する画素を検出することで、交通信号機5の位置を特定してもよい。
【0103】
次に、制御部11は、画像データIM1に含まれる第2標識54の位置を特定する(ステップS42)。例えば、制御部11は、記憶部12から、記憶部12に予め記憶されている交通信号機5の種類に関する文字情報を読み出す。文字情報は、例えば「時差式」、「感応式」、「押ボタン式」及び「歩車分離式」等の文字を示す情報である。
【0104】
図8は、第1標識53及び第2標識54の位置の特定を説明する図である。
制御部11は、ステップS41にて特定した交通信号機5の位置PS1の付近の画素領域AR2,AR3,AR4に対して、読み出した文字情報のパターンマッチングを行う。
【0105】
画素領域AR2,AR3,AR4は、画像データIM1内において、交通信号機5としてマッチングした画素領域AR1に対し、上側、下側及び道路脇側にそれぞれ隣接する領域である。具体的には、画素領域AR1の面積をそのまま、上側にシフトさせた領域が画素領域AR2であり、同様に、画素領域AR1を下側及び道路脇側にシフトさせた領域が画素領域AR3,AR4である。
【0106】
また、制御部11は、画素領域AR4に代えて、又は画素領域AR4に加えて、読み出した文字情報のパターンマッチングを画素領域AR5に対して行ってもよい。画素領域AR5は、画像データIM1のうち交通信号機5を支持する柱55を含む領域である。例えば、制御部11は、画像解析により交通信号機5に接続する柱55の縦棒55a及び横棒55bを抽出し、柱55の幅を所定倍した領域を画素領域AR5として指定する。
【0107】
なお、第1標識53及び第2標識54は、通常、柱55の上部に設けられる。このため、制御部11は、画素領域AR5として柱55の下半分を指定せずに、柱55の上半分のみを指定してもよい。また、第1標識53及び第2標識54は、縦棒55aのうち横棒55bと接続する領域、又は横棒55bに設けられることが多い。このため、制御部11は、横棒55bを含む領域と、縦棒55aのうち横棒55bと接続する領域と、を画素領域AR5として指定してもよい。
【0108】
制御部11は、画素領域AR2,AR3,AR4(又はAR5)のうちマッチングスコアが高い領域(すなわち、第2標識54が写っている可能性が高い領域)に含まれる位置を第2標識54の位置として特定する。図8の例では、画素領域AR3がマッチングスコアの高い領域となり、制御部11は画素領域AR3に含まれる位置(例えば、中心位置)を第2標識54の位置として特定する。制御部11は、例えば画像データIM1の画素の座標値(画像上の座標値)として、第2標識54の位置を特定し、当該座標値を記憶部12に記憶させる。
【0109】
なお、画像データIM1のうち第2標識54が写っている位置を特定する際、パターンマッチング以外の公知の手法を用いてもよい。例えば、制御部11は、先に交通信号機5の位置の付近の画素領域AR2,AR3,AR4(又はAR5)に対して文字認識処理を実行し、当該処理によって認識された文字が、読み出した文字情報を含む場合に、当該画素領域を含む位置を第2標識54の位置として特定してもよい。
【0110】
なお、交通信号機5が時差式等の特殊な種類に属さないノーマルな信号機である場合、交通信号機5の付近に第2標識54は設けられない。このため、制御部11はステップS42において第2標識54の位置が特定されない場合、「第2標識54なし」とする情報を記憶部12に記憶させてもよい。この場合、制御部11は次のステップS43をスキップして、後述のステップS44を実行する。
【0111】
続いて、制御部11は、画像データIM1に含まれる第1標識53の位置を特定する前に、ステップS42において特定した第2標識54の位置を特定対象から除外する(ステップS43)。例えば、制御部11は、特定した第2標識54の位置を含む所定の画素領域(例えば、ステップS42においてマッチングスコアが所定値を超えて高かった領域)を特定対象から除外する。図8の例では、制御部11は画素領域AR3を特定対象から除外する。
【0112】
最後に、制御部11は、画像データIM1に含まれる第1標識53の位置を特定する(ステップS44)。例えば、制御部11は、画素領域AR3を除いた状態で、画素領域AR1の付近に位置する画素領域AR2,AR4(又はAR5)に対し、例えば「白地の長方形」又は「白地の長方形であり、当該長方形の縁部分に青枠を含む」モデル画像によりパターンマッチングを行い、第1標識53が含まれる領域を検出する。そして、制御部11は、当該領域に含まれる位置を第1標識53の位置として特定し、当該位置を記憶部12に記憶させる。図8の例では、制御部11は画素領域AR4に含まれる位置を第1標識53の位置として特定する。以上により、検出処理が終了する。
