(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032701
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】揮発性有機化合物の回収装置及び回収方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20240305BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20240305BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20240305BHJP
F26B 21/04 20060101ALI20240305BHJP
F26B 15/12 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C9/14
B01D5/00 E
F26B21/04 C
F26B15/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213882
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2022127687の分割
【原出願日】2019-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄
(72)【発明者】
【氏名】篠田 雅史
(57)【要約】
【課題】乾燥炉において発生するVOCを効率的に回収可能であり、コスト面及び環境面において優れたVOCの回収装置及び回収方法をもたらす。
【解決手段】VOCの回収装置は、電着塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、ディップ水洗槽と、塗装乾燥炉と、を備えた電着塗装ラインにおける該塗装乾燥炉内のVOCを回収するための装置であって、塗装乾燥炉は、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、塗装乾燥炉内の炉内空気を取出すための取出通路と、第1炉内空気を含む炉内空気を冷却して、炉内空気に含まれるVOCを炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークのディップ水洗を行うためのディップ水洗槽と、該ディップ水洗槽の下流側に配置され且つ該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉と、を備えた電着塗装ラインにおける該塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための装置であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出すための取出通路と、
上記第1炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備える
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項2】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための装置であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出すための取出通路と、
上記第2炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備え、
上記冷却回収部は、該冷却回収部内に追加の水分を補充する水分供給器を備えた
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
上記冷却回収部は、
上記炉内空気を冷却する冷却器と、
上記冷却器によって冷却され、上記凝縮物が除去された残空気が導入され、該残空気を加熱する加熱器と、
上記加熱された残空気を上記塗装乾燥炉の上記蒸発ゾーンに戻すリターン通路と、
上記冷却器と上記加熱器とを連絡し、上記冷却器に上記炉内空気を冷却する冷熱を熱交換によって供給し、上記加熱器に上記残空気を加熱する温熱を熱交換によって供給するヒートポンプと、を備えた
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
上記取出通路は、
上記蒸発ゾーンに連通し、上記第1炉内空気を取出すための第1取出通路と、
上記硬化ゾーンに連通し、上記第2炉内空気を取出すための第2取出通路と、を備える
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項5】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための方法であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出す取出工程と、
上記第1炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収工程とを備え、
上記水溶性塗料は、電着塗料であり、
上記ワークは、上記電着塗料を用いた電着工程後に、洗浄水に浸漬されて洗浄される水洗工程を経た状態で、上記塗装乾燥炉に搬入されるものである
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【請求項6】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための方法であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出す取出工程と、
上記第2炉内空気を含む上記炉内空気に追加の水分を補充し且つ該炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収工程とを備えた
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6において、
上記冷却回収工程後の上記凝縮物が除去された残空気を加熱して上記塗装乾燥炉の上記蒸発ゾーンに戻すリターン工程を備え、
上記炉内空気を吸熱源とし、上記残空気を放熱源とするヒートポンプを用いて上記炉内空気の冷却及び上記残空気の加熱を行なう
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【請求項8】
