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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032635
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】流路切替装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/074 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
F16K11/074 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012971
(22)【出願日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2022135868
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】河井 伸二
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA13
3H067CC23
3H067DD03
3H067DD12
3H067EA02
3H067EA32
3H067FF11
(57)【要約】
【課題】複数の板状部材を積層して形成される駆動部材における各板状部材の溶着強度を向上させることができる流路切替装置を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様は、流路切替装置1において、弁体12は、第1円板部材41と第2円板部材42とが積層して形成されており、第1円板部材41と第2円板部材42は、それぞれ、弁体連通路31の一部が形成される樹脂部材であって、第1円板部材41は、その上面41aに、弁体連通路31の開口部32と、開口部32の周囲に形成される周状のシール溝33と、を備え、弁体12を第1円板部材41の上面41a側から見たときに、第1円板部材41と第2円板部材42とを溶着させるレーザ溶着部51が、シール溝33の位置に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられる弁体部と、を有し、
前記弁体部は、板状に形成される弁体を備え、
前記ハウジングは、ハウジング連通路を複数備え、
前記弁体は、弁体連通路を少なくとも1つ備え、
前記ハウジング連通路と前記弁体連通路とを組み合わせることで、流路を形成するものであって、
前記ハウジングと前記弁体との間には、前記流路をシールする第1シール部材が設けられ、
前記ハウジングにおける前記弁体に対向する面にはハウジング凸部が設けられ、
前記弁体における前記ハウジングに対向する面には弁体凸部が設けられ、
前記弁体を駆動させて前記流路を切り替える時に、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とが重なり合って、前記ハウジングと前記弁体との間の第1の隙間を拡大すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項2】
請求項1の流路切替装置において、
前記ハウジング凸部と前記弁体凸部の少なくとも一方には、その凸形状の先端面にスリットが形成されていること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項3】
請求項2の流路切替装置において、
前記スリットは、前記弁体が駆動する方向と交差するように形成されていること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの流路切替装置において、
前記弁体は、板状の駆動ディスクであり、
前記駆動ディスクは、円板状に形成されており、回転駆動すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項5】
請求項4の流路切替装置において、
前記駆動ディスクを回転駆動させて前記流路を切り替える時に、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部は、前記駆動ディスクの内径側の位置から重なり始めること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1つの流路切替装置において、
前記流路切替装置へ供給される流体の流れが停止するときに、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とを重なり合わせて、前記第1の隙間を拡大すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項7】
請求項1の流路切替装置において、
前記弁体は、板状の駆動ディスクであり、
前記弁体部は、前記駆動ディスクの他に、板状の固定ディスクを備え、
前記駆動ディスクと前記固定ディスクは、軸方向に積層して配置されており、
前記弁体連通路は、前記駆動ディスクを前記軸方向に貫通する駆動ディスク連通路であり、
前記固定ディスクは、前記軸方向に貫通する固定ディスク連通路を複数備え、
前記ハウジング連通路と前記駆動ディスク連通路と前記固定ディスク連通路とを組み合わせることで、前記流路を形成すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項8】
請求項7の流路切替装置において、
前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間には、前記流路をシールする第2シール部材が設けられ、
前記駆動ディスクにおける前記固定ディスクに対向する面には駆動ディスク凸部が設けられ、
前記固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には固定ディスク凸部が設けられ、
前記駆動ディスクを駆動させて前記流路を切り替える時に、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部とが重なり合って、前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間の第2の隙間を拡大すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項9】
請求項8の流路切替装置において、
前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部の少なくとも一方には、その凸形状の先端面にスリットが形成されていること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項10】
請求項9の流路切替装置において、
前記スリットは、前記駆動ディスクが駆動する方向と交差するように形成されていること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1つの流路切替装置において、
前記駆動ディスクは、円板状に形成されており、回転駆動すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項12】
請求項11の流路切替装置において、
前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間には、前記流路をシールする第2シール部材が設けられ、
前記駆動ディスクにおける前記固定ディスクに対向する面には駆動ディスク凸部が設けられ、
前記固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には固定ディスク凸部が設けられ、
前記駆動ディスクを駆動させて前記流路を切り替える時に、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部とが重なり合って、前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間の第2の隙間を拡大し、
前記駆動ディスクを回転駆動させて前記流路を切り替える時に、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部、および、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部は、前記駆動ディスクの内径側の位置から重なり始めること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項13】
請求項8乃至10のいずれか1つの流路切替装置において、
前記流路切替装置へ供給される流体の流れが停止するときに、
前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とを重なり合わせて、前記第1の隙間を拡大し、
前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部とを重なり合わせて、前記第2の隙間を拡大すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項14】
請求項1乃至3のいずれか1つの流路切替装置において、
前記弁体は、所定の方向にスライドするように駆動するスライドディスクであり、
前記弁体連通路は、前記スライドディスクに備わるスライドディスク連通路であり、
前記ハウジング連通路と前記スライドディスク連通路とを組み合わせることで、前記流路を形成すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項15】
請求項14の流路切替装置において、
前記スライドディスクを軸方向にスライドするように駆動させる駆動軸と、
前記駆動軸が前記軸方向と直交する方向に振れるのを抑制する振れ吸収機構と、を有すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項16】
請求項14の流路切替装置において、
前記流路切替装置へ供給される流体の流れが停止するときに、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とを重なり合わせて、前記第1の隙間を拡大すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項17】
請求項1乃至3、7乃至10のいずれか1つの流路切替装置において、
前記弁体を形成する弁体本体部と、
前記弁体本体部を駆動させる駆動軸部と、を有し、
前記弁体凸部は、前記弁体本体部に設けられ、
前記弁体本体部は、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部が重なり合う方向に移動可能な状態で、前記駆動軸部と係合していること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項18】
請求項1乃至3、7乃至10のいずれか1つの流路切替装置において、
前記弁体凸部は、前記ハウジング凸部と重なり合う方向に移動可能な状態で、前記弁体と係合していること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項19】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に設けられる弁体部と、を有し、
前記弁体部は、板状に形成される弁体を備え、
前記ハウジングは、ハウジング連通路を複数備え、
前記弁体は、弁体連通路を少なくとも1つ備え、
前記ハウジング連通路と前記弁体連通路とを組み合わせることで、流路を形成するものであって、
前記弁体部は、板状の第1固定ディスクと、前記弁体である板状の駆動ディスクと、板状の第2固定ディスクと、が板厚方向に積層して形成されており、
前記第1固定ディスクと前記駆動ディスクとの間、および、前記駆動ディスクと前記第2固定ディスクとの間には、前記流路をシールするシール部材が設けられ、
前記第1固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には第1固定ディスク凸部が設けられ、
前記駆動ディスクにおける前記第1固定ディスクに対向する面には第1駆動ディスク凸部が設けられ、
前記駆動ディスクにおける前記第2固定ディスクに対向する面には第2駆動ディスク凸部が設けられ、
前記第2固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には第2固定ディスク凸部が設けられ、
前記ハウジングと前記第1固定ディスクとの間、および、前記第2固定ディスクと前記ハウジングとの間には、弾性部材が設けられ、
前記駆動ディスクを駆動させて前記流路を切り替える時に、
前記第1固定ディスク凸部と前記第1駆動ディスク凸部とが重なり合って、前記第1固定ディスクと前記駆動ディスクとの間の隙間を拡大し、
かつ、
前記第2駆動ディスク凸部と前記第2固定ディスク凸部とが重なり合って、前記駆動ディスクと前記第2固定ディスクとの間の隙間を拡大すること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項20】
請求項1乃至3、7乃至10のいずれか1つの流路切替装置において、
前記弁体は、板状の駆動ディスクであり、
前記弁体部は、前記駆動ディスクの他に、板状の固定ディスクを備え、
前記駆動ディスクと前記固定ディスクは、軸方向に積層して配置されており、
前記駆動ディスクは、円板部と、前記円板部を回転させる回転軸部と、を備え、
前記円板部の中央部が、軸方向について前記ハウジングと前記固定ディスクにより両持ち支持されていること、
