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特開2024-32691透明な導電性基板およびそれを使用する両面フォトリソグラフィー法
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  • 特開-透明な導電性基板およびそれを使用する両面フォトリソグラフィー法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032691
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】透明な導電性基板およびそれを使用する両面フォトリソグラフィー法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/06 20060101AFI20240305BHJP
   G03F 7/028 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/09 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/095 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20240305BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240305BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240305BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20240305BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240305BHJP
【FI】
H05K3/06 H
G03F7/028
G03F7/004 501
G03F7/09 501
G03F7/095
G03F7/11 503
G03F7/004 512
G03F7/26
G03F7/40 521
G03F7/20 501
G06F3/041 660
G06F3/041 495
H01B5/14 A
B32B7/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023138488
(22)【出願日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】63/401,878
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イー-ティン チェン
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
4F100
5E339
5G307
【Fターム(参考)】
2H196AA26
2H196AA27
2H196AA30
2H196CA16
2H196CA17
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(57)【要約】
【課題】 透明な導電性基板およびそれを使用する両面フォトリソグラフィー法を提供する。
【解決手段】 本発明は、順次、第1のレジスト層と、第1の透明な導電性層と、透明なコアと、第2の透明な導電性層と、第2のレジスト層とを含む、透明な導電性基板であって;第1のレジスト層が、UV線感受性組成物(C1)で構成され;第2のレジスト層が、可視光感受性組成物(C2)で構成される基板を提供する。
本発明は、透明な導電性ラミネートを製造するための両面フォトリソグラフィー法を提供する。本発明の方法によって製造される透明な導電性ラミネートは、タッチパネルへ組み入れられ得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレジスト層と、第1の透明な導電性層と、透明なコアと、第2の透明な導電性層と、第2のレジスト層とをこの順に含む、透明な導電性ラミネートを製造するための透明な導電性基板であって、
前記透明な導電性基板が、400nm~800nmの範囲において60%以上の全透過率(T400~800)を有し;
前記第1のレジスト層が、UV線感受性組成物で構成され;
前記第2のレジスト層が、可視光感受性組成物で構成され;
前記UV線感受性組成物が、400nm未満の波長の光線に露光することによって光重合を受け;
前記可視光感受性組成物が、400nm~800nmの波長領域の光線に露光することによって光重合を受ける、
透明な導電性基板。
【請求項2】
前記UV線感受性組成物は、
(a)30~70重量%のアルカリ可溶性コポリマーと;
(b)10~70重量%の、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物と;
(c)0.1~20重量%の光開始剤と;
(d1)0~20重量%の、UV線領域に最大吸収を有するUV吸収増感剤と;
(e)0~20重量%の他の添加剤と;
(f)0~20重量%の、入射可視光エネルギーを吸収することによる可視光ブロッキング物質と
を含む、請求項1に記載の透明な導電性基板。
【請求項3】
前記可視光感受性組成物は、
(a)30~70重量%のアルカリ可溶性コポリマーと;
(b)10~70重量%の、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物と;
(c)0.1~20重量%の光開始剤と;
(d2)0.01~20重量%の、可視光領域に最大吸収を有する可視光吸収増感剤と;
(e)0~20重量%の他の添加剤と;
(g)0.01~20重量%の、入射UV線エネルギーを吸収することによるUV線ブロッキング物質と
を含む、請求項1に記載の透明な導電性基板。
【請求項4】
前記透明なコアは、ガラス、フレキシブルガラス、若しくは石英のシート;またはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ(エーテルスルホン)、ポリスルホン、またはそれらの組合せで構成されるポリマーフィルムである、請求項1に記載の透明な導電性基板。
【請求項5】
前記第1の透明な導電性層および前記第2の透明な導電性層のそれぞれは、独立的に、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウムガリウム亜鉛;カーボンナノチューブ;および銅、銀、白金、または金のナノワイヤーで構成されるものから選択される導電性材料を含有する、請求項1に記載の透明な導電性基板。
【請求項6】
前記透明なコアは、1μm~200μmの厚さを有し;前記第1の透明な導電性層および前記第2の透明な導電性層のそれぞれは、独立して、0.001μm~10μmの厚さを有し;前記第1のレジスト層および前記第2のレジスト層のそれぞれは、独立して、0.1μm~50μmの厚さを有する、請求項1に記載の透明な導電性基板。
【請求項7】
前記第1のレジスト層と接触している第1のポリマーフィルムと、前記第2のレジスト層と接触している第2のポリマーフィルムとを更に含み、前記第1のポリマーフィルムおよび前記第2のポリマーフィルムが、それぞれ独立的に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、またはポリプロピレンで構成され;それぞれ独立的に、1μm~100μmの厚さを有する、請求項1に記載の透明な導電性基板。
【請求項8】
請求項1に記載の透明な導電性基板を製造するための方法であって、
(i)透明なコアを提供する工程と;
(ii)第1の透明な導電性層を前記透明なコアの一方の表面上に形成する工程と;
(iii)第2の透明な導電性層を前記透明なコアの反対面上に形成する工程と;
(iv)請求項2に記載のUV線感受性組成物(C1)を前記第1の透明な導電性層上に塗布して第1のレジスト層を形成する工程と;
(v)請求項3に記載の可視光感受性組成物(C2)を前記第2の透明な導電性層上に塗布して第2のレジスト層を形成する工程と
を含む方法。
【請求項9】
工程(ii)または工程(iii)は、独立的に、スピンコーティング、浸漬、および化学蒸着(CVD)によって行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
UV線感受性ドライフィルム(DF1)と可視光感受性ドライフィルム(DF2)とを含む、請求項1に記載の透明な導電性基板を製造するためのドライフィルムのセットであって;
前記UV線感受性ドライフィルム(DF1)が、支持フィルムと、請求項2に記載のUV線感受性組成物(C1)で構成されるレジスト層と、任意選択的に保護フィルムとを含み;
前記可視光感受性ドライフィルム(DF2)が、支持フィルムと、請求項3に記載の可視光感受性組成物(C2)で構成されるレジスト層と、任意選択的に保護フィルムとを含み;
前記UV線感受性ドライフィルム(DF1)の前記支持フィルムおよび前記可視光感受性ドライフィルム(DF2)の前記支持フィルムのそれぞれが、独立して、1μm~100μmの厚さを有し;
前記UV線感受性ドライフィルム(DF1)の前記保護フィルムおよび前記可視光感受性ドライフィルム(DF2)の前記保護フィルムのそれぞれが、独立して、1μm~100μmの厚さを有する
ドライフィルムのセット。
【請求項11】
請求項7に記載の透明な導電性基板を製造するための方法であって、
(I)透明なコアおよび請求項10に記載のドライフィルムのセットを提供する工程と;
(II)第1の透明な導電性層を、前記透明なコアの一方の表面上に形成する工程と;
(III)第2の透明な導電性層を、前記透明なコアの反対面上に形成する工程と;
(IV)任意選択的に、存在する場合、前記第1の保護フィルムおよび前記第2の保護フィルムを、前記ドライフィルムのセットから除去する工程と;
(V)同時に前記UV線感受性ドライフィルムを前記第1の透明な導電性層上に積層し、および前記可視光感受性ドライフィルムを前記第2の透明な導電性層上に積層する工程と
を含む方法。
【請求項12】
工程(II)または工程(III)は、独立的に、スピンコーティング、浸漬および化学蒸着(CVD)によって行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
透明な導電性ラミネートを製造するための両面フォトリソグラフィー法であって、
(A)請求項1または請求項7に記載の透明な導電性基板を提供する工程と;
(B)前記第1のレジスト層を第1の光源によって、および前記第2のレジスト層を第2の光源によって同時に露光する工程と;
(C)第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンを、前記それぞれのレジスト層の非露光部を除去することによって同時に現像する工程と;
(D)前記それぞれのレジストパターンによって保護されていない前記第1の透明な導電性層および前記第2の透明な導電性層の部分を同時にエッチングする工程と;
(E)前記第1のレジストパターンおよび前記第2のレジストパターンを同時に剥離して透明な導電性ラミネートを得る工程と
を含み;
前記透明な導電性ラミネートは、第1の導電回路および第2の導電回路を、透明なコアのそれぞれの面に含み、前記第1の導電回路および前記第2の導電回路の設計パターンは、互いに異なり;
前記第1の光源および前記第2の光源は、前記透明な導電性基板の反対側に配置され;
前記第1の光源は、400nm未満の波長の光線を、前記第1のレジスト層のための標的露光エネルギーで照射し、その結果前記第2のレジスト層は、前記第1の光源によって実質的にパターン化されず;
前記第2の光源は、400nm~700nmの波長の光線を、前記第2のレジスト層をパターン化するための標的露光エネルギーで照射し、その結果前記第1のレジスト層は、前記第2の光源により照射される光線によって実質的にパターン化されない
両面フォトリソグラフィー法。
【請求項14】
前記第1の光源は、365nmの波長の光線を照射し、前記第2の光源は、405nmまたは438nmの波長の光線を照射する、請求項13に記載の両面フォトリソグラフィー法。
【請求項15】
請求項13に記載の両面フォトリソグラフィー法によって製造される、透明な導電性ラミネート。
【請求項16】
請求項15に記載の透明な導電性ラミネートを含むタッチパネルであって、入力装置として電子ディスプレイ上に取り付けられる、タッチパネル。
【請求項17】
請求項16に記載のタッチパネルを含む物品であって、娯楽機器、携帯機器、または電子デバイスである物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な導電性基板および透明導電性基板の両面上に導電性パターンを同時に形成するための両面法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性組成物は、プリント回路の製造において、フォトリソグラフィープリント板の形成において、および防水加工用途において使用されることがよく知られている。様々な用途に関係なく、感光性組成物の主な機能は、レジストパターンを形成することである。ネガ型感光性組成物からレジストパターンを形成する一般的なプロセスの一つは、典型的には、i)感光性組成物を基板上へ塗布する工程と、ii)活性光線に像様露光する工程と、iii)現像してレジストパターンを形成する工程とを含む。導電性パターンを形成するためのエッチングまたはめっき処理後に、硬化したレジストパターンは、一般に、処理された基板から剥離される。生産効率を向上させるために、2つのユニークなレジストパターンが、両面フォトリソグラフィー法によって不透明な基板の各面上に同時に形成され得る。両面フォトリソグラフィー法は、順次または同時に基板の各面上にレジスト層を形成する工程と、引き続き像様露光する工程、現像する工程、エッチングまたは剥離する工程と、同時に剥離する工程とを含む。
【0003】
