(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032654
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】流体を処理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/04 20060101AFI20240305BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240305BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20240305BHJP
B01D 21/02 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
F01N3/04 A
F01N3/04 Z
F01N3/08 Z
B01D21/01 B
B01D21/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023110890
(22)【出願日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】22192587
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年7月19日にhttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0009250922004997で公開された「Chemical Engineering Science」、第260巻、第117915~117925頁(On the agglomeration and breakage of particles in turbulent flows through pipe bends using CFD-PBE)
(71)【出願人】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カスペル・グラム・ビルデ
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA18
3G091AB11
3G091AB15
3G091BA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】粒子状物質を含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システムは、流体を収容する循環タンクを備え、循環タンクは、流体の一部をブリードオフする出口を備える。システムは、第1の化学物質を流体の一部に添加する第1の手段であって、第1の化学物質が、凝集剤を含む、第1の手段と、流体の一部及び第1の化学物質を含む混合物を受け取り、混合物を第1の画分と第2の画分とに分離する分離デバイスであって、第1の画分が第2の画分よりも多くの粒子状物質を含有する、分離デバイスとを備える。システムは、分離デバイスと第1の手段との間に設けられた第1の凝固デバイスを備える凝固装置を備え、凝固装置は、流体の一部、及び第1の化学物質を保持して、混合物が分離デバイスによって受け取られる前に、流体の一部に含まれる粒子状物質の凝集を促進するように設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状物質を含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理するためのシステム(5、53)であって、
前記流体を収容するための循環タンク(7)であって、前記循環タンク(7)が、前記流体の一部をブリードオフするための出口(23)を備える、循環タンク(7)と、
前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で第1の化学物質を前記流体の前記一部に添加するための第1の手段(9a)であって、前記第1の化学物質が、凝集剤を含む、第1の手段(9a)と、
前記第1の手段(9a)の下流に設けられた入口(39)を備える分離デバイス(15)であって、前記分離デバイス(15)が、前記流体の前記一部、及び前記第1の化学物質を含む混合物を受け取り、前記混合物を第1の画分と第2の画分とに分離するように設けられ、前記第1の画分が、前記第2の画分よりも多くの粒子状物質を含有する、分離デバイス(15)とを備え、
前記システムが、
前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流に、及び前記第1の手段(9a)の下流に設けられた第1の凝固デバイス(29、65)を備える凝固装置(13、57)をさらに備え、
前記凝固装置(13、57)が、パイプ長さを有し、複数のパイプ部分(35、73)を備えるパイプ(33、71)を備え、
前記パイプ(33、71)が、前記パイプ部分(35、73)が互いに沿って少なくとも部分的に延在するように曲げられ、
前記第1の凝固デバイス(29、65)が、前記パイプ部分(35、73)の第1のパイプ部分(35a、73a)を備え、
前記凝固装置(13、57)が、前記流体の前記一部及び前記第1の化学物質を保持して、前記混合物が前記分離デバイス(15)によって受け取られる前に、前記流体の前記一部に含まれる粒子状物質の凝集を促進するように設けられる、システム(5、53)。
【請求項2】
前記第1の凝固デバイス(29、65)の上流に、及び前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流に設けられた第1の混合デバイス(27、61)を更に備え、
前記第1の混合デバイス(27、61)が、前記流体の前記一部において前記第1の化学物質を分散させるように設けられる、請求項1に記載のシステム(5、53)。
【請求項3】
前記第1の混合デバイス(27、61)が静止している、請求項2に記載のシステム(5、53)。
【請求項4】
前記第1の凝固デバイス(29、65)が静止している、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(5、53)。
【請求項5】
前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第2の化学物質を前記流体の前記一部に添加するための第2の手段(9b)を更に備え、
前記第2の化学物質が、凝固剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(5、53)。
【請求項6】
前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第3の化学物質を前記流体の前記一部に添加するための第3の手段(9c)を更に備え、
