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特開2024-327遠隔操作型の溶接システムの遠隔操作方法、および溶接システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000327
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】遠隔操作型の溶接システムの遠隔操作方法、および溶接システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/127 20060101AFI20231225BHJP
   B23K 9/10 20060101ALI20231225BHJP
   B23K 9/12 20060101ALI20231225BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B23K9/127 509E
B23K9/10 A
B23K9/12 331L
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099056
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 幸平
(72)【発明者】
【氏名】福永 敦史
(72)【発明者】
【氏名】小池 武
【テーマコード(参考)】
3C707
4E082
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS10
3C707JU12
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS07
3C707KS17
3C707KS28
3C707KS31
3C707KT01
3C707KT06
3C707KW01
3C707LT06
3C707LU01
3C707LV15
4E082AA01
4E082EA03
4E082EC03
4E082EC13
4E082EC20
(57)【要約】
【課題】遠隔に設置された溶接ロボットに対して手動操作を行う際に、各種作業を適切に行うことができる遠隔操作型の溶接システムの遠隔操作方法および溶接システムを提供する。
【解決手段】遠隔による溶接ロボットの手動操作が可能な溶接システムの遠隔操作方法であって、1または複数の撮像装置を用いて、任意の位置の画像データを取得する取得工程と、表示装置を用いて前記画像データを表示する表示工程と、操作端末を介して、作業者から前記溶接ロボットの溶接トーチによる接触検知機能の実行の指示を受け付ける受け付け工程と、前記接触検知機能の実行中において、前記操作端末を介して受け付ける前記溶接ロボットへの指示に基づいて前記溶接トーチを移動させる操作工程と、を有し、前記操作工程において、前記接触検知機能にて前記溶接トーチが周辺の部材との接触を検知した場合、当該接触の位置に基づいて前記溶接トーチの位置が調整される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔による溶接ロボットの手動操作が可能な溶接システムの遠隔操作方法であって、
1または複数の撮像装置を用いて、任意の位置の画像データを取得する取得工程と、
表示装置を用いて前記画像データを表示する表示工程と、
操作端末を介して、作業者から前記溶接ロボットの溶接トーチによる接触検知機能の実行の指示を受け付ける受け付け工程と、
前記接触検知機能の実行中において、前記操作端末を介して受け付ける前記溶接ロボットへの指示に基づいて前記溶接トーチを移動させる操作工程と、
を有し、
前記操作工程において、前記接触検知機能にて前記溶接トーチが周辺の部材との接触を検知した場合、当該接触の位置に基づいて前記溶接トーチの位置が調整される、
溶接システムの遠隔操作方法。
【請求項2】
前記溶接システムにて用いられる教示プログラムのパラメータの更新の指示を受け付ける更新工程を更に有し、
前記更新工程において、前記接触検知機能にて検知した接触の位置に基づいて、前記教示プログラムにて指定された位置パラメータの更新の指示を受け付ける、請求項1に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
【請求項3】
前記操作工程において、前記接触検知機能の実行中、前記溶接トーチの移動速度または前記溶接トーチからの溶接ワイヤの送り速度の少なくともいずれかを予め規定した第1の速度に設定する、請求項1または2に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
【請求項4】
前記第1の速度は、前記接触検知機能が実行されていない場合における第2の速度よりも遅い、請求項3に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
【請求項5】
前記接触検知機能は、接触時に生じる、電圧、荷重、またはモータの負荷の変化に基づいて検知される、請求項1または2に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
【請求項6】
前記接触検知機能が実行されている間、当該実行中である旨が前記操作端末または前記表示装置を介して前記作業者に通知される、請求項1または2に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
【請求項7】
前記1または複数の撮像装置は、前記溶接トーチの移動に伴って、撮影位置を変化させる、請求項1または2に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
【請求項8】
溶接トーチを備える溶接ロボットと、
1または複数の撮像装置と、
表示装置と、
遠隔にて前記溶接ロボットの手動操作を行うための操作端末と、
を備える溶接システムであって、
前記1または複数の撮像装置を用いて、任意の位置の画像データを取得する取得手段と、
前記表示装置を用いて前記画像データを表示させる表示手段と、
前記操作端末を介して、作業者から前記溶接トーチによる接触検知機能の実行の指示を受け付ける受け付け手段と、
前記接触検知機能の実行中において、前記操作端末を介して受け付ける前記溶接ロボットへの指示に基づいて前記溶接トーチを移動させる操作手段と、
を有し、
前記操作手段は、前記接触検知機能にて前記溶接トーチが周辺の部材との接触を検知した場合、当該接触の位置に基づいて前記溶接トーチの位置を調整する、溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作型の溶接システムの遠隔操作方法、および溶接システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多関節の溶接ロボットは、自動で動作、作業をさせるための前提条件として、事前に作業者が手動で溶接動作、センシング動作、異なる作業箇所に移動するための空走動作などの各動作に係る位置、ロボット姿勢および溶接条件等を教示する必要がある。また、溶接ロボットの自動運転時に、エラー等で溶接が止まった場合、位置調整などの修正作業を作業者が手動で行う場合もある。
【0003】
このように、溶接ロボットを備える溶接ロボットシステム(以下、「溶接システム」とも称する)を運用する上で、作業者が手動で溶接ロボットを操作(以下、「手動操作」とも称する)する必要が生じる場合がある。その一方、溶接環境によっては、作業者がロボットの周辺に近寄れない場合がある。このような環境では、教示作業や溶接途中の修正作業など、手動操作が必要な場面において、種々の作業が適切に行うことができないという問題があった。
