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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032583
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】装具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/60 20060101AFI20240305BHJP
   A61F 2/54 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61F2/60
A61F2/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136308
(22)【出願日】2022-08-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度 科学技術振興機構 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム 産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】591052170
【氏名又は名称】川村義肢株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米津 亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 聡佳
(72)【発明者】
【氏名】成澤 雅紀
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA02
4C097AA11
4C097BB03
4C097DD03
4C097DD04
4C097EE09
4C097FF11
4C097TA10
4C097TB12
(57)【要約】
【課題】アスリートではなく、日常生活をする装着者の動きを補助する反発板を提供する。
【解決手段】下記試験Aで測定される歪み戻り時間Aが0.1秒以上である反発板8を含む装具。
<試験A>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
(4)前記(3)の後、前記端部の変位が0.4cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Aとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記試験Aで測定される歪み戻り時間Aが0.1秒以上である反発板を含む装具。
<試験A>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
(4)前記(3)の後、前記端部の変位が0.4cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Aとする。
【請求項2】
下記試験Bで測定される歪み戻り時間Bが1秒以上である反発板を含む装具。
<試験B>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
(4)前記(3)の後、前記端部の変位が0.1cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Bとする。
【請求項3】
前記反発板は、下記試験Cの(3)に規定した解除をしても振動運動をしない請求項1または2に記載の装具。
<試験C>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
【請求項4】
前記反発板が使用者の足裏側に配置されている請求項1または2に記載の装具。
【請求項5】
前記反発板が強化繊維を含む請求項1または2に記載の装具。
【請求項6】
前記反発板が樹脂を含んでいる請求項1または2に記載の装具。
【請求項7】
非競技用である請求項1または2に記載の装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上肢や下肢等に装着する装具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば脳卒中による片麻痺等で足関節、膝関節、股関節、手関節、肘関節、肩関節などの動きをコントロールできなくなった場合、或いは上肢又は下肢を欠損した場合、上肢の運動機能や歩行機能を補助するために上肢や下肢に装具を装着する。
【0003】
装具に用いられる構造物(部品)は、強度に優れ、かつ使用者が日常生活で使用するものであるため軽量であることが求められる。例えば特許文献1には、強化繊維で義足形状の芯材が形成され、この芯材にプラスチック原料が付与され、このプラスチック原料の重合反応によって形成された繊維強化プラスチック製義足フレームにおいて、基材として複数本数の強化繊維が束ねられまたは撚られた繊維束が用いられ、この繊維束が束単位で編成されて編組体構造の筒状体が形成され、この編組体構造の筒状体が上記芯材とされていることを特徴とする繊維強化プラスチック製義足フレームが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-285101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されている義足フレームでは、足を入れて固定するための筒状体は比較的大きな部品であることから、これを繊維強化プラスチックで構成することにより装具は一定程度軽量化することができる。他方、上記の筒状体以外にも繊維強化プラスチックが用いられている部品が、限られた用途ではあるが存在している。それは、障がい者スポーツの陸上競技等で用いられるブレード(反発板)である。この反発板は、アスリートの可動部(欠損がある場合には本来の可動部)の曲げ伸ばしの動きに合わせて曲げと戻りの動きをする部品であり、反発板に加わった歪みが瞬時に大きな戻り力として発揮するものである。本発明は、アスリートではなく、日常生活をする装着者の動きを補助する反発板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
反発板の用途がアスリート用であるか一般生活用であるかにかかわらず装着者の体重を支えるためには反発板には一定程度以上の強度が必要である。他に求められるスペックとしては、用途に応じ、例えばアスリート用の反発板は一般用よりも高いバネ定数が求められる。しかしながら本発明者らの研究によれば、日常生活をする使用者の動きをサポートするためには、強度やバネ定数といった観点ではなく、アスリート用の反発板よりもショア硬さの低い樹脂を用いること等により、曲げた状態から極めてゆっくりと元の形に戻る現象を発現する反発板が有用であることが判明した。上記目的を達成し得た本発明の装具は、下記[1]または[2]に記載されたものである。
