(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032564
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】間仕切装置
(51)【国際特許分類】
E05F 17/00 20060101AFI20240305BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20240305BHJP
E05D 15/00 20060101ALI20240305BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
E05F17/00 A
E04B2/74 561C
E05D15/00 A
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136285
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 安能
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014FC01
(57)【要約】
【課題】レールに支持される複数のパネルを連動させて開閉可能とするための施工が容易な間仕切装置を提供すること。
【解決手段】間仕切装置は、複数のパネルと、案内部と、連結部材とを有する。上記複数のパネルは、前後方向に並列に配置され、左右方向に相対移動可能となるように上部レールに支持され、前記上部レールの下部の開口部を開放または閉塞可能である。上記案内部は、隣接する前記パネルの各々の対向面上に、左右方向に沿って対向するように設けられたレール状のものである。上記連結部材は、対向する前記案内部のうち、一方の案内部にはその端部間を摺動可能となるように前後方向から取り付けられ、他方の案内部には摺動不能又はその端部間における少なくとも一部の範囲を摺動可能となるように前後方向から取り付けられることで、前記案内部同士を連結する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に並列に配置され、左右方向に相対移動可能となるように上部レールに支持され、前記上部レールの下部の開口部を開放または閉塞可能な複数のパネルと、
隣接する前記パネルの各々の対向面上に、左右方向に沿って対向するように設けられたレール状の案内部と、
対向する前記案内部のうち、一方の案内部にはその端部間を摺動可能となるように前後方向から取り付けられ、他方の案内部には摺動不能又はその端部間における少なくとも一部の範囲を摺動可能となるように前後方向から取り付けられることで、前記案内部同士を連結する連結部材と、
を具備する間仕切装置。
【請求項2】
請求項1に記載の間仕切装置であって、
前記連結部材は、前記パネルが前記上部レールに支持された状態で取り付け可能である
間仕切装置。
【請求項3】
請求項1に記載の間仕切装置であって、
前記パネルは、パネル材を支持する縦枠及び横枠を有し、
前記案内部は、前記横枠の側面上に形成されたレール状の溝部である
間仕切装置。
【請求項4】
請求項3に記載の間仕切装置であって、
前記横枠は、上下方向に複数設けられた前記パネル材を支持するように複数設けられ、
前記連結部材は、前記複数の横枠のうち、前記パネル材間に設けられた横枠の前記溝部に着脱可能に取り付けられる
間仕切装置。
【請求項5】
請求項4に記載の間仕切装置であって、
前記連結部材は、前記パネル材間に設けられた複数の横枠の前記溝部にそれぞれ取り付けられる
間仕切装置。
【請求項6】
請求項3に記載の間仕切装置であって、
前記他方の案内部に設けられ、前記開口部を開放するように隣接する前記パネルが移動された場合、隣接する前記パネルの前記縦枠同士が左右方向において略同位置となるように、前記連結部材の一部に接触して当該連結部材の前記他方の案内部上での摺動を規制する規制部
を更に具備する間仕切装置。
【請求項7】
請求項6に記載の間仕切装置であって、
前記連結部材は、前後方向一方側に突出する突出部を有し、当該突出部が前記規制部に接触することにより、前記他方の案内部上での摺動が規制される
間仕切装置。
【請求項8】
請求項1に記載の間仕切装置であって、
前記連結部材は、隣接する前記パネル間に配置可能な基部と、前記基部から前後方向一方側に突出する弾性変形可能な第1係合部と、前記基部から前後方向他方側に突出する弾性変形可能な第2係合部と、を有し、前記第1及び第2係合部が前記一方及び他方の案内部に係合するように前後方向から押圧されて差し込まれることで、前記案内部に着脱可能に取り付けられる
