(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032614
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ヘッドユニット、および液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01
B41J2/01 451
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136358
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今西 亮太
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB06
2C056EB29
2C056EC26
2C056HA10
2C056HA13
(57)【要約】
【課題】吐出ヘッドの位置調整の作業効率を高める。
【解決手段】本開示によるヘッドユニットは、吐出ヘッドと、第1軸部材と、第2軸部材と、第1伝達部と、報知部とを有する、吐出ヘッドは、液滴を吐出する。第1軸部材は、液滴の吐出面に対して垂直な第1回転軸を中心に回転する軸部材であって、第1回転軸から偏心した偏心部を有し、第1回転軸を中心とする偏心部の回転によって吐出ヘッドを吐出面と平行に移動させる。第2軸部材は、吐出面と平行な第2回転軸を中心に回転する。第1伝達部は、第2軸部材の回転を第1軸部材に伝達させて第1軸部材を回転させる。報知部は、第1軸部材を中心とする偏心部の回転位置を示す情報を報知する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する吐出ヘッドと、
前記液滴の吐出面に対して垂直な第1回転軸を中心に回転する軸部材であって、前記第1回転軸から偏心した偏心部を有し、前記第1回転軸を中心とする前記偏心部の回転によって前記吐出ヘッドを前記吐出面と平行に移動させる第1軸部材と、
前記吐出面と平行な第2回転軸を中心に回転する第2軸部材と、
前記第2軸部材の回転を前記第1軸部材に伝達させて前記第1軸部材を回転させる第1伝達部と、
前記第1軸部材を中心とする前記偏心部の回転位置を示す情報を報知する報知部と
を有するヘッドユニット。
【請求項2】
前記吐出ヘッド、前記第1軸部材および前記第2軸部材を覆うカバー部を有し、
前記第2軸部材は、一部が前記カバー部の側面から露出しており、
前記報知部は、前記偏心部の回転位置を表示する表示部であり、前記カバー部における前記第2軸部材が露出した前記側面に位置する、請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
前記第2回転軸と平行な第3回転軸を有する第3軸部材と、
前記第1軸部材の回転を1対1の速比で前記第3軸部材に伝達させて前記第3軸部材を回転させる第2伝達部と
を有し、
前記第3軸部材は、前記カバー部における前記第2軸部材が露出した前記側面に露出しており、
前記報知部は、前記第3軸部材における前記カバー部から露出した部位に位置しており、前記第3軸部材とともに回転する、請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記第2伝達部は、ベベルギアである、請求項3に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記第2伝達部は、フレキシブルジョイントである、請求項3に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記側面は、前記カバー部が有する複数の側面のうち前記カバー部の短手方向と直交する側面である、請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
前記吐出ヘッド、前記第1軸部材および前記第2軸部材を覆うカバー部を有し、
前記報知部は、前記偏心部の回転位置を表示する表示部であり、前記カバー部の内部において前記第1軸部材の端部に位置するとともに前記第1軸部材とともに回転し、
前記カバー部の内部には、前記表示部の表示面に対して所定の角度で傾斜した鏡が位置しており、
前記カバー部の側面は、前記カバー部の外部から前記鏡の鏡面を視認可能な開口部を有する、請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項8】
前記報知部は、前記偏心部の回転位置を表示する表示部であり、前記偏心部の回転位置を示す目盛りを有する、請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項9】
複数の前記吐出ヘッドと、
複数の前記吐出ヘッドのそれぞれに対応する前記第2軸部材と
一の前記第2軸部材の回転を他の前記第2軸部材に伝達させる第3伝達部と
を有する、請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項10】
前記報知部は、前記偏心部の回転位置を表示するディスプレイまたは前記偏心部の回転位置に応じた音を出力する音声出力部であり、
前記偏心部の回転位置を検出する回転検出器と、
前記回転検出器から入力された信号に基づいて、前記報知部を制御して前記偏心部の回転位置を示す情報を報知させる制御部と
を有する、請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項11】
請求項1に記載のヘッドユニットと、
記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部を制御する制御部と
