(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032949
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240305BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240305BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01L29/78 658A
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652H
H01L29/78 652M
H01L29/78 652Q
H01L29/78 658E
H01L21/265 R
H01L21/265 V
H01L29/78 652F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014525
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2019182238の分割
【原出願日】2019-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真知子
(72)【発明者】
【氏名】下村 彰宏
(57)【要約】
【課題】半導体装置の面積の縮小を図る。
【解決手段】半導体装置は、半導体基材SBの上に配置された第1導電型の第1不純物領域と、第1不純物領域上に配置された第2導電型の第2不純物領域とを有する。さらに、半導体装置は第2不純物領域から第1不純物領域に亘って形成される第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTを有する。第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとの間であって、第1不純物領域の内部には、底部の深さが第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの底部の深さよりも深い第2導電型であるコラム領域CRが形成される。さらに、半導体装置は第1のゲートトレンチGTの底部を覆い第1不純物領域に形成された第1導電型の第3不純物領域が形成される。第3不純物領域は第1のゲートトレンチGTとコラム領域CRの間に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体装置の製造方法:
(a)半導体基材を準備する工程;
(b)前記(a)工程の後、前記半導体基材上に、第1不純物領域を形成する工程;
(c)前記(b)工程の後、前記第1不純物領域に、第1ゲートトレンチと第2ゲートトレンチとを形成する工程;
(d)前記(c)工程の後、断面視において前記第1ゲートトレンチおよび前記第2ゲートトレンチのそれぞれの底部を覆うように、前記第1不純物領域に、第2不純物領域を形成する工程;
(e)前記(d)工程の後、前記第1ゲートトレンチおよび前記第2ゲートトレンチのそれぞれの内壁上に、ゲート絶縁膜を形成する工程;
(f)前記(e)工程の後、前記第1ゲートトレンチおよび前記第2ゲートトレンチのそれぞれの内部に、前記ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程;
(g)前記(f)工程の後、前記第1不純物領域のうちの前記第1ゲートトレンチと前記第2ゲートトレンチとの間に位置する領域に、第3不純物領域とソース領域とを形成する工程;
(h)前記(g)工程の後、断面視において、その底部が前記第1ゲートトレンチおよび前記第2ゲートトレンチのそれぞれの前記底部よりも深い位置に位置するように、かつ、前記第2不純物領域が前記第1ゲートトレンチおよび前記第2ゲートトレンチのそれぞれとコラム領域との間に位置するように、前記第1不純物領域に、かつ、前記第3不純物領域のそれぞれの下方に、前記コラム領域を形成する工程、
ここで、
前記第1不純物領域、前記第2不純物領域、および前記ソース領域のそれぞれは、第1導電型の不純物領域であり、
前記第3不純物領域および前記コラム領域のそれぞれは、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物領域であり、
前記第2不純物領域の不純物濃度は、前記第1不純物領域の不純物濃度より高く、
前記(h)工程では、断面視において、前記コラム領域が前記第1ゲートトレンチおよび前記第2ゲートトレンチのそれぞれの直下に位置する部分を有するように、かつ、前記第2不純物領域の底面が前記第1不純物領域と接するように、前記コラム領域を形成する。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、エピタキシャル成長法によって前記第1不純物領域を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記第2不純物領域が前記第1ゲートトレンチおよび前記第2ゲートトレンチのそれぞれの底面と前記底面に繋がる側面と接するように、前記第2不純物領域を形成する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、例えば、パワーMOS半導体素子を備えた半導体装置の製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子において、耐圧を向上させるための構造として、スーパージャンクション(super-junction:SJ)と称されるPN接合の構造がある。例えばn型のMOSFETの場合、n型のドリフト領域内にp型のコラム領域CRを交互に配置することで、p型のコラム領域CRの周囲を空乏化させ、耐圧を向上させることができる。
