IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 興和株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033012
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/423 20060101AFI20240305BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240305BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240305BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
A61K31/423
A61P3/06
A61K9/20
A61K47/36
A61K9/48
A61K9/16
A61K9/14
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016046
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2022065281の分割
【原出願日】2018-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2017128722
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 信
(72)【発明者】
【氏名】南園 明人
(57)【要約】
【課題】ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有し、均質性に優れる医薬組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-2);
(B-2)デンプン類
を含有し、且つ固形製剤である、医薬組成物。但し、以下の(1)及び(2)を除く。
(1)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とコレステロール吸収抑制剤とを含有してなる脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物であって、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とコレステロール吸収抑制剤とを単一製剤化したもの。
(2)コレステロール吸収抑制剤を含有してなる脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物とともにキットとして使用するための脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物であって、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有してなる、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-2);
(B-2)デンプン類
を含有し、且つ固形製剤である、医薬組成物。但し、以下の(1)及び(2)を除く。
(1)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とコレステロール吸収抑制剤とを含有してなる脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物であって、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とコレステロール吸収抑制剤とを単一製剤化したもの。
(2)コレステロール吸収抑制剤を含有してなる脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物とともにキットとして使用するための脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物であって、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有してなる、組成物。
【請求項2】
前記成分(B-2)が、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ及びカルボキシメチルスターチ並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記成分(B-2)の含有量が医薬組成物全質量に対して0.5~50質量%であり、ペマフィブラートフリー体換算1質量部に対する成分(B-2)の含有質量比率が5~400質量部である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、請求項1~3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有し、且つ固形製剤である医薬組成物に、成分(B-2);
(B-2)デンプン類
を含有せしめる工程を含む、医薬組成物中のペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の改善方法。但し、医薬組成物が、以下の(1)又は(2)の場合を除く。
(1)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とコレステロール吸収抑制剤とを含有してなる脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物であって、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とコレステロール吸収抑制剤とを単一製剤化したもの。
(2)コレステロール吸収抑制剤を含有してなる脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物とともにキットとして使用するための脂質異常症の予防及び/又は治療用医薬組成物であって、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有してなる、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の構造式:
【0003】
【化1】
【0004】
で表されるペマフィブラート(化学名:(2R)-2-[3-({1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル[3-(4-メトキシフェノキシ)プロピル]アミノ}メチル)フェノキシ]ブタン酸((2R)-2-[3-([1,3-Benzoxazol-2-yl[3-(4-methoxyphenoxy)propyl]amino]methyl)phenoxy]butanoic acid)、国際一般名:Pemafibrate)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、優れたPPARαアゴニスト活性を有し、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を示し、脂質異常症(高脂血症)の予防や治療に有用であること(特許文献1、非特許文献1、2)や、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の予防や治療に有用であること(特許文献2)が知られている。
【0005】
ところで、医薬品の有効成分として有用な化合物は通常何らかの医薬組成物として製剤化され供給されることとなるが、期待する薬効を確実に発揮させ、また、予期せぬ副作用を回避する観点から、供給される医薬組成物について、ロット間等でばらつきなく一定の品質を確保させることは極めて重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/023777号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2015/005365号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yukiyoshi Yamazaki, et al., Synthesis, 2008(7), 1017-1022.
【非特許文献2】Fruchart JC., Cardiovasc Diabetol., 2013; 12: 82.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、均質性をはじめとする医薬組成物の製造性は、配合成分の物理的・化学的特性に大きく左右されるところ、当該特性はその化学構造等から予め予測出来ないことが多く、医薬組成物を実際に製造して初めて問題が判明することも少なくない。そのため、医薬組成物の均質性を確保する技術の確立には多大な試行錯誤を要するのが通常である。
そして、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物については、上記のような薬理効果を示すということが報告されているのみであり、医薬組成物とすることについてはこれまでに具体的に検討がされておらず、医薬組成物の均質性等の製造性についてはこれまでに全く報告されていなかった。
このような背景の下、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物を開発するため、本発明者らは、まずは医薬組成物を実際に製造してみた。しかるところ、医薬組成物ごとにペマフィブラートの含量にばらつきが生じ、医薬組成物中のペマフィブラートの含量の均質性(含量均一性)に問題が生じることが判明した。医薬組成物ごとにペマフィブラートの含量が大きく異なれば、医薬組成物間で有効性・安全性にばらつきが生じることにもなりかねない。
したがって、本発明の課題は、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有し、均質性に優れる医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、医薬組成物中でのペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の問題を解決すべくさらに鋭意検討したところ、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(なお、以下、本明細書において、単に「成分(A)」と称することもある)を含有する医薬組成物に、さらに以下の成分1~6のうちいずれか(なお、以下、本明細書において、成分1~6をそれぞれ「成分(B-1)」、「成分(B-2)」、「成分(B-3)」、「成分(B-4)」、「成分(B-5)」、「成分(B-6)」と称し、また、「成分(B-1)~(B-6)よりなる群から選ばれる1種以上」を「成分(B)」と称することもある。):
【0010】
1.クロスカルメロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースに代表される、セルロースエーテル類;
2.α化デンプン、トウモロコシデンプン、カルボキシメチルスターチナトリウムに代表される、デンプン類;
