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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032643
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】積層型電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
H01G4/30 311Z
H01G4/30 201N
H01G4/30 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061262
(22)【出願日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0108415
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ミュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン タエ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジ ヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ミ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD02
5E001AJ02
5E001AJ04
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の単位チップのサイドマージン部の付着面を開放する過程で、複数の単位チップの特定部分に応力を集中させる必要がなく単位チップの損傷を抑制することができ、サイドマージン部が形成された積層型電子部品の信頼性及び製造収率を向上させる積層型電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】方法は、支持フィルム310上に導電パターンが配置された複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を製作する積層体製作段階、積層体を、積層されている方向である第1方向と垂直な第2方向と、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向とに切断して複数の単位チップを得る積層体切断段階、支持フィルムから単位チップを分離した後、粘着テープに単位チップの第2側面S2が接するように配列する配列段階及びサイドマージン部用セラミックグリーンシートに第1側面S1を付着し、第1サイドマージン部を形成する第1サイドマージン部形成段階を含む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルム上に導電パターンが配置された複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を製作する積層体製作段階と、
前記積層体を基準として前記複数のセラミックグリーンシートの積層されている方向を第1方向とするとき、前記積層体を前記第1方向と垂直な第2方向に切断し、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップを得、前記導電パターンの切断面が単位チップの第2方向の一面、前記第3方向に向かい合う第1側面及び第2側面に露出する第1内部電極パターンと前記導電パターンの切断面が前記単位チップの前記第2方向の他面、前記第1側面及び前記第2側面に露出する第2内部電極パターンとが前記単位チップに含まれるように切断する積層体切断段階と、
前記支持フィルムから前記単位チップを分離した後、粘着テープに前記単位チップの前記第2側面が接するように配列する配列段階と、
サイドマージン部用セラミックグリーンシートに前記第1側面を付着し、第1サイドマージン部を形成する第1サイドマージン部形成段階とを含む、積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記配列段階は、前記支持フィルムから前記単位チップを前記第1方向に分離した後、前記単位チップの第1及び第2側面と平行に移動して前記第1側面及び前記第2側面のうち前記第2側面に近く配置された粘着テープに前記単位チップの前記第2側面が接するように配列して行われる、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記分離は、前記単位チップが前記支持フィルムと完全に分離されるように行う、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記積層体切断段階と前記配列段階との間に前記支持フィルムを回転させる支持フィルム回転段階をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記積層体製作段階及び前記積層体切断段階は、前記支持フィルムが地面と実質的に平行に配置された状態で行われ、前記支持フィルム回転段階により前記支持フィルムが地面と実質的に垂直に配置されるように行われる、請求項4に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記積層体切断段階の直後、前記複数の単位チップ間の離隔距離は、前記支持フィルム回転段階の間に、実質的に同一である、請求項4に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記積層体製作段階及び前記積層体切断段階は、前記支持フィルムが地面と実質的に垂直に配置された状態で行われ、前記粘着テープは、地面と実質的に水平に配置されるように行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記積層体製作段階と前記積層体切断段階との間に前記支持フィルムを回転させる支持フィルム回転段階をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記配列段階は、同一行の偶数列に配置された単位チップと前記同一行の奇数列に配置された単位チップを別途分離して前記粘着テープ上に配置して行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記配列段階は、一つの行に配置された単位チップを同時に分離して前記粘着テープ上に配置して行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記配列段階は、前記一つの行に配置された単位チップが配置された粘着テープを列方向に引っ張り前記一つの行に配置された単位チップを互いに離隔させるように行われる、請求項10に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記第1サイドマージン部形成段階は、前記第1側面が付着したサイドマージン部用セラミックグリーンシートをパンチングして行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記付着及びパンチングは、前記サイドマージン部用セラミックグリーンシートがキャリアフィルム上に配置された状態で行われる、請求項12に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記キャリアフィルムの厚さは、10μm以上30μm以下である、請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記キャリアフィルムは、弾性パッド上に配置される、請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記サイドマージン部用セラミックグリーンシートの前記第1側面と接する面には、接着剤成分がコーティングされていない、請求項13に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項17】
サイドマージン部用セラミックグリーンシートに前記第2側面を付着し第2サイドマージン部を形成する第2サイドマージン部形成段階と、
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部が形成された単位チップを焼成して本体を形成する本体形成段階と、
前記本体上に外部電極を形成する外部電極形成段階とをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記第1サイドマージン部形成段階及び前記第2サイドマージン部形成段階において、前記付着及びパンチングは、前記サイドマージン部用セラミックグリーンシートがキャリアフィルム上に配置された状態で行われる、請求項17に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記単位チップの前記第2方向の一面を第3面、前記単位チップの前記第2方向の他面を第4面とするとき、
前記単位チップの前記第3面の延長線と前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部の前記第2方向の末端において、前記第3面に隣接した末端までの垂直距離の平均値をd1、前記単位チップの前記第1側面の延長線と前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部の前記第3面または前記第4面と接する末端までの垂直距離の平均値をd2とするとき、d1/d2は0.4を超え0.8未満である条件を満たす、請求項18に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記単位チップの前記第2方向の一面を第3面、前記単位チップの前記第2方向の他面を第4面とするとき,
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部が焼成されて第1マージン部及び第2マージン部を形成し、
前記本体の前記第3面の延長線と前記第1マージン部及び前記第2マージン部の前記第2方向の末端において、前記第3面に隣接した末端までの垂直距離の平均値をd1'、前記本体の前記第1側面の延長線と前記第1マージン部及び前記第2マージン部が前記第3面または前記第4面と接する末端までの垂直距離の平均値をd2'とするとき、d1'/d2'が0.3を超え0.6未満である条件を満たす、請求項18に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項21】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部が焼成されて第1マージン部及び第2マージン部を形成し、
前記第1マージン部及び前記第2マージン部が前記本体を囲む形態で配置される、請求項17に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項22】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部が焼成されて第1マージン部及び第2マージン部を形成し、