を特徴とする流路切替装置。
【請求項21】
請求項1乃至3、7乃至10のいずれか1つの流路切替装置において、
前記ハウジング凸部と前記弁体凸部は、それぞれ、緩斜面部と急斜面部を備え、
前記ハウジング凸部と前記弁体凸部が重なり合うときには、前記緩斜面部どうしが当接した後、前記急斜面部どうしが当接すること、
を特徴とする流路切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流路を切り替える流路切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングの内部に設けられている弁体部として、回転ディスクと固定ディスクを備えている流路切替装置が開示されている。そして、この流路切替装置においては、回転ディスクが回転軸を中心に回転することにより、固定ディスクの連通路を開閉して、流路を切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-21966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような流路切替装置において、回転ディスクと固定ディスクとの間にシール部材を設けた場合、流路を切り替える時に、シール部材が摺動摩耗するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、流路をシールするシール部材が流路を切り替える時に摺動摩耗することを抑制できる流路切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、流路切替装置において、ハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられる弁体部と、を有し、前記弁体部は、板状に形成される弁体を備え、前記ハウジングは、ハウジング連通路を複数備え、前記弁体は、弁体連通路を少なくとも1つ備え、前記ハウジング連通路と前記弁体連通路とを組み合わせることで、流路を形成するものであって、前記ハウジングと前記弁体との間には、前記流路をシールする第1シール部材が設けられ、前記ハウジングにおける前記弁体に対向する面にはハウジング凸部が設けられ、前記弁体における前記ハウジングに対向する面には弁体凸部が設けられ、前記弁体を駆動させて前記流路を切り替える時に、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とが重なり合って、前記ハウジングと前記弁体との間の第1の隙間を拡大すること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、流路を切り替える時に、第1の隙間を拡大することにより、第1シール部材をハウジングと非接触の状態にしたり、あるいは、第1シール部材の面圧を低減できる。そのため、第1シール部材が摺動摩耗することを抑制できる。また、摺動抵抗により第1シール部材が配置される所定の位置から外れてしまうことも抑制できる。
【0008】
上記の態様においては、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部の少なくとも一方には、その凸形状の先端面にスリットが形成されていること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、スリットを形成することにより、流路に液体を流す場合において、流路を切り替える時に、重なり合うハウジング凸部と弁体凸部との間に液体を介在させて、ハウジング凸部と弁体凸部との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0010】
上記の態様においては、前記スリットは、前記弁体が駆動する方向と交差するように形成されていること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、より確実に、ハウジング凸部と弁体凸部との間に液体を介在させて、ハウジング凸部と弁体凸部との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0012】
上記の態様においては、前記弁体は、板状の駆動ディスクであり、前記駆動ディスクは、円板状に形成されており、回転駆動すること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、駆動ディスクを回転駆動させることにより、確実に、ハウジング連通路と弁体連通路との組み合わせを変えることで、流路を形成することができる。
【0014】
上記の態様においては、前記駆動ディスクを回転駆動させて前記流路を切り替える時に、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部は、前記駆動ディスクの内径側の位置から重なり始めること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、流路を切り替える時に、駆動ディスクの駆動トルクが急激に上昇することを抑えて、スムーズに、ハウジング凸部と弁体凸部を重なり合わせて、第1の隙間を拡大することができる。
【0016】
上記の態様においては、前記流路切替装置へ供給される流体の流れが停止するときに、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とを重なり合わせて、前記第1の隙間を拡大すること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、第1シール部材の貼り付き及びへたりを抑制して、第1シール部材のシール性を維持できる。
【0018】
上記の態様においては、前記弁体は、板状の駆動ディスクであり、前記弁体部は、前記駆動ディスクの他に、板状の固定ディスクを備え、前記駆動ディスクと前記固定ディスクは、軸方向に積層して配置されており、前記弁体連通路は、前記駆動ディスクを前記軸方向に貫通する駆動ディスク連通路であり、前記固定ディスクは、前記軸方向に貫通する固定ディスク連通路を複数備え、前記ハウジング連通路と前記駆動ディスク連通路と前記固定ディスク連通路とを組み合わせることで、前記流路を形成すること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、板状の駆動ディスクと板状の固定ディスクとを軸方向に積層して配置させて弁体部を構成している。そのため、流路切替装置の体格をコンパクト化することができる。
【0020】
上記の態様においては、前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間には、前記流路をシールする第2シール部材が設けられ、前記駆動ディスクにおける前記固定ディスクに対向する面には駆動ディスク凸部が設けられ、前記固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には固定ディスク凸部が設けられ、前記駆動ディスクを駆動させて前記流路を切り替える時に、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部とが重なり合って、前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間の第2の隙間を拡大すること、が好ましい。
【0021】
この態様によれば、流路を切り替える時に、第2の隙間を拡大することにより、第2シール部材を固定ディスクと非接触の状態にしたり、あるいは、第2シール部材の面圧を低減できる。そのため、第2シール部材が摺動摩耗することを抑制できる。また、摺動抵抗により第2シール部材が配置される所定の位置から外れてしまうことも抑制できる。
【0022】
上記の態様においては、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部の少なくとも一方には、その凸形状の先端面にスリットが形成されていること、が好ましい。
【0023】
この態様によれば、スリットを形成することにより、流路に液体を流す場合において、流路を切り替える時に、重なり合う駆動ディスク凸部と固定ディスク凸部との間に液体を介在させて、駆動ディスク凸部と固定ディスク凸部との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0024】
上記の態様においては、前記スリットは、前記駆動ディスクが駆動する方向と交差するように形成されていること、が好ましい。
【0025】
この態様によれば、より確実に、駆動ディスク凸部と固定ディスク凸部との間に液体を介在させて、駆動ディスク凸部と固定ディスク凸部との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0026】
上記の態様においては、前記駆動ディスクは、円板状に形成されており、回転駆動すること、が好ましい。
【0027】
この態様によれば、駆動ディスクを回転駆動させることにより、確実に、ハウジング連通路と駆動ディスク連通路と固定ディスク連通路との組み合わせを変えることで、流路を形成することができる。
【0028】
上記の態様においては、前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間には、前記流路をシールする第2シール部材が設けられ、前記駆動ディスクにおける前記固定ディスクに対向する面には駆動ディスク凸部が設けられ、前記固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には固定ディスク凸部が設けられ、前記駆動ディスクを駆動させて前記流路を切り替える時に、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部とが重なり合って、前記駆動ディスクと前記固定ディスクとの間の第2の隙間を拡大し、前記駆動ディスクを回転駆動させて前記流路を切り替える時に、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部、および、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部は、前記駆動ディスクの内径側の位置から重なり始めること、が好ましい。
【0029】
この態様によれば、流路を切り替える時に、駆動ディスクの駆動トルクが急激に上昇することを抑えて、スムーズに、ハウジング凸部と弁体凸部、および、駆動ディスク凸部と固定ディスク凸部を重なり合わせて、第1の隙間、および、第2の隙間を拡大することができる。
【0030】
上記の態様においては、前記流路切替装置へ供給される流体の流れが停止するときに、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とを重なり合わせて、前記第1の隙間を拡大し、前記駆動ディスク凸部と前記固定ディスク凸部とを重なり合わせて、前記第2の隙間を拡大すること、が好ましい。
【0031】
この態様によれば、第1シール部材の貼り付き及びへたりを抑制して、第1シール部材のシール性を維持できる。また、第2シール部材の貼り付き及びへたりを抑制して、第2シール部材のシール性を維持できる。
【0032】
上記の態様においては、前記弁体は、所定の方向にスライドするように駆動するスライドディスクであり、前記弁体連通路は、前記スライドディスクに備わるスライドディスク連通路であり、前記ハウジング連通路と前記スライドディスク連通路とを組み合わせることで、前記流路を形成すること、が好ましい。
【0033】
この態様によれば、スライドディスクにより弁体部が構成されている。そのため、流路切替装置の厚さを薄くすることができる。
【0034】
上記の態様においては、前記スライドディスクを軸方向にスライドするように駆動させる駆動軸と、前記駆動軸が前記軸方向と直交する方向に振れるのを抑制する振れ吸収機構と、を有すること、が好ましい。
【0035】
この態様によれば、振れ吸収機構により駆動軸が軸方向から傾くことを抑制できるので、駆動軸を支持する軸受の摩耗を抑制でき、また、軸受とスライドディスクとの間に設けられるシール部材のシール性を維持できる。
【0036】
上記の態様においては、前記流路切替装置へ供給される流体の流れが停止するときに、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部とを重なり合わせて、前記第1の隙間を拡大すること、が好ましい。
【0037】
この態様によれば、第1シール部材の貼り付き及びへたりを抑制して、第1シール部材のシール性を維持できる。
【0038】
上記の態様においては、前記弁体を形成する弁体本体部と、前記弁体本体部を駆動させる駆動軸部と、を有し、前記弁体凸部は、前記弁体本体部に設けられ、前記弁体本体部は、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部が重なり合う方向に移動可能な状態で、前記駆動軸部と係合していること、が好ましい。
【0039】
この態様によれば、弁体本体部と駆動軸部を分割している。そのため、弁体本体部を移動させて第1の隙間を拡大させるときに、駆動軸部を移動させなくてもよい。したがって、駆動部により駆動軸部を確実に駆動させて、弁体本体部を移動させることにより、確実に第1の隙間を拡大することができる。
【0040】
上記の態様においては、前記弁体凸部は、前記ハウジング凸部と重なり合う方向に移動可能な状態で、前記弁体と係合していること、が好ましい。
【0041】
この態様によれば、流路を切り替える時において、ハウジング凸部と弁体凸部が重なり合うときに、第1の隙間が大きくなり過ぎないようにすることができる。そして、ハウジングと弁体との間の第1の隙間を確実に拡大することができる。
