(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032645
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】殺インフルエンザウイルス剤
(51)【国際特許分類】
A61K 35/644 20150101AFI20240305BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240305BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240305BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20240305BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240305BHJP
C11D 3/384 20060101ALI20240305BHJP
C11D 7/46 20060101ALI20240305BHJP
A01N 63/14 20200101ALI20240305BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240305BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20240305BHJP
【FI】
A61K35/644
A23L33/10
A61P31/16
A61K8/98
A61Q19/00
C11D3/384
C11D7/46
A01N63/14
A01P3/00
A01N65/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068384
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2022136250
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100211199
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】谷 央子
(72)【発明者】
【氏名】池上 志穂
(72)【発明者】
【氏名】八巻 礼訓
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C087
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018LE01
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4B018MD77
4B018ME14
4C083AA071
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4C087AA01
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4C087ZB33
4H003BA01
4H003BA12
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4H003BA19
4H003BA20
4H003DA01
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4H003EB04
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA34
4H011AA04
4H011BB22
4H011BB23
(57)【要約】
【課題】本発明は、蜂蜜の新たな用途を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の殺インフルエンザウイルス剤は、蜂蜜を有効成分として含む。上記蜂蜜が、甘露蜂蜜、ウルモ蜂蜜、マヌカ蜂蜜、アカシア蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜂蜜を有効成分として含む、殺インフルエンザウイルス剤。
【請求項2】
前記蜂蜜が、甘露蜂蜜、ウルモ蜂蜜、マヌカ蜂蜜、アカシア蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の殺インフルエンザウイルス剤。
【請求項3】
インフルエンザウイルスの数を50%以上減少させる、請求項1又は2に記載の殺インフルエンザウイルス剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、食品組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、化粧品。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、消毒剤。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺インフルエンザウイルス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
蜂蜜は食用のみならず、様々な健康効果や美容効果を有することが知られている。例えば、蜂蜜を抗菌剤(特許文献1)や、創傷治療用組成物、化粧品用組成物(特許文献2、3)などとして様々な用途に利用することができる。
【0003】
マヌカ蜂蜜は高い抗菌性を有することが知られており、歯周炎治療用剤等の医療用途に利用されている(特許文献4)。また、マヌカ蜂蜜、レンゲ蜂蜜、アカシア蜂蜜、甘露蜂蜜、及びソバ蜂蜜は、ウイルスの感染後の増殖を抑制する、抗インフルエンザウイルス活性を有することは知られている(非特許文献1)。しかしながら、蜂蜜がインフルエンザウイルスに対して殺ウイルス活性を有することは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2016/072377
【特許文献2】特表2003-516357号公報
【特許文献3】特開2003-63984号公報
【特許文献4】特開2007-277210号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ken W.,et al., Archives of Medical Research, 2014, 45, 359-365