請求項5又は請求項6において、
上記取出工程は、
上記第1炉内空気を取出す第1取出工程と、
上記第2炉内空気を取出す第2取出工程と、を備える
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物の回収装置及び回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体等の塗装工程において、塗料の損失を低減させるため、余剰の塗料を回収することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、塗装されたワークを乾燥炉に搬入して塗膜の乾燥(焼付け或いはフラッシュオフ)を行なう乾燥工程では、塗膜に含まれる多量の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、以下、「VOC」と称することがある。)が蒸発することが知られている。
【0005】
このVOCは、従来焼却処分することが行われているが、コスト面において問題があるとともに、VOCの焼却によりCO2が多量に発生する等環境面においても問題があった。
【0006】
そこで、本開示は、乾燥炉において発生するVOCを効率的に回収可能であり、コスト面及び環境面において優れたVOCの回収装置及び回収方法をもたらすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、ここに開示する第1の技術に係る揮発性有機化合物の回収装置は、電着塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークのディップ水洗を行うためのディップ水洗槽と、該ディップ水洗槽の下流側に配置され且つ該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉と、を備えた電着塗装ラインにおける該塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための装置であって、上記塗装乾燥炉は、上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出すための取出通路と、上記第1炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備えることを特徴とする。
【0008】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークの塗膜には、水分及び揮発性有機化合物が多量に含まれている。特に、電着塗料を用いて塗装されたワークを洗浄水に浸漬して洗浄するディップ水洗槽を備えた電着塗装ラインでは、塗装乾燥炉に搬送されたワークの塗膜には、洗浄水に由来する水分が多量に含まれている。低温の蒸発ゾーンでは、塗膜に含まれる水分が主に蒸発し、第1炉内空気は水蒸気を多量に含む。また、高温の硬化ゾーンでは、塗膜に含まれるVOCが主に蒸発し、第2炉内空気はVOCを多量に含む。すなわち、硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低い。本技術では、第1炉内空気を含む炉内空気を冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉内のVOCを効率的に回収することができる。また、本技術によれば、VOCを凝縮物として回収するから、従来のVOC焼却処理のための排気や触媒酸化装置の設置が不要になり、若しくは、触媒酸化装置を設ける場合でも、その小型化及び排気量の低減が可能になる。
【0009】
ここに開示する第2の技術に係る揮発性有機化合物の回収装置は、水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための装置であって、上記塗装乾燥炉は、上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出すための取出通路と、上記第2炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該第2炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備え、上記冷却回収部は、該冷却回収部内に追加の水分を補充する水分供給器を備えたことを特徴とする。
【0010】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークの塗膜には、水分及び揮発性有機化合物が多量に含まれている。低温の蒸発ゾーンでは、塗膜に含まれる水分が主に蒸発し、第1炉内空気は水蒸気を多量に含む。また、高温の硬化ゾーンでは、塗膜に含まれるVOCが主に蒸発し、第2炉内空気はVOCを多量に含む。すなわち、硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低い。第2炉内空気に含まれる水分が少ない場合、冷却回収部においてVOCを十分回収可能な水分量を確保しがたくなり得る。本技術では、第2炉内空気を含む炉内空気に追加の水分を補充して該炉内空気を冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉内のVOCを効率的に回収することができる。また、本技術によれば、VOCを凝縮物として回収するから、従来のVOC焼却処理のための排気や触媒酸化装置の設置が不要になり、若しくは、触媒酸化装置を設ける場合でも、その小型化及び排気量の低減が可能になる。
【0011】
第3の技術は、第1又は第2の技術において、上記冷却回収部は、上記炉内空気を冷却する冷却器と、上記冷却器によって冷却され、上記凝縮物が除去された残空気が導入され、該残空気を加熱する加熱器と、上記加熱された残空気を上記塗装乾燥炉の上記蒸発ゾーンに戻すリターン通路と、上記冷却器と上記加熱器とを連絡し、上記冷却器に上記炉内空気を冷却する冷熱を熱交換によって供給し、上記加熱器に上記残空気を加熱する温熱を熱交換によって供給するヒートポンプと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本技術によれば、炉内空気を冷却し、水分及びVOCを凝縮させて除去した後の乾燥した空気が加熱されて塗装乾燥炉の蒸発ゾーンに戻されるから、塗装乾燥炉内の蒸気圧の上昇が抑えられる。その結果、塗装乾燥炉における塗膜中の水分やVOCの蒸発速度が高くなるため、ワークの塗膜を塗装乾燥炉において速やかに効率良く乾燥させることができ、品質向上に有利になる。さらに、炉内空気の冷却及び空気の加熱にヒートポンプを利用するから、エネルギーロスが少なくなり、省エネに有利になる。