【0042】
上記課題を解決するためになされた本開示の他の形態は、流路切替装置において、ハウジングと、前記ハウジングの内部に設けられる弁体部と、を有し、前記弁体部は、板状に形成される弁体を備え、前記ハウジングは、ハウジング連通路を複数備え、前記弁体は、弁体連通路を少なくとも1つ備え、前記ハウジング連通路と前記弁体連通路とを組み合わせることで、流路を形成するものであって、前記弁体部は、板状の第1固定ディスクと、前記弁体である板状の駆動ディスクと、板状の第2固定ディスクと、が板厚方向に積層して形成されており、前記第1固定ディスクと前記駆動ディスクとの間、および、前記駆動ディスクと前記第2固定ディスクとの間には、前記流路をシールするシール部材が設けられ、前記第1固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には第1固定ディスク凸部が設けられ、前記駆動ディスクにおける前記第1固定ディスクに対向する面には第1駆動ディスク凸部が設けられ、前記駆動ディスクにおける前記第2固定ディスクに対向する面には第2駆動ディスク凸部が設けられ、前記第2固定ディスクにおける前記駆動ディスクに対向する面には第2固定ディスク凸部が設けられ、前記ハウジングと前記第1固定ディスクとの間、および、前記第2固定ディスクと前記ハウジングとの間には、弾性部材が設けられ、前記駆動ディスクを駆動させて前記流路を切り替える時に、前記第1固定ディスク凸部と前記第1駆動ディスク凸部とが重なり合って、前記第1固定ディスクと前記駆動ディスクとの間の隙間を拡大し、かつ、前記第2駆動ディスク凸部と前記第2固定ディスク凸部とが重なり合って、前記駆動ディスクと前記第2固定ディスクとの間の隙間を拡大すること、を特徴とする。
【0043】
この態様によれば、駆動ディスクの両側に、弾性部材により遊動可能な第1固定ディスクと第2固定ディスクを設けている。これにより、万が一、駆動ディスクが傾いた場合でも、第1固定ディスクと第2固定ディスクが、駆動ディスクの傾きに追従するようにして、傾くことができる。そのため、万が一、駆動ディスクが傾いた場合でも、シール部材のシール性を確保できる。また、第1固定ディスクと駆動ディスクとの間の隙間、及び、駆動ディスクと第2固定ディスクとの間の隙間を確実に拡大することができる。
【0044】
上記の態様においては、前記弁体は、板状の駆動ディスクであり、前記弁体部は、前記駆動ディスクの他に、板状の固定ディスクを備え、前記駆動ディスクと前記固定ディスクは、軸方向に積層して配置されており、前記駆動ディスクは、円板部と、前記円板部を回転させる回転軸部と、を備え、前記円板部の中央部が、軸方向について前記ハウジングと前記固定ディスクにより両持ち支持されていること、が好ましい。
【0045】
この態様によれば、円板部の中央部が軸方向について両持ち支持されているので、円板部の中央部が傾くことを抑制して、回転軸部が傾くことを抑制できる。そのため、安定して、回転軸部により円板部を回転させて、流路を切り替えることができる。
【0046】
上記の態様においては、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部は、それぞれ、緩斜面部と急斜面部を備え、前記ハウジング凸部と前記弁体凸部が重なり合うときには、前記緩斜面部どうしが当接した後、前記急斜面部どうしが当接すること、が好ましい。
【0047】
この態様によれば、弁体を駆動させて流路を切り替える時において、ハウジング凸部と弁体凸部が重なり始めるときに、ハウジング凸部の緩斜面部と弁体凸部の緩斜面部が当接して、ハウジング凸部と弁体凸部が面接触する。そのため、ハウジング凸部と弁体凸部が重なり始めるときに、ハウジング凸部に対して弁体凸部からの応力が集中して作用することを回避できる。したがって、弁体を駆動し易くなるので、弁体を駆動させる駆動部を小型化でき、また、安定して流路を切替えることができる。
【発明の効果】
【0048】
本開示の流路切替装置によれば、流路をシールするシール部材が流路を切り替える時に摺動摩耗することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】第1実施形態の流路切替装置(六方弁である場合)の外観斜視図である。
図2】第1実施形態の流路切替装置の分解斜視図である(駆動部は図示を省略している)。
図3】第1実施形態の流路切替装置の断面図である(駆動部は図示を省略している)。
図4】回転ディスクの上面図である。
図5】固定ディスクの上面図である。
図6】ハウジングの上方から見たときの図であって、第1の流路パターンを形成しているときを示す図である。
図7】ハウジングの上方から見たときの図であって、第2の流路パターンを形成しているときを示す図である。
図8】第1,2実施例において、図6のA-A断面図である。
図9】第1,2実施例において、図6のB-B断面図である。
図10】第1,2実施例において、ハウジングの上方から見たときの図であって、凸部が配置される位置を示す図である。
図11】第1,2実施例において、図8に対応する図であって、流路を切り替える時を示す図である。
図12】第1,2実施例において、図9に対応する図であって、流路を切り替える時を示す図である。
図13】第1,2実施例において、図8に対応する図であって、流路を切り替えた後を示す図である。
図14】第1,2実施例において、図9に対応する図であって、流路を切り替えた後を示す図である。
図15】第3実施例において、スリットを示す図である。
図16】第4実施例において、スリットを回転ディスクの回転駆動方向に交差させることを示す図である。
図17】第5実施例において、ハウジング凸部と回転ディスク上面凸部を示す図である。
図18】第5実施例において、比較例を示す図である。
図19】第6実施例において、ハウジングの上方から見たときの図であって、ハウジング凸部と回転ディスク上面凸部が、回転ディスクの内径側の位置から重なり始めることを示す図である。
図20】第7実施例において、シール部材の断面図である。
図21】第7実施例において、回転ディスクのシール溝を示す図である。
図22】第8実施例において、ハウジング凸部と回転ディスク上面凸部(回転ディスクを停止させている時)を示す図である。
図23】第8実施例において、ハウジング凸部と回転ディスク上面凸部(回転ディスクを回転駆動させて流路を切り替える時)を示す図である。
図24】第8実施例において、ハウジング凸部が第1シール部材の変形量を規制する役割を兼ねていることを示す図である。
図25】第9実施例において、ハウジングの上方から見たときの図である。
図26】第9実施例において、第1ハウジング凸部と第1回転ディスク上面凸部を示す図である。
図27】第9実施例において、第2ハウジング凸部と第2回転ディスク上面凸部を示す図である。
図28】第10実施例において行われる制御の内容を示すフローチャート図である。
図29】第10実施例において行われる制御の内容を示すフローチャート図である。
図30】第2実施形態の流路切替装置を示す図であり、Aパターンの流路が形成されているときを示す図である。
図31図30のC-C断面図である。
図32】第2実施形態の流路切替装置を示す図であり、Bパターンの流路が形成されているときを示す図である。
図33図30のD-D断面の一部の拡大図であり、AパターンやBパターンの流路が形成されている状態で、スライドバルブが停止している時を示す図である。
図34図30のD-D断面の一部の拡大図であり、流路を切り替えるために、スライドバルブがスライドしている時を示す図である。
図35図31に対応した図であって、スライドバルブ連通路を中空形状にした場合を示す図である。
図36】スライドバルブをハウジング内に組付けた後に、シール部材を外側から取付けることができることを示す図である。
図37】振れ吸収機構を示す図である。
図38】振れ吸収機構を示す図であり、駆動軸が傾いたときを示す図である。
図39】第1シール部材が流入流路の流路口を横切る様子を示す図である。
図40】第3実施形態の流路切替装置の断面図である(駆動部は図示を省略している)。
図41図40のE-E断面図である。
図42】第4実施形態において、回転ディスク上面凸部と回転ディスク下面凸部とその周辺を拡大して示した断面図である。
図43】第5実施形態の流路切替装置の断面図である(駆動部は図示を省略している)。
図44】第6実施形態の流路切替装置の断面図である(駆動部は図示を省略している)。
図45】第7実施形態の流路切替装置の断面図である(駆動部は図示を省略している)。
図46】第7実施形態において、固定ディスク凸部と回転ディスク上面凸部と回転ディスク下面凸部とその周辺を拡大して示した断面図である。
図47】ハウジングが流体圧により膨れるおそれがあることを示す図である。
図48】ハウジングが流体圧により膨れることに対する対応案を示す図である。
図49】ハウジングが流体圧により膨れることに対する対応案を示す図である。
図50】第8実施形態において、ハウジング凸部の緩斜面部と回転ディスク上面凸部の緩斜面部が当接することを示す断面図である。
図51】第8実施形態において、ハウジング凸部の急斜面部と回転ディスク上面凸部の急斜面部が当接することを示す断面図である。
図52】第8実施形態において、ハウジング凸部の球面部と回転ディスク上面凸部の緩斜面部が当接することを示す断面図である。
図53】第8実施形態において、ハウジング凸部の平面部と回転ディスク上面凸部の平面部が当接することを示す断面図である。
図54】第8実施形態において、ハウジング凸部の球面部と回転ディスク上面凸部の緩斜面部が当接することを示す断面図である。
図55】第8実施形態において、ハウジング凸部の急斜面部と回転ディスク上面凸部の急斜面部が当接することを示す断面図である。
図56】第8実施形態において、ハウジング凸部の緩斜面部と回転ディスク上面凸部の緩斜面部が当接することを示す断面図である。
図57】第8実施形態において、ハウジング凸部が球面部の代わりに緩斜面部を備えている例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示の実施形態である流路切替装置について説明する。
【0051】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態について説明する。
【0052】
(流路切替装置の全体の概要説明)
まず、本実施形態の流路切替装置1の全体の概要について説明する。
【0053】
図1図3に示すように、流路切替装置1は、ハウジング11と、弁体部12と、駆動部13と、制御部14を有する。
【0054】
ハウジング11は、流体が流入する流入流路20と、流体が流出する流出流路30と、を備えている。ここでは、流路切替装置1は、一例として六方弁であり、ハウジング11は、3つの流入流路20と3つの流出流路30とを備えている。そして、3つの流入流路20として、第1流入流路21と第2流入流路22と第3流入流路23とが設けられている。また、3つの流出流路30として、第1流出流路31と第2流出流路32と第3流出流路33とが設けられている。なお、ハウジング11は、例えば樹脂により形成されている。また、流入流路20は、本開示の「ハウジング連通路」の一例である。
【0055】
弁体部12は、ハウジング11の内部に設けられている。この弁体部12は、図2図3に示すように、回転駆動する板状の回転ディスク40と、板状の固定ディスク50と、を備えている。そして、回転ディスク40と固定ディスク50は、後述する回転ディスク40の円板部41や固定ディスク50の円板部51の中心軸方向(以下、単に「軸方向」という。)に積層して配置されている。
【0056】
なお、回転ディスク40は、本開示の「弁体」や「駆動ディスク」の一例である。また、回転ディスク40と固定ディスク50は、例えば樹脂により形成されている。
【0057】
図2図4に示すように、回転ディスク40は、円板部41と回転軸部42を備えている。
【0058】
円板部41は、円板状に形成されており、軸方向に貫通する回転ディスク連通路60を備えている。ここでは、円板部41は、3つの回転ディスク連通路60を備えている。そして、図2図4に示すように、3つの回転ディスク連通路60として、第1回転ディスク連通路61と第2回転ディスク連通路62と第3回転ディスク連通路63を備えている。なお、回転ディスク連通路60は、本開示の「弁体連通路」や「駆動ディスク連通路」の一例である。
【0059】
回転軸部42は、その中心軸方向について、一端側にて円板部41と接続しており、他端側にて駆動部13に接続している。この回転軸部42は、その中心軸が円板部41の中心軸と一致するようにして、円板部41の中央の位置に設けられている。そして、回転軸部42が駆動部13から回転する動力を得て中心軸を中心に回転することにより、回転軸部42に接続する円板部41がその中心軸を中心に回転する。このようにして、回転ディスク40は、駆動部13から回転する動力を得ることにより、中心軸を中心に回転する。
【0060】
図2図3図5に示すように、固定ディスク50は、円板部51と円筒部52とを備えている。
【0061】
円板部51は、円板状に形成されており、軸方向に貫通する固定ディスク連通路70を備えている。ここでは、円板部51は、3つの固定ディスク連通路70を備えている。そして、図2図5に示すように、3つの固定ディスク連通路70として、第1固定ディスク連通路71と第2固定ディスク連通路72と第3固定ディスク連通路73を備えている。
【0062】
円筒部52は、円板部51に接続しており、固定ディスク連通路70を囲うようにして円板部51から軸方向に延びるようにして形成されている。ここでは、円筒部52は、3つの固定ディスク連通路70のそれぞれに対応するようにして、3つ形成されている。
