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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033019
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240306BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240306BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20240306BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F21S2/00 481
G02F1/13357
G09F9/35
G09F9/00 336G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021001965
(22)【出願日】2021-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大田 隆
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB32
2H391AB34
2H391AB40
2H391AC04
2H391AC09
2H391AC13
2H391AC23
2H391AC26
2H391CB13
2H391DA07
3K244AA01
3K244BA08
3K244BA20
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA22
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA04
5C094AA05
5C094AA06
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB01
5C094GB01
5G435AA02
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE26
5G435FF03
5G435FF11
5G435GG02
5G435GG12
5G435GG23
5G435GG26
5G435HH13
5G435KK02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】正確なローカルディミングによって、高精細で、高コントラストを実現する表示装置を提供する。
【解決手段】表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、バックライトは、光源と、色変換シート51、プリズムシート52及び拡散シート53を含む光学シート群を有する。光源は、光源基板61と光源基板61に配置したLED60を有し、平面で視てセグメントに分割される。セグメントには、少なくとも1個の青色LED60が存在する。光源基板61は、青色LED60を除いて保護フィルム63によって覆われる。前記セグメントは、樹脂で形成された仕切り板70によって壁状に仕切られている。仕切り板70は、保護フィルム63の上に載置され、光学シート群との間には凸レンズ45が形成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、
前記バックライトは光源と光学シート群を有し、
前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、
前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、
前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、
前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、
前記セグメントは、樹脂で形成された仕切り板によって壁状に仕切られており、
前記仕切り板は、前記保護フィルムの上に載置され、
前記仕切り板と前記光学シート群の間には凸レンズが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記LEDの発光部分は、前記保護フィルムの上面よりも、前記光学シート群側に存在していることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記仕切り板で囲まれた領域は空間であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記仕切り板は白色PET樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記保護フィルムは、白色の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記LEDは、青色LEDであり、前記光学シート群は色変換シートを含むことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、
前記バックライトは光源と光学シート群を有し、
前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、
前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、
前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、
前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、
前記セグメントには、前記保護フィルムの上に、かつ、前記LEDを囲むように第2レンズが形成され、
前記第2レンズの口径は、前記LED側よりも前記光学シート群側において大きく、
前記第2レンズと前記光学シート群の間には、第1レンズが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記第2レンズの外側の断面形状は、外側に凸であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2レンズは平面で視て円であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2レンズの上面は平面であり、前記平面の上に前記第1レンズが配置していることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2レンズの前記LEDを囲む曲面は凹レンズを形成していることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1レンズと前記第2レンズは一体であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項13】