【0113】
第2標識54に表記されている文字は「時差式」、「感応式」等に限られているため、画像データIM1において、制御部11は、第2標識54の位置を第1標識53の位置よりも正確に特定しやすい。このため、制御部11は、第1標識53の位置を特定するよりも先に第2標識54の位置を特定し、その位置を第1標識53の位置を特定するための対象領域から除外する。これにより、第2標識54を第1標識53と間違えて検出することを抑制することができ、第1標識53及び第2標識54のそれぞれの位置をより正確に特定することができる。
【0114】
なお、制御部11は検出処理において、第2標識54の位置を特定しなくてもよい。この場合、制御部11は、ステップS42及びステップS43を省略して、ステップS44を実行する。
【0115】
図6を参照する。検出処理により、交通信号機5、第1標識53及び第2標識54の位置をそれぞれ特定した後、制御部11は信号切り替わり情報D2等を含む各種の情報を取得する情報取得処理を実行する(ステップS13)。
【0116】
図9は、情報取得処理のサブルーチンを示す図である。情報取得処理において、制御部11は、まず灯色切り替わり時刻TM1を取得する(ステップS51)。具体的には、制御部11は、時間的に連続する2個の画像データIM1において、交通信号機5の灯色に変化がある場合に、その変化が生じた画像データIM1の取得時刻を時刻TM1として取得する。例えば、制御部11は、時間的に連続する2個の画像データIM1において、交通信号機5を含む画素領域AR1に所定値以上の差分(例えば、輝度の変化)が生じた場合に、交通信号機5の灯色が切り替わったと判定する。
【0117】
次に、制御部11は、灯色情報D4を取得する(ステップS52)。具体的には、制御部11は、画像データIM1の輝度等に基づいて、変化前の画像データIM1における交通信号機5の灯色を前色情報として取得し、変化後の画像データIM1における交通信号機5の灯色を後色情報として取得する。これにより、制御部11は、灯色切り替わり情報D2(時刻TM1及び灯色情報D4を含む情報)を取得する。
【0118】
続いて、制御部11は、GPS信号に基づいて、位置情報D5及び方位情報D6を取得する(ステップS53)。位置情報D5は、時刻TM1における移動体V1の位置を示す情報である。位置情報D5は、例えば、時刻TM1における移動体V1の座標値(例えば、緯度及び経度を含む値)を含む。
【0119】
方位情報D6は、時刻TM1における移動体V1の方位を示す情報である。方位情報D6は、時刻TM1における移動体V1の方位値(例えば、北向きを0度とした右回りの角度値)を含む。
【0120】
次に、制御部11は、画像データIM1に含まれる第1標識53に基づいて、信号識別情報D7を取得する(ステップS54からステップS56)。信号識別情報D7は、画像データIM1中の第1標識53に表示されている地名又は識別番号SN1を含む情報である。制御部11は、第1標識53の表示に基づいて、ステップS55又はステップS56を実行する。
【0121】
図10は、実施形態に係る第1標識53のバリエーションを示す図である。図3及び図10では、交通信号機5の設置場所Zxに関する情報(例えば、地名)が表示された第1標識53を例示している。しかしながら、第1標識53には、交通信号機5の設置場所Zxに関する情報の他に、交通信号機5に個別に割り振られた識別番号SN1に関する情報が表示されていてもよい。
【0122】
例えば、図10中の(a)に示すように、第1標識53は、交通信号機5の設置場所Zxを示す文字である日本語地名表記TX1及び英語地名表記TX2と、識別番号SN1を示す文字である英数字コードC1とが表示されている。
【0123】
また、図10中の(b)に示す第1標識53のように、識別番号SN1に関する情報は、1次元コードC2(例えば、バーコード)であってもよい。1次元コードC2は、例えば識別番号SN1を示す文字がエンコードされたコードである。
【0124】
また、図10中の(c)に示す第1標識53のように、識別番号SN1に関する情報は、2次元コードC3(例えば、QRコード(登録商標))であってもよい。2次元コードC3は、例えば識別番号SN1を示す文字と、後述のURL情報とがエンコードされたコードである。
【0125】