前記第3の化学物質が、前記流体の前記一部のpHを6~8にするために、アルカリ剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(5、53)。
【請求項7】
前記凝固装置(13、57)が、前記システム(5)の使用の通常状態において、幅(W)、長さ(L)、及び高さ(H)を有し、前記高さ(H)が、前記幅(W)を超える、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム(5、53)。
【請求項8】
前記凝固装置(13、57)の前記幅(W)、前記長さ(L)、及び前記高さ(H)のうちの少なくとも1つが、前記パイプ(33、71)の前記パイプ長さの1/10未満である、請求項7に記載のシステム(5、53)。
【請求項9】
前記パイプ(33、71)が、100より大きいパイプ長さ/直径比、及び/または10秒~100秒、より好ましくは20秒~40秒の保持時間を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム(5、53)。
【請求項10】
粒子状物質を含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理する方法であって、
前記流体を循環タンク(7)内に収容するステップ(ステップA)と、
前記循環タンク(7)から前記循環タンク(7)の出口(23)を通って前記流体の一部をブリードオフするステップ(ステップB)と、
第1の手段(9a)を経て、前記循環タンク(7)の前記出口の下流で、第1の化学物質を前記流体の前記一部に添加するステップであって、前記第1の化学物質が、凝集剤を含む、ステップ(ステップD)と、
分離デバイス(15)において、前記第1の手段(9a)の下流に設けられた前記分離デバイス(15)の入口(39)を通って、前記流体の前記一部と前記第1の化学物質とを含む混合物を受け取るステップ(ステップH)と、
前記分離デバイス(15)の手段によって、前記混合物を第1の画分と第2の画分とに分離するステップであって、前記第1の画分が、前記第2の画分よりも多くの粒子状物質を含有する、ステップ(ステップI)とを含み、
前記方法が、
前記流体の前記一部及び前記第1の化学物質を、前記分離デバイス(15)の前記入口の上流に、及び前記第1の手段(9a)の下流に設けられた第1の凝固デバイス(29,65)を備える凝固装置(13,57)を通して搬送するステップ(ステップF)を更に含み、
前記凝固装置(13、57)が、複数のパイプ部分(35、73)を備えるパイプ(33、71)を備え、
前記パイプ(33、71)が、前記パイプ部分(35、73)が互いに沿って少なくとも部分的に延在するように曲げられ、
前記第1の凝固デバイス(29、65)が、前記パイプ部分(35、73)の第1のパイプ部分(35a、73a)を備え、
前記凝固装置(13、57)が、前記流体の前記一部及び前記第1の化学物質を保持して、前記混合物が前記分離デバイス(15)に受け取られる前に、前記流体の前記一部に含まれる粒子状物質の凝集を促進するように設けられる、方法。
【請求項11】
前記第1の凝固デバイス(29、65)の上流に、及び前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流に設けられた第1の混合デバイス(27、61)において、前記第1の化学物質と前記流体の前記一部とを混合するステップ(ステップE)を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の混合デバイス(27、61)が静止している、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の凝固デバイス(29、65)が静止している、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2の手段(9b)を経て、前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第2の化学物質を前記流体の前記一部に添加するステップ(ステップG)を更に含み、
前記第2の化学物質が、凝固剤を含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第3の手段(9c)を経て、前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第3の化学物質を前記流体の前記一部に添加するステップ(ステップC)を更に含み、
前記第3の化学物質が、前記流体の前記一部のpHを6~8にするために、アルカリ剤を含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質を含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重油、ディーゼル及びLNGなどの化石燃料は広く知られており、多くの様々な用途で使用されている。例えば、大型船は、化石燃料で動作するエンジンによって通常駆動される。化石燃料の燃焼時には、硫黄酸化物(SOX)を含有する排気ガスが形成される。排気ガスは、煤などの粒子状物質-PM、油及び重金属、ならびに窒素酸化物(NOX)も通常含有する。排気ガスの環境への影響を低減するために、排気ガスは、大気中に放出される前に浄化されるべきである。例えば、排気ガスは、スクラバまたは湿式静電集塵器を通過して、流体で洗浄されてもよく、それによって、排気ガス中の汚染物質が流体に捕捉される。
【0003】
スクラバは、海水の天然アルカリ度を使用して排気ガスから硫黄酸化物を洗浄する、いわゆるオープン・ループ・スクラバであってもよい。次いで、海水は、排気ガスからSOX及びPMを吸収するためにスクラバを通って海から供給され、その後、直接海に排出される。オープン・ループ・スクラバ作業は、多くの港、内陸河川及び海岸付近で禁止されている。
【0004】
あるいは、スクラバは、水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(Na2CO3)のようなアルカリ剤と組み合わせて、淡水または海水を含有する循環するスクラバ流体を使用し、排気ガスから硫黄酸化物及びPMを洗浄する、いわゆるクローズド・ループ・スクラバであってもよい。このようなスクラバでは、循環するスクラバ流体中の亜硫酸塩、硫酸塩及びPMの量は、徐々に増加する。したがって、循環するスクラバ流体の品質を制御するために、少量のスクラバ流体が、断続的または連続的にブリードオフされ、清浄なスクラバ流体に置き換えられ得る。スクラバが船舶で使用される場合、ブリードオフされたスクラバ流体は、船舶に貯蔵されるか、または船外に排出され得る。船外に排出される流体は、過剰に汚染されてはならない。したがって、ブリードオフされたスクラバ流体が周囲の水に放出される前に浄化することが通常必要である。