最近、タッチパネル(すなわち、タッチセンサー付きのディスプレーデバイス)は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ナビゲーション機器等などの様々な電子デバイスに広く適用されている。公知のタッチセンサーは、抵抗型または静電容量型に類別され得る。特に、静電容量方式タッチセンサーは、マルチタッチを受信することができ、携帯デバイスなどの使用のために広く用いられている。静電容量方式タッチセンサーの基本的な技術は、個別にエッチングされた導電性材料の層によって生み出される静電界にオフオン作動して(works off on)x-y導電グリッドを形成する。
【0004】
タッチパネル用途向けに、タッチセンサーは、透明なコアの両面上に異なるパターンの回路の精密アラインメントを必要とし、回路パターンは、フォトリソグラフィー法によって順次形成され得る。しかしながら、基板並びに酸化インジウムスズ(ITO)などのある種の透明な導体材料の光学的に透明な特質を考えると、両面フォトリソグラフィー法は適用できない。なぜならば、透明なコアおよび/または透明な導電性層の一面上のレジストを露光するために使用される活性光線はまた、透明なコアの反対側上のフォトレジストを不可避的に露光するであろうからである。結果として、同じパターンが透明なコアの両面上に不可避的に形成されるであろう。しかしながら、タッチパネル用途向けに、それは、透明なコアの両面上に異なる回路パターン(すなわち、x-y導電グリッド)を有することを要求する。
【0005】
(特許文献1)においてH.Kobayashiは、紫外線吸収剤を含有する透明なコアを用いることまたは紫外線を吸収する接着剤層を2つの透明なコア間に塗布することによって透明な導電性ラミネートを製造するための方法を開示している。この方法の欠点には、それから製造された透明な導電性ラミネートの透明性および厚さ、並びに機械的強度、耐化学薬品性、および導電性の変化が含まれる。
【0006】
R.Petcavichらはまた、透明なコアの両面上に回路を形成するための方法を(特許文献2)に開示している。タッチセンサーを製造するための方法は、UV吸収層を透明なコアの一つの面に塗布する工程と;次いで第1のフォトレジスト層を一つの面上のUV吸収層上に、および第2のフォトレジスト層を直接に透明なコアの反対側上に塗布する工程と;UV放射線を使用して両方のフォトレジスト層をフォトパターン化する工程と;導電回路を透明なコアの2つの面上に形成する工程とを含む。この方法の一つの明らかな不利点は、UV吸収層(すなわち、10~15ミクロン)を加えることによって、それから製造されたタッチセンサーが増加した全厚さを有するであろう。言うまでもなく、これらのタッチセンサーは、可視性の低下という問題を有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第20110151215 A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20210318769 A1号明細書
【特許文献3】米国特許第5,662,707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光感受性に関する優れた同調性を有する、且つ同時に異なる光線へ露光することによって光硬化させ得る感光性組成物、およびそれから製造されたドライフィルムを提供することによって上述の問題に対処する。その結果として、両面フォトリソグラフィー法は、余分な層または光ブロッキング/吸収物質を結果として生じるラミネートに導入することなく透明な導電性ラミネートを製造するために適用できるようになる。更に、導電性基板の透明性、機械的強度、耐化学薬品性、および導電性は、変化なしに保たれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、順次、第1のレジスト層と、第1の透明な導電性層と、透明なコアと、第2の透明な導電性層と、第2のレジスト層とを含む、透明な導電性ラミネートを製造するための透明な導電性基板
であって、
透明なコアが、60%以上である400nm~800nmの範囲での全透過率(T400800)を有し;
第1のレジスト層が、UV線感受性組成物で構成され;
第2のレジスト層が、可視光感受性組成物で構成され;
UV線感受性組成物が、400nm未満の波長の光線に露光することによって光重合を受け;
可視光感受性組成物が、400nm~800nmの波長領域の光線に露光することによって光重合を受ける
基板である。
【0010】
本発明の第2の態様は、透明な導電性基板を製造するための方法であって、
(i)透明なコアを提供する工程と;
(ii)第1の透明な導電性層を透明なコアの一つの表面上に形成する工程と;
(iii)第2の透明な導電性層を透明なコアの反対面上に形成する工程と;
(iv)UV線感受性組成物(C1)を第1の透明な導電性層上に塗布して第1のレジスト層を形成する工程と;
(v)可視光感受性組成物(C2)を第2の透明な導電性層上に塗布して第2のレジスト層を形成する工程と
を含む方法である。
【0011】
本発明の第3の態様は、透明な導電性ラミネートを製造するための両面フォトリソグラフィー法であって、
(A)本発明の透明な導電性基板を提供する工程と;
(B)第1のレジスト層を第1の光源によって、および第2のレジスト層を第2の光源によって同時に露光する工程と;
(C)第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンを、それぞれのレジスト層の非露光部を除去することによって同時に現像する工程と;
(D)同時にそれぞれのレジストパターンによって保護されていない第1の透明な導電性層および第2の透明な導電性層の部分をエッチングする工程と;
(E)同時に第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンを剥離して透明な導電性ラミネートを得る工程と
を含み;
ここで、
透明な導電性ラミネートは、第1の導電回路および第2の導電回路を、透明なコアの各面上に含み、第1の導電回路および第2の導電回路の設計パターンは、互いに異なり;
第1の光源および第2の光源は、透明な導電性基板の反対側上に配置され;
第1の光源は、400nm未満の波長のおよび第1のレジスト層をパターン化するための標的露光エネルギーでの光線を照射し、その結果第2のレジスト層は、第1の光源によってパターン化されることを実質的に含まず;
第2の光源は、400nm~800nmの波長のおよび第2のレジスト層のための標的露光エネルギーでの光線を照射し、その結果第1のレジスト層は、第2の光源により照射される光線によってパターン化されることを実質的に含まない方法である。
【0012】
本開示の実施形態は、例としておよび類似の参照記号が類似の要素を示す添付図面の数字の制限なしに例示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のいくつかの実施形態による透明な導電性基板を例示する側面図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による透明な導電性基板を例示する側面図である。
図3】本発明の実施形態による透明な導電性ラミネートを製造するための両面フォトリソグラフィー法のある例の説明図である。
図4】本発明の両面フォトリソグラフィー法によって製造された透明な導電性ラミネートの第1の側面に関して撮られた写真である。図4Aは、E2の加工された透明な導電性基板を示し、図4Bは、E7の加工された透明な導電性基板を示し、図4Cは、CE5の加工された透明な導電性基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、特に明記しない場合、あたかも完全に明記されているかのように、あらゆる目的のためにそれらの全体を本明細書に参照により明確に援用される。
【0015】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。不一致の場合、定義を含めて、本明細書が優先されるであろう。
【0016】
特に明記しない限り、全ての百分率、部、比等は、重量による。
【0017】
本明細書で用いる場合、用語「から生成される」は、「含む」と同義語である。本明細書で用いる場合、用語「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有する」、「有している」、「含有する」若しくは「含有している」、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含む組成物、プロセス、方法、物品、若しくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確に列挙されていないか、またはそのような組成物、プロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を包含し得る。
【0018】
移行句「からなる」は、明記されていないいかなる要素、工程、または原料も排除する。請求項における場合、そのような語句は、それらと通常関係がある不純物を除いて、列挙されるもの以外の材料の包含を請求項から排除するであろう。語句「からなる」が、前文の直後よりもむしろ、請求項の本体の条項に現れる場合、それは、その条項に明記される要素のみを限定し;他の要素は、全体として請求項から排除されない。
【0019】
移行句「から本質的になる」は、文字通りに考察されるものに加えて、材料、工程、特徴、構成要素、または要素を含む組成物、方法または装置を定義するために用いられ、但し、これらの追加の材料、工程、特徴、構成要素、または要素は、本特許請求される発明の基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中間領域を占める。
【0020】
用語「含む」は、用語「から本質的になる」および「からなる」によって包含される実施形態を含むことを意図する。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される実施形態を含むことを意図する。
【0021】
量、濃度、または他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲または上方の好ましい値および下方の好ましい値のリストのいずれかとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上方の範囲限界または好ましい値と、任意の下方の範囲限界または好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているとして理解されるべきである。例えば、「1~5」の範囲が列挙される場合、列挙れた範囲は、範囲「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2および4~5」、「1~3および5」等を含むとして解釈されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、それの終点、並びにその範囲内の全ての整数および分数を含むことを意図する。
【0022】
本明細書で用いる場合、用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」および「1つまたは2つ以上」の概念を含む。特に明記しない限り、全ての百分率、部、比等は、重量による。
【0023】
用語「約」が値または範囲の端点を記載するのに用いられる場合、本開示は、言及される特定の値または端点を含むと理解されるべきである。
【0024】
更に、それとは反対を明確に述べない限り、「または」は、包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件A「または」Bは、以下:Aが真であり(または存在し)、且つBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)、且つBが真である(または存在する)、並びにAおよびBが両方とも真である(または存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0025】
用語「実質的に含まない」は、パターン化されつつあるレジストの5%未満、または3%未満、または1%未満を指す。
【0026】
用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはそれに対応するメタクリレートを意味する。同様に、用語「(メタ)アクリロイルオキシ基」は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を意味する。用語「(ポリ)エチレンオキシ」は、2つ以上のエチレン基がエーテル結合を介して結合しているエチレンオキシ基またはポリエチレンオキシ基の少なくとも1つを意味する。エチレンオキシ基は、(-CHCH-O-)によって表される基であり、「オキシエチレン基」または「エチレンオキシド」とも言われる。本明細書で用いられるような用語「(ポリ)プロピレンオキシ基」は、2つ以上のプロピレン基がエーテル結合を介して結合しているプロピレンオキシ基またはポリプロピレンオキシ基の少なくとも1つを意味する。プロピレンオキシ基は、(-CHCHCH-O-)によって表される基、(-CHCHCH-O-)によって表される基、または(-CHCHCH-O-)によって表される基であり、「オキシプロピレン基」または「プロピレンオキシド」とも言われる。用語「EO修飾」化合物は、(ポリ)エチレンオキシ基を有する化合物を意味し;「PO修飾」化合物は、(ポリ)プロピレンオキシ基を有する化合物を意味し;「EO、PO修飾」化合物は、(ポリ)エチレンオキシ基および(ポリ)プロピレンオキシ基の両方を有する化合物を意味する。
【0027】
用語「シート」、「層」および「フィルム」は、それらの広い意味で交換可能に用いられる。
【0028】
本発明の実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態を含み、任意の様式で組み合わせられ得、実施形態における変数の記載は、本発明の感光性組成物にのみならず、それから作製された感光性ドライフィルムにも関する。