前記第1マージン部及び前記第2マージン部の角は曲面を形成する、請求項17に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項23】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部が焼成されて第1マージン部及び第2マージン部を形成し、
前記第1マージン部及び前記第2マージン部が前記本体の角を覆うように配置される、請求項17に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項24】
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部が焼成されて第1マージン部及び第2マージン部を形成し、
前記第1マージン部及び前記第2マージン部の平均厚さは30μm以下である、請求項17に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項25】
支持フィルム上に導電パターンが配置された複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を製作する積層体製作段階と、
前記積層体を基準として前記複数のセラミックグリーンシートの積層されている方向を第1方向とするとき、前記積層体を前記第1方向と垂直な第2方向に切断し、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップを得、前記導電パターンの切断面が単位チップの前記第2方向の一面、前記第3方向に向かい合う第1側面及び第2側面に露出する第1内部電極パターンと前記導電パターンの切断面が前記単位チップの前記第2方向の他面、前記第1側面及び前記第2側面に露出する第2内部電極パターンとが前記単位チップに含まれるように切断する積層体切断段階と、
前記単位チップを回転させずに前記支持フィルムから前記単位チップを分離し、前記単位チップの前記第2側面が粘着テープと接するように配列する配列段階と、
サイドマージン部用セラミックグリーンシートに前記第1側面を付着し第1サイドマージン部を形成する第1サイドマージン部形成段階とを含む、
積層型電子部品の製造方法。
【請求項26】
前記配列は、前記分離した単位チップを回転させずに前記第2側面が前記粘着テープと接するように配置する、請求項25に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項27】
前記分離は、前記単位チップが前記支持フィルムと完全に分離されるように行われる、請求項25に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項28】
前記積層体切断段階と前記配列段階との間に前記支持フィルムを回転させる支持フィルム回転段階をさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項29】
前記積層体製作段階及び前記積層体切断段階は、前記支持フィルムが地面と実質的に平行に配置された状態で行われ、前記支持フィルム回転段階により前記支持フィルムが前記地面と実質的に垂直に配置されるように行われる、請求項28に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項30】
前記積層体切断段階の直後、前記複数の単位チップ間の離隔距離は、前記支持フィルム回転段階の間に、実質的に同一である、請求項28に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項31】
前記積層体製作段階及び前記積層体切断段階は、前記支持フィルムが地面と実質的に垂直に配置された状態で行われ、前記粘着テープは、地面と実質的に水平に配置されるように行われる、請求項25から27のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項32】
前記積層体製作段階と前記積層体切断段階との間に前記支持フィルムを回転させる支持フィルム回転段階をさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項33】
前記配列段階は、同一行の偶数行に配置された単位チップと前記同一行の奇数列に配置された単位チップを別途分離して前記粘着テープ上に配置して行われる、請求項25から27のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項34】
前記配列段階は、一つの行に配置された単位チップを同時に分離して前記粘着テープ上に配置して行われる、請求項25から27のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項35】
前記配列段階は、前記一つの行に配置された単位チップが配置された粘着テープを列方向に引っ張り前記一つの行に配置された単位チップを互いに離隔させるように行われる、請求項34に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項36】
前記第1サイドマージン部形成段階は、前記第1側面が付着したサイドマージン部用セラミックグリーンシートをパンチングして行われる、請求項25から27のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項37】
前記付着及び前記パンチングは、前記サイドマージン部用セラミックグリーンシートがキャリアフィルム上に配置された状態で行われる、請求項36に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項38】
前記サイドマージン部用セラミックグリーンシートの前記第1側面と接する面には、接着剤成分がコーティングされていない、請求項36に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項39】
サイドマージン部用セラミックグリーンシートに前記第2側面を付着及びパンチングして第2サイドマージン部を形成する第2サイドマージン部形成段階と、
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部が形成された単位チップを焼成して本体を形成する本体形成段階と、
前記本体上に外部電極を形成する外部電極形成段階とをさらに含む、請求項25から27のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項40】
前記第1サイドマージン部形成段階及び前記第2サイドマージン部形成段階において、前記付着及び前記パンチングは、前記サイドマージン部用セラミックグリーンシートがキャリアフィルム上に配置された状態で行われる、請求項39に記載の積層型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
従来、積層セラミックキャパシタを小型化しつつ容量を増加させるための方法として、内部電極を本体の幅方向に露出させることでマージンのない設計により内部電極の幅方向面積を極大化し、かかる単位チップの製作後、焼成前の段階において、単位チップの幅方向の内部電極の露出面にサイドマージン部を別途付着する工程が適用されている。
【0004】
特に、特許文献1には、粘着シートと弾性パッドを用いて複数の積層チップのサイドマージン部の形成面を同時に同じ方向(上方向)に露出させるという技術が開示されている。
【0005】
具体的に、上記特許文献1に開示されたサイドマージン部の形成方法によると、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップは、一定の間隔で離隔した状態で転動(tumbling)させる工程により切断側面を均一に開放する。以後、上記複数のグリーンチップの切断側面に側面セラミックグリーンシートを付着する段階を含む。
【0006】
特に、特許文献1に開示された転動方法は、複数のグリーンチップに支持台と転動作用板による強い剪断力が加えられるが、これにより回転の中心に作用するグリーンチップの角に応力が集中し得る。これにより、複数のグリーンチップの角が損傷して積層型電子部品の信頼性及び製造収率が低下するおそれがある。
【0007】
また、特許文献1に開示されたサイドマージン部の形成方法によると、複数のグリーンチップを同時に回転させなければならないため、隣接した複数の積層チップが互いにくっ付くという問題が発生し得て、複数のグリーンチップのサイズ散布により未移動及び未回転などの不良が発生するおそれもある。
【0008】
そこで、本発明では、積層型電子部品のサイドマージン部を形成するために、単位チップのサイドマージン部の形成面を露出させる過程で、単位チップの角に応力が集中する現象を抑制し、複数の単位チップを同時に露出させながら発生し得る未移動、未回転などの不良を減少して、積層型電子部品の信頼性及び製造収率を向上させようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国公開特許公報第2012-0234462号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部を形成するために複数の単位チップのサイドマージン部の付着面を開放する過程で、複数の単位チップの角に応力が集中するという問題を解決するためである。
【0011】
本発明の様々な目的の一つは、サイドマージン部を形成するために複数の単位チップを転動してサイドマージン部の付着面を開放する場合、複数の単位チップ間のサイズ散布により発生し得る単位チップが移動しないか回転しないという問題点を解決するためである。
【0012】
本発明の様々な目的の一つは、複数の単位チップのサイドマージン部の付着面にセラミックグリーンシートをパンチングしてサイドマージン部を形成する場合、セラミックグリーンシートの急激な乾燥によりサイドマージン部の接着力が低下するという問題を解決するためである。
【0013】
本発明の様々な目的の一つは、複数の単位チップのサイドマージン部の付着面にセラミックグリーンシートをパンチングしてサイドマージン部を形成する場合、セラミックグリーンシートの急激な乾燥により別途の接着剤成分をセラミックグリーンシートの表面にコーティングしてサイドマージン部の接着力を確保しなければならないという問題を解決するためである。
【0014】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、支持フィルム上に導電パターンが配置された複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を製作する積層体製作段階と、上記積層体を基準として上記複数のセラミックグリーンシートの積層されている方向を第1方向とするとき、上記積層体を上記第1方向と垂直な第2方向に切断し、上記第1及び第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップを得、上記導電パターンの切断面が上記単位チップの第2方向の一面、上記第3方向に向かい合う第1及び第2側面に露出する第1内部電極パターンと上記導電パターンの切断面が上記単位チップの第2方向の他面、上記第1及び第2側面に露出する第2内部電極パターンとが上記単位チップに含まれるように切断する積層体切断段階と、上記支持フィルムから上記単位チップを分離した後、粘着テープに上記単位チップの第2側面が接するように配列する配列段階と、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに上記第1側面を付着し、第1サイドマージン部を形成する第1サイドマージン部形成段階とを含むことができる。