【0063】
駆動部13は、回転ディスク40の回転軸部42に回転する動力を与えるためのモータ(不図示)を備えている。
【0064】
制御部14は、例えば、CPUとROM,RAM等のメモリを備え、メモリに予め格納されているプログラムに応じて、流路切替装置1を制御する。
【0065】
以上のような構成の流路切替装置1は、流入流路20と回転ディスク連通路60と固定ディスク連通路70とを組み合わせることで、流路を形成する。そして、流路切替装置1は、駆動部13により回転ディスク40を回転駆動させて、3つの流入流路20と3つの回転ディスク連通路60と3つの固定ディスク連通路70(3つの流出流路30)を連通させる組み合わせを変えることにより、流路を切り替える。
【0066】
例えば、図6に示すように、第1の流路パターンとして、第1流入流路21に連通させた第1回転ディスク連通路61と、第1流出流路31に連通する第1固定ディスク連通路71と、を連通させることにより、第1流入流路21と第1流出流路31とを連通させる流路を形成することができる。また、第2流入流路22に連通させた第2回転ディスク連通路62と、第2流出流路32に連通する第2固定ディスク連通路72と、を連通させることにより、第2流入流路22と第2流出流路32とを連通させる流路を形成することができる。さらに、第3流入流路23に連通させた第3回転ディスク連通路63と、第3流出流路33に連通する第3固定ディスク連通路73と、を連通させることにより、第3流入流路23と第3流出流路33とを連通させる流路を形成することができる。
【0067】
また、図6に示す第1の流路パターンの状態から、駆動部13により回転ディスク40を回転駆動させて、図7に示す第2の流路パターンに切り替えることができる。すなわち、図7に示すように、第2の流路パターンとして、第3流入流路23に連通させた第1回転ディスク連通路61と、第1流出流路31に連通する第1固定ディスク連通路71と、を連通させることにより、第3流入流路23と第1流出流路31とを連通させる流路を形成することができる。さらに、第1流入流路21に連通させた第2回転ディスク連通路62と、第2流出流路32に連通する第2固定ディスク連通路72と、を連通させることにより、第1流入流路21と第2流出流路32とを連通させる流路を形成することができる。また、第2流入流路22に連通させた第3回転ディスク連通路63と、第3流出流路33に連通する第3固定ディスク連通路73と、を連通させることにより、第2流入流路22と第3流出流路33とを連通させる流路を形成することができる。
【0068】
なお、流路切替装置1は、六方弁に限らず、三方弁や四方弁などのその他の多方弁にすることもできる。そのため、回転ディスク40は回転ディスク連通路60を少なくとも1つ備えていればよく、固定ディスク50は固定ディスク連通路70を複数備えていればよい。
【0069】
そして、本実施形態では、軸方向について、ハウジング11と回転ディスク40との間、および、回転ディスク40と固定ディスク50との間、および、固定ディスク50とハウジング11との間に、それぞれ、弾性部材を設けている。
【0070】
具体的には、図3に示すように、ハウジング11の上面11aと回転ディスク40における円板部41の上面41aとの間には、弾性部材として第1シール部材81Aが設けられている。また、回転ディスク40における円板部41の下面41bと固定ディスク50における円板部51の上面51aとの間には、弾性部材として第2シール部材81Bが設けられている。
【0071】
この第1シール部材81Aと第2シール部材81Bは、回転ディスク40における円板部41の上面41aと下面41bにて、長孔状に形成される回転ディスク連通路60の周囲を囲むようにして周状に形成されている。そして、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bは、流路をシールするものであり、流路の一部を形成する回転ディスク連通路60からの流体の漏れを防止する。
【0072】
なお、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bは、例えばフッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))により形成されている。また、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bは、フッ素樹脂を貼付したゴムにより形成されていてもよい。さらに、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bは、フッ素樹脂やゴム以外の材料により形成されていてもよい。
【0073】
また、固定ディスク50の円板部51の下面51bとハウジング11の下面11bとの間に、弾性部材としてディスク保持スプリング82が設けられている。このディスク保持スプリング82は、固定ディスク50の3つの円筒部52のそれぞれに配置されるようにして、合計3つ設けられている。なお、3つのディスク保持スプリング82は、互いに等間隔空けて設けられている。また、3つのディスク保持スプリング82は、3つの円筒部52のそれぞれの間の位置に配置されていてもよい。また、ディスク保持スプリング82は、4つ以上設けられていてもよい。
【0074】
また、固定ディスク50の円筒部52とハウジング11との間に、固定ディスク連通路70のシール性を確保するためのリップシール83が設けられている。
【0075】
このようにして、軸方向について、ハウジング11と回転ディスク40と固定ディスク50のそれぞれの間に弾性部材を設けることにより、当該弾性部材で回転ディスク40と固定ディスク50を支持している。
【0076】
また、略円板状の回転ディスク40と略円板状の固定ディスク50とを軸方向に積層して配置させて弁体部12を構成している。そのため、流路切替装置1の体格をコンパクト化することができる。
【0077】
(シール部材の摺動摩耗対策とその関連技術について)
回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時(以下、単に「流路を切り替える時」という。)に、図39に示すように、第1シール部材81Aが流入流路20の流路口を横切る。そして、このとき、第1シール部材81Aにおける流入流路20(詳しくは、流入流路20の縁)と接する部分に応力が集中して発生したり、第1シール部材81Aが流入流路20に引っ掛かるおそれがある。
【0078】
また、ハウジング11や回転ディスク40や固定ディスク50は樹脂により形成されている。そのため、ハウジング11の上面11a等(ハウジング11の上面11aや下面11b、回転ディスク40における円板部41の上面41aや下面41b、固定ディスク50の(円板部51の)上面51aや下面51bを含む)が、膨潤などにより、常時フラットの状態に維持することが難しい。したがって、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bのシール性を維持するために、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bの面圧(すなわち、ハウジング11の上面11aや下面11b、固定ディスク50の上面51aや下面51bに作用させる圧力)を上げる必要がある。
【0079】
このようなことから、流路を切り替える時に、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bが、流入流路20の流路口や、ハウジング11の上面11aや下面11bや、固定ディスク50の上面51aや下面51bに摺動して摩耗(すなわち、摺動摩耗)するおそれがある。
【0080】
そこで、本実施形態では、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bの摺動摩耗の対策とその関連技術として、以下に説明するような実施例を行う。
【0081】
(第1実施例)
本実施例では、流路を切り替える時に、ハウジング11と回転ディスク40と固定ディスク50との間にある隙間(すなわち、後述する第1の隙間δ1と第2の隙間δ2)を拡大する。そして、これにより、流路を切り替える時に、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bを、ハウジング11の上面11aや固定ディスク50の上面51aと非接触の状態にしたり、あるいは、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bの面圧を低減する。
【0082】
具体的には、図9に示すように、ハウジング11の上面11a(回転ディスク40の(円板部41の)上面41aに対向する面)には、ハウジング凸部91が設けられている。このハウジング凸部91は、図10に示すように、複数(ここでは、3つ)設けられており、回転ディスク40が回転駆動する方向について均等に配置されている。
【0083】
また、図9に示すように、回転ディスク40の(円板部41の)上面41a(ハウジング11の上面11aに対向する面)には、回転ディスク上面凸部92が設けられている。この回転ディスク上面凸部92は、図10に示すように、複数(ここでは、3つ)設けられており、回転ディスク40が回転駆動する方向について均等に配置されている。なお、回転ディスク上面凸部92は、本開示の「弁体凸部」の一例である。
【0084】
そして、図8に示す状態から、図11に示すように回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時に、図12に示すように、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが重なり合う。そして、これにより、図11に示すように、ハウジング11の上面11aと回転ディスク40の上面41aとの間に形成される第1の隙間δ1を、図8のときよりも拡大する。
【0085】
このようにして、流路を切り替える時に、第1の隙間δ1を拡大することにより、第1シール部材81Aをハウジング11の上面11aと非接触の状態にしたり、あるいは、第1シール部材81Aの面圧を低減することができる。そのため、第1シール部材81Aがハウジング11の上面11aや流入流路20の流路口を摺動するときに、第1シール部材81Aが摺動摩耗することを抑制できる。また、ハウジング11の上面11aや流入流路20の流路口から受ける摺動抵抗により第1シール部材81Aが配置される所定の位置から外れてしまうことも抑制できる。
【0086】
また、図9に示すように、回転ディスク40の(円板部41の)下面41b(すなわち、固定ディスク50の上面51aに対向する面)には、回転ディスク下面凸部93が設けられている。この回転ディスク下面凸部93は、前記の回転ディスク上面凸部92と同様に、複数(ここでは、3つ)設けられており、回転ディスク40が回転駆動する方向について均等に配置されている。なお、回転ディスク下面凸部93は、本開示の「駆動ディスク凸部」の一例である。
【0087】
また、図9に示すように、固定ディスク50の(円板部51の)上面51a(すなわち、回転ディスク40の下面41bに対向する面)には、固定ディスク凸部94が設けられている。この固定ディスク凸部94は、前記のハウジング凸部91と同様に、複数(ここでは、3つ)設けられており、回転ディスク40が回転駆動する方向について均等に配置されている。
【0088】
そして、図8に示す状態から、図11に示すように回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時に、図12に示すように、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とが重なり合う。そして、これにより、図11に示すように、回転ディスク40の下面41bと固定ディスク50の上面51aとの間に形成される第2の隙間δ2を拡大する。
【0089】
このようにして、流路を切り替える時に、第2の隙間δ2を拡大することにより、第2シール部材81Bを固定ディスク50の上面51aと非接触の状態にしたり、あるいは、第2シール部材81Bの面圧を低減することができる。そのため、第2シール部材81Bが固定ディスク50の上面51aを摺動するときに、第2シール部材81Bが摺動摩耗することを抑制できる。また、固定ディスク50の上面51aから受ける摺動抵抗により第2シール部材81Bが配置される所定の位置から外れてしまうことも抑制できる。
【0090】
なお、図13に示すように流路を切り替えた後には、図14に示すように、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とは、および、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とは、重なり合っていない。これにより、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bについて、そのシール性を確保できる。
【0091】
また、ハウジング凸部91や回転ディスク上面凸部92や回転ディスク下面凸部93や固定ディスク凸部94が設けられる位置は、図10に示すように回転ディスク連通路60よりも内径側の位置であることに限定されず、回転ディスク連通路60よりも外径側の位置や、隣り合う2つの回転ディスク連通路60の間の位置であってもよい。
【0092】
