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特開2024-32661予め定めたポーションの配置をトレイの凹み内に自動的に維持する方法およびそれに適した包装装置
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  • 特開-予め定めたポーションの配置をトレイの凹み内に自動的に維持する方法およびそれに適した包装装置 図1a
  • 特開-予め定めたポーションの配置をトレイの凹み内に自動的に維持する方法およびそれに適した包装装置 図1b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032661
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】予め定めたポーションの配置をトレイの凹み内に自動的に維持する方法およびそれに適した包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20240305BHJP
   B26D 3/28 20060101ALI20240305BHJP
   B26D 7/32 20060101ALI20240305BHJP
   B26D 5/30 20060101ALI20240305BHJP
   B65B 35/50 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B65B57/00 A
B26D3/28 610Q
B26D7/32 Z
B26D3/28 610F
B26D5/30 Z
B65B35/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023123882
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】10 2022 121 774.4
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523288503
【氏名又は名称】ムルチバック ゼップ ハーゲンミュラー エスエー ウント コンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】MULTIVAC Sepp Haggenmuller SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Bahnhofstr. 4, 87787 Wolfertschwenden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】レギエン、スフェン
(72)【発明者】
【氏名】ベルヒトルト、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフレ、ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】ブマン、アルベルト
【テーマコード(参考)】
3E054
【Fターム(参考)】
3E054AA02
3E054FA07
3E054FB11
3E054GA01
3E054GB05
3E054GC01
3E054GC07
3E054GC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包装用エレメント上で、特に凹みベルトのトレイまたはすでに分離されたトレイの凹み内で、予め定めた形状、サイズおよび充填位置のポーションを製造する方法を提供すること。
【解決手段】凹みM内におけるポーションを視覚的に整った状態、すなわち、中心が揃い、縦方向10*のスライス距離が均一で、かつ横方向にも大きな違いがなく、特に凹みベルト22のシール用エッジ上に載っていない状態にするために、包装機100内で、カメラ26を用いて、ポーションの対応する現状配置を直接決定し、目標配置からのズレが大きすぎる場合は、上流の、ポーション製造ユニット、特にポーションベルト17aおよび/または切断機1の切断ユニット7、および/またはポーション吐出ユニット、および/または包装材吐出ユニットの、すなわち、ポーションベルト17aと包装機100との間のギャップに渡って、製造パラメータが変更される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用エレメント(V)において、特に包装用エレメント(V)の包装用凹み(M)内に充填されたポーションであって、特にスライス(S)が部分的に重なるように置かれたポーション(P)の、予め定めたポーション配置、すなわち、予め定めたポーションの形状および/またはポーションのサイズおよび/またはポーションの位置を自動的に達成する方法であって、
-前記ポーションPの充填された状態の現状配置を決定すること、
-前記現状配置を予め定めた目標配置と比較すること、
-前記現状配置が前記目標配置から予め定めた許容範囲(TB)を超えてズレていると判断された場合に、
-上流のポーション製造ユニット(13)および/またはポーション吐出ユニット(14)および/または包装材吐出ユニット(15)の製造パラメータが、特定された1以上のズレに応じて自動的に変更され、前記現状配置が、前記予め定めた目標配置の目標配置値を中心とするすべての許容範囲内にあるようすること
を特徴とする方法。
【請求項2】
-前記ズレの判断が非接触で行われることであって、
-特に光学的な方法によって行われること
を特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
-前記特定されたズレが反復発生するエラーであると決定された場合にのみ前記製造パラメータが変更されることであって、
-特に前記特定されたズレが、直接連続して少なくとも3回、特に少なくとも5回、特に少なくとも6回、特に少なくとも7回、特定された場合、または好ましくは10回の測定につき少なくとも8回特定された場合にのみ前記製造パラメータが変更されること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
-前記現状配置が、前記包装用エレメント(V)の停止時に決定されることであって、
-特に前記ポーション(P)が充填された直後に決定されること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
-前記予め定めた目標配置は、目標配置値として、前記ポーションと前記包装用エレメント、特に凹みのエッジとの間の縦方向(定義)に、正の目標開始距離(4-Soll)および正の目標終了距離(6-Soll)を含み、
-負の現状開始距離(4-Ist)、すなわち、前記ポーションが縦方向に凹みMのエッジを超えて前方に突出している場合は、
-特に上流のポーション吐出ユニット(14)の製造パラメータとして、前記ポーション吐出ユニットの搬送速度を小さくするか、
-または上流の包装材吐出ユニット(15)の製造パラメータとして、前記包装材吐出ユニットの速度を大きくして、
-以後、負の現状開始距離(4-Ist)にならないようにすることであって、
-特に負の現状終了距離(6-Ist)の場合にはその逆の処理が行われること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