【0016】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、支持フィルム上に導電パターンが配置された複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を製作する積層体製作段階と、上記積層体を基準として上記複数のセラミックグリーンシートの積層されている方向を第1方向とするとき、上記積層体を上記第1方向と垂直な第2方向に切断し、上記第1及び第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップを得、上記導電パターンの切断面が上記単位チップの第2方向の一面、上記第3方向に向かい合う第1及び第2側面に露出する第1内部電極パターンと上記導電パターンの切断面が上記単位チップの第2方向の他面、上記第1及び第2側面に露出する第2内部電極パターンとが上記単位チップに含まれるように切断する積層体切断段階と、上記単位チップを回転させずに上記支持フィルムから上記単位チップを分離し、上記単位チップの第2側面が粘着テープと接するように配列する配列段階と、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに上記第1側面を付着し第1サイドマージン部を形成する第1サイドマージン部形成段階とを含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の様々な効果の一つは、複数の単位チップのサイドマージン部の付着面を開放する過程で、複数の単位チップの特定部分に応力を集中させる必要がなく単位チップの損傷を抑制することができ、サイドマージン部が形成された積層型電子部品の信頼性及び製造収率を向上させることである。
【0018】
本発明の様々な効果の一つは、単位チップの特定部分に応力を集中させる工程を代替して積層型電子部品の容量形成部とカバー部の境界でクラックが発生する現象を抑制することである。
【0019】
本発明の様々な効果の一つは、複数の単位チップ間にサイズ散布が存在する場合にも、単位チップの未移動及び未回転を防止して積層型電子部品の製造収率を向上させることである。
【0020】
本発明の様々な効果の一つは、複数の単位チップのサイドマージン部の付着面にセラミックグリーンシートをパンチングしてサイドマージン部を形成する場合、セラミックグリーンシートの急激な乾燥を抑制して十分なサイドマージン部の接着強度を確保することである。
【0021】
但し、本発明の多様かつ有益な長所と効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法によって製造されることができる積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1のI-I'断面図である。
図3図1のII-II'断面図である。
図4】比較例による積層型電子部品の製造方法を概略的に示したものである。
図5】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法の手順を示した模式図である。
図6】本発明の一実施形態による積層体製作段階を概略的に示した分解斜視図である。
図7】本発明の一実施形態による積層体切断段階を概略的に示した斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による積層体切断段階を行った直後、バーの形態を概略的に示した斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に他の積層体切断段階を行った直後、バーを第1方向から見た平面図である。
図10】本発明の一実施形態による単位チップの形状を概略的に示した斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による支持フィルム回転段階を概略的に示した斜視図である。
図12】本発明の一実施形態による配列段階を大略的に示した平面図である。
図13】本発明の一実施形態による第1サイドマージン部の形成段階において、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに単位チップの第1側面が付着する様子を概略的に示した平面図である。
図14】本発明の一実施形態による第1サイドマージン部の形成段階において、単位チップに第1側面に付着したサイドマージン部用セラミックグリーンシートをパンチングする様子を概略的に示した平面図である。
図15】一実施形態による配列段階を概略的に示した斜視図である。
図16a】一実施形態による配列段階を概略的に示した斜視図である。
図16b】一実施形態による配列段階を概略的に示した斜視図である。
図17】本発明の一実施形態による単位チップに第1及び第2サイドマージン部が形成された焼成前の本体の様子を概略的に示した斜視図である。
図18図17のIII-III'断面図である。
図19図1のIV-IV'断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0024】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも示されたものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0025】
図面において、第1方向は複数のセラミックグリーンシートの積層されている方向または厚さT方向、上記第1方向と垂直な方向である第2方向及び第3方向のうち、上記第2方向は長さL方向、上記第3方向は幅W方向と定義されることができる。
【0026】
図4は、比較例による積層型電子部品の製造方法を概略的に示したものであり、図5は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法の手順を示した模式図であり、図6は、本発明の一実施形態による積層体製作段階を概略的に示した分解斜視図であり、図7は、本発明の一実施形態による積層体切断段階を概略的に示した斜視図であり、図8は、本発明の一実施形態による積層体切断段階を行った直後、バーの形態を概略的に示した斜視図であり、図9は、本発明の一実施形態に他の積層体切断段階を行った直後、バーを第1方向から見た平面図であり、図10は、本発明の一実施形態による単位チップの形状を概略的に示した斜視図であり、図11は、本発明の一実施形態による支持フィルム回転段階を概略的に示した斜視図であり、図12は、本発明の一実施形態による配列段階の様子を概略的に示した平面図であり、図13は、本発明の一実施形態による第1サイドマージン部形成段階において、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに単位チップの第1側面が付着する様子を概略的に示した平面図である。
【0027】
以下では、図4図13を参照して本発明の一実施形態、他の一実施形態及び多様な一実施形態による積層型電子部品の製造方法について詳しく説明する。
図5図14を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の製造方法は、支持フィルム310上に導電パターン221'、222'が配置された複数のセラミックグリーンシート201、202を積層して積層体200を製作する積層体製作段階(P1)と、積層体200を基準として複数のセラミックグリーンシート201、202の積層されている方向を第1方向とするとき、積層体200を第1方向と垂直な第2方向に切断し、第1及び第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップ210を得、導電パターン221'、222'の切断面が単位チップの第2方向の一面3、第3方向に向かい合う第1及び第2側面S1、S2に露出する第1内部電極パターン221と導電パターン221'、222'の切断面が単位チップの第2方向の他面4、第1及び第2側面S1、S2に露出する第2内部電極パターン222とが単位チップ210に含まれるように切断する積層体切断段階(P2)と、支持フィルム310から単位チップ210を分離した後、粘着テープ320に単位チップ210の第2側面S2が接するように配列する配列段階(P3)と、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140に第1側面S1を付着し、第1サイドマージン部214を形成する第1サイドマージン部形成段階(P4)とを含むことができる。
【0028】
[P1:積層体製作段階]
図6に示すように、積層体200の製作段階(P1)では、先ず、支持フィルム310上に導電パターン221'、222'が配置された複数のセラミックグリーンシート201、202を積層する。
【0029】
支持フィルム310は、導電パターン221'、222'及び複数のセラミックグリーンシート201、202が積層された積層体200を支持する役割を行うことができる。この時、支持フィルム310は、積層体200を効果的に支持及び付着するために、Latex、デンプン、cellulose、タンパク質、IR(Isoprene Rubber)、NBR(Nitrile Butadiene Rubber)、SBR(Styrene Butadiene Rubber)、CR(Chloroprene Rubber)、Silicon Rubber、Silicon系、Urethane系、Acryl系及びこれらの混合剤のような粘着性物質を含むことができる。
【0030】
複数のセラミックグリーンシート201、202は、セラミックパウダー、有機溶剤、分散剤及びバインダーを含むセラミックペーストで形成されることができる。上記セラミックパウダーは、積層型電子部品100の誘電体層111を形成する原料として、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。複数のセラミックグリーンシート201、202が焼成されると、本体110を構成する誘電体層111となる。
【0031】
一方、一実施形態では、積層体200は、カバー部112、113を形成するカバー部用セラミックグリーンシート203をさらに含むことができる。カバー部用セラミックグリーンシート203は、セラミックグリーンシート201、202と同一の材料及び成分で構成されることができるが、これに制限されるものではなく、焼成過程を経て本体110の上部及び下部カバー部112、113を形成することができる。この時、カバー部用セラミックグリーンシート203は、積層体の第1方向一面と他面に形成されることができ、単一の層または複数の層で形成されることができる。
