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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032689
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】トリアジン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 251/24 20060101AFI20240305BHJP
   B01J 31/36 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C07D251/24
B01J31/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138162
(22)【出願日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2022135653
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390005050
【氏名又は名称】ダイキンファインテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】波濤 航
(72)【発明者】
【氏名】磯村 優仁
(72)【発明者】
【氏名】内田 暁人
(72)【発明者】
【氏名】大洞 康嗣
(72)【発明者】
【氏名】堀 雄貴
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BB01A
4G169BB01B
4G169BB08A
4G169BB08B
4G169BC15A
4G169BC30A
4G169BC34A
4G169BC49A
4G169BC53A
4G169BC55B
4G169BC56B
4G169BC57A
4G169BC61A
4G169BC66B
4G169BC69A
4G169BD01A
4G169BD01B
4G169BD06A
4G169BD06B
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169BD15B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE08B
4G169BE32A
4G169BE32B
4G169BE33A
4G169BE33B
4G169BE37B
4G169CB38
4G169DA05
4G169FC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】温和な製法条件で簡便で効率的に、且つ高収率でトリアジン化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】本開示のトリアジン化合物の製造方法は、第5族金属化合物を含む触媒、アンモニウム塩、および、ケイ素原子にハロゲン原子が結合した有機ケイ素化合物の存在下、下記式(1)で表されるニトリル化合物、および下記式(2)で表されるトリハライド化合物を反応させることを含む、少なくとも式(3)または下記式(4)のいずれかで表されるトリアジン化合物の製造方法である。
1-CN(1)
2-CX1 3(2)

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第5族金属化合物を含む触媒、アンモニウム塩、および、ケイ素原子にハロゲン原子が結合した有機ケイ素化合物の存在下、
式(1):
1-CN (1)
[式(1)中、R1は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基である]
で表されるニトリル化合物、および
式(2):
2-CX1 3 (2)
[式(2)中、R2は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、そして、X1は、ハロゲン原子である]
で表されるトリハライド化合物を反応させることを含む、少なくとも式(3)または式(4):
【化1】
[式(3)および式(4)中、R1およびR2は、前記に定義する通りである]
のいずれかで表されるトリアジン化合物の製造方法。
【請求項2】
前記有機ケイ素化合物の使用量は、前記ニトリル化合物の使用量に対して、0.1~10.0倍モル当量である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ニトリル化合物および前記トリハライド化合物の反応を、さらに、第5族金属化合物以外のハロゲン化金属化合物の存在下で行う請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ハロゲン化金属化合物は、第4族金属~第13族金属から選ばれる少なくとも一種の金属を含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化金属化合物の使用量は、前記第5族金属化合物の使用量に対して、0.2~3.0倍モル当量である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
1およびR2は各々独立して、1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいナフチル基であって、前記置換基が、ハロゲン原子、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルキル基、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数3~6個のシクロアルキル基、および1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルコキシ基からなる群から選ばれる、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記アンモニウム塩はハロゲン化アンモニウム塩および/またはカルボン酸アンモニウム塩を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ニトリル化合物の使用量は、前記トリハライド化合物の使用量に対して、0.01~10.0倍モル当量である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記有機ケイ素化合物はケイ素原子と塩素原子とが結合した構造を有する請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項10】
前記有機ケイ素化合物は式(5):
3 n-Si-X2 (4-n) (5)
[式(5)中、R3は置換基を有していてもよい炭化水素基、X2はハロゲン原子、nは1~3の整数であり、nが2または3である場合のn個のR3は同一であってもよく異なっていてもよく、4-nが2または3である場合の4-n個のX2は同一であってもよく異なっていてもよい]
で表される化合物を含む請求項1または2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属触媒を用いた、ニトリル化合物およびトリハライド化合物からのトリアジン化合物の新規な製造方法に関する。具体的には、第5族金属化合物を含む触媒、アンモニウム塩、およびケイ素原子にハロゲン原子が直接結合した有機ケイ素化合物を用いた、ニトリル化合物およびトリハライド化合物の環化付加反応によるトリアジン化合物の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリアジン化合物は、医薬、農薬、または電子材料等の機能性物質の中間体原料として有用であることが知られている(非特許文献1および2)。例えば、2,4,6-トリフェニル-1,3,5-トリアジンは、電子材料の原料として挙げられる。
【0003】
これまで、ニトリル化合物の環化付加反応によるトリアジン化合物の製造方法としては、強酸である塩酸およびトリフルオロ酢酸等のブレンステッド酸を用いる製法(非特許文献3)、高温および高圧条件を用いる製法(特許文献1および非特許文献4)、および毒性の強い塩化水素ガスを用いる製法(非特許文献5)等が知られている。
【0004】
また、ニトリル化合物以外に、アミジン化合物を、イソチオシアネートおよびカルバミジン(非特許文献6)、またはアルコール(非特許文献7)等と組み合わせる等の複数の反応基質を組み合わせたトリアジン化合物の製造方法が知られているが、毒性の強い水銀等の金属の使用、用いる基質の制限、およびアンモニアなどの副生成物等の生成による低い原子効率等の欠点を有する。
【0005】
また、特定の金属触媒およびアンモニウム塩の存在下でニトリル化合物とトリハライド化合物とを交差環化反応させてトリアジン化合物を製造する方法が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-188188号公報
【特許文献2】特開2021-31442号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】D. M. Shin, et al., Thin. Solid. Films., 2000, 363, 252
【非特許文献2】P. Singla, et al., Eur. J. Med. Chem., 2015, 102, 39
【非特許文献3】S. Hayami, およびK. Inoue, Chem. Lett., 1999, 28, 545
【非特許文献4】S. Bengelsdorf, J. Am. Chem. Soc, 1957, 80, 1442
【非特許文献5】S. Yanagida, S. Komori, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 1973, 46, 306
