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特開2024-32501仮設足場養生シート及び架設足場への養生シート取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032501
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】仮設足場養生シート及び架設足場への養生シート取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20240305BHJP
   E04G 21/24 20060101ALI20240305BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
E04G5/00 301E
E04G21/24 A
E04G21/32 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136181
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】522343577
【氏名又は名称】有限会社矢代興業
(74)【代理人】
【識別番号】100142941
【弁理士】
【氏名又は名称】京和 尚
(72)【発明者】
【氏名】矢代 雄紀
(57)【要約】
【課題】 隣り合う養生シート同志の間に隙間を生じやすい使用条件であっても、隙間なく取り付けることができる仮設足場養生シートを提供する。
【解決手段】 仮設足場の外表面を覆うように配設されることにより仮設足場を養生する仮設足場養生シートであって、前記仮設足場養生シートは、全体が矩形に形成され、その左右間適所にて上下に縦断して設定される支柱接触部3を境として第1養生シート部4と第2養生シート部5とを有する養生シート本体6と、前記支柱接触部3に沿って上下所定間隔でハトメ2が複数配設されるシート材からなり、前記支柱接触部3に縫合される支柱連結手段10と、を備え、前記支柱接触部3が仮設足場の支柱に接触した状態で前記ハトメ2に結束紐30が通され前記支柱連結手段10が支柱に結束される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設足場の外表面を覆うように配設されることにより仮設足場を養生する仮設足場養生シートであって、
前記仮設足場養生シートは、
全体が矩形に形成され、その左右間適所にて上下に縦断して設定される支柱接触部を境として第1養生シート部と第2養生シート部とを有する養生シート本体と、
前記支柱接触部に沿って上下所定間隔でハトメが複数配設されるシート材からなり、前記支柱接触部に縫合される支柱連結手段と、を備え、
前記支柱接触部が仮設足場の支柱に接触した状態で前記ハトメに結束紐が通され前記支柱連結手段が支柱に結束されることを特徴とする仮設足場養生シート。
【請求項2】
前記支柱連結手段は、
帯状に形成され、帯の幅寸法が前記仮設足場の支柱の外周寸法より小さく、帯の両幅縁部に一対のハトメが上下所定間隔で配設され、帯の幅中央部が前記支柱接触部に縫合される帯状補助シート部であって、
前記帯状補助シート部が仮設足場の支柱に巻き付けられた状態で前記一対のハトメに結束紐が通され前記帯状補助シート部が支柱に結束されることを特徴とする、請求項1に記載された仮設足場養生シート。
【請求項3】
前記帯状補助シート部が、一対のハトメが左右両端に配置される複数の横長リボン状部材が上下平行に離間配列されて構成されることを特徴とする、請求項2に記載された仮設足場養生シート。
【請求項4】
仮設足場に配設された際に、前記第1養生シート部と前記第2養生シート部とが直交することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された仮設足場養生シート。
【請求項5】
仮設足場への養生シート取り付け方法であって、
養生シート本体の支柱接触部に縫合され上下所定間隔でハトメが複数配設される支柱連結手段を用い、
前記支柱接触部を仮設足場の支柱に接触させた後、前記ハトメに結束紐が通され前記支柱連結手段が支柱に結束されることを特徴とする仮設足場への養生シート取り付け方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事現場の仮設足場に取り付けられる養生シート、及び仮設足場への養生シート取り付け方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建設・補修等の工事が行われる建築物の周囲には作業用の仮設足場が組まれる。仮設足場として、枠組足場、楔足場、単管足場等の各種形式の足場が知られている。これらの仮設足場のうち、主に中低層建築工事用に多く使用される楔足場を例に背景技術を説明する。楔足場を構成する支柱(縦部材)及び手摺(横部材)には、鋼管が使用されている。
