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特開2024-32686ピラゾロピリミジン化合物及びその医薬用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032686
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ピラゾロピリミジン化合物及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240305BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C07D487/04 143
C07D487/04 CSP
C07D519/00 301
A61K31/519
A61K31/5383
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P9/10 101
A61P1/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P21/02
A61P19/06
A61P1/16
A61P3/06
A61P1/04
A61P9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137929
(22)【出願日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2022135949
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023027426
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(72)【発明者】
【氏名】大場 雄介
(72)【発明者】
【氏名】足達 馨
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晋平
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊哉
【テーマコード(参考)】
4C050
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE04
4C050FF10
4C050GG04
4C050HH02
4C050HH04
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB06
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZC33
(57)【要約】
【課題】NLRP3インフラマソーム阻害活性を有するピラゾロピリミジン化合物又はその製薬上許容される塩、それを含む医薬組成物、及びその医薬用途等が提供される。
【解決手段】式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩(式中の各記号は明細書中で定義したとおりである)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩。
【化1】
〔式中、結合:
【化2】
は単結合又は二重結合であり、
及びRは各々独立して、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、
(3)シアノ、
(4)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、
(5)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、C3-6シクロアルキルで置換されてもよい)、
(6)ハロゲン、
(7)C1-4ハロアルキル、
(8)-CHO、
(9)-O-C1-4ハロアルキル、
(10)-O-C3-6シクロアルキル、
(11)-CO-C1-4アルキル、
(12)-CO-C3-6シクロアルキル、
(13)-NR(ここで、R及びRは各々独立して、水素又は2,4-ジメトキシベンジルであるか、あるいは、RとRが、これらが結合する窒素原子と一緒になって、-NR基が、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から6員のヘテロシクロアルキルを形成してもよい)、又は
(14)C3-6シクロアルキル、であり、
3A及びR4Aは各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル、又は
(3)C1-4ハロアルキル、であり、
5Aは、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)C1-6アルキル、
(4)C2-6アルケニル、
(5)C2-5アルキニル、
(6)C1-4アルコキシ、
(7)ハロゲン、
(8)C1-6ハロアルキル、
(9)C2-6ハロアルケニル、
(10)-O-C1-4ハロアルキル、
(11)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、
(12)C5-6シクロアルケニル、又は
(13)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキルであるか、あるいは
5AはR3A又はR4A、及びこれらが結合する炭素原子と一緒になって、
(1)C5-6シクロアルケン、又は
(2)酸素原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケンを形成してもよく、
6Aは、独立して
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4アルコキシ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-4ハロアルキル、又は
(5)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり、
mは0、1、又は2であり、
mが2のとき、
隣接する2つのR6Aは、これらが結合するX、X、X、X及びXのうち隣接する2つと一緒になって、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルカン又はヘテロシクロアルケンを形成してもよく、
nは0又は1であり、
nが0のとき、
、X、X及びXは各々独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は1、2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である)、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成し、
nが1のとき、
、X、X、X及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、X又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である)、X、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する〕
【請求項2】
3A及びR4Aが水素である、請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項3】
式[IIA]で示される、請求項1又は2に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【化3】
(式中、R、R、R5A、R6A、X、X、X、X及びmは請求項1と同義である)
【請求項4】
、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、又はトリアゾリルを形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項5】
、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピラゾリル、イミダゾリル、又はチアゾリルを形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項6】
、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になって、
式(1):
【化4】
、式(2):
【化5】
、又は式(3):
【化6】
、を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項7】
式[IIIA]で示される、請求項1又は2に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【化7】
(式中、R、R、R5A、R6A、X、X、X、X、X及びmは請求項1と同義である)
【請求項8】
、X、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、又はピラジニルを形成する、請求項1、2又は7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項9】
、X、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピリダジニル、又はピリミジルを形成する、請求項1、2、7又は8のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項10】
、X、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になって、
式(1’):
【化8】
、又は式(2’):
【化9】
を形成する、請求項1、2、7、8又は9のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項11】
mが0又は1である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項12】
及びRのうち少なくとも1つが
1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、又は
ハロゲンである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項13】
下記構造式:
【化10】
からなる群から選択される、化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、NLRP3インフラマソーム阻害剤。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、多発性硬化症、炎症性腸疾患、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、虚血性心疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
【請求項17】
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、請求項16に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項18】
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、請求項16に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項19】
疾患が多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される、請求項16に記載の治療剤又は予防剤。
【請求項20】
治療上有効量の請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、NLRP3インフラマソームを阻害する方法。
【請求項21】
治療上有効量の請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、多発性硬化症、炎症性腸疾患、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、虚血性心疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
【請求項22】
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
疾患が多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
NLRP3インフラマソーム阻害剤を製造するための請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項26】
多発性硬化症、炎症性腸疾患、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、虚血性心疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
【請求項27】
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、請求項26に記載の使用。
【請求項29】
疾患が多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項30】
NLRP3インフラマソームの阻害に使用するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項31】
多発性硬化症、炎症性腸疾患、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、虚血性心疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項32】
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、請求項31に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項33】
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、請求項31に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項34】
疾患が多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症及び外傷性脳損傷からなる群より選択される、請求項31に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NLRP3インフラマソーム阻害活性を有するピラゾロピリミジン化合物又はその製薬上許容される塩、それを含む医薬組成物、及びその医薬用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
NLRP3(NOD-, LRR- and pyrin domain-containing protein 3)は、NLR(NOD-like receptors)ファミリーに属するパターン認識受容体であり、マクロファージ、ミクログリアなどの貪食系細胞だけでなく糸球体上皮細胞や尿細管上皮細胞などの非免疫細胞にも発現する。
【0003】
NLRP3は、細胞障害因子(ATP、HMGB1、S100、尿酸結晶、シリカなど)特異的な分子パターンであるDAMPs(Danger Associated Molecular Patterns)や、病原微生物(ウイルス、細菌、真菌など)特異的な分子パターンであるPAMPs(Pathogen Associated Molecular Patterns)を認識し、これらの分子と結合して活性化される。
【0004】
活性化したNLRP3は、アダプタータンパク質であるASC(Apoptosis-associated speck-like protein containing a caspase recruitment domain)及びシステインプロテアーゼであるカスパーゼ1とタンパク-タンパク相互作用により会合し、細胞内タンパク複合体であるNLRP3インフラマソームを形成する。NLRP3インフラマソーム形成により、複合体内のカスパーゼ1は活性型に変換され、活性型カスパーゼ1は炎症誘発性サイトカインであるIL-1βの前駆体であるproIL-1βを活性型IL-1βに、IL-18の前駆体であるproIL-18を活性型IL-18にそれぞれ変換する。細胞外に分泌された活性型IL-1βは、周囲の細胞による炎症性サイトカイン・ケモカイン産生誘導やT細胞などの免疫細胞活性化を介し炎症反応を惹起する。
【0005】
多発性硬化症患者の脳及び脳脊髄液ではDAMPs量の増加(非特許文献1)や、病巣部のカスパーゼ1発現量、脳脊髄液中のIL-1β量の増加が認められた(非特許文献2)。また、本疾患の慢性進行期の病巣には活性化ミクログリアが存在し(非特許文献3)、DAMPsの刺激を受けた活性化ミクログリアは、IL-1βなどの炎症性サイトカインを産生して神経炎症や神経障害を誘発する(非特許文献4)。したがって、NLRP3インフラマソームは多発性硬化症の病態発現に関与すると考えられる。
【0006】
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG; Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein)をマウスに感作して作製したMOG35-55EAEモデルマウスでは、多発性硬化症に類似した運動機能障害が発現する。しかし、NLRP3ノックアウトマウスではMOG35-55EAEモデルにおいて運動機能障害の発症が抑制される(非特許文献5)。また、銅キレート化合物であるクプリゾンをマウスに投与して作製したクプリゾンモデルマウスでは、多発性硬化症に類似した中枢神経の脱髄が発現するが、NLRP3ノックアウトマウスではクプリゾンモデルにおいて脱髄進行が遅延する(非特許文献6)。NLPR3インフラマソーム阻害薬であるJC-171はMOG35-55EAEモデルにおいて、発症後投与において運動機能障害を抑制した(非特許文献7)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は多発性硬化症の治療薬となると考えられる。
【0007】
慢性腎臓病患者の腎臓においてNLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇が報告されている(非特許文献8、9)。さらに、非臨床慢性腎臓病モデルである5/6腎臓摘出モデルにおいて、NLRP3ノックアウトによるタンパク尿および尿細管間質線維化の抑制効果が報告されている(非特許文献10)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は慢性腎臓病の治療薬となると考えられる。
【0008】
炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)患者の腸において、NLRP3インフラマソ-ム関連遺伝子の発現上昇が報告されている(非特許文献11)。NLRP3の活性化により産生されるIL-1βは、IBD患者の腸粘膜において増加しており、大腸部位からのIL-1β分泌量増加は、病態の悪化と正の相関が認められていることが報告されている(非特許文献11)。また、インフラマソーム活性を負に制御するCARD8の機能不全によって、クローン病への感受性が高まること、NLRP3インフラマソームが活性化し単球からのIL-1β産生が亢進することが報告されている(非特許文献12)。大腸炎モデルであるTNBS誘発大腸炎モデルにおいて、NLRP3欠損は、腸病態を抑制することが報告されている(非特許文献13)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は炎症性腸疾患の治療薬になると考えられる。
【0009】
心筋梗塞患者の冠状動脈の動脈硬化部位においてNLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇が報告されている(非特許文献14)。また、動脈硬化症モデルである高脂肪食負荷low-density lipoprotein receptor (LDL)受容体欠損マウスにおいて、NLRP3ノックアウトによる病変形成の抑制効果が報告されている(非特許文献15)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は動脈硬化症の治療薬となると考えられる。
【0010】
クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS: Cryopyrin-associated periodic syndrome)は、NLRP3遺伝子の活性化変異により起こる自己炎症性疾患の総称であり、軽症型の家族性寒冷性自己炎症性症候群(FCAS: Familial cold autoinflammatory syndrome)、中等症のマックルウェルズ症候群(Muckle-Wells Syndrome MWS)、重症型の慢性乳児神経皮膚関節症候群(CINCA: Chronic infantile neurologic cutaneous, and articular syndrome)又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患(NOMID:Neonatal onset multisystem inflammatory disease)の3病型に分類される(非特許文献16)。CAPSにおいては、NLRP3遺伝子の200以上の突然変異が報告されている(非特許文献17)。これらのNLRP3遺伝子変異は、活性化シグナルが存在しない状態でもNLRP3インフラマソームの形成と活性化がおこる。CAPS関連NLRP3変異を発現するマウスでは、NLRP3インフラマソームおよび下流シグナル伝達分子であるIL-1βおよびIL-18に依存した全身性の致死的な炎症を示す(非特許文献18)。CAPS関連NLRP3変異発現マウス系統において、NLRP3インフラマソーム阻害薬であるCY-09は全身性の致死的炎症を抑制し生存率を改善した(非特許文献19)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬はCAPSの治療薬となると考えられる。
【0011】
非アルコール性脂肪肝炎(NASH: nonalcoholic steato-hepatitis)患者の肝臓組織中においてNLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇が報告されている(非特許文献20)。また、NASHモデルであるコリン欠乏アミノ酸置換食負荷モデルにおいて、NLRP3ノックアウトにより肝線維化の抑制効果が報告されている(非特許文献20)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬はNASHの治療薬となると考えられる。
【0012】
痛風・痛風性関節炎においては、関節および関節周囲組織に沈着した尿酸結晶が炎症を惹起する(非特許文献21)。尿酸結晶は、マクロファージのNLRP3を活性化してIL-1β及びIL-18を産生させる(非特許文献22)。関節内尿酸注入関節炎モデルにおいてNLRP3インフラマソーム阻害薬であるOLT1177は関節炎を抑制した(非特許文献23)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は痛風・痛風性関節炎の治療薬となると考えられる。
【0013】
関節リウマチ患者の関節滑膜、末梢血単核細胞においてNLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇が報告されている(非特許文献24)。また、関節リウマチモデルであるコラーゲン誘発性関節炎においても、滑膜におけるNLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇が報告されている(非特許文献25)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は関節リウマチの治療薬となると考えられる。
【0014】
接触性皮膚炎を誘発するトリニトロクロロベンゼンは、NLRP3活性化を介してヒト皮膚ケラチノサイトからのIL-1β産生を増加させ、接触性皮膚炎モデルであるトリニトロクロロベンゼン誘発皮膚炎モデルにおいても、NLRP3ノックアウトにより皮膚炎の発症が抑制されることが報告されている(非特許文献26)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は接触性皮膚炎の治療薬となると考えられる。
【0015】
ドライアイ患者の涙液や眼表面においてNLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇が報告されている(非特許文献27、28)。また、培養ヒト角膜上皮細胞に高浸透圧ストレスを負荷しドライアイ状態を誘発すると、NLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇とIL-1β産生増加が認められ、NLRP3遺伝子のノックダウンによりIL-1β産生が抑制されることが報告されている(非特許文献28)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬はドライアイの治療薬となると考えられる。
【0016】
急性心筋梗塞患者の心筋組織に浸潤したマクロファージ、好中球においてNLRP3インフラマソームのASCドメインの発現上昇が報告されている(非特許文献29)。また、心筋梗塞モデルである虚血再灌流モデルにおいて、梗塞部位におけるNLRP3インフラマソーム関連遺伝子の発現上昇が認められ、NLRP3遺伝子のノックダウンにより梗塞面積の減少と心筋収縮力低下が抑制されることが報告されている(非特許文献30)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は急性心筋梗塞など虚血性心疾患の治療薬となると考えられる。
【0017】
全身性エリテマトーデス(SLE: systemic lupus erythematosus)患者の血清や糸球体において、IL-1β、又はIL-18の発現が増加し(非特許文献31、32)、マクロファージにおいてはNLRP3遺伝子の発現とIL-1βの産生が増加することが報告されている(非特許文献33)。また、NLRP3遺伝子の活性化変異を有するNlrp3-R258Wマウスでは、プリスタンの投与で発現するループス腎炎様症状が増悪する(非特許文献34)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬はSLE治療薬となると考えられる。
【0018】
上記疾患の他にも、NLRP3インフラマソーム阻害薬によって有効性が期待される疾患として、全身型若年性特発性関節炎(非特許文献35)、再発性心膜炎(非特許文献36)、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)(非特許文献37)、シュニッツラー症候群(非特許文献38)、IL-1受容体拮抗分子欠損症(非特許文献39)、家族性地中海熱(非特許文献40)、メバロン酸キナーゼ欠損症(非特許文献40)、高IgD症候群(非特許文献40)、TNF受容体関連周期性症候群(非特許文献40)、ベーチェット病(非特許文献41)、肺がん(非特許文献42)などが挙げられる。これら疾患は、canakinumabなどの抗IL-1β抗体やrilonaceptなどのIL-1阻害薬による治療効果が報告されている。NLRP3インフラマソームはIL-1βなどの炎症性サイトカインの産生に関与することから、NLRP3インフラマソーム阻害薬はこれら疾患の治療薬になると考えられる。
【0019】
NLRP3 rs10733113遺伝子型は、乾癬患者に有意に増加しており、乾癬への感受性が高まっていることが報告されている(非特許文献43)。また、乾癬モデルであるIL-23誘発乾癬モデルにおいて、NLRP3欠損は乾癬症状を抑制することが報告されている(非特許文献44)。以上の結果から、NLRP3インフラマソ-ム阻害薬は、乾癬の治療薬になると考えられる。
【0020】
NLRP3インフラマソーム活性化と関連する痛風やアテローム性硬化症(動脈硬化症)及び慢性腎臓病において、高血圧を伴う。NLRP3欠損は、マウス左腎動脈狭窄モデルにおける高血圧を抑制することが報告されている(非特許文献45)。また、NLRP3インフラマソーム阻害薬であるMCC950は、deoxycorticosterone acetate食塩マウスモデルにおける高血圧を抑制することが報告されている(非特許文献46)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は高血圧の治療薬になると考えられる。
【0021】
糖尿病性網膜症患者の増殖膜においてNLRP3の発現が亢進していることが報告されている(非特許文献47)。また、糖尿病性網膜症モデルであるSTZ誘発網膜症モデルにおいて、NLRP3の発現が亢進している(非特許文献48)。本モデルにおいて、NLRP3 shRNAによるNLRP3発現低下は、IL-1β及びVEGF分泌減少、神経節細胞量増加、及び網膜障害回復を示すことが報告されている(非特許文献49)。以上の結果から、NLRP3インフラマソ-ム阻害薬は、糖尿病性網膜症の治療薬になると考えられる。
【0022】
