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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032808
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20240305BHJP
   B60K 17/12 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B60K1/00
B60K17/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005905
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2023000110の分割
【原出願日】2019-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 大輔
(57)【要約】
【課題】モータから油圧ポンプへの動力伝達ロスが比較的少なく、且つ、製造コストが低くなりやすい電動作業車を提供する。
【解決手段】作業装置と、運転部と、バッテリと、バッテリから供給される電力により駆動するモータMと、モータMにより駆動される走行装置と、モータMにより駆動されると共に、作業装置の作動機構へオイルを供給する油圧ポンプ60と、モータMに連結された支持部材71と、を備える電動作業車であって、モータMの出力軸が電動作業車の前後方向に延びており、モータMと油圧ポンプ60とが隣り合う位置に配置されている電動作業車。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、
運転部と、
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
前記モータにより駆動されると共に、前記作業装置の作動機構へオイルを供給する油圧ポンプと、
前記モータに連結された支持部材と、を備える電動作業車であって、
前記モータの出力軸が前記電動作業車の前後方向に延びており、
前記モータと前記油圧ポンプとが隣り合う位置に配置されている電動作業車。
【請求項2】
前記油圧ポンプに前記モータからの動力を伝達する伝達装置を更に備え、
前記伝達装置は、前記モータと前記作動機構との間に位置する請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
前記油圧ポンプは、前記支持部材に支持されており、
前記油圧ポンプ、前記モータ及び前記支持部材は、前記運転部よりも前側に位置している、請求項1または2に記載の電動作業車。
【請求項4】
前記支持部材は板状であり、
前記支持部材のうち、前記モータに接当している面に、前記油圧ポンプが接当している請求項3に記載の電動作業車。
【請求項5】
前記モータの出力軸及び前記油圧ポンプの入力軸は、何れも、前記電動作業車の前後方向に延びている請求項1または2に記載の電動作業車。
【請求項6】
前記モータの出力軸及び前記油圧ポンプの入力軸は、何れも、前記支持部材を貫通している請求項1または2に記載の電動作業車。
【請求項7】
前記モータの出力軸及び前記油圧ポンプの入力軸は、何れも、前記電動作業車の前後方向と平行である請求項1または2に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリから供給される電力により駆動するモータと、モータにより駆動される走行装置と、を備える電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の作業車(特許文献1では「トラクター」)は、エンジンと、エンジンにより駆動される走行装置(特許文献1では「前車輪」及び「後車輪」)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-69926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業車において、エンジンに代えてバッテリ及びモータを設けることが考えられる。これにより、排気ガスを排出することなく走行することができる。
【0005】
さらに、特許文献1に記載の作業車において、モータにより駆動されると共に、作業装置の作動機構へオイルを供給する油圧ポンプを設けることが考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合、モータと油圧ポンプとの配置によっては、モータから油圧ポンプまでの動力伝達経路が比較的長くなってしまう事態が想定される。その結果、この動力伝達経路における動力伝達ロスが比較的多くなる。
【0007】
また、油圧ポンプを支持するために専用の部材を設けた場合、製造コストが増大しがちである。
【0008】
本発明の目的は、モータから油圧ポンプへの動力伝達ロスが比較的少なく、且つ、製造コストが低くなりやすい電動作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、作業装置と、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記モータにより駆動されると共に、前記作業装置の作動機構へオイルを供給する油圧ポンプと、前記モータからの動力を前記油圧ポンプへ伝達する伝達装置と、前記伝達装置を収容するケースと、を備え、前記ケースは、前記モータに連結されており、前記油圧ポンプは、前記ケースに支持されていることにある。
【0010】
本発明であれば、モータとケースとが比較的近接する。また、油圧ポンプとケースとが比較的近接する。そのため、モータと油圧ポンプとが比較的近接する。従って、モータから油圧ポンプまでの動力伝達経路が比較的短くなる。その結果、モータから油圧ポンプへの動力伝達ロスが比較的少なくなる。
【0011】
また、本発明であれば、油圧ポンプはケースに支持される。そのため、油圧ポンプを支持するために専用の部材を設ける必要がない。従って、油圧ポンプを支持するために専用の部材を設ける場合に比べて、製造コストが低くなりやすい。
【0012】
即ち、本発明であれば、モータから油圧ポンプへの動力伝達ロスが比較的少なく、且つ、製造コストが低くなりやすい電動作業車を実現できる。
【0013】
さらに、本発明において、前記ケースは、機体前後方向に互いに隣接する第1部材及び第2部材を有しており、前記第1部材と前記第2部材とは、互いに連結されており、前記第1部材は、前記第2部材に対して機体前後方向一方側に位置しており、前記モータ及び前記油圧ポンプは、前記第1部材に対して機体前後方向一方側に位置しており、前記第2部材は、前記第1部材から、機体前後方向他方側へ分離可能に構成されていると好適である。
【0014】
この構成によれば、第2部材を第1部材から分離する際、モータ及び油圧ポンプをケースから取り外す必要がない。そして、第2部材を第1部材から分離することにより、作業者は、伝達装置へアクセスすることができる。これにより、伝達装置のメンテナンスを行うことができる。
【0015】
従って、この構成によれば、伝達装置のメンテナンス性が良好となる。
【0016】
さらに、本発明において、機体前後方向に延びる左右の主フレームを備え、前記左右の主フレームの機体前後方向他方側端部は、前記第1部材の機体前後方向一方側端部に接続しており、前記モータは、前記左右の主フレームの間に挟まれる位置に配置されており、前記第1部材は、前記モータを片持ち状に支持していると共に、前記油圧ポンプを片持ち状に支持していると好適である。