【0003】
一般に楔足場の支柱の長さは、3600mm、2700mm、1800mm、900mm、720mm、450mmというような所定の長さで足場部材メーカーにより製作されている。また、一般に楔足場の手摺の長さは、1800mm、1200mm、900mm、600mm、400mm、300mm、200mmというような所定の長さで足場部材メーカーにより製作されている。
【0004】
仮設足場の組み立て現場では、上記の各種長さの支柱と手摺を多数組み合わせることで、対象の建築物での作業に合致した仮設足場が巧みに組み立てられる。なお、仮設足場には、上記の支柱と手摺の他にも、ブラケット、先行手摺、踏板、トラス、筋交、パイプジャッキベース、鋼製階段等の多数の部材が使用される。
【0005】
ところで、建設・改修等の工事の際の工具・部品等の落下防止、及び作業者の安全確保等を目的として、仮設足場の外周には養生シート(「防災安全シート」、又は「メッシュシート」とも呼ばれる。)が取り付けられる。以降、本明細書では、仮設足場の外周に配設される養生シートを、「仮設足場養生シート」あるいは、単に「養生シート」と呼ぶこととする。
【0006】
従来から、仮設足場養生シートには、シートの周縁に適当な間隔をもってハトメが複数配設されたものが使用されている(特許文献1参照)。また、一般に仮設足場養生シートを広げた際の横寸法は、上述した手摺(横部材)の長さ寸法に合わせた各種の幅に製作されている。さらに、仮設足場養生シートの縦寸法は、建物の約1階分の高さ(例えば5100mm)と長尺に制作されている。
【0007】
仮設足場への養生シートの取り付けは、上述したハトメに結束紐を通して仮設足場を構成する支柱あるいは手摺に結束することで行われる。上述したように、養生シートの縦横の寸法は、仮設足場を構成する支柱と手摺によって形成される一つの長方形の枠を上下に何段かつなぎ合わせた取り付け対象面のサイズとなっている。
【0008】
仮設足場が組みあがると、対象面のサイズに合う養生シートを選択し、取り付け対象の枠に合うよう養生シートを広げる。そして、周縁のハトメに結束紐を通し、対象面の枠を構成する支柱あるいは手摺の鋼管に結び付けていく。その際、隣り合う養生シートの近接するハトメに同じ結束紐を通し縛り上げることで、隣り合う養生シート同志で隙間ができないように注意する。
【0009】
なお、養生シートの周縁に配設されるハトメ間のピッチは通常300mm程度とされている。ピッチが小さいほど隣り合う養生シート同志の境目の隙間を確実に小さくできる。しかし、ピッチが小さいほど、結束紐による結束作業に要する時間が長くなる。一方、ピッチが大きくなれば、結束作業は早く終わるが、隣り合う養生シート同志の境目にできる隙間が大きくなりやすい。このように、養生シートの周縁に配設されるハトメ間のピッチの大小に関して、結束紐による結束作業時間と隣り合う養生シート間にできる隙間の大きさとは、トレードオフの関係にある。現在の300mmというピッチは、仮設足場養生シートの長年の歴史を経て割り出された寸法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭43-8294号公報 第1図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載された従来からの養生シートは、隣り合う養生シート同志が同じ平面となる場合は、隣り合う養生シート間の隙間をほぼ満足できる大きさに収められるものの、隣り合う養生シート同志の平面が直交する場合が問題となる。すなわち、仮設足場のコーナー部の支柱の両側に配設される養生シート同志の隙間が大きくなる場合がある。
【0012】
図9は、その状態を説明する図面代用写真である。写真の仮設足場は、楔足場と呼ばれるタイプである。支柱80には、ところどころに手摺のクサビを受けるコマ(緊結部)が設けられている。隣り合う養生シート82と養生シート83は、仮設足場のコーナー部の支柱80の両側に配設されており、両者の面が直交している。このとき、養生シート82と養生シート83との間に隙間84が出来ているのが確認できる。
【0013】