-前記予め定めた目標配置が、目標配置値として、正の、前記ポーション(P)の、特に左右に、目標横方向距離(18L-Soll、18R-Soll)を前記包装用エレメント(V)の少なくとも1つのエッジ(R)であって、特に凹み(M)のエッジ(R)に向かって有しており、
-現状開始距離(18L-Ist、18R-Ist)が、不十分な正の場合、または負、すなわち縦方向にある前記ポーションPが凹み(M)のエッジ(R)を超えて側方に突出している場合は、
-特に上流の前記ポーション吐出ユニット(13)の製造パラメータとして、前記ポーション吐出ユニットの搬送速度を小さくするか、
-または上流の前記包装材吐出ユニット(15)の製造パラメータとして、前記包装材吐出ユニットの速度を大きくすることにより、
-以後、負の現状横方向距離(18L-Ist、18R-Ist)にならないようにすることであって、
-特に負の現状横方向距離(18L-Ist、18R-Ist)の場合にはその逆の処理が行われること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
-前記予め定めた目標配置は、目標配置値として、前記ポーションと前記包装用エレメント(V)、特に前記凹み(M)の前記エッジとの間の縦方向(10*)に、正の目標開始距離(4-Soll)および正の目標終了距離(6-Soll)を含み、
-現状開始距離(4-Ist)が、現状終了距離(4-Ist)より許容値分大きい場合は、
-上流の前記ポーション吐出ユニット(14)の製造パラメータとして、前記ポーション吐出ユニットの搬送速度を小さくするか、
-または上流の前記包装材吐出ユニット(15)の製造パラメータとして、前記包装材吐出ユニットの搬送速度を大きくして、
-以後、前記現状開始距離(4-Ist)だけでなく前記現状終了距離(6-Ist)も、目標開始距離(4-Soll)および目標終了距離(6-Soll)を中心とする対応する許容範囲内にあるようにすることであって、
-特に開始距離が終了距離より許容値分小さい場合は、逆の処理が行われること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
-前記予め定めた目標配置が、目標配置値として、ポーションのスライス(S)間の縦方向(10*)に、目標スライス距離(19-Soll)を含み、
-前記ポーションのある点において、現状スライス距離(19-Ist)が許容値分小さい場合は、
-上流の前記ポーション製造ユニット(13)の製造パラメータとして、前記ポーション製造ユニットの、前記ポーションの前記点における送出し速度を大きくして、
-以後、前記現状縦方向距離(19-Ist)が、前記目標縦方向距離(19-Soll)を中心とする許容範囲内にあるようにすることであって、
-特に前記ポーションのある点において、スライス距離(19)が、許容値分大きい場合は、逆の処理が行われること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
-前記予め定めた目標配置が、目標配置値として、縦方向(10*)に前記ポーションの目標長さ(20-Soll)を含み、
-現状長さ(20-Ist)が、許容値分大きい場合は、
-上流の前記ポーション製造ユニット(13)の製造パラメータとして、前記ポーション製造ユニットの、ポーションのスライス間、特に全てのスライス間の送出し速度を対応して小さくして、
-以後、そのようにして製造されたポーション(P)の前記現状長さ(20-Ist)が、前記目標長さ(20-Soll)を中心とする許容範囲(TB)内にあるようにすること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
-前記予め定めた目標配置が、目標配置値として、前記ポーションの前記スライス間の横方向、特に、縦方向と直交する方向に最大許容目標横方向オフセット(16-Soll)を含み、
-前記ポーションのある点において、現状横方向オフセット(16-Ist)が、横方向の距離の許容値分大きい場合は、
-上流の前記ポーション製造ユニット(13)の製造パラメータとして、前記ポーション製造ユニットの、横方向の位置決めの作成に関係するパラメータが変更され、
-以後、前記現状横方向オフセット(16-Ist)が、前記最大許容目標横方向オフセット(16-Soll)より小さくなるようにすること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
-前記予め定めた目標配置が、目標配置値として、前記ポーション(P)の横方向、特に縦方向と直交する方向に前記ポーション(P)の最大許容目標横幅(25-Soll)を含み、
-現状横幅(25-Ist)が大きい場合は、
-上流の前記ポーション製造ユニット(13)の製造パラメータとして、前記ポーション製造ユニットの、横方向の位置決めの作成に関係するパラメータが変更され、
-以後、前記現状横方向距離(25-Ist)が、前記最大許容目標横方向距離(25-Soll)より小さくなるようにすること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
-前記予め定めた目標配置が、前記目標配置値として、前記凹みと周囲の基準点(R1、R2)との間の縦方向(10)に、特にポーションを充填する処理の開始時または前記現状配置の決定時における、目標凹み縦方向距離(23-Soll)を含み、
-現状凹み縦方向距離(23-Ist)が、関係する許容値分大きい場合は、
-上流の前記包装材吐出ユニット(15)の製造パラメータとして、前記包装材吐出ユニットの搬送速度を大きくして、
-以後、前記現状凹み縦方向距離(23-Ist)が、前記目標凹み縦方向距離(23-Soll)を中心とする対応する許容範囲内にあるようにすることであって、
-特に開始距離が終了距離より関係する許容値分小さい場合は、逆の処理が行われること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
-前記予め定めた目標配置が、目標配置値として、
-前記凹み(M)の上端(R)と前記ポーション(P)との間に垂直方向の、負の目標高さ距離(24-Soll)、
-または、前記凹み(M)内のフリースペースの高さ(H)に対応する、前記ポーション(P)の最大目標高さ(h-Soll)
を含み、
-正の現状高さ距離(24-Ist)の場合、または現状高さ(h-Ist)、すなわち垂直方向の前記ポーション(P)が、前記凹み(M)の上端(R)を超えて突出している場合は、
-上流の前記ポーション製造ユニット(13)の製造パラメータとして、前記ポーション製造ユニットの、前記ポーション(P)の高さに関連するパラメータが変更され、
-以後、正の現状高さ距離(24)がないようにすること
を特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
包装装置(100)の、特に切断機(1)の自動制御は、
-ポーションベルト(17a)の速度を制御すること、
および/または
-段階的に作動するポーションベルト(17a)の段階の長さを制御すること、
および/または
-個々の切断動作間の時間間隔を制御すること、
および/または
