(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032628
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】衣類除菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022146587
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA05
4C058BB06
4C058EE23
4C058KK02
4C058KK23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衣類のクリーニング業者等において、衣類の洗濯、乾燥、仕上げの工程で衣類のコロナイルスを含む各種の菌の除菌を連続的に行うことができる装置を提供する。
【解決手段】衣類除菌装置は、円筒形をした本体部1と、中心空間部2と、衣類入れ替え空間3と、第一除菌処理空間4と、第二除菌処理空間5と、第三除菌処理空間6と、衣類が掛けられたハンガー7と、円環状で回転中心から複数のアームで支持されて回転する吊り下げ部材8と、吊り下げ部材を支持して回転する減速機と、モーターと、全体の電気の制御を行う制御部11で構成される。第一除菌処理空間には、波長405nmの青色LED、第二除菌処理空間には250nm~300nmの深紫外LED、第三除菌処理空間には405nmの青色LEDがそれぞれ内壁の上下前後の位置に取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、衣類をハンガー等で吊るして処理をする処理空間とからなる衣類処理装置において、衣類のハンガーを吊るして円周状に搬送する衣類搬送部と、衣類に除菌処理が施される除菌空間と、処理済みと未処理の衣類を入れ替える作業空間と、配線を含む電気制御部とから構成されることを特徴とする衣類除菌装置
【請求項2】
衣類搬送部によって衣類をハンガーで吊るして搬送される間に、隣接する空間との間で仕切られた第1処理空間内に取り付けられた波長405nmの青色LEDが衣類に照射され、次の仕切られた第2処理空間内に取り付けられた波長250nm~300nmの深紫外LEDが衣類に照射され、次の仕切られた第3処理空間内に取り付けられた波長405nm青色LEDが衣類に照射されることを特徴とする請求項1に記載の衣類除菌装置
【請求項3】
円筒形状の本体と、円筒中心部に回転中心をもって水平方向に回転する円環状の吊り下げ部材と、前記円環状の吊り下げ部材を駆動させるモーター、及び減速機によって構成される衣類搬送部と、電気制御部で構成されることを特徴とする請求項1、及び請求項2に記載の衣類除菌装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類のクリーニング業者等での作業である衣類の洗濯、乾燥、仕上げの工程で衣類に付着しているコロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、及びサルモネラ菌や大腸菌など各種の菌の除菌を連続的に行うことができる装置に関するものである。
一般的に、これらの菌は、洗濯工程を経ても完全に除菌することが難しいため、従来の洗濯と乾燥の工程に対する追加の工程として、本発明の衣類除菌装置による除菌が必要となる。この除菌が行われる工程は、衣類の洗濯前であっても良いし、洗濯乾燥後でも良い。
本発明の基本構成は、装置全体の形は円筒形で、上部から見て約1/4の角度にして90度が、人が衣類を装置に出し入れできる空間で開放状態となっている。また上から見て最初の約45度が波長405nmの青色LEDの照射で衣類を除菌し、次の約180度の範囲が波長250~300nmの深紫外LEDの照射による除菌、次の約45度の範囲が波長405nmの青色LEDによる除菌が行われる。前記の各角度の割り振りは、多少の増減があっても良い。
【背景技術】
【0002】
一般的に、これまでの衣類の除菌は衣類を収納する際に除菌スプレーで衣類に噴霧する方法か、又は洗濯、乾燥槽の中に組み込まれたオゾン発生器で除菌する方法であり、これらは新型コロナウイルス菌等の感染力の強いウイルスの感染防止には、あまり効果を発揮せず、衣服等に付いたウイルス菌をそのまま衣服に付着させているだけであった。また、除菌、消毒機能をもつ衣類除菌は使われる場合もあるが、対象の菌は一般的な菌であり、新型コロナウイルスなどの強い感染力のあるウイルスに対しては、十分に殺菌、又は不活性化の効果を発揮しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-186622号公報
【特許文献2】特開2004-353121号公報
