(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032566
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】撮像レンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20240305BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136287
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】安田 慶太
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA03
2H087NA08
2H087NA14
2H087NA18
2H087PA05
2H087PA18
2H087PB06
2H087QA03
2H087QA07
2H087QA19
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】6枚構成によって小型、軽量かつ安価でありながら、レンズの形状を適切に設定することにより高い光学性能を有する撮像レンズを提供する。
【解決手段】本開示に係る撮像レンズ10は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ110と、負の屈折力を有する第2レンズ120と、正の屈折力を有する第3レンズ130と、開口絞り170と、正の屈折力を有する第4レンズ140と、負の屈折力を有する第5レンズ150と、正の屈折力を有する第6レンズ160と、を備え、条件式、
D4/f<0.08 (1)
0.12<D3/f<0.23 (2)
を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズであって、
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、を備え、
前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をD4、前記撮像レンズのd線に対する焦点距離をf、前記第2レンズの軸上厚みをD3とすると、条件式、
D4/f<0.08 (1)
0.12<D3/f<0.23 (2)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズのd線に対する焦点距離をf1とすると、条件式、
-1.5<f1/f<-1.2 (3)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズの屈折率をN2とすると、
N2/f<0.33 (4)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズの両面の各々は、凹面である、
撮像レンズ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズの物体側面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の曲率半径をR4とすると、条件式、
-1<(R3+R4)/(R3-R4)<-0.82 (5)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズの像側面の曲率半径をR2とすると、条件式、
0.77<R2/f<0.9 (6)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第5レンズのアッベ数をν5とすると、条件式、
4.8<ν5/f<5.5 (7)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズのd線に対する焦点距離をf2とすると、条件式、
-3.8<f2/f<-2 (8)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第3レンズのd線に対する焦点距離をf3とすると、条件式、
1.6<f3/f<3.1 (9)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記撮像レンズの軸上での全長をDaとすると、条件式、
Da/f<5.2 (10)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第4レンズのd線に対する焦点距離をf4とすると、条件式、
1.2<f4/f<1.8 (11)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第4レンズ、前記第5レンズ、及び前記第6レンズのd線に対する合成焦点距離をfgとすると、条件式、
1.4<fg/f<1.8 (12)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第5レンズのd線に対する焦点距離をf5とすると、条件式、
-2.0<f5/f<-1.1 (13)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第6レンズのd線に対する焦点距離をf6とすると、条件式、
1.45<f6/f<1.8 (14)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第4レンズ、前記第5レンズ、及び前記第6レンズの各々は、硝子材料で形成されている、
撮像レンズ。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第6レンズの両面の各々は、非球面である、
撮像レンズ。
【請求項17】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第4レンズと前記第5レンズとは、接合レンズとして形成されている、
撮像レンズ。
【請求項18】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズの物体側面は、凹面である、
撮像レンズ。
【請求項19】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、
像面での最大像高位置に入射する光線の半画角をWとすると、条件式、
48<W (15)
を満足する、撮像レンズ。
【請求項20】
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、を有する撮像レンズと、
前記撮像レンズを介して結像する光学像を電気信号に変換する撮像素子と、
を備え、
前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をD4、前記撮像レンズのd線に対する焦点距離をf、前記第2レンズの軸上厚みをD3とすると、条件式、
D4/f<0.08 (16)
0.12<D3/f<0.23 (17)
を満足する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像レンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視用カメラ及び車載用カメラなどを含むカメラに用いられる撮像レンズには、環境変化に強く、画面全域で結像性能が良いことが要求される。加えて、撮像レンズをカメラに搭載するための搭載スペースが限られることが多いことなどを理由として、小型かつ軽量であることも撮像レンズに要求される。
【0003】
以上の要求に対応可能な単焦点の撮像レンズとして、特許文献1及び2に記載の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、要求される温度域が広い過酷な環境であっても良好に使用でき、かつ色収差補正精度が高いレンズユニットが開示されている。例えば、特許文献2には、広い温度範囲及び波長帯域にて使用可能であり、かつ、コンパクト性に優れたレンズユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-008960号公報