-ブレード(3)の回転速度、
および/または
-横方向オフセットベルトの横方向オフセット速度および/または距離、
および/または
-トップ製品ガイドおよび/またはボトム製品ガイド(8、9)の送出し力、
および/または
-特にポーション投下時における、凹みベルト(22)の作動速度および/または横方向の位置、
および/または
-特にポーション投下時における、デポジッター(21)の作動速度
を含むことを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
包装装置(500)が、
-包装用エレメント(V)において、特に凹みベルト(22)の包装用凹み(M)内に充填された、部分的に重なるように置かれたスライス(S)からなるポーション(P)を包装するための包装機(100)であって、特に深絞り包装機(100)と、
-前記ポーション(P)を前記包装機(100)の方へ搬送するポーション吐出ユニット(14)と、
-前記ポーション(P)を製造するポーション製造ユニット(13)と、
-前記包装用エレメント、特に前記凹みベルト(22)を前記包装機(100)の方へ搬送する包装材吐出ユニット(15)とを備えたものであって、前記包装装置(500)において、
-前記包装機(100)が、前記包装用エレメント(V)、特に前記包装用凹み(M)に対する相対的なポーション配置の決定のためのセンサ(101)を備え、
-前記センサ(101)にデータ技術的に連結され、かつ、上流の前記ポーション製造ユニット(13)および/または前記ポーション吐出ユニット(14)および/または前記包装材吐出ユニット(15)の製造パラメータを制御することができる制御装置(100)を有し、
-特に、前記請求項のいずれかに記載の方法を実行すること
を特徴とする包装装置(500)。
【請求項16】
前記制御装置(100)が、前記包装機(100)の少なくとも全ての可動部品を制御し、かつ、前記ポーション吐出ユニット(14)および/または前記ポーション製造ユニット(13)および/または前記包装材吐出ユニット(15)の前記制御装置とデータ技術的に連結されていること
を特徴とする請求項15に記載の包装装置。
【請求項17】
-前記ポーション製造ユニット(13)が、特に切断機(1)の吐出ユニット(17)であり、特にそのポーションベルト(17a)であるか、または別個のユニットであり、
-前記ポーション吐出ユニット(14)は、機能上、ポーション製造ユニット(13)、特にポーションベルト(17a)と前記包装機(100)の間に配置されている
ことを特徴とする、装置に係る前記請求項のいずれかに記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
I.適用分野
本発明は、包装用エレメント上の、特に凹みベルトの凹み内における、数枚のスライスからなるポーション(ひとまとまりの部分)であって、特にスライスが部分的に重なるように置かれた(シングリング)ポーションの配置に関する。
【背景技術】
【0002】
II.技術的背景
例えば包装用エレメント上の、特に凹み内に充填されたポーションは、適切なサイズと形状をしている必要があり、また、例えば凹み内では、ポーションが視覚的にも魅力的な外観をして正確な位置に、具体的には凹みの中央に充填され、特に凹みを囲むシール用エッジの上に載らないようにする必要がある。なぜなら凹みを封止するシール用フィルムによる密閉効果を阻害してしまうからである。
【0003】
包装機内で包装、すなわち充填されて密閉されるポーションは、通常、先に上流で、高性能切断機、いわゆるスライサーによって、横一列に並んだ数レーン上を連続して流れる棒状の製品、いわゆるキャリバーから、回転するブレードカッターなどの同一のブレードによって切断(スライス)されている。
【0004】
切断されたスライスの一枚一枚は、搬送方向に一列に連続して配置された、通常3つのコンベアベルトからなる吐出ユニット上に落下するようになっており、その場合、前記3つのコンベアベルトの、特に最初のコンベアベルト、いわゆる「ポーションベルト」は、通常、様々に位置調整ができ、しかも特に段階的に駆動させることができるため、1レーンのスライスを一枚ずつ一定の距離で連続的にポーションベルト上に落としていって、例えば、スライスが部分的に重なるように置かれたポーションを作ることができる。
【0005】
この吐出ユニットは、独立したユニットの場合もあるが、多くはスライサーの構成部分である。これは、正確に配置するためにも、また吐出ユニット、特にポーションベルトにとっても、ブレードの動きを時間的空間的に正確に連繋させて制御する必要があるからである。そのため、通常は、スライサーを離れて複数レーン上を搬送されてきたポーションが直接包装機に充填されたり挿入されたりせず、両者の間に、挿入用ベルト、すなわち、その幅が全レーンを横切る幅より大きいコンベアベルトが設置されている。このいわゆる「デポジッター」は、搬送方向が下方に傾斜している場合が多く、搬送されてきたポーションは、デポジッターの下に設けられた凹みベルトの、レーン数に対応して横一列に並んだ、凹みベルト内に設けられた複数の凹み内に投下される。
【0006】
様々な因子が影響して、すでにポーションベルト上に置かれているポーションが、所望の、所定の形状やサイズ、またはポーション間の相対的な位置にならないことがあり、そのような因子には、例えば、
-高速回転するブレードの遠心力、
-スライスのブレードへの粘着、
-吐出ユニットがレーン毎に設置されているために一律にならない全レーンの吐出ユニットの加速、が挙げられる。
【0007】
その結果、ポーションが長過ぎるまたは短過ぎる、ポーション内におけるスライス間の縦(長手)方向の距離が一定にならない、またはスライスが縦方向に正確に一列に並ばず、両側からのオフセットが大きくなりすぎるといったことが起こり、従来は、こうした事象の一部を吐出ユニット内で、またはポーションベルト上で修正しようと試みられてきた。
【0008】
そうして、ポーションの位置、および個々のスライスの位置を、すでにスライサーの吐出ユニット内、例えばポーションベルト上で、時にはポーションの製造中に、カメラによって捕捉して、製造パラメータを再調整し、特に個々のレーン、または連続する2つのスライスが会合する間でポーションベルト全体を、横方向に調整することで、少なくとも後続のポーションの形状を改善する方法が知られている。
【0009】
しかし、ポーションベルト上で作成されたポーションが、そこでは所望の仕様に適合している場合であっても、包装用エレメントに到達するまでのその後のポーションの動き、例えば、個々のコンベア間の移動、特に傾斜したデポジッターへの移動などの動きによって、および/またはスライサーの吐出ユニットとデポジッターの間に緩衝が設けられていることによって、その後さらに移動するとポーションのサイズ、形状、および位置に、好ましくない変化が再び生ずることがある。
【発明の概要】
【0010】
III.本発明の説明
a)技術的課題
したがって、本発明の課題は、包装用エレメント上で、特に凹みベルトのトレイまたはすでに分離されたトレイの凹み内で、予め定めた形状、サイズおよび充填位置のポーションを製造する方法を提供すること、およびこの目的のために、一方で包装機、そして他方で包装材吐出ユニット、ポーション吐出ユニットおよびポーション製造ユニットを含む包装装置を提供することである。