【0032】
導電パターン221'、222'は、導電性金属を含む内部電極用ペーストによってセラミックグリーンシート201、202上に形成されることができる。導電パターン221'、222'に含まれる導電性金属は、特に制限されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、上記導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金の一つ以上を含むことができる。セラミックグリーンシート201、202上に導電パターン221'、222'を形成する方法は、特に制限されない。例えば、上記導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシート201、202にスクリーン印刷またはグラビア印刷して形成することができる。
【0033】
導電パターン221'、222'はストライプ型であることができる。具体的に、内部電極パターンは、第2方向に一定間隔を置いてセラミックグリーンシート201、202の第3方向両端と接するように形成されることができる。
【0034】
導電パターン221'、222'は、セラミックグリーンシート201に形成された第1導電パターン221'及び他のセラミックグリーンシート202に形成された第2導電パターン222'を含むことができる。この時、第1導電パターン221'が形成されたセラミックグリーンシートを第1セラミックグリーンシート201、第2導電パターン222'が形成されたセラミックグリーンシートを第2セラミックグリーンシート202と指称することができる。
【0035】
図6に示すように、複数のセラミックグリーンシート201、202は、第1導電パターン221'と第2導電パターン222'が交差積層されるように交互に積層されることができる。これにより後述する単位チップ210を形成するとき、第1導電パターン221'は、第1側面S1、第2側面S2及び第3面3に露出する第1内部電極パターン221を形成し、第2導電パターン222'は、第1側面S1、第2側面S2及び第4面4に露出する第2内部電極パターン222を形成することができる。第1内部電極パターン221は、焼成後に第1内部電極121となり、第2内部電極パターン222は、焼成後に第2内部電極122となることができる。
【0036】
一方、本発明では、説明の便宜のために、支持フィルム310上に配置された複数のセラミックグリーンシートが積層される方向を第1方向として説明する。
【0037】
[P2:積層体切断段階]
図7図9を参照すると、積層体200を基準として上記複数のセラミックグリーンシートの積層されている方向を第1方向とするとき、積層体200を第1方向と垂直な第2方向に切断し、第1及び第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップ210を得、導電パターン221'、222'の切断面が単位チップ210の第2方向の一面3、上記第3方向に向かい合う第1及び第2側面S1、S2に露出する第1内部電極パターン221と上記導電パターン221'、222'の切断面が上記単位チップの第2方向の他面4、上記第1及び第2側面S1、S2に露出する第2内部電極パターン222とが上記単位チップ210に含まれるように切断する。
【0038】
図7に示すように、積層体200は、互いに直交する切断線C1-C1及びC2-C2に沿って切断することができる。C1-C1切断線は第2方向と平行な切断線で、第3方向に実質的に等間隔で配置され、C2-C2切断線は第3方向と平行な切断線で、第2方向に実質的に等間隔で配置される。C1-C1切断線によって実質的に一定の第3方向大きさを有する単位チップ210が形成されることができ、C2-C2切断線によって実質的に一定の第2方向大きさを有する単位チップ210が形成されることができる。
【0039】
特に、C2-C2切断線は、第1及び第2導電パターン221'、222'の第2方向中心部と第1及び第2導電パターン221'、222'が第2方向に離隔した空間を切断するように形成されるため、単位チップ210の第1内部電極パターン221は、第1側面S1、第2側面S2及び第2方向の一面である第3面3に、第2内部電極パターン222は、第1側面S1、第2側面S2及び第2方向の他面である第4面4に露出することができる。
【0040】
積層体200を切断する手段は特に限定されない。例えば、積層体200をドクターブレード、ダイシングブレードなどのブレード切断法、ギロチン切断法またはレーザー切断法を用いることができる。
【0041】
図8及び9を参照すると、積層体切断段階(P2)を行った直後、積層体200が複数の単位チップ210で形成されたことを確認することができる。複数の単位チップ210は、支持フィルム310の粘着性により切断後も支持フィルム310上に接着されることができる。
【0042】
図8及び図9では、切断によって複数の単位チップ210が互いに一定間隔を置いて離隔していると示されているが、複数のセラミックグリーンシート201、202及び内部電極パターン221、222の粘性によって、複数の単位チップ210は相互間に接着力が弱くなった状態で実質的に接した状態であることができる。
【0043】
但し、複数の単位チップが互いに離隔していることを排除するものではなく、切断する手段によって一部離隔して配置されることができるが、複数の単位チップ間に離隔した空間の大きさは、隣接した単位チップが互いに接触せずに回転することができる大きさよりは狭くてよい。
【0044】
図10を参照すると、本発明の一実施形態による複数の単位チップ210の第1及び第2内部電極パターン221、222は、単位チップ210の互いに向かい合う第1及び第2側面S1、S2に同時に露出する。これにより、内部電極パターン221、222が形成されることができる面積を最大化して積層型電子部品100の単位体積当たり容量を向上させることができる。但し、第1及び第2内部電極パターン221、222が同時に露出する第1及び第2側面S1、S2は、外部水分の浸透に脆弱な部分であり、後述する外部電極が第1及び第2側面S1、S2に延長して形成される場合、ショートが発生するおそれがある。
【0045】
後述する本発明の一実施形態の第1サイドマージン部形成段階(P4)では、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを第1側面S1に付着及びパンチングして第1サイドマージン部を形成することで、上記耐湿信頼性の問題及びショートが発生するおそれを解決することができる。
【0046】
一方、図6図9では、積層体製作段階(P1)及び積層体切断段階(P2)が支持フィルム310が地面と実質的に水平に配置された状態で行われると示したが、本発明はこれに制限されるものではない。すなわち、一実施形態において、積層体製作段階(P1)、積層体切断段階(P2)は、支持フィルム310が地面と実質的に垂直に配置された状態で行われることができ、後述する粘着テープ320を地面と実質的に水平に配置し、後述する配列段階(P3)を行うことで、第1及び第2側面S1、S2のいずれか一面を開放することができる。
【0047】
[P3:配列段階]
図4を参照すると、比較例である特許文献1は、複数のグリーンチップ19の第1切断側面20にセラミック保護層22を形成する方法について開示している。
【0048】
具体的に、特許文献1では、グリーンチップ19を粘着シート38と共に支持台40上に配置し、転動作用板41をグリーンチップ19の上面に配置(図4の(a))する。以後、支持台40を転動作用板41に対して矢印方向42に移動させて、複数のグリーンチップ19を一度に90度回転(図4の(b))させる転動(tumbling)工程を行う。
【0049】
以後、転動作用板41を除去すると、複数のグリーンチップ19の第1切断側面20は均一に開放された状態になる。以後、開放された第1切断側面20に対向する状態で側面用セラミックグリーンシート47が配置され、側面用セラミックグリーンシート47は、固定テーブル49上に配置された接着用弾性パッド48上に配置(図4の(c))される。次いで、側面用セラミックグリーンシート47または開放された第1切断側面20に接着剤を塗布し、接着用弾性パッド48が変形されるほどにグリーンチップ19の第1切断側面20に側面用セラミックグリーンシート47が押さえられ(図4の(d))、側面用セラミックグリーンシート47に剪断力が作用し第1切断側面20の寸法ほど打抜かれるパンチング工程を行う(図4の(e))。
【0050】
上記特許文献1によると、複数のグリーンチップ19の切断側面20を上方で露出させるために、支持台40を転動作用板41に対して矢印方向に移動させる必要があるため、複数のグリーンチップ19には剪断応力が発生するようになる。特に、グリーンチップ19が一角を回転軸として回転する過程で、グリーンチップ19の回転軸となる角には過度な応力が集中するおそれがある。特に、セラミック保護層22が形成されたグリーンチップは、以後900から1300℃で焼成過程を経るが、過度な応力が集中したグリーンチップ19の角は、かかる熱衝撃によって容易に損傷し得て、焼成後に本体の容量形成部とカバー部間にクラックが発生し積層型電子部品の信頼性が劣化するおそれがある。
【0051】
また、特許文献1のグリップチップ19は、支持台40及び転動作用板41に同時に接すれば円滑に回転されることができるが、複数のグリーンチップ19のサイズ散布により複数のグリーンチップ19のうち支持台40または転動作用板41に接しないグリーンチップ19が発生し得る。この場合、複数のグリーンチップ19のうち支持台40または転動作用板41に接しないグリーンチップ19は、回転工程後も回転されないことがあり、そのため、グリーンチップ19にセラミック保護層22を形成することができないという問題が発生し得る。
【0052】
図12は、本発明の一実施形態による配列段階を大略的に示した平面図である。
【0053】
本発明の一実施形態による配列段階(P3)では、支持フィルム310から単位チップ210を分離した後、粘着テープ320に単位チップの第2側面S2が接するように配列する。
【0054】
これを通じて、単位チップ210が支持フィルム310から分離される時、特定の回転軸なしに分離されることができるため、特許文献1に開示されたように単位チップ210の一部が支持フィルム310に接した状態で回転するという現象は起こらない。
【0055】
したがって、単位チップ210の一部が支持フィルム10に付着した状態で回転することにより、単位チップ210の一角に応力が集中する現象が発生することを防止することができる。これにより、後述する工程を経て積層型電子部品100を製造した時、容量形成部Ac及びカバー部112、113の境界でクラックが発生する現象を抑制することができる。
【0056】
また、本発明の一実施形態により、単位チップ210を支持フィルム310からセラミックグリーンシート201、202が積層されている方向である第1方向に分離させる場合、内部電極パターン221、222が露出した部分に圧力をかける必要がないため、水分浸透に脆弱な単位チップ210の第1及び第2側面S1、S2の損傷を防止することができる。
【0057】