【非特許文献6】J. C. Kaila, et. al., Tetrahedron. Lett. 2010, 51, 1486
【非特許文献7】Q. You, et al., Org. Biomol. Chem., 2015, 13, 6723
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示の方法によれば、温和な製法条件で簡便で効率的に、且つ高選択的に相異なる二種以上のトリアジン化合物を製造することができる。しかし、目的とするトリアジン化合物の収率については改善の余地があった。
【0009】
従って、本開示の目的は、温和な製法条件で簡便で効率的に、且つ高収率でトリアジン化合物を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、目的とするトリアジン化合物の収率を向上させるべく鋭意研究した結果、第5族金属化合物を含む触媒、アンモニウム塩、および特定の有機ケイ素化合物の存在下、ニトリル化合物とトリハライド化合物とを反応させることで、2つの化合物の交差環化反応が進行し、目的とするトリアジン化合物を1段階で且つ高収率で製造することができることを見出し、本開示の発明を完成することができた。
【0011】
すなわち、本開示は、第5族金属化合物を含む触媒、アンモニウム塩、および、ケイ素原子にハロゲン原子が直接結合した有機ケイ素化合物の存在下、
式(1):
1-CN (1)
[式(1)中、R1は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基である]
で表されるニトリル化合物、および
式(2):
2-CX1 3 (2)
[式(2)中、R2は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、そして、X1は、ハロゲン原子である]
で表されるトリハライド化合物を反応させることを含む、少なくとも式(3)または式(4):
【化1】
[式(3)および式(4)中、R1およびR2は、上記に定義する通りである]
のいずれかで表されるトリアジン化合物の製造方法を提供する。
【0012】
上記有機ケイ素化合物の使用量は、上記ニトリル化合物の使用量に対して、0.1~10.0倍モル当量であることが好ましい。
【0013】
上記製造方法において、上記ニトリル化合物および上記トリハライド化合物の反応を、さらに、第5族金属化合物以外のハロゲン化金属化合物の存在下で行うことが好ましい。
【0014】
上記ハロゲン化金属化合物は、第4族金属~第13族金属から選ばれる少なくとも一種の金属を含むことが好ましい。
【0015】
上記ハロゲン化金属化合物の使用量は、上記第5族金属化合物の使用量に対して、0.2~3.0倍モル当量であることが好ましい。
【0016】
1およびR2は各々独立して、1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいナフチル基であって、上記置換基が、ハロゲン原子、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルキル基、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数3~6個のシクロアルキル基、および1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルコキシ基からなる群から選ばれることが好ましい。
【0017】
上記アンモニウム塩はハロゲン化アンモニウム塩および/またはカルボン酸アンモニウム塩を含むことが好ましい。
【0018】
上記ニトリル化合物の使用量は、上記トリハライド化合物の使用量に対して、0.01~10.0倍モル当量であることが好ましい。
【0019】
上記有機ケイ素化合物はケイ素原子と塩素原子とが結合した構造を有することが好ましい。
【0020】
上記有機ケイ素化合物は式(5):
3 n-Si-X2 (4-n) (5)
[式(5)中、R3は置換基を有していてもよい炭化水素基、X2はハロゲン原子、nは1~3の整数であり、nが2または3である場合のn個のR3は同一であってもよく異なっていてもよく、4-nが2または3である場合の4-n個のX2は同一であってもよく異なっていてもよい]
で表される化合物を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本開示の製造方法によれば、温和な製法条件で簡便で効率的に、且つ高収率でトリアジン化合物(特に、相異なる二種以上のトリアジン化合物)を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示のトリアジン化合物の製造方法は、第5族金属化合物を含む触媒、アンモニウム塩、および、ケイ素原子にハロゲン原子が直接結合した有機ケイ素化合物の存在下、下記式(1)で表されるニトリル化合物および下記式(2)で表されるトリハライド化合物を反応させることを含む、少なくとも下記式(3)または下記式(4)のいずれかで表されるトリアジン化合物を製造する方法である。すなわち、上記製造方法によれば、下記式(3)で表される化合物および下記式(4)で表される化合物のうちの少なくともいずれか一方を製造することができる。上記反応は、さらに上記第5族金属化合物以外のハロゲン化金属化合物の存在下で行うことが好ましい。
【0023】
1-CN (1)
[式(1)中、R1は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基である]
2-CX1 3 (2)
[式(2)中、R2は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、そして、X1は、ハロゲン原子である]
【化1】
[式(3)および式(4)中、R1およびR2は、上記に定義する通りである]
【0024】
(ニトリル化合物)
上記ニトリル化合物は、反応基質として使用される化合物であり、下記式(1)で表される。上記ニトリル化合物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
1-CN (1)
[式(1)中、R1は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基である]
【0025】
上記R1におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の炭素数5~14の芳香族炭化水素基が挙げられる。中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましく、より好ましくはフェニル基である。
【0026】
上記R1におけるヘテロアリール基中のヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。上記ヘテロアリール基は一種のヘテロ原子を有していてもよいし、二種以上のヘテロ原子を有していてもよい。また、上記ヘテロアリール基中のヘテロ原子の数は1つのみであってもよいし2以上であってもよい。
【0027】
上記ヘテロアリール基としては、5員環式ヘテロアリール基、6員環式ヘテロアリール基などが挙げられる。5員環式ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基などが挙げられる。6員環式ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基などが挙げられる。
【0028】
上記R1におけるアリール基およびヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、上記交差環化反応を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)や、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等の一価の有機基など挙げられる。また、上記一価の有機基は、ハロゲン化アルキル基、シアノアルキル基等、置換基を有する一価の有機基であってもよい。上記置換基における一価の有機基の炭素数は、1~6が好ましく、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3、特に好ましくは1~2である。
【0029】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、2-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基が好ましい。上記アルキル基は置換基を有していてもよい。
【0030】
上記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、1-フルオロメチル基、1-クロロメチル基、1,1-ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられる。上記ハロゲン化アルキル基は、部分的にハロゲン化されたアルキル基であってもよく、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基であってもよい。
【0031】
上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3~7のシクロアルキル基が挙げられる。中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~6のシクロアルキル基が好ましい。
【0032】
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2-プロポキシ基、n-ブトキシ基、s-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基等の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。
