(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032593
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】印刷制御装置及び印刷制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240305BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240305BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G06F3/12 344
G06F3/12 359
G06F3/12 303
B41J29/38 204
B41J29/38 201
G03G15/01 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136319
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原沢 豊弘
【テーマコード(参考)】
2C061
2H300
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HK08
2C061HK11
2C061HN15
2H300EA05
2H300EA10
2H300EB07
2H300EC02
2H300EC05
2H300EF08
2H300EJ09
2H300EJ10
2H300EJ48
2H300EJ49
2H300FF05
2H300GG01
2H300GG02
2H300GG04
2H300TT03
(57)【要約】
【課題】印刷部で印刷可能な色の数よりも多い色を含む印刷データを印刷させることができる。
【解決手段】印刷制御装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷データに含まれる1以上の色を含む第1色群の色数が、印刷部で印刷可能な1以上の色を含む第2色群の色数よりも多く、かつ、前記第1色群のうち未印刷の色の色材が前記印刷部に装着されていない場合は、前記印刷部に装着されている色材の何れかを前記第1色群の未印刷の色の色材に交換するよう指示し、前記色材が交換された後に前記第1色群の未印刷の色の印刷を前記印刷部に実行させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷データに含まれる1以上の色を含む第1色群の色数が、印刷部で印刷可能な1以上の色を含む第2色群の色数よりも多く、かつ、前記第1色群のうち未印刷の色の色材が前記印刷部に装着されていない場合は、前記印刷部に装着されている色材の何れかを前記第1色群の未印刷の色の色材に交換するよう指示し、
前記色材が交換された後に前記第1色群の未印刷の色の印刷を前記印刷部に実行させる
印刷制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1色群に含まれる色と、前記印刷部に装着されている色材と、に基づいて、前記第1色群の色の印刷順序と、前記第2色群に含まれる色に対応する前記色材の交換のタイミングと、を制御する
請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記色材の交換の回数が最小となるように前記印刷順序を制御する
請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記印刷順序に従って印刷された印刷物を、前記印刷データのページ順に並び替える
請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第1色群に含まれる色に最後に印刷すべき色が含まれる場合、前記最後に印刷すべき色が最後に印刷されるように前記印刷順序を制御する
請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記最後に印刷すべき色は、既に印刷された色をコートするための色を示すクリアである
請求項5記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第1色群に含まれる色に最初に印刷すべき色が含まれる場合、前記最初に印刷すべき色が最初に印刷されるように前記印刷順序を制御する
請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記最初に印刷すべき色は、下地となる下地色である
請求項7記載の印刷制御装置。
【請求項9】
前記第2色群は少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを含む基本色と、前記基本色とは異なる特色とを含み、
前記第1色群に含まれる前記特色の色数は、前記第2色群に含まれる前記特色の色数より多い
請求項1~8の何れか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項10】
コンピュータに、
印刷データに含まれる1以上の色を含む第1色群の色数が、印刷部で印刷可能な1以上の色を含む第2色群の色数よりも多く、かつ、前記第1色群のうち未印刷の色の色材が前記印刷部に装着されていない場合は、前記印刷部に装着されている色材のいずれかを前記第1色群の未印刷の色の色材に交換するよう指示し、
前記色材が交換された後に前記第1色群の未印刷の色の印刷を前記印刷部に実行させる
処理を実行させる印刷制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置及び印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷すべき画像に関するデータを解析し、当該画像の印刷に用いる複数の色のトナーの重ね合わせ順序を決定する決定手段と、複数の色に対応するトナーカートリッジに関し、前記決定手段により決定されたトナーの重ね合わせ順序に応じたトナーカートリッジのセット位置を指定する指定手段と、を有することを特徴とする画像形成装置、が開示されている。
【0003】
特許文献2には、少なくとも、CMYKトナーを備える印刷装置と、前記CMYKトナー以外のトナーを備える印刷装置と、印刷を指示するコンピュータ装置と、が通信ネットワークで接続された印刷システムにおいて、前記コンピュータ装置は、各々の前記印刷装置に対応するプリンタドライバを有し、各々の前記プリンタドライバは、複数の印刷装置に対して印刷を指示する印刷データが作成可能であり、前記印刷データを受信した所定の印刷装置は、前記印刷データを解析し、他の印刷装置での印刷処理が必要であるかを判断し、前記他の印刷装置での印刷処理が必要と判断した場合は、前記印刷データで特定される印刷内容に基づいて、自印刷装置での印刷処理が先であるかを判断し、自印刷装置での印刷処理が先と判断した場合は、前記印刷データに従って印刷処理を実行すると共に、前記他の印刷装置に対して、保存を指示して前記印刷データを転送し、自印刷装置での印刷処理が後と判断した場合は、前記印刷データを保存ジョブとして保存すると共に、前記他の印刷装置に対して、出力を指示して前記印刷データを転送し、前記他の印刷装置で印刷処理が実行された印刷物に対して、前記保存ジョブに従って印刷処理を実行し、前記他の印刷装置は、前記所定の印刷装置から、保存が指示されて転送された前記印刷データを受信したら、当該印刷データを保存ジョブとして保存し、前記所定の印刷装置で印刷処理が実行された印刷物に対して、前記保存ジョブに従って印刷処理を実行し、前記所定の印刷装置から、出力が指示されて転送された前記印刷データを受信したら、当該印刷データに従って印刷処理を実行する、ことを特徴とする印刷システム、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-151971号公報