【0013】
第4の技術は、第1又は第2の技術において、上記取出通路は、上記蒸発ゾーンに連通し、上記第1炉内空気を取出すための第1取出通路と、上記硬化ゾーンに連通し、上記第2炉内空気を取出すための第2取出通路と、を備えることを特徴とする。
【0014】
ここに開示する第5の技術に係る揮発性有機化合物の回収方法は、水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための方法であって、上記塗装乾燥炉は、上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出す取出工程と、上記第1炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収工程とを備え、上記水溶性塗料は、電着塗料であり、上記ワークは、上記電着塗料を用いた電着工程後に、洗浄水に浸漬されて洗浄される水洗工程を経た状態で、上記塗装乾燥炉に搬入されるものであることを特徴とする。
【0015】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークの塗膜には、水分及び揮発性有機化合物が多量に含まれている。特に、電着工程後に洗浄水に浸漬されて洗浄される水洗工程が行われる場合、塗装乾燥炉に搬入されるワークの塗膜には、洗浄水に由来する水分が多量に含まれている。低温の蒸発ゾーンでは、塗膜に含まれる水分が主に蒸発し、第1炉内空気は水蒸気を多量に含む。また、高温の硬化ゾーンでは、塗膜に含まれるVOCが主に蒸発し、第2炉内空気はVOCを多量に含む。すなわち、硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低い。本技術によれば、第1炉内空気を含む炉内空気を冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉内において蒸発したVOCを効率的に回収することができる。また、従来のVOC焼却処理のための排気や触媒酸化装置の設置が不要になり、若しくは、触媒酸化装置を設ける場合でも、その小型化及び排気量の低減が可能になる。
【0016】
ここに開示する第6の技術に係る揮発性有機化合物の回収方法は、水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための方法であって、上記塗装乾燥炉は、上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出す取出工程と、上記第2炉内空気を含む上記炉内空気に追加の水分を補充し且つ該炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収工程とを備えたことを特徴とする。
【0017】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークの塗膜には、水分及び揮発性有機化合物が多量に含まれている。低温の蒸発ゾーンでは、塗膜に含まれる水分が主に蒸発し、第1炉内空気は水蒸気を多量に含む。また、高温の硬化ゾーンでは、塗膜に含まれるVOCが主に蒸発し、第2炉内空気はVOCを多量に含む。すなわち、硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低い。第2炉内空気に含まれる水分が少ない場合、冷却回収工程においてVOCを十分回収可能な水分量を確保しがたくなり得る。本技術によれば、第2炉内空気を含む炉内空気に追加の水分を補充して該炉内空気を冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉内において蒸発したVOCを効率的に回収することができる。また、従来のVOC焼却処理のための排気や触媒酸化装置の設置が不要になり、若しくは、触媒酸化装置を設ける場合でも、その小型化及び排気量の低減が可能になる。
【0018】
第7の技術は、第5又は第6の技術において、上記冷却回収工程後の上記凝縮物が除去された残空気を加熱して上記塗装乾燥炉の上記蒸発ゾーンに戻すリターン工程を備え、上記炉内空気を吸熱源とし、上記残空気を放熱源とするヒートポンプを用いて上記炉内空気の冷却及び上記残空気の加熱を行なうことを特徴とする。
【0019】
本技術によれば、炉内空気を冷却し、水分及びVOCを凝縮させて除去した後の乾燥した空気が加熱されて塗装乾燥炉の蒸発ゾーンに戻されるから、塗装乾燥炉内の蒸気圧の上昇が抑えられる。その結果、塗装乾燥炉における塗膜中の水分やVOCの蒸発速度が高くなるため、ワークの塗膜を塗装乾燥炉において速やかに効率良く乾燥させることができ、品質向上に有利になる。さらに、炉内空気の冷却及び空気の加熱にヒートポンプを利用するから、エネルギーロスが少なくなり、省エネに有利になる。
【0020】
第8の技術は、第5又は第6の技術において、上記取出工程は、上記第1炉内空気を取出す第1取出工程と、上記第2炉内空気を取出す第2取出工程と、を備えることを特徴とする。
【0021】
一実施形態に係る揮発性有機化合物の回収装置は、水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための装置であって、上記塗装乾燥炉は、上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、上記蒸発ゾーンに連通し、該蒸発ゾーン内の第1炉内空気を取出すための第1取出通路と、上記硬化ゾーンに連通し、該硬化ゾーン内の第2炉内空気を取出すための第2取出通路と、上記第1炉内空気と上記第2炉内空気とを混合して混合空気を得る混合チャンバと、上記混合空気を冷却して、該混合空気に含まれる上記揮発性有機化合物を上記水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備え、上記冷却回収部は、該冷却回収部内に追加の水分を補充する水分供給器を備える。
