(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032906
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法、および、電子部品の製造装置
(51)【国際特許分類】
H01G 13/00 20130101AFI20240305BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240305BHJP
H01C 17/00 20060101ALI20240305BHJP
H01F 41/00 20060101ALI20240305BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01G13/00 331D
H01G13/00 391Z
H01G4/30 311Z
H01C17/00 100
H01F41/00 C
H01F41/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012464
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2021181477の分割
【原出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】大坂 文哉
(72)【発明者】
【氏名】東度 達哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳也
(57)【要約】
【課題】電子部品の振込性および整列性を向上する電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品の製造方法は、整列装置100を用いて、電子部品1を一括整列する整列工程を含む。整列装置100は、第2貫通孔122を有する第2平板120と、第2貫通孔よりも小さく、内壁に弾性部材134が配置された第3貫通孔132を有する第3平板130とを備える。整列工程は、磁石150により整列され第2貫通孔122に落とし込まれた電子部品1を押圧部材160を用いて押圧し、第2貫通孔122における電子部品1を第3貫通孔132に移動させ、弾性部材134によって電子部品1を保持する工程とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整列装置を用いて、複数の電子部品を一括整列する整列工程を含む電子部品の製造方法であって、
前記整列装置は、
所定方向に整列された複数の第2貫通孔を有する第2平板と、
前記所定方向に整列された複数の第3貫通孔を有し、前記第2平板と重なるように配置された第3平板であって、前記複数の第3貫通孔は前記複数の第2貫通孔よりも小さく、前記複数の第3貫通孔の内壁には複数の弾性部材がそれぞれ配置されている、前記第3平板と、
を備え、
前記整列工程は、磁石により整列され前記複数の第2貫通孔にそれぞれ落とし込まれた複数の電子部品を、複数の押圧部材を用いてそれぞれ押圧することによって、前記複数の第2貫通孔における前記複数の電子部品を前記複数の第3貫通孔にそれぞれ移動させ、前記複数の第3貫通孔の内壁の前記複数の弾性部材によって前記複数の電子部品をそれぞれ保持する第1保持工程を含む、
電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記整列装置は、粘着性を有する第4平板を備え、
前記整列工程は、前記第1保持工程の後に、前記複数の押圧部材を用いて前記複数の電子部品をそれぞれ押圧することによって、前記複数の第3貫通孔における前記複数の電子部品を前記第4平板に相対的に移動させ、前記第4平板によって前記複数の電子部品を保持する第2保持工程を含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
複数の電子部品を一括整列する整列装置を含む電子部品の製造装置であって、
前記整列装置は、
所定方向に整列された複数の第2貫通孔を有する第2平板と、
前記所定方向に整列された複数の第3貫通孔を有し、前記第2平板と重ねて配置された第3平板であって、前記複数の第3貫通孔は前記複数の第2貫通孔よりも小さく、前記複数の第3貫通孔の内壁には複数の弾性部材がそれぞれ配置されている、前記第3平板と、
前記整列装置を全体的に制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の押圧部材を用いて前記複数の電子部品をそれぞれ押圧することによって、前記複数の第2貫通孔に落とし込まれ、磁石により整列された前記複数の電子部品を前記複数の第3貫通孔にそれぞれ移動させ、前記複数の第3貫通孔の内壁の前記複数の弾性部材によって前記複数の電子部品をそれぞれ保持する、
電子部品の製造装置。
【請求項4】
前記整列装置は、粘着性を有する第4平板を備え、
前記制御部は、
前記複数の押圧部材を用いて前記複数の電子部品をそれぞれ押圧することによって、前記複数の第3貫通孔における前記複数の電子部品を前記第4平板に相対的に移動させ、前記第4平板によって前記複数の電子部品を保持する、
請求項3に記載の電子部品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法、および、電子部品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を製造する際、電子部品を所定の状態に保持する保持治具が用いられる。特許文献1には、このような保持治具および整列板が開示されている。特許文献1に開示の保持治具は、内表面が弾性である保持孔を有し、整列板は、保持治具の上面側に配置され、複数の貫通孔を有する。そして、特許文献1には、
・整列板上に複数の電子部品を配置し、
・整列板を振動させることによって、整列板の貫通孔に電子部品を振り込み、これにより電子部品を整列し、