間仕切装置。
【請求項9】
請求項8に記載の間仕切装置であって、
前記第1及び第2係合部は、前記基部の左右方向における一端部近傍及び他端部近傍に各々形成され、前記開口部を閉塞するように隣接する前記パネルが移動された場合、一方のパネルの一端部と他方のパネルの他端部とが前後方向において一部重複するように、前記一方及び他方の案内部に各々係合される
間仕切装置。
【請求項10】
請求項9に記載の間仕切装置であって、
前記パネルは、パネル材を支持する縦枠及び横枠を有し、
前記第1及び第2係合部は、前記開口部を閉塞するように隣接する前記パネルが移動された場合、一方のパネルの一端部に設けられた前記縦枠と、他方のパネルの他端部に設けられた前記縦枠とが左右方向において略同位置となるように、前記一方及び他方の案内部に各々係合される
間仕切装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間や屋外空間を間仕切る間仕切装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レールに沿って移動可能に支持されるパネルにより空間を間仕切る間仕切装置が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、レールに吊り下げ支持される少なくとも前後二枚の引き戸(パネル)と、これら引き戸の後において左側又は右側に位置する固定パネルとを有する間仕切装置(引き戸装置)が開示されている。当該間仕切装置では、引き戸が、閉じた位置と固定パネルに略重なる位置との間で左右動自在となるように構成されている。また、相互に隣接する引き戸の一方の下部には、下方に開放した左右方向に長い案内溝が形成されている。更に、同他方の下部には、案内溝に嵌るピンが水平張出片を介して設けられている。この間仕切装置によれば、前後の引き戸を連動させて開閉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の間仕切装置の構成は、一方の引き戸の下部に形成された案内溝に、他方の引き戸に水平張出片を介して設けられたピンを嵌めることにより前後の引き戸を連動させる構成であるため、引き戸の下方に施工スペースがない場合や下部レールが設けられている場合には適用することができず、施工性について課題があった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、レールに支持される複数のパネルを連動させて開閉可能とするための施工が容易な間仕切装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る間仕切装置は、複数のパネルと、案内部と、連結部材とを有する。上記複数のパネルは、前後方向に並列に配置され、左右方向に相対移動可能となるように上部レールに支持され、前記上部レールの下部の開口部を開放または閉塞可能である。上記案内部は、隣接する前記パネルの各々の対向面上に、左右方向に沿って対向するように設けられたレール状のものであり、上記連結部材を案内する。上記連結部材は、対向する前記案内部のうち、一方の案内部にはその端部間を摺動可能となるように前後方向から取り付けられ、他方の案内部には摺動不能又はその端部間における少なくとも一部の範囲を摺動可能となるように前後方向から取り付けられることで、前記案内部同士を連結する。
【0008】
この構成により、パネルに案内部を設けることで、隣接するパネルを連動させるための連結部材を容易に着脱できる。また、パネルの下方に施工スペースがない場合や下部レールが設けられている場合であっても、連結部材を取り付けられる。
【0009】
前記連結部材は、前記パネルが前記上部レールに支持された状態で取り付け可能であってもよい。
【0010】
これにより、パネルを上部レールに取り付けた後でも、隣接するパネルを連動させるための連結部材を容易に取り付けられる。
【0011】
前記パネルは、パネル材を支持する縦枠及び横枠を有してもよく、この場合前記案内部は、前記横枠の側面上に形成されたレール状の溝部であってもよい。
【0012】
これにより、パネル材を支持する横枠を利用して連結部材を取り付けられる。
【0013】
前記横枠は、上下方向に複数設けられた前記パネル材を支持するように複数設けられ、前記連結部材は、前記複数の横枠のうち、前記パネル材間に設けられた横枠の前記溝部に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0014】