【0004】
上記のような問題に対し、特許文献1のような技術が開示されている。特許文献1では、溶接の教示作業時に、人が溶接ロボットの側に近づくことができない、または長時間その場に居ることができない環境、例えば原子力プラントの原子炉内のような環境下でも多関節の溶接ロボットを用いて教示作業および溶接施工を全てオペレータによる遠隔操作で行い、健全な溶接部を得ることを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-96169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、溶接ロボットの先端部に取り付けられたCCD(Charge-Coupled Device)カメラを用いて撮影された画像データを確認しながら遠隔操作を行うことによって、人が溶接ロボットの側に近づくことができないような環境下においても、手動操作が可能となる。しかしながら、溶接環境において、設置できるCCDカメラなどの視覚センサの数は限界があり、死角が生じることもある。例えば、より高品質の溶接のために、ワーク(母材または被溶接材と称してもよい)の開先部においてmm単位の狙い位置決め等の非常に繊細な作業を手動で行う場合がある。特許文献1では、溶接ロボットの先端に取り付けられた視覚センサが一つだけであり、死角が多く生じるため、適切に各種作業を行うことが難しくなる。また、溶接ロボットの姿勢や配置などによっても、着目したい領域が視覚センサによる画像からは視認しにくくなったり、視覚センサの性能によっては着目したい領域を十分な明瞭さで取得できないような状況になったりする場合がある。また、作業者が誤った操作をしたために溶接トーチが周りの部材と接触してしまうと、溶接ロボットの損傷、例えば、トーチ破損やワイヤ曲がりが生じる場合がある。
【0007】
このため、遠隔に設置された溶接ロボットに対して手動操作を行う際に、溶接ロボットの損傷などを防止しつつ、その手動操作の支援のための機能を提供することが求められている。
【0008】
本発明では、遠隔に設置された溶接ロボットに対して手動操作を行う際に、作業者が各種作業を適切に行うことができる遠隔操作型の溶接システムの遠隔操作方法および溶接システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、遠隔による溶接ロボットの手動操作が可能な溶接システムの遠隔操作方法であって、
1または複数の撮像装置を用いて、任意の位置の画像データを取得する取得工程と、
表示装置を用いて前記画像データを表示する表示工程と、
操作端末を介して、作業者から前記溶接ロボットの溶接トーチによる接触検知機能の実行の指示を受け付ける受け付け工程と、
前記接触検知機能の実行中において、前記操作端末を介して受け付ける前記溶接ロボットへの指示に基づいて前記溶接トーチを移動させる操作工程と、
を有し、
前記操作工程において、前記接触検知機能にて前記溶接トーチが周辺の部材との接触を検知した場合、当該接触の位置に基づいて前記溶接トーチの位置が調整される。
【0010】
また、本発明の別の形態として以下の構成を有する。すなわち、
溶接トーチを備える溶接ロボットと、
1または複数の撮像装置と、
表示装置と、
遠隔にて前記溶接ロボットの手動操作を行うための操作端末と、
を備える溶接システムであって、
前記1または複数の撮像装置を用いて、任意の位置の画像データを取得する取得手段と、
前記表示装置を用いて前記画像データを表示させる表示手段と、
前記操作端末を介して、作業者から前記溶接トーチによる接触検知機能の実行の指示を受け付ける受け付け手段と、
前記接触検知機能の実行中において、前記操作端末を介して受け付ける前記溶接ロボットへの指示に基づいて前記溶接トーチを移動させる操作手段と、
を有し、
前記操作手段は、前記接触検知機能にて前記溶接トーチが周辺の部材との接触を検知した場合、当該接触の位置に基づいて前記溶接トーチの位置を調整する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遠隔にて溶接システムを手動操作する際の支援機能を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成の例を示す概略図。
図2】本発明の一実施形態に係るロボット制御装置の構成例を示すブロック図。
図3】本発明の一実施形態に係るセンシング処理のフローチャート。
図4A】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4B】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4C】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4D】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4E】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4F】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4G】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4H】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4I】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4J】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4K】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図4L】本発明の一実施形態に係る遠隔操作の際の溶接トーチの一連の流れを説明するための概念図。
図5】本発明の一実施形態に係るセンシング処理のフローチャート。
図6】本発明の一実施形態に係る教示プログラムの調整処理のフローチャート。
図7A】本発明の一実施形態に係る教示プログラムの調整処理を説明するための概念図。
図7B】本発明の一実施形態に係る教示プログラムの調整処理を説明するための概念図。
図7C】本発明の一実施形態に係る教示プログラムの調整処理を説明するための概念図。
図8】本発明の一実施形態に係る開先センシング処理のフローチャート。
図9A】本発明の一実施形態に係るエラー発生時における開先センシング処理を説明するための概念図。
図9B】本発明の一実施形態に係るエラー発生時における開先センシング処理を説明するための概念図。
図9C】本発明の一実施形態に係るエラー発生時における開先センシング処理を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を説明するための一実施形態であり、本発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
【0014】
また、本発明に係る遠隔操作方法および遠隔操作型溶接ロボットシステムは溶接だけでなく、GMAWを活用した付加製造技術、具体的には、金属積層造型技術(WAAM:Wire and Arc Additive Manufacturing)においても有用である。なお、付加製造という用語は、広義では積層造形またはラピットプロトタイピングの用語で用いられることがあるが、本発明においては、統一して付加製造の用語を用いる。本発明に係る手法を付加製造技術に活用する場合は、「溶接」を「溶着」、「付加製造」または「積層造形」等に言い換えられる。例えば、溶接として扱う場合は「溶接挙動」となるが、付加製造として本発明を活用する場合は、「溶着挙動」と言い換えたり、溶接として扱う場合は「溶接システム」となるが、付加製造として本発明を活用する場合は、「付加製造システム」と言い換えたりすることができる。