・押圧部材を用いて、整列板に振り込まれた電子部品を保持治具の保持孔に押圧し、これにより電子部品を保持する、
ことによって、電子部品を整列して保持することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の整列性の観点から、整列板の貫通孔は小さいことが好ましい。しかし、整列板の貫通孔を小さくすると、整列板を振動させて整列板の貫通孔に電子部品を振り込む際、整列板の貫通孔に電子部品を振り込み難くなる。
【0005】
そのため、電子部品の振込性の観点から、整列板の貫通孔を大きくする必要がある。しかし、整列板の貫通孔を大きくすると、整列板の貫通孔において電子部品の姿勢が不安定となってしまう。そのため、電子部品を保持治具の保持孔に押圧する際、電子部品は不安定な姿勢のまま整列して保持されてしまう。
【0006】
本発明は、電子部品の振込性および整列性を向上する電子部品の製造方法、および、電子部品の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子部品の製造方法は、整列装置を用いて、複数の電子部品を一括整列する整列工程を含む電子部品の製造方法である。前記整列装置は、所定方向に整列された複数の第2貫通孔を有する第2平板と、前記所定方向に整列された複数の第3貫通孔を有し、前記第2平板と重なるように配置された第3平板であって、前記複数の第3貫通孔は前記複数の第2貫通孔よりも小さく、前記複数の第3貫通孔の内壁には複数の弾性部材がそれぞれ配置されている、前記第3平板と、を備える。前記整列工程は、磁石により整列され前記複数の第2貫通孔にそれぞれ落とし込まれた複数の電子部品を、複数の押圧部材を用いてそれぞれ押圧することによって、前記複数の第2貫通孔における前記複数の電子部品を前記複数の第3貫通孔にそれぞれ移動させ、前記複数の第3貫通孔の内壁の前記複数の弾性部材によって前記複数の電子部品をそれぞれ保持する第1保持工程と、を含む。
【0008】
本発明に係る電子部品の製造装置は、複数の電子部品を一括整列する整列装置を含む電子部品の製造装置である。前記整列装置は、所定方向に整列された複数の第2貫通孔を有する第2平板と、前記所定方向に整列された複数の第3貫通孔を有し、前記第2平板と重ねて配置された第3平板であって、前記複数の第3貫通孔は前記複数の第2貫通孔よりも小さく、前記複数の第3貫通孔の内壁には複数の弾性部材がそれぞれ配置されている、前記第3平板と、前記整列装置を全体的に制御する制御部と、を備える。前記制御部は、複数の押圧部材を用いて前記複数の電子部品をそれぞれ押圧することによって、前記複数の第2貫通孔に落とし込まれ、磁石により整列された前記複数の電子部品を前記複数の第3貫通孔にそれぞれ移動させ、前記複数の第3貫通孔の内壁の前記複数の弾性部材によって前記複数の電子部品をそれぞれ保持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品の振込性および整列性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る電子部品の製造装置に含まれる整列装置を示す概略平面図である。
【
図2】
図1に示す電子部品の製造装置に含まれる整列装置のII-II線に沿う概略断面図である。
【
図3】本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における振込工程を示す概略図である。
【
図4】本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第1整列工程(第1平板整列工程)を示す概略図である。
【
図5】本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第2整列工程(第2平板整列工程)を示す概略図である。
【
図6】本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第1保持工程を示す概略図である。
【
図7】本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第2保持工程を示す概略図である。
【
図8】本実施形態に係る電子部品の製造方法における導電性部材配置工程を示す概略図である。
【
図9】本実施形態に係る電子部品の一例(積層セラミックコンデンサ)を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す電子部品の一例(積層セラミックコンデンサ)のX-X線断面図(LT断面)である。
【
図11】
図9に示す電子部品の一例である積層セラミックコンデンサのXI-XI線断面図(WT断面)である。
【
図12】比較例に係る電子部品の整列装置および整列工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0012】
(電子部品:積層セラミックコンデンサ)
まず、本実施形態に係る製造方法および製造装置によって製造される電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて、
図9~
図11を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係る電子部品の一例(積層セラミックコンデンサ)を示す斜視図であり、
図10は、
図9に示す電子部品の一例(積層セラミックコンデンサ)のX-X線断面図であり、
図11は、
図9に示す電子部品の一例(積層セラミックコンデンサ)のXI-XI線断面図である。
図9~
図11に示す電子部品(積層セラミックコンデンサ)1は、積層体10と、外部電極40と、導電性部材50とを備える。外部電極40は、第1の外部電極41と第2の外部電極42とを含む。
【0013】
図9~
