(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032637
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】転削工具、転削工具システムおよびセンサ装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/09 20060101AFI20240305BHJP
G01D 11/30 20060101ALI20240305BHJP
B23C 9/00 20060101ALI20240305BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240305BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B23Q17/09 H
G01D11/30 S
B23C9/00 Z
H01Q1/22 Z
H01Q1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027258
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2022574751の分割
【原出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】大森 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 雄介
【テーマコード(参考)】
3C022
3C029
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
3C022QQ00
3C029CC07
5J046AA12
5J046SA00
5J047AA12
5J047EF05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な転削工具、転削工具システムおよびセンサ装置を提供する。
【解決手段】転削工具は、回転軸Aに沿って第1の端部から第2の端部まで延びるシャフト部と、シャフト部に配置されるセンサ部20と、シャフト部の回転軸周りに配置された切れ刃と、を備える転削工具である。センサ部20は、シャフト部の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、土台部材の第1表面に搭載され、第1センサが検知した第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナ51Aと、を含むセンサモジュールを含む。アンテナ51Aは、チップアンテナまたはパターンアンテナである。回転軸Aを含む断面において、第1表面に垂直な方向である第1方向が回転軸に垂直な平面および回転軸に対して傾斜する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延びるシャフト部と、
前記シャフト部に配置されるセンサ部と、
前記シャフト部の前記回転軸周りに配置された切れ刃と、を備える転削工具であって、
前記センサ部は、前記シャフト部の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、前記土台部材の第1表面に搭載され、前記第1センサが検知した前記第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナと、を含むセンサモジュールを含み、
前記第1表面に垂直な方向である第1方向が前記回転軸に垂直な平面および前記回転軸に対して傾斜する、転削工具。
【請求項2】
前記回転軸に垂直な平面と前記第1方向とのなす角は、5°以上85°以下である、請求項1に記載の転削工具。
【請求項3】
前記回転軸に垂直な平面と前記第1方向とのなす角は、15°以上75°以下である、請求項1に記載の転削工具。
【請求項4】
前記回転軸に垂直な平面と前記第1方向とのなす角は、20°以上70°以下である、請求項1に記載の転削工具。
【請求項5】
前記土台部材は基板である、請求項1に記載の転削工具。
【請求項6】
前記第1センサは、ひずみセンサである、請求項1に記載の転削工具。
【請求項7】
前記第1センサは、前記回転軸に沿う方向におけるひずみを検知するように配置される、請求項6に記載の転削工具。
【請求項8】
前記センサ部は、前記センサモジュールを収容するケースをさらに含み、
前記ケースは、
前記シャフト部を取り囲み、前記回転軸に沿う方向に延びる筒状の側壁部と、
前記回転軸に沿う方向における側壁部の第1の開口を閉じる底壁部と、
前記回転軸に沿う方向において前記第1の開口とは反対側に位置する側壁部の第2の開口を閉じる上壁部と、を含み、
前記底壁部および前記上壁部の少なくとも一方の少なくとも一部は樹脂製である、請求項1に記載の転削工具。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の転削工具と、
前記アンテナから送信された前記第1の物理量の情報を含む信号を受信する線状アンテナを含む受信機と、を含む、転削工具システム。
【請求項10】
回転軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延びるシャフト部と、前記シャフト部に配置されるセンサ部と、前記シャフト部の前記回転軸周りに配置された切れ刃と、を備える転削工具の、前記センサ部を構成可能なセンサ装置であって、
前記シャフト部の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、前記土台部材の第1表面に搭載され、前記第1センサが検知した前記第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナと、を含むセンサモジュールを備え、
前記第1表面に垂直な方向である第1方向が前記回転軸に垂直な平面および前記回転軸に対して傾斜する、センサ装置。
【請求項11】
回転軸に沿って延びるシャフト領域と、前記シャフト領域に配置されるセンサ部と、前記シャフト領域の前記回転軸に沿う方向における端部に形成され、切れ刃を有する加工ユニットが接続可能な接続部と、を備えるセンサ装置であって、
前記センサ部は、前記シャフト領域の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、前記土台部材の第1表面に搭載され、前記第1センサが検知した前記第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナと、を含むセンサモジュールを含み、
前記第1表面に垂直な方向である第1方向が前記回転軸に垂直な平面および前記回転軸に対して傾斜する、センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転削工具、転削工具システムおよびセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
切削工具による加工中に、センサによって切削工具の物理量を測定することにより、切削工具の状態を把握する技術が知られている(たとえば、米国特許出願公開第2015/0261207号(特許文献1)、特開2018-54611号公報(特許文献2)、特開2009-285804号公報(特許文献3)、国際公開第2017/002762号(特許文献4)、特許第5988066号(特許文献5)、実用新案登録第3170029号(特許文献6)、特開2015-77658号公報(特許文献7)、国際公開第2015/056495号(特許文献8)、欧州特許出願公開第3292929号(特許文献9)および欧州特許出願公開第3292930号(特許文献10)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0261207号
【特許文献2】特開2018-54611号公報
【特許文献3】特開2009-285804号公報
【特許文献4】国際公開第2017/002762号
【特許文献5】特開2016-221665号公報
【特許文献6】実用新案登録第3170029号
【特許文献7】特開2015-77658号公報
【特許文献8】国際公開第2015/056495号
【特許文献9】欧州特許出願公開第3292929号
【特許文献10】欧州特許出願公開第3292930号
