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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003279
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】異物検出装置及び異物検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
G01N21/90 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102300
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 顕
(72)【発明者】
【氏名】橋本 文也
(72)【発明者】
【氏名】横林 孝康
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA18
2G051AA26
2G051AB01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051DA03
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】透光性を有する容器に装着された栓部材の裏面部に付着する異物を精度良く検出可能な異物検出装置及び異物検出方法を提供する。
【解決手段】透光性を有する容器90に装着されたゴム栓91に付着する異物Gを検出する検出装置10は、ゴム栓91を撮像するカメラ11と、カメラ11が撮像するゴム栓91の画像に基づいて、ゴム栓91に付着する異物Gを検出する検出部22と、を備える。カメラ11は、容器90の底部90b側であって容器90の軸心Sに対して所定の角度θ1を成す方向に形成される複数の第1撮像位置T1にて、ゴム栓91における容器90内部に向いた裏面部93Aをこの裏面部93Aの奥行方向に沿った複数の第1焦点位置80a及び第2焦点位置81aにて撮像する。検出部22は、カメラ11によって第1撮像位置T1から撮像されたゴム栓91の裏面部93Aの複数の第1画像80及び第2画像81に基づいて、ゴム栓91の裏面部93Aに付着する異物Gを検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する容器に装着された栓部材に付着する異物を検出する異物検出装置であって、
前記栓部材を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像する前記栓部材の画像に基づいて、前記栓部材に付着する異物を検出する検出部と、
を備え、
前記撮像部は、前記容器の底部側であって前記容器の軸心に対して所定の角度を成す方向に形成される複数の第1撮像位置にて、前記栓部材における容器内部に向いた裏面部をこの裏面部の奥行方向に沿った複数の焦点位置にて撮像し、
前記検出部は、前記撮像部によって前記第1撮像位置から撮像された前記栓部材の裏面部の複数の画像に基づいて、前記栓部材の裏面部に付着する異物を検出すること
を特徴とする異物検出装置。
【請求項2】
前記容器が軸心周りに沿った複数の角度の位置へ回転されたときの前記容器に装着された前記栓部材を前記撮像部がそれぞれ撮像すること
を特徴とする請求項1に記載の異物検出装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記栓部材の裏面部の裏面に対する手前側の焦点位置と、奥側の焦点位置との2つの前記焦点位置を設定して前記栓部材の裏面部を撮像すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の異物検出装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記容器に装着された栓部材の側面を、前記容器の軸心に対して所定の角度を成す方向に形成される複数の第2撮像位置にて前記栓部材の側面を撮像し、
前記検出部は、前記撮像部によって前記複数の第2撮像位置から撮像された前記栓部材の側面の複数の画像に基づいて、前記栓部材の側面に付着する異物を検出すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の異物検出装置。
【請求項5】
透光性を有する容器に装着された栓部材に付着する異物を検出する異物検出方法であって、