3.クロスポビドン、ポリビニルピロリドンに代表される、ポビドン類;
4.含水ケイ酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸に代表される、ケイ酸化合物;
5.マクロゴール、マンニトールに代表される、多価アルコール;
6.ラウリル硫酸ナトリウムに代表される、アルキル硫酸エステル類;
を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-1)~(B-6)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)セルロースエーテル類
(B-2)デンプン類
(B-3)ポビドン類
(B-4)ケイ酸化合物
(B-5)多価アルコール
(B-6)アルキル硫酸エステル類
を含有する、医薬組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、成分(B-1)~(B-6)よりなる群から選ばれる1種以上を含有せしめる工程を含む、医薬組成物中のペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の改善方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善され、均質性に優れる医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物(成分(A))>
本明細書において「ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」には、ペマフィブラート(化学名:(2R)-2-[3-({1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル[3-(4-メトキシフェノキシ)プロピル]アミノ}メチル)フェノキシ]ブタン酸((2R)-2-[3-([1,3-Benzoxazol-2-yl[3-(4-methoxyphenoxy)propyl]amino]methyl)phenoxy]butanoic acid)、国際一般名:Pemafibrate)そのもののほか、ペマフィブラートの薬学上許容される塩、さらにはペマフィブラートやその薬学上許容される塩と、水やアルコール(例えば、エタノール)等との溶媒和物も含まれる。薬学上許容される塩としては特に限定されないが、例えば、酸付加塩や塩基付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、具体的には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩のような無機酸との酸付加塩;安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等の有機酸との酸付加塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、コリジン、ルチジン等のアミンとの塩;リシン、アルギニン、シンコニン、シンコニジン等の有機塩基との塩基付加塩等が挙げられる。
【0015】
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の形状、大きさ等は特に限定されないが、第十七改正日本薬局方 レーザー回折法による粒子径測定法に従って一次粒子の平均粒子径を測定した場合、d50、d90はそれぞれ以下の通りであるのが好ましい。
d50:100μm以下であるのが好ましく、50μm以下であるのがより好ましく、20μm以下がさらにより好ましく、1~20μmであるのが特に好ましい。
d90:200μm以下であるのが好ましく、135μm以下であるのがより好ましく、80μm以下であるのがさらに好ましく、1~80μmであるのが特に好ましい。
【0016】
ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は公知の化合物であり、例えば、特許文献1、非特許文献1、米国特許第7,109,226号明細書に開示の方法により製造することができる。本発明においては、非特許文献1に記載の方法で製造できる、ペマフィブラートの結晶(好適には、第十七改正日本薬局方 融点測定法第1法に従って測定したとき、95~101℃、特に好適には97~100℃の融点を有する結晶)を用いるのが好ましい。なお、これらの文献の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0017】
医薬組成物におけるペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量は特に限定されず、適用する疾患、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができる。例えば、1日あたり、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を、ペマフィブラートのフリー体に換算して0.05~0.8mg、より好適には0.075~0.6mg、特に好適には0.1~0.4mg服用できる量を含有せしめることができる。
医薬組成物におけるペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量としては、医薬組成物全質量に対して、ペマフィブラートのフリー体換算で、0.01~5質量%であるのが好ましく、0.025~1質量%であるのがより好ましく、0.05~0.5質量%であるのが特に好ましい。本発明によれば、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物がこのような低含量の場合であっても、良好な含量均一性が得られる。
【0018】
<セルロースエーテル類(成分(B-1))>
本明細書において「セルロースエーテル類」とは、セルロースのヒドロキシ基の全部又は一部がエーテル結合を形成した化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。なお、当該セルロースエーテル類は、エーテル化のほか、必要に応じてエステル化、架橋形成等、更なる修飾がセルロースになされたものでもよい。ここで塩としては特に限定されず、具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第2族元素の金属との塩等が挙げられる。また、セルロースエーテル類の平均重合度や性状(結晶形)等は特に限定されないが、平均重合度は好ましくは10~10000である。
こうしたセルロースエーテル類としては、具体的には例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース又はその塩;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース又はその塩;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒプロメロースフタル酸エステル等のアルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース若しくはその誘導体(エステル誘導体)又はそれらの塩;カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム等のカルボキシアルキルセルロース若しくはその誘導体(架橋重合物)又はそれらの塩などが挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、当該セルロースエーテル類におけるアルキル基としては特に限定されないが、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。また、ヒドロキシアルキルセルロースにおけるヒドロキシアルコキシ基の置換度は特に限定されるものではなく、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースには、低置換度でないヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのいずれもが包含される。ここで、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとは、第十七改正日本薬局方に記載された、乾燥させたときにヒドロキシプロポキシ基が5.0~16.0%定量されるヒドロキシプロピルセルロースをいうものとする。
【0019】
セルロースエーテル類としては、含量均一性の改善作用の観点から、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース、カルボキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースの架橋重合物並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、C1-C6アルキルセルロース、ヒドロキシC1-C6アルキルセルロース、C1-C6アルキル(ヒドロキシC1-C6アルキル)セルロース、カルボキシC1-C6アルキルセルロース及びカルボキシC1-C6アルキルセルロースの架橋重合物並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロース及びクロスカルメロース並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースとしては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。また、医薬組成物(特に固形製剤)の製造の容易性の観点から、セルロースエーテル類としては、常温(15~25℃のいずれかの温度)において固体のものが好ましい。
なお、これらのセルロースエーテル類はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、エトセル(ダウケミカル日本(株))、CMEC(フロイント産業(株))、NS-300(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、ECG-505(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、セロゲン(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、Ac-Di-Sol(旭化成(株))、HEC(住友精化(株))、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))、信越AQOAT(信越化学工業(株))、METOLOSE90SH-SR(信越化学工業(株))、HPMCP(信越化学工業(株))、METOLOSE SM(信越化学工業(株))、TC-5(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、L-HPC(信越化学工業(株))等が挙げられる。
【0020】
医薬組成物におけるセルロースエーテル類の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対してセルロースエーテル類の合計量として、0.5~30質量%であるのが好ましく、1~20質量%であるのがより好ましく、1.5~15質量%であるのがさらに好ましく、2~10質量%であるのが特に好ましい。