制御部11は、画像データIM1に基づいて、第1標識53に識別番号SN1に関する情報が表示されているか否かを判定する(ステップS54)。例えば、制御部11は、画像データIM1のうちステップS44において第1標識53として特定された画素領域AR4に対して文字認識処理及びコード認識処理を行う。そして、文字認識処理によって英数字コードC1を認識した場合、又は、コード認識処理によって1次元コードC2もしくは2次元コードC3を認識した場合(ステップS54のYES)、ステップS55に進む。
【0126】
一方、制御部11は、文字認識処理及びコード認識処理の結果、英数字コードC1、1次元コードC2及び2次元コードC3のいずれも認識しない場合(ステップS54のNO)、ステップS56に進む。
【0127】
なお、制御部11はステップS54,ステップS55を行わず、ステップS53の実行後、すぐにステップS56を実行してもよい。例えば、現時点において、道路上に設置されている第1標識53には、通常、英数字コードC1、1次元コードC2及び2次元コードC3は表示されておらず、これらのコードC1~C3を第1標識53に付すにはインフラ整備が必要である。このため、当該インフラ整備が地域的又は全国的になされるまで、制御部11はステップS54,ステップS55を省略してもよい。
【0128】
また、当該インフラ整備が進んで、これらのコードC1~C3が全国的に普及した場合、制御部11はステップS54,ステップS56を行わず、ステップS53の実行後、すぐにステップS55を実行してもよい。
【0129】
ステップS55において、制御部11は第1標識53に表示されている識別番号SN1に関する情報から、識別番号SN1を含む信号識別情報D7を取得する。例えば、制御部11は英数字コードC1を文字認識することで、「SIG041-2398A1」という識別番号SN1を含む信号識別情報D7を取得する。また、制御部11は、1次元コードC2又は2次元コードC3をデコードすることで、識別番号SN1を含む信号識別情報D7を取得する。制御部11は、取得した信号識別情報D7を記憶部12に記憶させる。
【0130】
ステップS56において、制御部11は第1標識53に表示されている設置場所に関する情報から、地名を含む信号識別情報D7を取得する。例えば、制御部11は第1標識53を文字認識することで、「A町1」(図10の例では「A駅入口」)という地名を含む信号識別情報D7を取得する。制御部11は、取得した信号識別情報D7を記憶部12に記憶させる。
【0131】
次に、制御部11は画像データIM1に含まれる第2標識54に基づいて、交通信号機5の種類を特定する種類情報D8を取得する(ステップS57)。種類情報D8は、例えば「時差式」、「感応式」等の交通信号機5の種類を示す文字情報であってもよいし、交通信号機5の種類ごとに割り振られた番号情報(例えば、時差式=1、感応式=2)であってもよい。以上により、制御部11は情報取得処理を終了する。
【0132】
図6を参照する。情報取得処理の後、端末装置10aは灯色切り替わり情報D2(灯色切り替わり時刻TM1及び灯色情報D4を含む情報)と、位置情報D5と、方位情報D6と、信号識別情報D7と、種類情報D8とを、ネットワークを介して情報処理装置20に送信する。具体的には、制御部11の動作指令に基づいて、通信部15がこれらの情報D2,D5,D6,D7,D8を情報処理装置20に送信する。
【0133】
情報処理装置20は、端末装置10aから送信されたこれらの情報D2,D5,D6,D7,D8に基づいて、信号情報D1を生成する(ステップS31)。
【0134】
図11は、信号情報生成処理のサブルーチンを示す図である。情報処理装置20の制御部31が行う処理は、信号識別情報D7が識別番号SN1を含むか、地名を含むかによって場合分けされる(ステップS61)。
【0135】
信号識別情報D7が識別番号SN1を含む場合(すなわち、制御部11がステップS55を実行した場合)、制御部31は、地図データベース41に含まれる地名データベース45のうち、信号識別情報D7に含まれる識別番号SN1と一致する設置場所Zx及び流入路Axを特定する(ステップS62)。例えば、識別番号SN1が「SIG041-1234-A1」である場合、制御部31は地名データベース45内を「SIG041-1234-A1」により検索し、識別番号SN1と一致する設置場所Z1及び流入路A1を特定する。
【0136】
信号識別情報D7が地名を含む場合(すなわち、制御部11がステップS56を実行した場合)、制御部31は、地図データベース41に含まれる地名データベース45のうち、信号識別情報D7に含まれる地名と一致する設置場所Zxを、設置場所Zxの候補としてピックアップする(ステップS63)。
【0137】