を有する液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドユニット、および液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体にインクを吐出する吐出ヘッドの位置を調整可能なインクジェットプリンタが知られている。特許文献1には、吐出ヘッドからのインク吐出方向と媒体面とが成す角度、および、インク吐出口の配列方向と媒体の搬送方向とが成す角度を調整することができるヘッド位置調整機構を有するヘッドユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、吐出ヘッドの位置調整の作業効率を高めることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるヘッドユニットは、吐出ヘッドと、第1軸部材と、第2軸部材と、第1伝達部と、報知部とを有する。吐出ヘッドは、液滴を吐出する。第1軸部材は、液滴の吐出面に対して垂直な第1回転軸を中心に回転する軸部材であって、第1回転軸から偏心した偏心部を有し、第1回転軸を中心とする偏心部の回転によって吐出ヘッドを吐出面と平行に移動させる。第2軸部材は、吐出面と平行な第2回転軸を中心に回転する。第1伝達部は、第2軸部材の回転を第1軸部材に伝達させて第1軸部材を回転させる。報知部は、第1軸部材を中心とする偏心部の回転位置を示す情報を報知する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、吐出ヘッドの位置調整の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る液滴吐出装置の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るヘッドユニットの構成例を示す模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、第1調整機構の構成例を示す模式的な正面図である。
【
図4】
図4は、第1調整機構が有する規制部材、可動部材および第1軸部材の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図5】
図5は、第2調整機構の構成例を示す模式的な正面図である。
【
図6】
図6は、第2調整機構の構成例を示す模式的な背面図である。
【
図7】
図7は、第2調整機構が有する壁部材、付勢部材および第1軸部材の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図8】
図8は、第3軸部材、第2伝達部および表示部の構成例を示す模式的な平面図である。
【
図9】
図9は、第3軸部材、第2伝達部および表示部の構成例を示す模式的な正面図である。
【
図10】
図10は、表示部の構成例を示す模式的な正面図である。
【
図11】
図11は、表示部における第2部位の位置と偏心部の位置との関係を示す図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係るヘッドユニットの構成例を示す模式的な側面図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係るヘッドユニットの構成例を示す模式的な側面図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る第2調整機構の構成例を示す模式的な正面図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態に係る液滴吐出装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示によるヘッドユニット、および液滴吐出装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、例えば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0011】
従来、媒体にインクを吐出する吐出ヘッドの位置を調整可能なインクジェットプリンタが知られている。特許文献1には、吐出ヘッドからのインク吐出方向と媒体面とが成す角度を調整するための第1軸と、および、インク吐出口の配列方向と媒体の搬送方向とが成す角度を調整するための第2軸とを有するヘッドユニットが開示されている。また、特許文献1には、第1軸を回転させたときの吐出ヘッドの移動方向と、第2軸を回転させたときの吐出ヘッドの移動方向とを操作パネル等の表示部に表示させることが開示されている。
【0012】
しかしながら、特許文献1のヘッドユニットでは、たとえば第1軸をどの方向に回転させると吐出ヘッドがどの方向に移動するのか、また、第1軸をどのくらい回転させると吐出ヘッドがどのくらい動くのかといった情報を表示するものではない。このため、吐出ヘッドの位置の調整作業を行う者は、たとえば繰り返し印刷して、その印刷結果に基づいて吐出ヘッドの位置決めを行う必要があった。
【0013】
そこで、吐出ヘッドの位置調整の作業効率を高めることができる技術が期待されている。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る液滴吐出装置の構成例について
図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る液滴吐出装置の構成例を示す模式的な平面図である。
【0015】
