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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032893
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240305BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/14 607
B41J2/14 603
B41J2/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024011644
(22)【出願日】2024-01-30
(62)【分割の表示】P 2020024595の分割
【原出願日】2020-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神▲崎▼ 章太郎
(57)【要約】
【課題】気泡による吐出不良を抑制することができる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッド20は、液体に吐出圧力が付与される複数の圧力室54と、
複数の前記圧力室54からそれぞれ延びた複数のディセンダ55と、複数の前記ディセン
ダ55のそれぞれに一方端が接続され、前記ディセンダ55の延伸方向と交差する方向に
複数の前記ディセンダ55からそれぞれ延びた複数の帰還路56と、複数の前記帰還路5
6のうち互いに隣接する第1帰還路56a及び第2帰還路56bのそれぞれの他方端と帰
還マニホールド26とに接続された連通路57と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に吐出圧力が付与される複数の圧力室と、
複数の前記圧力室からそれぞれ延びた複数のディセンダと、
複数の前記ディセンダのそれぞれに一方端が接続され、前記ディセンダの延伸方向と交
差する方向に複数の前記ディセンダからそれぞれ延びた複数の帰還路と、
複数の前記帰還路のうち互いに隣接する第1帰還路及び第2帰還路のそれぞれの他方端
と帰還マニホールドとに接続された連通路と、を備え、
前記第1接続口及び前記第2接続口が並ぶ方向における前記第1帰還路と前記連通路との第1接続口と、前記第2帰還路と前記連通路との第2接続口との間隔は、前記第1接続口及び前記第2接続口が並ぶ方向における前記第1接続口の長さ未満である、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液体に吐出圧力が付与される複数の圧力室と、
複数の前記圧力室からそれぞれ延びた複数のディセンダと、
複数の前記ディセンダのそれぞれに一方端が接続され、前記ディセンダの延伸方向と交
差する方向に複数の前記ディセンダからそれぞれ延びた複数の帰還路と、
複数の前記帰還路のうち互いに隣接する第1帰還路及び第2帰還路のそれぞれの他方端
と帰還マニホールドとに接続された連通路と、を備え、
前記第1接続口及び前記第2接続口が並ぶ方向における前記第1帰還路と前記連通路との第1接続口と、前記第2帰還路と前記連通路との第2接続口の間隔は、前記第1接続口及び前記第2接続口が並ぶ方向における前記第1接続口の長さ以上である、液体吐出ヘッド。
【請求項3】
複数の前記ディセンダは、前記第1帰還路に接続された第1ディセンダ及び前記第2帰
還路に接続された第2ディセンダを有し、
前記第1ディセンダに接続された第1ノズルと、
前記第2ディセンダに接続された第2ノズルと、を備え、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとの中点を通り且つ前記第1ノズルと前記第2ノズル
とを通る直線に直交する平面に対して、前記第1帰還路と前記第2帰還路とは対称に形成
されている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
複数の前記ディセンダは、前記第1帰還路に接続された第1ディセンダ及び前記第2帰
還路に接続された第2ディセンダを有し、
前記第1ディセンダに接続された第1ノズルと、
前記第2ディセンダに接続された第2ノズルと、を備え、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとの中点を通り且つ前記第1ノズルと前記第2ノズル
とを通る直線に直交する平面上に、前記第1帰還路と前記連通路との第1接続口と、前記
第2帰還路と前記連通路との第2接続口との中点が配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記圧力室に隣接して配置されたダミー室と、
前記ダミー室から延びたダミーディセンダと、
前記ダミーディセンダの延伸方向と交差する方向に前記ダミーディセンダから延びたダ
ミー帰還路と、を備え、
前記連通路は、前記ダミー帰還路に隣接した前記第1帰還路と、前記ダミー帰還路とに接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体吐出ヘッドとして、下記特許文献1の液体吐出ヘッドが知られている。この
液体吐出ヘッドは、吐出孔及びこれに連通した加圧室を含む複数のチャンネルを有してい
る。各チャンネルは個別回収流路を介して二次回収流路に接続されている。互いに隣接す