【特許文献2】特開2013-047753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、車載用カメラは、従来の視認用途に加えて、物体を検知するセンシング用途でも用いられるようになり、さらなる高性能化が要求されている。CCD(Charge Coupled Device)及びCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor device)などの固体撮像素子の高画素化に伴い、それに見合う良好な光学性能がカメラに用いられる撮像レンズに対しても要求されている。
【0006】
以上のような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、6枚構成によって小型、軽量かつ安価でありながら、レンズの形状を適切に設定することにより高い光学性能を有する撮像レンズ及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る撮像レンズは、
(1)
撮像レンズであって、
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、を備え、
前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をD4、前記撮像レンズのd線に対する焦点距離をf、前記第2レンズの軸上厚みをD3とすると、条件式、
D4/f<0.08 (1)
0.12<D3/f<0.23 (2)
を満足する。
【0008】
(2)
上記(1)に記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズのd線に対する焦点距離をf1とすると、条件式、
-1.5<f1/f<-1.2 (3)
を満足してもよい。
【0009】
(3)
上記(1)又は(2)に記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズの屈折率をN2とすると、
N2/f<0.33 (4)
を満足してもよい。
【0010】
(4)
上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズの両面の各々は、凹面であってもよい。
【0011】
(5)
上記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズの物体側面の曲率半径をR3、前記第2レンズの像側面の曲率半径をR4とすると、条件式、
-1<(R3+R4)/(R3-R4)<-0.82 (5)
を満足してもよい。
【0012】
(6)
上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズの像側面の曲率半径をR2とすると、条件式、
0.77<R2/f<0.9 (6)
を満足してもよい。
【0013】
(7)
上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第5レンズのアッベ数をν5とすると、条件式、
4.8<ν5/f<5.5 (7)
を満足してもよい。
【0014】
(8)
上記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第2レンズのd線に対する焦点距離をf2とすると、条件式、
-3.8<f2/f<-2 (8)
を満足してもよい。
【0015】
(9)
上記(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第3レンズのd線に対する焦点距離をf3とすると、条件式、
1.6<f3/f<3.1 (9)
を満足してもよい。
【0016】
(10)
上記(1)乃至(9)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記撮像レンズの軸上での全長をDaとすると、条件式、
Da/f<5.2 (10)
を満足してもよい。
【0017】
(11)
上記(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第4レンズのd線に対する焦点距離をf4とすると、条件式、
1.2<f4/f<1.8 (11)
を満足してもよい。
【0018】
(12)
上記(1)乃至(11)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第4レンズ、前記第5レンズ、及び前記第6レンズのd線に対する合成焦点距離をfgとすると、条件式、
1.4<fg/f<1.8 (12)
を満足してもよい。
【0019】
(13)
上記(1)乃至(12)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第5レンズのd線に対する焦点距離をf5とすると、条件式、
-2.0<f5/f<-1.1 (13)
を満足してもよい。
【0020】
(14)
上記(1)乃至(13)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第6レンズのd線に対する焦点距離をf6とすると、条件式、
1.45<f6/f<1.8 (14)
を満足してもよい。
【0021】
(15)
上記(1)乃至(14)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズ、前記第2レンズ、前記第3レンズ、前記第4レンズ、前記第5レンズ、及び前記第6レンズの各々は、硝子材料で形成されていてもよい。
【0022】
(16)
上記(1)乃至(15)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第6レンズの両面の各々は、非球面であってもよい。
【0023】
(17)
上記(1)乃至(16)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第4レンズと前記第5レンズとは、接合レンズとして形成されていてもよい。
【0024】
(18)
上記(1)乃至(17)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
前記第1レンズの物体側面は、凹面であってもよい。
【0025】
(19)
上記(1)乃至(18)のいずれか1つに記載の撮像レンズであって、
像面での最大像高位置に入射する光線の半画角をWとすると、条件式、
48<W (15)
を満足してもよい。
【0026】
本開示の一実施形態に係る撮像装置は、
(20)
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、開口絞りと、正の屈折力を有する第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、を有する撮像レンズと、
前記撮像レンズを介して結像する光学像を電気信号に変換する撮像素子と、
を備え、
前記第2レンズの像側面から前記第3レンズの物体側面までの軸上距離をD4、前記撮像レンズのd線に対する焦点距離をf、前記第2レンズの軸上厚みをD3とすると、条件式、
D4/f<0.08 (16)
0.12<D3/f<0.23 (17)
を満足する。
【発明の効果】
【0027】
本開示の一実施形態によれば、6枚構成によって小型、軽量かつ安価でありながら、レンズの形状を適切に設定することにより高い光学性能を有する撮像レンズ及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の実施例1に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図2A】