前記容器の底部側であって前記容器の軸心に対して所定の角度を成す方向に形成される複数の第1撮像位置にて、前記栓部材における容器内部に向いた裏面部をこの裏面部の奥行方向に沿った複数の焦点位置にて撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において前記第1撮像位置にて撮像された前記栓部材の裏面部の複数の画像に基づいて、前記栓部材の裏面部に付着する異物を検出する異物検出工程と、
を含むこと
を特徴とする異物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性を有する容器に装着された栓部材に付着する異物を検出する異物検出装置及び異物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透光性を有する容器内の異物を検出する検出装置としては、特許文献1に示すような検出装置がある。特許文献1の検出装置は、バイアル瓶を搬送しながら、バイアル瓶における異物の存在の有無に基づく良否を検出する。特許文献1の検出装置では、バイアル瓶の下部の検出においては、バイアル瓶に対して、下方、又は、斜め上方、斜め下方、側方のうち少なくとも一方から光を当てる。バイアル瓶の上部の検出においては、バイアル瓶に対して、下方、又は、側方のうち少なくとも一方から光を当てる。そして、バイアル瓶に対する投光方向に応じて設置されたカメラを用いて、画像の取り込みと画素のカウントを並列で処理して、異物についてバイアル瓶の頭部から底面までを連続して全面検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3351910公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の検出装置では、凍結乾燥剤等の薬剤が充填された容器において、その容器に装着された栓部材に付着する異物を検出する場合に、容器の底部に沈殿する上記薬剤がカメラによる栓部材の撮像を妨げる。そのため、カメラは、栓部材の裏面、すなわち容器の内部側の面に付着する異物を検出するための栓部材の画像を鮮明に撮像することができない。
【0005】
また、従来の検出装置において、裏面部に奥行きのある栓部材(例えば、裏面部の形状が凹状の栓部材)について異物を検出する場合に、解像度を上げて当該栓部材の裏面部をカメラによって詳細に撮像すると、カメラにおける被写界深度が浅くなり(前後のピント領域の深さが浅くなり)、栓部材の裏面部の細かい部分が撮像できなくなる。例えば、栓部材の裏面部における奥側の部分に焦点位置を設定して栓部材の裏面部を撮像した場合に、栓部材の裏面部における手前側の部分がぼやけて撮像される。
【0006】
このようなことから、カメラによって撮像された栓部材の画像に基づいて、栓部材の裏面部に付着する異物を精度良く検出できないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、透光性を有する容器に装着された栓部材の裏面部に付着する異物を精度良く検出可能な異物検出装置及び異物検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明の異物検出装置は、透光性を有する容器に装着された栓部材に付着する異物を検出する検出装置であって、前記栓部材を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像する前記栓部材の画像に基づいて、前記栓部材に付着する異物を検出する検出部と、を備え、前記撮像部は、前記容器の底部側であって前記容器の軸心に対して所定の角度を成す方向に形成される複数の第1撮像位置にて、前記栓部材における容器内部に向いた裏面部をこの裏面部の奥行方向に沿った複数の焦点位置にて撮像し、前記検出部は、前記撮像部によって前記第1撮像位置にて撮像された前記栓部材の裏面部の複数の画像に基づいて、前記栓部材の裏面部に付着する異物を検出するものである。
【0009】
本発明の異物検出装置によれば、前記容器が軸心周りに沿った複数の角度の位置へ回転されたときの前記容器に装着された前記栓部材を前記撮像部がそれぞれ撮像することが好適である。
【0010】
本発明の検出装置によれば、前記撮像部が、前記栓部材の裏面部の裏面に対する手前側の焦点位置と、奥側の焦点位置との2つの前記焦点位置を設定して前記栓部材の裏面部を撮像することが好適である。
【0011】
本発明の異物検出装置によれば、前記撮像部が、前記容器に装着された栓部材の側面を、前記容器の軸心に対して所定の角度を成す方向に形成される複数の第2撮像位置にて撮像し、前記検出部が、前記撮像部によって前記複数の第2撮像位置から撮像された前記栓部材の側面の複数の画像に基づいて、前記栓部材の側面に付着する異物を検出すること好適である。