【0021】
また、セルロースエーテル類としてアルキルセルロース又はその塩を使用する場合、アルキルセルロース又はその塩の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.6~22質量%が好ましく、1.1~19質量%がより好ましく、3~8質量%が特に好ましい。
【0022】
また、セルロースエーテル類としてヒドロキシアルキルセルロース又はその塩を使用する場合、ヒドロキシアルキルセルロース又はその塩の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.7~24質量%が好ましく、1.2~18質量%がより好ましく、3~8質量%が特に好ましい。
また、セルロースエーテル類としてアルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩を使用する場合、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.8~26質量%が好ましく、1.3~17質量%がより好ましく、4~9質量%が特に好ましい。
また、セルロースエーテル類としてカルボキシアルキルセルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩を使用する場合、カルボキシアルキルセルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.9~28質量%が好ましく、1.4~16質量%がより好ましく、1.6~9質量%が特に好ましい。
【0023】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とセルロースエーテル類との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、セルロースエーテル類を合計で3~200質量部含有するのが好ましく、5~150質量部含有するのがより好ましく、10~100質量部含有するのが特に好ましい。
【0024】
また、セルロースエーテル類としてアルキルセルロース又はその塩を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とアルキルセルロース又はその塩との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、アルキルセルロース又はその塩を合計で4~160質量部含有するのが好ましく、6~110質量部含有するのがより好ましく、20~60質量部含有するのが特に好ましい。
また、セルロースエーテル類としてヒドロキシアルキルセルロース又はその塩を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とヒドロキシアルキルセルロース又はその塩との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、ヒドロキシアルキルセルロース又はその塩を合計で4~170質量部含有するのが好ましく、7~120質量部含有するのがより好ましく、20~100質量部含有するのが更に好ましく、30~70質量部含有するのが特に好ましい。
また、セルロースエーテル類としてアルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とアルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩を合計で4~180質量部含有するのが好ましく、8~130質量部含有するのがより好ましく、20~100質量部含有するのが更に好ましく、40~80質量部含有するのが特に好ましい。
また、セルロースエーテル類としてカルボキシアルキルセルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とカルボキシアルキルセルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、カルボキシアルキルセルロース若しくはその誘導体又はそれらの塩を合計で4~190質量部含有するのが好ましく、9~140質量部含有するのがより好ましく、14~100質量部含有するのが更に好ましく、19~90質量部含有するのが特に好ましい。
【0025】
<デンプン類(成分(B-2))>
本明細書において「デンプン類」とは、デンプンそのもの、デンプンのヒドロキシ基の全部又は一部がエーテル結合を形成したもの、及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。なお、デンプン類には、糊化、老化等の処理がなされたものも含まれる。また、上記誘導体には、デンプンやそのエーテル化物に、必要に応じてエステル化、架橋形成、加水分解等、更なる修飾がなされたものが包含される。ここで塩としては特に限定されず、具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第2族元素の金属との塩等が挙げられる。
こうしたデンプン類としては、具体的には例えば、アルファ化デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、小麦粉、米粉、半消化デンプン等のデンプン又はその塩;ヒドロキシプロピルスターチ等の、デンプンのヒドロキシアルキルエーテル又はその塩;カルボキシメチルスターチナトリウム等の、デンプンのカルボキシアルキルエーテル又はその塩などが挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、当該デンプン類におけるアルキル基としては特に限定されないが、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。
【0026】
デンプン類としては、含量均一性の改善作用の観点から、デンプン、デンプンのヒドロキシアルキルエーテル及びデンプンのカルボキシアルキルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、デンプン、デンプンのヒドロキシC1-C6アルキルエーテル及びデンプンのカルボキシC1-C6アルキルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ及びカルボキシメチルスターチ並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、デンプン及びカルボキシメチルスターチナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。また、医薬組成物(特に固形製剤)の製造の容易性の観点から、デンプン類としては、常温(15~25℃のいずれかの温度)において固体のものが好ましい。
なお、これらのデンプン類はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、LYCATAB PGS(ロケットジャパン(株))、GLYCOLYS(ロケットジャパン(株))、デンプン(溶性)(キシダ化学(株))、トウモロコシデンプン(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、バレイショデンプン(純正化学(株))、HPS-101(フロイント産業(株))、LYCATABC(ロケット・ジャパン(株))等が挙げられる。
【0027】
医薬組成物におけるデンプン類の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対してデンプン類の合計量として、0.5~50質量%であるのが好ましく、1~40質量%であるのがより好ましく、1.5~30質量%であるのがさらに好ましく、2~20質量%であるのが特に好ましい。
【0028】
また、デンプン類としてデンプンを使用する場合、デンプンの含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.6~47質量%が好ましく、1.1~38質量%がより好ましく、1.6~28質量%が特に好ましい。
また、デンプン類としてデンプンのカルボキシアルキルエーテル又はその塩を使用する場合、デンプンのカルボキシアルキルエーテル又はその塩の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.8~45質量%が好ましく、1.3~36質量%がより好ましく、1.7~26質量%が特に好ましい。
【0029】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とデンプン類との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、デンプン類を合計で5~400質量部含有するのが好ましく、15~300質量部含有するのがより好ましく、20~200質量部含有するのが特に好ましい。
【0030】
また、デンプン類としてデンプンを使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とデンプンとの含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、デンプンを合計で7~380質量部含有するのが好ましく、16~280質量部含有するのがより好ましく、30~190質量部含有するのが特に好ましい。
また、デンプン類としてデンプンのカルボキシアルキルエーテル又はその塩を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とデンプンのカルボキシアルキルエーテル又はその塩との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、デンプンのカルボキシアルキルエーテル又はその塩を合計で9~370質量部含有するのが好ましく、17~270質量部含有するのがより好ましく、40~180質量部含有するのが特に好ましい。
【0031】
<ポビドン類(成分(B-3))>
本明細書において「ポビドン類」とは、1-ビニル-2-ピロリドンの重合物を意味し、1-ビニル-2-ピロリドンのホモポリマーだけでなく、1-ビニル-2-ピロリドンと他の重合性化合物との共重合体を包含する概念である。また、重合物は、非架橋重合物でも架橋重合物でもよい。
また、1-ビニル-2-ピロリドンの直鎖重合物(ポビドン)において、そのK値は特に限定されないが、表示のK値として12~90のものが好ましく、25~90のものが特に好ましい。
こうしたポビドン類としては、具体的には例えば、ポビドン等の1-ビニル-2-ピロリドンの直鎖重合物(なお、ポビドンについて、そのK値は特に限定されず、表示のK値としては、例えば12、17、25、30及び90のものが例示される);コポリビドン等の1-ビニル-2-ピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体;クロスポビドン等の1-ビニル-2-ピロリドンの架橋重合物等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポビドン類としては、含量均一性の改善作用の観点から、ポビドン、コポリビドン及びクロスポビドンよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポビドン及びクロスポビドンよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、クロスポビドンが特に好ましい。また、医薬組成物(特に固形製剤)の製造の容易性の観点から、ポビドン類としては、常温(15~25℃のいずれかの温度)において固体のものが好ましい。