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、蜂蜜の新たな用途を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、蜂蜜がインフルエンザウイルスを殺滅できるという新規な活性を見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、例えば以下の各発明に関する。
[1] 蜂蜜を有効成分として含む、殺インフルエンザウイルス剤。
[2] 上記蜂蜜が、甘露蜂蜜、ウルモ蜂蜜、マヌカ蜂蜜、アカシア蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜及びレワレワ蜂蜜からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載の殺インフルエンザウイルス剤。
[3] インフルエンザウイルスの数を50%以上減少させる、[1]又は[2]に記載の殺インフルエンザウイルス剤。
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、食品組成物。
[5] [1]~[3]のいずれかに記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、化粧品。
[6] [1]~[3]のいずれかに記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、消毒剤。
[7] [1]~[3]のいずれかに記載の殺インフルエンザウイルス剤を含む、洗浄剤。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の殺インフルエンザウイルス剤によれば、インフルエンザウイルを殺滅することができる。それによって、ヒト等の動物へのインフルエンザウイルスの感染リスクを低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の殺インフルエンザウイルス剤は、蜂蜜を有効成分として含み、蜂蜜のみからなってもよい。
【0011】
蜂蜜は、ミツバチが、植物の花蜜、樹液、植物に寄生する虫の分泌液等から集めた蜜を主原料として作り出したものである。
【0012】
本実施形態において、蜂蜜の種類は特に限定されておらず、例えば、甘露蜂蜜、ウルモ蜂蜜、マヌカ蜂蜜、アカシア蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、レワレワ蜂蜜、百花蜂蜜、クローバー蜂蜜、オレンジ蜂蜜、レンゲ蜂蜜、ローズマリー蜂蜜、ヒマワリ蜂蜜、菜の花蜂蜜、コーヒー蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、パクチー(コリアンダー)蜂蜜、とち蜂蜜、そば蜂蜜、はぜ蜂蜜、そよご蜂蜜、くろがねもち蜂蜜、からすさんしょう蜂蜜等を用いることができる。蜂蜜は、マヌカ蜂蜜、甘露蜂蜜、ウルモ蜂蜜、アカシア蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群より選択されることが好ましく、甘露蜂蜜、ウルモ蜂蜜、及びレワレワ蜂蜜からなる群より選択されることがより好ましく、甘露蜂蜜又はウルモ蜂蜜であることが特に好ましい。殺インフルエンザウイルス剤が1種の蜂蜜を含んでいてもよく、2種以上の蜂蜜を含んでいてもよい。
【0013】
マヌカ(Leptospermum scoparium)は主にニュージーランドに生育するフトモモ科の木本植物である。蜂蜜の中でも、マヌカ由来の蜂蜜は、特に高い抗菌性を有することが知られている(特許文献4)。マヌカ蜂蜜は、抗菌効果をもたらす、マヌカ蜂蜜固有の成分であるメチルグリオキサール(MG又はMGO)の含有量でグレーディングされている。
【0014】
甘露蜂蜜は、ヨーロッパでは「森の蜜」と呼ばれ、さまざまな木(カシ:Quercusやマツ:Pinus、モミ:Abies firma、トウヒ:Piceaなど)から出る樹液を昆虫が一旦体に取り入れたのち、その糖分だけを再び樹木の葉や幹に水滴の形で残したものをミツバチが集め、はちみつに仕上げたものである。甘露蜂蜜は、一般的な花由来の蜂蜜よりも、ミネラル、アミノ酸などが多く含まれており、マヌカ蜂蜜と同様に、高い抗菌性を有することが知られている。
【0015】
ウルモ蜂蜜は、クノニア科エウクリフィア属であるウルモ(Eucryphia cordifolia)の花から採集できる蜂蜜である。強い抗菌作用があることから「南米のマヌカ蜂蜜」と呼ばれている。
【0016】
アカシア蜂蜜は、マメ科ハリエンジュ属であるニセアカシア(Robinia pseudoacacia)の花から採集できる蜂蜜である。
【0017】
ボダイジュ蜂蜜は、アオイ科シナノキ属であるボダイジュ(Tilia miqueliana)の花から採集できる蜂蜜である。
【0018】
レワレワ蜂蜜は、ヤマモガシ科ナイティア属であるレワレワ(Knightia excelsa)の花から採集できる蜂蜜である。マヌカ蜂蜜や甘露蜂蜜と同様に、高い抗菌性を有することが知られている。
【0019】
蜂蜜を採取するために利用されるミツバチの種類は特に限定されない。蜂蜜は、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。
【0020】
蜂蜜は、蜂の巣箱中に保管されている間は一般に、ミツバチの体温等により35℃前後に保たれている。蜂の巣箱から採取された蜂蜜は一般に、粘度を低下させて輸送、充填等の作業を容易にすること、及び結晶を融解することを目的として、必要に応じて加熱される。
【0021】
採取後の蜂蜜は、採取されたそのままであってもよく、加温前又は後に、タンパク質、ワックス、ゴミ、蜂や巣のカス等の除去、ろ過、有機溶媒による抽出、分画などの精製処理、殺菌、濃縮等の処理が行われてもよい。
【0022】
蜂蜜の組成としては、約80%が糖質であり、そのほか、ビタミン、ミネラル、フラボノイド、有機酸、脂肪酸などの健康成分が含まれており、残りは水分である。蜂蜜の糖質の多くは、ブドウ糖及び果糖であり、他にオリゴ糖や麦芽糖も少量に含まれている。蜂蜜による殺インフルエンザウイルス作用のメカニズムはまだ分かっていないが、過酸化水素、メチルグリオキサールの他、抗菌ペプチド、フラボノイド、有機酸などが有効成分である可能性がある。また、複数の成分の相乗効果による効果である可能性もある。