【0012】
本発明の異物検出方法は、透光性を有する容器に装着された栓部材に付着する異物を検出する異物検出方法であって、前記容器の底部側であって前記容器の軸心に対して所定の角度を成す方向に形成される複数の第1撮像位置にて、前記栓部材における容器内部に向いた裏面部をこの裏面部の奥行方向に沿った複数の焦点位置にて撮像する撮像工程と、前記撮像工程において前記第1撮像位置にて撮像された前記栓部材の裏面部の複数の画像に基づいて、前記栓部材の裏面部に付着する異物を検出する異物検出工程と、を含む方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の異物検出装置及び異物検出方法によれば、撮像部によって撮像された栓部材の裏面部の画像から、栓部材の裏面部に付着する異物を精度良く検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る実施形態の異物検出装置の全体構成を示す概略図である。
図2A】同検出装置のカメラが撮像したゴム栓の裏面部の画像を示す図である。
図2B】同検出装置のカメラが撮像したゴム栓の裏面部の画像を示す図である。
図3】同検出装置のカメラがゴム栓の裏面部を撮像する場合のカメラと容器(ゴム栓)との位置関係を示す図である。
図4】同検出装置のカメラがゴム栓の側面を撮像する場合のカメラと容器(ゴム栓)との位置関係を示す図である。
図5】同検出装置によってゴム栓の裏面部に付着する異物を検出する方法を示すフローチャートである。
図6】同検出装置によってゴム栓の側面に付着する異物を検出する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態における異物検出装置及び異物検出方法について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、実施形態における検出装置10は、容器90に装着されたゴム栓91(「栓部材」の一例)に付着する異物G(図2A及び図2B参照)を検出する装置である。ゴム栓91が装着される容器90は、透光性を有する円筒状の容器である。容器90は、例えば、ガラス等によって構成されている。容器90には、凍結乾燥剤等の薬剤が、ゴム栓91の近傍に空間を残した状態で充填されている。
【0017】
ゴム栓91は、容器90の口部90aに装着される。ゴム栓91は、口部90aの上部の開口部を塞ぐ本体部92と、本体部92と一体に形成され口部90aに挿入される脚部93と、を備える。本体部92は、円形平板状に形成されている。脚部93は、円筒状に形成されている。
【0018】
脚部93の先端面は、ゴム栓91の裏面93aを構成する。また、脚部93の側面は、ゴム栓91の側面93Bを構成する。ゴム栓91の裏面93aは、脚部93を容器90の口部90aに挿入した際に、脚部93の下端に形成される面である。ゴム栓91の側面93Bは、脚部93を容器90の口部90aに挿入した際に、容器90の口部90aの内壁面と対向して内壁面に圧着するする面である。脚部93が円筒状に形成されているところの、ゴム栓91における裏面93aを含む裏面部93Aは、ゴム栓91の奥側(内部)に向けて凹状に形成されている。すなわち、ゴム栓91の裏面部93Aには奥行きがある。ゴム栓91における裏面93aを含む裏面部93Aは、脚部93を容器90の口部90aに挿入した際に、容器90の内部に向けて形成される部分である。
【0019】
検出装置10は、容器90を撮像するカメラ11(「撮像部」の一例)と、容器90を保持する保持装置12と、検出装置10全体を制御する制御装置20と、を主に備える。検出装置10は、カメラ11によって撮像される容器90(ゴム栓91)の画像に基づいて、ゴム栓91に付着する異物G(図2A及び図2B参照)を検出する。
【0020】
カメラ11は、例えば、CCDカメラ等によって構成される。カメラ11は、検出装置10の所定位置に固定される。カメラ11は、光軸Kが水平方向に対して所定の角度θで上方に傾斜するように配置される。カメラ11は、容器90に装着されるゴム栓91における裏面93aを含む裏面部93Aと、容器90に装着されるゴム栓91の側面93Bとを撮像する。
【0021】