【0033】
アリール基およびヘテロアリール基が有していてもよい置換基の数は特に限定されず、1個、2個、3個以上のいずれであってもよいが、1個が好ましい。また、上記アリール基がフェニル基である場合の上記置換基の位置は特に限定されないが、シアノ基(ニトリル基)に対してオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、中でもパラ位にあることが好ましい。
【0034】
上記ニトリル化合物における、アリール基またはヘテロアリール基に直接結合したシアノ基の数は、特に限定されず、1個であってもよく2個以上であってもよい。
【0035】
1の一実施形態としては、置換基を有していてもよいアリール基であって、アリール基がフェニル基またはナフチル基であり、置換基が、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~6のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である基が挙げられる。
【0036】
1の他の一実施形態としては、置換基を有していてもよいフェニル基であって、置換基が、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である基が挙げられる。
【0037】
1のさらに他の一実施形態としては、置換基を有していてもよいフェニル基であって、置換基が、ハロゲン原子または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基である基が挙げられる。
【0038】
1のさらに他の一実施形態としては、置換基を有していてもよいフェニル基であって、置換基が、フッ素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、メトキシ基、またはエトキシ基(好ましくはフッ素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、より好ましくはフッ素原子またはメチル基)である基が挙げられる。
【0039】
上記ニトリル化合物は、具体的には、ベンゾニトリル、メチルベンゾニトリル(トルニトリル)、フルオロベンゾニトリル、クロロベンゾニトリル、トリフルオロメチルベンゾニトリル、アニソニトリルなどが挙げられる。上記ニトリル化合物としては、中でも、ベンゾニトリル、4-メチルベンゾニトリル、3-メチルベンゾニトリル、4-アニソニトリル、4-クロロベンゾニトリル、4-フルオロベンゾニトリル、4-トリフルオロメチルベンゾニトリルが好ましい。
【0040】
(トリハライド化合物)
上記トリハライド化合物は、反応基質として使用される化合物であり、下記式(2)で表される。上記トリハライド化合物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
2-CX1 3 (2)
[式(2)中、R2は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、そして、X1は、ハロゲン原子である]
【0041】
上記R2におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の炭素数5~14の芳香族炭化水素基が挙げられる。中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましく、より好ましくはフェニル基である。
【0042】
上記R2におけるヘテロアリール基中のヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられる。上記ヘテロアリール基は一種のヘテロ原子を有していてもよいし、二種以上のヘテロ原子を有していてもよい。また、上記ヘテロアリール基中のヘテロ原子の数は1つのみであってもよいし2以上であってもよい。
【0043】
上記ヘテロアリール基としては、5員環式ヘテロアリール基、6員環式ヘテロアリール基などが挙げられる。5員環式ヘテロアリール基としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基などが挙げられる。6員環式ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基などが挙げられる。
【0044】
上記R2におけるアリール基およびヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、上記交差環化反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、上述のR1におけるアリール基およびヘテロアリール基が有していてもよい置換基として例示および説明されたもののうち、トリハロメチル基に該当する基以外の基が挙げられる。上記置換基における一価の有機基の炭素数は、1~6が好ましく、より好ましくは1~4、さらに好ましくは1~3、特に好ましくは1~2である。
【0045】
アリール基およびヘテロアリール基が有していてもよい置換基の数は特に限定されず、1個、2個、3個以上のいずれであってもよいが、1個が好ましい。また、上記アリール基がフェニル基である場合の上記置換基の位置は特に限定されないが、トリハロメチル基(-CX1 3)に対してオルト位、メタ位、パラ位のいずれであってもよく、中でもパラ位にあることが好ましい。
【0046】
上記トリハライド化合物における、アリール基またはヘテロアリール基に直接結合したトリハロメチル基(-CX1 3)の数は、1個であってもよく2個以上であってもよい。上記トリハロメチル基が2個以上である場合、2個以上のトリハロメチル基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0047】
1は、ハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。中でも、フッ素原子、塩素原子が好ましく、より好ましくはフッ素原子である。
【0048】
2の一実施形態としては、置換基を有していてもよいアリール基であって、アリール基がフェニル基またはナフチル基であり、置換基が、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数3~6のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である基が挙げられる。中でも、置換基を有していてもよいアリール基であって、アリール基がフェニル基またはナフチル基であり、置換基が、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数3~6のシクロアルキル基が好ましい。
【0049】
2の他の一実施形態としては、置換基を有していてもよいフェニル基であって、置換基が置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基である基が挙げられる。
【0050】
2のさらに他の一実施形態としては、置換基を有していてもよいフェニル基であって、置換基が、フッ素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基(好ましくはフッ素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、より好ましくはフッ素原子、ヨウ素原子、またはメチル基)である基が挙げられる。
【0051】
上記トリハライド化合物の好ましい一実施形態としては、R2は置換基を有していてもよいフェニル基であって、X1はフッ素原子、塩素原子、またはヨウ素原子(好ましくはフッ素原子またはヨウ素原子)である化合物が挙げられる。
【0052】
上記トリハライド化合物は、具体的には、ベンゾトリフルオリド、ベンゾトリクロリド、2-メチルベンゾトリフルオリド(「2-トリフルオロトルエン」とも称する)、2-メチルベンゾトリクロリド、3-メチルベンゾトリフルオリド(「3-トリフルオロトルエン」とも称する)、3-メチルベンゾトリクロリド、4-メチルベンゾトリフルオリド(「4-トリフルオロトルエン」とも称する)、4-メチルベンゾトリクロリド、3-メトキシベンゾトリフルオリド、3-メトキシベンゾトリクロリド、4-メトキシベンゾトリフルオリド、4-メトキシベンゾトリクロリド、4-ヨードベンゾトリフルオリド、4-ヨードベンゾトリクロリドなどが挙げられる。上記トリハライド化合物としては、中でも、ベンゾトリフルオリド、2-メチルベンゾトリフルオリド、3-メチルベンゾトリフルオリド、4-メチルベンゾトリフルオリド、4-ヨードベンゾトリフルオリドが好ましい。
【0053】
なお、上記ニトリル化合物および上記トリハライド化合物はそれぞれ一種以上使用される。例えば上記ニトリル化合物がアリール基またはヘテロアリール基の置換基としてトリフルオロメチル基等のトリハロメチル基を有する場合であっても、シアノ基を有しない上記トリハライド化合物を別途使用する。すなわち、上記式(2)で表されるトリハライド化合物はシアノ基を有しない。よって、トリハロメチル基を有する上記ニトリル化合物は上記式(1)で表されるニトリル化合物に該当し、上記式(2)で表されるトリハライド化合物には該当しない。
【0054】
1およびR2は各々独立して、1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいナフチル基であって、上記置換基が、ハロゲン原子、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルキル基、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数3~6個のシクロアルキル基、および1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルコキシ基からなる群から選ばれることが好ましい。