【0003】
このようなSJ構造でオン抵抗を低くする場合、ゲートトレンチGTのピッチの縮小が必要となる。
図2は比較例の課題を示すための断面図である。ゲートトレンチGTピッチを縮小することにより、コラム領域CRがゲートトレンチGTと接し、電流経路を阻害する。これにより、オン抵抗が上昇する。
【0004】
このコラム領域CRの形成方法としては、イオン注入が用いられる。しかし、イオン注入マスクの微細化には限界があり、また、イオン注入された不純物はその後の熱処理により拡散するためコラム領域CRがゲートトレンチGTに接しないように対策する必要がある。
【0005】
特許文献1には、n型のMOSFETの場合、n型のドリフト領域内にp型のコラム領域CRを2次元的に配置することで、p型のコラム領域CRの周囲を空乏化させ、耐圧を向上できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
課題は、ゲートトレンチのピッチを縮小することにより、コラム領域の横方向に広がった部分がゲートトレンチと接してしまい、電流経路を阻害することである。すなわち、半導体装置の特性向上の観点から、改善の余地がある。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付の図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態に係る半導体装置は、半導体基材と、半導体基材上に形成された第1導電型の第1不純物領域と、第1不純物領域上に形成された第2導電型の第2不純物領域と、第2不純物領域から前記第1不純物領域に亘って形成された第1のゲートトレンチおよび第2のゲートトレンチと、第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチのそれぞれの内部に、ゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチの間において第1不純物領域の内部に形成され、その底部の深さが第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチの底部の深さよりも深い第2導電型であるコラム領域と、第1のゲートトレンチの底部を覆い第1不純物領域に形成された第1導電型の第3不純物領域と、を有し、第3不純物領域は第1のゲートトレンチとコラム領域との間に形成されるものである。
【0010】
実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。半導体基材を準備する。半導体基材上に、エピタキシャル成長法によって、第1導電型の第1不純物領域(ドリフト領域)を形成する。第1不純物領域の内部に亘って第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチとを形成する。イオン注入を行い、第1のゲートトレンチの底部を覆う第1不純物領域に第1導電型の第3不純物領域(コラム制御領域)を形成する。第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチのそれぞれの内壁上に、ゲート絶縁膜を形成する。第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチのそれぞれの内部に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を埋め込む。第1不純物領域の下方に、第1不純物領域を残し、第2導電型の第2不純物領域(ベース領域)と第1導電型のソース領域をこの順に形成する。第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチとの間における第1不純物領域の内部に、イオン注入によって、その底部の深さが第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチとのそれぞれの底部の深さよりも深い第2導電型のコラム領域を形成する。
【発明の効果】
【0011】
実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る半導体チップの平面図である。
【
図2】
図2は、比較例に係る半導体装置を説明するための部分断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る半導体装置の部分断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1において、半導体装置の製造方法の一工程を示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1において、
図4に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1において、
図5に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1において、
図6に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1において、
図7に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1において、
図8に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1において、
図9に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係る半導体装置の部分平面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態1に係る半導体装置の部分平面図の変形例である。