図10は、図9の隙間84を仮設足場の内側から写した図面代用写真である。支柱80のコマ81の部分で、養生シート82と養生シート83との間に大きな隙間84が出来ているのが分かる。このように、特許文献1に記載された養生シートは、使用条件によっては、隣り合う養生シート同志の間の隙間が大きくなる場合がある。そのため、この改善が望まれていた。
【0014】
そこで、本発明は、隣り合う養生シート同志の間に隙間を生じやすい使用条件にあっても、隙間なく取り付けることができる仮設足場養生シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明に係る仮設足場養生シートは、仮設足場の外表面を覆うように配設されることにより仮設足場を養生する仮設足場養生シートであって、前記仮設足場養生シートは、 全体が矩形に形成され、その左右間適所にて上下に縦断して設定される支柱接触部を境として第1養生シート部と第2養生シート部とを有する養生シート本体と、前記支柱接触部に沿って上下所定間隔でハトメが複数配設されるシート材からなり、前記支柱接触部に縫合される支柱連結手段と、を備え、前記支柱接触部が仮設足場の支柱に接触した状態で前記ハトメに結束紐が通され前記支柱連結手段が支柱に結束されることを特徴とする。
【0016】
第1の発明に係る仮設足場養生シートによれば、養生シート本体が第1養生シート部と第2養生シート部とからなる一体構造なので、その左右間適所にて上下に縦断して設定される支柱接触部が仮設足場の支柱に接触した状態で支柱連結手段が支柱に結束された際に全く隙間を生じることがない。
【0017】
第2の発明に係る仮設足場養生シートは、前記支柱連結手段は、帯状に形成され、帯の幅寸法が前記仮設足場の支柱の外周寸法より小さく、帯の両幅縁部に一対のハトメが上下所定間隔で配設され、帯の幅中央部が前記支柱接触部に縫合される帯状補助シート部であって、前記帯状補助シート部が仮設足場の支柱に巻き付けられた状態で前記一対のハトメに結束紐が通され前記帯状補助シート部が支柱に結束されることを特徴とする。
【0018】
第2の発明に係る仮設足場養生シートによれば、帯状に形成された帯状補助シート部が仮設足場の支柱に巻き付けられた状態で結束紐により結束されるので、帯状補助シート部と縫合された養生シート本体が、しっかりと組み立て足場に取り付けられる。
【0019】
第3の発明に係る仮設足場養生シートは、前記帯状補助シート部が、一対のハトメが左右両端に配置される複数の横長リボン状部材が上下平行に離間配列されて構成されることを特徴とする。
【0020】
第3の発明に係る仮設足場養生シートによれば、前記帯状補助シート部が複数の横長リボン状部材が上下平行に離間配列されて構成されるので、帯状補助シート部のシート材が少量となり、シート本体との縫合部も少なくなる。
【0021】
第4の発明に係る仮設足場養生シートは、仮設足場に配設された際に、前記第1養生シート部と前記第2養生シート部とが直交することを特徴とする。
【0022】
第4の発明に係る仮設足場養生シートによれば、隙間を生じやすい仮設足場のコーナー部であっても、隣り合う養生シート同志の間に隙間を全く生じない。
【0023】
第5の発明に係る仮設足場への養生シート取り付け方法は、養生シート本体の支柱接触部に縫合され上下所定間隔でハトメが複数配設される支柱連結手段を用い、前記支柱接触部を仮設足場の支柱に接触させた後、前記ハトメに結束紐が通され前記支柱連結手段が支柱に結束されることを特徴とする。
【0024】
第5の発明に係る仮設足場への養生シート取り付け方法によれば、養生シート本体の支柱接触部に縫合され上下所定間隔でハトメが複数配設される支柱連結手段が支柱に結束されるので、養生シートの中央部であっても仮設足場の支柱に結束することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の仮設足場養生シート及び養生シートの取り付け方法によれば、隣り合う養生シート同志の間に隙間を生じやすい使用条件にあっても、隙間なく養生シートを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の実施の形態に係る仮設足場養生シートの全体斜視図である。
図2】仮設足場の例を示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係る仮設足場養生シートを仮設足場に配設した状態を示す図である。
図4】支柱への帯状補助シート結束を説明するための断面図である。