【0011】
b)課題の解決方法
この課題を請求項1~15の特徴によって解決している。好適実施例は従属項から明らかになる。
【0012】
まず第一に、包装用エレメント上または包装用エレメント内のポーションの「ポーション配置」という場合、これは単に包装用エレメントとの相対的な位置関係を含むポーションの位置を意味するだけでなく、ポーション内の配置、すなわち、例えば搬送方向で測定した位置、または搬送方向と直交する横方向で測定したポーションの水平幅またはポーションの高さも意味し、さらには、特にポーション内のスライスが折り畳まれている場合のポーションの幅または高さ、またはポーションの形状、例えば、縦方向または横方向のオフセットに関連する個々のスライス間の相対的な位置関係も意味していることが明確にされるべきである。また、少なくとも1つの固定された基準点に対する包装用エレメントの位置もポーション配置の一部となり得る。
【0013】
目標配置は、これらの配置パラメータの各々について理想的な状態を「目標配置値」という形式で表し、また、関連する「許容範囲」-これは目標配置の理想値から片側または両側に拡大され得る-は、ポーションの実際の配置が許容可能として受け入れられ、かつ、製造パラメータ、特にその測定値に影響を与える製造パラメータに、変化をもたらさない範囲を表す。
【0014】
さらに、「上流のユニットの製造パラメータ」という場合には、そのユニットで制御でき、ポーション配置に影響を与えるそれらのユニットのすべてのパラメータ、具体的にはブレードの回転速度、切断の間隔、または同調稼働の場合のポーションベルトまたは残りのいずれか1つのベルトの速度、個々の段階的動作の間の停止時間、それらの動作の速度-時間グラフ、複数のベルトの1つの基準時間または基準状態における縦方向または横方向の絶対位置などが含まれることが明確にされるべきである。
【0015】
包装用エレメント-例えば凹みベルトの包装用凹み-に充填されたポーション、特に、数枚のスライスからなる、スライスが部分的に重なるように置かれたポーションの予め定めたポーション配置を自動的に達成する方法について、既存の課題は、以下の点において解決される。
-先ず、ポーションが充填された状態で、ポーション配置の実際の状態、すなわち「現状配置」が決定される。
-この現状配置が、複数の関連する配置値について、予め定めた目標の配置、すなわち「目標配置」、の枠内で、予め定めた目標配置値と比較される。
-現状配置の目標配置からのズレが、少なくとも1つの配置値について、その目標配置値について追加して予め定めた許容値を超える、すなわち「目標配置の許容範囲外の現状配置」であると判断された場合は、
-上流のユニットの製造パラメータの少なくとも1つが自動的に変更され、この変更された製造パラメータによって製造されて包装用エレメント上に充填されたポーションの現状配置が、目標配置から予め定めた許容値を超えてズレていない、すなわち「目標配置の許容範囲内」に収まるようにする。
【0016】
こうすることで、ポーションが充填された状態において、包装用エレメントとの好ましい相対的な目標配置を達成することができる。なぜなら、ポーションの配置に影響を及ぼす可能性がある全ての負の影響因子は、製造パラメータの場所および時間と現状配置が決定された状態との間にあるからである。
【0017】
さらに、現状配置が決定される場所、すなわち、すでに包装機内にある、これに関する製造パラメータがポーションに影響を与える場所からのフィードバックは、データ技術的な観点から不可欠であり、そのため、包装機の制御装置と、対応する製造パラメータを制御する制御装置との間でデータ交換が行えるように両者を連結しておく必要があり、定められた製造パラメータの質および量に変化が生じた場合には、その変化に関する指示が制御装置にも届くようにしておく必要がある。
【0018】
上流のユニットであって、製造パラメータを有してポーションに作用するユニットとしては、包装材吐出ユニット、すなわち、例えば凹みベルトを移動させるユニット、またはポーション吐出ユニット、すなわち、すでに製造されたポーションを包装機へ届ける、通常一列に配置された1以上のベルトコンベアからなるユニットが挙げられる。
【0019】
もっとも、この上流のユニットは、先ずポーションを製造するポーション製造ユニットであってもよい。慣用されるスライサーにおいて、個々のスライスをキャリバーから切り離すのは、通常はスライサーの構成部分である、吐出ユニットのポーションベルトと一緒にブレードを駆動する切断ユニットである。なぜなら、ポーションはポーションベルトと切断ユニットの機能の相互作用の中で製造されるからである。
【0020】
通常、包装用エレメント上のポーションの現状配置の決定は、ポーションへの機械的影響を避けるため、カメラなどの光学的手段またはその他の非接触型センサによって行われる。
【0021】
通常、現状配置の決定は、包装用エレメントが停止した状態で行い、好ましくはポーションを包装用エレメント上または包装用エレメント内に置いた後できるだけ早く行う。これは、包装用エレメントが停止した後できるだけすぐにという意味でもあるが、通常、包装用エレメント上に充填すること-すなわち、ポーション吐出ユニットの最後のコンベアからの投下-は、搬送方向に動いている包装用エレメント上で行われ、投下されるポーションとこれが着地する包装用エレメントとの間の速度差をインパクトの時点でできるだけ小さく、好ましくはゼロにして、ポーションの着地時に包装用エレメント上で滑らないようにする。
【0022】
目標配置と現状配置との間のズレは、偶発的で一度限りのまたはまれにしか現れない要因によっても起こり得るが、例えば、包装用エレメントのほんの1個か数個の上で静止摩擦が不十分であることによっても起こり得る。
【0023】
本願は、そのような偶発的若しくは一度限りまたはまれにしか現れない、ポーションの現状配置と目標配置間のズレを解消することが目的ではない。なぜなら、この原因は多くの場合不明で確認しがたく、解消は不可能だからである。代わりに、現状配置と目標配置との間のズレを反復発生させるシステムエラーを解消することを目的とする。
【0024】
そのため、たとえ現状配置が、目標配置の少なくとも1つの許容範囲の外にある場合でも、製造パラメータの変更は、好ましくは、確認されたズレが反復発生するエラーであると決定された場合に限られる。
【0025】
これは、例えば、検出されたズレが、直接連続して少なくとも3回、特に少なくとも5回、特に少なくとも7回検出されたこと、すなわち、間に正しい現状配置がないこと、または連続10回の検出工程内で少なくとも6回、より好ましくは少なくとも8回検出されたことを意味する。
【0026】
検出されたズレが、許されない程度に大きい、すなわち許容値を超えていれば、それらのズレの実際の大きさは重要ではない。
【0027】
予め定めた目標配置は、様々な配置値および対応する関連許容値によって対応する関連許容範囲として規定することができ、これにより、現状配置がすべての配置関連値に適合している、すなわち、すべての許容範囲内にある場合にのみ、現状配置は正確である。
【0028】