【発明の概要】
【0004】
本開示に従った転削工具は、回転軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延びるシャフト部と、シャフト部に配置されるセンサ部と、シャフト部の回転軸周りに配置された切れ刃と、を備える転削工具である。センサ部は、シャフト部の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、土台部材の第1表面に搭載され、第1センサが検知した第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナと、を含むセンサモジュールを含む。アンテナは、チップアンテナまたはパターンアンテナである。回転軸を含む断面において、第1表面に垂直な方向である第1方向が回転軸に垂直な平面および回転軸に対して傾斜する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、転削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、シャフト部の構造を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2とは異なる視点から見たシャフト部の構造を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の端部側から回転軸方向に見たシャフト部の構造を示す概略平面図である。
【
図5】
図5は、第2の端部側から回転軸方向に見たシャフト部の構造を示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、軸方向に垂直な方向に見たシャフト部の構造を示す概略平面図である。
【
図7】
図7は、
図5の線分VII-VIIに沿う断面を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、センサ部付近の構造を示す概略断面図である。
【
図9】
図9は、ひずみセンサ部品の構造を示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、基板モジュールの構造を示す概略平面図である。
【
図13】
図13は、基板モジュールが取り付けられた状態を示す概略平面図である。
【
図16】
図16は、ケース本体の構造を示す概略斜視図である。
【
図17】
図17は、第1固定部材の構造を示す概略斜視図である。
【
図18】
図18は、第2固定部材の構造を示す概略斜視図である。
【
図19】
図19は、蓋(底壁部)の構造を示す概略斜視図である。
【
図20】
図20は、実施の形態2における転削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図21】
図21は、実施の形態3における転削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図22】
図22は、実施の形態4における転削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図23】
図23は、実施の形態4における転削工具が分解された状態を示す概略斜視図である。
【
図24】
図24は、実施の形態5における転削工具システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
加工中における切削工具の状態を詳細に把握する観点から、センサによって得られた情報を含む信号が、情報の欠落を抑制しつつ外部に設置された受信機において受信されることが求められている。センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な転削工具、転削工具システムおよびセンサ装置を提供することが、本開示の目的の1つである。
【0007】
[本開示の効果]
本開示の転削工具、転削工具システムおよびセンサ装置によれば、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な転削工具、転削工具システムおよびセンサ装置を提供することができる。
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の転削工具は、回転軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延びるシャフト部と、シャフト部に配置されるセンサ部と、シャフト部の回転軸周りに配置された切れ刃と、を備える転削工具である。センサ部は、シャフト部の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、土台部材の第1表面に搭載され、第1センサが検知した第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナと、を含むセンサモジュールを含む。アンテナは、チップアンテナまたはパターンアンテナである。回転軸を含む断面において、第1表面に垂直な方向である第1方向が回転軸に垂直な平面および回転軸に対して傾斜する。
【0009】
シャフト部の回転軸周りに回転することによって、被加工物を切削する転削工具において、センサによって得られた情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信した場合、情報の欠落が大きくなる傾向にある。本発明者らの検討によれば、これは以下のような理由による。転削工具に含まれるチップアンテナやパターンアンテナ(送信アンテナ)は、転削工具に含まれる土台部材の搭載面(第1表面)に搭載される。このとき、送信アンテナを含む通信モジュールの設置の容易性の観点から、搭載面に垂直な方向がシャフト部の回転軸に垂直な面に対して平行または垂直となる傾向にある。また、送信された上記信号を受信するモノポールアンテナやダイポールアンテナなどの線状アンテナ(受信アンテナ)を含む受信機の設置の容易性の観点から、受信機に含まれる線状アンテナの長手方向がシャフト部の回転軸に垂直な面に対して平行または垂直に設置される傾向にある。そうすると、回転軸周りの転削工具の回転に伴って、上記送信アンテナの搭載面に垂直な方向と受信アンテナの長手方向とが直交するタイミングが発生し得る。このタイミングにおいて、送信された信号における受信アンテナが受信しやすい方向の偏波の電界強度が極端に弱くなる。その結果、受信アンテナで受信される情報において、送信された信号に含まれる情報からの情報の欠落が大きくなる。
【0010】
本開示の転削工具では、送信アンテナが搭載される土台部材の第1表面に垂直な方向である第1方向が、回転軸に垂直な平面および回転軸の両方に対して傾斜する。これにより、受信アンテナが受信しやすい方向の偏波の電界強度が極端に弱くなるタイミングの発生を回避することができる。その結果、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易となっている。
【0011】
上記転削工具において、回転軸に垂直な平面と第1方向とのなす角は、5°以上85°以下であってもよい。この構成により、センサによって得られた情報の欠落を一層抑制することができる。なお、本願において、回転軸に垂直な平面と第1方向とのなす角とは、回転軸に垂直な平面と第1方向とのなす角のうち、鋭角となる角度を意味する。
【0012】
上記転削工具において、回転軸に垂直な平面と前記第1方向とのなす角は、15°以上75°以下であってもよい。この構成により、センサによって得られた情報の欠落をさらに抑制することができる。
【0013】
上記転削工具において、回転軸に垂直な平面と前記第1方向とのなす角は、20°以上70°以下であってもよい。この構成により、センサによって得られた情報の欠落をさらに抑制することができる。
【0014】
上記転削工具において、土台部材は基板であってもよい。この構成により、チップアンテナまたはパターンアンテナであるアンテナ(送信アンテナ)を容易に設置することができる。
【0015】
上記転削工具において、第1センサは、ひずみセンサであってもよい。この構成により、転削工具の状態の把握において重要なひずみの情報を得ることができる。
【0016】