図11には、XYZ直交座標系が示されている。X方向は電子部品1および積層体10の長さ方向Lであり、Y方向は電子部品1および積層体10の幅方向Wであり、Z方向は電子部品1および積層体10の積層方向Tである。これにより、
図10に示す断面はLT断面とも称され、
図11に示す断面はWT断面とも称される。
【0014】
なお、長さ方向L、幅方向Wおよび積層方向Tは、必ずしも互いに直交する関係になるとは限らず、互いに交差する関係であってもよい。
【0015】
積層体10は、略直方体形状であり、積層方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2とを有する。
【0016】
積層体10の角部および稜線部には、丸みがつけられていると好ましい。角部は、積層体10の3面が交る部分であり、稜線部は、積層体10の2面が交る部分である。
【0017】
図10および
図11に示すように、積層体10は、積層方向Tに積層された複数の誘電体層20と複数の内部電極層30とを有する。また、積層体10は、積層方向Tにおいて、内層部10Aと、内層部10Aを挟み込むように配置された第1の外層部10Bおよび第2の外層部10Cとを有する。
【0018】
内層部10Aは、複数の誘電体層20の一部と複数の内部電極層30とを含む。内層部10Aでは、複数の内部電極層30が誘電体層20を介して対向して配置されている。内層部10Aは、静電容量を発生させ実質的にコンデンサとして機能する部分である。
【0019】
第1の外層部10Bは、積層体10の第1の主面TS1側に配置されており、第2の外層部10Cは、積層体10の第2の主面TS2側に配置されている。より具体的には、第1の外層部10B、複数の内部電極層30のうち第1の主面TS1に最も近い内部電極層30と第1の主面TS1との間に配置されており、第2の外層部10Cは、複数の内部電極層30のうち第2の主面TS2に最も近い内部電極層30と第2の主面TS2との間に配置されている。第1の外層部10Bおよび第2の外層部10Cは、内部電極層30を含まず、複数の誘電体層20のうち内層部10Aのための一部以外の部分をそれぞれ含む。第1の外層部10Bおよび第2の外層部10Cは、内層部10Aの保護層として機能する部分である。
【0020】
誘電体層20の材料としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3等を主成分として含む誘電体セラミックを用いることができる。また、誘電体層20の材料としては、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、またはNi化合物等を副成分として添加されてもよい。
【0021】
複数の内部電極層30は、複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32を含む。複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32は、積層体10の積層方向Tに交互に配置されている。
【0022】
第1の内部電極層31は、対向電極部31Aと引出電極部31Bとを含み、第2の内部電極層32は、対向電極部32Aと引出電極部32Bとを含む。
【0023】
対向電極部31Aと対向電極部32Aとは、積層体10の積層方向Tにおいて誘電体層20を介して互いに対向している。対向電極部31Aおよび対向電極部32Aの形状は、特に限定されず、例えば略矩形状であればよい。対向電極部31Aと対向電極部32Aとは、静電容量を発生させ実質的にコンデンサとして機能する部分である。
【0024】
引出電極部31Bは、対向電極部31Aから積層体10の第1の端面LS1に向けて延在し、第1の端面LS1において露出している。引出電極部32Bは、対向電極部32Aから積層体10の第2の端面LS2に向けて延在し、第2の端面LS2において露出している。引出電極部31Bおよび引出電極部32Bの形状は、特に限定されず、例えば略矩形状であればよい。
【0025】
これにより、第1の内部電極層31は第1の外部電極41に接続され、第1の内部電極層31と、積層体10の第2の端面LS2、すなわち第2の外部電極42、との間にはギャップが存在する。また、第2の内部電極層32は第2の外部電極42に接続され、第2の内部電極層32と、積層体10の第1の端面LS1、すなわち第1の外部電極41、との間にはギャップが存在する。
【0026】
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、金属Niを主成分として含む。また、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えば、Cu、Ag、Pd、またはAu等の金属、またはAg-Pd合金等の、それらの金属の少なくとも一種を含む合金、から選ばれる少なくとも1つを主成分として含んでもよいし、主成分以外の成分として含んでもよい。更に、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、誘電体層20に含まれるセラミックと同一組成系の誘電体の粒子を主成分以外の成分として含んでいてもよい。なお、本明細書において、主成分の金属とは、最も重量%が高い金属成分であると定める。
【0027】
図11に示すように、積層体10は、幅方向Wにおいて、内部電極層30が対向する電極対向部W30と、電極対向部W30を挟み込むように配置された第1のサイドギャップ部WG1および第2のサイドギャップ部WG2とを有する。第1のサイドギャップ部WG1は、電極対向部W30と第1の側面WS1との間に位置し、第2のサイドギャップ部WG2は、電極対向部W30と第2の側面WS2との間に位置する。より具体的には、第1のサイドギャップ部WG1は、内部電極層30の第1の側面WS1側の端と第1の側面WS1との間に位置し、第2のサイドギャップ部WG2は、内部電極層30の第2の側面WS2側の端と第2の側面WS2との間に位置する。第1のサイドギャップ部WG1および第2のサイドギャップ部WG2は、内部電極層30を含まず、誘電体層20のみを含む。第1のサイドギャップ部WG1および第2のサイドギャップ部WG2は、内部電極層30の保護層として機能する部分である。なお、第1のサイドギャップ部WG1および第2のサイドギャップ部WG2は、Wギャップともいう。
