(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032832
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】移動検出デバイスの温度依存較正
(51)【国際特許分類】
G01P 21/00 20060101AFI20240305BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240305BHJP
【FI】
G01P21/00
G01K1/14 L
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007942
(22)【出願日】2024-01-23
(62)【分割の表示】P 2021503762の分割
【原出願日】2019-07-23
(31)【優先権主張番号】62/702,870
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カスバート マーティンデール アレン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル デレク アボット
(72)【発明者】
【氏名】イゴール レビンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】シモン ゴールドスタイン
(72)【発明者】
【氏名】アーロン マーク シュエルケ
(57)【要約】
【課題】移動検出デバイスの較正を提供すること
【解決手段】電子システムは、暴露される表面を有する熱界面を伴う、ボードを有する。熱電デバイスが、熱界面に対して設置され、ボードを加熱する。熱が、ボードを通して、熱界面が位置する第1の領域から、電子デバイスが搭載される第2の領域に伝達される。電子デバイスは、電子デバイスの温度を検出する、温度センサを有する。電子デバイスの温度は、電子デバイス内の加速度計およびジャイロスコープを較正するために使用される。較正データは、温度と、対応する加速度オフセットと、対応する角度オフセットとを含む。現場コンピュータが、温度センサ、加速度計、およびジャイロスコープからの温度、加速度、および角度を同時に感知し、同一の温度におけるオフセットデータを用いて測定されたデータを調節する。現場コンピュータは、補正されたデータを制御システムに提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子システムであって、
ボードであって、前記ボードは、
構造材料と、
前記構造材料上の熱導管であって、前記熱導管は、前記構造材料の熱伝導性より高い熱伝導性を有し、第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域を前記第2の領域に接続する接続部分とを有する、熱導管と、
前記構造材料上の熱界面であって、前記熱界面は、前記構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量を有し、前記熱導管の前記第1の領域に付着され、前記熱界面は、表面を有し、前記熱界面を通して前記熱導管に熱を伝達するために、熱デバイスが前記表面に解放可能に付着可能である、熱界面と、
前記熱導管の前記第2の領域において前記ボードに搭載された電子デバイスであって、前記熱導管は、前記熱界面の前記表面と前記電子デバイスとの間に熱経路を形成する、電子デバイスと、
前記電子デバイス内の移動検出デバイスと
を含む、ボードと、
システム記憶装置と、
前記システム記憶装置上の較正データであって、前記較正データは、
前記移動検出デバイスの第1の温度と、
前記第1の温度に対して記録される、前記移動検出デバイスからの第1の出力と、
前記第1の温度と異なる、前記移動検出デバイスの第2の温度と、
前記第2の温度に対して記録される、前記移動検出デバイスからの第2の出力と
を含む、較正データと
を備える、電子システム。
【請求項2】
前記熱導管は、金属導体を含む、請求項1に記載の電子システム。
【請求項3】
前記熱導管は、前記構造材料の層によって分離されている少なくとも2つの金属層を含む、請求項2に記載の電子システム。
【請求項4】
前記熱導管は、前記層を相互に接続する少なくとも1つの金属ビアを含む、請求項3に記載の電子システム。
【請求項5】
前記熱導管は、前記層を相互に接続する複数の金属ビアを含む、請求項4に記載の電子システム。
【請求項6】
前記金属導体は、前記構造材料より熱伝導性である金属から作製されている、請求項2に記載の電子システム。
【請求項7】
前記ボードは、内側部分と、外側部分とを有する少なくとも1つの金属層を有し、前記構造材料は、前記内側部分と前記外側部分との間に障壁を形成し、前記内側部分は、前記熱導管を形成し、前記熱界面および前記電子デバイスは、前記内側部分の上に位置している、請求項2に記載の電子システム。