水溶性塗料を用いて塗装されたワークの塗膜には、水分及び揮発性有機化合物が多量に含まれている。低温の蒸発ゾーンでは、塗膜に含まれる水分が主に蒸発し、第1炉内空気は水蒸気を多量に含む。一方、蒸発ゾーンの下流に設けられた高温の硬化ゾーンでは、塗膜に含まれるVOCが主に蒸発し、第2炉内空気はVOCを多量に含む。本技術では、蒸発ゾーンの第1炉内空気と硬化ゾーンの第2炉内空気とを取り出して混合し、冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉内のVOCを効率的に回収することができる。また、本技術によれば、VOCを凝縮物として回収するから、従来のVOC焼却処理のための排気や触媒酸化装置の設置が不要になり、若しくは、触媒酸化装置を設ける場合でも、その小型化及び排気量の低減が可能になる。さらに、混合空気に含まれる水分が少ない場合、冷却回収部においてVOCを十分回収可能な水分量を確保しがたくなり得る。本技術によれば、冷却回収部において、追加の水分を補充することにより、VOCを効率的に回収することができる。
【0022】
一実施形態に係る揮発性有機化合物の回収方法は、水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための方法であって、上記塗装乾燥炉は、上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気を取出す第1取出工程と、上記硬化ゾーン内の第2炉内空気を取出す第2取出工程と、上記第1炉内空気と上記第2炉内空気とを混合して混合空気を得る混合工程と、上記混合空気に追加の水分を補充し且つ該混合空気を冷却して、該混合空気に含まれる上記揮発性有機化合物を上記水分及び上記追加の水分とともに凝縮物として回収する冷却回収工程とを備える。
本技術によれば、第1炉内空気と第2炉内空気とを取り出して混合し、冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉内において蒸発したVOCを効率的に回収することができる。また、従来のVOC焼却処理のための排気や触媒酸化装置の設置が不要になり、若しくは、触媒酸化装置を設ける場合でも、その小型化及び排気量の低減が可能になる。さらに、混合空気に含まれる水分が少ない場合、冷却回収工程においてVOCを十分回収可能な水分量を確保しがたくなり得る。本技術によれば、冷却回収工程において、追加の水分を補充することにより、VOCを効率的に回収することができる。
【0023】
上記冷却器の上流側に、上記炉内空気を予備冷却する追加の冷却器を備えてもよい。上記炉内空気を、上記ヒートポンプによる冷却前に予備冷却するようにしてもよい。これにより、予備冷却により炉内空気をある程度冷却することができるから、炉内空気のヒートポンプによる所定温度までの冷却が容易になる。
【0024】
上記リターン工程で、上記ヒートポンプによって加熱された残空気をさらに加熱して上記塗装乾燥炉に戻すようにしてもよい。これにより、塗装乾燥炉に戻す残空気の温度調整が容易になる。また、操業開始時の塗装乾燥炉の昇温を早めることができる。
【0025】
好ましくは、上記炉内空気に含まれる上記水分の重量絶対湿度は、21g/kg以上であり、上記炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物の濃度は、500ppmC以上であり、上記残空気に含まれる上記水分の重量絶対湿度は、18g/kg以下であり、上記残空気に含まれる上記揮発性有機化合物の濃度は、80ppmC以下である。
【0026】
本技術によれば、冷却回収工程において、水分とともに効率的にVOCを回収することができるから、コスト面及び環境面において優れた揮発性有機化合物の回収方法をもたらすことができる。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本開示によると、炉内空気を冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉内のVOCを効率的に回収することができる。また、本技術によれば、VOCを凝縮物として回収するから、従来のVOC焼却処理のための排気や触媒酸化装置の設置が不要になり、若しくは、触媒酸化装置を設ける場合でも、その小型化及び排気量の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】
図1のA-A線における模式的な断面図である。
【
図3】実施形態1に係る回収装置を備えた塗装乾燥炉を示す図である。
【
図4】実施形態2に係る回収装置を備えた塗装乾燥炉を示す
図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0030】
(実施形態1)
<電着塗装ラインの構成>
図1に示す電着塗装ライン900のワーク2は自動車ボディである。この電着塗装ライン900は、上流側から順に配置された、電着ステーション910、水洗ステーション920及び乾燥ステーション930と、ワーク2を各ステーション910,920,930に順に案内するハンガー式搬送装置90とを備える。
【0031】
なお、本明細書において、「上流側」、「下流側」とは、電着塗装ライン900においてはワーク2の流れる方向、後述する循環路6においては空気の流れる方向を基準とする。
【0032】
<ハンガー式搬送装置>
図2は、乾燥ステーション930の後述する塗装乾燥炉100の模式的な断面図である。
図1,
図2に示すように、ハンガー式搬送装置90は、オーバーヘッドコンベアであり、電着塗装ライン900に沿って延びるガイドレール11と、このガイドレール11にローラ12によって係合し該ガイドレール11に沿って移動する前後のトロリー13とを備え、トロリー13にハンガー10が吊り下げられている。ハンガー10は、ワーク2を両側から支持するための、トロリー13にCネック14を介して吊り下げられた前後の門型フレーム15を備えている。門型フレーム15の下端部にはワーク受け16が設けられている。ワーク2は、ハンガー10に吊り下げられて、各ステーション910,920,930に順に搬入される。そうして、各ステーション910,920,930における電着工程、水洗工程、及び乾燥工程を経てワーク2の電着塗装が完了する。
【0033】
<電着ステーション>
電着ステーション910には、電着塗料912を貯留した電着槽911が設けられている。ワーク2は、例えば化成処理が施された上で、この電着槽911に浸漬される。そして、ワーク2を陰極とし、電着槽911内に設けられた対極(不図示)を陽極としてカチオン電着塗装が行なわれる(電着工程)。
【0034】
<水洗ステーション>
水洗ステーション920では、電着塗料912が電着したワーク2のUFろ液923(洗浄水)によるディップ水洗とこれに続くスプレー水洗、及び、工業用水927(洗浄水)によるディップ水洗とこれに続くスプレー水洗を行う(水洗工程)。