上記転削工具において、ひずみセンサである上記第1センサは、回転軸に沿う方向におけるひずみを検知するように配置されてもよい。この構成により、転削工具の状態の把握において重要な回転軸に沿う方向におけるひずみの情報を得ることができる。
【0017】
上記転削工具において、センサ部は、センサモジュールを収容するケースをさらに含んでいてもよい。ケースは、シャフト部を取り囲み、回転軸に沿う方向に延びる筒状の側壁部と、回転軸に沿う方向における側壁部の第1の開口を閉じる底壁部と、回転軸に沿う方向において第1の開口とは反対側に位置する側壁部の第2の開口を閉じる上壁部と、を含んでいてもよい。底壁部および上壁部の少なくとも一方の少なくとも一部は樹脂製であってもよい。
【0018】
ケースの一部を樹脂製とすることにより、アンテナからの信号を外部に発信することが容易となる。ケースのうち、剛性への影響が少ない底壁部および上壁部の少なくとも一方に樹脂製の部分が存在することにより、ケースの剛性の低下を抑制することができる。
【0019】
本開示の転削工具システムは、上記本開示の転削工具と、上記アンテナ(送信アンテナ)から送信された第1の物理量の情報を含む信号を受信する線状アンテナを含む受信機と、を含む。
【0020】
本開示の転削工具システムは、上記本開示の転削工具を含むことにより、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を受信機において受信することが容易となっている。
【0021】
本開示の第1の局面におけるセンサ装置は、回転軸に沿って第1の端部から第2の端部まで延びるシャフト部と、シャフト部に配置されるセンサ部と、シャフト部の回転軸周りに配置された切れ刃と、を備える転削工具の、センサ部を構成可能なセンサ装置である。このセンサ装置は、シャフト部の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、土台部材の第1表面に搭載され、第1センサが検知した第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナと、を含むセンサモジュールを備える。アンテナは、チップアンテナまたはパターンアンテナである。上記回転軸を含む断面において、第1表面に垂直な方向である第1方向が回転軸に垂直な平面および回転軸に対して傾斜する。
【0022】
本開示の第2の局面におけるセンサ装置は、回転軸に沿って延びるシャフト領域と、シャフト領域に配置されるセンサ部と、シャフト領域の回転軸に沿う方向における端部に形成され、切れ刃を有する加工ユニットが接続可能な接続部と、を備えるセンサ装置である。センサ部は、シャフト領域の第1の物理量を検知する第1センサと、土台部材と、土台部材の第1表面に搭載され、第1センサが検知した第1の物理量の情報を含む信号を外部へと送信するアンテナと、を含むセンサモジュールを含む。アンテナは、チップアンテナまたはパターンアンテナである。回転軸を含む断面において、第1表面に垂直な方向である第1方向が回転軸に垂直な平面および回転軸に対して傾斜する。
【0023】
本開示のセンサ装置では、送信アンテナが搭載される土台部材の第1表面に垂直な方向である第1方向が、回転軸に垂直な平面および回転軸の両方に対して傾斜する。これにより、受信アンテナが受信しやすい方向の偏波の電界強度が極端に弱くなるタイミングの発生を回避することができる。その結果、センサによって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易となる。
【0024】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本開示にかかる転削工具の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0025】
(実施の形態1)
(転削工具の構造の概要)
図1は、転削工具の構造を示す概略斜視図である。まず、
図1を参照して、転削工具の構造の概略を説明する。本実施の形態における転削工具1は、シャフト部10と、センサ部20とを備える。シャフト部10は、回転軸Aに沿って第1の端部10Aから第2の端部10Bまで延びている。センサ部20は、シャフト部10の長手方向の一部を取り囲むように配置されている。シャフト部10には、第1の端部10Aおよび外周面において開口する凹部13が周方向に等間隔に複数(ここでは4つ)形成されている。凹部13を規定する壁面には、切れ刃としての切削チップ91が取り付けられている。切削チップ91は、シャフト部10の回転軸A周りに配置されている。回転軸A周りに転削工具1を回転させ、切削チップ91を被加工物(図示しない)に接触させることにより、被加工物を加工することができる。すなわち、転削工具1は、シャフト部10の回転軸Aまわりに回転することによって、被加工物を切削する転削工具である。
【0026】
(シャフト部の構造)
次に、転削工具の各部分の詳細を説明する。
図2は、第2の端部10B側から見たシャフト部の構造を示す概略斜視図である。
図3は、第1の端部10A側から見たシャフト部の構造を示す概略斜視図である。
図4は、第1の端部側から回転軸方向に見たシャフト部の構造を示す概略平面図である。
図5は、第2の端部側から回転軸方向に見たシャフト部の構造を示す概略平面図である。
図6は、軸方向に垂直な方向に見たシャフト部の構造を示す概略平面図である。
図7は、
図5の線分VII-VIIに沿う断面を示す概略断面図である。
図2~
図7を参照して、シャフト部10の構造について説明する。
【0027】
図2および
図3を参照して、シャフト部10は、本体部11と、第1領域としての拡径部12とを含む。本体部11は、円筒状の形状を有する。回転軸Aは、本体部11の中心軸に一致する。拡径部12は、本体部11よりも径が大きい部分である。本体部11の長手方向における拡径部12の位置は特に限定されるものではないが、本実施の形態においては、本体部11の長手方向において中央部分に配置される。拡径部12は、シャフト部10の、センサ部20に取り囲まれる領域に配置される。
【0028】
図2~
図4を参照して、上記の通り、シャフト部10の凹部13を規定する壁面には、切削チップ91が取り付けられている。切削チップ91は、切削チップ91に形成されたねじ孔にねじ92が挿入され、締め付けられることでシャフト部10に対して固定されている。
【0029】
図2~
図6を参照して、拡径部12は、八角柱状の形状を有する。
図4および
図5を参照して、拡径部12は、回転軸Aに沿う方向に見て、八角形状の形状を有する。より具体的には、拡径部12は、回転軸Aに垂直な断面において、正方形の4つの角部のそれぞれから同一の形状の4つの直角二等辺三角形を除去した八角形の形状を有している。この八角形の重心を回転軸Aが通過している。この八角形の形状は、回転軸Aに沿う方向において同一である。本体部11の中心軸と拡径部12の中心軸とは一致する。ここで、拡径部12の中心軸とは、上記八角形の重心を通る直線を意味する。
【0030】
図4および
図5を参照して、回転軸Aに沿う方向に見て、上記八角形は、交互に配置される長辺に対応する外周面12Aと長辺よりも短い短辺に対応する外周面12Bとによって構成されている。周方向において隣り合う上記八角形の各辺に対応する拡径部12の外周面12A,12Bの各面の、回転軸Aを通る垂線L
A,L
B同士がなす角θは互いに等しい。具体的には、角θは45°である。なお、上記八角形の形状は上記形状に限定されるものではなく、回転軸Aに沿う方向に見て、外周面12Aおよび外周面12Bの長さは同じであってもよい。
【0031】
図2~
図6を参照して、各外周面12Bには、回転軸Aに沿う方向に延びる第1凹部16が形成されている。第1凹部16を規定する底面16Aは平面である。第1凹部16は、垂線L
Bと交差する位置に配置される。第1凹部16は、外周面12Bを回転軸Aに沿う方向に貫通している。拡径部12の外周面12A,12Bには、拡径部12の周方向に延びる第2凹部15が形成されている。第2凹部15は、第1凹部16に重なるように形成されている。第2凹部15は、第1凹部16と交差(直交)する。第2凹部15は、拡径部12の外周面12A,12Bの全周にわたって形成されている。すなわち、第2凹部15は環状に形成されている。
【0032】
図6および
図7を参照して、第2凹部15の深さd
2は、第1凹部16の深さd