【特許文献2】特開2014-021876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、印刷部で印刷可能な色の数よりも多い色を含む印刷データを印刷させることができる印刷制御装置及び印刷制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様に係る印刷制御装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷データに含まれる1以上の色を含む第1色群の色数が、印刷部で印刷可能な1以上の色を含む第2色群の色数よりも多く、かつ、前記第1色群のうち未印刷の色の色材が前記印刷部に装着されていない場合は、前記印刷部に装着されている色材の何れかを前記第1色群の未印刷の色の色材に交換するよう指示し、前記色材が交換された後に前記第1色群の未印刷の色の印刷を前記印刷部に実行させる。
【0007】
また、第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記第1色群に含まれる色と、前記印刷部に装着されている色材と、に基づいて、前記第1色群の色の印刷順序と、前記第2色群に含まれる色に対応する前記色材の交換のタイミングと、を制御する。
【0008】
また、第3態様に係る印刷制御装置は、第2態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記色材の交換の回数が最小となるように前記印刷順序を制御する。
【0009】
また、第4態様に係る印刷制御処理装置は、第2態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記印刷順序に従って印刷された印刷物を、前記印刷データのページ順に並び替える。
【0010】
また、第5態様に係る印刷制御装置は、第2態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記第1色群に含まれる色に最後に印刷すべき色が含まれる場合、前記最後に印刷すべき色が最後に印刷されるように前記印刷順序を制御する。
【0011】
また、第6態様に係る印刷制御装置は、第5態様に係る印刷制御装置において、前記最後に印刷すべき色は、既に印刷された色をコートするための色を示すクリアである。
【0012】
また、第7態様に係る印刷制御装置は、第2態様に係る印刷制御装置において、前記プロセッサは、前記第1色群に含まれる色に最初に印刷すべき色が含まれる場合、前記最初に印刷すべき色が最初に印刷されるように前記印刷順序を制御する。
【0013】
また、第8態様に係る印刷制御装置は、第7態様に係る印刷制御装置において、前記最初に印刷すべき色は、下地となる下地色である。
【0014】
また、第9態様に係る印刷制御装置は、第1~第8態様の何れかの態様に係る印刷制御装置において、前記第2色群は少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを含む基本色と、前記基本色とは異なる特色とを含み、前記第1色群に含まれる前記特色の色数は、前記第2色群に含まれる前記特色の色数より多い。
【0015】
更に、上記目的を達成するために、第10態様に係る印刷制御プログラムは、コンピュータに、印刷データに含まれる1以上の色を含む第1色群の色数が、印刷部で印刷可能な1以上の色を含む第2色群の色数よりも多く、かつ、前記第1色群のうち未印刷の色の色材が前記印刷部に装着されていない場合は、前記印刷部に装着されている色材のいずれかを前記第1色群の未印刷の色の色材に交換するよう指示し、前記色材が交換された後に前記第1色群の未印刷の色の印刷を前記印刷部に実行させる処理を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
第1態様、及び第10態様によれば、印刷部で印刷可能な色の数よりも多い色を含む印刷データを印刷させることができる、という効果を有する。
【0017】
第2態様によれば、印刷順序及び色材の交換のタイミングを制御しない場合と比較して、適切なタイミングで色材の交換の指示を通知することができる、という効果を有する。
【0018】
第3態様によれば、色材の交換の回数が最小となるように印刷順序を制御しない場合と比較して、色材の交換の時間を少なくすることができる、という効果を有する。
【0019】
第4態様によれば、印刷順序に従って印刷された印刷物を並び替えない場合と比較して、印刷物をユーザ自身が並び替える必要がない、という効果を有する。
【0020】
第5態様によれば、印刷順序を制御しない場合と比較して、第1色群に含まれる最後に印刷すべき色を最後に印刷することができる、という効果を有する。
【0021】
第6態様によれば、第1色群がクリアを含む際、印刷順序を制御しない場合と比較して、クリアを最後に印刷することができる、という効果を有する。
【0022】
第7態様によれば、印刷順序を制御しない場合と比較して、第1色群に含まれる最初に印刷すべき色を最初に印刷することができる、という効果を有する。
【0023】
第8態様によれば、第1色群が下地色を含む際、印刷順序を制御しない場合と比較して、下地色を最初に印刷することができる、という効果を有する。
【0024】
第9態様によれば、第1色群に含まれる特色の色数が、第2色群に含まれる特色の色数よりも多い印刷データを印刷することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係る印刷制御装置を含む印刷装置が、ユーザによって利用される場合について説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係る印刷制御装置と印刷部等とを含む印刷装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】印刷制御プログラムによる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】PCに出力される第1の通知の一例を示す図である。
【
図7】表示部に出力される第1の通知の一例を示す図である。
【
図10】PCに出力される第2の通知の一例を示す図である。
【
図11】表示部に出力される第2の通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を説明する。
【0027】