なお、これらのポビドン類はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、コリドンCL、コリドンVA64、コリドン(以上、BASFジャパン(株))等が挙げられる。
【0032】
医薬組成物におけるポビドン類の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対してポビドン類の合計量として、0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~15質量%であるのがより好ましく、1~10質量%であるのが特に好ましい。
【0033】
また、ポビドン類として1-ビニル-2-ピロリドンの直鎖重合物を使用する場合、1-ビニル-2-ピロリドンの直鎖重合物の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.2~16質量%が好ましく、0.6~14質量%がより好ましく、3~9質量%が特に好ましい。
また、ポビドン類として1-ビニル-2-ピロリドンの架橋重合物を使用する場合、1-ビニル-2-ピロリドンの架橋重合物の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.3~17質量%が好ましく、0.7~13質量%がより好ましく、2~8質量%が特に好ましい。
【0034】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とポビドン類との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、ポビドン類を合計で1~200質量部含有するのが好ましく、3~150質量部含有するのがより好ましく、5~100質量部含有するのが特に好ましい。
【0035】
また、ポビドン類として1-ビニル-2-ピロリドンの直鎖重合物を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と1-ビニル-2-ピロリドンの直鎖重合物との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、1-ビニル-2-ピロリドンの直鎖重合物を合計で1.5~190質量部含有するのが好ましく、3.5~140質量部含有するのがより好ましく、6~90質量部含有するのが特に好ましい。
また、ポビドン類として1-ビニル-2-ピロリドンの架橋重合物を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と1-ビニル-2-ピロリドンの架橋重合物との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、1-ビニル-2-ピロリドンの架橋重合物を合計で2~180質量部含有するのが好ましく、4~130質量部含有するのがより好ましく、7~80質量部含有するのが特に好ましい。
【0036】
<ケイ酸化合物(成分(B-4))>
本明細書において「ケイ酸化合物」としては、ケイ酸化合物そのもののほか、ケイ酸化合物の塩も含まれる。ケイ酸化合物の塩としては例えば、無機塩が挙げられ、具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等の第2族元素の金属との塩、アルミニウム塩等の第13族元素の金属との塩等が挙げられる。
このようなケイ酸化合物としては、具体的には例えば、含水二酸化ケイ素、含水無晶形酸化ケイ素、含水ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸マグネシウム(天然)等の含水ケイ酸化合物又はその塩;軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸等の無水ケイ酸又はその塩;二酸化ケイ素、天然ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸マグネシウムナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸又はその塩のほか、ケイソウ土、ベントナイト、カオリン、タルク等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ケイ酸化合物としては、含量均一性の改善作用の観点から、含水ケイ酸化合物、含水ケイ酸化合物の塩、無水ケイ酸及び無水ケイ酸の塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、含水ケイ酸化合物及び含水ケイ酸化合物の塩よりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
また、具体的に例示したケイ酸化合物の中では、含量均一性の改善作用の観点から、含水ケイ酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、含水ケイ酸マグネシウム及び含水二酸化ケイ素よりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。また、医薬組成物(特に固形製剤)の製造の容易性の観点から、ケイ酸化合物としては、常温(15~25℃のいずれかの温度)において固体のものが好ましい。
なお、これらのケイ酸化合物はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、ノイシリンA(富士化学工業(株))、フローライト(富田製薬(株))、ケイ酸マグネシウム(富田製薬(株))、VEEGUMI グラニュー(三洋化成工業(株))、VEEGUMI HV グラニュー(三洋化成工業(株))、VEEGUMI K グラニュー(三洋化成工業(株))、VEEGUMI F(三洋化成工業(株))、サイリシア 320(富士シリシア化学(株))、サイリシア 350(富士シリシア化学(株))、サイリシア 320TP(富士シリシア化学(株))、サイリシア 320FCP(富士シリシア化学(株))、マイコンFR(富田製薬(株))、二酸化ケイ素(日本アエロジル(株))、アエロジル300(日本アエロジル(株))、アドソリダー101(フロイント産業(株))、アドソリダー102(フロイント産業(株))、サイリシア(富士シリシア化学(株))、サイロスフェア(富士シリシア化学(株))、含水無晶形酸化ケイ素(東ソー・シリカ(株))、ノイシリン(富士化学工業(株))、ケイソウ土(昭和化工(株))、タルク(三栄源エフ・エフ・アイ(株))等が挙げられる。
【0037】
医薬組成物におけるケイ酸化合物の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対してケイ酸化合物の合計量として、0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~15質量%であるのがより好ましく、1~10質量%であるのが特に好ましい。
【0038】
また、ケイ酸化合物として含水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を使用する場合、含水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.2~19質量%が好ましく、0.6~14質量%がより好ましく、2~6質量%が特に好ましい。
また、ケイ酸化合物として無水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を使用する場合、無水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.4~17質量%が好ましく、0.8~12質量%がより好ましく、4~8質量%が特に好ましい。
【0039】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とケイ酸化合物との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、ケイ酸化合物を合計で1~200質量部含有するのが好ましく、3~150質量部含有するのがより好ましく、5~100質量部含有するのが特に好ましい。
【0040】
また、ケイ酸化合物として含水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と含水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、含水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を合計で2~160質量部含有するのが好ましく、4~140質量部含有するのがより好ましく、10~90質量部含有するのが特に好ましい。
また、ケイ酸化合物として無水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と無水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、無水ケイ酸化合物及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を合計で2~180質量部含有するのが好ましく、4~120質量部含有するのがより好ましく、10~80質量部含有するのが特に好ましい。
【0041】
<多価アルコール(成分(B-5))>
本明細書において「多価アルコール」とは、環状エーテル構造(例えばテトラヒドロピラン環等)を分子中に2個以上有しない、アルコール性水酸基を2個以上有する化合物を意味し、非重合体でも重合体でもよい。こうした多価アルコールとしては、例えば、糖アルコール、非糖アルコールが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、多価アルコールとしては、環状エーテル構造(例えばテトラヒドロピラン環等)を分子中に含まない多価アルコール、環状エーテル構造を分子中に1個のみ有する多価アルコールが好ましく、環状エーテル構造を分子中に含まない多価アルコールがより好ましく、多価アルコールのうち非環式化合物であるものが特に好ましい。
また、医薬組成物(特に固形製剤)の製造の容易性の観点から、多価アルコールとしては、常温(15~25℃のいずれかの温度)において固体のものが好ましい。
【0042】
上記糖アルコールとしては、具体的には例えば、グリセリン等の炭素数3の糖アルコール(トリトール);エリスリトール、トレイトール等の炭素数4の糖アルコール(テトリトール);キシリトール、アラビニトール、リビトール、アドニトール等の炭素数5の糖アルコール(ペンチトール);マンニトール、ソルビトール、イジトール、ズルシトール、ガラクチトール等の炭素数6の糖アルコール(ヘキシトール);マルチトール、ラクチトール等の炭素数12の糖アルコール(ドデシトール)などが挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの糖アルコールには各種の立体異性体が存在し得るが、「糖アルコール」としてはその立体配置は特に限定されず、各種の立体異性体単独でも、各種の立体異性体の任意の割合の混合物でも良い。