1よりも大きい。本体部11の第1の端部10A側の拡径部12との境界部には、他の部分に比べて径の小さい第1小径部11Aが形成されている。本体部11の第2の端部10B側の拡径部12との境界部には、他の部分に比べて径の小さい第2小径部11Bが形成されている。シャフト部10には、シャフト部10を回転軸Aに沿う方向に貫通する貫通孔10Cが形成されている。貫通孔10Cは、回転軸Aを含むように延びる。
【0033】
(センサ部の構造)
次に、
図8~
図19を参照して、センサ部20の構造について説明する。このセンサ部20は、本開示のセンサ装置の一実施の形態に対応する。
図8および
図10を参照して、センサ部20は、センサモジュール80と、センサモジュール80を収容するケース21とを含んでいる。センサモジュール80は、複数の第1センサとしての複数のひずみセンサ31と、ひずみセンサ31に電気的に接続される基板49と、基板49に電気的に接続された無線通信部51(
図10参照)とを含む。ひずみセンサ31は、シャフト部10の第1の物理量としてのひずみを検知する。無線通信部51は、アンテナ51Aを含む。無線通信部51のアンテナ51Aは、ひずみセンサ31が検知したひずみの情報を含む信号を外部へと送信する。
【0034】
図9を参照して、ひずみセンサ31は、ひずみセンサ部品30を構成する。ひずみセンサ部品30は、ひずみセンサ31と、ひずみセンサ31に接続され、先端にコネクタ33を有する配線32とを含んでいる。配線32は、帯状の形状を有している。ひずみセンサ31は、配線32の一方の端部近傍に配置されている。配線32の他方の端部に、コネクタ33が配置されている。
【0035】
図10~
図12を参照して、基板49は、基板モジュール40を構成する。基板49は、樹脂などの絶縁体からなる基板本体と、基板本体の表面に形成される銅などの導電体製の回路パターン(図示しない)とを含む。
【0036】
図10を参照して、基板モジュール40は、基板49と、無線通信部51と、第2センサとしての加速度センサ52と、ソケット53と、ADコンバータ54と、電源回路55と、電池用ソケット56と、充電用コネクタ57と、電源スイッチ58とを含んでいる。無線通信部51、加速度センサ52、ソケット53、ADコンバータ54、電源回路55、電池用ソケット56、充電用コネクタ57および電源スイッチ58は、基板49上に配置され、基板49(基板49の回路パターン)と電気的に接続されている。加速度センサ52は、シャフト部10の第2の物理量としての加速度を検知する。加速度センサ52は、基板49上に複数配置されている。無線通信部51は、基板49を介して加速度センサ52に電気的に接続されている。無線通信部51のアンテナ51Aは、加速度センサ52が検知したシャフト部10の加速度の情報を含む信号を外部へと送信する。
【0037】
基板49は、第1部分410と、第2部分420と、第1接続部430と、第3部分440と、第2接続部450と、第4部分460と、第3接続部470とを含む。第1部分410および第2部分420は、それぞれ帯状の形状を有している。
図10および
図11を参照して、第1部分410は、第1部分第1区域411と、第1部分第2区域412と、第1部分第3区域413と、第1部分第4区域414と、第1部分第5区域415と、第1部分第6区域416と、第1部分第7区域417と、第1部分第8区域418と、第1部分第9区域419とを含み、これらの区域はこの順に並んでいる。隣り合うこれらの区域のそれぞれの間には、屈曲可能部410Aが配置されている。
【0038】
図11を参照して、第1部分410は、可撓性を有する基板(フレキシブル基板)である本体部49Bと、本体部49Bの一方の主面(回路パターンが形成された側とは反対側の主面)に設置され、本体部49Bよりもヤング率の大きい補強板72とを含んでいる。補強板72は、第1部分第1区域411、第1部分第2区域412、第1部分第3区域413、第1部分第4区域414、第1部分第5区域415、第1部分第6区域416、第1部分第7区域417、第1部分第8区域418および第1部分第9区域419に対応する領域のそれぞれに配置されている。屈曲可能部410Aに対応する領域には補強板72が配置されていない。その結果、屈曲可能部410Aは屈曲可能となっている。
【0039】
図10および
図11を参照して、第1部分第1区域411および第1部分第9区域419のそれぞれには、第1部分410を厚み方向に貫通する1つ以上の(ここでは複数、具体的には2つの)貫通孔59が形成されている。2つの貫通孔59は、第1部分410の長手方向に交差(直交)する方向、すなわち第1部分410の幅方向に並べて配置されている。第1部分第1区域411上、第1部分第3区域413上、第1部分第5区域415上および第1部分第7区域417上のそれぞれには、ソケット53が配置されている。ソケット53は、第1部分410の幅方向の端部に配置されている。第1部分第2区域412上、第1部分第4区域414上および第1部分第6区域416上のそれぞれには、加速度センサ52が配置されている。第1部分第4区域414上には、ADコンバータ54が配置されている。第1部分第4区域414上において、加速度センサ52とADコンバータ54とは、第1部分410の幅方向に並べて配置されている。
【0040】
図10および
図12を参照して、第2部分420は、第2部分第1区域421と、第2部分第2区域422と、第2部分第3区域423と、第2部分第4区域424と、第2部分第5区域425と、第2部分第6区域426とを含み、これらの区域はこの順に並んでいる。隣り合うこれらの区域のそれぞれの間には、屈曲可能部420Aが配置されている。
【0041】
図12を参照して、第2部分420は、フレキシブル基板である本体部49Bと、本体部49Bの一方の主面(回路パターンが形成された側とは反対側の主面)に設置され、本体部49Bよりもヤング率の大きい補強板72とを含んでいる。補強板72は、第2部分第1区域421、第2部分第2区域422、第2部分第3区域423、第2部分第4区域424、第2部分第5区域425および第2部分第6区域426に対応する領域のそれぞれに配置されている。屈曲可能部420Aに対応する領域には補強板72が配置されていない。その結果、屈曲可能部420Aは屈曲可能となっている。
【0042】
図10および
図12を参照して、第2部分第1区域421および第2部分第6区域426のそれぞれには、第2部分420を厚み方向に貫通する貫通孔59が形成されている。第2部分第1区域421上および第2部分第6区域426上のそれぞれには、電池用ソケット56が配置されている。電池用ソケット56は、第2部分420の幅方向の中央部に配置されている。電池用ソケット56の接続方向(電池用ソケット56に接続されるコネクタの接続方向γ)は、第2部分420の幅方向に沿う方向である。後述のように、基板モジュール40がケース21内に収容されると、電池用ソケット56の接続方向γは回転軸Aに沿う方向となる。第2部分第2区域422上および第2部分第5区域425上のそれぞれには、電源回路55が配置されている。第2部分第3区域423上には、充電用コネクタ57が配置されている。
【0043】
第1部分第6区域416と第2部分第4区域424とは、帯状の形状を有する第1接続部430により物理的かつ電気的に接続されている。第1接続部430、第1部分410の本体部49Bおよび第2部分420の本体部49Bは、一体のフレキシブル基板から構成されている。すなわち、第1部分410、第2部分420および第1接続部430は、第1部分410、第2部分420および第1接続部430の全体に広がる一体のフレキシブル基板を含んでいる。第1部分第8区域418と第3部分440とは、第2接続部450により物理的かつ電気的に接続されている。第3部分440上には、アンテナ51Aを含む無線通信部51が配置されている。第2部分第3区域423と第4部分460とは、第3接続部470により物理的かつ電気的に接続されている。第4部分460上には、電源スイッチ58が配置されている。基板49は、一体のフレキシブル基板のうち、剛性が必要な部分に補強板を設置し、補強板が設置されない部分において屈曲可能となっている。
【0044】
図10および