ポーションの特に悪い現状配置となるのは、ポーションが、包装用の凹みに充填された際に、その一部が、通常はシール用フィルムを密閉するためのシール用エッジとして利用される凹みを囲むエッジの上に載り、その上に載ったポーションの端部のせいで、シール用フィルムを上から掛ける密閉作業が阻害される結果、包装が密閉されないままとなる場合である。
【0029】
平面状の包装用エレメントの場合も、ポーションが包装用エレメントのエッジを超えて突出すると、通常ならその上に置かれて包装用エレメントの裏側に折りたたまれて密着して固定されるシール用フィルムの折りたたみを阻害して、同様のことが起こり得る。凹みを取り囲むシール用エッジの上にポーションが載ってしまうリスクは、当然のことながら、横方向に比べて縦方向、すなわち搬送方向の方が大きい。
【0030】
したがって、目標配置には基準パラメータとして、縦方向-ポーションの搬送方向-において、ポーションと包装用エレメントの開始および終了との間、特に凹みの開始および終了とポーションとの間に、正の目標開始距離と正の目標終了距離が含まれている。
【0031】
この正の距離が、保存された許容値-この許容値は、特に最大でこの正の距離に一致する-を上回るか、または現状開始距離が負である、すなわち、ポーションが縦方向に、特に凹みのエッジを超えて前方または後方に突出している場合には、ポーションをその位置にさせている少なくとも1つの製造パラメータが目標開始距離が許容範囲内に収まる方向に変更される。
【0032】
例えば、上流のポーション吐出ユニットの搬送速度を下げ、ポーションを包装用エレメントの方向に投下する際の速度を下げてもよく、または逆に、前方の現状開始距離が正であっても小さすぎる場合や完全に負の場合には、上流の包装材吐出ユニットの、ポーションが着地する時点まで包装用エレメントが動く搬送速度を上げてもよい。現状終了距離が小さすぎるまたは負の場合は、この逆の処理を行う。
【0033】
変更は、場合によっては現状のポーション配置を常に確認しながら段階的に、許容される正の目標開始距離に到達するまで行なわれる。
【0034】
目標配置で、左右の目標横方向距離も設定することができる。
【0035】
左右の現状横方向距離が小さすぎる場合、製造パラメータとして、ポーションベルトの後に続くコンベアベルトの横方向オフセット、またはポーションの着地時点におけるポーションベルト自体の横方向の位置決めを変更して、ポーションが予め定めた許容範囲内にある横方向の位置で包装用エレメント上に着地するようにする。
【0036】
ポーションは、包装用エレメント、特に凹みの寸法内に完全に収まっているだけでなく、さらには視覚的にも魅力的な整った状態でその中に置かれている、すなわち、中心が揃った状態でその上や中に置かれているべきである。
【0037】
この目的のため、目標配置の枠内にも同様に、ポーションが包装用エレメント、特に凹みをはみ出さないように、包装用エレメント、特に凹みの前部、後部または両側方に、正の目標距離を設定しておくことも可能であるが、その場合、許容値およびこれにより定められる各目標距離の許容範囲は非常に狭く設定されるので、前部、後部および両側方の許容範囲内に収まるポーションの場合は、ユーザーには中心が揃った位置のようにしか感じられない程度になっている。
【0038】
後続のポーションにおいて、許容範囲を超えた現状開始距離を変更して目標配置に対応させるためにどのような製造パラメータをどの方向に変更するかは、上述の方法と対応する。
【0039】
さらに、ポーション配置は、ポーション内でも視覚的に魅力的な整った外観を示す必要がある。
【0040】
例えば、スライスが部分的に重なるように置かれたポーションにおける縦方向の距離は、ポーション内ですべてほぼ同じであるべきである。
【0041】
目標配置の一部として、例えば各スライスの前端同士など縦方向の、通常すべて同じ大きさの2枚のスライスの距離である目標スライス距離や、関連する正および負の許容値も設定される。
【0042】
ポーションの任意の点において、現状縦方向距離が例えば小さすぎるなど、設定された許容範囲を超えている場合、製造パラメータとして、ポーションのこれら2枚のスライスが会合する間の、ポーションベルトの送出し速度および/または送出し距離を大きくし、また逆の場合には小さくして、この製造パラメータの変更後に、現状縦方向距離が目標縦方向距離に対応する、すなわち、その許容範囲内に収まるようにする。
【0043】
ポーション内の距離に関係なく、またポーションが包装用エレメントの中央の位置に実際に置かれた場合であってもそれに関係なく、ポーションの長さが大きすぎたり小さすぎたりすることがある。
【0044】
こうした事態を回避するため、目標配置の中に、配置パラメータとして、ポーションの縦方向の目標長さを、正および負の許容値、したがって許容範囲も含めて保存しておくことも可能である。
【0045】
ポーションの実際の(現状)長さが、対応する許容範囲の外にあることが検出された場合、対応する製造パラメータを変更して、例えば、現状長さが最大許容目標長さより大きい場合は、ポーションの連続する2つのスライスが会合する間の、ポーションベルトの送出し速度または送出し距離を小さくし、逆の場合は大きくする。
【0046】
こうした変更は、後続のポーションの現状長さが目標長さに対応するように行うが、これは現状サイズが目標サイズの許容範囲内に収まることを常に意味する。
【0047】
視覚的に魅力的な、特に一列のスライスが部分的に重なるように置かれたポーションとするためには、スライス間、特にポーションの縦方向に連続する2枚のスライス間における横方向オフセットもまた関連している。
【0048】
この目的のために、予め定めた目標配置に、場合によって、連続する2枚のスライスについて個別に、または一列のスライスが部分的に重なるように置かれたポーションの最も左側と最も右側にあるスライスの間の横方向オフセット全体について、対応する許容値を含む最大許容目標横方向オフセットも含めておくことも可能である。
【0049】
実際の(現状)横方向オフセットが、最大許容目標横方向オフセットより大きい、すなわちその許容範囲外にある場合は、1以上の上流のポーション製造ユニットの製造パラメータが変更されて、変更された製造パラメータによって現状横方向オフセットが目標横方向オフセットの許容範囲に収まるようにする。
【0050】
ポーション製造ユニットの構造に応じて異なる製造パラメータとすることもでき、例えば、2枚のスライスの着地位置の間でポーションベルトが横方向に移動する横方向オフセットの大きさを製造パラメータとしておき、個々のスライスが着地する横方向の位置が様々でも、縦方向において、オフセットしたポーションベルトと同じ横方向の位置にできる限りスライスが置かれるようにする。
【0051】
目標配置に、最も左側にあるスライスと最も右側にあるスライスの間の最大許容目標横方向距離、すなわち目標横幅が設定されている場合は、製造パラメータを変更することで、後続のポーションで最も左側にあるスライスおよび/または最も右側にあるスライスをポーションの縦方向の中心の方向へ置き、最大目標横幅とその許容範囲、または包装用エレメント、特に凹みのエッジまでの予め定めた目標横方向距離を超えないようにすれば足りる。
【0052】
そのために制御すべき少なくとも1つの製造パラメータは、上述の場合と同じである。
【0053】