【0005】
特許文献1は、汚染されたスクラバ流体を、PMの大部分を含有する汚染物質相と、浄化されたスクラバ流体とに分離するために、遠心分離器を備える排気ガススクラバ流体浄化装置を記載している。この排気ガス浄化機器は良好に機能するが、船外に排出される、PMを十分に含まない浄化されたスクラバ流体を実現するほど、実効的に、分離され汚染されたスクラバ流体を処理し得ない可能性がある。浄化されたスクラバ流体は、船外に排出され得ない場合、後の排出のために船舶に貯蔵されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第20130157833号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の問題を少なくとも部分的に解決する、粒子状物質PMを含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理するためのシステム及び方法を提供することである。本発明の基本概念は、流体内のPMが比較的大きな粒子凝集体を形成して、流体からのPMの除去を容易にすること、を確実にすることである。本発明によるシステム及び方法を添付の特許請求の範囲に定義し、以下に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるシステムは、PMを含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を収容する循環タンクを備え、循環タンクは、流体の一部をブリードオフするための出口を有する。システムは、循環タンクの出口の下流で、第1の化学物質を流体のブリードオフ部に添加するための第1の手段を更に備え、第1の化学物質は、凝集剤を含む。また、システムは、化学物質添加第1の手段の下流に設けられた入口を有する分離デバイスを備える。分離デバイスは、流体のブリードオフ部と第1の化学物質とを含有する混合物を受け取り、混合物を第1の画分と第2の画分とに分離するように設けられ、第1の画分は、第2の画分よりも多くのPMを含有する。システムは、分離デバイスの上記入口の上流に、及び化学物質添加第1の手段の下流に設けられた第1の凝固デバイスを含む凝固装置を更に備える。凝固装置は、パイプを備え、パイプは複数のパイプ部分を備える。パイプは、パイプ部分が互いに沿って少なくとも部分的に延在するように曲げられる。第1の凝固デバイスは、パイプ部分のうちの第1のデバイス部分を備える。凝固装置は、流体のブリードオフ部及び第1の化学物質を収容、保存または保持して、それらの乱流撹拌を引き起こし、混合物が分離デバイスによって受け取られる前に、流体のブリードオフ部に含まれるPMの凝集を促進するように設けられる。
【0009】
「上流」とは、システムを通る流体の流れ方向において見たとき「前」を意味する。同様に、「下流」とは、システムを通る流体の流れ方向において見たとき「後」を意味する。
【0010】
システムは、船舶に搭載された舶用機関、船舶に搭載された舶用バーナ、または船舶に搭載された舶用ボイラからの排気ガスを浄化するために使用される流体を処理するために設けられ得る。
【0011】
流体は、淡水及び/または海水を含んでもよい。
【0012】
任意の適切な凝集剤、例えば、塩化アルミニウム、塩化鉄またはアルミン酸ナトリウムなどの金属凝集剤を、システムに使用してもよい。
【0013】
任意の適切な分離デバイス、例えば、高速分離器、沈殿池、浮揚デバイスもしくは場合によっては膜、またはこれらの任意の組合せを、システムに使用してもよい。
【0014】
化学物質添加第1の手段は、例えば、第1の凝固デバイスの上流、場合によっては凝固装置の上流など、様々な位置に設けられてもよい。
【0015】
上記のように、分離デバイスは、混合物を汚染された第1の画分と、清浄な第2の画分とに分離するように設けられる。第1の画分は、システムから除去され、後の廃棄のためにスラッジタンクなどに貯蔵されてもよい一方で、第2の画分は、場合によっては海洋利用で船外に排出され、及び/または流体の補充として循環タンクに戻されてもよい。分離デバイスは、分離を実施し、第1の画分中のPMを濃縮するために、密度及び粒径の差を使用してもよい。通常、PMは、比較的小さい粒径を有し、粒子体積分率が比較的小さい。これら2つの要因により、分離デバイス効率が低下する可能性がある。凝集剤をPM含有流体に添加すると、PM凝集、すなわち流体の残りの部分からの分離が容易であり得る比較的大きく、重いPM凝集体を形成する。したがって、凝集剤の添加は、分離デバイスの効率を改善し得る。
【0016】
凝集剤が、循環タンクの上流でなく、または循環タンク内ではなく、循環タンクの下流の流体のブリードオフ部に、「インライン」で供給されるという事実は、有利である。第1に、この凝集剤投入点は、凝集剤が必要な場所に、すなわち分離デバイスによって処理される流体画分のみに、正確に添加されることを意味する。第2に、凝集剤は、流体中のPMに付着するように構成されるので、第1の画分になるようにも、主に構成される。したがって、本発明による凝集剤投入点は、完全なシステムを通って循環される化学物質を少なくし、これにより、噴霧ノズル及び熱交換器などの様々なシステム構成要素の汚染及び閉塞のリスクを低減し得る。第3に、この凝集剤投入点では、PM凝集は、循環タンクと分離デバイスとの間で、すなわち形成された凝集体の分解を最小限にするシステム内の最適な位置で、主に起こる。
【0017】
システムが凝固装置を備えることで、PM凝集が促進される。凝固装置は、PMが大きな凝集体に凝集するために十分な保持時間を与える制御された環境を提供する。第1の凝固デバイスが分離デバイスと化学物質添加第1の手段との間に「インライン」で設けられているという事実は、有利である。第1に、この第1の凝固デバイスの位置は、PM凝集が、それが必要とされる場所に、すなわち分離デバイスによって処理される流体画分のみに対して、正確に促進されることを意味する。第2に、この第1の凝固デバイスの位置では、PM凝集は、循環タンクと分離デバイスとの間で、すなわち形成された凝集体の分解を最小限にするシステム内の最適な場所で、主に行われる。これにより、分離デバイスの直前に強力で安定したPM凝集が確保され、分離デバイスの効率の向上、及びシステム全体を循環する化学物質の量の減少が促進され、ひいては様々なシステム構成要素の汚染及び閉塞のリスクを低減し得る。
【0018】