図5を参照して、第1部分410の長手方向における第1部分第1区域411、第1部分第3区域413、第1部分第5区域415、第1部分第7区域417および第1部分第9区域419の長さは、拡径部12を回転軸Aに沿う方向に見た上記八角形の短辺である外周面12Bに対応する長さとなっている。第1部分410の長手方向における第1部分第2区域412、第1部分第4区域414、第1部分第6区域416および第1部分第8区域418の長さは、拡径部12を回転軸Aに沿う方向に見た上記八角形の長辺である外周面12Aに対応する長さとなっている。
【0045】
次に、シャフト部10に対するひずみセンサ部品30および基板モジュール40の設置について説明する。ひずみセンサ部品30は、ひずみセンサ31が第2凹部15を跨ぎ、かつひずみセンサ31が第1凹部16内に収容されるように配置される(
図2、
図4、
図8等参照)。すなわち、ひずみセンサ31は、回転軸Aに沿う方向におけるひずみを検知するように配置される。ひずみセンサ部品30は、4つの外周面12Bのそれぞれに設置される。その結果、回転軸Aに沿う方向に見て、ひずみセンサ31が、八角形の各辺に対応する拡径部12の外周面のうち、回転軸Aを通る垂線L
Bが互いに90°をなす拡径部12の外周面12B(短辺に対応する外周面)の全てに配置される。
【0046】
図13~
図15を参照して、基板49の第1部分410は、第1主面410Bと、第1主面410Bとは厚み方向において反対側に位置する第2主面410Cとを含む。第1部分410は、シャフト部10の外周面に第1主面410Bが向かい合うように配置される。第2主面410C上に、無線通信部51、加速度センサ52、ソケット53およびADコンバータ54等が搭載される。第1部分410は、第1主面410Bが拡径部12の外周面12A,12Bに接触するように、拡径部12に巻き付けられる。このとき、第1部分第1区域411、第1部分第3区域413、第1部分第5区域415、第1部分第7区域417および第1部分第9区域419が外周面12B上に配置され、第1部分第2区域412、第1部分第4区域414、第1部分第6区域416および第1部分第8区域418が外周面12A上に配置される。第1部分410は、屈曲可能部410Aにおいて屈曲する。第1部分第1区域411と第1部分第9区域419とは、それぞれに形成された貫通孔59が一致するように重なる。この貫通孔59を貫通するように固定部材(図示しない)が設置されることにより、第1部分410はシャフト部10に対して固定される。
【0047】
その結果、回転軸Aに沿う方向に見て、第1部分410は、拡径部12の外周面12A,12Bに沿うように配置される。ソケット53は、外周面12B上に位置する第1部分410上に配置される。そして、ひずみセンサ31に接続された配線32の端部に位置するコネクタ33が、ソケット53に接続される。これにより、第1部分410とひずみセンサ31とが電気的に接続される。
図8に示すように、配線32は、第1部分410を幅方向(回転軸Aに沿う方向)に跨ぐ。配線32は、アーチ状に反った状態となっている。すなわち、配線32は、ひずみセンサ31とソケット53とを、たるみをもって接続する。加速度センサ52は、回転軸Aに沿う方向に見て、八角形の各辺に対応する拡径部12の外周面のうち、回転軸Aを通る垂線L
Aが互いに90°をなす拡径部12の外周面12A(長辺に対応する外周面)に配置される。ひずみセンサ31と加速度センサ52とは、八角形の異なる辺に対応する拡径部12の外周面12A,12Bに配置される。
【0048】
図14および
図15を参照して、基板49の第2部分420は、第3主面420Bと、第3主面420Bとは厚み方向において反対側に位置する第4主面420Cとを含む。第2部分420は、第3主面420Bがシャフト部10側を向くように、シャフト部10の径方向において第1部分410の外周側に配置される。第1部分410と第2部分420とを電気的に接続する第1接続部430は、シャフト部10の径方向において第1部分410と第2部分420との間に配置される。
【0049】
ケース21は、シャフト部10を取り囲み、回転軸Aに沿う方向に延びる筒状の側壁部23と、回転軸Aに沿う方向における側壁部23の第1の開口を閉じる底壁部22と、回転軸Aに沿う方向において第1の開口とは反対側に位置する側壁部の第2の開口を閉じる上壁部24とを含む。底壁部22は樹脂製である。第1部分410は、シャフト部10の外周面に沿ってシャフト部10の周方向に延びるように配置される。第2部分420は、側壁部23の内周面に沿って側壁部23の周方向に延びるように配置される。第2部分420は、屈曲可能部420Aにおいて屈曲する。第2部分420の第3主面420B上に、電源回路55、電池用ソケット56、充電用コネクタ57などが配置される。このとき、電池用ソケット56の接続方向γは回転軸Aに沿う方向となる。
【0050】
図13および
図15を参照して、センサモジュール80は、電池99を含む。本実施の形態において、センサモジュール80は、複数の(具体的には2つの)電池99を含む。電池99は、シャフト部10の径方向において、第1部分410と第2部分420との間に配置される。上記複数の電池99は、シャフト部10の周方向において等間隔に配置される。上記複数の電池99は、回転軸Aに沿う方向に見て、回転軸Aに対して対称に配置される。電池99は、充電可能な電池、すなわち二次電池である。
電池99は、第2部分420上に配置された電池用ソケット56および電源回路55を介して、第2部分420に第1接続部430により接続された第1部分410上の無線通信部51、加速度センサ52、ソケット53およびADコンバータ54等に電力を供給する。電池99は、第2部分420上に配置された充電用コネクタ57を介して充電される。なお、電池99は、一次電池であってもよい。
【0051】
アンテナ51Aを含む無線通信部51が搭載される土台部材としての第3部分440は、シャフト部10の径方向において第1部分410と第2部分420との間に配置される。ここで、第2接続部450が屈曲することにより、アンテナ51Aを含む無線通信部51の設置状態が調整される。具体的には、
図14を参照して、アンテナ51Aを含む無線通信部51は、第3部分440の第1表面としての搭載面440Aに搭載されている。すなわち、本実施の形態において、土台部材は基板である。本開示の土台部材は基板に限られず、アンテナ51A(アンテナ51Aを含む無線通信部51)が搭載される第1表面(搭載面)を有する種々の形状の支持部材を土台部材として採用することができる。アンテナ51Aは、チップアンテナまたはパターンアンテナである。アンテナ51Aは、第1センサとしてのひずみセンサ31が検知した第1の物理量であるひずみの情報、および第2センサとしての加速度センサ52が検知した第2の物理量である加速度の情報を外部へと送信する送信アンテナである。回転軸Aを含む断面(
図14に示す断面)において、搭載面440Aに垂直な方向である第1方向αは、回転軸Aに垂直な平面βおよび回転軸Aに対して傾斜している。回転軸Aに垂直な平面βと第1方向αとのなす角は、5°以上85°以下、15°以上75°以下、さらには20°以上70°以下であることが好ましい。回転軸Aに垂直な平面βと第1方向αとのなす角は、たとえば30°以上45°以下とすることができる。
【0052】
電源スイッチ58が搭載される第4部分460は、シャフト部10の径方向において第1部分410と第2部分420との間に配置される。第3接続部470が屈曲することにより、電源スイッチ58の設置状態の調整が可能となっている。電源スイッチ58により、電池99からの電力の供給状態(オンまたはオフ)を切り替えることができる。
【0053】
次に、シャフト部10に対するケース21の設置について説明する。
図8および
図13~
図19を参照して、ケース21は、ケース本体61と、第1固定部材63と、第2固定部材65と、蓋22とを含む。ケース本体61は、
図16に示すように、中央に貫通孔61Aを有する円盤状の上壁部24と、上壁部24の外周面から立ち上がり、円筒状の形状を有する側壁部23とを含む。上壁部24には、上壁部24を厚み方向に貫通するねじ孔62が周方向に複数個(ここでは8個)等間隔に形成されている。ケース本体61を構成する材料は、たとえば金属である。採用可能な金属としては、アルミニウム合金、鉄合金(ステンレス鋼などの鋼)などを挙げることができる。
【0054】