【0017】
この構成によれば、モータは、左右の主フレームの間に挟まれる位置に配置されている。そのため、モータが左右の主フレームによって保護される構成を実現できる。
【0018】
また、この構成によれば、第1部材は主フレームに接続している。そのため、第1部材は、主フレームによって安定的に支持される。そして、モータ及び油圧ポンプは、第1部材に支持されている。従って、モータ及び油圧ポンプが安定的に支持される。
【0019】
さらに、本発明において、複数の締結具を備え、各前記締結具は、前記モータと、前記第1部材と、前記第2部材と、を共締めする状態で設けられており、前記複数の締結具は、背面視において、前記モータの出力軸であるモータ出力軸を中心に、前記モータ出力軸の周方向に並ぶ状態で配置されており、前記伝達装置は、前記モータ出力軸の周方向において互いに隣接する2つの前記締結具の間を通過する状態で配置されていると好適である。
【0020】
この構成によれば、複数の締結具は、モータ出力軸を中心に、モータ出力軸の周方向に並ぶ状態で配置されている。そのため、モータは、複数の締結具によって、ケースに安定的に連結される。
【0021】
また、この構成によれば、各締結具は、モータと、第1部材と、第2部材と、を共締めする状態で設けられている。そのため、モータと第1部材とを締結するための構造と、第1部材と第2部材とを締結するための構造と、が各別に設けられる構成に比べて、機体前後方向におけるケースの幅が小さくなりやすい。
【0022】
しかも、伝達装置が、モータ出力軸の周方向において互いに隣接する2つの締結具の間を通過する状態で配置されている。これにより、締結具が伝達装置に干渉することなく、伝達装置によって、モータからの動力が油圧ポンプへ確実に伝達される。
【0023】
さらに、本発明において、前記伝達装置はギヤ式であると好適である。
【0024】
この構成によれば、伝達装置がチェーンを介して動力を伝達するように構成されている場合に比べて、伝達装置の駆動により生じる騒音が小さくなりやすい。
【0025】
また、この構成によれば、伝達装置がベベルギヤと回転軸とを介して動力を伝達するように構成されている場合に比べて、モータの出力軸の延びる方向における伝達装置の幅が小さくなりやすい。これにより、モータの出力軸の延びる方向におけるケースの幅が小さくなりやすい。
【0026】
さらに、本発明において、前記ケースの内側にオイルが貯留されると好適である。
【0027】
この構成によれば、ケースの内側に貯留されているオイルによって、伝達装置が潤滑される。これにより、伝達装置がスムーズに駆動する。
【0028】
さらに、本発明において、前記ケースと前記油圧ポンプとを接続するオイル供給路を備え、前記ケースの内側に貯留されているオイルは、前記オイル供給路を通過して前記油圧ポンプへ供給されると好適である。
【0029】
この構成によれば、作業装置の作動機構へ供給するためのオイルを、ケースの内側に貯留することができる。即ち、ケースをオイルタンクとして利用することができる。従って、オイルを貯留するために専用の部材を設ける場合に比べて、製造コストが低くなりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】トラクタの右側面図である。
図2】ケース等の構成を示す平面図である。
図3】ケース等の構成を示す左側面図である。
図4】伝達装置等の構成を示す縦断背面図である。
図5図4のV-V断面矢視図である。
図6】ケース等の構成を示す分解斜視図である。
図7】トラクタの油圧系統を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図1から図3図5に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図2及び図4に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図1図3図4に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0032】
〔トラクタの全体構成〕
図1に示すように、トラクタA(本発明に係る「電動作業車」に相当)は、左右の前車輪10(本発明に係る「走行装置」に相当)、左右の後車輪11(本発明に係る「走行装置」に相当)、カバー部材12、耕耘装置13(本発明に係る「作業装置」に相当)を備えている。
【0033】
また、トラクタAは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。
【0034】
機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。また、耕耘装置13は、機体フレーム2の後部に支持されている。
【0035】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。
【0036】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32、フロア33を有している。作業者は、運転座席31に着座可能である。そして、作業者は、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0037】
ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。また、作業者は、運転座席31に着座した状態で、フロア33に足を置くことができる。
【0038】
また、トラクタAは、バッテリ4、モータM、変速装置T、前伝動機構FTを備えている。
【0039】
バッテリ4は、カバー部材12に収容されている。そして、バッテリ4は、モータMへ電力を供給する。
【0040】
モータMは、バッテリ4の下方に配置されている。そして、モータMは、バッテリ4から供給される電力により駆動する。モータMの駆動力は、変速装置Tへ伝達される。
【0041】
変速装置Tは、バッテリ4よりも後側であり、且つ、モータMの後方に配置されている。また、前伝動機構FTは、変速装置Tから前側に延びている。そして、変速装置Tは、モータMから受け取った駆動力を変速し、左右の後車輪11に伝達する。また、駆動力は、変速装置Tから、前伝動機構FTを介して、左右の前車輪10にも伝達される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11は駆動される。
【0042】
即ち、トラクタAは、バッテリ4から供給される電力により駆動するモータMを備えている。また、トラクタAは、モータMにより駆動される左右の前車輪10及び左右の後車輪11を備えている。
【0043】
また、変速装置Tは、モータMから受け取った駆動力の一部を、耕耘装置13に伝達する。これにより、耕耘装置13が駆動される。
【0044】
以上の構成により、トラクタAは、左右の前車輪10及び左右の後車輪11によって走行しながら、耕耘装置13によって耕耘作業を行うことができる。
【0045】
〔モータ及び油圧ポンプの構成〕
図2及び図3に示すように、機体フレーム2は、左右の主フレーム20を有している。左右の主フレーム20は、機体前後方向に延びている。
【0046】
即ち、トラクタAは、機体前後方向に延びる左右の主フレーム20を備えている。