アルツハイマー病患者、MCI(軽度認知障害)患者、及びアルツハイマー病モデルマウスであるAPP/PS1 マウスでは、脳におけるNLRP3インフラマソーム活性化が生じ、APP/PS1 マウスにおけるNLRP3欠損によって、空間記憶障害の発現が抑制される(非特許文献50)。NLRP3阻害薬であるMCC950は、APP/PS1 マウスにおいて、ミクログリアにおけるNLRP3活性化を抑制し、認知機能障害を改善する(非特許文献51)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬はアルツハイマー病及びMCI治療薬になると考えられる。
【0023】
パーキンソン病患者、及びパーキンソン病病態モデルであるα-synuclein PFF(pre-formed fibril)注入マウスの黒質においては、ミクログリアにおけるNLRP3インフラマソーム関連分子の発現増加とNLRP3インフラマソーム活性化が生じる(非特許文献52)。NLRP3阻害薬であるMCC950は、α-synuclein PFF注入マウスにおいて、黒質におけるNLRP3活性化を抑制し、黒質のドパミンニューロンの神経細胞死を抑制する(非特許文献52)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬はパーキンソン病治療薬になると考えられる。
【0024】
ハンチントン病患者では、NLRP3インフラマソーム関連サイトカインであるIL-1βの脳脊髄液中濃度が増加する(非特許文献53)。ハンチントン病の病態モデルであるR6/2マウスにおいて、線条体でのNLRP3インフラマソーム発現量は増加する(非特許文献54)。NLRP3阻害薬であるMCC950は、R6/2マウスの線条体におけるNLRP3インフラマソーム活性化を抑止し、線条体における神経細胞死を抑制し、症状進行を抑制する(非特許文献55)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬はハンチントン病治療薬になると考えられる。
【0025】
筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic lateral sclerosis)患者の脊髄では、NLRP3インフラマソーム、IL-18、及び活性型caspase 1の発現が増加する(非特許文献56)。ALSモデルマウスであるSOD1G93Aマウス及びTDP-43Q331Kマウスの脊髄では、IL-1β、Nlrp3、 Pycard、及びCasp1のmRNA発現が増加する(非特許文献57)。NLRP3阻害薬であるMCC950は、SOD1G93A及びTDP-43タンパクが誘導するミクログリアにおけるNLRP3活性化を抑制し、IL-1β産生を低下させる(非特許文献57)。SOD1G93Aマウスにおいて、IL-1βもしくはcaspase1を欠損させると生存期間が延長し、IL-1β受容体抗体を投与すると病態進行が抑制され、生存期間が延長する(非特許文献58)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬はALS治療薬になると考えられる。
【0026】
外傷性脳損傷(TBI;traumatic brain injury)患者の脳組織や脳脊髄液中では、NLRP3インフラマソームの発現量が増加する(非特許文献59、60)。TBIモデルラットの脳組織では、NLRP3インフラマソームの発現量が増加し、IL-1βやIL-18の発現量も増加する(非特許文献61)。NLRP3阻害薬であるMCC950は、TBIモデルマウスにおけるIL-1β産生を抑制し、脳外傷後の神経症状発現を抑制する(非特許文献62)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬はTBI治療薬になると考えられる。
【0027】
脳梗塞患者、脳梗塞モデルである中大脳動脈閉塞(MCAO;middle cerebral artery occlusion (MCAO))マウス、及び脳内出血モデルラットの脳組織においては、NLRP3インフラマソーム、IL-1β、及びIL-18の発現が増加する(非特許文献63、64)。また、NLRP3阻害薬であるMCC950は、MCAOモデル、脳内出血モデルラットにおいて神経保護作用を示した。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、脳梗塞治療薬および脳出血治療薬になると考えられる。
【0028】
側頭葉てんかん患者の脳組織、及びPilocarpine誘発てんかんモデルマウスでは、NLRPインフラマソームの発現が増加する(非特許文献65、66)。また、Pilocarpine誘発てんかんモデルマウスにおいて、NLRP3インフラマソームの欠損及びNLRP3阻害薬であるMCC950投与は、てんかん発現の原因となる海馬神経細胞のアポトーシスを抑制する(非特許文献66)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、てんかん治療薬になると考えられる。
【0029】
うつ病患者の末梢血中では、NLRP3インフラマソーム発現量、IL-1β濃度、及びIL-18濃度が増加し、IL-1β濃度とうつ病症状スコアは相関を示す(非特許文献67)。うつ病の病態モデルであるLPS誘発モデル、慢性ストレス誘発モデル、又は社会敗北モデルにおいて、脳組織中のNLRP3インフラマソーム、IL-1β、又はIL-18の発現量の増加やNLRP3インフラマソーム活性化が生じる(非特許文献68、69、70)。また、病態モデルにおいて、NLRP3阻害薬であるMCC950の投与やNLRP3欠損は、うつ症状の改善作用を示す(非特許文献69、70)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、うつ病治療薬になると考えられる。
【0030】
自閉スペクトラム症(ASD;Autism Spectrum Disorder)患者の末梢血では、NLRP3インフラマソーム発現量やIL-1β、及びIL-18濃度が増加する(非特許文献71)。Maternal immune activation (MIA) モデルでは妊娠動物へのPolyIC投与により子にASD症状が発現するが、本モデルの胎児脳においてIL-1β発現が増加し、NLRP3阻害薬であるMCC950を母体に投与すると、子のASD症状発現が抑制される(非特許文献72)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、ASD治療薬になると考えられる。
【0031】
脊髄を損傷させたマウスの脊髄では、NLRP3インフラマソーム、又はIL-1β発現が増加し、NLRP3活性化が認められる(非特許文献73、74)。また、NLRP3阻害薬であるMCC950投与を脊髄損傷後のマウスに投与すると、脊髄におけるNLRP3活性化やIL-1β発現を抑制し、運動機能の回復が促進される(非特許文献73)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、脊髄損傷の治療薬になると考えられる。
【0032】
敗血症モデル動物である腸管穿孔モデルでは、脳内におけるNLRP3インフラマソーム、又はIL-1βの発現増加と活性化が起こり、海馬神経細胞の障害や、敗血症性脳症の症状である記憶障害を呈する(非特許文献75、76)。NLRP3阻害薬であるMCC950を腸管穿孔モデルに投与すると、NLRP3インフラマソーム活性化が抑制され、記憶障害が改善する(非特許文献76)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、敗血症性脳症の治療薬になると考えられる。
【0033】
神経障害性疼痛モデル動物であるchronic constriction injury (CCI)モデルでは、脊髄内グリア細胞やニューロンにおいてIL-1βやNLRP3インフラマソーム関連分子の発現量が増加する(非特許文献77)。また、抗がん剤誘発神経障害における神経障害性疼痛モデルであるパクリタキセル誘発疼痛モデルにおいては、脊髄後根神経節や座骨神経において、NLRP3インフラマソーム関連分子の発現量が増加する(非特許文献78)。また、三叉神経痛モデル動物においては、脊髄後角におけるNLRP3インフラマソーム発現量が増加し、脊髄内NLRP3を欠損させることで、脊髄内NLRP3インフラマソーム活性化及び機械的刺激に対するアロディニアが抑制される(非特許文献79)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、神経障害性疼痛の治療薬になると考えられる。
【0034】
SARS-CoV-2を感染させたマウスでは、肺組織においてIL-1βやNLRP3インフラマソーム関連分子の発現量の増加が認められる。その一方、NLRP3ノックアウトマウスではそれら発現量の増加は認められず、SARS-CoV-2に起因する重篤な呼吸器炎症は抑制される。また、SARS-CoV-2を感染させたマウスにNLRP3阻害薬であるMCC950を投与すると、肺におけるNLRP3インフラマソームの活性化や過剰な免疫反応が抑制される(非特許文献80)。したがって、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、SARS-CoV-2に起因するCOVID-19の治療薬になると考えられる。
【0035】
タウ蛋白変異を有する前頭側頭型認知症患者の大脳皮質において、NLRP3インフラマソームのASCドメイン及び成熟IL-1βタンパクの増加が報告されている(非特許文献81)。また、前頭側頭型認知症モデルであるTau22マウス(ヒト変異タウタンパク発現マウス)の大脳皮質においても、NLRP3インフラマソームのASCドメイン及び切断後caspase1の増加が報告され、NLRP3ノックアウトによりタウ病変形成の抑制効果及び認知機能低下の抑制作用も報告されている(非特許文献81)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は前頭側頭型認知症の治療薬になると考えられる。
【0036】
NLRP3遺伝子の活性化変異により起こるNLRP3関連自己炎症性疾患(NLRP3-AID)の患者において、加齢黄斑変性症(AMD)の発症原因物質と考えられるドルーゼンの形成が認められた(非特許文献82)。また、加齢黄斑変性症モデルの一つであるAlu RNA誘発網膜色素上皮細胞変性モデルにおいて、NLRP3阻害剤は網膜色素上皮細胞の変性を抑制した(非特許文献83)。加齢黄斑変性症の別モデルであるレーザー誘発脈絡膜血管新生モデルにおいて、NLRP3阻害剤は血管新生を抑制した(非特許文献83)。以上の結果から、NLRP3インフラマソーム阻害薬は、加齢黄斑変性症の治療薬になると考えられる。
【0037】
糖尿病黄斑浮腫の患者では、糖尿病により網膜血管透過性が亢進し、血液の成分が網膜内に漏れ出す(非特許文献84)。NLRP3阻害薬であるMCC950は、STZ誘発糖尿病マウスにおいて、亢進した網膜血管透過性を改善した(非特許文献85)。したがって、NLRPインフラマソーム阻害薬は糖尿病黄斑浮腫の治療薬になると考えられる。
【0038】
遺伝性一過性角膜内皮炎は、NLRP3遺伝子の活性化変異により起こるクリオピリン関連周期熱症候群の1つである(非特許文献86)。したがって、NLRPインフラマソーム阻害薬は遺伝性一過性角膜内皮炎の治療薬になると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0039】
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【発明の概要】
【0040】
本発明は、NLRP3インフラマソーム阻害活性を有するピラゾロピリミジン化合物又はその製薬上許容される塩、それを含む医薬組成物、及びその医薬用途等を提供する。すなわち、本発明は、以下に例示する態様を含む。
【0041】
[項1]
式[I]の化合物又はその製薬上許容される塩(以下、本明細書において「式[I]の化合物又はその製薬上許容される塩」を「化合物[I]」ともいう)。
【化1】
〔式中、
【化2】
は単結合又は二重結合であり、
及びRは各々独立して、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、
(3)シアノ、
(4)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、
(5)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、C3-6シクロアルキルで置換されてもよい)、
(6)ハロゲン、
(7)C1-4ハロアルキル、
(8)-CHO、
(9)-O-C1-4ハロアルキル、
(10)-O-C3-6シクロアルキル、
(11)-CO-C1-4アルキル、
(12)-CO-C3-6シクロアルキル、
(13)-NR(ここで、R及びRは各々独立して、水素又は2,4-ジメトキシベンジルであるか、あるいは、RとRが、これらが結合する窒素原子と一緒になって、-NR基が、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から6員のヘテロシクロアルキルを形成してもよい)、又は
(14)C3-6シクロアルキル、であり、
及びRは各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル、又は
(3)C1-4ハロアルキル、であり、
は、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)C1-6アルキル、
(4)C2-6アルケニル、
(5)C2-5アルキニル、
(6)C1-4アルコキシ、
(7)ハロゲン、
(8)C1-6ハロアルキル、
(9)C2-6ハロアルケニル、
(10)-O-C1-4ハロアルキル、
(11)C3-6シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、1から3個のハロゲン又はC1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、
(12)C5-6シクロアルケニル、又は
(13)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキルであり、
は、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4アルコキシ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-4ハロアルキル、又は
(5)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり、
mは0、1、又は2であり、
nは0又は1であり、
nが0のとき、
、X、X及びXは各々独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は1、2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である)、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成し、
nが1のとき、
、X、X、X及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、X又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である)、X、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する〕
[項2]
及びRが水素である、項1に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項3]
式[II]で示される、項1又は2に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【化3】
(式中、各記号は項1と同義である)
[項4]
式[III]で示される、項1又は2に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【化4】
(式中、各記号は項1と同義である)
[項5]
項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
[項6]
項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、NLRP3インフラマソーム阻害剤。
[項7]
項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
[項8]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項7に記載の治療剤又は予防剤。
[項9]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項7に記載の治療剤又は予防剤。
[項10]
治療上有効量の項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、NLRP3インフラマソームを阻害する方法。
[項11]
治療上有効量の項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
[項12]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項11に記載の方法。
[項13]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項11に記載の方法。
[項14]
NLRP3インフラマソーム阻害剤を製造するための項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
[項15]
多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
[項16]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項15に記載の使用。
[項17]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項15に記載の使用。
[項18]
NLRP3インフラマソームの阻害に使用するための、項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項19]
多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、項1から4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項20]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項19に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項21]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項19に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項22]
項5に記載の医薬組成物と、当該医薬組成物を多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用できることを記載した当該医薬組成物に関する記載物を含む、商業用パッケージ。
[項23]
項5に記載の医薬組成物と、当該医薬組成物を多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用できることを記載した当該医薬組成物に関する記載物を含む、商業用キット。
[項1A]
式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩(以下、本明細書において「式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩」を「化合物[IA]」ともいう)。
【化5】
〔式中、結合:
【化6】
は単結合又は二重結合であり、
及びRは各々独立して、
(1)水素、
(2)ヒドロキシ、
(3)シアノ、
(4)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、
(5)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、C3-6シクロアルキルで置換されてもよい)、
(6)ハロゲン、
(7)C1-4ハロアルキル、
(8)-CHO、
(9)-O-C1-4ハロアルキル、
(10)-O-C3-6シクロアルキル、
(11)-CO-C1-4アルキル、
(12)-CO-C3-6シクロアルキル、
(13)-NR(ここで、R及びRは各々独立して、水素又は2,4-ジメトキシベンジルであるか、あるいは、RとRが、これらが結合する窒素原子と一緒になって、-NR基が、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から6員のヘテロシクロアルキルを形成してもよい)、又は
(14)C3-6シクロアルキル、であり、
3A及びR4Aは各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-4アルキル、又は
(3)C1-4ハロアルキル、であり、
5Aは、
(1)水素、
(2)シアノ、
(3)C1-6アルキル、
(4)C2-6アルケニル、
(5)C2-5アルキニル、
(6)C1-4アルコキシ、
(7)ハロゲン、
(8)C1-6ハロアルキル、
(9)C2-6ハロアルケニル、
(10)-O-C1-4ハロアルキル、
(11)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、
(12)C5-6シクロアルケニル、又は
(13)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキルであるか、あるいは
5AはR3A又はR4A、及びこれらが結合する炭素原子と一緒になって、
(1)C5-6シクロアルケン、又は
(2)酸素原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケンを形成してもよく、
6Aは、独立して
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4アルコキシ、
(3)ハロゲン、
(4)C1-4ハロアルキル、又は
(5)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり、
mは0、1、又は2であり、
mが2のとき、
隣接する2つのR6Aは、これらが結合するX、X、X、X及びXのうち隣接する2つと一緒になって、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルカン又はヘテロシクロアルケンを形成してもよく、
nは0又は1であり、
nが0のとき、
、X、X及びXは各々独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は1、2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である)、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成し、
nが1のとき、
、X、X、X及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、X又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である)、X、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する〕
[項2A]
3A及びR4Aが水素である、項1Aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項3A]
式[IIA]で示される、項1A又は2Aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【化7】
(式中、R、R、R5A、R6A、X、X、X、X及びmは項1Aと同義である)
[項4A]
、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、又はトリアゾリルを形成する、項1Aから3Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項5A]
、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピラゾリル、イミダゾリル、又はチアゾリルを形成する、項1Aから4Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項6A]
、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になって、
式(1):
【化8】
、式(2):
【化9】
、又は式(3):
【化10】
、を形成する、項1Aから5Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項7A]
式[IIIA]で示される、項1A又は2Aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
【化11】
(式中、R、R、R5A、R6A、X、X、X、X、X及びmは項1Aと同義である)
[項8A]
、X、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、又はピラジニルを形成する、項1A、2A又は7Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項9A]
、X、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピリダジニル、又はピリミジルを形成する、項1A、2A、7A又は8Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項10A]
、X、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になって、
式(1’):
【化12】
、又は式(2’):
【化13】
を形成する、項1A、2A、7A、8A又は9Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項11A]
mが0又は1である、項1Aから10Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項12A]
及びRのうち少なくとも1つが
1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、又は
ハロゲンである、項1Aから11Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項13A]
下記構造式:
【化14】
からなる群から選択される、化合物又はその製薬上許容される塩。
[項14A]
項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
[項15A]
項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、NLRP3インフラマソーム阻害剤。
[項16A]
項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤。
[項17A]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項16Aに記載の治療剤又は予防剤。
[項18A]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項16Aに記載の治療剤又は予防剤。
[項19A]
疾患が多発性硬化症、ドライアイ、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、及び遺伝性一過性角膜内皮炎からなる群より選択される、項16Aに記載の治療剤又は予防剤。
[項20A]
治療上有効量の項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、NLRP3インフラマソームを阻害する方法。
[項21A]
治療上有効量の項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩を哺乳動物に投与することを含む、多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患を治療又は予防する方法。
[項22A]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項21Aに記載の方法。
[項23A]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項21Aに記載の方法。
[項24A]
疾患が多発性硬化症、ドライアイ、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、及び遺伝性一過性角膜内皮炎からなる群より選択される、項21Aに記載の方法。
[項25A]
NLRP3インフラマソーム阻害剤を製造するための項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
[項26A]
