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特開2024-32696スマートサセプタを用いた誘導加熱によるオートクレーブ外での複合材の硬化
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  • 特開-スマートサセプタを用いた誘導加熱によるオートクレーブ外での複合材の硬化 図1
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  • 特開-スマートサセプタを用いた誘導加熱によるオートクレーブ外での複合材の硬化 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032696
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】スマートサセプタを用いた誘導加熱によるオートクレーブ外での複合材の硬化
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/44 20060101AFI20240305BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20240305BHJP
   B29C 43/12 20060101ALI20240305BHJP
   B29C 43/58 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B29C70/44
B29C70/54
B29C43/12
B29C43/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023139197
(22)【出願日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】63/373,803
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/306,814
(32)【優先日】2023-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マットセン, マーク アール.
(72)【発明者】
【氏名】スポルディング, ジョン エフ.
【テーマコード(参考)】
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F204AC03
4F204AD16
4F204AG28
4F204AH31
4F204AM28
4F204AR12
4F204FA01
4F204FA13
4F204FB01
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ37
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG28
4F205AH31
4F205AM28
4F205AR12
4F205HA09
4F205HA25
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK19
4F205HK22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】比較的単純な硬化ツールを採用するオートクレーブ外での複合材部品の硬化ための方法及び装置を提供する。
【解決手段】複合材パネルを硬化させるための方法及び誘導硬化システム。該誘導硬化システムは、複合材料を保持するように構成された剛性硬化ツール、剛性硬化ツールに密封された真空バギング材料、及び格子と剛性材料で形成されたオープンケーシングとを有する寸法制御構造を備える。格子は、オープンケーシングの凹部内に配置され、寸法制御構造は、真空バギング材料又は剛性硬化ツールの少なくとも一方に密封される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材パネル(256)を硬化させるための寸法制御構造(204)であって、
スパー補強材プロキシ(264)とリブ補強材プロキシ(266)とで形成された格子(210)であって、前記スパー補強材プロキシ(264)の各スパー補強材プロキシと前記リブ補強材プロキシ(266)の各リブ補強材プロキシとは、前記複合材パネル(256)のデザイン(258)用の設計された位置に配置されている、格子(210)、及び
剛性材料(214)で形成されたオープンケーシング(212)であって、前記格子(210)は、前記オープンケーシング(212)の凹部(216)内に配置されている、オープンケーシング(212)を備える、寸法制御構造(204)。
【請求項2】
前記オープンケーシング(212)に取り付けられた厚さ制御フィーチャ(274)を更に備える、請求項1に記載の寸法制御構造(204)。
【請求項3】
前記スパー補強材プロキシ(264)と前記リブ補強材プロキシ(266)は、インバー又は複合材料で形成されている、請求項1に記載の寸法制御構造(204)。
【請求項4】
前記凹部(216)内にファン(278)を更に備える、請求項1に記載の寸法制御構造(204)。
【請求項5】
複合材パネル(256)を硬化させるための誘導硬化システム(200)であって、
複合材料(218)を保持するように構成された剛性硬化ツール(206)、
前記剛性硬化ツール(206)に密封された真空バギング材料(208)、及び
格子(210)と剛性材料(214)で形成されたオープンケーシング(212)とを有する寸法制御構造(204)を備え、前記格子(210)は、前記オープンケーシング(212)の凹部(216)内に配置され、前記寸法制御構造(204)は、前記真空バギング材料(208)又は前記剛性硬化ツール(206)の少なくとも一方に密封されている、誘導硬化システム(200)。
【請求項6】
前記寸法制御構造(204)の前記格子(210)は、スパー補強材プロキシ(264)とリブ補強材プロキシ(266)とを備え、前記スパー補強材プロキシ(264)の各スパー補強材プロキシと前記リブ補強材プロキシ(266)の各リブ補強材プロキシとは、前記複合材パネル(256)のデザイン(258)用の設計された位置に配置されている、請求項5に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項7】
前記真空バギング材料(208)と前記剛性硬化ツール(206)との間の第1の真空ゾーン(222)を更に含む、請求項5に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項8】
前記真空バギング材料(208)と前記寸法制御構造(204)の前記オープンケーシング(212)との間の第2の真空ゾーン(232)を更に含む、請求項7に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項9】
前記寸法制御構造(204)と前記真空バギング材料(208)又は前記剛性硬化ツール(206)の少なくとも一方と間の幾つかのシール(238)を更に備え、前記幾つかのシール(238)は、前記寸法制御構造(240)と前記剛性硬化ツール(206)との間の距離(240)が減少するときに、前記寸法制御構造(204)と前記真空バギング材料(208)との間の第2の真空ゾーン(232)を維持するように構成されている、請求項5に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項10】
前記幾つかのシール(238)は、膨張可能(242)である、請求項9に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項11】
前記真空バギング材料(208)は、誘導加熱ブランケット(248)である、請求項5に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項12】
前記剛性硬化ツール(206)内に誘導加熱回路(246)を更に備える、請求項5に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項13】
前記寸法制御構造(204)の前記オープンケーシング(212)又は前記剛性硬化ツール(206)の少なくとも一方内に存在するファン(278)を更に備える、請求項5に記載の誘導硬化システム(200)。