【0047】
モータMは、左右の主フレーム20の間に挟まれる位置に配置されている。
【0048】
図1及び図2に示すように、トラクタAは、油圧ポンプ60を備えている。油圧ポンプ60は、モータMにより駆動される。また、油圧ポンプ60は、耕耘装置13を作動させる作動機構へオイルを供給する。そして、オイルの供給を制御することにより、耕耘装置13を作動させることができる。
【0049】
より具体的には、トラクタAは、作業装置の作動機構である昇降機構36を有している。油圧ポンプ60は、昇降機構36へオイルを供給する。これにより、昇降機構36が作動する。そして、昇降機構36の作動により、耕耘装置13が昇降する。耕耘装置13の耕耘部13aの駆動部は、トラクタAのPTO軸37に接続されている。そして、耕耘部13aは、PTO軸37からの動力により耕耘作業を行うことができる。
【0050】
即ち、トラクタAは、モータMにより駆動されると共に、耕耘装置13の昇降機構36へオイルを供給する油圧ポンプ60を備えている。
【0051】
また、図4及び図5に示すように、モータMの出力軸であるモータ出力軸40は、第1筒軸61に挿入されると共に、第1筒軸61にスプライン嵌合されている。
【0052】
また、図2及び図3に示すように、変速装置Tの入力軸である伝動入力軸63は、モータ連結部63aを有している。モータ連結部63aは、伝動入力軸63の前端部に設けられている。
【0053】
図5に示すように、モータ連結部63aは、第1筒軸61に挿入されると共に、第1筒軸61にスプライン嵌合されている。
【0054】
以上の構成により、第1筒軸61及び伝動入力軸63は、モータ出力軸40と一体回転する。これにより、モータMからの動力は、変速装置Tに入力される。
【0055】
尚、モータ出力軸40、第1筒軸61、伝動入力軸63は、何れも、機体前後方向に延びている。
【0056】
〔ケースに関する構成〕
図4及び図6に示すように、トラクタAは、伝達装置50を備えている。伝達装置50は、モータMからの動力を油圧ポンプ60へ伝達する。
【0057】
即ち、トラクタAは、モータMからの動力を油圧ポンプ60へ伝達する伝達装置50を備えている。
【0058】
詳述すると、伝達装置50は、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55を有している。図4に示すように、これらのギヤは、機体左側から、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55の順に並んでいる。
【0059】
図4から図6に示すように、第1ギヤ51は、第1筒軸61に取り付けられている。そして、第1ギヤ51は、第1筒軸61と一体的に回転する。また、第1ギヤ51と第2ギヤ52とは、互いに噛み合っている。
【0060】
また、第2ギヤ52と第3ギヤ53とは、互いに噛み合っている。また、第3ギヤ53と第4ギヤ54とは、互いに噛み合っている。また、第4ギヤ54と第5ギヤ55とは、互いに噛み合っている。
【0061】
図4及び図6に示すように、第5ギヤ55は、第2筒軸62に取り付けられている。そして、第5ギヤ55は、第2筒軸62に取り付けられている。そして、第5ギヤ55は、第2筒軸62と一体的に回転する。
【0062】
ここで、油圧ポンプ60の入力軸であるポンプ入力軸41は、第2筒軸62に挿入されると共に、第2筒軸62にスプライン嵌合されている。これにより、第2筒軸62及びポンプ入力軸41は、第5ギヤ55と一体回転する。
【0063】
尚、ポンプ入力軸41及び第2筒軸62は、何れも、機体前後方向に延びている。
【0064】
以上の構成により、モータMからの動力は、モータ出力軸40、第1筒軸61、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55、第2筒軸62を介して、ポンプ入力軸41に伝達される。これにより、油圧ポンプ60が駆動される。
【0065】
即ち、伝達装置50はギヤ式である。
【0066】
また、図2から図6に示すように、トラクタAは、ケース7を備えている。ケース7は、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55を収容している。
【0067】
即ち、トラクタAは、伝達装置50を収容するケース7を備えている。
【0068】
ケース7は、機体前後方向に互いに隣接する第1部材71及び第2部材72を有している。第1部材71は、垂直姿勢の板状に形成されている。また、第1部材71は、第1筒軸61、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第2筒軸62を支持している。また、第2部材72は、前方に開放された箱状に形成されている。
【0069】
第1部材71は、第2部材72に対して機体前後方向一方側に位置している。より具体的には、第1部材71は、第2部材72に対して前側に位置している。
【0070】
また、図2図3図6に示すように、左右の主フレーム20の機体前後方向他方側端部は、第1部材71の機体前後方向一方側端部に接続している。より具体的には、左右の主フレーム20の後端部は、第1部材71の前端部に接続している。
【0071】
また、図2から図6に示すように、第2部材72は、第1部材71に、後側から接当している。また、トラクタAは、複数のモータ側締結具8(本発明に係る「締結具」に相当)、及び、複数のポンプ側締結具9を備えている。そして、複数のモータ側締結具8、及び、複数のポンプ側締結具9によって、第1部材71と第2部材72とは、互いに連結されている。
【0072】
また、複数のモータ側締結具8、及び、複数のポンプ側締結具9を取り外すことにより、第2部材72は、第1部材71から、機体前後方向他方側へ分離可能である。より具体的には、第2部材72は、第1部材71から、後側へ分離可能である。
【0073】
即ち、第2部材72は、第1部材71から、機体前後方向他方側へ分離可能に構成されている。
【0074】
尚、複数のモータ側締結具8は、それぞれ、ボルトにより構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、複数のモータ側締結具8は、それぞれ、ボルト及びナットにより構成されていても良い。
【0075】
また、複数のポンプ側締結具9は、それぞれ、ボルトにより構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、複数のポンプ側締結具9は、それぞれ、ボルト及びナットにより構成されていても良い。
【0076】
図4に示すように、複数のモータ側締結具8は、背面視において、モータMの出力軸であるモータ出力軸40を中心に、モータ出力軸40の周方向に並ぶ状態で配置されている。また、複数のモータ側締結具8は、それぞれ、機体前後方向に延びると共に、対応するボルト孔に後方から挿入されている。
【0077】
尚、本実施形態において、各モータ側締結具8と、モータ出力軸40と、の間の距離は互いに等しい。即ち、複数のモータ側締結具8は、モータ出力軸40を中心とする一つの円周上に並んでいる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。各モータ側締結具8と、モータ出力軸40と、の間の距離は、互いに異なっていても良い。
【0078】