ポーションを包装用エレメントに正しく配置するためには、ポーションが包装用エレメントに向かって吐出される着地点が正しいだけでなく、包装用エレメント、特に凹みベルトの凹みが、縦方向および横方向に正しい着地点、すなわち包装用エレメントの選択した基準点にあることが重要である。
【0054】
この目的のために、予め定めた目標配置は、縦方向における包装材の目標縦方向距離、特に凹みの目標縦方向距離を含んでいてもよく、これは特に、充填を開始する時点における包装材のある点、特に包装材の開始点などの凹みのエッジと、基準点との間の距離となるべきものである。充填を開始する時点または現状配置を決定する時点において、周囲の基準点が包装材の選択した基準点と一致している場合は、包装材のこの目標縦方向距離はゼロであってもよい。
【0055】
ポーションを投下する時点では、凹みコンベア自体もかなり高速で動いているため、動いている状態にあるポーションの位置の決定が困難な場合もある。凹みベルトは吐出の都度停止され、その合間の稼働時間は通常変わらないので、凹みの現状位置の決定も停止状態で行うことができる。
【0056】
さらにここでも、正および負の許容値などの少なくとも1つの許容値と、それに伴う許容範囲が定められる。
【0057】
現状配置において包装用エレメントが搬送方向、すなわち包装材の縦方向で基準点に届かない場合、すなわち、包装材の目標縦方向距離が、包装材の現状縦方向距離より大きい場合は、上流の包装材吐出ユニットの製造パラメータとして、包装材吐出ユニットの搬送速度を少なくとも一時的に上げて、包装材の現状縦方向距離が包装材の目標縦方向距離の許容範囲内に収まるようにする。包装材の現状縦方向距離が小さ過ぎる場合は、逆の処理を行う。
【0058】
折り畳まれたポーションが含まれているポーションの場合、包装用エレメントに置かれたポーションの高さが大きくなり過ぎる、特に凹み内に置かれたポーションの場合は、高さが凹みのエッジを超えて上方に突出する、ということが起きる。
【0059】
そうなると、凹みの周囲のエッジを上から覆って密閉するシール用フィルムを平たく掛けることができず、上方に膨らんでしまい、その結果、凹みを囲むシール用フィルムの密閉がきつくなってしまう、および/または、膨らんだ包装を内容物の劣化とユーザーに解釈されてしまうので、ポーションの上端と凹みの上端の間に、垂直方向の正の目標高さ距離、およびそれに関係する許容値を予め定めた目標配置を入れておく。
【0060】
現状配置に、ポーションの上端が凹みの上端を超えて上方に突出している、すなわち、負の現状高さ距離が含まれている場合、上流のポーション製造ユニットおよび/またはポーション吐出ユニットの、ポーションの高さにとって重要な製造パラメータを変更する、例えば、回転する折り畳みロッドの回転速度および/または中空の折り畳みロッドの排気口から排出される空気の量と速度を正または負の方向に変更し、変更された製造パラメータによって、次のポーションの現状高さ距離が負にならない、すなわち、高さ距離に関してポーションの現状配置が、目標配置に対応する、すなわち対応する許容範囲に収まるようにする。
【0061】
一般に、充填時のパラメータに関する許容値について言及すべきは、
-目標値から正の方向のみまたは負の方向のみを示す許容値であり得ること、
-許容値は、絶対値として、または目標値に対する%で表した相対値として定められ得ることである。
【0062】
包装装置、特に切断機-これが包装機の上流に接続されている場合-の自動制御としては、
-連続的または段階的に作動するポーションベルトの速度、およびポーションベルトの停止間隔を制御すること、
および/または
-段階的に作動するポーションベルトの各段階の長さの制御、
および/または、
-個々の切断動作間の時間間隔の制御、
および/または
-ブレード(3)の回転速度、
および/または
-横方向オフセットベルトの横方向オフセットの速度および/または距離、
および/または
-トップおよび/またはボトム製品ガイド(8、9)の送出し力、
および/または
-特にポーション投下時における、凹みベルト(22)の作動速度および/または横方向の位置、
および/または
-特にポーション投下時における、デポジッター(21)の作動速度
が挙げられる。
【0063】
包装装置について、本発明の課題は、
-ボトムフィルムに凹みを形成する、特に深絞りステーションを備えた包装機、および/または包装用エレメント上、特にトレイ内に、特にスライスが部分的に重なるように置かれた複数のスライスからなるポーションを包装するトレイシーラーと、
-ポーションを包装機に搬送するポーション吐出ユニットと、
-ポーションを製造するポーション製造ユニット、特に、切断ユニットおよびこれに関連した制御で駆動できるポーションベルトを有するスライサーと、
-包装用エレメントを包装機に搬送する包装材吐出ユニットと
を含む包装装置において、ポーションが包装用エレメント上、特に凹みの中に充填された後に、ポーションが位置する前記包装用エレメントとの相対的な配置を決定する少なくとも1つのセンサを包装機が有することによって、解決される。
【0064】
この場合において、センサはデータ技術的に包装機の制御装置に連結されており、この制御装置がポーションの配置に影響を与える製造パラメータを制御でき、たとえ包装機の上流の、特に別個の制御装置を備えた別個の装置であるポーション製造ユニットおよび/またはポーション吐出ユニットおよび/または包装材吐出ユニットの場合であっても制御できるように構成されている。
【0065】
特に包装装置、特にその制御装置は、上述の方法を実行できるように構成されている。
【0066】
これにより、包装用エレメント上または包装用エレメント内におけるポーションの現状配置を、予め定めたポーションの目標配置に対応した現状配置にすることができる。
【0067】
包装機は、上流のユニットの制御装置とデータ技術的に連結された専用の制御装置を有するのが普通である。中央制御装置によって各種機械やユニットをすべて一元的に制御することは極めてまれではあるが、排除されるわけではない。
【0068】
製造されたポーション用の吐出ユニット、特にその段階的な制御が可能なポーションベルトは、通常は上流の切断機の少なくとも切断ユニットも含むポーション製造ユニットの一部である。
【0069】
吐出ユニット、特にそのポーションベルトを含む吐出ユニットは、通常、切断機の一部であって同一の制御装置で制御されるが、適切な制御装置が別途装備されデータ技術的に連結されて、他のユニットや装置の制御装置とデータ交換できる状態であれば吐出ユニットとは別個のユニットであってもよい。
【0070】
好ましくは、ポーション供給装置は、機能的、特に空間的にも、ポーション製造ユニット、特にそのポーションベルトと包装機の間に配置されている。
【0071】
c)実施例
以下、本発明の実施例を以下の図面を示して例示により詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1a図1aは、包装装置を横向きに見た側面図であって、包装装置は、スライサーと、縦方向、すなわち装置の通過方向における下流側に設置されたデポジッターを装備した包装機とからなる。
図1b図1b、2bは、それぞれ、図1aおよび2aを拡大した、1つの充填された凹みの側面図および平面図であって、ポーションのスライスは、凹みMにおける理想的な位置、すなわち目標配置にある。