【0015】
[溶接システムの構成]
図1は、本実施形態に係る溶接システム1の構成例を示す。図1に示す溶接システム1は、溶接ロボット10、ロボット制御装置20、電源装置30、視覚センサ40、データ処理装置50、および教示ペンダント60を含んで構成される。なお、本発明に係る手法を付加製造に適用して用いる場合は、例えば、溶接システム1を付加製造システム、溶接ロボット10を付加製造用ロボットと読み替えてもよい。その場合には、適用するシステムに応じて、更なる構成が含まれてもよい。
【0016】
図1に示す溶接ロボット10は、6軸の多関節ロボットにより構成され、その先端部にはGMAW用の溶接トーチ11が取り付けられている。なお、GMAWには、例えばMIG(Metal InertGas)溶接やMAG(Metal Active Gas)溶接があり、本実施形態ではMAG溶接を例に挙げて説明する。また、溶接ロボット10は6軸の多関節ロボットに限られたものではなく、例えば可搬型の小型ロボットを採用してもよい。
【0017】
溶接トーチ11には、ワイヤ送給装置12から溶接ワイヤ13が供給される。溶接ワイヤ13は、溶接トーチ11の先端から溶接個所に向けて送り出される。電源装置30は、溶接ワイヤ13に電力を供給する。この電力により、溶接ワイヤ13とワークWとの間にはアーク電圧が印加され、アークが発生する。電源装置30には、溶接中の溶接ワイヤ13からワークWに流れる溶接電流を検出する不図示の電流センサ、および溶接ワイヤ13とワークWとの間のアーク電圧を検出する不図示の電圧センサが設けられている。
【0018】
電源装置30は、不図示の処理部と記憶部を有する。処理部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。また、記憶部は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の揮発性や不揮発性のメモリにより構成される。処理部が、記憶部に記憶された電源制御用のコンピュータプログラムを実行することにより、溶接ワイヤ13に印加する電力を制御する。電源装置30は、ワイヤ送給装置12にも接続され、処理部が溶接ワイヤ13の送給速度や送給量を制御する。
【0019】
溶接ワイヤ13の組成や種類は、溶接対象に応じて使い分けられてよい。溶接ワイヤ13の種類としては、例えば、ソリッドワイヤや、フラックスを含むフラックスワイヤなどが挙げられる。また、溶接ワイヤ13の材質としては、例えば、軟鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられ、ワイヤ表面に銅などのメッキが施されていてもよい。更に、溶接ワイヤ13の径についても特に限定するものではない。本実施形態の場合、一例として、径の上限を1.6mm、下限を0.8mmとした溶接ワイヤを用いてよい。
【0020】
視覚センサ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラにより構成される。視覚センサ40の配置位置は特に問わず、視覚センサ40は、溶接ロボット10に直接取り付けられてもよいし、また、監視カメラとして、周辺の特定の場所に固定されてもよい。溶接ロボット10に視覚センサ40を直接取り付けた場合には、視覚センサ40は、溶接ロボット10の動作に併せて、溶接トーチ11の先端部周辺を撮影するように移動する。視覚センサ40を構成するカメラの台数は複数でもよい。例えば、機能や設置位置が異なる複数のカメラを用いて視覚センサ40が構成されてもよい。
【0021】
本実施形態では、溶接ロボット10が利用される環境下において設置された固定式の視覚センサ40を用いた構成を例に挙げて説明する。視覚センサ40が溶接ロボット10以外への固定式である場合には、視覚センサ40として少なくともPTZ機能を有するカメラを採用することが好ましく、パン、チルト、ズームなどを溶接ロボット10の動作に併せて制御してよい。視覚センサ40は、溶接ロボット10の動作に伴って、その作業位置である溶接トーチ11の先端部の画像を取得する他、例えば、データ処理装置50を利用する作業者が、目的とする範囲を確認するために、パン、チルト、ズームなどの指定や、撮影設定を指示することで任意の画像を取得するような構成であってよい。具体的には、少なくとも前記溶接ロボットの溶接トーチ11周りまたは溶接線周りのうち一つを含む画像データを取得することが好ましい。撮影設定としては、例えば、フレームレート、画像のピクセル数、解像度、シャッタースピードなどが挙げられる。
【0022】
データ処理装置50は、例えば、不図示のCPU、ROM、RAM、ハードディスク装置、入出力インタフェース、通信インタフェース、映像出力インタフェース、表示部(以降、ディスプレイとも称する)等により構成される。データ処理装置50は、例えば、PC(Personal Computer)などの情報処理装置から構成されてよい。データ処理装置50は、上記の各構成部位が連携することにより、少なくとも、視覚センサ40によって、任意のフレームレートにおいてリアルタイムで撮像した動画像データをディスプレイに表示できる。また、視覚センサ40が、本実施形態のように、固定の監視カメラである場合には、データ処理装置50は、視覚センサ制御部を更に備えてもよい。さらに、表示した動画像データに対し、明るさ、コントラスト等を変更できる画像処理部を設けてもよいし、動画を記録し保存する記憶部を設けてもよい。なお、画像の入力から、表示部におけるリアルタイムの画像表示までに行われる一連の工程は、データ処理装置50に上にインストールされたソフトウェアによってなされてもよい。
【0023】
溶接システム1を構成する各部位は、有線/無線の各種通信方式により、通信可能に接続される。ここでの通信方式は、1つに限定するものではなく、複数の通信方式を組み合わせて接続されてよい。
【0024】
[ロボット制御装置の構成]
図2は、溶接ロボット10の動作を制御するロボット制御装置20の構成例を示す。ロボット制御装置20は、装置全体を制御するCPU201、データを記憶するメモリ202、複数のスイッチを含む操作パネル203、ロボット接続部204、および通信部205を含んで構成される。メモリ202は、例えば、ROM、RAM、HDDなどの揮発性や不揮発性の記憶装置により構成される。メモリ202には、溶接ロボット10の制御に用いられる制御プログラム202Aが記憶される。CPU201は、制御プログラム202Aを実行することにより、溶接ロボット10による各種動作を制御する。
【0025】
ロボット制御装置20に対する指示の入力には、操作パネル203と教示ペンダント60を用いることができ、主に教示ペンダント60が利用される。教示ペンダント60は、通信部205を介して、ロボット制御装置20本体に接続される。作業者は、教示ペンダント60を使用して、教示プログラムを入力することができる。ロボット制御装置20は、教示ペンダント60から入力された教示プログラムに従って溶接ロボット10を制御する。なお、教示プログラムは、例えば不図示のコンピュータを用いて、CAD(Computer-Aided Design)情報等に基づいて自動的に作成することも可能である。教示プログラムにて定義される動作内容は、特に限定するものではなく、溶接ロボット10の仕様や溶接方式に応じて異なっていてよい。
【0026】