図1の撮像レンズの非点収差を示すグラフ図である。
【
図2B】
図1の撮像レンズの歪曲収差を示すグラフ図である。
【
図3】本開示の実施例2に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図4A】
図3の撮像レンズの非点収差を示すグラフ図である。
【
図4B】
図3の撮像レンズの歪曲収差を示すグラフ図である。
【
図5】本開示の実施例3に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図6A】
図5の撮像レンズの非点収差を示すグラフ図である。
【
図6B】
図5の撮像レンズの歪曲収差を示すグラフ図である。
【
図7】本開示の実施例4に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図8A】
図7の撮像レンズの非点収差を示すグラフ図である。
【
図8B】
図7の撮像レンズの歪曲収差を示すグラフ図である。
【
図9】本開示の実施例5に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図10A】
図9の撮像レンズの非点収差を示すグラフ図である。
【
図10B】
図9の撮像レンズの歪曲収差を示すグラフ図である。
【
図11】本開示の実施例6に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図13】本開示の実施例7に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図15】本開示の実施例8に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【
図17】本開示の実施例9に係る撮像レンズのレンズ構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態に係る撮像レンズ10及び撮像装置1について詳細に説明する。より具体的には、後述する各実施例に対して共通する撮像レンズ10及び撮像装置1の構成及び機能について説明する。撮像レンズ10及び撮像装置1の構成を示す各添付図面において、「物体側」は左側に対応し、「像側」は右側に対応する。以下の説明で用いられる各図は模式的なものであり、図面上の寸法比率などは現実のものとは必ずしも一致していない。
【0030】
一実施形態に係る撮像レンズ10及び撮像装置1のレンズ構成を、実施例1の撮像レンズ10及び撮像装置1の構成を示す後述の
図1を参照しながら主に説明する。
【0031】
撮像装置1は、撮像レンズ10と、撮像レンズ10を介して結像する光学像を電気信号に変換する撮像素子20と、を有する。撮像素子20は、例えばCCD及びCMOSなどの固体撮像素子を含む。撮像素子20の表面には、像面21が形成される。撮像装置1は、被写体としての物体の像を撮像レンズ10が撮像素子20の像面21に結像することで被写体を撮像する。
【0032】
撮像レンズ10は、物体側から順に配置される、第1レンズ110、第2レンズ120、第3レンズ130、開口絞り170、第4レンズ140、第5レンズ150、第6レンズ160、第1平板180a、及び第2平板180bを有する。第4レンズ140と第5レンズ150とは、接合レンズとして形成されている。撮像レンズ10は、6枚構成の単焦点の撮像レンズである。第1レンズ110、第2レンズ120、第3レンズ130、第4レンズ140、第5レンズ150、及び第6レンズ160の各々は、硝子材料で形成されている。
【0033】
第1レンズ110は、球面形状を有する。第1レンズ110の両面の各々は、凹面である。第2レンズ120は、球面形状を有する。第2レンズ120の両面の各々は、凹面である。第3レンズ130は、球面形状を有する。第3レンズ130の両面の各々は、凸面である。第4レンズ140は、球面形状を有する。第4レンズ140の両面の各々は、凸面である。第5レンズ150は、球面形状を有する。第5レンズ150の両面の各々は、凹面である。第6レンズ160の両面の各々は、非球面である。第1平板180aは、IR(Infrared)カットフィルタなどの光学部材を含む。第2平板180bは、撮像素子20に対して配置されるLIDガラスなどの光学部材を含む。LIDガラスは、イメージセンサとしての撮像素子20に対して用いられるカバーガラスである。
【0034】
撮像レンズ10は、第1レンズ110、第2レンズ120、第3レンズ130、第4レンズ140、第5レンズ150、及び第6レンズ160から実質的に構成される。本開示において、「実質的に構成される」とは、撮像レンズ10を実質的に構成する光学要素が第1レンズ110乃至第6レンズ160の6枚のレンズであるが、それ以外にも実質的にパワーを有さないレンズ、並びに絞り及びカバーガラスを含むレンズ以外の他の光学要素などを撮像レンズ10が有してもよいことを意味する。例えば、撮像レンズ10は、第1レンズ110乃至第6レンズ160に加えて、開口絞り170、並びに第1平板180a及び第2平板180bを有する。
【0035】
撮像レンズ10は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ110と、負の屈折力を有する第2レンズ120と、正の屈折力を有する第3レンズ130と、開口絞り170と、正の屈折力を有する第4レンズ140と、負の屈折力を有する第5レンズ150と、正の屈折力を有する第6レンズ160と、を有する。
【0036】
広角の撮像レンズ10では、広い画角を得るために焦点距離を短くする必要があるが、撮像レンズ10の機構的な制約からバックフォーカスは焦点距離に比べて長くしなくてはならない。そこで、撮像レンズ10の前方に負の屈折力を有するレンズを配置し、物体側から撮像レンズ10に入射した光を一度発散させて、後方の正の屈折力を有するレンズで集光する。これにより、レンズ系の主点を撮像レンズ10の後方に飛出させ焦点距離に比べて長いバックフォーカスを確保することが可能となる。
【0037】
より具体的には、負の屈折力を有する第1レンズ110及び第2レンズ120で光を発散させ、正の屈折力を有する第3レンズ130、第4レンズ140、及び第6レンズ160で集光する。撮像レンズ10において最も物体側に負レンズの第1レンズ110と第2レンズ120とを配置することで、主点を後方に置くのに十分な負の屈折力を得ることができる。開口絞り170の前に正の屈折力を有する第3レンズ130を配置することで、、倍率色収差に関する良好な補正が可能となる。開口絞り170の後に正の屈折力を有する第4レンズ140及び第6レンズ160を配置することで、像面21への光の入射角度を小さくし、かつ収差を良好に補正することができる。
【0038】
開口絞り170は、第3レンズ130と第4レンズ140との間に配置されている。仮に開口絞り170を第4レンズ140より像側に配置すると、撮像レンズ10が大型化し好ましくない。加えて、仮に開口絞り170を第3レンズ130より物体側に配置すると、撮像レンズ10を広角化することが困難となり好ましくない。したがって、上述した第3レンズ130と第4レンズ140との間に開口絞り170を配置することで、撮像レンズ10は、諸収差の良好な補正及びレンズ系のコンパクト化を実現可能である。
【0039】
一実施形態に係る撮像レンズ10及び撮像装置1における機能について主に説明する。
【0040】
撮像レンズ10は、以下の条件式(1)及び(2)を満足する。
D4/f<0.08 (1)
0.12<D3/f<0.23 (2)
ただし、D4は、第2レンズ120の像側面から第3レンズ130の物体側面までの軸上距離である。すなわち、D4は、
図1に示す撮像レンズ10の光軸Ax上で、第2レンズ120の像側面から第3レンズ130の物体側面に至るまでの距離である。fは、撮像レンズ10のd線(波長λ=587.56nm)に対する焦点距離である。D3は、第2レンズ120の軸上厚みである。すなわち、D3は、
