(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032864
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】液体供給システムおよび液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240305BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/175 101
B41J2/175 503
B41J2/175 501
B41J2/01 451
B41J2/01 301
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009973
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2023065407の分割
【原出願日】2018-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】東上 誠司
(57)【要約】
【課題】供給流路を開にすることを忘れ、流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合を生じにくくすること。
【解決手段】媒体に対してインクを噴射するノズル51を有する液体噴射部50と、インクを貯留する液体貯留部13と、液体貯留部13と液体噴射部50とを連通する供給流路40と、供給流路40を開状態または閉状態にする開閉部63と、開閉部63を操作する操作部61と、を有する開閉機構60Aと、液体噴射部50及び開閉機構60Aを搭載し、主走査方向に往復移動可能なキャリッジ30と、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、開閉機構60Aに接触する接触部100と、開閉機構60Aと接触部100との接触を検出する検出部84と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、
前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、
前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉部と、前記開閉部を操作する操作部と、を有する開閉機構と、
前記液体噴射部及び前記開閉機構を搭載し、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、
前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記開閉機構に接触する接触部と、
前記開閉機構と前記接触部との接触を検出する検出部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記液体噴射部及び前記キャリッジを収容する筐体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記接触部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記操作部と接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を回動可能なレバーを含み、
前記開閉部は、前記レバーが前記閉位置に位置するときに前記供給流路を閉塞し、前記レバーが前記開位置に位置するときに前記供給流路を開放する押圧部材を有し、
前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記レバーが前記接触部と接触することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を移動可能であり、
前記接触部は、前記開位置に位置する前記操作部が前記キャリッジの移動に伴って移動する移動領域の外側に配置されるとともに、前記閉位置に位置する前記操作部が前記キャリッジの移動に伴って移動する移動領域の内側に配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記開閉機構は、前記操作部と連動して変位する変位部材を有し、
前記接触部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記変位部材と接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、
前記液体を貯留する液体貯留部と、
前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、
前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉部と、前記開閉部を操作する操作部と、を有する開閉機構と、
前記液体噴射部を搭載し、主走査方向に往復移動可能であり、前記供給流路が閉状態である場合に前記開閉機構に接触可能な接触部を有するキャリッジと、
前記開閉機構と前記接触部との接触を検出可能な検出部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記接触部に接触することを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記開閉機構は、前記操作部と連動して変位する変位部材を有し、
前記変位部材は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記接触部に接触することを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を、軸部を中心に回動可能なレバーを含み、
前記開閉部は、前記レバーが前記閉位置に位置するときに前記供給流路を閉塞し、前記レバーが前記開位置に位置するときに前記供給流路を開放する押圧部材と、前記軸部と、を有し、
前記変位部材は、前記軸部を介し、前記レバーの移動に連動して変位することを特徴とする請求項9に記載の液体噴射装置。
【請求項11】
前記供給流路が閉状態の場合、前記変位部材は前記キャリッジの移動領域内に位置することを特徴とする請求項9又は10に記載の液体噴射装置。
【請求項12】
前記キャリッジの移動を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記主走査方向における第1方向に前記キャリッジを移動させ、前記供給流路の閉状態を検出した場合、前記第1方向と反対方向である第2方向に前記キャリッジを移動させることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項13】
前記供給流路が閉状態であることを報知する報知部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項14】
媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉機構と、前記液体噴射部を搭載し、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、を備えた液体噴射装置の検出方法であって、
前記キャリッジの移動によって前記供給流路が閉状態であることを検出することを特徴とする液体噴射装置の検出方法。
【請求項15】
前記キャリッジを移動させたとき、前記キャリッジの移動が阻害された場合に前記供給流路が閉状態であることを検出することを特徴とする請求項14に記載の液体噴射装置の検出方法。
【請求項16】
前記液体噴射装置は、前記キャリッジを移動させるキャリッジモーターを更に備え、
前記キャリッジモーターの駆動負荷によって前記供給流路が閉状態であることを検出することを特徴とする請求項14又は15に記載の液体噴射装置の検出方法。
【請求項17】
電源投入に伴って前記キャリッジを移動させ、前記キャリッジの移動によって前記供給流路の状態を検出することを特徴とする請求項14乃至16の何れか一項に記載の液体噴射装置の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置、および当該液体噴射装置の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷用紙などの印刷媒体に印刷ヘッドから液体を吐出させることによって、印刷媒体への印刷を行う液体噴射装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の液体噴射装置は、タンク(液体貯留部)に貯留されたインクを、供給チューブを介して印刷ヘッドに供給する液体供給装置と、手動で供給チューブ(流路)を開閉可能な流路開閉装置と、を有している。この流路開閉装置を使用して手動で流路を閉にすることによって、液体噴射装置内にインクが充填された場合であっても、インクが漏れ出さない状態で液体噴射装置を輸送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、手動で流路を開閉するために、流路を閉にして液体噴射装置を輸送し、液体噴射装置を輸送した後に流路を開にすることを忘れ、流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が生じるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の液体噴射装置は、媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉部と、前記開閉部を操作する操作部と、を有する開閉機構と、前記液体噴射部及び前記開閉機構を搭載し、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記開閉機構に接触する接触部と、前記開閉機構と前記接触部との接触を検出する検出部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
上記の液体噴射装置では、前記接触部は、前記液体噴射部及び前記キャリッジを収容する筐体に設けられていることが好ましい。
【0007】
上記の液体噴射装置では、前記接触部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記操作部と接触することが好ましい。
【0008】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を回動可能なレバーを含み、前記開閉部は、前記レバーが前記閉位置に位置するときに前記供給流路を閉塞し、前記レバーが前記開位置に位置するときに前記供給流路を開放する押圧部材を有し、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記レバーが前記接触部と接触することが好ましい。
【0009】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を移動可能であり、前記接触部は、前記開位置に位置する前記操作部が前記キャリッジの移動に伴って移動する移動領域の外側に配置されるとともに、前記閉位置に位置する前記操作部が前記キャリッジの移動に伴って移動する移動領域の内側に配置されることが好ましい。
【0010】
上記の液体噴射装置では、前記開閉機構は、前記操作部と連動して変位する変位部材を有し、前記接触部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記変位部材と接触することが好ましい。
【0011】
本願の液体噴射装置は、媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉部と、前記開閉部を操作する操作部と、を有する開閉機構と、前記液体噴射部を搭載し、主走査方向に往復移動可能であり、前記供給流路が閉状態である場合に前記開閉機構に接触可能な接触部を有するキャリッジと、前記開閉機構と前記接触部との接触を検出可能な検出部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記接触部に接触することが好ましい。
【0013】
上記の液体噴射装置では、前記開閉機構は、前記操作部と連動して変位する変位部材を有し、前記変位部材は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記接触部に接触することが好ましい。
【0014】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を、軸部を中心に回動可能なレバーを含み、前記開閉部は、前記レバーが前記閉位置に位置するときに前記供給流路を閉塞し、前記レバーが前記開位置に位置するときに前記供給流路を開放する押圧部材と、前記軸部と、を有し、前記変位部材は、前記軸部を介し、前記レバーの移動に連動して変位することが好ましい。
【0015】
上記の液体噴射装置では、前記供給流路が閉状態の場合、前記変位部材は前記キャリッジの移動領域内に位置することが好ましい。
【0016】
上記の液体噴射装置では、前記キャリッジの移動を制御する制御部を更に備え、前記制御部は、前記主走査方向における第1方向に前記キャリッジを移動させ、前記供給流路の閉状態を検出した場合、前記第1方向と反対方向である第2方向に前記キャリッジを移動させることが好ましい。
【0017】