第1の凝固デバイスは、任意の適切なタイプのものであってもよい。例えば、第1の凝固デバイスは、流体のブリードオフ部における安定で穏やかであるが、それでも効果的なPM凝集を可能にするために、静的または油圧式であってもよく、すなわち可動構成要素を欠いていてもよい。静的な第1の凝固デバイスは、任意の適切な構成を有してもよい。
【0019】
凝固装置のパイプは、1以上の混合デバイスなどの他の構成要素の統合を可能にするために、連続的であってもよく、あるいは不連続的または断続的であってもよい。パイプは、様々な方法で曲げられてもよい。例えば、それは、円形矩形断面を有するコイルまたは螺旋を形成するように、水平面内で90度に、更に垂直面内でわずかに上方に、複数回曲げられてもよい。別の例として、細長い断面を有するコイルまたは螺旋を形成するように、水平面内で180度に、更に垂直面内でわずかに上方に、複数回曲げられてもよい。最終的な例として、それは、円形断面を有するコイル、いわゆる螺旋状コイルを形成するために、水平面内で360度に、更に垂直面内でわずかに上方に、複数回曲げられもよい。螺旋状コイル設計は、比較的低コストで凝固装置の製造を可能にするので、有益である。更に、螺旋状コイル設計は、コンパクトであり、既存の機器との容易な統合を可能にする。また、螺旋状コイル設計の一定の曲率は、PM凝集を促進する。
【0020】
したがって、本発明によるシステムは、凝集剤の投入及び流体保持を含む流体インライン処理を提供し、凝集プロセスの改善された制御を可能にし、その結果、分離デバイスによる効果的な分離を可能にし、後の廃棄のために貯蔵され得る濃縮された汚れた第1の画分、及び場合によっては海洋利用で使用されるシステムのために、PMを十分に含まない、船外に排出される清浄な第2の画分をもたらす。
【0021】
システムは、第1の凝固デバイスの上流に、及び循環タンクの出口の下流に設けられた第1の混合デバイスを備え得る。混合デバイスは、流体のブリードオフ部において第1の化学物質を分散させるように設けられ得る。これは、流体のブリードオフ部における均一な化学物質分布、それによる最適なPM凝集を確実にし得る。
【0022】
第1の混合デバイスは、化学物質添加第1の手段の下流に設けられてもよい。あるいは、第1の混合デバイス及び化学物質添加第1の手段は、「整列」されてもよく、すなわち、流体のブリードオフ部の流れ方向において見て同じ位置に設けられてもよく、言い換えれば、第1の化学物質を第1の混合デバイスに直接供給するために、化学物質添加第1の手段を第1の混合デバイスに接続してもよい。
【0023】
第1の混合デバイスは、任意の適切なタイプのものであってもよい。例えば、第1の混合デバイスは、後続のPM凝集を促進する流体のブリードオフ部における安定で迅速な、したがって効果的な化学物質分散を可能にするために、静的であってもよく、すなわち可動構成要素を欠いていてもよい。静的な第1の混合デバイスは、任意の適切な構成を有してもよい。一例として、静的な第1の混合デバイスは、循環タンクの出口と、分離デバイスの入口との間の接続部の流体通過面積の局所的な減少によって、例えば、局所的に減少した内寸または部分的な閉塞によって、実現されてもよい。別の例として、静的な第1の混合デバイスは、押出静止型混合であってもよく、すなわち、循環タンクの出口と、分離デバイスの入口との間の接続部の内側に1以上のプレートまたはバッフルを局所的に設けることによって実現されてもよい。
【0024】
システムは、循環タンクの出口の下流で、及び分離デバイスの入口の上流で、第2の化学物質を流体のブリードオフ部に添加するための第2の手段を更に備え得る。第2の化学物質は、流体のブリードオフ部におけるPM凝集を更に促進するために、凝固剤を含み得る。任意の適切な凝固剤、例えば、物理的長さ、カップリング及び強度に関して様々な特性を有するアニオン性、カチオン性または非イオン性タイプのポリマー凝固剤を、システムに使用してもよい。
【0025】
化学物質添加第2の手段は、様々な位置に設けられてもよい。一例として、第2の手段は、第1の凝固デバイスの上流に、場合によっては凝固装置の上流に、設けられてもよい。更に、第2の手段は、第2の化学物質を第1の混合デバイスに直接供給するために、第1の混合デバイスに接続されてもよい。
【0026】
システムは、循環タンクの出口の下流で、及び分離デバイスの入口の上流で、第3の化学物質を流体のブリードオフ部に添加するための第3の手段を更に備えてもよい。第3の化学物質は、流体のブリードオフ部のpHを6~8にするために、アルカリ剤を含んでもよい。そのようなpHは、流体のブリードオフ部におけるPM凝集を促進し得る。任意の適切なアルカリ剤を、例えば水酸化ナトリウム及び/または水酸化マグネシウムを、システムに使用してもよい。
【0027】
化学物質添加第3の手段は、様々な位置に設けられてもよい。一例として、第3の手段は、第1の凝固デバイスの上流に、場合によっては凝固装置の上流に、設けられてもよい。更に、第3の手段は、第1の混合デバイスの上流に、循環タンクからブリードオフされる流体を供給するためのポンプの上流または下流に、設けられてもよい。
【0028】
循環タンクの下流の流体のブリードオフ部に向けた凝固剤及び/またはアルカリ剤の「インライン」の供給は、凝集剤の供給のために上述したものと同じ理由で有利である。
【0029】
化学物質添加第1の手段、第2の手段及び第3の手段は、任意の適切なタイプであってもよい。例えば、第1の手段、第2の手段、及び第3の手段の各々は、タンクと、第1の化学物質、第2の化学物質及び第3の化学物質を供給するそれぞれのタンクから流体のブリードオフ部にそれぞれ延在する導管と、それぞれの導管を通るそれぞれの化学物質の流れを調整するための1以上の弁と、を含んでもよい。
【0030】
凝固装置は、システムの使用の通常状態において、幅、長さ、及び高さがあり、高さは幅を超える。これに関連して、最大幅、最大長さ、及び最大高さが、意味をなす。凝固装置の幅、長さ及び高さのうちの少なくとも1つ、場合によっては2つまたはすべては、パイプのパイプ長さの1/10未満であってもよい。パイプは、パイプ長さとパイプ直径との比が100より大きく、及び/または保持時間が10秒~100秒、より好ましくは20秒~40秒であってもよい。凝固装置のこのような構成は、システムの設置面積を最小限に抑え、これはスペースが不足している用途、例えば船舶での用途において有利である。
【0031】
本発明による方法は、PMを含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理するためのものである。本方法は、
流体を循環タンク内に収容するステップと、
循環タンクから循環タンクの出口を通って流体の一部をブリードオフするステップと、
第1の手段を経て、循環タンクの出口の下流で、第1の化学物質を流体のブリードオフ部に添加するステップであって、第1の化学物質が、凝集剤を含む、ステップと、