多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤を製造するための項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩の使用。
[項27A]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項26Aに記載の使用。
[項28A]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項26Aに記載の使用。
[項29A]
疾患が多発性硬化症、ドライアイ、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、及び遺伝性一過性角膜内皮炎からなる群より選択される、項26Aに記載の使用。
[項30A]
NLRP3インフラマソームの阻害に使用するための、項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項31A]
多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用するための、項1Aから13Aのいずれか一項に記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項32A]
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎又はクローン病である、項31Aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項33A]
クリオピリン関連周期熱症候群が家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群又は新生児期発症多臓器系炎症性疾患である、項31Aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項34A]
疾患が多発性硬化症、ドライアイ、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、及び遺伝性一過性角膜内皮炎からなる群より選択される、項31Aに記載の化合物又はその製薬上許容される塩。
[項35A]
項14Aに記載の医薬組成物と、当該医薬組成物を多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用できることを記載した当該医薬組成物に関する記載物を含む、商業用パッケージ。
[項36A]
項14Aに記載の医薬組成物と、当該医薬組成物を多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療又は予防に使用できることを記載した当該医薬組成物に関する記載物を含む、商業用キット。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書における用語の定義は以下の通りである。
【0043】
化学式における以下:
【化15】
の波線は、当該化学式で示される構造又は基の結合部位を示す。
【0044】
「C1-4アルキル」とは、炭素数1から4の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「C1-4アルキル」には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、及びtert-ブチルが含まれる。好ましくは、メチル、及びエチルである。より好ましくは、メチルである。
【0045】
「C1-6アルキル」とは、炭素数1から6の直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「C1-6アルキル」には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2-メチルブチル、1,1-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、及び2-エチルブチルが含まれる。好ましくは、メチル、及びエチルである。より好ましくは、メチルである。
【0046】
「C2-6アルケニル」とは、炭素原子を2から6個含有し、少なくとも1個の二重結合を含有する、直鎖状又は分岐鎖状の不飽和炭化水素基を意味する。「C2-6アルケニル」には、例えば、ビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1,3-ブタジエニル、3-メチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、4-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、及び1-メチル-2-ブテニルが含まれる。
【0047】
「C2-5アルキニル」とは、炭素原子を2から5個含有し、少なくとも1個の三重結合を含有する、直鎖状又は分岐鎖状の不飽和炭化水素基を意味する。「C2-5アルキニル」には、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、及び2-ペンチニルが含まれる。
【0048】
「C1-4アルコキシ」とは、上記「C1-4アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。「C1-4アルコキシ」には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、及びtert-ブトキシが含まれる。好ましくは、メトキシである。
【0049】
「C1-6アルコキシ」とは、上記「C1-6アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。「C1-6アルコキシ」には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、2-メチルブトキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1,1-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、3,3-ジメチルブトキシ、及び2-エチルブトキシが含まれる。
【0050】
「ハロゲン」には、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれる。好ましくは、フッ素、塩素、及び臭素である。
【0051】
「C1-4ハロアルキル」とは、上記「ハロゲン」の群より独立して選択される1から7個のハロゲンで置換された上記「C1-4アルキル」を意味する。「C1-4ハロアルキル」には、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、1,1-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、1-フルオロ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3-クロロプロピル、1,1-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、及び4,4,4-トリフルオロブチルが含まれる。好ましくは、ジフルオロメチル、及びトリフルオロメチルである。
【0052】
「C1-6ハロアルキル」とは、上記「ハロゲン」の群より独立して選択される1から9個のハロゲンで置換された上記「C1-6アルキル」を意味する。「C1-6ハロアルキル」には、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、1,1-ジフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、1-フルオロ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3-クロロプロピル、1,1-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、及び6,6,6-トリフルオロヘキシルが含まれる。好ましくは、トリフルオロメチル、及び1,1-ジフルオロエチルである。
【0053】
「C2-6ハロアルケニル」とは、上記「ハロゲン」の群より独立して選択される1から9個のハロゲンで置換された上記「C2-6アルケニル」を意味する。「C2-6ハロアルケニル」には、例えば、2-フルオロエテニル、3-クロロプロペニル、2-フルオロプロペニル、1-トリフルオロメチルエテニル、及び4,4,4-トリフルオロ-2-ブテニルが含まれる。
【0054】
「C3-6シクロアルキル」とは、炭素数3から6個を有する単環式飽和炭化水素環基を意味する。「C3-6シクロアルキル」には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。好ましくは、シクロプロピルである。
【0055】
「C5-6シクロアルケン」とは、炭素数5から6個を有し、少なくとも1個の二重結合を含む単環式部分不飽和炭化水素環を意味する。「C5-6シクロアルケン」には、例えば、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、及びシクロヘキサジエンが含まれる。好ましくは、シクロペンテンである。
【0056】
「C5-6シクロアルケニル」とは、炭素数5から6個を有し、少なくとも1個の二重結合を含む単環式部分不飽和炭化水素環基を意味する。「C5-6シクロアルケニル」には、例えば、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘキサジエニルが含まれる。
【0057】
「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員の単環式飽和ヘテロ環基を意味する。「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル」には、例えば、アゼチジニル、オキセタニル、ジアゼチジニル、ジオキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、1,3-ジアザシクロヘキサニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロ-1,2-オキサジニル、及びジオキサニルが含まれる。好ましくは、オキセタニルである。
【0058】
「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から6員のヘテロシクロアルキル」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から6員の単環式飽和ヘテロ環基を意味する。「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から6員のヘテロシクロアルキル」には、例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、1,3-ジアザシクロヘキサニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロ-1,2-オキサジニル、及びジオキサニルが含まれる。
【0059】
「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルカン」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から7員の単環式飽和ヘテロ環を意味する。「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルカン」には、例えば、ピロリジン、テトラヒドロフラン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ジオキソラン、オキサゾリジン、イソキサゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、1,2-ジアザシクロヘキサン、1,3-ジアザシクロヘキサン、ピペラジン、ジオキサン、モルホリン、テトラヒドロ-1,2-オキサジン、テトラヒドロ-1,3-オキサジン、アゼパン、オキセパン、ジアゼパン(例えば1,4-ジアゼパン)、ジオキセパン(例えば1,4-ジオキセパン)、及びオキサゼパン(例えば1,4-オキサゼパン及び1,2-オキサゼパン)が含まれる。好ましくは、ピロリジン、モルホリン、及びテトラヒドロ-1,3-オキサジンである。
【0060】
「酸素原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケン」とは、環構成原子として炭素原子以外に、酸素原子を1又は2個含有し、少なくとも1個の二重結合を含む、5から7員の単環式部分不飽和ヘテロ環を意味する。「酸素原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケン」には、例えば、ジヒドロフラン、ジオキソール、ジヒドロピラン、ジヒドロジオキシン、ピラン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロジオキセピン、ジヒドロオキセピン、及びジオキセピンが含まれる。好ましくは、ジヒドロピランである。
【0061】
「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケン」とは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有し、少なくとも1個の二重結合を含む、5から7員の単環式部分不飽和ヘテロ環を意味する。「窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケン」には、例えば、ピロリン、ピラゾリン、イミダゾリン、ジヒドロフラン、ジオキソール、オキサゾリン、イソキサゾリン、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、テトラヒドロピラジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロピラン、ジヒドロジオキシン、ピラン、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、ジヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロオキセピン、ジヒドロジオキセピン、ジヒドロオキセピン、ジオキセピン、テトラヒドロオキサゼピン、及びジヒドロオキサゼピンが含まれる。好ましくは、ピロリン、及びジヒドロオキサジンである。
【0062】
本発明の一実施形態では、式[I]及び式[IA]中のnは0であり、X、X、X及びXは各々独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は1、2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である)。即ち、該ヘテロアリールは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素、酸素及び硫黄原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1から3個含有し、かつ、酸素及び硫黄原子の総数が0又は1個である、5員の単環式芳香族ヘテロ環基を意味する。このようなヘテロアリールには、例えば、ピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル(例えば1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル及び1,3,4-オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル及び1,3,4-チアジアゾリル)、及びトリアゾリル(例えば1,2,3-トリアゾリル及び1,2,4-トリアゾリル)が含まれる。好ましくは、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、及び1,2,4-トリアゾリルである。より好ましくは、ピラゾリル、イミダゾリル、及びチアゾリルである。さらに好ましくは、以下の基:
【化16】
である。
【0063】
本発明の別の実施形態では、式[I]及び式[IA]中のnは1であり、X、X、X、X及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり、X、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する(ここで、X、X、X、X又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である)。即ち、該ヘテロアリールは、環構成原子として炭素原子以外に、窒素原子を1又は2個含有する、6員の単環式芳香族ヘテロ環基を意味する。このようなヘテロアリールには、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、及びピラジニルが含まれる。好ましくは、ピリミジル、及びピリダジニルである。より好ましくは、以下の基:
【化17】
である。
【0064】
本発明のいくつかの実施態様では、式[IA]の部分構造:
【化18】
は、隣接する2つのR6Aが、これらが結合するX、X、X、X及びXのうち隣接する2つと一緒になって、環構造を形成する場合、全体として、窒素、酸素及び硫黄原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1~5個含有する、8から11員の部分不飽和縮合環基を形成する。当該縮合環基としては、例えば以下の基:
【化19】
が挙げられる。
【0065】
本発明のいくつかの実施態様では、式[IA]の部分構造:
【化20】
は、R5AがR3A又はR4A、及びこれらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造を形成する場合、全体として、酸素原子を1又は2個含有してもよい、9から11員の部分不飽和縮合環基であって、R及びRとR3A又はR4Aで置換された縮合環基を形成する。当該縮合環基としては、例えば以下の基:
【化21】
が挙げられる。
【0066】
αがβで「置換されてもよい」とは、αが無置換であるか、又はαの置換可能な任意の水素がβで置き換えられることを意味する。例えば「ヒドロキシで置換されてもよいC1-6アルキル」とは、C1-6アルキルが無置換であるか、又はC1-6アルキルにおける任意の水素がヒドロキシで置換されることを意味する。
【0067】
式[I]及び式[IA]の化合物の各置換基の具体的態様を以下に例示するが、式[I]及び式[IA]の化合物の各置換基はその具体的態様に限定されるものではなく、また、式[I]及び式[IA]の化合物は各置換基における具体的態様の任意の二以上を組み合わせた態様も含む。
【0068】
及びRは、好ましくは、各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、C3-6シクロアルキルで置換されてもよい)、
(4)ハロゲン、
(5)C1-4ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル、である。
【0069】
及びRは、好ましくは、各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、又は
(3)ハロゲン、である。
【0070】
及びRは、より好ましくは、各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、である。
【0071】
及びRは、好ましくは、水素である。
【0072】
は、好ましくは、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル、
(3)C1-4アルコキシ、
(4)ハロゲン、
(5)C1-6ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、1から3個のハロゲン又はC1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、である。
【0073】
部分構造:
【化22】
は、好ましくは、
及びRは、各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、C3-6シクロアルキルで置換されてもよい)、
(4)ハロゲン、
(5)C1-4ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル、であり;
及びRは、好ましくは、水素であり;
は、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル、
(3)C1-4アルコキシ、
(4)ハロゲン、
(5)C1-6ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、1から3個のハロゲン又はC1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、である。
【0074】
3A及びR4Aは、好ましくは、各々独立して、水素又はC1-4アルキルである。
【0075】
3A及びR4Aは、より好ましくは、水素である。
【0076】
5Aは、好ましくは、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル、
(3)C1-4アルコキシ、
(4)ハロゲン、
(5)C1-6ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であるか、あるいは
5AはR3A又はR4A、及びこれらが結合する炭素原子と一緒になって、
(1)C5-6シクロアルケン、又は
(2)酸素原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケンを形成する。
【0077】
5Aは、より好ましくは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0078】
5Aは、さらに好ましくは、
(1)ハロゲン、又は
(2)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0079】
5Aは、さらにより好ましくは、C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0080】
部分構造:
【化23】
は、好ましくは、
及びRは、各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、又は
(3)ハロゲン、であり;
3A及びR4Aは、各々独立して、水素又はC1-4アルキルであり;
5Aは、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル、
(3)C1-4アルコキシ、
(4)ハロゲン、
(5)C1-6ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であるか、あるいは
5AはR3A又はR4A、及びこれらが結合する炭素原子と一緒になって、
(1)C5-6シクロアルケン、又は
(2)酸素原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケンを形成する。
【0081】
部分構造:
【化24】
は、より好ましくは、
及びRは、各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
3A及びR4Aは、水素であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0082】
部分構造:
【化25】
は、さらに好ましくは、
及びRは、各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
3A及びR4Aは、水素であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、又は
(2)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0083】
部分構造:
【化26】
は、さらにより好ましくは、
及びRは、各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
3A及びR4Aは、水素であり;
5Aは、C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0084】
は、好ましくは、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4アルコキシ、
(3)ハロゲン、又は
(4)C1-4ハロアルキル、である。
【0085】
6Aは、好ましくは、独立して、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4アルコキシ、
(3)ハロゲン、又は
(4)C1-4ハロアルキル、である。
【0086】
6Aは、より好ましくは、独立して、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、である。
【0087】
mは、好ましくは、0又は1である。
【0088】
は、好ましくは、炭素、窒素、又は酸素原子である。
は、より好ましくは、炭素、又は窒素原子である。
【0089】
は、好ましくは、炭素、又は窒素原子である。
【0090】
は、好ましくは、炭素、窒素、又は硫黄原子である。
【0091】
は、好ましくは、炭素、窒素、又は硫黄原子である。
は、より好ましくは、炭素原子である。
【0092】
は、好ましくは、炭素原子である。
【0093】
nは、好ましくは、0である。
【0094】
部分構造:
【化27】
は、nが0のとき、好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4ハロアルキル、又は
(3)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり;
は、炭素、窒素又は酸素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり;
は、炭素、窒素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は1、2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0095】
部分構造:
【化28】
は、nが0のとき、より好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4ハロアルキル、又は
(3)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり;
は、炭素、窒素又は酸素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり;
は、炭素、窒素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0096】
部分構造:
【化29】
は、nが0のとき、さらに好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
は、窒素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、又は硫黄原子であり;
は、炭素原子であり(ここで、X、X、又はXとしての窒素及び硫黄原子の総数は2である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0097】
部分構造:
【化30】
は、nが0のとき、さらにより好ましくは、
式:
【化31】
、式:
【化32】
、又は式:
【化33】
、であり、
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、である。
【0098】
部分構造:
【化34】
は、nが1のとき、好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルコキシ、
(2)ハロゲン、又は
(3)C1-4ハロアルキル、であり;
、X、X、及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である);
は、炭素原子であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0099】
部分構造:
【化35】
は、nが1のとき、より好ましくは、
mは、0であり;
、及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり;
は、窒素原子であり(ここで、X、X、又はXとしての窒素原子の総数は2である);
、及びXは、炭素原子であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0100】
部分構造:
【化36】
は、nが1のとき、さらに好ましくは、
式:
【化37】
、又は
式:
【化38】
、である。
【0101】
部分構造:
【化39】
は、好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4ハロアルキル、又は
(3)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり;
は、炭素、窒素又は酸素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり;