【
図13】
図13は、実施の形態1に係る半導体装置の部分平面図の変形例である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る半導体装置の部分断面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2において、半導体装置の製造方法の一工程を示す部分断面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態2において、
図15に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態2において、
図16に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図18】
図18は、実施の形態2において、
図17に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図19】
図19は、実施の形態2において、
図18に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図20】
図20は、実施の形態2において、
図19に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図21】
図21は、実施の形態2において、
図20に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【
図22】
図22は、実施の形態2において、
図21に示す工程の後に行われる工程を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0016】
(実施の形態1)
実施の形態1の半導体装置は、半導体チップに形成されたパワーMOSFETを含む。パワーMOSFETは、ソース、ドレインおよびゲートを有する。
【0017】
<関連技術>
まず、関連技術におけるパワーMOSFETを有する半導体装置について説明する。ここで、関連技術とは、本願発明者が検討した技術であり、公知技術を意味するものではない。
【0018】
図2は、関連技術における半導体装置SDV(
図1参照)の部分断面図である。
【0019】
図2に示すように、n型のドリフト領域DRR内にp型のコラム領域CRを2次元的に配置することで、p型のコラム領域CRの周囲を空乏化させて耐圧を向上させている。
【0020】
半導体基材SBの上には、第1導電型の第1不純物領域(ドリフト領域DRR)が配置される。第1不純物領域(ドリフト領域DRR)上には、第2導電型の第2不純物領域(ベース領域BR)と、第2不純物領域(ベース領域BR)から第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に亘って形成される第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTが配置されている。第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの内部に、ゲート絶縁膜GIを介して形成されたゲート電極GEが配置される。第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとの間に、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の内部に形成され、その底部の深さが複数のゲートトレンチGTの底部の深さよりも深い第2導電型であるコラム領域CRが配置される。以下、複数のゲートトレンチGTは、互いに同様の構成のため、主として、1つのゲートトレンチGTについてのみ説明する。
【0021】
オン抵抗を低くする手段として、ゲートトレンチGTのピッチを縮小することが考えられる。しかし、ゲートトレンチGTのピッチを縮小すると、コラム領域CRがゲートトレンチGTと接し、電流経路を阻害する。これにより、オン抵抗が上昇する。
【0022】
本発明者の検討によれば、関連技術の半導体装置には、改善の余地が有ることが判明した。以下では、この改善の余地について説明する。
【0023】
<半導体装置の構造>
実施の形態1に係る半導体装置の一例についてその断面構造を説明する。
図3に示すように、半導体装置では、ゲートトレンチGT近傍にコラム制御領域CSRを配置する。
【0024】
半導体基材SBの上には、第1導電型の第1不純物領域(ドリフト領域DRR)が配置される。第1不純物領域(ドリフト領域DRR)上には、第2導電型の第2不純物領域(ベース領域BR)と、第2不純物領域(ベース領域BR)から第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に亘って形成された第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとが配置される。第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTのそれぞれの内部に、ゲート絶縁膜GIを介して形成されたゲート電極GEが配置される。第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとの間において、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の内部に形成され、その底部の深さが第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの底部の深さよりも深い第2導電型であるコラム領域CRが配置される。