また、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92について、および、回転ディスク下面凸部93や固定ディスク凸部94とについて、回転ディスク40が回転駆動する方向の幅は、異なっていても均一であってもよい。なお、幅を異ならせる場合には、応力緩和の観点から、剛性が低い方の幅を大きくすることが望ましい。図10に示す例では、回転ディスク40が回転駆動する方向の幅について、回転ディスク上面凸部92よりもハウジング凸部91の方を大きくしている。
【0093】
(第2実施例)
本実施例では、図9に示すように、ハウジング11の上面11aや固定ディスク50の上面51aに、シール変形量規制凸部95が設けられている。
【0094】
これにより、流路を切り替えていない時(すなわち、回転ディスク40が停止している時、図9に示す時など)に、シール変形量規制凸部95が回転ディスク40の上面41aや下面41bに接することにより、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bの変形量を規制できる。そのため、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bの面圧が過大にならないように所望の圧力以下に収まるように調整することができる。また、温度上昇で第1シール部材81Aや第2シール部材81Bが柔らかくなってきたときに、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bの変形量を規制できる。
【0095】
なお、シール変形量規制凸部95は、回転ディスク40の上面41aや下面41bに設けられていてもよい。
【0096】
(第3実施例)
本実施例では、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92の少なくとも一方(すなわち、両方または一方)には、その凸形状の先端面にスリット96(図15参照)が形成されている。なお、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92のうちの一方にスリット96を形成する場合には、回転ディスク40が回転駆動する方向の幅が大きい方(図10に示す例ではハウジング凸部91が該当)に、スリット96を形成することが望ましい。
【0097】
このようにして、スリット96を形成することにより、流路に液体を流す場合において、流路を切り替える時に、重なり合うハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との間に液体を介在させて、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0098】
また、スリット96を形成することにより、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92の接触面積が小さくなることからも、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0099】
さらに、スリット96を形成することにより、万が一、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との間に異物を噛み込んだとしても、スリット96を介して異物を除去することができる。
【0100】
また、同様にして、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94の少なくとも一方には、その凸形状の先端面にスリット96が形成されている。
【0101】
このようにして、スリット96を形成することにより、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92と同様に、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94との間に発生する摺動抵抗を低減できたり、万が一、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94との間に異物を噛み込んだとしてもスリット96を介して異物を除去することができる。
【0102】
(第4実施例)
本実施例では、スリット96は、図16に示すように、回転ディスク40が回転駆動する方向(図中の「回転駆動方向」)と交差するように形成されている。
【0103】
これにより、重なり合うハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との間において、回転ディスク40が回転駆動する方向の後方の位置においても、スリット96から液体が供給されるようになる。そのため、より確実に、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との間に液体を介在させて、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との間に発生する摺動抵抗を低減できる。また、同様に、より確実に、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94との間に液体を介在させて、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0104】
また、スリット96が回転ディスク40が回転駆動する方向と交差するように形成されていることにより、異物が回転ディスク40が回転駆動する方向に移動してもスリット96を横切るので、異物をスリット96を介して確実に除去できる。
【0105】
(第5実施例)
本実施例では、図17に示すように、ハウジング凸部91は、当該ハウジング凸部91における回転ディスク40が回転駆動する方向(図17の左右方向)の両端面において、ハウジング11の上面11aとの境界部分に、径の大きなR形状の大R形状部91aが形成されている。また、回転ディスク上面凸部92は、当該回転ディスク上面凸部92における回転ディスク40が回転駆動する方向(図17の左右方向)の両端面において、先端面(図17における上面)との境界部分に、径の小さなR形状の小R形状部92aが形成されている。なお、大R形状部91aや小R形状部92aの代わりにテーパ形状部を形成してもよい。
【0106】
これにより、図17に示すように、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが重なり始めるときにおける回転ディスク40の駆動トルクの上昇が、図18に示す比較例の場合と比べて、抑制される。なお、図18の比較例は、大R形状部91aや小R形状部92aが形成されていない例である。
【0107】
すなわち、図18に示す比較例では、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが重なり始めるのと同時に、ハウジング11が回転ディスク40を下方向に一気に押し下げるので、回転ディスク40の駆動トルクが急上昇する。一方、図17に示す本実施例では、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが重なり始めるのと同時に、大R形状部91aと小R形状部92aより、回転ディスク40が下方向に徐々に押し下げられるので回転ディスク40の駆動トルクの上昇を抑制できる。なお、本実施形態では、図18に示す比較例について、その採用を否定するものではなく、一例として採用してもよい。
【0108】
なお、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94についても、同様にして、本実施例を適用することができる。
【0109】
(第6実施例)
本実施例では、回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時に、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92は、図19に示すように、回転ディスク40の内径側の位置(図中の「接地開始点」)から重なり始めて、その後、回転ディスク40の外径側へ向かって徐々に重なり始めるようにする。このとき、例えば、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92について、その高さや回転ディスク40の回転駆動方向の幅を調整して、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が回転ディスク40の内径側の位置から重なり始めるようにする。
【0110】
これにより、流路を切り替える時に、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合うときに、回転ディスク40の駆動トルクを徐々に上昇させることができる。そのため、回転ディスク40の駆動トルクが急激に上昇することを抑えて、スムーズに、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合って、第1の隙間δ1を拡大することができる。
【0111】
なお、同様にして、回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時に、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94についても、回転ディスク40の内径側の位置から重なり始めて、その後、回転ディスク40の外径側へ向かって徐々に重なり始めるようにしてもよい。
【0112】
(第7実施例)
本実施例では、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bについて、その周方向の少なくとも一部において、図20に示すように一体的に形成する。このとき、例えば、図21に示すように、回転ディスク40の上面41aと下面41bに設けられたシール溝97(すなわち、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bを配置するための溝)に貫通孔98(すなわち、回転ディスク40を貫通する孔)を複数設けておく。そして、この貫通孔98において第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが接続するように、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが回転ディスク40とを一体成形(例えば、一体射出成形)する。
【0113】
これにより、回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時に、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが、ハウジング11の上面11aや流入流路20の流路口や、固定ディスク50の上面51aから摺動抵抗を受けても、或いは、第1の隙間δ1や第2の隙間δ2が拡大し、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが、ハウジング11の上面11aや流入流路20の流路口や、固定ディスク50の上面51aと非接触になっても、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが回転ディスク40のシール溝97から脱離し難くなる。そのため、流路を切り替えた後でも、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bのシール性を確保できる。
【0114】
(第8実施例)
本実施例では、ハウジング凸部91の高さH1と回転ディスク上面凸部92の高さH2が異なるようにしている。例えば、ハウジング凸部91の高さH1を、回転ディスク上面凸部92の高さH2よりも大きくする。
【0115】
これにより、回転ディスク40を停止させて流路を切り替えていない時は、図22に示す状態になる。そして、回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時は、図23に示す状態になる。このとき、回転ディスク上面凸部92の高さH2がハウジング凸部91の高さH1よりも小さいので、ハウジング凸部91により回転ディスク上面凸部92を押し下げる量が少なくなるので、回転ディスク40の駆動トルクを小さくすることができる。
【0116】
さらに、回転ディスク40を停止させて流路を切り替えていない時に、図24に示すように、ハウジング凸部91が第1シール部材81Aの変形量を規制する役割を兼ねることもできるので、シール変形量規制凸部95(図9など参照)を不要にすることもできる。
【0117】
なお、図22図24において、ハウジング11の上面11aと回転ディスク40の上面41aとの間の距離である距離T1と距離T2と距離T3について、T2<T1<<T3とする。
【0118】
また、同様にして、固定ディスク凸部94の高さH4を、回転ディスク下面凸部93の高さH3よりも大きくしてもよい。さらに、回転ディスク上面凸部92の高さH2をハウジング凸部91の高さH1よりも大きくしたり、回転ディスク下面凸部93の高さH3を固定ディスク凸部94の高さH4よりも大きくしてもよい。
【0119】
(第9実施例)
本実施例では、図25に示すように、ハウジング凸部91として、外径側に設けられる第1ハウジング凸部91Aと、内径側に設けられる第2ハウジング凸部91Bと、を備えている。また、回転ディスク上面凸部92として、外径側に設けられる第1回転ディスク上面凸部92Aと、内径側に設けられる第2回転ディスク上面凸部92Bと、を備えている。そして、回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時に、第1ハウジング凸部91Aと第1回転ディスク上面凸部92Aとが重なり合い、第2ハウジング凸部91Bと第2回転ディスク上面凸部92Bとが重なり合う。