【請求項14】
複合材パネル(256)を硬化させる方法(700)であって、
複合材料(218)が剛性硬化ツール(206)上にある間に、真空バギング材料(208)と剛性硬化ツール(206)との間の第1の真空ゾーン(222)内で真空を引くこと(702)、
前記剛性硬化ツール(206)上の前記複合材料(218)から揮発性物質及びガスを除去するために、前記第1の真空ゾーン(222)が真空下にある間に、前記真空バギング材料(208)と寸法制御構造(204)のオープンケーシング(212)との間の第2の真空ゾーン(232)内で真空を引くこと(704)であって、前記オープンケーシング(212)は剛性材料(214)で形成され、前記寸法制御構造(204)は前記オープンケーシング(212)の凹部(216)内に格子(210)を有する、第2の真空ゾーン(232)内で真空を引くこと(704)、
前記第2の真空ゾーン(232)内の前記真空を少なくとも部分的に解放すること(706)、及び
前記格子(210)を使用して前記複合材料(218)の寸法を維持するように前記格子(210)が配置されるまで、前記寸法制御構造(204)を前記複合材料(218)に向けて下げること(708)を含む、方法(700)。
【請求項15】
前記寸法制御構造(204)を下げることは、前記格子(210)が前記真空バギング材料(208)に接触するまで、前記寸法制御構造(204)を下げること(716)を含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項16】
前記第1の真空ゾーン(222)が真空下にあり、前記第2の真空ゾーン(232)が真空下にある間に、前記複合材料(218)を加熱すること(710)を更に含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項17】
前記複合材料(218)を加熱することは、
前記第1の真空ゾーン(222)が真空下にあり、前記第2の真空ゾーン(232)が真空下にある間に、前記剛性硬化ツール(206)の誘導加熱回路によって前記複合材料(218)を加熱すること(712)を含む、請求項16に記載の方法(700)。
【請求項18】
前記真空バギング材料(208)は、誘導加熱ブランケット(248)であり、前記複合材料(218)を加熱することは、
前記誘導加熱ブランケット(248)によって、前記複合材料(218)を加熱すること(714)を更に含む、請求項16に記載の方法(700)。
【請求項19】
前記複合材料(218)の前記寸法を維持するように前記寸法制御構造(204)が配置されている間に、前記複合材料(218)を前記複合材料(218)の硬化温度まで加熱すること(720)を更に含む、請求項16に記載の方法(700)。
【請求項20】
前記寸法制御構造(204)を前記複合材料(218)に向けて下げることは、厚さ制御フィーチャが前記寸法制御構造(204)と前記剛性硬化ツール(206)との両方に接触するまで、前記寸法制御構造(204)を下げること(718)を含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項21】
前記剛性硬化ツール(206)の温度を制御するために、前記剛性硬化ツール(206)内のファン(278)を起動すること(722)を更に含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項22】
前記寸法制御構造(204)の温度を制御するために、前記剛性硬化ツール(206)内のファン(278)を起動すること(724)を更に含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項23】
複合材料(218)を硬化させる方法(800)であって、
寸法制御構造(204)、真空バギング材料(208)、及び剛性硬化ツール(206)を使用して、複合材料(218)に対して二重真空デバルクを実行すること(802)であって、前記複合材料(218)は、前記真空バギング材料(208)と前記剛性硬化ツール(206)との間に配置される、複合材料(218)に対して二重真空デバルクを実行すること(802)、
前記寸法制御構造(204)の格子(210)を使用して前記複合材料(218)の寸法を維持するように前記格子(210)が配置されるまで、前記寸法制御構造(204)を前記複合材料(218)に向けて下げること(804)であって、前記格子(210)は、前記寸法制御構造(204)のオープンケーシング(212)の凹部(216)内に配置される、前記寸法制御構造(204)を前記複合材料(218)に向けて下げること(804)、並びに
前記複合材料(218)の前記寸法を維持するように前記寸法制御構造(204)の前記格子(218)が配置されている間に、前記複合材料(218)を硬化させること(806)を含む、方法(800)。
【請求項24】
前記二重真空デバルクを実行することは、
前記複合材料(218)が前記剛性硬化ツール(206)上にある間に、前記真空バギング材料(208)と前記剛性硬化ツール(206)との間の第1の真空ゾーン(222)内で真空を引くこと(808)、及び
前記剛性硬化ツール(206)上の前記複合材料(218)から揮発性物質及びガスを除去するために、前記第1の真空ゾーン(222)が真空下にある間に、前記真空バギング材料(208)と前記寸法制御構造(204)の前記オープンケーシング(212)との間の第2の真空ゾーン(232)内で真空を引くこと(810)を含む、請求項23に記載の方法(800)。
【請求項25】
前記複合材料(218)を硬化させることは、前記第2の真空ゾーン(232)から前記真空を少なくとも部分的に解放した後で、前記複合材料(218)を前記複合材料(218)の硬化温度まで加熱すること(820)を含む、請求項24に記載の方法(800)。
【請求項26】
前記二重真空デバルクを実行することは、
前記第1の真空ゾーン(222)が真空下にあり、前記第2の真空ゾーン(232)が真空下にある間に、前記複合材料(218)を加熱すること(812)を更に含む、請求項24に記載の方法(800)。
【請求項27】
前記複合材料(218)を加熱することは、
前記第1の真空ゾーン(222)が真空下にあり、前記第2の真空ゾーン(232)が真空下にある間に、前記剛性硬化ツール(206)の誘導加熱回路によって前記複合材料(218)を加熱すること(814)を含む、請求項25に記載の方法(800)。
【請求項28】
前記真空バギング材料(208)は、誘導加熱ブランケット(248)であり、前記複合材料(218)を加熱することは、
前記誘導加熱ブランケット(248)によって、前記複合材料(218)を加熱すること(816)を更に含む、請求項25に記載の方法(800)。
【請求項29】
前記寸法制御構造(204)を下げることは、前記格子(210)が前記真空バギング材料(208)に接触するまで、前記寸法制御構造(204)を下げること(818)を含む、請求項23に記載の方法(800)。
【請求項30】
複合材料(218)をデバルクする方法(900)であって、
前記複合材料(218)が剛性硬化ツール(206)上に存在する間に、真空バギング材料(208)を前記剛性硬化ツール(206)に密封すること(902)、及び
寸法制御構造(204)を前記真空バギング材料(208)又は前記剛性硬化ツール(206)の少なくとも一方に密封すること(904)を含み、前記寸法制御構造(204)は、格子(210)と剛性材料(214)で形成されたオープンケーシング(212)とを有し、前記格子(210)は、前記オープンケーシング(212)の凹部(216)内に配置される、方法(900)。
【請求項31】
前記真空バギング材料(208)と前記剛性硬化ツール(206)との間の第1の真空ゾーン(222)内で真空を引くこと(906)を更に含む、請求項30に記載の方法(900)。
【請求項32】
前記寸法制御構造(204)と前記真空バギング材料(208)との間の第2の真空ゾーン(232)内で真空を引くこと(908)を更に含む、請求項31に記載の方法(900)。
【請求項33】
前記第1の真空ゾーン(222)内で前記真空を引き、前記第2の真空ゾーン(232)内で前記真空を引いている間に、前記複合材料(218)を加熱すること(910)を更に含む、請求項32に記載の方法(900)。