図1に示すように、第1実施形態に係る液滴吐出装置1は、ヘッドユニット3と、搬送部5と、制御部7を有する。
【0016】
ヘッドユニット3は、例えば、略直方体形状に形成されている。ヘッドユニット3は、長手方向が記録媒体Mの搬送方向(X軸正方向)に対して直交するように記録媒体Mの上方に位置している。ヘッドユニット3の詳細な構成については、
図2を参照して後述する。なお、記録媒体Mは、たとえば布又は紙等である。
【0017】
搬送部5は、記録媒体Mを搬送方向(ここでは、X軸正方向)に搬送する。例えば、搬送部5は、印刷前の記録媒体Mを繰り出す送り出しローラーと、印刷後の記録媒体Mを巻き取る巻き取りローラーとを含んでいても良い。巻き取りローラーには、巻き取りローラーを軸回りに回転駆動し、記録媒体Mの巻き取り動作を実行させるモーターが付設される。搬送部5は、送り出しローラーおよび巻き取りローラー間の搬送経路に、記録媒体Mに張力を付与するテンションローラーおよび記録媒体Mを間欠送りする搬送力を発生させる搬送ローラー等を有していても良い。
【0018】
また、液滴吐出装置1は、制御部7を有する。制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、図示しない記憶部に記憶された図示しないプログラムを読み出して実行することにより、液滴吐出装置1全体を制御する。
【0019】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から液滴吐出装置1が有する図示しない記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0020】
つづいて、第1実施形態に係るヘッドユニット3の構成例について、
図2を参照して説明する。
図2は、第1実施形態に係るヘッドユニット3の構成例を示す模式的な平面図である。なお、
図2では、ヘッドユニット3の内部構成を示すためにカバー部20を断面で示している。また、
図2および後述する
図3、
図5および
図6では、理解を容易にするために、後述する第3軸部材101、第2伝達部102および表示部103等の構成を省略して示している。第3軸部材101、第2伝達部102および表示部103については、
図8~
図11を参照して後述する。
【0021】
図2に示すように、ヘッドユニット3は、ベース部10と、カバー部20と、複数(ここでは、2つ)の吐出ヘッド30とを有する。また、ヘッドユニット3は、第1調整機構40と、第2調整機構50とを有する。
【0022】
ベース部10は、平面視矩形状の平板部材である。ベース部10は、平面視において吐出ヘッド30と重なる位置に、吐出ヘッド30の吐出面35を露出させるための開口11を有する。
【0023】
カバー部20は、ベース部10上に位置し、後述する吐出ヘッド30、第1調整機構40および第2調整機構50等を覆う。具体的には、カバー部20は、ヘッドユニット3(ベース部10)の短手方向(ここでは、X軸方向)と直交する2つの第1側面21と、ヘッドユニット3の長手方向(ここでは、Y軸方向)と直交する2つの第2側面22と、図示しない天面とを有する。2つの第1側面21のうち一方の第1側面21は、カバー部20の外部から後述する複数(ここでは、3つ)の第2軸部材70にアクセスするための複数(ここでは、3つ)の第1開口201を有する。
【0024】
複数の吐出ヘッド30は、記録媒体Mに対して液滴を吐出する。具体的には、吐出ヘッド30の吐出面35には複数の吐出口が位置しており、吐出ヘッド30は、開口11を介して上記吐出口から液体、たとえばインクの液滴をインクジェット方式により吐出する。吐出ヘッド30としては、たとえば、ピエゾ方式、バルブ方式またはサーマル方式のインクジェットヘッドを用いることができる。吐出ヘッド30としてピエゾ方式、またはサーマル方式のインクジェットヘッドを用いた場合、高解像度化を実現しやすい。
【0025】
なお、吐出ヘッド30の吐出面35とベース部10の主面(上下面)とは平行である。このため、たとえば「吐出面に対して垂直(または平行)である」という場合、「ベース部10の主面に対して垂直(または平行)である」と読み替えても良い。
【0026】
複数の吐出ヘッド30は、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に長手方向を向けた状態でベース部10上に位置している。また、複数の吐出ヘッド30は、記録媒体Mの搬送方向(ここでは、X軸方向)に沿って並べられている。ここでは、ヘッドユニット3が2つの吐出ヘッド30を有する場合の例を示したが、ヘッドユニット3は、少なくとも1つの吐出ヘッド30を有していれば良い。
【0027】
吐出ヘッド30は、長手方向における一端部に第1位置決め部材31を有する。また、吐出ヘッド30は、長手方向における他端部に第2位置決め部材32を有する。第1位置決め部材31は、平面視V字状の溝部(以下、「V字溝311」と記載する)を有している(
図4参照)。2つの吐出ヘッド30のうち一方の吐出ヘッド30が有する第1位置決め部材31は、V字溝311において後述する可動部材43と当接する。また、2つの吐出ヘッド30のうち他方の吐出ヘッド30が有する第1位置決め部材31は、V字溝311において後述する支柱54と当接する。
【0028】
第2位置決め部材32は、平面視U字状の溝部(以下、「U字溝321」と記載する)を有している(
図7参照)。第2位置決め部材32は、U字溝321において後述する第1軸部材60の偏心部61と当接する。
【0029】