また、単位チップ210を支持フィルム310から回転させずに分離されることができるため、隣接した単位チップ210がくっ付く現象、単位チップ210のサイズ散布による未移動及び未回転現象を防止することができる。
【0058】
即ち、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、支持フィルム310から単位チップ210を分離した後、粘着テープ320に単位チップ210の第2側面S2が接するように配列する配列段階(P3)を含むことで、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140を第1側面S1に付着する過程で、複数の単位チップ210の損傷、未移動及び未回転現象を防止して積層型電子部品の製造収率を向上させることができる。
【0059】
一実施形態において、配列段階(P3)は、単位チップ210をセラミックグリーンシート201、202が積層された方向である第1方向に分離した後、単位チップ210を分離した方向に垂直な方向に移動させて、粘着テープ320に単位チップ210の第2側面S2が接して配列するように行われることができる。
【0060】
これにより、単位チップ210を支持フィルム310から分離される間に単位チップ210の回転が発生しないだけでなく、粘着テープ320に移動及び配列する過程でも単位チップ210には回転が発生しないことができる。
【0061】
これと同様の観点から、本発明の他の一実施形態では、積層体製作段階(P1)と、積層体切断段階(P2)を行った後、支持フィルム310から上記単位チップ210を回転させずに分離した後、単位チップ210の第2側面S2が粘着テープ320と接するように配列する配列段階を含むことができる。
【0062】
これにより、単位チップ210が支持フィルム310から分離される過程で単位チップ210自体に回転が起こらないようにすることで、単位チップ210を回転させるために単位チップ210の一角に応力が集中するか単位チップ210と支持フィルム310間に摩擦が起こる現象を最小化することができる。これにより、単位チップ210が支持フィルム10に付着した状態で回転する場合、単位チップ210の一角に応力が集中するという特許文献1で発生する現象を防止することができる。これにより、後述する工程を経て積層型電子部品100を製造した時、容量形成部Ac及びカバー部112、113の境界でクラックが発生する現象を抑制することができる。
【0063】
この時、上記配列過程は、支持フィルム310から分離した単位チップ210を回転させずに第2側面S2が後述する粘着テープ320に接するように配置されることができる。すなわち、一実施形態によると、単位チップ210が支持フィルム310から分離される瞬間の他にも、分離した単位チップ210を粘着テープ320に配置するために移動する間に単位チップ210を回転させなくてよい。これにより、複数の単位チップ210を数個同時に移動させて粘着テープ320に配置する場合にも、回転による単位チップ210の損傷を防止し工程を単純化することができる。
【0064】
以後、分離した単位チップ210を第1方向に垂直な方向に移動させて粘着テープ320に単位チップ210の第2側面6が接するように配列する。これにより、単位チップ210の第1側面S1は、隣接した単位チップ210の干渉なく上方または下方に開放されることができる。
【0065】
分離した単位チップ210を第1方向に垂直な方向に移動させて粘着テープ320に配列する過程で、支持フィルム310に形成された複数の単位チップ210の配列と粘着テープ320に形成された複数の単位チップ210の配列とは、異なってよい。例えば、支持フィルム310に形成された複数の単位チップ210間の間隔より粘着テープ320に形成された複数の単位チップ210間の間隔がより広くてよい。これにより、後述する第1サイドマージン部形成段階(P4)を行うとき、隣接した単位チップ210間の干渉を最小化することができる。また、複数の単位チップ210間の間隔を広げるための別途の過程を行わなくても良いため、積層型電子部品の製造方法を単純化することができる。
【0066】
単位チップ210を第1方向に垂直な方向に移動させて粘着テープ320に単位チップ210の第2側面6が接するように配列する方法は特に限定されない。
【0067】
図11は、本発明の一実施形態による支持フィルム回転段階を概略的に示した斜視図である。図11を参照すると、一実施形態において、積層型電子部品の製造方法は、積層体切断段階(P2)と配列段階(P3)との間に支持フィルムを回転させる支持フィルム回転段階をさらに含むことができる。この時、積層体製作段階(P1)と積層体切断段階(P2)は、支持フィルム310が地面と実質的に平行に配置された状態で行われ、上記支持フィルム回転段階によって支持フィルム310が地面と実質的に垂直に配置されることができる。これにより、支持フィルム310と複数の単位チップ210の分離なく、バー300を一体で回転させて複数の単位チップ210に損傷を与えずに第1側面S1または第2側面S2が後述する粘着テープ320を見る方向に整列されることができる。
【0068】
一方、積層体切断段階(P1)直後、複数の単位チップ210間の間隔は、上述したように実質的に接した状態であるといえるほど非常に狭いことができる。この時、一実施形態による積層型電子部品の製造方法のように、積層体切断段階(P2)直後、上記支持フィルム回転段階をさらに含む場合、積層体切断段階(P1)直後、複数の単位チップ間の離隔距離は上記支持フィルム回転段階の間に、実質的に同一であることができる。これにより、配列段階(P3)において複数の単位チップ210を同時に数個分離されるとき、単位チップ210が分離されず支持フィルム310に残っている現象を減らすことができる。
【0069】
但し、上記支持フィルム回転段階は、本発明の必須的な要素ではなく、支持フィルム回転段階なく後述する粘着テープ320が支持フィルム310と垂直に配置される場合も、第1側面S1または第2側面S2が粘着テープ320を見る方向に整列されることができる。
【0070】
また、上記支持フィルム回転段階は、必ずしも積層体切断段階(P2)と配列段階(P3)の間に行われる必要はない。例えば、一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、積層体製作段階(P1)と積層体切断段階(P2)の間に支持フィルム310を回転させる支持フィルム回転段階をさらに含むことができる。
【0071】
一方、上記支持フィルム310回転段階における回転は、最初の支持フィルム310を基準として時計方向または反時計方向に90度回転させるように行われることで、支持フィルム310と後述する粘着テープ320を垂直に配置することができるが、これに制限されるものではない。
【0072】
一方、分離した単位チップ210を第1方向に垂直な方向に移動させて粘着テープ320に単位チップ210の第2側面S2に接するように配列する過程で、粘着テープ320の位置は特に制限されない。但し、工程の単純化及び単位チップ210の回転をさらに効果的に防止するために、粘着テープ320の位置を単位チップ210の第2側面S2に近く調節することができる。すなわち、一実施形態において、配列段階(P3)は、支持フィルム310から単位チップ210を第1方向に分離した後、単位チップ210の第1及び第2側面S1、S2と平行に配置され、第1及び第2側面S1、S2のうち第2側面S2に近く配置された粘着テープ320に単位チップ210の第2側面S2が接するように配列する段階であってよい。
【0073】
上述したように、特許文献1に開示された転動(tumbling)工程は、グリーンチップ19が一角を回転軸として回転する過程である。この過程でグリーンチップ19の粘着シート38または転動作用板41と接する角に過度な応力が集中するという問題が発生する。
【0074】
しかし、一実施形態において、単位チップ210を支持フィルム310から分離されるという意味は、単位チップ210が支持フィルム310と完全に分離されるように行うものであることができる。これを通じて、単位チップ210の一角が支持フィルム310と接する状態で回転する工程なしに単位チップ210の第1または第2側面S1、S2を開放することができるため、単位チップ210の一角に応力が集中する現象を抑制することができる。
【0075】
以下では、配列段階(P3)において複数の単位チップ210を粘着テープ320上に配列する具体的な方法について説明する。
【0076】
図15図16bを参照すると、複数の単位チップ210は、積層体切断段階(P2)直後、行(i1、i2、i3、i4、i5、i6・・・)及び列(j1、j2、j3、j4、j5、j6・・・)方向に配列された状態であることができる。積層体切断段階(P2)直後に支持フィルム310に配置された複数の単位チップ210の配列と、配列段階(P3)直後に粘着テープ320に配置された複数の単位チップ210の配列は異なることができる。配列が異なるということは、複数の単位チップ210間の離隔した距離が配列段階(P3)前後で異なることを意味することができ、複数の単位チップ210の開放された面が配列段階(P3)前後で異なることを意味することができる。
【0077】
図15は、一実施形態による配列段階を概略的に示した斜視図である。
【0078】
図15を参照すると、一実施形態による配列段階(P3)は、同一行の偶数列に配置された単位チップ210と同一行の奇数列に配置された単位チップ210を別途分離して粘着テープ320上に配置する段階であることができる。
【0079】
例えば、配列段階(P3)は、同一行であるi6行の偶数列であるj2、j4、j6・・・列に配置された単位チップ210を先に分離して粘着テープ320上に配置し、同一行であるi6行の奇数列であるi1、i3、i5・・・列に配置された単位チップ210を別途分離して粘着テープ320上に配置する段階であることができる。同一行は複数の単位チップ210配列をなす全ての行を意味することができ、同一行の偶数列に配置された単位チップ210と同一行の奇数列に配置された単位チップ210を分離される手順の前後は特に制限されない。
【0080】
図16a及び図16bは、一実施形態による配列段階を概略的に示した斜視図である。
【0081】
図16aを参照すると、一実施形態による配列段階(P3)は、一つの行に配置された単位チップ210を同時に分離して粘着テープ320上に配置する段階であることができる。
【0082】
例えば、配列段階(P3)は、一つの行であるi1行に配置された単位チップ210を同時に分離して粘着テープ320上に配置する段階であることができる。すなわち、一つの行であるi1行に配置された全ての単位チップ210を分離して粘着テープ320上に配置し、残り行のうち任意の一行に配置された全ての単位チップ210を分離して粘着テープ320上に配置する段階を繰り返す段階であることができる。
【0083】