分離デバイスにおいて、第1の手段の下流に設けられた分離デバイスの入口を通って、流体のブリードオフ部と第1の化学物質とを含む混合物を受け取るステップと、
分離デバイスの手段によって、混合物を第1の画分と第2の画分とに分離するステップであって、第1の画分が、第2の画分よりも多くのPMを含有する、ステップと
を含む。
【0032】
本方法は、
流体のブリードオフ部及び第1の化学物質を、分離デバイスの入口の上流に、及び第1の手段の下流に設けられた第1の凝固デバイスを備える凝固装置を通して搬送するステップを更に含む。凝固装置は、パイプを備え、パイプは複数のパイプ部分を備える。パイプは、パイプ部分が互いに沿って少なくとも部分的に延在するように曲げられる。第1の凝固デバイスは、パイプ部分のうちの第1のデバイス部分を備える。凝固装置は、流体のブリードオフ部及び第1の化学物質を収容、保存または保持して、それらの乱流撹拌を引き起こし、混合物が分離デバイスに受け取られる前に、流体のブリードオフ部に含まれるPMの凝集を促進するように設けられる。
【0033】
凝固装置は、流体のブリードオフ部及び第1の化学物質を10秒~100秒間、好ましくは20秒~40秒間、保持するように設けられ得る。
【0034】
本方法は、第1の凝固装置の上流に、及び循環タンクの出口の下流に設けられた第1の混合デバイスにおいて、第1の化学物質と流体のブリードオフ部とを混合するステップを更に含み得る。
【0035】
上記に沿って、第1の混合デバイスは、静止していてもよく、及び/または第1の凝固デバイスは、静止していてもよい。
【0036】
本方法は、第2の手段を経て、循環タンクの出口の下流で、及び分離デバイスの入口の上流で、第2の化学物質を流体のブリードオフ部に添加するステップであって、第2の化学物質が凝固剤を含む、ステップを更に含み得る。
【0037】
本方法は、第3の手段を経て、循環タンクの出口の下流で、及び分離デバイスの入口の上流で、第3の化学物質を流体のブリードオフ部に添加するステップであって、第3の化学物質が、流体のブリードオフ部のpHを6~8にするために、アルカリ剤を含む、ステップを更に含み得る。
【0038】
本方法のステップは、上記の順序で実施されても、されなくてもよい。
【0039】
本発明によるシステムの様々な実施形態の上述の利点は、本発明による方法の対応する様々な実施形態にも存在する。
【0040】
本発明の更に他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【0041】
次に、添付の概略図を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図2a】
図1のシステムの一部の第1の側面図である。
【
図3】本発明による排気ガスを浄化する方法を示すフローチャートである。
【
図4a】
図2aに対応し、関連部の第1の代替実施形態を示す図である。
【
図4b】
図2bに対応し、関連部の第1の代替実施形態を示す図である。
【
図4c】
図2cに対応し、関連部の第1の代替実施形態を示す図である。
【
図5a】
図2aに対応し、関連部の第2の代替実施形態を示す図である。
【
図5b】
図2bに対応し、関連部の第2の代替実施形態を示す図である。
【
図5c】
図2cに対応し、関連部の第2の代替実施形態を示す図である。
【
図6】本発明の代替的な実施形態によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図7a】
図6のシステムの一部の第1の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、船舶(図示せず)を推進するためのエンジン1を示しており、エンジン1は、粒子状物質PMを含む汚染物質を含有する排気ガスを生成する。更に、
図1は、エンジン1からの排気ガスが供給され、排気ガスから汚染物質を吸収する循環流体で洗浄されるスクラバ3と、流体を処理する、より詳細にはPMから流体を浄化するためのシステム5と、を示す。システム5は、循環タンク7と、第1の化学物質、第2の化学物質及び第3の化学物質をそれぞれ供給するための第1の手段9aと、第2の手段9bと、第3の手段9cと、混合装置11(ここでは、第1の混合デバイスに等しい)と、凝固装置13(ここでは、第1の凝固デバイスに等しい)と、分離デバイス15と、を備える。第1の化学物質供給手段9a、第2の手段9b、及び第3の手段9cは、混合装置11及び凝固装置13と共に、分離デバイス15の上流の流体処理のための事前処理装置を形成する。
図1には、分離デバイス15に連通する汚泥タンク19も示している。
【0044】
図3は、
図1のシステム5の手段によって、流体を処理する、より具体的には流体をPMから浄化する方法を示している。スクラバ3を循環する流体は、循環タンク7に収容される(ステップA)。連続的に、または一定の時間間隔で断続的に、流体の一部がポンプ21の手段によって、循環タンク7の出口23を通って圧送され、循環タンク7からブリードオフされる(ステップB)。水酸化ナトリウムを含む第3の化学物質は、第3の化学物質供給手段9cの手段によって、ポンプ21の上流の流体のブリードオフ部に供給される(ステップC)。第3の化学物質の投入は、流体のブリードオフ部において、6~8(最も効果的なPM凝集のために、好ましくは約6.4)のpHが実現されるようなものである。同様に、ポリ塩化アルミニウムを含む第1の化学物質は、第1の化学物質供給手段9aの手段によって、ポンプ21の下流の流体のブリードオフ部に供給される(ステップD)。流体のブリードオフ部の流れ方向において見て、水酸化ナトリウム及びポリ塩化アルミニウムは、
図1及び
図3に示すように、様々な位置に、または代替として同じ位置に、供給されてもよい。ブリードオフ流体を含有する化学物質は、化学物質とブリードオフ流体とを混合するための混合装置11を通って搬送され(ステップE)、凝固装置13を通って搬送され(ステップF)、混合装置11及び凝固装置13は、
図2a、
図2b及び
図2cに示している。
【0045】
図2a、
図2b及び
図2cから明らかなように、混合装置11及び凝固装置13は、1つのユニット25に統合される。再び
図1を参照すると、混合装置11は、凝固装置13に備えられる第1の凝固デバイス29に接続される第1の混合デバイス27を備える。更に、第1の混合デバイス27は、「i」において、カチオン性ポリマー凝固剤を含む第2の化学物質を流体のブリードオフ部に供給するための第2の化学物質供給手段9bに接続される(ステップG)。第1の混合デバイス27は、静止しており、フランジ付きパイプ31と、混合物を形成するように流体のブリードオフ部において第1の化学物質、第2の化学物質及び第3の化学物質を効果的で、均一に分散させるためにパイプの内側に設けられた流体速度及び乱流増加バッフル(図示せず)と、を備える。第1の凝固デバイス29は静止しており、フランジ付きパイプ33を備える。パイプの長さとパイプの直径との比は、100より大きい。パイプ33は、複数(ここでは15)の一体的に形成されたパイプ部分35を備える。パイプ部分35の第1のパイプ部分35aは、第1の混合デバイス27に接続される。パイプ33は、コイルを形成するために、x-y平面で180度(