【0120】
そして、図25図27に示すように、回転ディスク40を回転駆動させて流路を切り替える時に、回転ディスク40の回転角度が角度θAのときに第2ハウジング凸部91Bと第2回転ディスク上面凸部92Bとが重なり始めて、その後、回転ディスク40の回転角度が角度θB(>角度θA)のときに第1ハウジング凸部91Aと第1回転ディスク上面凸部92Aとが重なり始める。
【0121】
これにより、流路を切り替える時に、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが接する面の応力集中の緩和と、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが重なり合い始めたときの回転ディスク40の駆動トルクの上昇の抑制との両立ができる。なお、本実施例は、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94についても、同様に適用できる。
【0122】
なお、第1ハウジング凸部91A(第1回転ディスク上面凸部92A)と、第2ハウジング凸部91B(第2回転ディスク上面凸部92B)とは、径方向について、接していても、離れていてもよい。
【0123】
また、第1ハウジング凸部91Aと第1回転ディスク上面凸部92Aとが重なり始めて、その後、第2ハウジング凸部91Bと第2回転ディスク上面凸部92Bとが重なり始めるようにしてもよい。
【0124】
また、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92との重なり合いの開始時および終了時に、回転ディスク40が回転駆動する速度を遅くしてもよい。
【0125】
(第10実施例)
第1シール部材81Aと第2シール部材81Bは、例えばフッ素樹脂やゴムにより形成されている。そのため、回転ディスク40が長時間(すなわち、所定時間以上)に亘って回転駆動しないで、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが長時間同じシール(接地)状態で放置されると、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bがハウジング11の上面11aや固定ディスク50の上面51aに貼り付いてしまうおそれがある。そして、その後、回転ディスク40が回転駆動することにより、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが貼り付いた状態から強引に剥がされようとすると、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bが亀裂・破損しシール機能が低下するおそれがある。
【0126】
そこで、本実施例では、本実施形態の流路切替装置1が搭載される車両において、IG(すなわち、イグニッションスイッチ)がOFFの状態にされて流路切替装置1へ供給される流体の流れが停止するときに、回転ディスク40が所定時間以上、回転駆動されないと予測されるときには、流路の切り替えを終えて回転ディスク40の回転駆動を停止させるときに、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが(回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とが)重なり合う状態にしておく。そして、これにより、IGがOFFの状態で放置されて流路切替装置1へ供給される流体の流れが停止するときに、第1シール部材81A(第2シール部材81B)がハウジング11の上面11a(固定ディスク50の上面51a)と非接触の状態(あるいは、面圧を下げた状態)にしておく。
【0127】
具体的には、制御部14は、図28図29に示すフローチャートの内容に従って制御する。まず、制御部14は、IGがONであるか否かを判断する(ステップS1)。
【0128】
そして、IGがONである場合(ステップS1:YES)には、制御部14は、当該制御部14に備わるバルブ制御ECU14aをONにして(ステップS2)、切替え弁位置tdegを取り込み(ステップS3)、イニシャル位置フラグ(Xイニシャル位置)が0であるか否かを判断する(ステップS4)。なお、切替え弁位置tdegとは、回転ディスク40について、その回転駆動する方向の位置である。
【0129】
そして、イニシャル位置フラグが0である場合(ステップS4:YES)には、制御部14は、ウォータポンプ(不図示)を停止し(ステップS5)、時計回りに切替え駆動を実行し(ステップS6)、切替え弁位置tdegが0deg以下であるか否かを判断する(ステップS7)。なお、ウォータポンプは、流路切替装置1において流体として水を流す場合に、その水を流路切替装置1に供給する装置である。
【0130】
そして、切替え弁位置tdegが0deg以下である場合(ステップS7:YES)には、制御部14は、切替え駆動を停止する(ステップS8)。これにより、流路がAパターンの状態(例えば、前記の図6に示す第1の流路パターンの状態)になり、回転ディスク40の回転駆動が停止する。
【0131】
次に、制御部14は、Aパターン停止フラグ(XAパターン停止)とイニシャル位置フラグを1にする(ステップS9,S10)。
【0132】
また、ステップS7において切替え弁位置tdegが0degよりも大きい場合(ステップS7:NO)には、制御部14は、継続して時計回りに切替え駆動を実行する(ステップS11)。
【0133】
また、ステップS4においてイニシャル位置フラグが1である場合(ステップS4:NO)には、制御部14は、ウォータポンプを停止し(ステップS12)、通常の切替え制御(通常の流路を切り替える制御)を行って(ステップS13)、停止位置(すなわち、回転ディスク40の停止位置)を取り込み(ステップS14)、Aパターン停止(流路がAパターンの状態となって回転ディスク40の回転駆動が停止)であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0134】
そして、Aパターン停止である場合(ステップS15:YES)には、制御部14は、Aパターン停止フラグを1にする(ステップS16)。一方、Aパターン停止ではない場合(すなわち、Bパターン停止(流路がBパターンの状態(例えば、前記の図7に示す第2の流路パターンの状態)となって回転ディスク40の回転駆動が停止)である場合)(ステップS15:NO)には、制御部14は、Aパターン停止フラグを0にする(ステップS17)。
【0135】
そして、ステップS1において、IGがOFFである場合(ステップS1:NO)には、制御部14は、ウォータポンプを停止し(ステップS18)、Aパターン停止フラグが1であるか否かを判断する(ステップS19)。
【0136】
そして、Aパターン停止フラグが1である場合(ステップS19:YES)には、制御部14は、反時計回りに切替え駆動(回転ディスク40の回転駆動)を実行し(ステップS20)、切替え弁位置tdegが30deg以上であるか否かを判断する(ステップS21)。ここで、切替え弁位置tdegが30degのときには、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが(回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とが)重なり合う状態になり、第1シール部材81A(第2シール部材81B)がハウジング11の上面11a(固定ディスク50の上面51a)と非接触の状態(あるいは、面圧を下げた状態)になる。
【0137】
そして、切替え弁位置tdegが30deg以上である場合(ステップS21:YES)には、制御部14は、切替え駆動を停止し(ステップS22)、バルブ制御ECU14aをOFFにする(ステップS23)。これにより、第1シール部材81A(第2シール部材81B)がハウジング11の上面11a(固定ディスク50の上面51a)と非接触の状態(あるいは、面圧を下げた状態)になる。一方、切替え弁位置tdegが30deg未満である場合(ステップS21:NO)には、制御部14は、継続して反時計回りに切替え駆動を実行する(ステップS24)。
【0138】
また、ステップ19においてAパターン停止フラグが0である場合(ステップS19:NO)には、制御部14は、時計回りに切替え駆動を実行し(ステップS25)、切替え弁位置tdegが30deg以下であるか否かを判断する(ステップS26)。
【0139】
そして、切替え弁位置tdegが30deg以下である場合(ステップS26:YES)には、制御部14は、切替え駆動を停止し(ステップS22)、バルブ制御ECU14aをOFFにする(ステップS23)。これにより、第1シール部材81A(第2シール部材81B)がハウジング11の上面11a(固定ディスク50の上面51a)と非接触の状態(あるいは、面圧を下げた状態)になる。一方、切替え弁位置tdegが30degよりも大きい場合(ステップS26:NO)には、制御部14は、継続して時計回りに切替え駆動を実行する(ステップS11)。
【0140】
このように本実施例では、制御部14は、IGがOFFの状態であり、ウォータポンプを停止して流路切替装置1へ供給される水の流れが停止するとき(すなわち、長時間の水の流れの停止時)には、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とが(回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とが)重なり合う状態にして、第1シール部材81A(第2シール部材81B)がハウジング11の上面11a(固定ディスク50の上面51a)と非接触の状態(あるいは、面圧を下げた状態)にしたうえで、回転ディスク40の回転駆動を停止する。
【0141】
すなわち、制御部14は、IGがOFFのとき(すなわち、ウォータポンプを停止して流路切替装置1へ供給される水の流れが停止するとき)に、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とを重なり合わせて、第1の隙間δ1を拡大する。
【0142】
これにより、第1シール部材81Aのハウジング11の上面11aへの貼り付き及びへたりを抑制して、第1シール部材81Aのシール性を維持できる。
【0143】
また、同様に、制御部14は、IGがOFFのとき(すなわち、ウォータポンプを停止して流路切替装置1へ供給される水の流れが停止するとき)に、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とを重なり合わせて、第2の隙間δ2を拡大する。
【0144】
これにより、第2シール部材81Bの固定ディスク50の上面51aへの貼り付き及びへたりを抑制して、第2シール部材81Bのシール性を維持できる。
【0145】
なお、制御部14は、IGがOFFでなくても、ウォータポンプを停止して流路切替装置1へ供給される水の流れが停止するとき(すなわち、長時間の水の流れの停止時)に、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92とを重なり合わせて第1の隙間δ1を拡大したり、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とを重なり合わせて第2の隙間δ2を拡大してもよい。
【0146】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
【0147】
(流路切替装置の全体の概要説明)
まず、本実施形態の流路切替装置2の全体の概要について説明する。
【0148】
図30図31に示すように、流路切替装置2は、ハウジング211と、スライドバルブ212と、駆動部213とを有する。
【0149】
ハウジング211は、流体が流入または流出する流路口220を備えている。ここでは、流路切替装置2は、一例として六方弁であり、ハウジング211は、6つの流路口220を備えている。なお、ハウジング211は、例えば樹脂により形成されている。また、流路口220は、本開示の「ハウジング連通路」の一例である。
【0150】
スライドバルブ212は、ハウジング211の内部に設けられている。なお、スライドバルブ212は、本開示の「弁体部」や「弁体」や「スライドディスク」の一例である。また、スライドバルブ212は、例えば樹脂により形成されている。
【0151】
スライドバルブ212は、長方形の板状(すなわち、略直方体の形状)に形成されており、スライドバルブ連通路260を少なくとも1つ備えている。ここでは、スライドバルブ212は、一例として4つのスライドバルブ連通路260を備えている。なお、スライドバルブ連通路260は、本開示の「弁体連通路」や「スライドディスク連通路」の一例である。
【0152】
駆動部213は、スライドバルブ212を駆動させる動力を与えるためのアクチュエータ(不図示)を備えている。
【0153】
また、図31に示すように、ハウジング211とスライドバルブ212との間には、流路をシールするシール部材281が設けられている。さらに、スライドバルブ212は、スプリング282により付勢されている。
【0154】
なお、シール部材281は、例えばフッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))により形成されている。また、シール部材281は、フッ素樹脂を貼付したゴムにより形成されていてもよい。さらに、シール部材281は、フッ素樹脂やゴム以外の材料により形成されていてもよい。また、シール部材281は、本開示の「第1シール部材」の一例である。
【0155】