【0007】
[1]下記試験Aで測定される歪み戻り時間Aが0.1秒以上である反発板を含む装具。
<試験A>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
(4)前記(3)の後、前記端部の変位が0.4cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Aとする。
【0008】
[2]下記試験Bで測定される歪み戻り時間Bが1秒以上である反発板を含む装具。
<試験B>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
(4)前記(3)の後、前記端部の変位が0.1cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Bとする。
【0009】
上記目的を達成し得た本発明の装具は、下記[3]~[7]の構成を有しているものであることが好ましい。
【0010】
[3]前記反発板は、下記試験Cの(3)に規定した解除をしても振動運動をしない[1]または[2]に記載の装具。
<試験C>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
【0011】
[4]前記反発板が使用者の足裏側に配置されている[1]~[3]のいずれか一項に記載の装具。
【0012】
[5]前記反発板が強化繊維を含む[1]~[4]のいずれか一項に記載の装具。
【0013】
[6]前記反発板が樹脂を含んでいる[1]~[5]のいずれか一項に記載の装具。
【0014】
[7]非競技用である[1]~[6]のいずれか一項に記載の装具。
【発明の効果】
【0015】
本発明の装具は、反発板に用いる材料として通常の装具よりもショア硬度の低い樹脂を用いる等により、アスリートではなく一般使用者の日常生活の動作を効果的にサポートする装具を提供することができるものである。また、反発板の特性により、装具にバネやリンク機構、アウトリガーなどの機械的構造を用いなくても、嵩張りも無くシンプルで身体形状に適合した装具の製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1にかかる下肢装具を横から見た平面図である。
図2】本発明の実施の形態1において用いる試験の実施態様を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1にかかる反発板の歪み特性を示すグラフである。
図4図3の歪み特性の横軸を拡大したグラフである。
図5】本発明の実施の形態2にかかる手関節背屈保持装具の装着状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる装具は反発板を有している装具であり、反発板は装着者の動きに応じて曲げられたり、元の形状に戻ったりする部品である。図1は、本発明の実施の形態1にかかる下肢装具を横から見た平面図である。
【0019】
図1において、下肢装具1の下方の足載置部2には下部支柱3が接続されており、下部支柱3の上方には、足継手4を介して上部支柱5が接続されている。上部支柱5のさらに上部には、下肢装具1を装着者の足に固定するための足当て部6と固定バンド7が形成されている。足載置部2上、つまり使用者の足裏の位置には反発板8が形成されている。反発板8は柔らかい材料で構成されているため、装着者の歩行動作によりつま先部が曲げられたり戻されたりする。反発板8は、長手方向を有する板形状であればどのような形状のものでもよい。反発板8の表裏にある主面は、平面状であってもよいし、湾曲していてもよい。下肢装具1を装着した歩行者が地面を蹴る動作に伴い曲げられた反発板8は、歩行時の後ろ足が地面から離れる際、ゆっくりと元の形状に戻ろうとするが、この戻り動作によって足先が屈曲している状態から足先が伸びる動作がアシストされる。
【0020】
本発明の実施の形態1にかかる装具に用いることができる反発板8は、次の特性A、特性Bのいずれかの特性を有していればよい。
【0021】
1.特性A
反発板8は、下記試験Aで測定される歪み戻り時間Aが0.1秒以上である。
<試験A>
(1)図2に示すように、反発板8の長手方向の一方側を上下から固定部材9で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
(4)前記(3)の後、前記端部の変位が0.4cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Aとする。
【0022】
歪み戻り時間Aが短すぎる場合は、アスリート用に用いられる反発板のような挙動を示すため日常生活の動作のアシストができないため、歪み戻り時間Aは上記のように0.1秒以上であるが、好ましくは0.15秒以上、より好ましくは0.2秒以上、さらに好ましくは0.25秒以上である。歪み戻り時間Aの上限は特段無いが、テンポのよいアシスト機能を実現するためには2.0秒以下、好ましくは1.5秒以下、より好ましくは1.2秒以下、さらに好ましくは1.0秒以下である。
【0023】
なお、通常、可撓性を有する板に歪みを与えた後これを解除すると、歪みにより蓄積された位置エネルギーが運動エネルギーに変換されため、この運動エネルギーを使用者の動作に有効活用しようとすると、一般技術論としては歪み戻り時間Aは短いほうが良いのであるが、本発明の実施の形態における反発板8では、敢えて上記のようにエネルギーロスの多い条件、すなわち歪み戻り時間Aを0.1秒以上としているものである。
【0024】
2.特性B
反発板8は、下記試験Bで測定される歪み戻り時間Bが1秒以上である。
<試験B>
(1)図2に示すように、反発板8の長手方向の一方側を上下から固定部材9で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
(4)前記(3)の後、前記端部の変位が0.1cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Bとする。
【0025】
歪み戻り時間Bが短すぎる場合は、アスリート用に用いられる反発板のような挙動を示すため日常生活の動作のアシストができないため、歪み戻り時間Bは上記のように1秒以上であるが、好ましくは1.5秒以上、より好ましくは2秒以上、さらに好ましくは2.5秒以上である。歪み戻り時間Bの上限は特段無いが、テンポのよいアシスト機能を実現するためには20秒以下、好ましくは15秒以下、より好ましくは12秒以下、さらに好ましくは10秒以下である。