【請求項8】
前記金属層は、前記構造材料より導電性である、請求項7に記載の電子システム。
【請求項9】
前記構造材料は、前記内側部分と前記外側部分との間に複数の障壁を形成し、前記障壁は、前記内側部分を相互に接続する、前記金属層の一部と互い違いである、請求項7に記載の電子システム。
【請求項10】
前記移動検出デバイスは、加速度計である、請求項1に記載の電子システム。
【請求項11】
前記移動検出デバイスは、ジャイロスコープである、請求項1に記載の電子システム。
【請求項12】
前記電子デバイス内に温度検出器をさらに備える、請求項1に記載の電子システム。
【請求項13】
現場コンピュータと、
前記現場コンピュータを前記移動検出デバイスおよび前記温度検出器に接続するインターフェースと、
前記現場コンピュータに接続された制御システムと
をさらに備える、請求項12に記載の電子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、その全てが参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2018年7月24日に出願された、米国仮特許出願第62/702,870号の優先権を主張する。
【0002】
1)発明の分野
本発明は、概して、電子システム、電子システムを構築する方法、および電子デバイスを動作させる方法に関し、より具体的には、移動検出デバイスの較正に関する。
【背景技術】
【0003】
2)関連技術の議論
半導体チップ等の電子デバイスは、頻繁に、加速度計およびジャイロスコープ等の移動検出デバイスを含む。速度計は、規定される方向への電子デバイスの加速度を検出することができ、ジャイロスコープは、電子デバイスの角度の変化を検出することができる。そのような測定デバイスは、通常、微小電気機械システム(MEMS)技術を使用して製造される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ボードを含む、電子システムを提供する。ボードは、構造材料と、構造材料上の熱導管であって、熱導管は、構造材料の熱伝導性より高い熱伝導性を有し、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域を第2の領域に接続する接続部分とを有する、熱導管と、構造材料上の熱界面であって、熱界面は、構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量を有し、熱導管の第1の領域に付着されている、熱界面と、熱導管の第2の領域においてボードに搭載される、電子デバイスであって、熱導管は、熱界面の表面と電子デバイスとの間に熱経路を形成する、電子デバイスとを含み得る。
【0005】
本発明はまた、ボードを構築することを含む、電子システムを構築する方法を提供し、ボードを構築することは、構造材料上に熱導管を形成することであって、熱導管は、構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量を有し、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域を第2の領域に接続する接続部分とを有する、ことと、構造材料上に熱界面を形成することであって、熱界面は、構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量伝導性を有し、熱導管の第1の領域に付着されている、ことと、熱導管の第2の領域において電子デバイスをボードに搭載することであって、熱導管は、熱界面の表面と電子デバイスとの間に熱経路を形成する、こととを含み得る。
【0006】
本発明はさらに、電子デバイスを動作させる方法を提供し、方法は、ボードに搭載される、電子デバイスを動作させることと、ボードの構造材料上に形成される、ボードの熱界面に隣接して熱デバイスを位置決めすることと、構造材料上の熱導管を通して、熱デバイスと電子デバイスとの間に熱を伝達することであって、熱導管は、構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量を有し、熱界面に付着される第1の領域と、電子デバイスにおける第2の領域と、第1の領域を第2の領域に接続する接続部分とを有する、こととを含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
電子システムであって、
ボードを備え、前記ボードは、
構造材料と、
前記構造材料上の熱導管であって、前記熱導管は、前記構造材料の熱伝導性より高い熱伝導性を有し、第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域を前記第2の領域に接続する接続部分とを有する、熱導管と、