【請求項34】
前記寸法制御構造(204)の前記格子(210)は、スパー補強材プロキシ(264)とリブ補強材プロキシ(266)とを備え、前記スパー補強材プロキシ(264)の各スパー補強材プロキシと前記リブ補強材プロキシ(266)の各リブ補強材プロキシとは、前記複合材料(218)を使用して形成される複合材パネル(256)のデザイン(258)用の設計された位置に配置される(912)、請求項30に記載の方法(900)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2022年8月29日に出願され、「Curing Composite Out-of-Autoclave Using Induction Heating with Smart Susceptors」と題された米国仮特許出願第63/373,803号の利益を主張するものであり、同仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
[0002] 本出願は、広くは、複合材部品のオートクレーブ外での硬化のための方法及び装備に関し、特に、誘導加熱及びスマートサセプタを使用して比較的大きな部品を硬化させるための方法及びスタンドアローン工具を取り扱う。
【背景技術】
【0003】
[0003] 複合材部品は、オーブン又はオートクレーブ内で硬化され得る。それらの中では、硬化プロセス中に複合材部品の形状を維持する硬化ツール上に支持されている間に、その部品に熱が加えられる。オーブン又はオートクレーブを必要とすることなしに複合材部品を硬化させるための技法が開発されてきたが、これらの技法は、比較的小さな部品を硬化させることに限定されており、並びに/又は比較的複雑及び/若しくは高価な工具を利用する。製造コストと製造時間を削減することは、製造業にとって望ましいことである。したがって、比較的単純な硬化ツールを採用するオートクレーブ外での複合材部品の硬化ための方法及び装置が必要とされている。オートクレーブ外で比較的大きな部品を硬化させるのにも適した、上述の種類の方法及び装置もまた必要とされている。
【0004】
[0004] したがって、上述の問題のうちの少なくとも幾つかのみならず、その他の生じ得る問題も考慮した、方法及び装置を有することができれば、それが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の一実施形態は、複合材パネルを硬化させるための寸法制御構造を提供する。寸法制御構造は、スパー補強材プロキシとリブ補強材プロキシとで形成された格子、及び剛性材料で形成されたオープンケーシングを備える。格子は、オープンケーシングの凹部内に配置されている。スパー補強材プロキシの各スパー補強材プロキシとリブ補強材プロキシの各リブ補強材プロキシとは、複合材パネルのデザイン用の設計された位置に配置される。
【0006】
[0006] 本開示の別一実施形態は、複合材パネルを硬化させるための誘導硬化システムを提供する。該誘導硬化システムは、複合材料を保持するように構成された剛性硬化ツール、剛性硬化ツールに密封された真空バギング材料、及び格子と剛性材料で形成されたオープンケーシングとを有する寸法制御構造を備える。寸法制御構造は、真空バギング材料又は剛性硬化ツールの少なくとも一方に密封されている。格子は、オープンケーシングの凹部内に配置されている。
【0007】
[0007] 本開示の更に別の一実施形態は、複合材パネルを硬化させる方法を提供する。複合材料が剛性硬化ツール上にある間に、真空バギング材料と剛性硬化ツールとの間の第1の真空ゾーン内で真空が引かれる。剛性硬化ツール上の複合材料から揮発性物質及びガスを除去するために、第1の真空ゾーンが真空下にある間に、真空バギング材料と寸法制御構造のオープンケーシングとの間の第2の真空ゾーン内で真空が引かれる。オープンケーシングは、剛性材料で形成されている。寸法制御構造は、オープンケーシングの凹部内に格子を有する。第2の真空ゾーン内の真空は、少なくとも部分的に解放される。寸法制御構造は、格子を使用して複合材料の寸法を維持するように格子が配置されるまで、複合材料に向けて下げられる。
【0008】
[0008] 本開示の更なる一実施形態は、複合材料を硬化させる方法を提供する。寸法制御構造、真空バギング材料、及び剛性硬化ツールを使用して、複合材料に対して二重真空デバルクが実行される。複合材料は、真空バギング材料と剛性硬化ツールとの間に配置される。寸法制御構造は、寸法制御構造の格子を使用して複合材料の寸法を維持するように格子が配置されるまで、複合材料に向けて下げられる。格子は、寸法制御構造のオープンケーシングの凹部内に配置される。複合材料は、複合材料の寸法を維持するように寸法制御構造が配置されている間に硬化される。
【0009】
[0009] これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態において個別に実現可能であるか、又は、下記の説明及び図面を参照して更なる詳細事項が理解され得る、更に別の実施形態において組み合わされ得る。
【0010】
[0010] 例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかし、例示的な実施形態並びに好ましい使用モード、更なる目的及びそれらの特性は、添付図面を参照しながら、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011] 例示的な一実施形態が実装されてよい航空機の図である。
図2】[0012] 例示的な一実施形態が実装されてよい製造環境のブロック図である。
図3】[0013] 例示的な一実施形態による誘導硬化システムの断面図である。
図4】[0014] 例示的な一実施形態による誘導硬化システムの断面図である。
図5】[0015] 例示的な一実施形態による時間及び温度のグラフである。
図6】[0016] 例示的な一実施形態による寸法制御構造の等角図である。
図7A】[0017] 例示的な一実施形態による複合材パネルを硬化させる方法のフローチャートである。
図7B】例示的な一実施形態による複合材パネルを硬化させる方法のフローチャートである。
図8】[0018] 例示的な一実施形態による複合材パネルを硬化させる方法のフローチャートである。
図9】[0019] 例示的な一実施形態による複合材パネルをデバルクする方法のフローチャートである。
図10】[0020] 例示的な一実施形態によるブロック図の形態にある航空機製造及び保守方法の図である。
図11】[0021] ブロック図の形態にある例示的な一実施形態が実装されてよい航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0022] 例示的な実施例は、1以上の異なる考慮事項を認識し、考慮する。例示的な実施例は、複合材構造物を製造することにおいて、複合材料の層が典型的にはツール上にレイアップされることを認識し考慮する。層は、テープ、トウ、又は他の適切な形態で、レイアップされてよい。幾つかの場合では、樹脂が繊維層に注入されるか又は予め含浸されてよい。樹脂が予め含侵された複合材料は、一般的にプリプレグと呼ばれる。
【0013】
[0023] プリプレグの種々の層が、種々の配向でレイアップされてよく、製造されている複合材構造の厚さに応じて異なる数の層が使用されてよい。これらの層は、テープ積層化機械又は繊維配置システムなどのような自動化された積層化機器を使用してレイアップされてよい。
【0014】
[0024] 熱硬化性複合材料では、種々の層がツール上にレイアップされた後で、複合材料の層が硬化される。熱硬化性材料は、温度と圧力とのうちの少なくとも一方に曝露されると硬化され、それによって、最終的な複合材構造を形成する。
【0015】
[0025] 更に、複合材料を使用して航空宇宙複合材構造を作製することにより、航空機の一部をより大きな部分又はセクション内に製造できる可能性がある。例えば、航空機内の胴体が、複数の円筒形セクションとして作製されてよく、次いで、航空機の胴体を形成するために組み付けられてよい。他の複数の実施例は、非限定的に、主翼を形成するために接合される主翼セクション、又は安定板を形成するために接合される安定板セクションを含む。