図2a図2aは、デポジッターおよび凹みベルトの下流側の領域を上から見た平面図であって、この凹みベルトの部分はすでに凹みにポーションが配置された状態である。
図2b図1b、2bは、それぞれ、図1aおよび2aを拡大した、1つの充填された凹みの側面図および平面図であって、ポーションのスライスは、凹みMにおける理想的な位置、すなわち目標配置にある。
図3図3a、bは、図2a、bと同じ位置から見た図であるが、ここでは、ポーションが凹み内の前側に来すぎて一部が凹みのエッジに載っている。
図4図4は、図2bと同じ位置から見た図であるが、ポーション内での個々のスライスの横方向オフセットを示す。
図5図5は、図2bと同じ位置から見た図であるが、ポーション全体の凹みM内の横方向オフセットを示す。
図6図6は、図1bと同じ位置から見た図であるが、ポーションが凹み内で折り畳まれたスライスから構成されている。
図7図7は、図5と同じ位置から見た図であるが、ポーション内の個々のスライスの横方向の位置がそれぞれ異なっている。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1aは、包装装置500の側面図であって、装置全体を通る進行方向10に、スライサー1、デポジッター21、および包装機100が配置されている。
【0074】
一部のみを示すスライサー1には、切断ユニット7が、また、キャリバーKの送りユニットには、トップガイドベルト8とボトムガイドベルト9が見て取れるが、この両ガイドベルトの間にキャリバーKが保持され切断ユニット7の、装置全体を通過する水平な進行方向10に対して角度をつけた送り方向10に送られるようになっている。
【0075】
切断面3”は、プレート状の切断フレーム5の裏面からわずかに間隔を空けて該裏面に平行に位置するブレード3の鋭利に研磨された切刃3aによって規定され、また、切断フレーム内には、図1aの紙面奥に向かう方向に一列に並べて配置され同時に切断される通常は複数のキャリバーK1、K2・・・の各々に対応する図示されないフレーム穴があり、このフレーム穴によってキャリバーKをきわめて正確に通すことができるため、切断フレーム5の周縁のエッジおよび該切断フレームのフレーム穴が、ブレード3の切刃3aに対する固定されたカウンターブレード(面取り用ブレード)を形成している。
【0076】
スライサー1のベースフレーム2には、切断ユニット7とキャリバーKの送りユニットだけでなく、進行方向10に一列に配置された3つの吐出コンベヤ17a、b、cからなる吐出ユニット17も設置されており、この3つの吐出コンベヤのうちの最初の吐出コンベヤ、すなわちポーションベルト17aは、図1aの紙面奥に向かう方向を旋回の軸として旋回させて、様々な傾斜位置にすることができ、そのため、キャリバーKから切り離されたスライスSがポーションベルト17aに当たる角度および軌道や間隔を制御できるようになっている。ポーションベルト17aを制御して段階的に駆動させることにより、ポーションPを例えばスライスが部分的に重なるように置く(シングリングする)ことも可能である。
【0077】
スライサー1の下では、凹みベルト22が、進行方向10を同じく右から左へ移動しており、凹みベルトの凹みMの各々には1つのポーションPが置かれる。
【0078】
凹みベルト22と、概して水平方向により高い位置にある吐出ユニット17との間の段差を埋めるため、吐出ユニット17の最後のポーションベルト17cが、いわゆるデポジッター21に接続している。これも装置の進行方向10に動くコンベヤベルトであるが、斜め下方に傾斜して凹みベルト22の少し上で終了する。
【0079】
ポーションPを充填するには、デポジッター21と凹みベルト22を同じ速さで駆動して、充填する時、というより投下する時に、凹みM内でポーションPが折り畳まれてしまわないようにする。個々のポーションPの挿入と挿入の間は、その都度、凹みベルト22および/またはデポジッター21を停止させることができる。
【0080】
凹みベルト22の上方に設置されたカメラKが、下流、特にデポジッター21のすぐ下流の領域に向いているので、このカメラで凹みM内、すなわち包装機100内にあるポーションPの現状配置を定量的かつ定性的に直接決定することができる。
【0081】
図2aは、デポジッター21の前端部、およびその下から出る凹みベルト22を上から見た状態を示し、凹みベルトの見えている凹みMには、各々の凹みM内にすでに1つずつポーションPが充填されている。
【0082】
図1b、2bは、1つのポーションP-ここでは、ポーションは7枚のスライスS1~S7からなる-が配置されている1つの凹みMの側面図と平面図である。
【0083】
図2bは、凹みM内に充填されたポーションPの目標配置を制御装置に保存された対応する目標配置値とともに示す平面図である。詳細に説明すると以下のとおりである。
【0084】
横方向11には、ポーションPの中心は、進行方向10に見て、凹みの縦方向の両側のエッジからポーションPまでそれぞれ測定した左側の目標横方向距離18L-Sollと右側の目標横方向距離18R-Sollを有して、凹みMの両側のエッジRの中心と揃っている。これら両目標配置値の各々は、目標値から、凹みの中心方向に許容値TW2および凹みの側方に許容値TW1を延伸した許容範囲TB内にある。
【0085】
縦方向10には、ポーションPの中心は、前部または後部の凹みのエッジからポーションPまで縦方向10に測定した、進行方向10前部の目標開始距離4-Sollと後部の目標終了距離6-Sollを有して、凹みMの前方および後方のエッジRの中心と揃っている。これら両目標配置値の各々は許容範囲TB内にある。この許容範囲TBは、目標値から、凹みの中心方向に許容値TW2および凹みの側方に許容値TW1を延伸したものである。
【0086】
-ポーションPの内部においても、ポーションPの隣り合う2枚のスライスS間に等しい目標スライス距離19-Sollがあり、これにより、目標スライス距離19-Sollに対しても、負の許容値TW-と正の許容値TW+を合わせた許容範囲TB19(図示せず)が制御装置に保存される。
【0087】
-凹みにポーションBが正しい位置に配置されるためには、落下点および落下時点-この落下点に向かって凹みが前進する場合-において、および凹みベルト22の停止時にカメラ26によって現状配置が撮影される時点においても、凹みが正しい位置あることも当然に前提条件となる。
【0088】
決定のこの時点には、凹みベルト22の凹みMは、横方向11においては凹みMの右のエッジRの装置に固定された基準点R1の上または下を通り、進行方向10においては前のエッジRの装置に固定された基準点R2の上または下を通る位置にあるべきである。基準点R1は、横方向に延伸する許容範囲(図示せず)の中央にあり、基準点R2は進行方向10に延伸する許容範囲の中央にある。
【0089】
他の図面は、ポーションPの目標配置からズレた現状配置を示している。
【0090】
図3a、bも同様に、ポーションPの現状配置の側面図と平面図であるが、この場合の現状配置には配置上の最悪のエラーがある。すなわち、1枚目のスライスS1の最前端が、凹みMの前のエッジR上に載ってしまっている。そのため、この凹みは本来、前部のエッジRも含めて上からシール用フィルムを掛けて密閉されるが、その密閉が妨げられるのでこのポーションは不良品である。