初めに、本開示による実施形態の概略について説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る印刷制御装置10を含む印刷装置1が、ユーザ3によって利用される際の概略を示す図である。ユーザ3は、例えばPC(Personal Computer;パーソナルコンピュータ)2内の文書データ22を印刷装置1に出力する。印刷装置1は、文書データ22を取得して、印刷処理を実行する。あるいは、ユーザ3は、印刷装置1に備わるスキャナー20に文書11をセットする。印刷装置1は、セットされた文書11を読み込むことにより得られた電子データに対して印刷処理を実行する。なお、PC2の出力によって取得された文書データ22、及びスキャナー20によって文書11を読み込むことにより得られた電子データは、印刷データの一例である。
【0029】
印刷装置1は、印刷処理が完了すると印刷物を排出する。なお、印刷物とは、記録媒体であって、印刷処理によって画像が形成されたものを示す。記録媒体の一例は、用紙である。
【0030】
次に、本実施形態に係る印刷制御装置10の構成の一例を説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に係る印刷装置1の構成の一例を示すブロック図である。印刷装置1は、印刷制御装置10、スキャナー20と、印刷部30、及び排出部40を含む。以下では、印刷制御装置10は印刷装置1に含まれる構成を説明するが、印刷制御装置10は、印刷装置1と通信可能に接続される外部の装置であってもよい。
【0032】
印刷制御装置10は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)12A、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)12B、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)12C、不揮発性メモリ12D、入出力インターフェース(I/O)部12E、通信部12G、表示部14、操作部16、記憶部18等の構成部を含む。
【0033】
CPU12Aは中央演算処理ユニットであり、後述する印刷処理プログラム100(
図3参照)、及びその他の各種プログラムを例えば記憶部18から読み出す。CPU12Aは、RAM12Cを作業領域として、読み出したプログラムを実行することで印刷制御装置10における各構成部と、以下に説明するスキャナー20及び印刷部30とを制御する。なお、CPU12Aは、プロセッサの一例である。
【0034】
CPU12A、ROM12B、RAM12C、不揮発性メモリ12D、及びI/O部12Eは、バス12Fを介して相互に通信可能に接続される。
【0035】
通信部12Gは、例えば印刷装置1の外部の装置と、有線または無線により相互に通信可能に接続される。外部の装置の一例はPC2である。印刷装置1は、PC2から出力された文書データ22を、通信部12Gを介して取得する。
【0036】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等とタッチパネルとの組み合わせで構成される。
【0037】
操作部16は、例えば印刷装置1に設けられる電源ボタン及び操作ボタン等である。
【0038】
記憶部18は、例えばSSD(Solid State Drive)、またはHDD(Hard Disk Drive)により構成される。記憶部18は、印刷制御プログラム100、及び取得された印刷データ等を記憶する。
【0039】
スキャナー20は、印刷装置1にセットされた文書11を読み取り、文書11をデータ化するCCD(Charge-Coupled Device;電荷結合素子)イメージセンサ等を備える。
【0040】
印刷部30は、画像形成トナーユニット群32を含み、印刷データに基づき印刷を行う。
図2に示す画像形成トナーユニット群32は、金トナーユニット34G、イエロートナーユニット34Y、マゼンタトナーユニット34M、シアントナーユニット34C、ブラックトナーユニット34K、及び銀トナーユニット34Sを含む。以下では、各色のトナーユニットと、各トナーの色と、印刷データに含まれる各色とを区別せず、同一の符号を用いて説明する。例えばイエロートナーユニット34Y、イエロートナー34Y、イエロー34Y等と称する。また、画像形成トナーユニット群32に含まれる各トナーユニットを区別しない場合は単にトナーユニット34と表記する。
【0041】
トナーユニット34は、図示しない感光体ドラムを含む。トナーユニット34は、電子写真方式に従って、感光体ドラムの表面にトナー像を形成し、図示しない中間転写ベルトにトナー像を転写し、転写されたトナー像を記録媒体に転写する。これにより、記録媒体には印刷データに基づく画像が形成される。
【0042】
画像形成トナーユニット群32に装着されているトナーユニット34に含まれる各トナーの色は、第2色群の一例である。
図2に示す第2色群の色数は6である。なお、イエロー34Y、マゼンタ34M、シアン34C、ブラック34Kは、基本色の一例である。また、金34G、銀34Sは特色の一例である。特色の他の例は、白34W、クリア34Cl、ピンク34P等である。ここで、クリア34Clは、既に印刷された色をコートするための色である。白34Wは下地となる色の一例である。下地となる色を示す下地色は、印刷データに基づく色を印刷する際、最初に印刷される色である。
【0043】
銀トナー34S、イエロートナー34Y、マゼンタトナー34M、シアントナー34C、ブラックトナー34K、金トナー34Gは、色材の一例である。
【0044】
また、画像形成トナーユニット群32の設定は、印刷に関する処理の過程において変更できる。すなわち、画像形成トナーユニット群32に装着されているトナーユニットのうち少なくとも1つを他のトナーユニットに交換可能である。具体的には、印刷データに使用される色の数が第2色群に含まれる色の数より多く、第2色群が含まない色のトナーを印刷に使用する場合、画像形成トナーユニット群32に装着される少なくとも1つのトナーユニットを、印刷に必要なトナーユニットへ交換することができる。なお、印刷データで使用されている色を第1色群とよぶ。
【0045】
排出部40は、一例として印刷装置1により印刷された印刷物が排出されるトレイである。
【0046】
なお、スキャナー20と、印刷部30と、排出部40とは、I/O部12Eを介して印刷制御装置10と相互に通信可能に接続される。
【0047】
次に、印刷制御装置10の動作について説明する。
図3は、印刷制御プログラム100による処理の流れを示すフローチャートである。印刷制御プログラム100は、CPU12Aによって実行される。また、以下に説明するステップS100~S122の処理は、印刷データが取得される毎に繰り返される。
【0048】
以下、初期の設定の画像形成トナーユニット群32には、記録媒体が通過する順に、先頭から金34G、イエロー34Y、マゼンタ34M、シアン34C、ブラック34K、銀34Sのトナーユニットが装着されているとする。
【0049】
ステップS100において、CPU12Aは印刷データを取得する。CPU12Aが取得する印刷データの一例を
図4、及び
図5に示す。
【0050】
図4に示す印刷データ60は、PC2またはスキャナー20により取得された印刷データの一例を示す。印刷データ60は、第1色群として、イエロー34Y、金34G、シアン34C、ブラック34Kの4色を含む1ページで構成される。
【0051】