カメラ11は、解像度を上げてゴム栓91の裏面部93A及び側面93Bを詳細に撮像するために、焦点距離を長くし、さらに、対象物(ゴム栓91の裏面部93A及び側面93B)を拡大して(ワーキングディスタンスを短くして)撮像を行う。ここで、カメラ11が焦点距離を長くし、ワーキングディスタンスを短くして、ゴム栓91の裏面部93A及び側面93Bを撮像すると、カメラ11における被写界深度が浅くなり(前後のピント領域の深さが浅くなり)、ゴム栓91の裏面93aを含む裏面部93A及び側面93Bの細かい部分が撮像できなくなる。
【0022】
特に、円柱状であることなどにより奥側(内部)に向けて凹状に形成されて奥行のあるゴム栓91の裏面部93Aでは、裏面93aの手前側と奥側との間の深さがカメラ11における被写界深度より深いため、図2Aの第1画像80のように、カメラ11がゴム栓91の裏面93aよりも奥側に第1焦点位置80aを設定してゴム栓91の裏面93a側を撮像すると、ゴム栓91の裏面93aがぼやけて撮像される。なお、第1画像80及び第2画像81において、薄い色の線部分が、焦点が合っていない部分(ぼやけている部分)であり、濃い色の部分が、焦点が合っている部分である。そのため、カメラ11は、第1焦点位置80aのみでは、ゴム栓91の裏面93aに付着する異物Gを、解像度を上げて撮像することができない。それゆえに、カメラ11が撮像したゴム栓91の裏面93aの奥側の第1画像80に基づいて、ゴム栓91の裏面93aに付着する異物Gを検出することができない。
【0023】
そこで、カメラ11は、複数(2つ)の焦点位置(第1焦点位置80a、第2焦点位置81a)を設定して、ゴム栓91の裏面93a側を撮像する。具体的には、カメラ11は、図2Aの第1画像80のように、ゴム栓91の裏面93aよりも奥側に第1焦点位置80aを設定してゴム栓91の裏面93a側を撮像する。また、カメラ11は、図2Bの第2画像81のように、ゴム栓91の裏面93aに第2焦点位置81aを設定してゴム栓91の裏面93aを撮像する。このように、カメラ11の焦点位置を第1焦点位置80aと第2焦点位置81aの2つ(複数)の焦点位置に設定することで、カメラ11は、奥行きのあるゴム栓91の裏面部93Aを、解像度を上げて撮像できる。
【0024】
図1に示すように、保持装置12は、把持部13と、アーム14と、駆動部15と、を主に備える。把持部13は、容器90に装着されるゴム栓91を把持する部分である。把持部13は、アーム14の先端部に設けられ、ゴム栓91の本体部92を把持する。アーム14は、把持部13を移動及び回転させるためのアームである。アーム14が、把持部13によってゴム栓91を把持した状態で、把持部13を移動又は回転させることで、ゴム栓91が装着された容器90が移動又は回転する。駆動部15は、モーター(不図示)を備える。駆動部15は、モーターの駆動によってアーム14を動作させる。駆動部15は、制御装置20に接続される。駆動部15は、制御装置20からの信号によって上記モーターが駆動される。
【0025】
検出装置10では、カメラ11が検出装置10の所定位置に固定されているため、保持装置12が、固定式のカメラ11を基準に容器90を移動させることで、ゴム栓91におけるカメラ11の撮像位置が設定される。
【0026】
具体的には、図3に示すように、保持装置12(図1参照)は、容器90を第1位置P1まで移動させることで、ゴム栓91に対するカメラ11の撮像位置が、ゴム栓91の裏面部93Aを撮像するための第1撮像位置T1として設定される。ここで、第1位置P1とは、カメラ11がゴム栓91の裏面部93Aを焦点位置として撮像するために、保持装置12が容器90を保持する位置である。
【0027】
保持装置12(図1参照)は、容器90の軸心Sが鉛直方向となるように容器90を保持した状態で容器90を第1位置P1まで移動させる。このように保持装置12が容器90を第1位置P1まで移動させることで、カメラ11の第1撮像位置T1が、容器90の底部90b側であって容器90の軸心S(鉛直方向)に対して所定の角度θ1を成す方向に形成される。すなわち、カメラ11の第1撮像位置T1が、軸心Sが鉛直方向である容器90の斜め下方に形成される。
【0028】
ここで、所定の角度θ1とは、容器90の軸心Sに対するカメラ11の光軸Kの角度である。所定の角度θ1は、カメラ11の光軸Kを、容器90の底部90b(容器90の鉛直方向の最下位置)を避けてゴム栓91の裏面部93Aに向かうように形成可能な角度によって設定される。
【0029】
このように、カメラ11の第1撮像位置T1が、保持装置12によって保持されている容器90の斜め下方に形成されることで、凍結乾燥剤等の薬剤が容器90の底部90bに沈殿する場合であっても、カメラ11は、上記薬剤の影響を受けることなく、ゴム栓91の裏面部93Aの画像を撮像することができる。