【0026】
3.付加的特性C
本発明の実施の形態にかかる反発板8は、上記特性Aおよび/または特性Bを有するものであるが、下記試験Cの(3)に規定した解除をしても振動運動をしないことが望ましい。
<試験C>
(1)反発板の長手方向の一方側を上下から固定部材で挟んで固定することにより、長手方向の他方側を長さ6cmに亘って非固定の状態にする。
(2)他方側の端部に板厚方向の応力を加えることにより前記端部を1.8cm変位させる。
(3)前記応力を解除する。
【0027】
通常、プラスチック板のような可撓性板に歪みを与えた後これを解除すると、歪みにより蓄積された位置エネルギーが運動エネルギーに変換され、この運動は、減衰するまでの間、暫く振動運動として残る。アスリート用に用いられる反発板であれば、歪み戻りの運動エネルギーを利用して競技動作をサポートすることができるが、日常生活においては動作サポートというメリットよりも反発板の振動運動が却って動作の阻害となる。そのため、実施の形態1における装具の反発板8は、試験Cにおける振動運動をしないことが望ましい。
【0028】
4.反発板の材料例
反発板8を構成する材料は、上記特性Aまたは特性Bを満たすものであればどのようなものであっても良いが、柔らかい材料、例えば硬度の低い材料が好ましい。硬度が低い材料は、一般に反発力も小さく、応力を除荷したときにゆっくりと元の形状に戻ろうとするため、特性A、特性Bを満たすことができる。
【0029】
低硬度材料としては、例えば、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムなどのゴム類、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ブタジエン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー類;軟質エポキシ樹脂、軟質ポリウレタン樹脂などの軟質熱硬化性樹脂などが挙げられ、好ましくは軟質硬化性樹脂である。軟質硬化性樹脂は、後述する様に繊維による強化を容易に行うことができ、反発の低さと強度の強さの両立を容易にできる。
【0030】
低硬度材料の硬さは、デュロメータータイプA(ショアA)硬さで、例えば、50~90程度、好ましくは55~85程度、より好ましくは60~80程度である。なお後述する様に低硬度材料を繊維で補強する場合でも、補強前の低硬度材料が前記ショアA硬さを示すことが好ましい。
【0031】
低硬度材料の伸びは、例えば、103~150%、好ましくは105~130%、より好ましくは110~120%である。後述する様に低硬度材料を繊維で補強する場合でも、補強前の低硬度材料が前記伸びを示すことが好ましい。
【0032】
低硬度材料の引っ張り強度は、例えば、1~5MPa、好ましくは1.5~4MPa、よりさらに好ましくは2~3MPaである。低硬度材料を繊維で補強する場合でも、補強前の低硬度材料が前記引っ張り強度を示すことが好ましい。
【0033】
前記低硬度材料は、繊維を含んでいることが好ましい。繊維を含むことで、低硬度材料が強化されて降伏しにくくなるため、安定してアシストを継続できる。また、繊維を含むことで、反発板8が曲げられても復元力を担保することができるため、反発板8の塑性変形が起こりにくくなる。
【0034】
低硬度材料に配合する繊維(強化繊維)は、天然繊維、樹脂繊維、無機繊維のいずれでもよく、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、バルサト繊維、液晶ポリマーなどが挙げられる。強化繊維は、短繊維でもよいが、長繊維が好ましい。
【0035】
長繊維で低硬度材料を補強する場合、長繊維で形成された織物で低硬度材料を補強することが好ましい。織り組織は特に限定されず、平織り、綾織り、朱子織りのいずれでもよいが、平織りが好ましい。長繊維織物の重さは、例えば、50~500g/m、好ましくは100~300g/m、より好ましくは150~250g/mである。低硬度材料に繊維を含ませる場合、繊維の量は、低硬度材料100質量部に対して、5~50質量部程度、好ましくは10~45質量部程度、より好ましくは20~40質量部程度である。
【0036】
5.反発板への歪み付加および解除の試験例
反発板8の一例として、炭素繊維クロスにエポキシ樹脂を含浸させて形成した反発板サンプルを作成し試験Aを実施した。図3は、反発板サンプルの歪み特性を示すグラフであり、試験Aの「(3)前記応力を解除」したタイミングからの経過時間を横軸(0秒~40秒)とし、反発板8の端部の変位の量を縦軸としたグラフである。図4は、図3の横軸を拡大(0秒~2秒)して示したものである。通常、ポリプロピレン等のプラスチック板の端部に変位を加えて解除するとプラスチック板は振動を起すが、反発板サンプルでは、殆ど振動を起すことなくゆっくり元の形状に戻る挙動が見られた。端部の変位が1.8cmから0.4cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Aは、0.4秒であった。また、端部の変位が1.8cmから0.3cmに戻るのにかかる時間を歪み戻り時間Aは、4秒であった。
【0037】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2にかかる装具は反発板を有している装具であり、反発板は装着者の動きに応じて曲げられたり、元の形状に戻ったりする部品である。図5は、本発明の実施の形態2にかかる手関節背屈保持装具10の使用形態を示す斜視図である。図5において、手関節背屈保持装具10は、手首の甲側に形成されている反発板8と反発板8を手首に固定するための固定バンド11を有している。
【0038】
手関節背屈保持装具10を装着した使用者が、例えば物を握る動作に伴い曲げられた反発板8はその後ゆっくりと元の形状に戻ろうとするが、この戻り動作によって手首が屈曲している状態から元に戻る動作が甲側からアシストされる。
【0039】
以上実施の形態1および実施の形態2において、下肢装具や手背屈装具について説明したが、本発明の装具の適用範囲はこれらに限らず、体幹、膝関節、肘関節、股関節、指関節など装着者のあらゆる部位の動きをサポートすることができるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 下肢装具
2 足載置部
3 下部支柱
4 足継手
5 上部支柱
6 足当て部
7 固定バンド
8 反発板
9 固定部材
10 手関節背屈保持装具
11 固定バンド
図1
図2
図3
図4
図5