上記の液体噴射装置では、前記供給流路が閉状態であることを報知する報知部を更に備えることが好ましい。
【0018】
本願の液体噴射装置の検出方法は、媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉機構と、前記液体噴射部を搭載し、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、を備えた液体噴射装置の検出方法であって、前記キャリッジの移動によって前記供給流路が閉状態であることを検出することを特徴とする。
【0019】
上記の液体噴射装置の検出方法では、前記キャリッジを移動させたとき、前記キャリッジの移動が阻害された場合に前記供給流路が閉状態であることを検出することが好ましい。
【0020】
上記の液体噴射装置の検出方法では、前記液体噴射装置は、前記キャリッジを移動させるキャリッジモーターを更に備え、前記キャリッジモーターの駆動負荷によって前記供給流路が閉状態であることを検出することが好ましい。
【0021】
上記の液体噴射装置の検出方法では、電源投入に伴って前記キャリッジを移動させ、前記キャリッジの移動によって前記供給流路の状態を検出することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】実施形態1に係るスキャナーを取り外した場合の液体噴射装置の斜視図。
【
図4】実施形態1に係る液体噴射装置をZ(+)方向側から見た場合の模式図。
【
図5】実施形態に係る液体噴射装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図8A】実施形態1に係る供給流路が開放されている状態の開閉機構の
図6のB-B線矢視断面図。
【
図8B】実施形態1に係る供給流路が閉塞されている状態の開閉機構の
図6のB-B線矢視断面図。
【
図9】実施形態2に係る液体噴射装置をZ(+)方向側から見た場合の模式図。
【
図10】実施形態2に係る液体噴射装置をX(-)方向側から見た場合の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0024】
(実施形態1)
図1及び
図2は、実施形態1に係る液体噴射装置1Aの斜視図である。なお、
図1ではスキャナー5が装置本体2に対して閉じられた状態が図示され、
図2ではスキャナー5が装置本体2に対して開かれた状態が図示されている。
まず、
図1及び
図2を参照し、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの概略構成について説明する。
【0025】
なお、以降の説明では、液体噴射装置1Aの幅方向をX方向とし、液体噴射装置1Aの奥行方向をY方向とし、液体噴射装置1Aの高さ方向をZ方向とする。X方向及びY方向は水平面に沿う方向であり、Z方向は水平面に直交する方向である。さらに、方向を示す矢印の先端側を(+)方向とし、方向を示す矢印の基端側を(-)方向とする。
なお、X方向は、「主走査方向」の一例である。
【0026】
<<<液体噴射装置について>>>
本実施形態に係る液体噴射装置1Aは、例えば、用紙などの媒体に「液体」の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせている。
【0027】
図1及び
図2に示すように、液体噴射装置1Aは、装置本体2と、装置本体2の上部に配置され装置本体2に対して回動可能なスキャナー5と、を備えている。装置本体2は、液体噴射部50(
図5参照)と、キャリッジ30(
図3参照)と、搬送機構25(
図5参照)と、液体貯留ユニット10と、供給流路40(
図3参照)と、開閉機構60A(
図6参照)と、操作パネル6と、制御部80(
図5参照)とを備える。
なお、操作パネル6は、「報知部」の一例である。
【0028】
装置本体2は、装置本体2の外装フレームである筐体3を備えている。筐体3の中に、液体噴射部50と、キャリッジ30と、供給流路40と、制御部80とが配置されている。
【0029】
操作パネル6は、装置本体2の装置奥行き方向前面側(Y(+)方向側)に配置されている。操作パネル6には、液晶パネル等の表示部7と、複数の入力用ボタンや電源スイッチ等を備える操作ボタン8と、が設けられている。そして、操作パネル6は、装置本体2に対して装置奥行き方向前面側(Y(+)方向側)に回動可能に取り付けられている。
【0030】
操作パネル6が装置本体2に対して装置奥行き方向前面側(Y(+)方向側)に回動した状態になると、装置本体2に格納されている不図示の媒体排出トレイが露出する。媒体排出トレイは、装置本体2内に格納された位置と、装置本体2から装置奥行き方向前面側に引き出された位置との間を進退可能に構成されている。
【0031】
装置本体2の装置高さ方向下方側(Z(-)方向側)には、媒体を収容可能な媒体収容部22が設けられている。媒体収容部22は、装置本体2に対して装置奥行き方向前面側(Y(+)方向側)から挿抜可能である。
【0032】
スキャナー5は、装置奥行き方向背面側(Y(-)方向側)を回動支点として装置本体2に対して回動可能に構成されており、装置本体2に対して閉じた姿勢(
図1参照)と開いた姿勢(
図2参照)とに切換可能である。スキャナー5は、後述するキャリッジ30の装置高さ方向上側(Z(+)方向側)に位置している。そして、スキャナー5を閉じた姿勢又は開いた姿勢に切り換えることで、装置本体2内部の上面を露出、又は覆うことができる。
なお、液体噴射装置1Aは、スキャナー5を備えない構成であっても良い。スキャナー5の代わりに、装置本体2内部を上面から覆う上面カバーを設けてもよい。
【0033】
液体貯留ユニット10は、装置本体2の装置幅方向右側(X(-)方向側)の装置奥行き方向前面側(Y(+)方向側)に設けられている。液体貯留ユニット10は、インクを貯留する複数の液体貯留部13と、複数の液体貯留部13を覆う筐体12と、筐体12に対して回動可能に取り付けられたカバー11と、を備えている。
【0034】
液体貯留ユニット10は、装置幅方向(X方向)において少なくとも一部が閉じた姿勢のスキャナー5の下方に位置するように配置されている。本実施形態において、液体貯留部13は、5つ設けられている。そして、各液体貯留部13には、X(+)方向側から順に、ブラックのインク、マゼンタのインク、イエローのインク、シアンのインク、フォトブラックのインクのいずれかが貯留されている。また、ブラックのインクが貯留されている液体貯留部13は、他の液体貯留部13よりもインクの収容量が大きく設定されている。さらに、液体貯留部13の装置奥行き方向前面側(Y(+)方向側)には、各液体貯留部13におけるインクの残量を確認可能な表示部14が設けられている。
【0035】
液体貯留部13は、液体貯留部13内に連通している大気連通部(不図示)及び供給口(不図示)を有する。大気連通部は、液体貯留部13への大気の流入口である。液体貯留部13内のインクが消費されて液体貯留部13内のインク量が減少すると、液体貯留部13内の圧力が大気圧よりも低くなる。このとき、大気連通部から大気が液体貯留部13内に流入可能であり、液体貯留部13内の圧力が大気圧に維持される。供給口は、液体貯留部13内のインクを液体貯留部13の外へ排出可能な排出口である。液体貯留部13と液体噴射部50とは、供給流路40によって連通されている。液体貯留部13内のインクは、供給流路40に接続された供給口を介して液体噴射部50へ向けて供給される。
【0036】
図2に示すように、スキャナー5が装置本体2に対して開いた姿勢を取ると、液体貯留ユニット10における液体貯留部13の上部を覆うカバー11が完全に露出する。カバー11は、筐体12に対して回動可能に取り付けられている。そして、カバー11が完全に露出している状態にし、加えてカバー11を筐体12に対して回動させることにより、液体貯留部13の上部を露出させることができる。
【0037】
液体貯留部13の上部には、注入口(不図示)と、注入口を封止し、液体貯留部13に対して回動可能な蓋16とが設けられている。カバー11が液体貯留部13の上部を露出させている姿勢を取り、蓋16が注入口を開放しているとき、インクを収容している補充容器(不図示)と注入口とを接続することで、補充容器内のインクが、注入口を介して液体貯留部13に補充される。
【0038】
図3はスキャナー5を取り外した場合の液体噴射装置1Aの斜視図である。
図4は、液体噴射装置1AをZ(+)方向側から見た場合の模式図である。
図1及び
図2は、液体噴射装置1AをY(+)方向側(前方側)から見た斜視図である。一方、
図3は、液体噴射装置1AをY(-)方向側(後方側)から見た斜視図である。
また、
図3では、キャリッジ30がホームポジションHPに位置する状態が図示されている。
図4では、キャリッジ30とレバー62A(操作部61)と筐体3と液体貯留ユニット10とが模式的に図示され、他の構成要素の図示が省略されている。さらに、
図4では、装置本体2のY(+)方向側が図示され、装置本体2のY(-)方向側の図示が省略されている。
【0039】
図3及び
図4に示すように、液体貯留ユニット10のY(-)方向側にはキャリッジ30が配置されている。キャリッジ30は、キャリッジモーター31(
図5参照)から付与される駆動力によって、X方向(主走査方向)に往復移動可能である。キャリッジ30には、液体噴射部50及び開閉機構60Aが搭載されている。
【0040】
キャリッジモーター31のガイド軸(不図示)には、駆動プーリー(不図示)が設けられている。また、駆動プーリーに対して装置幅方向(X方向)に間隔をおいて従動プーリー(不図示)が装置本体2内に設けられている。駆動プーリーと従動プーリーとに無端ベルト(不図示)が掛けまわされている。無端ベルトの少なくとも一部は、キャリッジ30の背面側端部に設けられた把持部(不図示)においてキャリッジ30を把持する。そして、キャリッジモーター31が回転駆動すると、無端ベルトはキャリッジモーター31の回転方向と同じ方向に回転し、キャリッジ30を装置幅方向(X方向)に往復移動させる。
【0041】
また、筐体3内には、往復移動するキャリッジ30のX方向(主走査方向)における位置と速度とを検出するためのリニアエンコーダー75(
図5参照)が設けられている。リニアエンコーダー75は、筐体3に設けられたX方向(主走査方向)と平行な直線状の符号板(不図示)と、キャリッジ30に設けられたフォトセンサー76(
図5参照)とによって構成され、キャリッジ30の移動状態に応じた所定の電気信号がフォトセンサー76から出力される。
【0042】
図4では、筐体3の一部をなすフレーム4にハッチングが施されている。
フレーム4は、筐体3の構成要素であり、キャリッジ30に対してZ(+)方向側に配置されている。このため、Y方向側から見た側面視において、フレーム4とキャリッジ30とは重ならず、キャリッジ30をX方向に移動させた場合に、キャリッジ30とフレーム4とは干渉しない。
一方、Y方向側から見た側面視において、フレーム4とレバー62Aとは重なる。
【0043】
さらに、フレーム4には、開口OAが設けられている。フレーム4に開口OAを設けることによって、ユーザーは、装置本体2の内部に配置されるキャリッジ30や、開閉機構60Aのレバー62A等にアクセスすることができる。
【0044】
図4に示すように、キャリッジ30をX方向に延設したガイド軸に沿って往復移動させた場合、キャリッジ30が移動する領域は、液体噴射部50が印刷を行う印刷領域PAと、液体噴射部50が印刷を行わない非印刷領域RAとを含む。
非印刷領域RAは、印刷領域PAに対してX(-)方向側に位置する非印刷領域RA1と、印刷領域PAに対してX(+)方向側に位置する非印刷領域RA2とを含む。印刷領域PAは、2つの非印刷領域RA1,RA2の間に配置されている。
【0045】
非印刷領域RA1には、キャリッジ30が非印刷時に待機する位置であるホームポジションHPが配置されている。
なお、筐体3のX(-)方向側には側壁が設けられ、非印刷時において、X(-)方向側に移動するキャリッジ30がこの側壁に接触可能になっている。そして、側壁に接触した場合のキャリッジ30の位置が、キャリッジ30がX方向に往復移動する際の基準位置になる。
【0046】
キャリッジ30には、複数の中継アダプター(不図示)が搭載されている。中継アダプターは、インクを一時的に貯留可能な容器である。中継アダプターは、供給流路40を介して液体貯留部13に接続されており、インクを一時的に貯留する。液体貯留部13に貯留されるインクは、供給流路40と、中継アダプターとを経由して、液体噴射部50に供給される。
キャリッジ30は、Z(+)方向側にキャリッジカバー32を有する中空の容器である。キャリッジ30には、液体噴射部50及び開閉機構60Aに加えて、中継アダプターが搭載されている。中継アダプターは、キャリッジカバー32によって覆われ、キャリッジ30の内側に配置される。
【0047】
さらに、キャリッジ30に搭載される開閉機構60Aは、Z(+)方向側にレバー62Aを有している。開閉機構60Aのレバー62Aは、キャリッジカバー32から上方へ突き出ている。すなわち、開閉機構60Aのレバー62Aはキャリッジ30の外側に配置され、開閉機構60Aの他の部分はキャリッジ30の内側に配置される。
【0048】
また、キャリッジ30の下部には、液体噴射部50が設けられている。液体噴射部50は、圧力発生室(不図示)と、圧電素子(不図示)と、ノズル51(