前記構造材料上の熱界面であって、前記熱界面は、前記構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量を有し、前記熱導管の前記第1の領域に付着されている、熱界面と、
前記熱導管の前記第2の領域において前記ボードに搭載された電子デバイスであって、前記熱導管は、前記熱界面の表面と前記電子デバイスとの間に熱経路を形成する、電子デバイスと
を含む、電子システム。
(項目2)
前記熱導管は、金属導体を含む、項目1に記載の電子システム。
(項目3)
前記熱導管は、前記構造材料の層によって分離されている少なくとも2つの金属層を含む、項目2に記載の電子システム。
(項目4)
前記熱導管は、前記層を相互に接続する少なくとも1つの金属ビアを含む、項目3に記載の電子システム。
(項目5)
前記熱導管は、前記層を相互に接続する複数の金属ビアを含む、項目4に記載の電子システム。
(項目6)
前記金属導体は、前記構造材料より熱伝導性である金属から作製されている、項目2に記載の電子システム。
(項目7)
前記ボードは、内側部分と、外側部分とを有する、少なくとも1つの金属層を有し、前記構造材料は、前記内側部分と前記外側部分との間に障壁を形成し、前記内側部分は、前記熱導管を形成し、前記熱界面および前記電子デバイスは、前記内側部分の上に位置している、項目2に記載の電子システム。
(項目8)
前記金属層は、前記構造材料より導電性である、項目7に記載の電子システム。
(項目9)
前記構造材料は、前記内側部分と前記外側部分との間に複数の障壁を形成し、前記障壁は、前記内側部分を相互に接続する、前記金属層の一部と互い違いである、項目7に記載の電子システム。
(項目10)
前記電子デバイス内の移動検出デバイスと、
システム記憶装置と、
前記システム記憶装置上の較正データであって、前記較正データは、
前記移動検出デバイスの第1の温度と、
前記第1の温度に対して記録される、前記移動検出デバイスからの第1の出力と、
前記第1の温度と異なる、前記移動検出デバイスの第2の温度と、
前記第2の温度に対して記録される、前記移動検出デバイスからの第2の出力と
を含む、較正データと
をさらに備える、項目1に記載の電子システム。
(項目11)
前記移動検出デバイスは、加速度計である、項目10に記載の電子システム。
(項目12)
前記移動検出デバイスは、ジャイロスコープである、項目10に記載の電子システム。
(項目13)
前記電子デバイス内に温度検出器をさらに備える、項目10に記載の電子システム。
(項目14)
現場コンピュータと、
前記現場コンピュータを前記移動検出デバイスおよび前記温度検出器に接続する、インターフェースと、
前記現場コンピュータに接続された制御システムと
をさらに備える、項目13に記載の電子システム。
(項目15)
電子システムを構築する方法であって、
ボードを構築することを含み、前記ボードを構築することは、
前記構造材料上に熱導管を形成することであって、前記熱導管は、前記構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量を有し、第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域を前記第2の領域に接続する接続部分とを有する、ことと、
前記構造材料上に熱界面を形成することであって、前記熱界面は、前記構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量伝導性を有し、前記熱導管の前記第1の領域に付着されている、ことと、
前記熱導管の前記第2の領域において電子デバイスを前記ボードに搭載することであって、前記熱導管は、前記熱界面の表面と前記電子デバイスとの間に熱経路を形成する、ことと
を含む、方法。
(項目16)
電子デバイスを動作させる方法であって、
ボードに搭載された電子デバイスを動作させることと、
前記ボードの構造材料上に形成されている、前記ボードの熱界面に隣接して熱デバイスを位置決めすることと、
前記構造材料上の熱導管を通して、前記熱デバイスと前記電子デバイスとの間に熱を伝達することであって、前記熱導管は、前記構造材料の熱的熱伝達容量より高い熱的熱伝達容量を有し、前記熱界面に付着された第1の領域と、前記電子デバイスにおける第2の領域と、前記第1の領域を前記第2の領域に接続する接続部分とを有する、ことと
を含む、方法。
(項目17)
前記熱を伝達しながら、移動を検出する、前記電子デバイス内の移動検出デバイスを較正することをさらに含み、前記デバイスの較正は、
前記移動検出デバイスの第1の温度を検出することと、
前記移動検出デバイスからの第1の出力を検出することと、
前記第1の出力および第1の基線出力に基づいて第1のオフセットを計算することと、
前記第1の温度および前記第1のオフセットを記録することと、
前記移動検出デバイスの温度を、前記第1の温度から第2の温度に変更することと、