これにより、各パネル材の間に設けられる中間枠としての横枠に連結部材が取り付けられるため、隣接するパネル同士が干渉することを防止できる。
【0015】
前記連結部材は、前記パネル材間に設けられた複数の横枠の前記溝部にそれぞれ取り付けられてもよい。
【0016】
これにより、連結部材が複数の横枠に設けられることで、隣接するパネルを安定して連動させることができる。
【0017】
上記間仕切装置は、前記他方の案内部に設けられ、前記開口部を開放するように隣接する前記パネルが移動された場合、隣接する前記パネルの前記縦枠同士が左右方向において略同位置となるように、前記連結部材の一部に接触して当該連結部材の前記他方の案内部上での摺動を規制する規制部を更に有してもよい。
【0018】
これにより、隣接するパネルの縦枠同士が揃った状態で開口部を閉塞するように両パネルを連動させることができ、意匠性を向上させることができる。
【0019】
前記連結部材は、前後方向一方側に突出する突出部を有し、当該突出部が前記規制部に接触することにより、前記他方の案内部上での摺動が規制されてもよい。
【0020】
これにより、連結部材の突出部が規制部と接触するため、連結部材のうち案内部に取り付けられる部分が規制部と繰り返し接触することによる変形や損傷を防止でき、パネルの安定した開閉動作を維持できる。
【0021】
前記連結部材は、隣接する前記パネル間に配置可能な基部と、前記基部から前後方向一方側に突出する弾性変形可能な第1係合部と、前記基部から前後方向他方側に突出する弾性変形可能な第2係合部と、を有し、前記第1及び第2係合部が前記一方及び他方の案内部に係合するように前後方向から押圧されて差し込まれることで、前記案内部に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0022】
これにより、連結部材をより容易に案内部に着脱できる。
【0023】
前記第1及び第2係合部は、前記基部の左右方向における一端部近傍及び他端部近傍に各々形成され、前記開口部を閉塞するように隣接する前記パネルが移動された場合、一方のパネルの一端部と他方のパネルの他端部とが前後方向において一部重複するように、前記一方及び他方の案内部に各々係合されてもよい。
【0024】
これにより、隣接する一方のパネルの一端部と他方のパネルの他端部が一部重複した状態で開口部を閉塞するように両パネルを連動させることができる。
【0025】
前記パネルは、パネル材を支持する縦枠及び横枠を有してもよい。この場合前記第1及び第2係合部は、前記開口部を閉塞するように隣接する前記パネルが移動された場合、一方のパネルの一端部に設けられた前記縦枠と、他方のパネルの他端部に設けられた前記縦枠とが左右方向において略同位置となるように、前記一方及び他方の案内部に各々係合されてもよい。
【0026】
これにより、隣接する一方のパネルの縦枠と他方のパネルの縦枠が揃った状態で開口部を閉塞できる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、レールに支持される複数のパネルを連動させて開閉可能とするための施工が容易な間仕切装置を提供することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る間仕切装置のパネル閉塞状態の正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る間仕切装置のパネル開放途中状態の正面図である。
【
図4】上記間仕切装置の横フレームと連結部材の斜視図である。
【
図5】上記間仕切装置のパネルの平面方向の断面図である。
【
図7】上記間仕切装置のパネルの下部レール近傍の側面図である。
【
図8】上記間仕切装置のパネルの連動開放動作を示す平面断面図である。
【
図9】上記間仕切装置のパネルの開放動作を示す拡大平面断面図である。
【
図10】上記間仕切装置のパネルの連動閉塞動作を示す平面断面図である。
【
図11】上記間仕切装置の変形例を示したパネルの平面方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0030】
[間仕切装置の概要]
図1は、本実施形態における間仕切装置のパネル閉塞状態の正面図であり、
図2は、当該間仕切装置のパネル開放途中状態の正面図であり、
図3は、当該間仕切装置の左側面方向の断面図である。
【0031】