第1のゲートトレンチGTの底部を覆い第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に形成された第1導電型の第3不純物領域(コラム制御領域CSR)が配置される。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)は第1のゲートトレンチGTとコラム領域CRの間に配置される。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)は第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの底面およびそれらの底面に繋がる側面に接している。また、第3不純物領域(コラム制御領域CSR)の底面は第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に接している。
【0025】
第3不純物領域(コラム制御領域CSR)の不純物濃度は、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の不純物濃度より高い。
【0026】
また、コラム領域CRは、平面視において第3不純物領域(コラム制御領域CSR)と重なっている。
【0027】
図1は、実施の形態1に係る半導体装置SDVの平面図である。
図1に示すように、半導体装置SDVは、シリコン(Si)の単結晶を用いた半導体基板SUB(
図3参照)を有している。さらに、半導体基板SUBは、MOSFETを有する素子領域SAと、素子領域SAの外側に位置する外周領域OAを有している。素子領域SAの上面にはソース電極が設けられる。外周領域OAの一部の上面にはゲート配線LGが配置され、ゲート配線LGは外周領域OAの一部の上面に配置されたゲート電極GEに接続される。半導体基板SUBの裏面にはドレイン電極DEが設けられる。
図1の素子領域SAに示すA―A断面が
図3となる。
【0028】
次に、上述した半導体装置の製造方法の一例について説明する。まず、例えば、シリコン(Si)の単結晶からなる半導体基材SBが用意される。半導体基材SBは、例えば、リン(P)やヒ素(As)がドープされた半導体基材である。半導体基材SBの不純物濃度は、例えば、1×10
19~1×10
20/cm
3程度である。次に、
図4に示すように、半導体基材SB上に、エピタキシャル成長法によって、第1導電型の第1不純物領域(ドリフト領域DRR)が形成される。第1不純物領域(ドリフト領域DRR)は、例えば、リン(P)またはヒ素(As)等をドープしながらシリコンをエピタキシャル成長させる。第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。
【0029】
次に、
図5に示すように、フォトリソグラフィとシリコンエッチングにより、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の内部に亘って複数のゲートトレンチGTが形成される。
【0030】
次に、
図6に示すように、イオン注入により、ゲートトレンチGTの底部を覆うように、第1不純物領域に第1導電型の第3不純物領域(コラム制御領域CSR)を形成する。第3不純物領域は、例えば、ヒ素(As)またはリン(P)のイオン注入により形成する。ここで、イオン注入の角度は適宜選択可能である。イオン注入の角度、すなわち、垂線からの角度(Tilt角度)は、例えば0~45度である。特に、垂線からの角度が0~23度であることによって、効率的にゲートトレンチGT底部にコラム制御領域CSRを形成できる。イオン種がヒ素の場合、注入エネルギーは、例えば、5~200keVである。特に、注入エネルギーが20~60keVであることによって、効率的にゲートトレンチGT近傍にコラム制御領域CSRを形成することができる。また、イオン種がリンの場合、注入エネルギーは5~100keVである。特に、リンの注入エネルギーが5~30keVであることによって、効率的にゲートトレンチGT近傍にコラム制御領域CSRを形成することができる。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)の不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。イオン注入の後、フッ酸等のウェットエッチングを行い、注入ダメージ層を除去する。
【0031】
次に、
図7に示すように、複数のゲートトレンチGTのそれぞれの内壁上に、ゲート絶縁膜GIを形成する。ゲート絶縁膜GIの形成は、例えば熱酸化により行う。この熱酸化により形成される熱酸化膜はトレンチ上部の半導体基板上にも形成される。
【0032】
次に、
図8に示すように、複数のゲートトレンチGTのそれぞれの内部に、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEを埋め込む。例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりポリシリコン層を形成し、ゲートトレンチGT内にこのポリシリコン層を埋め込む。続いて、ドライエッチング等により、半導体基板SUB上にあるポリシリコン層を除去する。
【0033】
次に、
図9に示すように、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の下方に第1不純物領域を残し、上方側に第2導電型の第2不純物領域(ベース領域BR)と第1導電型のソース領域SRとをこの順に形成する。第2不純物領域(ベース領域BR)は、フォトリソグラフィを行い、例えばボロン(B)または二フッ化ヒ素(BF