前記移動検出デバイスの前記第2の温度を検出することと、
前記移動検出デバイスからの第2の出力を検出することと、
前記第2の出力および第2の基線出力に基づいて第2のオフセットを計算することと、
前記第2の温度および前記第2のオフセットを記録することと
を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記移動検出デバイスの前記較正の後、前記熱界面から前記熱デバイスを除去することをさらに含む、項目16に記載の方法。
【0007】
本発明は、付随の図面を参照して、実施例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態による、電子システムの第1の平面内の上面図である。
【0009】
【
図2】
図2は、
図1の2-2上の第2の平面内の電子システムの断面側面図である。
【0010】
【
図3】
図3は、
図1の3-3上の第3の平面内の電子システムの断面側面図である。
【0011】
【
図4】
図4は、
図1に類似する側面図であり、さらに、電子システムの一部を形成する、電子デバイスを図示する。
【0012】
【
図5】
図5は、電子デバイスの詳細図を拡大して示す、
図4の5-5上の断面側面図である。
【0013】
【
図6】
図6は、さらに較正ステーションを図示する、電子システムの断面側面図である。
【0014】
【
図7】
図7は、さらに、電子システムの電子デバイスを加熱および較正するための較正ステーションの使用を図示する、電子システムの断面側面図である。
【0015】
【
図8】
図8は、さらに、現場コンピュータと、較正データを使用する制御システムとを示す、電子システムの断面側面図である。
【0016】
【
図9】
図9は、本発明の別の実施形態による、電子システムの断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
加速度計およびジャイロスコープ等の移動検出デバイスからの出力読取値は、デバイスの温度の変化によって影響を及ぼされ、それによって、出力測定値の温度依存誤差をもたらし得る。例えば、静置状態における加速度計は、重力加速度に対応する出力測定値を提供するはずであるが、しかしながら、加速度計が、異なる温度を受けると、出力測定値は、加速度計がより高温にあることと関連付けられる誤差に起因して異なるであろう。加速度計が静置状態にある間、出力は、変化しないはずである、すなわち、加速度は、依然として、温度にかかわらず、重力にすぎないため、誤った測定値と既知の基線測定値(加速度計の場合、重力)との間の差異(すなわち、「オフセット」)を見出すことによって、温度と関連付けられる出力測定値誤差を分離することが可能である。本測定値比較を複数の温度において行うことによって、多くのデータ点が、収集され、ある範囲の温度にわたるオフセットプロファイルが、取得されることができる。温度を具体的なオフセット読取値と関連付ける、データの集合は、較正プロセスの間、移動検出デバイス毎にコンパイルされることができる。データは、ルックアップまたは外挿のためにテーブルの中に較正データとして記憶されることができる、または最良適合関数を定義するために使用されることができる。較正データは、移動検出デバイスの温度およびその初期の「未加工」測定値を前提として、移動検出デバイスから調節された測定値を取得するために、仮想現実、拡張現実、または複合現実システムによってアクセスされることができる。
【0018】
較正システムと、較正の正確度を改良するプロセスとが、本明細書に説明される。移動検出デバイスを較正する公知の方法は、移動検出デバイスを温度プローブと接触させ、伝導によって熱を導入することを伴う、または移動検出デバイスを横断して能動的に空気を吹送し、対流によってその温度を調節することを要求する。これらの方法の両方が、デバイスを、較正の間にデバイスから得られる測定値が、温度と関連付けられる誤差と、測定方法によってもたらされる移動と関連付けられる誤差とを含むであろうように移動させ得る。測定方法によってもたらされる移動の量を把握することは不可能であるため、温度と関連付けられる誤差を隔離することは不可能である。結果として、誤差は、デバイスの未加工の出力測定値から正確に除去されることはできない。仮想、拡張、および複合現実システムでは、デバイスによって得られる測定値の正確度は、ユーザに、ユーザと実際または仮想環境との間の移動に関して仮想コンテンツを表示すべき場所を判定するために重要となる。したがって、仮想、拡張、または複合現実デバイスにおける非常に正確な較正システムおよび方法の必要性が存在する。
【0019】
図1、2、および3は、本開示のある実施形態による電子システム10を図示する。
図1は、電子システム10内のボード12の例示的構成の上面図である。
図2は、
図1の2-2上の断面側面図である。
図3は、