図5に示す印刷データ62は、PC2またはスキャナー20により取得された印刷データの他の一例である。印刷データ62は、ページ62A、ページ62B、ページ62C、及びページ62Dの計4ページから構成される。印刷データ62の第1色群は、イエロー34Y、金34G、ブラック34K、マゼンタ34M、ピンク34P、クリア34Cl、白34W、の7色を含む。
【0052】
ステップS102において、CPU12Aは、取得された印刷データで使用されている色を分析し、印刷(ステップS114の処理)で使用するトナーの色を決定する。詳細を、
図4を用いて説明する。
図4の例においてCPU12Aは、印刷データ60で使用されている色を分析し、印刷で、イエロートナー34Y、金トナー34G、シアントナー34C、ブラックトナー34Kを使用すると決定する。なお、
図4において最初のステップS102で決定される、印刷で使用するトナーの色は第1色群に含まれる色と等しい。
【0053】
ステップS104において、CPU12Aは、印刷で使用すると決定されたトナーの色が、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されたトナーユニットの色以外の色を使用するか否かを判定する。なお、画像形成トナーユニット群32の最新の設定とは、ステップS104が実行される時点での画像形成トナーユニット群32のことである。
【0054】
詳細には、CPU12Aは、例えば画像形成トナーユニット群32の最新の設定に関する情報を取得し、取得した情報と、印刷で使用すると決定されたトナーの色とを比較して判定する。なお、画像形成トナーユニット群32の最新の設定に関する情報とは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において、装着されているトナーユニットのデータを示す。
【0055】
ステップS104における判定の結果が肯定される場合(ステップS104のY)、つまり、印刷で使用すると決定されたトナーの色が、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されていないトナーユニットの色以外の色を使用する場合、ステップS106に進む。ステップS104における判定の結果が否定される場合(ステップS104のN)、つまり、印刷で使用すると決定されたトナーの色が、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されているトナーユニットの色に含まれる場合、ステップS112に進む。
【0056】
図4の例に対するステップS104の判定においては、第1色群に含まれる色と、印刷で使用すると決定されたトナーの色とは等しい。また、第1色群に含まれる色は、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されていないトナーユニットの色以外の色を使用しないため、判定の結果は否定される。
【0057】
ステップS106において、CPU12Aは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されているトナーユニットに、白トナーユニット34Wが含まれないか否かを判定する。同時に、印刷で使用すると決定されたトナーの色に、白トナー34Wが含まれるか否かを判定する。なお、白トナー34Wは色材の一例である。
【0058】
双方の判定がいずれも肯定される場合(ステップS106のY)、言い換えると、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において、白トナーユニット34Wが装着されておらず、かつ、印刷で白トナー34Wを使用すると決定されている場合、ステップS110に進む。ステップS106における判定の結果が否定される場合(ステップS106のN)、つまり、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において白トナーユニット34Wが装着されている、または印刷で使用すると決定されたトナーの色に白トナー34Wが含まれない場合、ステップS108に進む。
【0059】
ステップS108において、CPU12Aは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されているトナーユニットによる印刷が可能であるか否かを判定する。詳細には、印刷で使用すると決定されたトナーの色を画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されているトナーユニットの色で印刷できるか否かを、上記ステップS104で取得された最新の設定に関する情報及び印刷データ等を用いて判定する。ステップS108における判定の結果が肯定される場合(ステップS108のY)、つまり、最新の設定の画像形成トナーユニット群32に装着されているトナーユニットによる印刷が可能な場合、ステップS112に進む。ステップS108における判定の結果が否定される場合(ステップS108のN)、つまり、印刷で使用すると決定されたトナーの色が、最新の設定において画像形成トナーユニット群32に装着されているトナーユニットによっては印刷できない場合、ステップS110に進む。
【0060】
ステップS110において、CPU12Aは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されている少なくとも1つのトナーユニットを、印刷に必要なトナーユニットに交換するための指示を示す通知を出力する。なお、画像形成トナーユニット群32に装着されている何れかのトナーユニットを指定して、当該トナーユニットを他の色のトナーユニットに交換するよう通知してもよい。
【0061】
図6は、PC2に出力される通知の一例を示す図である。
図6に示す例は、例えば記憶部18に記憶されているユーザ3のメールアドレスを用いて、PC2に送信される通知メールを示している。ユーザ3は、PC2に届いた通知メールを確認し、通知メールの指示に従って、例えば指定された初期の設定における画像形成トナーユニット群32の銀トナーユニット34Sを、白トナーユニット34Wに交換することができる。
【0062】
図7は、表示部14に出力される通知の一例を示す図である。
図7に示す例は、表示部14に表示される通知画像を示している。ユーザ3は、表示部14に表示された通知画像を確認し、通知画像の指示に従って、指定された画像形成トナーユニット群32の少なくとも1つのトナーユニットを、他の色のトナーユニットに交換することができる。
図7に示す例によれば、ユーザ3は、初期の設定における画像形成トナーユニット群32に装着された銀トナーユニット34Sを、白トナーユニット34Wに交換することができる。
【0063】
ユーザ3によるトナーユニットの交換が完了すると、CPU12Aは、印刷データに対してステップS102以降の処理を繰り返し実行する。
【0064】
ステップS112において、CPU12Aは、印刷で使用すると決定されたトナーの色に対し、印刷する順番を決定する。決定される順番は印刷順序の一例である。印刷の順番は、例えば、画像形成トナーユニット群32に装着されているトナーユニットを、記録媒体が通過する順で決定される。つまり、第1色群に含まれる色のうち、画像形成トナーユニット群32において記録媒体が最初に通過する位置に装着されたトナーユニットの色を1番目に印刷するとし、次に通過する位置に装着されたトナーユニットの色を2番目に印刷する、として順番を決定する。