【0030】
また、図4に示すように、保持装置12(図1参照)は、容器90を第2位置P2まで移動させることで、ゴム栓91に対するカメラ11の撮像位置が、ゴム栓91の側面93Bを撮像するための第2撮像位置T2に変更される。ここで、第2位置P2とは、カメラ11がゴム栓91の側面93Bを焦点位置として撮像するために、保持装置12が容器90を傾斜状態で保持する位置である。
【0031】
保持装置12は、容器90の軸心Sがカメラ11の光軸Kと直交するように容器90を傾けて保持した状態で容器90を第2位置P2まで移動させる。このように保持装置12が容器90を第2位置P2まで移動させることで、第2撮像位置T2におけるカメラ11の撮像方向が、容器90の軸心Sに対して直交する方向に形成される。すなわち、カメラ11の第2撮像位置T2が、カメラ11の光軸Kと直交するように傾斜する容器90の側方に形成される。
【0032】
さらに保持装置12は、第1位置P1及び第2位置P2にて把持部13によってゴム栓91を把持した状態で容器90を軸心S周りに回転させることで、カメラ11に対する容器90の位相を変更する。すなわち、第1位置P1及び第2位置P2にて保持装置12が容器90を軸心S周りに回転させることで、カメラ11がゴム栓91を複数の位相、すなわちゴム栓91の周方向に沿った複数の位置において撮像することとなる。
【0033】
ここで、カメラ11は、円筒状の容器90に装着されるゴム栓91を撮像するため、容器90の湾曲部分等で反射した光が撮像領域に差し込むとゴム栓91を鮮明に撮像することができない場合がある。そのため、カメラ11が撮像したゴム栓91の画像から異物Gを判別できない場合ある。そこで、検出装置10では、容器90を軸心S周りに回転させてカメラ11に対する容器90の位相を変更することで、容器90において光が反射する部分については、別の位相にて撮像するように構成されている。それゆえに、ゴム栓91の裏面93aを含む裏面部93Aの全体及び側面93Bの全体を撮像することができる。
【0034】
また、カメラ11は、円筒状の容器90の斜め下方からゴム栓91の裏面部93Aを撮像する。そのため、ゴム栓91の裏面部93Aの一部に、カメラ11に対して影となって撮像できない部分(カメラ11の死角部分)が生じる。それゆえに、カメラ11は、第1撮像位置T1においての一度だけの撮像処理ではゴム栓91の裏面部93Aの全体を撮像することができない。そこで、検出装置10では、容器90を軸心S周りに回転させてカメラ11に対する容器90の位相を変更することで、複数の位相、すなわち回転角度においてゴム栓91の裏面部93Aを撮像できるように構成されている。そのため、カメラ11に対して影となって撮像できない部分についても、いずれかの位相にて撮像することができる。
【0035】
さらに、カメラ11は、円筒状の容器90の一方側からゴム栓91の側面93Bを撮像する。そのため、ゴム栓91の他方側(カメラ11の撮影位置と反対側)の側面93Bは、カメラ11に対して影となって撮像できない部分(カメラ11の死角部分)となる。それゆえに、カメラ11は、第2撮像位置T2においての一度だけの撮像処理ではゴム栓91の側面93B全体を撮像することができない。そこで、検出装置10では、容器90を軸心S周りに回転させてカメラ11に対する容器90の位相を変更することで、複数の位相においてゴム栓91の側面93Bを撮像できるように構成されている。そのため、カメラ11に対して影となって撮像できない部分についても、いずれかの位相にて撮像することができる。
【0036】
具体的には、保持装置12は、把持部13によってゴム栓91を把持した状態で、容器90を軸心S周りに所定角度毎で断続的に回転することで、カメラ11に対する容器90の位相を断続的に複数変更する。例えば、保持装置12は、容器90を軸心S周りに60度ずつ断続的に回転させることで、カメラ11に対する容器90の位相を6つに変更する。すなわち、カメラ11は、容器90の軸心S周りに回転するゴム栓91の裏面側を、第1撮像位置T1にて6か所の位相で撮像することとなる。またカメラ11は、容器90の軸心S周りに回転するゴム栓91の側面93Bを、第2撮像位置T2にて6か所の位相で撮像することとなる。
【0037】
図1に示すように、制御装置20は、カメラ11及び保持装置12に接続されている。制御装置20は、カメラ11による容器90の撮像を制御する。制御装置20は、保持装置12による容器90の位置の変更及び回転を制御する。制御装置20は、制御部21と、記憶部23と、表示部24と、から主に構成されている。