図17を参照して、第1固定部材63は、2つに分割された円環平板状の形状を有する。第1固定部材63には、上記ケース本体61の上壁部24のねじ孔62に対応するように、ねじ孔64が周方向に複数個(ここでは2つに分割された第1固定部材63において合計8個)等間隔に形成されている。第1固定部材63の内周面63Aは、シャフト部10の第2小径部11Bに対応する形状を有する。2つの第1固定部材63を組み合わせて環状にした状態で、内周面63Aの直径は、第1小径部11Aの直径と同一またはわずかに大きい。第1固定部材63を構成する材料は、たとえば金属である。採用可能な金属としては、アルミニウム合金、鉄合金(ステンレス鋼などの鋼)などを挙げることができる。
【0055】
図18を参照して、第2固定部材65は、平板円弧状の形状を有する部品である。本実施の形態においては、ケース21は、2つの第2固定部材65を含む。各第2固定部材65の内周面65Aは、拡径部12の外周面の平面形状の一部に対応する形状、すなわち八角形の一部に対応する形状を有している。第2固定部材65には、上記ケース本体61の上壁部24のねじ孔62および第1固定部材63のねじ孔64に対応するように、ねじ孔66が複数個(ここでは各第2固定部材65について2つずつ)形成されている。第2固定部材65を構成する材料は、たとえば樹脂である。
【0056】
図19を参照して、蓋(底壁部)22は、中央に貫通孔22Aを有する円盤状の形状を有する。蓋22を構成する材料は、たとえば樹脂である。
【0057】
図8を参照して、ケース本体61の上壁部24の貫通孔61Aをシャフト部10の本体部11が貫通するように、ケース本体61が配置される。第1固定部材63は、上壁部24に接触して配置された状態で、内周面63Aが本体部11の第2小径部11Bの壁面に接触するように、第2小径部11Bにはめ込まれる。第2固定部材65は、第1固定部材63に接触して配置された状態で、内周面65Aが拡径部12の外周面12A,12Bに接触するように配置される。
【0058】
そして、第2固定部材65のねじ孔64、第1固定部材63のねじ孔64を貫通し、上壁部24のねじ孔62にまで到達するねじによって、ケース本体61、第1固定部材63および第2固定部材65が互いに固定される。このとき、第1固定部材63の内径が第2小径部11Bの外径に対応しているため、ケース本体61の中心軸と回転軸Aとが一致する。また、第2固定部材65の内周面65Aが拡径部12の外周面の平面形状の一部に対応する形状(八角形の一部に対応する形状)を有しているため、ケース本体61がシャフト部10に対して相対的に周方向に回転することが阻害される。蓋(底壁部)22は、側壁部23の端面および拡径部12の端面に接触する状態で、たとえばねじなどによって拡径部12に対して固定される。このようにして、ケース21は、センサモジュール80を内部に収容した状態で、シャフト部10に対して固定される。
【0059】
(転削工具の動作)
転削工具1の動作時においては、転削工具1は、回転軸Aまわりに回転する。そして、被加工物に切削チップ91が接触することにより、被加工物が加工される。このとき、シャフト部10のひずみおよび加速度が、それぞれひずみセンサ31および加速度センサ52により検知される。アナログ信号であるひずみおよび加速度の情報は、ADコンバータ54においてデジタル信号に変換された後、無線通信部51のアンテナ51Aにより外部へと送信される。無線通信部51およびADコンバータ54は、電池99から電池用ソケット56および電源回路55を介して供給される電力により動作する。ケース21の蓋(底壁部)22が樹脂製であるため、無線通信部51は、蓋(底壁部)22を通して外部へと信号を送信することができる。この信号は、外部に設置された受信機において受信され、分析されることにより、シャフト部10の状態が把握される。
【0060】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態の転削工具1においては、送信アンテナであるアンテナ51Aを含む無線通信部51が搭載される第3部分440の搭載面440Aに垂直な方向である第1方向αが、回転軸Aに垂直な平面βおよび回転軸Aの両方に対して傾斜している。これにより、受信アンテナが受信しやすい方向の偏波の電界強度が極端に弱くなるタイミングの発生を回避することができる。その結果、本実施の形態の転削工具1は、ひずみセンサ31等によって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号を外部に設置された受信機において受信することが容易な転削工具となっている。
【0061】
また、本実施の形態の転削工具1では、樹脂製の底壁部22が採用されている。その結果、ケース21の剛性の低下を抑制しつつ、アンテナからの信号の外部への発信が容易となっている。なお、上壁部24が樹脂製であってもよいし、底壁部22および上壁部24の一部のみが樹脂製であってもよい。
【0062】
また、本実施の形態の転削工具1においては、第1部分410の外周側に配置される第2部分420上に配置される部品である電池用ソケット56が、シャフト部10側を向く主面である第3主面420B上に配置される。その結果、電池用ソケット56が遠心力によって脱落することが抑制されている。さらに、第2部分420上に配置される部品である電源回路、充電用コネクタ57も第3主面420B上に配置されることにより、これらが遠心力によって脱落することが抑制されている。
【0063】
また、本実施の形態の転削工具1においては、電池99は、シャフト部10の径方向において、第1部分410と第2部分420との間に配置される。このように、質量の大きい電池を極力回転軸Aに近付けることにより、電池99が受ける遠心力が抑制されている。
【0064】
また、本実施の形態の転削工具1においては、第1接続部430はフレキシブル基板である。このように、第1部分410と第2部分420とを可撓性を有するフレキシブル基板で接続することにより、第1部分410および第2部分420の適切な設置が容易となっている。
【0065】
また、本実施の形態の転削工具1において、第1部分410、第2部分420および第1接続部430は、第1部分410、第2部分420および第1接続部430の全体に広がる一体のフレキシブル基板を含んでいる。より具体的には、第1接続部430、第1部分410の本体部49Bおよび第2部分420の本体部49Bは、一体のフレキシブル基板から構成されている。そして、一体のフレキシブル基板のうち、剛性が必要な部分に補強板72を設置し、補強板72が設置されない部分において屈曲可能となっている。その結果、基板モジュール40について、高い設計の自由度が確保されている。
【0066】
また、本実施の形態の転削工具1において、電池用ソケット56の接続方向γは回転軸Aに沿う方向である。これにより、転削工具1の回転に伴う遠心力によって電池用ソケット56からコネクタが脱落することが抑制されている。
【0067】
また、本実施の形態の転削工具1において、第1部分410はシャフト部10の外周面に沿ってシャフト部10の周方向に延びるように配置されている。第2部分420は、側壁部23の内周面に沿って側壁部23の周方向に延びるように配置されている。これにより、第1部分410および第2部分420の固定が容易となっている。
【0068】
また、本実施の形態の転削工具1において、アンテナ51Aを含む無線通信部51は、第1部分410と第2接続部450により電気的に接続された第3部分440に配置される。これにより、アンテナ51Aを含む無線通信部51の設置の自由度が高くなっている。
【0069】
また、本実施の形態の転削工具1において、第3部分440は、シャフト部10の径方向において第1部分410と第2部分420との間に配置される。これにより、アンテナ51Aを含む無線通信部51の設置の自由度がさらに高くなっている。
【0070】
また、本実施の形態の転削工具1において、電源スイッチ58は、第2部分420と第3接続部470により電気的に接続された第4部分460に配置されている。これにより、電源スイッチ58の設置の自由度が高くなっている。
【0071】
また、本実施の形態の転削工具1において、第4部分460は、シャフト部10の径方向において第1部分410と第2部分420との間に配置される。これにより、電源スイッチ58の設置の自由度がさらに高くなっている。
【0072】
また、本実施の形態の転削工具1において、複数の電池99は、シャフト部10の周方向において等間隔に配置される。質量の大きい電池99をこのように配置することにより、転削工具1の安定した回転を達成することが可能となっている。