図3参照)と、を有する。ノズル51は、液体噴射部50のZ(-)方向側に位置し、媒体に対向配置される。ノズル51は、液体噴射部50に設けられた流路(不図示)を経由して、中継アダプターに連通されている。圧電素子が圧力発生室の一部を形成する振動板(不図示)を振動させ、圧力発生室に圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用することで、ノズル51から媒体に対してインクが噴射される。液体噴射部50の下面は、複数のノズル51が設けられたノズル面として構成されている。なお、図示を省略するが、一例として複数のノズル51は装置奥行き方向(Y方向)に沿って配列され、ノズル列を形成する。
このように、液体噴射部50は、媒体に対してインクを噴射するノズル51を有する。
【0049】
さらに、本実施形態では、ホームポジションHPに移動したキャリッジ30の直下には、ノズル51のクリーニングを含む液体噴射部50のメンテナンスを行うメンテナンスユニット55(
図5参照)が配設されている。メンテナンスユニット55は、例えばノズル51を囲むようにして液体噴射部50に当接可能なキャップ(不図示)を備え、キャップが当接して形成される空間内を減圧してノズル51内の不要なインクや気泡を排出させることによって、ノズル51のクリーニングを行う。
【0050】
また、本実施形態では、キャリッジ30が非印刷領域RA2に移動したキャリッジ30の直下に液体受容部(不図示)が設けられている。液体受容部は、メンテナンスの一種である空吐出によってノズル51から排出されたインクを受容する。空吐出とは、圧電素子を駆動させることによってノズル51から印刷に使用されないインクを排出し、ノズル51内のインクの増粘を解消することである。
【0051】
<<<制御部について>>>
図5は、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの電気的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、制御部80は、制御基板に設けられたCPU(中央演算素子)81やメモリー82、インターフェイス部(I/F)83、及び検出部84などを有する。
【0052】
I/F83は、外部のパーソナルコンピューター(PC)110と液体噴射装置1Aとの間でデータの送受信を行う。PC110と液体噴射装置1Aとの間は、直接、ケーブル等で接続してもよいし、ネットワーク等を介して間接的に接続してもよい。また、無線通信を介して、PC110と液体噴射装置1Aとの間でデータを送受信してもよい。
【0053】
CPU81は、液体噴射装置1A全体の制御を行うための演算処理装置である。
メモリー82は、CPU81が動作するプログラムを格納する領域や動作する作動領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EPROMなどの記憶素子によって形成される。
【0054】
制御部80は、PC110から出力される画像データに基づき印刷データを作成し、当該印刷データに基づいて、液体噴射部50、搬送機構25、キャリッジモーター31などを制御する。
なお、PC110が印刷データを作成し、制御部80は、PC110から受信する印刷データに基づいて、液体噴射部50、搬送機構25、キャリッジモーター31などを制御する構成でもよい。さらに、操作パネル6の操作ボタン8によってユーザーから入力された操作コマンドに基づいて、制御部80が印刷データを作成し、当該印刷データに基づいて、液体噴射部50、搬送機構25、キャリッジモーター31などを制御する構成でも構わない。
【0055】
また、制御部80は、液体噴射部50に設けられた圧電素子を駆動させて、複数のノズル51から媒体に向けてインクを噴射させる。さらに、制御部80は、駆動信号を供給してキャリッジモーター31を駆動させる。さらに、制御部80は、キャリッジモーター31、搬送機構25、液体噴射部50などを制御し、媒体に画像を記録する。
【0056】
ここで、液体噴射装置1Aの媒体の印刷動作について説明する。
媒体収容部22に収容された媒体は、搬送機構25により、主走査方向と交差する搬送方向の上流側から下流側に搬送される。そして、搬送機構25は、液体噴射部50の下方側において液体噴射部50と対向する領域に設けられたプラテン(不図示)に媒体を搬送する。そして、プラテンに支持された媒体の液体噴射部50と対向する面に対して、液体噴射部50のノズル51からインクが噴射される。これにより、媒体の液体噴射部50と対向する面に印刷が実施される。そして、印刷が行われた媒体は、媒体排出トレイに向けて排出される。
【0057】
制御部80は、キャリッジモーター31の駆動に伴って移動するキャリッジ30の位置と速度とを検出するためのリニアエンコーダー75(フォトセンサー76)から出力される電気信号を受信する。
【0058】
制御部80は、搬送機構25を駆動させ、媒体をX方向(主走査方向)と交差する搬送方向に移動させる。
制御部80は、メンテナンスユニット55を制御することで、液体噴射部50に対してメンテナンス動作を行う。
【0059】
制御部80は、ユーザーによって操作される操作ボタン8からのコマンドを受信し、各種の制御を行う。
制御部80は、光学センサー(不図示)等からなる開閉検出部85によって、スキャナー5の開閉状態を受信する。
【0060】
制御部80は、リニアエンコーダー75(フォトセンサー76)から出力される電気信号を用いて、キャリッジ30のX方向(主走査方向)における位置と移動速度を算出する。すなわち、制御部80は、キャリッジ30の移動を制御する。
制御部80における検出部84は、キャリッジモーター31の回転トルクを検出することによって、キャリッジモーター31の駆動負荷を検出する。詳細は後述するが、検出部84は、キャリッジモーター31の駆動負荷によって、開閉機構60A(レバー62A)と接触部100との接触を検出する。
【0061】
制御部80は、キャリッジ30をX(-)方向側へ移動させることで筐体3の側壁に接触させる。キャリッジ30が筐体3の側壁に接触すると、キャリッジ30はX(-)方向への移動を阻害され、停止する。キャリッジ30がX(-)方向への移動を阻害されることにより、キャリッジモーター31の駆動負荷が増大する。制御部80は、検出部84がキャリッジモーター31の駆動負荷が増大を検出したときのキャリッジ30の位置を基準位置とし、X方向におけるホームポジションHP、非印刷領域RA1、非印刷領域RA2、印刷領域PAの夫々の位置を規定する。なお、ホームポジションHPは、キャリッジ30が筐体3の側壁に接触することで停止したときの位置に設けても良いし、キャリッジ30の当該停止位置からX(+)方向へ移動した位置に設けてもよい。
【0062】
<<<開閉機構について>>>
図6は、開閉機構60Aの斜視図である。
図7は、開閉機構60Aの分解斜視図である。
図8A及び
図8Bは、Z(-)方向側から見た開閉機構60Aの
図6のB-B線矢視断面図である。
図8A及び
図8Bでは、ケース69の図示を省略している。
図8Aは、供給流路40が開放されている状態であり、
図8Bは、供給流路40が閉塞されている状態である。
次に、
図6、
図7、
図8A、及び
図8Bを用いて開閉機構60Aについて説明する。
【0063】
図6及び
図7に示すように、開閉機構60Aは、供給流路40を開状態または閉状態にする開閉部63と、開閉部63を操作する操作部61と、を有している。開閉部63は、供給流路支持部68と、軸部64と、押圧部材66と、カム部材65と、ケース69と、を有している。操作部61は、レバー62Aを有している。
ケース69と供給流路支持部68とは、開閉部63(開閉機構60A)の外装フレームである。ケース69と供給流路支持部68との間には、ケース69側から順に、軸部64及びカム部材65と、押圧部材66とが配置される。さらに、供給流路40は、押圧部材66と供給流路支持部68との間に配置される。
【0064】
供給流路支持部68には、X方向に延びた複数の溝70が設けられている。複数の溝70は、Z方向に沿って並んでいる。溝70には、供給流路40が挿入される。これにより、5つの供給流路40は、供給流路支持部68においてZ方向に沿って並ぶ。押圧部材66は、供給流路支持部68との間で、5つの供給流路40を押圧可能なように配置されている。
軸部64は、Z方向に長い部材である、軸部64の押圧部材66と対向する部分に、カム部材65が設けられている。さらに、軸部64のZ(+)方向側の端には、操作部61(レバー62A)が設けられている。
本実施形態では、軸部64と、カム部材65と、レバー62Aとは、樹脂を用いた一体成型で作製されている。また、ケース69と押圧部材66と供給流路支持部68とも、樹脂の成形品である。
【0065】
レバー62A及びカム部材65は、図中に一点鎖線で示される軸部64の回動軸Aを回動中心として、回動可能である。開閉機構60Aがキャリッジ30に搭載された状態において、回動軸Aは、Z方向に沿って配置される。
レバー62Aはキャリッジ30の外側に配置されているので、ユーザーがレバー62Aを手で摘まんでレバー62Aを回転させると、レバー62Aの回転に連動して、カム部材65が回転する。
【0066】
供給流路支持部68には、押圧部材66を挿入可能な凹部71が設けられている。押圧部材66は供給流路支持部68の凹部71に挿入され、凹部71に沿って移動可能である。例えば、押圧部材66は、凹部71の底部に当接する位置まで移動可能である。
すなわち、凹部71は、押圧部材66の移動方向をガイドする。
【0067】
押圧部材66は、供給流路支持部68と間で、溝70内に配置される供給流路40を挟むように配置される。5つの供給流路40は、供給流路支持部68と押圧部材66との間に配置され、供給流路支持部68と押圧部材66とによって押圧可能になる。
【0068】
軸部64は、Z方向に沿って延在しており、供給流路支持部68においてZ方向に沿って並ぶ5つの供給流路40にわたる長さを有している。2つのカム部材65は、軸部64に設けられ、Z方向に沿って並んでいる。そして、カム部材65は、押圧部材66に当接する位置に配置される。
【0069】
図8A及び
図8Bに示すように、カム部材65の回転中心は、軸部64の回転中心(回動軸A)と異なり、カム部材65の回転中心は軸部64に対して偏心している。軸部64の回転に連動してカム部材65が回転すると、カム部材65は偏心した状態で回転する。
すると、押圧部材66に当接するカム部材65の外周面の位置が変化し、押圧部材66の位置が変化するようになる。
供給流路40が開放されている
図8Aに示す状態において、図中に矢印で示される時計回り方向にレバー62Aを回転させ、軸部64及びカム部材65を時計回りに回転させると、押圧部材66が供給流路支持部68に近付く方向に、押圧部材66の位置が変化する。押圧部材66が供給流路支持部68に近付くと、
図8Bに示すように、供給流路40が押圧部材66と供給流路支持部68とによって押圧され、供給流路40が潰れ、供給流路40が閉塞された状態になる(閉状態になる)。
【0070】
図8Aに示されるレバー62Aを時計回り回転させると、押圧部材66が供給流路支持部68に近付き、
図8Bに示すように、供給流路40が潰れた状態になり、供給流路40が閉塞され、液体貯留部13と液体噴射部50との間のインクの連通が遮断される。すなわち、供給流路40が閉状態になる。このとき、供給流路40は、完全に閉じられなくてもよい。
図8Bに示されるレバー62Aを反時計回りに回転させると、押圧部材66が供給流路支持部68から遠ざかり、
図8Aに示すように、供給流路40の潰れが解消され、供給流路40が開放され、液体貯留部13と液体噴射部50との間のインクの連通が許容される。すなわち、供給流路40が開状態になる。
このように、開閉部63は、レバー62Aが閉位置に位置するときに供給流路40を閉塞し、レバー62Aが開位置に位置するときに供給流路40を開放する押圧部材66を有する。
【0071】
図8Aに示されるレバー62Aの位置は、供給流路40を開状態とする開位置である。
図8Bに示されるレバー62Aの位置は、供給流路40を閉状態とする閉位置である。レバー62Aは、軸部64の回動軸Aを中心に回転することによって、供給流路40を開放する開位置と、供給流路40を閉塞する閉位置との間を回動する。
このように、操作部61は、供給流路40を開状態とする開位置と、供給流路40を閉状態とする閉位置との間を回動可能なレバー62Aを有する。そして、操作部61(レバー62A)は、供給流路40を開状態とする開位置と供給流路40を閉状態とする閉位置との間を移動可能である。換言すれば、操作部61は、供給流路40を開状態とする開位置と供給流路40を閉状態とする閉位置との間を、軸部64を中心に回動可能なレバー62Aを含む。
【0072】
図6及び
図7に戻って、ケース69は、供給流路支持部68に係合可能に構成されており、軸部64と、押圧部材66と、カム部材65とをY(-)方向側から覆っている。これにより、軸部64と、押圧部材66と、カム部材65とが、ケース69及び供給流路支持部68によって保護される。
【0073】
このように、開閉機構60Aは、5つの供給流路40を開閉する。
例えば、液体噴射装置1Aを移動させたり搬送したりするときに、すなわち、液体噴射装置1Aを輸送するとき、開閉機構60Aを閉塞しておけば、液体噴射部50のノズル51からインクが漏れ出しにくくなる。