第1調整機構40および第2調整機構50は、吐出面35と平行な面内において吐出ヘッド30の位置を調整する。第1調整機構40は、吐出ヘッド30の長手方向における一方の端部(ここでは、Y軸負方向側の端部)に位置し、第2調整機構50は、吐出ヘッド30の長手方向における他方の端部(ここでは、Y軸正方向側の端部)に位置する。
【0030】
第1調整機構40は、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)における吐出ヘッド30の位置を調整することができる。また、第2調整機構50は、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に対する吐出ヘッド30の長手方向の成す角度を調整することができる。言い換えれば、第2調整機構50は、吐出面35と平行な面内における吐出ヘッド30の向きを調整することができる。
【0031】
以下、第1調整機構40および第2調整機構50の構成について説明する。まず、第1調整機構40の構成例について
図2~
図4を参照して説明する。
図3は、第1調整機構40の構成例を示す模式的な正面図である。
図4は、第1調整機構40が有する規制部材42、可動部材43および第1軸部材60の構成例を示す模式的な平面図である。
【0032】
図2および
図3に示すように、第1調整機構40は、第1軸部材60と、第2軸部材70と、第1伝達部80とを有する。また、第1調整機構40は、支持部材41と、規制部材42と、可動部材43とを有する。
【0033】
第1軸部材60は、吐出面35に対して垂直な方向(ここでは、Z軸方向)に延在する軸部材である。第1軸部材60の一端部(ここでは、上端部)は、後述する支持部材41に軸支され、第1軸部材60の他端部(ここでは、下端部)は、ベース部10に軸支される。これにより、第1軸部材60は、吐出面35に対して垂直な第1回転軸S1を中心に回転することができる。
【0034】
図3に示すように、第1軸部材60は、偏心部61を有する。偏心部61は、第1回転軸S1から偏心した偏心軸S1Eを有する。
【0035】
第2軸部材70は、吐出面35と平行な方向(ここでは、X軸方向)に延在する軸部材である。第2軸部材70の一端部は、後述する支持部材41に軸支され、第2軸部材70の他端部は、カバー部20の第1側面21に軸支される。これにより、第2軸部材70は、吐出面35に対して平行な第2回転軸S2を中心に回転することができる。
【0036】
第2軸部材70の一部は、カバー部20の第1側面21に設けられた第1開口201から露出しており、カバー部20の外部から第2軸部材70を回転させることができるように構成されている。たとえば、
図3に示すように、第2軸部材70の端面には、六角穴等の操作穴71が設けられていても良い。この場合、作業者は、操作穴71に六角レンチ等の工具を差し込んで工具を回すことにより、カバー部20の外部から第2軸部材70を回転させることができる。このように、カバー部20の側面から露出した第2軸部材70の一部は、第2軸部材70を操作する操作部に相当する。なお、
図2には、第2軸部材70の端面がカバー部20の側面と面一となる場合の例を示しているが、第2軸部材70の端面は、カバー部20の側面から突き出ていても良い。
【0037】
第2軸部材70は、カバー部20が有する第1側面21および第2側面22のうち、カバー部20の短手方向(ここでは、X軸方向)と直交する第1側面21から露出している。かかる構成によれば、第2軸部材70の一部(操作部)がカバー部20の長手方向(ここでは、Y軸方向)と直交する第2側面22から露出する場合と比較して、第2軸部材70の長さが短くなるため、吐出ヘッド30の位置を調整する際の操作性を高めることができる。
【0038】
第1伝達部80は、第2軸部材70の回転を第1軸部材60に伝達させて、第1軸部材60を回転させる。第1伝達部80は、たとえばウォームギアであっても良い。この場合、第1伝達部80は、ウォーム81と、ウォーム81とかみ合うはす歯を有するウォームホイール82とを有する。図示の例において、ウォーム81は第2軸部材70に設けられ、ウォームホイール82は第1軸部材60に設けられる。
【0039】
第1伝達部80の速比は1対1ではない。たとえば、第1伝達部80の速比は1対50であってもよい。この場合、第2軸部材70を50回転させたときに、第1軸部材60を1回転させることができる。
【0040】
支持部材41は、ベース部10に固定されている。支持部材41は、第1軸部材60および第2軸部材70を回転可能に軸支する。
【0041】
規制部材42は、ベース部10に固定されている。
図4に示すように、規制部材42は、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に沿って延在する溝部421を有する。可動部材43は、ベース部10上に位置する。具体的には、可動部材43は、規制部材42が有する溝部421に位置している。可動部材43は、溝部421に沿って移動可能である。可動部材43は、移動方向(ここでは、Y軸方向)における一端において第1軸部材60の偏心部61と当接する。また、可動部材43は、移動方向における他端において第1位置決め部材31のV字溝311と当接する。
【0042】
第1調整機構40は、上記のように構成されており、第1回転軸S1を中心とする偏心部61の回転により、吐出面35と平行な面内において吐出ヘッド30を記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に移動させることができる。
【0043】
具体的には、作業者が第2軸部材70を回転させると、第2軸部材70の回転が第1伝達部80を介して第1軸部材60に伝達されて第1軸部材60が第1回転軸S1を中心に回転する。第1軸部材60が回転すると、吐出面35と平行な面内において偏心部61の位置が変化し、これに伴い可動部材43の位置が変化する。