図1の3-3上の断面側面図である。電子システム10は、異なる材料の複数の層から構成される、ボード12を含む。その中に配置される層および種々の特徴は、較正の間の特定の機能、およびボード12に接続される、センサまたはセンサスイート等の電子デバイス14(
図4および5に関して議論される)の使用を提供する。
【0020】
ボード12は、FR4誘電体等の構造材料22、および金属構成要素24等の熱伝導性かつ導電性材料から構築される。金属構成要素24は、銅材料を含み得る。金属構成要素24の金属は、構造材料22より熱伝導性であり、したがって、それより高い熱的熱伝達容量を有する。金属構成要素24の金属は、導電性であり、構造材料22は、電気絶縁性である。
【0021】
構造材料22の複数の層が、ボード12内に含まれることができる。
図2および3の実施例に示されるように、2つの構造層28および30が、提供されることができる。金属構成要素24は、構造材料22の層間に配置される。例えば、金属構成要素24は、第1および第2の構造層28および30によって分離される、第1、第2、および第3の金属層34、36、および38を含むことができる。ボード12はさらに、第1および第3の金属層34および38を被覆する、上部および底部絶縁層32および26を含む。上部および底部絶縁層32および26は、電気絶縁性のはんだレジスト材料25を含むことができる。
【0022】
金属構成要素24はまた、それぞれ、ビア40および42の第1および第2のセットを含む。ビア40の第1のセットは、第1の金属層34の一部を第2の金属層36の一部に接続する。ビア42の第2のセットは、第2の金属層36の一部を第3の金属層38の一部に接続する。金属層34、36、および38は、それによって、相互に電気的かつ熱的に接続される。金属層34、36、および38は、ビア40および42の第1および第2のセットとともに、熱導管の第1の領域46を熱導管の第2の領域48に接続する、熱伝導性材料の熱導管を形成する。
【0023】
第3の金属層38の一部が、電気信号のためのトレースとして機能するための金属ライン76として隔離される。これらの金属ライン76は、各ラインが、誘電性構造材料22および絶縁性はんだレジスト材料25等の非伝導性材料によって囲繞されるように、相互から、かつ他の金属構成要素24から隔離されることができる。当業者は、3つより多いまたはそれより少ない金属ライン76が、ボード12に第2の領域48において搭載される電子デバイス14の設計に応じて提供され得ることを理解するであろう。金属ライン76は、ボード12内の金属層のうちの1つ以上の中に配置されてもよい。加えて、ライン76は、金属構成要素24の暴露される部分として示されているが、金属ライン76の一部もまた、絶縁性はんだレジスト材料25でコーティングされることができる。
【0024】
金属構成要素24はさらに、熱界面52を含む。熱界面52は、上部絶縁層32の一部を除去することによって暴露されている、第3の金属層38の、第1の領域46における面積である。熱界面52は、暴露されている、かつ電子デバイス較正ステーション80の一部に接触するように構成される、第3の金属層38の上側表面54である。上側表面54は、ボード12の上側表面の一部のみを形成し、上側表面の残りは、構造層30および絶縁性はんだレジスト層32の上側表面から成る。
【0025】
図1および2を組み合わせて参照すると、第1、第2、および第3の金属層34、36、38は、内側部分58と、外側部分60とを有する。構造材料22は、外側部分60から内側部分58を区別する、複数の障壁62を形成する。障壁62は、外側部分60が内側部分58より冷たく保たれるように、熱が第2の金属層36の内側部分58から外側部分60に伝導しないように防止する、または少なくとも実質的に、熱の伝達を減速させるための、熱障壁として作用する。付加的な電子構成要素が、ボード12に接続されることができる。そのような構成要素は、ボード12に、外側部分60において接続され、構成要素が較正プロセスの間に高熱を被らないように保つことができる。
【0026】
図1および3を組み合わせて参照すると、第1、第2、および第3の金属層34、36、38がまた、内側部分58を外側部分60に接続する、接続部分64を有することが見られ得る。接続部分64は、金属層が、内側部分58と外側部分60との間に等しい基準電圧が存在するように、電気的に接地されることを確実にする。
【0027】
図1および2を組み合わせて参照すると、類似の熱障壁62が、第1、第2、および第3の金属層34、36、および38(
図1)内の1つ以上の位置に形成されること、ならびに各金属層が、その内側および外側領域を接続する、個別の部分64を有することが見られ得る。障壁62は、内側部分58から外側部分60への熱伝達を防止する、または少なくとも減速させ、ボード12に付着される他の構成要素が電子デバイス14の較正の間に高温を被らないように保護する。
【0028】