【0029】
本発明は、本明細書で以下に詳細に説明される。
【0030】
(透明な導電性基板)
図1は、本発明のいくつかの実施形態による透明な導電性基板の側面図である。透明な導電性基板100は、順次、第1のレジスト層31と、第1の透明な導電性層21と、透明なコア10と、第2の透明な導電性層22と、第2のレジスト層32とを含む。
【0031】
透明な導電性基板に関して、「透明な」は、基板を通して可視光の実質的な部分を伝達できることを指し得る。いくつかの用途において、「透明な」は、60%以上、または70%以上である400nm~800nmの範囲における全透過率(T400~800)を有する基板を指し得る。しかしながら、タッチセンサー用途に関しては75%以上などの他の透過率値が望ましいかもしれない。
【0032】
多種多様の透明なコアが、本発明の透明な導電性基板に使用され得る。例えば、透明なコアは、ガラス、フレキシブルガラス、若しくは石英のシート;またはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、酢酸セルロース、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレートエステル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ(エーテルスルホン)、ポリスルホン、若しくはそれらの組合せで構成されるポリマーフィルムであり得る。
【0033】
透明なコア10は、一般に、1μm~200μm、または5μm~100μm、または10μm~50μmの厚さを有する。
【0034】
第1の透明な導電性層21および第2の透明な導電性層22は、それぞれ独立して、10オームから150オームの範囲の抵抗値を一般に有する導電性材料を含有する。
【0035】
導電性材料は、特に限定されないが、それの例には、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化ジルコニウム、酸化イッテルビウム、酸化イットリウム、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化セリウム、および酸化チタンなどの金属酸化物の微粒子が含まれる。それらの中で、ITO、IZO、およびIGZOが、高い透明性および導電性の両方を達成するという観点から特に好ましい。典型的には、金属酸化物の微粒子は、好ましくは、10μm以下、または1.0μm以下、または50nm~150nmの粒径を有する。
【0036】
他の適切な導電性材料には、カーボンナノチューブ、およびワイヤー様の導電性金属である、金属ナノワイヤーが含まれる。金属ナノワイヤーのための金属の具体的な例には、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、オスミウム、イリジウム、白金、および金が含まれる。銅、銀、白金、および金のナノワイヤーが、導電性を考慮して好ましい。金属ナノワイヤーのそれぞれは、500nm未満、または200nm未満、または100nm未満の少なくとも1つの断面寸法を有する。金属ナノワイヤーのそれぞれは、10超、または50超、または100超のアスペクト比を有する。各金属ナノワイヤーの形状およびサイズは、走査電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を使って測定され得る。
【0037】
本発明の一実施形態では、第1の透明な導電性層および第2の透明な導電性層のそれぞれは、独立して、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウムガリウム亜鉛;カーボンナノチューブ;および銅、銀、白金、または金のナノワイヤーで構成されるものから選択される導電性材料を含有する。
【0038】
第1の透明な導電性層21および第2の透明な導電性層22を構成する導電性材料は、同じものであってもまたは異なってもよい。透明な導電性層21および22を構成する導電性材料が同じものである場合、透明な導電性層21および22は、同時に透明なコア10の両面上に形成され得る。本発明の第1の導電性層21および第2の透明な導電性層22は、導電性材料を含有する分散系を、スピンコーティング、浸漬、または化学蒸着(CVD)によって透明なコア10の一つのまたは両方の表面上に適用することによって形成され得る。
【0039】
各透明な導電性層21または22は、0.001μm~10μm、または0.01μm~7μm、または0.1μm~5μmの厚さを有する。
【0040】
(レジスト層)
第1のレジスト層31は、UV線感受性組成物(C1)で構成され、C1は、400nm未満の波長を有する光線に露光することによってパターン化される。第2のレジスト層32は、可視光感受性組成物(C2)で構成され、C2は、400nm~800nmの波長領域の光線に露光することによってパターン化される。
【0041】
UV線感受性組成物(C1)は、
(a)30~70重量%のアルカリ可溶性ポリマーと;
(b)10~70重量%の、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物と;
(c)0.1~20重量%の光開始剤と;
(d1)0~20重量%の、UV線領域に最大吸収を有するUV吸収増感剤と;
(e)0~20重量%の他の添加剤と;
(f)0~20重量%の、入射可視光エネルギーを吸収することによる可視光ブロッキング物質と
を含む。
【0042】
可視光感受性組成物(C2)は、
(a)30~70重量%のアルカリ可溶性ポリマーと;
(b)10~70重量%の、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物と;
(c)0.1~20重量%の光開始剤と;
(d2)0.01~20重量%の、可視光領域に最大吸収を有する可視光吸収増感剤と;
(e)0~20重量%の他の添加剤と;
(g)0.01~20重量%の、入射UV線エネルギーを吸収することによるUV線ブロッキング物質と
を含む。
【0043】
本明細書では以下、本開示のUV線感受性組成物および/または可視光感受性組成物中に含まれる各成分が説明される。
【0044】
(アルカリ可溶性コポリマー(a))
成分(a)として、アルカリ可溶性ポリマーは、一般に、酸性基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、またはリン酸基)を有するポリマーである。好ましくは、アルカリ可溶性ポリマーは、カルボン酸基を含有する重合性前駆体から誘導される。カルボン酸基を含有する重合性前駆体の例には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、プロピオル酸;無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が含まれる。費用および溶解性を考慮して、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0045】
アルカリ可溶性ポリマー(a)はまた、カルボン酸基を持たない重合性前駆体から誘導される構造単位を含み得る。
【0046】
カルボン酸基を持たない重合性前駆体の例には、(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、ビニルエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルアルコールのエステル、スチレン、置換スチレン、(メタ)アクリロニトリル、ビニル置換複素環化合物、N-ビニルアミド、ビニル基を有するスルホン酸、ビニル基を有するリン酸エステル、ビニル基を有するウレタン、ビニル基を有する尿素、ビニル基を有するスルホンアミド、ビニル基を有するフェノール、およびビニル基を有するイミドが含まれる。
【0047】
(メタ)アクリレートエステルの例には、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が含まれる。アルキル(メタ)アクリレートは、好ましくは、1~5個の炭素原子を有するアルキル基のエステルである。アルキル(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物が含まれる。
【0048】
他の(メタ)アクリレートエステルの例には、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イオボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシプロピルオキシエチル(メタ)アクリレート等が含まれる。
【0049】
一実施形態では、アルカリ可溶性ポリマー(a)は、アルカリ可溶性ポリマー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量を基準として、15~50重量%のスチレンまたは置換スチレン;15~35重量%の(メタ)アクリル酸;および10~70重量%の1種以上の(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0050】
別の実施形態では、アルカリ可溶性ポリマー(a)は、アルカリ可溶性ポリマー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量を基準として、15~45重量%のスチレンまたは置換スチレン、20~30重量%の(メタ)アクリル酸、および15~65重量%の1種以上の(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0051】
その上別の実施形態では、アルカリ可溶性ポリマー(a)は、アルカリ可溶性ポリマー(a)を構成するための重合性前駆体の総重量を基準として、10~45重量%のスチレンまたは置換スチレン、20~30重量%の(メタ)アクリル酸、10~60重量%のベンジル(メタ)アクリレートおよび10~50重量%のアルキル(メタ)アクリレートエステルで構成される混合物から誘導される。
【0052】
アルカリ可溶性ポリマー(a)は、例えば、通常の方法を用いて、スチレンまたはα-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、1種以上の(メタ)アクリレートエステル、および任意選択の他の重合性前駆体で構成される混合物のラジカル重合によって得られ得る。
【0053】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリマーバインダーの重量平均分子量(Mw)(ポリスチレン標準を使用して作成された検量線に基づいて計算される)は、好ましくは25,000~100,000、より好ましくは30,000~80,000、最も好ましくは40,000~60,000である。
【0054】
アルカリ可溶性ポリマー(a)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量、Mw/Mn)は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.8以下、更により好ましくは2.5以下である。
【0055】
アルカリ可溶性ポリマー(a)の酸価は、好ましくは90mgKOH/g~250mgKOH/g、より好ましくは100mgKOH/g~240mgKOH/g、更により好ましくは120mgKOH/g~235mgKOH/gである。
【0056】
UV線感受性組成物(C1)または可視光感受性組成物(C2)中のアルカリ可溶性ポリマー(a)の量は、それぞれの組成物の総重量を基準として、典型的には30~70重量%、好ましくは35~65重量%、より好ましくは40~60重量%である。
【0057】
(重合性化合物(b))
UV線感受性組成物または可視光感受性組成物は、それぞれ、フリーラジカル開始重合および/または架橋を受けることができる成分(b)として重合性化合物を含む。そのような化合物は、当技術分野でよく知られており、本明細書では以下「モノマー」と言われ得る。モノマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有し、それが光重合性化合物である限り特に限定されない。どの適切なモノマーも、唯一のモノマーとしてまたは他のものと組み合わせて使用され得る。
【0058】
重合性化合物(b)は、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、アルコキシル化フェノール(メタ)アクリレート、アルコキシル化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、モノメトキシトリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシル化プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノメトキシネオペンチルグリコールプロポキシレートモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、9-アントラセニルメチル(メタ)アクリレート、1-ピレニルメチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、およびそれらの組合せからなる群から選択される(メタ)アクリレート化合物であり得る。
【0059】
重合性化合物(b)は、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、テトラ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、テトラ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、グリセリルエトキシレートジ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシレートプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、およびそれらの組合せからなる群から選択されるジ(メタ)アクリレート化合物であり得る。