【0044】
たとえば、
図4に示す状態において、第1軸部材60を反時計回りに回転させた場合、偏心部61のY軸方向における位置がY軸正方向にずれることで、偏心部61が可動部材43をY軸正方向に移動させ、これに伴い、可動部材43が第1位置決め部材31をY軸正方向に移動させる。これにより、第1調整機構40は、吐出ヘッド30をY軸正方向に移動させることができる。一方、吐出ヘッド30は、後述する第2調整機構50が有する付勢部材53によってY軸負方向に付勢されている。このため、
図4に示す状態において、第1軸部材60を時計回りに回転させると、偏心部61のY軸方向における位置がY軸負方向側にずれ、これに伴い、付勢部材53に付勢された吐出ヘッド30の位置がY軸負方向側にずれる。これにより、第1調整機構40は、吐出ヘッド30をY軸負方向に移動させることができる。
【0045】
次に、第2調整機構50の構成例について
図2および
図5~
図7を参照して説明する。
図5は、第2調整機構50の構成例を示す模式的な正面図である。
図6は、第2調整機構50の構成例を示す模式的な背面図である。
図7は、第2調整機構50が有する壁部材52、付勢部材53および第1軸部材60の構成例を示す模式的な平面図である。
【0046】
図2、
図5および
図6に示すように、第2調整機構50は、複数(ここでは、2つ)の第1軸部材60と、複数(ここでは、2つ)の第2軸部材70と、複数(ここでは、2つ)の第1伝達部80とを有する。また、第2調整機構50は、支持部材51と、複数(ここでは、2つ)の壁部材52と、複数(ここでは、4つ)の付勢部材53と、支柱54を有する。
【0047】
第2調整機構50が有する第1軸部材60および第2軸部材70の構成は、第1調整機構40が有する第1軸部材60および第2軸部材70の構成と同様である。2つの第1軸部材60の一端部は、支持部材51に軸支され、他端部はベース部10に軸支される。これにより、2つの第1軸部材60は、第1回転軸S1を中心に回転することができる。2つの第1軸部材60のうち一方の第1軸部材60は、第1調整機構40が有する第1軸部材60と結んだ直線が記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に平行となるように配置される。また、2つの第1軸部材60のうち他方の第1軸部材60は、後述する支柱54と結んだ直線が記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に平行となるように配置される。
【0048】
図5および
図6に示すように、2つの第2軸部材70は、吐出面35に対して垂直な方向(ここでは、Z軸方向)に沿って並べられている。2つの第2軸部材70のうち一方の第2軸部材70は、一端部が支持部材51に軸支され、他端部がカバー部20の第1側面21に軸支される。また、2つの第2軸部材70のうち他方の第2軸部材70は、中途部が支持部材51に軸支され、他端部がカバー部20の第1側面21に軸支される。
【0049】
第2調整機構50が有する2つの第2軸部材70の各々は、一部がカバー部20の第1側面21から露出している。具体的には、カバー部20の第1側面21には、第1調整機構40が有する第2軸部材70を露出させるための第1開口201の他に、第2調整機構50が有する第2軸部材70を露出させるための2つの第1開口201が位置している。第2調整機構50が有する2つの第2軸部材70の端面は、かかる第1開口201から露出している。このように、第1調整機構40が有する第2軸部材70および第2調整機構50が有する2つの第2軸部材70は、第1調整機構40が有する複数の側面のうち同じ側面(ここでは、X軸負方向側に位置する第1側面21)から露出している。
【0050】
第2調整機構50が有する第1伝達部80は、第1調整機構40が有する第1伝達部80と同様である。すなわち、第2調整機構50が有する第1伝達部80は、第2軸部材70に設けられたウォーム81と、第1軸部材60に設けられたウォームホイール82とを有する。2つの第1伝達部80のうち一方の第1伝達部80は、下側(Z軸負方向側)に位置する第2軸部材70の回転を手前側(X軸負方向側)に位置する第1軸部材60に伝達する。また、2つの第1伝達部80のうち他方の第1伝達部80は、上側(Z軸正方向側)に位置する第2軸部材70の回転を奥側(X軸正方向側)に位置する第1軸部材60に伝達する。
【0051】
支持部材51は、ベース部10に固定されている。支持部材51は、2つの第1軸部材60および2つの第2軸部材70を回転可能に軸支する。壁部材52は、ベース部10に固定される。
【0052】
図7に示すように、壁部材52は、付勢部材53の一部を収容する複数(ここでは、2つ)の凹部521を有する。複数の付勢部材53は、1つの壁部材52に対してたとえば複数(ここでは、2つ)設けられる。付勢部材53の一方の端部は、壁部材52に設けられた凹部521に収容される。また、付勢部材53の他方の端部は、吐出ヘッド30が有する第2位置決め部材32と当接する。付勢部材53は、第2位置決め部材32を介して吐出ヘッド30をY軸負方向側に付勢する。支柱54は、ベース部10に固定されており、ベース部10から垂直に延在する。支柱54は、2つの吐出ヘッド30のうち一方の吐出ヘッド30が有する第1位置決め部材31のV字溝311に当接する。
【0053】
第2調整機構50が有する第1軸部材60の偏心部61は、第2位置決め部材32が有するU字溝321の内部に位置しており、U字溝321と接触した状態となっている。