以下では、複数のモータ側締結具8について詳述する。図2から図6に示すように、トラクタAは、第1締結具81、第2締結具82、第3締結具83、第4締結具84、第5締結具85、第6締結具86を備えている。第1締結具81、第2締結具82、第3締結具83、第4締結具84、第5締結具85、第6締結具86は、何れも、モータ側締結具8である。
【0079】
ここで、モータM及び油圧ポンプ60は、第1部材71に対して機体前後方向一方側に位置している。より具体的には、モータM及び油圧ポンプ60は、第1部材71に対して前側に位置している。
【0080】
また、モータMは、フランジFGを有している。フランジFGは、モータMの後部に設けられている。図6に示すように、フランジFGは、前後方向視において六角形状に形成されている。
【0081】
図2及び図3に示すように、フランジFGは、第1部材71に、前側から接当している。そして、複数のモータ側締結具8は、フランジFGの6つの角部に対応して配置されている。
【0082】
より具体的には、図2から図6に示すように、第1締結具81は、フランジFGの右端の角部のボルト孔に挿入されている。また、第2締結具82は、フランジFGの右下の角部のボルト孔に挿入されている。また、第3締結具83は、フランジFGの左下の角部のボルト孔に挿入されている。また、第4締結具84は、フランジFGの左端の角部のボルト孔に挿入されている。また、第5締結具85は、フランジFGの左上の角部のボルト孔に挿入されている。また、第6締結具86は、フランジFGの右上の角部のボルト孔に挿入されている。
【0083】
この構成により、各モータ側締結具8は、モータMと、第1部材71と、第2部材72と、を共締めする状態で設けられている。そして、この構成により、ケース7は、モータMに連結されている。
【0084】
以上で説明した構成により、第1部材71は、モータMを片持ち状に支持している。
【0085】
また、図4に示すように、伝達装置50は、第1締結具81と第2締結具82との間を通過している。ここで、第1締結具81と第2締結具82とは、モータ出力軸40の周方向において互いに隣接している。
【0086】
このように、伝達装置50は、モータ出力軸40の周方向において互いに隣接する2つのモータ側締結具8の間を通過する状態で配置されている。
【0087】
また、図6に示すように、油圧ポンプ60は、複数のポンプ固定ボルト14によって、第1部材71に固定されている。この構成により、第1部材71は、油圧ポンプ60を片持ち状に支持している。
【0088】
即ち、油圧ポンプ60は、ケース7に支持されている。また、第1部材71は、モータMを片持ち状に支持していると共に、油圧ポンプ60を片持ち状に支持している。
【0089】
図4に示すように、複数のポンプ側締結具9は、ポンプ入力軸41の周囲に配置されている。また、複数のポンプ側締結具9は、それぞれ、機体前後方向に延びると共に、対応するボルト孔に後方から挿入されている。
【0090】
図2から図6に示すように、トラクタAは、第1ポンプ側締結具91、第2ポンプ側締結具92、第3ポンプ側締結具93を備えている。第1ポンプ側締結具91、第2ポンプ側締結具92、第3ポンプ側締結具93は、何れも、ポンプ側締結具9である。
【0091】
第1ポンプ側締結具91は、ポンプ入力軸41の右上方に位置している。第2ポンプ側締結具92は、ポンプ入力軸41の右下方に位置している。第3ポンプ側締結具93は、ポンプ入力軸41の左下方に位置している。
【0092】
〔オイルの貯留及び移動に関する構成〕
本実施形態においては、ケース7の内側にオイルが貯留される。また、変速装置Tの内側にもオイルが貯留される。図6に示すように、第2部材72の下部に、オイル排出部72aが設けられている。メンテナンスの際、オイル排出部72aにおけるドレンボルトを取り外すことにより、オイル排出部72aから、ケース7の内側に貯留されているオイルを排出することができる。
【0093】
図2から図7に示すように、第2部材72の下部に、連通管15が接続している。連通管15は、第2部材72と、変速装置Tと、を接続している。また、連通管15は、ケース7の内側の空間に連通している。また、連通管15は、変速装置Tの内側の空間に連通している。従って、連通管15により、ケース7の内側の空間と、変速装置Tの内側の空間と、が連通されている。これにより、オイルは、ケース7の内側の空間と、変速装置Tの内側の空間と、の間を移動することができる。
【0094】
図7に示すように、トラクタAは、第1油路21、第2油路22、第3油路23、第4油路24、第5油路25、昇降制御バルブ64を備えている。尚、図7においては、オイルの流れる方向が矢印によって示されている。
【0095】
第1油路21は、変速装置Tと油圧ポンプ60とを接続している。第2油路22は、油圧ポンプ60と昇降制御バルブ64とを接続している。第3油路23は、油圧ポンプ60とパワーステアリング機構(図示せず)とを接続している。第4油路24は、昇降制御バルブ64と昇降機構36とを接続している。第5油路25は、昇降制御バルブ64と変速装置Tとを接続している。
【0096】
油圧ポンプ60は、変速装置Tの内側の空間から、第1油路21を介して、オイルを吸引する。即ち、ケース7の内側の空間から連通管15を介して変速装置Tの内側の空間へ移動したオイルは、第1油路21を介して油圧ポンプ60へ供給される。
【0097】
ここで、連通管15、変速装置T、第1油路21により、オイル供給路SPが構成されている。オイル供給路SPにより、ケース7と油圧ポンプ60とが接続されている。
【0098】
即ち、トラクタAは、ケース7と油圧ポンプ60とを接続するオイル供給路SPを備えている。そして、ケース7の内側に貯留されているオイルは、オイル供給路SPを通過して油圧ポンプ60へ供給される。
【0099】
油圧ポンプ60は、供給されたオイルを、第2油路22及び第3油路23へ圧送する。第2油路22へ圧送されたオイルは、昇降制御バルブ64に供給される。また、第3油路23へ圧送されたオイルは、パワーステアリング機構に供給される。パワーステアリング機構は、第3油路23を介して供給されたオイルによって作動する。
【0100】
昇降制御バルブ64は、昇降機構36へのオイルの供給、及び、昇降機構36からのオイルの排出を制御する。
【0101】
昇降制御バルブ64から第4油路24を介して昇降機構36にオイルが供給されることにより、昇降機構36は、上昇方向に作動する。これにより、耕耘装置13は上昇する。
【0102】
また、昇降機構36から第4油路24を介してオイルが排出されることにより、昇降機構36は、下降方向に作動する。これにより、耕耘装置13は下降する。
【0103】
また、昇降制御バルブ64は、第5油路25を介してオイルを変速装置Tに戻すことができるように構成されている。
【0104】
以上で説明した構成によれば、モータMとケース7とが比較的近接する。また、油圧ポンプ60とケース7とが比較的近接する。そのため、モータMと油圧ポンプ60とが比較的近接する。従って、モータMから油圧ポンプ60までの動力伝達経路が比較的短くなる。その結果、モータMから油圧ポンプ60への動力伝達ロスが比較的少なくなる。
【0105】
また、以上で説明した構成であれば、油圧ポンプ60はケース7に支持される。そのため、油圧ポンプ60を支持するために専用の部材を設ける必要がない。従って、油圧ポンプ60を支持するために専用の部材を設ける場合に比べて、製造コストが低くなりやすい。