【0016】
[0026] 例示的な実施例は、大きな複合材構造を製造する製造時間又は製造コストの少なくとも一方を低減させることが望ましいことを認識し、考慮する。例示的な実施例は、誘導加熱を使用することによって製造時間が短縮され得ることを認識し、考慮する。例示的な実施例は、製造ステップを組み合わせることによって、製造時間が短縮され得ることを認識し、考慮する。例示的な実施例は、製造コストを低減させることが、許容範囲外の構成要素を低減させることによって実現されてよいことを認識し、考慮する。
【0017】
[0027] 例示的な実施例は、オートクレーブを使用することと比べて製造時間を短縮する。例示的な実施例は、局所的な加熱によりオートクレーブと比べてエネルギーを節約する。例示的な実施例はまた、オートクレーブやオーブンの待ち時間による複合材料のダウンタイムも短縮し得る。
【0018】
[0028] 次に図1を参照すると、例示的な一実施形態による航空機の図が示されている。航空機100は、胴体106に取り付けられた主翼102及び主翼104を有する。航空機100は、主翼102に取り付けられたエンジン108、及び主翼104に取り付けられたエンジン110を含む。
【0019】
[0029] 胴体106は、尾部112を有する。水平安定板114、水平安定板116、及び垂直安定板118が、胴体106の尾部112に取り付けられている。
【0020】
[0030] 航空機100は、誘導硬化システム及び方法を使用して製造され得る大きな複合材構成要素を有する航空機の一例である。航空機100は、寸法制御構造を使用する二重真空デバルク及び硬化を使用して製造され得る大きな複合材構成要素を有する航空機の一例である。
【0021】
[0031] 次に図2を参照すると、例示的な一実施形態が実装され得る製造環境のブロック図が示されている。誘導硬化システム200が、製造環境202内に存在する。誘導硬化システム200を使用して、航空機100の主翼102、主翼104、又は胴体106のうちの1つの外板などの、航空機100の一部分を製造することができる。
【0022】
[0032] 誘導硬化システム200は、寸法制御構造204、剛性硬化ツール206、及び真空バギング材料208を備える。寸法制御構造204は、格子210とオープンケーシング212を有する。オープンケーシング212は、剛性材料214で形成されている。幾つかの例示的な実施例では、オープンケーシング212が、「ハードバックシェル」と呼ばれ得る。格子210は、オープンケーシング212の凹部216内に配置されている。剛性硬化ツール206は、複合材料218を保持するように構成されている。真空バギング材料208は、剛性硬化ツール206に密封されている。寸法制御構造204は、真空バギング材料208又は剛性硬化ツール206の少なくとも一方に密封されている。寸法制御構造204を使用して、オーブン、オートクレーブ、又は同様な大きい加熱筐体なしに、複合材料218を硬化させることができる。
【0023】
[0033] 図示されているように、真空バギング材料208は、密封材220によって剛性硬化ツール206に密封されている。真空バギング材料208を剛性硬化ツール206に密封することによって、第1の真空ゾーン222が形成される。複合材料218は、真空バギング材料208と剛性硬化ツール206との間の第1の真空ゾーン222内に存在する。複合材料218は、第1の真空ゾーン222内でデバルクされ、硬化される。
【0024】
[0034] 幾つかの例示的な実施例では、複合材料218が、繊維強化ポリマー樹脂の積層されたプライを含む。幾つかの例示的な実施例では、複合材料218が、炭素繊維エポキシである。
【0025】
[0035] 複合材料218は、真空バギング材料208を剛性硬化ツール206に密封する前に、剛性硬化ツール206の表面上に置かれる。幾つかの例示的な実施例では、複合材料218が、ワンピースとして剛性硬化ツール206の上に置かれる。幾つかの例示的な実施例では、複合材料218が、ピックアンドプレースプロセスで剛性硬化ツール206の上に置かれる。幾つかの例示的な実施例では、自動化された又は手作業のレイアップ技法を使用して、複合材料218を剛性硬化ツール206上にレイアップすることによって、複合材料218が剛性硬化ツール206の上に置かれる。これらの例示的な実施例のうちの幾つかでは、複合材料218が剛性硬化ツール206上にレイアップされ得、寸法制御構造204が密封され得、レイアップステーションで複合材料218に対して二重デバルク及び硬化が実行され得る。
【0026】
[0036] 幾つかの例示的な実施例では、複合材料218の硬化中に複合材料218上に幾つかの補強材224が存在する。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの補強材224が予め硬化されている226。幾つかの補強材224が予め硬化されている226ときに、幾つかの補強材224は、複合材料218が未硬化であり、且つ幾つかの補強材224が硬化されているときに、複合材料218の上に置かれる。幾つかの例示的な実施例では、幾つかの補強材224が複合材料218上に存在するときに、複合材料218の硬化中に幾つかの補強材224を支持するために、幾つかのブラダー228が存在する。
【0027】
[0037] 複合材料218をデバルクするために、誘導硬化システム200を使用して、二重真空デバルクが複合材料218に対して実行される。第1の真空ゾーン222内で真空が引かれる。第1の真空源230によって、第1の真空ゾーン222に真空が加えられる。
【0028】
[0038] 真空バギング材料208と寸法制御構造204のオープンケーシング212との間に、第2の真空ゾーン232が形成される。オープンケーシング212は、上部234及び側部236によって形成されている。オープンケーシング212の側部236は、幾つかのシール238を用いて、真空バギング材料208又は剛性硬化ツール206の少なくとも一方に密封される。図示されているように、オープンケーシング212の側部236は、幾つかのシール238を用いて、真空バギング材料208に密封される。
【0029】
[0039] 寸法制御構造204と真空バギング材料208又は剛性硬化ツール206の少なくとも一方との間の幾つかのシール238は、寸法制御構造204と剛性硬化ツール206との間の距離240が減少するときに、寸法制御構造204と真空バギング材料208との間の第2の真空ゾーン232を維持するように構成されている。真空が、最初に第1の真空ゾーン222に加えられたときに、寸法制御構造204は、剛性硬化ツール206の上方に配置されている。それによって、寸法制御構造204は、剛性硬化ツール206又は真空バギング材料208に接触していない。幾つかの例示的な実施例では、幾つかのシール238が膨張可能242である。
【0030】
[0040] 第2の真空源244によって、第2の真空ゾーン232に真空が加えられる。第2の真空ゾーン232内で真空を引くことによって、真空バギング材料208へのクランプ力が緩和される。真空バギング材料208からクランプ力を除去することによって、複合材料218からクランプ力が除去され、任意の空気又は揮発性物質がより容易に複合材料218を出ることを可能にする。第2の真空ゾーン232に真空を加えることが、複合材料218をデバルクする助けとなる。
【0031】
[0041] 複合材料218は、空気や揮発性物質が複合材料218を出ることを可能にするよう加熱される。幾つかの例示的な実施例では、剛性硬化ツール206が誘導加熱回路246を備える。誘導加熱回路246は、電流を受け取り電流に応じて磁場を生成するための導体を備える。誘導加熱回路246は、導体に隣接して位置付けられた磁気材料を更に含む。磁気材料は、磁場に応じて熱を生成する。幾つかの例示的な実施例では、磁気材料が、キュリー温度を有するサセプタ材料である。キュリー温度は、サセプタ材料が非磁性になる温度である。磁場によるサセプタ材料の加熱は、サセプタ材料がキュリー温度に到達したときに停止する。
【0032】
[0042] サセプタ材料は、「スマートサセプタ」と呼ばれてよい。サセプタ材料は、導体に沿って延在する。幾つかの例示的な実施例では、サセプタ材料が、導体と同軸に取り付けられ、磁場に応じて誘導加熱するために導体から電気的に絶縁される。