このような構成の流路切替装置2は、ハウジング211の流路口220とスライドバルブ連通路260とを組み合わせることで、流路を形成する。そして、流路切替装置2は、図30図32に示すように、駆動部213の駆動軸213aによりスライドバルブ212を駆動軸213aの軸方向にスライドするように駆動させて、流路口220とスライドバルブ連通路260とを連通させる組み合わせを変えることにより、流路を切り替える。なお、駆動軸213aの軸方向は、本開示の「所定の方向」の一例である。
【0156】
このように、流路切替装置2は、スライドバルブ212により弁体部が構成されている。そのため、流路切替装置2の厚さを薄くすることができる。
【0157】
そして、図33に示すように、ハウジング211におけるスライドバルブ212に対向する面211aには、ハウジング凸部291が設けられている。このハウジング凸部291は、複数(ここでは、5つ)設けられており、スライドバルブ212が駆動する方向について均等に配置されている。
【0158】
また、スライドバルブ212におけるハウジング211に対向する面212aには、スライドバルブ凸部292が設けられている。このスライドバルブ凸部292は、複数(ここでは、3つ)設けられており、スライドバルブ212が駆動する方向について均等に配置されている。
【0159】
そして、図34に示すように、駆動部213の駆動軸213aによりスライドバルブ212を駆動軸213aの軸方向にスライドするように駆動させて流路を切り替える時に、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292とが重なり合う。そして、これにより、ハウジング211とスライドバルブ212との間の隙間δ3を拡大する。なお、δ3は、本開示の「第1の隙間」の一例である。
【0160】
このようにして、流路を切り替える時に、隙間δ3を拡大することにより、シール部材281をハウジング211の面211aと非接触の状態にしたり、あるいは、シール部材281の面圧を低減できる。そのため、シール部材281がハウジング211の面211aや流路口220(詳しくは、流路口220の縁)を摺動するときに、シール部材281が摺動摩耗することを抑制できる。また、ハウジング211の面211aや流路口220から受ける摺動抵抗によりシール部材281が配置される所定の位置から外れてしまうことも抑制できる。
【0161】
また、スライドバルブ連通路260は、前記の図31に示す例では溝形状に形成されていたが、図35に示すように中空形状(トンネル状)にしてもよい。これにより、図36に示すように、スライドバルブ212をハウジング211内に組付けた後に、シール部材281を外側から取付けることができる。そのため、低コストである振動溶着を行ってハウジング211を形成する場合に、シール部材281も同時に振動接触しなくてもよいので、シール部材281の不要な摩耗を防ぐことができる。
【0162】
また、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292の少なくとも一方には、その凸形状の先端面にスリット96(図15など参照)が形成されていてもよい。
【0163】
このようにして、スリット96を形成することにより、流路に液体を流す場合において、流路を切り替える時に、重なり合うハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292との間に液体を介在させて、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0164】
また、スリット96を形成することにより、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292の接触面積が小さくなることからも、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0165】
さらに、スリット96を形成することにより、万が一、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292との間に異物を噛み込んだとしても、スリット96を介して異物を除去することができる。
【0166】
そして、スリット96は、スライドバルブ212が駆動する方向と交差するように形成されていてもよい。
【0167】
これにより、重なり合うハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292との間において、スライドバルブ212の駆動方向の後方の位置においても、スリット96から液体を供給できる。そのため、より確実に、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292との間に液体を介在させて、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292との間に発生する摺動抵抗を低減できる。
【0168】
また、スリット96がスライドバルブ212の駆動方向と交差するように形成されていることにより、異物がスライドバルブ212の駆動方向に移動してもスリット96を横切るので、異物をスリット96を介して確実に除去できる。
【0169】
また、図37に示すように、流路切替装置2は、駆動軸213aが軸方向と直交する方向に振れるのを抑制する振れ吸収機構298を有していてもよい。この振れ吸収機構298は、駆動軸213aをスライドバルブ212の凹部212b内にガタ量を持たせて嵌合させた機構となっている。
【0170】
これにより、図38に示すように、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292とが重なり合う時でも、振れ吸収機構298により駆動軸213aが軸方向から傾くことを抑制できる。そのため、駆動軸213aを支持する軸受215の摩耗を抑制でき、また、軸受215とスライドバルブ212との間に設けられるシール部材216のシール性を維持できる。
【0171】
また、本実施形態の流路切替装置2においても、前記の第1実施形態の第10実施例と同様に、流路切替装置2が搭載される車両のイグニッションスイッチがOFFのとき(すなわち、ウォータポンプを停止して流路切替装置2へ供給される水の流れが停止するとき)に、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292とを重なり合わせて、隙間δ3を拡大してもよい。
【0172】
<第3実施形態>
本実施形態では、図40図41に示すように、円板部41と回転軸部42は分割されている。そして、円板部41は、流路を切り替える時にハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合う方向(すなわち、図40の上下方向)に移動可能な状態で、回転軸部42と係合している。なお、回転ディスク上面凸部92は、円板部41に設けられている。また、円板部41は、本開示の「弁体を形成する弁体本体部」の一例である。また、回転軸部42は、本開示の「駆動軸部」の一例である。
【0173】
本実施形態では、このようにして円板部41と回転軸部42を分割している。そのため、第1の隙間δ1を拡大させるときに、回転軸部42を移動させなくても、円板部41だけを移動させることができる。したがって、駆動部13により回転軸部42を確実に回転させて、円板部41を移動させることにより、確実に第1の隙間δ1を拡大することができる。
【0174】
すなわち、駆動部13に組み込まれた回転軸部42の上下のガタ量(例えば、駆動部13と回転軸部42が螺合するネジ部の遊び量)よりも多く第1の隙間δ1を拡大したとしても、駆動部13による回転軸部42の回転がロックするおそれがない。そのため、確実に第1の隙間δ1を拡大することができる。
【0175】
また、図41に示すように、円板部41の略長方形の孔41cの内部に、断面が略長方形の回転軸部42が嵌め合っており、回転軸部42の回転により確実に円板部41を回転させることができる。
【0176】
また、図40に示すように、回転軸部42の軸方向(すなわち、図40の上下方向)に円板部41が摺動可能な構成になっている。そのため、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合って第1の隙間δ1を拡大したときに、固定ディスク50を図40の下方向に押し下げ、円板部41を図40の下方向にストレスなく移動させることができる。また、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bの突き出し量が摩耗などにより変化した場合でも、円板部41が図40の上下方向に移動することにより、第1シール部材81Aとハウジング11の密着状態や、第2シール部材81Bと固定ディスク50の密着状態を維持できる。
【0177】
また、円板部41と回転軸部42が分割して係合している位置は、回転軸部42に接するリップシール84よりも図40の下側の位置になっている。そのため、円板部41が図40の上下方向に移動するときにおいても、回転軸部42とリップシール84は図40の上下方向には摺動しない。
【0178】
また、円板部41と回転軸部42の分割位置は、円板部41の上面41aよりも上側の位置となっている。そのため、円板部41の中央部41dにも回転ディスク連通路60を形成することができる。したがって、流路を形成する自由度が向上する。なお、中央部41dは、円板部41における径方向の中央部分、すなわち、円板部41における中心軸の部分とその周辺の部分である。
【0179】
<第4実施形態>
本実施形態では、図42に示すように、回転ディスク上面凸部92は、ハウジング凸部91と重なり合う方向(すなわち、図42の上下方向)に移動可能な状態で、円板部41と係合している。また、回転ディスク下面凸部93は、固定ディスク凸部94と重なり合う方向(すなわち、図42の上下方向)に移動可能な状態で、円板部41と係合している。
【0180】
このようにして、回転ディスク上面凸部92と回転ディスク下面凸部93は、円板部41から分割させており(例えば、円板部41の孔に回転ディスク上面凸部92と回転ディスク下面凸部93を組み付けるようにしてインロー組み付けさせており)、円板部41に対して、図42の上下方向に移動可能になっている。
【0181】
これにより、流路を切り替える時において、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合うときに、第1の隙間δ1が大きくなり過ぎないようにすることができる。そのため、駆動部13に組み込まれた回転軸部42の上下のガタ量よりも第1の隙間δ1が大きくならないので、駆動部13による回転軸部42の回転がロックする(すなわち、止まること)を回避できる。そして、ハウジング11と回転ディスク40との間の第1の隙間δ1を確実に拡大することができる。
【0182】
なお、回転ディスク上面凸部92と回転ディスク下面凸部93は円板部41に対して図42の上下方向に移動可能であるが、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合うとき、かつ、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94が重なり合うときには、固定ディスク50がディスク保持スプリング82の弾性力に対向して図42の下方向に移動して、第1の隙間δ1と第2の隙間δ2は拡大するようになっている。
【0183】
また、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bやハウジング凸部91や固定ディスク凸部94の突き出し量に応じて、回転ディスク上面凸部92や回転ディスク下面凸部93の突き出し量を調整しながら、回転ディスク上面凸部92や回転ディスク下面凸部93を最適な状態で回転ディスク40に組み付けることができる。そのため、第1の隙間δ1と第2の隙間δ2を拡大させるときに、第1シール部材81Aや第2シール部材81Bに作用する面圧を最適な大きさにすることができる。
【0184】
なお、本実施形態を前記の第3実施形態と組み合わせてもよい。
【0185】
<第5実施形態>
本実施形態では、図43に示すように、円板部41の中央部41dが、軸方向(すなわち、円板部41の中心軸方向)について、ハウジング11における駆動部13側(すなわち、回転軸部42側、図43の上側)の部分と、固定ディスク50の円板部51により両持ち支持されている。そして、中央部41dにおいて、駆動部13側の部分41daの外径φD1よりも、固定ディスク50側の部分41dbの外径φD2を大きくしている。
【0186】
このようにして、中央部41dが軸方向について両持ち支持されているので、中央部41dとハウジング11の間や中央部41dと固定ディスク50の間に隙間が存在しても、中央部41dが傾くことを抑制して、回転軸部42が傾くことを抑制できる。そのため、安定して、回転軸部42により円板部41を回転させて、流路を切り替えることができる。
【0187】
さらに、中央部41dにおいて、駆動部13から遠い位置にある固定ディスク50側の部分41dbの外径φD2を、駆動部13に近い位置にある駆動部13側の部分41daの外径φD1よりも大きくしている。このようにして、中央部41dにおいて駆動部13から遠い部分の外径を大きくしているので、より効果的に、中央部41dが傾くことを抑制して、回転軸部42が傾くことを抑制できる。また、回転ディスク40が振動するときに、中央部41dの受圧面積(すなわち、回転ディスク40の中央部41dと固定ディスク50の円板部51との接触面積)が大きくなるので、中央部41dの摩耗を抑制できる。
【0188】
<第6実施形態>