図5】支柱への帯状補助シート結束を内側から示す図面代用写真である。
図6】第1の実施の形態に係る仮設足場養生シートを仮設足場に配設した状態を示す図面代用写真である。
図7】第2の実施の形態に係る仮設足場養生シートの全体斜視図である。
図8】第3の実施の形態に係る仮設足場養生シートの全体斜視図である。
図9】従来からの養生シートを仮設足場のコーナー部に配設した状態を示す図面代用写真である。
図10図9の隙間84を仮設足場の内側から写した図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る仮設足場養生シート1を裏面から見た全体斜視図である。養生シート本体6の素材には、合成繊維でかつ難燃性の(又は防炎加工が施された)メッシュシートが使用される。また、養生シート1の素材は、日本工業規格A8952(建築工事用シート)に定める防炎性を有するものである。実施の形態に係る養生シート1には、シートの周縁に適当な間隔をもってハトメ2が配設されている。ハトメ2の材料は、強度、性能に均一性を有し、著しい経年劣化をきたさないものが使用される。
【0028】
図1に示すように、実施の形態に係る養生シート1の養生シート本体6は、全体が矩形に形成されており、その左右間適所にて上下に縦断して支柱接触部3(ハッチングで示す。)が設定されている。支柱接触部3の左側が第1養生シート部4であり、支柱接触部3の右側が第2養生シート部5である。
【0029】
第1養生シート部4の幅寸法W1及び第2養生シート部5の幅寸法W2は、仮設足場を構成する手摺(横部材)の長さ寸法とされる。例えば、600mm、900mm、1200mmが採用される。実施の形態に係る養生シート1が、第1養生シート部4と第2養生シート部5の面が直交して配設されるものの場合、すなわち、仮設足場のコーナー部の支柱に支柱接触部3が接触して配設されるものの場合は、支柱接触部3の幅寸法WCは、100mmとされる。この場合、実施の形態に係る養生シート1の幅寸法Wは、1300mm、1900m、2500mmとなる。実施の形態に係る養生シート1の高さ寸法Hは、5100mmとされる。
【0030】
一方、実施の形態に係る養生シート1が、第1養生シート部4と第2養生シート部5の面が同一平面上に配設されるものの場合、すなわち、仮設足場のコーナー部ではない支柱に支柱接触部3が接触して配設されるものの場合は、支柱接触部3の幅寸法WCは、0mmとされる。この場合、実施の形態に係る養生シート本体6の幅寸法Wは、1200mm、1800m、2400mmとなる。この場合も、実施の形態に係る養生シート1の高さ寸法Hは、5100mmとされる。
【0031】
図1に示すように、実施の形態に係る養生シート1は、支柱連結手段10を備えている。支柱連結手段10は、支柱接触部3に沿って上下所定間隔でハトメ2が配設されるシート材から構成されている。支柱連結手段10の幅中央部が上下全長に渡って支柱接触部3に縫合されている。第1の実施の形態では、支柱連結手段10は、帯状に形成された帯状補助シート部12となっている。
【0032】
帯状補助シート部12の帯の幅寸法WBは、仮設足場の支柱の外周寸法よりやや小さくされている。具体的には、帯の幅寸法WBは、115mmとされている。帯状補助シート部12の帯の両幅縁部には一対のハトメ2、2が上下所定間隔で配設されている。帯の幅中央部11は支柱接触部3に縫合されている。帯状補助シート部12の高さ寸法Hbは、養生シート本体6の高さ寸法Hよりもやや小さい5000mmとされている。本実施の形態では、帯状補助シート部12には、養生シート本体6と同じ材質のメッシュシートが使用されている。
【0033】
図2は、実施の形態に係る養生シート1の取り付け例を説明するための仮設足場13の斜視図である。仮設足場13は、多数の支柱14と手摺15が組み合わされて構成されている。支柱14の下端には、パイプジャッキベース16が取り付けられている。踏板17が取り付けられている。適用可能な仮設足場の形式は問わず、いずれの形式であってもよい。なお、現実の仮設足場は、建築物の大きさに合わせて組み立てられるため、幅・高さ共に大きなものになる場合が多い。
【0034】
仮設足場13の外表面への養生シート1の取り付け例を説明するため、図2に示す仮設足場13の手前コーナー部に位置する支柱14に注目する。今、注目する支柱14を、コーナー部支柱20(14)と特別に呼ぶこととする。図2において、コーナー部支柱20(14)の右隣の支柱を第1隣接支柱21(14)と呼び、左隣支柱を第2隣接支柱22(14)と呼ぶこととする。コーナー部支柱20(14)と第1隣接支柱21(14)との間には、3本の第1手摺23が配置されている。コーナー部支柱20(14)と第2隣接支柱22(14)との間には、3本の第2手摺24(15)が配置されている。