【0028】
図10に示すように、積層体10は、長さ方向Lにおいて、内部電極層30の第1の内部電極層31と第2の内部電極層32とが対向する電極対向部L30と、第1のエンドギャップ部LG1と、第2のエンドギャップ部LG2とを有する。第1のエンドギャップ部LG1は、電極対向部L30と第1の端面LS1との間に位置し、第2のエンドギャップ部LG2は、電極対向部L30と第2の端面LS2との間に位置する。より具体的には、第1のエンドギャップ部LG1は、第2の内部電極層32の第1の端面LS1側の端と第1の端面LS1との間に位置し、第2のエンドギャップ部LG2は、第1の内部電極層31の第2の端面LS2側の端と第2の端面LS2との間に位置する。第1のエンドギャップ部LG1は、第2の内部電極層32を含まず、第1の内部電極層31および誘電体層20を含み、第2のエンドギャップ部LG2は、第1の内部電極層31を含まず、第2の内部電極層32および誘電体層20を含む。第1のエンドギャップ部LG1は、第1の内部電極層31の第1の端面LS1への引出電極部として機能する部分であり、第2のエンドギャップ部LG2は、第2の内部電極層32の第2の端面LS2への引出電極部として機能する部分である。第1のエンドギャップ部LG1および第2のエンドギャップ部LG2は、Lギャップともいう。
【0029】
なお、電極対向部L30には、上述した第1の内部電極層31の対向電極部31Aおよび第2の内部電極層32の対向電極部32Aが位置する。また、第1のエンドギャップ部LG1には、上述した第1の内部電極層31の引出電極部31Bが位置し、第2のエンドギャップ部LG2には、上述した第2の内部電極層32の引出電極部32Bが位置する。
【0030】
外部電極40は、第1の外部電極41と第2の外部電極42とを含む。
【0031】
第1の外部電極41は、積層体10の第1の端面LS1に配置されており、第1の内部電極層31に接続されている。第1の外部電極41は、第1の端面LS1から、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部に延びていてもよい。また、第1の外部電極41は、第1の端面LS1から、第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部に延びていてもよい。
【0032】
第2の外部電極42は、積層体10の第2の端面LS2に配置されており、第2の内部電極層32に接続されている。第2の外部電極42は、第2の端面LS2から、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部に延びていてもよい。また、第2の外部電極42は、第2の端面LS2から、第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部に延びていてもよい。
【0033】
第1の外部電極41は、第1の下地電極層41Aと第1のめっき層41Bとを有し、第2の外部電極42は、第2の下地電極層42Aと第2のめっき層42Bとを有する。なお、第1の外部電極41は第1のめっき層41Bのみから構成されていてもよいし、第2の外部電極42は第2のめっき層42Bのみから構成されていてもよい。
【0034】
第1の下地電極層41Aおよび第2の下地電極層42Aは、金属とガラスとを含む焼成層であってもよい。ガラスとしては、B、Si、Ba、Mg、Al、またはLi等から選ばれる少なくとも1つを含むガラス成分が挙げられる。具体例として、ホウケイ酸ガラスを用いることができる。金属としては、Cuを主成分として含む。また、金属としては、例えばNi、Ag、Pd、またはAu等の金属、またはAg-Pd合金等の合金、から選ばれる少なくとも1つを主成分として含んでもよいし、主成分以外の成分として含んでもよい。
【0035】
焼成層は、金属およびガラスを含む導電性ペーストをディップ法によって積層体に塗布して焼成した層である。なお、内部電極層の焼成後に焼成されてもよく、内部電極層と同時に焼成されてもよい。また、焼成層は、複数層であってもよい。
【0036】
或いは、第1の下地電極層41Aおよび第2の下地電極層42Aは、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層であってもよい。樹脂層は、上述した焼成層上に形成されてもよいし、焼成層を形成せずに積層体に直接形成されてもよい。
【0037】
樹脂層は、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む導電性ペーストを塗布法によって積層体に塗布して焼成した層である。なお、内部電極層の焼成後に焼成されてもよく、内部電極層と同時に焼成されてもよい。また、樹脂層は、複数層であってもよい。
【0038】
焼成層または樹脂層としての第1の下地電極層41Aおよび第2の下地電極層42Aの各々の一層あたりの厚さとしては、特に限定されず、1μm以上10μm以下であってもよい。
【0039】
或いは、第1の下地電極層41Aおよび第2の下地電極層42Aは、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の薄膜層であってもよい。
【0040】
第1のめっき層41Bは、第1の下地電極層41Aの少なくとも一部を覆い、第2のめっき層42Bは、第2の下地電極層42Aの少なくとも一部を覆う。第1のめっき層41Bおよび第2のめっき層42Bとしては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、またはAu等の金属、またはAg-Pd合金等の合金から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0041】