図4および5を参照すると、電子システム10はさらに、電子デバイス14と、システム記憶装置18とを含む。電子デバイス14は、接続部74を通してボード12の上側表面に搭載される。電子デバイス14および熱界面52は、内側部分58を画定する、障壁62内にある。電子デバイス14は、上記に説明される熱導管の第2の領域48の上方に搭載される。
【0029】
電子システム10はさらに、ボード12に取り付けられ、電子デバイス14内の測定デバイスに接続される、ボードインターフェース16を含む。電子デバイス14は、構造本体66と、構造本体66内のいくつかの測定デバイスとを含む。測定デバイスは、温度センサ68と、加速度計70およびジャイロスコープ72の形態の、2つの移動検出デバイスとを含む。2つの移動検出デバイスが、本実施形態の目的のために使用されるが、1つのみの測定デバイスを使用して本発明の側面を実装することも可能であり得る。例えば、ジャイロスコープのみまたは加速度計のみを有する電子デバイスを較正することも、可能であり得る。構造本体66は、例えば、従来のパッケージング技術を使用してパッケージ化され得る、シリコンまたは他の半導体構造本体であり得る。温度センサ68、加速度計70、およびジャイロスコープ72は、ボード12の上側表面上のコネクタ74およびボード12内の金属ライン76を通してボードインターフェース16に接続される。温度センサ68、加速度計70、およびジャイロスコープ72からのデータトレースが、測定デバイスのための入力/出力インターフェースとしての役割を果たす、構造本体66内のマイクロプロセッサ73に配索される。システム記憶装置18は、加速度計70およびジャイロスコープ72と関連付けられる、較正ステーション80から受信される較正データを記憶する役割を果たす。システム記憶装置18は、例えば、ソリッドステートメモリを含み得る。システム記憶装置18は、電子デバイス14の近傍に示されているが、しかしながら、システム記憶装置は、ボード12と接触しないように、クラウドベースの記憶装置または電子デバイスの別の面積上に位置する、遠隔の記憶装置であり得る。当業者は、システム記憶装置18が、電子デバイス14と通信し、電子デバイス14とシステム記憶装置18との間のデータ転送を可能にする、任意の場所に位置し得ることを理解するであろう。システム記憶装置18は、電子システム10が組み立てられた直後には(すなわち、較正を受けることに先立って)較正データを含まないが、データが電子デバイス14とシステム記憶装置18との間で転送されることを可能にすることによって、電子デバイス14と一意に関連付けられる。
【0030】
図6はさらに、加速度計70およびジャイロスコープ72を較正するために使用される、較正ステーション80を図示する。較正ステーション80は、フレーム82と、較正コンピュータ84と、較正コンピュータインターフェース86と、熱電デバイス88と、変圧器90と、電力コネクタ92とを含む。較正ステーション80の構成要素は、フレーム82を介して相互に対して定常位置に搭載される。較正コンピュータインターフェース86と熱電デバイス88との間隔は、ボードインターフェース16と熱界面52との間の間隔と同一である。較正コンピュータ84は、信号が較正コンピュータ84と較正コンピュータインターフェース86との間で伝送され得るように、較正コンピュータインターフェース86に接続される。マイクロプロセッサ73からの情報が、較正ステーション80によってアクセスされることができる。較正コンピュータ84は、電力が、電力コネクタ92を通して較正コンピュータ84に供給され得るように、電力コネクタ92に接続される。熱電デバイス88は、変圧器90を通して電力コネクタ92に接続される。電力は、電力コネクタ92によって、変圧器90を通して熱電デバイス88に提供されることができる。変圧器90は、電力を熱電デバイス88に提供する前に、電力コネクタ92によって提供される電圧を低減させる。熱電デバイス88は、好ましくは、ボード12の中に熱を提供する、またはボード12から熱を外に引き出すことが可能である、熱電冷却器等の可逆ヒートポンプである。ボード12上、したがって、電子デバイス14における広範囲の温度を達成するための柔軟性が、電子デバイス14の較正の正確度を改良することができる。
【0031】
使用時、電子システム10は、較正ステーション80の一部と接触される。電子システム10および較正ステーション80が、相対的に相互に向かって移動すると、較正コンピュータインターフェース86は、ボードインターフェース16に接続し、熱電デバイス88が熱界面52と接触することと同時に電子デバイス14からデータを受信し始めることができる。説明される実施形態では、較正コンピュータインターフェース86およびボードインターフェース16は、通信リンクを作成するように相互に接触し、通信リンクを断絶させるために相互から解放可能である、有線インターフェースである。データが、電子システム10と較正ステーション80との間の有線通信を通して受信される。別の実施形態では、較正ステーション80およびボードは、データ転送のための無線リンクを作成し、無線リンクが、次いで、断絶される、無線インターフェースを含み得る。