2)のイオン注入により形成する。第2不純物領域(ベース領域BR)の不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。ソース領域SRは、フォトリソグラフィを行い、例えばヒ素(As)やリン(P)のイオン注入により形成する。ソース領域SRの不純物濃度は、例えば、1×10
20~1×10
21/cm
3程度である。
【0034】
次に、
図10に示すように、第1のゲートゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとの間における第1不純物領域の内部に、イオン注入によって、その底部の深さが第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの底部の深さよりも深い第2導電型であるコラム領域CRを形成する。コラム領域CRは、フォトリソグラフィを行い、例えば、ボロン(B)または二フッ化ヒ素(BF
2)のイオン注入により形成する。ここで、このイオン注入は、複数回に分けて、それぞれエネルギーまたはドーズ量などを変更して行ってもよい。コラム領域CRの不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。
【0035】
次に、
図3に示すように、層間絶縁膜IFを形成する。層間絶縁膜IFは、例えばCVD法によりBPSG(Boron Phosphorous Silicon Glass)またはプラズマ酸化膜などの絶縁膜を堆積して形成する。次に、ソースコンタクトSCTを形成する。ソースコンタクトSCTは、フォトリソグラフィを行い、層間絶縁膜IFをドライエッチングして形成する。次に、コンタクト領域BDRを形成する。コンタクト領域BDRは、ソースコンタクトSCTを介して、例えばボロン(B)または二フッ化ヒ素(BF
2)のイオン注入により形成する。コンタクト領域BDRの不純物濃度は、例えば、5×10
18~1×10
20/cm
3程度である。当該不純物濃度の最適な範囲は、例えば、1×10
19~5×10
19/cm
3程度である。なお、層間絶縁膜IFのドライエッチングに続いて、半導体基板SUBのドライエッチングを行ってもよい。この場合は、ソース領域SRを貫通し、第2不純物領域(ベース領域BR)に達するように形成される。次に、ソースコンタクトプラグを形成する。ソースコンタクトプラグは、ソースコンタクトSCT内に、例えばCVD法によりチタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜とを形成後、タングステン(W)膜を埋め込み、層間絶縁膜IF上のタングステン膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)で除去して形成する。次に、ソース配線LSを形成する。ソース配線LSは、例えば、スパッタ法で層間絶縁膜IF上にアルミニウム(Al)膜を形成し、フォトリソグラフィ、ドライエッチングでアルミニウム膜をパターニングして形成する。この後、ドレイン電極DEを形成する。ドレイン電極DEは、半導体装置SDVの厚さを所定の厚さに研削し、裏面に、例えばスパッタ法でチタン-ニッケル-銀(Ti-Ni-Ag)等の層を形成する。
【0036】
図11に、
図1の素子領域SAの部分平面図を示す。
図11では、ゲートトレンチGTと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極GEと、ソースコンタクトSCTと、コラム領域CRとの配置を図示している。ゲートトレンチGTは、素子領域SA内においてストライプ状に形成されている。ソースコンタクトSCTは、互いに離間されたゲートトレンチGT間の中央に配置され、ストライプ状に形成されている。コラム領域CRは、互いに離間されたゲートトレンチGT間の中央、つまりソースコンタクトSCTの下部に配置されている。また、コラム領域CRの平面形状は円形もしくは四角形のドットであり、複数のコラム領域CRのそれぞれは、互いに離間して配置されている。
図11では、コラム領域CRは、四角形のドットで示しているが、千鳥配置されている場合もある(
図12参照)。またドットの配置は正方配置だけでなく、ゲートトレンチGTと平行したストライプ状に形成されている場合もある(
図13参照)。
【0037】
実施の形態1の効果について説明する。比較のために、比較例について説明する。
図2に示す比較例に係る半導体装置SDVでは、ゲートトレンチGTピッチを縮小することにより、コラム領域CRがゲートトレンチGTと接し、電流経路を阻害する。このように、比較例ではゲートトレンチGTピッチの縮小に起因して電流経路を阻害され、半導体装置の性能が低下するという改善の余地がある。
【0038】
比較例に係る半導体装置SDVに対して、上述した半導体装置SDVでは、ゲートトレンチGTの底部を覆う第1不純物領域に第1導電型の第3不純物領域(コラム制御領域CSR)を形成しており、平面視において、コラム領域CRは、第3不純物領域(コラム制御領域CSR)と重なっているため、ゲートトレンチGTピッチを縮小しても、コラム領域CRがゲートトレンチGTと接することなく、電流経路を阻害することがない。このため、ゲートトレンチGTピッチを縮小することができ、チップ面積を縮小できる。
【0039】
また、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の一部がより不純物濃度の高い第3不純物領域(コラム制御領域CSR)になるため、抵抗値が下がる効果もあり、オン抵抗も小さくすることができる。
【0040】
(実施の形態2)
実施の形態1では、ゲートトレンチGT形成後に第3不純物領域(コラム制御領域CSR)を形成する場合について説明した(