【0043】
上記糖アルコールの中では、含量均一性の改善作用の観点から、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール及びラクチトールよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、マンニトール、ソルビトール及びマルチトールよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、マンニトールが特に好ましい。
なお、これらの糖アルコールはいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、エリスリトール(三栄源エフ・エフ・アイ(株))、キシリット(東和化成工業(株))、NEOSORB P(ロケットジャパン(株))、レシス(東和化成工業(株))、マンニットP(東和化成工業(株))、グリセリン(日油(株))、MALTISORB(ロケットジャパン(株))、アマルティシロップ(東和化成工業(株))等が挙げられる。
【0044】
また、上記非糖アルコールとしては、非糖アルコールのうち非環式化合物であるものが好ましい。具体的には例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール等のアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、マクロゴール(例えば、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、ポリエチレングリコール8000、マクロゴール20000、マクロゴール35000等が例示される。)、ポリプロピレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコール2000等が例示される。)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(例えば、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(124)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール等が例示される。)等のポリアルキレングリコール類;ポリビニルアルコール(完全けん化物)、ポリビニルアルコール(部分けん化物)等のポリビニルアルコール;メグルミン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0045】
上記非糖アルコールの中では、含量均一性の改善作用の観点から、2価の非糖アルコールが好ましく、ポリアルキレングリコール類がより好ましく、マクロゴールがさらに好ましく、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、ポリエチレングリコール8000、マクロゴール20000及びマクロゴール35000よりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、平均分子量が100~10000のマクロゴールがさらに好ましく、200~8000のものがさらに好ましく、マクロゴール6000が特に好ましい。なお、マクロゴールの平均分子量は、第十七改正日本薬局方 医薬品各条「マクロゴール400」の項に記載の「平均分子量試験」により測定することができる。
なお、これらの非糖アルコールはいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、コリソルブPG(BASFジャパン(株))、ジエチレングリコール((株)日本触媒)、ユニセーフDPG-R(日油(株))、マクロゴール200(三洋化成工業(株))、コリソルブPEG300(BASFジャパン(株))、スーパーリファインドPEG400(クローダジャパン(株))、CARBOWAX Sentry PEG600(ダウ・ケミカル日本(株))、マクロゴール1000(日油(株))、マクロゴール1500(三洋化成工業(株))、CARBOWAX Sentry PEG1540(ダウ・ケミカル日本(株))、マクロゴール4000(三洋化成工業(株))、マクロゴール6000(三洋化成工業(株))、マクロゴール20000(三洋化成工業(株))、ニューポールPP-2000(三洋化成工業(株))、プロノン101P(日油(株))、コリソルブP124(BASFジャパン(株))、プロノン403P(日油(株))、ニューデットPE-85(三洋化成工業(株))、PEP-101(フロイント産業(株))、コリフォールP188(BASFジャパン(株))、コリフォールP407マイクロ(BASFジャパン(株))、及びユニルーブDP-950B(日油(株))等が挙げられる。
【0046】
医薬組成物における多価アルコールの含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して多価アルコールの合計量として、0.1~99質量%であるのが好ましく、0.5~95質量%であるのがより好ましく、1~90質量%であるのがさらに好ましく、1.5~50質量%が特に好ましい。
【0047】
また、多価アルコールとして糖アルコールを使用する場合、糖アルコールの含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.2~98質量%が好ましく、0.6~94質量%がより好ましく、1.1~85質量%が特に好ましい。
また、多価アルコールとして非糖アルコールを使用する場合、非糖アルコールの含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.3~97質量%が好ましく、0.7~93質量%がより好ましく、1.2~80質量%が特に好ましい。
また、多価アルコールとしてポリアルキレングリコール類を使用する場合、ポリアルキレングリコール類の含有量としては、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対して、0.4~96質量%が好ましく、0.8~92質量%がより好ましく、1.3~75質量%が特に好ましい。
【0048】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と多価アルコールとの含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、多価アルコールを合計で1~2000質量部含有するのが好ましく、5~1500質量部含有するのがより好ましく、10~1000質量部含有するのがさらに好ましく、15~500質量部が特に好ましい。
【0049】
また、多価アルコールとして糖アルコールを使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と糖アルコールとの含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、糖アルコールを合計で2~1900質量部含有するのが好ましく、6~1450質量部含有するのがより好ましく、12~950質量部含有するのが特に好ましい。
また、多価アルコールとして非糖アルコールを使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と非糖アルコールとの含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、非糖アルコールを合計で3~1850質量部含有するのが好ましく、7~1400質量部含有するのがより好ましく、13~900質量部含有するのが特に好ましい。
また、多価アルコールとしてポリアルキレングリコール類を使用する場合、医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とポリアルキレングリコール類との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、ポリアルキレングリコール類を合計で4~1800質量部含有するのが好ましく、8~1350質量部含有するのがより好ましく、14~850質量部含有するのが特に好ましい。
【0050】
<アルキル硫酸エステル類(成分(B-6))>
本明細書において「アルキル硫酸エステル類」とは、下記式(1):
R-O-SO3M ・・・(1)
(式中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Mはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素の金属;アンモニウムイオン;又はトリエタノールアンモニウム等の炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル置換アンモニウムを示す。)
で表されるアルキル硫酸エステル塩を意味する。
こうしたアルキル硫酸エステル類としては、具体的には例えば、ラウリル硫酸エステル塩、テトラデシル硫酸エステル塩、ヘキサデシル硫酸エステル塩、オクタデシル硫酸エステル塩等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキル硫酸エステル類としては、含量均一性の改善作用の観点から、ラウリル硫酸エステル塩、テトラデシル硫酸エステル塩、ヘキサデシル硫酸エステル塩及びオクタデシル硫酸エステル塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ラウリル硫酸エステル塩がより好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムが特に好ましい。また、医薬組成物(特に固形製剤)の製造の容易性の観点から、アルキル硫酸エステル類としては、常温(15~25℃のいずれかの温度)において固体のものが好ましい。
なお、これらのアルキル硫酸エステル類はいずれも公知の成分であり、公知の方法により製造しても良く、また、市販品を使用しても良い。なお、こうした市販品としては例えば、コリフォール SLS(BASFジャパン(株))等が挙げられる。
【0051】
医薬組成物におけるアルキル硫酸エステル類の含有量は特に限定されず、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、含量均一性の改善作用の観点から、医薬組成物全質量に対してアルキル硫酸エステル類の合計量として、0.1~20質量%であるのが好ましく、0.5~15質量%であるのがより好ましく、1~10質量%であるのが特に好ましい。
【0052】
医薬組成物における、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物とアルキル硫酸エステル類との含有質量比率は特に限定されないが、含量均一性の改善作用の観点から、ペマフィブラートのフリー体換算で1質量部に対し、アルキル硫酸エステル類を合計で1~200質量部含有するのが好ましく、3~150質量部含有するのがより好ましく、5~100質量部含有するのがさらに好ましく、5~50質量部含有するのが特に好ましい。