【0054】
第2調整機構50は、上記のように構成されており、第1回転軸S1を中心とする偏心部61の回転により、吐出面35と平行な面内における吐出ヘッド30の向きを調整することができる。
【0055】
具体的には、作業者が第2軸部材70を回転させると、第2軸部材70の回転が第1伝達部80を介して第1軸部材60に伝達されて第1軸部材60が第1回転軸S1を中心に回転する。第1軸部材60が回転すると、吐出面35と平行な面内において偏心部61の位置が変化し、これに伴い第2位置決め部材32の位置が変化する。
【0056】
たとえば、
図7に示す状態において、第1軸部材60を時計回りに回転させた場合、偏心部61のX軸方向における位置がX軸負方向にずれることで、偏心部61が第2位置決め部材32をX軸負方向に移動させる。これにより、吐出ヘッド30は、吐出面35と平行な面内において可動部材43または支柱54を支点として反時計回りに回転する。また、
図7に示す状態において、第1軸部材60を反時計回りに回転させた場合、偏心部61のX軸方向における位置がX軸正方向にずれることで、偏心部61が第2位置決め部材32をX軸正方向に移動させる。これにより、吐出ヘッド30は、吐出面35と平行な面内において可動部材43または支柱54を支点として時計回りに回転する。このようにして、第2調整機構50は、吐出面35と平行な面内における吐出ヘッド30の向きを調整することができる。言い換えれば、第2調整機構50は、記録媒体Mの搬送方向と直交する方向(ここでは、Y軸方向)に対する吐出ヘッド30の長手方向の成す角度を調整することができる。
【0057】
ところで、第1軸部材60をある方向に回転させた際に吐出ヘッド30がどの方向に移動するかは、そのときの偏心部61の位置によって異なる。このため、仮に偏心部61の位置がわからない場合、作業者は、第1軸部材60を一旦回転させた後で印刷を行い、印刷結果を見て吐出ヘッド30がどの方向へ移動したかを確認するといった作業が必要となる。特に、第1軸部材60と第2軸部材70との速比が大きい場合には、作業者は、吐出ヘッド30の移動方向の確認のために第2軸部材70を何回転もさせなければならず煩雑である。
【0058】
そこで、第1実施形態に係るヘッドユニット3は、偏心部61の位置を表示する表示部103を有する。これにより、作業者は、表示部103を目視することで、偏心部61の位置を容易に把握することができることから、上述したような吐出ヘッド30の移動方向を確認するための作業が不要となる。したがって、作業者は、吐出ヘッド30の位置の調整作業を効率的に行うことができる。
【0059】
以下、上述した表示部103およびその周辺構成である第3軸部材101および第2伝達部102の構成例について
図8および
図9を参照して説明する。
図8は、第3軸部材101、第2伝達部102および表示部103の構成例を示す模式的な平面図である。
図9は、第3軸部材101、第2伝達部102および表示部103の構成例を示す模式的な正面図である。なお、
図8および
図9では、理解を容易にするために、第3軸部材101、第2伝達部102および表示部103以外の構成を適宜省略して示している。
【0060】
図8および
図9に示すように、第1実施形態に係るヘッドユニット3は、第3軸部材101と、第2伝達部102と、表示部103とを有する。
【0061】
第3軸部材101は、第2軸部材70と平行な方向(ここでは、X軸方向)に延在する軸部材である。第3軸部材101の一端部は、たとえば2つの第1側面21のうち一方の第1側面21に軸支され、第3軸部材101の他端部は、他方の第1側面21に軸支される。これにより、第3軸部材101は、第2軸部材70の第2回転軸S2(
図2参照)と平行な第3回転軸S3を中心に回転することができる。なお、ヘッドユニット3は、第3軸部材101の他端部を軸支するための支持部材を別途有していてもよい。また、ヘッドユニット3は、支持部材41に代えて、第1軸部材60、第2軸部材70および第3軸部材101を軸支する支持部材を有していてもよい。
【0062】
第3軸部材101は、カバー部20における第2軸部材70が露出した第1側面21に露出している。具体的には、カバー部20が有する一方の第1側面21には、上述した第1開口201の他に第2開口202が位置しており、第3軸部材101の一部(ここでは、一端部の端面)は、かかる第2開口202から露出している。
【0063】
第2伝達部102は、第1軸部材60の回転を第3軸部材101に伝達させて第3軸部材101を回転させる。たとえば、第2伝達部102は、2つのベベルギア121,122で構成されても良い。一方のベベルギア121は、第1軸部材60の端部(ここでは上端)に位置し、他方のベベルギア122は、第3軸部材101の中途部に位置する。2つのベベルギア121,122の歯数は同一である。すなわち、第2伝達部102は、第1軸部材60の回転を1対1の速比で第3軸部材101に伝達させる。
【0064】
表示部103は、第1軸部材60が有する偏心部61の回転位置を表示する。
図8に示すように、表示部103は、カバー部20の外部に位置する。具体的には、表示部103は、カバー部20における第2軸部材70が露出した第1側面21に位置する。かかる構成とすることにより、作業者は、表示部103を目視しながら第2軸部材70を回転させることができるため、吐出ヘッド30の位置調整作業が容易である。
【0065】
表示部103は、第3軸部材101におけるカバー部20から露出した部位(ここでは、第3軸部材101の端面)に位置しており、第3軸部材101とともに回転することにより、偏心部61の位置を表示する。かかる表示部103の構成例について