【0035】
そのために、水洗ステーション920は、上流側から順に配置された、UFろ液923が貯留されるUFディップ水洗槽921及びUFろ液923噴霧用のUFスプレーノズル922と、工業用水927が貯留される工業用水ディップ水洗槽925及び工業用水927噴霧用の工業用水スプレーノズル926とを備えている。ワーク2は、各ディップ水洗槽921,925に貯留されたUFろ液923又は工業用水927に浸漬されることにより洗浄された後、各スプレーノズル922,926を介して吹き付けられたUFろ液923又は工業用水927によりさらに洗浄される。
【0036】
UFろ液923は、電着槽911の電着塗料912を限外ろ過(Ultrafiltration、「UF」と称することがある。)することにより得られるろ液である。そのために、電着槽911には、図示しないUF装置及びUFタンクが付設されている。電着槽911の電着塗料912は、その損失を減らすべく、UF装置により限外ろ過され、そのUFろ液923がUFタンクに貯留される。UFタンクに貯留されたUFろ液923は、UFスプレーノズル922に供給され、スプレー済みのUFろ液923がUFディップ水洗槽921に回収される。そして、UFディップ水洗槽921からのオーバーフロー水が電着槽911に回収される。
【0037】
<乾燥ステーション>
乾燥ステーション930は、
図3に示すように、塗装乾燥炉100と、塗装乾燥炉100に配設された本実施形態に係る揮発性有機化合物(Volatile Organic
Compounds、「VOC」と称することがある。)の回収装置200とを備えている。
【0038】
<塗装乾燥炉>
塗装乾燥炉100は、電着工程及び水洗工程を経たワーク2が搬入され、該ワーク2の塗膜を乾燥させる(乾燥工程)。塗装乾燥炉100は、上流側から順に、入口110と、蒸発ゾーン120と、硬化ゾーン130と、出口140とを備える。蒸発ゾーン120は、塗膜に含まれる水分を主に蒸発させるためのゾーンである。また、硬化ゾーン130は、塗膜に含まれるVOCを主に蒸発させて塗膜を硬化させるためのゾーンである。水洗ステーション920を通過したワーク2は、塗装乾燥炉100の入口110に搬入され、蒸発ゾーン120及び硬化ゾーン130を順に通過して、出口140から塗装乾燥炉100外に搬出される。
【0039】
図2に示すように、塗装乾燥炉100の蒸発ゾーン120及び硬化ゾーン130の相対する内側壁17には、後述する循環路6から供給される温風をハンガー10に搭載されたワーク2に向けて吹き出すノズルボックス18が設けられている。内側壁17の上部には、塗装乾燥炉100内の空気を、循環用ファン(不図示)の作動により循環路6に排出するエア吸込み口19が開口している。塗装乾燥炉100の壁には断熱材8が設けられている。
【0040】
ここに、蒸発ゾーン120の炉内温度は、例えば80℃以上120℃以下に保たれている。一方、硬化ゾーン130の炉内温度は、例えば150℃以上200℃以下に保たれている。すなわち、硬化ゾーン130の炉内温度は、塗膜の硬化を促進させるべく、VOCの沸点近傍の温度に保たれている。そして、硬化ゾーン130の上流側に設けられた蒸発ゾーン120の炉内温度は、硬化ゾーン130の炉内温度に比べて低温であり、且つ水分の沸点近傍の温度に保たれている。
【0041】
電着工程及び水洗工程を経た状態のワーク2の塗膜には、電着塗料912に含まれるVOCが多量に含まれるとともに、水分が多量に含まれる。上流側に設けられた低温の蒸発ゾーン120では、予めワーク2の塗膜に含まれる水分を主に蒸発させる。そうして、蒸発ゾーン120において十分に水分を蒸発させた後、蒸発ゾーン120の下流側に設けられた高温の硬化ゾーン130において、塗膜に含まれるVOCを主に蒸発させ、塗膜を硬化させる。
【0042】
仮に、水洗工程を経たワーク2を直接硬化ゾーン130に搬入すると、塗膜に含まれる水分とVOCとが一気に蒸発する。そうすると、塗膜からの蒸発成分の量が過多となり、塗膜に空隙が発生する等塗膜品質の低下に繋がる虞がある。
【0043】
蒸発ゾーン120及び硬化ゾーン130を設けて、水分及びVOCを段階的に蒸発させることにより、高品質の塗膜をもたらすことができる。なお、上記構成によれば、蒸発ゾーン120の第1炉内空気121は水蒸気を多量に含む。一方、第2炉内空気131にはVOCが多量に含まれる。
【0044】
蒸発ゾーン120内の第1炉内空気121の重量絶対湿度(以下、単に「湿度」と称することがある。)は、例えば20g/kg以上25g/kg以下である。一方、硬化ゾーン130内の第2炉内空気131の湿度は、第1炉内空気121の湿度より低く、例えば15g/kg以上20g/kg以下である。
【0045】
また、第1炉内空気121に含まれるVOCの濃度は、例えば60ppmC以上100ppmC以下程度である。一方、第2炉内空気131に含まれるVOCの濃度は、第1炉内空気121のVOC濃度よりも高く、例えば600ppmC以上1000ppmC以下程度である。
【0046】
<回収装置>
回収装置200は、塗装乾燥炉100内のVOCを回収するための装置である。
【0047】
図3に示すように、回収装置200は、塗装乾燥炉100内の空気を取り出して循環させる循環路6と、循環路6上に配設された混合チャンバ230、冷却回収部300、ヒートポンプ600、及び第2加熱器210、第3加熱器220と、冷却回収部300に接続された冷却塔400及びタンク500とを備えている。
【0048】
循環路6は、第1取出通路202と、第2取出通路203と、蒸発ゾーン取出通路201と、第1連通路204と、第2連通路205と、蒸発ゾーンリターン通路207と、硬化ゾーン循環通路209とを備えている。
【0049】
VOCは、回収装置200を用いることにより、以下の各工程を経て回収される。すなわち、蒸発ゾーン120内の第1炉内空気121を取出す第1取出工程、硬化ゾーン130内の第2炉内空気131を取出す第2取出工程、混合チャンバ230において第1炉内空気121と第2炉内空気131とを混合して混合空気231を得る混合工程、冷却回収部300において混合空気231を冷却して、混合空気231に含まれるVOCを水分とともに凝縮物501として回収する冷却回収工程、及び冷却回収工程後の凝縮物501が除去された残空気301を加熱して塗装乾燥炉100に戻すリターン工程である。なお、本実施形態に係る回収装置200では、VOCの回収と併せて、又はこれとは別に、硬化ゾーン130の第2炉内空気131を取り出して第3加熱器220により加熱し、そのまま硬化ゾーン130に戻す硬化ゾーン循環工程も行うことができる。以下、回収装置200の各部の説明と対応させて、上記各工程によるVOCの回収方法について説明する。