このような方法により、支持フィルム310上に配置された複数の単位チップ210を全て粘着テープ320上に配置すると、一つの行に属する複数の単位チップ210間の間隔は、後述する第1サイドマージン部形成段階(P4)を行うのに適切でないことがある。例えば、i1行に配置された複数の単位チップを同時に分離して粘着テープ320に配置する場合、粘着テープ320上に配置されi1行に由来した複数の単位チップ210間の間隔は、支持フィルム310上に配置されていた単位チップ210間の間隔と実質的に同一であることができる。よって、後述する第1サイドマージン部形成段階(P4)を行うとき、隣接した単位チップ210間の間隔が十分でなく、パンチングが円滑に行うことができないという問題点が発生し得て、隣接した単位チップ210間に干渉が発生し得る。
【0084】
そこで図16bを参照すると、一実施形態による配列段階は、一つの行に配置された単位チップ210が配置された粘着テープ320を列方向に引っ張り一つの行に配置された単位チップ210を互いに離隔させる段階であることができる。これにより、粘着テープ320に配置された複数の単位チップ210の間に十分な離隔距離を確保することができる。
【0085】
[P4:第1サイドマージン部形成段階]
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、配列段階(P3)以後にサイドマージン部用セラミックグリーンシートに第1側面を付着し第1サイドマージン部214を形成する第1サイドマージン部形成段階(P4)を含む。
【0086】
以下では、図13、14及び17を参照して、単位チップ210の第1側面S1が開放された場合を基準として第1サイドマージン部形成段階(P4)を説明するが、第2側面S2が開放された場合にも同様に適用されることができる。
【0087】
サイドマージン部用セラミックグリーンシート140は、前述したセラミックグリーンシート201、202のようにチタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを含むセラミックパウダー、有機溶剤、分散剤及びバインダーを含むセラミックペーストで形成されることができる。但し、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の組成は、前述したセラミックグリーンシート201、202と必ずしも同一の組成を有する必要はなく、異なる組成を有してよい。これにより、焼成後のマージン部114、115は、誘電体層111と異なる誘電体平均粒径、緻密度または硬度を有することができる。
【0088】
サイドマージン部用セラミックグリーンシート140を単位チップ210の第1側面S1に付着する方法は特に制限されない。例えば、加圧時に弾性パッド360を用いて加圧することができる。具体的に、図13を参照すると、複数の単位チップ210が配置されない粘着性テープ320の一面に上部支持台330を配置し、下部支持台340上に弾性パッド360及びサイドマージン部用セラミックグリーンシート140を順に積層した状態で、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140を第1側面S1に加圧して付着することができる。この時、一実施形態では、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140に変形または割れが生じることを防止するために、50から150℃の温度でサイドマージン部用セラミックグリーンシート140を第1側面S1に付着することができる。
【0089】
単位チップ210の第1側面S1に付着したサイドマージン部用セラミックグリーンシート140でサイドマージン部214を形成する方法は特に制限されない。
【0090】
例えば、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140を付着した後、弾性パッド360が弾性変形するほどにサイドマージン部用セラミックグリーンシート140に圧力をかけてサイドマージン部用セラミックグリーンシート140を第1側面S1に対応する部分ほど切断するパンチングが行われる。このようなパンチングにより、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140は、第1側面S1に対応する部分ほど切断して第1サイドマージン部214を形成することができる。第1サイドマージン部214は、後で焼成過程を経て積層型電子部品のマージン部114を形成することができる。
【0091】
一実施形態において、第1サイドマージン部形成段階(P4)において、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の付着及びパンチングは、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140がキャリアフィルム350に付着した状態で行われることができる。これにより、第1側面S1またはサイドマージン部用セラミックグリーンシート140に別途の接着剤を塗布しなくとも、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の急激な乾燥を防止してサイドマージン部用セラミックグリーンシート140が第1側面S1に付着する十分な接着力を確保することができる。すなわち、一実施形態において、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の第1側面S1と接する面には接着剤成分がコーティングされていなくてよい。
【0092】
また一実施形態において、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の急激な乾燥を防止することができるため、パンチングを50℃以下で行うことができる。これにより、サイドマージン部を形成するために高温を維持する必要がないため、単位チップ210またはサイドマージン部用セラミックグリーンシート140の熱衝撃による損傷を緩和することができる。
【0093】
一方、キャリアフィルム350の成分は特に制限されない。一実施形態において、キャリアフィルム350は、PET(polyethylene terephthalate)、PO(polyolefin)、PP(polypropylene)及びシリコーン(Si)を含むことができる。これにより、キャリアフィルム350に付着したサイドマージン部用セラミックグリーンシート140の急激な乾燥を効果的に防止することができる。また、キャリアフィルム350の厚さは特に制限されないが、サイドマージン部の適切な形成のために10μm以上であることが好ましく、サイドマージン部用セラミックグリーンシートをパンチングし易いように30μm以下であることが好ましい。
【0094】
一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、第1サイドマージン部形成段階(P4)以後、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140に単位チップ210の第2側面S2を付着及びパンチングして第2サイドマージン部215を形成する第2サイドマージン部形成段階をさらに含むことができる。
【0095】
上記第2サイドマージン部形成段階は、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140の付着及びパンチングが単位チップ210の第2側面S2に行われることを除くと、第1サイドマージン部形成段階(P4)と同一の過程に行われることができる。
【0096】
具体的に、第1サイドマージン部形成段階(P4)以後、第1サイドマージン部214を除いた切断したサイドマージン部用セラミックグリーンシート140を除去し、キャリアフィルム350、弾性パッド360、下部支持台340を除去することができる。以後、第1サイドマージン部214が形成された面に他の粘着テープを付着した後、既存の粘着テープ320と上部支持台330を除去して単位チップ210の第2側面S2を開放することができる。このように開放された第2側面S2に第1サイドマージン部形成段階(P4)を同一に適用すると、第1及び第2サイドマージン部214、215が形成された単位チップ210を形成することができる。
【0097】
一方、上記第1及び第2サイドマージン部形成段階では、キャリアフィルムが付着した状態でサイドマージン部用セラミックグリーンシートのパンチングを行うため、上記第2サイドマージン部形成段階を行い、後述する本体形成段階及び外部電極形成段階を行った後、マージン部114、115が本体110を囲む形態で配置されることができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110の第3及び第4面3、4の一部まで延長して配置されるか、本体110の角を覆うように配置されることができる。これにより、外部水分の浸透を遮断して積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0098】
同様に、上記第1及び第2サイドマージン部形成段階では、キャリアフィルムが付着した状態でサイドマージン部用セラミックグリーンシートのパンチングを行うため、第1及び第2サイドマージン部の角は曲面を形成することができる。すなわち、これにより、焼成前の積層チップ210の角を別途研磨する必要がないという長所がある。
【0099】
一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、上記第2サイドマージン部形成段階以後、第1及び第2サイドマージン部214、215が形成された単位チップ210を焼成する本体形成段階を含むことができる。焼成温度は特に制限されないが、例えば1000から1300℃で焼成することができる。また、焼成は還元雰囲気下で行うことができる。
【0100】
以後、本体110の第3及び第4面3、4のそれぞれに外部電極131、132を形成して積層型電子部品100を製造することができる。
【0101】
一方、第1及び第2サイドマージン部214、215が形成された単位チップ210は、追加的な工程なく焼成されて本体110を形成することができるが、これに制限されるものではなく、電気伝導性に優れた金属を含む導電性ペーストを第3面及び第4面3、4にそれぞれ配置し、本体110と同時に焼成することで外部電極131、132を形成して積層型電子部品100を製造することができる。
【0102】
図18は、図17のIII-III'断面図であり、第1及び第2サイドマージン部214、215が付着した単位チップ210の第2方向及び第3方向断面図を大略的に示したものである。
【0103】
図19は、図1のIV-IV'断面図であり、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の第2方向及び第3方向断面図を大略的に示したものである。
【0104】
図18を参照すると、単位チップ210の第1側面S1及び第2側面S2に第1及び第2サイドマージン部が配置される。この時、サイドマージン部用セラミックグリーンシート140は、上述したキャリアフィルム350上に配置した状態でパンチングされるため、第1及び第2サイドマージン部214、215は、単位チップ210の第1及び第2側面S1、S2から第1~第4面1、2、3、4の少なくともいずれか一面の一部まで延長して配置されることができる。
【0105】