図1に示す撮像レンズ10の光軸Ax上で、第2レンズ120の物体側面から第2レンズ120の像側面に至るまでの距離である。
【0041】
条件式(1)は、第2レンズ120と第3レンズ130との間の軸上距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。D4/fの値が上限値である0.08以上となると、第1レンズ110及び第2レンズ120で構成された負のレンズ群と第3レンズ130乃至第6レンズ160で構成された正のレンズ群との間隔が広がり過ぎることになる。これにより、軸上色収差の補正が困難となる。条件式(1)が満たされることで、軸上色収差の補正が容易となる。
【0042】
条件式(2)は、第2レンズ120の軸上厚みと撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。D3/fの値が下限値である0.12以下となると、凹レンズである第2レンズ120の屈折力が小さくなることから、像面湾曲が発生する。D3/fの値が上限値である0.23以上となると、第2レンズ120を透過する光の光路長が長くなることから、軸上色収差が大きく発生する。条件式(2)が満たされることで、像面湾曲の発生及び軸上色収差の発生が抑制される。
【0043】
撮像レンズ10は、以下の条件式(3)をさらに満足してもよい。
-1.5<f1/f<-1.2 (3)
ただし、f1は、第1レンズ110のd線に対する焦点距離である。
【0044】
条件式(3)は、第1レンズ110の焦点距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。f1/fの値が上限値である-1.2以上となると、撮像レンズ10における凹レンズとしての第1レンズ110の屈折力が大きくなり過ぎてしまい、像面湾曲が大きく発生してしまう。条件式(3)が満たされることで、像面湾曲の発生が抑制される。f1/fの値が下限値である-1.5よりも大きいことで、第1レンズ110の屈折力が小さくなり過ぎないため、軸上色収差を良好に補正することが可能となる。
【0045】
撮像レンズ10は、以下の条件式(4)をさらに満足してもよい。
N2/f<0.33 (4)
ただし、N2は、第2レンズ120の屈折率である。
【0046】
条件式(4)は、第2レンズ120の屈折率と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。N2/fの値が上限値である0.33以上となると、凹レンズである第2レンズ120の屈折力が大きくなり過ぎてしまい、像面21が像側へと倒れてしまう。条件式(4)が満たされることで、像面21が像側へと倒れることが抑制される。
【0047】
撮像レンズ10は、第2レンズ120の両面の各々が凹面であることで、第2レンズ120に対して追加の加工を施すことなく、第1レンズ110及びスペーサなどに対し平面で接触させることが可能な平坦受け部を容易に形成することができる。これにより、公差感度の低い構成が実現可能となる。
図1に示されるように、平坦受け部は、光軸Axから最も離れた領域であって、第1レンズ110と第2レンズ120とが互いに接触している領域において、第2レンズ120に形成されている。
【0048】
例えば、レンズ面が凸形状の場合、レンズの外周において光軸から最も離れた領域で平坦受け部を付加的に形成する必要がある。このような平坦受け部が凸レンズに存在しない場合、凹レンズに対する凸レンズの受け位置が安定せずに凸レンズの光軸がずれたりする。その結果、凸レンズをレンズ系に組み込むときに、組立て公差に収まらない可能性もある。凸形状のレンズ面の外周に平坦受け部を付加的に形成する加工は容易ではないため、平坦受け部を通常の加工の結果有する凹形状のレンズ面が第2レンズ120に形成されていることが望ましい。
【0049】
撮像レンズ10は、以下の条件式(5)をさらに満足してもよい。
-1<(R3+R4)/(R3-R4)<-0.82 (5)
ただし、R3は、第2レンズ120の物体側面の曲率半径である。R4は、第2レンズ120の像側面の曲率半径である。
【0050】
条件式(5)は、第2レンズ120の両面の各々の曲率半径を関連付けたものである。(R3+R4)/(R3-R4)の値が下限値である-1以下となると、第2レンズ120の両凹面の曲率半径の絶対値の差が大きくなり、非点収差が発生してしまう。(R3+R4)/(R3-R4)の値が上限値である-0.82以上となると、第2レンズ120の両凹面の曲率半径の絶対値の差が小さくなり、軸上色収差の補正が困難となってしまう。条件式(5)が満たされることで、軸上色収差の補正が容易となり、かつ非点収差の発生が抑制される。
【0051】
撮像レンズ10は、以下の条件式(6)をさらに満足してもよい。
0.77<R2/f<0.9 (6)
ただし、R2は、第1レンズ110の像側面の曲率半径である。
【0052】
条件式(6)は、第1レンズ110の像側面の曲率半径と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。R2/fの値が上限値である0.9以上となると、最も物体側に位置する凹レンズである第1レンズ110での集光が困難となり、球面収差が発生してしまう。R2/fの値が下限値である0.77以下となると、第1レンズ110について製造が困難な形状となる。加えて、凹レンズである第1レンズ110の屈折力が大きくなり過ぎてしまい、像面21が像側へと倒れてしまう。条件式(6)が満たされることで、球面収差の発生及び像面21の像側への倒れが抑制される。
【0053】
撮像レンズ10は、以下の条件式(7)をさらに満足してもよい。
4.8<ν5/f<5.5 (7)
ただし、ν5は、第5レンズ150のアッベ数である。
【0054】
条件式(7)は、第5レンズ150のアッベ数と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。ν5/fの値が上限値である5.5以上となると、凹レンズである第5レンズ150での軸上色収差の発生が低減し、光学系全体での補正が困難となる。ν5/fの値が下限値である4.8以下となると、逆に軸上色収差が大きく発生してしまい、過補正となる。条件式(7)が満たされることで、光学系全体での軸上色収差の補正が可能となる。
【0055】
撮像レンズ10は、以下の条件式(8)をさらに満足してもよい。
-3.8<f2/f<-2 (8)
ただし、f2は、第2レンズ120のd線に対する焦点距離である。
【0056】
条件式(8)は、第2レンズ120の焦点距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。f2/fの値が上限値である-2よりも小さいことで、凹レンズとしての第2レンズ120の屈折力が適度に抑えられ、非点収差の補正が良好となる。f2/fの値が下限値である-3.8以下となると、第2レンズ120で発生する軸上色収差が弱まり、結果として撮像レンズ10全体での軸上色収差の補正が困難となる。条件式(8)が満たされることで、撮像レンズ10全体での軸上色収差の補正が容易となる。
【0057】
撮像レンズ10は、以下の条件式(9)をさらに満足してもよい。
1.6<f3/f<3.1 (9)
ただし、f3は、第3レンズ130のd線に対する焦点距離である。
【0058】
条件式(9)は、第3レンズ130の焦点距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。f3/fの値が上限値である3.1以上となると、開口絞り170より手前の凸レンズである第3レンズ130の屈折力が小さくなってしまい、像面湾曲が発生してしまう。f3/fの値が下限値である1.6以下となると、撮像レンズ10における凸レンズである第3レンズ130の屈折力が大きくなり過ぎてしまい、当該凸レンズで発生する軸上色収差を補正することが困難となる。条件式(9)が満たされることで、像面湾曲の発生が抑制され、当該凸レンズで発生する軸上色収差の補正が容易となる。