は、炭素、窒素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0102】
部分構造:
【化40】
は、より好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)であり;
は、炭素、窒素又は酸素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり;
は、炭素、窒素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0103】
部分構造:
【化41】
は、さらに好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
は、窒素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、又は硫黄原子であり;
は、炭素原子であり(ここで、X、X、又はXとしての窒素及び硫黄原子の総数は2である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0104】
部分構造:
【化42】
は、さらにより好ましくは、
式:
【化43】
、式:
【化44】
、又は式:
【化45】
、であり、
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、である。
【0105】
部分構造:
【化46】
は、好ましくは、
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルコキシ、
(2)ハロゲン、又は
(3)C1-4ハロアルキル、であり;
、X、X、及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である);
は、炭素原子であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0106】
部分構造:
【化47】
は、より好ましくは、
mは、0であり;
、及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり;
は、窒素原子であり(ここで、X、X、又はXとしての窒素原子の総数は2である);
、及びXは、炭素原子であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0107】
部分構造:
【化48】
は、さらに好ましくは、
式:
【化49】
、又は
式:
【化50】
、である。
【0108】
式[I]の化合物の好ましい態様の一つは、
及びRは、各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、
(3)C1-6アルコキシ(ここで、該アルコキシは、C3-6シクロアルキルで置換されてもよい)、
(4)ハロゲン、
(5)C1-4ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル、であり;
及びRは、好ましくは、水素であり;
は、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル、
(3)C1-4アルコキシ、
(4)ハロゲン、
(5)C1-6ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、又は
(7)C3-6シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、1から3個のハロゲン又はC1-4ハロアルキルで置換されてもよい)、であり;
は、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4アルコキシ、
(3)ハロゲン、又は
(4)C1-4ハロアルキル、であり;
mは0、1、又は2であり;
nは0又は1であり;
nが0のとき、
、X、X及びXは各々独立して、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は1、2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である)、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成し;
nが1のとき、
、X、X、X及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、X又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である)、X、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する、式[I]の化合物である。
【0109】
式[IA]の化合物の好ましい態様の一つは、
及びRは各々独立して、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル{ここで、該アルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)C1-4アルコキシ、及び
(c)C3-6シクロアルキル、からなる群から独立して選択される1又は2個の置換基で置換されてもよい}、
(3)ハロゲン、であり;
3A及びR4Aは各々独立して、
(1)水素、又は
(2)C1-4アルキル、であり;
5Aは、
(1)水素、
(2)C1-6アルキル、
(3)C1-4アルコキシ、
(4)ハロゲン、
(5)C1-6ハロアルキル、
(6)-O-C1-4ハロアルキル、
(7)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であるか、あるいは
5AはR3A又はR4A、及びこれらが結合する炭素原子と一緒になって、
(1)C5-6シクロアルケン、又は
(2)酸素原子を1又は2個含有する、5から7員のヘテロシクロアルケンを形成し;
mは0、又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4アルコキシ、
(3)ハロゲン、又は
(4)C1-4ハロアルキル、であり;
nは0又は1であり;
nが0のとき、
は、炭素、窒素又は酸素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり;
は、炭素、窒素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成し;
nが1のとき、
、X、X、及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である);
は、炭素原子であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する、式[IA]の化合物である。
【0110】
式[IA]の化合物の別の好ましい態様の一つは、
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
3A及びR4Aは、水素、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
nは0又は1であり;
nが0のとき、
は、窒素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、又は硫黄原子であり;
は、炭素原子であり(ここで、X、X、又はXとしての窒素及び硫黄原子の総数は2である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成し;
nが1のとき、
、及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり;
は、窒素原子であり(ここで、X、X、又はXとしての窒素原子の総数は2である);
、及びXは、炭素原子であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する、式[IA]の化合物である。
【0111】
式[IA]の化合物のさらに別の好ましい態様の一つは、式[IIA]:
【化51】
で示される化合物であり;
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4ハロアルキル、又は
(3)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり;
は、炭素、窒素又は酸素原子であり;
は、炭素又は窒素原子であり;
は、炭素、窒素、酸素又は硫黄原子であり;
は、炭素、窒素又は硫黄原子であり(ここで、X、X、X又はXとしての窒素、酸素及び硫黄原子の総数は2、又は3であり、かつ、酸素及び硫黄原子の総数は0又は1である);
、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0112】
式[IA]の化合物のさらに別の好ましい態様の一つは、式[IIIA]:
【化52】
で示される化合物であり;
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルコキシ、
(2)ハロゲン、又は
(3)C1-4ハロアルキル、であり;
、X、X、及びXは各々独立して、炭素又は窒素原子であり(ここで、X、X、X、又はXとしての窒素原子の総数は1又は2である);
は、炭素原子であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってヘテロアリールを形成する。
【0113】
式[IIA]の化合物の好ましい態様の一つは、
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0又は1であり;
6Aは、
(1)C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)、
(2)C1-4ハロアルキル、又は
(3)窒素及び酸素原子からなる群から独立して選択されるヘテロ原子を1又は2個含有する、4から6員のヘテロシクロアルキル、であり;
、X、X及びXが、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピラゾリル、イミダゾリル、又はチアゾリルを形成する。
【0114】
式[IIA]の化合物の別の好ましい態様の一つは、式[IIA-I]:
【化53】
で示される化合物であり;
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)である。
【0115】
式[IIA]の化合物のさらに別の好ましい態様の一つは、式[IIA-II]:
【化54】
で示される化合物であり;
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)である。
【0116】
式[IIA]の化合物のさらに別の好ましい態様の一つは、式[IIA-III]:
【化55】
で示される化合物であり;
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0又は1であり;
6Aは、C1-4アルキル(ここで、該アルキルは、C1-4アルコキシで置換されてもよい)である。
【0117】
式[IIIA]の化合物の好ましい態様の一つは、
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、であり;
mは、0であり;
、X、X、X及びXは、X及びXと互いに隣接する炭素原子と一緒になってピリダジニル、又はピリミジルを形成する。
【0118】
式[IIIA]の化合物の別の好ましい態様の一つは、式[IIIA-I]:
【化56】
で示される化合物であり;
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0119】
式[IIIA]の化合物のさらに別の好ましい態様の一つは、式[IIIA-II]:
【化57】
で示される化合物であり;
及びRは各々独立して、C1-6アルキル(ここで、該アルキルは、ヒドロキシ、又はC1-4アルコキシで置換されてもよい)、であり;
5Aは、
(1)ハロゲン、
(2)C1-6ハロアルキル、又は
(3)C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}、である。
【0120】
式[IA]の化合物の別の好ましい態様の一つは、式[IV]、[V]、[VI]、[VII]、[VIII]、[IX]、[X]、又は[XI]:
【化58】
[式中、R、R、R3A、及びR4Aは、項1Aにおける定義と同義である]
で示される化合物である。
【0121】
本明細書において製薬上許容される塩とは、当技術分野で知られている、過度の毒性を伴わない塩であればいかなる塩でもよい。具体的には、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、及び有機塩基との塩等が挙げられる。様々な形態の製薬上許容される塩が当分野で周知であり、例えば以下の参考文献に記載されている:
(a)Bergeら,J.Pharm.Sci.,66,p1-19(1977)、
(b)Stahlら,「Handbook of Pharmaceutical Salt:Properties,Selection,and Use」(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)、
(c)Paulekuhnら,J.Med.Chem.,50,p6665-6672(2007)。
自体公知の方法に従って、式[I]又は式[IA]の化合物と、無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基とを反応させることにより、その製薬上許容される塩を各々得ることができる。
【0122】
無機酸との塩としては、フッ化水素酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸又は硫酸との塩が例示される。好ましくは、塩化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸又は臭化水素酸との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、4-アミノサリチル酸、アンヒドロメチレンクエン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、エデト酸カルシウム、ショウノウ酸、カンファ-10-スルホン酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、ドデシル硫酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコヘプトン酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレソルシン酸、ヒドロキシ-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-1-エタンスルホン酸、乳酸、ラクトビオン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、メチル硫酸、メチル硝酸、メチレンビス(サリチル酸)、ガラクタル酸、ナフタレン-2-スルホン酸、2-ナフトエ酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、オレイン酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、ペクチン酸、ピクリン酸、プロピオン酸、ポリガラクツロン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、テオクル酸、チオシアン酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸との塩が例示される。好ましくは、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、グルクロン酸、オレイン酸、パモ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又は2-ヒドロキシ-1-エタンスルホン酸との塩が挙げられる。
【0123】
無機塩基との塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、ビスマス又はアンモニウムとの塩が例示される。好ましくは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又は亜鉛との塩が挙げられる。
有機塩基との塩としては、アレコリン、ベタイン、コリン、クレミゾール、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、N-ベンジルフェネチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、アルギニン又はリジンとの塩が例示される。好ましくは、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N-メチルグルカミン又はリジンとの塩が挙げられる。
【0124】
化合物[I]又は化合物[IA]は、溶媒和物として存在する場合がある。溶媒和物とは、例えば化合物[I]又は化合物[IA]に、溶媒の分子が配位したものである。溶媒和物は、製薬上許容される溶媒和物であればよく、化合物[I]又は化合物[IA]の水和物、酢酸和物、アセトン和物、エタノール和物、及びジメチルスルホキシド和物等が挙げられる。具体的には、式[I]又は式[IA]の化合物の半水和物、1水和物、2水和物、1酢酸和物、1アセトン和物又は1エタノール和物、或いは式[I]又は式[IA]の化合物のナトリウム塩の1水和物、1アセトン和物又は2塩酸塩の2/3エタノール和物等が挙げられる。これらの溶媒和物は、公知の方法に従って得ることができる。
【0125】
化合物[I]又は化合物[IA]は、互変異性体として存在する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[IA]は、個々の互変異性体又は互変異性体の混合物として存在し得る。例えば、以下の式:
【化59】
で表記した構造は、他に注釈等の言及がない限り、
(1)
【化60】
(2)
【化61】
(3)
【化62】
(4)
【化63】
、又は
(5)これらの混合物、として存在すること、及び/又は表記できることを意味する。
化合物[I]又は化合物[IA]は、炭素炭素二重結合を有する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[IA]は、E体、Z体、又はE体とZ体の混合物として存在し得る。
化合物[I]又は化合物[IA]は、シス/トランス異性体として認識すべき立体異性体が存在する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[IA]は、シス体、トランス体、又はシス体とトランス体の混合物として存在し得る。
化合物[I]又は化合物[IA]は、1又はそれ以上の不斉炭素を有する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[IA]は、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、エナンチオマーの混合物又はジアステレオマーの混合物として存在する場合がある。
化合物[I]又は化合物[IA]は、アトロプ異性体として存在する場合がある。その場合、化合物[I]又は化合物[IA]は、個々のアトロプ異性体又はアトロプ異性体の混合物として存在し得る。
化合物[I]又は化合物[IA]は、上記の異性体を生じさせる構造上の特徴を同時に複数含むことがある。また、化合物[I]又は化合物[IA]は、上記の異性体をあらゆる比率で含み得る。
【0126】
本明細書に立体化学を特定せずに表記した式、化学構造もしくは化合物名は、他に注釈等の言及がない限り、存在しうる上記の異性体すべてを含む。
【0127】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーや結晶化などの慣用されている方法によって、それぞれのジアステレオマーに分離することができる。また、立体化学的に単一である出発物質を用いることにより、又は立体選択的な反応を用いる合成方法によりそれぞれのジアステレオマーを作ることもできる。
【0128】
エナンチオマーの混合物からのそれぞれの単一なエナンチオマーへの分離は、当分野でよく知られた方法で行うことができる。例えば、エナンチオマーの混合物と、実質的に純粋なエナンチオマーであってキラル補助剤(chiral auxiliary)として知られている化合物を反応させて形成させたジアステレオマー混合物から、分別結晶化やクロマトグラフィーのような標準的な方法で、異性体比率を高めたもしくは実質的に純粋な単一のジアステレオマーを分離することができる。分離されたジアステレオマーを、付加されたキラル補助剤を開裂で除去することにより、目的のエナンチオマーに変換することができる。また、当分野でよく知られた、キラル固定相を使用するクロマトグラフィー法によって、エナンチオマーの混合物を直接分離することもできる。あるいは、どちらか一方のエナンチオマーを、実質的に純粋な光学活性出発原料を用いることにより、又は、プロキラル(prochiral)な中間体に対しキラル補助剤や不斉触媒を用いた立体選択的合成(不斉誘導)を行うことによって得ることもできる。
【0129】
絶対立体配置は結晶性の生成物又は中間体のX線結晶解析により決定することができる。その際、必要によっては立体配置が既知である不斉中心を持つ試薬で誘導化された結晶性の生成物又は中間体を用いてもよい。
【0130】
化合物[I]又は化合物[IA]は、同位体元素(H(D)、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、18O、18F、35S、123I等)で標識されていてもよい。例えば、式[I]又は式[IA]の化合物がメチル基を有する場合、当該メチル基は-CD基に置き換えられ得、このようにして得られた化合物も本発明に包含される。同位元素で標識された化合物[I]又は化合物[IA]は、医薬、薬物動態試験、インビトロ及び/若しくはインビボアッセイ、並びに/又は、診断薬(陽電子放出断層撮影(PET)、単一光子放出コンピューター撮影(SPECT)等)に有用であり得る。同位元素で標識された化合物[I]又は化合物[IA]は、公知の方法又は本明細書に記載の方法に従って、非同位体標識化合物の代わりに同位体標識化合物を用いて製造することができる。
【0131】
化合物[I]又は化合物[IA]は、実質的に精製された化合物[I]又は化合物[IA]が好ましい。さらに好ましくは、80%以上の純度に精製された化合物[I]又は化合物[IA]である。
【0132】
本発明の医薬組成物は、医薬製剤の技術分野において公知の方法に従って、化合物[I]又は化合物[IA]を、少なくとも1種以上の製薬上許容される担体等と、適宜、適量混合等することによって製造してもよい。該医薬組成物中の化合物[I]又は化合物[IA]の含量は、剤形、投与量等により異なるが、例えば、組成物全体の0.1から100重量%である。
【0133】
化合物[I]又は化合物[IA]の剤形には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、或いは外用剤、坐剤、注射剤、点眼剤、経鼻剤、経肺剤等の非経口剤が挙げられる。
【0134】
「製薬上許容される担体」としては、製剤素材として慣用の各種有機又は無機担体物質が挙げられ、固形製剤における賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤等、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等及び半固形製剤における基剤、乳化剤、湿潤剤、安定剤、安定化剤、分散剤、可塑剤、pH調節剤、吸収促進剤、ゲル化剤、防腐剤、充填剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤等が挙げられる。更に必要に応じて、保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を用いてもよい。
【0135】
「賦形剤」としては、乳糖、白糖、D-マンニトール、D-ソルビトール、トウモロコシデンプン、デキストリン、微結晶セルロース、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム等が挙げられる。
「崩壊剤」としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース等が挙げられる。
「結合剤」としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、結晶セルロース、白糖、デキストリン、デンプン、ゼラチン、カルメロースナトリウム、アラビアゴム等が挙げられる。
「流動化剤」としては、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
「滑沢剤」としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
「溶剤」としては、精製水、エタノール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
「溶解補助剤」としては、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
「懸濁化剤」としては、塩化ベンザルコニウム、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコール、ポビドン、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン等が挙げられる。
「等張化剤」としては、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、D-マンニトール等が挙げられる。
「緩衝剤」としては、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
「無痛化剤」としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。
「基剤」としては、水、動植物油(オリーブ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ゴマ油、ヒマシ油等)、低級アルコール類(エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、フェノール等)、高級脂肪酸およびそのエステル、ロウ類、高級アルコール、多価アルコール、炭化水素類(白色ワセリン、流動パラフィン、パラフィン等)、親水ワセリン、精製ラノリン、吸水軟膏、加水ラノリン、親水軟膏、デンプン、プルラン、アラビアガム、トラガカントガム、ゼラチン、デキストラン、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、合成高分子(カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)、プロピレングリコール、マクロゴール(マクロゴール200~600等)、およびそれらの2種以上の組合せが挙げられる。
「保存剤」としては、パラオキシ安息香酸エチル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸等が挙げられる。
「抗酸化剤」としては、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸等が挙げられる。
「着色剤」としては、食用色素(食用赤色2号又は3号、食用黄色4号又は5号等)、β-カロテン等が挙げられる。
「甘味剤」としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム等が挙げられる。
【0136】
本発明の医薬組成物は、ヒト以外の哺乳動物(マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サル等)及びヒトに対しても、経口的又は非経口的(局所、直腸、静脈内、筋肉内、皮下等)に投与することができる。投与量(本明細書において、「治療上有効量」ともいう)は、投与対象、疾患、症状、剤形、投与ルート等により異なるが、例えば、成人患者に経口投与する場合の投与量は、有効成分である式[I]又は式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩として、1日あたり、通常約0.01mg~1gの範囲である。これらの量を1回から数回に分けて投与することができる。
【0137】
化合物[I]又は化合物[IA]は、NLRP3インフラマソーム阻害作用を有することから、NLRP3インフラマソーム活性の調節により改善が期待され得る各種疾患又は状態の治療及び/又は予防に有用である。NLRP3インフラマソーム活性の調節により改善が期待され得る各種疾患又は状態としては、例えば多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患が挙げられる。
【0138】
「NLRP3インフラマソームを阻害する」とは、NLRP3インフラマソームの機能を阻害してその活性を消失又は減弱することを意味し、例えば、後述する試験例1の条件に基づいて、NLRP3インフラマソームの機能を阻害することを意味する。NLRP3インフラマソームの機能を阻害することにより、IL-1β及び/又はIL-18の産生量が抑制され、好ましくはIL-1β及びIL-18の産生量が抑制される。「NLRP3インフラマソームを阻害する」とは、好ましくは、「ヒトNLRP3インフラマソームを阻害する」である。