前記LEDの発光部分は、前記保護フィルムの上面よりも、前記光学シート群側に存在していることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項14】
前記保護フィルムは、白色の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、
前記バックライトは光源と光学シート群を有し、
前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、
前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、
前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、
前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、
前記セグメントは、区画樹脂によって区画され、
前記区画樹脂にはスルーホールが形成され、
前記スルーホールの断面形状は外側に凸な曲面であり、
平面で視て、前記スルーホールの径は、前記光学シート群側において、光源基板側よりも大きく、
前記区画樹脂と前記光学シート群の間には凸レンズが形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項16】
平面で視て前記スルーホールの形状は円であることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記区画樹脂は、不透明の白色樹脂で形成されていることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項18】
前記スルーホールの内壁には金属または合金による反射層が形成されていることを特徴とする請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
前記スルーホールと前記凸レンズが対応していることを特徴とする請求項15に記載の表示装置。
【請求項20】
前記表示パネルは液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライトを有する表示装置に係り、特に、ローカルディミングを用いて高コントラスト画面を可能とする表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶層が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
一方、有機EL表示装置では、有機EL層による発光素子、駆動TFT、スイッチングTFT等を有する画素がマトリクス状に形成され、画素毎に有機EL層の発光強度を制御して画像を形成している。有機EL表示装置は自発光素子なので、画像のコントラストが優れている。
【0004】
しかし、画素の大きさは液晶表示装置のほうが小さくできるので、精細度は液晶表示装置のほうが優れている。そこで、液晶表示装置のコントラストを向上させる方式としてローカルディミングが開発されている。ローカルディミングに関する先行技術として、例えば特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-116683
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VR(Virtual Reality)用表示装置、医療用表示装置では、より高精細で、よりコントラストの高い画像が必要とされる。このような表示装置でローカルディミングを用いる場合、ローカルディミングについても、より細かい制御が必要である。
【0007】
このような表示装置で、より効果的にローカルディミングを行い、コントラストを向上させるためには、例えば、ローカルディミングの単位となるセグメントの面積を小さくし、かつ、各セグメントの光が隣接するセグメントに及ばないようにする必要がある。
【0008】
また、セグメントの面積を小さくすると、セグメントに複数のLEDを配置することが難しくなる。一方、各セグメントに1個のみLEDを配置した場合、輝度分布の均一化が問題となり、画面側からLEDが見えてしまうという問題を生ずる。これを対策するために、例えば、拡散シートを配置すると、拡散シートの影響によって、各セグメントの光が隣接するセグメントに漏れるという問題を生ずる。
【0009】
本発明の課題は、このような問題を解決し、ローカルディミングを効果的に行い、バックライトを有する表示装置において、高精細で高コントラストの画面を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0011】
(1)表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、前記バックライトは光源と光学シート群を有し、前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、前記セグメントは、樹脂で形成された仕切り板によって壁状に仕切られており、前記仕切り板は、前記保護フィルムの上に載置され、前記仕切り板と前記光学シート群の間には凸レンズが形成されていることを特徴とする表示装置。
【0012】
(2)表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、前記バックライトは光源と光学シート群を有し、前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、前記セグメントには、前記保護フィルムの上に、かつ、前記LEDを囲むように第2レンズが形成され、前記第2レンズの口径は、前記LED側よりも前記光学シート群側において大きく、前記第2レンズと前記光学シート群の間には、第1レンズが形成されていることを特徴とする表示装置。
【0013】