図10および
図11を参照して説明する。
図10は、表示部103の構成例を示す模式的な正面図である。
【0066】
図10に示すように、表示部103は、回転部131と、回転部131の周囲に設けられた目盛部132とを有する。回転部131は、第3軸部材101に固定されて第3軸部材101とともに第3回転軸S3を中心に回転する。目盛部132は、たとえばカバー部20の第1側面21に固定される。すなわち、目盛部132は回転しない。
【0067】
回転部131は、第3軸部材101の第3回転軸S3上に中心点を有する円形の部位であり、第1部位131aと第2部位131bとを有する。第2部位131bは、たとえば、第3回転軸S3からずれた位置に中心点を有する円形の部位である。なお、第2部位131bは、第1部位131a上に描かれた模様であっても良い。
【0068】
目盛部132は、たとえば円環状の部材であり、回転部131を囲むように位置している。目盛部132には、第1軸部材60の回転位置(角度)を示す目盛りが付されている。
【0069】
第1軸部材60が回転すると、第2伝達部102により、第3軸部材101が第1軸部材60と1対1の速比で回転する。そして、第3軸部材101が回転すると、第3軸部材101に固定された表示部103の回転部131が回転して第2部位131bの位置が変化する。第2部位131bの位置は、偏心部61の位置を表している。このため、作業者は、第2部位131bの位置を見ることで、第2軸部材70をある方向に回転させたときの吐出ヘッド30の移動方向を把握することができる。また、表示部103は、目盛部132を有するため、作業者は、偏心部61の位置をより正確に把握することができる。
【0070】
図11は、表示部103における第2部位131bの位置と偏心部61の位置との関係を示す図である。上述したように第1軸部材60と第3軸部材101とは1対1の速比で回転する。このため、
図11に示すように、表示部103の第2部位131bの位置は、偏心部61の位置と連動して変化する。このように、表示部103は、第1軸部材60を中心とする偏心部61の回転位置を示す情報を報知する報知部の一例に相当する。
【0071】
たとえば、偏心部61が90°の位置にあるときに第1軸部材60を時計回りに回転させると、吐出ヘッド30は、Y軸負方向へ移動する。これに対し、偏心部61が270°の位置にあるときに第1軸部材60を時計周りに回転させると、吐出ヘッド30は、Y軸正方向へ移動する。このように、第1軸部材60を同じ方向に回転させた場合であっても、偏心部61の位置によって吐出ヘッド30が移動する方向は異なる。これに対し、第1実施形態に係るヘッドユニット3は表示部103を有するため、作業者は、第1軸部材60をある方向に回転させた場合に、吐出ヘッド30がどの方向に移動するかを容易に把握することができる。言い換えれば、作業者は、吐出ヘッド30をある方向へ移動させたい場合に、第2軸部材70をどの方向に回転すれば良いか(より効率的か)を容易に把握することができる。
【0072】
このように、第1実施形態に係るヘッドユニット3によれば、吐出ヘッド30の位置調整の作業効率を高めることができる。
【0073】
ここでは、第1調整機構40が有する第1軸部材60の偏心部61の回転位置を表示するための第3軸部材101、第2伝達部102および表示部103の構成例について説明した。これと同様に、第1実施形態に係るヘッドユニット3は、第2調整機構50が有する第1軸部材60の偏心部61の回転位置を表示するための第3軸部材101、第2伝達部102および表示部103を有していても良い。
【0074】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係るヘッドユニット3の構成例を示す模式的な側面図である。
【0075】
上述した第1実施形態では、第2伝達部102がベベルギア121,122である場合の例について説明した。これに限らず、第2伝達部102は、
図12に示すように、たとえば、フレキシブルジョイントであっても良い。この場合、フレキシブルジョイントである第2伝達部102の一端に第1軸部材60が接続され、他端に第3軸部材101が接続される。
【0076】
このように、第2伝達部102としてフレキシブルジョイントを用いてもよい。この場合も、第1軸部材60の回転を1対1の速比で第3軸部材101に伝達させることができる。
【0077】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係るヘッドユニット3の構成例を示す模式的な側面図である。
【0078】
図13に示すように、表示部103は、カバー部20の内部に位置していても良い。具体的には、第3実施形態に係るヘッドユニット3において、表示部103は、表示面103aを上方に向けた状態で第1軸部材60の端部に位置しており、第1軸部材60とともに回転する。表示部103の表示面103aは、第1軸部材60の第1回転軸S1に対して垂直(吐出面35と平行)である。
【0079】
また、第3実施形態に係るヘッドユニット3は、カバー部20の内部に鏡104を有する。鏡104は、たとえば表示部103の上方に位置しており、表示部103の表示面103aに対して所定の角度で傾斜している。
【0080】
また、第3実施形態に係るヘッドユニット3が有する第1側面21は、カバー部20の外部から鏡104の鏡面104aを視認可能な位置に開口部204を有する。開口部204には、たとえば透明部材203が位置していても良い。
【0081】