詳しくは、液体噴射装置1Aを輸送すると、液体貯留部13や供給流路40内のインクに振動や衝撃が作用する。液体貯留部13や供給流路40内のインクに振動や衝撃が作用すると、液体噴射部50のノズル51内のインクに圧力が作用し、液体噴射部50のノズル51からインクが漏れ出るおそれがある。
液体噴射装置1Aを輸送する前に、開閉機構60Aによって供給流路40を閉塞しておけば、液体噴射装置1Aを輸送する場合に、液体噴射部50内のインクに作用する圧力変動を低く抑えることができ、液体噴射部50のノズル51からインクが漏れ出るおそれを抑制することができる。
【0074】
本実施形態では、ユーザーは、手作業でレバー62Aを閉位置にし、供給流路40が閉じられた状態で液体噴射装置1Aを輸送する。液体噴射装置1Aの輸送が終了すると、ユーザーは、手作業でレバー62Aを閉位置から開位置に変更し、供給流路40を開かれた状態にする。
ところが、ユーザーが手作業でレバー62Aを閉位置または開位置に操作するので、液体噴射装置1Aの輸送が終了しても、ユーザーがレバー62Aを閉位置から開位置に変更することを忘れてしまい、供給流路40が閉塞された状態で印刷処理がなされ、液体噴射部50からインクが噴射されず、媒体に画像が形成されないという不具合が生じるおそれがある。
【0075】
本実施形態は、液体噴射装置1Aの輸送が終了した後、ユーザーがレバー62Aを閉位置から開位置に変更することを忘れてしまい、供給流路40が閉塞された状態で印刷処理がなされるという不具合を生じにくくする優れた構成を有しているので、以下にその詳細を説明する。
【0076】
<<<供給流路の開閉状態の検出方法について>>>
図4では、開位置のレバー62Aが実線で図示されており、閉位置のレバー62Aが二点鎖線で図示されている。なお、開位置のレバー62Aとは、供給流路40を開状態とする位置に配置されるレバー62Aである。閉位置のレバー62Aとは、供給流路40を閉状態とする位置に配置されるレバー62Aである。すなわち、レバー62Aが
図4における実線の位置に位置する場合に供給流路40は開かれ、レバー62Aが
図4における二点鎖線の位置に位置する場合に供給流路40は閉じられる。
さらに、
図4では、開閉機構60A(レバー62A)をキャリッジ30と一緒にホームポジションHPの位置からX(+)方向に移動させた場合、開位置のレバー62Aが移動する移動領域TAが破線で図示され、閉位置のレバー62Aが移動する移動領域TBが一点鎖線で図示されている。
また、以降の説明では、キャリッジ30の移動に伴って開位置のレバー62Aが移動する移動領域TAを、開位置のレバー62Aの移動領域TAと称す。キャリッジ30の移動に伴って閉位置のレバー62Aが移動する移動領域TBを、閉位置のレバー62Aの移動領域TBと称す。
以下、
図4を参照し、供給流路40の開閉状態の検出方法、すなわち、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの検出方法について説明する。
【0077】
図4に示すように、図中に実線で示される開位置のレバー62Aを反時計回りに180°回転させると、図中に二点鎖線で示される閉位置のレバー62Aになる。さらに、図中に二点鎖線で示される閉位置のレバー62Aを時計回りに180°回転させると、図中に実線で示される開位置のレバー62Aになる。このように、開位置のレバー62Aと閉位置のレバー62Aとでは、位置が異なる。
【0078】
開口OAのY(-)方向側にはフレーム4のY(-)方向側の端4Aが配置され、開口OAのY(+)方向側にはフレーム4のY(+)方向側の端4Bが配置されている。開口OAは、フレーム4のY(-)方向側の端4Aとフレーム4のY(+)方向側の端4Bとの間に設けられている。フレーム4のY(+)方向側の端4Bは、ホームポジションHP側(X(-)方向側)に配置される部分91と、ホームポジションHPと反対側(X(+)方向側)に配置される部分92とを有する。フレーム4のY(+)方向側の端4Bにおいて、部分92はフレーム4のY(-)方向側の端4Aの近くに配置され、部分91はフレーム4のY(-)方向側の端4Aの遠くに配置される。すなわち、部分92とフレーム4のY(-)方向側の端4Aとの距離は、部分91とフレーム4のY(-)方向側の端4Aとの距離よりも短い。
このため、フレーム4のY(+)方向側の端4Bにおいて、部分92は部分91よりもY(-)方向側に張り出している。さらに、フレーム4のY(+)方向側の端4Bにおいて、Y(-)方向側に張り出した部分92のX(-)方向側の端が、接触部100である。
このように、接触部100は、フレーム4に設けられている。さらに、フレーム4は筐体3の構成要素であるので、接触部100は、液体噴射部50及びキャリッジ30を収容する筐体3に設けられている。
【0079】
Z(+)方向側から見た上面視において、フレーム4の部分91,92(接触部100)は、開位置のレバー62Aの移動領域TAの外側に配置され、開閉機構60A(レバー62A)をキャリッジ30と一緒にホームポジションHPの位置からX(+)方向に移動させた場合、開位置のレバー62Aは、フレーム4の部分91,92に重ならない。
このため、開閉機構60A(レバー62A)をキャリッジ30と一緒にホームポジションHPの位置からX(+)方向に移動させた場合、開位置のレバー62Aとフレーム4とは干渉(接触)しない。その結果、キャリッジ30の移動は阻害されない。
換言すれば、接触部100は、開位置に位置する操作部61(レバー62A)がキャリッジ30の移動に伴って移動する移動領域TAの外側に配置されるので、接触部100と操作部61(レバー62A)とは干渉せず、キャリッジ30の移動は阻害されない。
このように、レバー62A(操作部)は、供給流路40が開状態でキャリッジ30を移動させた場合に、接触部100に接触しない。
【0080】
Z(+)方向側から見た上面視において、フレーム4の部分91は閉位置のレバー62Aの移動領域TBの外側に配置され、フレーム4の部分92(接触部100)は閉位置のレバー62Aの移動領域TBの内側に配置され、開閉機構60A(レバー62A)をキャリッジ30と一緒にホームポジションHPの位置からX(+)方向に移動させた場合、閉位置のレバー62Aは、フレーム4の部分91に重ならず、フレーム4の部分92(接触部100)に重なる。
このように、接触部100は、閉位置に位置する操作部61(レバー62A)がキャリッジ30の移動に伴って移動する移動領域TBの内側に配置される。
さらに、Y方向側から見た側面視において、フレーム4とレバー62Aとは重なるので、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(+)方向に移動させると、開位置のレバー62Aはフレーム4の部分91に接触しないが、閉位置のレバー62Aはフレーム4の部分92(接触部100)に接触する。すると、キャリッジ30の移動が阻害される。
すなわち、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合(閉位置のレバー62Aをキャリッジ30と一緒に移動させた場合)、閉位置のレバー62A(開閉機構60A)は接触部100に接触する。換言すれば、接触部100は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、操作部61(レバー62A)と接触する。
このように、レバー62A(操作部)は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、接触部100に接触する。
【0081】
さらに、Y方向側から見た側面視において、キャリッジ30とフレーム4とは重ならないので、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(+)方向に移動させる場合、キャリッジ30とフレーム4とは干渉せず、キャリッジ30の移動が阻害されない。
ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(+)方向に移動させる場合、Z(+)方向側から見た上面視において、キャリッジ30とフレーム4の部分92(接触部100)とは重なるが、キャリッジ30をX(+)方向に移動させても、キャリッジ30とフレーム4の部分92(接触部100)とは干渉せず、キャリッジ30の移動は阻害されない。
【0082】
このように、本実施形態では、開閉機構60Aを、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30と一緒にX(+)方向に移動させた場合、開位置に位置するレバー62Aはフレーム4の接触部100に接触せず、閉位置に位置するレバー62Aがフレーム4の接触部100に接触するように、フレーム4に開口OAが設けられている。そして、開閉機構60Aを、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30と一緒にX(+)方向に移動させた場合、閉位置に位置するレバー62Aが、フレーム4の接触部100に接触し、キャリッジ30の移動が阻害される。
【0083】
本実施形態では、ユーザーは、液体噴射装置1Aの電源をオフにし、且つ、レバー62Aを開位置から閉位置に変更し、液体噴射装置1Aを輸送する。かかる構成によって、ユーザーが、インクが充填された状態で液体噴射装置1Aを輸送しても、インクが漏れ出さない。さらに、液体噴射装置1Aの輸送が終了すると、ユーザーは、レバー62Aを閉位置から開位置に変更し、且つ、液体噴射装置1Aの電源をオンにし、用紙などの媒体への印刷を再開する。
【0084】
本実施形態では、液体噴射装置1Aの電源をオフにすると、キャリッジ30はホームポジションHPにおいて待機状態になる。さらに、液体噴射装置1Aの輸送が終了し、液体噴射装置1Aの電源をオンにすると、制御部80は、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(+)方向(第1方向)に移動させる。
【0085】
仮に、ユーザーが、レバー62Aを閉位置から開位置に変更することを忘れ、レバー62Aが閉位置に位置する場合、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(+)方向に移動させると、閉位置に位置するレバー62Aはフレーム4の接触部100に接触するので、キャリッジ30の移動が阻害され、キャリッジ30が停止状態になり、キャリッジモーター31の駆動負荷が増大する。
【0086】
検出部84は、常時、キャリッジモーター31の駆動負荷を検出する。詳しくは、検出部84は、開閉機構60Aが搭載されたキャリッジ30をホームポジションHPからX(+)方向に移動させ、キャリッジモーター31の駆動負荷が予め定められた閾値(メモリー82に格納されている閾値)を超え、キャリッジ30の移動が阻害された場合に、接触部100とレバー62Aとの接触を検出する。
制御部80は、検出部84が接触部100とレバー62Aとの接触を検出した場合、供給流路40の閉状態であると判断する。また、制御部80は、開閉機構60Aが搭載されたキャリッジ30をホームポジションHPからX(+)方向に移動させ、キャリッジモーター31の駆動負荷が予め定められた閾値を超えない場合、接触部100とレバー62Aとが接触していなく、供給流路40が開状態であると判断する。
このように、液体噴射装置1Aの輸送が終了し、液体噴射装置1Aの電源をオンにすると、制御部80は、キャリッジ30を移動させ、供給流路40が開状態であるのか、または、供給流路40が閉状態であるのかを判断する。換言すれば、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの検出方法は、電源投入に伴ってキャリッジ30を移動させ、キャリッジ30の移動によって供給流路40の状態を検出する。
【0087】
加えて、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの検出方法は、キャリッジ30の移動によって供給流路40が閉状態であることを検出する。換言すれば、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの検出方法は、キャリッジ30を移動させたとき、キャリッジ30の移動が阻害された場合に供給流路40が閉状態であることを検出する。さらに換言すれば、本実施形態に係る液体噴射装置1Aの検出方法は、液体噴射装置1Aがキャリッジ30を移動させるキャリッジモーター31を備え、キャリッジモーター31の駆動負荷によって供給流路40が閉状態であることを検出する。
供給流路40が閉状態であると判断する基準となる閾値は、キャリッジ30がX方向に移動される場合のキャリッジモーター31の駆動負荷と、キャリッジ30の移動が阻害される場合のキャリッジモーター31の駆動負荷との間に設定されている。すなわち、供給流路40が閉状態であると判断する基準となる閾値は、キャリッジ30がX方向に移動される場合のキャリッジモーター31の駆動負荷よりも大きく、キャリッジ30の移動が阻害される場合のキャリッジモーター31の駆動負荷よりも小さい。
【0088】
なお、制御部80は、検出部84によって検出されたキャリッジモーター31の駆動負荷が、予め定められた閾値を一定時間超えた場合に、供給流路40が閉状態であると判断する構成であってもよい。