(3)表示パネル及びバックライトを有する表示装置であって、前記バックライトは光源と光学シート群を有し、前記光源は、光源基板と前記光源基板に配置したLEDを有し、前記光源は、平面で視てセグメントに分割され、前記セグメントには、少なくとも1個の前記LEDが存在し、前記光源基板は、前記LEDを除いて保護フィルムによって覆われ、前記セグメントは、区画樹脂によって区画され、前記区画樹脂にはスルーホールが形成され、前記スルーホールの断面形状は外側に凸な曲面であり、平面で視て、前記スルーホールの径は、前記光学シート群側において、光源基板側よりも大きく、前記区画樹脂と前記光学シート群の間には凸レンズが形成されていることを特徴とする表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】液晶表示装置の平面図である。
図2】液晶表示装置の断面図である。
図3】液晶表示装置におけるローカルディミング動作の場合のセグメントの例を示す平面図である。
図4】光源に青色LEDを使用した場合の比較例1の平面図である。
図5】光源に青色LEDを使用した場合の比較例1の断面図である。
図6】光源に白色LEDを使用した場合の比較例2の平面図である。
図7】光源に白色LEDを使用した場合の比較例2の断面図である。
図8】実施例1のセグメントを示す平面図である。
図9】実施例1のセグメントを示す断面図である。
図10】仕切り板の斜視図である。
図11】仕切り板の平面図である。
図12図11のA-A断面図である。
図13】第1レンズの斜視図である。
図14】第1レンズの製造方法を示す断面図である。
図15】第1レンズの製造方法における露光マスクの透過率を示すグラフである。
図16】第1レンズの製造方法を示す図15に続く断面図である。
図17】第1レンズの製造方法を示す図16に続く断面図である。
図18】仕切り板を第1レンズに取り付け、これを光源基板に載置する状態を示す断面図である。
図19】比較例1、2における青色LED及びその周辺の断面図である。
図20】本発明における青色LED及びその周辺の断面図である。
図21】実施例2の断面図である。
図22A】実施例2の平面図である。
図22B】実施例2の他の平面図である。
図23】第2レンズの製造方法を示す断面図である。
図24】第2レンズの製造方法における露光マスクの透過率を示すグラフである。
図25】第2レンズの製造方法を示す図24に続く断面図である。
図26】第2レンズの製造方法を示す図25に続く断面図である。
図27】第2レンズを第1レンズに貼り付け、これを光源基板に載置する状態を示す断面図である。
図28】実施例3の断面図である。
図29】実施例3の凸レンズの製造方法を示す断面図である。
図30】実施例3の凸レンズの製造方法を示す図29に続く断面図である。
図31】実施例3の凸レンズの製造方法を示す図30に続く断面図である。
図32】実施例3の凸レンズの製造方法を示す図31に続く断面図である。
図33】実施例3の凸レンズの製造方法を示す図32に続く断面図である。
図34】実施例4の断面図である。
図35A】実施例4の平面図である。
図35B】実施例4の他の平面図である。
図36】実施例4の製造方法を示す断面図である。
図37】実施例4の製造方法を示す図36に続く断面図である。
図38】実施例4の製造方法を示す図37に続く断面図である。
図39】実施例4の製造方法を示す図38に続く断面図である。
図40】第1レンズと反射層を含む区画樹脂の組み立て体を光源基板に載置する状態を示す断面図である。
図41】実施例5の断面図である。
図42】実施例5の平面図である。
図43】実施例6の平面図である。
図44】実施例6の断面図である。
図45】比較例1、2で使用される白色LED及びその周辺の断面図である。
図46】本発明で使用される白色LED及びその周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例0016】
図1は液晶表示装置の1例を示す平面図である。図1において、TFT基板100と対向基板200がシール材16によって接着し、内部に液晶が挟持されている。TFT基板100と対向基板200がオーバーラップした部分に表示領域14が形成されている。表示領域14には、走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在して横方向に配列している。走査線11と映像信号線12で囲まれた領域に画素13が形成されている。
【0017】
図1において、TFT基板100が対向基板200とオーバーラップしていない部分は端子領域15となっている。端子領域15には、液晶表示パネルに電源や信号を供給するためにフレキシブル配線基板17が接続している。液晶表示パネルを駆動するドライバICはフレキシブル配線基板17に搭載されている。TFTの背面には、図2に示すようにバックライトが配置している。
【0018】
図2は液晶表示装置の断面図である。図2において、液晶表示パネル10の背面にバックライト20が配置している。液晶表示パネル10は次のような構成になっている。すなわち、画素電極、コモン電極、TFT、走査線、映像信号線等が形成されたTFT基板100に対向して、ブラックマトリクスやカラーフィルタが形成された対向基板200が配置している。TFT基板100と対向基板200は周辺において、シール材16によって接着し、内部に液晶300が封入されている。
【0019】
液晶分子は、TFT基板100及び対向基板200に形成された配向膜によって、初期配向している。画素電極とコモン電極の間に電圧が印加されると、液晶分子が回転し、画素毎にバックライト20からの光を制御することによって画像を形成する。液晶300は、偏向光のみ制御することが出来るので、TFT基板100の下に下偏光板101を配置して、偏向光のみを液晶300に入射する。液晶300で変調された光は、上偏光板201において、検光され、画像が視認される。
【0020】
図2において、液晶表示パネルの背面にバックライト20が配置している。バックライト20は光源30の上に導光板40が配置し、その上に光学シート群50が配置している構成である。表示装置のバックライト20には、LED等の光源が導光板の側面に配置するサイドライト方式と、LED等の光源が導光板の下面に配置する直下型とが存在するが、本発明では、直下型方式のバックライトを使用する。
【0021】
図2において、光源30の上には導光板40が配置している。導光板40は透明な樹脂で形成されている。図2における導光板40は、導光板40に入射した光を界面において反射させることによって、点光源であるLEDからの光を均一化させる役割を有する。
【0022】