【0053】
本明細書において「医薬組成物」の剤形は特に限定されず、固形状、半固形状、又は液状製剤のいずれであってもよく、その利用目的等に応じて選択することができる。医薬組成物の剤形としては、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形が挙げられる。具体的には例えば、経口投与用の剤形としては、錠剤(例えば、通常錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などを含む)、カプセル剤、顆粒剤(例えば、発泡顆粒剤などを含む)、散剤、丸剤等の固形製剤;経口ゼリー剤等の半固形状製剤;経口液剤(例えば、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤などを含む)等の液状製剤等が挙げられる。また、非経口投与用の剤形としては、注射剤、吸入剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、座剤、外用固形剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等が挙げられる。
【0054】
医薬組成物としては、服用のし易さ及び製造のし易さの観点から、固形製剤であるのが好ましい。特に、医薬組成物が固形製剤である場合には製造が極めて容易である一方で、一般的には、固形製剤は基本的に常温(15~25℃のいずれかの温度)で固体の成分を多く用いて製造することとなるため成分間の混合・分散が不均一となり易く、含量均一性の悪化が特に問題となり易い。しかるところ、本発明によれば、固形製剤の場合であっても、含量均一性が良好である、という優れた効果を有する。
固形製剤としては、経口投与用固形製剤が好ましく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤がより好ましく、錠剤が特に好ましい。また、固形製剤としては、成分(A)及び(B)を含む混合物を含有する固形製剤が好ましい。
【0055】
本発明の医薬組成物には、その剤形に応じて、上記成分以外に製薬上許容される担体(製剤添加物)を加えてもよい。こうした製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、可塑剤、フィルム形成剤、難水溶性高分子物質、抗酸化剤、矯味剤、甘味剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの製剤添加物としては、具体的には例えば、医薬品添加物辞典2016(株式会社薬事日報社発行)、Handbook of Pharmaceutical Excipients, Seventh Edition(Pharmaceutical Press社発行)等に収載されたものを用いればよい。
【0056】
賦形剤としては、具体的には例えば、無水硫酸ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機系賦形剤;果糖、カラメル、カンテン、パラフィン、結晶セルロース、ショ糖、麦芽糖、乳糖、乳糖水和物、白糖、ブドウ糖、プルラン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トレハロース、還元パラチノース、マルトース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、クエン酸カルシウム等の有機系賦形剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
賦形剤の合計含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して、好ましくは20~99質量%、より好ましくは30~97質量%である。
【0057】
崩壊剤としては、具体的には例えば、ゼラチン、炭酸水素ナトリウム、デキストリン、デヒドロ酢酸及びその塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
結合剤としては、具体的には例えば、デキストリン、プルラン、アラビアゴム、カンテン、ゼラチン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
滑沢剤としては、具体的には例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
滑沢剤の合計含有量は特に限定されないが、医薬組成物全質量に対して、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
可塑剤としては、具体的には例えば、ゴマ油、ヒマシ油、ポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンオレイン酸エステル)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
フィルム形成剤としては、具体的には例えば、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はその塩、カラギーナン、キサンタンガム、プルラン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
難水溶性高分子物質としては、具体的には例えば、カルボキシビニルポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
抗酸化剤としては、具体的には例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、天然ビタミンE、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
矯味剤としては、具体的には例えば、リモネン、ピネン、カンフェン、サイメン、シネオール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、メントール、テルピネオール、ロジノール、ボルネオール、イソボルネオール、メントン、カンフル、オイゲノール、シンゼイラノール等のテルペン;トウヒ油、オレンジ油、ハッカ油、樟脳白油、ユーカリ油、テレピン油、レモン油、ショウキョウ油、チョウジ油、ケイヒ油、ラベンダー油、ウイキョウ油、カミツレ油、シソ油、スペアミント油等のテルペンを含有する精油;アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸及びこれらの塩等の酸味剤等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、グリチルリチン酸、ソーマチン、アセスルファムカリウム、サッカリン、サッカリンナトリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0064】
本発明の医薬組成物は、その剤形に応じて公知の方法により製造することができる。
例えば、医薬組成物が固形製剤である場合には、粉砕、混合、造粒、乾燥、整粒、分級、充填、打錠、コーティング等の単位操作を適宜組み合わせることにより製造することができるが、その製造方法としては、成分(A)と成分(B)とを混合する工程を含む方法が好ましい。
より具体的には例えば、医薬組成物の剤形が顆粒剤、散剤、丸剤等の粒状の製剤の場合、成分(A)、成分(B)に加えて、必要に応じ賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の製剤添加物を用い、これらの成分を混合した後、押出造粒、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、噴霧造粒、溶融造粒、破砕造粒等の公知の造粒方法により造粒して造粒物を得、さらに必要に応じて分級、整粒等することで製造することができる。なお、得られた造粒物は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
また、医薬組成物の剤形が錠剤の場合、成分(A)、成分(B)に加えて、必要に応じ賦形剤や結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の適当な製剤添加物を用い、これらの成分を混合して混合物を得、これを直接圧縮(打錠)すること(直接粉末圧縮法)や、上記の造粒物を必要に応じて分級、整粒等したあと圧縮(打錠)すること(半乾式顆粒圧縮法、乾式顆粒圧縮法、湿式顆粒圧縮法など)により製造することができる。なお、得られた圧縮物(錠剤)は、公知の方法によりコーティング剤等で被覆することもできる。
さらに、医薬組成物の剤形がカプセル剤の場合、上記の造粒物や圧縮物を、カプセルに充填すればよい。
【0065】
本発明の医薬組成物の適用疾患は何ら限定されず、現時点で公知の、又は将来的に見出される、ペマフィブラートの投与が有効であるとされる疾患の予防又は治療に広く用いることができる。
例えば、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は優れたPPARαアゴニスト活性を有し、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を有する。従って、本発明の医薬組成物は、好適には、脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)の予防及び/又は治療剤として、さらに好適には高トリグリセライド血症の予防及び/又は治療剤等として使用できる。
また、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の予防又は治療に有用である。従って、本発明の医薬組成物は、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))の予防及び/又は治療剤等としても使用できる。
さらに、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、原発性胆汁性肝硬変の治療剤等として使用してもよい。
【0066】
医薬組成物の服用経路は特に限定されず、適用する疾患、製剤の種類、服用者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定することができるが、服用の容易性の観点から、経口投与が好ましい。また、医薬組成物は、1日につき1~4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用することができる。
【0067】
なお、本明細書は、これらに何ら限定されるものでは無いが、例えば以下の態様を開示する。
[1-1] 次の成分(A)及び(B):
(A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
(B)次の成分(B-1)~(B-6)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)セルロースエーテル類
(B-2)デンプン類