るチャンネルの個別回収流路どうしは連結路により接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/031920号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の液体吐出ヘッドでは、隣接チャンネルの圧力に差がないため、連結路
に液体がほとんど流れない。よって、各チャンネルにインクを導入する際にインクが連通
路にほとんど流れず、連通路に気泡が滞留してしまう。この気泡が連結路から個別回収流
路に流れると、個別流路の共振周波数が変化してしまい、個別流路に接続されたチャンネ
ルの吐出性能が変わってしまう。これにより、吐出孔から吐出される液滴の体積が変わっ
たり、液滴を吐出させるための駆動信号の波形制御が吐出に間に合わなかったりするおそ
れがある。この場合、吐出された液滴が多すぎたり、異なるノズルから吐出された液滴が
記録媒体上で重なったりすることによって、記録媒体によれが生じる。また、液滴が少な
すぎたり、液滴により記録媒体上に形成されるドットの位置がずれたりすることにより、
ドットの抜けが生じたりする。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、気泡による吐出不良を
抑制することができる液体吐出ヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る液体吐出ヘッドは、液体に吐出圧力が付与される複数の圧力室
と、複数の前記圧力室からそれぞれ延びた複数のディセンダと、複数の前記ディセンダの
それぞれに一方端が接続され、前記ディセンダの延伸方向と交差する方向に複数の前記デ
ィセンダからそれぞれ延びた複数の帰還路と、複数の前記帰還路のうち互いに隣接する第
1帰還路及び第2帰還路のそれぞれの他方端と帰還マニホールドとに接続された連通路と
、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記構成を有し、気泡による吐出不良を抑制することができる液体吐出ヘッ
ドを提供することができるという効果を奏する。
【0008】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実
施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置を概略的に示す図である。
図2図1の液体吐出ヘッドを左右方向に直交する断面で切断した断面図である。
図3図3(a)は、図1のディセンダ、帰還路及び連通路を上側から視た図である。図3(b)は、図3(a)のA-A線で切断した断面図である。
図4図4(a)は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る液体吐出ヘッドにおけるディセンダ、帰還路及び連通路を上側から視た図である。図4(b)は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る液体吐出ヘッドにおけるディセンダ、帰還路及び連通路を上側から視た図である。
図5図5(a)は、本発明の実施の形態1の変形例3に係る液体吐出ヘッドにおけるディセンダ、帰還路及び連通路を上側から視た図である。図5(b)は、本発明の実施の形態1の変形例4に係る液体吐出ヘッドにおけるディセンダ、帰還路及び連通路を上側から視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
<液体吐出装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る液体吐出ヘッド(以下、「ヘッド」と称する。)20を備
える液体吐出装置10は、液体を吐出する装置である。以下では、液体吐出装置10を、
インク等の液体をインクジェットプリンタに適用した例について説明するが、液体吐出装
置10はこれに限定されない。
【0012】
液体吐出装置10は、図1に示すように、ラインヘッド方式が採用され、プラテン11
、搬送部12、ヘッドユニット13、貯留タンク14及び制御部15を備えている。但し
、液体吐出装置10はラインヘッド方式に限定されず、例えば、シリアルヘッド方式等の
他の方式も採用し得る。
【0013】
プラテン11は、平板部材であり、その上面に紙等の記録媒体Rが配置され、その記録
媒体Rとヘッド20との距離を決める。搬送部12は、例えば、2本の搬送ローラ12a
、及び、搬送モータを有する。2本の搬送ローラ12aは、搬送方向においてプラテン1
1を互いの間に挟み、互いに平行に配置されており、搬送モータに連結されている。この
搬送モータが駆動されると、搬送ローラ12aが回転し、プラテン11上の記録媒体Rが
搬送方向に搬送される。
【0014】
ヘッドユニット13は、搬送方向に直交する方向(直交方向)における記録媒体Rの長
さ以上の長さを有している。ヘッドユニット13には複数のヘッド20が設けられており
、複数のヘッド20は直交方向に配列されている。ヘッド20は複数のノズル21及び駆
動素子を有し、ノズル21がヘッド20の下面に開口している。駆動素子が駆動されると
、ノズル21の開口ではメニスカスが振動し、液体が吐出される。なお、ヘッド20の詳
細に関しては後述する。
【0015】
貯留タンク14は、液体の種類ごとに設けられている。例えば、4つの貯留タンク14