【0050】
-第1取出通路-
第1取出通路202は、蒸発ゾーン120に設けられたエア吸い込み口19を介して当該蒸発ゾーン120に連通している。符号G12の矢印で示すように、蒸発ゾーン120内の第1炉内空気121は、第1取出通路202を通じて取り出される(第1取出工程)。第1取出通路202には、流量調整バルブ202Aが設けられており、第1炉内空気121の流量を調節することができる。
【0051】
-第2取出通路-
第2取出通路203は、硬化ゾーン130に設けられたエア吸い込み口19を介して当該硬化ゾーン130に連通している。符号G21の矢印で示すように、硬化ゾーン130内の第2炉内空気131は、第2取出通路203を通じて取り出される(第2取出工程)。第2取出通路203にも、流量調整バルブ203Aが設けられており、第2炉内空気131の流量を調節することができる。
【0052】
-混合チャンバ-
第1取出通路202を通じて蒸発ゾーン120から導かれた第1炉内空気121と、第2取出通路203を通じて硬化ゾーン130から導かれた第2炉内空気131とは、混合チャンバ230に導入され混合される(混合工程)。そうして、混合チャンバ230で生成された混合空気231は、符号G31の矢印で示すように、第1連通路204を通じて冷却回収部300に送られる。
【0053】
-冷却回収部-
冷却回収部300は、混合空気231を冷却して、混合空気231に含まれるVOCを水分とともに凝縮物501として回収するためのものである(冷却回収工程)。冷却回収部300は、第1冷却器320(追加の冷却器)と、第2冷却器330(冷却器)とを備えている。
【0054】
第1冷却器320は、例えば金属製の冷却用コイルであり、電着塗装ライン900の外部に設けられた冷却塔400に接続されている。そうして、冷却水W21を冷媒として、混合空気231を予備冷却する。これにより、第2冷却器330による冷却前に、予備冷却により混合空気231をある程度冷却することができるから、混合空気231の第2冷却器330による所定温度までの冷却が容易になる。
【0055】
第1冷却器320により予備冷却された混合空気231は、さらに第2冷却器330により冷却される。第2冷却器330は、第1冷却器320と同様に、例えば金属製の冷却用コイルであり、後述するヒートポンプ600の蒸発器を構成している。混合空気231が第2冷却器330により冷却されると、混合空気231内に含まれるVOCの一部が、水分とともに凝縮する。そうして、得られた凝縮物501は、混合空気231から除去されて、
図3中符号V11の破線矢印で示すように、タンク500に回収される。そして、例えば、タンク500の凝縮物501からVOCが分離されて再利用される。
【0056】
なお、混合空気231には、塗料成分の酸化分解等によって生ずるヤニ成分が含まれ得る。ヤニ成分の一部も凝縮物501として混合空気231から除去することが可能である。また、冷却回収部300に、混合空気231からヤニ成分を除去するためのフィルタ等を配置してもよい。
【0057】
凝縮物501が除去された冷却後の残空気301は、符号G32の矢印で示すように、第2連通路205を通じて、第1加熱器240に送られ、加熱される(リターン工程)。
【0058】
ここに、第2冷却器330と第1加熱器240とは、ヒートポンプ600により連絡されている。具体的には、ヒートポンプ600は、例えばCO
2やフロン系媒体、水等を冷媒とし、圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器の順に冷媒を循環させる蒸気圧縮式である。そして、ヒートポンプ600の蒸発器は、混合空気231を熱交換によって冷却する第2冷却器330を構成する。一方、ヒートポンプ600の凝縮器は、残空気301を熱交換によって加熱する第1加熱器240を構成する。そうして、ヒートポンプ600は、第2冷却器330に対し、混合空気231を冷却する冷熱を熱交換によって供給する一方、第1加熱器240に対し、残空気301を加熱する温熱を熱交換によって供給する。換言すれば、ヒートポンプ600は、混合空気231を吸熱源とし、残空気301を放熱源とするヒートポンプになっている。なお、
図3中符号W22は冷媒の流れを示している。
【0059】
第1加熱器240により加熱された残空気301は、符号G33,G41,G42の矢印で示すように、蒸発ゾーンリターン通路207を通じて蒸発ゾーン120に戻される(リターン工程)。なお、蒸発ゾーンリターン通路207は、ノズルボックス18を介して、蒸発ゾーン120に連通している。すなわち、ノズルボックス18を介して残空気301の温風が蒸発ゾーン120内に吹き出す。
【0060】
蒸発ゾーンリターン通路207の途中には、第2加熱器210が配設されており、必要に応じて第1加熱器240で加熱された残空気301をさらに加熱することができる。第2加熱器210としてはガスバーナーが用いられており、第2加熱器210にガス燃料及び外気が供給される。
【0061】
なお、蒸発ゾーン120には、第1取出通路202とは別に、第1炉内空気121を取り出す蒸発ゾーン取出通路201が設けられている。この蒸発ゾーン取出通路201は、蒸発ゾーンリターン通路207において第2加熱器210よりも上流側に連通している。そして、蒸発ゾーン取出通路201には流量調整バルブ201Aが設けられており、当該流量調整バルブ201Aを開閉することにより、符号G11の矢印で示すように、必要に応じて第1炉内空気121の一部を第2加熱器210に直接送り込んで加熱し蒸発ゾーン120に戻すことができるようになっている。そうして、第2加熱器210を、操業開始時の蒸発ゾーン120内の空気の早期昇温や蒸発ゾーン120内の温度調整等に利用することができる。
【0062】
また、硬化ゾーン130にも、第2取出通路203とは別に、硬化ゾーン循環通路209が設けられており、その途中には、第3加熱器220が設けられている。硬化ゾーン循環通路209は、符号G22,G43の矢印で示すように、硬化ゾーン130から第2炉内空気131の一部を取り出すとともに、第3加熱器220により加熱して硬化ゾーン130に戻す通路である。本構成により、第3加熱器220を用いて、操業開始時の硬化ゾーン130内の空気の早期昇温や硬化ゾーン130内の温度調整等を行うことができる(硬化ゾーン循環工程)。