【特許文献3】登録実用新案公報 第3058137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、ドラムをより除菌または消臭することができるランドリー機器を提供するとある。その解決手段として、実施形態のランドリー機器1は、衣類の洗濯または乾燥の少なくともいずれかを行うランドリー機器1であって、衣類を収容可能なドラムと、ドラムを回転させるモータMと、オゾンを発生させるオゾン発生部、帯電微粒子を発生させる帯電微粒子発生部、除菌または消臭効果を有する液体を霧化したミストを生成する霧生成部のうち、少なくとも1つを有する除菌/消臭機構と、衣類を洗濯する洗濯動作または衣類を乾燥する乾燥動作に先立って、オゾン発生部14を作動させてドラムの除菌または消臭を行う除菌/消臭動作を行う制御装置90とを備える。本特許の場合の除菌手段は、オゾン発生部からのオゾンによる除菌であり、この場合、新型コロナウイルスなどの感染力の強いウイルスには、余り不活性化する効果は無い。また、ランドリー機器のため、クリーニング業者が取り扱う衣類の数量には限界がある。また、オゾン発生器による除菌のため、衣類に臭気が付いたり、ボタンやゴム類を劣化させたり、人体に対しては濃度0.1PPM以下に抑えることが求められるなど、各種の制約条件が多い。
また、特許文献2の場合、回収された衣類をクリーニングする前にオゾンによって短時間で強制的に除菌を行なうことで作業者への感染を防ぐことを可能とする衣類殺菌装置を提供することを目的とするものである。その解決手段として、中空状のケース本体1内に、密閉状の回転ドラム2が駆動モーター3によって正,逆駆動回転し、回転ドラム2内へオゾンガスを注入することによって衣類を強制的に殺菌する構成とする。本特許の場合も、除菌手段は、オゾン発生部からのオゾンによる除菌であり、この場合、新型コロナウイルスなどの感染力の強いウイルスには、余り不活性化する効果は無い。また本文献2の場合も、ランドリー機器のため、クリーニング業者が取り扱う衣類の数量には限界がある。また、本特許文献の場合も、オゾン発生器による除菌のため、衣類に臭気が付いたり、ボタンやゴム類を劣化させたり、人体に対しては濃度0.1PPM以下に抑えることが求められるなど、各種の制約条件が多い。
また、特許文献3の場合、特に、業務用としてクリーニング店において、衣類に付着している各種の細菌や不快な臭いを簡単に取り除き、かつ取り扱いが簡易な衣類用除菌・消臭装置にある。
その解決手段として、ボックス3は、天部フレーム21と支柱22,22と床部フレーム23とをそれぞれ組み立てて角柱状の組み立て枠体20を構成し、これに角筒状のシート体2を被せて構成する。そして、このボックス3内に衣類を吊りさげるハンガー管6を設ける。また、ボックス3の前面に位置するシート体2の前面5に開閉可能な開口部51を設け、ボックス3の一側面にオゾン発生器4を設置し、これに設けた送り管40の先端をボックス3に連結する。本特許文献3の場合も、除菌手段は、オゾン発生部からのオゾンによる除菌であり、この場合、新型コロナウイルスなどの感染力の強いウイルスには、余り不活性化する効果は無い。また本特許文献3の場合も、ランドリー機器のため、クリーニング業者が取り扱う衣類の数量には限界がある。また、本特許文献3の場合も前記同様に、オゾン発生器による除菌のため、衣類に臭気が付いたり、ボタンやゴム類を劣化させたり、人体に対しては濃度0.1PPM以下に抑えることが求められるなど、各種の制約条件が多い。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、衣類除菌装置内に収納された衣服などに付着している感染力の強いウイルスや一般的な菌に対して、能率良く除菌処理空間で青色LED、及び深紫外LEDを低速で連続搬送される衣類に照射して完全かつ効果的に菌を死滅、又は不活性化させることである。この処理空間内に取付けられるLEDは、天井部、底面、前後の壁面に取り付けられて、衣類に対して全方位から照射が行われる。また、前記の通り、感染力の強い新型コロナウイルスや、一般的な多種類の菌まで、確実に除菌、不活性化でき、しかもクリーニング業者用として大量の衣類に効率的に除菌処理が出来る機器を提供することである。更に、従来の特許文献1~3で使用されているオゾン発生器からのオゾンガスの様な煩わしい濃度管理は必要なく、人体に安全管理がされ、樹脂やゴム材料を劣化させず、臭気も発生しない照射が求められ、それに対応した装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の衣類除菌装置は、装置の中を連続して低速で回転する円環状の吊り具に、人によって掛けられた衣類がハンガーに吊り下げられたまま円周上に搬送されながら各除菌空間で青色LEDと深紫外LEDの照射光が衣類に当たって除菌、不活性化が行われる。上記の円環状の吊り具の回転中心は円筒形状の本体の中心であり、この中心部にモーターと減速機が組み込まれて、減速機の出力軸に前記の円環状の吊り具が放射状に延びる複数のアームによって取り付けられて低速で、連続的に回転搬送される。また、円環状の吊り具の回転速度は、制御部の中にあるモーターのインバーター制御の周波数の設定機器によって最適な速度を選べる様になっている。