【0059】
撮像レンズ10は、以下の条件式(10)をさらに満足してもよい。
Da/f<5.2 (10)
ただし、Daは、撮像レンズ10の光軸Ax上での全長である。すなわち、Daは、
図1に示す撮像レンズ10の光軸Ax上で、第1レンズ110の物体側面から像面21に至るまでの距離である。
【0060】
条件式(10)は、撮像レンズ10の全長と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。Da/fの値が上限値である5.2よりも小さいことで、各空気レンズにおいて、光軸Ax上と光軸Axから離間した位置との間での光路比が高くなることから、非点収差が抑制される。加えて、撮像レンズ10の全長方向及び径方向での小型化につながり、カメラ筐体の設計の自由度が向上する。
【0061】
撮像レンズ10は、以下の条件式(11)をさらに満足してもよい。
1.2<f4/f<1.8 (11)
ただし、f4は、第4レンズ140のd線に対する焦点距離である。
【0062】
条件式(11)は、第4レンズ140の焦点距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。f4/fの値が上限値である1.8以上となると、凸レンズである第4レンズ140の屈折力が小さくなり、像面21が像側へと倒れ、像面湾曲の補正が困難となる。f4/fの値が下限値である1.2以下となると、正の第4レンズ140の屈折力が大きくなり過ぎ、負の第5レンズ150による軸上色収差の補正が困難となる。条件式(11)が満たされることで、像面湾曲の補正が容易となり、負の第5レンズ150による軸上色収差の補正も容易となる。
【0063】
撮像レンズ10は、以下の条件式(12)をさらに満足してもよい。
1.4<fg/f<1.8 (12)
ただし、fgは、第4レンズ140、第5レンズ150、及び第6レンズ160のd線に対する合成焦点距離である。
【0064】
条件式(12)は、第4レンズ140乃至第6レンズ160の合成焦点距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。fg/fの値が上限値である1.8以上となると、開口絞り170より像側に位置する第4レンズ140、第5レンズ150、及び第6レンズ160による集光が困難となり、非点収差が発生する。fg/fの値が下限値である1.4以下となると、集光は容易となるが、開口絞り170より像側に位置するレンズ群による屈折力が大き過ぎるため、メリディオナル方向の像面21が物体側に倒れてしまう。条件式(12)が満たされることで、非点収差の発生及びメリディオナル方向の像面21の物体側への倒れが抑制される。
【0065】
撮像レンズ10は、以下の条件式(13)をさらに満足してもよい。
-2.0<f5/f<-1.1 (13)
ただし、f5は、第5レンズ150のd線に対する焦点距離である。
【0066】
条件式(13)は、第5レンズ150の焦点距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。f5/fの値が上限値である-1.1以上となると、第5レンズ150の屈折力が大きくなり、開口絞り170より像側の凹レンズである第5レンズ150により、倍率色収差が逆方向に大きく発生する。f5/fの値が下限値である-2.0以下となると、正の第4レンズ140で発生した軸上色収差を打ち消す、負の第5レンズ150の屈折力が小さくなり、軸上色収差の補正が困難となる。条件式(13)が満たされることで、倍率色収差の逆方向への発生が抑制され、軸上色収差の補正も容易となる。
【0067】
撮像レンズ10は、以下の条件式(14)をさらに満足してもよい。
1.45<f6/f<1.8 (14)
ただし、f6は、第6レンズ160のd線に対する焦点距離である。
【0068】
条件式(14)は、第6レンズ160の焦点距離と撮像レンズ10の焦点距離とを関連付けたものである。f6/fの値が上限値である1.8以上となると、像面21に最も近い凸レンズである第6レンズ160の屈折力が小さくなり、像面21が物体側へと倒れ、像面湾曲の補正が困難となる。条件式(14)が満たされることで、像面湾曲の補正が容易となる。f6/fの値が下限値である1.45よりも大きいことで、第6レンズ160の屈折力が大きくなり過ぎず、公差感度を低くすることが可能となる。これにより、像面21が像側へ倒れることなく、像面湾曲の補正が容易となる。
【0069】
撮像レンズ10は、第1レンズ110、第2レンズ120、第3レンズ130、第4レンズ140、第5レンズ150、及び第6レンズ160の各々が硝子材料で形成されていることで、紫外線による黄変及び温度変化による光学特性の変化などを抑制可能である。
【0070】
撮像レンズ10は、第6レンズ160の両面の各々が非球面であることで、像面21に最も近い第6レンズ160が非球面形状となり、撮像素子20への光の入射角を容易に調整可能である。結果として、球面収差及び非点収差の補正が容易となる。
【0071】
撮像レンズ10は、第4レンズ140と第5レンズ150とが接合レンズとして形成されていることで、軸ずれ感度が高い第4レンズ140及び第5レンズ150を接合レンズとして構成でき、公差感度の低い光学系を実現可能である。加えて、撮像レンズ10は、接合レンズにより構成枚数を低減し、撮像レンズ10への組み込みの作業負荷を低減することが可能である。
【0072】
撮像レンズ10は、第1レンズ110の物体側面が凹面であることで、第1レンズ110に対して追加の加工を施すことなく、リテーナなどでの被保持構造を容易に形成することが可能である。加えて、撮像レンズ10に入射した光の像面21での反射光が第1レンズ110の物体側面に入射したときにその再反射光が集光せずに発散しやすくなる。したがって、このような再反射光が像面21で再結像してゴーストが発生するようなことを抑制可能である。
【0073】
撮像レンズ10は、以下の条件式(15)をさらに満足してもよい。
48<W (15)
ただし、Wは、像面21での最大像高位置に入射する光線の半画角である。
【0074】
条件式(15)は、撮像レンズ10全系の画角に関する式である。Wの値が下限値である48以下となると、例えば車載用カメラに用いられる撮像装置1が満たすべき撮像範囲を確保することが困難となる。条件式(15)が満たされることで、例えば車載用カメラに用いられる撮像装置1が満たすべき撮像範囲が容易に確保される。
【0075】
(実施例)
次に、本開示の撮像レンズ10に係る実施例のレンズ構成について主に説明する。より具体的には、撮像レンズ10の具体的な数値による実施例1乃至9を示す。実施例1乃至9は、各レンズの屈折力の正負、面形状、及び条件式(1)乃至(15)に示すパラメータなどについて、上述した一実施形態の特徴を有する。
【0076】
実施例1乃至9において、上述した撮像レンズ10の焦点距離f及び撮像レンズ10の光軸Ax上での全長Da、並びにF値及び像高の各々の値は、次の表1のとおりである。表1の各実施例における諸データにおいて、焦点距離fなどを含む、レンズ諸元から導出される値についても、特記のない限りd線に対する値である。
【表1】
【0077】
実施例1乃至9において、条件式(1)乃至(15)の各々に含まれるパラメータの値は、次の表2のとおりである。
【表2】
【0078】
各実施例における基本レンズデータにおいて、レンズ諸元中の番号i(iは自然数)は、撮像レンズ10に含まれる全てのレンズ、開口絞り170、並びに第1平板180a及び第2平板180bの各面に対して物体側から順番に付された面番号である。Riはi番目の面の曲率半径である。Diはi番目の面とi+1番目の面との間の光軸Ax上での間隔である。Ndはd線に対する屈折率である。νdはd線に対するアッベ数である。