には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの液体がそれぞれ貯留されている。この貯
留タンク14の液体は、対応するノズル21に供給される。
【0016】
制御部15は、CPU等の演算部、RAM及びROM等の記憶部、及び、ASIC等の
駆動部を備え、ドライバICに接続している。制御部15では、CPUが、各種要求及び
センサの検出信号を受けて、RAMに各種データを記憶させると共に、ROMに記憶され
たプログラムに基づいて各種の実行指令をASICへ出力する。ASICは、この指令に
基づいて、各ドライバICを制御し対応する動作を実行する。これにより、ヘッド20の
駆動素子及び搬送部12の搬送モータが駆動される。
【0017】
例えば、制御部15は、ヘッド20による液体の吐出動作、及び、搬送部12による記
録媒体Rの搬送動作等を実行する。吐出動作では、ヘッド20のノズル21から液体が吐
出され、液体によって記録媒体Rに画像が形成される。そして、搬送動作では、記録媒体
Rが搬送方向に所定量毎搬送される。これにより、記録媒体R上に画像が搬送方向に並ん
で、印刷処理が進んでいく。
【0018】
<ヘッドの構成>
ヘッド20は、図2に示すように、流路形成体22、振動板23及び駆動素子24を備
えている。流路形成体22は複数のプレートの積層体であり、複数のプレートはノズルプ
レート30及び第1流路プレート31~第14流路プレート44を含んでいる。これらの
プレートは、この順で上下方向に積層されている。なお、ノズルプレート30よりも第1
流路プレート31側を上側と称し、その反対側を下側と称するが、ヘッド20の配置はこ
れに限定されない。
【0019】
各プレートには、大小様々な孔及び溝がエッチング等により形成されている。各プレー
トが積層された流路形成体22の内部では孔及び溝が組み合わされて、例えば、複数のノ
ズル21、複数の個別流路50、供給マニホールド25及び帰還マニホールド26が液体
流路として形成されている。
【0020】
複数のノズル21は、ノズルプレート30を上下方向に貫通し形成されている。ノズル
プレート30の下面には、ノズル21の開口が左右方向に並んでノズル列を形成している
。なお、左右方向は、上下方向に交差(例えば、直交)した方向であって、図1の直交方
向に沿っていてもよいし、図1の直交方向に傾斜していてもよい。
【0021】
供給マニホールド25及び帰還マニホールド26は、左右方向に長く延び、複数の個別
流路50に接続されている。供給マニホールド25は、帰還マニホールド26の上に積層
されている。供給マニホールド25の左右方向に直交する断面積、及び、帰還マニホール
ド26の左右方向に直交する断面積は、互いに等しい。
【0022】
供給マニホールド25は、第8流路プレート38~第11流路プレート41を上下方向
に貫通した貫通孔、及び、第12流路プレート42の下面から窪んだ窪みが上下方向に重
なって形成されている。このため、供給マニホールド25の下端は第7流路プレート37
に覆われ、上端は第12流路プレート42における上側部分に覆われている。
【0023】
帰還マニホールド26は、第2流路プレート32~第5流路プレート35を上下方向に
貫通した貫通孔、及び、第6流路プレート36の下面から窪んだ窪みが上下方向に重なっ
て形成されている。このため、帰還マニホールド26の下端は第1流路プレート31に覆
われ、上端は第6流路プレート36における上側部分に覆われている。
【0024】
このような供給マニホールド25は供給口を有し、帰還マニホールド26は帰還口を有
している。供給口は供給マニホールド25の左右方向の一方端に設けられ、供給流路によ
りサブタンクに接続されている。帰還口は、帰還マニホールド26の左右方向の一方端に
設けられ、帰還流路によりサブタンクに接続されている。サブタンクはヘッド20に配置
され、配管により貯留タンク14に接続され、貯留タンク14から液体が供給されている
。なお、左右方向における供給マニホールド25の他方端と帰還マニホールド26の他方
端とは、バイパス路により互いに連通されていてもよい。
【0025】
個別流路50は、その上流端が供給マニホールド25に接続され、下流端が帰還マニホ
ールド26に接続されており、この間においてノズル21に接続されている。個別流路5
0は、第1連通孔51、供給路52、第2連通孔53、圧力室54、ディセンダ55、帰
還路56及び連通路57を有し、これらはこの順で接続されている。複数の個別流路50
は、左右方向において互いに間隔を空けて配列されている。
【0026】
第1連通孔51は、第12流路プレート42における上側部分を上下方向に貫通し、そ
の下端が供給マニホールド25の上端に接続し、供給マニホールド25から上方に延びて
いる。上下方向に直交する第1連通孔51の断面積は、左右方向に直交する供給マニホー
ルド25の断面積よりも小さい。
【0027】
供給路52は、第13流路プレート43の下面から窪んだ溝により形成されている。供
給路52は、前後方向における一方側(前側)の下端が第1連通孔51の上端に接続し、
前後方向に延びている。前後方向に直交する供給路52の断面積は、上下方向に直交する
第1連通孔51の断面積よりも小さい。なお、前後方向は、上下方向に交差(例えば、直
交)し且つ左右方向に交差(例えば、直交)する方向である。
【0028】
第2連通孔53は、第13流路プレート43における上側部分を上下方向に貫通し、第