【0073】
また、本実施の形態の転削工具1において、複数の電池99は、回転軸Aの方向に見て、回転軸Aに対して対称に配置される。質量の大きい電池99をこのように配置することにより、転削工具1の安定した回転を達成することが可能となっている。
【0074】
また、本実施の形態の転削工具1において、ADコンバータ54は、第2主面410C上に配置される。このように、比較的質量の大きいADコンバータ54を回転軸Aに近い第2主面410C上に配置することにより、遠心力によるADコンバータ54の脱落を抑制することが可能となっている。
【0075】
(変形例)
上記実施の形態では、ひずみセンサ31および加速度センサ52の2種類のセンサが、それぞれ第1センサおよび第2センサとして採用される場合を説明した。しかし、たとえば第2センサとしての加速度センサ52が省略されてもよい。またひずみセンサ31が省略され、加速度センサ52のみが採用されてもよい。すなわち、第1センサは加速度センサであってもよい。さらに、ひずみおよび加速度以外の他の物理量を検出するセンサ(たとえば温度センサ)が、ひずみセンサ31および加速度センサ52の一方または両方に代えて採用されてもよいし、これらに加えて採用されてもよい。
【0076】
上記実施の形態では、本開示の転削工具の一例としてエンドミルについて説明したが、本開示の転削工具はこれに限られない。本開示の転削工具は、たとえばドリル、フライスカッター、ボーリング、リーマ、タップ等であってもよい。
【0077】
上記実施の形態では、シャフト部10の、センサ部20に取り囲まれる領域に配置される拡径部12が、回転軸Aに沿う方向に見て八角形である場合について説明した。しかし、拡径部の平面形状は4n角形(nは2以上の自然数)であればよく、たとえば十二角形、十六角形、二十角形であってもよい。
【0078】
上記実施の形態では、ひずみセンサ31が、八角形の各辺に対応する拡径部12の外周面12A,12Bの各面のうち、回転軸Aを通る垂線が互いに90°をなす拡径部12の外周面12Bの全て(4面)上に配置される場合について説明したが、ひずみセンサは、少なくとも2面上に配置されればよい。より一般化して説明すると、4n角形の各辺に対応する第1領域(拡径部)の外周面の各面のうち、第1の外周面と、第1の外周面との関係で回転軸を通る垂線が互いに90°をなす第2の外周面の合計2つの外周面、またはこれに加えて第1の外周面との関係で回転軸を通る垂線が180°をなす第3の外周面の合計3つの外周面を一組の外周面として、当該一組の外周面のそれぞれにひずみセンサは配置される。回転軸を通る垂線が互いに90°をなす第1の外周面および第2の外周面にひずみセンサを設置することにより、回転軸に垂直な平面内に作用する荷重の大きさと方向とに関する情報を得ることができる。さらに、第3の外周面にもひずみセンサを設置することにより、回転軸に平行な荷重の影響を除去し、回転軸に垂直な平面内に作用する荷重の大きさと方向とに関する情報を、より正確に得ることができる。上記一組の外周面は、複数存在していてもよい。たとえば、上記一組の外周面が2つ存在する場合、2つの外周面または3つの外周面を含む各一組の外周面のそれぞれにひずみセンサは配置される。すなわち、最大6つの外周面にひずみセンサは配置される。2つの一組の外周面の間には、角度の制限はない。
【0079】
上記実施の形態では、第1固定部材63と第2固定部材65とが別体である場合について説明した。しかし、第1固定部材63と第2固定部材65とは一体であってもよい。この場合、第1固定部材63と第2固定部材65とは一体の金属製の部材であってもよい。
【0080】
上記実施の形態では、第1固定部材63および第2固定部材65を用いてセンサ部20がシャフト部10に取り付けられる場合について説明したが、センサ部20の取り付け方法はこれに限られない。センサ部20は、たとえば焼き嵌めなど、他の方法によりシャフト部10に取り付けられてもよい。
【0081】
(実施の形態2)
次に、本開示の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図20は、実施の形態2における転削工具の構造を示す概略斜視図である。
図20を参照して、本実施の形態の転削工具1は、基本的には
図1~
図19に基づいて説明した実施の形態1の転削工具1と同様の構造を有し、同様に動作するとともに、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2の転削工具1は、主にシャフト部10の構造において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0082】
具体的には、
図20を参照して、本実施の形態のシャフト部10は、センサ部20よりも第2の端部10B側の領域に、径方向(回転軸Aに垂直な方向)に突出する円環状の第1突出部10Dおよび第2突出部10Eを含んでいる。第2突出部10Eは、第1突出部10Dから見て第2の端部10B側に配置されている。回転軸Aに沿う方向において、シャフト部10の第1突出部10Dと第2突出部10Eとの間の領域は、溝部10Gとなっている。第2突出部10Eから見て第1突出部10Dとは反対側の領域は、第2の端部に近付くにしたがって直径が小さくなるテーパ部10Fとなっている。すなわち、本実施の形態のシャフト部10は、円錐台状の形状を有するテーパ部10Fを含んでいる。
【0083】
本実施の形態の転削工具1の使用状態においては、テーパ部10Fが工作機械の主軸に形成された凹部に挿入されることにより、転削工具1が工作機械の主軸に保持される。テーパ部10F、第1突出部10Dおよび第2突出部10Eの形状は、工作機械の主軸が備える工具の保持機構に合わせて適宜選択することができる。
【0084】
(実施の形態3)
次に、本開示のさらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図21は、実施の形態3における転削工具の構造を示す概略斜視図である。
図21を参照して、本実施の形態の転削工具1は、基本的には
図1~
図19に基づいて説明した実施の形態1の転削工具1と同様の構造を有し、同様に動作するとともに、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態3の転削工具1は、本開示のセンサ装置としてのセンサ部20を含む部分と第1の端部10Aを含む部分とが分離可能である点において、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0085】
図21を参照して、実施の形態3における転削工具1のシャフト部10は、第1の端部10Aを含む加工ユニットとしての先端領域10Iが、センサ部20に取り囲まれる領域よりも第1の端部10Aに近い部分において、分離可能となっている。シャフト部10の先端領域10I以外の部分は、センサ装置のシャフト領域としての基端領域10Hである。
【0086】
先端領域10Iの第2の端部10B側の端部には、雄ねじ部19Aが形成されている。雄ねじ部19Aは、第2の端部10B側に向けて回転軸Aに沿って突出する円筒状の突起部である。雄ねじ部19Aの外周面には、らせん状のねじ山が形成されている。基端領域10Hの第1の端部10A側の端部には、接続部としての雌ねじ部19Bが形成されている。雌ねじ部19Bは、第2の端部10B側に向けて回転軸Aに沿って凹む円筒状の凹部である。雌ねじ部19Bは、雄ねじ部19Aの形状に対応する形状を有する凹部である。雌ねじ部19Bを規定する内周面には、雄ねじ部19Aのねじ山に対応するらせん状のねじ溝が形成されている。
【0087】
雄ねじ部19Aを雌ねじ部19Bにねじ込んで雄ねじ部19Aと雌ねじ部19Bとを結合させることにより、先端領域10Iと基端領域10Hとが一体となる。これにより、実施の形態1と同様の転削工具1が得られる。雄ねじ部19Aと雌ねじ部19Bとの結合を解除することにより、先端領域10Iと基端領域10Hとを分離することができる。
【0088】