【0035】
図2に示した、コーナー部支柱20(14)、第1隣接支柱21(14)及び第1手摺23(15)によって構成される矩形の枠を、第1枠25と呼ぶこととする。また、コーナー部支柱20(14)、第2隣接支柱22(14)及び第2手摺24(15)によって構成される矩形の枠を、第2枠26と呼ぶこととする。
【0036】
図3は、図1に示した実施の形態に係る養生シート1を、図2に示した仮設足場13に配設した状態を説明する図である。図2に示した第1枠25には、第1養生シート部4が配設されている。また、図2に示した第2枠26には、第2養生シート部5が配設されている。すなわち、コーナー部支柱20を中心として、隣接支柱21と隣接支柱22との間に養生シート本体6が配設されている。なお、図3に示した第2隣接支柱22と左隣の支柱14との間の枠には、従来型の養生シート27が配設されている。
【0037】
図4は、図3に示したコーナー部支柱20への帯状補助シート部12の結束紐30により結束を説明するための断面図である。コーナー部支柱20に実施の形態に係る養生シート1の支柱接触部3が上下長手方向に沿って接近して配置される。さらに、養生シート1の帯状補助シート部12が、コーナー部支柱20を取り巻くように配置される。この状態で、養生シート1の帯状補助シート部12の両側の縁部に配置された一対のハトメ2に結束紐30が通される。結束紐30としては、長さ300mm程度の十分な強度を有する合成繊維製の編み上げ紐が使用される。
【0038】
なお、図4では、一対のハトメ2間の結束紐30をコーナー部支柱20と帯状補助シート部12との間に通して結束する例を説明したが、コーナー部支柱20の手前側を通すようにしてもよい。この場合は、結束紐30の結束により、帯状補助シート部12がコーナー部支柱20により強固に結束される。
【0039】
図5は、図4に示したコーナー部支柱20に結束紐30を蝶結びにより結束した状態を示す図面代用写真である。コーナー部支柱20に沿って、帯状補助シート部12が巻き付けられている。図5で明らかなように、本実施の形態の仮設足場養生シート1によれば、コーナー部支柱20の周辺には全く隙間を生じることがない。しかも、養生シート1がコーナー部支柱20にしっかりと結束される。
【0040】
図6は、第1の実施の形態に係る仮設足場養生シート1を仮設足場13に配設した状態を示す図面代用写真である。このように、本発明の仮設足場養生シート1によれば、養生シート本体6が第1養生シート部4と第2養生シート部5とからなる一体構造なので、支柱接触部3が仮設足場の支柱20に接触した状態で帯状補助シート部12が支柱20に結束された際に全く隙間を生じることがない。
【0041】
さらに、帯状に形成された帯状補助シート部12が仮設足場のコーナー部支柱20に巻き付けた状態で結束紐30により結束されるので、帯状補助シート部12と縫合された養生シート本体6が、しっかりと仮設足場13に取り付けられる。このように、仮設足場のコーナー部でも養生シート1に全く隙間を生じないので、建設・改修工事の際の工具・部品等の落下を確実に防止することができる。また、図6からも明らかなように、仮設足場13に養生シートを配設した際の外観が向上する。
【0042】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態に係る仮設足場養生シート40を裏面から見た全体斜視図である。第2の実施の形態に係る養生シート40の養生シート本体6は、図1に示した第1の実施の形態に係る養生シート1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図7に示すように、第2の実施の形態に係る養生シート40は、支柱連結手段10(帯状補助シート部12)が、一対のハトメ2が左右両端に配置される複数の横長リボン状部材41が上下平行に離間配列されて構成されている。横長リボン状部材41の間隔は、図1に示した帯状補助シート部12のハトメ2の間隔と同じになっている。横長リボン状部材41には、養生シート本体6と同じ材質のメッシュシートが使用されている。また、横長リボン状部材41の中央部は、養生シート本体6の支柱接触部3に縫合されている。
【0044】