1連通孔51よりも、前後方向の他方側(後側)に配置されている。第2連通孔53の下
端は、供給路52の後側の上端に接続され、上下方向に延びている。上下方向に直交する
第2連通孔53の断面積は、前後方向に直交する供給路52の断面積以上である。
【0029】
圧力室54は、第14流路プレート44を上下方向に貫通して形成され、その下端が第
13流路プレート43に覆われ、上端が振動板23で覆われている。圧力室54は、その
前側の下端が第2連通孔53の上端に接続し、前後方向に延びている。前後方向に直交す
る圧力室54の断面積は、上下方向に直交する第2連通孔53の断面積よりも大きい。
【0030】
ディセンダ55は、第1流路プレート31~第13流路プレート43を上下方向に貫通
し、前後方向において供給マニホールド25及び帰還マニホールド26よりも後側に配置
されている。ディセンダ55は、その上端が圧力室54の下端に接続され、圧力室54か
ら下方に延びており、下端がノズル21の基端に接続されている。
【0031】
帰還路56は、第1流路プレート31の下面から窪んだ溝により形成されており、その
後端がディセンダ55の下側の前端に接続し、ディセンダ55から前方に延びている。延
伸方向に直交する帰還路56の断面積は、上下方向に直交するディセンダ55の断面積よ
りも小さい。なお、帰還路56の詳細については後述する。
【0032】
連通路57は、第1流路プレート31を上下方向に貫通し、その下端がノズルプレート
30に覆われている。連通路57は、その下側部分の後端が帰還路56の前端に接続され
、上端が帰還マニホールド26の下端に接続されている。上下方向に直交する連通路57
の断面積は、延伸方向に直交する帰還路56の断面積よりも大きい。連通路57の詳細に
ついては後述する。
【0033】
振動板23は、第14流路プレート44の上に積層されており、圧力室54の上端開口
を覆っている。なお、振動板23は、第14流路プレート44と一体的に形成されていて
もよい。この場合、圧力室54は、第14流路プレート44の下面から窪んで形成される
。この第14流路プレート44において圧力室54よりも上側部分が振動板23として機
能する。
【0034】
駆動素子24は、ノズル21から液体を吐出するための圧力を付与する素子であって、
圧電式、加熱式及び静電吸引式等が例示される。例えば、駆動素子24は圧電素子であっ
て、共通電極24a、圧電層24b及び個別電極24cを含み、これらはこの順で配置さ
れている。共通電極24aは、絶縁膜を介して振動板23の全面を覆っている。圧電層2
4bは、圧力室54毎に設けられ、圧力室54に重なるように共通電極24a上に配置さ
れている。個別電極24cは、圧力室54毎に設けられ、圧電層24b上に配置されてい
る。このとき、1つの個別電極24c、共通電極24a及びこれらに挟まれた部分の圧電
層24b(活性部)により、1つの駆動素子24が構成される。
【0035】
個別電極24cは、ドライバICに電気的に接続されている。このドライバICは、制
御部15(図1)から制御信号を受けて、駆動信号(電圧信号)を生成し、個別電極24c
に印加する。これに対し、共通電極24aは、常にグランド電位に保持されている。
【0036】
駆動信号に応じて、圧電層24bの活性部が、共通電極24a及び個別電極24cと共
に面方向に伸縮する。これに応じて、振動板23が協働して変形し、圧力室54の容積を
増減する方向に変化する。これにより、圧力室54に、液体をノズル21から吐出させる
吐出圧力が付与される。
【0037】
<液体の流れ>
ヘッド20において、例えば、この供給流路に配置された加圧ポンプ、及び、帰還流路
に配置された負圧ポンプを駆動する。これにより、液体は、サブタンクから供給流路を通
り、供給口を介して供給マニホールド25に流入し、左右方向に供給マニホールド25を
流れる。
【0038】
この間に液体の一部は個別流路50に流入する。個別流路50において、液体は、供給
マニホールド25から第1連通孔51を介して供給路52に流入し、供給路52を後方に
流れ、供給路52から第2連通孔53を介して圧力室54に流入し、圧力室54を後方に
流れる。そして、液体は、圧力室54からディセンダ55に流入し、ディセンダ55を下
方に流れ、ノズル21に流入する。ここで、駆動素子24によって圧力室54に吐出圧力
が付与されると、液体はノズル21から吐出される。このノズル21から吐出されなかっ
た液体は、帰還路56を前方に流れ、連通路57を介して帰還マニホールド26に流入す
る。液体は、帰還マニホールド26において帰還口へ流れる。
【0039】
また、個別流路50に流入しなかった液体は、供給マニホールド25を供給口から左右
方向に流れ、バイパス路を介して帰還マニホールド26に流入する。このバイパス路を流
通した液体は、帰還マニホールド26をバイパス路から帰還口へ流れる間に、個別流路5
0を流れ吐出されずに帰還マニホールド26に流入した液体と合流する。そして、液体は
、帰還口から帰還流路を介して排出され、サブタンクへ戻る。これにより、ノズル21の
開口から吐出されなかった液体は、サブタンクと個別流路50との間、又は、サブタンク
とバイパス路との間を循環する。
【0040】
<帰還路及び連通路>
図3(a)及び図3(b)に示すように、ヘッド20において、複数の帰還路56は、
複数のディセンダ55のそれぞれに一方端が接続され、ディセンダ55の延伸方向と交差