【0038】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-processing Unit)等であって、記憶部23に格納されるプログラムに従って、検出装置10における各種の処理を実行する。制御部21は、カメラ11によって撮像されるゴム栓91の画像に基づいて、ゴム栓91に付着する異物Gを検出する検出部22を含む。
【0039】
検出部22は、カメラ11によって撮像されるゴム栓91の裏面93aを含む裏面部93Aの画像に基づいて、ゴム栓91の裏面部93Aに付着する異物Gを検出する。検出部22は、カメラ11によって撮像されるゴム栓91の側面93Bの画像に基づいて、ゴム栓91の側面93Bに付着する異物Gを検出する。
【0040】
記憶部23は、フラッシュメモリ、又はRAM(Random Access Memory)等であって、制御部21によって実行されるプログラム、及び制御部21によるプログラムの実行によって生成されるデータ等を記憶する。
【0041】
表示部24は、検出装置10における各種表示を行う。表示部24は、例えば、モニター、タッチパネル等によって構成される。
【0042】
次に、ゴム栓91に付着する異物Gを検出装置10において検出する方法について説明する。
【0043】
検出装置10では、ゴム栓91の裏面部93Aに付着する異物Gと、ゴム栓91の側面93Bに付着する異物Gと、を異なる工程において検出する。まず、ゴム栓91の裏面93aに付着する異物Gを検出装置10において検出する方法について説明する。
【0044】
図5に示すように、保持装置12は、容器90を図3に示される第1位置P1まで移動させる(S1)。この時、保持装置12は、容器90の軸心Sが鉛直方向となるように容器90を保持する。これによって、カメラ11の撮影位置(第1撮像位置T1)が、容器90の底部90b側であって容器90の軸心S(鉛直方向)に対して所定の角度θ1を成す方向に形成される。
【0045】
容器90が第1位置P1まで移動されると(S1)、カメラ11は、ゴム栓91の裏面部93Aにおける裏面93aよりも奥側に焦点位置(第1焦点位置80a(図2A参照))を設定する(S2)。カメラ11は、焦点位置を設定すると(S2)、ゴム栓91の裏面部93Aを撮像する(S3)。
【0046】
カメラ11がゴム栓91の裏面部93Aを撮像すると(S3)、保持装置12は、容器90を容器90の軸心S周りに所定角度(例えば、60度)回転させる(S4)。容器90が所定角度回転されると(S4)、カメラ11はさらにゴム栓91の裏面部93Aを撮像する(S5)。カメラ11がゴム栓91の裏面部93Aを撮像すると(S5)、制御部21は、保持装置12によって容器90が一回転したか否かを判断する(S6)。容器90が一回転していないと制御部21が判断すると(S6-No)、保持装置12は、容器90を軸心S周りに、さらに所定角度回転させる(S4)。そして、カメラ11はさらにゴム栓91の裏面部93Aを撮像する(S5)。すなわち、保持装置12が容器90を一回転させるまで、保持装置12による容器90の回転(S4)と、カメラ11によるゴム栓91の裏面部93Aの撮像(S5)とを交互に繰り返す。
【0047】
容器90が一回転したと制御部21が判断すると(S6-Yes)、カメラ11は、ゴム栓91の裏面部93Aにおける手前側に、例えば裏面93aに、焦点位置(第2焦点位置81a(図2B参照))を設定する(S7)。カメラ11は、焦点位置を設定すると(S7)、ゴム栓91の裏面93aを撮像する(S8)。
【0048】
カメラ11がゴム栓91の裏面93aを撮像すると(S8)、保持装置12は、容器90を軸心S周りに所定角度回転させる(S9)。容器90が所定角度回転されると(S9)、カメラ11はさらにゴム栓91の裏面93aを撮像する(S10)。カメラ11がゴム栓91の裏面93aを撮像すると(S10)、制御部21は、保持装置12によって容器90が一回転したか否かを判断する(S11)。容器90が一回転していないと制御部21が判断すると(S11-No)、保持装置12は、容器90を軸心S周りに、さらに所定角度回転させる(S9)。そして、カメラ11はさらにゴム栓91の裏面93aを撮像する(S10)。すなわち、保持装置12が容器90を一回転させるまで、保持装置12による容器90の回転(S9)と、カメラ11によるゴム栓91の裏面93aの撮像(S10)とを交互に繰り返す(撮像工程)。
【0049】