【0060】
重合性化合物(b)は、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、グリセリルエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラ(メタ)アクリレート、ジ-トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジ-トリメチロールプロパンエトキシレートテトラ(メタ)アクリレート、ジ-トリメチロール-プロパンプロポキシレートテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエトキシレートペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびそれらの組合せからなる群から選択されるポリ(メタ)アクリレート化合物であり得る。
【0061】
好ましい重合性化合物には、ポリプロポキシル化プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物が含まれる。
【0062】
他の好ましい重合性化合物には、ビスフェノールA型(メタ)アクリレートが含まれ、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリプロポキシ)-フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、および2,2-ビス(4-((メタ)-アクリロイルオキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンが含まれる。それらの中で、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル)プロパンが、解像度および剥離特性を更に改善するという観点から好ましい。
【0063】
一実施形態では、成分(b)は、2つ以上のメタクリロイル基を1つの分子中に有する重合性化合物を含む。
【0064】
別の実施形態では、成分(b)は、ポリエトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシル化-ポリプロポキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、またはそれらの組合せを含む。
【0065】
市販のビスフェノールA型(メタ)アクリレートには、例えば、BPE-200およびBPE-500(新中村化学工業株式会社によって製造される)、並びにBPE-900(Sartomerによって製造される)が含まれる。
【0066】
市販の重合性化合物の例には、ポリエトキシル化ビスフェノールA型(メタ)アクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社によって製造される「BPE-200」および「BPE-500」)、または日立化成株式会社によって製造される「FA-324M」);ヒドロキシル基含有アルキルアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社によって製造される「701A」);トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社によって製造される「A-DCP」);ポリプロピレングリコールジアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社によって製造される「9PG」);ポリエチレングリコールメタクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社によって製造される「14G」);2,2-ビス(4-(メタクリオキシ-ポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン(例えば、日立化成株式会社によって製造される「FA-3200MY」);テトラメチロールメタントリアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社によって製造される「A-TMM-3」);ポリエトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート(例えば、日立化成株式会社によって製造される「TMPT21E」、「TMPT30E」);ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、Sartomerによって製造される「SR444」);ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(例えば。新中村化学工業株式会社によって製造される「A-DPH」);並びにポリエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社によって製造される「ATM-35E」)が含まれる。
【0067】
UV線感受性組成物(C1)または可視光感受性組成物(C2)中の重合性化合物(b)の量は、それぞれの組成物の総重量を基準として、典型的には10~70重量%、好ましくは20~60重量%、より好ましくは30~50重量%である。
【0068】
(光開始剤(c))
成分(c)として、光開始剤(c)は、特に限定されず、従来用いられている光開始剤から適切に選択される。
【0069】
そのような光開始剤の例には、特に限定されないが、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)フェニル-2-ヒドロキシ-2-プロピルケトン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オンなどのアセトフェノン化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどのベンゾイン化合物;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール(o-Cl-HABI)、2,2’,4-トリス(2-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,1’-ビイミダゾール(TCDM-HABI)、および2,2’-ビス(2-エトキシ-フェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-2H-1,2’-ビイミダゾールなどの、「HABI」と略記される、ヘキサアリール-ビイミダゾール化合物;ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、およびフェニルビス(2,4,6-トリメチル-ベンゾイル)ホスフィンオキシドなどのベンゾイルホスフィンオキシド化合物;1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン 2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン 1-(O-アセチルオキシム)(Irgacure OXE02)、および3-シクロペンチル-1-[9-エチル-6-(2-メチル-ベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-プロパノン-1-(O-アセチルオキシム)などのオキシムエステル化合物が含まれる。
【0070】
これらの光重合開始剤は、単独でまたは2つ以上の組合せで使用され得る。
【0071】
一実施形態では、光開始剤(c)は、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ベンゾイルホスフィンオキシド化合物、オキシムエステル化合物、またはそれらの組合せを含む。
【0072】
別の実施形態では、光開始剤(c)は、o-Cl-HABI、TCDM-HABI、およびそれらの混合物を含む。
【0073】
適切な光開始剤は、市販されており、例えば、o-Cl-HABIおよびTCDM-HABIは、Hampford Research Inc.から;ベンゾイルホスフィンオキシド化合物は、IGM Resins USA Inc.から;オキシムエステル化合物は、Changzhou Tronly New Electronic Materials Co.,Ltd.から購入され得る。
【0074】
UV線感受性組成物(C1)または可視光感受性組成物(C2)中の光開始剤(c)の量は、それぞれの組成物の総重量を基準として、典型的には0.1~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~5重量%である。
【0075】
(UV吸収増感剤(d1))
UV線感受性組成物(C1)中に使用するのに適した増感剤として、UV吸収増感剤(d1)は、UV線領域、すなわち、400nm未満;好ましくは、300nm~400nmに最大吸収を有して追加の吸収をUV線領域において提供する。
【0076】
適切なUV吸収増感剤(d1)には、ベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、(4-(ジメチルアミノ)フェニル)フェニルメタノン、(4-(ジエチルアミノ)フェニル)-フェニルメタノン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、N,N,N’,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノ-ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィドなどの芳香族ケトン;9-フェニルアクリジン、および1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン化合物;スルホニルジベンゼン、4,4’-スルホニルビス(N,N-ジメチル-ベンゼンアミン)、4,4’-スルホニルビス(N,N-ジフェニルベンゼンアミン)、および9,9’-(スルホニルジ-4,1-フェニレン)ビス-9H-カルバゾールなどの芳香族スルホン化合物が含まれる。
【0077】
UV線感受性組成物(C1)中のUV吸収増感剤(d1)の量は、UV線感受性組成物の総重量を基準として、0~20重量%、または0.01~10重量%、または0.1~5重量%である。
【0078】
(可視光吸収増感剤(d2))
可視光感受性組成物(C2)中に使用するのに適切な増感剤として、可視光吸収増感剤(d2)は、光開始剤(c)のスペクトル応答を、および好ましくは400nm~700nmの可視光領域に最大吸収波長を持って拡張することが期待される。
【0079】
可視光吸収増感剤(d2)の例には、ケトン類、クマリン類、キサントン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類、ナフタルイミド化合物、ビス(p-ジアルキルアミノベンジリデン)ケトン類およびアリーリデンアリールケトン類が含まれる。
【0080】
好ましい可視光吸収増感剤(d2)には、1,3-ビス(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-2-プロパノン(Bis-Fischer’s Base Ketone、BFBK)、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)-2H-1-ベンゾピラン-2-オン、3-ベンゾイル-7-ジエチルアミノクマリン、7-(ジエチルアミノ)-3-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソクロマン-3-カルボニル)-2H-クロメン-2-オン、3-(2-N-メチルベンズイミダゾリル)-7-N,N-ジエチルアミノクマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾオキサゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、(E)-1-フェニル-3-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)-2-プロペン-1-オン(ジュロリジンカルコン)、4-(ジメチルアミノ)カルコン、(2E,5E)-2,5-ビス[4-(ジメチルアミノ)ベンジリデン]-シクロペンタノン、(2E,5E)-2,5-ビス[4-(ジエチルアミノ)ベンジリデン]-シクロペンタノン、およびケトシアニン染料が含まれる。
【0081】
適切な可視光吸収増感剤(d2)は、市販されており、例えば、Bis-Fischer’s Base Ketoneは、Hampford Research Incから購入され得;3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)-2H-1-ベンゾピラン-2-オンは、Changzhou Tronly New Electronic Materials Co.,Ltdから購入され得る。
【0082】
可視光感受性組成物(C2)中の可視光吸収増感剤(d2)の量は、可視光感受性組成物(C2)の総重量を基準として、0.01~20重量%、または0.05~10重量%、または0.1~5重量%である。
【0083】
(他の添加剤(e))
感光性組成物に従来添加された他の化合物も、UV線感受性組成物または可視光感受性組成物中に存在し得る。そのような添加剤には、水素供与体、接着性改質剤、着色物質、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、安定剤、酸化防止剤、重合防止剤、架橋剤等が含まれる。
【0084】