【0023】
殺インフルエンザウイルス効果、すなわち、インフルエンザウイルスに対する殺滅能力は、インフルエンザウイルスの数を減少させる割合で評価することができる。ここで、「インフルエンザウイルスの数を減少させる割合」とは、殺インフルエンザウイルス剤による処理前のインフルエンザウイルスの数における、殺インフルエンザウイルス剤による処理前のインフルエンザウイルスの数と殺インフルエンザウイルス剤による処理後のインフルエンザウイルスの数の差(インフルエンザウイルスの減少数)の割合をいう。評価する際、インフルエンザウイルスと接触させる時間は、インフルエンザウイルスを死滅させるのに十分な時間であればよく、例えば5分以上、10分以上、30分以上、1時間以上、又は2時間以上であってよく、例えば、実施例で示される方法にしたがって計算したウイルス減少率によって評価してもよい。
【0024】
一実施形態の殺インフルエンザウイルス剤は、インフルエンザウイルスの数を30%以上減少させることができればよく、40%以上、50%以上、55%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上減少させることが好ましい。
【0025】
インフルエンザウイルスの種類は特に限定されないが、A型、B型、C型、及びこれらの亜型のいずれであってもよい。例えば、香港型(H3N2)、ソ連型(H1N1)等が挙げられ、H1N1であることが好ましい。
【0026】
殺インフルエンザウイルス剤は、そのインフルエンザウイルスに対する殺滅能力を発揮できる任意の形態であってよく、蜂蜜のみからなってもよく、また、蜂蜜の希釈液や蜂蜜を製剤化したものであってもよい。殺インフルエンザウイルス剤は蜂蜜以外の殺インフルエンザウイルス成分、又は他の活性成分若しくは添加剤を含んでもよい。蜂蜜以外の殺インフルエンザウイルス成分としては、緑茶カテキン、カフェイン、カフェ酸、クロロゲン酸、クロロゲン酸エステル、アルギニン、タンニン、梅酢ポリフェノール、ビタミンCなどが挙げられる。添加剤としては、カテキン、生コーヒー豆抽出物、カフェイン(抽出物)、L-アルギニン、タンニン(抽出物)、柿タンニン、ビタミンCなどが挙げられる。
【0027】
殺インフルエンザウイルス剤における蜂蜜の含有量は、殺インフルエンザウイルス作用を発揮できる量であればよく、例えば0.1質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、又は100質量%であってよい。殺インフルエンザウイルス剤における蜂蜜の含有量は、例えば99.5質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下又は1質量%以下であってよい。
【0028】
一実施形態は、殺インフルエンザウイルス剤を含む組成物を提供する。組成物として例えば、食品組成物、医薬組成物、医薬部外品、化粧品、化粧品原料、消毒剤、洗浄剤であってよい。
【0029】
食品組成物(食品)としては、食品の3次機能(体調調節機能)が強調されたものであることが好ましい。食品の3次機能が強調された食品としては、例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物(nutritional composition)、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品等が挙げられる。
【0030】
食品組成物は、食品として許容される成分を含んでいてもよい。食品として許容される成分としては、例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0031】
食品組成物は栄養補助食品、サプリメントなどである場合は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、錠剤(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト等の剤形であってもよい。これらは、例えば、蜂蜜と、必要に応じて他の成分とを混合して製剤することによって調製することができる。
【0032】
食品組成物は、蜂蜜(殺インフルエンザウイルス剤)を食品に添加して得られたものであってよく、食品としては以下のようなものが挙げられ、これらの製造工程中の中間製品、又は最終製品に、有効量の蜂蜜を混合して、上記の目的に用いられる食品を得ることができる:コーヒー、ジュース及び茶飲料等の清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、並びに、日本酒、洋酒、果実酒及び蜂蜜酒等の酒などの飲料;カスタードクリーム等のスプレッド;フルーツペースト等のペースト;チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ及びプリン等の洋菓子;大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ及び羊羹等の和菓子;アイスクリーム、アイスキャンデー及びシャーベット等の氷菓;カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等の調理済みの食品;ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料及びスープの素等の調味料。
【0033】
食品組成物における蜂蜜の含有量は、特に限定されず、例えば殺インフルエンザウイルス剤における蜂蜜の含有量と同じであってよい。上記食品組成物の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、食品組成物の製造工程における中間製品又は最終製品に、上記蜂蜜を混合等して、上記の目的に用いられる食品組成物を得ることができる。
【0034】
医薬組成物は、蜂蜜の他に、薬学的に許容される成分、例えば、賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤などを含んでいてもよい。医薬組成物は、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、錠剤(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤等を含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液若しくは電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)、塗布剤若しくは貼付剤等の局所用剤形等の剤形であってもよい。