【0079】
以下の全ての諸元の値において、記載されている曲率半径Ri及び面間隔Diなどの長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用し、各表での記載を省略する。しかしながら、撮像レンズ10では比例拡大と比例縮小とにおいても同等の光学性能が得られるので、これに限定されない。
【0080】
以下の実施例において記載されるレンズの非球面の形状は、物体側から像側へ向かう方向を正とし、kを円錐係数、Aを4次の非球面係数、Bを6次の非球面係数、Cを8次の非球面係数、Dを10次の非球面係数としたとき、次の数式(16)、すなわち非球面方程式で表される。ただし、hは光線の高さ、cは中心曲率半径の逆数、Zは面頂点に対する接平面からの深さ、をそれぞれ表している。
【0081】
【数1】
(16)
以下の各実施例における非球面データは、基本レンズデータにおいて※を付したレンズ面の非球面形状を与える非球面係数などを示す。
【0082】
(実施例1)
図1は、本開示の実施例1に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図1は、実施例1に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0083】
図1に示されるように、実施例1の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0084】
図1において、D1は、第1レンズ110の軸上厚みに対応し、面S1と面S2との間の光軸Ax上の距離である。D2は、面S2と面S3との間の軸上距離である。D3は、第2レンズ120の軸上厚みに対応し、面S3と面S4との間の光軸Ax上の距離である。D4は、面S4と面S5との間の軸上距離である。D5は、第3レンズ130の軸上厚みに対応し、面S5と面S6との間の光軸Ax上の距離である。D6は、面S6と面S7との間の軸上距離である。D7は、面S7と面S8との間の軸上距離である。
【0085】
D8は、第4レンズ140の軸上厚みに対応し、面S8と面S9との間の光軸Ax上の距離である。D9は、第5レンズ150の軸上厚みに対応し、面S9と面S10との間の光軸Ax上の距離である。D10は、面S10と面S11との間の軸上距離である。D11は、第6レンズ160の軸上厚みに対応し、面S11と面S12との間の光軸Ax上の距離である。D12は、面S12と面S13との間の軸上距離である。D13は、第1平板180aの軸上厚みに対応し、面S13と面S14との間の光軸Ax上の距離である。D14は、面S14と面S15との間の軸上距離である。D15は、第2平板180bの軸上厚みに対応し、面S15と面S16との間の光軸Ax上の距離である。D16は、面S16と像面21との間の軸上距離である。
【0086】
面間隔Diに関する上記の説明は、以下の他の実施例においても同様に当てはまる。面間隔Diについては
図1においてのみ図示し、他の図面上ではその図示を省略する。
【0087】
表3は、実施例1に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表3において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表3】
※は非球面
【0088】
表4は、実施例1に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表4に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表4】
【0089】
【0090】
図2Aは、
図1の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図2Aにおいて、縦軸は瞳径を1に正規化した入射瞳上の入射高を示し、横軸は結像位置のずれを示す。グラフ中の各線は、グラフ右に示す各波長の光に対する非点収差(mm)を示す。「S」はサジタル像面の値を意味し、「T」はタンジェンシャル像面の値を意味する。
【0091】
図2Bは、
図1の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図2Bにおいて、縦軸は瞳径を1に正規化した入射瞳上の入射高を示し、横軸は結像位置のずれを示す。グラフ中の各線は、グラフ右に示す各波長の光に対する歪曲収差(%)を示す。
【0092】
図2A及び
図2Bに示されるように、実施例1によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0093】
以上の収差図に関する説明は、他の各実施例で示す収差図においても同様に当てはまるため、以下では説明を省略する。
【0094】
(実施例2)
図3は、本開示の実施例2に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図3は、実施例2に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0095】
図3に示されるように、実施例2の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0096】
表5は、実施例2に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表5において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表5】
※は非球面
【0097】
表6は、実施例2に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表6に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表6】
【0098】
図4A及び
図4Bは、
図3の撮像レンズ10の収差図である。
図4Aは、
図3の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図4Bは、
図3の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図4A及び
図4Bに示されるように、実施例2によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0099】
(実施例3)
図5は、本開示の実施例3に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図5は、実施例3に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0100】
図5に示されるように、実施例3の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0101】
表7は、実施例3に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表7において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表7】
※は非球面
【0102】
表8は、実施例3に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表8に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表8】
【0103】
図6A及び
図6Bは、
図5の撮像レンズ10の収差図である。
図6Aは、
図5の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図6Bは、
図5の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図6A及び