【0055】
上記R1および上記R2は同一であってもよく異なっていてもよいが、上記交差環化反応の有用性を活用する観点から、異なることが好ましい。R1およびR2の少なくとも一方(好ましくは両方)は、置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である。また、R1およびR2の一方はフェニル基であることが好ましい。
【0056】
(第5族金属化合物)
上記第5族金属化合物は、周期表中の第5族元素(ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、またはバナジウム(V))の少なくとも1つの金属を含む化合物である。上記第5族金属化合物は、上記製造方法において、ニトリル化合物とトリハライド化合物との交差環化反応によるトリアジン化合物の生成のための触媒として作用すると考えられる。第5族金属としては、中でも、ニオブ、タンタルが好ましい。ニオブの場合、上記トリアジン化合物の合計収率がより高くなる傾向がある。タンタルの場合、式(3)で表されるトリアジン化合物の生成比率がより高くなる傾向がある。上記第5族金属化合物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0057】
上記第5族金属化合物としては、ハロゲン化物が好ましく、より好ましくは塩化物である。具体的には、五塩化ニオブ(NbCl5)、五臭化ニオブ(NbBr5)、五フッ化ニオブ(NbF5)、五塩化タンタル(TaCl5)などが挙げられる。中でも、五塩化ニオブ、五塩化タンタルが好ましい。
【0058】
(アンモニウム塩)
上記アンモニウム塩は、アンモニアと任意の酸を反応させて得られる塩の形態を有する。上記アンモニウム塩は、上記製造方法において窒素源として存在し、目的とする生成物であるトリアジン化合物の構成要素を成していると考えられる。上記アンモニウム塩は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0059】
上記アンモニウム塩としては、有機アンモニウム塩および無機アンモニウム塩が挙げられる。上記アンモニウム塩としては、具体的には、酢酸アンモニウム(NH4OAc)等のカルボン酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム(NH4OCONH2)、アミド硫酸アンモニウム(NH4OSO2NH2)、ハロゲン化アンモニウム(フッ化アンモニウム(NH4F)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、臭化アンモニウム(NH4Br)、ヨウ化アンモニウム(NH4I))などが挙げられる。中でも、カルボン酸アンモニウム、ハロゲン化アンモニウムが好ましく、より好ましくは、酢酸アンモニウム、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、さらに好ましくは酢酸アンモニウム、フッ化アンモニウムである。フッ化アンモニウムの場合、上記トリアジン化合物の合計収率がより高くなる傾向がある。カルボン酸アンモニウム(特に酢酸アンモニウム)の場合、式(3)で表されるトリアジン化合物の生成比率がより高くなる傾向がある。
【0060】
(有機ケイ素化合物)
上記有機ケイ素化合物は、ケイ素原子にハロゲン原子が直接結合した構造を有する。上記有機ケイ素化合物の存在下で上記反応を行うことにより上記トリアジン化合物の収率を向上させることができる。上記有機ケイ素化合物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0061】
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。中でも、フッ素原子、塩素原子が好ましく、より好ましくは塩素原子である。1個のケイ素原子に直接結合するハロゲン原子の数は、1~3個であり、1個または2個が好ましい。
【0062】
上記有機ケイ素化合物は、ケイ素原子に一価の有機基が直接結合した構造を有する。上記一価の有機基としては、例えば、一価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基等);一価の脂環式炭化水素基(例えば、シクロヘキシル基等);一価の芳香族炭化水素基(例えば、アリール基等);一価の複素環式基;脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、および芳香族炭化水素基の2以上が結合して形成された一価の基等が挙げられる。また、上記一価の有機基としては、上記一価の基が酸素原子等のヘテロ原子を含む連結基を介してケイ素原子に直接結合した基が挙げられる。このような基としては、アルコキシ基等の上記一価の基が酸素原子を介して結合した基、カルボキシ基等の上記一価の基がエステル結合を介して結合した基、ホルミル基等の上記一価の基がカルボニル基を介して結合した基などが挙げられる。なお、上記一価の有機基は置換基を有していてもよい。上記有機ケイ素化合物が上記一価の有機基を2個以上有する場合、2個以上の上記一価の有機基は、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0063】
上記一価の有機基は、置換基を有していてもよい炭化水素基が好ましい。すなわち、上記有機ケイ素化合物は下記式(5)で表される化合物が好ましい。
3 n-Si-X2 (4-n) (5)
[式(5)中、R3は一価の有機基、X2はハロゲン原子、nは1~3の整数であり、nが2または3である場合のn個のR3は同一であってもよく異なっていてもよく、4-nが2または3である場合の4-n個のX2は同一であってもよく異なっていてもよい]
【0064】
R3における一価の有機基としては、上述の一価の有機基が挙げられる。R3は、置換基を有していてもよい炭化水素基が好ましい。R3における炭化水素基としては、上記一価の脂肪族炭化水素基、上記一価の脂環式炭化水素基、上記一価の脂肪族炭化水素基、これらのうちの2以上が結合して形成された一価の基が挙げられる。上記一価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基等の直鎖または分岐鎖状のC1-20アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-4アルキル基)などが挙げられる。上記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等の直鎖または分岐鎖状のC2-6アルケニル基(好ましくはC2-5アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基)などが挙げられる。上記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等の直鎖または分岐鎖状のC2-20アルキニル基(好ましくはC2-10アルキニル基、さらに好ましくはC2-4アルキニル基)などが挙げられる。
【0065】
上記一価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等のC3-12のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12のシクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル基、ビシクロヘプテニル基等のC4-15の架橋環式炭化水素基などが挙げられる。
【0066】
上記一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のC6-14アリール基(特に、C6-10アリール基)などが挙げられる。
【0067】
また、脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基として、ベンジル基は、フェネチル基等のC7-18アラルキル基(特に、C7-10アラルキル基)、シンナミル基等のC6-10アリール-C2-6アルケニル基、トリル基等のC1-4アルキル置換アリール基、スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基などが挙げられる。
【0068】
上記一価の炭化水素基としては、中でも、一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基が好ましい。上記一価の脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基が好ましく、より好ましくはアルキル基。さらに好ましくはC1-10アルキル基、特に好ましくはC1-4アルキル基である。上記一価の芳香族炭化水素基としては、C6-14アリール基が好ましく、より好ましくはC6-10アリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
【0069】