図2b)に、更にz方向にわずかに上方(
図2c)に、複数回(ここでは14回)曲げられ、これにより、パイプ部分35は、それらの長さの一部に沿って、互いに沿って平行に延在する。パイプ部分35は、第1の凝固デバイス29、したがって凝固装置13が幅W、長さL及び高さHを有するような寸法である。凝固装置13の幅W、長さL及び高さHの各々は、パイプ33の長さの1/10未満である。更に、高さHは、凝固装置13の占有面積を小さくするように、比較的小さい幅Wを実質的に超える。
【0046】
上記のように、第1の化学物質は、第1の混合デバイス27よりも前に、流体のブリードオフ部に供給される。ポンプ21の存在は、流体のブリードオフ部に均一な凝集剤分布の実現に適した第1の混合デバイス27の前に、高度な乱流状態を作り出す。凝集剤供給後、流体のブリードオフ部内のPMは、小さなPM凝集体を形成し始める。次いで、第2の化学物質は、第1の混合デバイス27の内部の流体のブリードオフ部に供給され、流体のブリードオフ部において均一な凝固剤分布を実現する。得られた混合物は、第1の混合デバイス27から、第1の凝固デバイス29に等しい凝固装置13に搬送される。凝固装置13の内部では、PM凝集はますます大きなPM凝集体を形成し続ける。パイプ33の長さ、及びパイプ33の曲がりの回数は、混合物がここでは20秒~40秒である最適時間にわたって凝固装置13によって保持されるように、選択される。この最適時間は、凝固装置13の出口37で定常状態の凝集をもたらし、これは、PM凝集体が同じ速度で形成され分解されることを意味する。
【0047】
再び
図1を参照すると、ここで凝集したPM、またはPM凝集体を含有する混合物は、凝固装置13から搬送され、その入口39を通って分離デバイス15に受け取られる(ステップH)。ここで、分離デバイス15は、高速分離器である。分離デバイス15は、混合物を第1の画分と第2の画分とに分離する(ステップI)。混合物が分離デバイス15に供給される前に、ブリードオフ流体の本発明の独自のインライン処理により、PM凝集、したがって分離デバイス15の効率は、最適化され得る。その結果、第1の画分は、ほとんどのPM及び化学物質を含有し、第2の画分は、極めて少量のPM及び化学物質を含有し、当然のことながら、局所的な状況に応じて船外に排出されるために通常極めて少量である。これにより、第1の画分は、後の処理のために、分離デバイス15から汚泥タンク19に供給される。第2の画分は、場合によっては図示されていない機器の手段による品質管理の後で、船外に排出されるか、または循環タンク7に戻される。
【0048】
図4a、
図4b及び
図4cは、
図1に示すシステム5の、符号41で示す凝固装置の代替設計を示す。凝固装置41は、コイルを形成するために、x-y平面で90度(
図4b)に、更にz方向にわずかに上方(
図4c)に、複数回曲げられたフランジ付きパイプ45を備える第1の凝固デバイス43を含む点で、凝固装置13と主に異なる。
【0049】
図5a、
図5b及び
図5cは、
図1に示すシステム5の、符号47で示す凝固装置の更に別の設計を示す。凝固装置47は、コイルを形成するために、x-y平面で360度(
図5b)に、更にz方向にわずかに上方(
図5c)に、複数回曲げられたフランジ付きパイプ51を備える第1の凝固デバイス49を備える点で、凝固装置13と主に異なる。
【0050】
図6は、
図1に対応するが、流体を処理するために、符号53で示すシステムの代替実施形態を示す。以下、システム53をシステム5と区別する特徴に着目する。
【0051】
システム53は、循環タンク7と、第1の化学物質、第2の化学物質及び第3の化学物質をそれぞれ供給するための第1の手段9aと、第2の手段9bと、第3の手段9cと、混合装置55(ここでは、第1の混合デバイス及び第2の混合デバイスから形成される)と、凝固装置57(ここでは、第1の凝固デバイス及び第2の凝固デバイスから形成される)と、分離デバイス15と、を備える。第1の化学物質供給手段9aと、第2の手段9bと、第3の手段9cは、混合装置55及び凝固装置57と共に、分離デバイス15の上流の流体処理のための事前処理装置を形成する。
【0052】
システム53によって処理される流体は、ポンプ21の手段によって、循環タンク7の出口23を通って圧送され、循環タンク7からブリードオフされる。水酸化ナトリウムを含む第3の化学物質は、第3の化学物質供給手段9cによってポンプ21の下流の流体のブリードオフ部に供給され、その中で6~8のpHを実現する。ブリードオフ流体を含有する化学物質は、化学物質とブリードオフ流体とを混合するための混合装置55を通り、凝固装置57を通って搬送され、混合装置55及び凝固装置57は、
図7a、
図7b及び
図7cに示す。
【0053】
図7a、
図7b、及び
図7cから明らかなように、混合装置55及び凝固装置57は、1つのユニット59に統合される。再び
図6を参照すると、混合装置55は、断続的であり、第1の混合デバイス61と、第2の混合デバイス63と、を備える一方で、凝固装置57は、断続的であり、第1の凝固デバイス65と、第2の凝固デバイス67と、を備える。第1の混合デバイス61は、第1の凝固デバイス65に接続され、次に、第2の混合デバイス63に接続され、次に、第2の凝固デバイス67に接続される。更に、第1の混合デバイス61は、「j」において、凝集剤を含む第2の化学物質を流体のブリードオフ部に供給するために、第1の化学物質供給手段9aに接続される。同様に、第2の混合デバイス63は、「k」において、凝固剤を含む第2の化学物質を、流体のブリードオフ部に供給するために、第2の化学物質供給手段9bに接続される。
図7a、
図7b及び
図7cはまた、水酸化ナトリウムを含む第3の化学物質の供給ための場所を、「l」で示している。
【0054】
第1の混合デバイス61及び第2の混合デバイス63の各々は静止しており、フランジ付きパイプ69と、混合物を形成するように流体のブリードオフ部において効果的で、均一に化学物質分散させるためにパイプの内側に設けられた流体速度及び乱流増加バッフル(図示せず)と、を備える。凝固装置57は静止しており、フランジ付きパイプ71を備える。パイプの長さとパイプの直径との比は、100より大きい。パイプ71は、複数(ここでは18本)の一体的に形成されたパイプ部分73を含み、その一部(ここでは5本)は、第1の凝固デバイス65に備えられ、一部(ここでは13本)は、第2の凝固デバイス67に備えられる。パイプ部分73の第1のパイプ部分73aは、第1の凝固デバイス65内に備えられ、第1の混合デバイス61に接続される。パイプ71は、(第2の混合デバイス63と共に)コイルを形成するために、x-y平面内で180度(