図4に示す印刷データ60においては、例えば画像形成トナーユニット群32の初期の設定で装着されているトナーユニットの、記録媒体が通過する順に従い、1番目に金34G、2番目にイエロー34Y、3番目にシアン34C、4番目にブラック34K、と印刷順序を決定する。
【0065】
ここで、第1色群が最初に印刷すべき色又は最後に印刷すべき色を含む場合、これらの色を印刷する順番が優先して決定されてもよい。具体的には、第1色群が下地色を含む場合、下地色の印刷の順番は1番目と決定される。これは、下地色が各色を明瞭に再現するために用いられることから、どの色の印刷よりも先に印刷が行われることが好ましいためである。また、第1色群がクリア34Cl、及びクリア34Cl以外の色を含む場合、クリア34Cl以外の色が、クリア34Clよりも先に印刷されるよう順番が決定される。これは、クリアが印刷した色をコートするために用いられることから、クリア34Clによる印刷は、クリア34Cl以外の色による印刷が完了後に仕上げとして最後に行われることが好ましいためである。
【0066】
ステップS114において、CPU12Aは、決定された印刷の順番と印刷データとに基づき印刷を行う。印刷が完了した記録媒体は印刷物として排出され、排出部40に蓄積される。
【0067】
ステップS116において、CPU12Aは、未印刷な色が有るか否かを判定する。未印刷な色が有るか否かは、例えばステップS102で決定された、印刷で使用するトナーの色が、ステップS114において全て印刷されたか否かで判定される。ステップS116における判定の結果が肯定される場合(ステップS116のY)、つまり、第1色群に含まれる全ての色による印刷が、印刷データ内の全ての頁に対して完了していないと、ステップS118に進む。ステップS116における判定の結果が否定される場合(ステップS116のN)、つまり、印刷によって、第1色群における色が印刷データの内の全ての頁に対して完了すると、ステップS120に進む。
【0068】
図4の印刷データ60においては、第1色群に含まれる色による印刷が、一度の印刷で全て完了するため、ステップS116の判定の結果は否定される。
【0069】
ステップS118において、CPU12Aは、排出部40に蓄積された印刷物を印刷装置1に戻す。これにより、印刷が1回以上実行された印刷物に対し、印刷データに基づくステップS102以降の処理を繰り返し実行できる。CPU12Aは、ステップS116の判定の結果が否定されるまで、ステップS102以降の処理を繰り返し実行する。
【0070】
ステップS120において、CPU12Aは、排出部40に蓄積された印刷物に対し、ソートが必要であるか否かを判定する。ソートとは、排出部40に蓄積された印刷物の順番を並び替えることである。ステップS120の判定の結果が肯定される場合(ステップS120のY)、ステップS122に進む。ステップS120の判定の結果が否定される場合(ステップS120のN)、CPU12Aは、印刷制御プログラム100による処理を終了する。
【0071】
図4に示す例の場合、印刷データ60におけるページは1ページなので、ステップS120における判定の結果は否定される。
【0072】
ステップS122において、CPU12Aは、排出部40に蓄積された印刷物をソートする。具体的には、印刷物を印刷装置1内に取り込み、図示しないソート機構によって、取り込んだ印刷物が印刷データの頁順にソートし、排出部40に排出する。ステップS122の処理が実行されると、CPU12Aは、印刷制御プログラム100による処理を終了する。
【0073】
なお、CPU12Aは、1つの印刷データに対して、ステップS102~S118の処理を複数回、繰り返し実行することがある。詳細には、
図5に示す印刷データ60に対し、CPU12Aは、ステップS102~S118の処理を複数回繰り返し実行する。以下、印刷データ60に対してCPU12Aが実行する処理の詳細を説明する。なお、以下の説明では、複数回実行される処理についての回数を明記する。
【0074】
まず、ステップS100において、CPU12Aは、PC2またはスキャナー20から印刷データ62を取得する。
【0075】
最初のステップS102において、CPU12Aは、印刷データ62で使用されている色を分析し、ページ62Aでは、イエロートナー34Y、金トナー34G、ブラックトナー34Kの使用を決定する。ページ62Bでは、イエロートナー34Y、金トナー34G、ブラックトナー34K、白トナー34Wの使用を決定する。ページ62Cでは、ピンクトナー34P、クリアトナー34Clの使用を決定する。ページ62Dでは、ピンクトナー34P、金トナー34G、マゼンタトナー34M、ブラックトナー34Kの使用を決定する。なお、ピンクトナー34P、及びクリアトナー34Clは色材の一例である。
【0076】
最初のステップS104において、ページ62Bの白34Wと、ページ62Cのピンク34P及びクリア34Clと、ページ62Dのピンク34Pとは、画像形成トナーユニット群32の初期の設定において装着されていないトナーユニットによる色である。従って、判定の結果は肯定される。
【0077】
最初のステップS106において、画像形成トナーユニット群32の初期の設定では白トナーユニット34Wが装着されておらず、かつ、ページ62Bで白トナー34Wを使用するので、判定の結果は肯定される。
【0078】
最初のステップS110において、例えば
図6又は
図7に示す通知が出力される。通知により、初期の設定における画像形成トナーユニット群32に装着される銀トナーユニット34Sが、白トナーユニット34Wに交換されると、印刷データ62に対し、二度目のステップS102が実行される。なお、最初のステップS110によるトナーユニットの交換は、印刷データ62の処理における一度目のトナーユニットの交換である。
【0079】
二度目のステップS102は、最初のステップS102の処理と同様である。また、二度目のステップS104の処理も、最初のステップS104の処理と同様である。
【0080】
二度目のステップS106においては、画像形成トナーユニット群32の最新の設定では白トナーユニット34Wが装着されているので、判定の結果は否定される。
【0081】
最初のステップS108において、ページ62Aのイエロー34Y、金34G、ブラック34Kと、ページ62Bのイエロー34Y、金34G、ブラック34K、白34Wと、ページ62Dの金34G、マゼンタ34M、ブラック34Kとは、最新の設定における画像形成トナーユニット群32に装着されたトナーユニットによる印刷は可能である。従って、最初のステップS108の判定の結果は肯定される。
【0082】
最初のステップS112において、印刷データ62の印刷順序は、ページ62Aにおいては、1番目に金34G、2番目にイエロー34Y、3番目にブラック34K、と決定される。また、ページ62Bにおいては白34Wが使用されるため、1番目に白34W、と決定される。また、ページ62Cにおいては、装着されているトナーを用いないため印刷されないので印刷順序は決定されない。ページ62Dにおいては、1番目に金34G、2番目にマゼンタ34M、3番目にブラック34Kと決定される。
【0083】