(B-3)ポビドン類
(B-4)ケイ酸化合物
(B-5)多価アルコール
(B-6)アルキル硫酸エステル類
を含有する、医薬組成物。
[1-2] 成分(B-1)が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース、カルボキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースの架橋重合物並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]記載の医薬組成物。
[1-3] 成分(B-1)が、C1-C6アルキルセルロース、ヒドロキシC1-C6アルキルセルロース、C1-C6アルキル(ヒドロキシC1-C6アルキル)セルロース、カルボキシC1-C6アルキルセルロース及びカルボキシC1-C6アルキルセルロースの架橋重合物並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]記載の医薬組成物。
[1-4] 成分(B-1)が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]記載の医薬組成物。
【0068】
[1-5] 成分(B-2)が、デンプン、デンプンのヒドロキシアルキルエーテル及びデンプンのカルボキシアルキルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-4]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-6] 成分(B-2)が、デンプン、デンプンのヒドロキシC1-C6アルキルエーテル及びデンプンのカルボキシC1-C6アルキルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-4]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-7] 成分(B-2)が、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ及びカルボキシメチルスターチ並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-4]のいずれか記載の医薬組成物。
【0069】
[1-8] 成分(B-3)が、ポビドン及びクロスポビドンよりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-7]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-9] 成分(B-3)が、クロスポビドンである、[1-1]~[1-7]のいずれか記載の医薬組成物。
【0070】
[1-10] 成分(B-4)が、含水ケイ酸化合物、含水ケイ酸化合物の塩、無水ケイ酸及び無水ケイ酸の塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-9]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-11] 成分(B-4)が、含水ケイ酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-9]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-12] 成分(B-4)が、含水ケイ酸マグネシウム及び含水二酸化ケイ素よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-9]のいずれか記載の医薬組成物。
【0071】
[1-13] 成分(B-5)が、マクロゴールである、[1-1]~[1-12]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-14] 成分(B-5)が、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、ポリエチレングリコール8000、マクロゴール20000及びマクロゴール35000よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-12]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-15] 成分(B-5)が、平均分子量が100~10000のマクロゴールである、[1-1]~[1-12]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-16] 成分(B-5)が、マクロゴール6000である、[1-1]~[1-12]のいずれか記載の医薬組成物。
【0072】
[1-17] 成分(B-5)が、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール及びラクチトールよりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-12]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-18] 成分(B-5)が、マンニトール及びソルビトールよりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-12]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-19] 成分(B-5)が、マンニトールである、[1-1]~[1-12]のいずれか記載の医薬組成物。
【0073】
[1-20] 成分(B-6)が、ラウリル硫酸エステル塩、テトラデシル硫酸エステル塩、ヘキサデシル硫酸エステル塩及びオクタデシル硫酸エステル塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1-1]~[1-19]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-21] 成分(B-6)が、ラウリル硫酸エステル塩である、[1-1]~[1-19]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-22] 成分(B-6)が、ラウリル硫酸ナトリウムである、[1-1]~[1-19]のいずれか記載の医薬組成物。
【0074】
[1-23] 脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[1-1]~[1-22]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-24] 固形製剤である、[1-1]~[1-23]のいずれか記載の医薬組成物。
[1-25] 剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[1-1]~[1-24]のいずれか記載の医薬組成物。
【0075】
[2-1] (A)ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、次の成分(B-1)~(B-6)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)セルロースエーテル類
(B-2)デンプン類
(B-3)ポビドン類
(B-4)ケイ酸化合物
(B-5)多価アルコール
(B-6)アルキル硫酸エステル類
を含有せしめる工程を含む、医薬組成物中のペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含量均一性の改善方法。
[2-2] 成分(B-1)が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース、カルボキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースの架橋重合物並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]記載の方法。
[2-3] 成分(B-1)が、C1-C6アルキルセルロース、ヒドロキシC1-C6アルキルセルロース、C1-C6アルキル(ヒドロキシC1-C6アルキル)セルロース、カルボキシC1-C6アルキルセルロース及びカルボキシC1-C6アルキルセルロースの架橋重合物並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]記載の方法。
[2-4] 成分(B-1)が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]記載の方法。
【0076】
[2-5] 成分(B-2)が、デンプン、デンプンのヒドロキシアルキルエーテル及びデンプンのカルボキシアルキルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-4]のいずれか記載の方法。
[2-6] 成分(B-2)が、デンプン、デンプンのヒドロキシC1-C6アルキルエーテル及びデンプンのカルボキシC1-C6アルキルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-4]のいずれか記載の方法。
[2-7] 成分(B-2)が、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ及びカルボキシメチルスターチ並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-4]のいずれか記載の方法。
【0077】
[2-8] 成分(B-3)が、ポビドン及びクロスポビドンよりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-7]のいずれか記載の方法。
[2-9] 成分(B-3)が、クロスポビドンである、[2-1]~[2-7]のいずれか記載の方法。
【0078】
[2-10] 成分(B-4)が、含水ケイ酸化合物、含水ケイ酸化合物の塩、無水ケイ酸及び無水ケイ酸の塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-9]のいずれか記載の方法。
[2-11] 成分(B-4)が、含水ケイ酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素及び軽質無水ケイ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-9]のいずれか記載の方法。
[2-12] 成分(B-4)が、含水ケイ酸マグネシウム及び含水二酸化ケイ素よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-9]のいずれか記載の方法。
【0079】
[2-13] 成分(B-5)が、マクロゴールである、[2-1]~[2-12]のいずれか記載の方法。
[2-14] 成分(B-5)が、マクロゴール100、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、ポリエチレングリコール8000、マクロゴール20000及びマクロゴール35000よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-12]のいずれか記載の方法。