一方、一実施形態において、単位チップ210の第3面の延長線E3と第1及び第2サイドマージン部214、215の第2方向末端において、第3面に隣接した末端までの垂直距離の平均値をd1、単位チップ210の第1側面の延長線ES1と第1及び第2サイドマージン部214、215の第3面3または第4面4と接する末端までの垂直距離の平均値をd2とするとき、d1/d2は0.4超0.8未満を満たすことができる。
【0106】
図19を参照すると、積層型電子部品100の本体110の第1側面S1には第1マージン部114が配置され、第2側面S2には第2マージン部115が配置される。第1及び第2マージン部114、115は、図18の第1及び第2サイドマージン部214、215が焼成されて形成されたものであることができる。一方、図18のd1及びd2は、積層型電子部品100を製造するための焼成過程を経ることでその値が変わってよい。すなわち、一実施形態において、本体110の第3面の延長線E3'と第1及び第2マージン部114、115の第2方向末端において、第3面に隣接した末端までの垂直距離の平均値をd1'、本体110の第1側面の延長線ES1'と第1及び第2マージン部114、115が第3面3または第4面4と接する末端までの垂直距離の平均値をd2'とするとき、d1'/d2'は0.3超0.6未満を満たすことができる。上記d1'/d2'が0.3超0.6未満を満たす場合、マージン部114、115が本体110を充分に囲む形態で配置されて外部水分の浸透を遮断するなど積層型電子部品100の信頼性を向上させることができる。
【0107】
一方、垂直距離の平均値を表すd1、d2、d1'、d2'は、次のように測定することができる。
【0108】
d1及びd2は、単位チップ210で測定した値に該当することができる。焼成前の単位チップ210の第2方向、第3方向断面を内部電極パターンが露出しないように研磨して、その断面を光学顕微鏡(OM、Optical Microscope)または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で観察して測定することができる。この時、第2方向、第3方向断面は、カバー部を第1方向に等間隔で研磨した10個の断面から選択されることができ、各断面で測定したd1及びd2の値を平均してその値をさらに一般化することができる。
【0109】
d1'及びd2'は、本体110で測定した値に該当することができる。積層型電子部品100の第2方向、第3方向断面を内部電極パターンが露出しないように研磨してその断面を光学顕微鏡(OM)または走査電子顕微鏡(SEM)で観察して測定することができる。この時、第2方向、第3方向断面は、カバー部を第1方向に等間隔で研磨した10個の断面から選択されることができ、各断面で測定したd1'及びd2'の値を平均してその値をさらに一般化することができる。
【0110】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法によって製造されることができる積層型電子部品100の斜視図を概略的に示したものであり、図2は、図1のI-I'断面図であり、図3は、図1のII-II'断面図である。
【0111】
以下、図1図3を参照して、本発明の一実施形態による製造方法によって製造されることができる積層型電子部品100について説明する。但し、積層型電子部品100を第1~3の形態で制限するものではなく、内部電極及び外部電極の形態と数は実装位置または用途に応じて多様であることができる。
【0112】
積層型電子部品100は、誘電体層111及び誘電体層を挟んで交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含む本体110と、本体110上に配置される外部電極131、132とを含むことができる。
【0113】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0114】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体形状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0115】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第1面1、2、第1及び第2面1、2と連結され第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1~第4面と連結され第3方向に互いに対向する第1及び第2側面S1、S2を有することができる。
【0116】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化していることができる。
【0117】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料はBaTiO係セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)、又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0118】
また、上記誘電体層111を形成する原料には、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに本発明の目的に応じて多様なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0119】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向上部及び下部に形成されたカバー部112、113とを含むことができる。
【0120】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0121】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向上部に配置される上部カバー部112、及び上記容量形成部Acの第1方向下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0122】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2個以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を行うことができる。
【0123】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。
【0124】
即ち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0125】
また、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0126】
マージン部114、115は、本体110の第1側面S1に配置されたマージン部114と第2側面S2に配置されたマージン部115とを含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記本体110の第3方向両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0127】
マージン部114、115は、図3に示すように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切った断面(cross-section)において第1及び第2内部電極121、122の両末端と本体110の境界面間の領域を意味することができる。
【0128】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を行うことができる。
【0129】
本発明の一実施形態によると、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第1及び第2側面S1、S2に露出するように切断した後、単一誘電体層または2個以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向に積層してマージン部114、115を形成することができる。
【0130】
マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び雇容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均厚さは30μm以下であることができる。また、本発明の一実施形態によると、支持フィルムから上記単位チップを上記セラミックグリーンシートが積層された方向に分離した後、上記単位チップを分離した方向に垂直な方向に移動させて粘着テープに上記単位チップの第2側面が接するように配列する配列段階を含むことで、信頼性が向上した積層型電子部品を製造することができるため、マージン部114、115の平均厚さが30μm以下の場合にも優れた信頼性を確保することができる。
【0131】
マージン部114、115の平均幅はマージン部114、115の第3方向平均大きさを意味することができ、容量形成部Acの側面において等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向大きさを平均した値であることができる。
【0132】
複数の内部電極121、122は、誘電体層111を挟んで交互に配置されることができる。
【0133】
複数の内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向して交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ連結されることができる。
【0134】
具体的に、第1内部電極121の一端は第3面3に連結され、第2内部電極122の一端は第4面4に連結されることができる。
【0135】
第1内部電極121は、第4面4と離隔し第3面3を通じて露出し、第2内部電極122は、第3面3と離隔し第4面4を通じて露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置され第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置され第2内部電極122と連結されることができる。
【0136】
すなわち、第1内部電極121は、第2外部電極132とは連結されず第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は、第1外部電極131とは連結されず第2外部電極132と連結される。よって、第1内部電極121は、第4面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は、第3面3で一定距離離隔して形成されることができる。
【0137】
この時、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0138】