水素供与体は、感度および活性光線への露光後の感光性組成物の露光エリアと非露光エリアとの間のコントラストを改善するために添加され得る。水素供与体が上述の特性を有する限り、特定の化学種は、特に限定されず、アミン化合物、カルボン酸化合物、メルカプト含有化合物、アルコール化合物等から選択され得るが、それらに限定されない。
【0085】
アミン化合物には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、n-ブチルアミン等の脂肪族アミン化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチル-アミノ安息香酸イソアミル、4-(ジメチル-アミノ)-安息香酸2-エチルヘキシル、4-(ジメチル-アミノ)安息香酸2-ブトキシエチル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、N-ジメチル-p-トルイジン、4,4’-ビス(ジメチル-アミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチル-アミノ)ベンゾフェノン(Michlerのケトン)等の芳香族アミン化合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0086】
カルボン酸化合物には、(フェニルチオール)酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフチルオキシ酢酸等などの芳香族ヘテロ酢酸が含まれるが、それらに限定されない。
【0087】
メルカプト含有化合物には、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、ドデシルメルカプタン、オクタンジオールビス(3-メルカプトブチラート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチラート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチラート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトブチラート);エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)等が含まれるが、それらに限定されない。
【0088】
アルコール化合物には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ネオペンチルアルコール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2,3-プロパントリオール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等が含まれるが、それらに限定されない。
【0089】
水素供与体の量は、UV線感受性組成物または可視光感受性組成物.の100重量部中、0~20重量部、好ましくは0.01~10重量部であり得る。水素供与体の量が上記の範囲内である場合、感光性樹脂組成物の感度を制御することが有利である。
【0090】
接着性改質剤は、基板へのコーティングの接着性を改善するおよびまたは処理中の残渣の形成を防止するために添加され得る。適切な接着性改質剤には、ベンゾトリアゾール、5-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、4-および5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾ-ル、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、5-アミノ-1,3,4-チオジアゾール-2-チオール、2-メルカプトベンズイミダゾール等などの複素環式キレート成分が含まれる。クエン酸は、このように、すなわち、コーティングの接着性を改善するおよびまたは残渣の形成を防止するために効果的である非複素環式キレート化合物の例である。
【0091】
着色物質の例には、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミンベース、パラマジエンタ、ロイコクリスタルバイオレット(LCV)、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン塩化物塩(Sigma-Aldrich)、ベーシックブルー20、ダイヤモンドグリーン(保土谷化学工業株式会社)等が含まれる。
【0092】
レベリング剤の例には、フッ素ベースの化合物、シリコーンベースの化合物、およびアクリル化合物が含まれる。
【0093】
可塑剤の例には、ジメチルフタレートおよびジエチルフタレートなどのフタル酸エステル、トリス(2-エチルヘキシル)トリメリテートなどのトリメリット酸エステル;ジメチルアジペートおよびジブチルアジペートなどの脂肪族二塩基酸エステル;トリブチルホスフェートおよびトリフェニルホスフェートなどのオルトリン酸エステル;並びにグリセリルトリアセテートおよび2-エチルヘキシルアセテートなどの酢酸エステルが含まれる。
【0094】
界面活性剤は、感光性組成物のコーティング特性を改善するために添加され得る。界面活性剤の例には、とりわけ、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、F171、F172、およびF173(大日本インキ化学工業株式会社、日本から入手可能な)、FC430およびFC431(Sumitomo 3M Ltd.、日本から入手可能な)、KP341(信越化学工業株式会社、日本から入手可能な)が含まれる。
【0095】
安定剤の例には、ヒンダードアミンベースの化合物、およびベンゾエート-ベースの化合物が含まれる。酸化防止剤の例には、フェノールベースの化合物が含まれる。重合防止剤の例には、メトキノン、メチルヒドロキノン、およびヒドロキノンが含まれる。架橋剤の例には、ポリイソシアネート、およびメラミン化合物が含まれる。
【0096】
他の添加剤(e)は、本発明の感光性組成物の機能特性を妨げないように、一般に少量(すなわち、10重量%未満)で存在する。
【0097】
(可視光ブロッキング物質(f))
成分(f)は、可視光を吸収するおよびUV線感受性組成物(C1)に添加され得る可視光ブロッキング物質である。可視光吸収物質には、染料または顔料などの有機物質;金属酸化物粒子などの無機物質、および有機物質の金属錯体が含まれる。そのような可視光吸収物質の例には、D.L.Jinkerson、(特許文献3)に開示されているものが含まれるが、それらに限定されない。
【0098】
適切な可視光吸収物質には、Eastman Yellow 035-MA(Eastman Chemical)などの、メチン化合物、ケチミド化合物、ナフトイルアジアアミン、ニトロジフェニルアミン化合物、アミノケトン化合物、ニトロ化合物、アントラキノン化合物、キノリン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、ベンズアントラセン化合物;およびアゾ金属錯化合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0099】
金属酸化物粒子の例には、TiO、CoOおよびFeのナノ粒子が含まれる。ナノ粒子の直径は、一般に、可視光吸収性質を持った20nm~50nmの範囲である。
【0100】
市販の可視光ブロッキング物質の例には、アゾイエロー顔料(例えば、Clariantによって製造されるHansa Yellow 10G)、ナフトールイエロー顔料(例えば、Clariantによって製造されるPermanent Yellow)、ベンズイミダゾロンイエロー顔料(例えば、Arichemie GmbHによって製造されるC.I. Yellow 154)、アゾ縮合イエロー顔料(例えば、BASFによって製造されるCromophtal Yellow 3G)等が含まれる。
【0101】
他の市販の可視光ブロッキング物質には、Eusorb UV1990、Eusorb UV-1995、およびEusorb UV-4000などの染料が含まれ、Eutec chemical Co.,Ltd.によって製造され;ANSORB-460、ANSORB-475およびANSORB-930は、Anchem Technology Corporationによって製造される。
【0102】
可視光ブロッキング物質は、2個以上の物質を含有し得る。複数の可視光吸収物質を成分(f)として添加することによって、UV線感受性組成物(C1)は、400nm~800nmの可視光露光による光重合を禁止される。
【0103】
(UV線ブロッキング物質(g))
成分(g)は、UV線を吸収するおよび可視光感受性組成物(C2)に添加されるUV線ブロッキング物質である。例えば、UV線ブロッキング物質は、電磁スペクトルのUV領域、およそ200nm~400nmにおける光線をブロックするために調整され得る。
【0104】
適切なUV線物質(g)には、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、重合性部分を持った化合物、およびナノ粒子が含まれる。
【0105】
ベンゾフェノン化合物の例には、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-(オクチルオキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-,4,4’-ジメトキシベンゾフェノン等が含まれるが、それらに限定されない。
【0106】
ベンゾトリアゾール化合物の例には、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチル-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール等が含まれるが、それらに限定されない。
【0107】
トリアジン化合物の例には、2-[4-[2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル]オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[2-ヒドロキシ-3-ジデシルオキシプロピル]オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシ-フェノール、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(3-((2-エチルヘキシル)オキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェノール等が含まれるが、それらに限定されない。
【0108】
UV線ブロッキング物質(g)にはまた、それらの化学構造にビニル、アクリレート、またはメタクリレート官能性などの重合性部分を持った化合物が含まれる。
【0109】
重合性部分を持った化合物の例には、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート、3-(5-フルオロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート、3-(2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート、3-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-2-ヒドロキシ-5-メトキシベンジルメタクリレート、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メトキシ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート、2-ヒドロキシ-5-メトキシ-3-(5-メチル-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート;並びに2-ヒドロキシ-5-メチル-3-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)ベンジルメタクリレート、2-(3-(3-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル)-プロピルチオ)エチルメタクリレート、および3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-5-(5-(トリフルオロメチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)フェニル)プロピルメタクリレート;4-アリル-2-(5-クロロ-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)-6-メトキシフェノール、4-アリル-2-メトキシ-6-(5-(トリフルオロ-メチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)フェノール、および3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-5-(5-(トリフルオロ-メチル)-2H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-2-イル)フェニル)プロピルメタクリレート等が含まれるが、それらに限定されない。
【0110】
市販のUV線ブロッキング物質の例には、新中村化学工業株式会社によって製造されるVANARESIN UVA-5080、UVA-7075、UVA-55T、UVA-73T、UVR-8001E、UVR-9001、NEWCOAT UVA-101、NEWCOAT UVA-102、NEWCOAT UVA-103、NEWCOAT UVA-104などの紫外吸収ポリマー;Everlightによって製造される2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノンが含まれる。
【0111】