【0106】
即ち、以上で説明した構成であれば、モータMから油圧ポンプ60への動力伝達ロスが比較的少なく、且つ、製造コストが低くなりやすいトラクタAを実現できる。
【0107】
尚、以上に記載した実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0108】
〔その他の実施形態〕
(1)一部または全ての部材の配置が、左右方向に反転していても良い。
【0109】
(2)一部または全ての部材の配置が、前後方向に反転していても良い。例えば、第1部材71は、第2部材72に対して後側に位置していても良い。また、モータM及び油圧ポンプ60は、第1部材71に対して後側に位置していても良い。また、第2部材72は、第1部材71から、前側へ分離可能に構成されていても良い。
【0110】
(3)トラクタAは、エンジンを備え、ハイブリッド式に構成されていても良い。
【0111】
(4)モータMは、左右の主フレーム20の間に挟まれる位置以外の位置に配置されていても良い。例えば、モータMは、左右の主フレーム20よりも上側に配置されていても良い。
【0112】
(5)耕耘装置13に代えて、肥料散布装置、薬剤散布装置、播種装置、収穫装置等の種々の装置や、ローダ、ショベル等の作業装置が備えられていても良い。この場合、肥料散布装置、薬剤散布装置、播種装置、収穫装置等の種々の装置や、ローダ、ショベル等の作業装置は、本発明に係る「作業装置」に相当する。
【0113】
(6)モータMの支持構造は、片持ち状でなくても良い。
【0114】
(7)油圧ポンプ60の支持構造は、片持ち状でなくても良い。
【0115】
(8)ケース7は、単一の部材により構成されていても良い。
【0116】
(9)上記実施形態においては、モータMが、ケース7に支持されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ケース7が、モータMに支持されていても良い。
【0117】
(10)上記実施形態においては、モータ側締結具8の設けられる個数は、6個である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、モータ側締結具8の設けられる個数は、6個以外のいかなる個数であっても良い。
【0118】
(11)上記実施形態においては、ポンプ側締結具9の設けられる個数は、3個である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ポンプ側締結具9の設けられる個数は、3個以外のいかなる個数であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、トラクタだけではなく、コンバイン、田植機、建設作業機等の種々の電動作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
4 バッテリ
7 ケース
8 モータ側締結具(締結具)
10 前車輪(走行装置)
11 後車輪(走行装置)
13 耕耘装置(作業装置)
20 主フレーム
36 昇降機構(作動機構)
40 モータ出力軸
50 伝達装置
60 油圧ポンプ
71 第1部材
72 第2部材
A トラクタ(電動作業車)
M モータ
SP オイル供給路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリから供給される電力により駆動するモータと、モータにより駆動される走行装置と、を備える電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の作業車(特許文献1では「トラクター」)は、エンジンと、エンジンにより駆動される走行装置(特許文献1では「前車輪」及び「後車輪」)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-69926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業車において、エンジンに代えてバッテリ及びモータを設けることが考えられる。これにより、排気ガスを排出することなく走行することができる。
【0005】
さらに、特許文献1に記載の作業車において、モータにより駆動されると共に、作業装置の作動機構へオイルを供給する油圧ポンプを設けることが考えられる。
【0006】
しかしながら、この場合、モータと油圧ポンプとの配置によっては、モータから油圧ポンプまでの動力伝達経路が比較的長くなってしまう事態が想定される。その結果、この動力伝達経路における動力伝達ロスが比較的多くなる。
【0007】
また、油圧ポンプを支持するために専用の部材を設けた場合、製造コストが増大しがちである。
【0008】
本発明の目的は、モータから油圧ポンプへの動力伝達ロスが比較的少なく、且つ、製造コストが低くなりやすい電動作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、作業装置と、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、前記モータにより駆動されると共に、前記作業装置の作動機構へオイルを供給する油圧ポンプと、前記モータに連結された支持部材と、を備える電動作業車であって、前記モータの出力軸が前記電動作業車の前後方向に延びており、前記モータと前記油圧ポンプとが隣り合う位置に配置されていることにある。
【0010】
本発明であれば、モータとケースとが比較的近接する。また、油圧ポンプとケースとが比較的近接する。そのため、モータと油圧ポンプとが比較的近接する。従って、モータから油圧ポンプまでの動力伝達経路が比較的短くなる。その結果、モータから油圧ポンプへの動力伝達ロスが比較的少なくなる。
【0011】
また、本発明であれば、油圧ポンプはケースに支持される。そのため、油圧ポンプを支持するために専用の部材を設ける必要がない。従って、油圧ポンプを支持するために専用の部材を設ける場合に比べて、製造コストが低くなりやすい。
【0012】
即ち、本発明であれば、モータから油圧ポンプへの動力伝達ロスが比較的少なく、且つ、製造コストが低くなりやすい電動作業車を実現できる。
【0013】
さらに、本発明において、前記油圧ポンプに前記モータからの動力を伝達する伝達装置を更に備え、前記伝達装置は、前記モータと前記作動機構との間に位置すると好適である。
【0014】
【0015】
【0016】
さらに、本発明において、前記油圧ポンプは、前記支持部材に支持されており、前記油圧ポンプ、前記モータ及び前記支持部材は、前記運転部よりも前側に位置していると好適である。
【0017】
【0018】
【0019】
さらに、本発明において、前記支持部材は板状であり、前記支持部材のうち、前記モータに接当している面に、前記油圧ポンプが接当していると好適である。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
さらに、本発明において、前記モータの出力軸及び前記油圧ポンプの入力軸は、何れも、前記電動作業車の前後方向に延びていると好適である。
【0024】
【0025】
【0026】
さらに、本発明において、前記モータの出力軸及び前記油圧ポンプの入力軸は、何れも、前記支持部材を貫通していると好適である。
【0027】
【0028】
さらに、本発明において、前記モータの出力軸及び前記油圧ポンプの入力軸は、何れも、前記電動作業車の前後方向と平行であると好適である。