容器90が一回転したと制御部21が判断すると(S11-Yes)、検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の裏面93aの画像内に、異物Gが撮像されているか否かを判断する(S12、異物検出工程)。すなわち、検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の裏面93aの画像に基づいて、ゴム栓91の裏面93aに異物Gが付着しているか否かを検出する。
【0050】
検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の裏面93aの画像内に、異物Gが撮像されていると判断すると(S12-Yes)、ゴム栓91の裏面93aに異物Gが付着されていると判定する(S13)。一方、検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の裏面93aの画像内に、異物Gが撮像されていないと判断すると(S12-No)、ゴム栓91の裏面93aに異物Gが付着されていないと判定する(S13)。
【0051】
次に、ゴム栓91の側面93Bに付着する異物Gを検出装置10において検出する方法について説明する。
【0052】
図6に示すように、保持装置12は、容器90を第2位置P2まで移動させる(S21)。この時、図4に示すように、保持装置12は、容器90の軸心Sがカメラ11の光軸Kと直交するように容器90を保持する。これによって、カメラ11の撮影位置(第2撮像位置T2)が、カメラ11の光軸Kと直交するように傾斜する容器90の側方に形成される。
【0053】
容器90が第2位置P2まで移動されると(S21)、カメラ11は、ゴム栓91の側面93Bを撮像する(S22)。カメラ11がゴム栓91の側面93bを撮像すると(S22)、保持装置12は、容器90を軸心S周りに所定角度(例えば、60度)回転させる(S23)。容器90が所定角度回転されると(S23)、カメラ11はさらにゴム栓91の側面93Bを撮像する(S24)。
【0054】
カメラ11がゴム栓91の側面93Bを撮像すると(S24)、制御部21は、保持装置12によって容器90が一回転したか否かを判断する(S25)。容器90が一回転していないと制御部21が判断すると(S25-No)、保持装置12は、容器90を軸心S周りに、さらに所定角度回転させる(S23)。そして、カメラ11はさらにゴム栓91の側面93Bを撮像する(S24)。すなわち、保持装置12が容器90を一回転させるまで、保持装置12による容器90の回転(S23)と、カメラ11によるゴム栓91の側面93Bの撮像(S24)とを交互に繰り返す。
【0055】
容器90が一回転したと制御部21が判断すると(S25-Yes)、検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の側面93Bの画像内に、異物Gが撮像されているか否かを判断する(S26)。すなわち、検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の側面93Bの画像に基づいて、ゴム栓91の側面93Bに異物Gが付着しているか否かを検出する。
【0056】
検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の側面93Bの画像内に、異物Gが撮像されていると判断すると(S26-Yes)、ゴム栓91の側面93Bに異物Gが付着されていると判定する(S27)。一方、検出部22は、カメラ11が撮像したゴム栓91の側面93Bの画像内に、異物Gが撮像されていないと判断すると(S26-No)、ゴム栓91の側面93Bに異物Gが付着されていないと判定する(S28)。
【0057】
以上のように、本実施形態によると、図3に示すように、容器90の底部90b側であって容器90の軸心Sに対して所定の角度θ1を成す方向に形成される複数の第1撮像位置T1からゴム栓91の裏面93aの画像を撮像する。このため、容器90の底部90bを通過せずに容器90の側部を通過する光軸に沿った光線を用いてゴム栓91の裏面部93Aを撮像することができる。従って、凍結乾燥剤等の薬剤が容器90の底部90bに沈殿する場合であっても、当該薬剤を避けてゴム栓91の裏面部93Aの画像を撮像することができる。そのため、容器90内の前記薬剤の影響を受けることなく、カメラ11によって撮像されたゴム栓91の裏面部93Aの画像から、ゴム栓91の裏面部93Aに付着する異物を精度良く検出できる。
【0058】