【0033】
[0043] 幾つかの例示的な実施例では、真空バギング材料208が誘導加熱ブランケット248である。他の例示的な実施例では、真空バギング材料208が、誘導加熱ブランケット248から分離された材料である。例えば、真空バギング材料208は、誘導加熱ブランケット248の上に置かれ、剛性硬化ツール206に密封されてよい。
【0034】
[0044] 誘導加熱ブランケット248は、可撓性であり、複合材料218に形状が適合する。誘導加熱ブランケット248の可撓性により、誘導加熱ブランケット248は、様々な異なる形状及びサイズの複合材料と共に使用され得る。剛性硬化ツール206と誘導加熱ブランケット248は、各々、複合材料218を加熱するために誘導加熱される。誘導加熱ブランケット248は、誘導加熱ブランケット248内の誘導加熱回路250によって所望の温度に誘導加熱される。
【0035】
[0045] 第2の真空ゾーン232内の圧力は、複合材料218をデバルクするために調整される。デバルク目的が満たされた後で、第2の真空ゾーン232内の真空は少なくとも部分的に解放される。複合材料218を加熱している間に、第2の真空ゾーン232内の真空は少なくとも部分的に解放される。第2の真空ゾーン232内に大気圧が存在するときに、真空バギング材料208にクランプ圧力が加えられる。真空バギング材料208へのクランプ力の量は、第2の真空ゾーン232に入ることを許容される大気の量を調整することによって操作され得る。
【0036】
[0046] 複合材料218のデバルク中に、寸法制御構造204はデバルク位置252にある。第2の真空ゾーン232内の真空を少なくとも部分的に解放した後で、寸法制御構造204は、剛性硬化ツール206に向けて下げられる。寸法制御構造204を下げることによって、寸法制御構造204と剛性硬化ツール206との間の距離240が減少する。寸法制御構造204は、デバルク位置252から硬化位置254に下げられる。幾つかのシール238が、寸法制御構造204と剛性硬化ツール206との間の距離240が変化するときに、第2の真空ゾーン232の完全性を維持する。幾つかのシール238は、距離240が変化するときに、寸法制御構造204の真空バギング材料208又は剛性硬化ツール206の少なくとも一方に対する密封を維持する。
【0037】
[0047] 硬化位置254では、寸法制御構造204が、複合材料218の硬化中に複合材料218の一部の寸法を維持する。複合材パネル256は、複合材料218から形成された硬化製品である。複合材パネル256は、デザイン258を有する。デザイン258は、複合材料218に接合される構成要素の曲率、厚さ、及び位置を含む予め設定されたレイアウトである。デザイン258は、設計されたスパー位置260と設計されたリブ位置262を含む。設計されたスパー位置260は、スパーが複合材パネル256に配置される位置である。設計されたリブ位置262は、リブが複合材パネル256に配置される位置である。
【0038】
[0048] 寸法制御構造204の格子210が、スパー補強材プロキシ264とリブ補強材プロキシ266を備える。スパー補強材プロキシ264の各スパー補強材プロキシとリブ補強材プロキシ266の各リブ補強材プロキシとは、複合材パネル256のデザイン258用の設計された位置に配置される。例えば、スパー補強材プロキシ264は、設計された位置268を有する。設計された位置268は、スパー補強材プロキシ264が設計されたスパー位置260における複合材料218の厚さを制御するように構成されている。別の一実施例として、リブ補強材プロキシ266は設計された位置270を有する。設計された位置270は、リブ補強材プロキシ266が設計されたリブ位置262における複合材料218の厚さを制御するように構成されている。
【0039】
[0049] スパー補強材プロキシ264は、複合材料218を硬化させた後で複合材料218に接合されるスパーを近似するように、設計された位置268及び設置面積を有する。リブ補強材プロキシ266は、複合材料218を硬化させた後で複合材料218に接合されるリブを近似するように、設計された位置270及び設置面積を有する。スパー補強材プロキシ264及びリブ補強材プロキシ266は、カウルプレート272として機能するように構成されている。
【0040】
[0050] 寸法制御構造204は、複合材料218の硬化中に、設計されたスパー位置260及び設計されたリブ位置262における複合材料218の所望の厚さを維持するように配置される。幾つかの実施例では、寸法制御構造204が、格子硬化リッド273と呼ばれ得る。
【0041】
[0051] 複合材料218の設計された厚さを維持するために、寸法制御構造204は、硬化位置254において停止される。幾つかの例示的な実施例では、寸法制御構造204が、寸法制御構造204を硬化位置254に配置するために、厚さ制御フィーチャ274を有する。幾つかの例示的な実施例では、厚さ制御フィーチャ274が、ハードストップ276の形態を採る。幾つかの例示的な実施例では、寸法制御構造204のハードストップ276が、剛性硬化ツール206と接触する。幾つかの例示的な実施例では、ハードストップ276が、寸法制御構造204の側部236のうちの少なくとも1つの側部と接触する、剛性硬化ツール206の一部分である。幾つかの例示的な実施例では、厚さ制御フィーチャ274が、オープンケーシング212に取り付けられる。
【0042】
[0052] スパー補強材プロキシ264及びリブ補強材プロキシ266は、任意の所望の材料で形成される。スパー補強材プロキシ264及びリブ補強材プロキシ266は、複合材料218の硬化温度において材料の完全性を維持するように構成された材料で形成されている。スパー補強材プロキシ264及びリブ補強材プロキシ266は、複合材料218の硬化温度においてサイズ及び形状を維持するように構成された材料で形成されている。幾つかの例示的な実施例では、スパー補強材プロキシ264及びリブ補強材プロキシ266が、インバーで形成されている。幾つかの例示的な実施例では、スパー補強材プロキシ264及びリブ補強材プロキシ266が、炭素繊維複合材料などの複合材料で形成されている。
【0043】
[0053] 寸法制御構造204を硬化位置254に下げた後で、複合材料218が硬化温度に到達するまで、複合材料218に熱が加えられる。寸法制御構造204は、複合材料218が硬化されている間に、硬化位置254に維持される。
【0044】
[0054] 誘導加熱回路246又は誘導加熱回路250の少なくとも一方を使用して、複合材料218を加熱する。幾つかの例示的な実施例では、温度を制御するために、剛性硬化ツール206又は寸法制御構造204の少なくとも一方において、対流冷却が使用され得る。
【0045】
[0055] 幾つかの例示的な実施例では、寸法制御構造204のオープンケーシング212又は剛性硬化ツール206の少なくとも一方において、ファンが存在する。幾つかの例示的な実施例では、寸法制御構造204のオープンケーシング212内にファン278が存在する。幾つかの例示的な実施例では、ファン278が凹部216内にある。幾つかの例示的な実施例では、ファン280が剛性硬化ツール206内に存在する。
【0046】
[0056] ファン278を使用して、複合材料218及び寸法制御構造204の冷却を速めることによって、サイクル時間を短縮することができる。ファン280を使用して、複合材料218及び剛性硬化ツール206の冷却を速めることによって、サイクル時間を短縮することができる。ファン278及びファン280は、発熱性硬化反応に関連する余分な熱を放散させる助けとなり得る。ファン280及び278は、発熱を緩和するためのより速いランプ時間又は等温滞留の除去を可能にし得る。
【0047】
[0057] 図2の製造環境202の例示は、例示的な一実施形態が実装され得るやり方に対して、物理的又は構造的な限定を課すことを意図するものではない。図示されている構成要素に加えて又は代えて他の構成要素が使用されてよい。幾つかの構成要素は、必要ではないこともある。また、幾つかの機能構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な一実施形態に実装されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合され、分割され、又は結合且つ分割されて異なるブロックになってよい。