【0032】
較正コンピュータ84に給電する、電力が、電力コネクタ92を通して較正コンピュータ84に提供される。電力はまた、電力コネクタ92および変圧器90を通して熱電デバイス88に提供される。
【0033】
電子システム10全体は、最初は、室温、例えば、約21℃において較正を開始することができる。温度センサ68(
図5)が、温度の出力を較正コンピュータ84に提供する。加速度計70およびジャイロスコープ72は、同時に、温度センサ68からの出力温度と関連付けられる出力を、較正コンピュータ84に提供する。加速度計およびジャイロスコープに関する基線出力は、デバイスが、静置状態であるため、既知であるか、または室温等の基準温度において確立されるかのいずれかである。これらの基線出力は、センサの温度変化と関連付けられる、測定値の誤差(「オフセット」)を隔離するために、較正プロセスにおいて後に使用される。
【0034】
図7は、較正コンピュータ84が、システム記憶装置18に接続され、較正オフセットが計算されるにつれて、システム記憶装置18内に較正データ96を記録することを図示する。較正データ96のテーブルの中への最初のエントリは、それぞれ、加速度計70およびジャイロスコープ72からの入力を使用して求められる温度センサ測定値に関して計算される、初期温度(本実施例では、21℃)と、(温度毎の加速度測定値と既知の加速度との間の差異を発見することによって計算される)加速度オフセットと、(温度毎のジャイロスコープ測定値と既知の位置情報との間の差異を発見することによって計算される)角度オフセットとを含む。
【0035】
熱電デバイス88は、室温より低温にある、上側表面と、室温より高温にある、下側表面とを有する。熱は、熱電デバイス88の高温の下側表面から、熱界面52の上側表面54を通して熱界面52の中に伝達される。熱伝達は、主に、伝導を介している。熱は、次いで、第3の金属層38およびビア40および42の第1および第2のセットを通して、第1および第2の金属層34および36に伝導する。熱は、次いで、熱源の最近傍の第1の領域46から第1、第2、および第3の金属層34、36、および38を通して、第2の領域48に向かって外向きに伝導する。障壁62は、内側部分58から外側部分60への熱の伝達を防止する、または少なくとも実質的に遅延させる。
【0036】
第2の領域48の加熱は、その温度を上昇させる。金属層34、36、38および熱ビア40、42を通した熱の伝導が、急速に起こる一方、熱の有意により緩慢な伝導が、構造材料層28、30内で生じる。上部金属層38を通した伝導が、第2の領域48内の電子デバイス14の真下に熱を均一に分散させる。第2の領域48の上昇した温度は、接続74による伝導を通した、かつ電子デバイス14を囲繞する空気の受動対流を通した熱伝達を生じさせる。電子デバイス14を加熱する本方法は、電子デバイス14が被るであろう場条件を綿密に模倣する。温度センサ68は、電子デバイス14の温度を検出し続ける。較正コンピュータ84は、改良された正確度のために、所定の間隔に基づいて、例えば、5秒毎またはより頻繁に、温度センサ68の温度をサンプリングする。較正コンピュータ84はまた、較正コンピュータ84が温度センサ68からの温度をサンプリングすることと同時に、加速度計70およびジャイロスコープ72からの出力をサンプリングする。較正コンピュータ84は、次いで、較正データ96を用いて各温度、および各加速度オフセット、ならびに各角度オフセットを計算し、記憶する。本明細書の前述に説明されるように、各温度は、それぞれ、加速度計およびジャイロスコープの測定読取値内の加速度オフセットおよび角度オフセット成分と関連付けられる。オフセットプロファイルが、ある範囲の温度を横断して各センサの出力を測定し、その度にセンサが測定するべき既知の値を実際の測定値から減じ、誤差を計算することによって、取得されることができる。各温度は、したがって、加速度計70およびジャイロスコープ72が、1つの測定から次のものまで定常状態のままであっても、それと関連付けられる、異なる加速度オフセットと、角度オフセットとを有する。いくつかの実施形態では、複数の測定値が、各温度で取得され、平均オフセットが、改良された正確度のために計算される。
【0037】
十分なデータが、収集されると、較正ステーション80は、ボード12との接触から除去される。較正コンピュータインターフェース86は、収集された較正データをシステム記憶装置18に書き込み、ボードインターフェース16から接続解除する。熱電デバイス88は、熱界面52から係脱する。熱は、全電子デバイス14が室温に戻るまで、電子デバイス14から対流し、伝導する。