なお、上記実施の形態においては、先端領域10Iに雄ねじ部19Aが形成され、基端領域10Hに雌ねじ部19Bが形成される場合について説明したが、先端領域10Iに雌ねじ部19Bが形成され、基端領域10Hに雄ねじ部19Aが形成されてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態においては、回転軸Aに沿う方向において、先端領域10Iと基端領域10Hとの境界がセンサ部20よりも第1の端部10A側に存在する場合について説明したが、先端領域10Iと基端領域10Hとの境界がセンサ部20よりも第2の端部10B側に存在してもよい。
【0090】
(実施の形態4)
次に、本開示のさらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。
図22は、実施の形態4における転削工具の構造を示す概略斜視図である。
図23は、実施の形態4における転削工具が分解された状態を示す概略斜視図である。
図22および
図23を参照して、本実施の形態の転削工具1は、基本的には
図1~
図19に基づいて説明した実施の形態1の転削工具1と同様の構造を有し、同様に動作するとともに、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態4の転削工具1は、センサ部20を含む本開示のセンサ装置に対応する部分、第1の端部10Aを含む部分および第2の端部10Bを含む部分が、それぞれ分離可能である点において、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0091】
図22および
図23を参照して、実施の形態4における転削工具1のシャフト部10は、第1の端部10Aを含む加工ユニットとしての先端領域10Jと、第2の端部10Bを含む基端領域10Lとが、センサ部20により取り囲まれる領域を含むセンサ装置のシャフト領域としての中間領域10Kから分離可能となっている。
【0092】
先端領域10Jの第2の端部10B側の端部には、凹部19Cが形成されている。凹部19Cは、第1の端部10A側に向けて回転軸Aに沿う方向に凹む領域である。中間領域10Kの第1の端部10A側の端部には、接続部としての凸部19Dが形成されている。凸部19Dは、第1の端部10A側に向けて回転軸Aに沿う方向に突出する領域である。凹部19Cは、凸部19Dの形状に対応する形状を有する凹部である。凹部19Cと凸部19Dとは、互いに係合可能に構成されている。
【0093】
中間領域10Kの第2の端部10B側の端部には、凹部19Eが形成されている。凹部19Eは、第1の端部10A側に向けて回転軸Aに沿う方向に凹む領域である。基端領域10Lの第1の端部10A側の端部には、凸部19Fが形成されている。凸部19Fは、第1の端部10A側に向けて回転軸Aに沿う方向に突出する領域である。凹部19Eは、凸部19Fの形状に対応する形状を有する凹部である。凹部19Eと凸部19Fとは、互いに係合可能に構成されている。
【0094】
凹部19Cと凸部19Dとを係合させることにより、先端領域10Jと中間領域10Kとが一体となる。さらに、凹部19Eと凸部19Fとを係合させることにより、中間領域10Kと基端領域10Lとが一体となる。これにより、実施の形態1と同様の転削工具1が得られる。凹部19Cと凸部19Dとの係合を解除することにより、先端領域10Jと中間領域10Kとを分離することができる。凹部19Eと凸部19Fとの係合を解除することにより、中間領域10Kと基端領域10Lとを分離することができる。
【0095】
本開示の転削工具においては、実施の形態1のようにシャフト部が分離不能な一体の部材であってもよいし、実施の形態3および4のようにシャフト部が分離可能であってもよい。また、本開示のセンサ装置は、実施の形態1のようにシャフト部と分離可能なセンサ部を構成するものであってもよいし、実施の形態3および4のように、シャフト部の一部と一体であり、当該シャフト部の一部とシャフト部の他の部分とが連結されることで一体のシャフト部が構成されるものであってもよい。
【0096】
(実施の形態5)
次に、本開示の転削工具システムの一例である実施の形態5について説明する。
図24は、実施の形態5における転削工具システムの構成を示す概略図である。
図24は、転削工具システムに含まれる転削工具および受信機が運転可能な状態に設置された状態を示す図である。
図24において、X-Y平面が水平面に対応し、Z方向が鉛直方向に対応する。
【0097】
図24を参照して、本実施の形態の転削工具システム200は、上記実施の形態1の転削工具1と、受信機100とを含んでいる。受信機100は、本体101と、本体101に設置された線状アンテナ102とを含んでいる。線状アンテナ102は、転削工具1のアンテナ(送信アンテナ)から送信されたひずみおよび加速度の情報を含む信号Sを受信する受信アンテナである。線状アンテナ102は、たとえばモノポールアンテナまたはダイポールアンテナである。
【0098】
本実施の形態において、転削工具1は、設置および操作の容易性等を考慮して、回転軸Aが鉛直方向であるZ軸方向に沿うように設置されている。一方、受信機100は、たとえば転削工具1が設置される室内の側壁面に設置されている。このとき、受信機100の線状アンテナ102は、他の設備との干渉を避ける等の観点から、鉛直方向であるZ軸方向に沿うように設置されている。ここで、上記実施の形態1において
図14参照して説明した通り、本実施の形態の転削工具1においては、送信アンテナであるアンテナ51Aを含む無線通信部51が搭載される第3部分440の搭載面440Aに垂直な方向である第1方向αが、回転軸Aに垂直な平面β(X-Y平面)および回転軸A(Z軸方向)の両方に対して傾斜している。すなわち、第1方向αは、X軸、Y軸およびZ軸の全てに対して非平行となっている。
【0099】
これにより、転削工具1が回転軸A周りに回転しつつ信号Sを送信する際、信号Sにおいて受信アンテナである線状アンテナ102が受信しやすい方向の偏波の電界強度が極端に弱くなるタイミングの発生を回避することができる。その結果、本実施の形態の転削工具システム200は、ひずみセンサ31等によって得られた情報の欠落を抑制しつつ、当該情報を含む信号Sを外部に設置された受信機100において受信することが容易な転削工具システムとなっている。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
1 転削工具、10 シャフト部、10A 第1の端部、10B 第2の端部、10C 貫通孔、10D 第1突出部、10E 第2突出部、10F テーパ部、10G 溝部、10H 基端領域、10I 先端領域、10J 先端領域、10K 中間領域、10L 基端領域、11 本体部、11A 第1小径部、11B 第2小径部、12 拡径部、12A 外周面、12B 外周面、13 凹部、15 第2凹部、16 第1凹部、16A 底面、19A 雄ねじ部、19B 雌ねじ部、19C 凹部、19D 凸部、19E 凹部、19F 凸部、20 センサ部、21 ケース、22 底壁部(蓋)22A 貫通孔、23 側壁部、24 上壁部、30 センサ部品、31 ひずみセンサ、32 配線、33 コネクタ、40 基板モジュール、49 基板、49B 本体部、51 無線通信部、51A アンテナ、52 加速度センサ、53 ソケット、54 ADコンバータ、55 電源回路、56 電池用ソケット、57 充電用コネクタ、58 電源スイッチ、59 貫通孔、61 ケース本体、61A 貫通孔、62 ねじ孔、63 第1固定部材、63A 内周面、64 ねじ孔、65 第2固定部材、65A 内周面、66 ねじ孔、72 補強板、80 センサモジュール、91 切削チップ、92 ねじ、99 電池、100 受信機、101 本体、102 線状アンテナ、200 転削工具システム、410 第1部分、410A 屈曲可能部、410B 第1主面、410C 第2主面、411 第1部分第1区域、412 第1部分第2区域、413 第1部分第3区域、414 第1部分第4区域、415 第1部分第5区域、416 第1部分第6区域、417 第1部分第7区域、418 第1部分第8区域、419 第1部分第9区域、420 第2部分、420A 屈曲可能部、420B 第3主面、420C 第4主面、421 第2部分第1区域、422 第2部分第2区域、423 第2部分第3区域、424 第2部分第4区域、425 第2部分第5区域、426 第2部分第6区域、430 第1接続部、440 第3部分、440A 搭載面、450 第2接続部、460 第4部分、470 第3接続部、A 回転軸、LA 垂線、LB 垂線、d1 深さ、d2 深さ、α 第1方向、β 平面、γ 接続方向、θ 角。