最初のステップS114において、CPU12Aは、印刷データ62のページ62Aに基づいて、金トナー34G、イエロートナー34Y、ブラックトナー34Kによる印刷を行う。またCPU12Aは、印刷データ62のページ62Bに基づいて、白トナー34Wによる印刷を行う。また、CPU12Aは、印刷データ62のページ62Dに基づいて、金トナー34G、マゼンタトナー34M、ブラックトナー34Kによる印刷を行う。
【0084】
図8は、最初のステップS114の印刷によって排出部40に排出される印刷物を示す図である。印刷データ62に基づく最初の印刷による印刷物は、ページ62A、ページ62B、ページ62Cの順に3頁の印刷物が排出される。以下、最初の印刷により排出された印刷物を、一度目の印刷物とよぶ。
【0085】
最初のステップS116において、二度目のステップS102で使用すると決定された、ページ62Bの金トナー34G、イエロートナー34Y、及びブラックトナー34Kによる印刷は、最初のステップS114では印刷されない。また、最初のステップS116において、ページ62Cのピンク34P、及びクリア34Clと、ページ62Dのピンク34Pとによる印刷は、最初のステップS114では印刷されていない。従って、最初のステップS116の判定の結果は肯定される。
【0086】
最初のステップS118においては、排出部40に蓄積された一度目の印刷物が印刷装置1内に戻される。一度目の印刷物が印刷装置1へ戻されると、CPU12Aは、再びステップS102の処理を実行する。
【0087】
なお、ページ62A、ページ62Bの白34W、ページ62Dの金34G、マゼンタ34M、及びブラック34Kについては、一度目の印刷で印刷されている。
【0088】
従って三度目のステップS102において、CPU12Aは、ページ62Bでは、金トナー34G、イエロートナー34Y、ブラックトナー34Kの使用を決定する。また、CPU12Aは、ページ62Cでは、ピンクトナー34P、クリアトナー34Clの使用を決定する。また、CPU12Aは、ページ62Dでは、ピンクトナー34Pの使用を決定する。
【0089】
画像形成トナーユニット群32の最新の設定では、金トナーユニット34G、イエロートナーユニット34Y、マゼンタトナーユニット34M、シアントナーユニット34C、ブラックトナーユニット34K、及び白トナーユニット34Wが装着されている。
【0090】
従って、三度目のステップS104において、ページ62Cのピンク34P及びクリア34Clと、ページ62Dのピンク34Pとは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されていないトナーユニットによる色であるため、判定の結果は肯定される。
【0091】
三度目のステップS106において、一度目のトナーユニットの交換によって最新の設定における画像形成トナーユニット群32には白トナーユニット34Wが装着されるので、判定の結果は否定される。
【0092】
二度目のステップS108において、ページ62Bの未印刷の色である金34G、イエロー34Y、及びブラック34Kは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されるトナーユニットにより印刷可能であるため、判定の結果は肯定される。
【0093】
二度目のステップS112において、印刷データ62の印刷順序は、ページ62Aにおいては未印刷の色がないため決定されない。ページ62Bにおいては1番目に金34G、2番目にイエロー34Y、3番目にブラック34K、と決定される。また、ページ62Cにおいては、装着されているトナーユニットを用いず印刷されないので、印刷順序は決定されない。ページ62Dについても同様に、印刷順序は決定されない。
【0094】
二度目のステップS114において、CPU12Aは、印刷データ62のページ62Bに基づいて、金トナー34G、イエロートナー34Y、ブラックトナー34Kによる印刷を行う。
【0095】
図9は、二度目のステップS114の印刷によって排出部40に排出される印刷物を示す図である。印刷データ62に基づく二度目の印刷による印刷物は、ページ62Bのみである。なお、最初のステップS118において、一度目の印刷物が印刷装置1へ戻されている。従って、CPU12Aは、先に、二度目の印刷では印刷されないページ62A、ページ62Dに基づく印刷物を排出する。その後、二度目の印刷で印刷されたページ62Bに基づく印刷物を排出する。以下、二度目の印刷により排出された印刷物を、二度目の印刷物とよぶ。なお、二度目の印刷物は、一度目の印刷物を含む。
【0096】
二度目のステップS116において、三度目のステップS102で使用すると決定された、ページ62Cのピンクトナー34P、及びクリアトナー34Clによる印刷は、二度目のステップS114では印刷されていない。また、二度目のステップS116において、三度目のステップS102で使用すると決定された、ページ62Dのピンクトナー34Pによる印刷は、二度目のステップS114では印刷されていない。従って二度目のステップS116における判定の結果は肯定される。
【0097】
二度目のステップS118においては、排出部40に蓄積された二度目の印刷物が印刷装置1内に戻される。二度目の印刷物が印刷装置1へ戻されると、CPU12Aは、再びステップS102の処理を実行する。
【0098】
なお、ページ62A、ページ62B、ページ62Dの金34G、マゼンタ34M、及びブラック34Kについては、一度目、及び二度目の印刷で印刷されている。
【0099】
従って四度目のステップS102において、CPU12Aは、ページ62Cでは、ピンクトナー34P、クリアトナー34Clの使用を決定する。また、CPU12Aは、ページ62Dでは、ピンクトナー34Pの使用を決定する。
【0100】
画像形成トナーユニット群32の最新の設定には、金トナーユニット34G、イエロートナーユニット34Y、マゼンタトナーユニット34M、シアントナーユニット34C、ブラックトナーユニット34K、及び白トナーユニット34Wが装着されている。
【0101】
従って、四度目のステップS104、及び四度目のステップS106の処理は、三度目のステップS104、及び三度目のステップS106と同様である。
【0102】
三度目のステップS108において、ページ62Cの未印刷な色であるピンク34P及びクリア34Clは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されるトナーユニットにより印刷できない。また、三度目のステップS108において、ページ62Dの未印刷な色であるピンク34Pは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されるトナーユニットにより印刷できない。従って、三度目のステップS108における判定の結果は否定される。
【0103】
二度目のステップS110において、CPU12Aは、例えば
図10又は
図11に示す通知を出力する。通知により、最新の設定における画像形成トナーユニット群32には、記録媒体が通過する順に、ピンク34P、イエロー34Y、マゼンタ34M、シアン34C、ブラック34K、及びクリア34Clのトナーユニットが装着される。白トナーユニット34W、及び金トナーユニット34Gが、それぞれクリアトナーユニット34Cl、ピンクトナーユニット34Pに交換されると、印刷データ62に対し、五度目のステップS102が実行される。なお、二度目のステップS110によるトナーユニットの交換は、印刷データ62の処理における二度目のトナーユニットの交換である。