【0139】
化合物[I]又は化合物[IA]は、NLRP3インフラマソーム阻害活性を有するので、化合物[I]若しくは化合物[IA]又はその製薬上許容される塩をそのままで、又は適宜製剤化してNLRP3インフラマソーム阻害剤として用いることができる。
【0140】
本明細書において「治療」とは、症状の改善、重症化の防止、寛解の維持、再燃の防止、さらには再発の防止も含む。
本明細書において「予防」とは、症状の発症を抑制及び遅延することを含む。
【0141】
本明細書のある箇所において開示される一つの態様と別の箇所で開示される態様とが矛盾のない限り、これらの任意の二以上の組合せも、本発明に包含されることを意図する。
【0142】
[一般製法]
式[I]の化合物又はその製薬上許容される塩、あるいは式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩の一般製法を以下に例示する。しかしながら、式[I]の化合物又はその製薬上許容される塩、あるいは式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩の製造方法は、これらの製造法に限定されるものではない。
各工程で得られる化合物は、必要に応じて、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法で単離及び/又は精製することができるが、場合によっては、単離及び/又は精製せず次の工程に進むことができる。
本明細書において、室温とは温度を制御していない状態の温度を指し、一つの態様として1℃から40℃が挙げられる。
略号は以下のとおりである。
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
WSC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
【0143】
製造方法A1:化合物[I]又はその塩の製造方法
化合物[I]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A1によって製造することができる。
【化64】
{式中、R、R、R、R、R、R、X、X、X、X、X、m及びnは、前記における定義と同義であり、
A11は各々独立して、C1-4アルキルであり、
A12は、ボロン酸、ボロン酸エステル(例えば、ボロン酸ピナコールエステル)、トリフルオロボレート、又はトリブチルスズであり、
A11、LA12、及びLA13は各々独立して、脱離基(例えば、ハロゲン、メタンスルホニルオキシ、及びp-トルエンスルホニルオキシ)である}
(工程A1-1)
化合物[A1-3]又はその塩は、化合物[A1-1]又はその塩と化合物[A1-2]を、溶媒中、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸、ギ酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。好ましい酸は、硫酸又はp-トルエンスルホン酸である。
溶媒としては、例えば、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエンである。
反応温度は、例えば、0℃から150℃であり、好ましくは5℃から40℃である。
化合物[A1-1]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[A1-2]は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0144】
(工程A1-2)
化合物[A1-5]又はその塩は、化合物[A1-3]又はその塩と化合物[A1-4]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。好ましい塩基は、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、トルエン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエン又はメタノールである。
反応温度は、例えば、-78℃から100℃であり、好ましくは0℃から40℃である。
化合物[A1-4]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0145】
(工程A1-3)
化合物[A1-6]又はその塩は、化合物[A1-5]又はその塩を、溶媒中、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、硫酸、塩酸及びトリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリルが挙げられる。好ましい酸は、トリフルオロ酢酸である。
溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタン及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエンである。
反応温度は、例えば、-78℃から60℃であり、好ましくは0℃から40℃である。
【0146】
(工程A1-4)
化合物[A1-7]又はその塩は、化合物[A1-6]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムである。
溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、クロロホルム及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
反応温度は、例えば、0℃から150℃であり、好ましくは50℃から100℃である。
【0147】
(工程A1-5)
化合物[I]又はその塩は、化合物[A1-7]又はその塩と化合物[A1-8]又はその塩を、溶媒中、触媒及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、例えば、[1,1’-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド及びビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)が挙げられる。好ましい触媒は、[1,1’-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物である。
塩基としては、例えば、リン酸三カリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム及び塩化リチウムが挙げられる。好ましい塩基は、リン酸三カリウムである。
A12が例えばボロン酸、ボロン酸エステル(ボロン酸ピナコールエステルなど)、トリフルオロボレートの場合、溶媒としては、例えば、水、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルアセトアミド及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエン及び水の混合溶媒である。
A12が例えばトリブチルスズの場合、溶媒としては、例えば、トルエン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。好ましい溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミドである。
反応温度は、例えば、10℃から200℃であり、好ましくは50℃から150℃である。
化合物[A1-8]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0148】
本製造方法において、化合物[A1-4]又はその塩に替えて、公知の反応でベンゼン環上の各種置換基に変換することができる官能基又は保護された置換基を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[I]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基又は保護された置換基を当該各種置換基に変換することによって化合物[I]又はその塩を製造してもよい。例えば、化合物[A1-4]又はその塩に替えて、後述のLA41を有するフェニル基が置換したヒドラジン化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[I]に相当する化合物、つまり化合物[I-A]又はその塩を得た後、製造方法A4によりLA41を環CyA41に変換することによって化合物[I-B]又はその塩を製造してもよい。
【0149】
製造方法A1A:化合物[IA]又はその塩の製造方法
化合物[A1-4]又はその塩に替えて化合物[A1A-4]又はその塩、及び化合物[A1-8]又はその塩に替えて化合物[A1A-8]又はその塩を用いることで、製造方法A1と同様にして、化合物[IA]又はその塩を製造することができる。
【化65】
(式中、各記号は前記における定義と同義である)
化合物[A1A-4]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[A1A-8]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0150】
本製造方法において、化合物[A1A-4]又はその塩に替えて、公知の反応でベンゼン環上の各種置換基に変換することができる官能基又は保護された置換基を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[IA]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基又は保護された置換基を当該各種置換基に変換することによって化合物[IA]又はその塩を製造してもよい。例えば、化合物[A1A-4]又はその塩に替えて、後述のLA41を有するフェニル基が置換したヒドラジン化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[IA]に相当する化合物、つまり化合物[IA-A]又はその塩を得た後、製造方法A4AによりLA41を環CyA41Aに変換することによって化合物[IA-B]又はその塩を製造してもよい。
【0151】
製造方法A2:化合物[I]又はその塩の製造方法
化合物[I]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A2によって製造することもできる。
【化66】
{式中、R、R、R、R、R、R、X、X、X、X、X、m、n、LA11、LA12、及びRA12は、前記における定義と同義であり、
A21は、ヒドロキシ基の保護基(例えば、ベンジル、4-メトキシベンジル、及び2-メトキシベンジル)であり、RA21として好ましくはベンジルである}
(工程A2-1)
化合物[A2-1]又はその塩は、化合物[A1-6]又はその塩を、溶媒中、アルコール及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
アルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール、4-メトキシベンジルアルコール及び2-メトキシベンジルアルコールが挙げられる。好ましいアルコールは、ベンジルアルコールである。
塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、tert-ブトキシカリウム及びtert-ブトキシナトリウムが挙げられる。好ましい塩基は、水素化ナトリウムである。
溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
反応温度は、例えば、-20℃から100℃であり、好ましくは0℃から50℃である。
【0152】
(工程A2-2)
化合物[A2-2]又はその塩は、化合物[A2-1]又はその塩と化合物[A1-8]又はその塩を、溶媒中、触媒及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、例えば、[1,1’-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド及びビス(ジ-tert-ブチル (4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)が挙げられる。好ましい触媒は、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド及びビス(ジ-tert-ブチル (4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)である。
塩基としては、例えば、リン酸三カリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム及び塩化リチウムが挙げられる。好ましい塩基は、リン酸三カリウム又は塩化リチウムである。
A12が例えばボロン酸、ボロン酸エステル(ボロン酸ピナコールエステルなど)、トリフルオロボレートの場合、溶媒としては、例えば、水、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルアセトアミド及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエン及び水の混合溶媒である。
A12が例えばトリブチルスズの場合、溶媒としては、例えば、トルエン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドが挙げられる。好ましい溶媒は、N,N-ジメチルアセトアミドである。
反応温度は、例えば、10℃から200℃であり、好ましくは50℃から150℃である。
【0153】
(工程A2-3)
化合物[I]又はその塩は、化合物[A2-2]又はその塩を、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、例えば、ギ酸、トリフルオロ酢酸、及び塩酸が挙げられる。好ましい酸は、ギ酸である。
反応温度は、例えば、0℃から120℃であり、好ましくは10℃から100℃である。
【0154】
製造方法A2A:化合物[IA]又はその塩の製造方法
化合物[IA]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A2Aによって製造することもできる。
【化67】
(式中、各記号は前記における定義と同義である)
(工程A2A-1)
化合物[A1-6]又はその塩に替えて化合物[A1A-6]又はその塩を用いることで、工程A2-1と同様にして、化合物[A2A-1]又はその塩を製造することができる。
【0155】
(工程A2A-2)
化合物[A1-8]又はその塩に替えて化合物[A1A-8]又はその塩を用いることで、工程A2-2と同様にして、化合物[A2A-2]又はその塩を製造することができる。
【0156】
(工程A2A-3)
化合物[IA]又はその塩は、化合物[A2A-2]又はその塩のRA21を脱保護反応で除去することにより製造することができる。脱保護反応は、RA21の種類に応じて適した条件で実施すればよい。
例えば、RA21がベンジルの場合、化合物[IA]又はその塩は、化合物[A2A-2]又はその塩を、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。必要に応じて溶媒を加えてもよい。
酸としては、例えば、ギ酸、トリフルオロ酢酸、及び塩酸が挙げられる。好ましい酸は、ギ酸である。
溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、及び1,4-ジオキサンが挙げられる。
反応温度は、例えば、0℃から120℃であり、好ましくは10℃から100℃である。
【0157】
製造方法A3:化合物[I]又はその塩の製造方法
化合物[I]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A3によって製造することもできる。
【化68】
{式中、R、R、R、R、R、R、X、X、X、X、X、m及びnは、前記における定義と同義であり、
A31は、C1-4アルキルであり、
A32はアミノ基の保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)であり、
A33は、水素又はC1-4アルキルである}
(工程A3-1)
化合物[A3-3]又はその塩は、化合物[A3-1]又はその塩と化合物[A3-2]又はその塩を、溶媒中、酸化剤、酸及び添加剤の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸化剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸ブチル及び亜硝酸イソアミルが挙げられる。好ましい酸化剤は、亜硝酸ナトリウムである。
酸としては、例えば、濃塩酸、濃硫酸及び硝酸が挙げられる。好ましい酸は、濃塩酸である。
添加剤としては、例えば、酢酸ナトリウム、及び酢酸カリウムが挙げられる。好ましい添加剤は、酢酸ナトリウムである。
溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、水及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、エタノール及び水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、-40℃から50℃であり、好ましくは-10℃から40℃である。
化合物[A3-1]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
化合物[A3-2]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0158】
(工程A3-2)
化合物[A3-5]又はその塩は、化合物[A3-3]又はその塩と化合物[A3-4]を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンが挙げられる。好ましい塩基は、トリエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、クロロホルムである。
反応温度は、例えば、20℃から120℃であり、好ましくは50℃から100℃である。
化合物[A3-4]は、市販品である。
【0159】
(工程A3-3)
化合物[A3-6]又はその塩は、化合物[A3-5]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及び水酸化カルシウムが挙げられる。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムである。
溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、水及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、エタノール及び水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、0℃から100℃であり、好ましくは5℃から50℃である。
【0160】
(工程A3-4)
化合物[A3-7]又はその塩は、化合物[A3-6]又はその塩を、溶媒中、反応剤及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
反応剤としては、例えば、アジ化ナトリウム及びジフェニルホスホリルアジドが挙げられる。好ましい反応剤は、ジフェニルホスホリルアジドである。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンが挙げられる。好ましい塩基は、トリエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、tert-ブタノール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフラン及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、tert-ブタノールである。
反応温度は、例えば、0℃から150℃であり、好ましくは50℃から120℃である。
【0161】
(工程A3-5)
化合物[A3-8]又はその塩は、化合物[A3-7]又はその塩を、溶媒中、酸化剤及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素水、四酸化三鉄及び二酸化マンガンが挙げられる。好ましい酸化剤は、過酸化水素水である。
塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化バリウムが挙げられる。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムである。
溶媒としては、例えば、エタノール、ジメチルスルホキシド、水及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、エタノール、ジメチルスルホキシド及び水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、-20℃から50℃であり、好ましくは10℃から40℃である。
【0162】
(工程A3-6)
化合物[A3-9]又はその塩は、化合物[A3-8]又はその塩のRA32を脱保護反応で除去することにより製造することができる。脱保護反応は、RA32の種類に応じて適した条件で実施すればよい。
例えば、RA32がtert-ブトキシカルボニルの場合、化合物[A3-9]又はその塩は、化合物[A3-8]又はその塩を、溶媒中、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、例えば、塩化水素、トリフルオロ酢酸および硫酸が挙げられる。好ましい酸は、塩化水素である。
溶媒としては、例えば、酢酸エチル、シクロペンチルメチルエーテル及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、酢酸エチルである。
反応温度は、例えば、0℃から80℃であり、好ましくは10℃から50℃である。
化合物[A3-9]又はその塩は、工程A3-5及びA3-6の手順を逆にして製造してもよい。
【0163】
(工程A3-7)
化合物[A3-11]又はその塩は、化合物[A3-9]又はその塩と化合物[A3-10]又はその塩を、溶媒中、縮合剤及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
縮合剤としては、例えば、HATU、WSC及びプロピルホスホン酸無水物が挙げられる。好ましい縮合剤は、HATUである。
塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、tert-ブトキシカリウム及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンが挙げられる。好ましい塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、メタノール、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、N-メチルピロリドンである。
反応温度は、例えば、0℃から120℃であり、好ましくは50℃から100℃である。
化合物[A3-10]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0164】
(工程A3-8)
化合物[I]又はその塩は、化合物[A3-11]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンが挙げられる。好ましい塩基は、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンである。
溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、水及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、エタノール及び水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、0℃から180℃であり、好ましくは50℃から150℃である。
【0165】
本製造方法において、化合物[A3-1]又はその塩に替えて、公知の反応でベンゼン環上の各種置換基に変換することができる官能基又は保護された置換基を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[I]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基又は保護された置換基を当該各種置換基に変換することによって化合物[I]又はその塩を製造してもよい。例えば、化合物[A3-1]又はその塩に替えて、ベンゼン環上にアミノ基と後述のLA41を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[I]に相当する化合物、つまり化合物[I-A]又はその塩を得た後、製造方法A4によりLA41を環CyA41に変換することによって化合物[I-B]又はその塩を製造してもよい。
【0166】
本製造方法において、化合物[A3-1]又はその塩に替えて、公知の反応でベンゼン環上の各種置換基に変換することができる官能基又は保護された置換基を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[A3-9]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基又は保護された置換基を当該各種置換基に変換することによって化合物[A3-9]又はその塩を製造してもよい。例えば、化合物[A3-1]又はその塩に替えて、ベンゼン環上にアミノ基と後述のLA41を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[A3-9]に相当する化合物、つまり化合物[A3-9-A]又はその塩を得た後、製造方法A5によりLA41を環CyA41に変換することによって化合物[A3-9-B]又はその塩を製造してもよい。
【0167】
製造方法A3A:化合物[IA]又はその塩の製造方法
化合物[IA]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A3Aによって製造することもできる。
【化69】
{式中、R、R、R3A、R4A、R5A、R6A、RA31、RA33、X、X、X、X、X、m及びnは、前記における定義と同義であり、
A32Aは水素又はアミノ基の保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル)である}
(工程A3A-1)
化合物[A3-1]又はその塩に替えて化合物[A3A-1]又はその塩を用いることで、工程A3-1と同様にして、化合物[A3A-3]又はその塩を製造することができる。
化合物[A3A-1]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0168】
(工程A3A-2)
化合物[A3-3]又はその塩に替えて化合物[A3A-3]又はその塩を用いることで、工程A3-2と同様にして、化合物[A3A-5]又はその塩を製造することができる。
【0169】
(工程A3A-3)
化合物[A3-5]又はその塩に替えて化合物[A3A-5]又はその塩を用いることで、工程A3-3と同様にして、化合物[A3A-6]又はその塩を製造することができる。
【0170】
(工程A3A-4)
化合物[A3-6]又はその塩に替えて化合物[A3A-6]又はその塩を用いることで、工程A3-4と同様にして、化合物[A3A-7]又はその塩を製造することができる。
【0171】
(工程A3A-5)
化合物[A3-7]又はその塩に替えて化合物[A3A-7]又はその塩を用いることで、工程A3-5と同様にして、化合物[A3A-8]又はその塩を製造することができる。
【0172】
(工程A3A-6)
化合物[A3A-9]又はその塩は、化合物[A3A-8]又はその塩のRA32Aを脱保護反応で除去することにより製造することができる。脱保護反応は、RA32Aの種類に応じて適した条件で実施すればよい。
例えば、RA32Aがtert-ブトキシカルボニルの場合、化合物[A3A-9]又はその塩は、化合物[A3A-8]又はその塩を、溶媒中、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、例えば、塩化水素、トリフルオロ酢酸および硫酸が挙げられる。好ましい酸は、塩化水素である。
溶媒としては、例えば、酢酸エチル、シクロペンチルメチルエーテル及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、酢酸エチルである。
反応温度は、例えば、0℃から80℃であり、好ましくは10℃から50℃である。
化合物[A3A-9]又はその塩は、化合物[A3A-7]又はその塩に対し工程A3A-6の後、工程A3A-5の反応を行うことにより製造してもよい。
【0173】
(工程A3A-7)