全国には、同じ地名が複数存在する場合があるため、地名のみにより交通信号機5の正確な設置場所Zxを特定することが困難なことがある。そこで、ステップS63において、制御部31は、信号識別情報D7に含まれる地名と同じ地名を有する設置場所Zxを地名データベース45からピックアップする。例えば、信号識別情報D7に含まれる地名が「A町1」である場合、制御部31は地名データベース45から大阪府の「A町1」と、東京都の「A町1」と、北海道の「A町1」という、複数の候補をピックアップする。
【0138】
次に、制御部31は、複数の候補のうち、位置情報D5が示す位置に最も近い候補を、設置場所Zxとして特定する。例えば、位置情報D5が示す位置が大阪府内である場合、制御部31は地名データベース45において大阪府の「A町1」として登録されている交差点J1の位置を、信号識別情報D7が示す交通信号機5の設置場所Zxとして特定する。
【0139】
次に、制御部31は、方位情報D6に基づいて、流入路Axを特定する(ステップS65)。例えば、交差点J1には4個の流入路Axが接続しているため、「A町1」という地名のみではいずれの流入路Axに対応する交通信号機5であるかを特定することが困難な場合がある。このため、制御部31は、方位情報D6に基づいて、交差点Jxへの流入方向が移動体V1の方位(移動方向)に一致する流入路Axを特定する。例えば、ステップS64において設置場所Z1(=交差点J1の位置)が特定されている場合に、方位情報D6が東向きの方位を示す場合、制御部31は流入路A1を特定する。
【0140】
以上のステップS62(又は、ステップS63からステップS65)により、信号識別情報D7及び地図データベース41を対応付けすることで、画像データIM1に含まれる交通信号機5の設置場所Zx及び流入路Axが特定される。制御部31は、特定した設置場所Zx及び流入路Axを示す情報を含む特定情報D3を生成する(ステップS66)。
【0141】
次に、制御部31は、特定情報D3と、灯色切り替わり時刻TM1と、灯色情報D4と、種類情報D8とを、灯色データベース42に蓄積する(ステップS67)。
【0142】
その後、制御部31は、灯色データベース42に蓄積された特定情報D3と、灯色切り替わり時刻TM1と、灯色情報D4と、種類情報D8とを用いて、流入路Axごとに、交通信号機5の灯色の遷移パターンと切り替わり時刻を推定する(ステップS68)。例えば、制御部31は、流入路A1に対応する所定数以上(例えば、10回分)の時刻TM1、前色情報及び後色情報に基づいて、流入路A1における灯色の遷移パターンを推定して、各灯色切り替わり時刻の統計値(例えば平均値又は中央値)を算出する。
【0143】
推定の際に、制御部31は種類情報D8に基づいて、当該遷移パターンを推定する。例えば、流入路A1の交通信号機5(具体的には交通信号機511)がボタン式信号機又は感応式信号機の場合、青点灯から黄点灯までの時間は遷移パターンとして取得する意味があるが、黄点滅から赤点灯まで(又は、赤点灯から青点灯まで)の時間はボタン等が押されるタイミングに依存するため、遷移パターンとして取得する意味がほとんどない。このような場合、制御部31は種類情報D8に基づいて、推定する遷移パターンを限定してもよい。このように、種類情報D8に基づくことで、より正確な信号情報D1を生成することができる。
【0144】
制御部31は、推定した遷移パターン及び灯色切り替わり時刻TM1に基づいて、信号情報D1を生成する。制御部31は、生成した信号情報D1を信号情報データベース43に記録し、ステップS68を終了する。
【0145】
以上により、情報処理方法の第1フェーズ(信号情報D1の生成)が終了する。上記のように、情報処理システム1では、画像データIM1に含まれる第1標識53の表示に基づいて取得される信号識別情報D7に基づいて、交通信号機5の設置場所Zxを特定する。このため、例えば画像データIM1に複数の交通信号機5が含まれる場合や、GPS信号に誤差がある場合であっても、交差点Jxの流入路Axと交通信号機5とが正確に紐付けられた信号情報D1を生成することができる。
【0146】
また、本実施形態では、端末装置10aが画像データIM1自体を情報処理装置20に送信するのではなく、端末装置10aにおいて画像データIM1から灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4、信号識別情報D7及び種類情報D8を取得した上で、これらの情報TM1,D4,D7,D8を、位置情報D5及び方位情報D6とともにネットワークを介して情報処理装置20に送信している。このため、端末装置10aが画像データIM1を情報処理装置20に送信する場合と比べて、通信に掛かるデータ量を低減することができる。
【0147】