図7b)に、更にz方向にわずかに上方(
図7c)に、複数回(ここでは16回、そのうち4回は第1の凝固デバイス65で、12回は第2の凝固デバイス67)曲げられ、これにより、パイプ部分73は、それらの長さの一部に沿って、互いに沿って平行に延在する。パイプ部分73は、凝固装置57が幅W、長さL及び高さHを有するような寸法である。凝固装置57の幅W、長さL及び高さHの各々は、パイプ71の長さの1/10未満である。更に、高さHは、凝固装置57の占有面積を小さくするように、比較的小さい幅Wを実質的に超える。
【0055】
第1の化学物質は、第1の混合デバイス61の内部の流体のブリードオフ部に供給され、流体のブリードオフ部に均一な凝集剤分布を実現する。得られた混合物は、第1の混合デバイス61から第1の凝固デバイス65に搬送され、そこで小さなPM凝集体が形成される。次いで、第2の化学物質は、第2の混合デバイス63の内部の流体のブリードオフ部に供給され、流体のブリードオフ部において均一な凝固剤分布を実現する。得られた混合物は、第2の混合デバイス63から第2の凝固デバイス67に搬送され、そこでますます大きなPM凝集体が形成される。パイプ73の長さ、及びパイプ73の曲がりの回数は、混合物がここでは20秒~40秒である最適時間にわたって凝固装置57によって保持されるように選択される。この最適時間は、凝固装置57の出口75で定常状態の凝集をもたらす。
【0056】
再び
図6を参照すると、ここで凝集したPM、またはPM凝集体を含有する混合物は、凝固装置57から分離デバイス15に搬送され、汚染された第1の画分と、清浄な第2の画分とに分離される。
【0057】
本明細書では、混合物とは、場合によっては凝集したPMを含有するブリードオフ流体と、第1の化学物質、第2の化学物質及び第3の化学物質のうちの1以上と、の任意の種類の混合を意味する。
【0058】
弁、ポンプ、センサ、パイプ、接続部、投入機器など、システムを適切に機能させるために必要なすべての構成要素を、本明細書には記載しておらず、図に示していないことを強調しておく必要がある。
【0059】
上述した本発明の実施形態は、一例としてのみ見るべきである。当業者は、本発明の概念から逸脱することなく、説明した実施形態を複数の方法で変更し得ることを理解する。
【0060】
一例として、システムは、3つの異なる化学物質を供給するために、3つの化学物質添加手段を備える必要はないが、3つ以上または3つ未満の異なる化学物質を供給するために、3つ以上または3つ未満の化学物質添加手段を備えてもよい。例えば、システムは、アルカリ剤を添加する手段なしで設計されてもよい。
【0061】
化学物質の投入点の数及び位置は、図に示したもの、上述したものである必要はない。一例として、すべての化学物質が、システムの混合デバイスのうちの1つに供給されてもよい。
【0062】
システムは、1つまたは2つの混合デバイスを備える必要はなく、任意の数の混合デバイスを備えてもよい。
【0063】
同様に、システムは、1つまたは2つの凝固デバイスを備える必要はなく、任意の数の凝固デバイスを備えてもよい。
【0064】
第1の凝固デバイス及び第2の凝固デバイスを、図に示したように、上述したように構成される必要はないが、任意の適切な数の屈曲及びパイプ部分を備えてもよい。
【0065】
第1の、第2の、第3の、…、及びA、B、C、…、などの属性は、同じ種類の分類間を区別するためだけに本明細書で使用され、分類間のいかなる種類の相互順序も表さないことを強調すべきである。
【0066】
本文を通して、「連通する」及び「連通」は、それぞれ「直接的または間接的に連通する」及び「直接的または間接的な連通」を意味することを強調すべきである。同様に、本文全体を通して「受け取る」、「供給する」などは、それぞれ「直接的または間接的に受け取る」及び「直接的または間接的に供給する」を意味する。
【0067】
本発明に関連しない詳細の説明は省略されており、図面は単に概略的なものであり、縮尺通りに描かれていないことを強調すべきである。また、一部の図面は、他の図面よりも簡略化されていると言うべきである。したがって、いくつかの構成要素は、任意の図では示されているが、別の図では省略されている場合がある。
【符号の説明】
【0068】
1 エンジン、3 スクラバ、5 システム、7 循環タンク、9a 第1の化学物質供給手段、9b 第2の化学物質供給手段、9c 第3の化学物質供給手段、11 混合装置,第1の混合デバイス、13 凝固装置,第1の凝固デバイス、15 分離デバイス、19 汚泥タンク、21 ポンプ、23 出口、25 ユニット、27 第1の混合デバイス、29 第1の凝固デバイス、33 フランジ付きパイプ、35 パイプ部分、35a 第1のパイプ部分、37 出口、39 入口、41 凝固装置、43 第1の凝固デバイス、45 フランジ付きパイプ、47 凝固装置、49 第1の凝固デバイス、51 フランジ付きパイプ、53 システム、55 混合装置、57 凝固装置、59 ユニット、61 第1の混合デバイス、63 第2の混合デバイス、65 第1の凝固デバイス、67 第2の凝固デバイス、69 フランジ付きパイプ、71 フランジ付きパイプ、73 パイプ部分、73a 第1のパイプ部分、75 出口
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状物質を含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理するためのシステム(5、53)であって、
前記流体を収容するための循環タンク(7)であって、前記循環タンク(7)が、前記流体の一部をブリードオフするための出口(23)を備える、循環タンク(7)と、
前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で第1の化学物質を前記流体の前記一部に添加するための第1の手段(9a)であって、前記第1の化学物質が、凝集剤を含む、第1の手段(9a)と、
前記第1の手段(9a)の下流に設けられた入口(39)を備える分離デバイス(15)であって、前記分離デバイス(15)が、前記流体の前記一部、及び前記第1の化学物質を含む混合物を受け取り、前記混合物を第1の画分と第2の画分とに分離するように設けられ、前記第1の画分が、前記第2の画分よりも多くの粒子状物質を含有する、分離デバイス(15)とを備え、
前記システムが、