また、教示ペンダント60は、ロボット制御装置20を介して、溶接ロボット10を手動で操作することができる。本実施形態においては、ティーチングプレイバック方式の溶接ロボットを適用する。この方式においては、作業者は、溶接ロボット10を手動で操作し、溶接ロボット10の動作線、溶接線上に教示点を設け位置を記憶させたり、溶接ロボット10の姿勢の座標情報を記憶させたり、溶接条件を入力したりする教示作業を行う。これにより、溶接ロボット10を自動的に動作させる際に用いられる教示プログラムを作成する。また、溶接ロボット10が自動運転した際に溶接途中などでエラーが発生して、溶接ロボット10が停止した場合に、作業者は、教示ペンダント60を用いて溶接ロボット10を手動で操作し、狙い位置を変更するといった修正作業を行うこともできる。
【0027】
ロボット接続部204には、溶接ロボット10の駆動回路が接続されている。CPU201は、制御プログラム202Aに基づく制御信号を、ロボット接続部204を介して溶接ロボット10が備える不図示の駆動回路に出力する。
【0028】
通信部205は、有線または無線通信用の通信モジュールを含んで構成される。通信部205は、電源装置30やデータ処理装置50、教示ペンダント60などとのデータや信号の通信に使用される。通信部205にて用いられる通信の方式や規格は特に限定するものではなく、複数の方式が組み合わされてもよいし、接続される装置ごとに異なっていてもよい。電源装置30からは、例えば不図示の電流センサによって検出された溶接電流の電流値や、不図示の電圧センサによって検出されたアーク電圧の電圧値が通信部205を介してCPU201に与えられる。
【0029】
ロボット制御装置20は、溶接ロボット10の各軸の制御により、溶接トーチ11の移動速度や突出し方向も制御する。また、ロボット制御装置20は、ウィービング動作を行う場合、設定された周期、振幅、溶接速度に応じて、溶接ロボット10のウィービング動作も制御する。ウィービング動作とは、溶接の進行方向、すなわち、溶接方向に対して交差する方向に溶接トーチ11を交互に揺動させることをいう。ロボット制御装置20は、ウィービング動作と共に、溶接線倣い制御を実行する。溶接線倣い制御とは、溶接線に沿ってビードが形成されるように、溶接トーチ11の進行方向に対して左右の位置を制御する動作である。また、ロボット制御装置20は、電源装置30を介してワイヤ送給装置12を制御することで、溶接ワイヤ13の送給速度なども制御する。
【0030】
[遠隔操作方法]
本実施形態では、溶接システム1を利用する作業者が、教示ペンダント60やデータ処理装置50を用いて、遠隔に位置する溶接ロボット10を制御して教示を行うことを想定して説明する。この場合、溶接ロボット10や視覚センサ40は、作業者やデータ処理装置50とは離れた位置、即ち遠隔に設置され、作業者はデータ処理装置50の表示部を介して視覚センサ40により撮影された溶接ロボット10の周辺に設置されたワークWの画像を視認する。そして、作業者は、ワークWの画像を確認することで、溶接ロボット10、特に、溶接トーチ11と、ワークWとの位置関係を把握しながら、各種操作を行う。
【0031】
このとき、作業者は視覚センサ40にて取得された画像を用いて、間接的にワークWや溶接ロボット10を視認するため、上述したように、画像の死角等が発生したり、対象を明瞭に視認しにくい状況が生じたりする。特に、すみ肉溶接の場合は明瞭に視認し難く、作業者は3次元的に溶接位置を把握することが難しい。また、開先の溶接の場合は、明瞭に視認し難いのに加え、死角が発生する場合もある。さらに、溶接ロボット10の先端部周辺と、ワークWとの接触状況などは繊細な制御が必要とされるが、視認しにくい状況下では、溶接トーチ11の先端に対して必要以上の接触の負荷をかけることなくその位置の微調整を行うことが妨げられてしまう。結果として、溶接トーチ11の接触を避けるために、必要以上にワークWと溶接トーチ11との間に距離ができてしまい、適切な溶接トーチ11の位置の教示ができない。
【0032】
そこで、本実施形態では、遠隔操作時において、溶接ロボット10とワークWの接触を適切に検知し、作業者による教示作業の利便性を向上させる。
【0033】
図3は、遠隔操作時において、作業者が溶接に係るワークW上の位置を把握する際の流れを示すフローチャートである。このとき、ロボット制御装置20は、作業者による教示ペンダント60からの各種操作を受け付けながら、処理を実行する。
【0034】
S301にて、作業者は、現在の溶接ロボット10の所定の部位の現在位置をデータ処理装置50に表示された画像から把握する。ここでの所定の部位とは、溶接トーチ11の先端部分を例に挙げて説明する。なお、ここで言う溶接トーチ11の先端部とは、溶接トーチ11を介して送給され、予め定めた突出し長さにした溶接ワイヤ13の先端位置を指す。まず、ロボット制御装置20は、検知用の電力(以下、「センシング電圧」とも称する)を溶接トーチ11または溶接ワイヤ13に印加する。そして、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11を所定の方向へ移動させて、ワークWへ接触させる。ここでの所定の方向は、作業者の教示ペンダント60への指示に基づく。ワークWと溶接トーチ11の先端部における溶接ワイヤ13とが接触し、溶接ロボット10の動作が停止することで、溶接ワイヤ13の位置よりその位置関係が特定される。
【0035】
S302にて、作業者は、溶接トーチ11をワークWから離れるように退避させる。ここでの退避させる距離や向きは、作業者の指示に基づいていてよい。ここで、センシング電圧を印可していない状態で作業者が行う遠隔操作を「第1のリモート操作」、センシング電圧を印可している状態で作業者が行う遠隔操作を「第2のリモート操作」とする。なお、「第1のリモート操作」の移動速度を「第1の移動速度」と記載し、「第2のリモート操作」の移動速度を「第2の移動速度」と記載する。したがって、S301の工程は、作業者の指示に基づき「第2のリモート操作」にて行われ、S302の工程は、作業者の指示に基づき「第1のリモート操作」にて行われる。
【0036】
「第1の移動速度」と「第2の移動速度」の設定は各々異なる速度段階が予め設けられ、本実施形態では、「第1の移動速度」は予め設定された、「高」、「中」、「中低」、「低」の4つの速度段階から任意の速度段階を選択できる。また、「第2の移動速度」は予め設定された、「最高速度」~「最低速度」までを100~1の数値で任意の速度を選択できる。「第1の移動速度」の「高」が「第2の移動速度」の100に相当し、「低」が3に相当する。なお、「第2の移動速度」は設定を変えない限りは、「第1の移動速度」の「低」と同じ速度である3となる。また、第2の移動速度は、第1の移動速度よりも遅く設定されると好ましく、少なくとも第2の移動速度は、溶接トーチ11とワークWとが接触した際に生じる電圧の変化を検知することとほぼ同時に停止可能な速度とする。電圧の変化を検知した際には、ロボット制御装置20は、「第1のリモート操作」に自動的に切り替える。
【0037】
S303にて、作業者は、任意の目標位置、S301にて把握した現在位置、に基づいて、教示ペンダント60を介し、第1のリモート操作にて溶接トーチ11の先端部が任意の目標位置に近づくように溶接ロボット10を操作する。
【0038】
S304にて、作業者は、教示ペンダント60を操作し、溶接トーチ11の先端部が目標位置から一定の距離となる位置で停止させる。ここで、作業者は、第1のリモート操作を停止させる。なお、ここでの一定の距離は作業者が任意で決定すればよい。
【0039】
S305にて、作業者は、教示ペンダント60を用いて、第2のリモート操作に切替え、溶接トーチ11の先端部がワークWに接触するように移動させる。
【0040】