また、端末装置10aにおいてこれらの情報TM1,D4,D7,D8を取得する処理を実行するため、情報処理装置20におけるデータ処理の負荷を低減することができる。情報処理システム1は、例えば複数の端末装置10と1個の情報処理装置20とを含む。複数の端末装置10においてそれぞれ情報TM1,D4,D7,D8を取得する処理を分担することで、情報処理システム1に含まれる端末装置10の個数が増えた場合にも、情報処理装置20におけるデータ処理の負荷が過大となることを抑制することができる。
【0148】
また、端末装置10aにおいて信号識別情報D7を取得する一方で、信号識別情報D7に含まれる地名等の情報と、地名データベース45に含まれる設置場所Zx及び流入路Axとの対応付けは情報処理装置20にて実行する。すなわち、特定情報D3の生成は、情報処理装置20において実行される。端末装置10aにおいて特定情報D3を実行するには、端末装置10aのメモリに地名データベース45をダウンロードするか、ネットワークを介して端末装置10aが都度、地名データベース45にアクセスする必要があり、通信に掛かるデータ量が増大するおそれがある。
【0149】
このため、本実施形態では、端末装置10aにおいて信号識別情報D7を取得し、信号識別情報D7をネットワークを介して情報処理装置20に送信し、地名データベース45にネットワークを介さずにアクセス可能な情報処理装置20において特定情報D3を生成する。これにより、通信に掛かるデータ量を低減することができる。
【0150】
[1.5.2 第2フェーズ:信号情報の提供]
図6を参照する。次に、情報処理方法の第2フェーズ(信号情報D1の提供)を説明する。端末装置10bは、例えば自身が搭載される移動体V1の通行に活用するために、情報処理装置20に対して信号情報D1を要求する。このとき、端末装置10bは、どの設置場所Zxの、どの流入路Axの信号情報D1を要求するかの指定を行うことで、より有用な信号情報D1を要求することができる。
【0151】
端末装置10bは、はじめにセンシング処理を実行する(ステップS21)。当該センシング処理は、ステップS11にて説明する端末装置10aのセンシング処理と同じ処理である。これにより、端末装置10bは、GPS信号と画像データIM1とを定期的に取得する。
【0152】
次に、端末装置10bの制御部11は、検出処理を実行する(ステップS22)。当該検出処理は、ステップS12にて説明する端末装置10aの検出処理と同じ処理である。これにより、端末装置10bは画像データIM1に含まれる交通信号機5、第1標識53及び第2標識54のそれぞれの位置を特定する。
【0153】
続いて、端末装置10bの制御部11は、要求信号SG1を生成する処理を実行する(ステップS23)。要求信号SG1は、情報処理装置20に対して、信号情報D1の送信を要求する信号である。
【0154】
ステップS23において、制御部11ははじめに、GPS信号に基づいて位置情報D5及び方位情報D6を取得する。制御部11は、例えばステップS53(図9)と同様に、位置情報D5及び方位情報D6を取得する。次に、制御部11は、画像データIM1に基づいて信号識別情報D7を取得する。制御部11は、例えばステップS54からステップS56と同様に、第1標識53に表記されている情報を文字認識処理等することによって、信号識別情報D7を取得する。
【0155】
最後に、制御部11は、信号識別情報D7に基づいて要求信号SG1を生成する。例えば、制御部11は、信号情報D1を要求する旨の情報と、位置情報D5と、方位情報D6と、信号識別情報D7とを含む要求信号SG1を生成する。以上により、ステップS23が終了する。
【0156】
端末装置10bは、要求信号SG1を情報処理装置20に送信する(ステップS24)。具体的には、端末装置10bの通信部15が、ネットワークを介して、要求信号SG1を情報処理装置20に送信する。情報処理装置20の通信部33は、受信した要求信号SG1を制御部31に出力する。
【0157】
情報処理装置20の制御部31は、要求信号SG1に基づいて、端末装置10bに提供する信号情報D1を生成する(ステップS32)。ステップS32において、制御部31は、はじめに、要求信号SG1に含まれる位置情報D5、方位情報D6及び信号識別情報D7に基づいて、特定情報D3を生成する。例えば、制御部31はステップS61からステップS66(図11)と同様の処理により、特定情報D3を生成する。
【0158】
次に、制御部31は、特定情報D3によって特定される交通信号機5の信号情報D1を信号情報データベース43から読み出す。
【0159】