前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流に、及び前記第1の手段(9a)の下流に設けられた第1の凝固デバイス(29、65)を備える凝固装置(13、57)をさらに備え、
前記凝固装置(13、57)が、パイプ長さを有し、複数のパイプ部分(35、73)を備えるパイプ(33、71)を備え、
前記パイプ(33、71)が、前記パイプ部分(35、73)が互いに沿って少なくとも部分的に延在するように曲げられ、
前記第1の凝固デバイス(29、65)が、前記パイプ部分(35、73)の第1のパイプ部分(35a、73a)を備え、
前記凝固装置(13、57)が、前記流体の前記一部及び前記第1の化学物質を保持して、前記混合物が前記分離デバイス(15)によって受け取られる前に、前記流体の前記一部に含まれる粒子状物質の凝集を促進するように設けられる、システム。
【請求項2】
前記第1の凝固デバイス(29、65)の上流に、及び前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流に設けられた第1の混合デバイス(27、61)を更に備え、
前記第1の混合デバイス(27、61)が、前記流体の前記一部において前記第1の化学物質を分散させるように設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の混合デバイス(27、61)が静止している、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の凝固デバイス(29、65)が静止している、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第2の化学物質を前記流体の前記一部に添加するための第2の手段(9b)を更に備え、
前記第2の化学物質が、凝固剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第3の化学物質を前記流体の前記一部に添加するための第3の手段(9c)を更に備え、
前記第3の化学物質が、前記流体の前記一部のpHを6~8にするために、アルカリ剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記凝固装置(13、57)が、前記システム(5)の使用の通常状態において、幅(W)、長さ(L)、及び高さ(H)を有し、前記高さ(H)が、前記幅(W)を超える、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記凝固装置(13、57)の前記幅(W)、前記長さ(L)、及び前記高さ(H)のうちの少なくとも1つが、前記パイプ(33、71)の前記パイプ長さの1/10未満である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記パイプ(33、71)が、100より大きいパイプ長さ/直径比、及び/または10秒~100秒、より好ましくは20秒~40秒の保持時間を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(5、53)。
【請求項10】
粒子状物質を含む汚染物質から排気ガスを浄化するために使用される流体を処理する方法であって、
前記流体を循環タンク(7)内に収容するステップ(ステップA)と、
前記循環タンク(7)から前記循環タンク(7)の出口(23)を通って前記流体の一部をブリードオフするステップ(ステップB)と、
第1の手段(9a)を経て、前記循環タンク(7)の前記出口の下流で、第1の化学物質を前記流体の前記一部に添加するステップであって、前記第1の化学物質が、凝集剤を含む、ステップ(ステップD)と、
分離デバイス(15)において、前記第1の手段(9a)の下流に設けられた前記分離デバイス(15)の入口(39)を通って、前記流体の前記一部と前記第1の化学物質とを含む混合物を受け取るステップ(ステップH)と、
前記分離デバイス(15)の手段によって、前記混合物を第1の画分と第2の画分とに分離するステップであって、前記第1の画分が、前記第2の画分よりも多くの粒子状物質を含有する、ステップ(ステップI)とを含み、
前記方法が、
前記流体の前記一部及び前記第1の化学物質を、前記分離デバイス(15)の前記入口の上流に、及び前記第1の手段(9a)の下流に設けられた第1の凝固デバイス(29,65)を備える凝固装置(13,57)を通して搬送するステップ(ステップF)を更に含み、
前記凝固装置(13、57)が、複数のパイプ部分(35、73)を備えるパイプ(33、71)を備え、
前記パイプ(33、71)が、前記パイプ部分(35、73)が互いに沿って少なくとも部分的に延在するように曲げられ、
前記第1の凝固デバイス(29、65)が、前記パイプ部分(35、73)の第1のパイプ部分(35a、73a)を備え、
前記凝固装置(13、57)が、前記流体の前記一部及び前記第1の化学物質を保持して、前記混合物が前記分離デバイス(15)に受け取られる前に、前記流体の前記一部に含まれる粒子状物質の凝集を促進するように設けられる、方法。
【請求項11】
前記第1の凝固デバイス(29、65)の上流に、及び前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流に設けられた第1の混合デバイス(27、61)において、前記第1の化学物質と前記流体の前記一部とを混合するステップ(ステップE)を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の混合デバイス(27、61)が静止している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の凝固デバイス(29、65)が静止している、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第2の手段(9b)を経て、前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第2の化学物質を前記流体の前記一部に添加するステップ(ステップG)を更に含み、
前記第2の化学物質が、凝固剤を含む、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第3の手段(9c)を経て、前記循環タンク(7)の前記出口(23)の下流で、及び前記分離デバイス(15)の前記入口(39)の上流で、第3の化学物質を前記流体の前記一部に添加するステップ(ステップC)を更に含み、
前記第3の化学物質が、前記流体の前記一部のpHを6~8にするために、アルカリ剤を含む、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【外国語明細書】