する方向に複数のディセンダ55からそれぞれ延びている。連通路57は、複数の帰還路
56のうち互いに隣接する第1帰還路56a及び第2帰還路56bのそれぞれの他方端と
帰還マニホールド26とに接続されている。
【0041】
具体的には、複数のディセンダ55は左右方向において互いに間隔を空けて配列され、
左右方向において互いに隣り合う第1ディセンダ55a及び第2ディセンダ55bを有し
ている。複数の連通路57は左右方向において互いに間隔を空けて配列されており、各連
通路57は、左右方向において第1ディセンダ55aと第2ディセンダ55bとの間に配
置されている。複数の帰還路56は、前後方向においてディセンダ55の列と連通路57
の列との間において、左右方向に互いに間隔を空けて配列され、左右方向において互いに
隣り合う第1帰還路56a及び第2帰還路56bを有している。
【0042】
帰還路56は、上下方向に交差(例えば、直交)する方向に延び、左右方向及び前後方
向に対して傾斜して配置されている。帰還路56は、その後端がディセンダ55に接続さ
れ、前端が連通路57に接続されている。ここで、互いに隣り合う第1帰還路56a及び
第2帰還路56bは、互いに異なる第1ディセンダ55a及び第2ディセンダ55bに接
続されるが、互いに同じ連通路57に接続されている。このため、1本の帰還路56が1
本のディセンダ55に接続しているが、複数(例えば、2本)の帰還路56が1本の連通
路57に接続している。
【0043】
第1帰還路56aは第1ディセンダ55aに接続され、第2帰還路56bは第2ディセ
ンダ55bに接続されている。第1ディセンダ55aは第1帰還路56aに接続された接
続口を有し、この接続口は第1ディセンダ55aの前端において左右方向の中心に設けら
れている。第2ディセンダ55bは第2帰還路56bに接続された接続口を有し、この接
続口は第2ディセンダ55bの前端において左右方向の中心に設けられている。
【0044】
連通路57は、第1帰還路56aに接続された第1接続口57o1、及び、第2帰還路
56bに接続された第2接続口57o2を有している。第1接続口57o1及び第2接続
口57o2は、連通路57において後端に設けられ、互いに左右方向に並んで配置されて
いる。
【0045】
このような構成によれば、第1ディセンダ55aからの液体は、第1帰還路56aを後
端から前端へ流れ、第1接続口57o1から連通路57に流入する。また、第2ディセン
ダ55bからの液体は、第2帰還路56bを後端から前端へ流れ、第2接続口57o2か
ら連通路57に流入する。この第1帰還路56a及び第2帰還路56bから流入した液体
は、連通路57で合流して帰還マニホールド26へ流出する。よって、第1帰還路56a
及び第2帰還路56bの各流量よりも多くの流量の液体が連通路57に流れるため、連通
路57における気泡の滞留が低減され、気泡による吐出不良を抑制することができる。
【0046】
また、ヘッド20において、第1帰還路56aは一方端から他方端まで第1方向に直線
状に延び、第2帰還路56bは一方端から他方端まで第2方向に直線状に延びている。こ
のような構成によれば、第1ディセンダ55aからの液体は第1帰還路56aにおいて一
定の第1方向に流れ、第2ディセンダ55bからの液体は第2帰還路56bにおいて一定
の第2方向に流れる。このため、各帰還路56において気泡が滞留し難く、気泡による吐
出不良を抑制することができる。
【0047】
更に、ヘッド20において、第1方向と第2方向とを合成した第3方向に直交する連通
路57の断面積(第3断面積)は、第1方向に直交する第1帰還路56a(第1断面積)
の断面積及び第2方向に直交する第2帰還路56bの断面積(第2断面積)のいずれの断
面積よりも大きい。
【0048】
具体的には、第1方向は、前後方向において後側から前側に向かって、左右方向の左側
から右側に延びる方向である。第2方向は、前後方向において後側から前側に向かって、
左右方向の右側から左側に延びる方向である。このように左右方向において第1方向と第
2方向とは互いに反対方向である。また、前後方向に対する第1方向の角度は、前後方向
に対する第2方向の角度に等しい。この場合、第1方向と第2方向とを合成した第3方向
は、左右方向である。
【0049】
連通路57の第3断面積は、第1帰還路56aの第1断面積よりも大きく、且つ、第2
帰還路56bの第2断面積よりも大きい。第1帰還路56aの第1断面積は第1方向にお
いて一定であり、第2帰還路56bの第2断面積は第2方向に一定であり、連通路57の
第3断面積は第3方向に一定である。但し、第1帰還路56aの断面積は第1方向に変化
してもよく、第2帰還路56bの断面積は第2方向に変化してもよく、連通路57の第3
断面積は第3方向に変化してもよい。この場合、連通路57の第3断面積のうち最小断面
積が、第1帰還路56aの第1断面積のうち最大断面積、及び、第2帰還路56bの第2
断面積のうち最大断面積よりも大きい。
【0050】
このような構成によれば、例えば、駆動素子24により圧力室54から第1ディセンダ
55aを介してノズル21に付与された圧力が、第1帰還路56aを伝播しても連通路5
7で開放されるため、連通路57を介して第2帰還路56bに伝わることを低減すること
ができる。また、駆動素子24により圧力室54から第2ディセンダ55bを介してノズ
ル21に付与された圧力が、第2帰還路56bを伝播しても連通路57で開放されるため