化合物[A3-9]又はその塩に替えて化合物[A3A-9]又はその塩、及び化合物[A3-10]又はその塩に替えて化合物[A3A-10]又はその塩を用いることで、工程A3-7と同様にして、化合物[A3A-11]又はその塩を製造することができる。
化合物[A3A-10]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0174】
(工程A3A-8)
化合物[A3-11]又はその塩に替えて化合物[A3A-11]又はその塩を用いることで、工程A3-8と同様にして、化合物[IA]又はその塩を製造することができる。
【0175】
本製造方法において、化合物[A3A-1]又はその塩に替えて、公知の反応でベンゼン環上の各種置換基に変換することができる官能基又は保護された置換基を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[IA]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基又は保護された置換基を当該各種置換基に変換することによって化合物[IA]又はその塩を製造してもよい。例えば、化合物[A3A-1]又はその塩に替えて、ベンゼン環上にアミノ基と後述のLA41を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[IA]に相当する化合物、つまり化合物[IA-A]又はその塩を得た後、製造方法A4AによりLA41を環CyA41Aに変換することによって化合物[IA-B]又はその塩を製造してもよい。
【0176】
本製造方法において、化合物[A3A-1]又はその塩に替えて、公知の反応でベンゼン環上の各種置換基に変換することができる官能基又は保護された置換基を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[A3A-8]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基又は保護された置換基を当該各種置換基に変換することによって化合物[A3A-8]又はその塩を製造してもよい。例えば、化合物[A3A-1]又はその塩に替えて、ベンゼン環上にアミノ基と後述のLA41を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[A3A-8]に相当する化合物、つまり化合物[A3A-8-A]又はその塩を得た後、製造方法A5AによりLA41を環CyA41Aに変換することによって化合物[A3A-8-B]又はその塩を製造してもよい。
【0177】
製造方法A4:化合物[I-B]又はその塩の製造方法
化合物[I-B]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A4によって製造することができる。
【化70】
{式中、R、X、X、X、X、X、m及びnは、前記における定義と同義であり、
CyA41は、C3-6シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、1から3個のハロゲン又はC1-4ハロアルキルで置換されてもよい)であり、
A41は、脱離基(例えば、ハロゲン、メタンスルホニルオキシ、及びトリフルオロメタンスルホニルオキシ)である。但し、該脱離基は、ベンゼン環のオルト又はパラ位に結合する}
(工程A4-1)
化合物[I-B]又はその塩は、化合物[I-A]又はその塩と化合物[A4-1]又はその誘導体(例えば、シクロプロピルボロン酸ピナコールエステル及びカリウム シクロプロピルトリフルオロボラート)を、溶媒中、触媒及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、例えば、[1,1’-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、及び[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドが挙げられる。好ましい触媒は、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドである。
塩基としては、例えば、リン酸三カリウム、炭酸セシウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。好ましい塩基は、リン酸三カリウムである。
溶媒としては、例えば、水、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエン及び水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、10℃から200℃であり、好ましくは50℃から150℃である。
化合物[I-A]又はその塩は、市販品から公知の方法で製造してもよい。化合物[I-A]又はその塩は、例えば、前述の製造方法で製造してもよい。
化合物[A4-1]又はその誘導体は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0178】
製造方法A4A:化合物[IA-B]又はその塩の製造方法
化合物[I-A]又はその塩に替えて化合物[IA-A]又はその塩、及び化合物[A4-1]又はその塩に替えて化合物[A4A-1]又はその塩を用いることで、製造方法A4と同様にして、化合物[IA-B]又はその塩を製造することができる。
【化71】
〔式中、R6A、LA41、X、X、X、X、X、m及びnは、前記における定義と同義であり、
CyA41Aは、C3-6シクロアルキル{ここで、該シクロアルキルは、
(a)ヒドロキシ、
(b)ハロゲン、及び
(c)C1-4ハロアルキル、からなる群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されてもよい}である〕
化合物[IA-A]又はその塩は、市販品から公知の方法で製造してもよい。化合物[IA-A]又はその塩は、例えば、前述の製造方法で製造してもよい。
化合物[A4A-1]又はその誘導体は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0179】
製造方法A5:化合物[A3-9-B]又はその塩の製造方法
化合物[A3-9-B]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A5によって製造することができる。
【化72】
(式中、各記号は前記における定義と同義である)
(工程A5-1)
化合物[A3-9-B]又はその塩は、化合物[A3-9-A]又はその塩と化合物[A4-1]又はその誘導体(例えば、シクロプロピルボロン酸ピナコールエステル及びカリウム シクロプロピルトリフルオロボラート)を、溶媒中、触媒及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、例えば、[1,1’-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、及び[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドが挙げられる。好ましい触媒は、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドである。
塩基としては、例えば、リン酸三カリウム、炭酸セシウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。好ましい塩基は、リン酸三カリウムである。
溶媒としては、例えば、水、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエン及び水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、10℃から200℃であり、好ましくは50℃から150℃である。
化合物[A3-9-A]又はその塩は、市販品から公知の方法で製造してもよい。化合物[A3-9-A]又はその塩は、例えば、前述の製造方法で製造してもよい。
【0180】
製造方法A5A:化合物[A3A-8-B]又はその塩の製造方法
化合物[A3A-8-B]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A5Aによって製造することができる。
【化73】
(式中、各記号は前記における定義と同義である)
(工程A5A-1)
化合物[A3A-8-B]又はその塩は、化合物[A3A-8-A]又はその塩と化合物[A4A-1]又はその誘導体(例えば、シクロプロピルボロン酸ピナコールエステル及びカリウム シクロプロピルトリフルオロボラート)を、溶媒中、触媒及び塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
触媒としては、例えば、[1,1’-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、及び[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドが挙げられる。好ましい触媒は、[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドである。
塩基としては、例えば、リン酸三カリウム、炭酸セシウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。好ましい塩基は、リン酸三カリウムである。
溶媒としては、例えば、水、トルエン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、トルエン及び水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、10℃から200℃であり、好ましくは50℃から150℃である。
化合物[A3A-8-A]又はその塩は、市販品から公知の方法で製造してもよい。化合物[A3A-8-A]又はその塩は、例えば、前述の製造方法で製造してもよい。
【0181】
製造方法A6:化合物[IA]又はその塩の製造方法
化合物[IA]又はその塩は、例えば、以下に示す製造方法A6によって製造することができる。
【化74】
{式中、R、R、R3A、R4A、R5A、R6A、X、X、X、X、X、m及びnは、前記における定義と同義であり、
A61は水素、又はアミノ基の保護基(例えば、トリメチルシリル)であり、
A62、及びRA63は各々独立して、C1-4アルキルであり、
A61、及びLA62は各々独立して、脱離基(例えば、ハロゲン、メタンスルホニルオキシ、及びp-トルエンスルホニルオキシ)である}
(工程A6-1)
化合物[A6-2]又はその塩は、化合物[A6-1]又はその塩を、溶媒中、反応剤の存在下、反応させることにより製造することができる。必要に応じて酸を加えてもよい。
反応剤としては、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、アンモニア、及び塩化アンモニウムが挙げられる。好ましい反応剤は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドである。
酸としては、例えば、塩化水素、硫酸が挙げられる。
溶媒としては、例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。
反応温度は、例えば、-78℃から40℃であり、好ましくは-10℃から10℃である。
化合物[A6-1]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0182】
(工程A6-2)
化合物[A6-4]又はその塩は、化合物[A6-2]又はその塩と化合物[A6-3]又はその塩を、溶媒中、反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランとメタノールの混合溶媒である。
反応温度は、例えば、室温から120℃であり、好ましくは60℃から100℃である。
化合物[A6-3]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0183】
(工程A6-3)
化合物[A6-5]又はその塩は、化合物[A6-4]又はその塩を、溶媒中、Vilsmeier試薬の存在下、反応させた後、オキシ塩化リンを加え加熱する(反応温度は、例えば、80℃)ことにより製造することができる。
溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミドとトルエンの混合溶媒である。
反応温度は、例えば、-20℃から100℃であり、好ましくは-10℃から90℃である。
Vilsmeier試薬は、例えば、オキシ塩化リンおよびN,N-ジメチルホルムアミドから製造される。
【0184】
(工程A6-4)
化合物[A6-7]又はその塩は、化合物[A6-5]又はその塩と化合物[A6-6]又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下、反応させることにより製造することができる。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンが挙げられる。好ましい塩基は、トリエチルアミンである。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、シクロペンチルメチルエーテル、アセトニトリル、水、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランと水の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、-20℃から80℃であり、好ましくは0℃から室温である。
化合物[A6-6]又はその塩は、市販品であるか、市販品から公知の方法で製造してもよい。
【0185】
(工程A6-5)
化合物[IA]又はその塩は、化合物[A6-7]又はその塩を、溶媒中、酸の存在下、反応させることにより製造することができる。
酸としては、例えば、ギ酸、トリフルオロ酢酸、及び塩酸が挙げられる。好ましい酸は、トリフルオロ酢酸である。
溶媒としては、例えば、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒は、アセトニトリルと水の混合溶媒の混合溶媒である。
反応温度は、例えば、0℃から100℃であり、好ましくは50℃から70℃である。
【0186】
本製造方法において、化合物[A6-6]又はその塩に替えて、公知の反応でベンゼン環上の各種置換基に変換することができる官能基又は保護された置換基を有する化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[IA]に相当する化合物又はその塩を得た後、その官能基又は保護された置換基を当該各種置換基に変換することによって化合物[IA]又はその塩を製造してもよい。例えば、化合物[A6-6]又はその塩に替えて、LA41を有するフェニル基が置換したヒドラジン化合物又はその塩を用いて、本製造方法を実施し、化合物[IA]に相当する化合物、つまり化合物[IA-A]又はその塩を得た後、製造方法A4AによりLA41を環CyA41Aに変換することによって化合物[IA-B]又はその塩を製造してもよい。
【実施例0187】
次に、式[I]の化合物又はその製薬上許容される塩、あるいは式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩の製造方法を製造例によって、具体的に説明する。しかしながら、式[I]の化合物又はその製薬上許容される塩、あるいは式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩の製造方法は、これらの製造例に限定されるものではない。
%は、特に断らない限り重量%を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。
NMRは400MHzで測定した。
【0188】
[製造例1]:2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(実施例4)の合成
【化75】
工程1-1:ベンジル 2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート
【化76】
窒素雰囲気下0℃にて、(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン塩酸塩(147 g)とテトラヒドロフラン(1000 mL)の混合物へ、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(224 mL)、及びクロロギ酸ベンジル(83 mL)を加え、室温にて40分間撹拌した。反応混合物へトルエン(441 mL)と水(441 mL)を加え、室温にて20分間撹拌した。分液後、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、溶媒を1 L程度減圧留去した。残渣にヘキサン(294 mL)を加え、1時間撹拌後、更にヘキサン(294 mL)を加え、15分間撹拌した。得られた固体をろ取した後、ヘキサン/トルエン混合液(v/v = 2/1)にて洗浄し、表題化合物(179 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.32 (5H, br s), 7.09 (2H, s), 6.52 (1H, br s), 5.67 (1H, br s), 5.06 (2H, s), 2.33 (6H, br s).
【0189】
工程1-2:ベンジル 2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート
【化77】
アルゴン雰囲気下、リン酸三カリウム(190 g)を水(357 mL)へ溶解後、トルエン(715 mL)、ベンジル 2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート(89.3 g)、シクロプロピルボロン酸(61.7 g)及び[1,1'-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(4.18 g)を加え、105℃にて4時間撹拌した。反応混合物を室温へ放冷後、6 M 塩酸(298 mL)を加え分液した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣にヘキサン(450 mL)を加え撹拌後、得られた固体をろ取し、表題化合物(64.2 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.31 (5H, br s), 6.68 (2H, s), 6.48 (1H, br s), 5.65 (1H, br s), 5.06 (2H, s), 2.32 (6H, br s), 1.80-1.73 (1H, m), 0.87-0.84 (2H, m), 0.61-0.59 (2H, m).
【0190】
工程1-3:(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン塩酸塩
【化78】
窒素雰囲気下、工程1-2と同様に合成したベンジル 2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート(133 g)とエタノール(798 mL)の混合物へ4 M 水酸化ナトリウム水溶液(536 mL)を加え、80℃にて3時間撹拌した。反応混合物を氷冷し、酢酸(73.6 mL)を加えた後、トルエン(1 L)にて抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、液量がおよそ1/4になるまで濃縮した。得られた混合物へトルエン(500 mL)を加え、氷冷撹拌下、4 M 塩化水素のジオキサン(102 mL)溶液をゆっくり加えた。ヘキサン(50 mL)を加え、室温にて10分間撹拌後、生成した固体をろ取し、ヘキサンにて洗浄した後、表題化合物(83 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.50 (3H, br s), 6.79 (2H, s), 6.66 (1H, br s), 2.33 (6H, s), 1.83-1.81 (1H, m), 0.97-0.84 (2H, m), 0.65-0.62 (2H, m).
【0191】
工程1-4:2,4,6-トリクロロ-5-(ジメトキシメチル)ピリミジン
【化79】
窒素雰囲気下、2,4,6-トリクロロピリミジン-5-カルバルデヒド(250 g)とトルエン(1.5 L)の混合物へ、オルトギ酸トリメチル(750 mL)と硫酸(1.6 mL)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応混合物へ塩基性シリカゲル(フジシリシア,500 g)を加え、2時間撹拌後、加えたシリカゲルをろ去した。シリカゲルを酢酸エチル(1.0 L)にて洗浄後、溶媒を減圧留去し、表題化合物(268 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 5.70 (1H, s), 3.50 (6H, s).
【0192】
工程1-5:4,6-ジクロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化80】
窒素雰囲気下氷冷にて、2,4,6-トリクロロ-5-(ジメトキシメチル)ピリミジン(94 g)とトルエン(1160 mL)の混合物へ、(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン塩酸塩(83 g)、及びトリエチルアミン(102 mL)を加え、同温にて40分撹拌した。反応混合物へトリフルオロ酢酸(98 mL)をゆっくり滴下後、室温にて2時間撹拌した。氷浴下、反応混合物をリン酸三カリウム(310 g)の水溶液(776 mL)へ、ゆっくり滴下後、室温にて10分間撹拌した。分層後、水層をトルエンにて抽出した。すべての有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物の粗生成物(162 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.17 (1H, s), 6.89 (2H, s), 1.98 (6H, s), 1.94-1.87 (1H, m), 1.07-1.01 (2H, m), 0.77-0.72 (2H, m).
【0193】
工程1-6:6-クロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化81】
窒素雰囲気下、4,6-ジクロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンの粗生成物(162 g)とテトラヒドロフラン(970 mL)の混合物へ、2M 水酸化ナトリウム水溶液(913 mL)を加え、75℃にて3時間撹拌した。反応混合物を氷冷後、6 M 塩酸(243 mL)を加えた。反応混合物へ酢酸エチルを加え分層した後、水層を酢酸エチルにて抽出した。すべての有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた固体へ酢酸エチルを加え10分間室温にて撹拌後、固体をろ取し、酢酸エチルにて洗浄した。得られた固体を減圧下乾燥し、表題化合物(74 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 12.89 (1H, br s), 8.80 (1H, s), 7.00 (2H, s), 2.03-1.95 (7H, m), 1.03-1.01 (2H, m), 0.78-0.76 (2H, m).
【0194】
工程1-7:2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化82】
アルゴン雰囲気下、リン酸三カリウム(148 g)を水(510 mL)へ溶解後、トルエン(880 mL)、6-クロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(73 g)、1-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(57.9 g)、及び[1,1'-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(4.73 g)を加えた。反応混合物を110℃で3時間撹拌後、60℃まで放冷した。テトラヒドロフラン(290 mL)を加え、氷浴にて15℃まで冷却後、6 M 塩酸(193 mL)を撹拌下ゆっくり滴下し、20分撹拌した。反応混合物へテトラヒドロフラン(150 mL)を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣へトルエン(500 mL)及び酢酸エチル(500 mL)を加え、室温にて30分撹拌後、得られた固体をろ取し、トルエンにて洗浄した。得られた固体をテトラヒドロフラン(800 mL)へ溶解後、ISOLUTE Si-TMT (金属スカベンジシリカゲル,Biotage社製, 0.47 mmol TMT/g,49 g)を加え、室温にて2時間撹拌した。加えたISOLUTE Si-TMTを濾別し、酢酸エチル(700 mL)にて洗浄した。得られた溶液へシリカゲル(70 g)及び塩基性シリカゲル(フジシリシア,70 g)を加え、室温にて3時間撹拌した。加えたシリカゲルを濾別し、酢酸エチル/テトラヒドロフラン混合(v/v = 1/1, 300 mL)液、及び酢酸エチル(700 mL)にて順次洗浄後、溶媒を減圧留去した。
得られた固体へアセトン(180 mL)を加え、氷冷下30分撹拌した。得られた固体をろ取し、冷アセトン(180 mL)にて洗浄後、減圧乾燥し、表題化合物の結晶(α晶、49.7 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.21 (1H, s), 8.70 (1H, s), 7.90 (1H, d, J = 2.3 Hz), 6.97 (2H, s), 6.96 (1H, d, J = 2.3 Hz), 3.98 (3H, s), 1.96-1.94 (7H, m), 1.01-0.97 (2H, m), 0.75-0.73 (2H, m).
LC-MS(MH+):361.
【0195】
工程1-8:2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン 1水和物
【化83】
2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンの結晶(α晶、16.0 g)をメタノール(100 mL)へ80℃で加熱下溶解した。同温にて、水(100 mL)を加え1時間撹拌後、更に水(200 mL)を追加した。室温へ放冷し、更に2時間撹拌した。得られた固体をろ取した後、減圧下乾燥し表題化合物の結晶(β晶、16.2 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 11.19 (1H, s), 8.69 (1H, s), 7.90 (1H, d, J = 2.3 Hz), 6.97 (2H, s), 6.95 (1H, d, J = 2.3 Hz), 3.97 (3H, s), 1.98-1.91 (7H, m), 1.00-0.98 (2H, m), 0.76-0.72 (2H, m).
LC-MS(MH+): 361
【0196】
[製造例2]:2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(実施例8)の合成
【化84】
工程2-1:1-(4-ブロモ-3,5-ジメチルフェニル)エタン-1-オン
【化85】
アルゴン雰囲気下-78 ℃にて、2,5-ジブロモ-1,3-ジメチルベンゼン(11.6 g)とテトラヒドロフラン(170 mL)の混合物へ、n-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(1.59 M、25.2 mL)をゆっくり滴下後、同温にて20分撹拌した。反応混合物へN-メトキシ-N-メチルアセトアミド(5.61 mL)を加えた後、同温にて1時間撹拌した。反応混合物へ飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物(5.79 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.64 (2H, s), 2.57 (3H, s), 2.47 (6H, s).
【0197】
工程2-2:2-ブロモ-5-(1,1-ジフルオロエチル)-1,3-ジメチルベンゼン
【化86】
アルゴン雰囲気下0 ℃にて、1-(4-ブロモ-3,5-ジメチルフェニル)エタン-1-オン(5.0 g)へ50% ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(48.7 mL)及びメタノール(0.089 mL)を加え、80℃にて7時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液へ滴下後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物(3.58 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.20 (2H, s), 2.44 (6H, s), 1.88 (3H, t, J = 18.1 Hz).