第3実施形態に係るヘッドユニット3は、上記のように構成されており、作業者は、カバー部20の開口部204および鏡104を介してカバー部20の内部に位置する表示部103を目視することができる。
【0082】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態に係る第2調整機構50の構成例を示す模式的な正面図である。
図14に示すように、第2調整機構50は、第3伝達部105をさらに有していても良い。第3伝達部105は、2つの第2軸部材70のうち一方の第2軸部材70の回転を他方の第2軸部材70に1対1の速比で伝達させる。第3伝達部105としては、たとえば、歯数が同一の3つの平歯車151~153で構成されても良い。
【0083】
かかる構成とすることにより、第2調整機構50を用いて2つの吐出ヘッド30の位置を調整する際に、2つの吐出ヘッド30をまとめて調整することができることから、複数の吐出ヘッド30の位置調整の作業効率を高めることができる。
【0084】
(第5実施形態)
図15は、第5実施形態に係る液滴吐出装置1の構成例を示すブロック図である。
図15に示すように、液滴吐出装置1は、回転検出器106と、ディスプレイ107と、音声出力部108とを有する。
【0085】
回転検出器106は、たとえばロータリーエンコーダである。かかる回転検出器106は、第1軸部材60の端部に位置し、第1軸部材60の回転位置を検出する。回転検出器106は、検出した第1軸部材60の回転位置を制御部7へ出力する。なお、回転検出器106としては、ロータリーエンコーダに代えて磁気センサまたはレゾルバ等などが用いられても良い。
【0086】
制御部7は、回転検出器106から入力された信号に基づき、ディスプレイ107を制御して偏心部61の回転位置を示す情報を表示させる。ディスプレイ107は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)等である。制御部7は、偏心部61の回転位置を示す情報として、たとえば
図10に示す表示部103と同様の画像をディスプレイ107に表示させても良い。また、制御部7は、偏心部61の回転位置を示す情報として、偏心部61の回転位置の数値(角度)をディスプレイ107に表示させても良い。
【0087】
また、制御部7は、回転検出器106から取得した第1軸部材60の回転位置に基づき、音声出力部108を制御して偏心部61の回転位置に応じた音声を出力させても良い。音声出力部108は、たとえばスピーカ等である。たとえば、制御部7は、吐出ヘッド30がY軸正方向に移動する場合とY軸負方向に移動する場合とで音声出力部108から出力される音声の種類を異ならせても良い。また、制御部7は、不図示の入力部(たとえばキーボードまたはマウス等)への入力操作によって吐出ヘッド30の所望の位置を受け付けても良い。この場合、制御部7は、吐出ヘッド30の位置が所望の位置に近付く場合と遠ざかる場合とで音声出力部108から出力される音声の種類を異ならせても良い。
【0088】
このように、ヘッドユニット3は、偏心部61の回転位置を示す情報をディスプレイ107または音声出力部108を用いて報知しても良い。偏心部61の回転位置を表示するディスプレイ107または偏心部61の回転位置に応じた音を出力する音声出力部108は、報知部の一例である。
【0089】
なお、ここでは、第5実施形態に係る液滴吐出装置1がディスプレイ107および音声出力部108の両方を有する場合の例について説明したが、第5実施形態に係る液滴吐出装置1は、ディスプレイ107および音声出力部108のうちすくなくとも一方を有していれば良い。
【0090】
上述してきたように、実施形態に係るヘッドユニット(一例として、ヘッドユニット3)は、吐出ヘッド(一例として、吐出ヘッド30)と、第1軸部材(一例として、第1軸部材60)と、第2軸部材(一例として、第2軸部材70)と、第1伝達部(一例として、第1伝達部80)と、報知部(一例として、表示部103、ディスプレイ107、音声出力部108)とを有する、吐出ヘッドは、液滴を吐出する。第1軸部材は、液滴の吐出面(一例として、吐出面35)に対して垂直な第1回転軸(一例として、第1回転軸S1)を中心に回転する軸部材であって、第1回転軸から偏心した偏心部(一例として、偏心部61)を有し、第1回転軸を中心とする偏心部の回転によって吐出ヘッドを吐出面と平行に移動させる。第2軸部材は、吐出面と平行な第2回転軸を中心に回転する。第1伝達部は、第2軸部材の回転を第1軸部材に伝達させて第1軸部材を回転させる。報知部は、第1軸部材を中心とする偏心部の回転位置を示す情報を報知する。
【0091】
したがって、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、吐出ヘッドの位置調整の作業効率を高めることができる。
【0092】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されても良い。
【符号の説明】
【0093】
1 液滴吐出装置
3 ヘッドユニット
5 搬送部
7 制御部
10 ベース部
11 開口
20 カバー部
21 第1側面
22 第2側面
30 吐出ヘッド
31 第1位置決め部材
32 第2位置決め部材
35 吐出面
40 第1調整機構
41 支持部材
42 規制部材
43 可動部材
50 第2調整機構
51 支持部材
52 壁部材
53 付勢部材
54 支柱
60 第1軸部材
61 偏心部
70 第2軸部材
71 操作穴
80 第1伝達部
101 第3軸部材
102 第2伝達部
103 表示部
105 第3伝達部
106 回転検出器
107 ディスプレイ
108 音声出力部