【0091】
カメラKの補助によって、縦方向10において、凹みMの前後のエッジRの各々に関して開始距離4-Istだけでなく終了距離6-Istも決定することができる。
【0092】
開始距離および終了距離4、6は、凹みのエッジからそれぞれ凹みMの中心方向に測定されるので、位置が正しければ正の値でなければならない。図3a、bの場合は、実際の開始距離4-Istは負の値であり、現状終了距離4-Istおよび現状終了距離6-Istの両方がそれぞれの距離4、6の許容範囲TB4、TB6の外にある。
【0093】
したがって、ポーション配置に関する製造パラメータが自動的に変更され、制御されて、ポーションPの前端と後端が、目標開始距離4-Sollの許容範囲TB4の範囲内および目標終了距離6-Sollの許容範囲TB6の範囲内にあるようにしなければならない。
【0094】
ポーションの前端と後端の決定された位置から、現状ポーション長20-Istも自動的に算出でき(ここでは、現状ポーション長は目標ポーション長20-Sollと一致)、これにより、目標ポーション長20-Soll(図示せず)についても、負の許容値TW-と正の許容値TW+を合わせた許容範囲TW20が制御装置に保存される。
【0095】
もっとも、現実のスライス距離19-Istは、正しいポーション長20-Sollと20-Istが等しい場合は、目標スライス距離19-Sollよりも、スライスS2とスライスS3の間でかなり小さく、スライスS3とスライスS4の間でかなり大きい。
【0096】
したがって、ポーションP内のスライスS3の縦方向の位置に影響する製造パラメータが、すべてのスライスが再び同じ目標スライス距離19-Sollを有するように変更されなければならない。
【0097】
図4は、ポーションPの個々のスライスS1、S6の横方向の位置に問題がある現状配置を示しており、この場合、スライスは、進行方向10に見て一方は左側に、もう一方は右側に来すぎている。
【0098】
この位置、すなわち最も大きく横方向に、つまりはポーション全体から突出しているスライスS1とスライスS6の、左側現状横方向距離18L-Istだけでなく右側の現状横方向距離18R-IstもカメラKで検出されて、目標配置値に保存された左右の目標横方向距離18L-Soll、18R-Sollと比較される。現状横方向距離が左右とも許される許容範囲外にあるため、制御装置によって自動的に、それら2枚のスライスの横方向位置に関する製造パラメータが変更されて、後続のポーションの横方向が正しくなる、すなわち、それぞれ目標横方向距離を有するように凹みM内に配置されるようにする。
【0099】
それに加えて、またはそれに代わって、ポーション全体の目標横幅25-Sollを目標配置値として保存しておき、現状横幅25-Istと比較することも可能であるが、それもここでは大き過ぎるため、対応する少なくとも1つの製造パラメータの調整が必要である。
【0100】
これに対して図5に示すズレは、確かに進行方向10の、ポーションPのスライスSはすべて一直線上に置かれており、しかも横方向の相対的なズレもないものの、ポーションP全体が、凹みの、進行方向10で見て左側のエッジRに接近し過ぎており、したがって18L-Istが狭くなっており、また18L-Sollを中心として設けられている許容範囲TB18Lの外側に位置しているため、ポーションPの魅力的な外観が得られない。
【0101】
この場合には、ポーションPの全スライスSの横方向に影響を与える全製造パラメータが、この欠陥が後続のポーションについて解消されるように自動的にまた調整されて、包装材に入った視覚的にも魅力的なポーションPが得られる。
【0102】
図6は、目標配置において、ポーションPが凹み内のフリースペースの高さHを超えて外に出ており、つまり凹みの周囲のエッジRの高さを超えている状態を示す。
【0103】
これは、シール用フィルム(図示せず)を上から密封した際に上方に膨らむ可能性があり、これは視覚的に魅力的でなく、また、凹みのエッジR上でシール用フィルムがひだになったり漏れを生じたりする可能性がある。
【0104】
折り畳まれた複数のスライスSが部分的に重なるように置かれたポーションの場合、ポーションが高くなり過ぎてしまうことがある。この折り畳まれたスライスは、その主平面と平行に移動する折り畳み軸を軸に、通常いわゆる折り畳みロッドによって、切断とポーションベルトへの落下の間に折り畳まれて、図6の側面図におけるしずく形のような輪郭が形成されいる。このしずく形の輪郭の高さhが、凹みM内のフリースペースの高さhより大きい場合、このしずく形の輪郭は、スライスS7の実線で示すように、大きく上方に突出する。
【0105】
ポーションの高さhのような態様の配置パラメータに関しては、通常は保存された許容パラメータがない。なぜなら、低い折り畳まれたポーションは通常は視覚的に受け入れられ、高過ぎてエッジRの高さを上回るポーションが受け入れられないからである。
【0106】
図7は、図4および図5と同様、スライスS1~S7の横方向の位置に問題があるポーションを示している。
【0107】
配置値には、進行方向10に前後して連続する2枚のスライス間の横方向オフセットの最大許容値16-maxも保存しておくことができる。
【0108】
図7では、充填位置が横方向右側へと、最初のスライスS1に始まり最終スライスの1つ前のS6まで次第に移動しているが、これによる連続する2つのスライス間の横方向オフセットは最大許容横方向オフセット16-maxを明らかに下回る。
【0109】
これに対し最後のスライスS7は、その1つ前のスライスS6に比べ大きく左側に移動しており、S6とS7の間の横方向オフセット16-Istは、最大許容横方向オフセット16-maxを明らかに上回る。
【0110】
このような目標配置値が存在する場合は、S6とS7との間の横方向オフセットを小さくするために少なくとも1つの製造パラメータが変更されなければならない。それがなければポーションは、左右のエッジの目標値18R-Sollおよび18L-Sollの許容範囲TB内に十分収まるからである。
【0111】
参照符号一覧
1 切断機、スライサー
制御装置
2 ベースフレーム
3 ブレード
3’ 回転軸
3” ブレード面、切断面
3a 切刃
4 開始距離
5 切断フレーム
6a-d 終了距離
7 切断ユニット
8 トップ製品ガイド、トップガイドベルト
9 ボトム製品ガイド、ボトムガイドベルト
10 送り方向、縦(長手)方向、軸方向
10 機械の進行方向
11 第1横方向(幅スライサー)
12 第2横方向(高さ方向のキャリバー)
13 ポーション製造ユニット
14 ポーション吐出ユニット
15 包装材吐出ユニット
16 横方向オフセット
17 吐出ユニット
17a、b、c ポーションベルト、吐出ユニット
18 横方向距離
19 スライス距離
20 ポーション長
21 デポジッター
22 凹みベルト
23 凹み縦方向距離
24 高さ距離
25 横幅
26 カメラ

100 包装機

500 包装装置

HA-Soll 高さ距離
M 凹み、包装用の凹み
P ポーション
R エッジ
R1、R2 基準点
S スライス
V 包装用エレメント
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】