[2-15] 成分(B-5)が、平均分子量が100~10000のマクロゴールである、[2-1]~[2-12]のいずれか記載の方法。
[2-16] 成分(B-5)が、マクロゴール6000である、[2-1]~[2-12]のいずれか記載の方法。
【0080】
[2-17] 成分(B-5)が、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトール及びラクチトールよりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-12]のいずれか記載の方法。
[2-18] 成分(B-5)が、マンニトール及びソルビトールよりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-12]のいずれか記載の方法。
[2-19] 成分(B-5)が、マンニトールである、[2-1]~[2-12]のいずれか記載の方法。
【0081】
[2-20] 成分(B-6)が、ラウリル硫酸エステル塩、テトラデシル硫酸エステル塩、ヘキサデシル硫酸エステル塩及びオクタデシル硫酸エステル塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[2-1]~[2-19]のいずれか記載の方法。
[2-21] 成分(B-6)が、ラウリル硫酸エステル塩である、[2-1]~[2-19]のいずれか記載の方法。
[2-22] 成分(B-6)が、ラウリル硫酸ナトリウムである、[2-1]~[2-19]のいずれか記載の方法。
【0082】
[2-23] 医薬組成物が、脂質異常症(高脂血症、より詳細には例えば、原発性高脂血症、続発性高脂血症等)、NAFLD(より好適には、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎))及び原発性胆汁性肝硬変から選ばれる疾患の予防及び/又は治療剤である、[2-1]~[2-22]のいずれか記載の方法。
[2-24] 固形製剤である、[2-1]~[2-23]のいずれか記載の医薬組成物。
[2-25] 医薬組成物の剤形が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又は丸剤である、[2-1]~[2-24]のいずれか記載の方法。
【実施例0083】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
なお、以下の試験例において、HPLCを用いた測定は、カラムとしてODSカラムを、検出器として紫外吸光光度計をそれぞれ用いて行った。
また、以下の試験例において使用したペマフィブラートについて、第十七改正日本薬局方 レーザー回折法による粒子径測定法に従って一次粒子の平均粒子径を測定した結果、d50は100μm以下であり、d90は200μm以下であった。
【0084】
[試験例1]含量均一性評価試験 その1
医薬組成物中のペマフィブラート含量の均一性を評価するため、以下の試験を実施した。
すなわち、表1記載の各成分の1錠当りの分量が、表1記載の分量(mg)となるように、錠剤を製造した。具体的な手順を以下に示す。
(実施例1~5)
ペマフィブラートとセルロースエーテル類を30秒間混合し、続いて乳糖水和物及び結晶セルロースを加えて30秒間混合し、最後にステアリン酸マグネシウムを加えて30秒間混合した。その後、得られた混合物を、直径7mmの杵を取り付けた打錠機を用いて打錠し、1錠当り120mgの錠剤1000錠を製造した。
(比較例1)
ペマフィブラート、乳糖水和物及び結晶セルロースを30秒間混合し、続いてステアリン酸マグネシウムを加えて30秒間混合した。その後、得られた混合物を、直径7mmの杵を取り付けた打錠機を用いて打錠し、1錠当り117.6mgの錠剤1000錠を製造した。
【0085】
得られた各実施例又は比較例の錠剤についてそれぞれ無作為に10錠ずつ取り出し、1錠ずつ、錠剤中のペマフィブラート含量を以下の方法により測定した。
すなわち、錠剤1錠を水に入れて破砕し、その後アセトニトリルを加えて試料溶液を得た。得られた試料溶液をHPLC装置にて分析し、ペマフィブラート由来のピーク面積を測定した。そして、得られた試料溶液中のペマフィブラート由来のピーク面積を、濃度既知のペマフィブラートの標準液のピーク面積と比較することによって、錠剤1錠ごとのペマフィブラートの含量を測定した。
【0086】
得られた錠剤1錠ごとのペマフィブラートの含量の測定値から、第十七改正日本薬局方 含量均一性試験に準じ、錠剤中のペマフィブラート含量の相対標準偏差(RSD)(%)を算出し、錠剤中のペマフィブラート含量のばらつき(均一性の程度)の指標とした。
得られた結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1記載の結果の通り、セルロースエーテル類を含有しない比較例1においては、相対標準偏差が140%程度となり、錠剤当たりのペマフィブラート含量に大きなばらつきが認められた。
これに対し、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースをセルロースエーテル類として含有せしめた場合(実施例1~5)は、相対標準偏差がいずれも小さく、錠剤当たりのペマフィブラート含量の均一性が良好であることが明らかとなった。なお、セルロースエーテル類の添加量は2.4mg(錠剤全質量に対し2質量%)と微量であった。
【0089】
以上の試験結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、セルロースエーテル類を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることが明らかとなった。
【0090】
[試験例2]含量均一性評価試験 その2
錠剤の組成が下記表2記載の成分及び分量となるようにしたほかは、試験例1と同様の方法により、試験を実施した。
結果を表2に示す。
【0091】
【表2】
【0092】
表2記載の結果の通り、α化デンプン、トウモロコシデンプン又はカルボキシメチルスターチナトリウムをデンプン類として含有せしめた場合(実施例6~8)においても、試験例1におけるセルロースエーテル類を含有する実施例1~5の錠剤と同様に、相対標準偏差がいずれも小さく、錠剤当たりのペマフィブラート含量の均一性が良好であることが明らかとなった。
【0093】
以上の試験結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、デンプン類を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることが明らかとなった。
【0094】
[試験例3]含量均一性評価試験 その3
錠剤の組成が下記表3記載の成分及び分量となるようにしたほかは、試験例1と同様の方法により、試験を実施した。
結果を表3に示す。
【0095】
【表3】
【0096】
表3記載の結果の通り、クロスポビドン又はポリビニルピロリドンをポビドン類として含有せしめた場合(実施例9~10)においても、試験例1におけるセルロースエーテル類を含有する実施例1~5の錠剤と同様に、相対標準偏差がいずれも小さく、錠剤当たりのペマフィブラート含量の均一性が良好であることが明らかとなった。
【0097】
以上の試験結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、ポビドン類を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることが明らかとなった。
【0098】
[試験例4]含量均一性評価試験 その4
錠剤の組成が下記表4記載の成分及び分量となるようにしたほかは、試験例1と同様の方法により、試験を実施した。
結果を表4に示す。
【0099】
【表4】
【0100】
表4記載の結果の通り、含水ケイ酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素又は軽質無水ケイ酸をケイ酸化合物として含有せしめた場合(実施例11~13)においても、試験例1におけるセルロースエーテル類を含有する実施例1~5の錠剤と同様に、相対標準偏差がいずれも小さく、錠剤当りのペマフィブラート含量の均一性が良好であることが明らかとなった。
【0101】
以上の試験結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、ケイ酸化合物を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることが明らかとなった。
【0102】
[試験例5]含量均一性評価試験 その5
錠剤の組成が下記表5記載の成分及び分量となるようにしたほかは、試験例1と同様の方法により、試験を実施した。
結果を表5に示す。
【0103】
【表5】
【0104】
表5記載の結果の通り、マクロゴール又はマンニトールを多価アルコールとして含有せしめた場合(実施例14~15)においても、試験例1におけるセルロースエーテル類を含有する実施例1~5の錠剤と同様に、相対標準偏差がいずれも小さく、錠剤当りのペマフィブラート含量の均一性が良好であることが明らかとなった。
【0105】
以上の試験結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、多価アルコールを含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることが明らかとなった。
【0106】
[試験例6]含量均一性評価試験 その6
錠剤の組成が下記表6記載の成分及び分量となるようにしたほかは、試験例1と同様の方法により、試験を実施した。
結果を表6に示す。
【0107】
【表6】
【0108】
表6記載の結果の通り、アルキル硫酸エステル類としてラウリル硫酸ナトリウムを含有する実施例16においても、試験例1におけるセルロースエーテル類を含有する実施例1~5の錠剤と同様に、相対標準偏差がいずれも小さく、錠剤当りのペマフィブラート含量の均一性が良好であることが明らかとなった。
【0109】
以上の試験結果から、ペマフィブラート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に、アルキル硫酸エステル類を含有せしめることにより、医薬組成物中のペマフィブラートの含量均一性が改善されることが明らかとなった。
【0110】
[製造例1~6]
表7~8に記載の成分及び分量(mg)を1錠当りに含有する錠剤を、常法により湿式顆粒圧縮法にて製造できる。
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】
[製造例7~12]
表9~10に記載の成分及び分量(mg)を1錠当りに含有する錠剤を、常法により直接粉末圧縮法にて製造できる。
【0114】
【表9】
【0115】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明によれば、血漿トリグリセライド濃度の低下やHDLコレステロールの増加等の作用を示すペマフィブラートを含有し、均質性に優れる医薬組成物を提供できるため、例えば医薬品産業等において利用できる。