キャリッジモーター31の駆動負荷は、誤作動によって瞬間的に急上昇して閾値を超えるおそれがある。このような場合、制御部80は、キャリッジ30の移動が阻害されていると誤検出する。制御部80が、予め定められた閾値を一定時間超えた場合に、供給流路40が閉状態であると判断するようにすると、誤作動によってキャリッジモーター31の駆動負荷が瞬間的に急上昇しても、制御部80が誤検出するおそれが少なくなり、制御部80は、閉位置に位置するレバー62Aがフレーム4の接触部100に接触し、キャリッジ30の移動が阻害され、供給流路40が閉状態であることを適正に検出することができる。
なお、上述した一定時間は、例えば、1秒以上である。
【0089】
また、供給流路40が開状態である場合、すなわち、レバー62Aが開位置に位置する場合、キャリッジ30をX(+)方向(第1方向)に移動させても、開位置のレバー62Aはフレーム4の接触部100に接触しないので、キャリッジモーター31の駆動負荷は閾値よりも小さく、閾値を超えることがない。このような場合、制御部80は、供給流路40が開放していると判断する。
【0090】
制御部80は、供給流路40の閉塞(閉状態)を検出した場合、キャリッジ30をX(-)方向側へ移動させる。すなわち、制御部80は、X方向(主走査方向)におけるX(+)方向(第1方向)にキャリッジ30を移動させ、供給流路40の閉状態を検出した場合、X(+)方向(第1方向)と反対方向であるX(-)方向(第2方向)にキャリッジ30を移動させ、キャリッジ30をホームポジションHPの位置に移動させる。
本実施形態では、X(+)方向が「主走査方向における第1方向」に該当し、X(-)方向が「第1方向と反対方向である第2方向」に該当する。
キャリッジ30をX(-)方向(第2方向)に移動させ、ホームポジションHPの位置に移動させると、キャリッジ30に搭載される開閉機構60A(レバー62A)とフレーム4の接触部100との接触が解消され、キャリッジ30や開閉機構60Aに対して余分な力が付与されなくなる。さらに、レバー62Aと接触部100との接触が解消されると、レバー62Aの位置を閉位置から開位置に変更する作業が実施されやすくなる。
なお、制御部80が供給流路40の閉状態を検出した場合、すなわち、キャリッジ30に搭載される開閉機構60Aとフレーム4の接触部100とが接触した場合、キャリッジ30や開閉機構60Aに対して余分な力が加わらないように、制御部80は、キャリッジモーター31の駆動を一時的に停止することが好ましい。
【0091】
さらに、制御部80は、供給流路40が閉状態であることをユーザーに報知するための信号を操作パネル6に入力し、操作パネル6は、当該信号に基づいた情報、すなわち、供給流路40が閉状態であるというアラームを操作パネル6の表示部7に表示させる。すなわち、操作パネル6は、ユーザーに供給流路40が閉状態であることを報知する「報知部」として機能する。
換言すれば、本実施形態に係る液体噴射装置1Aは、供給流路40が閉状態であることを報知する操作パネル6(報知部)を備える。
なお、ユーザーに供給流路40が閉状態であることを報知する「報知部」は、点滅するランプ(パトライト(登録商標))であり、光によって供給流路40が閉状態であるというアラームを報知してもよい。ユーザーに供給流路40が閉状態であることを報知する「報知部」は、ブザーであり、音によって供給流路40が閉状態であるというアラームを報知してもよい。
【0092】
ユーザーは、操作パネル6の表示部7に表示される情報(アラーム)に基づき、供給流路40が閉状態であることを、確実に把握する。そして、ユーザーは、ホームポジションHPの位置において、レバー62AをZ(+)方向側から見て時計回りに180°回転させ、レバー62Aを閉位置から開位置に変更し、供給流路40を開状態にする。
なお、レバー62Aと接触部100とが接触した状態では、閉位置に位置するレバー62Aを時計回りに回転させることが難しいので、本実施形態では、閉位置に位置するレバー62Aを時計回りに回転させるために、キャリッジ30をX(-)方向側(第2方向側)へ移動させている。
【0093】
また、閉位置に位置するレバー62Aは、X(+)方向側(第1方向側)に回動し、X(-)方向側(第2方向側)には回動しないようにすればよい。このような構成によれば、閉位置に位置するレバー62Aが接触部100と接触しても、閉位置に位置するレバー62AがX(-)方向側(第2方向側)に回動することによってキャリッジモーター31に駆動負荷がかからなくなることを抑制することができる。
【0094】
また、接触部100は、キャリッジ30が移動するX方向において、X(-)方向側(第2方向側)に設けられている。このため、供給流路40が閉状態である場合、接触部100が、キャリッジ30の移動領域TAのX方向において、X(+)方向側(第1方向側)に設けられている場合よりも、接触部100とレバー62Aとの接触を早く検出することができる。そのため、供給流路40の開閉状態の検出動作のスループットを向上することができる。
【0095】
また、開閉機構60Aは、キャリッジ30におけるX(+)方向側(第1方向側)に設けられている。そのため、開閉機構60Aがキャリッジ30におけるX(-)方向側(第2方向側)に設けられている場合よりも、接触部100とレバー62Aとの接触を早く検出することができる。従って、供給流路40の開閉状態の検出動作のスループットを向上することができる。
【0096】
また、供給流路40の開閉状態を検出する際のキャリッジ30の移動速度は、印刷を行うときのキャリッジ30の移動速度よりも遅く設定してある。このようにすることで、接触部100とレバー62Aとが接触したときに、レバー62A及び接触部100に大きな力が作用することを抑制し、例えば、接触部100が変形する不具合を抑制することができる。
【0097】
<<<検出を行うタイミングについて>>>
ここで、制御部80が、供給流路40の開閉状態を検出するタイミングについて説明する。
制御部80が供給流路40の開閉状態を検出するタイミングは、液体噴射装置1Aの電源が投入されてから、電源投入後のノズル51からインクが最初に排出されるまでの間であればよい。具体的には、液体噴射装置1Aの電源が投入されてから電源投入後の最初の空吐出を行うまでの間、液体噴射装置1Aの電源が投入されてから電源投入後の最初のクリーニングによってインクを排出するまでの間、液体噴射装置1Aの電源が投入されてから電源投入後の最初の印刷のためにインクを噴射するまでの間、の何れかであってもよい。
さらに、上述したタイミングの何れかにおいて、液体噴射装置1Aの電源の投入に伴って送られる制御部80からキャリッジモーター31への駆動信号によってキャリッジ30がX(+)方向(第1方向)側に移動する動作で供給流路40の開閉状態を検出するようにしても構わない。
【0098】
供給流路40の開閉状態を検出する別のタイミングについて説明する。
電源がオンの状態である場合、スキャナー5の開閉動作は、開閉検出部85によって検出可能である。スキャナー5が開かれることによって、操作部61は、ユーザーによって操作され、供給流路40が閉塞される可能性がある。そして、ユーザーが供給流路40を閉塞した状態のまま、スキャナー5を閉じてしまう虞がある。従って、電源がオンの状態において、スキャナー5が開いた後に閉じられる開閉動作後から当該開閉動作後にノズル51からインクが最初に排出されるまでの間が望ましい。具体的には、電源がオンの状態においてスキャナー5の開閉動作後から当該開閉動作後の最初の空吐出を行うまでの間、電源がオンの状態においてスキャナー5の開閉動作後から当該開閉動作後の最初のクリーニングによってインクが排出されるまでの間、電源がオンの状態においてスキャナー5の開閉動作後から当該開閉動作後の最初の印刷のためのインクを噴射するまでの間、の何れかであればよい。上記のタイミングで供給流路40の開閉状態の検出動作を行うことによって、ユーザーが供給流路40を閉め忘れたままにしてしまうのを抑制できる。
このため、本実施形態では、液体噴射装置1Aの輸送が終了し、液体噴射装置1Aの電源がオンになると、制御部80は、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(+)方向(第1方向)に移動させ、供給流路40の開閉状態を検出するようになっている。
【0099】
以上述べたように、本実施形態に係る液体噴射装置1Aでは、供給流路40が閉状態においてキャリッジ30を主走査方向(X方向)に移動させると、開閉機構60Aが接触部100に接触し、供給流路40が開状態においてキャリッジ30を主走査方向(X方向)に移動させると、開閉機構60Aが接触部100に接触しないので、制御部80は、開閉機構60Aと接触部100との接触によって、供給流路40の開閉状態を検出することができる。そして、本実施形態に係る液体噴射装置1Aでは、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞が抑制され、さらに、供給流路40が閉状態で印刷されるという不具合が抑制される。
【0100】
加えて、本実施形態では、液体噴射装置1Aの構成要素のうち、開閉機構60Aと筐体3(フレーム4)とキャリッジ30と制御部80(検出部84)と操作パネル6とを使用し、供給流路40の開閉状態を検出する。さらに、供給流路40の開閉状態を検出する構成要素(開閉機構60A、筐体3、キャリッジ30、制御部80、操作パネル6)は、液体噴射装置1Aが媒体に印刷するための構成要素である。
すなわち、本実施形態は、液体噴射装置1Aが媒体に印刷するための構成要素を活用して、供給流路40の開閉状態を検出するので、供給流路40の開閉状態を検出するために新たな構成要素を必要とせず、供給流路40の開閉状態を検出するために新たな構成要素を必要とする場合と比べて、液体噴射装置1Aの低コスト化を図ることができる。
【0101】
以下に、本実施形態に係る液体噴射装置1Aが奏する効果について説明する。
(1-1)手動で操作部61を操作することで供給流路40を開閉するために、液体噴射装置1A内にインクが充填された状態で液体噴射装置1Aを輸送し、印刷を再開する際に供給流路40を開くことを忘れてしまうことがある。その点、検出部84は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、開閉機構60Aが接触部100と接触することを検出することができる。これにより、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0102】
(1-2)接触部100は、液体噴射部50及びキャリッジ30を収容する筐体3(フレーム4)に設けられている。筐体3は剛性が高いので、接触部100が変形しにくくなり、検出部84は開閉機構60Aと接触部100との接触を安定して検出することができる。
【0103】
(1-3)接触部100は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、操作部61(閉位置のレバー62A)と接触する。これにより、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、検出部84は操作部61と接触部100とが接触することを検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0104】
(1-4)操作部61は、供給流路40を開状態とする開位置と供給流路40を閉状態とする閉位置との間を回動可能なレバー62Aを含み、開閉部63は、レバー62Aが閉位置に位置するときに供給流路40を閉塞し、レバー62Aが開位置に位置するときに供給流路40を開放する押圧部材66を有し、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、レバー62Aが接触部100と接触する。これにより、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、閉位置に位置するレバー62Aが接触部100と接触することを検出部84が検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0105】
(1-5)操作部61(レバー62A)は、供給流路40を開状態とする開位置と供給流路40を閉状態とする閉位置との間を移動可能であり、接触部100は、開位置に位置する操作部61がキャリッジ30の移動に伴って移動する移動領域TA(開位置のレバー62Aの移動領域TA)の外側に配置されるとともに、閉位置に位置する操作部61がキャリッジ30の移動に伴って移動する移動領域TB(閉位置のレバー62Aの移動領域TB)の内側に配置される。接触部100は、閉位置に位置する操作部61がキャリッジ30の移動に伴って移動する移動領域TBの内側に配置されているため、キャリッジ30がX方向に移動することによって操作部61と接触する。よって、検出部84が操作部61と接触部100との接触を検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0106】
(1-6)キャリッジ30の移動を制御する制御部80を更に備え、制御部80は、主走査方向におけるX(+)方向(第1方向)にキャリッジ30を移動させ、供給流路40の閉状態を検出した場合、X(+)方向(第1方向)と反対方向であるX(-)方向(第2方向)にキャリッジ30を移動させる。これにより、ユーザーが操作部61を操作することができる。よって、ユーザーが印刷不良を抑制することができる。
【0107】
(1-7)供給流路40が閉状態であることを報知する報知部を更に備える。これにより、供給流路40が閉状態であることをユーザーが知ることができるため、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0108】