図3参照)。ここでは、ゲートトレンチGT形成前にコラム制御領域CSRを形成しておき、ゲートトレンチGT形成時にゲートトレンチGT底部がコラム制御領域CSRに達する様にゲートトレンチGTを形成する場合について説明する(
図16~
図17参照)。
【0041】
実施の形態2に係る半導体装置SDVの一例についてその断面構造について説明する。
図14に示すように、ゲートトレンチGTの底部を覆い多段構造のn
-型のコラム制御領域CSRをゲートトレンチGTとコラム領域CRとの間に配置する。
【0042】
半導体基材SB上には、第1導電型の第1不純物領域(ドリフト領域DRR)が配置される。第1不純物領域(ドリフト領域DRR)上には、第2導電型の第2不純物領域(ベース領域BR)と、第2不純物領域(ベース領域BR)から前記第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に亘って形成される第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとが配置される。第1のゲートトレンチGTと前記第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの内部に、ゲート絶縁膜GIを介して形成されたゲート電極GEが配置される。第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとの間において第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の内部に形成され、その底部の深さが第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの底部の深さよりも深い第2導電型であるコラム領域CRが配置される。第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの底部を覆い第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に形成された第1導電型の第3不純物領域(コラム制御領域CSR)が配置される。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)はゲートトレンチGTとコラム領域CRとの間に配置される。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)は前記半導体基材SBに向かって延びる多段構造である。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)は第1のゲートトレンチGTと第2のゲートトレンチGTとのそれぞれの底面およびそれらの底面に繋がる側面に接している。また、第3不純物領域(コラム制御領域CSR)の底面は第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に接している。
【0043】
第3不純物領域(コラム制御領域CSR)の不純物濃度は、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の不純物濃度より高い。
【0044】
また、コラム領域CRは、平面視において第3不純物領域(コラム制御領域CSR)と重なっている。
【0045】
図1は、実施の形態1に係る半導体装置SDVの平面図である。
図1に示すように、半導体装置SDVは、シリコン(Si)等の単結晶を用いた半導体基板SUB(
図14参照)を有している。さらに、半導体基板SUBは、MOSFETを有する素子領域SAと、素子領域SAの外側に位置する外周領域OAを有している。素子領域SAの上面にはソース電極が設けられる。外周領域OAの一部の上面にはゲート配線LGが配置され、ゲート配線LGは外周領域OAの一部の上面に配置されたゲート電極GEに接続される。半導体基板SUBの裏面にはドレイン電極DEが設けられる。
図1の素子領域SAに示すA―A断面が
図14となる。
【0046】
次に、上述した半導体装置の製造方法の一例について簡単に説明する。まず、シリコン(Si)等の単結晶等からなる半導体基材SBが用意される。半導体基材SBは、例えばリン(P)またはヒ素(As)等がドープされ、不純物濃度は、例えば、1×10
19~1×10
20/cm
3程度である。次に、
図15に示すように、前記半導体基材SB上に、エピタキシャル成長法によって、第1導電型の第1不純物領域(ドリフト領域DRR)が形成される。例えばリン(P)またはヒ素(As)等をドープしながらシリコンをエピタキシャル成長させる。第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。
【0047】
次に、
図16に示すように、第1不純物領域(ドリフト領域DRR)の内部に、イオン注入によって、第1導電型の複数の第3不純物領域(コラム制御領域CSR)を形成する。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)は、フォトリソグラフィを行い、例えばリン(P)またはヒ素(As)のイオン注入により形成する。イオン注入は、複数回に分けて、それぞれエネルギーまたはドーズ量などを変更して行ってもよい。イオン注入の角度、すなわち、垂線からの注入角度(Tilt角度)は0~10度が好適である。第3不純物領域(コラム制御領域CSR)の不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。
【0048】
次に、
図17に示すように、フォトリソグラフィとシリコンエッチングにより第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に複数の第3不純物領域(コラム制御領域CSR)に達する複数のゲートトレンチGTを形成する。