上記一価の有機基は置換基を有していてもよい。上記一価の有機基が有していてもよい上記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のアルコキシ基(特に、C1-6アルコキシ基);アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基(特に、C2-6アルケニルオキシ基);アリールオキシ基(特に、C6-14アリールオキシ基);ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基(特に、C7-18アラルキルオキシ基);アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(特に、C1-12アシルオキシ基);メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基(特に、C1-6アルキルチオ基);アリルチオ基等のアルケニルチオ基(特に、C2-6アルケニルチオ基);フェニルチオ基、トリルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基(特に、C6-14アリールチオ基);ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基(特に、C7-18アラルキルチオ基);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(特に、C1-6アルコキシ-カルボニル基);フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(特に、C6-14アリールオキシ-カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-18アラルキルオキシ-カルボニル基);アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノまたはジアルキルアミノ基(特に、モノまたはジ-C1-6アルキルアミノ基);アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基(特に、C1-11アシルアミノ基);エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、シクロヘキセンオキシド基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;オキソ基;これらの2以上が必要に応じてC1-6アルキレン基を介して結合した基などが挙げられる。
【0070】
nは1~3の整数であり、2または3が好ましく、より好ましくは3である。nが2または3である場合のn個のR3は同一であってもよく異なっていてもよい。
【0071】
2はハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。中でも、フッ素原子、塩素原子が好ましく、より好ましくは塩素原子である。4-nはnの値によって定まる1~3の整数であり、4-nが2または3である場合、4-n個のX2は、同一であってもよく異なっていてもよい。
【0072】
上記有機ケイ素化合物としては、具体的には、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロトリプロピルシラン、クロロトリブチルシラン、クロロトリビニルシラン、クロロトリアリルシラン、クロロトリブテニルシラン、クロロトリプロパルギルシラン、クロロトリフェニルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロジプロピルシラン、ジクロロジブチルシラン、ジクロロジビニルシラン、ジクロロジアリルシラン、ジクロロジブテニルシラン、ジクロロジアセチニルシラン、ジクロロジプロパルギルシラン、ジクロロジフェニルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロエチルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロブチルシラン、トリクロロビニルシラン、トリクロロアリルシラン、トリクロロブテニルシラン、トリクロロプロパルギルシラン、トリクロロフェニルシランなどが挙げられる。
【0073】
また、上記有機ケイ素化合物としては、さらに、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、ブトキシトリクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、ホルミルトリクロロシラン、アセトキシトリクロロシラン、プロピルオキシトリクロロシラン、フェニルカルボキシトリクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジブトキシジクロロシラン、ジフェノキシジクロロシラン、ジホルミルジクロロシラン、ジアセトキシジクロロシラン、ジプロピルオキシジクロロシラン、ジフェニルカルボキシジクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリブトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、トリホルミルクロロシラン、トリアセトキシクロロシラン、トリプロピルオキシクロロシラン、トリフェニルカルボキシクロロシランなどが挙げられる。
【0074】
(ハロゲン化金属化合物)
上記ハロゲン化金属化合物は、第5族金属以外の任意の金属のハロゲン化物(フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物)である。中でも、塩化物が好ましい。上記ハロゲン化金属化合物は、上記製造方法において、第5族金属化合物の触媒サイクルを効率よく回すのに作用すると考えられ、適宜、上記製造方法における反応系中に添加される。上記ハロゲン化金属化合物は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0075】
上記ハロゲン化金属化合物における金属としては、中でも、具体的には、第4族金属~第13族金属(すなわち、第4族金属、第6族金属、第7族金属、第8族金属、第9族金属、第10族金属、第11族金属、第12族金属、および第13族金属)から選ばれる少なくとも1つの金属が好ましく、より好ましくは第6族金属~第13族金属、さらに好ましくは第6族金属~第10族金属、特に好ましくは第8族金属である。上記ハロゲン化金属化合物としては、具体的には、塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化ジルコニウム(ZrCl4)、三フッ化鉄(FeF3)、塩化鉄(II)(FeCl2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、臭化鉄(III)(FeBr3)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化ニッケル(NiCl2)、塩化銅(CuCl2)、塩化亜鉛(ZnCl2)、臭化亜鉛(ZnBr2)、塩化ルテニウム(RuCl3)などが挙げられる。中でも、鉄の塩化物が好ましく、より好ましくは塩化鉄(III)である。
【0076】
上記製造方法の一実施形態において、上記反応は、上記第5族金属化合物が五塩化ニオブまたは五塩化タンタルを含み、上記アンモニウム塩がハロゲン化アンモニウムまたはカルボン酸アンモニウム(好ましくはフッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、または酢酸アンモニウム)を含み、上記有機ケイ素化合物がメチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、またはジメチルジクロロシランを含み、必要に応じて上記ハロゲン化金属化合物が塩化鉄(III)である反応系中で実施する。
【0077】
(トリアジン化合物)
上記製造方法で生成される生成物としてのトリアジン化合物は、少なくとも下記式(3)で表される化合物または下記式(4)で表される化合物のいずれかである。
【化1】
[式(3)および式(4)中、R1およびR2は、上記に定義する通りである]
【0078】
上記式(3)で表されるトリアジン化合物は、そのトリアジン環における環内炭素原子上の3つの置換基のうち、2つの置換基が上記ニトリル化合物に由来する基R1であり、残りの1つの置換基が上記トリハライド化合物に由来する基R2である。一方で、上記式(4)で表されるトリアジン化合物は、そのトリアジン環における環内炭素原子上の3つの置換基のうち、2つの置換基が上記トリハライド化合物に由来する基R2であり、残りの1つの置換基が上記ニトリル化合物に由来する基R1である。
【0079】
上記式(3)で表されるトリアジン化合物および上記式(4)で表されるトリアジン化合物の合計収率および生成比率は、分光学的分析法(核磁気共鳴スペクトル法(例えば、1H-NMR)、量スペクトル法(MS))またはクロマトグラフィー分析法(例えば、液体クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィー)の解析により決定し得るが、これらの方法に限定されるものではない。例えば、収率は単離収率であってもよい。
【0080】
また、上記式(3)で表されるトリアジン化合物および上記式(4)で表されるトリアジン化合物の具体例としては、例えば、以下のトリアジン化合物などが挙げられる。
2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(2-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ビス(4-トリル)-6-(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2-(4-トリル)-4,6-ビス(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ビス(4-トリル)-6-(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-(4-トリル)-4,6-ビス(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ビス(3-トリル)-6-(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-(3-トリル)-4,6-ビス(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジン
【0081】
(製造方法)
上記製造方法を以下に詳しく説明する。
【化2】
【0082】
本開示の製造方法は、上記反応式に従って、上記第5族金属化合物を含む触媒、上記アンモニウム塩、および上記有機ケイ素化合物、さらに必要に応じて上記ハロゲン化金属化合物の存在下、上記ニトリル化合物と上記トリハライド化合物とを反応(交差環化反応)させることにより、上記式(3)および/または上記式(4)で表されるトリアジン化合物を製造することができる。
【0083】
上記第5族金属化合物、上記有機ケイ素化合物、上記アンモニウム塩、上記ニトリル化合物、上記ハロゲン化金属化合物、および上記トリハライド化合物は、いずれも市販品を使用してもよく、公知乃至慣用の方法により製造したものを使用してもよい。
【0084】
上記トリハライド化合物の使用量は、上記ニトリル化合物の配合量基準で、例えば0.1~110.0倍モル当量であり、好ましくは0.5~12.0倍モル当量、より好ましくは0.5~5.0倍モル当量、さらに好ましくは1.0~3.0倍モル当量である。
【0085】
上記ニトリル化合物の使用量は、上記トリハライド化合物の配合量基準で、例えば0.01~10.0倍モル当量であり、好ましくは0.1~2.0倍モル当量、より好ましくは0.2~1.0倍モル当量である。
【0086】
上記第5族金属化合物の使用量は、上記ニトリル化合物の配合量基準で、触媒量~当量で使用することができる。具体的には、上記ニトリル化合物の配合量基準で、例えば0.5~100%モル当量、好ましくは5~50%モル当量、より好ましくは10%モル当量以上(例えば、10~30%モル当量、具体的には20%モル当量)である。
【0087】
上記アンモニウム塩の使用量は、上記ニトリル化合物の配合量基準で、触媒量~当量で使用することができる。具体的には、上記ニトリル化合物の配合量基準で、例えば0.5~100%モル当量、好ましくは5~80%モル当量、より好ましくは10%モル当量以上(例えば10~60%モル当量)である。
【0088】
上記有機ケイ素化合物の使用量は、上記ニトリル化合物の配合量基準で、例えば0.1~10.0倍モル当量であり、好ましくは0.5~5.0倍モル当量、より好ましくは1.0~3.5倍モル当量、さらに好ましくは1.8~3.0倍モル当量である。上記範囲内であると、目的とする生成物の収率がより向上する傾向がある。
【0089】
上記有機ケイ素化合物の使用量は、上記第5族金属化合物の使用量基準で、例えば1.0~20.0倍モル当量であり、好ましくは4.0~18倍モル当量、より好ましくは9.0~15.0倍モル当量である。上記範囲内であると、目的とする生成物の収率がより向上する傾向がある。
【0090】
上記ハロゲン化金属化合物の使用量は、上記ニトリル化合物の配合量基準で触媒量~当量であってもよい。具体的には、上記ニトリル化合物の配合量基準で、例えば0.5~100%モル当量、好ましくは5~50%モル当量、より好ましくは10%モル当量以上(例えば、10~40%モル当量、具体的には30%モル当量)である。上記ハロゲン化金属化合物の使用量は、上記第5族金属化合物の使用量基準で、触媒量~過剰量(例えば、0.1~10.0倍モル当量、好ましくは0.2~3.0倍モル当量)である。具体的には、例えば、上記第5族金属化合物の配合量基準で、例えば0.2~5.0倍モル当量、好ましくは0.2~3.0倍モル当量、より好ましくは1.0~1.5倍モル当量(例えば、1.0倍モル当量)である。
【0091】
上記各成分、例えば、上記第5族金属化合物を含む触媒、上記アンモニウム塩、上記有機ケイ素化合物、上記ハロゲン化金属化合物、上記ニトリル化合物、上記トリハライド化合物、上記有機溶媒、およびその他の成分は、初期にすべて混合して反応させてもよいし、適宜の段階で投入してもよい。また、各成分は、初期(反応開始時)に全量投入しておいてもよいし、反応途中の適宜の段階で全量投入してもよく、複数の段階に分けて投入してもよい。複数の段階に分けて投入する場合、初期および反応途中に投入することが挙げられる。上記反応開始時は、上記第5族金属化合物、上記アンモニウム塩、上記有機ケイ素化合物、上記ニトリル化合物、および上記トリハライド化合物(上記ハロゲン化金属化合物を使用する際はさらにハロゲン化金属化合物)が系中に同時に存在することとなった最初の時点である。上記反応途中は、上記反応開始時から上記反応の終了後までの間の任意の時点である。
【0092】
特に、目的とするトリアジン化合物の収率をより向上させる観点から、上記有機ケイ素化合物を、複数の段階に分けて投入することが好ましく、少なくとも反応開始時および反応後期に投入することが特に好ましい。上記反応後期は、反応開始時から反応終了までの時間のうちの後半であり、反応開始時から反応終了までの時間を反応時間100%とした際、反応時間50%以上100%未満の段階である。上記有機ケイ素化合物を投入する場合の上記反応後半は、好ましくは反応時間50~90%であり、より好ましくは反応時間55~80%である。また、上記有機ケイ素化合物を、複数の段階に分けて投入する場合、反応開始時の上記有機ケイ素化合物の投入割合は、上記反応において使用する有機ケイ素化合物の総量(100質量%)に対して、10~90質量%が好ましく、より好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは40~60質量%である。また、反応後期に投入する上記有機ケイ素化合物の総量は、上記反応において使用する有機ケイ素化合物の総量(100質量%)に対して、10~90質量%が好ましく、より好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは40~60質量%である。
【0093】
上記反応は、反応基質として使用する上記トリハライド化合物が溶媒として作用し得、無溶媒下で行うことができる。あるいは、一種以上の反応溶媒中で行うこともできる。使用する反応溶媒としては、上記製造方法における交差環化反応を阻害しない限り、特に限定されないが、配位性でない極性溶媒中で行うことができ、例えばハロゲン化極性溶媒中で行うことができる。ハロゲン化極性溶媒としては例えばクロロホルムが挙げられる。
【0094】
上記反応は、常温(例えば、室温)から、高温(例えば、使用する反応溶媒の沸点)で行うことができる。例えば40~150℃であり、好ましくは60~130℃、より好ましくは80~120℃である。
【0095】
上記反応は、空気雰囲気下で行ってもよく、不活性気体(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム)の雰囲気下で行ってもよい。上記反応は、常圧から加圧容器(例えば、市販のステンレス加圧容器)中での加圧条件下で行なうことができ、通常常圧で行なう。また、上記反応の時間は、反応基質、反応試薬、使用する溶媒、反応温度などの反応条件に応じて適宜設定でき、例えば、数時間~数日間で完結し、通常2時間~72時間が好ましく、より好ましくは6時間~48時間である。
【実施例0096】
以下に実施例を挙げて本開示の発明をより詳細に説明するが、本開示の発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、化合物の確認、反応収率、および生成比率は、質量スペクトル(MS)法による解析により行った。反応収率は、当該反応液に内部基準物質としてヘキサデカン(40mg)を加えてガスクロマトグラフィーを用いた定量測定により、原料であるニトリル化合物の配合量に基づいて算出した。各例における各成分の添加量および目的とするトリアジン化合物(上記式(3)で表されるトリアジン化合物および上記式(4)で表されるトリアジン化合物)の合計収率(モル%)および生成比率(モル%)は表に示すとおりである。なお、表に示す有機ケイ素化合物の添加量については、「初期」は100℃への昇温開始前の添加量であり、「途中」は反応開始から16時間経過後における添加量を示す。
【0097】
なお、表2に示す収率のうち、実施例16および比較例9以外の例の収率については、以下の単離方法によって単離して得られた各生成物の、原料であるニトリル化合物の配合量に対する単離収率(モル%)である。
[単離方法]
反応液にTHFおよびヒューニッヒ塩基を添加して反応を停止させた後の溶液を、エバポレーターを用いて、温度40℃、圧力100hPaで減圧乾固し、その後クロロホルム10mLおよびシリカゲル2gを添加し、さらにエバポレーターを用いて温度40℃、圧力100hPaで減圧乾固し、生成物を担持したシリカを調製した。
上記生成物を担持したシリカについて、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:ヘキサン=2:3)を行い、生成物二種類の混合物を含む溶液を取り出した。上記溶液を、エバポレーターを用いて、温度40℃、圧力60hPaで減圧乾固し、その後クロロホルムに溶解させてから、下記の分取GPC(流量:10mL/min、溶媒:クロロホルム)を用いて、二種類の生成物を分離した。分離した溶液を、エバポレーターを用いて、温度40℃、圧力100hPaで減圧乾固し、各生成物を単離した。
(分取GPC)
商品名「LaboACE LC-5060」、日本分析工業株式会社製
カラム:スチレン系ポリマー(商品名「JAIGEL-HR」、日本分析工業株式会社製)
示差屈折計:商品名「RI-700LA」、日本分析工業株式会社製
紫外可視検出器:商品名「UV-254LA」、日本分析工業株式会社製
【0098】
実施例1
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