第1のめっき層41Bおよび第2のめっき層42Bの各々は複数層により形成されていてもよい。好ましくは、NiめっきおよびSnめっきの2層構造である。Niめっき層は、下地電極層がセラミック電子部品を実装する際のはんだによって侵食されることを防止することができ、Snめっき層は、セラミック電子部品を実装する際のはんだの濡れ性を向上させ、容易に実装することができる。
【0042】
第1のめっき層41Bおよび第2のめっき層42Bの各々の一層あたりの厚さとしては、特に限定されず、1μm以上10μm以下であってもよい。
【0043】
導電性部材50は、外部電極40、すなわち第1の外部電極41および第2の外部電極42、の実装面側に配置されている。導電性部材50としては、バンプまたはインターポーザ等が挙げられる。これにより、いわゆる鳴きの発生を抑制することができる。以下に詳説する。
【0044】
このような電子部品1において、外部電極40間に電圧を印加すると、誘電体層20は、印加される電圧に応じて、電界誘起歪みを起す。電子部品1が基板上に表面実装されている場合、この電界誘起歪みにより、電子部品1が基板を変形させ、この変形の周波数によって「鳴き」と呼ばれる音を生じさせる。そして、この「鳴き」が大きくなると、騒音の問題を引き起こす。
【0045】
この問題点に関し、鳴きを抑制するために、半田の濡れ上がりを抑制することが知られている。例えば、電子部品1の実装面側に、バンプまたはインターポーザ等の導電性部材50を配置することにより、半田の濡れ上がりを抑制することができ、鳴きの発生を抑制することができる。
【0046】
(電子部品の製造方法)
次に、上述した電子部品(積層セラミックコンデンサ)1の製造方法について説明する。まず、誘電体層20用の誘電体シートおよび内部電極層30用の導電性ペーストを準備する。誘電体シートおよび導電性ペーストには、バインダおよび溶剤が含まれる。バインダおよび溶剤としては公知の材料を用いることができる。
【0047】
次に、誘電体シート上に導電性ペーストを、例えば所定のパターンで印刷することにより、誘電体シート上に内部電極パターンを形成する。内部電極パターンの形成方法としては、スクリーン印刷またはグラビア印刷等を用いることができる。
【0048】
次に、内部電極パターンが印刷されていない第2の外層部10C用の誘電体シートを所定枚数積層する。その上に、内部電極パターンが印刷された内層部10A用の誘電体シートを順次積層する。その上に、内部電極パターンが印刷されていない第1の外層部10B用の誘電体シートを所定枚数積層する。これにより、積層シートが作製される。
【0049】
次に、静水圧プレス等の手段により、積層シートを積層方向にプレスし、積層ブロックを作製する。次に、積層ブロックを所定のサイズにカットし、積層チップを切り出す。このとき、バレル研磨等により積層チップの角部および稜線部に丸みをつける。次に、積層チップを焼成し、積層体10を作製する。焼成温度は、誘電体や内部電極の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
【0050】
なお、積層チップの作製として、積層体の幅方向Wの側面WS1およびWS2におけるサイドギャップの誘電体を後から付与する工法が適用されてもよい。この場合、内部電極層の幅方向Wの両側の端部が揃う(例えば5μmの誤差で揃う)。
【0051】
次に、ディップ法を用いて、積層体10の第1の端面LS1を下地電極層用の電極材料である導電性ペーストに浸漬することによって、第1の端面LS1に第1の下地電極層415用の導電性ペーストを塗布する。同様に、ディップ法を用いて、積層体10の第2の端面LS2を下地電極層用の電極材料である導電性ペーストに浸漬することによって、第2の端面LS2に第2の下地電極層425用の導電性ペーストを塗布する。その後、これらの導電性ペーストを焼成することにより、焼成層である第1の下地電極層415および第2の下地電極層425が形成される。焼成温度は、600℃以上900℃以下であることが好ましい。
【0052】
なお、上述したように、導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む導電性ペーストを塗布法によって塗布して焼成することによって、樹脂層である第1の下地電極層415および第2の下地電極層425を形成してもよいし、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により、薄膜である第1の下地電極層415および第2の下地電極層425を形成してもよい。
【0053】
また、上述では、積層チップを焼成した後に下地電極層を形成して焼成した、すなわち積層体と外部電極とを別々に焼成した。しかし、積層チップを焼成する前に下地電極層を形成して焼成してもよい、すなわち、積層体と外部電極とを同時に焼成してもよい。
【0054】
その後、第1の下地電極層415の表面に第1のめっき層416を形成して第1の外部電極41を形成し、第2の下地電極層425の表面に第2のめっき層426を形成して第2の外部電極42を形成する。以上の工程により、上述した電子部品(積層セラミックコンデンサ)1が得られる。
【0055】
その後、電子部品1を一括整列して保持する(整列工程)。整列工程、および整列工程で用いられる整列装置については、後述する。
【0056】
その後、外部電極40、すなわち第1の外部電極41および第2の外部電極42の実装面側に、バンプまたはインターポーザ等の導電性部材50を配置する(導電性部材配置工程)。例えば、バンプを形成する場合、第1の外部電極41および第2の外部電極42の実装面側に、導電性ペーストを塗布または印刷し、焼成する。導電性ペーストとしては、CuおよびNiから選ばれる少なくとも1種の高融点金属と低融点金属としてのSnとを含む金属材料が挙げられる。