尚、深紫外LEDの照射光が直接人体の目や皮膚に当たると安全性が保証できないため、この人体に有害な工程の前後に人体に安全な青色LEDの照射が行われる空間を配置している。この様に2種類の波長をもつ除菌可能なLEDを各空間の天井部、底部、内側内壁、外側内壁に取り付けて照射することで、収納されて搬送される衣類に付着している可能性のある新型コロナウイルスを含む全ての菌を99.9%除菌、不活性化できる装置を提供することができる。
また本発明の衣類除菌装置は、実施例として、円筒形をした本体部1と、中心空間部2と、衣類入れ替え空間3と、第一除菌処理空間4と,第二除菌処理空間5と,第三除菌処理空間6と、衣類が掛けられたハンガー7と、円環状で回転中心から複数のアームで支持されて回転する吊り下げ部材8と、前記吊り下げ部材8を支持して回転する減速機9と、モーター10と、全体の電気の制御を行う制御部11で構成される。また、前記の第一除菌処理空間には、波長405nmの青色LED12、第二除菌処理空間には250nm~300nmの深紫外LED13、第三除菌処理空間には405nmの青色LED14がそれぞれ内壁の上下と側壁の前後の位置に取り付けられている。
この衣類除菌装置を使用する手順は、まず、人が衣類入れ替え空間2で、除菌処理済みの衣類をハンガーごと取り外すと、次に未処理の衣類がハンガー7に掛けられた状態で円環状の吊り下げ部材8に掛けると同時に、新たに吊り下げ部材8に掛けられたハンガーに掛けられた衣類は、中心空間2に設置されたモーター10と減速機9の駆動で連続的に低速で回転しながら、第一、第二、第三の各除菌処理空間4,5,6で青色LED、深紫外LED、青色LEDの順に衣類に照射されて除菌処理が施され、一周して、衣類入れ替え空間に戻って来て、人によって取り外される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば感染力の強い新型コロナウイルスに対して99.9%まで菌を死滅、又は不活性化させることが可能な短波長の深紫外LED、及び青色LEDを一定時間、第一除菌処理空間4、第二除菌処理空間5、第三除菌処理空間6の中で衣類に照射させることで、衣類が殺菌、又は不活性化することが可能な機能を備えた殺菌、又は不活性化機能付きの衣類除菌装置を提供することができる。
また、第二除菌処理空間5の内壁に取り付けられた波長250nm~300nmのLEDの照射光は、人体の目や皮膚に直接当たると、安全性が保証できないとされており、その危険性のある第二除菌処理空間の前後に第一と第三の除菌処理空間内で波長405nmのLEDを配置することで、第二の深紫外LEDの照射光は内部に閉じ込められて、外部に漏れないため、人体に対する安全性が確保されている。
本発明の衣類除菌装置は、衣類のクリーニング業者などで、大量の衣類の洗濯、乾燥が行われる条件下で、顧客からの除菌に対する要望に対応できる衣類除菌装置として提供できる。また、クリーニング業者だけでなく、ランドリーにも設置して、衣類の洗濯、乾燥と並行して利用できる装置でもある。本発明は、衣類に付着している感染力の強い新型コロナウイルスや、一般の多種類の菌に対しても、ウイルス菌の殺菌、又は不活性化と、菌の拡散防止に対する取り組みとして、その問題の解決につながる発明である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態による衣類除菌装置の立体図
【
図2】本発明の実施形態による衣類除菌装置の平面断面図
【
図3】本発明の実施形態による衣類除菌装置の平面断面図
【
図4】本発明の実施形態による衣類除菌装置の正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下
図1~
図4を用いて、本発明の実施形態による衣類除菌装置を説明する。尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは、適宜 異ならせて図示している。
【実施例0010】
図1~
図4に示すように、本実施形態は、本体部1と、中心空間部2と、衣類入れ替え空間3と、第一除菌処理空間4と,第二除菌処理空間5と,第三除菌処理空間6と、衣類が掛けられたハンガー7と、円環状で回転中心から複数のアームで支持されて回転する吊り下げ部材8と、前記吊り下げ部材を支持して回転する減速機9と、モーター10と、全体の電気の制御を行う制御部11で構成される。また、前記の第一除菌処理空間には、波長405nmの青色LED12、第二除菌処理空間には250nm~300nmの深紫外LED13、第三除菌処理空間には405nmの青色LED14で構成される。
本発明は産業上では衣類のクリーニング業者や、ランドリーなどに設置されて、衣類に付着して洗濯だけでは、簡単に除去できないウイルスや一般の菌を除菌、不活性化でき、また、大量の衣類を、しかも人体に安全に除菌処理ができる装置として利用できる。また、小型化して一般家庭用の衣類除菌装置としての市場展開の可能性もある。
本体部1、中心空間部2、衣類入れ替え空間3、第一除菌処理空間4,第二除菌処理空間5,第三除菌処理空間6、ハンガー7、吊り下げ部材8と、減速機9、モーター10、制御部11、青色LED12、深紫外LED13、青色LED14