ここで、要求信号SG1に含まれる信号情報D1を要求する旨の情報が、移動体V1が現に面している交通信号機5(すなわち、画像データIM1に含まれている交通信号機5)の信号情報D1だけでなく、移動体V1が近い将来に通過する予定の交差点Jxに設置されている交通信号機5の信号情報D1も要求する場合がある。この場合、制御部31は、信号情報D1を要求する旨の情報に基づいて、複数の信号情報D1を信号情報データベース43から読み出す。
【0160】
最後に、制御部31は、要求信号SG1に対応する信号情報D1を端末装置10bに提供する(ステップS33)。具体的には、制御部31の動作指令により、通信部33が信号情報D1をネットワークを介して端末装置10bに送信する。
【0161】
例えば、端末装置10bが移動体V1の位置情報D5及び方位情報D6のみに基づいて要求する信号情報D1を特定する場合、GPS信号の誤差によって、誤った設置場所Zxの信号情報D1を要求するおそれがある。これに対し、本実施形態では、第1標識53に基づいて取得される信号識別情報D7が要求信号SG1に含まれるため、端末装置10bは、信号情報D1をより正確に要求することができる。
【0162】
[2.変形例]
以下、実施形態の変形例について説明する。変形例において、実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0163】
[2.1 情報処理システムの変形例]
上記の実施形態では、端末装置10aの制御部11が画像データIM1に基づいて灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4及び信号識別情報D7を取得して、これらの情報TM1,D4,D7を、位置情報D5及び方位情報D6とともに情報処理装置20に送信する。そして、情報処理装置20の制御部31において、位置情報D5、方位情報D6、信号識別情報D7及び地名データベース45に基づいて特定情報D3を取得し、灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4及び特定情報D3に基づいて信号情報D1を生成する。しかしながら、制御部11及び制御部31における各種の処理の分担は、特に限定されない。
【0164】
例えば、端末装置10aの制御部11は、灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4及び信号識別情報D7を取得することなく、画像データIM1をそのまま情報処理装置20に送信してもよい。この場合、情報処理装置20の制御部31は、画像データIM1に基づいて、ステップS12,S13と同様の手法にて灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4及び信号識別情報D7を取得する。
【0165】
また、端末装置10aの制御部11が特定情報D3を生成してもよい。この場合、例えば、端末装置10aの記憶部12には地名データベース45がインストールされており、制御部11は信号識別情報D7及び地名データベース45に基づいて特定情報D3を生成する。そして、制御部11はネットワークを介して情報処理装置20に灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4及び特定情報D3を送信し、情報処理装置20の制御部31は、これらの情報TM1,D4,D3に基づいて信号情報D1を生成する。
【0166】
このように、情報処理システム1では、少なくとも1個の制御部11,31が、灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4及び信号識別情報D7とを取得し、信号識別情報D7に基づいて特定情報D3を取得し、灯色切り替わり時刻TM1、灯色情報D4及び特定情報D3に基づいて信号情報D1を生成すればよい。
【0167】
[2.2 要求信号の変形例]
上記の実施形態では、情報処理装置20は、要求信号SG1に対応する信号情報D1を端末装置10bに送信する。しかしながら、例えば情報処理装置20は生成した信号情報D1を定期的にウェブサーバー又はアプリケーションにアップロードし、端末装置10bは要求信号SG1に基づいて当該ウェブサーバー又はアプリケーションにアクセスしてもよい。
【0168】
例えば、図10(c)に示すように第1標識53に2次元コードC3が含まれる場合、2次元コードC3には、識別番号SN1の他にURL情報を含ませることができる。撮像部14により撮像された2次元コードC3を制御部11がデコードすることで、制御部11はURL情報を読み取る。そして、制御部11は、ネットワークを介して、URL情報に記載されているURLにアクセスすることで、ウェブサーバーから信号情報D1を取得する。