【0057】
(電子部品の製造装置:整列装置)
次に、本実施形態に係る電子部品の製造装置における整列装置について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電子部品の製造装置における整列装置を示す概略平面図であり、
図2は、
図1に示す電子部品の製造装置における整列装置のII-II線に沿う概略断面図である。
【0058】
図1および
図2に示す整列装置(製造装置)100は、上述した電子部品の製造方法における整列工程において、電子部品1を一括整列して保持する装置である。整列装置100は、第1整列板(第1平板)110と、第2整列板(第2平板)120と、保持治具(第3平板)130と、保持板(第4平板)140と、磁石150と、台152と、複数の押圧部材160と、制御部170とを備える。
【0059】
なお、
図1では、
図2における整列装置100における第1整列板110、第2整列板120および保持治具130以外の構成要素を省略する。また、
図1および
図2には、XYZ直交座標系が示されている。なお、
図1および
図2におけるXYZ直交座標系と、
図9~
図11におけるXYZ直交座標系とは、必ずしも一致するとは限らない。
図1および
図2において、XY平面は、第1整列板110、第2整列板120、保持治具130および保持板140の上面および下面に沿う平面であり、Z方向は、第1整列板110、第2整列板120、保持治具130および保持板140の重なり方向である。
【0060】
第1整列板110は、Y方向(所定方向)およびX方向に整列された複数の第1貫通孔112を有する。第1貫通孔112は、電子部品1の形状に対応して、長方形状または略長方形状である。例えば、電子部品1の長さ方向Lの長さをL1とし、幅方向Wの幅をW1とし、厚さ方向Tの厚さをT1とすると(例えば1206サイズのように、一般にはおおよそL1=2×W1=2×T1であることが多い)、第1貫通孔112のX方向の大きさは、L1よりも大きければよく、約1.2×L1であると好ましい。第1貫通孔112のY方向の大きさは、√(W12+T12)×W1よりも大きくかつL1よりも小さければよく、約1.5×W1であると好ましい。第1貫通孔112のZ方向の大きさは、√(W12+T12)×W1よりも大きければよい。これにより、後述する振込工程において、電子部品1を第1貫通孔112に振り込み易くすることができる。また、後述する第1整列工程において、第1貫通孔112において電子部品1を回転し易くすることができる。
【0061】
第1整列板110における第1貫通孔112の周縁部の上面側には、テーパ加工が施されている。これにより、後述する振込工程において、電子部品1を第1貫通孔112に振り込み易くすることができる。
【0062】
第1整列板110は、金属、樹脂、または弾性部材を含む。これにより、電子部品1が傷つくことを低減することができる。
【0063】
第2整列板120は、Y方向(所定方向)およびX方向に整列された複数の第2貫通孔122を有する。第2整列板120は、第2貫通孔122の少なくとも一部が第1貫通孔112と重ならないように、第1整列板110の下面側に配置されている。第2貫通孔122は、電子部品1の形状に対応して、長方形状または略長方形状である。第2貫通孔122のY方向の大きさは、第1貫通孔112のY方向の大きさよりも小さい。なお、第2貫通孔122のX方向およびZ方向の大きさは、第1貫通孔112のX方向およびZ方向の大きさと同様であればよい。これにより、後述する第2整列工程および第1保持工程において、電子部品1の姿勢を安定させることができる。
【0064】
第2整列板120における第2貫通孔122の周縁部の上面側には、テーパ加工が施されている。これにより、後述する第2整列工程において、電子部品1を第2貫通孔122に落とし込む際に、90度回転し易くすることができる。
【0065】
第2整列板120は、金属、樹脂、または弾性部材を含む。これにより、電子部品1が傷つくことを低減することができる。
【0066】
保持治具130は、第2整列板120の下面側に配置されている。保持治具130は、Y方向(所定方向)およびX方向に整列された複数の第3貫通孔132を有する。第3貫通孔132の内壁には、弾性部材134が配置されている。保持治具130は、第3貫通孔132の内壁の弾性部材134によって、第3貫通孔132における電子部品1を保持する。
【0067】
第3貫通孔132は、電子部品1の形状に対応して、長方形状または略長方形状である。第3貫通孔132のY方向の大きさは、第1貫通孔112のY方向の大きさよりも小さい。なお、第3貫通孔132のX方向およびZ方向の大きさは、第2貫通孔122のX方向およびZ方向の大きさと同様であればよい。
【0068】
保持治具130は、金属または樹脂を含み、弾性部材134は、ゴムまたはシリコーン樹脂を含む。これにより、電子部品1が傷つくことを低減することができる。
【0069】
保持板140は、粘着性を有しており、電子部品1を保持する。
【0070】
台152は、磁石150を移動するための台であり、第1整列板110と磁石150との間に配置されている。磁石150は、X方向に延びた直方体であり、台152に沿ってY方向(所定方向)に移動する。
【0071】
押圧部材160は、電子部品1を押圧するための部材である。押圧部材160は、第1貫通孔112、第2貫通孔122、第3貫通孔132に対応して、断面長方形状であり、Z方向に延びる直方体形状である。押圧部材160は、金属、樹脂、または弾性部材を含む。これにより、電子部品1が傷つくことを低減することができる。
【0072】
制御部170は、整列装置(製造装置)100を全体的に制御する。制御部170は、後述する整列工程における振込工程、第1整列工程、第2整列工程、第1保持工程および第2保持工程を実現するように機能する。