【0198】
工程2-3:ジ-tert-ブチル 1-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジン-1,2-ジカルボキシレート
【化87】
アルゴン雰囲気下-78 ℃にて、2-ブロモ-5-(1,1-ジフルオロエチル)-1,3-ジメチルベンゼン(3.58 g)とテトラヒドロフラン(72 mL)の混合物へ、n-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(1.56 M、11 mL)を加え、同温にて30分撹拌した。反応混合物へ、アゾジカルボン酸 ジ-tert-ブチル(4.96 g)を加え、さらに30分撹拌した。反応混合物へ飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物(3.38 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.19-7.18 (2H, m), 6.60 (1H, br s), 2.38 (6H, s), 1.94-1.82 (3H, m), 1.55-1.37 (18H, m).
【0199】
工程2-4:{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジン塩酸塩
【化88】
ジ-tert-ブチル 1-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジン-1,2-ジカルボキシレート(3.38 g)へ 4 M 塩化水素の酢酸エチル(34 mL)溶液を加え、室温にて1.5 時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、表題化合物(2.0 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 9.61 (3H, br s), 7.29 (2H, s), 6.85 (1H, br s), 2.42 (6H, s), 1.93 (3H, t, J = 18.8 Hz).
【0200】
工程2-5:2,4-ジクロロ-6-[2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジニル]-5-(ジメトキシメチル)ピリミジン
【化89】
アルゴン雰囲気下0℃にて、{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジン塩酸塩(2.0 g)、トリエチルアミン(3.53 mL)、及びメタノール(40 mL)の混合物へ、製造例1の工程1-4と同様に合成した2,4,6-トリクロロ-5-(ジメトキシメチル)ピリミジン(2.18 g)を加えた。室温にて1時間撹拌後、溶媒を減圧留去した。酢酸エチルを加え、生成した固体をろ去した後、溶媒を減圧留去し、表題化合物の粗生成物(3.56 g)を得た。
LC-MS (MH+): 421.
【0201】
工程2-6:4,6-ジクロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化90】
アルゴン雰囲気下、2,4-ジクロロ-6-[2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジニル]-5-(ジメトキシメチル)ピリミジンの粗生成物(3.56 g)とトルエン(36 mL)の混合物へトリフルオロ酢酸(1.62 mL)をゆっくり滴下後、室温にて1時間撹拌した。反応混合物を2M リン酸三カリウム水溶液へゆっくり滴下後、酢酸エチルを用い抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物(1.89 g)を得た。
LC-MS (MH+): 357.
【0202】
工程2-7:6-クロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化91】
4,6-ジクロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(1.89 g)とテトラヒドロフラン(19 mL)の混合物へ、2M 水酸化ナトリウム水溶液(5.29 mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を2 M 塩酸を用い中和した後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製後、得られた固体を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル混合液中で撹拌した。固体をろ取後、減圧下乾燥し、表題化合物(1.03 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 12.90 (1H, br s), 8.85 (1H, s), 7.49 (2H, s), 2.03-1.98 (9H, m).
【0203】
工程2-8:2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化92】
アルゴン雰囲気下、6-クロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(1.03 g)とトルエン/水(v/v = 5/1,12.9 mL)の混合物へ、1-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(0.949 g)、[1,1'-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(0.198 g)、及びリン酸三カリウム(1.94 g)を加え、105℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温へ放冷し、2M 塩酸をゆっくり滴下した後、反応混合物を酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。
残渣をテトラヒドロフラン/酢酸エチル混合液へ溶解後、ISOLUTE Si-TMT (金属スカベンジシリカゲル,Biotage社製, 0.47 mmol TMT/g,3 g)を加え、室温にて1時間撹拌した。加えたISOLUTE Si-TMTを濾別し、酢酸エチルにて洗浄後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製した。得られた固体を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル混合液中で撹拌後、固体をろ取し、表題化合物(1.02 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.28 (1H, s), 8.80 (1H, s), 7.90 (1H, d, J = 2.2 Hz), 7.50 (2H, s), 6.96 (1H, d, J = 2.2 Hz), 3.98 (3H, s), 2.05-1.98 (9H, m).
LC-MS(MH+):385.
【0204】
[製造例3]:2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(実施例39)の合成
【化93】
工程3-1:ベンジル 2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート
【化94】
窒素雰囲気下0℃にて、(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン 塩酸塩(150 g)とテトラヒドロフラン(1.0 L)の混合物へ、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(220 mL)、およびクロロギ酸ベンジル(82 mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応混合物へトルエン(500 mL)と水(500 mL)を加え、室温にて20分間撹拌した。分層後、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムおよび無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣へトルエン(200 mL)およびヘキサン(600 mL)を加え撹拌後、得られた固体をろ取し、表題化合物(180 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.32 (5H, br s), 7.09 (2H, s), 6.52 (1H, br s), 5.67 (1H, br s), 5.06 (2H, s), 2.33 (6H, br s).
【0205】
工程3-2:ベンジル 2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート
【化95】
窒素雰囲気下、リン酸三カリウム(380 g)を水(710 mL)へ溶解後、トルエン(1400 mL)、ベンジル 2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート(180 g)、シクロプロピルボロン酸(110 g)及び[1,1'-ビス(ジ-フェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(8.3 g)を加え、110 ℃にて5時間撹拌した。反応混合物を室温へ放冷後、6 M 塩酸(600 mL)を加え10分撹拌した。水層を分液操作により除去し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣へトルエン/ヘキサン混合溶液(v/v = 1/1, 360 mL)を加え2時間撹拌後、ヘキサン(360 mL)を加え、さらに1時間撹拌した。得られた固体をろ取し、トルエン/ヘキサン混合液(v/v = 1/10, 550 mL)およびヘキサン(300 mL)にて順次洗浄し、表題化合物(100 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.31 (5H, br s), 6.68 (2H, s), 6.48 (1H, br s), 5.65 (1H, br s), 5.06 (2H, s), 2.32 (6H, br s), 1.80-1.73 (1H, m), 0.87-0.84 (2H, m), 0.61-0.59 (2H, m).
【0206】
工程3-3:(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン塩酸塩
【化96】
窒素雰囲気下、ベンジル 2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン-1-カルボキシレート(100 g)とエタノール(600 mL)の混合物へ4 M 水酸化ナトリウム水溶液(400 mL)を加え、80℃にて3時間撹拌した。反応混合物を放冷後、酢酸(55 mL)を加えた後、トルエンにて抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、液量がおよそ1/4になるまで濃縮した。得られた混合物へトルエン(400 mL)を追加し、氷冷撹拌下、4 M 塩化水素の1,4-ジオキサン(77 mL)溶液をゆっくり加えた。室温にて30分撹拌後、ヘキサン(40 mL)を加え、さらに5分撹拌した。生成した固体をろ取後、トルエン/ヘキサン混合液(v/v = 1/1)およびヘキサンにて順次洗浄し、表題化合物(54 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.50 (3H, br s), 6.79 (2H, s), 6.66 (1H, br s), 2.33 (6H, s), 1.83-1.81 (1H, m), 0.97-0.84 (2H, m), 0.65-0.62 (2H, m).
【0207】
工程3-4:4,6-ジクロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化97】
窒素雰囲気下氷冷にて、製造例1の工程1-4と同様に合成した2,4,6-トリクロロ-5-(ジメトキシメチル)ピリミジン(63 g)とトルエン(780 mL)の混合物へ、(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジン 塩酸塩(54 g)、及びトリエチルアミン(68 mL)を加え、同温にて40分撹拌した。反応混合物へトリフルオロ酢酸(66 mL)をゆっくり滴下後、室温にて2時間撹拌した。氷浴下、反応混合物をリン酸三カリウム(210 g)の水(470 mL)溶液へゆっくり滴下後、室温にて10分間撹拌した。有機層を分層後、水層をトルエンにて抽出した。すべての有機層を合わせて、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物の粗生成物(102 g)を得た。得られた粗生成物の一部をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物(1.6 g)を得た。
LC-MS (MH+): 333.
【0208】
工程3-5:4-(ベンジロキシ)-6-クロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化98】
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(60 % in oil, 200 mg)とテトラヒドロフラン(24 mL)の混合物へ、ベンジルアルコール(630 mg)を加え、50 ℃にて30分撹拌した。反応混合物を氷浴下冷却後、4,6-ジクロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(1.6 g)を加え、同温にて30分撹拌した。反応混合物へ2 M 塩酸(0.73 mL)を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/酢酸エチル混合液(v/v = 4/1)に加え撹拌後、固体をろ取し、表題化合物(1.8 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.00 (1H, s), 7.55-7.52 (2H, m), 7.43-7.41 (3H, m), 6.85 (2H, s), 5.64 (2H, s), 1.95 (6H, s), 1.91-1.86 (1H, m), 1.02-0.99 (2H, m), 0.73-0.71 (2H, m).
LC-MS (MH+): 405.
【0209】
工程3-6:4-(ベンジロキシ)-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンと2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンの混合物
【化99】
アルゴン雰囲気下、4-(ベンジロキシ)-6-クロロ-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(70 mg)とN,N-ジメチルアセトアミド(1.0 mL)の混合物へ、ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(12 mg)、塩化リチウム(7.3 mg)、および1-メチル-4-(トリブチルスタニル)-1H-イミダゾール(0.11 mL)を加え、120 ℃ にて3時間撹拌した。反応混合物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/酢酸エチル)にて精製し、4-(ベンジロキシ)-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンと2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンの混合物(110 mg)を得た。
4-(ベンジロキシ)-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
LC-MS (MH+): 451.
2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンLC-MS (MH+): 361.
【0210】
工程3-7:2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化100】
アルゴン雰囲気下、4-(ベンジロキシ)-2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジンと2-(4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンの混合物(110 mg)へギ酸(1.0 mL)を加え、90 ℃にて1時間撹拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/水)にて精製後、ヘキサン/酢酸エチルにて固体化し、表題化合物(23 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 10.77 (1H, br s), 8.70 (1H, s), 8.06 (1H, d, J = 1.3 Hz), 7.87 (1H, d, J = 1.3 Hz), 7.00 (2H, s), 3.80 (3H, s), 2.02-1.94 (7H, m), 1.04-1.01 (2H, m), 0.79-0.76 (2H, m).
LC-MS (MH+): 361.
【0211】
[製造例4]:2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(実施例41)の合成
【化101】
工程4-1:tert-ブチル (4-ヨード-2,6-ジメチルフェニル)カルバメート
【化102】
4-ヨード-2,6-ジメチルアニリン(24 g)とエタノール(73 mL)の混合物へ、二炭酸ジ-tert-ブチル(40 mL)を加え、室温にて終夜撹拌した。反応混合物へ水を加えた後、得られた固体をろ取し、水およびヘキサンを用い洗浄した。得られた固体を酢酸エチル(150 mL)へ溶解後、シリカゲル(24 g)を加え15分撹拌後、加えたシリカゲルをろ去した。ヘキサン/酢酸エチル混合液(v/v = 1/1)にてシリカゲルを洗浄後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をヘキサンにて撹拌洗浄後、ろ取し、表題化合物(29 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 8.43 (1H, br s), 7.43 (2H, s), 2.11 (6H, s), 1.44 (9H, s).
【0212】
工程4-2:エチル 2-[4-{(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)}-3,5-ジメチルフェニル]-2,2-ジフルオロアセテート
【化103】
窒素雰囲気下,tert-ブチル (4-ヨード-2,6-ジメチルフェニル)カルバメート(29 g)とジメチルスルホキシド(230 mL)の混合物へ、2-ブロモ-2,2-ジフルオロ酢酸エチル(21 mL)および銅(16 g)を加え、70 ℃にて4時間撹拌した。固体をろ去後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、水、および飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムとシリカゲルを加え撹拌した。固体をろ去し、酢酸エチルにて洗浄後、溶媒を減圧留去し、表題化合物(18 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 8.63 (1H, br s), 7.27 (2H, s), 4.31 (2H, q, J = 7.0 Hz), 2.21 (6H, s), 1.45 (9H, s), 1.23 (3H, t, J = 7.0 Hz).
【0213】
工程4-3:tert-ブチル {4-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2,6-ジメチルフェニル}カルバメート
【化104】
窒素雰囲気下、工程4-2と同様に合成したエチル 2-[4-{(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)}-3,5-ジメチルフェニル]-2,2-ジフルオロアセテート(30 g)とエタノール(240 mL)の混合物へ、水素化ホウ素ナトリウム(2.7 g)を16分かけてゆっくり加えた。反応混合物を室温にて30分撹拌後、氷浴下冷却した。同温にて1M 塩酸をゆっくり加えた後、酢酸エチル、ヘキサン、および水を用いて希釈した。得られた混合物を分層後、水層を酢酸エチル/ヘキサン混合液(v/v = 1/1)にて抽出した。すべての有機層を合わせた後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/酢酸エチル混合液(180 mL/9 mL)中で撹拌した。得られた固体をろ取後、ヘキサンにて洗浄し、表題化合物(25 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 8.53 (1H, br s), 7.19 (2H, s), 5.58 (1H, t, J = 6.2 Hz), 3.81 (2H, td, J = 14.1, 6.2 Hz), 2.19 (6H, s), 1.45 (9H, s).
【0214】
工程4-4:2-[4-{(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}-3,5-ジメチルフェニル]-2,2-ジフルオロエチル トリフルオロメタンスルホネート
【化105】
窒素雰囲気下氷冷にて、tert-ブチル {4-(1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエチル)-2,6-ジメチルフェニル}カルバメート(16 g)、ピリジン(5.6 mL)およびトルエン(130 mL)の混合物へ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(9.4 mL)をゆっくり滴下後、同温にて1時間撹拌した。反応混合物へ水を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を1 M 塩酸、水、および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムとシリカゲルを加え、室温にて15分撹拌した。固体をろ去後、酢酸エチル/トルエン混合液(v/v = 1/2)にて洗浄し、溶媒を減圧留去した。残渣にヘキサン/酢酸エチル混合液(v/v = 30/1, 50 mL)を加え、室温で1.5時間撹拌後、氷冷下15分間撹拌した。得られた固体をろ取後、ヘキサンにて洗浄し、表題化合物(21 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 8.63 (1H, br s), 7.33 (2H, s), 5.33 (2H, t, J = 13.9 Hz), 2.22 (6H, s), 1.45 (9H, s).
【0215】
工程4-5:tert-ブチル{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}カルバメート
【化106】
窒素雰囲気下、2-[4-{(tert-ブトキシカルボニル)アミノ}-3,5-ジメチルフェニル]-2,2-ジフルオロエチル トリフルオロメタンスルホネート(21 g)とジメチルスルホキシド(150 mL)の混合物へ、水素化ホウ素ナトリウム(2.7 g)をゆっくり加えた。反応混合物を室温にて終夜撹拌後、水浴下1 M 塩酸(60 mL)および水(140 mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル/ヘキサン(v/v = 6/5)にて抽出した後、水および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物の粗生成物(14 g)を得た。
【0216】
工程4-6:4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルアニリン 塩酸塩
【化107】
tert-ブチル{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}カルバメートの粗生成物(14 g)と酢酸エチル(68 mL)の混合物へ4 M 塩化水素の酢酸エチル溶液(140 mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。得られた固体をろ取後、酢酸エチルにて洗浄し、表題化合物(11 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 7.15 (2H, s), 7.10 (3H, br s), 2.24 (6H, s), 1.90 (3H, t, J = 19.1 Hz).
【0217】
工程4-7:{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジン 塩酸塩
【化108】
4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルアニリン 塩酸塩(2.0 g)へ濃塩酸(9.0 mL)および6 M 塩酸(15 mL)を加えた後、-20 ℃へ冷却した。反応混合物へ亜硝酸ナトリウム(690 mg)の水(3.0 mL)溶液をゆっくり滴下後、0 ℃にて40分撹拌した。-20 ℃下、塩化すず(II)二水和物(6.1 g)の濃硫酸(9.0 mL)溶液を5分かけてゆっくり滴下後、0 ℃にて5時間撹拌した。得られた固体をろ取した後、氷冷した2 M 塩酸、およびヘキサン/酢酸エチル混合液(v/v = 4/1)にて順次洗浄し、表題化合物(1.8 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 9.68 (3H, br s), 7.29 (2H, s), 6.84 (1H, s), 2.42 (6H, s), 1.93 (3H, t, J = 18.9 Hz).
【0218】
工程4-8:2,4-ジクロロ-6-[2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジニル]-5-(ジメトキシメチル)ピリミジン
【化109】
アルゴン雰囲気下0 ℃にて、{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジン 塩酸塩(500 mg)、トリエチルアミン(0.88 mL)およびメタノール(10 mL)の混合物へ、製造例1の工程1-4と同様に合成した2,4,6-トリクロロ-5-(ジメトキシメチル)ピリミジン(540 mg)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、酢酸エチルを加え、固体をろ去した。溶媒を減圧留去し、表題化合物の粗生成物(890 mg)を得た。
LC-MS (MH+): 421.