UV線ブロッキング物質(g)の量は、可視光感受性組成物(C2)の総量を基準として、約0.01~20.0重量%、または約0.05~15重量%、または約0.1~10重量%である。成分(g)の量がこの範囲内である場合、良くバランスのとれたやり方でドライフィルムレジストの良好なUV線ブロッキング能力および解像度および接着性を提供することが容易である。
【0112】
(ドライフィルム(DF1)および(DF2)のセット)
ドライフィルムは、一般に、感光性組成物を支持フィルム上に塗布して非硬化状態での感光性層を形成することによって調製され、次いでそれがロール形態で貯蔵される場合には保護フィルムで覆われる。感光性層は、同じ意味で、「フォトレジスト」、「レジスト」または「ドライフィルムレジスト」と言われ得る。
【0113】
本発明の透明な導電性基板は、第1のレジスト層と第2のレジスト層とを含み、ここで、第1のレジスト層は、UV線感受性組成物で構成され、第2のレジスト層は、可視光感受性組成物で構成される。その結果として、DF1がUV線感受性ドライフィルムであり、DF2が可視光感受性ドライフィルムである、一連のドライフィルムDF1およびDF2が提供される。一連のドライフィルム(すなわち、DF1およびDF2)は、透明な導電性ラミネートを製造するための両面フォトリソグラフィー法を受ける本発明の透明な導電性基板を製造するのに適切である。
【0114】
DF1は、支持フィルムと、上述のUV線感受性組成物(C1)で構成されるレジスト層と、任意選択的に保護フィルムとを含む。DF2は、支持フィルムと、上述の可視光感受性組成物(C2)で構成されるレジスト層と、任意選択的に保護フィルムとを含む。
【0115】
支持フィルムは、一般に、ポリマーフィルムであり、好ましくは、350nm~420nm領域の光線に関して90%超の透過率と共に高い寸法安定性を有する。
【0116】
支持フィルムは、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ビニルポリマー、およびセルロースエステルで構成され得る。特に適切な支持フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、またはポリプロピレンで構成されるポリマーフィルムである。支持フィルムの厚さは、1μm~100μm、好ましくは5μm~50μm、より好ましくは10μm~30μmである。
【0117】
保護フィルムは、上記の、支持フィルムに関して記載されたポリマーフィルムの同じ群から選択され得、同じ幅広い範囲の厚さを有し得る。しかしながら、保護フィルムは、支持フィルムへのレジスト層の接着性と比べてレジスト層へのより低い接着性を有することが好ましい。特に適切な保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレートで構成されるポリマーフィルムである。保護フィルムの厚さは、1μm~100μm、好ましくは5μm~50μm、より好ましくは10μm~30μmである。
【0118】
市販のポリマーフィルムの例には、帝人株式会社によって製造されるPSシリーズのおよび東レ株式会社によって製造されるFBシリーズのポリエチレンテレフタレートフィルム;王子製紙株式会社によって製造されるALPHAN MA-410およびE-200などのポリエチレンフィルム;並びに信越フィルム株式会社によって製造されるポリプロピレンフィルムが含まれる。
【0119】
UV線感受性感光性組成物または可視光感受性組成物が、適切な粘度の液体形態にある場合、それは、対応するレジスト層を形成するために直接に支持フィルム上へ塗布され得る。好ましくは、UV線感受性組成物(C1)および可視光感受性組成物(C2)は、それぞれ、粘度を下げ、一様な厚さのそれぞれのレジスト層の形成を可能にするために有機溶媒に溶解させられる。
【0120】
適切な溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等などのアルコール;テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル;トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒;N,N-ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒;並びにそれらの混合物が含まれる。溶媒は、感光性組成物の溶解性に応じて適切に選択され得る。
【0121】
本開示によるUV線感受性組成物(C1)および可視光感受性組成物(C2)を調製するための方法は、特に限定されず、これらの組成物は、それぞれの組成物中に含有される個々の成分を公知の方法によって混合することによって得られ得る。
【0122】
加えて、異物を除去するまたは欠陥を減らすために濾過がフィルターを通して実施され得る。任意のフィルターが、濾過等のために従来使用されてきている限り特に制限なしに使用され得る。
【0123】
一実施形態では、UV線感受性ドライフィルム(DF1)および可視光感受性ドライフィルム(DF2)は、それぞれの組成物を含有するコーティング溶液を支持フィルムに塗布する;および得られたものを乾燥させてレジスト層を形成することによって製造され得る。
【0124】
それぞれの組成物を含有するコーティング溶液の固形分は、塗布方法およびツールに応じて適切に選択され得る。例えば、有機溶媒は、約15重量%~約60重量%の固形分の溶液を得るために使用され得る。
【0125】
コーティング溶液は、ロールコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング、エアナイフコーティング、ダイコーティング、またはバーコーティングなどの公知の方法によって支持フィルムに塗布され得る。
【0126】
乾燥は、好ましくは、25℃~120℃で約5分~約60分間実施される。乾燥後の感光性層中の残留溶媒の量は、好ましくは、2重量%以下である。
【0127】
ドライフィルム(DF1およびDF2)の厚さは、意図される使用に応じて適切に選択され得る。レジスト層の乾燥後の厚さは、0.1μm~50μm;または0.2μm~30μm;または0.3μm~25μmである。
【0128】
結果として生じるドライフィルムの形状は、特に限定されない。ドライフィルムは、シート形態であり得るか、またはコアの周りにロール形状に巻かれ得る。ドライフィルムがロール形状に巻かれる場合、支持フィルムは外側に面することが好ましい。
【0129】
本実施形態による一連のドライフィルム(DF1およびDF2)は、例えば、以下に記載されるような透明な導電性基板を製造するための方法において使用され得る。
【0130】
(透明な導電性基板を製造するための方法)
本発明の前に記載されたUV線感受性組成物(C1)および可視光感受性組成物(C2)、並びに一連のドライフィルム(DF1およびDF2)は、透明な導電性基板を形成するために使用され得る。
【0131】
一実施形態では、本発明の透明な導電性基板100は、
(i)透明なコアを提供する工程と;
(ii)第1の透明な導電性層を透明なコアの一つの表面上に形成する工程と;
(iii)第2の透明な導電性層を透明なコアの反対面上に形成する工程と;
(iv)UV線感受性組成物(C1)を第1の透明な導電性層上に塗布して第1のレジスト層を形成する工程と;
(v)可視光感受性組成物(C2)を第2の透明な導電性層上に塗布して第2のレジスト層を形成する工程と
を含む方法によって製造される。
【0132】
前に述べられたように、本発明の透明な導電性基板(図1を参照されたい)の第1の導電性層21および第2の透明な導電性層22は、導電性材料を含有する分散系を、スピンコーティング、浸漬、または化学蒸着(CVD)によって透明なコア10の一つのまたは両方の表面上に適用することによって形成され得る。
【0133】
第1のレジスト層31または第2のレジスト層32の形成は、UV線感受性組成物(C1)または視光感受性組成物(C2)を、前に記載されたような適切な溶媒中で、第1の透明な導電性層21または第2の透明な導電性層22のそれぞれの表面上にコーティングすることによって行われ得る。
【0134】
或いはまた、第1のまたは第2のレジスト層は、一連のドライフィルム(すなわち、DF1およびDF2)を、それぞれの透明な導電性層上に積層することによって形成され得る。カバーシートが一連のドライフィルム中に存在する場合、それは、除去され得、レジスト層の覆われていない表面が、例えば、従来のホットロール積層装置を使って、熱および/または圧力を使用して透明な導電性層の事前にきれいにされた表面上へ積層される。温度、圧力、および継続時間を含む積層パラメータは、当業者によって必要に応じて適切に選択され得る。
【0135】
ここで留意すべきは、DF1およびDF2を積層した後に、結果として生じた透明な導電性基板が、ドライフィルムDF1およびDF2の支持フィルムに由来する2つの追加のポリマーフィルムを含むことである。図2に示されるように、透明な導電性基板200は、第1のポリマーフィルム41、第1のレジスト層31、第1の透明な導電性層21、透明なコア10、第2の透明な導電性層22、第2のレジスト層32、および第2のポリマーフィルム42の順の構造を有する。
【0136】
ポリマーフィルム41および42は、保護シートとして機能し、透明な導電性基板200は、ポリマーフィルムを通った光線に露光され得る。いくつかの場合には、ポリマーフィルムは、解像度および他のそのような特性を改善するために照射前に除去され得る。
【0137】
一実施形態では、本発明の透明な導電性基板200は、
(I)透明なコアと、UV線感受性ドライフィルム(DF1)および可視光感受性ドライフィルム(DF2)からなる一連のドライフィルムとを提供する工程と;
(II)第1の透明な導電性層を透明なコアの一つの表面上に形成する工程と;
(III)第2の透明な導電性層を透明なコアの反対面上に形成する工程と;
(IV)任意選択的に、存在する場合、第1のおよび第2の保護フィルムを一連のドライフィルムから除去する工程と;
(V)同時にUV線感受性ドライフィルムを第1の透明な導電性層上に、および可視光感受性ドライフィルムを第2の透明な導電性層上に積層する工程と
を含む方法
であって、
UV線感受性ドライフィルム(DF1)が、支持フィルムと、UV線感受性組成物(C1)で構成されるレジスト層と、任意選択的に保護フィルムとを含み、
可視光感受性ドライフィルム(DF2)が、支持フィルムと、可視光感受性組成物(C2)で構成されるレジスト層と、任意選択的に保護フィルムとを含む
方法によって製造される。
【0138】
透明な導電性ラミネートを製造するための方法
本発明はまた、透明な導電性ラミネートを製造するための両面フォトリソグラフィー法であって、
(A)本発明の透明な導電性基板を提供する工程と;
(B)第1のレジスト層を第1の光源によって、および第2のレジスト層を第2の光源によって同時に露光する工程と;
同時に(C)第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンを、それぞれのレジスト層の非露光部を除去することによって現像する工程と;
(D)同時にそれぞれのレジストパターンによって保護されていない第1の透明な導電性層および第2の透明な導電性層の部分をエッチングする工程と;
(E)同時に第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンを剥離して透明な導電性ラミネートを提供する工程とを含み;
ここで、
透明な導電性ラミネートは、第1の導電回路と第2の導電回路とを透明なコアの各面に含み、第1の導電回路および第2の導電回路の設計パターンは、互いに異なり;
第1の光源および第2の光源は、透明な導電性基板の反対側上に配置され;
第1の光源は、400nm未満の波長のおよび第1のレジスト層のための標的露光エネルギーでの光線を照射し、その結果第2のレジスト層は、第1の光源によってパターン化されることを実質的に含まず;
第2の光源は、400nm~800nmの波長のおよび第2のレジスト層をパターン化するための標的露光エネルギーでの光線を照射し、その結果第1のレジスト層は、第2の光源によって照射される光線によってパターン化されることを実質的に含まない
方法を提供する。
【0139】
図3は、透明な導電性ラミネートを製造するための本発明の両面フォトリソグラフィー法の各工程を示す。
【0140】
本発明の方法の第1の工程は、(A)図1に示されるような透明な導電性基板100または図2に示されるような透明な導電性基板200であり得る本発明の透明な導電性基板を提供することである。
【0141】
図3Aに言及すると、第1のレジスト層31が第1の光源110に面し、第2のレジスト層32が第2の光源120に面しているように、本発明の透明な導電性基板は、透明な導電性基板の反対側上配置されている2つの光源間に置かれる。
【0142】
本発明の方法における第2の工程は、(B)第1のレジスト層を第1の光源によって、第2のレジスト層を第2の光源によって同時に露光することである(図3Aを参照されたい)。
【0143】
露光方法の例には、マスク露光法と言われる、ネガ型またはポジ型パターン(すなわち、フォトマスク)を通して光線を像様照射する方法が含まれる。或いはまた、LDI(レーザー直接画像化)露光法またはDLP(デジタルライトプロセッシング)露光法などの直接書き込み露光法によって光線を像様照射する方法が使用され得る。
【0144】
例えば、UV線感受性フォトレジストである第1のレジスト層に関しては、355nmおよび375nmレーザー光のLDI機が選択され得;可視光感受性フォトレジストである第2のレジスト層に関しては、405nmおよび438nmレーザー光のLDI機が選択され得る。
【0145】
光開始剤および/または増感剤の吸収帯と重なるスペクトルの領域における波長を提供する活性光線の任意の便利な光源を使用して光重合反応を活性化し得る。従来の光源には、カーボンアークランプ、水銀蒸気アークランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、またはアルゴンレーザーなどのガスレーザー;YAGレーザーなどの固体レーザー;半導体レーザー;窒化ガリウム系のバイオレットレーザーなどの紫外線;並びに可視光を効率よく放つランプが含まれる。