S306にて、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11の先端部がワークWに接触した状態で動作を停止させる。このとき、作業者は、溶接トーチ11がワークWに接触して停止したことを確認する。
【0041】
S307にて、作業者は、溶接トーチ11の先端部の接触位置が、目標位置から所定の範囲内の位置か否かを判断する。ここでの所定の範囲は、許容誤差の範囲として、作業者が任意で決定すればよい。作業者が所定の範囲内に接触していないと判断する場合(S307にてNO)、作業者の処理は、S302へ戻り、処理を繰り返す。所定の範囲内の位置に接触した場合(S307にてYES)、本処理フローを終了する。
【0042】
次に、上記のセンシング処理などが適用される遠隔操作における溶接トーチ11の動作例について説明する。図4A図4Lは、本実施形態に係る遠隔操作の際の、作業者による教示ペンダント60からの指示により実行される溶接トーチ11の一連の動作の流れを説明するための図である。図4A図4Lはそれぞれ、ワークWと溶接トーチ11の位置関係をz軸に沿って見た場合とx軸に沿って見た場合とを対応づけて示している。図3に示したフローチャートの流れに沿って、図4A図4Lを用いて具体的に説明を行う。ここでは、図4Aに示すように2つの部材が直交するように配置されたワークWの例を用いて説明する。
【0043】
図4Bは、図3のS301の処理が開始する前の状態例を示す。まず、図4Cに示すように、作業者は、溶接トーチ11の現在位置を把握するために、教示ペンダント60を介し、ロボット制御装置20へ指示し、溶接トーチ11を第2のリモート操作にてワークWに接触させる。これは、図3のS301の工程に対応する。ここでは、y軸方向に沿って溶接トーチ11を移動させる例を示したが、他の軸に沿って移動させるような構成であってよい。
【0044】
次に、図4Dに示すように、溶接トーチ11の先端部とワークWの接触後、センシング電圧は解除され、第1のリモート操作に切り替わる。その後、作業者は、溶接トーチ11をワークWから退避させる。これは、図3のS302の工程に対応する。ここでの退避の方向は、図4CにてワークWに接近した方向と逆方向の例を示している。
【0045】
次に、図4Eに示すように、作業者は、教示ペンダント60を介し、目標位置に近づく方向に、第1のリモート操作のまま溶接トーチ11を移動させる。これは、図3のS303の工程に対応する。
【0046】
次に、図4Fに示すように、溶接トーチ11を所定の距離移動させた後、作業者は、教示ペンダント60を介し、第2のリモート操作に切り替えて、溶接トーチ11の先端部をワークWに接触させるように移動させる。これは、図3のS305の工程に対応する。この時点では、ワークWと溶接トーチ11との接触位置が、目標位置からの所定の範囲に含まれていない場合として(図3のS307にてNOに相当)、更に処理を繰り返す。
【0047】
図4Gは、繰り返されたS302の工程に対応する。また、図4Hは、繰り返されたS303の工程に対応する。更に、図4Iは、繰り返されたS306の工程に対応する。このとき、x軸、y軸、z軸の3軸のうち、x軸とy軸の座標は、目標位置と一致していることが特定される。一方、z軸方向については、目標位置からの所定の範囲に含まれていないとして(図3のS307にてNOに相当)、更に処理を繰り返す。
【0048】
図4Jは、更に繰り返されたS302の工程に対応する。次に、図4Kは、更に繰り返されたS303の工程に対応する。ここで、すでにx軸およびy軸の位置は調整できているため、作業者は、教示ペンダント60を介し、未調整の方向、すなわち、本例ではz軸方向に沿って、溶接トーチ11を目標位置に近づくように移動させる。このとき、作業者は、事前に第2のリモート操作に切り替えて、未調整の方向に溶接トーチ11を移動させる。
【0049】
そして、図4Lに示すように、溶接トーチ11の先端部が目標位置の近傍に接触できた状態となった際に、作業者による遠隔の調整動作を完了する。
【0050】
視覚センサ40が溶接線の手前側の方向からワークWを撮影するように配置されている場合、例えば、図4Cの状態や図4Fの状態では、視覚センサ40の画像において溶接トーチ11の位置と目標位置が重畳してしまい、作業者が目標位置を視認しにくいことが想定される。また、視覚センサ40の性能、例えば、解像度などによっては、ワークWにおける目標位置を明瞭に撮影できない場合があり、このような場合にも作業者が目標位置を視認しにくいことが想定される。その結果、作業者が教示プログラムを作成する際に、適切な目標位置を指定することが困難となり得る。そこで、ワークW上の位置を特定する際に、上記のような制御を溶接システム1に行わせることで、より精度の高い教示プログラムを作成するための支援機能を提供することが可能となる。
【0051】
図5は、溶接システム1の作業者が教示ペンダント60を用いて、「第2のリモート操作」を開始した際に、ロボット制御装置20が行う処理の流れを示すフローチャートである。つまり、本フローチャートは、溶接システム1の作業者が教示ペンダント60を用いて、ワークWと溶接トーチ11の先端部の接触を検出させるための操作を行った際にロボット制御装置20によって実行される。従って、本フローチャートは、図3にて示した、S301、S305、S306などの工程それぞれにて実行されてよい。
【0052】
また、上述したように、遠隔操作時には、溶接トーチ11周りの画像を視覚センサ40にて取得し、データ処理装置50の表示部などにて適宜表示させ、作業者が視認できるような状態とする。なお、視覚センサ40の撮影設定は、例えば、作業者が任意に調整可能であってよい。
【0053】
S501にて、ロボット制御装置20は、作業者が教示ペンダント60を用いて「第2のリモート操作」を開始した際に、教示ペンダント60からの指示に基づき、溶接トーチ11の先端部にて接触を検出するためのセンシング電圧を印加する。本実施形態では、第2のリモート操作については、タッチセンサ方式を用い、ワークWと溶接トーチ11の先端部における溶接ワイヤ13間に電圧を印加しておき、溶接ワイヤ13がワークWに接触したときに生じる電圧降下の現象を利用する。これにより、ワーク位置や開先、位置を検出する。なお、接触検知機能はこれに限定するものではなく、溶接トーチと母材が接触したときに生じる圧力で接触を検知する圧力センサや、溶接トーチと母材が接触したときに生じるモータにかかる負荷電圧で接触を検知する電圧検出センサなどを用いてもよい。なお、作業者が教示ペンダント60上で接触検知機能を開始させると、接触検知機能を終了または溶接トーチと母材が一度接触するまで、溶接ワイヤおよび溶接トーチを構成するノズルのうち少なくとも一つとワーク間にセンシング電圧を印加し続けてもよい。
【0054】
S502にて、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11の移動速度、すなわち、第2のリモート操作の速度を第2の移動速度に設定する。
【0055】
S503にて、ロボット制御装置20は、教示ペンダント60が備える不図示の表示部にて、第2のリモート操作である旨、即ちセンシング動作中である旨の表示を行う。ここでの表示方法は特に限定するものではないが、例えば、表示部に表示されているアイコンの色を変化させたり、メッセージを表示させたりするような構成であってよい。
【0056】
S504にて、ロボット制御装置20は、教示ペンダント60が備える不図示の表示部にて、低速度、すなわち、第2の移動速度にてセンシング動作を行っている旨の表示を行う。ここでの表示方法は特に限定するものではないが、例えば、S503にて表示したアイコンと関連付けてアイコン表示を行ってよい。
【0057】