【0219】
工程4-9:4,6-ジクロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化110】
アルゴン雰囲気下、2,4-ジクロロ-6-[2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}ヒドラジニル]-5-(ジメトキシメチル)ピリミジンの粗生成物(890 mg)とトルエン(8.9 mL)の混合物へ、トリフルオロ酢酸(0.40 mL)を加え、室温にて1時間撹拌後、2M リン酸三カリウム水溶液へ滴下した。得られた混合物を酢酸エチルにて抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)にて精製し、表題化合物(520 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 9.36 (1H, s), 7.55 (2H, s), 2.05-2.00 (9H, m).
LC-MS (MH+): 357.
【0220】
工程4-10:4-(ベンジロキシ)-6-クロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化111】
アルゴン雰囲気下、ベンジルアルコール(0.18 mL)とテトラヒドロフラン(10 mL)の混合物へ、水素化ナトリウム(60 % in oil, 61 mg)を加え、50 ℃にて30分撹拌した。反応混合物を0 ℃へ冷却後、4,6-ジクロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(520 mg)を加え、同温にて1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルにて希釈後、2 M 塩酸(1.0 mL)を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水、および飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/ジイソプロピルエーテル混合液(v/v = 1/1)を用いて撹拌後、固体をろ取し、表題化合物(430 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 9.05 (1H, s), 7.59-7.57 (2H, m), 7.51 (2H, s), 7.45-7.41 (3H, m), 5.65 (2H, s), 2.04-1.98 (9H, m).
【0221】
工程4-11:2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-6-(1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化112】
アルゴン雰囲気下、4-(ベンジロキシ)-6-クロロ-2-{4-(1,1-ジフルオロエチル)-2,6-ジメチルフェニル}-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(80 mg)とN,N-ジメチルアセトアミド(1.0 mL)の混合物へ、ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(13 mg)、塩化リチウム(7.9 mg)、および1-メチル-4-(トリブチルスタニル)-1H-イミダゾール(0.12 mL)を加え、120℃にて3時間撹拌した。反応混合物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:メタノール/酢酸エチル)および逆相カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:アセトニトリル/水)にて精製し、表題化合物(8.2 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 10.78 (1H, s), 8.77 (1H, s), 8.04 (1H, d, J = 1.3 Hz), 7.84 (1H, d, J = 1.3 Hz), 7.49 (2H, s), 3.77 (3H, s), 2.05-1.98 (9H, m).
LC-MS (MH+): 385.
【0222】
[製造例5]:2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-6-(ピリミジン-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(実施例12)の合成
【化113】
工程5-1:メチル 2-{2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジニリデン}-2-クロロアセテート
【化114】
4-ブロモ-2,6-ジメチルアニリン(45 g)、エタノール(72 mL)、水(25 mL)、及び濃塩酸(47 mL)の混合物を-10℃へ冷却後、亜硝酸ナトリウム(17 g)の水溶液(54 mL)を30分かけてゆっくり滴下した。同温にて30分撹拌後、メチル 2-クロロ-3-オキソブタノエート(27 mL)及び酢酸ナトリウム(55 g)を順次加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物の粗生成物(81 g)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 7.28 (2H, t, J = 0.6 Hz), 7.19 (1H, br s), 3.90 (3H, s), 2.34 (6H, s).
【0223】
工程5-2:メチル 1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-4-シアノ-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート
【化115】
アルゴン雰囲気下、メチル 2-{2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)ヒドラジニリデン}-2-クロロアセテートの粗生成物(81 g)とクロロホルム(580 mL)の混合物へトリエチルアミン(36 mL)及びフマロニトリル(20 g)を加え、80℃にて40分撹拌した。反応混合物を室温へ放冷後、シリカゲル(250 g)を加え、室温にて30分撹拌した。セライトを用いてシリカゲルをろ去後、酢酸エチルにてシリカゲルを洗浄した。得られたすべての有機層から溶媒を減圧留去した後、得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、表題化合物(37 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 9.01 (1H, s), 7.57 (2H, s), 3.90 (3H, s), 1.98 (6H, s).
【0224】
工程5-3:1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-4-シアノ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
【化116】
メチル 1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-4-シアノ-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(36 g)とメタノール(360 mL)の混合物へ、2 M水酸化ナトリウム水溶液(110 mL)を加え、室温にて2.5時間撹拌した。反応混合物へ6 M塩酸を加え、液性をpH = 1へ調整後、酢酸エチルを用いて抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた固体へ酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル混合液(v/v = 1/1, 200 mL)を加え5分撹拌後、固体が析出しなくなるまでヘキサンを加えた。得られた固体をろ取し,表題化合物(30 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 13.86 (1H, br s), 8.96 (1H, s), 7.56 (2H, s), 1.97 (6H, s).
【0225】
工程5-4:3-アミノ-1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル
【化117】
アルゴン雰囲気下室温にて、1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-4-シアノ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(30 g)とt-ブタノール(450 mL)の混合物へ、トリエチルアミン(26 mL)及びジフェニルホスホリルアジド(30 mL)を加えた後、90℃にて3時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、残渣へクロロホルム(180 mL)及びトリフルオロ酢酸(22 mL)を加え、80℃にて1時間撹拌した。反応混合物を0℃へ冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて中和した。反応混合物を酢酸エチルにて抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:15vol%から60vol%の酢酸エチル/ヘキサン)にて精製後、得られた固体をジイソプロピルエーテル/酢酸エチル混合液(v/v = 1/1)にて洗浄し、表題化合物(11 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.31 (1H, s), 7.46 (2H, s), 5.76 (2H, s), 2.01 (6H, s).
LC-MS (MH+): 291.
【0226】
工程5-5:3-アミノ-1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化118】
アルゴン雰囲気下0℃にて、3-アミノ-1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(11 g)、ジメチルスルホキシド(17 mL)、及びエタノール(66 mL)の混合物へ、水酸化ナトリウム(4.5 g)、及び30%過酸化水素水(15 mL)を加え、室温にて40分撹拌した。反応混合物を0℃へ冷却後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加えた。反応混合物へ12 M塩酸を加え、液性をpH = 2へ調整後、酢酸エチルを用いて抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をジイソプロピルエーテル/酢酸エチル混合液(v/v = 1/1)にて洗浄し、表題化合物(10 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 7.97 (1H, s), 7.45 (2H, s), 7.31 (1H, br s), 6.91 (1H, br s), 5.53 (2H, s), 2.02 (6H, s).
LC-MS (MH+): 309.
【0227】
工程5-6:N-(1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-4-カルバモイル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-カルボキサミド
【化119】
ピリミジン-4-カルボン酸(60 mg)とN,N-ジメチルホルムアミド(1.5 mL)の混合物へ、HATU(180 mg)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(160 mg)を加え、室温にて5分撹拌した。次いで、3-アミノ-1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(75 mg)を加え、50℃にて2時間撹拌した。反応混合物を室温へ放冷し、酢酸エチルを用いて希釈後、水、及び飽和食塩水にて順次洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物の粗生成物(100 mg)を得た。
LC-MS (MH+): 415.
【0228】
工程5-7:2-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-6-(ピリミジン-4-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化120】
アルゴン雰囲気下、N-(1-(4-ブロモ-2,6-ジメチルフェニル)-4-カルバモイル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-カルボキサミドの粗生成物(100 mg)、エタノール(1.0 mL)、及び水(1.0 mL)の混合物へ1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(1.0 mL)を加え、110℃にて2時間撹拌した。反応混合物を室温へ放冷し、水を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を水、及び飽和食塩水にて順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:50vol%から100vol%の酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し、表題化合物(47 mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 10.62 (1H, br s), 9.36 (1H, d, J = 1.4 Hz), 9.03 (1H, d, J = 5.3 Hz), 8.54 (1H, dd, J = 5.2, 1.5 Hz), 8.18 (1H, s), 7.38 (2H, s), 2.06 (6H, s).
LC-MS (MH+): 397.
【0229】
[製造例6]:2-(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン(実施例59)の合成
【化121】
工程6-1:(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)ヒドラジン塩酸塩
【化122】
6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン(1.0 g)と6 M塩酸(5.0 mL)の混合物へ濃塩酸(3.0 mL)を加えた後、0℃へ冷却した。反応混合物へ亜硝酸ナトリウム(0.43 g)の水溶液(1.0 mL)3分かけてゆっくり滴下した後、同温にて70分撹拌した。反応混合物へ塩化スズ(II)・2水和物(2.8 g)と濃塩酸(2.3 mL)の混合物を5分かけてゆっくり滴下し、同温にて1時間撹拌後、室温にて2時間撹拌した。生成した固体をろ取後、2M 塩酸およびジイソプロピルエーテルにて順次洗浄し、表題化合物(1.2 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 10.12 (3H, br s), 7.86 (1H, br s), 7.28 (1H, s), 7.00 (1H, s), 2.83-2.81 (4H, m), 2.06-1.99 (2H, m).
【0230】
工程6-2:リチウム 6-ヒドロキシ-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-オレート
【化123】
アルゴン雰囲気下0℃にて、1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボニトリル(53 g)とテトラヒドロフラン(11 mL)の混合物へ、1.2 Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのテトラヒドロフラン溶液(500 mL)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を5℃へ冷却後、マロン酸ジメチル(110 mL)およびメタノール(320 mL)を加え、80℃にて24時間撹拌した。反応混合物を室温へ放冷後、テトラヒドロフラン(320 mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。生成した固体をろ取した後、メタノール/テトラヒドロフラン混合液(v/v = 1/2, 150 mL)およびテトラヒドロフラン(200 mL)にて順次洗浄し、表題化合物(100 g)を得た。
1H-NMR (CD3OD) δ: 7.64 (1H, d, J = 2.2 Hz), 6.91 (1H, d, J = 2.2 Hz), 5.11 (1H, s), 3.97 (3H, s).
【0231】
工程6-3:4,6-ジクロロ-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-5-カルバルデヒド
【化124】
窒素雰囲気下0℃にて、オキシ塩化リン(64 mL)をN,N-ジメチルホルムアミド(270 mL)へ加えた後、室温にて1時間撹拌した。調製した混合物を0℃へ冷却した後、0℃に冷却したリチウム 6-ヒドロキシ-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-オレート(90 g)およびトルエン(270 mL)の混合物へゆっくり滴下した。反応混合物を室温にて終夜撹拌後、再度0℃へ冷却した。反応混合物へオキシ塩化リン(380 mL)をゆっくり滴下後、80℃にて6時間撹拌した。反応混合物を室温へ放冷後、10℃以下へ冷却したリン酸水素二ナトリウム(770 g)と水(3.0 L)の混合物へゆっくり滴下した。混合物を同温にて30分撹拌後、室温にて1時間撹拌した。生成した固体をろ取した後、水にて洗浄し、表題化合物(79 g)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 10.28 (1H, s), 7.92 (1H, d, J = 2.5 Hz), 7.03 (1H, d, J = 2.5 Hz), 4.00 (3H, s).
【0232】
工程6-4:4-クロロ-2-(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン
【化125】
(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)ヒドラジン塩酸塩(100 mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.40 mL)、テトラヒドロフラン(1.5 mL)および水(0.50 mL)の混合物へ、4,6-ジクロロ-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-5-カルバルデヒド(120 mg)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応混合物へ水を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:1vol%から100vol%の酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し、表題化合物(55 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 9.25 (1H, s), 7.85 (1H, d, J = 2.2 Hz), 7.66-7.64 (2H, m), 6.99 (1H, d, J = 2.2 Hz), 3.98 (3H, s), 3.02-2.93 (4H, m), 2.15-2.10 (2H, m).
【0233】
工程6-5:2-(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2,5-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オン
【化126】
アルゴン雰囲気下、4-クロロ-2-(6-クロロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-6-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-2H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン(55 mg)、アセトニトリル(0.55 mL)および水(0.28 mL)の混合物へ、トリフルオロ酢酸(0.033 mL)を加え、60℃にて1時間撹拌した。反応混合物へ水を加えた後、酢酸エチルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:1vol%から100vol%の酢酸エチル/ヘキサン)にて精製後、酢酸エチル/ヘキサン混合液(v/v = 1/5, 12 mL)を用いて固体化し、表題化合物(44 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 11.28 (1H, br s), 8.85 (1H, s), 7.90 (1H, d, J = 2.5 Hz), 7.57 (2H, d, J = 11.5 Hz), 6.96 (1H, d, J = 2.5 Hz), 3.98 (3H, s), 2.98-2.91 (4H, m), 2.14-2.07 (2H, m).
LC-MS (MH+): 367.
【0234】
上記製造方法及び製造例と同様の方法により、又必要に応じて公知の方法を用いることにより、その他の実施例の化合物を得た。各実施例化合物の構造式及び物性データを以下の表に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0235】
試験例1:NLRP3インフラマソーム阻害作用の評価
被験物質のNLRP3インフラマソーム阻害作用は、THP1-Null細胞(品番thp-null、InvivoGen)におけるIL-1β産生量の抑制作用を指標に評価した。細胞は、10%(v/v)ウシ胎児血清、25mmol/L HEPES、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、100μg/mLノルモシン、200μg/mLハイグロマイシンBを含有するRPMI-1640培地で維持培養した(37℃設定、5%CO2/95%空気)。
0.5μmol/L PMAを含有するアッセイ用培地(10%(v/v)ウシ胎児血清、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンを含有するRPMI-1640培地)で懸濁した細胞をCorning(登録商標)384-well Flat Clear Bottom Black Polystyrene TC-treated Microplatesに播種(25000 cells/25μL/well)し一晩培養(37℃設定、5%CO2/95%空気)した。培養上清を除き、1μg/mL Lipopolysaccharides(品番L2654、Sigma-Aldrich(登録商標))を含有するアッセイ用培地を添加(25μL/well)し3時間培養(37℃設定、5%CO2/95%空気)した。培養上清を除き、Opti-MEM(商標)培地(品番31985-070、Invitrogen)で調製した媒体溶液をblank設定well及びcontrol設定wellに添加(20μL/well)し15分間培養(37℃設定、5%CO2/95%空気)した。また、被験物質設定wellには、被験物質溶液を添加(20μL/well)した。さらに、Nigericin(品番N7143、Sigma-Aldrich(登録商標))を含有するOpti-MEM(商標)培地をcontrol設定well及び被験物質設定wellに添加(5μL/well)し1.5時間培養(37℃設定,5%CO2/95%空気)した。Nigericin最終濃度は7.5μmol/Lとした。blank設定wellには、Opti-MEM(商標)培地を添加(5μL/well)した。培養上清は、IL-1βを測定するまで冷凍保管した(-20℃設定)。
培養上清中IL-1βの定量は、AlphaLISA(登録商標)Human IL-1β Detection Kit(品番AL220C、Perkin Elmer)を用いた。方法は,添付の取扱い手順書に従い、マイクロプレートリーダーEnSpier(型番2300-00J、Perkin Elmer)又はEnSight(型番HH34000000、Perkin Elmer)で蛍光強度を測定した。blank設定wellを100%、control設定wellを0%として被験物質設定wellの阻害率を算出した。被験物質のIC50値(50%阻害濃度)は、ロジスティック回帰分析により算出した。各実施例化合物の結果を以下の表に示す。
【0236】
【表8】
【表9】
【0237】
本発明の製剤例として、下記の製剤が挙げられる。しかしながら、本発明はこれら製剤例によって限定されるものではない。
製剤例1(カプセルの製造)
(1)実施例1の化合物 30mg
(2)微結晶セルロース 10mg
(3)乳糖 19mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 1mg
(1)、(2)、(3)及び(4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。
【0238】
製剤例2(錠剤の製造)
(1)実施例1の化合物 10g
(2)乳糖 50g
(3)トウモロコシデンプン 15g
(4)カルメロースカルシウム 44g
(5)ステアリン酸マグネシウム 1g
(1)、(2)及び(3)の全量及び30gの(4)を水で練合し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの(4)及び1gの(5)を混合し、打錠機により打錠する。このようにして、1錠あたり実施例1の化合物を10mg含有する錠剤1000錠を得る。
【産業上の利用可能性】
【0239】
式[I]の化合物又はその製薬上許容される塩、あるいは式[IA]の化合物又はその製薬上許容される塩は、NLRP3インフラマソーム阻害作用を有することにより、多発性硬化症、慢性腎臓病、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)、動脈硬化症、クリオピリン関連周期熱症候群(例えば家族性寒冷性自己炎症性症候群、マックルウェルズ症候群、慢性乳児神経皮膚関節症候群及び新生児期発症多臓器系炎症性疾患)、非アルコール性脂肪肝炎、痛風、痛風性関節炎、関節リウマチ、接触性皮膚炎、ドライアイ、虚血性心疾患(例えば急性心筋梗塞)、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、再発性心膜炎、成人発症スチル病(例えば血球貪食性リンパ組織球症及びマクロファージ活性化症候群)、シュニッツラー症候群、IL-1受容体拮抗分子欠損症、家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、高IgD症候群、ベーチェット病、肺がん、乾癬、高血圧、糖尿病性網膜症、アルツハイマー病、軽度認知障害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脳梗塞、脳出血、てんかん、うつ病、自閉スペクトラム症、脊髄損傷、敗血症性脳症、神経障害性疼痛、COVID-19、前頭側頭型認知症、加齢黄斑変性症、糖尿病黄斑浮腫、遺伝性一過性角膜内皮炎、及びTNF受容体関連周期性症候群からなる群より選択される疾患の治療剤又は予防剤として有用であることが期待される。