【0073】
制御部170は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御部170の各種機能は、例えば記憶部に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)40に記録されて提供されてもよい。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。
【0074】
(電子部品の製造方法:整列工程)
次に、本実施形態に係る電子部品の製造方法における上述した整列工程について、
図3~
図8を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における振込工程を示す概略図である。
図4は、本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第1整列工程(第1平板整列工程)を示す概略図であり、
図5は、本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第2整列工程(第2平板整列工程)を示す概略図である。
図6は、本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第1保持工程を示す概略図であり、
図7は、本実施形態に係る電子部品の製造方法における整列工程における第2保持工程を示す概略図である。また、
図8は、本実施形態に係る電子部品の製造方法における導電性部材配置工程を示す概略図である。
【0075】
まず、積層体10の端面に外部電極40が形成された複数の電子部品1を、第1整列板110の上面に配置する。次に、
図3に示すように、制御部170の制御により、第1整列板110を振動させることによって、第1整列板110の上面に配置された電子部品1を、第1整列板110の第1貫通孔112にそれぞれ振り込む(振込工程)。
【0076】
このとき、上述したように、第1貫通孔112のY方向の大きさが比較的に大きいので、電子部品1を第1貫通孔112に振り込み易い。また、第1整列板110における第1貫通孔112の周縁部の上面側には、テーパ加工が施されているので、電子部品1を第1貫通孔112に振り込み易い。
【0077】
次に、
図4に示すように、電子部品1の積層方向Tを一括整列する。具体的には、制御部170の制御により、台152上において磁石150をY方向(所定方向)に移動させる。これにより、磁力線を内部電極層に作用させ、第1貫通孔112において、積層方向TがY方向でない電子部品1を回転させ、全ての電子部品1の積層方向TがY方向、換言すれば水平方向、に揃うように、電子部品1を一括整列させる(第1整列工程)。磁石150の移動速度は、100mm/s以下であることが好ましい。また、磁石150の移動は、複数回行われてもよい。
【0078】
なお、磁石150をX方向に移動させる代わりに、第1整列板110をX方向に移動させてもよい。すなわち、磁石150を第1整列板110に対して相対的にX方向に移動させてもよい。
また、第1整列板110の上面側において磁石150を移動させてもよいし、第1整列板110の下面側において磁石150を移動させてもよい。
【0079】
このとき、上述したように、第1貫通孔112のY方向の大きさが比較的に大きいので、第1貫通孔112において電子部品1を回転し易い。なお、上述したように、第2貫通孔122の少なくとも一部が第1貫通孔112と重ならないように、第2整列板120が第1整列板110の下面側に配置されていると、電子部品1を第1貫通孔112に留めることができる。
【0080】
次に、
図5に示すように、電子部品1の積層方向Tを90度回転するように一括整列する。具体的には、制御部170の制御により、第1貫通孔112と第2貫通孔122とがそれぞれ連通するように、第1整列板110をY方向(所定方向)に移動させる。これにより、第1貫通孔112における電子部品1を、第2整列板120の第2貫通孔122に落とし込む。このとき、電子部品1の積層方向TがY方向(所定方向)から90度回転するように、電子部品1が一括整列される(第2整列工程)。これにより、第2貫通孔122における全ての電子部品1の積層方向TがZ方向、換言すれば垂直方向、に揃うように、電子部品1が一括整列される。
【0081】
このとき、上述したように、第2貫通孔122のY方向の大きさが比較的に小さいので、第2貫通孔122における電子部品1の姿勢が安定する。また、第2整列板120における第2貫通孔122の周縁部の上面側には、テーパ加工が施されているので、電子部品1を第1貫通孔112から第2貫通孔122に落とし込む際に、電子部品1を90度回転し易い。
【0082】
なお、第1整列板110をX方向に移動させる代わりに、第2整列板120及び保持治具130をX方向に移動させてもよい。すなわち、第1整列板110を第2整列板120及び保持治具130に対して相対的にX方向に移動させてもよい。
【0083】
次に、
図6に示すように、電子部品1を保持治具130の第3貫通孔132に保持する。具体的には、制御部170の制御により、押圧部材160を用いて、電子部品1を押圧する。これにより、第2貫通孔122における電子部品1を、保持治具130の第3貫通孔132にそれぞれ移動させ、第3貫通孔132の内壁の弾性部材134によって電子部品1を保持する(第1保持工程)。
【0084】
このとき、上述したように、第2貫通孔122のY方向の大きさが比較的に小さいので、第2貫通孔122における安定した姿勢のまま、電子部品1を第3貫通孔132に移動させ、保持することができる。
【0085】
次に、
図7に示すように、電子部品1を保持板140に保持する。具体的には、制御部170の制御により、保持治具130から第2整列板120および第1整列板110を取り外して保持板140を準備し、押圧部材160を用いて電子部品1を押圧する。これにより、第3貫通孔132における電子部品1を保持板140に移動させ、保持板140によって電子部品1を保持する(第2保持工程)。