S505にて、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11に印加しているセンシング電圧がOFFになったか否かを判定する。つまり、センシング動作を開始した時点で溶接トーチ11とワークWとが接触しているか否かを判定する。これらが接触している場合には、この時点でセンシング電圧がOFFとなる。センシング電圧がOFFになった場合(S505にてYES)、ロボット制御装置20は、センシング電圧の印加を停止し、ロボット制御装置20の処理はS513へ進む。一方、センシング電圧がONである場合(S505にてNO)、ロボット制御装置20の処理はS506へ進む。
【0058】
S506にて、ロボット制御装置20は、作業者による教示ペンダント60を介した遠隔操作を受け付けたことに応じて、溶接トーチ11の移動を開始する。
【0059】
S507にて、ロボット制御装置20は、センシング動作中に、教示ペンダント60を介して作業者からセンシング解除指示を受け付けたか否かを判定する。センシング解除指示は、例えば、教示ペンダント60が備える任意のボタンが離上されることで行われてもよい。センシング解除指示を受け付けた場合(S507にてYES)、ロボット制御装置20の処理は、S511へ進む。一方、センシング解除指示を受け付けていない場合(S507にてNO)、センシング動作を継続し、ロボット制御装置20の処理はS508へ進む。
【0060】
S508にて、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11に印加しているセンシング電圧がOFFになったか否かを判定する。つまり、溶接トーチ11とワークWとが接触したか否かを判定する。これらが接触した場合には、この時点でセンシング電圧がOFFとなる。センシング電圧がOFFになった場合(S508にてYES)、ロボット制御装置20の処理はS509へ進む。一方、センシング電圧がONである場合(S508にてNO)、センシング動作を継続し、ロボット制御装置20の処理はS507へ戻る。
【0061】
S509にて、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11の先端部における溶接ワイヤ13とワークWとが接触したか否かを判定する。本実施形態では、接触した位置に応じて、センシング電圧の低下を検出する信号端子が異なることを利用して、溶接トーチ11の先端部における溶接ワイヤ13とワークWとが接触したか、溶接ワイヤ13以外の箇所とワークWが接触したかを判定する。溶接ワイヤ13とワークWとが接触したと判定した場合(S509にてYES)、ロボット制御装置20の処理はS512へ進む。一方、溶接ワイヤ13とワークWとが接触していないと判定した場合(S509にてNO)、溶接トーチ11上の想定外の位置とワークWが接触していることとなるため、ロボット制御装置20の処理は警告を発するS510へ進む。なお、本実施形態において、センシング電圧がOFFとなり、かつ、溶接ワイヤ13とワークWとが接触していない状態とは、溶接トーチ11を構成するノズル部分とワークWとが接触した場合が想定される。ノズル部分が接触した場合でもセンシング電圧が低下し、その接触を検出することが可能であり、例えば、トーチの損傷を防止する手段として用いることができる。
【0062】
S510にて、ロボット制御装置20は、教示ペンダント60の表示部にて警告メッセージを表示する。警告メッセージの内容は特に限定するものではないが、例えば、ワークWと溶接トーチ11の先端部以外とが接触していることを通知する内容であってよい。
【0063】
S511にて、ロボット制御装置20は、センシング電圧をOFFにする。
【0064】
S512にて、ロボット制御装置20は、遠隔操作に基づく動作を停止する。
【0065】
S513にて、ロボット制御装置20は、教示ペンダント60が備える不図示の表示部にて、センシング動作中でない旨の表示を行う。ここでの表示は、S503にて行った表示を元に戻すことで行われてよい。
【0066】
S514にて、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11の移動速度を第1の移動速度の「低」に設定する。そして、本処理フローを終了する。
【0067】
上述したように、図5に示す処理フローは、教示ペンダント60を介した作業者からの「第2リモート操作」の開始の指示が有るたびに開始から終了まで実行される。したがって、図3にて示した各工程において実行可能である。
【0068】
以上、本実施形態により、遠隔に設置された溶接ロボットに対して手動操作を行う際の、溶接ロボットの損傷などを防止しつつ、その手動操作の支援のための機能を提供することが可能となる。
【0069】
[変形例1]
上記の実施形態にて示した遠隔操作に係る支援機能を、人手にて生成された教示プログラムの内容を調整、更新する際に適用する場合の変形例について説明する。ここでは、ワークW上の目標位置として、教示プログラムにて指定される教示点を例に挙げて説明する。溶接ロボット10や視覚センサ40は、作業者やデータ処理装置50とは離れた位置、即ち遠隔に設置され、作業者はデータ処理装置50の表示部を介して視覚センサ40により撮影された溶接ロボット10の周辺に設置されたワークWの画像を視認する。そして、ワークWの画像を確認しつつ、教示ペンダント60を操作して、教示プログラムのパラメータを調整する。
【0070】
例えば、すでに生成された教示プログラムを汎用的に様々な溶接システムにて利用することが行われている。このとき、溶接システムごとの機械誤差やワークの設置位置のずれなどが生じ得るため、その環境下において教示プログラムのパラメータを調整する必要がある。その場合に、上述した実施形態に係る支援機能を用いることで、遠隔操作によるパラメータの調整を容易にすることが可能である。
【0071】
図6は、本例における教示プログラムの位置パラメータの調整処理に係るフローチャートを示す。ここでは、ワークWの開先の位置を検出し、教示位置を調整する例を挙げて説明する。
【0072】
S601にて、ロボット制御装置20は、教示プログラムを取得する。ここでの取得は、既に生成されている教示プログラムを作業者から指定された場所から読み出すことで行われてもよい。または、作業者が直接入力した教示プログラムを取得してもよい。
【0073】
S602にて、ロボット制御装置20は、S601にて生成された教示プログラムにおいて指定されている溶接を行う区間の最初の教示点まで、溶接トーチ11を移動させる。
【0074】
S603にて、作業者は、教示ペンダント60を介し、モードの切り替えを行う。ここでのモードは、上述した人手にて生成された教示プログラムの内容を調整、更新する際に適用する場合における処理専用のモードに相当する。このとき、ロボット制御装置20は、モードが切り替えられたことを教示ペンダント60の表示部を介して作業者に通知してよい。
【0075】
S604にて、ロボット制御装置20は、教示ペンダント60を介して、開先位置のセンシング(以降、開先センシングと称する。)の実行操作を受け付ける。ロボット制御装置20は、受け付けた操作に基づいて、開先センシングを開始する。本工程において、作業者による教示ペンダント60を介した指示に基づき、開先形状に基づいたセンシング動作が自動で行われる。なお、開先形状に基づいたセンシング動作は作業者が操作して行ってもよい。ロボット制御装置20は、開先の周辺への接触を検知しながら、溶接トーチ11の先端部を開先の中央位置への移動を試みる。ここでの開先の中央位置への移動は、予め規定された移動パターンに基づいて、溶接トーチ11を移動させ、その接触状況に応じて中央位置へ近づくように自動的に制御させてもよい。
【0076】