【0049】
次に、
図18に示すように、複数のゲートトレンチGTのそれぞれの内壁上に、ゲート絶縁膜GIを形成する。ゲート絶縁膜GIの形成は、例えば熱酸化により行う。この熱酸化により形成される熱酸化膜はトレンチ上部の半導体基板上にも形成される。
【0050】
次に、
図19に示すように、複数のゲートトレンチGTのそれぞれの内部に、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEを埋め込む。ゲート電極GEは、例えば、CVD法によりポリシリコン層を形成し、ゲートトレンチGT内にこのポリシリコン層を埋め込むことにより形成される。続いて、ドライエッチング等により、半導体基板SUB上にあるポリシリコン層を除去する。
【0051】
次に、
図20に示すように、前記第1不純物領域(ドリフト領域DRR)内の下方に第1不純物領域(ドリフト領域DRR)を残し、前記第1不純物領域内の上方に第2導電型の第2不純物領域(ベース領域BR)を形成する。第2不純物領域(ベース領域BR)は、フォトリソグラフィを行い、例えばボロン(B)または二フッ化ヒ素(BF
2)のイオン注入により形成する。第2不純物領域(ベース領域BR)の不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。
【0052】
次に、
図21に示すように、第2不純物領域(ベース領域BR)上に第1導電型のソース領域SRを形成する。ソース領域SRは、フォトリソグラフィを行い、例えばヒ素(As)またはリン(P)のイオン注入により形成する。ソース領域SRの不純物濃度は、例えば、1×10
20~1×10
21/cm
3程度である。
【0053】
この後、
図22に示すように、複数のゲートトレンチGTのそれぞれの間における第1不純物領域の内部に、イオン注入によって、その底部の深さが前記複数のゲートトレンチGTの底部の深さよりも深い第2導電型である複数のコラム領域CRを形成する。コラム領域CRは、フォトリソグラフィを行い、例えばボロン(B)または二フッ化ヒ素(BF
2)のイオン注入により形成する。ここで、このイオン注入は、複数回に分けて、それぞれエネルギーまたはドーズ量などを変更して行ってもよい。コラム領域CRの不純物濃度は、例えば、1×10
16~1×10
17/cm
3程度である。
【0054】
次に、
図14に示すように、層間絶縁膜IFを形成する。層間絶縁膜IFは、例えばCVD法によりBPSGまたはプラズマ酸化膜の絶縁膜を堆積して形成する。次に、ソースコンタクトSCTを形成する。ソースコンタクトSCTは、フォトリソグラフィを行い、層間絶縁膜IFをドライエッチングして形成する。次に、コンタクト領域BDRを形成する。コンタクト領域BDRは、ソースコンタクトSCTを介して、例えばボロン(B)または二フッ化ヒ素(BF
2)のイオン注入により形成する。コンタクト領域BDRの不純物濃度は、例えば、5×10
18~1×10
20/cm
3程度である。当該不純物濃度の最適な範囲は、例えば、1×10
19~5×10
19/cm
3程度である。なお、層間絶縁膜IFのドライエッチングに続いて、半導体基板SUBのドライエッチングを行ってもよい。この場合は、ソース領域SRを貫通し、第2不純物領域(ベース領域BR)に達すように形成される。次に、ソースコンタクトプラグを形成する。ソースコンタクトプラグは、ソースコンタクトSCTに、例えばCVD法によりチタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜とを形成後、タングステン(W)膜を埋め込み、層間絶縁膜IF上のタングステン膜をCMPで除去して形成する。次に、ソース配線LSを形成する。ソース配線LSは、例えば、スパッタ法で層間絶縁膜IF上にアルミニウム(Al)膜を形成し、フォトリソグラフィ、ドライエッチングでアルミニウム膜をパターニングして形成する。この後、ドレイン電極DEを形成する。ドレイン電極DEは、半導体装置SDVの厚さを所定の厚さに研削し、裏面に、例えばスパッタ法でチタン-ニッケル-銀(Ti-Ni-Ag)等の層を形成する。
【0055】
図11に
図1の素子領域SAの部分平面図を示す。
図11では、ゲートトレンチGTと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極GEと、ソースコンタクトSCTと、コラム領域CRの配置を図示している。ゲートトレンチGTは、素子領域SA内においてストライプ状に形成されている。ソースコンタクトSCTは、互いに離間されたゲートトレンチGT間の中央に配置され、ストライプ状に形成されている。コラム領域CRは、互いに離間されたゲートトレンチGT間の中央、つまりソースコンタクトSCTの下部に配置される。また、コラム領域CRの平面形状は円形もしくは四角形のドットであり、複数のコラム領域CRのそれぞれは、互いに離間して配置されている。
図11では、コラム領域CRは、四角形のドットで示しているが、千鳥配置されている場合もある(
図12参照)。またドットの配置は正方配置だけでなく、ゲートトレンチGTと平行したストライプ状に形成されている場合もある(
図13参照)。
【0056】
実施の形態2の効果について説明する。比較のために、比較例について説明する。
図2に示す比較例に係る半導体装置SDVでは、ゲートトレンチGTピッチを縮小することにより、コラム領域CRがゲートトレンチGTと接し、電流経路を阻害する。
【0057】