導光板40の上には光学シート群50が配置している。光学シート群50には、プリズムシート、拡散シート等が用いられる。この他に、光源に青色LED等を用いて白色光を得るために、樹脂シート内に蛍光体を分散した、色変換シートが用いられることもある。色変換シートは量子ドットを用いたQDシートを使用してもよい。また、バックライト20からの光の利用効率を向上させるために、偏向反射シートが用いられることもある。どのような光学シートを用いるか、あるいは、このような光学シートを何枚用いるかは表示装置によって決められる。
【0023】
液晶表示装置に画像を表示する場合、明るい部分はバックライトからの光を透過し、暗い部分は、バックライトからの光を遮蔽する。画像のコントラストは、明るい部分と暗い部分の比によって定義される。液晶表示装置は、暗い部分は、液晶によってバックライトからの光を遮蔽することによって形成する。しかし、液晶によるバックライトの遮蔽は、完全ではなく、若干の光が漏れる。これによってコントラストが低下することになる。
【0024】
ローカルディミングは、暗い部分には、バックライトからの光を照射しないことによって、深い黒表示を可能とする。したがって、高いコントラストを実現することが出来る。図3はローカルディミングの形態を示す液晶表示装置の例である。図3は液晶表示装置の平面図であり、構成は図1で説明したのと同様である。図3において、表示領域14はセグメント141によって分割されている。図3における点線は、セグメント141の境界であるが、これは便宜上記載したものであり、液晶表示パネルにこのような境界があるわけではない。バックライトにおける光源が各セグメントに対応する位置に配置されている。
【0025】
図3において、セグメント(4、2)は明るい部分であり、セグメント(5、2)は暗い部分であるとする。ローカルディミングでは、セグメント(4、2)の部分の光源、すなわち、LEDを点灯し、セグメント(5、2)の部分の光源、すなわち、LEDは点灯しない。そうすると、セグメント(5、2)の部分に形成される黒は、深い黒表示となり、高いコントラストが実現される。
【0026】
しかし、セグメント間には境界があるわけではないので、例えばセグメントの輝度分布等によっては、セグメント(4、2)の光がセグメント(5、2)に及ぶ場合がある。そうすると、黒表示をするはずのセグメント(5、2)にもバックライトが照射されることになり、ローカルディミングの効果を十分に発揮できないことになる。
【0027】
図4及び図5は、ローカルディミングを可能とするバックライトの構成を示す比較例1である。図4及び図5では、光源として青色LED60が使用されている。図4は、バックライトにおいて、各セグメント141における、光源であるLED60の配置を示す平面図である。図4において、各セグメント141は点線で仕切られている。しかし、この点線は、便宜上のものであり、実際に仕切りがあるわけではない。各セグメントの大きさは4mm□(縦4mm、横4mm)以下であり、図5の場合は、例えば2mm□である。以下の例におけるセグメント141の大きさも同様である。
【0028】
図4において、各セグメント141に1個のLED60が配置している。図5は、比較例1におけるバックライトの断面図である。図5において、光源基板61の上にLED60が配置し、LED60を覆って透明樹脂62が形成されている。LED60には青色LEDが使用されている。LED60およびその付近の構成例は図19に記載されている。透明樹脂62には、例えばアクリル樹脂あるいはシリコーン樹脂が使用される。透明樹脂62は、LED60、及び光源基板61に形成された電極及び配線を保護するためのものである。図5の光源基板61に記載された点線は、便宜上セグメントの境界を示すものである。
【0029】
透明樹脂62の上に導光板40が配置している。導光板40は、透明であるが、導光板40に入射した光を界面において反射し、LED60からの光を均一化する働きを有する。導光板40の上に色変換シート51が配置している。色変換シート51は、透明樹脂シートに青色光を受けて黄色光を発色する蛍光体を分散させたものであり、色変換シート51を通過した光は、白色光となっている。色変換シート51の厚さは例えば50ミクロン乃至500ミクロンである。
【0030】
色変換シート51の上には拡散シート53が配置している。拡散シート53は、光源60からの光を拡散して輝度を均一化するためのものである。拡散シート53の厚さは、例えば、50ミクロン乃至70ミクロンである。拡散シート53の上にはプリズムシート52が配置している。プリズムシート52は、断面が3角形状のプリズムがy方向に延在し、x方向に配列したものである。プリズムシート52の役割は、色変換シート51の主面から斜め方向に出射した光を、色変換シート51の主面と直角方向に向けることによって、光の利用効率を上げるものである。図5では、プリズムシート52は、1枚であるが、図5のプリズムシート52のプリズムアレイと直角方向に延在するプリズムアレイを有するプリズムシートを加える場合もある。プリズムシートの厚さは、例えば、プリズムアレイの部分の厚さ(すなわち、プリズムの高さ)が50ミクロン、基材の部分の厚さが70ミクロンであり、合計120ミクロン程度である。
【0031】
図6及び図7は、光源として白色LED65を使用した場合の比較例2である。図6は、光源であるLEDが白色LED65である他は図4と同じである。図7は、比較例2におけるバックライトの断面図である。図7において、光源基板61の上に白色LED65が配置し、白色LED65を覆って透明樹脂62が形成されている。白色LED65及びその付近の構成例は、図45に記載されている。
【0032】
透明樹脂62の上に導光板40が配置している。導光板40の役割は比較例1で説明したのと同様である。導光板40の上に拡散シート53が存在しており、色変換シート51は存在していない。白色LED65を使用しているので、色変換の必要が無いからである。拡散シート53の役割は図5で説明したのと同じである。拡散シート53の上にプリズムシート52が配置している。プリズムシートの構成及び作用は図5で説明したのと同じである。
【0033】
比較例1及び2の問題点は、LED60または65からの光が、LED60、65を覆う透明樹脂63、導光板40、色変換シート51及び拡散シート53から隣接するセグメントに漏れてしまうということである。特に、光源に近い、透明樹脂62、導光板40を介しての隣接セグメントへの光漏れが大きい。したがって、正確なローカルディミングを行うことが出来なくなる。
【0034】