【0104】
五度目のステップS102においては、四度目のステップS102と同じ決定がなされる。
【0105】
五度目のステップS104において、ページ62Cのピンク34P及びクリア34Clと、ページ62Dのピンク34Pとは、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着されているトナーユニットによる色であるため、判定の結果は否定される。
【0106】
三度目のステップS112では、印刷データ62の印刷順序は、ページ62A、ページ62Bにおいては未印刷の色がないため決定されない。ページ62Cにおいては、1番目にピンク34Pと決定される。ページ62Dにおいては、1番目にピンク34Pが決定される。
【0107】
三度目のステップS114において、CPU12Aは、印刷データ62のページ62Cに基づいて、ピンクトナー34Pによる印刷を行う。また、CPU12Aは、印刷データ62のページ62Dに基づいて、ピンクトナー34Pによる印刷を行う。
【0108】
図12は、三度目のステップS114の印刷によって排出部40に排出される印刷物を示す図である。印刷データ62に基づく三度目の印刷による印刷物は、ページ62C、及びページ62Dである。なお、二度目のステップS118において、二度目の印刷物が印刷装置1へ戻されている。従って、CPU12Aは、先に、三度目の印刷では印刷されないページ62A、ページ62Bに基づく印刷物を排出する。その後、三度目の印刷で印刷されたページ62Cに基づく印刷物、及びページ62Dに基づく印刷物を排出する。以下、三度目の印刷により排出された印刷物を、三度目の印刷物とよぶ。なお、三度目の印刷物は、一度目及び二度目の印刷物を含む。
【0109】
三度目のステップS116においては、五度目のステップS102で使用すると決定された、ページ62Cのクリア34Clによる印刷は、三度目のステップS114では印刷されていないため、判定の結果は肯定される。
【0110】
三度目のステップS118においては、排出部40に蓄積された三度目の印刷物が印刷装置1内に戻される。三度目の印刷物が印刷装置1へ戻されると、CPU12Aは、再びステップS102の処理を実行する。
【0111】
六度目のステップS102において、CPU12Aは、ページ62Cでは、クリアトナー34Clの使用を決定する。
【0112】
六度目のステップS104においては、五度目のステップS104と同様の処理を行う。
【0113】
四度目のステップS112では、印刷データ62の印刷順序は、ページ62A、ページ62B、ページ62Dにおいては未印刷の色がないため決定されない。ページ62Cにおいては、1番目にクリア34Clと決定される。
【0114】
四度目のステップS114において、CPU12Aは、印刷データ62のページ62Cに基づいて、クリアトナー34Clによる印刷を行う。
【0115】
図13は、四度目のステップS114の印刷によって排出部40に排出される印刷物を示す図である。印刷データ62に基づく四度目の印刷による印刷物は、ページ62Cである。なお、三度目のステップS118において、三度目の印刷物が印刷装置1へ戻されている。従って、CPU12Aは、先に、四度目の印刷では印刷されないページ62A、ページ62B、ページ62Dに基づく印刷物を排出する。その後、四度目のステップS114で印刷されたページ62Cに基づく印刷物を排出する。以下、四度目の印刷により排出された印刷物を、四度目の印刷物とよぶ。なお、四度目の印刷物は、一度目~三度目の印刷物を含む。
【0116】
四度目のステップS116においては、第1色群に含まれる色による印刷が、四度目の印刷で全て完了するため、ステップS116の判定の結果は肯定される。
【0117】
最初のステップS120において、印刷データ62におけるページは、ページ62A、ページ62B、ページ62C、ページ62Dの頁順であるが、排出部40に蓄積された印刷物の頁順は、ページ62A、ページ62B、ページ62D、ページ62Cである。これは、四度目のステップS114において、ページ62Cに基づく印刷が最後に行われたためである。従って、最初のステップS120において判定の結果は肯定される。
【0118】
最初のステップS122では、CPU12Aは四度目の印刷物を印刷装置1に戻し、四度目の印刷物を印刷データ62の頁順に排出する。つまり、ページ62A、ページ62B、ページ62C、ページ62Dの順に印刷物を排出する。ステップS122の処理が実行されると、印刷データ62に対する印刷制御プログラム100による処理を終了する。
【0119】
印刷制御プログラム100によれば、画像形成トナーユニット群32に装着されたトナーユニットによる色の数よりも多い色を含む印刷データ62を印刷することができる。
【0120】
なお、上記の例において、印刷データ62の印刷には、2回のトナーユニットの交換が行われたが、例えばページ順に印刷を行うとすると、ページ62Aを印刷した後に、ページ62Bで白34Wを印刷するため、トナーユニットの交換が一度行われる。ここで、例えば金トナーユニット34Gが白トナーユニット34Wと交換された場合を想定する。ページ62Bの印刷では、金トナーユニット34Gも使用するため、白トナーユニット34Wによる印刷が行われた後に、二度目のトナーユニットの交換の必要が生じる。そして、ページ62Cでピンク34Pを印刷するため三度目のトナーユニットの交換を行い、続いてクリア34Clを印刷するため四度目のトナーユニットの交換を行う。この場合、印刷データ62における3項の印刷で4回のトナーユニットの交換を要する。しかしながら、本実施形態によれば、印刷データに対し、印刷順序がトナーユニットの交換回数が少なくなるように決定され、更に装着されたトナーユニットによる印刷が優先される。これにより、トナーユニットの交換の回数が頁順に印刷する場合と比較して抑えられるため、ユーザ3にとって利便性が向上する。1つの印刷データの処理の過程において、トナーユニットの交換ができるため、第2色群の色の数を超える数の色を、第1色群に含めることができる。
【0121】
以上、実施の形態を説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0122】
本実施形態の変更又は改良の一例として、1つの印刷データの処理の過程におけるトナーユニットの交換は、特色のトナーユニットの交換のみに限定してもよい。言い換えると、1つの印刷データの処理の過程において交換できるトナーユニットは、特色のトナーユニットのみであり、基本色のトナーユニットは交換できない、として実施されても良い。
【0123】
この場合、
図3のステップS104は、「CPU12Aは、印刷で使用すると決定されたトナーの色に、画像形成トナーユニット群32の最新の設定において装着された特色のトナーユニットによる色以外の特色が含まれるか否かを判定する。」として実施されればよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、電子写真方式により記録媒体に画像を形成する場合について説明したが、インクジェット記録方式により記録媒体に画像を形成する場合にも開示の技術を適用可能である。この場合、トナーに代えてインクが色材として用いられる。