S605にて、作業者は、開先センシングが成功したか否かを判断する。ここでの開先センシングの成功とは、溶接トーチ11の先端部が現在着目している教示点の開先中央に位置した場合を示す。なお、ここで言う溶接トーチ11の先端部とは、溶接トーチ11を介して送給され、予め定めた突出し長さにした溶接ワイヤの先端位置を指す。開先センシングが成功した場合(S605にてYES)、作業者の処理はS606へ進む。一方、開先センシング動作が成功していない場合、即ち着目している教示点の開先の中央位置でないと作業者が判断した場合、もしくは開先形状に基づいた一連の開先センシング動作を最後まで継続しても、開先の中央位置へロボット先端を合わせることが出来ない、と作業者が開先センシングの途中で判断した場合(S605にてNO)、作業者の処理は、S608へ進む。
【0077】
S606にて、作業者は、教示ペンダント60を介して、目的とする開先の中央位置を教示位置として更新する。その後、作業者の処理は、S607へ進む。
【0078】
S607にて、作業者は、S601にて生成した教示プログラムにおいて、溶接を行う区間の未処理の教示点があるか否かを判断する。未処理の教示点がある場合(S607にてYES)、S610へ進む。未処理の教示点が無い場合(S607にてNO)、本処理フローを終了する。このとき、S603にて切り替えたモードをモードに自動的に戻してもよいし、作業者の指示を受け付けるまで、モードを維持してもよい。
【0079】
S608にて、作業者は、教示ペンダント60を介して、第1のリモート操作にて開先付近から溶接トーチ11の先端部を退避させる。そして、作業者の処理はS609へ進む。
【0080】
S609にて、作業者は、第1のリモート操作にて、溶接トーチ11の先端部を開先付近まで接近させる。ここでの移動は、作業者による教示ペンダント60を介した指示に基づいてもよいし、ここまで検出した開先の位置や形状などに応じて設定されてもよい。そして、作業者の処理は、S604へ戻り、現在着目している教示点に対する開先のセンシング動作を繰り返す。
【0081】
S610にて、作業者は、教示ペンダント60を介して、第1のリモート操作にて溶接トーチ11の先端部を退避させる。
【0082】
S611にて、作業者は、教示ペンダント60を介して、第1のリモート操作にて溶接トーチ11の先端部を次の未処理の教示点の周辺へ移動させる。そして、作業者の処理はS604へ戻って繰り返す。
【0083】
図6に示したフローチャートの流れに沿って、図7A図7Cを用いて具体的に説明を行う。ここでは、図7Aに示すように2つの部材の間に開先が設けられ、開先の裏側に裏当て材が配置されたワークWの例を用いて説明する。
【0084】
図7Aの例では、教示プログラムにおいて、ある溶接区間に対し開始点P1と終了点P5が設定され、その間に、3つの教示点P2~P4が指定されている。教示点P2~P4は、実際に溶接すべき溶接点P2’~P4’とは異なる値となっている。従って、教示プログラムでは、教示点P2~P4の値を溶接点P2’~P4’と同一または略同一となるように設定することが求められる。なお、溶接点P2’~P4’は、開先の中央位置に相当する。
【0085】
まず、溶接ロボット10は、図7Bに示すように、最初の教示点として教示点P2に着目する。これは、図6のS602の工程に対応する。そして、作業者は、S606の工程までの流れに沿って処理を行うことで、図7Cに示すように、溶接点P2’の位置にて開先の中央を特定できた場合に、教示プログラムのパラメータ、特に位置パラメータの更新指示を行い、教示プログラムの更新を行う。このような動作を教示点P3、P4にも同様に行うことで、教示プログラムを更新する。
【0086】
以上、本例により、教示プログラムのパラメータを調整する際の作業支援を行うことができる。そして、結果として、より精度の高い溶接を実現することが可能となる。
【0087】
[変形例2]
上記の実施形態にて示した遠隔操作に係る支援機能を、溶接の途中でエラーが発生した際の溶接トーチ11の先端位置を調整する際に用いる場合の変形例について説明する。
【0088】
例えば、溶接中に何らかのエラーが発生した場合、遠隔操作にて、溶接トーチ11の位置を溶接が再開できる位置に移動させる必要がある。このとき、溶接トーチ11がワークの不適切な位置に接触したり、配置されたりしないように、上述した実施形態に係るセンシング処理を用いることで溶接トーチ11の位置の調整を容易にすることが可能である。
【0089】
図8は、本例における溶接中の溶接トーチ11の位置の調整処理に係るフローチャートを示す。ここでは、ワークWの開先の位置を検出し、溶接トーチ11を開先中央に位置させる例を挙げて説明する。図8の処理フローが開始される前に、溶接が実行され、その途中で何らかのエラーが発生して溶接が停止しているものとする。この場合に、本処理フローが開始される。
【0090】
S801にて、ロボット制御装置20は、溶接トーチ11の先端部をワークから退避するように移動させる。なお、ここで言う溶接トーチ11の先端部とは、溶接トーチ11を介して送給され、予め定めた突出し長さにした溶接ワイヤの先端位置を指す。ここでの移動方向は予め規定されていてもよいし、これまでに行われた溶接の内容やワークの形状に応じて設定されてもよい。
【0091】
S802にて、作業者は、教示ペンダント60を介し、第1のリモート操作にて、溶接トーチ11の先端部を開先付近まで接近させる。
【0092】
S803にて、ロボット制御装置20は、作業者による教示ペンダント60を介した指示に基づいて、モードの切り替えを行う。ここでのモードは、上述した遠隔操作によるセンシング動作を行う際のモードに相当する。このとき、モードが切り替えられたことを教示ペンダント60の表示部を介して作業者に通知してよい。
【0093】
S804にて、作業者は、教示ペンダント60を介し、第2のリモート操作にて、開先内をセンシングする。作業者は、開先の周辺への接触を検知しながら、溶接トーチ11の先端部を開先の中央位置への移動を試みる。ここでの開先の中央位置への移動は、予め規定された移動パターンに基づいて、溶接トーチ11を移動させ、その接触状況に応じて中央位置へ近づくように自動的に制御させてもよい。
【0094】
S805にて、作業者は、開先センシング動作が成功したか否かを判断する。ここでの開先センシング動作の成功とは、作業者が溶接トーチ11の先端部が開先の中央に位置したと判断した場合を示す。開先センシング動作が成功した場合(S805にてYES)、作業者の処理はS807へ進む。一方、開先センシング動作が成功していない場合(S805にてNO)、作業者は開先付近から溶接トーチ11の先端部を退避させ、作業者の処理はS804へ戻り、開先中央へ位置するまで処理を繰り返す。
【0095】
S806にて、作業者は、特定された位置に基づいて、ロボット制御装置20に指示を行い、溶接を再開する。更にロボット制御装置20は、S803にて切り替えたモードを溶接時のモードに切り替える。
【0096】
S807にて、作業者は、教示ペンダント60を介して、第1のリモート操作にて開先付近から溶接トーチ11の先端部を退避させる。そして、作業者の処理はS808へ進む。
【0097】
S808にて、作業者は、第1のリモート操作にて、溶接トーチ11の先端部を開先付近まで接近させる。ここでの移動は、作業者による教示ペンダント60を介した指示に基づいてもよいし、ここまで検出した開先の位置や形状などに応じて設定されてもよい。そして、作業者の処理は、S804へ戻り、現在着目している教示点に対する開先のセンシング動作を繰り返す。
【0098】
図8に示したフローチャートの流れに沿って、図9A図9Cを用いて具体的に説明を行う。ここでは、図8Aに示すように2つの部材の間に開先が設けられ、開先の裏側に裏当て材が配置されたワークWの例を用いて説明する。