、連通路57を介して第1帰還路56aに伝わることを低減することができる。このよう
に、各帰還路56を介したクロストークを抑制することができる。
【0051】
また、ヘッド20において、第1方向と第2方向とは互いに異なり、第1帰還路56a
及び第2帰還路56bは、互いの間隔がディセンダ55から連通路57へ向かうに従って
小さくなるように配置されている。
【0052】
具体的には、第1ディセンダ55aに接続された第1帰還路56aの後端と第2ディセ
ンダ55bに接続された第2帰還路56bの後端との間隔は、連通路57に接続された第
1帰還路56aの前端と連通路57に接続された第2帰還路56bの前端との間隔よりも
広い。左右方向における第1帰還路56a及び第2帰還路56bの間隔は、後側から前側
に向かって徐々に小さくなっている。上下方向の上側から視たとき、第1帰還路56a、
連通路57及び第2帰還路56bは、V字形状に配置されている。各帰還路56は、前後
方向に対して傾斜している。この構成によれば、各帰還路56の長さを変えず、前後方向
におけるヘッド20の小型化を図ることができる。
【0053】
更に、ヘッド20において、第1帰還路56aと連通路57との第1接続口57o1と
、第2帰還路56bと連通路57との第2接続口57o2との間隔は、第1接続口57o
1の径e未満である。
【0054】
具体的には、第1帰還路56aと第2帰還路56bとは、互いに接続されることなく独
立しており、前端が連通路57に接続されている。連通路57において第1接続口57o
1と第2接続口57o2とは、互いに重なることなく、左右方向において隣接している。
第1接続口57o1と第2接続口57o2との間隔は、例えば、左右方向における第1接
続口57o1の径e未満である。この構成によれば、第1帰還路56aと第2帰還路56
bとの間隔を狭めることにより、左右方向におけるヘッド20の小型化を図ることができ
る。
【0055】
また、ヘッド20は、第1ディセンダ55aに接続された第1ノズル21aと、第2デ
ィセンダ55bに接続された第2ノズル21bと、を備えている。第1ノズル21aと第
2ノズル21bとの中点(ノズル中点21m)を通り且つ第1ノズル21aと第2ノズル
21bとを通る直線sに直交する平面(第1平面p1)上に、第1帰還路56aと連通路
57との第1接続口57o1と、第2帰還路56bと連通路57との第2接続口57o2
との中点(接続口中点57m)が配置されている。
【0056】
具体的には、複数のノズル21は、左右方向に互いに隣り合う第1ノズル21a及び第
2ノズル21bを有している。第1ノズル21aは第1ディセンダ55aにおいて左右方
向における中央に配置され、第2ノズル21bは第2ディセンダ55bにおいて左右方向
における中央に配置されている。第1ノズル21a及び第2ノズル21bは左右方向に互
いに間隔を空けて配列されている。第1ノズル21aと第2ノズル21bとを通る直線s
は、第1ディセンダ55aに接続された第1ノズル21aの基端の中心、及び、第2ディ
センダ55bに接続された第2ノズル21bの基端の中心を通り、左右方向に延びている
。また、連通路57において第1接続口57o1と第2接続口57o2とは左右方向に隣
り合って配置されている。
【0057】
左右方向における第1ノズル21aと第2ノズル21bとの間のノズル中点21mを通
り、左右方向に直交する第1平面p1上に、第1接続口57o1と第2接続口57o2と
の間の接続口中点57mが配置されている。このため、第1接続口57o1と第2接続口
57o2とは面対称に配置され、第1ノズル21aと第2ノズル21bとは面対称に配置
されている。
【0058】
これにより、第1ディセンダ55aから第1帰還路56aを介して連通路57に流れる
流れと、第2ディセンダ55bから第2帰還路56bを介して連通路57に流れる流れと
が、互いに均等になる。このため、第1ディセンダ55aから第1ノズル21aを介して
吐出される液体の方向、及び、第2ディセンダ55bから第2ノズル21bを介して吐出
される液体の方向が所定の方向からずれるのを低減することができる。
【0059】
更に、ヘッド20では、第1ノズル21aと第2ノズル21bとの中点(ノズル中点2
1m)を通り且つ第1ノズル21aと第2ノズル21bとを通る直線sに直交する平面(
第2平面p2)に対して、第1帰還路56aと第2帰還路56bとは対称に形成されてい
る。
【0060】
具体的には、第2平面p2は、ノズル中点21mを通り、左右方向に直交している。第
1帰還路56aと第2帰還路56bとは第2平面p2に対称に形成されている。このため
、第1帰還路56aの第1断面積と、第2帰還路56bの第2断面積とは互いに等しい。
第1方向に延びる第1帰還路56aの長さと、第2方向に延びる第2帰還路56bの長さ
とは互いに等しい。前後方向に対する第1帰還路56aの傾斜角度と、前後方向に対する
第2帰還路56bの傾斜角度とは互いに等しい。この構成によれば、液体は第1ディセン
ダ55aから第1帰還路56aへ及び第2ディセンダ55bから第2帰還路56bへ均等
に流れるため、各ディセンダ55から各ノズル21を介して吐出される液体の方向が所定
の方向からずれるのを低減することができる。
【0061】
また、ヘッド20では、第1ノズル21aと第2ノズル21bとが並ぶ方向において、
連通路57の寸法fは第1ノズル21aと第2ノズル21bとの間隔gよりも大きい。こ