比較例に係る半導体装置SDVに対して、上述した半導体装置SDVでは、ゲートトレンチGTの底部を覆う第1不純物領域(ドリフト領域DRR)に第1導電型の第3不純物領域(コラム制御領域CSR)を形成しているため、ゲートトレンチGTピッチを縮小しても、コラム領域CRがゲートトレンチGTと接することなく、電流経路を阻害することがない。このため、ゲートトレンチGTピッチを縮小することができ、チップ面積を縮小することができる。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1と実施の形態2との変形例である。本実施の形態3の半導体装置の部分平面図は、実施の形態1での説明に用いた
図12に示す構造と同様である。また、ゲートトレンチGTはストライプ状である。ソースコンタクトSCTは、互いに離間されたトレンチ間の中央に配置され、ストライプ状である。コラム領域CRは、互いに離間されたゲートトレンチGT間の中央、つまりソースコンタクトSCTの下部に配置され、ストライプ状である。断面図は
図3あるいは
図14と同じである。ゲートトレンチGTは、半導体基板SUBの主表面から裏面に向かって、ソース領域SRおよびベース領域BRを貫通し、コラム領域CRを経て、ドリフト領域DRRに達するように形成されている。コラム制御領域CSRの不純物濃度はドリフト領域DRRの不純物濃度より高い。コラム制御領域CSRはコラム領域CRと接している。実施の形態3に係るストライプ状のコラム領域CRであっても、コラム制御領域CSRにより、ゲートトレンチGTとの接触を防ぐことができる。また、ドリフト領域DRRの一部が、より不純物濃度の高いコラム制御領域CSRになるため、抵抗値が下がる効果もあり、オン抵抗も小さくすることができる。
【0059】
(実施の形態4)
実施の形態4は、実施の形態1と実施の形態2との変形例である。本実施の形態4の半導体装置の部分平面図は、実施の形態1での説明に用いた
図12に示す構造と同様である。また、ゲートトレンチGTは、ストライプ状である。ソースコンタクトSCTは、互いに離間されたゲートトレンチGT間の中央に配置され、ストライプ状である。コラム領域CRは、互いに離間されたゲートトレンチGT間の中央、つまりソースコンタクトSCTの下部に配置され、円状もしくは四角形状で互いに離間して、かつ千鳥配置で配置される。断面図は
図3あるいは
図14と同じである。ゲートトレンチGTは、半導体基板の主表面から裏面に向かって、ソース領域SRおよびベース領域BRを貫通し、コラム制御領域CSRを経て、ドリフト領域DRRに達するように形成されている。コラム制御領域CSRの不純物濃度はドリフト領域DRRの不純物濃度より高い。コラム制御領域CSRはコラム領域CRと接している。実施の形態4に係る千鳥配置で互いに離間されたコラム領域CRであっても、コラム制御領域CSRにより、ゲートトレンチGTとの接触を防ぐことができる。また、ドリフト領域DRRの一部が、より不純物濃度の高いコラム制御領域CSRになるため、抵抗値が下がる効果もあり、オン抵抗も小さくすることができる。
【0060】
なお、各実施の形態において説明した半導体装置については、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
【0061】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。上記実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0062】
[付記1]
(a)半導体基材を準備する工程、
(b)前記半導体基材上に、エピタキシャル成長法によって、第1導電型の第1不純物領域を形成する工程、
(c)前記第1不純物領域の内部に、イオン注入によって、第1導電型の第1の第2不純物領域と第2の第2不純物領域とを形成する工程、
(d)前記第1不純物領域に前記第1の第2不純物領域に達する第1のゲートトレンチと第2の第2不純物領域に達する第2のゲートトレンチとを形成する工程、
(e)前記第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチとのそれぞれの内壁上に、ゲート絶縁膜を形成する工程、
(f)前記第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチとのそれぞれの内部に、前記ゲート絶縁膜を介してゲート電極を埋め込む工程、
(g)前記第1不純物領域内の下方に前記第1不純物領域を残し、前記第1不純物領域内の上方に第2導電型の第3不純物領域と第1導電型のソース領域とをこの順に形成する工程、
(h)前記第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチとの間における前記第1不純物領域の内部に、イオン注入によって、その底部の深さが前記第1のゲートトレンチと第2のゲートトレンチとのそれぞれの底部の深さよりも深い第2導電型であるコラム領域を形成する工程を有する、半導体装置の製造方法。
【0063】
[付記2]
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2不純物領域の不純物濃度は前記第1不純物領域の不純物濃度より高い、半導体装置の製造方法。
【0064】
[付記3]
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記コラム領域は、平面視において前記第2不純物領域と重なっている、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0065】
SDV 半導体装置
SA 素子領域
OA 外周領域
SUB 半導体基板
SB 半導体基材
SR ソース領域
BDR コンタクト領域
BR ベース領域
CR コラム領域
DRR ドリフト領域
CSR コラム制御領域
DE ドレイン電極
GE ゲート電極
GI ゲート絶縁膜
LG ゲート配線
LS ソース配線
SCT ソースコンタクト
IF 層間絶縁膜
GT ゲートトレンチ