また、本実施形態によると、第1撮像位置T1から複数の焦点位置(第1焦点位置80a、第2焦点位置81a)にてゴム栓91の裏面部93Aの画像を撮像することから、裏面部93Aに奥行きのあるゴム栓91について異物Gを検出する場合であっても、カメラ11が複数の焦点位置(第1焦点位置80a、第2焦点位置81a)に分けてゴム栓91の裏面部93Aの細かい部分を撮像できる。そのため、ゴム栓91の裏面部93Aの形状を問わず、カメラ11によって撮像されたゴム栓91の裏面部93Aの画像から、ゴム栓91の裏面部93Aに付着する異物Gを精度良く検出できる。
【0059】
図3及び図4に示すように、カメラ11は、円筒状の容器90に装着されるゴム栓91を撮像するため、容器90の湾曲部分等で反射した光が撮像領域に差し込むとゴム栓91を鮮明に撮像することができない場合がある。しかしながら、本実施の形態では、容器90を軸心S周りに回転させてカメラ11に対する容器90の位相を変更することで、容器90において光が反射する部分については、別の位相にて撮像するように構成されている。それゆえに、ゴム栓91の裏面93aを含む裏面部93Aの全体及び側面93Bの全体を撮像することができる。
【0060】
図3に示すように、容器90の斜め下方向から、この容器90の上部の開口に装着されたゴム栓91における容器90の内部側の裏面部93Aを撮像することで、この裏面部93Aに付着した異物Gを検出する場合には、裏面部93Aにおいて、陰になる部分が生じる可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、容器90を軸心S周りに回転させて、カメラ11に対する容器90の位相を変更させているので、陰になる部分が、いずれかの位相において撮像可能な状態になる。このため、ゴム栓91の裏面部93Aの全体を満遍なく撮像することができて異物Gの存在を検出することができる。
【0061】
図4に示すように、容器90の側方からゴム栓91の側面91cを撮像する場合は、ゴム栓91の周方向における撮像側と反対側の部分は陰になって撮像することができない。しかしながら、本実施の形態では、この場合も容器90を軸心S周りに回転させて、カメラ11に対する容器90の位相を変更させているので、陰になる部分が、いずれかの位相において撮像可能な状態になる。このため、ゴム栓91の側面91cを全周にわたって満遍なく撮像することができて異物Gの存在を検出することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、軸心Sが鉛直方向となるように容器90を保持した状態でゴム栓91の裏面部93Aを撮像しているが、これに限定されるものではなく、カメラ11の光軸Kが容器90の鉛直方向の最下位置を避けるように設定可能であれば、軸心Sが鉛直方向に対して所定の角度を有するように容器90を保持した状態でゴム栓91の裏面部93Aを撮像しても構わない。
【0063】
本実施の形態では、容器90を軸心S周りに回転させて、カメラ11に対する容器90の位相を変更させ、それによってゴム栓91の裏面部93A及び側面93Bの全体を満遍なく撮像できるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ11を容器90の軸心S周りに回転させることで、カメラ11の第1撮像位置T1及び第2撮像位置T2を変更させても構わない。
【0064】
本実施の形態では、ゴム栓91の裏面93aに対するカメラ11の焦点位置を、ゴム栓91の裏面93aに対する奥側(第1焦点位置80a)からゴム栓91の裏面93aに対する手前側(第2焦点位置81a)の順で設定しているが、これに限定されるものではなく、ゴム栓91の裏面93aに対する手前側(第2焦点位置81a)からゴム栓91の裏面93aに対する奥側(第1焦点位置80a)の順で設定しても構わない。
【0065】
本実施の形態では、容器90を軸心S周りに60度毎に回転させて撮像を行うことを記載したが、これに限定されるものではなく、例えば、容器90を45度毎に回転させて撮像を行っても良く、また、任意の角度を組み合わせて回転させ撮像を行っても構わない。
【符号の説明】
【0066】
10 検出装置
11 カメラ(撮像部)
22 検出部
80 第1画像(画像)
80a 第1焦点位置(焦点位置)
81 第2画像(画像)
81b 第2焦点位置(焦点位置)
90 容器
90b 容器の底部
91 ゴム栓(栓部材)
93A ゴム栓の裏面部
93a ゴム栓の裏面
93B ゴム栓の側面
G 異物
S 容器の軸心
T1 第1撮像位置
T2 第2撮像位置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6