【0029】
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】トラクタの右側面図である。
図2】ケース等の構成を示す平面図である。
図3】ケース等の構成を示す左側面図である。
図4】伝達装置等の構成を示す縦断背面図である。
図5図4のV-V断面矢視図である。
図6】ケース等の構成を示す分解斜視図である。
図7】トラクタの油圧系統を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図1から図3図5に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図2及び図4に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図1図3図4に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0032】
〔トラクタの全体構成〕
図1に示すように、トラクタA(本発明に係る「電動作業車」に相当)は、左右の前車輪10(本発明に係る「走行装置」に相当)、左右の後車輪11(本発明に係る「走行装置」に相当)、カバー部材12、耕耘装置13(本発明に係る「作業装置」に相当)を備えている。
【0033】
また、トラクタAは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。
【0034】
機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。また、耕耘装置13は、機体フレーム2の後部に支持されている。
【0035】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。
【0036】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32、フロア33を有している。作業者は、運転座席31に着座可能である。そして、作業者は、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0037】
ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。また、作業者は、運転座席31に着座した状態で、フロア33に足を置くことができる。
【0038】
また、トラクタAは、バッテリ4、モータM、変速装置T、前伝動機構FTを備えている。
【0039】
バッテリ4は、カバー部材12に収容されている。そして、バッテリ4は、モータMへ電力を供給する。
【0040】
モータMは、バッテリ4の下方に配置されている。そして、モータMは、バッテリ4から供給される電力により駆動する。モータMの駆動力は、変速装置Tへ伝達される。
【0041】
変速装置Tは、バッテリ4よりも後側であり、且つ、モータMの後方に配置されている。また、前伝動機構FTは、変速装置Tから前側に延びている。そして、変速装置Tは、モータMから受け取った駆動力を変速し、左右の後車輪11に伝達する。また、駆動力は、変速装置Tから、前伝動機構FTを介して、左右の前車輪10にも伝達される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11は駆動される。
【0042】
即ち、トラクタAは、バッテリ4から供給される電力により駆動するモータMを備えている。また、トラクタAは、モータMにより駆動される左右の前車輪10及び左右の後車輪11を備えている。
【0043】
また、変速装置Tは、モータMから受け取った駆動力の一部を、耕耘装置13に伝達する。これにより、耕耘装置13が駆動される。
【0044】
以上の構成により、トラクタAは、左右の前車輪10及び左右の後車輪11によって走行しながら、耕耘装置13によって耕耘作業を行うことができる。
【0045】
〔モータ及び油圧ポンプの構成〕
図2及び図3に示すように、機体フレーム2は、左右の主フレーム20を有している。左右の主フレーム20は、機体前後方向に延びている。
【0046】
即ち、トラクタAは、機体前後方向に延びる左右の主フレーム20を備えている。
【0047】
モータMは、左右の主フレーム20の間に挟まれる位置に配置されている。
【0048】
図1及び図2に示すように、トラクタAは、油圧ポンプ60を備えている。油圧ポンプ60は、モータMにより駆動される。また、油圧ポンプ60は、耕耘装置13を作動させる作動機構へオイルを供給する。そして、オイルの供給を制御することにより、耕耘装置13を作動させることができる。
【0049】
より具体的には、トラクタAは、作業装置の作動機構である昇降機構36を有している。油圧ポンプ60は、昇降機構36へオイルを供給する。これにより、昇降機構36が作動する。そして、昇降機構36の作動により、耕耘装置13が昇降する。耕耘装置13の耕耘部13aの駆動部は、トラクタAのPTO軸37に接続されている。そして、耕耘部13aは、PTO軸37からの動力により耕耘作業を行うことができる。
【0050】
即ち、トラクタAは、モータMにより駆動されると共に、耕耘装置13の昇降機構36へオイルを供給する油圧ポンプ60を備えている。
【0051】
また、図4及び図5に示すように、モータMの出力軸であるモータ出力軸40は、第1筒軸61に挿入されると共に、第1筒軸61にスプライン嵌合されている。
【0052】
また、図2及び図3に示すように、変速装置Tの入力軸である伝動入力軸63は、モータ連結部63aを有している。モータ連結部63aは、伝動入力軸63の前端部に設けられている。
【0053】
図5に示すように、モータ連結部63aは、第1筒軸61に挿入されると共に、第1筒軸61にスプライン嵌合されている。
【0054】
以上の構成により、第1筒軸61及び伝動入力軸63は、モータ出力軸40と一体回転する。これにより、モータMからの動力は、変速装置Tに入力される。
【0055】
尚、モータ出力軸40、第1筒軸61、伝動入力軸63は、何れも、機体前後方向に延びている。
【0056】
〔ケースに関する構成〕
図4及び図6に示すように、トラクタAは、伝達装置50を備えている。伝達装置50は、モータMからの動力を油圧ポンプ60へ伝達する。
【0057】
即ち、トラクタAは、モータMからの動力を油圧ポンプ60へ伝達する伝達装置50を備えている。
【0058】
詳述すると、伝達装置50は、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55を有している。図4に示すように、これらのギヤは、機体左側から、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55の順に並んでいる。
【0059】
図4から図6に示すように、第1ギヤ51は、第1筒軸61に取り付けられている。そして、第1ギヤ51は、第1筒軸61と一体的に回転する。また、第1ギヤ51と第2ギヤ52とは、互いに噛み合っている。
【0060】
また、第2ギヤ52と第3ギヤ53とは、互いに噛み合っている。また、第3ギヤ53と第4ギヤ54とは、互いに噛み合っている。また、第4ギヤ54と第5ギヤ55とは、互いに噛み合っている。
【0061】
図4及び図6に示すように、第5ギヤ55は、第2筒軸62に取り付けられている。そして、第5ギヤ55は、第2筒軸62に取り付けられている。そして、第5ギヤ55は、第2筒軸62と一体的に回転する。