以下に示す本発明は、以上のような問題を解決するものである。本発明は、LEDが青色の場合も白色の場合も適用できる。以下の実施例1乃至5で、青色LED60を使用した場合について説明し、実施例6で白色LED65を使用した場合について説明する。
【0035】
図8及び図9は、本発明の実施例1によるバックライトの構成である。図8は、バックライトにおいて、各セグメント141における、光源であるLED60の配置を示す平面図である。LED60は青色LEDである。図8において、各セグメント141は仕切り板70によって仕切られている。仕切り板70は、図10に示すように、樹脂による薄板を井桁状に組んだものである。各セグメント141の大きさは4mm□以下であり、例えば2mm□である。
【0036】
図8において、各セグメント141に1個のLED60が配置している。したがって、LED60の輝度は大きいが、実施例1の構成は、後で説明するように、LED60からの光が隣接するセグメントに漏れ出す量は小さいので、比較例1の場合におけるLEDの輝度よりも小さくすることが出来る。
【0037】
図9は、実施例1におけるバックライトの断面図である。図9において、光源基板61の上にLED60が配置している。LED60部分の構成は図20において説明する。図9において、光源基板61に形成された配線や電極を覆って保護フィルム63が形成されている。この構成は比較例1及び2とは大きく異なっている。すなわち、実施例1の構成は、LED60は透明樹脂62によって覆われておらず、LED60からの光の出射領域は、保護フィルム63よりも上側に存在している。したがって、保護フィルム63は透明である必要はない。つまり、実施例1では、比較例1及び2における透明樹脂62は存在しない。
【0038】
図9の構成では、保護シート63は例えば、白色の樹脂で形成し、反射率は高いほうがよい。このような樹脂は、例えばシリコーン樹脂で形成することが出来る。すなわち、LED60から出射した光は、一部が仕切り板70で反射して、保護フィルム63側に入射するが、保護フィルム63の反射率が大きければこの光を再び反射して、液晶表示パネルの方向に向けることが出来る。
【0039】
図9において、セグメントの境界には、仕切り板70が存在しており、この仕切り板70は保護シート63の上に配置している。仕切り板70は白色PET(Polyethylene terephthalate)で形成されている。本実施例では仕切り板70にPETを使用したが、白色のPC(ポリカーボネート)でもよい。また仕切り板70は一体形成でもよく、分割した仕切り板70を複数並べてもよい。LED60から斜め方向に出射した光は、仕切り板70で反射して第1レンズ45に向かう。
【0040】
比較例1及び2では、LED60からの光は、LEDを覆う透明樹脂62を伝って隣接するセグメントに漏れるが、実施例1では、図9に示すように、LED60から出射した光は、仕切り板70によって反射し、隣接するセグメントには漏れないような構成となっている。
【0041】
図9において、仕切り板70の上には、導光板ではなく、第1レンズ45が配置している。第1レンズ45はセグメント毎に1個の凸レンズが形成されている構成である。第1レンズ45に入射した光は、隣接するセグメントには向かわず、液晶表示パネルの方向に収束される。したがって、隣接するセグメントへの光漏れは軽減することが出来る。
【0042】
図9において、第1レンズ45の上には、色変換シート51が配置している。色変換シート51の構成及び作用は比較例1で説明したのと同様である。色変換シート51の上には、拡散シート53が配置している。拡散シート53の役割は、比較例1で説明したのと同じである。図9において、拡散シート53の上にプリズムシート52が配置していることは比較例1、2と同様である。また、プリズムシート52の構成及び作用も比較例1、2で説明したのと同様である。なお、図9における光学シート群は例であり、この他の光学シートを使用してもよい。
【0043】
図10は仕切り板70の斜視図である。仕切り板70は、厚さが0.2mm程度の白色PET板を井桁状に組み合わせたものである。仕切り板70で囲まれた領域にセグメント141が形成されている。セグメント141の大きさは例えば2mm□(2mm×2mm)であり、仕切り板70の高さは(Z軸方向)例えば1mmである。
【0044】
図11は仕切り板70の平面図である。仕切り板70の板厚swは0.2mm程度である。セグメント141の大きさsx、syは、4mm以下であり、例えば2mm程度である。図12は、図11のA-A断面図である。仕切り板70の高さshは0.5mm乃至2mmであり、例えば1mmである。
【0045】
図13は第1レンズアレイ45の斜視図である。第1レンズ45はセグメント毎に1個形成されている。レンズの厚さは、中央部t11で例えば1mm乃至2mmである。レンズは例えば球面であり、レンズ周辺の厚さt12はレンズ曲面によって決定される。レンズ材料には、例えば、透明樹脂であるアクリル樹脂、シリコーン樹脂ポリカーボネイト等が使用される。
【0046】
図14乃至図17は、第1レンズ45を製造するプロセスを示す断面図である。マイクロレンズアレイを製造する方法は種々存在するが、本実施例では、フォトリソグラフィを用いて製造する例を示す。第1レンズ45の材料としては、上述したような、透明な感光性の樹脂を用いる。実施例1では、ポジ型の感光性樹脂を用いた例を説明する。
【0047】
図14は、ガラス基板500に、第1レンズを構成することになる、ポジ型の感光性樹脂451を塗布し、露光マスク400を用いて感光性樹脂451を露光している状態を示す。図14における矢印は露光用の光である。図15は露光マスク400の光透過率を示すグラフである。縦軸が透過率、横軸が位置である。光透過率のプロファイルは、第1レンズの断面形状と対称な形となっている。すなわち、ポジ型の感光性樹脂なので、薄くしたい部分に多く露光できるようなプロファイルになっている。
【0048】
図16は、現像後の第1レンズ45の形状を示す断面図である。ガラス基板500の上に現像後の第1レンズ45が形成されている。すなわち、凸レンズの頂点に対応する部分には、ほとんど光が当たらないので、現像液に溶けないが、レンズとレンズの境界付近は、マスクの透過率が高く、強く露光されるため、現像液に溶けだすことになる。その結果、図16に示すようなレンズ形状となる。その後、図17に示すように、ガラス基板500を除去すると、第1レンズ45が完成する。
【0049】
図10に示すように、仕切り板70は、薄い白色PET板を井桁状に組み合わせたものなので、形状が不安定である。そこで、図18に示すように、まず、仕切り板70を第1レンズ45に接着材等で固定し、その後、LED60や保護フィルム63が配置された光源基板61側と組み合わせるのが効率的である。