アルゴン雰囲気下、枝付きシュレンク管に、五塩化ニオブ(NbCl5)およびフッ化アンモニウム(NH4F)を加えた後、p-トルニトリル、ベンゾトリフルオリド(TFT)、およびクロロトリメチルシラン(TMSCl)を加えた。その後、100℃で反応開始した。24時間後、シュレンク管を冷却し、THFを10mL、およびヒューニッヒ塩基を3mL加えて反応を停止させて、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 323(100),103(61),324(23)
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 117(100),337(56),118(24)
【0099】
比較例1
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
TMSClを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0100】
実施例2
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
五塩化ニオブ(NbCl5)、フッ化アンモニウム(NH4F)、および塩化鉄(III)(FeCl3)を加えた後、p-トルニトリル、ベンゾトリフルオリド(TFT)、およびクロロトリメチルシラン(TMSCl)を加えた。その後、100℃で反応開始した。24時間後、シュレンク管を冷却し、THFを10mL、およびヒューニッヒ塩基を3mL加えて反応を停止させて、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0101】
比較例2
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
TMSClを添加しなかったこと以外は実施例2と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0102】
実施例3
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
五塩化ニオブ(NbCl5)、フッ化アンモニウム(NH4F)、および塩化鉄(III)(FeCl3)を加えた後、p-トルニトリル、ベンゾトリフルオリド(TFT)、およびクロロトリメチルシラン(TMSCl)を加えた。その後、100℃で反応開始した。16時間経過後、残りのTMSClを添加した。8時間後、シュレンク管を冷却し、THFを10mL、およびヒューニッヒ塩基を3mL加えて反応を停止させて、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0103】
実施例4~12
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
添加した各成分について表1に示すように配合成分または配合量を変更したこと以外は実施例2または3と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0104】
比較例3~5
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
添加した各成分について表1に示すように配合成分または配合量を変更したこと以外は比較例2と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0105】
実施例13
(2,4-ジフェニル-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
p-トルニトリルに代えてp-アニソニトリル(4-メトキシベンゾニトリル)を使用したこと以外は実施例3と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 339(100),133(81),103(70)
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 133(100),369(78),137(20)
【0106】
比較例6
(2,4-ジフェニル-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
TMSClを添加しなかったこと以外は実施例13と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0107】
実施例14
(2,4-ジフェニル-6-(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
p-トルニトリルに代えてp-クロロベンゾニトリルを使用したこと以外は実施例3と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 137(100),103(81),343(51)
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 137(100),103(88),343(51)
【0108】
比較例7
(2,4-ジフェニル-6-(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
TMSClを添加しなかったこと以外は実施例14と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-クロロフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0109】
実施例15
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
p-トルニトリルに代えてp-トリフルオロメチルベンゾニトリルを使用したこと以外は実施例3と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 103(100),377(34),76(11)
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 103(100),445(45),171(32)
【0110】
比較例8
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
TMSClを添加しなかったこと以外は実施例15と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリフルオロメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0111】
実施例16
(2,4-ジフェニル-6-(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
五塩化ニオブ(NbCl5)、フッ化アンモニウム(NH4F)、および塩化鉄(III)(FeCl3)を加えた後、ベンゾニトリル、4-ヨードベンゾトリフルオリド、およびクロロトリメチルシラン(TMSCl)を加えた。その後、100℃で反応開始した。16時間経過後、残りのTMSClを添加した。8時間後、シュレンク管を冷却し、THFを10mL、およびヒューニッヒ塩基を3mL加えて反応を停止させて、2,4-ジフェニル-6-(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
2,4-ジフェニル-6-(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジンのピークは下記の通りであることがGC-MSにより同定できた。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 103(100),435(88),229(72)
一方、2-フェニル-4,6-ビス(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジンについては、それと思われるピークがGCスペクトルにおいて確認されたが、GC-MSでは測定時間を延ばしてもそれと思われるピークを確認することができなかった。但し、GCスペクトルにて当該生成物と思われるピークが確認できたこと、および他の実施例においてGC-MSにより当該生成物に対応する生成物を確認できていることから、2-フェニル-4,6-ビス(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジンが生成していると当然に推測された。
【0112】
比較例9
(2,4-ジフェニル-6-(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
TMSClを添加しなかったこと以外は実施例16と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-ヨードフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0113】
実施例17
(2,4-ジフェニル-6-(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジンの合成)
p-トリフルオロメチルベンゾニトリルに代えてp-フルオロベンゾニトリルを使用したこと以外は実施例15と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-フルオロフェニル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 103(100),121(57),327(46)
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 121(100),103(43),345(37)
【0114】
実施例18
(2,4-ジフェニル-6-(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(3-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