【0062】
ここで、油圧ポンプ60の入力軸であるポンプ入力軸41は、第2筒軸62に挿入されると共に、第2筒軸62にスプライン嵌合されている。これにより、第2筒軸62及びポンプ入力軸41は、第5ギヤ55と一体回転する。
【0063】
尚、ポンプ入力軸41及び第2筒軸62は、何れも、機体前後方向に延びている。
【0064】
以上の構成により、モータMからの動力は、モータ出力軸40、第1筒軸61、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55、第2筒軸62を介して、ポンプ入力軸41に伝達される。これにより、油圧ポンプ60が駆動される。
【0065】
即ち、伝達装置50はギヤ式である。
【0066】
また、図2から図6に示すように、トラクタAは、ケース7を備えている。ケース7は、第1ギヤ51、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第5ギヤ55を収容している。
【0067】
即ち、トラクタAは、伝達装置50を収容するケース7を備えている。
【0068】
ケース7は、機体前後方向に互いに隣接する第1部材71及び第2部材72を有している。第1部材71は、垂直姿勢の板状に形成されている。また、第1部材71は、第1筒軸61、第2ギヤ52、第3ギヤ53、第4ギヤ54、第2筒軸62を支持している。また、第2部材72は、前方に開放された箱状に形成されている。
【0069】
第1部材71は、第2部材72に対して機体前後方向一方側に位置している。より具体的には、第1部材71は、第2部材72に対して前側に位置している。
【0070】
また、図2図3図6に示すように、左右の主フレーム20の機体前後方向他方側端部は、第1部材71の機体前後方向一方側端部に接続している。より具体的には、左右の主フレーム20の後端部は、第1部材71の前端部に接続している。
【0071】
また、図2から図6に示すように、第2部材72は、第1部材71に、後側から接当している。また、トラクタAは、複数のモータ側締結具8(本発明に係る「締結具」に相当)、及び、複数のポンプ側締結具9を備えている。そして、複数のモータ側締結具8、及び、複数のポンプ側締結具9によって、第1部材71と第2部材72とは、互いに連結されている。
【0072】
また、複数のモータ側締結具8、及び、複数のポンプ側締結具9を取り外すことにより、第2部材72は、第1部材71から、機体前後方向他方側へ分離可能である。より具体的には、第2部材72は、第1部材71から、後側へ分離可能である。
【0073】
即ち、第2部材72は、第1部材71から、機体前後方向他方側へ分離可能に構成されている。
【0074】
尚、複数のモータ側締結具8は、それぞれ、ボルトにより構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、複数のモータ側締結具8は、それぞれ、ボルト及びナットにより構成されていても良い。
【0075】
また、複数のポンプ側締結具9は、それぞれ、ボルトにより構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、複数のポンプ側締結具9は、それぞれ、ボルト及びナットにより構成されていても良い。
【0076】
図4に示すように、複数のモータ側締結具8は、背面視において、モータMの出力軸であるモータ出力軸40を中心に、モータ出力軸40の周方向に並ぶ状態で配置されている。また、複数のモータ側締結具8は、それぞれ、機体前後方向に延びると共に、対応するボルト孔に後方から挿入されている。
【0077】
尚、本実施形態において、各モータ側締結具8と、モータ出力軸40と、の間の距離は互いに等しい。即ち、複数のモータ側締結具8は、モータ出力軸40を中心とする一つの円周上に並んでいる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。各モータ側締結具8と、モータ出力軸40と、の間の距離は、互いに異なっていても良い。
【0078】
以下では、複数のモータ側締結具8について詳述する。図2から図6に示すように、トラクタAは、第1締結具81、第2締結具82、第3締結具83、第4締結具84、第5締結具85、第6締結具86を備えている。第1締結具81、第2締結具82、第3締結具83、第4締結具84、第5締結具85、第6締結具86は、何れも、モータ側締結具8である。
【0079】
ここで、モータM及び油圧ポンプ60は、第1部材71に対して機体前後方向一方側に位置している。より具体的には、モータM及び油圧ポンプ60は、第1部材71に対して前側に位置している。
【0080】
また、モータMは、フランジFGを有している。フランジFGは、モータMの後部に設けられている。図6に示すように、フランジFGは、前後方向視において六角形状に形成されている。
【0081】
図2及び図3に示すように、フランジFGは、第1部材71に、前側から接当している。そして、複数のモータ側締結具8は、フランジFGの6つの角部に対応して配置されている。
【0082】
より具体的には、図2から図6に示すように、第1締結具81は、フランジFGの右端の角部のボルト孔に挿入されている。また、第2締結具82は、フランジFGの右下の角部のボルト孔に挿入されている。また、第3締結具83は、フランジFGの左下の角部のボルト孔に挿入されている。また、第4締結具84は、フランジFGの左端の角部のボルト孔に挿入されている。また、第5締結具85は、フランジFGの左上の角部のボルト孔に挿入されている。また、第6締結具86は、フランジFGの右上の角部のボルト孔に挿入されている。
【0083】
この構成により、各モータ側締結具8は、モータMと、第1部材71と、第2部材72と、を共締めする状態で設けられている。そして、この構成により、ケース7は、モータMに連結されている。
【0084】
以上で説明した構成により、第1部材71は、モータMを片持ち状に支持している。
【0085】
また、図4に示すように、伝達装置50は、第1締結具81と第2締結具82との間を通過している。ここで、第1締結具81と第2締結具82とは、モータ出力軸40の周方向において互いに隣接している。
【0086】
このように、伝達装置50は、モータ出力軸40の周方向において互いに隣接する2つのモータ側締結具8の間を通過する状態で配置されている。
【0087】
また、図6に示すように、油圧ポンプ60は、複数のポンプ固定ボルト14によって、第1部材71に固定されている。この構成により、第1部材71は、油圧ポンプ60を片持ち状に支持している。
【0088】
即ち、油圧ポンプ60は、ケース7に支持されている。また、第1部材71は、モータMを片持ち状に支持していると共に、油圧ポンプ60を片持ち状に支持している。
【0089】
図4に示すように、複数のポンプ側締結具9は、ポンプ入力軸41の周囲に配置されている。また、複数のポンプ側締結具9は、それぞれ、機体前後方向に延びると共に、対応するボルト孔に後方から挿入されている。
【0090】
図2から図6に示すように、トラクタAは、第1ポンプ側締結具91、第2ポンプ側締結具92、第3ポンプ側締結具93を備えている。第1ポンプ側締結具91、第2ポンプ側締結具92、第3ポンプ側締結具93は、何れも、ポンプ側締結具9である。
【0091】