【0146】
同時露光工程(B)中に、第1のレジスト層は、UV光線(400nm未満)の第1の光源によって、および第2のレジスト層は、可視光線(400nm~800nm)の第2の光源によって照射される。透明な導電性基板は「透明」であるから、多層を通過する入射光線が存在し、反対側上のレジスト層に達する。
【0147】
本方法の一つの決定的因子は、それぞれが異なる波長の光線に対して異なる感度を有する第1のレジスト層および第2のレジスト層に依存している。別の決定的因子は、特定のレジスト層の活性光線が通過するおよび透明な導電性基板の反対側上にあるレジスト層に達するのをブロックするドライフィルムレジストの能力である。
【0148】
例えば、UV線感受性組成物(C1)で構成される、第1のレジスト層31は、400nm以下の、好ましくは、365nmでの波長のUV-光線に露光することによって光硬化させられる。UV線感受性組成物(C1)は、UV吸収増感剤(d1)および/または可視光ブロッキング物質(f)を含有するので、第1のレジスト層31は、第2のレジスト層を露光するために使用される入射可視光線に反応しない(またはに対して感受性が少ない)。同様に、第2のレジスト層は、400nm~800nmの波長の可視光線に露光することによって光硬化させられ、そして可視光感受性組成物(C2)中の可視光吸収増感剤(d2)およびUV線ブロッキング物質(g)の存在のために、第2のレジストは、400nm未満の入射光線に反応しない。その結果として、本方法は、同時に第1のレジスト層および第2のレジスト層を像様露光して異なるまたは独特のレジストパターンを透明な導電性基板の両面上に形成し得る。
【0149】
本発明の方法の第3の工程は、(C)同時に第1のレジストパターン33および第2のレジストパターン34を、それぞれのレジスト層の非露光部を除去することによって現像する工程である(図3Bを参照されたい)。
【0150】
ポリマーフィルムが第1のレジスト層および第2のレジスト層上に残っている場合、支持フィルムは剥離され、次いでそれぞれのレジスト層の非露光エリアが除去される(現像される)。現像プロセスの例には、湿式現像および乾式現像が含まれ、湿式現像が広く使用されている。
【0151】
現像液(すなわち現像剤)は、一般に、0.01重量%~5重量%の水溶性塩基の水溶液である。適切な水溶性塩基には、水酸化リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属水酸化物;炭酸および重炭酸リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどの弱酸の塩基反応性アルカリ金属塩;水酸化アンモニウム並びに水酸化テトラメチルおよびテトラフェニルアンモニウムなどの四置換アンモニウム水酸化物;水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩および硫化物を含むスルホニウム塩;ナトリウムおよびカリウムの三リン酸塩およびピロリン酸塩などのアルカリ金属リン酸塩およびピロリン酸塩;水酸化テトラメチルホスホニウムなどの四置換ホスホニウム、アルソニウム、およびスチボニウム水酸化物が含まれる。好ましい現像剤は、0.1~3重量%の炭酸ナトリウム水溶液である。
【0152】
現像剤はまた、界面活性剤を含有し得る。しかしながら、全有機物含有量は、10重量%未満、好ましくは5重量%未満である必要がある。
【0153】
レジストパターン現像は、浸漬または噴霧などの、任意の従来の技法を用いて回分または連続プロセスとして同時に第1のレジスト層および第2のレジスト層に関して実施され得る。現像は、室温で行われ得るかまたは約50℃までの温度に加熱され得る。多くの商用処理装置が現像のために利用可能である。
【0154】
本発明の方法の第4の工程は、(D)それぞれのレジストパターンによって保護されていない第1の透明な導電性層および第2の透明な導電性層の部分をエッチングすることである(図3Cを参照されたい)。
【0155】
エッチング方法は、除去される透明な導電性層の構成材料に応じて適切に選択され得る。エッチング方法は、同時に第1の透明な導電性層および第2の透明な導電性層に関して実施され得る。
【0156】
エッチング液の例には、銀含有導電性層をエッチングするための溶液が含まれ、硝酸イオンの含有量は、エッチング液の総量に関して約16.0重量%~約35.0重量%である。
【0157】
硝酸イオンのイオン源は、それが水に溶解して硝酸イオンを生成し得る限り、特に限定されない。硝酸イオン源の例には、硝酸、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ウラニル、硝酸カルシウム、硝酸銀、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、および硝酸鉛(II)、硝酸バリウム、硝酸コバルト(II)、硝酸ビスマス(III)、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ジアンモニウムセリウム(IV)、硝酸パラジウム(II)、硝酸銅(II)、硝酸カドミウム、硝酸タリム(III)、硝酸セリウム(III)、硝酸亜鉛、硝酸ニッケル(II)、硝酸ジルコニル、硝酸アルミニウム、硝酸リチウム、硝酸水銀(II)、硝酸セシウム、硝酸ガドリウム(III)、硝酸エルビウム(III)、硝酸ユーロピウム(III)、硝酸ルテチウム(III)、硝酸インジウム(III)、硝酸イットリウム(III)、硝酸ガリウム、硝酸サマリウム(III)、または硝酸イッテルビウム(III)が含まれる。
【0158】
より容易にエッチング速度を増大させるという観点から、硝酸イオンのイオン源は、好ましくは、硝酸、硝酸鉄(II)および硝酸鉄(III)からなる群から選択される1種以上を含有する。鉄(III)は、酸化還元電位の観点から硝酸が銀を酸化するための有効な触媒として機能する。それ故に、より容易にエッチング速度を増大させるという観点から、硝酸イオンのイオン源は、より好ましくは、硝酸鉄(III)を含有している。
【0159】
本発明の方法の第5の工程は、(E)同時に第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンを剥離して、2つの導電回路23および24を透明なコア10の両面上に有する透明な導電性ラミネートを提供する工程である(図3Dを参照されたい)。
【0160】
第1のレジストパターンおよび第2のレジストパターンがそれらの機能を実行するとすぐに、レジストパターンは次いで、剥離速度を改善するためにかまたは金属攻撃若しくは汚染を最小限にするために、有機アミンまたは溶媒を含有し得る水性剥離溶液によって一般に除去され得る。水性剥離溶液は、典型的には、レジストパターンの現像に使用される水性現像液のそれよりも強いアルカリ度を有する。水性剥離溶液は、1~10重量%の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液であり得る。
【0161】
レジストパターン剥離方法の例には、浸漬および噴霧が含まれ、これらの方法は、単独でまたはそれらの組合せで使用される。剥離方法は、同時に第1の透明な導電性層および第2の透明な導電性層に関して実施され得る。
【0162】
更なる詳述なしに、先行の記載を用いる当業者は、本発明をその最大限まで利用し得ると考えられる。以下の実施例は、それ故に、単に例証的なものと解釈され、本開示を決して限定するものではないと解釈されるべきである。
【実施例0163】
(原材料)
(アルカリ可溶性コポリマー(a):)
A-1:メチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/スチレン(32/18/25/25)で構成されるコポリマー、55,000のMw、2.2の分散性および162.8mgKOH/gの酸価。
(重合性化合物(b))
B-1:ポリエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、全17EO、CAS番号41637-38-1、Sartomerから購入、商品名:BPE900。
B-2:トリメチロールプロパントリメタクリレート、CAS番号3290-92-4、Sartomerから購入、商品名:SR350NS。
(光開始剤(c))
C-1:o-Cl-HABI、2-(2-クロロフェニル)-1-[2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニル-2H-イミダゾール-2-イル]-4,5-ジフェニル-1H-イミダゾール、CAS番号7189-82-4、Hampford Research Incから購入。
C-2:TCDM-HABI、2,2’,4-トリス(2-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,1’-ビ-1H-イミダゾール、CAS番号100486-97-3、Hampford Research Incから購入。
C-3:OMNIRAD 369、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、CAS番号119313-12-1、IGM resinsから購入。
C-4:3-シクロペンチル-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-プロパノン-1-(O-アセチルオキシム)、CAS番号1227375-90-7、Changzhou Tronly New Electronic Materials Co.,Ltd.から購入、製品名:TR-PBG-304。
(増感剤(d))
D1-1:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、CAS番号90-93-7、Sigma-Aldrichから購入。
D1-2:4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、CAS番号530-44-9、Sigma-Aldrichから購入。
D2-1:BFBK、1,3-ビス(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-2-プロパノン、CAS番号24293-93-4、Hampford Research Incから購入。
D2-2:3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)-2H-ベンゾピラン-2-オン、CAS番号77016-78-5、Changzhou Tronly New Electronic Materials Co.,Ltd.から購入、製品名:TR-PSS-202。
(他の添加剤(e))
E-1:LCV、ロイコクリスタルバイオレット、CAS番号603-48-5、Changzhou Tronly New Electronic Materials Co,Ltd.から購入、製品名:TR-LCV。
E-2:5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、CAS番号60932-58-3、PMC Specialties Group USAから購入。
E-3:5-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール、CAS番号94-97-3、Sigma-Aldrichから購入。
E-4:マラカイトグリーン、塩化物塩、CAS番号569-64-2、Sigma-Aldrichから購入。
E-5:4-tert-ブチルカテコール、CAS番号98-29-3、Sigma-Aldrichから購入。
(可視光ブロッキング物質(f))
F-1:Eusorb UV-1995、431nmでピーク吸収(PMMAポリマー中に0.2重量%ドープされた、および25mmフィルムにコーティングされる)、Eutec Chemical Co.,Ltdから購入。
(UV線ブロッキング物質(g))
G-1:2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、CAS番号131-55-5、360nmでピーク吸収(PMMAポリマー中に0.2重量%ドープされた、および25mmフィルムにコーティングされる)、Everlight Chemicalから購入、製品名:Eversorb 51。
【0164】
(ドライフィルムサンプル(M1~M11)の調製)
ドライフィルムサンプルを形成するための感光性組成物を、表1に列挙されるような重量部で各原料を秤量し、次いでアセトンとメタノールとの溶媒混合物(90:10)に原料を添加して、約30%の固形分を有するコーティング溶液を形成することによって調製した。コーティング溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(すなわち、16μm厚さの支持フィルム、東レ株式会社によって製造される)上へキャストし、室温で乾燥させて、PETフィルム上に厚さ約15μmのレジスト層を含有するドライフィルムサンプルを形成した。
【0165】
【表1】
【0166】
(露光エネルギーの評価)
露光感度を評価するために、各ドライフィルムサンプルM1~M11を含有する検体を調製した。検体は、5kg/cmのプレス圧力および2m/分の速度下にホットロール積層装置(HRL-24、DuPont Co.,Wilmington,Del.)を使用して120℃でドライフィルムサンプル(M1~M11)をPETフィルム(16μm厚さ、東レ株式会社によって製造される)に積層することによって調製し、次いで1時間で室温に冷却して露光エネルギー評価のための検体を得た。各検体を、PETフィルム(16μm)/レジスト層(15μm)/PETフィルム(16μm)の構造を有する正方形片(サイズ:15×15cm)にカットした。PET film (16 μm)/Resist layer (15 μm)/PET film (16 μm).