p-フルオロベンゾニトリルに代えてm-トルニトリルを使用したこと以外は実施例17と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(3-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 117(100),323(74),103(64)
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 117(100),337(56),90(20)
【0115】
実施例19
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
添加した各成分について表2に示すように配合量を変更したこと以外は実施例3と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0116】
実施例20
(2,4-ジフェニル-6-(2-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
4-ヨードベンゾトリフルオリドに代えてo-メチルベンゾトリフルオリドを使用したこと以外は実施例16と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(2-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
GC-MS (EI) m/z (relative intensity): 117(100),323(89),104(60)
【0117】
実施例21
(2,4-ジフェニル-6-(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(3-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
p-トリフルオロメチルベンゾニトリルに代えてベンゾニトリルを使用し、TFTに代えてm-メチルベンゾトリフルオリドを使用したこと以外は実施例15と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(3-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(3-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0118】
実施例22
(2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンの合成)
4-ヨードベンゾトリフルオリドに代えてp-メチルベンゾトリフルオリドを使用したこと以外は実施例16と同様にして反応を行い、2,4-ジフェニル-6-(4-トリル)-1,3,5-トリアジン、および、2-フェニル-4,6-ビス(4-トリル)-1,3,5-トリアジンを生成物として含む反応液を得た。
【0119】
実施例および比較例で使用した、表1および表2に示す成分の詳細は以下の通りである。
TFT:ベンゾトリフルオリド
NbCl5:五塩化ニオブ
TaCl5:五塩化タンタル
FeCl3:酸化鉄(III)
NH4F:フッ化アンモニウム
NH4Cl:塩化アンモニウム
NH4OAc:酢酸アンモニウム
TMSCl:クロロトリメチルシラン
Me2SiCl2:ジクロロジメチルシラン
Bu3SiCl:クロロトリブチルシラン
Ph3SiCl:クロロトリフェニルシラン
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
表1に示すように、実施例1と比較例1との対比によれば、クロロトリメチルシランの存在下での反応は、クロロトリメチルシランを使用しない場合に比べて、目的とするトリアジン化合物の収率は高かった。また、塩化鉄(III)の存在下でも同様の傾向が確認でき(実施例2、比較例2)、クロロトリメチルシランおよび塩化鉄(III)の両存在下では目的とするトリアジン化合物の収率はさらに高かった(実施例2)。さらに、反応の途中段階でクロロトリメチルシランを添加した場合、目的とするトリアジン化合物の収率はさらに高くなった(実施例3)。
【0123】
有機ケイ素化合物として、ジクロロジメチルシラン、クロロトリブチルシラン、またはクロロトリフェニルシランを使用した場合でも、クロロトリメチルシランを使用した実施例2と同様に、有機ケイ素化合物を使用しなかった場合に対して目的とするトリアジン化合物の収率は高かった(実施例4~6、比較例2)。また、第5族金属化合物として五塩化タンタルを使用した場合でも、五塩化ニオブを使用した実施例2および比較例2の対比と同様に、目的とするトリアジン化合物の収率は高かった(実施例10、比較例3)。また、第5族金属化合物として五塩化タンタルを使用した場合、式(3)で表される化合物に相当するトリアジン化合物の収率が極めて高かった(実施例10)。
【0124】
アンモニウム塩として塩化アンモニウムまたは酢酸アンモニウムを使用した場合でも、フッ化アンモニウムを使用した実施例3および比較例2の対比と同様に、目的とするトリアジン化合物の収率は高かった(実施例11~12、比較例4~5)。特に、アンモニウム塩として酢酸アンモニウムを使用した場合、式(3)で表される化合物に相当するトリアジン化合物の収率が極めて高かった(実施例12)。さらに、ニトリル化合物としてp-アニソニトリルまたはp-クロロベンゾニトリルを使用した場合であっても同様の結果が得られた(実施例13~14、比較例6~7)。このように、本開示の製造方法によれば、温和な製法条件で簡便で効率的に、且つ高収率で、相異なる二種以上のトリアジン化合物を製造することができたことが示された。
【0125】
また、表2に示すように、実施例15と比較例8との対比、および、実施例16と比較例9との対比によれば、クロロトリメチルシランの存在下での反応は、クロロトリメチルシランを使用しない場合に比べて、目的とするトリアジン化合物の収率は高かった。また、実施例17~19,21,および22では収率が20%を超えており、実施例15および16と同等の収率であり高い収率であると判断された。また、実施例20では式(3)で表される化合物の生成比率が100%であり、交差環化反応による生成物である二種のトリアジン化合物のうちの一種のみを選択的に生成させることができた。
【0126】
なお、実質的に同じ反応である実施例3および実施例19に関し、実施例3ではGC-MSによる反応収率が65.0%であるのに対し、実施例19では単離収率が37.4%であった。このことから、単離収率は反応収率よりも低くなることが分かる。そうすると、単離収率が20%を超える実施例17~19,21,および22の生成収率は、さらに高い値であると推測された。
【0127】
以下、本開示に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1]第5族金属化合物を含む触媒、アンモニウム塩、および、ケイ素原子にハロゲン原子が結合した有機ケイ素化合物の存在下、
式(1):
1-CN (1)
[式(1)中、R1は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基である]
で表されるニトリル化合物、および
式(2):
2-CX1 3 (2)
[式(2)中、R2は、1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、そして、X1は、ハロゲン原子である]
で表されるトリハライド化合物を反応させることを含む、少なくとも式(3)または式(4):
【化1】
[式(3)および式(4)中、R1およびR2は、前記に定義する通りである]
のいずれかで表されるトリアジン化合物の製造方法。
[付記2]前記有機ケイ素化合物の使用量は、前記第5族金属化合物の使用量に対して、0.1~10.0倍モル当量である、付記1に記載の製造方法。
[付記3]前記ニトリル化合物および前記トリハライド化合物の反応を、さらに、第5族金属化合物以外のハロゲン化金属化合物の存在下で行う付記1または2に記載の製造方法。
[付記4]前記ハロゲン化金属化合物は、第4族金属~第13族金属から選ばれる少なくとも一種の金属を含む、付記3に記載の製造方法。
[付記5]前記ハロゲン化金属化合物の使用量は、前記第5族金属化合物の使用量に対して、0.2~3.0倍モル当量である、付記3または4に記載の製造方法。
[付記6]R1およびR2は各々独立して、1つ以上の置換基で置換されていてもよいフェニル基、または1つ以上の置換基で置換されていてもよいナフチル基であって、前記置換基が、ハロゲン原子、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルキル基、1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数3~6個のシクロアルキル基、および1つ以上の置換基で置換されていてもよい炭素数1~6個のアルコキシ基からなる群から選ばれる、付記1~5のいずれか1つに記載の製造方法。
[付記7]前記アンモニウム塩はハロゲン化アンモニウム塩および/またはカルボン酸アンモニウム塩を含む、付記1~6のいずれか1つに記載の製造方法。
[付記8]前記ニトリル化合物の使用量は、前記トリハライド化合物の使用量に対して、0.01~10.0倍モル当量である、付記1~7のいずれか1つに記載の製造方法。
[付記9]前記有機ケイ素化合物はケイ素原子と塩素原子とが結合した構造を有する付記1~8のいずれか1つに記載の製造方法。
[付記10]前記有機ケイ素化合物は式(5):
3 n-Si-X2 (4-n) (5)
[式(5)中、R3は置換基を有していてもよい炭化水素基、X2はハロゲン原子、nは1~3の整数であり、nが2または3である場合のn個のR3は同一であってもよく異なっていてもよく、4-nが2または3である場合の4-n個のX2は同一であってもよく異なっていてもよい]
で表される化合物を含む付記1~9のいずれか1つに記載の製造方法。