【0035】
化粧品原料としては、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよい。化粧品は薬用化粧品(すなわち、医薬部外品)であってよい。化粧品には、動物(特にヒト)の皮膚、粘膜、体毛、頭髪、頭皮、爪、歯、顔皮、口唇等の部位に適用され得る、あらゆる化粧品が含まれる。
【0036】
化粧品は、蜂蜜(殺インフルエンザウイルス剤)の他、化粧品として許容される成分を含んでいてもよい。化粧品として許容される成分としては、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤を挙げることができる。
【0037】
化粧品の剤形は、例えば、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水-油2層系、水-油-粉末3層系等であってよい。化粧品としては、例えば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス、美容液、パック、マスク、ミスト、UV予防化粧品等の基礎化粧品、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、イライナー、マスカラ等のメークアップ化粧品、洗顔料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、シェービングクリーム、ボディソープ、石けん、シャンプー、リンス、へアートリートメント、整髪料、へアートニック剤、ヘアミスト、ヘアフォーム、ヘアリキッド、ヘアジェル、ヘアスプレー、育毛剤、制汗剤、入浴剤、マウスリンス、口腔化粧品、歯磨剤、ハンドクリーム、ハンドソープ等であってよい。
【0038】
化粧品における蜂蜜の含有量は、特に限定されず、例えば殺インフルエンザウイルス剤における蜂蜜の含有量と同じであってよい。蜂蜜がインフルエンザウイルスに対して接触による直接的な殺滅作用があるため、本発明の殺インフルエンザウイルス剤(蜂蜜)を含む化粧品もインフルエンザウイルスの殺滅効果を有する。上記化粧品の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。例えば、化粧品の製造工程における中間製品又は最終製品に、上記蜂蜜を混合等して、上記の目的に用いられる化粧品を得ることができる。
【0039】
消毒剤又は洗浄剤としては、蜂蜜を有効量で含み、インフルエンザウイルスの除却、減少又は殺滅効果を有するものである。消毒剤又は洗浄剤は固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよく、例えばウェットティッシュ状の消毒シート若しくは洗浄シート、噴霧又はペーストであることが好ましく、また例えば、蜂蜜の希釈液(水、含水アルコール、アルコール)であってもよい。
【0040】
消毒剤又は洗浄剤における蜂蜜の有効量は、特に限定されず、0.1重量%~100重量%であればよく、1重量%~90重量%、10重量%~80重量%、又は25重量%~50重量%であってもよい。消毒剤又は洗浄剤の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。
【実施例0041】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1 蜂蜜の殺ウイルス効果の検討(1))
被験蜂蜜として、マヌカ蜂蜜MG250+(山田養蜂場本社)、マヌカ蜂蜜MG350+(山田養蜂場本社)、甘露蜂蜜(山田養蜂場本社)、及び、ウルモ蜂蜜(山田養蜂場本社)、アカシア蜂蜜(山田養蜂場本社)、ボダイジュ蜂蜜(山田養蜂場本社)を使用した。各種蜂蜜1gに精製水を加え、0.25g/mLとなるように希釈し、得られた希釈液にインフルエンザウイルス液(swine influenza virus H1N1 IOWA株、3.80×10
9コピー/mL)を0.1mL加え、25℃で25時間静置して感作液とした。対照としては、蜂蜜を含まない精製水を用いた。蜂蜜希釈液にウイルス液を添加して2時間の時点で感作液を採取し、磁器ビーズ法(Applied Biosystems MagMAX(商標) CORE Nucleic Acid Purification Kit)によりRNAを抽出し、リアルタイムPCR(Thermo Fisher Scientific StepOnePlus)にてウイルス量(コピー/mL)を算出した。得られたウイルス量の値から、ウイルス減少率を以下の計算式にて算出した。ウイルス減少率が高ければ、殺インフルエンザウイルス効果が高い。結果を表1に示す。
ウイルス減少率(%)=(1-蜂蜜処理区の2時間後のウイルス量÷対照区の2時間後のウイルス量)×100
【表1】
【0043】
表1から、検討した蜂蜜は全て殺ウイルス効果を示すことが分かった。そのうち、甘露蜂蜜及びウルモ蜂蜜は、等濃度のマヌカ蜂蜜、アカシア蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜よりも殺ウイルス効果が高かった。
【0044】
(実施例2 蜂蜜の殺ウイルス効果の検討(2))
被験蜂蜜として、レワレワ蜂蜜(山田養蜂場本社)を使用した。レワレワ蜂蜜1gに精製水を加え、0.25g/mLとなるように希釈し、得られた希釈液にインフルエンザウイルス液(swine influenza virus H1N1 IOWA株、3.80×10
9コピー/mL)を0.1mL加え、25℃で25時間静置して感作液とした。対照としては、蜂蜜を含まない精製水を用いた。蜂蜜希釈液にウイルス液を添加して2時間の時点で感作液を採取し、実施例1と同様に磁器ビーズ法によりRNAを抽出し、リアルタイムPCRにてウイルス量(コピー/mL)を算出した。実施例1と同様に、得られたウイルス量の値から、ウイルス減少率を算出した。
【表2】
【0045】
表2から、レワレワ蜂蜜は殺ウイルス効果を示すことが分かった。ウイルス減少率は、実施例1における等濃度のマヌカ蜂蜜、アカシア蜂蜜、ボダイジュ蜂蜜よりも高かった。