第2の実施の形態に係る仮設足場養生シート40の、仮設足場(図2参照)への取り付け方法は、第1の実施の形態において図4及び図5によって説明した取り付け方法とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0045】
第2の実施の形態に係る養生シート40によっても、コーナー部支柱20の周辺には全く隙間を生じることがない。しかも、養生シート1がコーナー部支柱20にしっかりと結束される。また、仮設足場のコーナー部でも養生シート1に隙間を生じないので、建設・改修工事の際の工具・部品等の落下を確実に防止することができる。さらに、第2の実施の形態に係る養生シート40は、帯状補助シート部12が複数の横長リボン状部材41が上下平行に離間配列されて構成されるので、シート材が少量ですみ、養生シート本体6との縫合部も少なくできる。
【0046】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る仮設足場養生シート50を裏面から見た全体斜視図である。第3の実施の形態に係る養生シート50の養生シート本体6は、図1に示した第1の実施の形態に係る養生シート1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。また、その左右間適所にて上下に縦断して支柱接触部3(ハッチングで示す。)が設定されている点も共通する。支柱接触部3の左側が第1養生シート部4であり、支柱接触部3の右側が第2養生シート部5である点も共通する。
【0047】
図8に示すように、第3の実施の形態に係る養生シート50は、支柱連結手段10(帯状補助シート部51)が、第1の実施の形態に係る帯状補助シート部12の片側だけで構成されている。ハトメ2の間隔は、図1に示した帯状補助シート部12のハトメ2の間隔と同じとなっている。帯状補助シート部51には、養生シート本体6と同じ材質のメッシュシートが使用されている。また、帯状補助シート部51は、養生シート本体6の支柱接触部3に縫合されている。
【0048】
第3の実施の形態に係る仮設足場養生シート50の、仮設足場(図2参照)への取り付け方法は、第1の実施の形態において図4及び図5によって説明した取り付け方法とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0049】
第3の実施の形態に係る養生シート50によっても、コーナー部支柱20の周辺には全く隙間を生じることがない。しかも、養生シート1がコーナー部支柱20にしっかりと結束される。また、仮設足場のコーナー部でも養生シート1に隙間を生じないので、建設・改修工事の際の工具・部品等の落下を確実に防止することができる。さらに、第3の実施の形態では、帯状補助シート部51が片側だけで構成されているので、シート部材が少量となる。また、ハトメの個数が半分となるので、結束作業が簡単となる。
【0050】
(第4の実施の形態)
上述した実施の形態では、第1養生シート部と第2養生シート部が直交して配置される場合を説明した。すなわち、支柱接触部が接触する支柱が、仮設足場のコーナー部となる場合を説明した。
【0051】
しかし、本発明の養生シートは、第1養生シート部と第2養生シート部が同じ平面内に配置される場合にも有効である。すなわち、支柱接触部が接触する支柱が、仮設足場のコーナー部以外である場合にも使用することができる。この場合にも、これまで説明したコーナー部の支柱に支柱接触部3が接触する場合と同様の効果を得ることができる。
【0052】
さらに、支柱接触部3を複数設けるようにしてもよい。この場合は、支柱接触部3により画される第1養生シート部4,第2養生シート部5、以外にも第3養生シート部60・・・以下の養生シート部が構成されることとなる。また、仮設足場への取り付けにあたっては、どの支柱接触部がコーナー部支柱と接触するかは、自由に選択することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0054】
1: 仮設足場養生シート(第1の実施の形態)
2: ハトメ
3: 支柱接触部
4: 第1養生シート部
5: 第2養生シート部
6: 養生シート本体
10: 支柱連結手段
12: 帯状補助シート部
13:架設足場
30:結束紐
40:架設足場養生シート(第2の実施の形態)
41:横長リボン状部材
42:帯状補助シート部(第2の実施の形態)
50:架設足場養生シート(第3の実施の形態)
51:帯状補助シート部(第3の実施の形態)

図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
図10