【0125】
また、上記実施の形態は、請求項に係る開示を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0126】
また、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated
【0127】
Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0128】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0129】
本実施形態では、印刷制御プログラム100が記憶部18にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る印刷制御プログラム100を、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係る印刷制御プログラム100を、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る印刷制御プログラム100を、通信部12Gを介して外部の装置から取得するようにしてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、印刷制御装置10における処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0131】
その他、上記実施形態で説明した印刷制御装置10の構成は一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0132】
同様に、上記実施形態で説明した印刷部30の構成は一例であり、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0133】
また、上記実施の形態で説明した印刷制御プログラム100の処理の流れ(
図3参照)も一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0134】
以上の実施形態に関し、更に以下を開示する。
【0135】
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷データに含まれる1以上の色を含む第1色群の色数が、印刷部で印刷可能な1以上の色を含む第2色群の色数よりも多く、かつ、前記第1色群のうち未印刷の色の色材が前記印刷部に装着されていない場合は、前記印刷部に装着されている色材の何れかを前記第1色群の未印刷の色の色材に交換するよう指示し、
前記色材が交換された後に前記第1色群の未印刷の色の印刷を前記印刷部に実行させる 印刷制御装置。
【0136】
(((2)))
前記プロセッサは、
前記第1色群に含まれる色と、前記印刷部に装着されている色材と、に基づいて、前記第1色群の色の印刷順序と、前記第2色群に含まれる色に対応する前記色材の交換のタイミングと、を制御する
(((1)))に記載の印刷制御装置。
【0137】
(((3)))
前記プロセッサは、
前記色材の交換の回数が最小となるように前記印刷順序を制御する
(((2)))に記載の印刷制御装置。
【0138】
(((4)))
前記プロセッサは、
前記印刷順序に従って印刷された印刷物を、前記印刷データのページ順に並び替える
(((2)))又は(((3)))に記載の印刷制御装置。
【0139】
(((5)))
前記プロセッサは、
前記第1色群に含まれる色に最後に印刷すべき色が含まれる場合、前記最後に印刷すべき色が最後に印刷されるように前記印刷順序を制御する
(((2)))又は(((3)))に記載の印刷制御装置。
【0140】
(((6)))
前記最後に印刷すべき色は、既に印刷された色をコートするための色を示すクリアである
(((5)))に記載の印刷制御装置。
【0141】
(((7)))
前記プロセッサは、
前記第1色群に含まれる色に最初に印刷すべき色が含まれる場合、前記最初に印刷すべき色が最初に印刷されるように前記印刷順序を制御する
(((2)))~(((6)))の何れか1項に記載の印刷制御装置。
【0142】
(((8)))
前記最初に印刷すべき色は、下地となる下地色である
(((7)))に記載の印刷制御装置。
【0143】
(((9)))
前記第2色群は少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを含む基本色と、前記基本色とは異なる特色とを含み、
前記第1色群に含まれる前記特色の色数は、前記第2色群に含まれる前記特色の色数より多い
(((1)))~(((8)))の何れか1項に記載の印刷制御装置。
【0144】
(((10)))
コンピュータに、
印刷データに含まれる1以上の色を含む第1色群の色数が、印刷部で印刷可能な1以上の色を含む第2色群の色数よりも多く、かつ、前記第1色群のうち未印刷の色の色材が前記印刷部に装着されていない場合は、前記印刷部に装着されている色材のいずれかを前記第1色群の未印刷の色の色材に交換するよう指示し、
前記色材が交換された後に前記第1色群の未印刷の色の印刷を前記印刷部に実行させる 処理を実行させる印刷制御プログラム。
【0145】
(((1)))、及び(((10)))によれば、印刷装置で印刷可能な色の数よりも多い色を含む印刷データを印刷させることができる、という効果を有する。
【0146】
(((2)))によれば、印刷順序及び色材の交換のタイミングを制御しない場合と比較して、適切なタイミングで色材の交換の指示を通知することができる、という効果を有する。
【0147】
(((3)))によれば、色材の交換の回数が最小となるように印刷順序を制御しない場合と比較して、色材の交換の時間を少なくすることができる、という効果を有する。
【0148】
(((4)))によれば、印刷順序に従って印刷された印刷物を並び替えない場合と比較して、印刷物をユーザ自身が並び替える必要がない、という効果を有する。
【0149】
(((5)))によれば、印刷順序を制御しない場合と比較して、第1色群に含まれる最後に印刷すべき色を最後に印刷することができる、という効果を有する。
【0150】
(((6)))によれば、第1色群がクリアを含む際、印刷順序を制御しない場合と比較して、クリアを最後に印刷することができる、という効果を有する。
【0151】
(((7)))によれば、印刷順序を制御しない場合と比較して、第1色群に含まれる最初に印刷すべき色を最初に印刷することができる、という効果を有する。
【0152】
(((8)))によれば、第1色群が下地色を含む際、印刷順序を制御しない場合と比較して、下地色を最初に印刷することができる、という効果を有する。
【0153】
(((9)))によれば、第1色群に含まれる特色の色数が、第2色群に含まれる特色の色数よりも多い印刷データを印刷することができる、という効果を有する。
【符号の説明】
【0154】
1…印刷装置、2…PC、3…ユーザ、10…印刷制御装置、14…表示部、20…画像読取部、30…印刷部、32…画像形成トナーユニット群、34…トナーユニット、40…排出部、60…印刷データ、62…印刷データ、100…印刷制御プログラム。