これらの図に示すように、本実施形態に係る間仕切装置100は、住宅、店舗、オフィス等において1つの空間(部屋等)を複数の空間(部屋等)に仕切るものであり、例えば2つの平行な壁面Wの間に当該壁面Wに対して垂直方向に設置される。
【0032】
当該間仕切装置100は、天井面(図示せず)に支持される複数の上部レール6と、上部ランナ7にそれぞれ吊下げ支持される複数のパネル1(1a、1b、1c)と、床面Fに敷設される複数の下部レール8と、を有する。
【0033】
複数のパネル1は、前後方向(Z方向)に並列に配置され、左右方向(X方向)に相対移動可能となるように上部レール6及び下部レール8に支持され、上部レール6の下部の開口部Oを開放または閉塞可能である。
【0034】
より詳細には、各パネル1は、上部レール6の内壁に沿って移動する複数の上部ランナ7と、下部レール8の内壁に沿って移動する複数の下部ランナ12によって左右方向(X方向)に移動可能に支持されている。
【0035】
同図では、間仕切装置100を構成するパネル1は3枚示されているが、間仕切空間に応じて2枚でも4枚以上でも構わない。本実施形態では、各パネル1のうち、正面視(Z方向)において、パネル1aが最も奥側、パネル1bが中央、パネル1cが最も手前側に設置される。
【0036】
各パネル1は、例えばやや横長矩形板状のパネル材2が縦方向に3枚並べられて構成されている。パネル材2の上下端には、上下方向に複数設けられたパネル材2を支持するように複数の横フレーム(横枠)3が設けられ、パネル材2の左右端には、左右方向に複数設けられたパネル材2を支持するように複数の縦フレーム(縦枠)4が設けられる。
【0037】
パネル材2は例えば透明または半透明の合成樹脂や木材で形成され、横フレーム3及び縦フレーム4はアルミニウム等の金属等で形成されるが、材質はこれらに限られない。同図の例では、各パネル1の上部及び下部のパネル材2は透明な素材、中央のパネル材2は不透明な素材で形成されている。
【0038】
図3に示すように、パネル1の上端側の横フレーム3の上端には上記上部ランナ7と目隠し用のシールゴム9が設けられ、パネル1の下端側の横フレーム3の下端には上記下部ランナ12と目隠し用のシールゴム9が設けられる。また縦フレーム4の左右端には目隠し用のサイドゴム10が設けられる。
【0039】
なお、下部ランナ12は、横フレーム3に設けられた連結軸13と着脱自在に連結されている。連結軸13の下端が下部ランナ12の凹状の係合部に係合することでパネル1の下端部と下部ランナ12とが連結し、連結軸13の下端と係合部との係合が解除されることでパネル1の下端部と下部ランナ12との連結が解除される。これによりパネル1を下部レール8から外すことなく下部ランナ12だけを容易に交換することができる。
【0040】
図3の円形拡大図に示すように、間仕切装置100は、案内部15と、当該案内部15によって案内され前後方向(Z方向)で隣接するパネル1を左右方向(X)方向に連動させて移動可能に連結する連結部材20とを有する。また、各パネル材2と横フレーム3との間にはビート11が介挿されている。なお図示しないが、各パネル材2と縦フレーム4との間にも同様のビート11が介挿されている。
【0041】
上記案内部15は、複数の横フレーム3の側面上に形成されたレール状の溝部である。上記連結部材20は、複数の横フレーム3のうち、パネル材2間に設けられた複数の横フレーム(中間フレーム)の溝部に、それぞれ着脱可能に取り付けられる。
【0042】
連結部材20は、前後方向(Z方向)で対向する1組の案内部15のうち、一方の案内部15にはその端部間を摺動可能となるように取り付けられ、他方の案内部15にはその端部間における一部の範囲を摺動可能となるように前後方向(Z方向)から取り付けられることで、案内部15同士を連結する。
【0043】
連結部材20は、前記パネルが前記上部レールに支持された状態で上記前後方向(Z方向)から取り付け可能である。
【0044】
各パネル材2の間に設けられる中間フレームとしての横フレーム3に連結部材20が取り付けられ、各パネル1は前後方向に所定間隔を保持した状態で連結されるため、隣接するパネル1同士が干渉することを防止できる。また、連結部材20が複数の横フレーム3に設けられることで、隣接するパネル1を安定して連動させることができる。
【0045】
[連結部材の詳細]
次に、上記間仕切装置100の連結部材20の詳細について説明する。
図4は、間仕切装置100の横フレーム3と連結部材20の斜視図である。また
図5は、間仕切装置100のパネル1の平面方向の断面図であり、
図6は、