【0050】
図18は、第1レンズ45に取り付けられた仕切り板70を光源基板61側の保護フィルム63の上に配置する状態を示す断面図である。図18において、光源基板61の上にLED60が取り付けられ、光源基板61は、LED以外は保護フィルム63によって覆われている。保護フィルム63は、反射フィルムとしての役割も有している。図18において、LEDの平面は矩形であり、LEDの幅lxは0.1mm乃至0.5mmである。本実施例では平面が正方形のLEDを使用したが、平面が長方形でもよい。
LEDの高さlhは例えば0.5mmである。また、保護フィルムの厚さfhは例えば0.3mmである。LED60での光の出射部分は保護フィルム63の上面よりも上側、すなわち、第1レンズ45側に存在している。
【0051】
図19及び図20は光源部分の断面図である。図19は比較例1、2による光源部分の構成であり、図20は実施例1による光源部分の構成である。図19図20もLEDの構成は同じである。図19図20が異なる点は、図19では、LED60を覆って透明樹脂62が形成されているのに対し、図20では、LED60以外の部分を覆って白色保護フィルム63が形成されていることである。
【0052】
図19は、LED60、透明樹脂62、電極等を示す詳細断面図である。LED60は、青色LEDである。図19において、光源基板61は、例えば、エポキシ樹脂で形成されている。光源基板61の上に、LED60の陽極601と接続する電極パッド612及びLED60の陰極602と接続する電極パッド613が金属で形成されている。光源基板61上には、この他に種々の配線が形成されているが、図19では省略されている。LED60は光源基板61の電極パッド612、613にフリップチップボンディングされている。すなわち、LED60の端子電極601、602と光源基板61の電極パッド612、613を対向させて、半田615を介して接続している。LED60は、p型半導体とn型半導体が接合したものであるが、実際には発光効率を上げるために、さまざまな層が形成されている。
【0053】
LED60は、透明樹脂62で覆われ、保護されている。LEDに電圧を印加すると、p型層とn型層の境界で発光する。光は、上方向のみでなく、横方向にも出射する。この様子を図19において矢印で示す。図19における構成の問題は、横方向に出射した光が隣接するセグメントに入射するということである。したがって、正確なローカルディミングができなくなる。
【0054】
図20は実施例1における光源部分の断面図である。図20における光源基板61の構成及びLED60の構成は、図19で説明したものと同様である。図20図19と異なる点は、図20では、LED60全体を覆う透明樹脂は存在しておらず、LED60を覆わないが、光源基板61に形成された電極等を覆う、白色の保護フィルム63が形成されていることである。LED60の発光部分であるp型層とn型層の接合部分は保護フィルム63によって覆われていない。
【0055】
したがって、LED60からの光は、直接空間に出射することになる。図20の矢印に示すように、LED60からの光は横方向にも出射するが、この光は、図9に示すように、セグメントの境界に配置された仕切り板70によって反射されるので、隣接するセグメントには入射しない。第1レンズ45や仕切り板70から反射して、下方に向かう光は反射層としての役割を有する白色保護フィルム63によって反射し、再び第1レンズ45側に向かう。このように、図20に示す光源は、LED60の光の利用効率に優れ、かつ、隣接するセグメントに光が漏れ出さない構成となっているので、正確なローカルディミングが可能である。
【0056】
以上説明したように、実施例1では、LED60を出射した光は、光源基板の構造及び仕切り板70によって隣接するセグメントへの漏れは抑制できる。さらに、仕切り板70の上に配置した第1レンズ45によって表示パネル方向に収束されるので、隣接セグメントへの光漏れはさらに軽減することが出来る。
【実施例0057】
図21は実施例2におけるバックライトの断面図であり、図22は、実施例2で用いる第2レンズ80及び光源であるLED60を含む平面図である。図21において、第1レンズ45からプリズムシート52までの構成は実施例1と同じである。また、光源である青色LED60も実施例1と同じである。実施例2の特徴は、隣接するセグメントへの光漏れを防止するために、仕切り板70ではなく、第2レンズ80を用いていることである。第2レンズ80の断面形状は外側に凸で、双曲線に準じた形状であることが望ましい。
【0058】
図21において、第2レンズ80の下面には凹部81が形成されており、この凹部81にLED60の先端がはめ込まれる形になっている。図21において、LED60から出た光は第2レンズ80に入射する。ここで、第2レンズ80は、LED60に対して凹レンズを形成している。したがって、LED60から第2レンズ80への光の入射効率を向上させることが出来る。LED60から第2レンズ80に入射した光は一旦広がるが、第2レンズ80の界面において全反射して第1レンズ45の側に向かう。この様子を図21における矢印で示す。したがって、LEDからの光は隣接する画素には漏れない。
【0059】
図21に示すように、第2レンズ80の断面形状は双曲線に準じた形状になっているが、平面形状は図22Aに示すように円である場合と、図22Bに示すように四角である場合とがある。また、第2レンズ80の下面に形成された凹部81も図22A及び図22Bに示すように平面形状は円である場合と四角である場合とがある。図22A及び図22Bにおいて、セグメント間の境界が点線で示されているが、これは便宜上のものであり、実際に境界があるわけではない。しかし、図4図6の場合と異なり、LED60からの光は第2レンズ80内に閉じ込められるので、隣接するセグメントに光が漏れだすことはない。なお、第2レンズ80及び凹部81の平面形状は円または四角に限らず、多角形でもよい。
【0060】
図23乃至図26は、第2レンズ80を製造するプロセスを示す断面図である。図23において、ガラス基板500に第2レンズ80を構成することになる感光性樹脂801を塗布し、これを、露光マスク400を用いて露光する。図23における矢印は露光用光を表す。第2レンズ80についても、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネイト等によるポジ型の感光性樹脂を使用する。