【0048】
[0058] 幾つかの例示的な実施例では、幾つかの補強材224が存在しない。幾つかの例示的な実施例では、厚さ制御フィーチャ274が存在せず、寸法制御構造204が、コントローラ282によって硬化位置254に停止される。
【0049】
[0059] 誘導硬化システム200は、複合材処理技術に改良をもたらす。誘導硬化システム200を使用して、例えば、非限定的に、航空機において使用される主翼外板(図示せず)などの、比較的大きな部品を硬化させることができる。誘導硬化システム200は、複合材料の硬化中に、複合材料218の厚さ制御を提供する。寸法制御構造204は、複合材料218のデバルク及び硬化に改良をもたらす。寸法制御構造204の使用により、硬化後の公差外の部品が減少する。寸法制御構造204の使用はまた、デバルクと硬化との両方に使用される単一の誘導硬化システム200を提供することによって、製造時間を短縮する。
【0050】
[0060] 次に図3を参照すると、例示的な一実施形態による誘導硬化システムの断面図が示されている。誘導硬化システム300は、図2の誘導硬化システム200の物理的な一実施態様である。誘導硬化システム300は、剛性硬化ツール302を備える。剛性硬化ツール302は、剛性硬化ツール302内に誘導加熱回路304を有する。複合材料306が、剛性硬化ツール302上に存在する。複合材料306は未硬化である。図示されている一実施例では、複合材料306が、実質的に平坦であるように示されているが、他の用途では、それが1以上の湾曲又は起伏(図示せず)を有してよい。幾つかの補強材308が、複合材料306上に存在する。幾つかの補強材308は、予め硬化されている。幾つかのブラダー310が、複合材料306のデバルク及び硬化中に、幾つかの補強材308を支持する。
【0051】
[0061] 真空バギング材料312が、剛性硬化ツール302に密封されている。この例示的な実施例では、真空バギング材料312が、誘導加熱ブランケット313を含む。
【0052】
[0062] 寸法制御構造314が、剛性硬化ツール302の上方に配置されている。寸法制御構造314は、格子316とオープンケーシング318を備える。オープンケーシング318は、剛性材料で形成されている。格子316は、オープンケーシング318の凹部319内に配置されている。格子316は、スパー補強材プロキシ320とリブ補強材プロキシ322で形成されている。格子316は、硬化中に複合材料306の寸法を制御するように働く。スパー補強材プロキシの各スパー補強材プロキシとリブ補強材プロキシの各リブ補強材プロキシとは、複合材パネルのデザイン用の設計された位置に配置される。複合材パネルは、硬化後の複合材料306を含む製品であることが望ましい。各スパー補強材プロキシ及び各リブ補強材プロキシは、後の処理でリブ又はスパーが複合材料306に取り付けられ得る場所に配置される。
【0053】
[0063] 寸法制御構造314は、厚さ制御フィーチャ324を更に備える。この例示的な実施例では、厚さ制御フィーチャ324が、剛性硬化ツール302と接触するように構成されたハードストップ325である。
【0054】
[0064] 図示されているように、寸法制御構造314は、幾つかのシール326によって真空バギング材料312に密封される。他の図示されていない例示的な実施例では、寸法制御構造314が、幾つかのシール326によって剛性硬化ツール302に密封される。幾つかのシール326は、寸法制御構造314をデバルク位置328において真空バギング材料312に密封する。デバルク位置328は、剛性硬化ツール302及び複合材料306の上方に持ち上げられている位置である。寸法制御構造314を真空バギング材料312又は剛性硬化ツール302の少なくとも一方に密封している幾つかのシール326は、真空バギング材料312と寸法制御構造314との間に第2の真空ゾーン332を形成する。
【0055】
[0065] 複合材料306をデバルクするために、真空バギング材料312と剛性硬化ツール302との間の第1の真空ゾーン330に真空が加えられる。次いで、真空バギング材料312と寸法制御構造314との間の第2の真空ゾーン332に真空が加えられる。
【0056】
[0066] 第1の真空ゾーン330及び第2の真空ゾーン332が真空下にある間に、複合材料306が加熱される。幾つかの例示的な実施例では、剛性硬化ツール302内の誘導加熱回路304が、複合材料306を加熱する。幾つかの例示的な実施例では、誘導加熱ブランケット313が、複合材料306を加熱する。複合材料306をデバルクした後で、第2の真空ゾーン332から真空が少なくとも部分的に解放される。
【0057】
[0067] ビュー334では、幾つかのシール326が位置336にある。幾つかの例示的な実施例では、位置336が膨張した位置である。位置336にある間に、幾つかシール326は、第2の真空ゾーン332を維持する。
【0058】
[0068] 次に図4を参照すると、例示的な一実施形態による誘導硬化システムの断面図が示されている。ビュー400は、寸法制御構造314が硬化位置402にある誘導硬化システム300の図である。ビュー334とビュー400との間で、寸法制御構造314は、剛性硬化ツール302に向けて移動している。ビュー334とビュー400との間で、寸法制御構造314と剛性硬化ツール302との間の距離が減少している。
【0059】
[0069] スパー補強材プロキシ320及びリブ補強材プロキシ322は、厚さ制御カウルプレートとして働く。スパー補強材プロキシ320及びリブ補強材プロキシ322は、硬化後にスパー及びリブが複合材料306に接合され得る位置における複合材料306の厚さを維持する。
【0060】
[0070] ビュー400では、幾つかのシール326が位置404にある。幾つかの例示的な実施例では、位置404が萎んだ位置である。位置404にある間に、幾つかシール326は、第2の真空ゾーン332を維持する。硬化位置402では、寸法制御構造314のハードストップ325が、剛性硬化ツール302と接触している。
【0061】
[0071] 次に図5を参照すると、例示的な一実施形態による時間及び温度のグラフが示されている。グラフ500は、時間のx軸502と温度のy軸504を有する。グラフ500は、図2の誘導硬化システム200を使用した複合材料の二重真空デバルク及び硬化中の温度の一実施例を示している。グラフ500は、図3図4の誘導硬化システム300を使用した複合材料の温度二重真空デバルク及び硬化の一実施例を示している。
【0062】
[0072] 例示的な一実施例では、グラフ500の開始時に、複合材料を含む第1の真空ゾーン内で真空が既に引かれている。第1の真空ゾーン内で真空が加えられている間に、時間506において第2の真空ゾーンに真空が加えられる。.第1の真空ゾーン及び第2の真空ゾーンに真空が加えられた後で、時間508において、複合材料に熱が加えられ、温度が上昇し始める。温度は、時間508と時間510との間で増加する。時間510において第2の真空ゾーンから真空が少なくとも部分的に解放される。温度は、時間510において真空を少なくとも部分的に解放した後で増加し続ける。
【0063】
[0073] 時間512において、硬化中に複合材料の寸法を維持するために、寸法制御システムが下げられる。複合材料の硬化温度514に到達する前に、寸法制御システムが下げられる。
【0064】
[0074] 時間508、時間510、及び時間512は、例示的な実施例に過ぎない。硬化温度514、時間508、時間510、時間512、及び温度のランプ速度の各々についての値は、複合材料の種類、部品の長さ、部品の幅、及び部品の厚さに基づいて選択されることになる。
【0065】
[0075] 次に図6を参照すると、例示的な一実施形態による寸法制御構造の等角図が示されている。寸法制御構造600は、図2の寸法制御構造204の物理的な一実施態様である。寸法制御構造600は、図3の寸法制御構造314の物理的な一実施態様である。寸法制御構造600は、図5のグラフ500で示されている硬化プログラムを利用することができる。
【0066】