図6Bに示されるように、実施例3によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0104】
(実施例4)
図7は、本開示の実施例4に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図7は、実施例4に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0105】
図7に示されるように、実施例4の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0106】
表9は、実施例4に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表9において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表9】
※は非球面
【0107】
表10は、実施例4に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表10に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表10】
【0108】
図8A及び
図8Bは、
図7の撮像レンズ10の収差図である。
図8Aは、
図7の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図8Bは、
図7の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図8A及び
図8Bに示されるように、実施例4によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0109】
(実施例5)
図9は、本開示の実施例5に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図9は、実施例5に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0110】
図9に示されるように、実施例5の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0111】
表11は、実施例5に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表11において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表11】
※は非球面
【0112】
表12は、実施例5に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表12に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表12】
【0113】
図10A及び
図10Bは、
図9の撮像レンズ10の収差図である。
図10Aは、
図9の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図10Bは、
図9の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図10A及び
図10Bに示されるように、実施例5によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0114】
(実施例6)
図11は、本開示の実施例6に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図11は、実施例6に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0115】
図11に示されるように、実施例6の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0116】
表13は、実施例6に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表13において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表13】
※は非球面
【0117】
表14は、実施例6に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表14に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表14】
【0118】
図12A及び
図12Bは、
図11の撮像レンズ10の収差図である。
図12Aは、
図11の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図12Bは、
図11の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図12A及び
図12Bに示されるように、実施例6によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0119】
(実施例7)
図13は、本開示の実施例7に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図13は、実施例7に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0120】
図13に示されるように、実施例7の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0121】
表15は、実施例7に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表15において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表15】
※は非球面
【0122】
表16は、実施例7に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表16に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表16】
【0123】
図14A及び
図14Bは、
図13の撮像レンズ10の収差図である。
図14Aは、
図13の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図14Bは、
図13の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図14A及び
図14Bに示されるように、実施例7によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0124】
(実施例8)
図15は、本開示の実施例8に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図15は、実施例8に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0125】
図15に示されるように、実施例8の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0126】
表17は、実施例8に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表17において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表17】
※は非球面
【0127】
表18は、実施例8に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表18に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表18】