図5のA-A断面図である。
図4の(A)は横フレーム3と連結部材20の分解図であり、同図(B)は横フレーム3に連結部材20が取り付けられた状態を示す図である。
【0046】
これらの図に示すように、連結部材20は、基部21と、第1係合部22と、第2係合部23とを有する。基部21は、前後方向(Z方向)で隣接するパネル1間に配置可能である。第1係合部22は、当該基部21の左右方向の一端部近傍から前後方向(Z方向)の一方側に突出するように形成され、第2係合部23は、当該基部21の左右方向の他端部近傍から前後方向(Z方向)の他方側に突出するように形成され、いずれも弾性変形可能である。
【0047】
第1係合部22及び第2係合部23は、例えば先端に係合爪を有する2つの平行な板状部材として形成される。当該第1係合部22及び第2係合部23が隣接するパネル1の対向する一方及び他方の案内部15にそれぞれ係合するように前後方向(Z方向)から押圧されて差し込まれることで、連結部材20が各案内部15に着脱可能に取り付けられる。
【0048】
詳細は後述するが、第1係合部22及び第2係合部23は、開口部Oを閉塞するように隣接するパネル1が移動された場合、一方のパネル1の一端部と他方のパネル1の他端部とが前後方向(Z方向)において一部重複した状態で連動するように、上記一方及び他方の案内部15に各々係合される。
【0049】
図4乃至
図6に示すように、基部21の第2係合部23よりも左右方向の端部側には、当該基部21から前後方向(Z方向)の一方側(第2係合部23の突出方向と同方向)に突出する突出部24が設けられている。また、
図5及び
図6に示すように、当該第2係合部23が係合する横フレーム3の案内部15には、当該案内部15の溝を左右方向(X方向)で塞ぐように、ブロック状または板状の規制部18が設けられている。なお、規制部18は、案内部15の溝に前後方向(Z方向)から螺合により取り付けられるネジの頭部で構成されてもよい。突出部24が規制部18に接触することにより、パネル1の開放動作時において、連結部材20の第2係合部23が係合する案内部15上での摺動が規制される。
【0050】
突出部24が規制部18と接触することで、連結部材20の第2係合部23が規制部18と繰り返し接触することにより変形や損傷するのを防止でき、パネル1の安定した開閉動作を維持できる。
【0051】
[パネルの固定機構]
図7は、間仕切装置100のパネル1の下部レール8近傍の左側面図である。同図に示すように、パネル1の左右方向(X方向)の両端部の縦フレーム4のうち一端側(例えば左側)の縦フレーム4の溝4aには、パネル1を移動不能に下部レール8に固定するロック部材(丸落とし)17が設けられている。
【0052】
当該ロック部材17は、当該溝4aに沿って上下方向(Y方向)に摺動操作可能とされている。また下部レール8の表面中央の、間仕切装置100の閉塞時における各パネル1の左右方向(X方向)端部に対応する各位置には、挿通孔8aが設けられる。またロック部材17の下端には、挿通孔8aの径よりも小径の円柱状の凸部17aが形成されている。
【0053】
当該ロック部材17は、挿通孔8a上に位置合わせされた状態で、Y方向の下方に摺動操作されることにより、上記凸部17aが挿通孔8aに挿通されることで、パネル1を移動不能な状態に下部レール8に固定する。この固定状態から、ロック部材17がY方向の上方に摺動されることで、挿通孔8aから凸部17aが抜き出されて固定が解除され、パネル1が移動可能な状態となる。
【0054】
本実施形態では、同図右端(前後方向で最も手前側)のパネル1cのみ、上記ロック部材17により移動不能に固定しており、残りのパネル1a及びパネル1bが上部レール6及び下部レール8に沿って摺動可能とされている。
【0055】
[間仕切装置の動作]
次に、以上のように構成された上記間仕切装置100の動作について説明する。
【0056】
(パネルの開放動作)
図8は、間仕切装置100のパネル1の連動開放動作を示す平面断面図である。また
図9は、
図8のうち隣接する2つのパネル1(パネル1a及びパネル1b)の開放動作を拡大して示した平面断面図である。
【0057】
図8(A)及び
図9(A)(破線部)に示すように、第1係合部22と第2係合部23はパネル1の移動方向(X方向)においてずれた位置で(縦フレーム4を跨ぐように)前後方向(Z方向)に突出しているため、パネル1(開口部O)を完全に閉塞した状態においては、前後方向(Z方向)で隣接するパネル1のうち一方のパネル1の一端側の縦フレーム4と、他方のパネル1の他端側の縦フレームとが左右方向(X方向)において同一位置となる(前後方向に重なる)。