本実施形態では、図44に示すように、回転ディスク40の円板部41の中央部41dにおける駆動部13側の部分41daを、リップシール85により支持している。なお、リップシール85の代わりにOリングにしてもよい。
【0189】
このようにして、リップシール85により、ハウジング11と中央部41dとの間を封止しながら、回転ディスク40を支持することができる。また、ハウジング11および固定ディスク50に振動が生じても、双方の動きずれをリップシール85で吸収出来るので、中央部41dの摩耗を抑制出来る。また、駆動部13側にあるリップシール84よりも回転ディスク40に近い場所でリップシール85により中央部41dを保持出来るので、より効果的に回転ディスク40の振動を抑制できる。また、リップシール85により駆動部13側への流体(例えば、水)の浸入を防止できるので、駆動部13側のリップシール84を廃止することも可能である。
【0190】
なお、中央部41dにおける固定ディスク50側の部分41dbを、リップシール(不図示)で支持してもよい。
【0191】
<第7実施形態>
本実施形態では、図45に示すように、弁体部12は、板状の固定ディスク100と、板状の回転ディスク40と、板状の固定ディスク50と、が各ディスクの板厚方向に積層するようにして形成されている。なお、固定ディスク100は本開示の「第1固定ディスク」の一例であり、固定ディスク50は本開示の「第2固定ディスク」の一例である。
【0192】
そして、固定ディスク100と回転ディスク40との間には、第1シール部材81Aが設けられている。また、回転ディスク40と固定ディスク50との間には、第2シール部材81Bが設けられている。
【0193】
また、図46に示すように、固定ディスク100の円板部101における回転ディスク40に対向する下面101aには、固定ディスク凸部99が設けられている。また、回転ディスク40における固定ディスク100に対向する上面41aには、回転ディスク上面凸部92が設けられている。また、回転ディスク40における固定ディスク50に対向する下面41bには、回転ディスク下面凸部93が設けられている。また、固定ディスク50における回転ディスク40に対向する上面51aには、固定ディスク凸部94が設けられている。
【0194】
なお、固定ディスク凸部99は本開示の「第1固定ディスク凸部」の一例であり、回転ディスク上面凸部92は本開示の「第1駆動ディスク凸部」の一例である。また、回転ディスク下面凸部93は本開示の「第2駆動ディスク凸部」の一例であり、固定ディスク凸部94は本開示の「第2固定ディスク凸部」の一例である。
【0195】
また、図45に示すように、ハウジング11と固定ディスク100との間には、弾性部材としてのディスク保持スプリング182が設けられている。また、固定ディスク50とハウジング11との間には、弾性部材としてのディスク保持スプリング82が設けられている。
【0196】
そして、流路を切り替える時に、固定ディスク凸部99と回転ディスク上面凸部92とが重なり合って、固定ディスク100と回転ディスク40との間の第1の隙間δ1(図46参照)を拡大する。また、流路を切り替える時に、回転ディスク下面凸部93と固定ディスク凸部94とが重なり合って、回転ディスク40と固定ディスク50との間の第2の隙間δ2(図46参照)を拡大する。
【0197】
このようにして、回転ディスク40の両側に、ディスク保持スプリング182とディスク保持スプリング82により遊動可能な固定ディスク100と固定ディスク50を設けている。そして、固定ディスク100はディスク保持スプリング182により遊動可能な状態で支持されており、固定ディスク50はディスク保持スプリング82により遊動可能な状態で支持されている。
【0198】
これにより、万が一、回転ディスク40が傾いた場合に、固定ディスク100と固定ディスク50が、回転ディスク40の傾きに追従するようにして、傾くことができる。そのため、第1シール部材81Aが固定ディスク100の円板部101の下面101aに接する状態と、第2シール部材81Bが固定ディスク50の円板部51の上面51aに接する状態を維持できる。したがって、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bのシール性を確保できる。また、固定ディスク100と回転ディスク40との間の第1の隙間δ1、及び、回転ディスク40と固定ディスク50との間の第2の隙間δ2を確実に拡大することができる。
【0199】
また、流路からハウジング11内への流体の漏れをゼロにすることは困難であるため、ハウジング11の内面に対してハウジング11内の流体の高圧(例えば、300kPa)が作用し、図47の破線に示すように、ハウジング11の内面(特に、ハウジング11の上面11aの中央部分)が、図47の上下方向に膨らむおそれがある。そうすると、第1シール部材81Aのシール性が低下するおそれがある。なお、回転ディスク40の下面41bにある第2シール部材81Bについては、ディスク保持スプリング82の弾性力により固定ディスク50との接触状態が維持され易いので、シール性の低下は生じ難い。
【0200】
これに対し、本実施形態では、図45に示すように回転ディスク40の両側に固定ディスク100と固定ディスク50を設ける。これにより、ハウジング11の内面が膨らんでも、ディスク保持スプリング182の弾性力により固定ディスク100が回転ディスク40側に向って押し付けられ、ディスク保持スプリング82の弾性力により固定ディスク50が回転ディスク40側に向って押し付けられる。そのため、第1シール部材81Aと第2シール部材81Bのシール性を維持できる。
【0201】
なお、ハウジング11の内面が膨らむことに対する対応策としては、図48図49に示すように、第1シール部材81Aを工夫してもよい。すなわち、第1シール部材81Aにおいて、ハウジング11の内面(すなわち、上面11a)に接する先端部の突き出し量を、回転ディスク40の外周側より内周側にて大きくしてもよい。
【0202】
具体的には、図48に示すように、第1シール部材81Aを取り付けるシール溝の深さを調整して対応する。すなわち、第1シール部材81Aについて、(シール溝の深さt5)>(シール溝の深さt6)としながら、(突き出し量t1)<(突き出し量t2)として、飛び出し量Δを形成する。なお、第2シール部材81Bについては、(シール溝の深さt7)=(シール溝の深さt8)として、(突き出し量t3)=(突き出し量t4)とする。
【0203】
または、図49に示すように、第1シール部材81Aの高さ(すなわち、シール高さ)を調整して対応する。すなわち、第1シール部材81Aについて、(シール高さt9)<(シール高さt10)としながら、(突き出し量t1)<(突き出し量t2)として、飛び出し量Δを形成する。なお、第2シール部材81Bについては、(シール高さt11)=(シール高さt12)として(突き出し量t3)=(突き出し量t4)とする。
【0204】
このようにして、ハウジング11が膨らむことに対して、回転ディスク40の上面41aにおける径方向の内側にて、第1シール部材81Aの先端の突き出し量を多くすることにより、第1シール部材81Aのシール性を確保できる。
【0205】
<第8実施形態>
本実施形態では、図50図51に示すように、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92は、それぞれ、緩斜面部91b,92bと急斜面部91c,92cを備えている。そして、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合うときには、緩斜面部91b,92bどうしが当接した後、急斜面部91c,92cどうしが当接する。
【0206】
具体的には、流路の切り替え時において、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり合うときには、まず、図50に示すように、緩斜面部91b,92bどうしが当接する。すなわち、ハウジング凸部91の根元にある緩斜面部91bと、回転ディスク上面凸部92の先端にある緩斜面部92bとが当接する。このようにして、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり始めるときに、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92は線接触(または、点接触)ではなく面接触する。これにより、回転ディスク上面凸部92の先端からハウジング凸部91に対して作用する応力が集中して作用することを回避できる。
【0207】
次に、図51に示すように、急斜面部91c,92cどうしが当接する。すなわち、ハウジング凸部91の側面にある急斜面部91cと、回転ディスク上面凸部92の側面にある急斜面部92cとが当接する。このようにして、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92は面接触する。
【0208】
次に、図52に示すように、ハウジング凸部91の先端にある球面部91dと、回転ディスク上面凸部92の先端にある緩斜面部92bとが当接する。このとき、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92は線接触しているが、第1の隙間δ1が拡大しているので、回転ディスク上面凸部92の先端からハウジング凸部91に対して作用する応力は小さい。
【0209】
次に、図53に示すように、ハウジング凸部91の先端にある平面部91eと、回転ディスク上面凸部92の先端にある平面部92eとが当接する。次に、図54に示すように、ハウジング凸部91の先端にある球面部91dと、回転ディスク上面凸部92の先端にある緩斜面部92bとが当接する。
【0210】
次に、図55に示すように急斜面部91c,92cどうしが当接し、図56に示すように緩斜面部91b,92bどうしが当接する。
【0211】
このようにして、流路を切り替える時において、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり始めるときに、図50に示すように、ハウジング凸部91の緩斜面部91bと回転ディスク上面凸部92の緩斜面部92bが当接して、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が面接触する。また、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり終わるときも、図56に示すように、同様である。そのため、ハウジング凸部91と回転ディスク上面凸部92が重なり始めるときや重なり終わるときに、回転ディスク上面凸部92の先端部からハウジング凸部91に作用する応力が集中して作用することを回避できる。したがって、回転ディスク40が回転し易くなるので、回転ディスク40を回転させる駆動部13を小型化(例えば、駆動部13に備わるモータを小型化)できる。また、安定して流路を切替えることができる。
【0212】
なお、図57に示すように、ハウジング凸部91は球面部91dの代わりに緩斜面部91fを備えており、ハウジング凸部91の先端にある緩斜面部91fと、回転ディスク上面凸部92の先端にある緩斜面部92bが面接触するようにしてもよい。
【0213】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0214】
例えば、図6図7に示すように、第1シール部材81Aは流入流路20の流路口を横切る一方で、第2シール部材81Bは流出流路30に繋がる固定ディスク連通路70の流路口を横切らない。しかしながら、これに限らず、第1シール部材81Aが流入流路20の流路口を横切らない一方で、第2シール部材81Bが流出流路30に繋がる固定ディスク連通路70の流路口を横切るとしてもよい。
【0215】
また、流路切替装置2において、スライドバルブ212(本開示の「弁体本体部」の一例)は、ハウジング凸部291とスライドバルブ凸部292(本開示の「弁体凸部」の一例)が重なり合う方向に移動可能な状態で、駆動軸213a(本開示の「駆動軸部」の一例)と係合していてもよい。
【符号の説明】
【0216】
1,2 流路切替装置
11 ハウジング
11a 上面
12 弁体部
13 駆動部
20 流入流路
21 第1流入流路
22 第2流入流路
23 第3流入流路
30 流出流路
31 第1流出流路
32 第2流出流路
33 第3流出流路
40 回転ディスク
41 円板部
41a 上面
41b 下面
41c 孔
41d 中央部
41da (駆動部側の)部分
41db (固定ディスク側の)部分
42 回転軸部
50 固定ディスク
51 円板部
51a 上面
60 回転ディスク連通路
61 第1回転ディスク連通路
62 第2回転ディスク連通路
63 第3回転ディスク連通路
70 固定ディスク連通路
71 第1固定ディスク連通路
72 第2固定ディスク連通路
73 第3固定ディスク連通路
81A 第1シール部材
81B 第2シール部材
91 ハウジング凸部
91b 緩斜面部
91c 急斜面部
92 回転ディスク上面凸部
92b 緩斜面部
92c 急斜面部
93 回転ディスク下面凸部
94 固定ディスク凸部
95 シール変形量規制凸部
96 スリット
99 固定ディスク凸部
100 固定ディスク
101 円板部
101a 下面
182 ディスク保持スプリング
211 ハウジング
211a 面
212 スライドバルブ
212a 面
213 駆動部
213a 駆動軸
220 流路口
260 スライドバルブ連通路
281 シール部材
291 ハウジング凸部
292 スライドバルブ凸部
298 振れ吸収機構
δ1 第1の隙間
δ2 第2の隙間
δ3 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57