(1-8)液体噴射装置1Aの検出方法は、キャリッジ30の移動によって供給流路40が閉状態であることを検出することができる。よって、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0109】
(1-9)液体噴射装置1Aの検出方法は、キャリッジ30を移動させたとき、キャリッジ30の移動が阻害された場合に供給流路40が閉状態であることを検出することができる。よって、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0110】
(1-10)液体噴射装置1Aの検出方法は、キャリッジモーター31の駆動負荷によって供給流路40が閉状態であることを検出することができる。よって、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0111】
(1-11)液体噴射装置1Aの検出方法は、電源投入に伴ってキャリッジ30を移動させ、キャリッジ30の移動によって供給流路40の状態を検出する。開閉機構60A(供給流路40)を閉じるときは、装置を搬送するときなどの電源が入っていない状態であるので、電源を投入したときに供給流路40の開閉状態を検出すればよい。このように構成にすることによって、検出回数を減らすことができるので、スループットを向上することができる。
【0112】
(実施形態2)
図9は、
図4に対応する図であり、実施形態2に係る液体噴射装置1BをZ(+)方向側から見た場合の模式図である。
図10は、実施形態2に係る液体噴射装置1BをX(-)方向側から見た場合の模式図である。
図11は、
図7に対応する図であり、実施形態2に係る開閉機構60Bの分解斜視図である。
図9には、キャリッジ30が移動する領域TC(以降、キャリッジ30の移動領域TCと称す)が、破線で図示されている。さらに、
図9では、フレーム4の図示が省略されている。
図10では、キャリッジ30とレバー62Bと液体貯留ユニット10とが模式的に図示され、他の構成要素の図示が省略されている。さらに、
図9及び
図10では、供給流路40が開状態にある場合の変位部材67が実線で図示され、供給流路40が閉状態にある場合の変位部材67が二点鎖線で図示されている。
【0113】
上述した実施形態1では、開閉機構60Aは、キャリッジ30に搭載され、キャリッジ30と一緒に移動する。供給流路40が閉状態にある場合に開閉機構60Aに接触する接触部100は、フレーム4に設けられ、静止している。そして、供給流路40が閉状態である場合に、開閉機構60Aが移動して接触部100に接触する。
本実施形態では、接触部101は、キャリッジ30に設けられ、移動する。供給流路40が閉状態にある場合に接触部101に接触する開閉機構60Bは、移動せず、静止している。そして、供給流路40が閉状態である場合に、接触部101が移動して開閉機構60Bに接触する。
この点が、本実施形態と実施形態1との主な相違点である。
以下、
図9~
図11を参照し、本実施形態に係る液体噴射装置1Bの概要を、実施形態1との相違点を中心に説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
【0114】
図9に示すように、キャリッジ30が非印刷時に待機する位置であるホームポジションHPは、非印刷領域RA2に配置されている。一方、実施形態1では、キャリッジ30が非印刷時に待機する位置であるホームポジションHPは、非印刷領域RA1に配置されている。
液体貯留ユニット10は、非印刷領域RA1に配置されている。
【0115】
図9及び
図10に示すように、キャリッジ30には、液体噴射部50が搭載され、開閉機構60Bが搭載されていない。一方、実施形態1では、キャリッジ30には、液体噴射部50と開閉機構60Aとが搭載され、開閉機構60Aはキャリッジ30と一緒に移動する。
開閉機構60Bは、二つの液体貯留ユニット10のZ(+)方向側の面(上面)のうち、Z(-)方向側に位置する面に接するように、液体貯留ユニット10の上部に配置されている。このため、開閉機構60Bは、移動せず、静止している。
【0116】
図11に示すように、開閉機構60Bは、供給流路40を開状態または閉状態にする開閉部63と、開閉部63を操作する操作部61と、変位部材67とを有している。開閉部63は、供給流路支持部68と、軸部64と、押圧部材66と、カム部材65と、ケース69と、を有している。操作部61は、供給流路40を開状態とする開位置と供給流路40を閉状態とする閉位置との間を、軸部64を中心に回動可能なレバー62Bを含む。押圧部材66は、レバー62Bが閉位置に位置するときに供給流路40を閉塞し、レバー62Bが開位置に位置するときに供給流路40を開放する。
開閉機構60Bでは、レバー62Bを除き、装置本体2の筐体3の内部に配置されている。このため、レバー62Bは、筐体3のX(-)方向側の側面から筐体3の外部へ突き出ている。
なお、レバー62Bが、筐体3内に設けられるような構成であってもよい。そのような場合には、例えば、スキャナー5を開いた状態で、レバー62Bにアクセスできるように、筐体3のフレーム4に開口(図示省略)を設けることが好ましい。
変位部材67は、軸部64のレバー62Bが装着されている側と反対側の端部に装着され、レバー62Bの移動に連動して変位する。一方、実施形態1では、開閉機構60Aは、開閉部63と操作部61とを有し、変位部材67を有していない。
さらに、本実施形態のレバー62Bは、実施形態1のレバー62Aと比べて、寸法が短く、軸部64がレバー62Bの長手方向の中心に配置され、ユーザーがレバー62Bを摘まんで回動させやすくなっている。
【0117】
レバー62Bは、軸部64のX方向に沿った回動軸Aを中心に回動する。レバー62Bは軸部64のX(-)方向の端部に装着され、変位部材67は軸部64のX(+)方向の端部に装着されている。その結果、変位部材67は、軸部64を介して、回動軸Aを中心に回動するレバー62Bに連動して回動可能である。このように、開閉機構60Bは、レバー62Bと連動して変位する変位部材67を有する。
本実施形態では、レバー62Bの長手方向と変位部材67の長手方向とが成す角度は45度になるよう構成されている。レバー62Bの長手方向と変位部材67の長手方向とが成す角度は、適宜変更可能である。
【0118】
ユーザーがレバー62Bを摘まみ、供給流路40が閉状態になる方向にレバー62Bを回すと、押圧部材66が供給流路40を押し潰し、供給流路40が閉状態になる。ユーザーがレバー62Bを摘まみ、供給流路40が開状態になる方向にレバー62Bを回すと、押圧部材66による供給流路40の押し潰しが解消され、供給流路40が開状態になる。
【0119】
変位部材67は、供給流路40が開状態になる場合の開位置(
図10に実線で示される変位部材67の位置)と、供給流路40が閉状態になる場合の閉位置(
図10に二点鎖線で示される変位部材67の位置)との間を変位する。
以降の説明では、供給流路40が閉状態になる場合の変位部材67を、閉位置の変位部材67と称し、供給流路40が開状態になる場合の変位部材67を、開位置の変位部材67と称す。
図10において、図中に実線で示される開位置の変位部材67を、反時計回りに180度回すと、図中に二点鎖線で示される閉位置の変位部材67になる。図中に二点鎖線で示される閉位置の変位部材67を、時計回りに180度回すと、図中に実線で示される開位置の変位部材67になる。
さらに、
図10において、変位部材67をX方向側から見た場合、図中に実線で示される開位置の変位部材67はキャリッジ30と重ならず、図中に二点鎖線で示される閉位置の変位部材67はキャリッジ30と重なる。
【0120】
図9及び
図10に示すように、供給流路40が閉状態の場合、図中に二点鎖線で示される閉位置の変位部材67は、キャリッジ30の移動領域TCの内側に配置され、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(-)方向に移動させた場合、キャリッジ30のX(-)方向側の面(接触部101)が、閉位置の変位部材67に接触し、キャリッジ30の移動が阻害される。
すなわち、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(-)方向に移動させる場合に、閉位置の変位部材67に接触するキャリッジ30のX(-)側の面が接触部101である。このように、本実施形態では、接触部101がキャリッジ30に設けられている。
変位部材67は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合、キャリッジ30に設けられた接触部101に接触する。換言すれば、キャリッジ30は、液体噴射部50を搭載し、X方向に往復移動可能であり、供給流路40が閉状態である場合に変位部材67(開閉機構60B)に接触可能な接触部101を有する。
なお、接触部101は、本実施形態のようにキャリッジ30に設けられてもよいし、キャリッジ30の筐体に固定され、変位部材67との接触を緩衝することが可能な緩衝材のようなキャリッジ30とは別の部材として設けられてもよい。
【0121】
一方、供給流路40が開状態の場合、図中に実線で示される開位置の変位部材67は、キャリッジ30の移動領域TCの外側に配置され、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(-)方向に移動させた場合、キャリッジ30のX(-)方向側の面(接触部101)は、開位置の変位部材67に接触せず、キャリッジ30の移動は阻害されない。
【0122】
<<<供給流路の開閉状態の検出方法について>>>
次に、供給流路40の開閉状態の検出方法を説明する。
上述したように、制御部80は、特定のタイミングで供給流路40の開閉状態の検出を行う。また、本実施形態のレバー62Bは、筐体3の外側に設けられているため、スキャナー5の開閉動作後に供給流路40の開閉状態の検出を行わなくてもよい。なお、レバー62Bが筐体3内部に設けられている構成の場合には、スキャナー5の開閉動作後に供給流路40の開閉状態の検出を行うことが好ましい。
【0123】
まず、制御部80は、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(-)方向(第1方向)へ移動させる。
供給流路40が開状態である場合、開位置に位置する変位部材67はキャリッジ30の移動領域TCの外側に位置するため、キャリッジ30をX(-)方向(第1方向)に移動させたとしても、接触部101と変位部材67とは接触しない。この場合、キャリッジモーター31の駆動負荷が閾値を超えることはなく、検出部84は、接触部101と変位部材67との接触を検出しない。そして、制御部80は、供給流路40が開状態であると判断する。
【0124】
供給流路40が閉状態である場合、閉位置に位置する変位部材67はキャリッジ30の移動領域TCの内側に位置するため、ホームポジションHPに位置するキャリッジ30をX(-)方向(第1方向)に移動させると、接触部101と変位部材67とが接触し、キャリッジ30の移動が阻害され、キャリッジモーター31の駆動負荷が増大する。検出部84は、キャリッジモーター31の駆動負荷が閾値を超えた場合に、接触部101と変位部材67との接触を検出する。そして、制御部80は、供給流路40が閉状態であると判断する。
このように、本実施形態に係る液体噴射装置1Bの検出方法は、キャリッジ30の移動によって供給流路40が閉状態であることを検出する。換言すれば、本実施形態に係る液体噴射装置1Bの検出方法は、キャリッジ30を移動させたとき、キャリッジ30の移動が阻害された場合に供給流路40が閉状態であることを検出する。さらに換言すれば、本実施形態に係る液体噴射装置1Bの検出方法は、液体噴射装置1Bがキャリッジ30を移動させるキャリッジモーター31を備え、キャリッジモーター31の駆動負荷によって供給流路40が閉状態であることを検出する。
さらに、制御部80は、X方向(主走査方向)におけるX(-)方向(第1方向)にキャリッジ30を移動させ、供給流路40の閉状態を検出した場合、X(-)方向(第1方向)と反対方向であるX(+)方向(第2方向)にキャリッジ30を移動させ、キャリッジ30をホームポジションHPの位置に移動させる。
このように、本実施形態では、X(-)方向が「主走査方向における第1方向」に該当し、X(+)方向が「第1方向と反対方向である第2方向」に該当する。
【0125】
加えて、本実施形態は、液体噴射装置1Bの構成要素のうち、開閉機構60Bと筐体3(フレーム4)とキャリッジ30と制御部80(検出部84)と操作パネル6とを使用し、供給流路40の開閉状態を検出する。この供給流路40の開閉状態を検出する構成要素(開閉機構60B、筐体3、キャリッジ30、制御部80、操作パネル6)は、液体噴射装置1Bが媒体に印刷するための構成要素である。
本実施形態は、液体噴射装置1Bが媒体に印刷するための構成要素を活用して、供給流路40の開閉状態を検出するので、供給流路40の開閉状態を検出するために新たな構成要素を必要とせず、供給流路40の開閉状態を検出するために新たな構成要素を必要とする場合と比べて、液体噴射装置1Bの低コスト化を図ることができる。
【0126】
以下に、本実施形態の効果について説明する。