【0169】
[3. 付記]
本開示は、以下の付記に示す内容を含む。
【0170】
[付記1]
移動体に搭載されている端末装置とネットワークを介して通信する情報処理装置を制御する制御方法であって、
灯色切り替わり時刻、灯色情報及び特定情報に基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成するステップを備え、
前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報は、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて取得され、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されて前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示する第1標識と、を含み、
前記灯色切り替わり時刻は、前記交通信号機の灯色が切り替わる時刻であり、
前記灯色情報は、前記前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す情報であり、
前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて取得され、
前記特定情報は、前記交通信号機を特定する情報であり、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、
制御方法。
【0171】
[付記2]
移動体に搭載されている端末装置とネットワークを介して通信する情報処理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータプログラムは、コンピュータに、
灯色切り替わり時刻、灯色情報及び特定情報に基づいて、交通信号機の将来の動作状態を表す信号情報を生成するステップを実行させ、
前記灯色切り替わり時刻、前記灯色情報及び前記特定情報は、前記移動体に搭載されている撮像部により取得される画像データに基づいて取得され、
前記画像データは、前記交通信号機と、前記交通信号機の付近に設置されて前記交通信号機の設置場所を示す地名及び前記交通信号機に個別に割り振られた識別番号の少なくとも一方に関する情報を表示する第1標識と、を含み、
前記灯色切り替わり時刻は、前記交通信号機の灯色が切り替わる時刻であり、
前記灯色情報は、前記前記灯色切り替わり時刻の前後における前記交通信号機の灯色を示す情報であり、
前記灯色切り替わり時刻及び前記灯色情報は、前記画像データに含まれる前記交通信号機に基づいて取得され、
前記特定情報は、前記交通信号機を特定する情報であり、前記画像データに含まれる前記第1標識に基づいて取得される、
コンピュータプログラム。
【0172】
[4. その他]
なお、上記の実施形態及び各種の変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0173】
1 情報処理システム
10,10a,10b 端末装置
11 制御部(第1制御部)
12 記憶部
13 GPSセンサ
14 撮像部
15 通信部
16 読取部
17 記録媒体
18 入力部
19 表示部
20 情報処理装置
21 サーバコンピュータ
22 データベース群
23 入力部
24 表示部
31 制御部(第2制御部)
32 記憶部
33 通信部
34 読取部
35 記録媒体
41 地図データベース
42 灯色データベース
43 信号情報データベース
44 道路地図データ
45 地名データ
5,511,512,513,514,521,522,523,524 交通信号機
53 第1標識
54 第2標識
55 柱
55a 縦棒
55b 横棒
V1 移動体
N1 公衆通信網
N2 基地局
Jx,J1,J2 交差点
Ax,A1,A2,A3,A4 流入路
IM1 画像データ
P1 コンピュータプログラム
P2 コンピュータプログラム
ND1 ノード
LN1 有向リンク
D1 信号情報
D2 灯色切り替わり情報
D3 特定情報
D4 灯色情報
D5 位置情報
D6 方位情報
D7 信号識別情報
D8 種類情報
SN1 識別番号
Zx,Z1 設置場所
TM1 灯色切り替わり時刻
AR1,AR2,AR3,AR4,AR5 画素領域
PS1 位置
TX1 日本語地名表記
TX2 英語地名表記
C1 英数字コード
C2 1次元コード
C3 2次元コード
SG1 要求信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11