【0128】
図16A及び
図16Bは、
図15の撮像レンズ10の収差図である。
図16Aは、
図15の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図16Bは、
図15の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図16A及び
図16Bに示されるように、実施例8によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0129】
(実施例9)
図17は、本開示の実施例9に係る撮像レンズ10のレンズ構成図である。
図17は、実施例9に係る撮像レンズ10のレンズ構成を光学断面で示したものである。
【0130】
図17に示されるように、実施例9の撮像レンズ10において、第1レンズ110は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第2レンズ120は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第3レンズ130は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第4レンズ140は、正の屈折力及び球面形状を有する、両凸レンズである。第5レンズ150は、負の屈折力及び球面形状を有する、両凹レンズである。第6レンズ160は、正の屈折力及び非球面形状を有する、両凸レンズである。
【0131】
表19は、実施例9に係る撮像レンズ10の諸元値を含む基本レンズデータを示す。表19において、※で示される非球面としての面S11及びS12に対しては、曲率半径Riの値は、近軸曲率半径を示している。
【表19】
※は非球面
【0132】
表20は、実施例9に係る撮像レンズ10の非球面係数を含む非球面データを示す。表20に示す非球面データは、第6レンズ160の面S11及びS12の各々に対するデータである。
【表20】
【0133】
図18A及び
図18Bは、
図17の撮像レンズ10の収差図である。
図18Aは、
図17の撮像レンズ10の非点収差を示すグラフ図である。
図18Bは、
図17の撮像レンズ10の歪曲収差を示すグラフ図である。
図18A及び
図18Bに示されるように、実施例9によれば、非点及び歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた撮像レンズ10が得られる。
【0134】
以上のような本開示の一実施形態に係る撮像レンズ10及び撮像装置1によれば、6枚構成によって小型、軽量かつ安価でありながら、レンズの形状を適切に設定することにより高い光学性能を実現可能である。その結果、監視用カメラ及び車載用カメラなどを含むカメラに搭載可能なコンパクトで高い光学性能を有する撮像レンズ10及び撮像装置1を実現することが可能である。
【0135】
撮像レンズ10は、条件式(1)を満たすことで、軸上色収差を容易に補正可能である。撮像レンズ10は、条件式(2)を満たすことで、像面湾曲の発生及び軸上色収差の発生を抑制可能である。
【0136】
撮像レンズ10は、条件式(3)を満たすことで、像面湾曲の発生を抑制可能である。加えて、撮像レンズ10は、軸上色収差を良好に補正することが可能である。
【0137】
撮像レンズ10は、条件式(4)を満たすことで、像面21が像側へと倒れることを抑制可能である。
【0138】
撮像レンズ10は、第2レンズ120の両面の各々が凹面であることで、第2レンズ120に対して追加の加工を施すことなく、第1レンズ110及びスペーサなどに対し平面で接触させることが可能な平坦受け部を容易に形成することができる。
【0139】
撮像レンズ10は、条件式(5)を満たすことで、軸上色収差を容易に補正可能であり、かつ非点収差の発生を抑制可能である。
【0140】
撮像レンズ10は、条件式(6)を満たすことで、球面収差の発生及び像面21の像側への倒れを抑制可能である。
【0141】
撮像レンズ10は、条件式(7)を満たすことで、光学系全体での軸上色収差を補正することが可能である。
【0142】
撮像レンズ10は、条件式(8)を満たすことで、撮像レンズ10全体での軸上色収差を容易に補正可能である。
【0143】
撮像レンズ10は、条件式(9)を満たすことで、像面湾曲の発生を抑制し、第3レンズ130で発生する軸上色収差を容易に補正可能である。
【0144】
撮像レンズ10は、条件式(10)を満たすことで、非点収差を抑制可能である。加えて、撮像レンズ10は、全長方向及び径方向での小型化を可能にし、カメラ筐体の設計の自由度を向上させる。
【0145】
撮像レンズ10は、条件式(11)を満たすことで、像面湾曲を容易に補正可能であり、負の第5レンズ150による軸上色収差も容易に補正可能である。
【0146】
撮像レンズ10は、条件式(12)を満たすことで、非点収差の発生及びメリディオナル方向の像面21の物体側への倒れを抑制可能である。
【0147】
撮像レンズ10は、条件式(13)を満たすことで、倍率色収差の逆方向への発生を抑制し、軸上色収差も容易に補正可能である。
【0148】
撮像レンズ10は、条件式(14)を満たすことで、像面湾曲を容易に補正可能である。加えて、撮像レンズ10は、公差感度を低くすることも可能である。
【0149】
撮像レンズ10は、第1レンズ110、第2レンズ120、第3レンズ130、第4レンズ140、第5レンズ150、及び第6レンズ160の各々が硝子材料で形成されていることで、紫外線による黄変及び温度変化による光学特性の変化などを抑制可能である。
【0150】
撮像レンズ10は、第6レンズ160の両面の各々が非球面であることで、撮像素子20への光の入射角を容易に調整可能である。結果として、撮像レンズ10は、球面収差及び非点収差を容易に補正可能である。
【0151】
撮像レンズ10は、第4レンズ140と第5レンズ150とが接合レンズとして形成されていることで、公差感度の低い光学系を実現可能である。加えて、撮像レンズ10は、撮像レンズ10への組み込みの作業負荷を低減することが可能である。
【0152】
撮像レンズ10は、第1レンズ110の物体側面が凹面であることで、第1レンズ110に対して追加の加工を施すことなく、リテーナなどでの被保持構造を容易に形成することが可能である。加えて、撮像レンズ10は、ゴーストの発生を抑制可能である。
【0153】
撮像レンズ10は、条件式(15)を満たすことで、例えば車載用カメラに用いられる撮像装置1が満たすべき撮像範囲を容易に確保可能である。
【0154】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0155】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数などは、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数などは、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0156】
一実施形態に係る撮像レンズ10について説明したが、本開示は上述した各実施例の撮像レンズ10に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、各実施例の撮像レンズ10の諸元は例示であって、本開示の範囲内で種々のパラメータの変更が可能である。
【符号の説明】
【0157】
1 撮像装置
10 撮像レンズ
110 第1レンズ
120 第2レンズ
130 第3レンズ
140 第4レンズ
150 第5レンズ
160 第6レンズ
170 開口絞り
180a 第1平板
180b 第2平板
20 撮像素子
21 像面
Ax 光軸
Di 面間隔
Da 全長
Ri 曲率半径
Si 面