(2-1)手動で操作部61を操作することで供給流路40を開閉するために、液体噴射装置1B内にインクが充填された状態で液体噴射装置1Bを輸送し、印刷を再開する際に供給流路40を開くことを忘れてしまうことがある。その点、検出部84は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、開閉機構60Bが接触部101と接触することを検出することができる。これにより、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0127】
(2-2)開閉機構60Bは、操作部61と連動して変位する変位部材67を有し、変位部材67は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、接触部101に接触する。これにより、検出部84は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、変位部材67が接触部101と接触することを検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0128】
(2-3)操作部61は、供給流路40を開状態とする開位置と供給流路40を閉状態とする閉位置との間を、軸部64を中心に回動可能なレバー62Bを含み、開閉部63は、レバー62Bが閉位置に位置するときに供給流路40を閉塞し、レバー62Bが開位置に位置するときに供給流路40を開放する押圧部材66と、軸部64と、を有し、変位部材67は、軸部64を介し、レバー62Bの移動に連動して変位する。これにより、検出部84は、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、変位部材67が接触部101と接触することを検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0129】
(2-4)供給流路40が閉状態の場合、変位部材67はキャリッジ30の移動領域TC内に位置する。これにより、供給流路40が閉状態の場合にキャリッジ30を移動させると、変位部材67は接触部101に接触する。よって、検出部84が接触部101と変位部材67との接触を検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0130】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0131】
(変形例1)
実施形態1の液体噴射装置1Aは、開閉機構60Aの代わりに、実施形態2の開閉機構60Bを搭載する構成であってもよい。つまり、閉位置の変位部材67と接触部100とが接触するようにしてもよい。
【0132】
変形例1における接触部100は、開位置の変位部材67がキャリッジ30のX方向への移動に伴って移動する移動領域の外側に位置する。すなわち、変形例1における接触部100は、開位置の変位部材67の移動領域の外側に位置する。従って、供給流路40が開状態のときには、キャリッジ30が第1方向(X(+)方向)側に移動しても、開位置の変位部材67と接触部100とが接触することはない。
【0133】
また、接触部100は、閉位置の変位部材67がキャリッジ30のX方向への移動に伴って移動する移動領域の内側に位置する。すなわち、変形例1における接触部100は、閉位置の変位部材67の移動領域の内側に位置する。従って、供給流路40が閉状態のときには、キャリッジ30が第1方向(X(+)方向)側に移動すると、閉位置の変位部材67と接触部100とが接触し、キャリッジ30の移動が阻害される。
【0134】
このような構成にすることによって、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、変位部材67が接触部100と接触することを検出部84が検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0135】
(変形例2)
実施形態2の液体噴射装置1Bは、開閉機構60Bの代わりに、実施形態1の開閉機構60Aを有する構成であってもよい。つまり、接触部101とレバー62Aが接触するようにしてもよい。変形例2において、閉位置のレバー62Aは、キャリッジ30の移動領域TCの内側に配置され、開位置のレバー62Aは、キャリッジ30の移動領域TCの外側に配置される。
【0136】
従って、供給流路40が開状態のときには、キャリッジ30が第1方向(X(-)方向)側に移動しても、開位置のレバー62Aと接触部101とが接触することはない。さらに、供給流路40が閉状態のときには、キャリッジ30が第1方向(X(-)方向)側に移動すると、閉位置のレバー62Aと接触部101とが接触し、キャリッジ30の移動が阻害される。
【0137】
このような構成にすることによって、供給流路40が閉状態でキャリッジ30を移動させた場合に、操作部61が接触部101と接触することを検出部84が検出することができるので、ユーザーが供給流路40を開放することを忘れてしまう虞を抑制することができる。
【0138】
(変形例3)
カム部材65と、軸部64と、押圧部材66と、が一体形成されても良い。このようにすることによって部品点数を削減することができる。また、軸部64とレバー62Aとが一体に形成されていても良い。さらに、軸部64とレバー62Bと変位部材67とが一体に形成されていても良い。
【0139】
(変形例4)
上記の実施形態1において、制御部80は、主走査方向において、閉位置のレバー62Aと接触部100とが接触してキャリッジ30の移動を停止させるときのキャリッジ30の位置である停止位置と、ホームポジションHPとの間に、キャリッジ30の第1方向への移動を減速させる減速位置を予め設定してもよい。すなわち、供給流路40の開閉状態を検出する際に、キャリッジ30が減速位置に移動したら、キャリッジ30の移動速度を減速する。従って、減速位置まではキャリッジ30の移動速度を速くすることができるので、スループットを向上できる。
【0140】
(変形例5)
上記の実施形態2において、制御部80は、主走査方向において、閉位置に位置する変位部材67と接触部101とが接触してキャリッジ30の移動を停止させるときのキャリッジ30の位置である停止位置と、ホームポジションHPとの間に、キャリッジ30の第1方向への移動を減速させる減速位置を予め設定してもよい。すなわち、供給流路40の開閉状態を検出する際に、キャリッジ30が減速位置に移動したら、キャリッジ30の移動速度を減速する。従って、減速位置まではキャリッジ30の移動速度を速くすることができるので、スループットを向上できる。
【0141】
(変形例6)
上記の各実施形態は、キャリッジ30の第1方向への移動が阻害されることで、キャリッジモーター31の駆動負荷が閾値を超えることを検出部84が検出する。そして、制御部80は、検出部84の検出結果に基づき、供給流路40が閉状態であると判断する。キャリッジ30の第1方向への移動が阻害されるとは、キャリッジ30の移動が停止する場合だけでなく、キャリッジ30が第1方向に移動する速度が遅くなる場合も含む。つまり、接触部100と操作部61との接触、又は、接触部101と変位部材67との接触によるキャリッジ30の第1方向への移動を阻害させるとは、キャリッジ30の移動が停止することに加えて、キャリッジ30の移動速度が遅くなることを含む。
【0142】
このような場合でも、キャリッジ30の第1方向への移動が阻害されている間は、キャリッジモーター31の駆動負荷は大きくなる。なお、キャリッジ30の移動速度が遅くなる場合のキャリッジモーター31の駆動負荷の変化は、キャリッジ30の移動が停止する場合のキャリッジモーター31の駆動負荷の変化よりも小さくなる。従って、キャリッジ30が停止する場合のキャリッジモーター31の駆動負荷の閾値よりも、キャリッジ30の移動速度が遅くなる場合のキャリッジモーター31の駆動負荷の閾値を低く設定することで、キャリッジ30の移動が停止する場合に加えて、とキャリッジ30の移動速度が遅くなる場合においても、接触部100と操作部61との接触、又は、接触部101と変位部材67との接触を検出できるようにすればよい。
【0143】
(変形例7)
操作部61は、軸部64を中心に回動するレバー62A、62Bの代わりに、スライド式の操作部61を採用しても良い。また、操作部61としての摘みを回すことによって変位部材67を変位させる構成にしても構わない。
【0144】
(変形例8)
押圧部材66によって供給流路40を押し潰す以外の供給流路40を閉塞する構成として、操作部61を操作することによって、可撓性のダイアフラムを空気で加圧し、供給流路40を閉塞するような構成を採用しても良い。
【0145】
(変形例9)
上記の各実施形態は、キャリッジモーター31の駆動負荷を検出することによって供給流路40の開閉状態を検出する構成に限られない。供給流路40が閉状態のときにキャリッジ30の第1方向への移動を停止させる位置に、閉位置に位置する操作部61又は変位部材67を検出する光学センサーを設けることによって、操作部61と接触部100との接触、又は変位部材67と接触部101との接触を検出するような構成でもよい。
【0146】
(変形例10)
上記の実施形態1において、接触部100は、筐体3のフレーム4以外の装置本体2を構成するもので構成されてもよい。例えば、装置本体2に設けられ、液体噴射部50のメンテナンスのために排出された廃液を回収するメンテナンスボックス(不図示)の筐体に接触部100を設けてもよい。
【0147】
(変形例11)
供給流路支持部68によって複数の供給流路40が配列される方向は、適宜変更しても構わない。
【0148】
(変形例12)
上記の実施形態2において、開閉機構60Bは、液体貯留ユニット10上に配置したが、装置本体2内部の任意の位置に配置しても構わない。
【0149】
(変形例13)
上記の各実施形態は、5種類のインクを採用していたが、インクの種類は任意の数を採用してもよい。その場合には、採用するインクの任意の種類の数に対応し、液体貯留部13、供給流路40、等の数を対応させればよい。
【0150】
(変形例14)
液体噴射装置1A、1Bは、インク以外の他の液体を吐出する液体噴射装置1A、1Bであってもよい。液体噴射装置1A、1Bから微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体噴射装置1A、1Bから吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置1A、1Bの具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体噴射装置1A、1Bは、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体噴射装置1A、1Bは、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体噴射装置1A、1Bは、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0151】
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
【0152】
本願の液体噴射装置は、媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉部と、前記開閉部を操作する操作部と、を有する開閉機構と、前記液体噴射部及び前記開閉機構を搭載し、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記開閉機構に接触する接触部と、前記開閉機構と前記接触部との接触を検出する検出部と、を備えることを特徴とする。
【0153】
この構成によれば、供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に、開閉機構に接触する接触部が設けられているので、検出部は、開閉機構と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0154】
上記の液体噴射装置では、前記接触部は、前記液体噴射部及び前記キャリッジを収容する筐体に設けられていることが好ましい。
【0155】
この構成によれば、筐体は剛性が高いので、接触部を筐体に設けると、接触部が変形しにくくなり、検出部は開閉機構と接触部との接触を安定して検出することができる。
【0156】
上記の液体噴射装置では、前記接触部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記操作部と接触することが好ましい。
【0157】
供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に、接触部が操作部と接触すると、検出部は、操作部と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0158】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を回動可能なレバーを含み、前記開閉部は、前記レバーが前記閉位置に位置するときに前記供給流路を閉塞し、前記レバーが前記開位置に位置するときに前記供給流路を開放する押圧部材を有し、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記レバーが前記接触部と接触することが好ましい。
【0159】