【0086】
次に、
図8に示すように、保持板140に保持された電子部品1の外部電極40の実装面側に、バンプまたはインターポーザ等の導電性部材50を配置する(導電性部材配置工程)。例えば、バンプを形成する場合、第1の外部電極41および第2の外部電極42の実装面側に、導電性ペーストを塗布または印刷し、焼成する。
【0087】
このとき、上述したように、電子部品1の姿勢が安定しているので、例えば導電性部材50のための導電性ペーストの塗布面の位置が安定する。
【0088】
ここで、本願発明者らが上述した本実施形態に至る過程において考案した比較例について説明する。
図12は、比較例に係る電子部品の整列装置および整列工程を示す概略断面図である。
図12に示す比較例の整列装置は、上述した本実施形態の整列装置100と比較して、主に、第1整列板110、保持治具130および押圧部材160を備え、第2整列板120を備えない点で異なる。
【0089】
比較例の整列装置において、電子部品の整列性の観点から、第1整列板110の貫通孔112は小さいことが好ましい。しかし、第1整列板110の貫通孔112を小さくすると、第1整列板110を振動させて貫通孔112に電子部品1を振り込む際に、貫通孔112に電子部品1を振り込み難くなる。
【0090】
そのため、電子部品の振込性の観点から、第1整列板110の貫通孔112を大きくする必要があった。しかし、第1整列板110の貫通孔112を大きくすると、貫通孔112において電子部品1の姿勢が不安定となってしまう。例えば、貫通孔112において電子部品1が斜めになってしまう。そのため、電子部品1を保持治具130の貫通孔132に押圧する際、電子部品1は不安定な姿勢のまま整列して保持されてしまう。
【0091】
保持治具130において電子部品1が不安定な姿勢のまま整列して保持されると、例えば、上述した導電性部材配置工程において、導電性部材50のための導電性ペーストの塗布面の位置が不安定となってしまう。
【0092】
この点に関し、本実施形態の電子部品の製造装置によれば、整列装置100において、第1整列板110と保持治具130との間に第2整列板120を備え、第1整列板110の第1貫通孔112は比較的に大きく、第2整列板120の第2貫通孔122は第1整列板110の第1貫通孔112よりも小さい。
また、本実施形態の電子部品の製造方法によれば、整列工程において、第1整列板110の比較的に大きい第1貫通孔112に電子部品1を振り込み(振込工程)、第1整列板110の第1貫通孔112から、第2整列板120の比較的に小さい第2貫通孔122に電子部品1を落とし込み(第2整列工程)、第2整列板120の第2貫通孔122から保持治具130の第3貫通孔132に電子部品1を押し込む(第1保持工程)。
【0093】
これにより、第1整列板110の比較的に大きい第1貫通孔112への電子部品1の振込性を向上することができる。また、第2整列板120の比較的に小さい第2貫通孔122において電子部品1の姿勢を安定させることができる。そのため、電子部品1を保持治具130の第3貫通孔132に押圧する際、電子部品1を安定な姿勢のまま整列して保持することができる。そのため、電子部品1の位置および姿勢の整列性を向上することができる。
【0094】
また、本実施形態の電子部品の製造装置によれば、整列装置100において、磁石150および台152を備える。
また、本実施形態の電子部品の製造方法によれば、整列工程において、電子部品1の積層方向を水平方向に一括整列する(第1整列工程)。また、第1整列板110の第1貫通孔112から第2整列板120の第2貫通孔122に電子部品1を落とし込む際、電子部品1が90度回転し、電子部品1の積層方向を垂直方向に一括整列する(第2整列工程)。
これにより、電子部品1の積層方向の整列性を向上することができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、電子部品の位置および姿勢、並びに積層方向を一括整列する整列工程を含む電子部品の製造方法を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、電子部品の位置および姿勢を一括整列する整列工程を含む電子部品の製造方法にも適用可能である。この場合、整列工程において、電子部品の積層方向を一括整列する第1整列工程を省略することができる。この場合、電子部品の製造装置における整列装置は、磁石150および台152を備えなくてもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、電子部品として積層セラミックコンデンサを例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、積層インダクタ、積層抵抗等のように、複数の誘電体層と1または複数の導体層とが積層された積層型の種々の電子部品に適用可能である。更には、本発明は、積層型の電子部品に限定されず、種々の電子部品に適用可能である。
【0097】
また、上述した実施形態では、整列工程後のプロセスとして、電子部品に導電性部材を一括配置する工程を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、電子部品に対して一括して行う種々のプロセスの前プロセスとして適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 電子部品(積層セラミックコンデンサ)
100 整列装置(製造装置)
110 第1整列板(第1平板)
112 第1貫通孔
120 第2整列板(第2平板)
122 第2貫通孔
130 保持治具(第3平板)
132 第3貫通孔
134 弾性部材
140 保持板(第4平板)
150 磁石
152 台
160 押圧部材
170 制御部