【0063】
-循環路内空気の温度、湿度、及びVOC濃度-
混合チャンバ230において、例えば、混合空気231の湿度及びVOC濃度が、それぞれ21g/kg以上及び500ppmC以上、好ましくは21g/kg以上23g/kg以下及び500ppmC以上700ppmC以下となるように、第1炉内空気121と第2炉内空気131とは混合される。これにより、冷却回収部300において混合空気231を冷却したときに、混合空気231内のVOCの一部を水分に溶解させて凝縮物501として効率的に除去することができる。なお、混合チャンバ230における混合空気231の温度は、例えば100℃~120℃程度になる。
【0064】
混合空気231は、第1冷却器320により、第1冷却器320により例えば40℃~60℃程度まで冷却される。そして、第1冷却器320で冷却された混合空気231は、ヒートポンプ600を用いた第2冷却器330によって、混合空気231中の水分及びVOCが凝縮する温度、例えば10℃~30℃程度まで冷却される。そうして、混合空気231中のVOCの一部は、水分の一部とともに凝縮され、凝縮物501として除去される。
【0065】
凝縮物501が除去されて残った残空気301の湿度及びVOC濃度は、例えば、それぞれ18g/kg以下及び80ppmC以下、好ましくは13g/kg以上18g/kg以下及び30ppmC以上80ppmC以下となる。
【0066】
その後、残空気301は、ヒートポンプ600の第1加熱器240、及び第2加熱器210により段階的に加熱されて蒸発ゾーン120に戻される。具体的には例えば、第1加熱器240によって50℃~80℃程度にまで加熱され、第2加熱器210によって80℃~100℃程度にまで加熱されて蒸発ゾーン120に戻される。
【0067】
<作用効果>
以上述べたように、本実施形態に係る回収装置200では、蒸発ゾーン120の第1炉内空気121と硬化ゾーン130の第2炉内空気131とを取り出して混合し、冷却することにより、水分中にVOCを溶解させながら凝縮させることができる。そうして、塗装乾燥炉100内のVOCを効率的に回収することができるとともに、塗装乾燥炉100内の空気を取り出して触媒燃焼装置でVOCを燃焼除去する従来の排気設備は不要になる、又は簡略化することができる。
【0068】
また、蒸発ゾーン120に戻される残空気301は、冷却回収部300における冷却及び凝縮物501の除去によって湿度が下がっているから、蒸発ゾーン120には乾燥した温風が供給されることになる。そうすると、塗装乾燥炉100内の蒸気圧の上昇が抑えられ、塗装乾燥炉100における塗膜中の水分やVOCの蒸発速度が高くなる。そうして、ワーク2の塗膜を塗装乾燥炉100において速やかに効率良く乾燥させることができ、塗膜品質の向上に有利になる。さらに、混合空気231の冷却及び残空気301の加熱にヒートポンプ600を利用するから、エネルギーロスが少なくなり、省エネに有利になる。また、塗装乾燥炉100に搬入されるハンガー10の表面温度は27~28℃程度であるところ、乾燥した残空気301が塗装乾燥炉100に供給されると、塗装乾燥炉100の空気の露点温度はハンガー10の表面温度よりも低くなる。よって、ハンガー10への結露が避けられ、例えば結露水のワーク2への落下による塗膜の品質低下が避けられる。
【0069】
(実施形態2)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
回収装置200は、ディップ水洗を行なわず、例えばスプレー水洗のみを行う水洗工程を備えた塗装工程や、水洗工程を備えない塗装工程の乾燥炉にも適用できる。この場合、混合空気231の湿度が例えば20g/kg未満になり得る。そうすると、混合空気231の湿度が不足し、効率的なVOCの回収が難しくなる可能性がある。このため、
図4に示すように、冷却回収部300は、該冷却回収部300内に追加の水分を補充する例えばスプレーノズル式の水分供給器310を備えるようにしてもよい。水分供給器310には、例えば回収装置200の外部から、符号W11の矢印で示すように、工業用水等が供給される。そうして、混合空気231に対し、効率的なVOCの回収に必要な水分を補充することができる。
【0071】
(その他の実施形態)
回収装置200は、電着塗装ラインの塗装乾燥炉に限らず、水溶性塗料を用いるその他の塗装ラインの塗装乾燥炉に適用することができる。また、焼付け用の塗装乾燥炉に限らず、フラッシュオフ用の塗装乾燥炉にも適用することができる。具体的には例えば、電着塗装後における水溶性塗料を用いた中塗り塗装や上塗り塗装等の塗装乾燥炉にも用いることができる。
【0072】
また、冷却回収部300に、予備冷却用の冷却器を複数台設置して、混合空気231の冷却を多段階としてもよい。
【0073】
さらに、循環路6にヒートポンプ600を複数台設置して、混合空気231の冷却及び残空気301の加熱を多段階で行う構成としてもよい。この場合、混合空気231の温度に応じて異なる冷媒のヒートポンプを配置するようにしてもよい。具体的には、より高温の混合空気231の冷却には高温側での吸放熱に適したCO2を冷媒とするヒートポンプを用い、より低温の混合空気231の冷却には、低温側での吸放熱に適したフロン系媒体を冷媒とするヒートポンプを用いるようにしてもよい。これにより、混合空気231の冷却及び加熱を効率良く行なうことができる。
【0074】
循環路6は、蒸発ゾーン取出通路201及び硬化ゾーン循環通路209のいずれか一方のみ備える構成、又は両方とも備えない構成としてもよい。
【0075】
また、冷却回収部300の第2冷却器330は、ヒートポンプ600の蒸発器の代わりに、例えばチラー(冷却水循環装置)等を用いた他の冷却器であってもよい。また、第1加熱器240は、ヒートポンプ600の凝縮器の代わりに、例えばガスバーナー等の他の加熱器であってもよい。また、回収装置200は、残空気301のリターン工程を設けない構成としてもよい。
【0076】
ワーク2は、自動車ボディに限らず、バンパー(プラスチック)、フィラーリッド(給油口の蓋)、ドアミラー、アンテナ、スポイラー等の自動車部品やその他自動車部品以外の金属及び樹脂からなる塗装品であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
2 ワーク
6 循環路
100 塗装乾燥炉
120 蒸発ゾーン
121 第1炉内空気
130 硬化ゾーン
131 第2炉内空気