供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に、閉位置に位置するレバーが接触部と接触するので、検出部は、レバーと接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0160】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を移動可能であり、前記接触部は、前記開位置に位置する前記操作部が前記キャリッジの移動に伴って移動する移動領域の外側に配置されるとともに、前記閉位置に位置する前記操作部が前記キャリッジの移動に伴って移動する移動領域の内側に配置されることが好ましい。
【0161】
接触部が、開位置に位置する操作部がキャリッジの移動に伴って移動する移動領域の外側に配置され、且つ、閉位置に位置する操作部がキャリッジの移動に伴って移動する移動領域の内側に配置されると、接触部は、開位置に位置する操作部に接触せず、閉位置に位置する操作部に接触するようになる。すると、検出部は、操作部と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0162】
上記の液体噴射装置では、前記開閉機構は、前記操作部と連動して変位する変位部材を有し、前記接触部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記変位部材と接触することが好ましい。
【0163】
供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に、変位部材が接触部と接触する。すると、検出部は、変位部材と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0164】
本願の液体噴射装置は、媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉部と、前記開閉部を操作する操作部と、を有する開閉機構と、前記液体噴射部を搭載し、主走査方向に往復移動可能であり、前記供給流路が閉状態である場合に前記開閉機構に接触可能な接触部を有するキャリッジと、前記開閉機構と前記接触部との接触を検出可能な検出部と、を備えることを特徴とする。
【0165】
キャリッジは、供給流路が閉状態である場合に開閉機構に接触可能な接触部を有するので、検出部は、開閉機構と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0166】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記接触部に接触することが好ましい。
【0167】
この構成によれば、供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に、開閉機構の操作部が接触部と接触するので、検出部は、開閉機構の操作部と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0168】
上記の液体噴射装置では、前記開閉機構は、前記操作部と連動して変位する変位部材を有し、前記変位部材は、前記供給流路が閉状態で前記キャリッジを移動させた場合に、前記接触部に接触することが好ましい。
【0169】
この構成によれば、供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に、変位部材が接触部と接触するので、検出部は、変位部材と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0170】
上記の液体噴射装置では、前記操作部は、前記供給流路を開状態とする開位置と前記供給流路を閉状態とする閉位置との間を、軸部を中心に回動可能なレバーを含み、前記開閉部は、前記レバーが前記閉位置に位置するときに前記供給流路を閉塞し、前記レバーが前記開位置に位置するときに前記供給流路を開放する押圧部材と、前記軸部と、を有し、前記変位部材は、前記軸部を介し、前記レバーの移動に連動して変位することが好ましい。
【0171】
この構成によれば、レバーの移動に連動して変位する変位部材を設けると、供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に変位部材と接触部とを接触状態にし、供給流路が開状態でキャリッジを移動させた場合に変位部材と接触部とを非接触状態にすることができる。すると、検出部は、変位部材と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0172】
上記の液体噴射装置では、前記供給流路が閉状態の場合、前記変位部材は前記キャリッジの移動領域内に位置することが好ましい。
【0173】
供給流路が閉状態の場合、変位部材がキャリッジの移動領域内に位置すると、供給流路が閉状態でキャリッジを移動させた場合に、変位部材と接触部とが接触するようになる。
すると、検出部は、変位部材と接触部との接触の有無によって、供給流路の開閉状態を検出することができる。さらに、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0174】
上記の液体噴射装置では、前記キャリッジの移動を制御する制御部を更に備え、前記制御部は、前記主走査方向における第1方向に前記キャリッジを移動させ、前記供給流路の閉状態を検出した場合、前記第1方向と反対方向である第2方向に前記キャリッジを移動させることが好ましい。
【0175】
主走査方向における第1方向にキャリッジを移動させ、供給流路の閉状態を検出した場合、第1方向と反対方向である第2方向にキャリッジを移動させると、第2方向側に供給流路を閉状態から開状態に変更する作業スペースができ、供給流路を閉状態から開状態にする作業を適正に実施することができる。
【0176】
上記の液体噴射装置では、前記供給流路が閉状態であることを報知する報知部を更に備えることが好ましい。
【0177】
供給流路が閉状態であることを報知する報知部を有すると、ユーザーは供給流路が閉状態であることを確実に把握しやすくなる。
【0178】
本願の液体噴射装置の検出方法は、媒体に対して液体を噴射するノズルを有する液体噴射部と、前記液体を貯留する液体貯留部と、前記液体貯留部と前記液体噴射部とを連通する供給流路と、前記供給流路を開状態または閉状態にする開閉機構と、前記液体噴射部を搭載し、主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、を備えた液体噴射装置の検出方法であって、前記キャリッジの移動によって前記供給流路が閉状態であることを検出することを特徴とする。
【0179】
この構成によれば、キャリッジの移動によって前記供給流路が閉状態であることを検出することができるので、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0180】
上記の液体噴射装置の検出方法では、前記キャリッジを移動させたとき、前記キャリッジの移動が阻害された場合に前記供給流路が閉状態であることを検出することが好ましい。
【0181】
この構成によれば、キャリッジの移動が阻害された場合に、供給流路が閉状態であることを検出し、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0182】
上記の液体噴射装置の検出方法では、前記液体噴射装置は、前記キャリッジを移動させるキャリッジモーターを更に備え、前記キャリッジモーターの駆動負荷によって前記供給流路が閉状態であることを検出することが好ましい。
【0183】
この構成によれば、キャリッジモーターの駆動負荷を検出することによって、供給流路の開閉状態を検出することができるので、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【0184】
上記の液体噴射装置の検出方法では、電源投入に伴って前記キャリッジを移動させ、前記キャリッジの移動によって前記供給流路の状態を検出することが好ましい。
【0185】
電源投入に伴ってキャリッジを移動させ、供給流路の開閉状態を検出し、供給流路が閉である場合に供給流路を開くようにすると、供給流路が閉の状態で印刷が再開されるという不具合が抑制される。
【符号の説明】
【0186】
1A,1B…液体噴射装置、2…装置本体、3…筐体、4…フレーム、5…スキャナー、6…操作パネル、7…表示部、8…操作ボタン、10…液体貯留ユニット、11…カバー、12…筐体、13…液体貯留部、14…表示部、16…蓋、22…媒体収容部、25…搬送機構、30…キャリッジ、31…キャリッジモーター、32…キャリッジカバー、40…供給流路、50…液体噴射部、51…ノズル、55…メンテナンスユニット、60A,60B…開閉機構、61…操作部、62A,62B…レバー、63…開閉部、64…軸部、65…カム部材、66…押圧部材、67…変位部材、68供給流路支持部材、69…ケース、70…溝、71…凹部、75…リニアエンコーダー、76…フォトセンサー、80…制御部、81…CPU、82…メモリー、83…インターフェイス部(I/F)、84…検出部、85…開閉検出部、91…部分、92…部分、100…接触部、101…接触部、110…PC、HP…ホームポジション、PA…印刷領域、RA…非印刷領域、RA1…非印刷領域、RA2…非印刷領域、TA…移動領域、OA…開口、A…回動軸。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給対象に供給される液体を貯留する第1液体貯留部と、
前記第1液体貯留部の液体を前記供給対象に供給するための第1供給流路と、
前記第1供給流路を開放する開状態と前記第1供給流路を閉鎖する閉状態とに切り替える開閉部と、前記開閉部の切り替えを操作可能な操作部と、を有する開閉機構と、
前記操作部を覆うカバーと、を備え、
前記操作部により前記開閉部を前記閉状態にして前記カバーで前記操作部を覆った場合に前記開閉部の前記閉状態が維持されることを特徴とする液体供給システム。
【請求項2】
前記第1液体貯留部は液体を注入するための注入口を有することを特徴とする請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記注入口は蓋部材により着脱可能に封止されていることを特徴とする請求項2に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記第1供給流路は変形可能な部分を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の液体供給システム。
【請求項5】
前記開閉部は前記操作部と異なる部材であることを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の液体供給システム。
【請求項6】
供給対象に供給される液体を貯留する第1貯留部と、
前記供給対象に供給される液体を貯留する第2液体貯留部と、
前記第1液体貯留部の液体を前記供給対象に供給するための第1供給流路と、
前記第2液体貯留部の液体を前記供給対象に供給するための第2供給流路と、
前記第1供給流路および前記第2供給流路を開放する開状態と前記第1流路および前記第2流路を閉鎖する閉状態とに切り替える開閉部と、前記開閉部の切り替えを操作可能な操作部と、を有する開閉機構と、
前記操作部を覆うカバーと、を備え、
前記操作部により前記開閉部を前記閉状態にして前記カバーで前記操作部を覆った場合に前記開閉部の前記閉状態が維持されることを特徴とする液体供給システム。
【請求項7】
前記第1液体貯留部および前記第2液体貯留部はそれぞれ液体を注入するための注入口を有することを特徴とする請求項6に記載の液体供給システム。
【請求項8】
前記注入口はそれぞれ蓋部材により着脱可能に封止されていることを特徴とする請求項7に記載の液体供給システム。
【請求項9】
前記第1供給流路および前記第2供給流路はそれぞれ変形可能な部分を有することを特徴とする請求項6から請求項8のうち何れか一項に記載の液体供給システム。
【請求項10】
前記開閉部は前記操作部と異なる部材であることを特徴とする請求項6から請求項9のうち何れか一項に記載の液体供給システム。
【請求項11】
前記第1液体貯留部および前記第2液体貯留部は並んで配置されることを特徴とする請求項6から請求項10のうち何れか一項に記載の液体供給システム。
【請求項12】
液体を噴射する前記供給対象としての液体噴射部と、
請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載の液体供給システムと、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項13】
記録媒体を第1方向に搬送する搬送部を備えることを特徴とする請求項12に記載の液体噴射装置。
【請求項14】
前記液体噴射部を搭載して前記第1方向と交差する第2方向に移動するキャリッジを備えることを特徴とする請求項13に記載の液体噴射装置。
【請求項15】
前記カバーが開いていることを検知する第1検知部を備えることを特徴とする請求項12から請求項14のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項16】
前記開閉部が閉じていることを検知する第2検知部を備えることを特徴とする請求項12から請求項15のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。