【0099】
図9Aの例では、教示プログラムにおいて、ある溶接区間に対し開始点P1と終了点P4が設定され、その間に、2つの溶接点P2、P3が指定されている。溶接ロボット10は、この教示プログラムに基づいて溶接点P2からP3の区間について溶接を行うものとする。
【0100】
そして、図9Bに示すように、溶接途中において、溶接トーチ11とワークWが接触したことによりエラーが発生し、溶接が停止したものとする。この場合に、図8の処理フローが開始される。そして、図8の処理結果として、図9Cに示すような開先中央に溶接トーチ11が配置され、溶接が再開されることとなる。
【0101】
以上、本例により、溶接がエラーにより中断した場合でも、上記の遠隔操作に係る支援機能を用いて溶接トーチ11の位置を調整することで、作業者による溶接の操作支援を適切に行うことが可能となる。
【0102】
<その他の実施形態>
上記の実施形態では、センシング動作を行う際に、溶接トーチ11自体を移動させることでワークWとの接触を検知し、その位置関係を特定していた。この構成に限定するものではなく、例えば、溶接トーチ11から突出させる溶接ワイヤ13の送り速度を調整し、その送り出した溶接ワイヤ13とワークWと接触を検知することで、溶接トーチ11とワークWとの位置関係を特定してもよい。この構成は、例えば、溶接ワイヤ13の突出し方向にワークWが位置していることが分かっている場合に利用可能である。
【0103】
また、上記の実施形態では、作業者による教示ペンダント60を介して行われる遠隔操作に基づいてロボット制御装置20が溶接トーチ11を制御する際の一例を示した。ここで、上記処理フローに含まれる各工程において、処理の主体は必ずしも上記の構成のみに限定するものではない。例えば、上記では作業者による個々の指示に基づくものとして示した動作の一部を溶接システム1側で自動的に行うような構成であってもよい。
【0104】
本発明において、上述した1以上の実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワークまたは記憶媒体等を用いてシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0105】
また、1以上の機能を実現する回路によって実現してもよい。なお、1以上の機能を実現する回路としては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。
【0106】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 遠隔による溶接ロボットの手動操作が可能な溶接システムの遠隔操作方法であって、
1または複数の撮像装置を用いて、任意の位置の画像データを取得する取得工程と、
表示装置を用いて前記画像データを表示する表示工程と、
操作端末を介して、作業者から前記溶接ロボットの溶接トーチによる接触検知機能の実行の指示を受け付ける受け付け工程と、
前記接触検知機能の実行中において、前記操作端末を介して受け付ける前記溶接ロボットへの指示に基づいて前記溶接トーチを移動させる操作工程と、
を有し、
前記操作工程において、前記接触検知機能にて前記溶接トーチが周辺の部材との接触を検知した場合、当該接触の位置に基づいて前記溶接トーチの位置が調整される、
溶接システムの遠隔操作方法。
この構成によれば、遠隔に設置された溶接ロボットに対して手動操作を行う際に、作業者が各種作業を適切に行うことが可能となる。
【0107】
(2) 前記溶接システムにて用いられる教示プログラムのパラメータの更新の指示を受け付ける更新工程を更に有し、
前記更新工程において、前記接触検知機能にて検知した接触の位置に基づいて、前記教示プログラムにて指定された位置パラメータの更新の指示を受け付ける、(1)に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
この構成によれば、遠隔操作であっても精度良く溶接ロボットの位置調整が可能となり、適切な位置への教示プログラムのパラメータの調整が可能となる。
【0108】
(3) 前記操作工程において、前記接触検知機能の実行中、前記溶接トーチの移動速度または前記溶接トーチからの溶接ワイヤの送り速度の少なくともいずれかを予め規定した第1の速度に設定する、(1)または(2)に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
この構成によれば、遠隔操作中において、溶接トーチや溶接ワイヤの送り速度を用いて、ワークとの接触を検出することが可能となる。
【0109】
(4) 前記第1の速度は、前記接触検知機能が実行されていない場合における第2の速度よりも遅い、(3)に記載の溶接システムの遠隔操作方法。
この構成によれば、接触検知機能の実行中においては、検知に係る速度を遅くすることで、接触が発生した場合でも即座に制御を停止させ、より細やかな制御を行うことが可能となる。
【0110】
(5) 前記接触検知機能は、接触時に生じる、電圧、荷重、またはモータの負荷の変化に基づいて検知される、(1)から(4)のいずれかに記載の溶接システムの遠隔操作方法。
この構成によれば、電圧、荷重、またはモータの負荷の変化といった様々な原理の接触検知機能を適用して、接触を検知することが可能となる。
【0111】
(6) 前記接触検知機能が実行されている間、当該実行中である旨が前記操作端末または前記表示装置を介して前記作業者に通知される、(1)から(5)のいずれかに記載の溶接システムの遠隔操作方法。
この構成によれば、接触検知機能が実行されていることを作業者が容易に把握でき、操作の利便性を向上させることが可能となる。
【0112】
(7) 前記1または複数の撮像装置は、前記溶接トーチの移動に伴って、撮影位置を変化させる、(1)から(6)のいずれかに記載の溶接システムの遠隔操作方法。
この構成によれば、溶接トーチの移動に伴って、撮影位置を変化させるため、作業者による遠隔操作の操作性を向上させることが可能となる。
【0113】
(8) 溶接トーチを備える溶接ロボットと、
1または複数の撮像装置と、
表示装置と、
遠隔にて前記溶接ロボットの手動操作を行うための操作端末と、
を備える溶接システムであって、
前記1または複数の撮像装置を用いて、任意の位置の画像データを取得する取得手段と、
前記表示装置を用いて前記画像データを表示させる表示手段と、
前記操作端末を介して、作業者から前記溶接トーチによる接触検知機能の実行の指示を受け付ける受け付け手段と、
前記接触検知機能の実行中において、前記操作端末を介して受け付ける前記溶接ロボットへの指示に基づいて前記溶接トーチを移動させる操作手段と、
を有し、
前記操作手段は、前記接触検知機能にて前記溶接トーチが周辺の部材との接触を検知した場合、当該接触の位置に基づいて前記溶接トーチの位置を調整する、溶接システム。
この構成によれば、遠隔に設置された溶接ロボットに対して手動操作を行う際に、作業者が各種作業を適切に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0114】
1 溶接システム
10 溶接ロボット
11 溶接トーチ
12 ワイヤ送給装置
13 溶接ワイヤ
20 ロボット制御装置
201 CPU
202 メモリ
202A 制御プログラム
203 操作パネル
204 ロボット接続部
205 通信部
30 電源装置
40 視覚センサ
50 データ処理装置
60 教示ペンダント
W ワーク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C