【0058】
これは、左右方向(X方向)における第1係合部22の基部21中央側の端部と第2係合部23の基部21中央側の端部との間の距離が、縦フレーム4の幅(左右方向の長さ)とほぼ一致しているためである。これにより、隣接する一方のパネル1の縦フレーム4と他方のパネル1の縦フレーム4とが揃った状態で開口部Oを閉塞できる。
【0059】
その状態から、
図9(B)に示すようにユーザが左端のパネル1aを開放方向に移動させると、
図8(B)及び
図9(C)に示すように、パネル1aの左端の縦フレーム4が、パネル1aとパネル1bとを連結する連結部材20を開放方向に押し始める。
【0060】
さらにパネル1aが開放方向へ移動しパネル1aとパネル1bを連結する連結部材20を押すと、
図8(C)に示すように、当該連結部材20の突出部24が、パネル1bの横フレーム3に設けられた規制部18に接触することにより、当該連結部材20の、パネル1bの案内部15上での摺動が規制される。
【0061】
その状態からユーザがさらにパネル1aを開放方向へ移動させると、パネル1aとパネル1bとがその左右端を前後方向(Z方向)に一致させた状態で連動して移動していく。
【0062】
続いてユーザがパネル1aをパネル1bと連動させてさらに開放方向へ移動させると、同図(D)に示すように、パネル1bの左端の縦フレーム4が、パネル1bとパネル1cとを連結する連結部材20を開放方向に押し始める。
【0063】
そしてユーザがさらにパネル1aとパネル1bとを開放方向へ移動させ上記縦フレーム4がパネル1bとパネル1cを連結する連結部材20を押すと、同図(E)に示すように、当該連結部材20の突出部24が、パネル1cの横フレーム3に設けられた規制部18に接触することにより、当該連結部材20の、パネル1cの案内部15上での摺動が規制される。これによりパネル1a、1b、1cが開口部Oを完全に開放した状態となる。
【0064】
このとき、各パネル1の縦フレーム4同士は、左右方向(X方向)において略同位置となる。これは、規制部18が、そのような位置、すなわち、連結部材20の第1係合部22の縦フレーム4に押される側の端部から突出部24の開放方向の端部までの距離分だけ、縦フレーム4の第1係合部22を押す側の端部から離れた位置に設けられていることによる。これにより開口部Oの開放状態における意匠性が向上する。
【0065】
(パネルの閉塞動作)
図10は、間仕切装置100のパネル1の連動閉塞動作を示す平面断面図である。
【0066】
同図(A)に示すように、開口部Oが完全に開放された状態は、上記規制部18により、各パネル1の縦フレーム4が、左右方向(X方向)において略同位置に揃った状態である。
【0067】
この状態から、ユーザが最も奥のパネル1aを閉塞方向に移動させると、同図(B)に示すように、パネル1aの右端の縦フレーム4が、パネル1aとパネル1bとを連結する連結部材20を閉塞方向に押し始める。
【0068】
これにより、同図(C)に示すように、ユーザがパネル1aをさらに閉塞方向へ移動させると、当該連結部材20によって連結されているパネル1aとパネル1bが連動して移動する。
【0069】
続いてさらにユーザがパネル1aをパネル1bと連動させて閉塞方向へ移動させると、同図(D)に示すように、パネル1bの右端の縦フレーム4が、パネル1bとパネル1cとを連結する連結部材20を閉塞方向に押し始める。
【0070】
そしてユーザがパネル1aをさらに閉塞方向へ移動させると、同図(E)に示すように、パネル1aの左端(サイドゴム10)が壁面Wと当接して止まるとともに、パネル1bとパネル1cを連結する連結部材20の第2係合部23が固定されたパネル1cの左側の縦フレーム4に当接して止まることで、パネル1a、パネル1b、パネル1cが開口部Oを完全に閉塞した状態となる。
【0071】
このとき、上述したように、前後方向(Z)方向で隣接するパネル1のうち一方のパネル1(パネル1a/パネル1b)の一端側の縦フレーム4と、他方のパネル1(パネル1b/パネル1c)の他端側の縦フレームとが左右方向(X方向)において同一位置となる(前後方向に重なる)。
【0072】