[0076] 寸法制御構造600は、スパー補強材プロキシ604及びリブ補強材プロキシ606で形成された格子602と、オープンケーシング608とを備える。スパー補強材プロキシ604の各スパー補強材プロキシとリブ補強材プロキシ606の各リブ補強材プロキシとは、複合材パネルのデザイン用の設計された位置に配置される。オープンケーシング608は、剛性材料610で形成されている。格子602は、オープンケーシング608の凹部612内に配置されている。
【0067】
[0077] 次に図7A及び図7Bを参照すると、例示的な一実施形態による複合材パネルを硬化させる方法が示されている。方法700は、図2の誘導硬化システム200を使用して実行され得る。方法700は、図3図4の誘導硬化システム300を使用して実行され得る。方法700は、図5のグラフ500の硬化プログラムを使用して実行され得る。方法700は、図6の寸法制御構造600を使用して実行され得る。
【0068】
[0078] 方法700は、複合材料が剛性硬化ツール上にある間に、真空バギング材料と剛性硬化ツールとの間の第1の真空ゾーン内で真空を引く(動作702)。方法700は、剛性硬化ツール上の複合材料から揮発性物質及びガスを除去するために、第1の真空ゾーンが真空下にある間に、真空バギング材料と寸法制御構造のオープンケーシングとの間の第2の真空ゾーン内で真空を引く(動作704)。オープンケーシングは、剛性材料で形成され、寸法制御構造は、オープンケーシングの凹部内に格子を有する。方法700は、第2の真空ゾーン内の真空を少なくとも部分的に解放する(動作706)。方法700は、格子を使用して複合材料の寸法を維持するように格子が配置されるまで、寸法制御構造を複合材料に向けて下げる(動作708)。その後、方法700は終了する。
【0069】
[0079] 幾つかの例示的な実施例では、寸法制御構造を下げることが、格子が真空バギング材料と接触するまで寸法制御構造を下げることを含む(動作716)。幾つかの例示的な実施例では、方法700が、第1の真空ゾーンが真空下にあり、第2の真空ゾーンが真空下にある間に、複合材料を加熱することを含む(動作710)。幾つかの例示的な実施例では、複合材料を加熱することが、第1の真空ゾーンが真空下にあり、第2の真空ゾーンが真空下にある間に、剛性硬化ツールの誘導加熱回路によって複合材料を加熱することを含む(動作712)。
【0070】
[0080] 幾つかの例示的な実施例では、真空バギング材料が、誘導加熱ブランケットであり、複合材料を加熱することが、誘導加熱ブランケットによって複合材料を加熱することを更に含む(動作714)。幾つかの例示的な実施例では、方法700が、複合材料の寸法を維持するように寸法制御構造が配置されている間に、複合材料を複合材料の硬化温度まで加熱する(動作720)。
【0071】
[0081] 幾つかの例示的な実施例では、方法700が寸法制御構造を複合材料に向けて下げることが、厚さ制御フィーチャが寸法制御構造と剛性硬化ツールとの両方に接触するまで、寸法制御構造を下げることを含む(動作718)。
【0072】
[0082] 幾つかの例示的な実施例では、方法700が、剛性硬化ツールの温度を制御するために、剛性硬化ツール内のファンを起動する(動作722)。幾つかの例示的な実施例では、方法700が、寸法制御構造の温度を制御するために、剛性硬化ツール内のファンを起動する(動作724)。
【0073】
[0083] 次に図8を参照すると、例示的な一実施形態による複合材パネルを硬化させる方法のフローチャートが示されている。方法700は、図2の誘導硬化システム200を使用して実行され得る。方法700は、図3図4の誘導硬化システム300を使用して実行され得る。方法700は、図5のグラフ500の硬化プログラムを使用して実行され得る。方法700は、図6の寸法制御構造600を使用して実行され得る。
【0074】
[0084] 方法800は、寸法制御構造、真空バギング材料、及び剛性硬化ツールを使用して、複合材料に対して二重真空デバルクを実行する(動作802)。複合材料は、真空バギング材料と剛性硬化ツールとの間に配置される。方法800は、寸法制御構造の格子を使用して複合材料の寸法を維持するように格子が配置されるまで、寸法制御構造を複合材料に向けて下げる(動作804)。格子は、寸法制御構造のオープンケーシングの凹部内に配置される。方法800は、複合材料の寸法を維持するように寸法制御構造の格子が配置されている間に、複合材料を硬化させる(動作806)。
【0075】
[0085] 幾つかの例示的な実施例では、二重真空デバルクを実行することが、複合材料が剛性硬化ツール上にある間に、真空バギング材料と剛性硬化ツールとの間の第1の真空ゾーン内で真空を引くこと(動作808)、及び、剛性硬化ツール上の複合材料から揮発性物質及びガスを除去するために、第1の真空ゾーンが真空下にある間に、真空バギング材料と寸法制御構造のオープンケーシングとの間の第2の真空ゾーン内で真空を引くこと(動作810)を含む。
【0076】
[0086] 幾つかの例示的な実施例では、複合材料を硬化させることが、第2の真空ゾーンから真空を少なくとも部分的に解放した後で、複合材料を複合材料の硬化温度まで加熱すること(動作820)を含む。幾つかの例示的な実施例では、二重真空デバルクを実行することが、第1の真空ゾーンが真空下にあり、第2の真空ゾーンが真空下にある間に、複合材料を加熱すること(動作812)を更に含む。幾つかの例示的な実施例では、複合材料を加熱することが、第1の真空ゾーンが真空下にあり、第2の真空ゾーンが真空下にある間に、剛性硬化ツールの誘導加熱回路によって複合材料を加熱すること(動作814)を含む。
【0077】
[0087] 幾つかの例示的な実施例では、真空バギング材料が、誘導加熱ブランケットであり、複合材料を加熱することが、誘導加熱ブランケットによって複合材料を加熱すること(動作816)を更に含む。幾つかの例示的な実施例では、寸法制御構造を下げることが、格子が真空バギング材料と接触するまで寸法制御構造を下げること(動作818)を含む。
【0078】
[0088] 次に図9を参照すると、例示的な一実施形態による複合材パネルをデバルクする方法のフローチャートが示されている。方法900は、図2の誘導硬化システム200を使用して実行され得る。方法900は、図3図4の誘導硬化システム300を使用して実行され得る。方法900は、図5のグラフ500の硬化プログラムを使用して実行され得る。方法900は、図6の寸法制御構造600を使用して実行され得る。
【0079】
[0089] 方法900は、複合材料が剛性硬化ツール上に存在する間に、真空バギング材料を剛性硬化ツールに密封する(動作902)。方法900は、寸法制御構造を真空バギング材料又は剛性硬化ツールの少なくとも一方に密封する(動作904)。寸法制御構造は、格子と剛性材料で形成されたオープンケーシングとを有し、格子は、オープンケーシングの凹部内に配置される。その後、方法900は終了する。
【0080】
[0090] 幾つかの例示的な実施例では、方法900が、真空バギング材料と剛性硬化ツールとの間の第1の真空ゾーン内で真空を引く(動作906)。幾つかの例示的な実施例では、方法900が、寸法制御構造と真空バギング材料との間の第2の真空ゾーン内で真空を引く(動作908)。
【0081】
[0091] 幾つかの例示的な実施例では、方法900が、第1の真空ゾーン内で真空を引いている間、且つ第2の真空ゾーン内で真空を引いている間に、複合材料を加熱する(動作910)。幾つかの例示的な実施例では、寸法制御構造の格子が、スパー補強材プロキシとリブ補強材プロキシを備える。スパー補強材プロキシの各スパー補強材プロキシとリブ補強材プロキシの各リブ補強材プロキシとは、複合材料を使用して形成される複合パネルのデザイン用の設計された位置に配置される(動作912)。
【0082】
[0092] 本明細書で使用される際に、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、且つ列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、若しくはアイテムBを含み得る。この例はまた、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、若しくはアイテムB及びアイテムCも含み得る。言うまでもなく、これらのアイテムのいずれかの組み合わせが存在し得る。他の例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB及び7個のアイテムC」、又は他の適切な組み合わせであり得る。アイテムは、特定の物体、物、又はカテゴリであり得る。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせや、幾つかのアイテムを、列挙された中から使用できることを意味しているが、列挙されたアイテムのすべてが必要なわけではない。