の構成によれば、同じ連通路57に接続されて且つ左右方向に並ぶ第1帰還路56aと第
2帰還路56bとの間隔を大きく採ることができ、クロストークを抑制することができる
【0062】
<変形例1>
変形例1に係るヘッド20では、図4(a)に示すように、第1帰還路156aと連通
路157との第1接続口157o1と、第2帰還路156bと連通路157との第2接続
口157o2の間隔hは、第1接続口157o1の径e以上である。この間隔以外は、変
形例1のヘッド20が実施の形態1のヘッド20と同様であるため、その説明は省略する
【0063】
具体的には、第1接続口157o1と第2接続口157o2とは、左右方向において間
隔hを空けて配置され、この間隔hは左右方向における第1接続口157o1の径e以上
である。このように、第1帰還路156aと第2帰還路156bとの間隔を広げることに
より、クロストークを抑制することができる。
【0064】
<変形例2>
変形例2に係るヘッド20では、図4(b)に示すように、第1方向と第2方向とは互
いに同じである。第1帰還路256a及び第2帰還路256bは互いに平行に配置されて
いる。また、第1帰還路256aと連通路257との第1接続口257o1と、第2帰還
路256bと連通路257との第2接続口257o2の間隔hは、第1接続口257o1
の径e以上である。これ以外は、変形例2のヘッド20は実施の形態1のヘッド20と同
様であるため、その説明は省略する。
【0065】
例えば、第1方向及び第2方向は前後方向であって、各帰還路256は各ディセンダ5
5から連通路257に前後方向に延びている。左右方向における第1帰還路256aと第
2帰還路256bとの間隔は、各ディセンダ55から第2連通孔53に向かって一定であ
る。これにより、連通路257において第1接続口257o1と第2接続口257o2と
を互いに離して、第1帰還路256aと第2帰還路256bとの間隔を大きく採ることが
でき、クロストークを抑制することができる。
【0066】
<変形例3>
変形例3に係るヘッド20では、図5(a)に示すように、帰還マニホールド26(図
2)は複数の連通路357に接続されている。複数の連通路357は、互いに隣接する第
1連通路357a及び第2連通路357bを有している。第1連通路357aに接続され
た第1帰還路356aと、第2連通路357bに接続された第2帰還路356bとは、互
いに隣接して同じディセンダ355に接続されている。これ以外は、変形例3のヘッド2
0は実施の形態1のヘッド20と同様であるため、その説明は省略する。
【0067】
具体的には、ディセンダ355は、2本の帰還路356(第1帰還路356a、第2帰
還路356b)の後端に接続され、第1帰還路356aの後端との接続口及び第2帰還路
356bの後端との接続口を有している。同じディセンダ355に接続された第1帰還路
356a及び第2帰還路356bは、前後方向において連通路357に向かって左右方向
に互いに反対側に延びており、互いの間隔が広がるように前後方向に対して傾斜している
【0068】
第1ディセンダ355aに接続された第2帰還路356bと第2ディセンダ355bの
第1帰還路356aとが左右方向に隣り合うように、第1帰還路356a及び第2帰還路
356bは左右方向において交互に配列されている。第1ディセンダ355aの第2帰還
路356bと第2ディセンダ355bの第1帰還路356aとは、前後方向において各デ
ィセンダ355から連通路357に向かって、互いの間隔が近づくように延び、互いに同
じ連通路357に接続されている。このため、このため、上下方向の上側から視ると、第
1ディセンダ355aに接続された第1帰還路356a及び第2帰還路356b、連通路
357、並びに、第2ディセンダ355bに接続された第1帰還路356a及び第2帰還
路356bはW形状に配置されている。
【0069】
複数の連通路357は、左右方向において互いに隣り合う第1連通路357a及び第2
連通路357bを有している。第1連通路357aは、第1ディセンダ355aの第2帰
還路356bの前端に接続された第2接続口357o2、及び、第2ディセンダ355b
の第1帰還路356aの前端に接続された第1接続口357o1を有している。第2連通
路357bは、第2ディセンダ355bの第2帰還路356bの前端に接続された第2接
続口357o2、及び、第1ディセンダ355aの第1帰還路356aの前端に接続され
た第1接続口357o1を有している。
【0070】
このような構成により、第1ディセンダ355aからの液体は第1帰還路356a及び
第2帰還路356bに分流し、第2ディセンダ355bからの液体は第1帰還路356a
及び第2帰還路356bに分流する。これにより、ディセンダ355における流れが均一
化するため、ディセンダ355からノズル21を介して吐出される液体の方向が所定の方
向からずれるのを低減することができる。
【0071】
また、第1ディセンダ355aの第2帰還路356bからの液体及び第2ディセンダ3
55bの第1帰還路356aからの液体は第1連通路357aで合流し、第2ディセンダ
355bの第2帰還路356bからの液体及び第1ディセンダ355aの第1帰還路35
6aからの液体は第2連通路357bで合流する。これによって、連通路357を流れる
液体の速度が分流により低下することを抑制するため、気泡の滞留を低減し、気泡による
吐出不良を抑制することができる。
【0072】