これにより、ユーザの正面視方向(Z方向)で隣接するパネル1の縦フレーム4同士が揃った状態で開口部Oを閉塞するように両パネル1を連動させることができ、意匠性を向上させることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、パネル1の横フレーム(中間フレーム)3に案内部15を設けることで、隣接するパネル1を連動させるための連結部材20を容易に着脱できる。また、パネル1の下方に施工スペースがない場合や下部レール8が設けられている場合であっても、連結部材20を取り付けられる。さらに、パネル1を上部レール6に取り付けた後でも、連結部材20を容易に取り付けられる。
【0074】
[変形例]
本発明の間仕切装置は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0075】
図11は、上記間仕切装置100の変形例を示したパネル1の平面方向の断面図である。
図12は、
図11の部分拡大図である。
【0076】
両図に示すように、当該変形例では、上述の実施形態において最も手前側のパネル1を除く各パネル1の右端(正面視)の縦フレーム4に設けられたサイドゴム10を、より左右方向(X方向)の幅の小さいものに変更している。
【0077】
さらに、上述の実施形態において縦フレーム4とパネル材2との間に介挿されたビート11を、同図に示すように、より左右方向(X方向)の幅の小さいものに変更している。
【0078】
これにより、サイドゴム10やビート11が縦フレーム4の左右方向に突出する量が小さくなり、意匠性が向上する。
【0079】
上述の実施形態では、前後方向で最も手前側のパネル1cをロック部材17により移動不能に固定し、残りのパネル1a及びパネル1bが上部レール6及び下部レール8に沿って摺動可能な構成としたが、開口部横にパネルを収納可能な戸袋があるような設置環境であれば、ロック部材17によるパネル1cの固定を解除して、全てのパネル1を摺動可能としてもよい。
【0080】
上述の実施形態では、案内部15は、横フレーム3の側面上に形成されたレール状の溝部として形成されたが、案内部はこの構成に限られず、隣接するパネル1の各々の対向面上に、左右方向(X方向)に沿って対向するように設けられたレール状のものであればよい。例えばパネル1が横フレーム3を有さない場合には案内部15を有するレール部材が別途パネル1に取り付けられてもよいし、パネル材2自体に案内部15が形成されてもよい。
【0081】
また上述の実施形態では、連結部材20は各パネル材2の間に設けられる中間フレームとしての複数の横フレーム3に取り付けられたが、これに代えてまたは加えて上端及び/または下端の横フレーム3に取り付けられてもよい。また連結部材20は複数の横フレーム3ではなく単一の横フレームのみに取り付けられてもよい。
【0082】
上述の実施形態では、第1係合部22及び第2係合部23は板状の係合爪として示されたが、これらの形状及び構造はこれに限られない。例えば、案内部15の溝の幅がより小さくスリット状に形成され、第1係合部22及び第2係合部23は、当該スリット状の溝に挿入可能なように、例えば先端に係合部を有する弾性変形可能な棒状部材として形成されてもよい。
【0083】
上述の実施形態では、パネル1は上部レール6及び下部レール8の双方に支持されるものが示されたが、間仕切装置100が下部レール8を有さず、パネル1が上部レール6に吊下げ支持されるものであってもよい。
【0084】
上述の実施形態では、連結部材20に規制部18と接触する突出部24が設けられた。しかし、当該突出部24が設けられずに、連結部材20の一部(例えば左右方向の端部)と規制部18が接触することで連結部材20の摺動が規制されてもよい。
【0085】
上述の実施形態では、連結部材20は、一方の案内部15にはその端部間を摺動可能となるように取り付けられ、他方の案内部15には(規制部18により)その端部間における一部の範囲を摺動可能とされた。しかし、連結部材20は、一方の案内部15には同様に摺動可能である一方で、他方の案内部15には全く摺動不能であってもよいし、反対に(規制部18が設けられないことで)その端部間の全ての範囲を摺動可能であってもよい。
【0086】
上述の実施形態における各部材(例えば、パネル材2、連結部材20及びその各部、横フレーム3及び縦フレーム4並びに案内部15)の形状や数等は図示したものに限られない。
【符号の説明】
【0087】
1…パネル
2…パネル材
3…横フレーム
4…縦フレーム
6…上部レール
7…上部ランナ
8…下部レール
9…シールゴム
10…サイドゴム
11…ビート
12…下部ランナ
13…連結軸
15…案内部
17…ロック部材
18…規制部
20…連結部材
21…基部
22…第1係合部
23…第2係合部
24…突出部
100…間仕切装置
壁面…W
床面…F
開口部…O