【0038】
上記に説明される較正システムおよびプロセスは、較正ステーションと電子デバイス14との間の物理的接触を要求せず、さらに、電子デバイス14を横断した強制的な対流も要求しない。むしろ、電子デバイス14は、電子デバイス14との付加的なプローブの接触、またはそれにわたる強制的な空気の吹送の必要性を伴わず、ボード12への持続的接続(コネクタ74および金属ライン76)を通した伝導を介して、かつ受動対流を介して加熱される。電子デバイス14は、したがって、加速度計70またはジャイロスコープ72を妨害することなく、温度に対して較正されることができる。本システムおよびプロセスは、ボード電子デバイス14上のセンサの実際の場条件を模倣しながら、より正確なオフセット較正を可能にする。
【0039】
図8は、現場コンピュータ100と、現場コンピュータインターフェース102と、制御システム104と併せて、電子システムを図示する。制御システム104は、例えば、仮想現実、拡張現実、または複合現実デバイスであり得る。現場コンピュータ100は、現場コンピュータインターフェース102に接続される。制御システム104は、現場コンピュータ100に接続される。現場コンピュータ100は、例えば、拡張現実視認システムの移動データを処理する、コンピュータであってもよく、制御システム104は、視認デバイスの視覚処理システムであってもよい。現場コンピュータ100は、システム記憶装置18に接続され、較正データ96へのアクセスを有する。
【0040】
使用時、電子システム10は、例えば、線形方向または回転方向に移動される。加速度計70およびジャイロスコープ72は、電子システム10のそのような移動を検出する。現場コンピュータ100は、温度センサ68、加速度計70、およびジャイロスコープ72から受信される信号を感知する。現場コンピュータ100は、温度センサ68から検出される温度を使用し、較正データ96内に対応する温度を見出す。較正データ96は、前述に説明されるようなデータを伴うテーブルを含んでもよい、または較正データを表す、線形回帰等の公式を含んでもよい。現場コンピュータ100は、温度センサ68によって測定される温度に対応する、較正データ96内の加速度オフセットおよび角度オフセットを読み出す。現場コンピュータ100は、次いで、加速度計70によって検出される加速度を、加速度オフセットによって調節する(加速度=測定される加速度-加速度オフセット)。現場コンピュータ100はまた、ジャイロスコープ72によって測定される角度を、温度に対応する角度オフセットによって調節する(調節される角度=測定される角度-角度オフセット)。現場コンピュータ100は、次いで、調節された加速度と、調節された角度とを、制御システム104に提供する。制御システム104は、調節された加速度および調節された角度を1つ以上の公式において利用する。実施例として、制御システム104は、現場コンピュータ100から受信された、調節された加速度および調節された角度を使用する、設置公式に従って、拡張現実または複合現実視認デバイス内でのレンダリングされた画像の設置を調節する。
【0041】
図9は、熱導管が、チップ内に内蔵され得る、任意の公知の熱拡散器によって提供される、代替実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、熱拡散器は、ヒートパイプ110であることができる。ヒートパイプ110は、蒸発器端部112と、凝縮器端部114とを有する。蒸発器端部112は、熱界面52に対して、またはそれに近接近して位置し、凝縮器端部114は、電子デバイス14に近接近して位置する。使用時、熱界面52は、ヒートパイプ110内の液体を加熱し、液体を蒸発させる。結果として生じる蒸気が、蒸発器端部112から凝縮器端部114に流動し、凝縮する。結果として生じる凝縮液体は、次いで、毛細管輸送システムを通して凝縮器端部114から蒸発器端部112に戻るように流動する。
【0042】
図1-8は、熱伝導性金属から成る、熱導管の1つのタイプを図示する。
図1-8の設計は、製造するのに比較的に安価である。
図9は、ヒートパイプの形態にある、熱導管の異なるタイプを図示する。ヒートパイプは、熱伝導性金属よりも、流動を通してより多くの熱を伝達し得るが、製造するのにより高価であり得る。
図1-8の熱伝導性金属によって提供される熱導管、および
図9のヒートパイプによって提供される熱導管は両方とも、ボード12の構造材料22の熱的熱伝達容量より高い、熱的熱伝達容量を有し、両方とも、熱界面52の表面と電子デバイス14との間に熱経路を形成する。
【0043】
ある例示的実施形態が、説明され、付随の図面に示されているが、そのような実施形態が、例証的にすぎず、本発明を制限するものではないこと、および本発明が、修正が当業者に想起され得るため、示され、説明される具体的な構成および配列に制限されるものではないことを理解されたい。