【0167】
各検体に、高圧水銀ランプを備えたおよび355~390nm(UV線)の範囲での露光のための狭帯域-通過フィルターかまたは400nm以上(可視光)での露光のためのロング-パスフィルタかのどちらかであるフォトマスクを装着したMA8接触式アライナ(SUSS MicroTechによって製造される)を用いることによって照射した。次いで、ステップウェッジ(41ステップ、Stoufferによって製造される)をPETフィルム上に置き、あらかじめ設定した露光エネルギー(例えば、100、150、1000mJ/cmまで)で照射した。
【0168】
露光および15分超室温で置いた後、PETフィルムを剥離した。検体を、現像時間の2倍である継続時間の間30℃において0.2MPaの圧力で1%炭酸ナトリウム水溶液を噴霧することによって現像した。脱イオン水でリンスし、乾燥させた後、Stouffer 41 Step Wedgeと比べて検体に関して保持される露光エネルギーの結果生じたステップの数を記録した。ドライフィルムレジストのそれぞれに関してStouffer 41 Step Wedge上に保持される12ステップを得るために必要とされる露光エネルギー(mJ)(ESST12)を表2に列挙した。保持される同じ数のステップをもたらすためのより大きい露光エネルギーは、レジスト層が選択された露光波長でより低い感度を有することを意味した。
【0169】
(トリガーエネルギーの計算)
Stouffer 41 Step Wedge上に保持される0-ステップを得るための各ドライフィルムサンプルの露光エネルギー(ESST0)をトリガーエネルギー(ESST0)として報告した。トリガーエネルギーは、以下の方程式によって計算され得る:
SST0=ESST12/4 (方程式1)
【0170】
ドライフィルムサンプルM1~M11の計算されたESST0データを表2に列挙した。
【0171】
(ドライフィルムレジスト透過率の測定)
各ドライフィルムサンプルの透過率を、Lambda 35-UV/VIS分光計(Perlin Elmerによって製造される。測定条件 波長範囲:200nm~800nm、走査速度:300nm/分、走査間隔:0.50nm)を用いて測定した。ベースライン測定は、ドライフィルムサンプルの支持フィルムとして使用された16μm厚さのPETフィルムに関して行った。365nmおよび405nmでの透過率を記録し、表2に列挙した。
【0172】
(入射露光エネルギーの計算)
前述のようにおよび図3Aへの言及のように、本発明の両面フォトリソグラフィー法は、透明な導電性基板の反対側上に配置される2つの光源を使用する。第1のレジスト(DF1)が、ESST12の露光エネルギーのUV光線(例えば、365nmでの)の第1の光源によって照射されると仮定すると、入射UV光線の露光エネルギー(Inc.E365)は、第2のレジスト(DF2)に達し得、DF1の365nmでの透過率(T365)および露光エネルギー(ESST12)によって計算される。
【0173】
同様に、ESST12の露光エネルギーの可視光線(例えば、405nmでの)の第2の光源によって照射される第2のレジスト(DF2)に関して、入射可視光線の露光エネルギー(Inc.E405)は、第1のレジスト(DF1)に達し得、DF2の405nmでの透過率(T405)および405nmでの露光エネルギー(ESST12)によって計算される。各ドライフィルムサンプルM1~M11の入射UV光線(Inc.E365)および入射可視光線(Inc.E405)の計算された露光エネルギーを表2に列挙した。
【0174】
(ドライフィルムサンプルM1~M11の解像度評価)
ドライフィルムサンプルM1~M11の解像度を、明記されたドライフィルムサンプルと透明な導電性ベースとを含有するラミネートに関して評価した。透明な導電性ベースは、PETフィルム(すなわち、透明なコア10、サイズ:15cm×15cm×50mm)で構成され、PETフィルムの各面上を銀ナノワイヤーの薄層(すなわち、第1のおよび第2の透明な導電性層21および22)でコーティングされた。ドライフィルムサンプルを透明な導電性ベース上に置いてプレフォームを得た。
【0175】
構造:[ドライフィルムサンプル/AgNW/PET/AgNW]を有するプレフォームを、5kg/cmのプレス圧力および2m/分の速度下にホットロール積層装置(HRL-24、DuPont Co.,Wilmington,Del.)を使用して120℃で積層し、次いで15分間で室温に冷却した。
【0176】
結果として生じたラミネートを、1:1である露光部分対非露光部分のL/S比を有するラインマスク(クロムガラスマスク)によってStouffer 41 Step Wedge上に保持される12ステップを得るための露光エネルギー(ESST12)で露光した。ライン幅は、5μm~30μmの範囲であった。現像を最小現像時間の2倍の現像時間で行い、普通は形成された硬化フォトレジストラインの最小マスクライン幅を、解像度(μm単位)と見なし、次のとおり分類した:
◎:解像度は、10μm以下である。
○:解像度は、10μm~15μmである。
×:解像度は、15μm~30μmである。
【0177】
各ドライフィルムサンプルの解像度を表2に示した。
【0178】
【表2】
【0179】
(実施例1の透明な導電性基板の調製)
次に、ドライフィルムサンプルM2およびM10を、それぞれ、DF1およびDF2として表3に従って透明な導電性ベースの両面上に置いた。透明な導電性ベースは、PETフィルム(すなわち、透明なコア10、サイズ:15cm×15cm×50mm)で構成され、PETフィルムの各面上を銀ナノワイヤーの薄層(すなわち、第1のおよび第2の透明な導電性層21および22)でコーティングされた。
【0180】
PET/M2/AgNW/PET/AgNW/M10/PETの構造を有する積み重ねプレフォームを、5kg/cmのプレス圧力および2m/分の速度下にホットロール積層装置(HRL-24、DuPont Co.,Wilmington,Del.)を使用して120℃で積層し、次いで1時間で室温に冷却して実施例1の透明な導電性基板を得た。
【0181】
(実施例2~8および比較例1~7の透明な導電性基板の調製)
全ての実施例(E2~E8)および比較例(CE1~CE7)を、実施例1に関して上で記載されたものと同じ手順によって調製した。各実施例(E2~E8)および比較例で使用された一連のドライフィルムサンプルを表3に列挙した。
【0182】
(実施例(E1~E8)および比較例(CE1~CE7)の性能)
一連の指定DF1およびDF2を含有する透明な導電性基板の性能を、両面フォトリソグラフィー法にかけた後で評価した。[PET/第1のレジスト]/AgNW/PET/AgNW/[第2のレジスト/PET]の構造を有する実施例1~8および比較例CE1~CE7の調製された透明な導電性基板を、入射光露光によりパターン化することによって評価した。
【0183】
透明な導電性基板を、L/S=15mm/15mm平行線パターンを有するラインマスク(クロムガラスマスク)によって露光した。第1のレジスト層31を、高圧水銀ランプによっておよび355~390nm(UV線)の範囲での露光のための水平線パターンのフォトマスクを備えて照射し;第2のレジスト層32を、高圧水銀ランプによっておよび400nm以上の波長での可視光線での露光のための垂直線パターンのフォトマスクを備えて照射した。
【0184】
現像後に、得られた透明な導電性ラミネートの両表面上のパターンを、光学顕微鏡によって視覚的にチェックした。一つの表面上のパターン形状を他の表面上のパターン形状に反映させ、評価し、表3に記録した。
【0185】
365nmでの入射UV光線によるDF2の光硬化を避けるために、適切なDF2は、入射露光エネルギーよりも少なくとも高い365nmでのトリガーエネルギー(ESST0)を持たなければならない。405nmでの入射可視光線によるDF1の光硬化を避けるために、適切なDF1は、入射露光エネルギー(Inc.E405)よりも少なくとも高い405nmでのトリガーエネルギー(ESST0)を持たなければならない。例えば、ドライフィルムM3がDF1として使用される場合、DF2として使用される潜在的に適切なドライフィルムサンプルは、表3によればM8~M11を含む。
【0186】
透明な導電性基板の画像性能を、現像後の処理された透明な導電性基板上に残された残留レジストの量によって評価し、表3に記録した。
【0187】
透明な導電性基板の画像性能を以下のとおり類別した。
◎:水平線と垂直線との間の交差領域は、レジスト残渣を全く示さなかった(図4Aを参照されたい)
○:水平線と垂直線との間の交差領域は、わずかなレジスト残渣を示した(図4Bを参照されたい)
×:水平線と垂直線との間の交差領域は、著しいレジストパターンを示した(図4Cを参照されたい)
【0188】
【表3】
【0189】
表3に列挙される結果から、以下が明らかである。
【0190】
実施例E1~E8の透明な導電性基板は、比較例(CE1~CE7)のそれらと比べて、剥離後に各透明な導電性基板の両面上の結果として生じたきれいなレジストパターンによって評価される良好な~優れた画像性能を実証した。言い換えれば、反対光源からの入射光線によって引き起こされるレジスト層の予期されない重合は全くない。
【0191】
第1のレジスト層および第2のレジスト層が異なる波長領域の光線(すなわち、UV光線または可視光線)によって光硬化させられるために、適切な感光性組成物は、UV光線かまたは可視光線かのどちらかを吸収するように設計されている開始剤および/または増感剤を持たなければならない。透明な導電性基板が、同じものであるレジスト層を両面上に有する場合、本発明の両面リソグラフィー法を用いることによって、結果として生じた透明な導電性ラミネートは許容できない画像性能を示すであろうことが予期される。上記所説は、CE1およびCE2に関して見出された結果によって支持される。
【0192】
表3におけるCE1のデータを検討すると、ドライフィルムM1であるDF2からDF1への入射光エネルギー(Inc.E405)は、DF1としてのドライフィルムM1の可視光によるトリガーエネルギー(405nmでのESST0)(すなわち、148mJ)よりもはるかに高い480mJである。加えて、ドライフィルムM1であるDF1からDF2への入射光エネルギー(Inc.E365)は、DF2としてのドライフィルムM1のUV線によるトリガーエネルギー(365nmでのESST0)(すなわち、39mJ)よりもまた高い74mJである。それ故に、第1のレジスト層および第2のレジスト層の両方とも、反対側から透明なコアを通って伝達される入射光線によって不可避的にパターン化された。
【0193】
E1(すなわち、ドライフィルムM2/M10で構成される)とCE7(すなわち、ドライフィルムM1/M10で構成される)とを比較して、E1は、第1のレジスト層としてドライフィルムM2を使用し、一方、CE7は、第1のレジスト層としてドライフィルムM1を使用した。ドライフィルムM1およびM2は両方とも、それぞれ異なる増感剤を含有するけれども、それらは、UV光線による類似のESST12(155mJ対185mJ)を有する。しかしながら、それぞれのトリガーエネルギー(405nmでのESST0は、M2に関して267mJ、M1に関して148mJである)によって判断するように、ドライフィルムM2がドライフィルムM1のそれよりも低い可視光感受性を有するために、E1においてM2で構成される第1のレジスト層は、ドライフィルムM10で構成される同じ第2のレジスト層を通過した入射可視光エネルギー(すなわち、226mJ)によってパターン化されなかった。
【0194】
E7(M7/M10)とE1(M2/M10)とを比較して、ドライフィルムM7における可視光ブロッキング物質(f)の添加は、405nmでのESST0(M7に関して283mJ対M2に関して267mJ)によって判断するところでは、M7の入射可視光の感度を一見したところ低くした。
【0195】
本発明は典型的な実施形態において例示されおよび記載されてきたが、様々な修正および置換が本発明の主旨から逸脱することなく可能であるので、示された詳細に限定されることは意図されない。したがって、本明細書に開示される発明の修正および同等物は、ただのルーチンにすぎない実験を用いて当業者に思い当たり得、全てのそのような修正および同等物は、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の主旨および範囲内にあると考えられる。
【符号の説明】
【0196】
10 透明なコア
21 第1の透明な導電性層
22 第2の透明な導電性層
23 導電回路
24 導電回路
31 第1のレジスト層
32 第2のレジスト層
33 第1のレジストパターン
34 第2のレジストパターン
41 第1のポリマーフィルム
42 第2のポリマーフィルム
100 透明な導電性基板
110 第1の光源
120 第2の光源
200 透明な導電性基板
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】