第1ポンプ側締結具91は、ポンプ入力軸41の右上方に位置している。第2ポンプ側締結具92は、ポンプ入力軸41の右下方に位置している。第3ポンプ側締結具93は、ポンプ入力軸41の左下方に位置している。
【0092】
〔オイルの貯留及び移動に関する構成〕
本実施形態においては、ケース7の内側にオイルが貯留される。また、変速装置Tの内側にもオイルが貯留される。図6に示すように、第2部材72の下部に、オイル排出部72aが設けられている。メンテナンスの際、オイル排出部72aにおけるドレンボルトを取り外すことにより、オイル排出部72aから、ケース7の内側に貯留されているオイルを排出することができる。
【0093】
図2から図7に示すように、第2部材72の下部に、連通管15が接続している。連通管15は、第2部材72と、変速装置Tと、を接続している。また、連通管15は、ケース7の内側の空間に連通している。また、連通管15は、変速装置Tの内側の空間に連通している。従って、連通管15により、ケース7の内側の空間と、変速装置Tの内側の空間と、が連通されている。これにより、オイルは、ケース7の内側の空間と、変速装置Tの内側の空間と、の間を移動することができる。
【0094】
図7に示すように、トラクタAは、第1油路21、第2油路22、第3油路23、第4油路24、第5油路25、昇降制御バルブ64を備えている。尚、図7においては、オイルの流れる方向が矢印によって示されている。
【0095】
第1油路21は、変速装置Tと油圧ポンプ60とを接続している。第2油路22は、油圧ポンプ60と昇降制御バルブ64とを接続している。第3油路23は、油圧ポンプ60とパワーステアリング機構(図示せず)とを接続している。第4油路24は、昇降制御バルブ64と昇降機構36とを接続している。第5油路25は、昇降制御バルブ64と変速装置Tとを接続している。
【0096】
油圧ポンプ60は、変速装置Tの内側の空間から、第1油路21を介して、オイルを吸引する。即ち、ケース7の内側の空間から連通管15を介して変速装置Tの内側の空間へ移動したオイルは、第1油路21を介して油圧ポンプ60へ供給される。
【0097】
ここで、連通管15、変速装置T、第1油路21により、オイル供給路SPが構成されている。オイル供給路SPにより、ケース7と油圧ポンプ60とが接続されている。
【0098】
即ち、トラクタAは、ケース7と油圧ポンプ60とを接続するオイル供給路SPを備えている。そして、ケース7の内側に貯留されているオイルは、オイル供給路SPを通過して油圧ポンプ60へ供給される。
【0099】
油圧ポンプ60は、供給されたオイルを、第2油路22及び第3油路23へ圧送する。
第2油路22へ圧送されたオイルは、昇降制御バルブ64に供給される。また、第3油路23へ圧送されたオイルは、パワーステアリング機構に供給される。パワーステアリング機構は、第3油路23を介して供給されたオイルによって作動する。
【0100】
昇降制御バルブ64は、昇降機構36へのオイルの供給、及び、昇降機構36からのオイルの排出を制御する。
【0101】
昇降制御バルブ64から第4油路24を介して昇降機構36にオイルが供給されることにより、昇降機構36は、上昇方向に作動する。これにより、耕耘装置13は上昇する。
【0102】
また、昇降機構36から第4油路24を介してオイルが排出されることにより、昇降機構36は、下降方向に作動する。これにより、耕耘装置13は下降する。
【0103】
また、昇降制御バルブ64は、第5油路25を介してオイルを変速装置Tに戻すことができるように構成されている。
【0104】
以上で説明した構成によれば、モータMとケース7とが比較的近接する。また、油圧ポンプ60とケース7とが比較的近接する。そのため、モータMと油圧ポンプ60とが比較的近接する。従って、モータMから油圧ポンプ60までの動力伝達経路が比較的短くなる。その結果、モータMから油圧ポンプ60への動力伝達ロスが比較的少なくなる。
【0105】
また、以上で説明した構成であれば、油圧ポンプ60はケース7に支持される。そのため、油圧ポンプ60を支持するために専用の部材を設ける必要がない。従って、油圧ポンプ60を支持するために専用の部材を設ける場合に比べて、製造コストが低くなりやすい。
【0106】
即ち、以上で説明した構成であれば、モータMから油圧ポンプ60への動力伝達ロスが比較的少なく、且つ、製造コストが低くなりやすいトラクタAを実現できる。
【0107】
尚、以上に記載した実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0108】
〔その他の実施形態〕
(1)一部または全ての部材の配置が、左右方向に反転していても良い。
【0109】
(2)一部または全ての部材の配置が、前後方向に反転していても良い。例えば、第1部材71は、第2部材72に対して後側に位置していても良い。また、モータM及び油圧ポンプ60は、第1部材71に対して後側に位置していても良い。また、第2部材72は、第1部材71から、前側へ分離可能に構成されていても良い。
【0110】
(3)トラクタAは、エンジンを備え、ハイブリッド式に構成されていても良い。
【0111】
(4)モータMは、左右の主フレーム20の間に挟まれる位置以外の位置に配置されていても良い。例えば、モータMは、左右の主フレーム20よりも上側に配置されていても良い。
【0112】
(5)耕耘装置13に代えて、肥料散布装置、薬剤散布装置、播種装置、収穫装置等の種々の装置や、ローダ、ショベル等の作業装置が備えられていても良い。この場合、肥料散布装置、薬剤散布装置、播種装置、収穫装置等の種々の装置や、ローダ、ショベル等の作業装置は、本発明に係る「作業装置」に相当する。
【0113】
(6)モータMの支持構造は、片持ち状でなくても良い。
【0114】
(7)油圧ポンプ60の支持構造は、片持ち状でなくても良い。
【0115】
(8)ケース7は、単一の部材により構成されていても良い。
【0116】
(9)上記実施形態においては、モータMが、ケース7に支持されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ケース7が、モータMに支持されていても良い。
【0117】
(10)上記実施形態においては、モータ側締結具8の設けられる個数は、6個である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、モータ側締結具8の設けられる個数は、6個以外のいかなる個数であっても良い。
【0118】
(11)上記実施形態においては、ポンプ側締結具9の設けられる個数は、3個である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ポンプ側締結具9の設けられる個数は、3個以外のいかなる個数であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、トラクタだけではなく、コンバイン、田植機、建設作業機等の種々の電動作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
4 バッテリ
7 ケース
8 モータ側締結具(締結具)
10 前車輪(走行装置)
11 後車輪(走行装置)
13 耕耘装置(作業装置)
20 主フレーム
36 昇降機構(作動機構)
40 モータ出力軸
50 伝達装置
60 油圧ポンプ
71 第1部材
72 第2部材
A トラクタ(電動作業車)
M モータ
SP オイル供給路