<変形例4>
変形例4に係るヘッド20は、図5(b)に示すように、圧力室54に隣接して配置さ
れたダミー室64と、ダミー室64からそれぞれ延びたダミーディセンダ65と、ダミー
ディセンダ65の延伸方向と交差する方向にダミーディセンダ65から延びたダミー帰還
路66と、を備えている。連通路57は、ダミー帰還路66に隣接した第1帰還路56a
と、ダミー帰還路66とに接続されている。
【0073】
具体的には、ヘッド20はダミー流路60及び複数の個別流路50を有している。ダミ
ー流路60及び個別流路50は左右方向に列を成して並んでおり、ダミー流路60はこの
列の端に配置されている。
【0074】
ダミー流路60は、その上流端が供給マニホールド25に接続され、下流端が帰還マニ
ホールド26に接続されている。ダミー流路60は、第1ダミー孔、ダミー供給路、第2
ダミー孔、ダミー室64、ダミーディセンダ65、ダミー帰還路66及び連通路57を有
し、これらはこの順で接続されている。この連通路57は、ダミー流路60及び個別流路
50に兼用されている。
【0075】
ダミー流路60は、ノズル21から液体を吐出しない点を除いて、個別流路50と同様
である。例えば、駆動素子24が駆動されないよう駆動素子24に制御部15(図1)が
接続されていないなど、ダミー流路60に接続されたノズル21から液体を吐出しないよ
うに構成されている。但し、ノズル21から液体を吐出しない構成についてはこれに限定
されない。例えば、ダミー流路60がノズル21に接続されていなくてもよいし、ダミー
室64に対応して駆動素子24が設けられていなくてもよい。
【0076】
ダミー流路60は個別流路50と同様の形状を有している。このため、ダミー流路60
における第1ダミー孔、ダミー供給路、第2ダミー孔、ダミー室64、ダミーディセンダ
65及びダミー帰還路66は、個別流路50における第1連通孔51、供給路52、第2
連通孔53、圧力室54、ディセンダ55及び帰還路56のそれぞれと同様の形状を有し
ている。
【0077】
複数の個別流路50の列において端に配置された第1帰還路56a(端の第1帰還路5
6a)及びダミー流路60のダミー帰還路66が、左右方向において互いに隣り合って配
置されており、互いに同じ連通路57に接続されている。連通路57は、端の第1帰還路
56aとの第1接続口57o1、及び、ダミー帰還路66とのダミー接続口57odを有
している。ダミー帰還路66は、その後端がダミーディセンダ65に接続され、前端が連
通路57に接続されている。
【0078】
例えば、左右方向に配列された帰還路56の数が奇数の場合、端の第1帰還路56aが
第2帰還路56bと対を成すことができず、この端の第1帰還路56aの個別流路50と
これ以外の個別流路50との間に構造的な違いが生じてしまい、これらの液体の吐出がば
らついてしまう。これに対し、端の第1帰還路56aとこれに隣接するダミー帰還路66
とを同じ連通路57に接続することによって、全ての帰還路56及びダミー帰還路66を
対にして連通路57に接続することができ、左右方向に配列された複数の個別流路50の
構造を均一にすることができる。よって、ダミー帰還路66と対を成す端の第1帰還路5
6aについても、第2帰還路56bと対を成す他の第1帰還路56aと同様に、液体が流
れる。よって、端の第1帰還路56aに連通するノズル21は、他の第1帰還路56aに
連通するノズル21と同様の吐出性能を有する。これにより、ヘッド20における吐出バ
ラつきを低減することができる。
【0079】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい
。例えば、変形例3を変形例1及び2に、変形例4は変形例1~3に適用してもよい。
【0080】
また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明ら
かである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行す
る最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱する
ことなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の液体吐出ヘッドは、気泡による吐出不良を抑制することができる液体吐出ヘッ
ド等として有用である。
【符号の説明】
【0082】
20 :ヘッド
21 :ノズル
21a :第1ノズル
21b :第2ノズル
26 :帰還マニホールド
51 :第1連通孔
53 :第2連通孔
54 :圧力室
55 :ディセンダ
55a :第1ディセンダ
55b :第2ディセンダ
56 :帰還路
56a :第1帰還路
56b :第2帰還路
57 :連通路
57o1 :第1接続口
57o2 :第2接続口
64 :ダミー室
65 :ダミーディセンダ
66 :ダミー帰還路
156a :第1帰還路
156b :第2帰還路
157 :連通路
157o1 :第1接続口
157o2 :第2接続口
256 :帰還路
256a :第1帰還路
256b :第2帰還路
257 :連通路
257o1 :第1接続口
257o2 :第2接続口
355 :ディセンダ
355a :第1ディセンダ
355b :第2ディセンダ
356 :帰還路
356a :第1帰還路
356b :第2帰還路
357 :連通路
図1
図2
図3
図4
図5