200 回収装置
201 蒸発ゾーン取出通路
202 第1取出通路
203 第2取出通路
204 第1連通路
205 第2連通路
207 蒸発ゾーンリターン通路
209 硬化ゾーン循環通路
210 第2加熱器
220 第3加熱器
230 混合チャンバ
231 混合空気
240 第1加熱器
300 冷却回収部
301 残空気
310 水分供給器
320 第1冷却器
330 第2冷却器
501 凝縮物
600 ヒートポンプ
900 電着塗装ライン
910 電着ステーション
920 水洗ステーション
930 乾燥ステーション
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第8の技術は、第5又は第6の技術において、上記取出工程は、上記第1炉内空気を取出す第1取出工程と、上記第2炉内空気を取出す第2取出工程と、を備えることを特徴とする。
第9の技術は、第1又は第2の技術において、上記炉内空気は、上記第1炉内空気及び上記第2炉内空気を含むことを特徴とする。
第10の技術は、第5又は第6の技術において、上記炉内空気は、上記第1炉内空気及び上記第2炉内空気を含むことを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークのディップ水洗を行うためのディップ水洗槽と、該ディップ水洗槽の下流側に配置され且つ該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉と、を備えた電着塗装ラインにおける該塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための装置であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出すための取出通路と、
上記第1炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備える
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項2】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための装置であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出すための取出通路と、
上記第2炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収部とを備え、
上記冷却回収部は、該冷却回収部内に追加の水分を補充する水分供給器を備えた
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
上記冷却回収部は、
上記炉内空気を冷却する冷却器と、
上記冷却器によって冷却され、上記凝縮物が除去された残空気が導入され、該残空気を加熱する加熱器と、
上記加熱された残空気を上記塗装乾燥炉の上記蒸発ゾーンに戻すリターン通路と、
上記冷却器と上記加熱器とを連絡し、上記冷却器に上記炉内空気を冷却する冷熱を熱交換によって供給し、上記加熱器に上記残空気を加熱する温熱を熱交換によって供給するヒートポンプと、を備えた
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
上記取出通路は、
上記蒸発ゾーンに連通し、上記第1炉内空気を取出すための第1取出通路と、
上記硬化ゾーンに連通し、上記第2炉内空気を取出すための第2取出通路と、を備える
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項5】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための方法であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出す取出工程と、
上記第1炉内空気を含む上記炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収工程とを備え、
上記水溶性塗料は、電着塗料であり、
上記ワークは、上記電着塗料を用いた電着工程後に、洗浄水に浸漬されて洗浄される水洗工程を経た状態で、上記塗装乾燥炉に搬入されるものである
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【請求項6】
水溶性塗料を用いて塗装されたワークが搬入され、該ワークの塗膜を乾燥させる塗装乾燥炉内の揮発性有機化合物を回収するための方法であって、
上記塗装乾燥炉は、
上記ワークが搬入され、炉内温度80℃以上120℃以下で上記ワークの水分を蒸発させる蒸発ゾーンと、
上記蒸発ゾーンの下流側に配置され、炉内温度150℃以上200℃以下で上記塗膜を硬化させる硬化ゾーンとを備え、
上記硬化ゾーン内の第2炉内空気の重量絶対湿度は、上記蒸発ゾーン内の第1炉内空気の重量絶対湿度よりも低く、
上記塗装乾燥炉内の炉内空気を取出す取出工程と、
上記第2炉内空気を含む上記炉内空気に追加の水分を補充し且つ該炉内空気を冷却して、該炉内空気に含まれる上記揮発性有機化合物を該炉内空気に含まれる水分とともに凝縮物として回収する冷却回収工程とを備えた
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6において、
上記冷却回収工程後の上記凝縮物が除去された残空気を加熱して上記塗装乾燥炉の上記蒸発ゾーンに戻すリターン工程を備え、
上記炉内空気を吸熱源とし、上記残空気を放熱源とするヒートポンプを用いて上記炉内空気の冷却及び上記残空気の加熱を行なう
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【請求項8】
請求項5又は請求項6において、
上記取出工程は、
上記第1炉内空気を取出す第1取出工程と、
上記第2炉内空気を取出す第2取出工程と、を備える
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。
【請求項9】
請求項1又は請求項2において、
上記炉内空気は、上記第1炉内空気及び上記第2炉内空気を含む
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収装置。
【請求項10】
請求項5又は請求項6において、
上記炉内空気は、上記第1炉内空気及び上記第2炉内空気を含む
ことを特徴とする揮発性有機化合物の回収方法。