【0061】
図24は露光マスク400の光透過率を示すグラフである。縦軸が透過率、横軸が位置である。光透過率のプロファイルは、第2レンズ80の断面形状と対称な形となっている。すなわち、ポジ型の感光性樹脂なので、薄くしたい部分に多く露光できるようなプロファイルになっている。
【0062】
図25は、現像後の第2レンズ80の形状を示す断面図である。すなわち、ポジ型の感光性材料を使用しているので、第2レンズ80の形状は、図24に示す露光マスクの透過率プロファイルとほぼ対称な形となっている。その後、図26に示すように、ガラス基板500を除去すると、第2レンズ80が完成する。
【0063】
図26に示すように、第2レンズ80は、個々に分離しているわけではなく、口径が大きい部分において連接している。しかし、この連接している部分の板厚は小さいので、第2レンズアレイ80全体としての剛性は高くはない。そこで、第1レンズ45と第2レンズ80を張り合わせた後、光源基板61側と張り合わせるのが合理的である。
【0064】
図27は、第1レンズ45と第2レンズ80を貼り合わせた構成を第1基板側61側の保護フィルム63の上に配置する状態を示す断面図である。光源基板61に配置したLED60は、第2レンズ80の凹部81に収容されることになる。光源基板61側のその他の構成、及び、LED60の構成は、実施例1の図20で説明したのと同様である。
【0065】
このように、実施例2では、樹脂で形成された2つのレンズ45及び80を用いることによって、LED60からの光をレンズ内に閉じこめ、さらに、レンズ効果によって収束された光を色変換シート、拡散シート等で構成される光学シート群に入射させるので、隣接セグメントへの光もれを効果的に防止することが出来る。
【実施例0066】
図28は、実施例3によるバックライトの構成を示す断面図である。実施例3の特徴は、実施例2における第1レンズ45と第2レンズ80を一体化して凸レンズ85を形成していることである。凸レンズ85の下面に凹部81を形成して、LED60を収容していることは実施例2と同じである。凸レンズ85の平面形状は、実施例2における図22と同様である。実施例3における動作は実施例2で説明したのと同様である。ただし、実施例3では、実施例2における第1レンズ45と第2レンズ80を一体で形成するので第1レンズ45と第2レンズ80を貼り合わせる工程を省略することが出来る。
【0067】
図29乃至図33は凸レンズ85を形成するプロセスを示す断面図である。図29は、凸レンズ85に第1レンズ45のレンズ曲面を形成するための下地層510をガラス基板500に形成する。下地層510も樹脂を用いてフォトリソグラフィによって形成することが出来る。つまり、実施例1における第1レンズ45の製造と同様な工程で製造することが出来る。ただし、実施例1の第1レンズとは、曲面が逆である。下地層510は、この上に形成される凸レンズ45を構成する樹脂と離型性のよい材料を使用すれば、繰り返し使用することが出来る。
【0068】
図30は、下地層510の上に凸レンズ85の材料となる樹脂801を塗布した状態を示す断面図である。図31は、露光マスク400を用いて凸レンズ85の材料となる樹脂801を露光している状態を示す断面図である。図31において、矢印は、露光する光を表す。露光マスク400の光透過率は、実施例2における図24と同様である。
【0069】
図32は、現像後の凸レンズ85の形状を示す断面図である。現像後の凸レンズ85の形状は、実施例2における第1レンズ45と第2レンズ80を組み合わせたものと同様である。その後、図33に示すように、ガラス基板500とその上に形成された下地層510を凸レンズ85から分離する。下地層510は、凸レンズ85と離型性のよい材料を用いれば、ガラス基板500と下地層510の組み合わせを繰り返し使用することが出来る。
【0070】
凸レンズ85とLED60等が形成された光源基板81側と組み合わせるのは、実施例2における図27と同様である。このように、実施例3では、実施例2における第1レンズ45と第2レンズ80を同時に形成するので、製造プロセスを簡略化できる。実施例3の効果は実施例2と同様である。
【実施例0071】
図34は、実施例4のバックライトの断面形状である。図34において、セグメント間を仕切る区画樹脂90に形成されたスルーホールの内壁には反射層91が形成され、LED60からの光が隣接するセグメントに漏れるのを確実に防止する。反射層91の曲面は双曲線に順じた形状となっており、反射した光を効率よく、第1レンズ45側に向ける。言い換えると、区画樹脂90には、内壁が双曲線に準じた形状のスルーホールが形成されおり、その結果、効率のよい反射層91が形成されている。
【0072】
反射層91で反射して、第1レンズ45に入射した光は、第1レンズ45によって収束され、色変換シート等の光学シート群に入射する。したがって、光学シート群において、隣接するセグメントへの光漏れはより抑制されることになる。図34において、第1レンズ45から上側のプリズムシート52までは実施例1の図9と同じである。
【0073】
図35A及び図35Bは反射層91及び区画樹脂90を示す平面図である。図35Aは反射層91の平面図が円の場合であり、図35Bは反射層91の平面図が四角の場合である。反射層91は、区画樹脂90に形成された、スルーホールの内壁に、蒸着、あるいはスパッタリング等によって金属等の反射率の大きい材料をコーティングしたものである。金属としては、例えば、Alあるいはその合金が好適である。区画樹脂90に形成されたスルーホールの平面形状は図35Aでは円であり、図35Bでは四角である。図35A及び図35Bに示す点線は、便宜上セグメントの境界を示すものであるが、実際にこのような線が存在しているわけではない。しかし、LED60からの光は、反射層91を有するスルーホール内に閉じ込められるので隣接するセグメントに光が漏れだすことはない。
【0074】
図36乃至図39は、実施例4における反射層91を形成するプロセスを示す断面図である。図36は、ガラス基板500の上に塗布された区画樹脂90の材料901に対して、露光マスク400を介して露光している状態を示す断面図である。図36における矢印は露光用の光を示す。区画樹脂90の材料901も例えば、ポジ型材料を用いる。露光マスク400の光透過率のプロファイルは、通常のスルーホールを形成するパターンを応用すればよい。
【0075】