本体110は、第1内部電極パターン221が印刷されたセラミックグリーンシート201と第2内部電極パターン222が印刷されたセラミックグリーンシート202とを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0139】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金の一つ以上を含むことができる。
【0140】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金の一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを使用することができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0141】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置され、第1外部電極131は第1内部電極121と、第2外部電極132は第2内部電極122と電気的に連結されることができる。
【0142】
本実施形態では、積層型電子部品100が2個の外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変わることができる。
【0143】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに、多層構造を有することができる。
【0144】
例えば、外部電極131、132は、本体110の表面に配置されて内部電極121、122と直接接する電極層及び電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0145】
電極層に対するより具体的な例を挙げると、電極層は、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0146】
また、電極層は、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であることができる。また、電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0147】
電極層に含まれる導電性金属として電気伝導性に優れた材料を使用することができ、特に限定しない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金の一つ以上であることができる。
【0148】
めっき層は、実装特性を向上させる役割を行う。めっき層の種類は特に限定せず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金の一つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0149】
めっき層に対するより具体的な例を挙げると、めっき層はNiめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であることができる。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0150】
(実施形態)
支持フィルム上にBaTiO粉末と副成分からなる誘電体セラミックグリーンシートとNi粉末からなる導電パターンを使用して積層体を製作した後、積層体を基準として複数のセラミックグリーンシートが積層されている方向を第1方向とし、積層体を第1方向と垂直な第2方向に切断し、第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップを形成した。切断過程において、導電パターンの切断面が単位チップの第2方向の一面、第1及び第2側面に露出する第1内部電極パターンと導電パターンの切断面が単位チップの第2方向の他面、第1及び第2側面に露出する第2内部電極パターンとが単位チップに含まれるように切断した。
【0151】
以後、支持フィルムから単位チップを分離した後、粘着テープに上記チップの第2側面が接するように配列した。
【0152】
以後、BaTiO粉末と副成分からなるサイドマージン部用セラミックグリーンシートに上記第1側面を付着して第1サイドマージン部を形成し、同じ方法で第2サイドマージン部を形成した。
【0153】
以後、第1及び第2サイドマージン部が形成された単位チップを焼成温度1300℃以下、水素濃度2.0%H以下の条件で焼成して本体を形成し、上記本体上に導電性ペーストを塗布して外部電極を形成し実施形態による積層型電子部品のサンプルを形成した。
【0154】
(比較例)
支持フィルム上にBaTiO粉末と副成分からなる誘電体セラミックグリーンシートとNi粉末からなる導電パターンを使用して積層体を製作した後、積層体を基準として複数のセラミックグリーンシートの積層されている方向を第1方向とし、積層体を第1方向と垂直な第2方向に切断し、第2方向と垂直な第3方向に切断して複数の単位チップを形成した。切断過程において、導電パターンの切断面が単位チップの第2方向の一面、第1及び第2側面に露出する第1内部電極パターンと導電パターンの切断面が単位チップの第2方向の他面、第1及び第2側面に露出する第2内部電極パターンとが単位チップに含まれるように切断した。
【0155】
以後、特許文献1に開示されたように転動作用板を単位チップの上面に配置し、支持フィルムと転動板を反対方向に平行に運動させて複数の単位チップを一度に90度回転させる転動(tumbling)工程を行った。
【0156】
以後、BaTiO粉末と副成分からなるサイドマージン部用セラミックグリーンシートに上記第1側面を付着して第1サイドマージン部を形成し、同じ方法で第2サイドマージン部を形成した。
【0157】
以後、第1及び第2サイドマージン部が形成された単位チップを焼成温度1300℃以下、水素濃度2.0%H以下の条件で焼成して本体を形成し、上記本体上に導電性ペーストを塗布して外部電極を形成し比較例による積層型電子部品のサンプルを形成した。
【0158】
下記の表1は、実施例によって製造された積層型電子部品と比較例によって製造された積層型電子部品において、容量形成部とカバー部の境界にクラックが発生するか否かを評価して作成したものである。
【0159】
一方、積層型電子部品の製造方法の1回当たり製造される単位チップの集団を1Lotとし、下記の表1では、1Lot当たり約1,000,000個以上の単位チップを製造した。
【0160】
下記の表1では、実施例及び比較例によって製造された積層型電子部品の1Lot毎に50個の積層型電子部品サンプルを任意に取り合わせた。
【0161】
以後、取り合わせたサンプルをモールディングした後、第1方向及び第2方向面の第3方向中央地点と第1方向及び第3方向面の第2方向中央地点までポリッシングした後、第1方向及び第2方向面と第1方向及び第3方向面においてカバー部と容量形成部の境界を光学顕微鏡(OM、Optical Microscope)で25から100倍の倍率で観察して、割れが観察される場合を不良と判断した。
【0162】
【表1】
【0163】
表1を参照すると、特許文献1による転動工程を含む比較例による積層型電子部品は、総20Lotでクラック発生率が2000PPMであることを確認することができる。
【0164】
また、特許文献1による転動工程の代わりに本発明の一実施形態による配列段階(P3)を含む実施例による積層型電子部品は、総27Lotでクラック発生率が370PPMに過ぎないことを確認することができる。
【0165】
したがって、表1によると、特許文献1の転動工程の代わりに本発明の一実施形態による配列段階(P3)を含む実施例は、特許文献1による転動(tumbling)工程により単位チップの角に発生する損傷を抑制して完成された積層型電子部品の容量形成部とカバー部の境界でクラックが発生する現象を抑制することができるため、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0166】
下記の表2は、実施例によって製造された積層型電子部品と比較例によって製造された積層型電子部品の複合信頼性の評価結果を示したものである。
【0167】
表2では、実施例と比較例によって製造された積層型電子部品から各20個のサンプルを任意に抽出して40℃、4.8Vで1hr維持(区間1)し、85℃、4.8Vで1hr維持(区間2)した後、85℃、2.8V、相対湿度65%で2hr維持(区間3)する条件で複合信頼性の検査を進行し、各区間別に積層型電子部品の絶縁抵抗(IR)値が1.0E^+05以下に落ちるサンプルを不良品と評価し、その他を正常品と評価した。一方、上記複合信頼性検査において区間1~3は、連続的に進行される。
【0168】
【表2】
【0169】
表2を参照すると、比較例によって製造された積層型電子部品は、区間1~区間3を進行した後、絶縁抵抗値が初期値の1.0E^+05以下に落ちる不良品が2個発生したが、実施例によって製造された積層型電子部品は、区間1~区間3を進行した後、絶縁抵抗値が初期値の1.0E^+05以下に落ちるサンプルがないことを確認することができる。また、実施例によって製造された積層型電子部品は、区間1で初期値の1.0E^+02オーダー以上減少したサンプルがなかった。
【0170】
したがって、表2によると、特許文献1による転動工程の代わりに本発明の一実施形態による配列段階(P3)を含む実施例は、単位チップの一角に応力が集中して損傷する現象を抑制することで、高温多湿な環境で積層型電子部品の絶縁抵抗の低下を防止することができるため、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0171】
以上で本発明の実施形態について詳しく説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当該技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0172】
なお、本発明において用いられる「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態において説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0173】
本発明で使用される用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる表現を使用しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0174】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:マージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
140:サイドマージン部用セラミックグリーンシート
200:積層体
201、202:セラミックグリーンシート
203:カバー部用セラミックグリーンシート
210:単位チップ
214、215:サイドマージン部
221、222:内部電極パターン
221'、222':導電パターン
310:支持フィルム
320:粘着テープ
330、340:支持台
350:キャリアフィルム
360:弾性パッド
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