【0083】
[0093] 図示した種々の実施形態におけるフローチャート及びブロック図は、例示的な一実施形態における、装置及び方法の幾つかの可能な実施態様の構造、機能、及び動作を示している。これに関し、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、又は動作若しくはステップの一部分のうちの少なくとも1つを表わし得る。
【0084】
[0094] 例示的な一実施形態の幾つかの代替的な実施態様では、ブロック内に記載された1以上の機能が、図中に記載された順序を逸脱して出現し得る。例えば、場合によっては、連続して示されている2つのブロックがほぼ同時に実行されること、又は時には含まれる機能に応じて、ブロックが逆順に実施されることもあり得る。また、フローチャート又はブロック図に示されているブロックに加えて、他のブロックが追加されることもある。幾つかのブロックは、任意選択的であってよい。例えば、動作710から動作724のいずれかは、任意選択的であってよい。例えば、動作808から動作820のいずれかは、任意選択的であってよい。更なる別の一実施例として、動作906から動作912のいずれかは、任意選択的であってよい。
【0085】
[0095] 本開示の例示的な実施形態は、図10で示される航空機整備及び保守方法1000並びに図11で示される航空機1100の文脈で説明されてよい。先ず図10を参照すると、航空機製造及び保守方法が、例示的な実施形態に従って示されている。製造前の段階で、航空機製造及び保守方法1000は、図11の航空機1100の仕様及び設計1002、並びに材料の調達1004を含んでよい。
【0086】
[0096] 製造段階では、航空機1100の構成要素及びサブアセンブリの製造1006と、システムインテグレーション1008とが行われる。その後、航空機1100は、認可及び納品1010を経て運航1012に供される。顧客による運航1012の間、航空機1100は、定期的な整備及び保守1014(改造、再構成、改修、並びにその他の整備及び保守を含み得る)がスケジューリングされる。
【0087】
[0097] 航空機製造及び保守方法1000の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実行又は実施されてもよい。これらの例では、オペレータは顧客であってよい。この明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含んでよいが、それらに限定されるわけではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでよいが、それらに限定されるわけではなく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0088】
[0098] 次に図11を参照すると、例示的な実施形態が実装され得る航空機の図が示されている。この実施例では、航空機1100が、図10の航空機製造及び保守方法1000によって製造され、複数のシステム1104及び内装1106を有する機体1102を含んでよい。システム1104の例には、推進システム1108、電気システム1110、液圧システム1112、及び環境システム1114のうちの1以上が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれていてもよい。
【0089】
[0099] 本明細書で具体的に表現されている装置及び方法は、航空機製造及び保守方法1000の少なくとも1つの段階において用いられてよい。1以上の例示的な実施形態は、図10の構成要素及びサブアセンブリの製造1006、システムインテグレーション1008、運航1012、又は整備及び保守1014のうちの少なくとも1つの最中に製造又は使用されてよい。
【0090】
[00100] 航空機1100の機体1102の一部分は、方法700又は方法800によって形成され得る。方法700、方法800、又は方法900は、構成要素及びサブアセンブリの製造1006中に実行され得る。誘導硬化システム200を使用して、構成要素及びサブアセンブリの製造1006中に複合材構造を形成することができる。幾つかの例示的な実施例では、方法700、方法800、又は方法900を使用して形成される複合材構造は、運航1012中に存在し、利用される。方法700、方法800、又は方法900は、整備及び保守1014中に実行されて、交換部品を形成することができる。
【0091】
[00101] 例示的な複数の実施例は、大きく平面的な構成要素を含む熱硬化性構成要素の誘導硬化を提供する。例示的な複数の実施例は、主翼の外板、水平及び垂直安定板の外板、又は胴体の外板などの、大きく平面的な航空機の構成要素をデバルクし、硬化させることができる。例示的な複数の実施例は、よりコンパクトな工場設置面積及び低減された在庫のための生産フローに則した処理システムを有するオートクレーブ外での二重真空デバルク処理を提供する。例示的な複数の実施例は、アセンブリの重要な表面の寸法制御を提供する。例示的な複数の実施例は、硬化時間を短縮する。幾つかの例示的な実施例では、金属硬化ツールを利用することによって、硬化が2時間未満で実行されてよい。例示的な複数の実施例は、設備費を削減する。例示的な複数の実施例は、大きなエネルギー節約をもたらす。
【0092】
[00102] 例示的な複数の実施例は、水平なスラブスキンプリフォームのデバルク/ガス抜きを提供し、次いで、オートクレーブ外での硬化を提供し得る。例示的な複数の実施例は、追加の電力パックと共に加熱ブランケットを加えることができる。例示的な複数の実施例は、オートクレーブ外での加熱及び硬化用の非金型側のツールとブランケットとの一体的な加熱を提供する。例示的な複数の実施例は、揮発性物質を抽出するための加熱及び真空チャンバと共にハードバックシェルを用いた二重真空デバルク(DVD)を提供する。例示的な複数の実施例では、ハードバックシェルが、プリフォームのアウトサイジングに抵抗するために外側の寸法を制御するためのリッドとして働く。
【0093】
[00103] 幾つかの例示的な実施例では、プリフォームが、ツールの上にレイアップされる。例示的な複数の実施例は、プリフォームをレイアップし、次いで、リッド(寸法制御構造)を追加し、ちょうどレイアップステーションで硬化させることを可能にする。
【0094】
[00104] 例示的な複数の実施例は、プリフォームを有する第1の真空ゾーン内で真空を引く。ツールとブランケットが、樹脂の粘度を低減させるために加熱される。リッド内の第2の真空ゾーン内で真空が引かれる。露出したプリフォーム縁部からガスが抽出される。第2の真空ゾーン内の真空が、後に、少なくとも部分的に解放される。リッドが下げられる。リッドが下げられて、複合材料内の非ツール寸法を制御する助けとなる。リッド(寸法制御構造)が、複合材料の非ツール寸法を制御している間に、硬化が実行される。
【0095】
[00105] 種々の例示的な実施形態についての説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であることも、実施形態を開示されている形態に限定することも、意図するものではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、種々の例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態と比較して、異なる特徴を提供してよい。選択された1以上の実施形態は、実施形態の原理と実際の応用を最もよく説明するため、及び、他の当業者が、様々な改変例を伴う様々な実施形態の開示内容は想定される特定の用途に適すると理解することを可能にするために、選ばれ、且つ説明されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】