図37は、区画樹脂90の材料901にスルーホール92を形成して区画樹脂90を形成した状態を示す断面図である。図38は、反射層91を形成するために、区画樹脂90のスルーホール92の部分に反射材料である金属を、蒸着マスク450を介して、蒸着あるいはスパッタリングで形成している状態を示す断面図である。図37における矢印は蒸着される原子の向きを示す。蒸着マスク450は、区画樹脂90の上面に反射層91が付かないようにするためである。しかし、区画樹脂90の上面に反射層91が形成されても問題なければ蒸着マスク450は省略することが出来る。
【0076】
その後、図39に示すように、ガラス基板500を区画樹脂90から除去すれば、反射層91が形成された区画樹脂90が完成する。ガラス基板500に付着した反射層材料91は、エッチングによって除去すれば、ガラス基板500は繰り返し使用することが出来る。
【0077】
図40は、反射層91が形成された区画樹脂90を別途形成した第1レンズ45と貼り合わせたものを、LED60等を有する光源基板61と組み合わせている状態を示す断面図である。LED60は区画樹脂90に形成されたスルーホール92の小孔にはめ込まれることになる。図40における光源基板61、LED60等の構造は実施例1で説明したのと同様である。
【0078】
このように、実施例4では、反射層91を用いてLED60からの光が他のセグメントに漏れるのを防止している。また、第1レンズ45によって反射層91からの光を収束するので、第1レンズ45よりも上側に配置している光学シート群から隣接するセグメントへの光の拡散も軽減することが出来る。
【実施例0079】
図41は、実施例5を示す断面図であり、図42は、実施例5における区画樹脂90及びLED60を示す平面図である。実施例5は実施例4の変形例であり、区画樹脂90に形成されたスルーホール92の内壁に金属による反射層は形成されていない。その代わり、区画樹脂90自体を反射率の高い樹脂で形成する。例えば、白色PET、ポリエステル等の白色樹脂は、高い反射率を有する。
【0080】
図41に示すように、区画樹脂90のスルーホール92の内壁の断面形状は双曲線に準じた曲線になっているので、LED60からの多くの光はスルーホール92の側壁で反射し、かつ、平行光に近くなって第1レンズ45に入射する。図41の第1レンズ45から上の構成は、実施例1あるいは実施例4と同じである。
【0081】
図42は、区画樹脂90及びスルーホール92の形状を示す平面図である。図42に示すようにスルーホール92の平面形状は円である。スルーホール92の小孔の部分にLED60が配置している。図42に示す点線は、便宜上セグメントの境界を示すものであるが、実際にこのような線が存在しているわけではない。しかし、LED60からの光は、スルーホール92内に閉じ込められるので隣接するセグメントに光が漏れだすことはない。
【0082】
図41の区画樹脂90のスルーホール92の形成方法は、実施例4において説明したのと同じである。すなわち、実施例4における製造方法において、反射層91のための金属膜の形成が省略された形となっている。したがって、実施例5では、実施例4の場合よりもバックライトの製造コストを低減させることが出来る。実施例5の作用は、実施例5においては、LED60からの光は、反射樹脂で形成される区画樹脂90のスルーホール92の内壁で反射して第1レンズ45に向かう他は、実施例4と同じである。
【0083】
なお、図42に示すスルーホール92の平面形状は円であるが、本実施例は、これに限らず、スルーホール92の平面形状は4角でも多角形でもよい。
【実施例0084】
実施例1乃至5は光源に青色LED60を使用した場合である。しかし、本発明は、光源に白色LED65を使用した場合も同様に適用することが出来る。図44は実施例6の1例を示す断面図である。図44が実施例1の図9と異なる点は、光源が白色LED65であり、光学シート群が色変換シートを含まない点である。すなわち、光源がもともと白色なので、色変換を行う必要がない。
【0085】
図43は、図44における仕切り板70と光源である白色LED65を含む平面図である。図43の構成は、光源が白色LED65である他は、実施例1の図8と同じである。
【0086】
図46は、実施例6で用いる白色LED65及びその周辺の構成を示す断面図である。図46の構造は、LEDが白色LED65である他は、図20と同じである。図45は、図6及び図7に示す比較例2に使用される白色LED65及びおよびその周辺の構成である。図45では、白色LED65全体を透明樹脂62で覆っている。図19で説明したように、図45の構造では、透明樹脂62を伝って隣接す画素に光が漏れるという問題が生ずる。その点、図46の構成は、図20で説明したように、透明樹脂を使用していないので、このような問題は生じない。
【0087】
図43及び図44は、実施例1の構成について白色LED65を使用した場合の例であるが、白色LED65は、実施例2乃至5においても同様に適用することが出来る。
【0088】
以上の実施例では、青色LED60あるいは白色LED65は1セグメント当たり1個であるが、複数存在する場合にも、第2レンズ、区画樹脂、あるいは反射層等を修正することによって本発明を適用することが出来る。
【0089】
また、第1レンズの代わりに、導光板を使用した場合にも、第2レンズ、区画樹脂、反射層、あるいは、光源基板等の構成を適用することが出来、また、効果を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0090】
10…表示パネル、 11…走査線、 12…映像信号線、 13…画素、 14…表示領域、 15…端子領域、 16…シール材、 17…フレキシブル配線基板、 20…バックライト、 30…光源、 40…導光板、 45…第1レンズ、 50…光学シート群、 60…青色LED、 61…光源基板、 62…透明樹脂、 63…白色保護フィルム、 65…白色LED、 70…仕切り板、 80…第2レンズ、 81…凹部、 90…区画樹脂、 91…反射層、 92…スルーホール、 100…TFT基板、 101…下偏光板、 200…対向基板、 201…上偏光板、 300…液晶、 400…露光マスク、 451…第1レンズ用樹脂、 450…蒸着マスク、 500…ガラス基板、 510…下地層、 601…端子電極、 602…端子電極、 612…電極パッド、 613…電極パッド、 615…半田、 801…第2レンズ用樹脂、 901…区画樹脂用材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35A
図35B
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46